説明

建設機械の旋回フレーム

【課題】 センタフレームの底板の熱歪を抑えることができ、かつ簡単な構成によってセンタフレームに対するビームの接合強度を高める。
【解決手段】 底板13の左端縁部13Cと左前ビーム19の途中部位19Eとの間に左前補強板20を配置し、底板13の左端縁部13Cと左前補強板20とを溶接すると共に、左前ビーム19の途中部位19Eと左前補強板20とを溶接する。これにより、左前ビーム19の途中部位19Eを左前補強板20によって支持し、左前ビーム19とセンタフレーム12との接合強度を高めることができる。この場合、左前ビーム19の途中部位19Eは、底板13の左端縁部13Cに溶接された左前補強板20に溶接されるので、左前ビーム19の溶接時に底板13に伝わる熱を低減することができ、底板13の広幅部13Aに形成された機械加工面13A1等を熱から保護することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等に用いられる建設機械の旋回フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回輪(ベアリング)を介して旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前部側に設けられた作業装置とにより大略構成されている。そして、上部旋回体は、ベースとなる旋回フレームを有し、この旋回フレームの前部側には作業装置が俯仰動可能に設けられ、旋回フレームの後部側には、作業装置との重量バランスをとるカウンタウエイトが設けられている。また、旋回フレームの前部左側には運転室を画成するキャブが設けられ、該キャブの後側には、原動機等を収容する建屋カバー等が設けられている。
【0003】
ここで、建設機械の旋回フレームは、底板及び該底板上に立設された左,右の縦板からなるセンタフレームと、該センタフレームの左,右両側に位置し前,後方向に延びて配設された左,右のサイドフレームと、センタフレームと左,右のサイドフレームとの間にそれぞれ設けられ、センタフレームに対し左,右のサイドフレームを接合する左,右のビームとにより大略構成されている。そして、センタフレームを構成する底板の下面側には、通常、大径な旋回輪の外輪が当接するために表面粗さを抑えた平坦な機械加工面が形成されると共に、旋回輪の外輪を取付けるためのボルトが螺合する複数のボルト孔(雌ねじ孔)が螺設されている。
【0004】
この場合、従来技術による旋回フレームは、通常、センタフレームのベースとなる底板に左,右の縦板を溶接した後、底板の下面側にフライス加工等によって機械加工面を形成すると共に、この機械加工面に沿って複数個のボルト孔を螺設することにより、センタフレームを形成する。
【0005】
そして、センタフレームと左サイドフレームとの間に設けられる複数個のビームの左,右方向(長さ方向)の一端側を、センタフレームの底板と左縦板とにそれぞれ溶接によって接合した後、各ビームの左,右方向の他端側に左サイドフレームを溶接によって接合すると共に、センタフレームと右サイドフレームとの間に設けられる複数個のビームの左,右方向の一端側を、センタフレームの底板と右縦板とにそれぞれ溶接によって接合した後、各ビームの左,右方向の他端側に右サイドフレームを溶接によって接合する。これにより、センタフレームと、左,右のサイドフレームと、各ビームとからなる強固な支持構造体をなす旋回フレームが製造される。
【0006】
ところで、従来技術による旋回フレームの製造時においては、通常、センタフレームの底板の下面側に平坦な機械加工面と複数のボルト孔とを形成した後に、このセンタフレームの底板と左,右の縦板とに対し、各ビームの一端側を溶接によって接合する方法が採用されている。
【0007】
このため、センタフレームの底板に各ビームの一端側を溶接するときの熱により、底板に形成した機械加工面や各ボルト孔が熱歪(熱変形)を生じることがある。そして、底板の機械加工面や各ボルト孔に熱歪が生じた状態で、旋回輪の外輪をボルトを用いて底板に締結した場合には、旋回輪が底板に生じた熱歪の影響を受けることにより、下部走行体に対する上部旋回体の円滑な旋回動作が阻害されてしまうという問題がある。
【0008】
これに対し、従来技術による建設機械の旋回フレームとして、センタフレーム(中央フレーム)を構成する底板(下板)の上面側に、箱形状をなす溶接変形防止構造物を溶接によって接合した後、底板の下面側に機械加工面を形成する構成となった旋回フレームが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
そして、特許文献1による旋回フレームは、底板の上面側に接合された溶接変形防止構造物にビーム(横フレーム)の一端側を溶接することにより、この溶接時の熱が直接的に底板に伝わるのを抑えることができ、底板が熱歪を生じるのを防止することができる。
【0010】
また、他の従来技術による旋回フレームとして、センタフレーム(センタセクション)の立板に溶接されるサイドデッキの下面に補強材を溶接し、サイドデッキを立板に溶接すると共に底板の端部を補強材に溶接する構成となった旋回フレームが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
そして、特許文献2による旋回フレームは、底板の端部が、立板の溶接時に上方に持上がるように熱変形した場合でも、サイドデッキを水平状態でセンタフレームに接合することができ、かつサイドデッキに作用する荷重を補強材を介して底板によって支持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−32262号公報
【特許文献2】特開平11−256614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、特許文献1による旋回フレームは、底板の上面側に箱形状をなす溶接変形防止構造物を溶接によって接合する構成としているため、旋回フレーム全体の構成が複雑化するだけでなく、旋回フレームの重量も増大するという不具合がある。また、溶接変形防止構造物を溶接するときの熱によって底板が大きな熱歪を生じることにより、底板の下面側にフライス加工によって機械加工面を形成するときの加工範囲が増大し、この機械加工面を形成するときの作業性が低下してしまうという問題がある。
【0014】
一方、特許文献2による旋回フレームは、サイドデッキの下面に予め補強材を溶接した状態で、底板の端部と補強材との当接部を溶接によって接合する構成としているため、底板に立板を溶接するときの熱によって底板の端部が熱変形を生じた場合には、この熱変形の度合いに応じて底板の端部とサイドデッキに溶接した補強材との間隔が変化してしまい、両者を確実に溶接することが困難となる。この結果、センタフレームに対するビームの接合強度が充分に得られないという問題がある。
【0015】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、センタフレームの底板の熱歪を抑えることができ、かつ簡単な構成によってセンタフレームに対するビームの接合強度を高めることができるようにした建設機械の旋回フレームを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決するため本発明は、自走可能な走行体上に搭載され、底板及び該底板上に立設された左,右の縦板からなるセンタフレームと、該センタフレームの左,右両側に位置し前,後方向に延びて配設された左,右のサイドフレームと、前記センタフレームと左,右のサイドフレームとの間にそれぞれ設けられ前記センタフレームに対し前記左,右のサイドフレームを接合する左,右のビームとを備えてなる建設機械の旋回フレームに適用される。
【0017】
そして、請求項1の発明の特徴は、前記ビームは、左,右方向の一端側を前記センタフレームの縦板に溶接すると共に左,右方向の他端側を前記サイドフレームに溶接する構成とし、前記センタフレームの底板の左,右方向の端縁部と前記ビームの左,右方向の途中部位との間には、前記ビームの左,右方向の途中部位を支持する補強板を上,下方向に延びて配置し、前記センタフレームの底板の端縁部と前記補強板とを溶接すると共に、前記補強板と前記ビームの左,右方向の途中部位とを溶接する構成としたことにある。
【0018】
請求項2の発明は、前記ビームは前記センタフレームとサイドフレームとの間に前,後方向に離間して複数個設け、前記補強板は、前記各ビームの途中部位と前記センタフレームの底板の端縁部とにそれぞれ個別に溶接される複数枚の補強板により構成したことにある。
【0019】
請求項3の発明は、前記ビームは前記センタフレームとサイドフレームとの間に前,後方向に離間して複数個設け、前記補強板は、前,後方向で隣合う2個のビームの左,右方向の途中部位と前記センタフレームの底板の端縁部とにそれぞれ溶接される1枚の補強板により構成したことにある。
【0020】
請求項4の発明は、前記ビームは、一端側が前記底板と上,下方向で対面した状態で左,右方向に延びる横梁部と、該横梁部から前記底板側に向けて延びる縦梁部とにより構成し、前記ビームの縦梁部には、前記縦板と前記補強板との間に位置して前,後方向に貫通する貫通孔を設ける構成としたことにある。
【0021】
請求項5の発明は、自走可能な走行体上に搭載され、底板及び該底板上に立設された左,右の縦板からなるセンタフレームと、該センタフレームの左,右両側に位置し前,後方向に延びて配設された左,右のサイドフレームと、前記センタフレームと左,右のサイドフレームとの間にそれぞれ設けられ前記センタフレームに対し前記左,右のサイドフレームを接合する左,右のビームとを備えてなる建設機械の旋回フレームにおいて、前記ビームは、左,右方向の一端側を前記センタフレームの縦板に溶接すると共に左,右方向の他端側を前記サイドフレームに溶接する構成とし、前記センタフレームの縦板と前記ビームの左,右方向の一端側との間には、前記ビームの一端側を支持する補強板を左,右方向に延びて配置し、前記センタフレームの縦板と前記補強板とを溶接すると共に、前記補強板と前記ビームの左,右方向の一端側とを溶接する構成としたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、ビームの左,右方向の一端側をセンタフレームの縦板に溶接すると共に、センタフレームの底板の端縁部に溶接した補強板とビームの左,右方向の途中部位とを溶接することにより、ビームの左,右方向の途中部位を補強板によって支持することができ、センタフレームに対してビームを確実に接合することができる。この場合、ビームの左,右方向の途中部位を支持する補強板を、底板の左,右方向の端縁部に溶接することにより、この補強板を溶接するときの熱が底板の下面側に伝わるのを抑えることができる。従って、例えば底板の下面側に機械加工面を形成した後に、ビームをセンタフレームに溶接する場合でも、底板の機械加工面が熱歪を生じるのを確実に防止することができ、この機械加工面を保護することができる。
【0023】
また、ビームは、左,右方向の一端側が縦板に溶接されると共に、左,右方向の途中部位が補強板に溶接されるので、センタフレームに対するビームの接合強度を高めることができ、センタフレーム、左,右のサイドフレーム、各ビームからなる旋回フレーム全体の強度を確保することができる。しかも、底板の端縁部に溶接された補強板によってビームの左,右方向の途中部位を支持することにより、旋回フレーム全体の構成の簡素化、軽量化にも寄与することができる。
【0024】
請求項2の発明によれば、センタフレームとサイドフレームとの間に設けられた複数個のビームごとに補強板を用意し、これら複数枚の補強板を、各ビームの左,右方向の途中部位と底板の端縁部とにそれぞれ個別に溶接することにより、センタフレームに対する各ビームの接合強度を高めることができる。
【0025】
請求項3の発明によれば、底板の端縁部に溶接された1枚の補強板を、前,後方向で隣合う2個のビームの途中部位にそれぞれ溶接することができる。この場合、センタフレームの底板および縦板と、前,後方向で隣合う2個のビームと、補強板とによって四角形の枠状体が形成されるので、センタフレームに対する各ビームの接合強度を一層高めることができる。また、隣合う2個のビームに対して1枚の補強板を用いることにより、部品点数を削減し、構成の簡素化を図ることができる。
【0026】
請求項4の発明によれば、センタフレームとサイドフレームとの間を接合するビームの縦梁部に、前,後方向に貫通する貫通孔を設けることにより、旋回フレームに搭載される油圧アクチュエータに接続される油圧ホース等を、貫通孔を通じて前,後方向に伸長させた状態で配策することができる。この場合、貫通孔は、縦梁部のうち縦板と補強板との間に設けられるので、貫通孔を有するビームの強度を保つことができる。
【0027】
請求項5の発明によれば、ビームの左,右方向の一端側を、センタフレームの縦板に溶接すると共に、センタフレームの縦板に溶接された補強板に溶接することにより、ビームの一端側を補強板によって支持することができ、センタフレームに対してビームを確実に接合することができる。この場合、ビームの一端側を支持する補強板を縦板に溶接することにより、この補強板を溶接するときの熱が底板の下面側に伝わるのを抑えることができ、例えば底板の下面側に形成された機械加工面を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態による旋回フレームを備えた油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】第1の実施の形態による旋回フレームを示す斜視図である。
【図3】図2中の底板、左縦板、左前ビーム、左後ビーム、左前補強板、左後補強板等を上方からみた要部拡大の平面図である。
【図4】底板、左縦板、左前ビーム、左後ビーム、左前補強板、左後補強板を図3中の矢示IV−IV方向から見た断面図である。
【図5】底板、左縦板、左前ビーム、左前補強板を図3中の矢示V−V方向から見た断面図である。
【図6】底板、左縦板、左後ビーム、左後補強板を図3中の矢示VI−VI方向から見た断面図である。
【図7】左前補強板を単体で示す斜視図である。
【図8】左後補強板を単体で示す斜視図である。
【図9】第2の実施の形態による旋回フレームを示す斜視図である。
【図10】底板、左縦板、左前ビーム、左後ビーム、左補強板を図9中の矢示X−X方向から見た断面図である。
【図11】底板、左縦板、左前ビーム、左補強板を図10中の矢示XI−XI方向から見た断面図である。
【図12】第3の実施の形態による旋回フレームを示す斜視図である。
【図13】底板、左縦板、左前ビーム、左前補強板等を図12中の矢示XIII−XIII方向から見た図5と同様な断面図である。
【図14】底板、左縦板、左後ビーム、左後補強板等を図12中の矢示XIV−XIV方向から見た図6と同様な断面図である。
【図15】第4の実施の形態による旋回フレームを示す斜視図である。
【図16】底板、左縦板、左前ビーム、左後ビーム、左前補強板、左後補強板を図15中の矢示XVI−XVI方向から見た断面図である。
【図17】底板、左縦板、左前ビーム、左前補強板を図16中の矢示XVII−XVII方向から見た断面図である。
【図18】底板、左縦板、左前ビーム、左後補強板を図16中の矢示XVIII−XVIII方向から見た断面図である。
【図19】左前補強板を単体で示す斜視図である。
【図20】第1の変形例による左前補強板と底板との溶接部分を示す図5と同様な断面図である。
【図21】第2の変形例による左前補強板と底板との溶接部分を示す図5と同様な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る建設機械の旋回フレームの実施の形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0030】
まず、図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は建設機械の代表例である油圧ショベルを示し、該油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回輪3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4とにより大略構成されている。そして、上部旋回体4の前部側には、土砂等の掘削作業を行う作業装置5が俯仰動可能に設けられている。
【0031】
ここで、上部旋回体4は、後述の旋回フレーム11と、該旋回フレーム11の後端側に設けられ作業装置5との重量バランスをとるカウンタウエイト6と、該カウンタウエイト6の前側に配設されエンジン、油圧ポンプ等(いずれも図示せず)を収容する建屋カバー7と、旋回フレーム11の前部左側に配設され運転室を画成するキャブ8とにより大略構成されている。
【0032】
また、作業装置5は、基端側が後述の旋回フレーム11に回動可能に取付けられたブーム5Aと、該ブーム5Aの先端側に回動可能に取付けられたアーム5Bと、該アーム5Bの先端側に回動可能に取付けられたバケット5Cと、油圧シリンダからなるブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ5Fとにより大略構成されている。
【0033】
11は車体フレームとしての旋回フレームを示し、該旋回フレーム11は、上部旋回体4のベースとなるものである。そして、旋回フレーム11は、図2ないし図4に示すように、後述のセンタフレーム12、左サイドフレーム17、左前ビーム19、左前補強板20、左後ビーム24、左後補強板25、右サイドフレーム29、各右ビーム30等により構成され、強固な支持構造体をなしている。
【0034】
12は旋回フレーム11の中央部分を構成するセンタフレームで、該センタフレーム12は、厚肉な鋼板等を用いて平板状に形成され前,後方向に延びた底板13と、該底板13の上面側に溶接等の手段を用いて立設され、左,右方向で一定の間隔を保ちつつ前,後方向に延びた左縦板14,右縦板15とにより大略構成されている。また、左縦板14の前部側(ブームブラケット部14A側)と右縦板15の前部側(ブームブラケット部15A側)との間は、両者に接合された縦板補強板16によって補強されている。
【0035】
ここで、底板13の前部側は、後部側に比較して左,右方向に広幅となった広幅部13Aとなり、この広幅部13Aの下面側には、図1に示す旋回輪3の外輪が多数のボルトを用いて固定される構成となっている。このため、底板13の広幅部13Aの下面側は、フライス加工等によって表面粗さが抑えられ、旋回輪3の外輪が当接する平坦な機械加工面13A1となっている。また、底板13の広幅部13Aには、旋回輪3の外輪を固定するためのボルトが螺合する多数のボルト孔(雌ねじ孔)13Bが、底板13の上面と下面との間を上,下方向に貫通して環状に形成されている。さらに、広幅部13Aのうち後述の左サイドフレーム17と対向する左端縁部13Cには、後述する左前補強板20と左後補強板25とが溶接によって固着される構成となっている。
【0036】
一方、左縦板14と右縦板15の前部側は、それぞれ山形状に隆起したブームブラケット部14A,15Aとなり、これら左,右のブームブラケット部14A,15Aには、図1に示す作業装置5のブーム5Aの基端側が回動可能にピン結合される構成となっている。また、左,右の縦板14,15の後部側は、それぞれ断面I字状をなしてブームブラケット部14A,15Aから後方へと延び、左,右の縦板14,15の後端側は、図1に示すカウンタウエイト6が取付けられるウエイト取付部14B,15Bとなっている。さらに、左縦板14のうち左サイドフレーム17と対向する外側面は、後述する左前ビーム19、左後ビーム24等が接合されるビーム接合面14Cとなっている。
【0037】
ここで、センタフレーム12は、底板13の上面側に左,右の縦板14,15を溶接によって接合することにより形成され、通常、左,右の縦板14,15を底板13に溶接した後に、底板13の広幅部13Aに複数のボルト孔13Bを形成する。これにより、広幅部13Aの下面である機械加工面13A1やボルト孔13Bが溶接作業時の熱によって熱歪を生じるのを抑えることができる構成となっている。
【0038】
17はセンタフレーム12を挟んで左,右方向の一側(左側)に配置された左サイドフレームを示している。ここで、左サイドフレーム17と後述の右サイドフレーム29とは、例えば断面D字状の筒体からなるD型フレームを用いて形成され、センタフレーム12に沿って前,後方向に延びている。そして、左サイドフレーム17は、後述のキャブ支持枠18、左前ビーム19、左後ビーム24等を介してセンタフレーム12の左側に取付けられるものである。
【0039】
18は左サイドフレーム17の前端側とセンタフレーム12との間を連結するキャブ支持枠で、該キャブ支持枠18は、後述する左後ビーム24と共に図1に示すキャブ8を下側から支持するものである。ここで、キャブ支持枠18は、左縦板14に沿って前,後方向に延びた角筒状の縦枠部材18Aと、縦枠部材18Aの前端部と左サイドフレーム17の前端部とに溶接によって接合され左,右方向に延びた横枠部材18Bとにより略L字状に形成されている。そして、縦枠部材18Aの後端部は、後述の左前ビーム19に溶接によって接合され、横枠部材18Bの左端部は、左サイドフレーム17の前端側に溶接によって接合されている。
【0040】
19はキャブ支持枠18の後側に位置してセンタフレーム12と左サイドフレーム17との間に設けられた左前ビームで、該左前ビーム19は、後述の左後ビーム24等と共に、センタフレーム12に対し左サイドフレーム17を接合するものである。
【0041】
ここで、左前ビーム19は、例えば鋼板材に折曲加工を施すことにより、L字型の断面形状をもって左,右方向に延びる板状体として形成され、一端側が底板13と上,下方向で対面した状態で左,右方向に延びる横梁部19Aと、該横梁部19Aの前端側から底板13に向けて折曲げられた縦梁部19Bとにより構成されている(図4参照)。
【0042】
そして、左前ビーム19の左,右方向(長さ方向)の一端側19Cは、左縦板14のビーム接合面14Cに溶接され、左前ビーム19の左,右方向の他端側19Dは、左サイドフレーム17に溶接されている。また、左前ビーム19の左,右方向の途中部位19Eは、後述の左前補強板20に溶接される構成となっている。
【0043】
20は底板13を構成する広幅部13Aの左端縁部13Cと左前ビーム19の左,右方向の途中部位19Eとの間に設けられた左前補強板を示している。なお、左前ビーム19の途中部位19Eとは、一端側19Cと他端側19Dとの間の部位(中間部)を指すものである。そして、左前補強板20は、左前ビーム19の左,右方向の途中部位19Eを支持するもので、底板13の左端縁部13Cに溶接されると共に、左前ビーム19の左,右方向の途中部位19Eに溶接されるものである。
【0044】
ここで、左前補強板20は、図4、図5および図7に示すように、鋼板等を用いて上縁部20A、下縁部20B、前縁部20Cおよび後縁部20Dを有する1枚の四角形の平板状に形成されている。そして、左前補強板20は、左縦板14のビーム接合面14Cと対向する内側面20Eを底板13(広幅部13A)の左端縁部13Cに当接させた状態で、この左端縁部13Cに溶接されている。
【0045】
これにより、底板13の左端縁部13Cと左前補強板20の下縁部20Bとの間には、下縁部20Bに沿って前,後方向に延びる下溶接部21が形成され、この下溶接部21によって底板13の左端縁部13Cに接合された左前補強板20は、底板13から上方に向けて上,下方向に延びている。このように、左前補強板20は、底板13の左端縁部13Cに溶接されるので、この溶接時の熱が底板13に伝わる範囲を低減することができ、底板13に形成した機械加工面13A1やボルト孔13B等の熱歪を抑えることができる構成となっている。
【0046】
一方、底板13から上方に立上がった左前補強板20の上縁部20Aに、左前ビーム19を構成する横梁部19Aの下面を溶接すると共に、左前補強板20の前縁部20Cに、左前ビーム19を構成する縦梁部19Bの後面を溶接する。これにより、左前ビーム19の横梁部19Aと左前補強板20の上縁部20Aとの間には、上縁部20Aに沿って前,後方向に延びる上溶接部22が、左前補強板20を挟んで左,右両側に形成されている。また、左前ビーム19の縦梁部19Bと左前補強板20の前縁部20Cとの間には、前縁部20Cに沿って上,下方向に延びる縦溶接部23が、左前補強板20を挟んで左,右両側に形成されている。
【0047】
24は左前ビーム19の後側に位置してセンタフレーム12と左サイドフレーム17との間に設けられた左後ビームで、該左後ビーム24は、左前ビーム19等と共に、センタフレーム12に対して左サイドフレーム17を接合するものである。
【0048】
ここで、左後ビーム24も左前ビーム19と同様に、横梁部24Aと縦梁部24Bとにより、L字型の断面形状をもって左,右方向に延びる板状体として形成されている。そして、左後ビーム24の左,右方向(長さ方向)の一端側24Cは、左縦板14のビーム接合面14Cに溶接され、左後ビーム24の左,右方向の他端側24Dは、左サイドフレーム17に溶接されている。また、左後ビーム24の左,右方向の途中部位24Eは、後述の左後補強板25に溶接される構成となっている。
【0049】
25は左前補強板20の後側に位置して底板13(広幅部13A)の左端縁部13Cと左後ビーム24の左,右方向の途中部位24Eとの間に設けられた左後補強板を示している。なお、左後ビーム24の途中部位24Eとは、一端側24Cと他端側24Dとの間の部位(中間部)を指すものである。そして、左後補強板25は、左後ビーム24の左,右方向の途中部位24Eを支持するもので、底板13の左端縁部13Cに溶接されると共に、左後ビーム24の左,右方向の途中部位24Eに溶接されるものである。
【0050】
ここで、左後補強板25は、図4、図6および図8に示すように、上縁部25A、下縁部25B、前縁部25Cおよび後縁部25Dを有し、左前補強板20よりも前,後方向の長さ寸法が小さな1枚の四角形の平板状に形成されている。そして、左後補強板25は、左縦板14のビーム接合面14Cと対向する内側面25Eを底板13の左端縁部13Cに当接させた状態で、当該左端縁部13Cに溶接されている。
【0051】
これにより、底板13の左端縁部13Cと左後補強板25の下縁部25Bとの間には、下縁部25Bに沿って前,後方向に延びる下溶接部26が形成され、この下溶接部26によって底板13の左端縁部13Cに接合された左後補強板25は、底板13から上方に向けて上,下方向に延びている。このように、左後補強板25も、底板13の左端縁部13Cに溶接されることにより、左後補強板25を溶接するときの熱が底板13に伝わるのを抑え、底板13に形成した機械加工面13A1等の熱歪を抑えることができる構成となっている。
【0052】
そして、底板13から上方に立上がった左後補強板25の上縁部25Aに、左後ビーム24の横梁部24Aの下面を溶接すると共に、左後補強板25の前縁部25Cに、左後ビーム24の縦梁部24Bの後面を溶接する。これにより、左後ビーム24の横梁部24Aと左後補強板25の上縁部25Aとの間には、上縁部25Aに沿って前,後方向に延びる上溶接部27が、左後補強板25を挟んで左,右両側に形成されている。また、左後ビーム24の縦梁部24Bと左後補強板25の前縁部25Cとの間には、前縁部25Cに沿って上,下方向に延びる縦溶接部28が、左後補強板25を挟んで左,右両側に形成されている。
【0053】
29はセンタフレーム12を挟んで左,右方向の他側(右側)に配置された右サイドフレームを示し、この右サイドフレーム29は、例えば断面D字状の筒体からなるD型フレームを用いて形成され、センタフレーム12に沿って前,後方向に延びている。そして、右サイドフレーム29は、後述の各右ビーム30,31,32等を介してセンタフレーム12の右側に取付けられるものである。
【0054】
30,31,32はセンタフレーム12の右縦板15と右サイドフレーム29との間に設けられた右前ビーム,右中間ビーム,右後ビームを示している。これら各ビーム30,31,32は、前,後方向に適度な間隔をもって配置され、センタフレーム12に対して右サイドフレーム29を接合するものである。ここで、右前ビーム30、右中間ビーム31、右後ビーム32は、例えば鋼板材に折曲加工を施すことにより形成され、左,右方向の一端側(左端側)がセンタフレーム12の右縦板15にそれぞれ溶接されると共に、左,右方向の他端側(右端側)が右サイドフレーム29にそれぞれ溶接されている。
【0055】
そして、右前ビーム30、右中間ビーム31、右後ビーム32の左,右方向の途中部位と底板13の右端縁部との間には、上述した左前補強板20とほぼ同様な板体からなる3枚の右補強板(図示せず)がそれぞれ配置され、これら各右補強板は、ビーム30,31,32の左,右方向の途中部位と底板13の右端縁部とにそれぞれ溶接されることにより、これらビーム30,31,32の途中部位を支持する構成となっている。
【0056】
本実施の形態による旋回フレーム11は上述の如き構成を有するもので、この旋回フレーム11によれば、底板13の左端縁部13Cと左前ビーム19の途中部位19Eとの間に左前補強板20を配置し、底板13の左端縁部13Cと左前補強板20とを溶接すると共に、左前ビーム19の途中部位19Eと左前補強板20とを溶接する構成としている。これにより、左,右方向の一端側19Cがセンタフレーム12の左縦板14に溶接された左前ビーム19の途中部位19Eを、左前補強板20によって支持することができ、左前ビーム19とセンタフレーム12との接合強度を高めることができる。
【0057】
また、底板13の左端縁部13Cと左後ビーム24の途中部位24Eとの間に左後補強板25を配置し、底板13の左端縁部13Cと左後補強板25とを溶接すると共に、左後ビーム24の途中部位24Eと左後補強板25とを溶接する構成としている。これにより、左,右方向の一端側24Cがセンタフレーム12の左縦板14に溶接された左後ビーム24の途中部位24Eを、左後補強板25によって支持することができ、左後ビーム24とセンタフレーム12との接合強度を高めることができる。
【0058】
この場合、左前ビーム19の途中部位19Eは、センタフレーム12の底板13には直接溶接されておらず、底板13の左端縁部13Cに溶接された左前補強板20に溶接されている。また、左後ビーム24の途中部位24Eも、センタフレーム12の底板13には直接溶接されておらず、底板13の左端縁部13Cに溶接された左後補強板25に溶接されている。このため、左前ビーム19、左後ビーム24をセンタフレーム12に溶接するときに底板13に伝わる熱を低減することができる。この結果、左前ビーム19、左後ビーム24を溶接する前段階で底板13の広幅部13Aに形成された機械加工面13A1やボルト孔13B等が、左前ビーム19、左後ビーム24を溶接するときの熱によって熱歪を生じるのを確実に防止することができ、底板13の機械加工面13A1に取付けた旋回輪3を円滑に回転させることができる。
【0059】
しかも、左前ビーム19の途中部位19Eを支持する左前補強板20と、左後ビーム24の途中部位24Eを支持する左後補強板25とは、それぞれ底板13の左端縁部13Cに溶接される1枚の板体からなるので、旋回フレーム11全体の構成の簡素化、軽量化にも寄与することができる。
【0060】
次に、図9ないし図11は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、前,後方向で隣合う2個のビームの左,右方向の途中部位と底板の端縁部との間に1枚の補強板を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0061】
図中、41は第2の実施の形態による旋回フレームを示し、該旋回フレーム41は、第1の実施の形態による旋回フレーム11とほぼ同様に、センタフレーム12、左サイドフレーム17、左前ビーム19、左後ビーム24、右サイドフレーム29、各右ビーム30等により構成されるものの、左前ビーム19と左後ビーム24との間に後述の左ビーム補強板42を設けた点で、第1の実施の形態による旋回フレーム11とは異なるものである。
【0062】
42は前,後方向で隣合う左前ビーム19と左後ビーム24との間に配置された左ビーム補強板を示している。この左ビーム補強板42は、左前ビーム19の左,右方向の途中部位19Eと左後ビーム24の左,右方向の途中部位24Eとを支持するもので、底板13の左端縁部13Cに溶接されると共に、左前ビーム19の途中部位19Eおよび左後ビーム24の途中部位24Eに溶接されるものである。
【0063】
ここで、左ビーム補強板42は、鋼板等を用いて前,後方向に延びる1枚の長方形の平板状に形成され、上縁部42A、下縁部42B、前縁部42Cおよび後縁部42Dを有している。そして、左ビーム補強板42は、左縦板14のビーム接合面14Cと対向する内側面42Eを底板13(広幅部13A)の左端縁部13Cに当接させた状態で、この左端縁部13Cに溶接されている。
【0064】
これにより、底板13の左端縁部13Cと左ビーム補強板42の下縁部42Bとの間には、下縁部42Bに沿って前,後方向に延びる下溶接部43が形成され、この下溶接部43によって底板13の左端縁部13Cに接合された左ビーム補強板42は、底板13から上方に立上がっている。
【0065】
そして、底板13から上方に立上がった左ビーム補強板42の上縁部42Aに、左前ビーム19を構成する横梁部19Aの下面を溶接し、左ビーム補強板42の前縁部42Cに、左前ビーム19を構成する縦梁部19Bの後面を溶接すると共に、左ビーム補強板42の後縁部42Dに、左後ビーム24を構成する縦梁部24Bの前面を溶接する。
【0066】
これにより、左前ビーム19の横梁部19Aと左ビーム補強板42の上縁部42Aとの間には、上縁部42Aに沿って前,後方向に延びる上溶接部44が、左ビーム補強板42を挟んで左,右両側に形成されている。また、左前ビーム19の縦梁部19Bと左ビーム補強板42の前縁部42Cとの間には、前縁部42Cに沿って上,下方向に延びる前側縦溶接部45が、左ビーム補強板42を挟んで左,右両側に形成されている。また、左後ビーム24の縦梁部24Bと左ビーム補強板42の後縁部42Dとの間には、後縁部42Dに沿って上,下方向に延びる後側縦溶接部46が、左ビーム補強板42を挟んで左,右両側に形成されている。
【0067】
このように、本実施の形態による左ビーム補強板42は、左前ビーム19の左,右方向の途中部位19Eと、左後ビーム24の左,右方向の途中部位24Eと、センタフレーム12を構成する底板13の左端縁部13Cとにそれぞれ溶接されることにより、前,後方向で隣合う左前ビーム19の途中部位19Eと左後ビーム24の途中部位24Eとを、同時に支持する構成となっている。この場合、左ビーム補強板42は、底板13の左端縁部13Cに溶接されるので、底板13に形成した機械加工面13A1やボルト孔13B等の熱歪を抑えることができる構成となっている。
【0068】
第2の実施の形態による旋回フレーム41は、上述の如き左ビーム補強板42を有するもので、その基本的作動については上述した第1の実施の形態と格別差異はない。
【0069】
然るに、第2の実施の形態によれば、左,右方向の一端側19Cが左縦板14に溶接された左前ビーム19の途中部位19Eと、左,右方向の一端側24Cが左縦板14に溶接された左後ビーム24の途中部位24Eと、底板13の左端縁部13Cとに、それぞれ1枚の左ビーム補強板42を溶接する構成としている。これにより、センタフレーム12の底板13および左縦板14と、左前ビーム19と、左後ビーム24と、左ビーム補強板42とによって、互いに溶接された四角形の枠状体を形成することができるので、センタフレーム12に対する左前ビーム19、左後ビーム24の接合強度を一層高めることができる。
【0070】
また、1枚の左ビーム補強板42を、左前ビーム19の途中部位19Eと、左後ビーム24の途中部位24Eと、底板13の左端縁部13Cとに溶接することにより、左前ビーム19の途中部位19Eと左後ビーム24の途中部位24Eとを同時に支持することができるので、旋回フレーム41の部品点数を削減し、構成の簡素化を図ることができる。
【0071】
次に、図12ないし図14は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、ビームの縦梁部に前,後方向に貫通する貫通孔を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0072】
図中、51は第3の実施の形態による旋回フレームを示し、該旋回フレーム51は、第1の実施の形態による旋回フレーム11とほぼ同様に、センタフレーム12、左サイドフレーム17、後述の左前ビーム52、左前補強板20、後述の左後ビーム53、左後補強板25、右サイドフレーム29、各右ビーム30等により構成されるものの、左前ビーム52、左後ビーム53の形状が、第1の実施の形態による左前ビーム19、左後ビーム24とは異なるものである。
【0073】
52はキャブ支持枠18の後側に位置してセンタフレーム12と左サイドフレーム17との間に設けられた左前ビームで、該左前ビーム52は、第1の実施の形態による左前ビーム19に代えて第3の実施の形態に用いたものである。
【0074】
ここで、左前ビーム52は、第1の実施の形態による左前ビーム19と同様に、L字型の断面形状をもって左,右方向に延びる板状体として形成され、一端側が底板13と上,下方向で対面した状態で左,右方向に延びる横梁部52Aと、該横梁部52Aの前端側から底板13に向けて折曲げられた縦梁部52Bとにより構成されている。そして、左前ビーム52の左,右方向の一端側52Cは左縦板14のビーム接合面14Cに溶接され、左前ビーム52の左,右方向の他端側52Dは左サイドフレーム17に溶接され、左前ビーム52の左,右方向の途中部位52Eは左前補強板20に溶接されている。
【0075】
また、左前ビーム52の縦梁部52Bのうち、左縦板14と左前補強板20との間には、左,右方向に延びる長方形の角孔状をなし、前,後方向に貫通する貫通孔52Fが形成されている。
【0076】
53は左前ビーム52の後側に位置してセンタフレーム12と左サイドフレーム17との間に設けられた左後ビームで、該左後ビーム53は、第1の実施の形態による左後ビーム24に代えて第3の実施の形態に用いたものである。
【0077】
ここで、左後ビーム53は、第1の実施の形態による左後ビーム24と同様に、横梁部53Aと縦梁部53Bとを有する断面L字型の板状体として形成され、左,右方向に延びている。そして、左後ビーム53の左,右方向の一端側53Cは左縦板14のビーム接合面14Cに溶接され、左後ビーム53の左,右方向の他端側53Dは左サイドフレーム17に溶接され、左後ビーム53の左,右方向の途中部位53Eは左後補強板25に溶接されている。
【0078】
また、左後ビーム53の縦梁部53Bのうち、左縦板14と左後補強板25との間には、左,右方向に延びる長方形の角孔状をなし、前,後方向に貫通する貫通孔53Fが形成されている。
【0079】
これにより、旋回フレーム51に搭載された油圧アクチュエータに圧油を給排するための油圧ホース(いずれも図示せず)を、左前ビーム52に設けた貫通孔52F、左後ビーム53に設けた貫通孔53Fを通じて前,後方向に延ばして配策することができる構成となっている。
【0080】
第3の実施の形態による旋回フレーム51は上述の如き左前ビーム52、左後ビーム53を有するもので、その基本的作動については上述した第1の実施の形態と格別差異はない。
【0081】
然るに、第3の実施の形態によれば、左前ビーム52の縦梁部52Bに貫通孔52Fを設けると共に、左後ビーム53の縦梁部53Bに貫通孔53Fを設ける構成としたので、旋回フレーム51に搭載された油圧アクチュエータに圧油を給排するための油圧ホース(いずれも図示せず)を、左前ビーム52に設けた貫通孔52F、左後ビーム53に設けた貫通孔53Fを通じて前,後方向に延ばして配策することができ、この油圧ホースの配策作業を容易に行うことができる。
【0082】
この場合、左前ビーム52の貫通孔52Fは、縦梁部52Bのうち左縦板14と左前補強板20との間に設けられるので、この貫通孔52Fを有する左前ビーム52の強度を保つことができる。また、左後ビーム53の貫通孔53Fは、縦梁部53Bのうち左縦板14と左後補強板25との間に設けられるので、この貫通孔53Fを有する左後ビーム53の強度を保つことができる。
【0083】
次に、図15ないし図19は本発明の第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、センタフレームの縦板とビームの左,右方向の一端側との間に、このビームの一端側を支持する補強板を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0084】
図中、61は第4の実施の形態による旋回フレームを示し、該旋回フレーム61は、第1の実施の形態による旋回フレーム11とほぼ同様に、センタフレーム12、左サイドフレーム17、左前ビーム19、左後ビーム24、右サイドフレーム29、各右ビーム30等により構成されるものの、センタフレーム12を構成する左縦板14と左前ビーム19の一端側19Cとの間に後述の左前補強板62を設け、左縦板14と左後ビーム24の一端側24Cとの間に後述の左後補強板65を設けた点で、第1の実施の形態による旋回フレーム11とは異なるものである。
【0085】
62はセンタフレーム12の左縦板14と左前ビーム19の左,右方向の一端側19Cとの間に設けられた左前補強板を示し、この左前補強板62は、左前ビーム19の左,右方向の一端側19Cを支持するもので、左縦板14のビーム接合面14Cに溶接されると共に、左前ビーム19の一端側19Cに溶接されるものである。
【0086】
ここで、左前補強板62は、鋼板等を用いて上縁部62A、下縁部62Bおよび右端縁部62Cを有する1枚の三角形の平板状に形成され、左,右方向に延びている。そして、左前補強板62は、左縦板14と対向する右端縁部62Cが左縦板14のビーム接合面14Cに溶接されることにより、このビーム接合面14Cから左,右方向に延びている。これにより、左前補強板62の右端縁部62Cと左縦板14のビーム接合面14Cとの間には、右端縁部62Cに沿って上,下方向に延びる縦溶接部63が、左前補強板62を挟んで前,後両側に形成されている。
【0087】
そして、左縦板14のビーム接合面14Cから左,右方向に張出した左前補強板62の上縁部62Aには、左前ビーム19の横梁部19Aの下面が溶接される。これにより、左前ビーム19の横梁部19Aと左前補強板62の上縁部62Aとの間には、上縁部62Aに沿って左,右方向に延びる上溶接部64が、左前補強板62を挟んで前,後両側に形成されている。
【0088】
65はセンタフレーム12の左縦板14と左後ビーム24の左,右方向の一端側24Cとの間に設けられた左後補強板を示し、この左後補強板65は、左後ビーム24の左,右方向の一端側24Cを支持するもので、左縦板14のビーム接合面14Cに溶接されると共に、左後ビーム24の一端側24Cに溶接されるものである。
【0089】
ここで、左後補強板65は、左前補強板62と同様に、上縁部65A、下縁部65Bおよび右端縁部65Cを有する1枚の三角形の平板状に形成され、左,右方向に延びている。そして、左後補強板65は、左縦板14と対向する右端縁部65Cが左縦板14のビーム接合面14Cに溶接されることにより、このビーム接合面14Cから左,右方向に延びている。これにより、左後補強板65の右端縁部65Cと左縦板14のビーム接合面14Cとの間には、右端縁部65Cに沿って上,下方向に延びる縦溶接部66が、左後補強板65を挟んで前,後両側に形成されている。
【0090】
そして、左縦板14のビーム接合面14Cから左,右方向に張出した左後補強板65の上縁部65Aには、左後ビーム24の横梁部24Aの下面が溶接される。これにより、左後ビーム24の横梁部24Aと左後補強板65の上縁部65Aとの間には、上縁部65Aに沿って左,右方向に延びる上溶接部67が、左後補強板65を挟んで前,後両側に形成されている。
【0091】
このように、センタフレーム12の左縦板14と左前補強板62とを溶接すると共に、左前補強板62と左前ビーム19の一端側19Cとを溶接することにより、左前補強板62によって左前ビーム19の一端側19Cを支持することができ、センタフレーム12の左縦板14と左後補強板65とを溶接すると共に、左後補強板65と左後ビーム24の一端側24Cとを溶接することにより、左後補強板65によって左後ビーム24の一端側24Cを支持することができる構成となっている。
【0092】
第4の実施の形態による旋回フレーム61は、上述の如き左前補強板62、左後補強板65を有するもので、その基本的作動については上述した第1の実施の形態と格別差異はない。
【0093】
然るに、第4の実施の形態によれば、センタフレーム12の左縦板14と左前ビーム19とに溶接した左前補強板62によって、左前ビーム19の一端側19Cを支持すると共に、センタフレーム12の左縦板14と左後ビーム24とに溶接した左後補強板65によって、左後ビーム24の一端側24Cを支持する構成としている。
【0094】
このため、左前補強板62と左後補強板65とをセンタフレーム12の左縦板14に溶接するときの熱が、底板13の下面側に伝わるのを確実に抑えることができる。この結果、左前ビーム19、左後ビーム24を溶接する前段階で底板13に形成された機械加工面13A1等を、溶接作業時の熱から保護することができる。
【0095】
なお、上述した第1の実施の形態では、左前補強板20を底板13の左端縁部13Cに溶接するときに、左前補強板20の下縁部20Bと底板13の左端縁部13Cとの間に下溶接部21を形成した場合を例示している(図5参照)。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図20に示す第1の変形例のように、左前補強板20の内側面20Eと底板13の左端縁部13Cとの間に下溶接部68を形成する構成としてもよい。このことは、左後補強板25と底板13の左端縁部13Cとの溶接部についても同様である。
【0096】
また、例えば図21に示す第2の変形例のように、左前補強板20の下縁部20Bと底板13の左端縁部13Cとの間に下溶接部21を形成すると共に、左前補強板20の内側面20Eと底板13の左端縁部13Cとの間に下溶接部68を形成する構成としてもよい。このことは、左後補強板25と底板13の左端縁部13Cとの溶接部についても同様である。
【0097】
また、上述した第1の実施の形態では、左前ビーム19の途中部位19Eと底板13との間に左前補強板20を設け、左後ビーム24の途中部位24Eと底板13との間に左後補強板25を設けると共に、複数の右ビーム30,31,32の途中部位と底板13との間にそれぞれ補強板(図示せず)を設ける場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、センタフレーム12を挟んで左側に設けられるビームと右側に設けられるビームのうち、いずれか一方のビームと底板13との間に補強板を設ける構成としてもよい。
【0098】
さらに、上述した各実施の形態では、油圧ショベルに適用される旋回フレームを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば油圧クレーン等の他の建設機械に広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0099】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体(走行体)
11,41,51,61 旋回フレーム
12 センタフレーム
13 底板
13C 左端縁部(端縁部)
14 左縦板
15 右縦板
17 左サイドフレーム
19,52 左前ビーム(ビーム)
19A,24A,52A,53A 横梁部
19B,24B,52B,53B 縦梁部
19C,24C,52C,53C 一端側
19D,24D,52D,53D 他端側
19E,24E,52E,53E 途中部位
20,62 左前補強板(補強板)
21,26,43,68 下溶接部
22,27,44,64,67 上溶接部
23,28,63,66 縦溶接部
24,53 左後ビーム(ビーム)
25,65 左後補強板(補強板)
29 右サイドフレーム
30 右前ビーム(ビーム)
31 右中間ビーム(ビーム)
32 右後ビーム(ビーム)
42 左ビーム補強板(補強板)
45 前側縦溶接部
46 後側縦溶接部
52F,53F 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な走行体上に搭載され、底板及び該底板上に立設された左,右の縦板からなるセンタフレームと、該センタフレームの左,右両側に位置し前,後方向に延びて配設された左,右のサイドフレームと、前記センタフレームと左,右のサイドフレームとの間にそれぞれ設けられ前記センタフレームに対し前記左,右のサイドフレームを接合する左,右のビームとを備えてなる建設機械の旋回フレームにおいて、
前記ビームは、左,右方向の一端側を前記センタフレームの縦板に溶接すると共に左,右方向の他端側を前記サイドフレームに溶接する構成とし、
前記センタフレームの底板の左,右方向の端縁部と前記ビームの左,右方向の途中部位との間には、前記ビームの左,右方向の途中部位を支持する補強板を上,下方向に延びて配置し、
前記センタフレームの底板の端縁部と前記補強板とを溶接すると共に、前記補強板と前記ビームの左,右方向の途中部位とを溶接する構成としたことを特徴とする建設機械の旋回フレーム。
【請求項2】
前記ビームは前記センタフレームとサイドフレームとの間に前,後方向に離間して複数個設け、
前記補強板は、前記各ビームの途中部位と前記センタフレームの底板の端縁部とにそれぞれ個別に溶接される複数枚の補強板により構成してなる請求項1に記載の建設機械の旋回フレーム。
【請求項3】
前記ビームは前記センタフレームとサイドフレームとの間に前,後方向に離間して複数個設け、
前記補強板は、前,後方向で隣合う2個のビームの左,右方向の途中部位と前記センタフレームの底板の端縁部とにそれぞれ溶接される1枚の補強板により構成してなる請求項1に記載の建設機械の旋回フレーム。
【請求項4】
前記ビームは、一端側が前記底板と上,下方向で対面した状態で左,右方向に延びる横梁部と、該横梁部から前記底板側に向けて延びる縦梁部とにより構成し、前記ビームの縦梁部には、前記縦板と前記補強板との間に位置して前,後方向に貫通する貫通孔を設ける構成としてなる請求項1,2または3に記載の建設機械の旋回フレーム。
【請求項5】
自走可能な走行体上に搭載され、底板及び該底板上に立設された左,右の縦板からなるセンタフレームと、該センタフレームの左,右両側に位置し前,後方向に延びて配設された左,右のサイドフレームと、前記センタフレームと左,右のサイドフレームとの間にそれぞれ設けられ前記センタフレームに対し前記左,右のサイドフレームを接合する左,右のビームとを備えてなる建設機械の旋回フレームにおいて、
前記ビームは、左,右方向の一端側を前記センタフレームの縦板に溶接すると共に左,右方向の他端側を前記サイドフレームに溶接する構成とし、
前記センタフレームの縦板と前記ビームの左,右方向の一端側との間には、前記ビームの一端側を支持する補強板を左,右方向に延びて配置し、
前記センタフレームの縦板と前記補強板とを溶接すると共に、前記補強板と前記ビームの左,右方向の一端側とを溶接する構成としたことを特徴とする建設機械の旋回フレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−140854(P2011−140854A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3463(P2010−3463)
【出願日】平成22年1月9日(2010.1.9)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】