説明

建設機械の空調装置

【課題】吹出風量又は空調負荷などが変動しても、キャブ内の必要加圧量を確保してキャブ内への塵埃の侵入を阻止し、冷暖房性能の向上及び車体のヒートバランスの改善を図る。
【解決手段】内気循環/外気導入切替機能付き空調装置30がキャブ14内に設けられ、内気導入口34と外気導入口31は切替ダンパ37により開閉制御可能に構成されている。空調装置30は、切替ダンパ37を回動駆動する駆動モータ40と、駆動モータ40に指令信号を出力するコントローラ42とを備え、吹出風量又は空調負荷などの変化に応じて切替ダンパ37を最適な回動位置に変位させることにより、外気導入量を連続的又は多段階的に調整できるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建設機械の内気循環/外気導入切替機能付き空調装置に関するものであり、特に、外気導入量を連続的又は多段階的に調整できるようにした建設機械の空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、此種建設機械では上部旋回体上にキャブが搭載され、該キャブ内に空調装置が設置されている。そして、該空調装置は内気導入口(内気循環口)と外気導入口とを備え、内気導入口及び外気導入口は、切替ダンパにより開閉状態を交互に切り替えて内気又は外気を導入できるように構成されている。
【0003】
図5は、キャブ内に設置した内気循環/外気導入切替機能付き空調装置を示す。同図において、符号1は気密性の高い加圧構造タイプのキャブであり、該キャブ1内の略中央部にはオペーレータ用のシート2が設置され、キャブ1の一側面には、乗降口3を開閉するドア4が取り付けられている。
【0004】
又、シート2の後部には空調装置5が設置され、該空調装置5は、キャブ1外側の空気(外気)を取り入れる外気導入口6と、キャブ1の内側の空気(内気)を取り入れる内気導入口7と、該内気導入口7と外気導入口6を切替可能に開閉させる切替ダンパ(図示せず)と、内気導入口7又は外気導入口6から取り入れた空気を空調する空調ユニット本体(図示せず)とを具備している。
【0005】
前記外気導入口6はキャブ1外に開口するように形成されている。又、外気導入口6及び内気導入口7の内側にはそれぞれ外気フィルタ及び内気フィルタ(図示せず)が収納されている。そして、空調ユニット本体で空調された空気は、図示しないダクト及び吹出し口を介してキャブ1内に送り出して冷房又は暖房を行う。
【0006】
尚、前記空調装置は、内気導入口7又は外気導入口6から空気を導入するための送風ファンと、該送風ファンを駆動するファンモータと、前記送風ファンの下流側に設けられた暖房用のヒータ及びエバポレータと、冷媒用のコンデンサー並びにコンプレッサーなどから成る(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−199125公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の空調装置は、内気循環モードの動作時には外気導入口側の空気通路を遮断して、100%内気循環で動作させる。又、外気導入モードの動作時には、外気導入口側の空気通路を開放させるが、このとき、内気導入口側の空気通路の一部又は全部を遮断する。このように、外気をキャブ内に取り込むことで、空調装置の全体風量に対する外気の割合がほぼ一定となるように調整している。
【0009】
上記空調装置は、内気循環と外気導入の動作モードの2段階で切替るように構成されている。その結果、空調装置に導入される全体の風量に対する外気導入量の割合は略一定になる(但し、加圧量で若干変化する)。
【0010】
ここで、キャブ外の塵埃等の異物がキャブ内に侵入することを阻止するためには、キャブ内の気圧がキャブ外の気圧よりも所定値だけ高くなるように加圧する必要がある。この
場合、キャブ内の加圧量をある一定値に設定することにより、上記塵埃阻止効果を実用上充分得ることができる。
【0011】
又、キャブの気密性が一定である場合、キャブ内の加圧量を高くするためには、外気導入量を増加させる必要がある。しかし、外気導入量を必要以上増加させると、冷房性能若しくは暖房性能の低下、コンプレッサーの消費動力の増加、コンデンサーの放熱能力の増加を招き、車体のヒートバランスに悪影響を及ぼすこととなる。
【0012】
更に、外気導入量の割合が一定である場合に、空調装置の吹出風量が少なくなると、それに応じて外気導入量も減少する。そして、通常の空調装置において、暖房と冷房の動作モードを相互に切り替える場合は、キャブ内の吹き出し口も切り替える必要がある。そのため、同一の吹出風量を設定した場合でも、暖房時における吹出風量と冷房時における吹出風量とは互いに異なることが多い。
【0013】
而して、吹出風量の多い動作モード時に、キャブ内で必要な加圧量を確保すべく、外気導入量又は外気導入割合を所定値に設定すると、吹出風量の小さいモードに切り替えて動作させたときに、必要な加圧量が得られなくなる。その結果、キャブ外の塵埃等がキャブ内に侵入しやすくなるという問題が生ずる。
【0014】
又、吹出風量の少ないモードに動作させたときでも、必要な加圧量を確保できるように、外気導入量又は外気導入割合を所定値に設定すると、吹出風量の多いモードに切り替えて動作させたときに、キャブ内を適正状態に加圧するために必要な風量よりも多い外気が導入される。その結果、空調装置の冷房性能又は暖房性能が低下するという問題が生ずる。
【0015】
そこで、空調装置の吹出風量や冷房・暖房の動作モードが変更した場合でも、キャブ内の所要加圧量を確保してキャブ内への塵埃の侵入を防止し、且つ、冷房・暖房の性能を向上させると共に車体のヒートバランスを改善させるために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、キャブ内に内気循環/外気導入切替機能付き空調装置が設置され、且つ、該空調装置に設けた内気導入口及び外気導入口が切替ダンパの回動により開閉制御される建設機械の空調装置において、前記切替ダンパを回動させる駆動モータと、該駆動モータに指令信号を出力するコントローラとを備え、前記切替ダンパを任意の回動位置に開閉制御することにより、外気導入量を連続的又は多段階的に調整できるように構成して成る建設機械の空調装置を提供する。
【0017】
この構成によれば、コントローラからの指令信号により駆動モータが作動し、該駆動モータの回動量に応じて切替ダンパの回動位置が変化して、内気導入口及び外気導入口の開閉量が制御される。その結果、外気導入モード時に、外気導入量が連続的又は多段階的に変化して調整される。従って、例えば、空調装置の吹出風量が変化した場合でも、必要量の外気をキャブ内に取り込むことにより、キャブ内の気圧をキャブ外の気圧よりも所定値だけ高くなるように設定される。
【0018】
請求項2記載の発明は、上記外気導入量は上記空調装置の冷房動作モード又は暖房動作モードに応じて調整できるように構成して成る請求項1記載の建設機械の空調装置を提供する。
【0019】
この構成によれば、空調装置の冷房動作モード又は暖房動作モードに応じて外気導入量が調整されるので、冷房又は暖房の何れの動作モードで空調装置を運転した場合でも、冷房又は暖房に対応した最適な外気導入量が確保される。
【0020】
請求項3記載の発明は、上記外気導入量は上記空調装置の風量設定状態に応じて調整できるように構成して成る請求項1記載の建設機械の空調装置を提供する。
【0021】
この構成によれば、空調装置の風量設定状態に応じて外気導入量が調整されるので、前記風量を変更した場合でも最適な外気導入量が確保される。
【0022】
請求項4記載の発明は、上記外気導入量は上記キャブ外の空気温度及び/又は日射量に応じて調整できるように構成して成る請求項1記載の建設機械の空調装置を提供する。
【0023】
この構成によれば、キャブ外の空気温度及び/又は日射量に応じて外気導入量が調整されるので、キャブ外の空気温度及び/又は日射量が変化した場合でも、該空気温度及び/又は日射量の変化に相応した最適な外気導入量が確保される。
【0024】
請求項5記載の発明は、上記外気導入量は上記空調装置の設定温度と上記キャブ内の空気温度との差に応じて調整できるように構成して成る請求項1記載の建設機械の空調装置を提供する。
【0025】
この構成によれば、空調装置の設定温度とキャブ内の空気温度との差に応じて外気導入量が調整されるので、空調装置の設定温度又はキャブ内の空気温度が変化した場合でも、該温度の変化に対応した最適な外気導入量が確保される。
【0026】
請求項6記載の発明は、上記外気導入量は上記キャブの前窓若しくはドアの開閉状態に応じて調整できるように構成して成る請求項1記載の建設機械の空調装置を提供する。
【0027】
この構成によれば、キャブの前窓の開閉状態又はドアの開閉状態に応じて外気導入量が調整されるので、前窓又はドアの開閉状態が変化した場合でも、最適な外気導入量が常に確保される。
【0028】
請求項7記載の発明は、上記外気導入量は冷房動作モード時における冷媒の圧力状態に応じて調整できるように構成して成る請求項1記載の建設機械の空調装置を提供する。
【0029】
この構成によれば、空調装置が冷房モードで動作されている時に、冷媒の圧力状態に応じて外気導入量が調整されるので、冷媒の圧力状態が変化した場合でも、それに見合った外気導入量が確保される。
【0030】
請求項8記載の発明は、上記外気導入量はエンジン冷却水の温度に応じて調整できるように構成して成る請求項1記載の建設機械の空調装置を提供する。
【0031】
この構成によれば、エンジン冷却水の温度に応じて外気導入量が調整されるので、エンジン冷却水の温度変化が大きい場合でも、エンジン冷却水の温度変化に対応した最適な外気導入量が確保される。
【発明の効果】
【0032】
請求項1記載の発明は、外気導入モード時に、外気導入量を任意に調整することにより、吹出風量が変化した場合でもキャブ内の気圧をキャブ外の気圧よりも所定値だけ高くなるように設定できるので、キャブ外の塵埃等がキャブ内に侵入することを防止できる。
【0033】
又、キャブ内における所要加圧量に見合った外気導入量割合に調整できるので、冷房性能若しくは暖房性能の向上、コンプレッサーの消費動力の低減化及びコンデンサーの放熱能力の低減化が可能になり、車体のヒートバランスを改善させることができる。
【0034】
請求項2記載の発明は、空調装置が冷房又は暖房の何れの動作モードであっても最適な外気導入量を容易に確保できるので、吹出風量の多寡に応じてキャブ内の加圧量を適切に設定することができる。
【0035】
請求項3記載の発明は、空調装置の風量を設定変更しても、最適な外気導入量を容易に確保できるので、設定風量の変動に関係なくキャブ内の加圧量を適切に設定することができる。
【0036】
請求項4記載の発明は、キャブ外の空気温度及び/又は日射量が変化しても、最適な外気導入量を容易に確保できるので、キャブ外の空気温度及び/又は日射量の変動に関係なく、冷暖房の性能を一層向上させることができる。
【0037】
請求項5記載の発明は、空調装置の設定温度又はキャブ内の空気温度が変化しても、最適な外気導入量を容易に確保できるので、空調装置の設定温度又はキャブ内の空気温度が大きく変化する場合でも、車体のヒートバランスを良好に維持することができる。
【0038】
請求項6記載の発明は、キャブの前窓の開閉状態又はドアの開閉状態が変化しても、最適な外気導入量を容易に確保できるので、前窓又はドアの開閉状態が変化した場合でも、キャブ内の所要加圧量を安定して維持して、塵埃等のキャブ内への侵入を効果的に防止できる。
【0039】
請求項7記載の発明は、冷房動作モード時に冷媒の圧力状態が変化しても、最適な外気導入量を容易に確保できるので、冷媒の圧力状態が大きく変化した場合でも、コンプレッサーの消費動力の増加及びコンデンサーの放熱能力の増加を効率良く防止できる。
【0040】
請求項8記載の発明は、エンジン冷却水の温度変化が大きい場合でも、エンジン冷却水の温度変化に対応した最適な外気導入量を確保できるので、エンジン冷却水の温度が変化しても、従来例に比して冷暖房性能を大幅に向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、空調装置の吹出風量や冷房・暖房の動作モードが変化しても、キャブ内の所要加圧量を確保してキャブ内への塵埃の侵入を防止し、冷房・暖房性能を向上させて車体のヒートバランスを改善させるという目的を達成するため、キャブ内に内気循環/外気導入切替機能付き空調装置が設置され、且つ、該空調装置に設けた内気導入口及び外気導入口が切替ダンパの回動により開閉制御される建設機械の空調装置において、切替ダンパを回動させる駆動モータと、該駆動モータに指令信号を出力するコントローラとを備え、前記切替ダンパを任意の回動位置に開閉制御することにより、外気導入量を連続的又は多段階的に調整できるように構成したことにより実現した。
【実施例】
【0042】
以下、本発明の好適な一実施例を図面に従って説明する。図1は、本実施例に係る建設機械としての油圧ショベル10を示す側面図である。同図に示すように、下部走行体11上には旋回機構12を介して上部旋回体13が旋回自在に搭載され、該上部旋回体13の前方一側部には、高い気密性を有する加圧構造タイプのキャブ14が設けられている。そして、キャブ14の後方にはエンジンや油圧装置などの駆動装置15が搭載され、該駆動装置15はハウスカバー16により被蔽されている。
【0043】
また、上部旋回体13の前方中央部にはブーム17が俯仰可能に連結されている。更に、ブーム17の先端部にはアーム18が上下回動自在に枢着され、該アーム18の先端部にバケット19が上下回動自在に取り付けられている。
【0044】
前記キャブ14内のほぼ中央位置にはオペーレータ用のシート21が設置され、又、キャブ14の一側面には、乗降口22を開閉するドア23が取り付けられている。更に、シート21の後部には内気循環/外気導入切替機能付き空調装置30が設置されている。尚、空調装置30は従来例と略同一の構造を有し、送風ファンと、該送風ファンを駆動するファンモータと、暖房用のヒータと、冷媒用のコンデンサー及びコンプレッサーなどを備えている。
【0045】
前記空調装置30は、冷房時にはコンプレッサーで冷媒を圧縮した後、該冷媒をコンデンサーに圧送して冷風を発生させ、該冷風をキャブ14内に吹き出す。一方、暖房時には、ラジエータの温水(エンジン冷却水)をヒータに導入して温風を発生させ、該温風をキャブ14内に吹き出す。
【0046】
図2に示すように、空調装置30はケーシング29を有し、同図におけるケーシング29の右面部に外気導入口31が形成されている。外気導入口31の内側(下流側)には外気フィルタボックス32が設けられていると共に、該外気フィルタボックス32内に外気フィルタ33が収納されている。又、前記ケーシング29の下面部には内気導入口34が設けられている。更に、内気導入口34の内側には内気フィルタボックス35が設けられていると共に、該内気フィルタボックス35内に内気フィルタ36が収納されている。
【0047】
上記空調装置30において、外気導入口31から導入された外気A1、或いは、内気導入口から導入された内気A2は、空調ユニット本体27側に送られて空調された後に、図示しないダクト及び吹出し口から空調装置30の外側に送出され、これにより、キャブ14内の冷房又は暖房が行われる。
【0048】
前記外気A1又は内気A2は、ケーシング29内の空気通路を通過して上記空調ユニット本体側に送られる。そして、ケーシング29内における外気フィルタ33及び内気フィルタ36の下流側に形成した外気・内気合流部28には、内気循環モード及び/又は外気導入モードに切り替えて開閉制御するための切替ダンパ37が回動可能に設置され、該切替ダンパ37の回動軸38は、外気フィルタボックス32の内側端部に設けられている。
【0049】
図3は切替ダンパ37の駆動機構を示す。同図において、符号40は切替ダンパ37を駆動する駆動モータであり、該駆動モータ40の出力軸41は、リンク機構43を介して切替ダンパ37の回動軸38に連結されている。又、駆動モータ40にはコントローラ42が電気的に接続され、該コントローラ42は駆動モータ40に指令信号を出力して、該駆動モータ40の回動運転を制御する。
【0050】
そして、コントローラ42により駆動モータ40を回動制御することで、切替ダンパ37の回動位置が任意に設定変更され、これにより、外気導入口31における外気導入量を連続的又は多段階的に調整できるように構成されている。
【0051】
図2において、切替ダンパ37が回動軸38を中心として起立位置R、即ち、内気循環モード時の回動位置まで回動変位すると、外気導入口31側の外気導入路25を全て閉鎖し、且つ、内気導入口34の内気導入路26を全て開放させる。逆に、切替ダンパ37が倒回位置L、即ち、外気導入モード時の回動位置まで回動変位すると、外気導入口31側の外気導入路25を全て開放し、且つ、内気導入口34の内気導入路26を全て閉鎖させる。
【0052】
更に、倒回位置Lと起立位置Rとの間の回動範囲は、内気循環と外気導入が同時に行われる範囲である。この回動範囲では、切替ダンパ37が起立位置Rから倒回位置L側に向かって回動変位するに伴い、外気導入路28に対する開度が漸次増加するため、外気導入量(又は全体の空気導入量に対する外気導入量の割合)が連続的又は多段階的に増大する。
【0053】
図4に示すように、コントローラ42は入力部46、出力部47、演算部48及び記憶部49などから成り、入力部46には各種の検出手段が電気的に接続されている。検出手段から送信されたデータは入力部46に入力されたのち、演算部48に送られて前記データの結果に応じたモータ回動量(切替ダンパ37の開閉位置)が算出される。そして、該算出値は記憶部49に記録されると共に、データテーブル等に基づいて該算出値に適合した内容の指令信号が出力部47より駆動モータ40等に出力される。
【0054】
本実施例では、上記検出手段には動作モード検出センサ50、風量検出センサ51、キャブ外気温検出センサ52、日射量検出センサ53、空調温度検出センサ54、キャブ内気温検出センサ55、前窓検出センサ56、ドア検出センサ57、冷媒圧力検出センサ58及び水温検出センサ59が含まれている。
【0055】
動作モード検出センサ50は、空調装置30の動作モードが冷房又は暖房の孰れであるかを検出し、風量検出センサ51及び空調温度検出センサ54は、空調装置30に設定された風量及び空調温度をそれぞれ検出する。又、キャブ外気温検出センサ52及びキャブ内気温検出センサ55は、キャブ14外の空気温度及びキャブ14内の空気温度をそれぞれ検出し、日射量検出センサ53は日射量を検出する。
【0056】
更に、前窓検出センサ56及びドア検出センサ57は、キャブ14の前窓(図示せず)及びドア23の開放/閉鎖状態をそれぞれ検出する。又、冷媒圧力検出センサ58及び水温検出センサ59は、冷媒の圧力及びエンジン冷却水の温度をそれぞれ検出する。
【0057】
以上の如く本発明によると、コントローラ42からの指令信号により駆動モータ40が作動し、該駆動モータ40の回動量に応じて切替ダンパ37の回動位置が変化して、内気導入口34及び外気導入口31の開閉量が制御される。その結果、外気導入モード時に、外気導入量が連続的又は多段階的に変化して調整される。
【0058】
斯くして、外気導入モード時に、運転条件や環境状況などの変化に応じて外気導入量を適宜調整することにより、例えば、空調装置30の吹出風量が変化した場合でも、キャブ14内の気圧をキャブ14外の気圧よりも所定値だけ高くなるように設定できる。依って、キャブ14外の塵埃等がキャブ14内に侵入することを効率良く阻止できる。
【0059】
又、キャブ14内における所要加圧量に応ずるべく、外気導入量割合を最適値に調整できる。従って、冷房性能及び暖房性能が向上し、且つ、コンプレッサーの消費動力及びコンデンサーの放熱能力が低減して、車体のヒートバランスが大幅に改善する。
きる。従って、冷房性能及び暖房性能が向上し、且つ、コンプレッサーの消費動力及びコンデンサーの放熱能力が低減して、車体のヒートバランスが大幅に改善する。
【0060】
更に、空調装置30の冷房動作モード又は暖房動作モードに応じて外気導入量を調整できるので、冷房又は暖房の何れの動作モードで運転しても、それに対応した最適な外気導入量を確保できる。依って、空調装置30の吹出風量の変動に応じて、キャブ14内の加圧量を適切に設定変更することができる。
【0061】
更にまた、空調装置30の風量設定状態に応じて外気導入量を調整できるので、前記風量の設定を変更した場合でも、最適な外気導入量を確保できる。従って、前記風量の設定変動に関係なく、キャブ14内の加圧量を適正に設定することができる。
【0062】
本発明によれば、キャブ14外の空気温度及び/又は日射量に応じて外気導入量を調整できるので、キャブ14外の空気温度及び/又は日射量が変化した場合でも、最適な外気導入量を確保できる。その結果、キャブ14外の空気温度及び/又は日射量が変化しても、該空気温度及び/又は日射量の変動に関係なく、従来例に比べて冷暖房の性能を一層向上させることができる。
【0063】
又、本発明によれば、空調装置30の設定温度とキャブ14内の空気温度との差に応じて外気導入量を任意に調整できる。従って、空調装置30の設定温度又はキャブ14内の空気温度が変化しても、最適な外気導入量を容易に確保できる。その結果、空調装置30の設定温度又はキャブ14内の空気温度が大きく変化する場合でも、車体のヒートバランスを良好に維持できる。
【0064】
更に、キャブ14の前窓の開閉状態又はドア23の開閉状態に応じて外気導入量を調整できるので、ト゛アもしくは窓開放時の様に外気モート゛で運転しても意味が無い場合は外気導入量を最小にして冷暖房の効率を向上できる。
【0065】
更に又、空調装置30を冷房モードで動作している時に、冷媒の圧力状態に応じて外気導入量を調整できる。依って、冷媒の圧力状態が変化した場合でも、最適な外気導入量を確保できる。そのため、冷媒の圧力状態が大きく変化しても、コンプレッサーの消費動力の増加及びコンデンサーの放熱能力の増加を効率良く抑制できる。
【0066】
本実施例では、エンジン冷却水の温度に応じて外気導入量が調整されるので、エンジン冷却水の温度変化が大きい場合でも、エンジン冷却水の温度変化に適合した外気導入量が確保される。依って、エンジン冷却水の温度の変動が激しいときでも、従来に比べて冷暖房性能が大幅に向上する。
【0067】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施例を示し、油圧ショベルの側面図。
【図2】本発明に係る空調装置の切替ダンパの設置部分を示す断面図。
【図3】図2の切替ダンパの駆動機構を示す説明図。
【図4】本発明に係る空調装置のコントローラ及び検出手段の構成例を説明するブロック図。
【図5】従来の空調装置を示す側面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャブ内に内気循環/外気導入切替機能付き空調装置が設置され、且つ、該空調装置に設けた内気導入口及び外気導入口が切替ダンパの回動により開閉制御される建設機械の空調装置において、前記切替ダンパを回動させる駆動モータと、該駆動モータに指令信号を出力するコントローラとを備え、前記切替ダンパを任意の回動位置に開閉制御することにより、外気導入量を連続的又は多段階的に調整できるように構成したことを特徴とする建設機械の空調装置。
【請求項2】
上記外気導入量は上記空調装置の冷房動作モード又は暖房動作モードに応じて調整できるように構成したことを特徴とする請求項1記載の建設機械の空調装置。
【請求項3】
上記外気導入量は上記空調装置の風量設定状態に応じて調整できるように構成したことを特徴とする請求項1記載の建設機械の空調装置。
【請求項4】
上記外気導入量は上記キャブ外の空気温度及び/又は日射量に応じて調整できるように構成したことを特徴とする請求項1記載の建設機械の空調装置。
【請求項5】
上記外気導入量は上記空調装置の設定温度と上記キャブ内の空気温度との差に応じて調整できるように構成したことを特徴とする請求項1記載の建設機械の空調装置。
【請求項6】
上記外気導入量は上記キャブの前窓若しくはドアの開閉状態に応じて調整できるように構成したことを特徴とする請求項1記載の建設機械の空調装置。
【請求項7】
上記外気導入量は冷房動作モード時における冷媒の圧力状態に応じて調整できるように構成したことを特徴とする請求項1記載の建設機械の空調装置。
【請求項8】
上記外気導入量はエンジン冷却水の温度に応じて調整できるように構成したことを特徴とする請求項1記載の建設機械の空調装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate