説明

建設機械の走行制御装置

【課題】片走行時にも両走行時と同じ緩発進機能を確保する。
【解決手段】左右の走行モータ4,5を駆動源とする左右両側の走行装置によって前進、後進し、走行時に走行用のリモコン弁6,7の操作に対する走行モータ4,5の応答を遅らせて下部走行体を緩発進させる遅延処理を行う油圧ショベルの走行制御装置において、左右の走行モータ4,5が同時に同方向に駆動される両走行時と、両走行モータ4,5の一方のみが駆動される片走行時とで発進の速度の立ち上がりが同じとなるように、両走行時と片走行時とに応じて遅延処理特性を二種類のうちから選択するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油圧ショベル等のクローラ走行体を備えた建設機械の走行制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルを例にとって背景技術を説明する。
【0003】
油圧ショベルは、クローラ式の下部走行体上に上部旋回体が地面に対して鉛直となる軸のまわりに旋回自在に搭載され、この上部旋回体にブーム、アーム、バケットを備えた掘削アタッチメントが取付けられて構成される。
【0004】
下部走行体は左右のクローラ走行装置を備え、この両クローラ走行装置が、油圧ポンプを駆動源とする別々の走行モータ(油圧モータ)によって駆動される。
【0005】
この両走行モータは、上部旋回体に設けられた個別の操作手段(通常はレバー操作されるリモコン弁。以下、この例で説明する)の操作に基づくコントロールバルブの切換わり作動によって回転方向と速度が制御される。
【0006】
この油圧ショベルにおいては、上部旋回体の旋回によってリモコン弁の操作方向と下部走行体の進行方向が逆になる事態が生じる。
【0007】
すなわち、オペレータが前進操作したつもりが後進してしまう事態、または逆の事態である。
【0008】
この場合、通常走行時と同じ速度の立ち上がり(加速度)で発進させると、オペレータが誤操作に気づいて修正する余裕がないため好ましくない。
【0009】
この点の対策として出願人は、走行発進時に、リモコン弁の操作に対してポンプ吐出量、またはコントロールバルブの切換えに応答遅れを持たせることにより、走行モータの速度の立ち上がりを緩やかにしてゆっくりと発進させる緩発進方式を提案した(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−319940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記公知技術では、両走行モータが同時に同方向に駆動される両走行時(直進時)と、一方の走行モータのみが駆動される片走行時(ピボットターン時)とに関係なく、走行操作があれば同じ特性で緩発進させる構成をとっている。
【0012】
ところが、片走行時には、直進時と比べて走行負荷が格段に大きくて必要な走行トルクも大きくなるため、狙いとする応答遅れからさらに遅れた後で動き出す。
【0013】
つまり、緩発進のための遅れ時間を超える発進遅れの後、急発進することになり、緩発進制御が生かせず、誤操作を防止する(誤操作をオペレータに気づかせて修正操作させる)という本来の目的が達成できない。
【0014】
そこで本発明は、片走行時にも両走行時と同じ緩発進機能を確保することができる建設機械の走行制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決する手段として、本発明においては、左右の走行モータを駆動源とする左右両側の走行装置によって前進、後進する走行体と、上記両走行モータの作動を個別に指令する左右の走行操作手段と、上記左右の走行操作手段の操作を検出する操作検出手段と、この操作検出手段からの信号に基づいて走行時に上記走行操作手段の操作に対する走行モータの応答を遅らせて走行体を緩発進させる遅延処理を行う制御手段とを備えた建設機械の走行制御装置において、上記制御手段は、上記左右の走行モータが同時に同方向に駆動される両走行時と、一方の走行モータのみが駆動される片走行時とで発進の速度の立ち上がりが同じとなるように、両走行時と片走行時とに応じて上記遅延処理の特性を異ならせるように構成したものである。
【0016】
このように、片走行時には両走行時よりも走行負荷が大きくて速度の立ち上がりが遅くなる点に着目し、この片走行時の発進速度の立ち上がり(速度勾配)が両走行時と同じとなるように遅延処理特性を異ならせる構成としたから、片走行時にも両走行時と同じ緩発進機能を確保し、誤操作を防止することができる。
【0017】
本発明においては、上記左右の走行モータとして油圧ポンプを油圧源とする油圧モータ、上記操作手段としてパイロットポンプを圧源とするリモコン弁をそれぞれ用い、このリモコン弁から送られるパイロット圧により油圧パイロット式のコントロールバルブを操作して上記走行モータの回転方向と速度を制御するように構成し、上記制御手段は、両走行時と片走行時とに応じて、上記リモコン弁の操作に対する上記パイロット圧の遅延処理の特性を異ならせるように構成するのが望ましい(請求項2〜4)。
【0018】
このように、コントロールバルブのパイロット圧制御によって両走行時と片走行時の遅延処理特性を異ならせるパイロット圧制御方式をとれば、低圧制御であるため制御が容易で、しかも制御の応答性が良いものとなる。
【0019】
この場合、上記パイロットポンプとリモコン弁とを結ぶパイロットポンプ回路に、リモコン弁に送られるパイロット一次圧を制御する電磁比例減圧弁を設け、上記制御手段は、両走行時と片走行時とに応じて、上記リモコン弁の操作に対する上記パイロット一次圧の遅延処理特性を異ならせるように構成してもよいし(請求項3)、上記リモコン弁とコントロールバルブとを結ぶパイロット回路に、上記コントロールバルブに送られるパイロット圧を制御する電磁比例減圧弁を設け、上記制御手段は、両走行時と片走行時とに応じて、上記リモコン弁の操作に対するパイロット圧の遅延処理特性を異ならせるように構成してもよい(請求項4)。
【0020】
前者のパイロット一次圧を制御する構成によれば、一つの電磁比例減圧弁で左右のコントロールバルブを制御できるため、コストが安くてすむ。
【0021】
あるいは、他の制御方式として、上記油圧ポンプとして、レギュレータによって吐出量が制御される可変容量ポンプを用い、上記制御手段は、両走行時と片走行時とに応じて、上記リモコン弁の操作に対するポンプ吐出量の遅延処理特性を異ならせるように構成してもよいし(請求項5)、上記油圧ポンプをエンジンによって駆動するように構成し、上記制御手段は、両走行時と片走行時とに応じて、上記リモコン弁の操作に対するエンジン回転数の遅延処理特性を異ならせるように構成してもよい(請求項6)。
【0022】
この構成によれば、レギュレータまたはエンジンのガバナという既存設備を制御すればよく、緩発進のために追加すべき制御設備が不要となるため、コストが安くてすむ。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、片走行時にも両走行時と同じ緩発進機能を確保して誤操作を防止し、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態を示す回路構成図である。
【図2】第1実施形態におけるパイロット圧センサの出力と電磁比例減圧弁の指令電流の関係を示す図である。
【図3】同実施形態による制御結果としての時間の経過に対する走行速度の変化状況を示す図である。
【図4】同実施形態の作用を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態を示す回路構成図である。
【図6】本発明の第3実施形態を示す回路構成図である。
【図7】本発明の第4実施形態を示す回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施形態は油圧ショベルを適用対象としている。
【0026】
図1はこの油圧ショベルの走行回路を示し、走行駆動系を実線で、パイロット系を破線で、制御系を斜線付きの実線でそれぞれ示す。
【0027】
この回路においては、エンジン1によって走行油圧源としてのメインの油圧ポンプ2とパイロット圧源としてのパイロットポンプ3が駆動され、油圧ポンプ2から吐出される圧油によって左右の走行モータ(油圧モータ)4,5が駆動される。
【0028】
油圧ポンプ2と両走行モータ4,5との間には、操作手段としての左、右両走行リモコン弁6,7によって個別に操作される油圧パイロット式の左走行用及び右走行用のコントロールバルブ8,9が設けられ、このコントロールバルブ8,9によって両走行モータ4,5の回転方向と回転速度、つまり下部走行体の前進/後進の切換えと走行速度が制御される。図1中、Tはタンクである。
【0029】
油圧ポンプ2は、油圧ショベルの標準仕様として、レギュレータ10による傾転調節作用によって吐出量が変化する可変容量ポンプとして構成され、種々のセンサ信号に基づき制御手段としてのコントローラ11によって吐出量が制御される。
【0030】
但し、第1実施形態ではこのポンプ制御は走行緩発進と無関係のため、詳細な説明は省略する。
【0031】
パイロットポンプ3と左右のリモコン弁6,7は、パイロットポンプ3からパイロット油が吐出されるパイロットポンプ回路12と、吐出されたパイロットポンプ油を両リモコン弁6,7に分配するパイロット一次圧回路13,14とによって接続され、パイロットポンプ3から送られるパイロット一次圧をリモコン弁操作量に応じて減圧し、その二次圧(パイロット圧)をパイロット回路15,16によってコントロールバルブ8,9のパイロットポートに送るように構成されている。
【0032】
これにより、リモコン弁6,7の操作に応じて両コントロールバルブ8,9が切換制御され、両走行モータ4,5の作動(前進/後進とその速度)が制御される。
【0033】
第1実施形態においては、パイロットポンプ回路12に電磁比例減圧弁(以下、単に比例弁という)17が設けられるとともに、左右のリモコン弁6,7からのパイロット圧を検出する操作検出手段としてのパイロット圧センサ18,19が設けられ、この両センサ18,19からの出力に基づくコントローラ11からの制御信号により比例弁17の二次圧、つまりリモコン弁6,7に送られるパイロット一次圧が制御されるように構成されている。
【0034】
図2は、リモコン弁6,7がフルレバー操作されたときのセンサ出力と、これに基づいてコントローラ11から比例弁17に送られる電流の関係を示す。
【0035】
また、図3は、その結果としての時間の経過に対する走行速度の立ち上がり特性を示す。
【0036】
図2,3中、破線は遅延処理を加えない場合を示し、図2中、実線は両走行時、太線は片走行時の比例弁電流をそれぞれ示す。
【0037】
遅延処理を加えない場合は、図2の破線で示すようにリモコン弁6,7が操作(走行操作)されると比例弁電流が殆ど遅れ無しで立ち上がる。
【0038】
その結果、図3の破線で示すように、フルレバー操作されてすぐ走行速度が急激に立ち上がる。
【0039】
これに対し、実施形態によると、走行時に、図2の実線及び太線で示すようにセンサ出力に対して比例弁電流を緩やかに増加させる遅延処理が行われる。
【0040】
この結果、図3の実線で示すようにフルレバー操作時点から緩やかな速度勾配αをもって走行速度が立ち上がる。すなわち、ゆっくりと発進する「走行緩発進」が行われる。
【0041】
これにより、たとえば上部旋回体の向きが反転した状態でオペレータが前進(または後進)のつもりで後進(または前進)操作した場合でも、わずかな移動距離で誤操作に気づき、すぐに修正操作(走行停止や後進操作)を行うことができる。
【0042】
この場合、左右両走行モータ4,5の一方のみが駆動される片走行時(ピボットターン時)には、走行負荷が両走行時よりも格段に大きくて必要な走行トルクも大きくなるため、狙いとする応答遅れからさらに遅れた後で動き出す。
【0043】
つまり、緩発進のための遅れ時間を超える発進遅れの後、急発進することになり、緩発進機能が生かせなくなる。
【0044】
そこでこの実施形態では、両走行時と片走行時とで遅延処理特性を異ならせている。
【0045】
すなわち、コントローラ11に、図2実線で示すように比例弁電流の立ち上がりが緩やかな両走行時用の遅延処理特性Iと、片走行時の発進遅れ分をカバーするために遅延処理特性(I)よりも比例弁電流の立ち上がりを急とする片走行時用の遅延処理特性(II)とを予め設定・記憶させておき、両走行時には遅延処理特性Iを、片走行時には遅延処理特性IIをそれぞれ選択し実行することにより、片走行時にも両走行時と同じ、図3の速度勾配αをもった緩発進機能が得られるように構成している。
【0046】
この点のコントローラ11の作用を図4のフローチャートを用いて説明する。
【0047】
制御開始後、ステップS1で、パイロット圧センサ18,19からの出力に基づいて左または右走行操作されたか否かが判断され、NO(無操作)の場合はステップS1に戻り、YES(操作有り)の場合にステップS2に移行する。
【0048】
このステップS2で左右の走行パイロット圧の差(差圧)ΔPが求められ、続くステップS3でこの差圧ΔPが設定値よりも小さいか否か(両走行か片走行か)が判断される。
【0049】
ここでYES(両走行)と判断されると、ステップS4で遅延処理特性(I)が選択・実行されてステップS1に戻る。
【0050】
一方、NO(片走行)と判断されると、ステップS5で遅延処理特性(II)が選択・実行されてステップS1に戻る。
【0051】
このように、両走行時と片走行時とで遅延処理特性を異ならせることにより、発進速度の立ち上がりを同じとして同じ緩発進機能を確保し、誤操作を防止することができる。
【0052】
なお、両走行時及び片走行時ともフルレバー操作されることを前提とすれば、両走行時か片走行時かを判断する手法として、上記のようにパイロット差圧ΔPを求めて設定値と比較する処理に代えて、両パイロット圧センサ18,19の両方から出力があったか、片方のみから出力があったかだけによって両走行時か片走行時かを判断してもよい。
【0053】
第2実施形態(図5参照)
以下の各実施形態では第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0054】
第2実施形態では、左右のパイロット回路15,16にそれぞれ電磁比例減圧弁(比例弁)20,21を設け、この両比例弁20,21をコントローラ11によって個別に制御する構成をとっている。
【0055】
すなわち、リモコン弁6,7からコントロールバルブ8,9に送られるパイロット圧を両比例弁20,21によって制御し、両走行時と片走行時とに応じて、リモコン弁の操作に対するパイロット圧の遅延処理特性を特性(I)(II)のうちから選択するように構成している。
【0056】
具体的には、両走行時には両比例弁20,21が同時に図2の遅延処理特性(I)に従って制御され、片走行時には走行操作された側の比例弁20または21のみが遅延処理特性(II)に従って制御される。
【0057】
この構成によっても、第1実施形態と同様に、片走行時にも両走行時と同じ緩発進機能を確保するという基本的効果が得られる。
【0058】
但し、第1実施形態によると、一つの比例弁17で左右のコントロールバルブ8,9を制御できるため、第2実施形態と比較してコストが安くてすむという利点がある。
【0059】
第3実施形態(図6参照)
第3実施形態では、センサ出力と油圧ポンプ2の吐出量の関係について両走行時と片走行時とで異なる特性で遅延させる構成、すなわち、センサ出力に対するポンプ吐出量の立ち上がりを緩やかにし、かつ、この立ち上がりの特性を両走行時と片走行時とで異ならせる構成をとっている。
【0060】
具体的には、コントローラ11によってレギュレータ10を制御し、図2の縦軸をポンプ吐出量とした場合に、両走行時にはポンプ吐出量を図2の実線で示す緩やかな立ち上がりで増加させるのに対し、片走行時には図2の太線で示すように両走行時よりも急な立ち上がりで増加させるように構成している。
【0061】
第4実施形態(図7参照)
第4実施形態では、センサ出力とエンジン回転数の関係について両走行時と片走行時とで異なる特性で遅延させる構成、すなわち、センサ出力に対するエンジン回転数の立ち上がりを緩やかにし、かつ、この立ち上がりの特性を両走行時と片走行時とで異ならせる構成をとっている。
【0062】
具体的には、コントローラ11により、エンジン回転数を制御するガバナ制御部22を制御し、図2の縦軸をエンジン回転数とした場合に、両走行時にはエンジン回転数を図2の実線で示す緩やかな立ち上がりで増加させるのに対し、片走行時には図2の太線で示すように両走行時よりも急な立ち上がりで増加させるように構成している。
【0063】
この第3及び第4両実施形態によっても第1実施形態と基本的に同じ効果を得ることができる。
【0064】
また、第3及び第4両実施形態によると、既存設備(レギュレータ10またはガバナ制御部22)を制御する構成であって、緩発進のために追加すべき制御設備が不要となるため、コストが安くてすむ。
【0065】
ところで、他の制御方式として、コントロールバルブ8,9と走行モータ4,5との間に流量制御弁を設け、走行モータ4,5に供給される流量について遅延処理を行う構成をとってもよい。
【0066】
また、緩発進機能が不要な状況では同機能を解除できるように緩発進解除スイッチを設けてもよい。
【0067】
一方、本発明はエンジン1で油圧ポンプ2を駆動して走行モータ(油圧モータ)4,5を駆動する全油圧式のショベルに限らず、エンジン動力とバッテリ動力を併用するハイブリッドショベルや、エンジン駆動の発電機や商用電源からの電力、あるいはバッテリ電力によって走行モータ(電動機)を駆動する電動ショベルやバッテリショベルにも適用することができる。
【0068】
また、ショベルに限らず、ショベルを母体として構成される解体機や破砕機等、他の建設機械にも適用することができる。
【0069】
なお、走行モータとして電動機を用いる場合、たとえばセンサ出力に対して電動機電流を図2の遅延処理特性(I)(II)と同様に制御すればよい。
【符号の説明】
【0070】
1 エンジン
2 油圧ポンプ
3 パイロットポンプ
4 左右両走行モータ
6,7 走行操作手段としてのリモコン弁
8,9 コントロールバルブ
10 レギュレータ
11 制御手段としてのコントローラ
12 パイロットポンプ回路
15,16 パイロット回路
17 電磁比例減圧弁
18,19 操作検出手段としてのパイロット圧センサ
20,21 電磁比例減圧弁
22 エンジン回転数を制御するためのガバナ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の走行モータを駆動源とする左右両側の走行装置によって前進、後進する走行体と、上記両走行モータの作動を個別に指令する左右の走行操作手段と、上記左右の走行操作手段の操作を検出する操作検出手段と、この操作検出手段からの信号に基づいて走行時に上記走行操作手段の操作に対する走行モータの応答を遅らせて走行体を緩発進させる遅延処理を行う制御手段とを備えた建設機械の走行制御装置において、上記制御手段は、上記左右の油圧モータが同時に同方向に駆動される両走行時と、一方の油圧モータのみが駆動される片走行時とで発進の速度の立ち上がりが同じとなるように、両走行時と片走行時とに応じて上記遅延処理の特性を異ならせるように構成したことを特徴とする建設機械の走行制御装置。
【請求項2】
上記左右の走行モータとして油圧ポンプを油圧源とする油圧モータ、上記操作手段としてパイロットポンプを圧源とするリモコン弁をそれぞれ用い、このリモコン弁から送られるパイロット圧により油圧パイロット式のコントロールバルブを操作して上記走行モータの回転方向と速度を制御するように構成し、上記制御手段は、両走行時と片走行時とに応じて、上記リモコン弁の操作に対する上記パイロット圧の遅延処理の特性を異ならせるように構成したことを特徴とする請求項1記載の建設機械の走行制御装置。
【請求項3】
上記パイロットポンプとリモコン弁とを結ぶパイロットポンプ回路に、リモコン弁に送られるパイロット一次圧を制御する電磁比例減圧弁を設け、上記制御手段は、両走行時と片走行時とに応じて、上記リモコン弁の操作に対する上記パイロット一次圧の遅延処理特性を異ならせるように構成したことを特徴とする請求項2記載の建設機械の走行制御装置。
【請求項4】
上記リモコン弁とコントロールバルブとを結ぶパイロット回路に、上記コントロールバルブに送られるパイロット圧を制御する電磁比例減圧弁を設け、上記制御手段は、両走行時と片走行時とに応じて、上記リモコン弁の操作に対するパイロット圧の遅延処理特性を異ならせるように構成したことを特徴とする請求項2記載の建設機械の走行制御装置。
【請求項5】
上記油圧ポンプとして、レギュレータによって吐出量が制御される可変容量ポンプを用い、上記制御手段は、両走行時と片走行時とに応じて、上記リモコン弁の操作に対するポンプ吐出量の遅延処理特性を異ならせるように構成したことを特徴とする請求項1記載の建設機械の走行制御装置。
【請求項6】
上記油圧ポンプをエンジンによって駆動するように構成し、上記制御手段は、両走行時と片走行時とに応じて、上記リモコン弁の操作に対するエンジン回転数の遅延処理特性を異ならせるように構成したことを特徴とする請求項1記載の建設機械の走行制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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