説明

建設装備用運転室

【課題】運転室に取り付けられたスライドドアの全開状態又は全閉状態で運転室に伝わる衝撃又は振動により生じるスライドドアの振れや遊動を抑える。
【解決手段】建設装備用運転室において、出入口が開設される側壁部材と、前記側壁部材の上部、中央及び下部にそれぞれ備えられる上部レール102、中央レール103及び下部レール104と、前記上部レール102、中央レール103及び下部レール104に係合される上部ローラ、中央ローラ及び下部ローラによりスライド移動されることで出入口を開閉させるスライドドア108と、上部ローラ及び下部ローラに対応する形状であって、上部レール102及び下部レール104の端部に設けられ、スライドドア108の全開時又は全閉時、上部ローラ及び下部ローラを結合溝に収容しかつ支持する上部及び下部ローラホルダとを含める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転室に摺動自在に装着されたスライドドアの全閉又は全開状態において、運転室からの衝撃又は振動などによるスライドドアの振れや遊動を抑止すると共に、ロック装置及びロッキングホルダの耐久性と衝撃吸収性能が向上された建設装備用運転室に関する。
【0002】
さらに詳しくは、スライドドアのローラを支持するガイドレールの両端部に設けられたローラホルダ(roller holder)によりスライドドアが全閉状態又は全開状態にされた場合、結合溝に収められるローラを支持することにより、運転室に伝わる衝撃又は振動によるスライドドアの振れや遊動が抑止でき、且つ、ドアロック装置内にロッキング雌ストライカのハウジングが挿入できるようにすることによって、ロック過程で生じられる衝撃及び騒音が吸収できるようにした建設装備用運転室に関するものである。
【0003】
一般に、従来油圧式掘削機などのような建設装備は、運転室と、バケットを備えたブーム作業機などとを上部旋回台に構成して、厖大な地域に対する土木工事や建設工事などに極めて有効に多用されてきた。
【背景技術】
【0004】
しかしながら、都市内における作業を初めとして狭小でありかつ限られた作業環境では、上部旋回台の旋回過程において、装備前方に取り付けられたバケットなどの作業機はさることながら、装備後方に設置のエンジン室が周辺障害物などに衝突するか、又は開閉過程において、運転室のドアが外部と衝突するといった問題が生じた。
【0005】
こうした問題点を解決するために、小旋回装備は運転室及び旋回台の回転半径を小さく保持しつつ作業を行うように開発されてきたものの、運転室の構造的側面で内部空間を十分に確保することができるように運転室の外側面及びドアが外向きに湾曲又は屈曲されたアーク状からなるように提案された。
【0006】
一般に、小旋回装備は、従来のものと同様に上部フレームの下部には走行体が設けられ、且つ、前記上部フレームの上部には運転室内に設置の操作レーバを介して作動されるバケットとブームなどを含めた作業装置が設けられるが、ドアが運転室の外側壁上で一定半径をなしながらスライド式に移動して開閉するように取り付けられることが普通である。
【0007】
より詳しくは、図1ないし図3Cに示されたように、従来、小旋回装備運転室において、ドア3が外側壁2a上でスライド式に移動するように構成されており、外側壁2aに形成の複数のレール4、5、6と、ドア3に装着され、レール4、5、6のそれぞれに常時連結され、ドア3が、出入口2bを閉じる閉鎖位置と、出入口2bを開く開放位置との間を摺動する際、前記ドア3を支持する複数のローラ7、8、9と、それぞれのストライカセットは、雌ストライカ10、12と、雄ストライカ11、13とを含めて、各ストライカセットの何れかの一つはドア3に設けられ、他の一つは外側壁2cに設けられることにより、ドア3が閉鎖位置にある際には、少なくとも一対が係合されることになり、ドア3が全開位置にある際には、少なくとも一対が係合されるように設けられる複数組のストライカを含めて、複数組のストライカのうちに少なくとも一対は、ドア3が全開位置にある時にドア3の前面端で互いに係合するように設けられ、且つ、少なくとも他の一対は、ドア3が全開位置にある時にドア3の後面端で互いに係合するように設けられたことを特徴とする(特許文献1)。
【0008】
特に、図3Cに示されたように、ドア3に取り付けられた中央ローラ9は、スライドドア3の開閉時、X軸方向に転動し、スライドドア3の荷重を支持する転がりローラ9aと、スライドドア3の開閉時、Y軸方向に転動し、中央レール6からスライドドア3の離脱を防止するガイドローラ9bとからなる。
【0009】
前述したスライドドア3の全開状態又は全閉状態で作業を行う場合、運転室2に伝わる衝撃や振動によりスライドドア3が左右方向に振れるか、又は上下方向への遊動が生じる。このことから、オペレータが作業に集中することが難しく、作業性が劣り、セキュリティー上の問題が生じ得る。
【0010】
前述した問題点に鑑みて、ドア3を完全に開き状態(図3B参照)又は閉め状態(図3A参照)にして作業を行う場合、運転室2に伝わる振動などによりスライドドア3の振れを抑止しながら、着脱可能に支持することができるように雌雄からなる複数のストライカ10、11、12、13、14、15をドア3と運転室2にそれぞれ設けて構成した(図1及び図2参照)。
【0011】
また、図1に示されたように、スライドドア3を開き状態にロックしたり、又はドア3を閉め状態にロックしたりすることが可能となるようにロッキングストライカ16、17をスライドドア3と運転室2とにそれぞれ設けた。ここで、ロッキングストライカ16は、出入口2bに近接する箇所に設けられる一方、ロッキングストライカ17は、出入口2bから遠くなる箇所に設けられる。
【0012】
従来技術による建設装備用運転室の構造は、運転室2に対してスライドドア3の全開状態又は全閉状態を保持することができるように複数の雌雄セットからなるストライカ10、11、12、13、14、15(図1及び図2参照)と、ロッキングストライカ16、17(図1参照)とを運転室2とスライドドア3の外側に露出させた上で設けることによって、衝撃による騒音がかなり大きく、しかも、部品点数の増加によるコスト増を招くと共に、これらを取り付けるための作業時間及び作業工数の増加により作業能率が低下するという問題があった。
【0013】
また、従来の建設装備用運転室のドアロック装置は、一対の雌雄構造からなるものであって、ロッキング雄ストライカ18aとロッキング雌ストライカ18bとを備えており、前記ロッキング雄ストライカ18aは、側壁部材2c上でローダ22のヘッド部22aがロッキングホルダ20の長手方向の外側に突き出されるように取り付けられる一方、前記ロッキング雌ストライカ18bは、前記ローダ22がハウジング19の内側に嵌合されると、ハウジング19の入口で固定片21の係止部が放射状に縮まるか、又は拡がることになる。
【0014】
即ち、ドア3のロック過程において、前記ローダ22のヘッド部22aは、ハウジング19及び固定片21の入口を通り、固定片の底部に突き当たることになり、この際、前記固定片21の係止部が前記ヘッド部22aの後方位置でヘッド部の直径以下となるように縮まることによって、前記ローダ22のヘッド部22aがハウジング19及び固定片21の内側に固定される。
【0015】
反対に、ドア3のロック状態を解除する場合には、前記固定片21の係止部が前記ヘッド部22aの直径以上となるように拡げることによって、ローダ22のヘッド部22aがハウジング19及び固定片21の外側へ離脱することになる。
【0016】
この過程で、前記ドアロッキングホルダ20は、前記ローダ22のヘッド部22aが固定片21の底部に突き当たる時、ハウジング19の先端部19aと直接衝突することになり、それにより面接触をなすことになる。
【0017】
したがって、従来のドアロック装置は、長期に亘ってドアのロック及び解除を繰り返す場合、ハウジングと当接するドアロッキングホルダの先端面一側にかなりの偏磨耗現象を引き起こし、その耐久性が減縮されてしまう問題点を抱えている。
【0018】
また、ロック過程で、ローダのヘッド部が固定片の底部に突き当たる際、その衝撃により騒音や振動が多く生じ、特に、ロッキングホルダの先端部が偏磨耗される際にはハウジング及びロッキングホルダの接触部位に離隔や隙間が生じることにより、ドアのロック状態が不安定とされるばかりでなく、騒音及び振動吸収効率が劣るという問題もがあった。
【0019】
【特許文献1】米国特許第5577795号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、スライドドアの開状態又は閉状態において、運転室に伝わる振動などによるスライドドアの振れ又は遊動を抑止することができ、しかも作業時間及び作業工程数を向上させることが可能となるようにした建設装備用運転室を提供することにある。
【0021】
また、本発明の他の目的は、ロック過程において、ロッキングストライカが衝突する際、ロッキングホルダが少なくともロッキング雌ストライカのハウジングの一部を直接収容する構造として組み合わせられるようにすることによって、ドア及び運転室に加わる衝撃及び振動を高効率に減縮させることができる建設装備用運転室を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前述した本発明の目的は、建設装備用運転室において、出入口が開設される側壁部材と、側壁部材の上部、中央及び下部にそれぞれ備えられる上部レール、中央レール及び下部レールと、上部レール、中央レール及び下部レールに係合される上部ローラ、中央ローラ及び下部ローラによりスライド移動されることで出入口を開閉せしめるスライドドアと、上部ローラ及び下部ローラに対応する形状であって、上部レール及び下部レールの端部に設けられ、スライドドアが完全に開放された場合または閉鎖された場合、上部ローラ及び下部ローラを結合溝に収容しかつ支持する上部及び下部ローラホルダとを含めることを特徴とする建設装備用運転室を提供することによって達成される。
【0023】
また、前述した本発明の目的は、建設装備用運転室において、出入口が開設される側壁部材と、側壁部材の上部、中央及び下部にそれぞれ備えられる上部レール、中央レール及び下部レールと、上部レール、中央レール及び下部レールに係合される上部ローラ、中央ローラ及び下部ローラによりスライド移動されることで出入口を開閉させるスライドドアと、上部ローラ、中央ローラ及び下部ローラに対応する形状であって、上部レール、中央レール及び下部レールの端部に設けられ、スライドドアが完全に開放された場合または閉鎖された場合、上部ローラ、中央ローラ及び下部ローラを結合溝に収容しかつ支持する上部、中央及び下部のローラホルダとを含めることを特徴とする建設装備用運転室を提供することによって達成される。
【0024】
望ましい実施例によれば、前述した上部、中央及び下部ローラホルダのうち、少なくともいずれかの一つは弾性部材からなる。
【0025】
ここで、前述した弾性部材は、ゴム材からなる。
【0026】
また、前述した中央及び下部ローラホルダは転がりローラを収容する第1ローラホルダと、ガイドローラを収容する第2ローラホルダとに分割形成される。
【0027】
また、前述した上部レール、中央レール及び下部レールの端部に設けられ、スライドドアの全開時又は全閉時、上部ローラ、中央ローラ及び下部ローラが回転可能に取り付けられたブラケットを圧着溝に収容しかつ支持する上部、中央及び下部ブラケットホルダをさらに含める。
【0028】
本発明のさらに他の特徴は、建設装備用運転室において、出入口が開設される側壁部材と、前記側壁部材の上部、中央及び下部にそれぞれ備えられる上部レール、中央レール及び下部レールと、前記上部レール、中央レール及び下部レールに係合される上部ローラ、中央ローラ及び下部ローラによりスライド移動されることで出入口を開閉させるスライドドアと、前記上部ローラ及び下部ローラに対応する形状であって、上部レール及び下部レールの端部に取り付けられ、スライドドアの全開時又は全閉時、上部ローラ及び下部ローラを結合溝に収容しかつ支持する上部及び下部ローラホルダと、前記スライドドアをロック又は解除せしめるようにロッキング雌ストライカとロッキング雄ストライカとが一対で係合され、ドアの全開時に前記一対のロッキングストライカがドアの一側でロック又は解除されるロック装置と、前記ロッキング雄ストライカに相応してローダの外側に設けられたロッキングホルダとを含めてなされる建設装備用運転室を提供することによって達成される。
【0029】
本発明の望ましい実施例において、前記ロック装置は、ドアの全開時に少なくとも一対がドアの上部や中央及び下部にそれぞれ設けられ、前記それぞれのストライカの何れかの一つは前記ドアに設けられ、他の一つは前記側壁部材に設けられ、前記スライドドアを選択的にロック又は解除させる複数のロッキングストライカと、内側に折り曲がった凹溝部を備え、前記それぞれのロッキング雄ストライカに相応してローダの外側に設けられ、ドアロック時、前記ロッキング雌ストライカのハウジングの外側面に組み合わせられるロッキングホルダとを含めて構成されることを特徴とする。
【0030】
また、前記一対のロッキングストライカは、ドアの全開時、前記出入口から遠くなる位置のドアの上部や下部及び中央一側に複数組のロッキングストライカにより係合されて構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
以上述べたように、本発明による建設装備用運転室は次のような効果を奏する。先ず、運転室のスライドドアの開き状態又は閉め状態で運転室から伝わる衝撃又は振動によるスライドドアの振れや遊動を抑止することから、ドアの振れや振動を抑えることができ、しかも作業時間及び作業工程数を少なくし、製造コストを削減することが可能となる。
【0032】
また、運転室のドアロック過程で、ロッキングストライカが衝突する際、ロッキングホルダが少なくともロッキング雌ストライカのハウジングの一部を直接収容する構造として組み合わせられることから、ドア及び運転室に加わる衝撃及び騒音が高効率に吸収及び低減されるなど、その効果が極めて優れている。
【0033】
以下、本発明の望ましい実施例を添付図面に基づいて説明するが、これは本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が発明を容易に実施することができる程度内にて詳しく説明するためのものであって、これにより本発明の技術的思想及び範疇に限定されることを意味するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図4ないし図6に示されたように、本発明による建設装備用運転室は、建設装備用運転室において、オペレータの出入する出入口100が開設された側壁部材101と、側壁部材101の上部、中央及び下部にそれぞれ形成の上部レール102、中央レール103、下部レール104と、上部レール102にガイドローラ111が係合された上部ローラ105と、中央レール103及び下部レール104にそれぞれの転がりローラ112、113が係合された中央ローラ106及び下部ローラ107によりスライド移動されることで、出入口100を開閉せしめるスライドドア108と、上部ローラ105に対応する形状であって、上部レール102の端部に設けられ、スライドドア108の全開時又は全閉時、上部ローラ105のガイドローラ111を結合溝116に収容しかつ支持するゴム材の上部ローラホルダ109と、下部ローラ107に対応する形状であって、下部レール104の端部に設けられ、スライドドア108の全開時又は全閉時、下部ローラ107の転がりローラ113とガイドローラ113aを結合溝117、118に収容しかつ支持するゴム材の下部ローラホルダ110と、中央ローラ106に対応する形状を保ちながら、中央レール103の端部に設けられ、スライドドア108の全開時又は全閉時、中央ローラ106の転がりローラ112とガイドローラ112aを結合溝119、120に収容しかつ支持するゴム材の中央ローラホルダ115とを含める。
【0035】
この際、前述した中央ローラ106はスライドドア108の開閉時、X軸方向に転動され、スライドドア108の荷重を支持する転がりローラ112と、スライドドア108の開閉時、Y軸方向に転動され、中央レール103からスライドドア108が離脱されることを防ぐためのガイドローラ112aと、中央ローラ106をスライドドア108に回動可能に支持し、スライドドア108を滑らかに摺動せしめるブラケット114とを含めて構成される。
【0036】
前述した下部ローラ107は、スライドドア108の開閉時、下部レール104よりスライドドア108が離脱することを防止するガイドローラ113aをさらに含める。
【0037】
また、本発明による建設装備用運転室は、ロッキングホルダによりドアのロック過程で生じ得るドアの衝撃及び振動を吸収するものの、図7Aないし図7Cに示されたように、本発明による建設装備用運転室は、出入口100が開設された側壁部材101と、側壁部材101の上部、中央及び下部にそれぞれ形成の上部レール102、中央レール103、下部レール104と、上部レール102、中央レール103及び下部レール104にそれぞれの転がりローラ111、112、113が係合された上部ローラ105、中央ローラ106及び下部ローラ107により摺動されることで出入口100を開閉せしめるスライドドア108と、上部ローラ105に対応する形状であって、上部レール102の端部に設けられ、スライドドア108の全開時又は全閉時、上部ローラ105の転がりローラ111を結合溝116に収容しかつ支持するゴム材の上部ローラホルダ109と、下部ローラ107に対応する形状であって、下部レール104の端部に設けられ、スライドドア108の全開時又は全閉時、下部ローラ107の転がりローラ113とガイドローラ113aを結合溝117、118に収容しかつ支持するゴム材の下部ローラホルダ110と、中央ローラ106に対応する形状を保持し、中央レール103の端部に設けられ、スライドドア108の全開時又は全閉時、中央ローラ106の転がりローラ112とガイドローラ112aを結合溝119、120に収容しかつ支持するゴム材の中央ローラホルダ115と、前記ドア108の全開時、ロック装置をドア108の一側で一対のロッキングストライカ121、122が係合するように構成するが、前記ロッキング雄ストライカ121又はローダ132の外側に凹溝部130aを備えたロッキングホルダ130とを含めて構成する。
【0038】
前述したロック装置は、スライドドア108が完全に開放位置にある時、少なくとも一対がドア108の上部や中央及び下部にそれぞれ設けられ、前記それぞれのストライカ121、122のいずれかの一つは前記ドア108に設けられ、他の一つは前記側壁部材101に設置され、前記スライドドア108を選択的にロック又は解除させる複数のロッキングストライカ121、122を含める。
【0039】
本発明の望ましい実施例において、前記ロック装置は、前記側壁部材101の外側へローダ132が突出するように設け、胴体132bより大径のヘッド部132aを備えたロッキング雄ストライカ121と、前記ロッキング雄ストライカ121に相応して一対をなすように前記ドア108の一側にハウジング138を設けるが、ドアロック時、前記ハウジング138の内側でヘッド部132aの後方端部を支持する固定片139を備えたロッキング雌ストライカ122と、前記ロッキング雄ストライカ121のローダの外側に設け、且つ、ドアロック時、前記ハウジング138の先端部138aを収容する凹溝部130aを備えたロッキングホルダ130を含めて構成される。
【0040】
この際、前記ローダ132のヘッド部132aは前記ロッキングホルダ130の凹溝部130aの内側に設けられ、ドアロック時、少なくとも前記ハウジング138の先端部138aの一部が前記凹溝部130a内側に挿着されることになる。
【0041】
また、本発明による前記ロック装置に備えられた複数のロッキングストライカ121、122を構成するにあたり、スライドドア108が全開位置にある際、少なくとも一対がドア108の上部や中央及び下部にそれぞれ設けられ、前記それぞれのストライカ121、122の何れかの一つは前記ドア108に設けられ、他の一つは前記側壁部材101に設けられ、前記ドア108を選択的にロック又は解除せしめる機能を奏する。
【0042】
この際、それぞれのロッキングホルダ130は、内側に折り曲がった凹溝部130aを備え、且つ、前記複数のロッキング雄ストライカ121に相応してローダ132の外側に備えられ、ドアロック時、前記雌ストライカハウジング138の外側面に結合される。
【0043】
また、前記一対のロッキングストライカ121、122は、ドア108の全開時、運転室の出入口100から遠い箇所のドア108の上部や下部及び中央の一側に複数のロッキングストライカセット121、122により結合するように構成することも可能である。
【0044】
一方、ロッキング雌ストライカ122に備えられたハウジング138の先端部138aの対向側には固定片139の下部をなす底部139bに取っ手部125が連設されている。
ここで、前記取っ手部125と底部139bとの間には、ローダ132のヘッド部132aがハウジング138の外側へ引き出されるように押してくれるプッシュローダ126を構成し、且つ、前記固定片139は複数個から分割形成された弾性部材、例えば、120°度の角度で分離した薄板が折り曲げられた板形ばね材から構成し得る。
【0045】
本発明の実施例によれば、前記ロッキングホルダ130はゴム材からなり、それによりドアロック過程で前記ロッキングホルダ130が前記凹溝部130aの内面全体との接触を介して少なくとも前記ハウジング138の一部及びその先端部138aが装着される際に生じ得るドアの衝撃及び振動を吸収する機能を奏する。
【0046】
本発明の構成において、前記ロック雄ストライカ121及びロッキングホルダ130はブラケット133、134を台にしてドア108の側壁部材101の一側に取り付けられ、且つ、前記ロック雌ストライカ122は前記ロッキング雄ストライカ121の位置に相応してハウジング138の外周縁上に締結部材128を介してドア108の一側に取り付けられる。
【0047】
また、本発明の望ましい実施例において、前述したドアのロック装置は、複数のロッキング雌ストライカ122とロッキング雄ストライカ121とがドア108をロック又は解除させるように一対で備えられて係合するが、ドア108が開ききった位置にある際、少なくとも一対が互いに係合するように複数組のロッキングストライカ121、122をドア108の上部や中央及び下部にそれぞれ設ける。ここで、各ストライカセット121、122の何れかの一つは前記ドア108に設けられ、他の一つは前記側壁部材101に設けられ、且つ、前記それぞれのロッキング雄ストライカ121の外側又はローダ132の外側にロッキングホルダ130が設けられる。
【0048】
以下では、本発明による建設装備用運転室の使用例を添付図面に基づいて説明する。
【0049】
掘削機などのような建設装備は、主に作業条件の劣悪な現場で作業を行うことが多いため、作業中、運転室内の換気などのためにスライドドアを開放させたまま、作業を行う場合が多い。こうしたようにスライドドアを開放させた状態で作業を行う際にも、運転室に伝わる衝撃又は振動によるスライドドアの揺れ又は遊動を抑止することが可能となる。
【0050】
図4及び図6に示されたように、オペレータによりスライドドア108を開放させるべく運転室の後方側にスライド移動させる場合、前述したスライドドア108の上部、中央及び下部に形成の上部ローラ105、中央ローラ106及び下部ローラ107が側壁部材101に形成の上部レール102、中央レール103及び下部レール104に沿ってそれぞれスライド移動することにより、スライドドア108を開放することができる(図4において点線で示される)。
【0051】
この際、開放されたスライドドア108の位置は、運転室の旋回半径内にあるため、作業空間の狭い市内の小道などで作業中の建設装備のスライドドア108を開放させた上でスイング駆動を行う際にも作業現場に隣接した建物又は木々より干渉を受けることがない。
【0052】
一方、図6に示されたように前述したスライドドア108を全開位置にスライド移動させる場合、上部レール102、中央レール103及び下部レール104の端部に設けられた上部、中央及び下部ローラホルダ109、115、110の結合溝116、119、120、117、118に上部ローラ105、中央ローラ106及び下部ローラ107が収容される。
【0053】
つまり、上部レール102の端部に設けられた上部ローラホルダ109の結合溝116に上部ローラ105のガイドローラ111が嵌合され(図6Aに示される)、中央レール103の端部に設けられた中央ローラホルダ115の結合溝119、120に中央ローラ106の転がりローラ112とガイドローラ112aがそれぞれ嵌合され(図6Bに示される)、下部レール104の端部に設置の下部ローラホルダ110の結合溝117、118に下部ローラ107の転がりローラ113とガイドローラ113aがそれぞれ嵌合される(図6Cに示される)。
【0054】
この際、前述した上部ローラ105は、結合溝116に嵌合されるガイドローラ111と、結合溝に沿って移動する図示されていない転がりローラとを含めて構成することも可能である。
【0055】
また、ゴム材からなる上部、下部及び中央ローラホルダ109、110、115の弾性力により、上部ローラ105、下部ローラ107及び中央ローラ106を、結合溝116、117、118、119、120に収容した上で支持する。
【0056】
これにより、スライドドア108の全開状態で作業を行う場合にも、運転室に伝わる振動又は衝撃などに起因するスライドドア108の揺れ又は遊動が抑えられる。
【0057】
したがって、オペレータは作業に集中することができ、作業能率を向上させることが可能となるばかりでなく、スライドドアの振れや遊動による事故を防止することができる。
【0058】
また、図7に示されたように、前述した中央ローラホルダ115を、転がりローラ112を収容する第1ローラホルダ115aと、ガイドローラ112aを収容する第2ローラホルダ115bとに分割形成する場合には、運転室ドアの揺れや遊動がそれぞれの第1ローラホルダ115a及び第2ローラホルダ115bによりそれぞれ吸収することが可能となる。
【0059】
一方、図面には示されていないが、下部ローラホルダ110の転がりローラ113を収容する第1ローラホルダ(図示せず)と、ガイドローラ113aを収容する第2ローラホルダ(図示せず)とに分割形成することも可能であり、且つ、これらは図7に図示の中央ローラホルダ115と同様に適用されるため、これに対する説明は略する。
【0060】
図8に示されたように、本発明による建設装備用運転室は、前述した下部レール104の端部に設けられ、スライドドア108の全開時又は全閉時、下部ローラ107の転がりローラ113及びガイドローラ113aが回転可能に支持されたブラケット150を圧着溝160に収容して支持する下部ブラケットホルダ170をさらに含める。
【0061】
よって、スライドドア108の全開時又は全閉時、下部レール104の端部に生じ得るドアの揺れや振動を下部ブラケットホルダ170により抑止又は吸収することが可能となる。
【0062】
図面には示されていないが、前述した上部レール102と中央レール103の端部に設けられ、上部ローラ105の転がりローラ(図示せず)及びガイドローラ111と、中央ローラ106の転がりローラ112及びガイドローラ112aを回転可能に支持するブラケットを収容して支持する上部及び中央ラケットホルダ(図示せず)を含めることができ、且つ、これらは図8に図示の下部ブラケットホルダ170と同様に適用されるため、これに対する説明は略する。
【0063】
以下では、本発明による建設装備用運転室において、ドア108の全開時におけるドアのロック過程について述べる。
【0064】
図4と図9Aないし図9Cに示されたように、オペレータによりスライドドア108を開放させるべく運転室2の後方側にスライド移動させる場合、ドア108はロッキングストライカ121、122の係合が可能となるように、前述した上部、中央及び下部に形成の上部ローラ105、中央ローラ106及び下部ローラ107が側壁部材101に形成の上部レール102、中央レール103及び下部レール104に沿ってスライド移動する。
【0065】
この際、ドアの全開位置は、ロッキングストライカ121、122の係合により出入口104から遠い位置の運転室旋回半径内で側壁部材101の一側に固定される構造をなしていることから、作業空間の狭い市内の小道などでスイング駆動を行う場合でも、作業現場に近い建物や他の外部障害物に干渉する恐れも無くすことができる。
【0066】
即ち、図9Aないし図9Cに示されたように、ドア108の全開位置において、運転室2の側壁部材101の外側に向けて突出されるように固定されたロッキング雄ストライカ121と、ドア108の内側方向に開口されたハウジング138を形成したロッキング雌ストライカ122とが対向することになる。
【0067】
この際、ドア108のロック結合時、ロッキング雄ストライカ121に設けられたローダ132のヘッド部132aが、ロッキング雌ストライカ122を構成するハウジング138の入口127を通過して固定片139の底部139bに突き当たることになる。
【0068】
前記固定片139の先端部139aは、底部139bへ伝わるヘッド部132aの衝突により予め製造された弾性力でローダ132のヘッド部132aの後方へ突出されると共に縮まることになる。それにより、ローダ132のヘッド部132aがハウジング138の内部に固定又は支持されることによって、ドア108は、全開位置でのロック状態を保持するができる。
【0069】
この過程で、ハウジング138の外側又は先端部138aは、ゴム材のロッキングホルダ130の内側に挿着されると、ハウジング138を直接収容する構造を成しているため、ドア108のロック過程でロッキング雄ストライカ121及びローダ132の衝突により生ずる衝撃や騒音が緩衝及び遮蔽できる。
【0070】
こうしたロッキングホルダ130の構造は、凹溝部130aの内側でハウジング138が密閉された状態を形成するため、長期に亘ってドアのロック及び解除を繰り返す場合、ロッキングホルダの先端面における偏磨耗現状が削減されることになり、その耐久性及び衝撃吸収性能を大きく向上させることが可能となる利点を持っている。
【0071】
また、ドア108のロック過程において、ハウジング138内部の固定片139及びローダ132のヘッド部132aの衝突により生じられるドア108の衝撃もやはりドアのロッキングホルダ130に伝わり、且つ、前記ロッキングホルダ130は予め設定されていた弾性力により、これを吸収及び緩衝することが可能となる。
【0072】
従って、オペレータは作業に集中することができ、かつ、作業能率を向上させることができる。また、セキュリティ上の問題を防止することも可能となる。
【0073】
一方、前述したように、本発明に基づく技術的思想の範疇内にてロッキングストライカ及びロッキングホルダの配置を異にして変形することが可能であるが、複数組のロッキングストライカを備え、運転室の側壁部材の上部や下部及びドアの内側に設けることができ、且つ、この場合、ロッキングホルダを介してドアのロック過程で生じ得る衝撃や振動を高効率に吸収及び遮蔽することが可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】従来技術による建設装備用運転室の斜視図である。
【図2】図1に示されたスライドドアの側面図である。
【図3A】図2に示されたS‐S線における断面図であって、スライドドアを閉鎖した状態の図面である。
【図3B】図2に示されたT‐T線における断面図であって、スライドドアを開放した状態の図面である。
【図3C】図1に図示の中央レール及び中央ローラの断面図である。
【図4】本発明による建設装備用運転室の概略を示した斜視図である。
【図5A】図4に示されたローラホルダAの拡大図である。
【図5B】図4に示されたローラホルダBの拡大図である。
【図5C】図4に示されたローラホルダCの拡大図である。
【図6A】本発明による建設装備用運転室に装着される上部ローラホルダの使用状態図である。
【図6B】本発明による建設装備用運転室に装着される中央ローラホルダの使用状態図である。
【図6C】本発明による建設装備用運転室に装着される下部ローラホルダの使用状態図である。
【図7】本発明による建設装備用運転室に装着されるローラホルダの変形例示図である。
【図8】図7に図示のローラホルダがブラケットホルダの内部に収容された状態の断面図である。
【図9A】本発明による建設装備用運転室に装着されるドアロック装置の概略を示した斜視図ある。
【図9B】図9Aに図示のドアロック装置のロッキング結合前の状態を示した断面図である。
【図9C】図9Bに図示のドアロック装置のロッキング結合後の状態を示した断面図である。
【符号の説明】
【0075】
100 出入口
101 側壁部材
102 上部レール
103 中央レール
104 下部レール
105 上部ローラ
106 中央ローラ
107 下部ローラ
108 スライドドア
109 上部ローラホルダ
110 下部ローラホルダ
115 中央ローラホルダ
130 ドアロッキングホルダ
132 ローダ
138 ハウジング
139 固定片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設装備用運転室において、
出入口が開設される側壁部材と、
前記側壁部材の上部、中央及び下部にそれぞれ備えられる上部レール、中央レール及び下部レールと、
前記上部レール、中央レール及び下部レールに係合される上部ローラ、中央ローラ及び下部ローラによりスライド移動されることで出入口を開閉させるスライドドアと、
前記上部ローラ及び下部ローラに対応する形状であって、上部レール及び下部レールの端部に設けられ、スライドドアの全開時又は全閉時、上部ローラ及び下部ローラを結合溝に収容しかつ支持する上部及び下部ローラホルダとを含めることを特徴とする建設装備用運転室。
【請求項2】
建設装備用運転室において、
出入口が開設される側壁部材と、
前記側壁部材の上部、中央及び下部にそれぞれ備えられる上部レール、中央レール及び下部レールと、
前記上部レール、中央レール及び下部レールに係合される上部ローラ、中央ローラ及び下部ローラによりスライド移動されることで出入口を開閉させるスライドドアと、
前記上部ローラ、中央ローラ及び下部ローラに対応する形状であって、上部レール、中央レール及び下部レールの端部に設けられ、スライドドアの全開時又は全閉時、上部ローラ、中央ローラ及び下部ローラを結合溝に収容しかつ支持する上部、中央及び下部ローラホルダとを含めることを特徴とする建設装備用運転室。
【請求項3】
前記上部、中央及び下部ローラホルダのうち、少なくともいずれかの一つは弾性部材からなることを特徴とする請求項1または2に記載の建設装備用運転室。
【請求項4】
前記弾性部材はゴム材からなることを特徴とする請求項3に記載の建設装備用運転室。
【請求項5】
前記中央及び下部ローラホルダは、転がりローラを収容する第1ローラホルダと、ガイドローラを収容する第2ローラホルダとから分割形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の建設装備用運転室。
【請求項6】
前記上部レール、中央レール及び下部レールの端部に設けられ、スライドドアの全開時又は全閉時、上部ローラ、中央ローラ及び下部ローラが回転可能に取り付けられたブラケットを圧着溝に収容しかつ支持する上部、中央及び下部ブラケットホルダをさらに含めることを特徴とする請求項1または2に記載の建設装備用運転室。
【請求項7】
建設装備用運転室において、
出入口が開設される側壁部材と、
前記側壁部材の上部、中央及び下部にそれぞれ備えられる上部レール、中央レール及び下部レールと、
前記上部レール、中央レール及び下部レールに係合される上部ローラ、中央ローラ及び下部ローラによりスライド移動されることで出入口を開閉させるスライドドアと、
前記上部ローラ及び下部ローラに対応する形状であって、上部レール及び下部レールの端部に取り付けられ、スライドドアの全開時又は全閉時、上部ローラ及び下部ローラを結合溝に収容しかつ支持する上部及び下部ローラホルダと、
前記スライドドアをロック又は解除させるようにロッキング雌ストライカとロッキング雄ストライカとが一対で係合され、ドアの全開時に前記一対のロッキングストライカがドアの一側でロック又は解除されるロック装置と、
前記ロッキング雄ストライカに相応してローダの外側に設けられたロッキングホルダとを含めてなされたことを特徴とする建設装備用運転室。
【請求項8】
前記ロック装置は、
ドアの全開時に少なくとも一対がドアの上部や中央及び下部にそれぞれ設けられ、前記それぞれのストライカの何れかの一つは前記ドアに設けられ、他の一つは前記側壁部材に設けられ、前記スライドドアを選択的にロック又は解除せしめる複数のロッキングストライカと、
内側に折り曲がった凹溝部を備え、前記それぞれのロッキング雄ストライカに相応してローダの外側に設けられ、ドアロック時、前記雌ストライカハウジングの外側面に結合されるロッキングホルダとを含めて構成されることを特徴とする請求項7に記載の建設装備用運転室。
【請求項9】
前記ロック装置は、
前記側壁部材の外側にローダを突出するように設け、且つ、胴体より大径の係止部を備えたロッキング雄ストライカと、
前記ロッキング雄ストライカに相応してドアの一側にハウジングを設けるが、ドアロック時、前記ハウジングの内側で係止部の後方端部を支持する固定片を備えたロッキング雌ストライカと、
前記ロッキング雄ストライカのローダの外側に設けられ、ドアロック時、少なくともハウジングの外側面一部を収容する凹溝部を備えたロッキングホルダとを含めて構成されることを特徴とする請求項7又は8に記載の建設装備用運転室。
【請求項10】
前記一対のロッキングストライカは、ドアの全開時、前記出入口から遠い位置のドアの上部や下部及び中央一側に複数組のロッキングストライカにより係合されて構成されたことを特徴とする請求項7又は8に記載の建設装備用運転室。
【請求項11】
前記ロッキングホルダはゴム材からなることを特徴とする請求項7又は8に記載の建設装備用運転室。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate


【公開番号】特開2007−247385(P2007−247385A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335211(P2006−335211)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(502032378)ボルボ コンストラクション イクイップメント アーベー (156)
【Fターム(参考)】