弁を備えた再生式熱酸化装置用の高温シールエア
【課題】産業用設備及び発電設備から出る高流量で低濃度の排出物内の揮発性有機化合物を分解する再生式熱酸化装置において、熱交換コラムの切替の際の処理ガスの洩れによる効率低下を抑制できる再生式熱酸化装置を提供する。
【解決手段】再生式熱酸化装置内で使用するのに適している、加熱されたシールガスによる弁と、切替弁を含む酸化装置である。弁は、優れたシール特性を示し、磨耗を最小にする。弁は、再生プロセスから出る高温のガスを利用して、弁をシールするためのガスを加熱し、シールエアは、再生プロセスからの高温の排気ガスと接触するように配置されている第1及び第2の熱交換器を通って流れる。
【解決手段】再生式熱酸化装置内で使用するのに適している、加熱されたシールガスによる弁と、切替弁を含む酸化装置である。弁は、優れたシール特性を示し、磨耗を最小にする。弁は、再生プロセスから出る高温のガスを利用して、弁をシールするためのガスを加熱し、シールエアは、再生プロセスからの高温の排気ガスと接触するように配置されている第1及び第2の熱交換器を通って流れる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
【背景技術】
【0002】
再生式熱酸化装置は、産業用設備及び発電設備から出る高流量で低濃度の排出物内の揮発性有機化合物(VOC)を破壊するのに従来から使用されている。このような酸化装置では、高いVOC破壊を実現するために、一般的に高い酸化温度を必要とする。高い熱回収効率を実現するために、処理対象の「汚染」処理ガスは、酸化前に事前加熱される。このガスを事前加熱するために、通常、熱交換器コラムが設けられている。コラムには、普通は、良好な熱的及び機械的安定性と十分な熱質量を有する熱交換材料が詰められている。作動時、処理ガスは、予め加熱された熱交換器コラムを通して供給され、コラムが、処理ガスを、そのVOC酸化温度に近いか又はそれを達する温度に加熱する。この事前加熱された処理ガスは、次いで燃焼ゾーンへ送られ、不完全なVOC酸化があればそこで酸化が完了する。処理されて「清浄」になったガスは、その後、燃焼ゾーンの外へ出され、熱交換器コラム又は第2熱交換コラムを通して逆に流される。高温で酸化されたガスは、このコラムを通って流れる間に、その熱をそのコラム内の熱交換媒体へ伝達し、ガス自体は冷却され、熱交換媒体が事前加熱されるので、別のバッチの処理ガスを酸化処理の前に事前加熱できるようになる。通常、再生式熱酸化装置は、少なくとも2つの熱交換器コラムを有しており、処理ガスと処理済みガスを交互に受け入れる。このプロセスが継続して実行され、大量の処理ガスを能率的に処理できるようになる。
【0003】
再生酸化装置の性能は、VOC破壊効率を上げ、運転及び資本経費を下げることによって最適化できる。VOC破壊効率を上げる技術については、文献にあるように、例えば、改良型酸化システム及び掃気システム(例えば、閉じ込め室)のような手段と、切替の間に酸化装置内の未処理のガスを扱う3つ以上の熱交換器とを使って取り組んできた。運転経費は、熱回収効率を上げ、酸化装置の圧力降下を減じることによって下げることができる。運転及び資本経費は、酸化装置を適切に設計し、適切な熱伝達充填材料を選択することによって下げることができる。
【0004】
能率的酸化装置の重要な要件は、1つの熱交換コラムから別の熱交換コラムへの処理ガスの流れを切替えるのに用いられる弁の作動である。弁システム通して未処理の処理ガスが漏れると、装置の効率が下がることになる。また、弁の切替の間にシステム内の圧力及び/又は流れに乱れ及び変動が生じることもあり、これは望ましくない。弁の摩耗は、特に、再生式熱酸化装置では弁切替頻度が高い点を考えると、問題である。
【0005】
或る従来型の2コラム設計では、米国特許第6,261,092号に開示されている改良型のシールを有する単一の切替弁を用いており、その開示を、参考文献としてここに援用する。弁は2つの室を画定するシールプレートを有しており、各室が、酸化装置の2つの再生ベッドの内の1つに繋がる流れポートである。弁は、更に、出入りする処理ガスの経路をシールプレートの各半分に対して交互に指定する切替式流れ分配器を含んでいる。弁は、静止モードと弁運動モードの2つのモードの間で作動する。静止モードでは、密封ガスシールを用いて、処理ガスの漏れを最小にするか、又は防いでいる。ガスシールは、弁の運動の間もシールする。付帯するバッフルが、切替の間に、弁を通って未処理の処理ガスが漏れるのを最小にするか、又は無くする。従来使用されている2つ又は4つの弁ではなく、単一の弁を使用すると、シールを必要とする面積が大幅に少なくなる。切替式流れ分配器のジオメトリによって、流れ分配器を熱交換ベッド近くに配置することができるようになるので、処理ガスが通過する距離と方向転換の数が減少する。このことによって、弁の切替の間に捕捉される未処理のガスの量が減少する。処理ガスは、吸入サイクルで、排出サイクルと同じ弁ポートを通過するので、熱交換ベッドへのガス分配は改善される。圧力変動を最小に抑えた弁の切替、優れたシール性、及び、切替の間のバイパスを最小にし又は無くすることが、再生式熱酸化装置で実現される。切替の間のバイパスを排除することについては、切替の間にシステム内の或る量の未処理ガスを保管するのに用いられている従来型の閉じ込め室を省けるので、相当な経費節減になる。
【0006】
シールエアは、このような流れ制御弁が、流れを、例えば再生熱及び触媒酸化装置に出入りさせる能力を高めるのに用いられる。このことは、弁の着座面に向けられる正又は負に加減圧されたガスを使用することによって達成される。一般的に、シール用に使用される空気は、周囲温度、又は周囲温度近くの外部空気である。正圧ガスを使用しているシステムでは、このシールエアの冷却効果が、弁座上に、処理ガスの流れの中の凝結性又は粘着性の粒子による堆積を引き起こすこともある。このことは、処理ガス内に凝結性粒子の存在するのが当たり前のグラフィックアート用途では、特に問題である。
【0007】
従って、このような酸化装置では物質の凝結を低減又は取り除くことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,261,092号
【特許文献2】米国特許出願第09/849,785号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
先行技術の問題は、切替弁のためのガスシールと、切替弁を備えている再生式熱酸化装置とを提供する本発明が克服している。本発明のシールは、シールガスで冷却した場合には凝結する恐れのある物質の凝結を最小にするか又は無くすために、十分に高温のガス、望ましくは空気、を利用している。或る好適な実施形態では、シールガスは、再生式熱酸化装置からの排気との熱交換によって加熱されるので、有害な凝結に対して費用効果に優れた解決法を提供している。シールガスを加熱するための熱交換器の戦略的な配置は、熱交換器を既存の装置に組み込む際の小型の構造と簡単さを考慮している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下の説明の大部分は、米国特許第6,261,092号の切替弁に関わる高温シールガスの使用について述べているが、本発明は、特定の弁に限定されるものではなく、熱源を含むどの様な弁システムにも利用できるものと理解頂きたい。
【0011】
‘092号特許に開示されている弁については精通していることを前提とする。簡単に言えば、図1及び図2は、図示の通りフレーム12に支持されている2室式の再生式熱酸化装置10(触媒式又は非触媒式)を示している。酸化装置10は、ハウジング15を備えており、中には、中央に配置されている燃焼ゾーンと連通している第1及び第2熱交換器室がある。燃焼ゾーンにはバーナー(図示せず)が付設され、燃焼空気をバーナーへ供給するため、燃焼ブロワがフレーム12に支持されている。燃焼ゾーンは、一般的には大気に繋がっている排気煙突16と流体連通しているバイパス出口14を含んでいる。制御キャビネット11は、装置の制御部を収容しており、フレーム12上に配置されているのが望ましい。制御キャビネット11の反対側には、処理ガスを酸化装置10内へ送るためのファン(図示せず)がフレーム12に支持されている。ハウジング15は、オペレーターがハウジング15へ接近できるようにする1つ又は複数のアクセスドア18を有する上部室又はルーフ17を含んでいる。当業者には理解頂けるように、酸化装置に関する上記記述は説明のみを目的にしており、2つ以上又は以下の室を有する酸化装置、水平方向に向いた室を備えた酸化装置、及び触媒式酸化装置を含む、本発明の範囲内にある他の設計でもよい。図2を見ると良く分かるように、低温面プレナム20は、ハウジング15の基板を形成している。適切な支持格子19が低温面プレナム20上に設けられ、以下に詳細
に論じるように、各熱交換コラム内の熱交換マトリックスを支持している。図示の実施形態では、熱交換室は分離壁21で分離されており、分離壁は断熱されているのが望ましい。更に、図示の実施形態では、熱交換ベッドを通過する流れは垂直であり、処理ガスは、低温面プレナム20内に配置されている弁ポートからベッドに入り、第1ベッドへと上方向に(ルーフ17に向かって)流れ、第1ベッドと連通している燃焼ゾーンに入り、燃焼ゾーンから流出して、第2室へ流入し、そこで下方向に第2ベッドを通過して、低温面プレナム20に向かって流れる。しかしながら、当業者には理解頂けるように、熱交換コラムが互いに向き合っており、中央に配置されている燃焼ゾーンで分離されているような、水平配置を含む他の向きでも適している。
【0012】
図3は、弁ポート25を底から見た図である。プレート28は、2つの向かい合う対称形の開口部29Aと29Bを有しており、両開口部は、バッフル26(図2)と共に、弁ポート25を画定している。各弁ポート25には随意の回転羽根27が配置されている。各回転羽根27は、プレート28に固定されている第1端部と、第1端部から間隔を空けて設けられ各側部でバッフル24に固定されている第2端部と有している。各回転羽根27は、その第1端部からその第2端部に向かって拡がっており、上方向に或る角度が付けられ、その後、図4に示すように、27Aで水平方向に平らになっている。回転羽根27は、弁ポートから出る処理ガスの流れが、弁ポートから離れるように向ける働きをし、作動の間に低温面プレナムを横切る分配を支援する。低温面プレナム20への均一な分配は、熱交換効率を最適にするために、熱交換媒体に亘って確実に均一に分配されるの支援をする。
【0013】
図4及び図4Aは、処理ガス入口48と処理ガス出口49を有するマニホルド51内に収納されている流れ分配器50を示している(要素48が出口で、要素49が入口でもよいが、上記実施形態では説明のためこの様にしている)。流れ分配器50は、駆動機構に連結されている、望ましくは中空の円筒形駆動軸52(図4A、図6)を含んでいる。駆動軸52には、円錐台形の部材53が連結されている。部材53は、2つの相対するパイ型のシール面55、56で形成されている連結プレートを含んでおり、各シール面は、円形外縁部54で接続されており、駆動軸52から外方向に45°の角度で伸張し、2つのシール面55、56と外縁部54で画定される空所が、第1ガス経路又は通路60を形成するようになっている。同様に、第2ガス経路又は通路61は、第1通路と反対側のシール面55、56と、3つの傾斜面、即ち、向かい合う傾斜側面プレート57A、57B及び中央傾斜側面プレート57Cとによって画定される。
【0014】
傾斜側面プレート57は、通路60と通路61を分離している。これらの通路60、61の上部は、プレート28の対称な開口部29A、29Bの形状と一致するように設計されており、組み立てられた状態では、各通路60、61は、各開口部29A、29Bと整列する。流れ分配器50の向きに関係なく何れの所与の時間でも、通路61は入口48とだけ流体連通し、通路60はプレナム47を介して出口49とだけ流体連通している。従って、入口48を通ってマニホルド51に入る処理ガスは、通路61だけに流れ、弁ポート25から通路60へ入る処理ガスは、プレナム47を介して出口49だけを通って流れる。
【0015】
シールプレート100(図6)は、弁ポート25(図3)を画定しているプレート28に連結されている。以下に詳細に論じるが、流れ分配器50の上面とシールプレート100の間に、エアシールを用いるのが望ましい。流れ分配器は、駆動軸52によって、固定プレート28に対して垂直軸回りに回転可能である。そのような回転によって、シール面55、56は、開口部29A、29Bの部分と整列位置、及び整列が遮断される位置へと動かされる。
【0016】
最初に図4、6、7を参照しながら、弁をシールするための方法について論じる。流れ分配器50は、流れ分配器が動く際の磨耗を最小にするか、又は無くすために、空気のクッションの上に載っている。当業者には理解頂けるように、空気以外の気体を用いてもよいが、空気が適切なので、ここでは分かり易くするため空気を使って説明する。空気のクッションは、弁をシールするだけでなく、流れ分配器の運動の摩擦を無くすか、又は実質的に無くすことになる。ファンなどの様な加圧送出システムは、燃焼空気を燃焼ゾーンのバーナーへ供給するのに用いられるファンと同じでも異なってもよいが、適切な配管(図示せず)とプレナム64を通して、流れ分配器50の駆動軸52へ空気を供給する。図7を見ると良く分かるように、空気は、駆動機構70に連結されている駆動軸52の基板82の上方で、駆動軸52の本体に形成されている1つ又は複数の窓81を通して、配管から駆動軸52内へと移動する。窓は18、軸52の回りに対称的に配置され、均等化のために等しい大きさになっているのが望ましいが、窓81の正確な場所は特に限定されるものではない。加圧された空気は、図5の矢印で示しているように、軸を上向きに流れ、以下に詳細に論じるが、その一部は、環状の回転ポート90に配置されているリングシールと連通している1つ又は複数の半径方向管83に入り、リングシールに空気を供給する。半径方向管83に入らない空気の部分は、駆動軸52を上がり続けて経路94に達し、経路94は、空気を、半円部分95と、パイ型ウェッジ55、56で画定される部分とを有するチャネル内に配る。流れ分配器50の連結表面、具体的にはパイ型ウェッジ55、56と環状外縁部54の表面には、図4に示しているように、複数の孔96が形成されている。チャネル95からの加圧された空気は、図5に矢印で示すように、これらの孔96を通ってチャネル95から抜け出し、流れ分配器50の上面と、図6に示している固定シールプレート100の間に空気のクッションを作る。シールプレート100は、流れ分配器50の上面54の幅に相当する幅を有する環状外縁部102と、形状が流れ分配器50のパイ型ウェッジ55、56に相当する一対のパイ型要素105、106とを含んでいる。シールプレート100は、弁ポートのプレート28(図3)と合わされ(連結されて)いる。孔104には、流れ分配器50に連結されているシャフトピン59(図5)が入る。流れ分配器に相対している環状外縁部102の裏側には、流れ分配器50の連結表面の孔96と整列する1つ又は複数の環状溝99(図6A)が設けられている。2列の同心の溝99と対応する2列の孔96があるのが望ましい。この様にすると、溝99によって、空気が上面54の孔96から抜け出して、連結表面54とシールプレート100の環状外縁部102の間に空気のクッションを形成し易くなる。更に、パイ型部分55、56の孔96を抜け出た空気は、パイ型部分55、56とシールプレート100のパイ型部分105、106の間に空気のクッションを形成する。これらの空気のクッションは、浄化されていない処理ガスが漏れて、清浄な処理ガスの流れに入るのを最小にするか、又は防ぐ。流れ分配器50とシールプレート100の両方の比較的大きいパイ型ウェッジは、浄化されていないガスが漏れる際には横断しなければならない、流れ分配器50の上部に亘る長い経路を作り出している。作動中の大部分の時間、流れ分配器は静止しているので、全ての弁連結表面の間に、貫通できない空気のクッションが作られる。流れ分配器を動かす必要がある場合には、弁をシールするのに用いられている空気のクッションは、流れ分配器50とシールプレート100の間に、高い接点圧力が生じて摩擦が発生するのを防ぐ働きもする。
【0017】
加圧された空気は、処理ガスを、弁が用いられている装置へ送っているファンとは異なるファンから送られ、従ってシールエアの圧力は、出入りする処理ガスの圧力よりも高く、正圧シールを形成するのが望ましい。
【0018】
図7と図14を見れば良く分かるように、流れ分配器50は回転ポートを含んでいる。流れ分配器50の円錐台部分53は、外側リングシールとして機能する環状の円筒形壁110の回りを回転する。壁110は、壁110の中心合わせを行い、それをマニホルド51に留める(図4も参照)のに使用される外側環状フランジ111を含んでいる。E字型の内側リングシール部材116(金属製であるのが望ましい)は、流れ分配器50に連結されており、中には一対の間隔を空けて配置されている平行な溝115A、115Bが形成されている。図示のように、ピストンリング112Aが溝115A内に配置され、ピストンリング112Bが溝115B内に配置される。各ピストンリング112は、外側リングシール壁110に対して押し付けられ、流れ分配器50が回転するときも静止状態に留まる。加圧された空気(又はガス)は、図14に矢印で示しているように半径方向管83を通り、各半径方向管83と連通している穴84を通過し、ピストンリング112Aと112Bの間のチャネル119へ、並びに各ピストンリング112と内側リングシール116の間の空隙へと流入する。流れ分配器が、固定円筒形壁110(及びピストンリング112A、112B)に対して回転する際には、チャネル119内の空気は、2つのピストンリング112Aと112Bの間の空間を加圧し、連続する摩擦の無いシールを作る。ピストンリング112と内側ピストンシール116の間の空隙、及び、内側ピストンシール116と壁110の間の空隙は、熱成長又は他の要因による駆動軸52の運動(軸方向又は他の方向)を全て吸収する。当業者には理解頂けるように、二重ピストンリングシールを図示しているが、シール性を上げるために3つ以上のピストンリングを使用することもできる。シールするには、正の圧力でも負の圧力でも使用することができる。
【0019】
図15は、駆動軸52に加圧された空気を送っているプレナム64が、駆動軸52に対してどの様にシールされているかを示している。シールは、シールが加圧されず、プレナム64の上下の各シールに用いるのに必要なピストンリングが1つのだけであることを除けば、先に論じた回転ポートと同様の方式である。例えば、プレナム64の上方のシールを使って、中に中央溝をくり抜くことにより、C字型内側リングシール216を形成する。外側リングシールとして機能する固定環状円筒形壁210は、壁210の中心合わせを行い、それをプレナム64に留めるのに用いられる外側環状フランジ211を含んでいる。固定ピストンリング212は、C字型内側リングシール216内に形成されている溝の中に配置され、壁210に押し付けられている。ピストンリング212とC字型内側シール216の溝の間の空隙、並びにC字型内側シール216と外側円筒形壁210の間の空隙は、熱膨張などによる駆動軸52の動きを全て吸収する。同様の円筒形壁310、C字型内側シール316及びピストンリング312が、図15に示すように、プレナム64の反対側にも用いられている。
【0020】
シールするための別の実施形態を、図18−18Iに示しているが、これは同時係属中の米国特許出願第09/849,785号に示されているもので、同開示を参考文献としてここに援用する。図18に示すように、望ましくは炭素鋼で作られているリテイニングリングシール664は、回転式アッセンブリ53に取り付けられている。リテイニングシールリング664は、図18の斜視図に示すように割りリングで、図18Bに示す断面を有しているのが望ましい。リングを割ると、取り付け取り外しが容易になる。リテイニングシールリング664は、袋ねじ140で回転式アッセンブリ53に取り付けることができ、リング664を取り付けるのに適切な他の手段を使用してもよい。回転式アッセンブリは、リテイニングリングシールを適所に適切に配置するための溝を含んでいるのが望ましい。
【0021】
リテイニングシールリング664の反対側には取り付けリング091があり、図18C及び18Dに良く分かるように示している。取り付けリング091も袋ねじ140’で回転式アッセンブリ53に連結されており、取り付けリング091を適切に配置するための溝が、回転式アッセンブリ内に形成されている。
【0022】
回転式アッセンブリが垂直軸回りに回転する図示の実施形態では、シールリング658は、取り付けリング091に対して滑動する際に、その重量が磨耗の原因となる恐れがある。この磨耗を低減又は無くすために、取り付けリング663には、その円周に沿って舌
状部401が形成されており、それも図18Dを見れば良く分かるように、中央に配置されているのが望ましい。随意のプレート支持弧状材663は、形状と場所が舌状部401に対応する溝402を有しており(図18E、18F)、図18に示すように、組み立て時には、取り付けリング091の上に着座する。プレート支持弧状材663は、ベアリングとして機能し易いように、シールリング658とは異なる材料で作られているのが望ましい。適切な材料は、青銅、セラミック、又は、シールリング658の材料として使用されている金属とは異なる他の金属である。
【0023】
リテイニングシールリング664と弧状材663との間に、シールリング658が配置されている。図18Gと図18Hに示しているように、シールリング658は、その円周全体に半径方向スロット403が形成されている。シールリング658の一端では、半径方向スロット403が外周の半円形状で終結しているので、図18に示すように、シールリング658がリングシールハウジング659に当接すると、分配溝145ができる。代わりに、2つ以上の半径方向スロット403を使用することもできる。図示の実施形態では、リングシール658には、半径方向スロット403と連通し、これに直交する孔404も形成されている。この孔404を加圧することによって釣合が作り出され、シールリング658が、自重によって下方向に動くことがないようになる。弁の向きが、180°回転させた場合のように異なる場合は、孔404を、シールリング658の上側部分に形成することができる。代わりに、上側部分又は下側部分、或いはその両方に2つ以上の孔404を用いてもよい。例えば、向きを90度回転させた場合、釣合は必要ない。シールリング658は静止したままで、ハウジングも静止しているので、シール658は丸くなくてもよく、楕円形及び八角形を含む他の形状も適している。リングシール658は、単一部片で作ってもよいし、2つ以上の部片であってもよい。
【0024】
リングシール658は、リングシールハウジング659に押し付けられており、流れ分配器50(及びシールリング664、プレート支持材663及び取り付けリング091)が回転しても、静止したままである。加圧された空気(又はガス)は、図18の矢印で示すように、半径方向の管83を通り、半径方向スロット403と孔404、更にシールリング658とハウジング659の間の分配溝145、リテイニングリングシール664とハウジング659の間の空隙、及び弧状材663とハウジング659の間の空隙、取付リング091とハウジング659の間の空隙へと流れる。流れ分配器50が固定ハウジング659(及び固定シールリング658)に対して回転する際には、これらの空隙内の空気はこれらの空間を加圧し、連続する無摩擦シールを作り出す。分配溝145は、リングシール658の外側表面を、外側の穴壁と接触する2つのゾーンと中心の圧力ゾーンの、3つのゾーンに分割している。
【0025】
単一のシールリングアッセンブリを使用することによって、二重のピストンリングシールを押したり引いたりして引き離す力を無くすことができる。更に、部品点数が減るので節約でき、単一のリングをより大きな断面で作ることができるので、寸法的に安定した構成要素で作ることができる。リングは、簡単に装着、交換ができるように、2つ割りにすることもできる。分割部の凹み穴405(図18I)に圧縮ばね又は他の付勢手段を配置して、リングの外向きの力を孔に加えることもできる。
【0026】
図15は、駆動軸52に加圧された空気を送っているプレナム64が、駆動軸52に対してどの様にシールされているかを示している。シールは、シールが加圧されず、プレナム64の上下の各シールに用いるのに必要なピストンリングが1つのだけであることを除けば、先に論じた回転ポートと同様の方式である。例えば、プレナム64の上方のシールを使って、中に中央溝をくり抜くことにより、C字型内側リングシール216を形成する。外側リングシールとして機能する固定環状円筒形壁210は、壁210の中心合わせを行い、それをプレナム64に留めるのに用いられる外側環状フランジ211を含んでいる。固定ピストンリング212は、C字型内側リングシール216内に形成されている溝の中に配置され、壁210に押し付けられている。ピストンリング212とC字型内側シール216の溝の間の空隙、並びにC字型内側シール216と外側円筒形壁210の間の空隙は、熱膨張などによる駆動軸52の動きを全て吸収する。同様の円筒形壁310、C字型内側シール316及びピストンリング312が、図15に示すように、プレナム64の反対側にも用いられている。
【0027】
次に、図8と図9は、シールエアを加熱するための好適な実施形態を示している。普通はマニホルド51内に収容されているプレナム64の窓110に入り、窓81(図7)を通って軸52へと流入した低温の空気は、今度は熱交換器112へと方向転換させられる。特に図9と図12に示すように、低温の空気の流れを方向転換する好適な方法は、プレナム64内に配置されているバッフル115を使うやり方である。バッフル115は、プレナム64の床からプレナム64の天井まで伸張しており、プレナム64を、熱交換器入口区画116と熱交換器出口区画117に分離している。窓110A(図9)は、完全に熱交換器入口区画116内に配置されているので、この窓110Aからプレナム64へと流れる低温の空気は、入口区画116内だけに存在し、(スロット111a、11bを通して)熱交換器112の入口へ押し出され、そこで、処理ガスを凝結可能に冷却するのを最小化するか、又は防げるだけの温度に加熱される。適切な温度は、処理ガスの露点を上回る、一般的には華氏約150°から約250°の温度である。加熱されたシールエアは、バッフルの反対側で熱交換器を出て、(スロット111c、11dを通して)プレナム64の熱交換器出口部分117へ入り、プレナム64の出口区画117と流体連通している駆動軸52へ加熱された状態で入る。入口区画116は駆動軸52と流体連通していないので、加熱されていないシールエアは、熱交換器を通過して始めて駆動軸へ入ることができる。駆動軸52は、加熱されたシールエアをシール面へ送る流体導管として働く。
【0028】
熱交換器112は、熱交換器112を取り巻く大気が高温の排気であるように、出口プレナム47内に配置されているのが望ましい。そうすると、シールエアは熱伝導で加熱されるので、シールエアを加熱する予備の熱源は必要ない。高温の排気の温度は高いので、熱交換器112は、低温のシールエアが熱交換器112を通って流れるときにその空気を加熱できる温度まで加熱される。この様に、本発明は、先に浪費された熱(エネルギー)を捕捉し、システムに負担を掛けたり追加エネルギー源を必要とすることなく、シールエアを加熱する。図10と図11に示している、プレナム47前方の熱交換器112の具体的な位置は、図12に示しているように、プレナム64の側壁に、簡単に(プレナム64と熱交換器の間に流体連通を形成できるだけの)熱交換入口及び出口穴又はスロット111を形成することによって、プレナム64と容易に連通させることができるので、既存の設備を容易に改造できる都合の良い場所である。更に、熱交換器112のこの場所は、閉じ込め室のような他の酸化装置周辺装置と干渉するようなことはない。代わりに、熱交換器112を、プレナム47の内周付近に、流れ分配器50の回りに配置することもできる。
【0029】
別の実施形態では、熱交換器を省き、適量の高温の排気を、シールエアと直接混ぜ合わせてその温度を上昇させることもできる。代わりに、熱交換器を、循環している排気の一部と組み合わせて使用し、シールエアと直接混ぜ合わせてシールエアの加熱を補うこともできる。
【0030】
図13は、本発明で使用するのに適した熱交換器112の或る好適な実施形態を示している。複数の管112(図では10本)は、排出プレナム64内に配置して伝導性のある構成に組立られている。好適な構成は、図示のように実質的にC字型である。熱交換器112の入口端123と熱交換器112の出口端124の間の空隙は、プレナム64を受け入れるのに十分である。組立易くするため、熱交換器112は、2つの同一の部品で形成され、組立後は中央支持フランジ129で一体に保持されるのが望ましい。シールエアを適切な温度に加熱するには、効率40−50%の熱交換器で十分なことが分かっている。
【0031】
図14は、軸52に加圧された空気を供給するプレナム64が、駆動軸52に対してどの様にシールされているかを示している。プレナム64の上下の各シールに使用するのに必要なピストンリングは1つだけである。例えば、プレナム64の上方のシールを使って、中に中央溝をくり抜くことにより、C字型内側リングシール216を形成する。外側リングシールとして機能する固定環状円筒形壁210は、壁210の中心合わせを行い、それをプレナム64に留めるのに用いられる外側環状フランジ211を含んでいる。固定ピストンリング212は、C字型内側リングシール216内に形成されている溝の中に配置され、壁210に押し付けられている。ピストンリング212とC字型内側シール216の溝の間の空隙、並びにC字型内側シール216と外側円筒形壁210の間の空隙は、熱膨張などによる駆動軸52の動きを全て吸収する。同様の円筒形壁310、C字型内側シール316及びピストンリング312が、図15に示すように、プレナム64の反対側にも用いられている。
【0032】
作動時、第1のモードでは、未処理の(「汚染」)処理ガスは、入口48へ入り、流れ分配器50の経路61を通って、このモードで経路61と開放連通している各弁ポート25へと流入する。その後、未処理の処理ガスは、低温面プレナム20に支持されている高温の熱交換媒体を通って上昇し、燃焼ゾーンを通過し、そこで処理され、浄化されたガスは、第2コラム内の低温の熱交換媒体を通って流れ下り、経路60と連通している弁ポート25を通り、プレナム47と出口49から出る間に冷却される。低温の熱交換媒体が比較的高温になり、高温の熱交換媒体が比較的低温になると、駆動機構を起動させて、駆動軸52と流れ分配器50を回転させることによって、サイクルを逆転させる。この第2のモードでは、未処理の処理ガスは、この場合も入口48に入り、流れ分配器50の経路61を通るが、この経路は、今度は、以前は経路60とだけ流体連通していた異なる弁ポート25と連通しているので、未処理の処理ガスを、現在高温になっている熱交換コラムへ送り、次いで燃焼ゾーンに通して、そこで処理ガスが処理される。浄化されたガスは、他方のコラム内の現在低温になっている熱交換媒体を通って流れ下り、今は経路60と連通している弁ポート25を通過し、プレナム47と出口49から出る間に冷却される。このサイクルは、必要に応じて、一般的には1−4分毎に繰り返される。プレナム47内の高温の排出ガスは、熱交換器112を取り巻き、その熱の幾らかを熱交換器へ移し、それによって熱交換器112内を循環するシールエアを加熱する。
【0033】
先に述べたように、上記サイクルは、ポペット弁及びバタフライ弁を含む他の型式の弁システムにも利用できる。重要な構成要素は、弁と、シールガスを送るブロワ又は他の装置と、高温の排気流れの中の熱交換器と、熱交換器からシール面までの導管である。例えば、図16に示す4つのポペット弁200、201、202、203を使用している2ベッド式再生式熱酸化装置では、2つの出口弁は既に温まっており、凝結は一般的に問題ないので、コラム入口の2つの弁だけに、加熱されたシールエアが必要である。シールエア・ブロワ210は、排気煙突216内のような排気流れ内に配置されている熱交換器212を通して、シールエアを供給する。熱交換器212の出口は、適切な送出導管を通して弁のシール面と流体連通している。オン/オフ弁220、221は、ポペット弁が開位置にあるときには各ポペット弁へのシールエアの流れを停止し、ポペット弁が閉じてシール位置にあるときには流れるように、各導管内に配置されている。
【0034】
図17を見ればよく分かるように、ポペット弁のポペットディスク230は、シリンダ232を使って弁を伸縮させる軸231に連結されている。2つのシートを有する環状プレナム240は、図示のように、加熱されたシールエアと流体連通している。弁が閉じ位置にあるときは、加熱されたシールエアはプレナムへ流れ、効果的なシールを形成する。
【0035】
同様に、図19と図20は、バタフライ弁330へ適用した例を示している。中空ブレード331の空洞は、ブレード331を回転させて弁ハウジング340の弁シート335とシール関係に入れたり出したりするために回転作動装置344に連結されている中空軸332と流体連通している。中空軸332は、更に、加熱されたシールエアの供給源と流体連通している。ブレード331は、弁が閉位置にあるときに、弁シート335と整列してシールされたインタフェースを作る複数のシールポート341を、ブレードの周辺部回りに含んでいる。加熱されたシールエアは、中空軸332から出てブレード331へ流入し、シールポート341を出て弁シート335に当る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の或る実施形態による再生式熱酸化装置の斜視図である。
【図2】本発明の或る実施形態による再生式熱酸化装置の一部分の分解斜視図である。
【図3】本発明で使用するのに適した弁の弁ポート形成部分の底部斜視図である。
【図4】本発明で使用するのに適した切替弁の流れ分配器形成部分の斜視図である。
【図4A】図4の流れ分配器の断面図である。
【図5】図4の流れ分配器の一部分の斜視図である。
【図6】本発明で使用するのに適した弁のシールプレートの上面図である。
【図6A】図6のシールプレートの一部分の断面図である。
【図7】図4の流れ分配器の軸の斜視図である。
【図8】本発明による出口ガスプレナム内に配置されている熱交換器の上面図である。
【図9】本発明による、分かり易くするために熱交換器を取り除いたシールガスプレナムの上面図である。
【図10】本発明によるガス出口プレナム及びシールガスプレナムの前面図である。
【図11】本発明の或る実施形態によるガス出口プレナム内の流れ分配器と熱交換器の断面図である。
【図12】本発明によるシールガスプレナム内のバッフルの斜視図である。
【図13】本発明による熱交換器の斜視図である。
【図14】本発明で使用するのに適した流れ分配器の回転ポートの断面図である。
【図15】本発明で使用するのに適した流れ分配器の駆動軸の下側部分の断面図である。
【図16】本発明の或る実施形態による、高温シールエアによるポペット弁を使用する再生式熱酸化装置の概略図である。
【図17】本発明の或る実施形態による、ポペット弁用の環状シールインタフェースの概略図である。
【図18】本発明で使用するのに適した弁の回転式ポートの断面図である。
【図18A】本発明で使用するのに適した弁をシールするためのリテイニングリングの斜視図である。
【図18B】図18Aのリテイニングリングの断面図である。
【図18C】本発明で使用するのに適した弁をシールするための取付リングの斜視図である。
【図18D】図18Cの取付リングの断面図である。
【図18E】本発明で使用するのに適した弁用のプレート支持弧状材の斜視図である。
【図18F】図18Eのプレート支持弧状材の断面図である。
【図18G】本発明で使用するのに適した弁用のシールリングの或る実施形態の斜視図である。
【図18H】図18Gのシールリングの断面図である。
【図18I】図18Gのシールリング内の凹部の断面図である。
【図19】高温のシールエアを使用しているバタフライ弁の断面図である。
【図20】図19のバタフライ弁の上面図である。
【技術分野】
【0001】
【背景技術】
【0002】
再生式熱酸化装置は、産業用設備及び発電設備から出る高流量で低濃度の排出物内の揮発性有機化合物(VOC)を破壊するのに従来から使用されている。このような酸化装置では、高いVOC破壊を実現するために、一般的に高い酸化温度を必要とする。高い熱回収効率を実現するために、処理対象の「汚染」処理ガスは、酸化前に事前加熱される。このガスを事前加熱するために、通常、熱交換器コラムが設けられている。コラムには、普通は、良好な熱的及び機械的安定性と十分な熱質量を有する熱交換材料が詰められている。作動時、処理ガスは、予め加熱された熱交換器コラムを通して供給され、コラムが、処理ガスを、そのVOC酸化温度に近いか又はそれを達する温度に加熱する。この事前加熱された処理ガスは、次いで燃焼ゾーンへ送られ、不完全なVOC酸化があればそこで酸化が完了する。処理されて「清浄」になったガスは、その後、燃焼ゾーンの外へ出され、熱交換器コラム又は第2熱交換コラムを通して逆に流される。高温で酸化されたガスは、このコラムを通って流れる間に、その熱をそのコラム内の熱交換媒体へ伝達し、ガス自体は冷却され、熱交換媒体が事前加熱されるので、別のバッチの処理ガスを酸化処理の前に事前加熱できるようになる。通常、再生式熱酸化装置は、少なくとも2つの熱交換器コラムを有しており、処理ガスと処理済みガスを交互に受け入れる。このプロセスが継続して実行され、大量の処理ガスを能率的に処理できるようになる。
【0003】
再生酸化装置の性能は、VOC破壊効率を上げ、運転及び資本経費を下げることによって最適化できる。VOC破壊効率を上げる技術については、文献にあるように、例えば、改良型酸化システム及び掃気システム(例えば、閉じ込め室)のような手段と、切替の間に酸化装置内の未処理のガスを扱う3つ以上の熱交換器とを使って取り組んできた。運転経費は、熱回収効率を上げ、酸化装置の圧力降下を減じることによって下げることができる。運転及び資本経費は、酸化装置を適切に設計し、適切な熱伝達充填材料を選択することによって下げることができる。
【0004】
能率的酸化装置の重要な要件は、1つの熱交換コラムから別の熱交換コラムへの処理ガスの流れを切替えるのに用いられる弁の作動である。弁システム通して未処理の処理ガスが漏れると、装置の効率が下がることになる。また、弁の切替の間にシステム内の圧力及び/又は流れに乱れ及び変動が生じることもあり、これは望ましくない。弁の摩耗は、特に、再生式熱酸化装置では弁切替頻度が高い点を考えると、問題である。
【0005】
或る従来型の2コラム設計では、米国特許第6,261,092号に開示されている改良型のシールを有する単一の切替弁を用いており、その開示を、参考文献としてここに援用する。弁は2つの室を画定するシールプレートを有しており、各室が、酸化装置の2つの再生ベッドの内の1つに繋がる流れポートである。弁は、更に、出入りする処理ガスの経路をシールプレートの各半分に対して交互に指定する切替式流れ分配器を含んでいる。弁は、静止モードと弁運動モードの2つのモードの間で作動する。静止モードでは、密封ガスシールを用いて、処理ガスの漏れを最小にするか、又は防いでいる。ガスシールは、弁の運動の間もシールする。付帯するバッフルが、切替の間に、弁を通って未処理の処理ガスが漏れるのを最小にするか、又は無くする。従来使用されている2つ又は4つの弁ではなく、単一の弁を使用すると、シールを必要とする面積が大幅に少なくなる。切替式流れ分配器のジオメトリによって、流れ分配器を熱交換ベッド近くに配置することができるようになるので、処理ガスが通過する距離と方向転換の数が減少する。このことによって、弁の切替の間に捕捉される未処理のガスの量が減少する。処理ガスは、吸入サイクルで、排出サイクルと同じ弁ポートを通過するので、熱交換ベッドへのガス分配は改善される。圧力変動を最小に抑えた弁の切替、優れたシール性、及び、切替の間のバイパスを最小にし又は無くすることが、再生式熱酸化装置で実現される。切替の間のバイパスを排除することについては、切替の間にシステム内の或る量の未処理ガスを保管するのに用いられている従来型の閉じ込め室を省けるので、相当な経費節減になる。
【0006】
シールエアは、このような流れ制御弁が、流れを、例えば再生熱及び触媒酸化装置に出入りさせる能力を高めるのに用いられる。このことは、弁の着座面に向けられる正又は負に加減圧されたガスを使用することによって達成される。一般的に、シール用に使用される空気は、周囲温度、又は周囲温度近くの外部空気である。正圧ガスを使用しているシステムでは、このシールエアの冷却効果が、弁座上に、処理ガスの流れの中の凝結性又は粘着性の粒子による堆積を引き起こすこともある。このことは、処理ガス内に凝結性粒子の存在するのが当たり前のグラフィックアート用途では、特に問題である。
【0007】
従って、このような酸化装置では物質の凝結を低減又は取り除くことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,261,092号
【特許文献2】米国特許出願第09/849,785号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
先行技術の問題は、切替弁のためのガスシールと、切替弁を備えている再生式熱酸化装置とを提供する本発明が克服している。本発明のシールは、シールガスで冷却した場合には凝結する恐れのある物質の凝結を最小にするか又は無くすために、十分に高温のガス、望ましくは空気、を利用している。或る好適な実施形態では、シールガスは、再生式熱酸化装置からの排気との熱交換によって加熱されるので、有害な凝結に対して費用効果に優れた解決法を提供している。シールガスを加熱するための熱交換器の戦略的な配置は、熱交換器を既存の装置に組み込む際の小型の構造と簡単さを考慮している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下の説明の大部分は、米国特許第6,261,092号の切替弁に関わる高温シールガスの使用について述べているが、本発明は、特定の弁に限定されるものではなく、熱源を含むどの様な弁システムにも利用できるものと理解頂きたい。
【0011】
‘092号特許に開示されている弁については精通していることを前提とする。簡単に言えば、図1及び図2は、図示の通りフレーム12に支持されている2室式の再生式熱酸化装置10(触媒式又は非触媒式)を示している。酸化装置10は、ハウジング15を備えており、中には、中央に配置されている燃焼ゾーンと連通している第1及び第2熱交換器室がある。燃焼ゾーンにはバーナー(図示せず)が付設され、燃焼空気をバーナーへ供給するため、燃焼ブロワがフレーム12に支持されている。燃焼ゾーンは、一般的には大気に繋がっている排気煙突16と流体連通しているバイパス出口14を含んでいる。制御キャビネット11は、装置の制御部を収容しており、フレーム12上に配置されているのが望ましい。制御キャビネット11の反対側には、処理ガスを酸化装置10内へ送るためのファン(図示せず)がフレーム12に支持されている。ハウジング15は、オペレーターがハウジング15へ接近できるようにする1つ又は複数のアクセスドア18を有する上部室又はルーフ17を含んでいる。当業者には理解頂けるように、酸化装置に関する上記記述は説明のみを目的にしており、2つ以上又は以下の室を有する酸化装置、水平方向に向いた室を備えた酸化装置、及び触媒式酸化装置を含む、本発明の範囲内にある他の設計でもよい。図2を見ると良く分かるように、低温面プレナム20は、ハウジング15の基板を形成している。適切な支持格子19が低温面プレナム20上に設けられ、以下に詳細
に論じるように、各熱交換コラム内の熱交換マトリックスを支持している。図示の実施形態では、熱交換室は分離壁21で分離されており、分離壁は断熱されているのが望ましい。更に、図示の実施形態では、熱交換ベッドを通過する流れは垂直であり、処理ガスは、低温面プレナム20内に配置されている弁ポートからベッドに入り、第1ベッドへと上方向に(ルーフ17に向かって)流れ、第1ベッドと連通している燃焼ゾーンに入り、燃焼ゾーンから流出して、第2室へ流入し、そこで下方向に第2ベッドを通過して、低温面プレナム20に向かって流れる。しかしながら、当業者には理解頂けるように、熱交換コラムが互いに向き合っており、中央に配置されている燃焼ゾーンで分離されているような、水平配置を含む他の向きでも適している。
【0012】
図3は、弁ポート25を底から見た図である。プレート28は、2つの向かい合う対称形の開口部29Aと29Bを有しており、両開口部は、バッフル26(図2)と共に、弁ポート25を画定している。各弁ポート25には随意の回転羽根27が配置されている。各回転羽根27は、プレート28に固定されている第1端部と、第1端部から間隔を空けて設けられ各側部でバッフル24に固定されている第2端部と有している。各回転羽根27は、その第1端部からその第2端部に向かって拡がっており、上方向に或る角度が付けられ、その後、図4に示すように、27Aで水平方向に平らになっている。回転羽根27は、弁ポートから出る処理ガスの流れが、弁ポートから離れるように向ける働きをし、作動の間に低温面プレナムを横切る分配を支援する。低温面プレナム20への均一な分配は、熱交換効率を最適にするために、熱交換媒体に亘って確実に均一に分配されるの支援をする。
【0013】
図4及び図4Aは、処理ガス入口48と処理ガス出口49を有するマニホルド51内に収納されている流れ分配器50を示している(要素48が出口で、要素49が入口でもよいが、上記実施形態では説明のためこの様にしている)。流れ分配器50は、駆動機構に連結されている、望ましくは中空の円筒形駆動軸52(図4A、図6)を含んでいる。駆動軸52には、円錐台形の部材53が連結されている。部材53は、2つの相対するパイ型のシール面55、56で形成されている連結プレートを含んでおり、各シール面は、円形外縁部54で接続されており、駆動軸52から外方向に45°の角度で伸張し、2つのシール面55、56と外縁部54で画定される空所が、第1ガス経路又は通路60を形成するようになっている。同様に、第2ガス経路又は通路61は、第1通路と反対側のシール面55、56と、3つの傾斜面、即ち、向かい合う傾斜側面プレート57A、57B及び中央傾斜側面プレート57Cとによって画定される。
【0014】
傾斜側面プレート57は、通路60と通路61を分離している。これらの通路60、61の上部は、プレート28の対称な開口部29A、29Bの形状と一致するように設計されており、組み立てられた状態では、各通路60、61は、各開口部29A、29Bと整列する。流れ分配器50の向きに関係なく何れの所与の時間でも、通路61は入口48とだけ流体連通し、通路60はプレナム47を介して出口49とだけ流体連通している。従って、入口48を通ってマニホルド51に入る処理ガスは、通路61だけに流れ、弁ポート25から通路60へ入る処理ガスは、プレナム47を介して出口49だけを通って流れる。
【0015】
シールプレート100(図6)は、弁ポート25(図3)を画定しているプレート28に連結されている。以下に詳細に論じるが、流れ分配器50の上面とシールプレート100の間に、エアシールを用いるのが望ましい。流れ分配器は、駆動軸52によって、固定プレート28に対して垂直軸回りに回転可能である。そのような回転によって、シール面55、56は、開口部29A、29Bの部分と整列位置、及び整列が遮断される位置へと動かされる。
【0016】
最初に図4、6、7を参照しながら、弁をシールするための方法について論じる。流れ分配器50は、流れ分配器が動く際の磨耗を最小にするか、又は無くすために、空気のクッションの上に載っている。当業者には理解頂けるように、空気以外の気体を用いてもよいが、空気が適切なので、ここでは分かり易くするため空気を使って説明する。空気のクッションは、弁をシールするだけでなく、流れ分配器の運動の摩擦を無くすか、又は実質的に無くすことになる。ファンなどの様な加圧送出システムは、燃焼空気を燃焼ゾーンのバーナーへ供給するのに用いられるファンと同じでも異なってもよいが、適切な配管(図示せず)とプレナム64を通して、流れ分配器50の駆動軸52へ空気を供給する。図7を見ると良く分かるように、空気は、駆動機構70に連結されている駆動軸52の基板82の上方で、駆動軸52の本体に形成されている1つ又は複数の窓81を通して、配管から駆動軸52内へと移動する。窓は18、軸52の回りに対称的に配置され、均等化のために等しい大きさになっているのが望ましいが、窓81の正確な場所は特に限定されるものではない。加圧された空気は、図5の矢印で示しているように、軸を上向きに流れ、以下に詳細に論じるが、その一部は、環状の回転ポート90に配置されているリングシールと連通している1つ又は複数の半径方向管83に入り、リングシールに空気を供給する。半径方向管83に入らない空気の部分は、駆動軸52を上がり続けて経路94に達し、経路94は、空気を、半円部分95と、パイ型ウェッジ55、56で画定される部分とを有するチャネル内に配る。流れ分配器50の連結表面、具体的にはパイ型ウェッジ55、56と環状外縁部54の表面には、図4に示しているように、複数の孔96が形成されている。チャネル95からの加圧された空気は、図5に矢印で示すように、これらの孔96を通ってチャネル95から抜け出し、流れ分配器50の上面と、図6に示している固定シールプレート100の間に空気のクッションを作る。シールプレート100は、流れ分配器50の上面54の幅に相当する幅を有する環状外縁部102と、形状が流れ分配器50のパイ型ウェッジ55、56に相当する一対のパイ型要素105、106とを含んでいる。シールプレート100は、弁ポートのプレート28(図3)と合わされ(連結されて)いる。孔104には、流れ分配器50に連結されているシャフトピン59(図5)が入る。流れ分配器に相対している環状外縁部102の裏側には、流れ分配器50の連結表面の孔96と整列する1つ又は複数の環状溝99(図6A)が設けられている。2列の同心の溝99と対応する2列の孔96があるのが望ましい。この様にすると、溝99によって、空気が上面54の孔96から抜け出して、連結表面54とシールプレート100の環状外縁部102の間に空気のクッションを形成し易くなる。更に、パイ型部分55、56の孔96を抜け出た空気は、パイ型部分55、56とシールプレート100のパイ型部分105、106の間に空気のクッションを形成する。これらの空気のクッションは、浄化されていない処理ガスが漏れて、清浄な処理ガスの流れに入るのを最小にするか、又は防ぐ。流れ分配器50とシールプレート100の両方の比較的大きいパイ型ウェッジは、浄化されていないガスが漏れる際には横断しなければならない、流れ分配器50の上部に亘る長い経路を作り出している。作動中の大部分の時間、流れ分配器は静止しているので、全ての弁連結表面の間に、貫通できない空気のクッションが作られる。流れ分配器を動かす必要がある場合には、弁をシールするのに用いられている空気のクッションは、流れ分配器50とシールプレート100の間に、高い接点圧力が生じて摩擦が発生するのを防ぐ働きもする。
【0017】
加圧された空気は、処理ガスを、弁が用いられている装置へ送っているファンとは異なるファンから送られ、従ってシールエアの圧力は、出入りする処理ガスの圧力よりも高く、正圧シールを形成するのが望ましい。
【0018】
図7と図14を見れば良く分かるように、流れ分配器50は回転ポートを含んでいる。流れ分配器50の円錐台部分53は、外側リングシールとして機能する環状の円筒形壁110の回りを回転する。壁110は、壁110の中心合わせを行い、それをマニホルド51に留める(図4も参照)のに使用される外側環状フランジ111を含んでいる。E字型の内側リングシール部材116(金属製であるのが望ましい)は、流れ分配器50に連結されており、中には一対の間隔を空けて配置されている平行な溝115A、115Bが形成されている。図示のように、ピストンリング112Aが溝115A内に配置され、ピストンリング112Bが溝115B内に配置される。各ピストンリング112は、外側リングシール壁110に対して押し付けられ、流れ分配器50が回転するときも静止状態に留まる。加圧された空気(又はガス)は、図14に矢印で示しているように半径方向管83を通り、各半径方向管83と連通している穴84を通過し、ピストンリング112Aと112Bの間のチャネル119へ、並びに各ピストンリング112と内側リングシール116の間の空隙へと流入する。流れ分配器が、固定円筒形壁110(及びピストンリング112A、112B)に対して回転する際には、チャネル119内の空気は、2つのピストンリング112Aと112Bの間の空間を加圧し、連続する摩擦の無いシールを作る。ピストンリング112と内側ピストンシール116の間の空隙、及び、内側ピストンシール116と壁110の間の空隙は、熱成長又は他の要因による駆動軸52の運動(軸方向又は他の方向)を全て吸収する。当業者には理解頂けるように、二重ピストンリングシールを図示しているが、シール性を上げるために3つ以上のピストンリングを使用することもできる。シールするには、正の圧力でも負の圧力でも使用することができる。
【0019】
図15は、駆動軸52に加圧された空気を送っているプレナム64が、駆動軸52に対してどの様にシールされているかを示している。シールは、シールが加圧されず、プレナム64の上下の各シールに用いるのに必要なピストンリングが1つのだけであることを除けば、先に論じた回転ポートと同様の方式である。例えば、プレナム64の上方のシールを使って、中に中央溝をくり抜くことにより、C字型内側リングシール216を形成する。外側リングシールとして機能する固定環状円筒形壁210は、壁210の中心合わせを行い、それをプレナム64に留めるのに用いられる外側環状フランジ211を含んでいる。固定ピストンリング212は、C字型内側リングシール216内に形成されている溝の中に配置され、壁210に押し付けられている。ピストンリング212とC字型内側シール216の溝の間の空隙、並びにC字型内側シール216と外側円筒形壁210の間の空隙は、熱膨張などによる駆動軸52の動きを全て吸収する。同様の円筒形壁310、C字型内側シール316及びピストンリング312が、図15に示すように、プレナム64の反対側にも用いられている。
【0020】
シールするための別の実施形態を、図18−18Iに示しているが、これは同時係属中の米国特許出願第09/849,785号に示されているもので、同開示を参考文献としてここに援用する。図18に示すように、望ましくは炭素鋼で作られているリテイニングリングシール664は、回転式アッセンブリ53に取り付けられている。リテイニングシールリング664は、図18の斜視図に示すように割りリングで、図18Bに示す断面を有しているのが望ましい。リングを割ると、取り付け取り外しが容易になる。リテイニングシールリング664は、袋ねじ140で回転式アッセンブリ53に取り付けることができ、リング664を取り付けるのに適切な他の手段を使用してもよい。回転式アッセンブリは、リテイニングリングシールを適所に適切に配置するための溝を含んでいるのが望ましい。
【0021】
リテイニングシールリング664の反対側には取り付けリング091があり、図18C及び18Dに良く分かるように示している。取り付けリング091も袋ねじ140’で回転式アッセンブリ53に連結されており、取り付けリング091を適切に配置するための溝が、回転式アッセンブリ内に形成されている。
【0022】
回転式アッセンブリが垂直軸回りに回転する図示の実施形態では、シールリング658は、取り付けリング091に対して滑動する際に、その重量が磨耗の原因となる恐れがある。この磨耗を低減又は無くすために、取り付けリング663には、その円周に沿って舌
状部401が形成されており、それも図18Dを見れば良く分かるように、中央に配置されているのが望ましい。随意のプレート支持弧状材663は、形状と場所が舌状部401に対応する溝402を有しており(図18E、18F)、図18に示すように、組み立て時には、取り付けリング091の上に着座する。プレート支持弧状材663は、ベアリングとして機能し易いように、シールリング658とは異なる材料で作られているのが望ましい。適切な材料は、青銅、セラミック、又は、シールリング658の材料として使用されている金属とは異なる他の金属である。
【0023】
リテイニングシールリング664と弧状材663との間に、シールリング658が配置されている。図18Gと図18Hに示しているように、シールリング658は、その円周全体に半径方向スロット403が形成されている。シールリング658の一端では、半径方向スロット403が外周の半円形状で終結しているので、図18に示すように、シールリング658がリングシールハウジング659に当接すると、分配溝145ができる。代わりに、2つ以上の半径方向スロット403を使用することもできる。図示の実施形態では、リングシール658には、半径方向スロット403と連通し、これに直交する孔404も形成されている。この孔404を加圧することによって釣合が作り出され、シールリング658が、自重によって下方向に動くことがないようになる。弁の向きが、180°回転させた場合のように異なる場合は、孔404を、シールリング658の上側部分に形成することができる。代わりに、上側部分又は下側部分、或いはその両方に2つ以上の孔404を用いてもよい。例えば、向きを90度回転させた場合、釣合は必要ない。シールリング658は静止したままで、ハウジングも静止しているので、シール658は丸くなくてもよく、楕円形及び八角形を含む他の形状も適している。リングシール658は、単一部片で作ってもよいし、2つ以上の部片であってもよい。
【0024】
リングシール658は、リングシールハウジング659に押し付けられており、流れ分配器50(及びシールリング664、プレート支持材663及び取り付けリング091)が回転しても、静止したままである。加圧された空気(又はガス)は、図18の矢印で示すように、半径方向の管83を通り、半径方向スロット403と孔404、更にシールリング658とハウジング659の間の分配溝145、リテイニングリングシール664とハウジング659の間の空隙、及び弧状材663とハウジング659の間の空隙、取付リング091とハウジング659の間の空隙へと流れる。流れ分配器50が固定ハウジング659(及び固定シールリング658)に対して回転する際には、これらの空隙内の空気はこれらの空間を加圧し、連続する無摩擦シールを作り出す。分配溝145は、リングシール658の外側表面を、外側の穴壁と接触する2つのゾーンと中心の圧力ゾーンの、3つのゾーンに分割している。
【0025】
単一のシールリングアッセンブリを使用することによって、二重のピストンリングシールを押したり引いたりして引き離す力を無くすことができる。更に、部品点数が減るので節約でき、単一のリングをより大きな断面で作ることができるので、寸法的に安定した構成要素で作ることができる。リングは、簡単に装着、交換ができるように、2つ割りにすることもできる。分割部の凹み穴405(図18I)に圧縮ばね又は他の付勢手段を配置して、リングの外向きの力を孔に加えることもできる。
【0026】
図15は、駆動軸52に加圧された空気を送っているプレナム64が、駆動軸52に対してどの様にシールされているかを示している。シールは、シールが加圧されず、プレナム64の上下の各シールに用いるのに必要なピストンリングが1つのだけであることを除けば、先に論じた回転ポートと同様の方式である。例えば、プレナム64の上方のシールを使って、中に中央溝をくり抜くことにより、C字型内側リングシール216を形成する。外側リングシールとして機能する固定環状円筒形壁210は、壁210の中心合わせを行い、それをプレナム64に留めるのに用いられる外側環状フランジ211を含んでいる。固定ピストンリング212は、C字型内側リングシール216内に形成されている溝の中に配置され、壁210に押し付けられている。ピストンリング212とC字型内側シール216の溝の間の空隙、並びにC字型内側シール216と外側円筒形壁210の間の空隙は、熱膨張などによる駆動軸52の動きを全て吸収する。同様の円筒形壁310、C字型内側シール316及びピストンリング312が、図15に示すように、プレナム64の反対側にも用いられている。
【0027】
次に、図8と図9は、シールエアを加熱するための好適な実施形態を示している。普通はマニホルド51内に収容されているプレナム64の窓110に入り、窓81(図7)を通って軸52へと流入した低温の空気は、今度は熱交換器112へと方向転換させられる。特に図9と図12に示すように、低温の空気の流れを方向転換する好適な方法は、プレナム64内に配置されているバッフル115を使うやり方である。バッフル115は、プレナム64の床からプレナム64の天井まで伸張しており、プレナム64を、熱交換器入口区画116と熱交換器出口区画117に分離している。窓110A(図9)は、完全に熱交換器入口区画116内に配置されているので、この窓110Aからプレナム64へと流れる低温の空気は、入口区画116内だけに存在し、(スロット111a、11bを通して)熱交換器112の入口へ押し出され、そこで、処理ガスを凝結可能に冷却するのを最小化するか、又は防げるだけの温度に加熱される。適切な温度は、処理ガスの露点を上回る、一般的には華氏約150°から約250°の温度である。加熱されたシールエアは、バッフルの反対側で熱交換器を出て、(スロット111c、11dを通して)プレナム64の熱交換器出口部分117へ入り、プレナム64の出口区画117と流体連通している駆動軸52へ加熱された状態で入る。入口区画116は駆動軸52と流体連通していないので、加熱されていないシールエアは、熱交換器を通過して始めて駆動軸へ入ることができる。駆動軸52は、加熱されたシールエアをシール面へ送る流体導管として働く。
【0028】
熱交換器112は、熱交換器112を取り巻く大気が高温の排気であるように、出口プレナム47内に配置されているのが望ましい。そうすると、シールエアは熱伝導で加熱されるので、シールエアを加熱する予備の熱源は必要ない。高温の排気の温度は高いので、熱交換器112は、低温のシールエアが熱交換器112を通って流れるときにその空気を加熱できる温度まで加熱される。この様に、本発明は、先に浪費された熱(エネルギー)を捕捉し、システムに負担を掛けたり追加エネルギー源を必要とすることなく、シールエアを加熱する。図10と図11に示している、プレナム47前方の熱交換器112の具体的な位置は、図12に示しているように、プレナム64の側壁に、簡単に(プレナム64と熱交換器の間に流体連通を形成できるだけの)熱交換入口及び出口穴又はスロット111を形成することによって、プレナム64と容易に連通させることができるので、既存の設備を容易に改造できる都合の良い場所である。更に、熱交換器112のこの場所は、閉じ込め室のような他の酸化装置周辺装置と干渉するようなことはない。代わりに、熱交換器112を、プレナム47の内周付近に、流れ分配器50の回りに配置することもできる。
【0029】
別の実施形態では、熱交換器を省き、適量の高温の排気を、シールエアと直接混ぜ合わせてその温度を上昇させることもできる。代わりに、熱交換器を、循環している排気の一部と組み合わせて使用し、シールエアと直接混ぜ合わせてシールエアの加熱を補うこともできる。
【0030】
図13は、本発明で使用するのに適した熱交換器112の或る好適な実施形態を示している。複数の管112(図では10本)は、排出プレナム64内に配置して伝導性のある構成に組立られている。好適な構成は、図示のように実質的にC字型である。熱交換器112の入口端123と熱交換器112の出口端124の間の空隙は、プレナム64を受け入れるのに十分である。組立易くするため、熱交換器112は、2つの同一の部品で形成され、組立後は中央支持フランジ129で一体に保持されるのが望ましい。シールエアを適切な温度に加熱するには、効率40−50%の熱交換器で十分なことが分かっている。
【0031】
図14は、軸52に加圧された空気を供給するプレナム64が、駆動軸52に対してどの様にシールされているかを示している。プレナム64の上下の各シールに使用するのに必要なピストンリングは1つだけである。例えば、プレナム64の上方のシールを使って、中に中央溝をくり抜くことにより、C字型内側リングシール216を形成する。外側リングシールとして機能する固定環状円筒形壁210は、壁210の中心合わせを行い、それをプレナム64に留めるのに用いられる外側環状フランジ211を含んでいる。固定ピストンリング212は、C字型内側リングシール216内に形成されている溝の中に配置され、壁210に押し付けられている。ピストンリング212とC字型内側シール216の溝の間の空隙、並びにC字型内側シール216と外側円筒形壁210の間の空隙は、熱膨張などによる駆動軸52の動きを全て吸収する。同様の円筒形壁310、C字型内側シール316及びピストンリング312が、図15に示すように、プレナム64の反対側にも用いられている。
【0032】
作動時、第1のモードでは、未処理の(「汚染」)処理ガスは、入口48へ入り、流れ分配器50の経路61を通って、このモードで経路61と開放連通している各弁ポート25へと流入する。その後、未処理の処理ガスは、低温面プレナム20に支持されている高温の熱交換媒体を通って上昇し、燃焼ゾーンを通過し、そこで処理され、浄化されたガスは、第2コラム内の低温の熱交換媒体を通って流れ下り、経路60と連通している弁ポート25を通り、プレナム47と出口49から出る間に冷却される。低温の熱交換媒体が比較的高温になり、高温の熱交換媒体が比較的低温になると、駆動機構を起動させて、駆動軸52と流れ分配器50を回転させることによって、サイクルを逆転させる。この第2のモードでは、未処理の処理ガスは、この場合も入口48に入り、流れ分配器50の経路61を通るが、この経路は、今度は、以前は経路60とだけ流体連通していた異なる弁ポート25と連通しているので、未処理の処理ガスを、現在高温になっている熱交換コラムへ送り、次いで燃焼ゾーンに通して、そこで処理ガスが処理される。浄化されたガスは、他方のコラム内の現在低温になっている熱交換媒体を通って流れ下り、今は経路60と連通している弁ポート25を通過し、プレナム47と出口49から出る間に冷却される。このサイクルは、必要に応じて、一般的には1−4分毎に繰り返される。プレナム47内の高温の排出ガスは、熱交換器112を取り巻き、その熱の幾らかを熱交換器へ移し、それによって熱交換器112内を循環するシールエアを加熱する。
【0033】
先に述べたように、上記サイクルは、ポペット弁及びバタフライ弁を含む他の型式の弁システムにも利用できる。重要な構成要素は、弁と、シールガスを送るブロワ又は他の装置と、高温の排気流れの中の熱交換器と、熱交換器からシール面までの導管である。例えば、図16に示す4つのポペット弁200、201、202、203を使用している2ベッド式再生式熱酸化装置では、2つの出口弁は既に温まっており、凝結は一般的に問題ないので、コラム入口の2つの弁だけに、加熱されたシールエアが必要である。シールエア・ブロワ210は、排気煙突216内のような排気流れ内に配置されている熱交換器212を通して、シールエアを供給する。熱交換器212の出口は、適切な送出導管を通して弁のシール面と流体連通している。オン/オフ弁220、221は、ポペット弁が開位置にあるときには各ポペット弁へのシールエアの流れを停止し、ポペット弁が閉じてシール位置にあるときには流れるように、各導管内に配置されている。
【0034】
図17を見ればよく分かるように、ポペット弁のポペットディスク230は、シリンダ232を使って弁を伸縮させる軸231に連結されている。2つのシートを有する環状プレナム240は、図示のように、加熱されたシールエアと流体連通している。弁が閉じ位置にあるときは、加熱されたシールエアはプレナムへ流れ、効果的なシールを形成する。
【0035】
同様に、図19と図20は、バタフライ弁330へ適用した例を示している。中空ブレード331の空洞は、ブレード331を回転させて弁ハウジング340の弁シート335とシール関係に入れたり出したりするために回転作動装置344に連結されている中空軸332と流体連通している。中空軸332は、更に、加熱されたシールエアの供給源と流体連通している。ブレード331は、弁が閉位置にあるときに、弁シート335と整列してシールされたインタフェースを作る複数のシールポート341を、ブレードの周辺部回りに含んでいる。加熱されたシールエアは、中空軸332から出てブレード331へ流入し、シールポート341を出て弁シート335に当る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の或る実施形態による再生式熱酸化装置の斜視図である。
【図2】本発明の或る実施形態による再生式熱酸化装置の一部分の分解斜視図である。
【図3】本発明で使用するのに適した弁の弁ポート形成部分の底部斜視図である。
【図4】本発明で使用するのに適した切替弁の流れ分配器形成部分の斜視図である。
【図4A】図4の流れ分配器の断面図である。
【図5】図4の流れ分配器の一部分の斜視図である。
【図6】本発明で使用するのに適した弁のシールプレートの上面図である。
【図6A】図6のシールプレートの一部分の断面図である。
【図7】図4の流れ分配器の軸の斜視図である。
【図8】本発明による出口ガスプレナム内に配置されている熱交換器の上面図である。
【図9】本発明による、分かり易くするために熱交換器を取り除いたシールガスプレナムの上面図である。
【図10】本発明によるガス出口プレナム及びシールガスプレナムの前面図である。
【図11】本発明の或る実施形態によるガス出口プレナム内の流れ分配器と熱交換器の断面図である。
【図12】本発明によるシールガスプレナム内のバッフルの斜視図である。
【図13】本発明による熱交換器の斜視図である。
【図14】本発明で使用するのに適した流れ分配器の回転ポートの断面図である。
【図15】本発明で使用するのに適した流れ分配器の駆動軸の下側部分の断面図である。
【図16】本発明の或る実施形態による、高温シールエアによるポペット弁を使用する再生式熱酸化装置の概略図である。
【図17】本発明の或る実施形態による、ポペット弁用の環状シールインタフェースの概略図である。
【図18】本発明で使用するのに適した弁の回転式ポートの断面図である。
【図18A】本発明で使用するのに適した弁をシールするためのリテイニングリングの斜視図である。
【図18B】図18Aのリテイニングリングの断面図である。
【図18C】本発明で使用するのに適した弁をシールするための取付リングの斜視図である。
【図18D】図18Cの取付リングの断面図である。
【図18E】本発明で使用するのに適した弁用のプレート支持弧状材の斜視図である。
【図18F】図18Eのプレート支持弧状材の断面図である。
【図18G】本発明で使用するのに適した弁用のシールリングの或る実施形態の斜視図である。
【図18H】図18Gのシールリングの断面図である。
【図18I】図18Gのシールリング内の凹部の断面図である。
【図19】高温のシールエアを使用しているバタフライ弁の断面図である。
【図20】図19のバタフライ弁の上面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを処理するための再生式熱酸化装置において、
燃焼ゾーンと、
排気煙突と、
熱交換媒体が入っており、前記燃焼ゾーン及び前記排気煙突と連通している第1熱交換ベッドと、
熱交換媒体が入っており、前記燃焼ゾーン及び前記排気煙突と連通している第2熱交換ベッドと、
前記第1熱交換ベッドと第2熱交換ベッドの間で前記ガスの流れを交代させるための少なくとも1つの弁と、を備えており、前記弁は、
シール・インタフェースと、
シールガスの供給源と、
前記シールガスの供給源と流体連通しており、前記排気煙突内のガスと接触している熱交換器と、
前記熱交換器を通して前記シールガスの供給源と流体連通し、前記シール・インタフェースと流体連通しているシールガスの送出導管と、を備えている、再生式熱酸化装置。
【請求項2】
前記弁はポペット弁である、請求項1に記載の再生式熱酸化装置。
【請求項3】
前記ポペット弁の位置に基づいて、前記シール・インタフェースへのシールガスの流れを制御するための少なくとも1つの送出導管弁を更に備えている、請求項2に記載の再生式熱酸化装置。
【請求項4】
前記弁はバタフライ弁である、請求項1に記載の再生式熱酸化装置。
【請求項1】
ガスを処理するための再生式熱酸化装置において、
燃焼ゾーンと、
排気煙突と、
熱交換媒体が入っており、前記燃焼ゾーン及び前記排気煙突と連通している第1熱交換ベッドと、
熱交換媒体が入っており、前記燃焼ゾーン及び前記排気煙突と連通している第2熱交換ベッドと、
前記第1熱交換ベッドと第2熱交換ベッドの間で前記ガスの流れを交代させるための少なくとも1つの弁と、を備えており、前記弁は、
シール・インタフェースと、
シールガスの供給源と、
前記シールガスの供給源と流体連通しており、前記排気煙突内のガスと接触している熱交換器と、
前記熱交換器を通して前記シールガスの供給源と流体連通し、前記シール・インタフェースと流体連通しているシールガスの送出導管と、を備えている、再生式熱酸化装置。
【請求項2】
前記弁はポペット弁である、請求項1に記載の再生式熱酸化装置。
【請求項3】
前記ポペット弁の位置に基づいて、前記シール・インタフェースへのシールガスの流れを制御するための少なくとも1つの送出導管弁を更に備えている、請求項2に記載の再生式熱酸化装置。
【請求項4】
前記弁はバタフライ弁である、請求項1に記載の再生式熱酸化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図18E】
【図18F】
【図18G】
【図18H】
【図18I】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図18E】
【図18F】
【図18G】
【図18H】
【図18I】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−78317(P2010−78317A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261489(P2009−261489)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【分割の表示】特願2004−503873(P2004−503873)の分割
【原出願日】平成15年3月25日(2003.3.25)
【出願人】(500515255)メグテック・システムズ・インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【分割の表示】特願2004−503873(P2004−503873)の分割
【原出願日】平成15年3月25日(2003.3.25)
【出願人】(500515255)メグテック・システムズ・インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】
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