説明

弁装置

【課題】配線通路に挿通された配線に対して外部から引張力が作用した場合であっても、気密端子から配線ピンが抜け出ることのない弁装置を提供すること。
【解決手段】弁装置1は、ガスタンクの内部から同ガスタンクの外部に配線16を導出する配線通路20を備えるとともに、同配線通路20内には、配線16の一部を構成する配線ピンの周囲に封止材を充填してなる気密端子が設けられる。また、配線通路20には、気密端子よりも外部側に、複数(二箇所)の折曲部55,56が形成される。そして、配線16に対して外部から引張力が作用した場合には、これらの折曲部55,56において、配線16に応力集中部Pが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク内からタンク外に配線を導出するための配線通路を備えた弁装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、高圧ガスタンクに取着される弁装置は、ガスタンクの内外を連通するガス流路と、そのガス流路を介した高圧ガスの流通を制御可能な弁機構とを備えている。例えば、特許文献1に記載の弁装置には、そのガス供給の制御に用いる弁機構として電磁弁が設けられている。そして、この弁装置では、そのガスタンクの内部を経由することなく、弁装置の筐体を介して電磁弁の電力供給配線をガスタンクの外部に引き出すことにより、その高い気密性が確保されている。
【0003】
しかしながら、例えば、燃料電池車用の水素ガスタンク等には、タンク内に温度センサが設けられたものがあり、このような用途に用いられる弁装置については、その配線をタンク外に導出するために、ガスタンクの内外を連通する配線通路を形成せざるを得ないのが実情である。そして、従来、こうした配線通路のシーリングには、配線の一部を構成する配線ピンの周囲に封止材を充填してなる気密端子(ハーメチックコネクタ)が用いられている。
【0004】
例えば、図8に示す気密端子61は、配線通路62内においてその軸線に沿うように配置された筒体63と、同筒体63内に挿通された配線ピン64と、筒体63の外周と配線通路62の内周とを気密に封止するシール部材(Oリング)65とを備えている。そして、この気密端子61は、筒体63内に充填された封止材66によって、その筒体63の内周と配線ピン64との間を気密に封止する構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−240148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような気密端子の封止材には、通常、セラミックやガラス等といった、硬質素材が用いられる。このため、外部側から配線が過大な力で引っ張られた場合には、その引張力により気密端子の封止材が充填された部分から配線ピンが抜け出てしまう可能性がある。そして、これにより、その気密性が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、配線通路に挿通された配線に対して外部から引張力が作用した場合であっても、気密端子から配線ピンが抜け出ることのない弁装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、高圧ガスが貯留されたガスタンクの内外を連通するガス流路と、前記ガス流路を介した前記高圧ガスの流通を制御可能な弁機構と、前記ガスタンクの内部から該ガスタンクの外部に配線を導出する配線通路とを備えるとともに、前記配線通路内には、前記配線の一部を構成する配線ピンの周囲に封止材を充填してなる気密端子が設けられた弁装置において、前記配線通路には、前記気密端子よりも外部側に、前記配線に作用する引張力に基づき前記配線を折り曲げて該配線に応力集中部を形成する折曲部が形成されること、を要旨とする。
【0009】
即ち、配線に対して外部から引張力が作用した場合であっても、気密端子よりも外部側に応力集中部が形成されることで、その引張力に基づき配線ピンに作用する力、つまり封止材が充填された部分から配線ピンを引き抜く力が軽減される。従って、上記構成によれば、簡素な構成にて、効果的に配線ピンの抜け止めを図ることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記配線に作用する引張力に基づき前記封止材が充填された部分から前記配線ピンが抜け出る前に、前記応力集中部において前記配線が破断するようにしたこと、を要旨とする。これにより、より確実に、その配線ピンの抜け止めを図ることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記配線通路には、複数の前記折曲部が形成されること、を要旨とする。これにより、複数の応力集中部が配線に形成されるため、より顕著な抜け止め効果を得ることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、内部に前記配線通路が形成されるボディと、着脱可能に前記ボディに取着される蓋部材とを備えるとともに、前記蓋部材の取り外しにより前記ボディの外部に前記折曲部が露出されること、を要旨とする。
【0013】
即ち、配線通路に折曲部を形成することで、その配線通路に対する配線の挿通が難しくなる。しかしながら、上記構成によれば、折曲部が外部に露出されるため、その配線の挿通作業を容易に行うことができるようになる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記ボディ内には、前記ガス流路及び前記弁機構が収容される収容室が設けられ、前記配線通路は、前記蓋部材の取り外しにより、前記折曲部に連続する通路が前記収容室とともに前記ボディの外部に開放されるように前記収容室に連接して形成されること、を要旨とする。
【0015】
上記構成によれば、弁機構の収容室を、配線通路に配線を挿通するための作業スペースとして利用することができる。その結果、より容易に、その配線の挿通作業を行うことができるようになる。加えて、弁機構が電磁弁である場合には、その電磁弁の電力供給配線を、配線とともに配線通路を介してボディの外部に引き出すことができる。そして、これにより、シール部材(グロメット)を削減する等、構成の簡素化、及び低コスト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、配線通路に挿通された配線に対して外部から引張力が作用した場合であっても、気密端子から配線ピンが抜け出ることのない弁装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明が適用される弁装置の側面図。
【図2】図1の弁装置の概略構成図。
【図3】図1のIII−III断面図。
【図4】図1のIV−IV断面図。
【図5】図4のV−V断面図。
【図6】配線通路に形成された折曲部の作用説明図。
【図7】配線通路に形成された折曲部の作用説明図。
【図8】気密端子(ハーメチックコネクタ)の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の弁装置1は、略偏平箱型に形成されたタンク外配置部2と、同タンク外配置部2の底面2aに対して略直交する方向(同図中、下側)に延設された略円柱状のタンク内配置部3とを備えている。そして、弁装置1は、高圧水素ガスが貯留されたガスタンク4の取着口5内に、そのタンク内配置部3を挿入する態様で、同ガスタンク4に取着されている。
【0019】
図2に示すように、弁装置1は、ガスタンク4の内外を連通するガス流路6を備えている。そして、そのガス流路6の途中には、当該ガス流路6を介した高圧水素ガスの流通を制御可能な複数の弁機構が設けられている。
【0020】
詳述すると、タンク外配置部2の内部には、高圧水素ガスの充填口7に連通する充填路8と、高圧水素ガスの送出口9に連通する送出路10とが形成されている。一方、タンク内配置部3の内部には、その軸線に沿うように同タンク内配置部3を貫通してガスタンク4内に開口する接続路11が形成されている。そして、本実施形態の弁装置1では、これらの充填路8、送出路10及び接続路11が接続されることにより、そのガス流路6が形成されている。
【0021】
また、本実施形態の弁装置1では、充填路8の途中には、ガスタンク4内に充填された高圧水素ガスの逆流を防止する逆止弁12が設けられている。そして、送出路10の途中には、送出口9からの高圧水素ガスの供給を制御するための電磁弁13が設けられている。
【0022】
ここで、本実施形態では、ガスタンク4の内部には、同ガスタンク4内に貯留された高圧水素ガスの温度を測定するため温度センサ15が設けられている。そして、本実施形態の弁装置1には、この温度センサ15の配線16をガスタンク4の内部から同ガスタンク4の外部に導出するための配線通路20が設けられている。
【0023】
詳述すると、図1及び図3に示すように、配線通路20は、ガス流路6を構成する上記接続路11と同様に、タンク内配置部3をその軸線に沿うように貫通して同ガスタンク4内に開口する第1通路31を備える。そして、第1通路31のタンク内開口部21には、配線16の一部を構成する配線ピン22を有してガスタンク4の内外を気密に封止する気密端子(ハーメチックコネクタ)23が設けられている。
【0024】
図3に示すように、本実施形態では、上記タンク内開口部21は、第1通路31の他の部分よりも大径に形成されている。一方、気密端子23は、このタンク内開口部21と略同径に形成された筒体24を備えるとともに、上記配線ピン22は、この筒体24内に挿通されている。また、筒体24の外周には、シール部材としてのOリング25が嵌合されている。そして、筒体24の内部には、同筒体24の内周と配線ピン22の周囲との間を気密に封止する封止材26が充填されている。
【0025】
更に、配線ピン22の両端には、それぞれ、配線16が接続される。そして、本実施形態の気密端子23は、その筒体24が上記タンク内開口部21内に挿入されることにより、ガスタンク4の内外を気密に封止することが可能な構成となっている。
【0026】
また、図4に示すように、タンク外配置部2の内部には、上記のようにタンク内配置部3に形成された第1通路31に接続されることにより、同第1通路31とともに配線通路20を構成する第2通路32及び第3通路33が形成されている。
【0027】
詳述すると、図1に示すように、本実施形態のタンク外配置部2は、上記第2通路32、ガス流路6及び電磁弁13等の弁機構が内部に形成されたボディ34と、同ボディ34に対して着脱可能に取着された蓋部材35とを備えている。また、本実施形態のタンク外配置部2は、その蓋部材35がボディ34から取り外されることにより、同ボディ34の内部に形成された電磁弁13の収容室(電磁弁収容室36)が外部に開放されるようになっている。そして、図4に示すように、上記第2通路32は、その蓋部材35の取り外しにより、電磁弁収容室36とともにボディ34の外部に開放されるように、同電磁弁収容室36に連接して形成されている。
【0028】
具体的には、本実施形態の電磁弁13は、有底筒状のシリンダ41と、同シリンダ41の外周に巻回された電磁コイル42と、その電磁コイル42の起磁力に基づいてシリンダ41内を摺動(軸方向移動)するプランジャ43とを備えている。そして、同電磁弁13は、そのプランジャ43の軸方向移動に基づいて、弁座44に弁体45を接離させる周知の構成を有している。
【0029】
本実施形態の第2通路32は、このような電磁弁13が収容される電磁弁収容室36に連接して、そのシリンダ41の軸線に沿う方向(同図中、上下方向)に延設されている。そして、同第2通路32は、その端部(同図中、下側の端部)32a近傍に上記第1通路31の一端が開口することにより、同第1通路31と接続されている。
【0030】
また、第3通路33は、上記第2通路32における第1通路31との接続端(32a)とは反対側の端部(同図中、下側の端部)32b近傍において同第2通路32内に開口することにより、当該第2通路32とボディ34の外部とを連通するように形成されている。
【0031】
そして、本実施形態のタンク外配置部2は、上記のようにボディ34から蓋部材35を取り外すことによって、その第2通路32内に開口する第1通路31及び第3通路33の各開口部47,48をボディ34の外部に露出させることが可能な構成となっている。
【0032】
即ち、本実施形態の弁装置1において、第1通路31から第2通路32内に引き出された配線16は、同第2通路32を経由して、第3通路33から外部に引き出される。また、本実施形態では、電磁弁13の電力供給配線49もまた、配線16とともに、第3通路33から外部に引き出される。そして、これらの配線16及び電力供給配線49と第3通路33の内周との間は、同第3通路33のボディ外開口部50に取着されたグロメット52により液密に封止されるようになっている。
【0033】
尚、本実施形態の弁装置1は、タンク外配置部2の上面2bから突出する方向に延びる接続コネクタ51を備えるとともに(図1参照)、上記第3通路33のボディ外開口部50は、この接続コネクタ51の取着部53に対応する位置に形成されている。そして、ボディ34の外部に引き出された配線16及び電力供給配線49は、この接続コネクタ51に接続されるようになっている。
【0034】
(配線ピンの抜止構造)
次に、本実施形態の弁装置における配線ピンの抜止構造について説明する。
図4及び図5に示すように、本実施形態の弁装置1において、上記第2通路32は、第1通路31に対して略直交するように形成されている。また、第3通路33は、第2通路32に対して略直交するように形成されている。そして、これにより、第1通路31及び第3通路33は、ねじれの位置に配置されている。
【0035】
本実施形態の弁装置1では、このように第1通路31、第2通路32及び第3通路を配置することにより、その配線通路20における上記気密端子23よりも外部側に、二箇所の折曲部55,56が形成されている。そして、本実施形態の弁装置1は、これにより、その気密端子23を構成する上記配線ピン22の抜け止めを図る構成となっている。
【0036】
詳述すると、図6及び図7に示すように、本実施形態の弁装置1は、配線16が外部から引っ張られた場合、上記折曲部55,56において、配線16に応力集中部Pが形成される。
【0037】
具体的には、第1通路31と第2通路32との間の折曲部55では、第1通路31の開口部47(の内周縁)に対して配線16が引っかかる態様で当接することにより、その引張力に基づいて同配線16に応力集中部Pが形成される。同様に、第2通路32と第3通路33との間の折曲部56では、第2通路32内に開口する第1通路31の開口部48(の内周縁)に対して配線16が引っかかる態様で当接することにより、その引張力に基づいて応力集中部Pが形成される。そして、本実施形態の弁装置1は、その配線16が折り曲げられた部分に応力集中部Pを形成することにより、気密端子23における配線ピン22の抜け出しを防止する。
【0038】
即ち、配線16が外部から引っ張られることにより、上記気密端子23には、その封止材26が充填された部分から配線ピン22を引き抜く力が作用する。しかしながら、上記のように、気密端子23よりも外部側に応力集中部Pが形成されることで、その配線ピン22に作用する力が軽減される。そして、本実施形態の弁装置1は、更に大きな引張力が配線16に作用した場合には、上記封止材26が充填された部分から配線ピン22が抜け出る前に、その応力集中部Pにおいて配線16が破断するように構成されている。
【0039】
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)弁装置1は、ガスタンク4の内部から同ガスタンク4の外部に配線16を導出する配線通路20を備えるとともに、同配線通路20内には、配線16の一部を構成する配線ピン22の周囲に封止材26を充填してなる気密端子23が設けられる。また、配線通路20には、気密端子23よりもガスタンク4の外部側に、複数(二箇所)の折曲部55,56が形成される。そして、配線16に対して外部から引張力が作用した場合には、これらの折曲部55,56において、配線16に応力集中部Pが形成される。
【0040】
即ち、配線16に対して外部から引張力が作用した場合であっても、気密端子23よりも外部側に応力集中部Pが形成されることで、その引張力に基づき上記配線ピン22に作用する力、つまり封止材26が充填された部分から配線ピン22を引き抜く力が軽減される。従って、上記構成によれば、簡素な構成にて、効果的に配線ピン22の抜け止めを図ることができる。そして、配線通路20に複数の折曲部(55,56)を設け、より多くの応力集中部Pが配線16に形成されるようにすることで、より顕著な効果を得ることができる。
【0041】
(2)弁装置1は、その封止材26が充填された部分から配線ピン22が抜け出る前に、応力集中部Pにおいて配線16が破断するように構成される。これにより、より確実に、その配線ピン22の抜け止めを図ることができる。
【0042】
(3)配線通路20は、その折曲部55を介して接続された第1通路31及び第2通路32のなす角、及び折曲部56を介して接続された第2通路32及び第3通路33のなす角が、ともに略直角となるように形成される。これにより、効果的な応力集中部Pを形成することができる。
【0043】
(4)配線通路20は、二つの折曲部55,56を挟んで連続する第1通路31、第2通路32及び第3通路33について、その両端に位置する第1通路31及び第3通路33が、ねじれの位置となるように形成される。このような構成とすることで、効果的な応力集中部Pを形成することができる。
【0044】
(5)タンク外配置部2は、第2通路32、ガス流路6及び電磁弁13等の弁機構が内部に形成されたボディ34と、同ボディ34に対して着脱可能に取着された蓋部材35とを備える。そして、同タンク外配置部2は、そのボディ34から蓋部材35が取り外されることにより、配線通路20に形成された二つの折曲部55,56(第2通路32に対する第1通路31及び第3通路33の各開口部47,48)がボディ34の外部に露出される。
【0045】
即ち、配線通路20に折曲部55,56を形成することで、その配線通路20に対する配線16の挿通が難しくなる。しかしながら、上記構成によれば、折曲部55,56が外部に露出されるため、その配線16の挿通作業を容易に行うことができるようになる。
【0046】
(6)タンク外配置部2は、上記蓋部材35がボディ34から取り外されることによって、同ボディ34の内部に形成された電磁弁収容室36が外部に開放されるようになっている。そして、第2通路32は、その蓋部材35の取り外しにより、電磁弁収容室36とともにボディ34の外部に開放されるように、同電磁弁収容室36に連接して形成される。
【0047】
上記構成によれば、電磁弁収容室36を、配線通路20に配線16を挿通するための作業スペースとして利用することができる。その結果、より容易に、その配線16の挿通を行うことができるようになる。加えて、その電磁弁13の電力供給配線49を、配線16とともに配線通路20(第3通路33)を介してボディ34の外部に引き出すことができる。そして、これにより、シール部材(グロメット52)を削減する等、構成の簡素化、及び低コスト化を図ることができる。
【0048】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、本発明を、高圧水素用のガスタンク4に設けられた弁装置1に具体化した。しかし、これに限らず、その他の高圧ガスタンク用の弁装置に適用してもよい。
【0049】
・上記実施形態では、配線通路20には、二つの折曲部55,56が形成されることとした。しかし、これに限らず、折曲部の数は、一つでもよく、また3つ以上であってもよい。
【0050】
・上記実施形態では、折曲部(55,56)を介して接続された二つの通路(31,32又は32,33)のなす角は、略直角であることとしたが、鋭角としても効果的な応力集中部Pを形成することができる。尚、有効に配線ピン22の抜け止めを図ることが可能であれば、両者の角度は任意に変更してもよい。
【0051】
・上記実施形態では、二つの折曲部56,56を挟んで連続する第1通路31、第2通路32及び第3通路33について、その両端に位置する第1通路31及び第3通路33は、ねじれの位置にあることしたが、これについても、有効に配線ピン22の抜け止めを図ることが可能であれば、任意に変更してもよい。
【0052】
・上記実施形態では、ボディ34から蓋部材35が取り外されることにより、電磁弁収容室36とともに上記第2通路32がボディ34の外部に開放される。そして、その蓋部材35の取り外しにより、併せて、配線通路20に形成された二つの折曲部56,56がボディ34の外部に露出されることとした。しかし、これに限らず、蓋部材35の取り外しにより、各折曲部56,56の少なくとも一つがボディ34の外部に露出される構成であってもよい。
【0053】
・また、蓋部材35の取り外しにより、電磁弁13以外の弁機構の収容室とともに配線通路の一部がボディ34の外部に開放される構成であってもよい。このような構成としても、その収容室を作業スペースに用いて、配線通路20に対する配線16の挿通作業を容易化することができる。
【0054】
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想を効果とともに記載する。
(イ)前記折曲部を介して接続された二つの通路のなす角が直角又は鋭角であること、を特徴とする弁装置。
【0055】
(ロ)複数の前記折曲部を挟んで連続する複数の通路について、その両端に位置する二つの通路がねじれの位置にあること、を特徴とする弁装置。
上記各構成によれば、効果的な応力集中部を形成することができる。
【符号の説明】
【0056】
1…弁装置、2…タンク外配置部、3…タンク内配置部、4…ガスタンク、6…ガス流路、13…電磁弁、15…温度センサ、16…配線、20…配線通路、22…配線ピン、23…気密端子、26…封止材、31…第1通路、32…第2通路、33…第3通路、34…ボディ、35…蓋部材、36…電磁弁収容室、47,48…開口部、49…電力供給配線、52…グロメット、55,56…折曲部、P…応力集中部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧ガスが貯留されたガスタンクの内外を連通するガス流路と、前記ガス流路を介した前記高圧ガスの流通を制御可能な弁機構と、前記ガスタンクの内部から該ガスタンクの外部に配線を導出する配線通路とを備えるとともに、前記配線通路内には、前記配線の一部を構成する配線ピンの周囲に封止材を充填してなる気密端子が設けられた弁装置において、
前記配線通路には、前記気密端子よりも外部側に、前記配線に作用する引張力に基づき前記配線を折り曲げて該配線に応力集中部を形成する折曲部が形成されること、
を特徴とする弁装置。
【請求項2】
請求項1に記載の弁装置において、
前記配線に作用する引張力に基づき前記封止材が充填された部分から前記配線ピンが抜け出る前に、前記応力集中部において前記配線が破断するようにしたこと、
を特徴とする弁装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の弁装置において、
前記配線通路には、複数の前記折曲部が形成されること、を特徴とする弁装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の弁装置において、
内部に前記配線通路が形成されるボディと、着脱可能に前記ボディに取着される蓋部材とを備えるとともに、前記蓋部材の取り外しにより前記ボディの外部に前記折曲部が露出されること、を特徴とする弁装置。
【請求項5】
請求項4に記載の弁装置において、
前記ボディ内には、前記ガス流路及び前記弁機構が収容される収容室が設けられ、
前記配線通路は、前記蓋部材の取り外しにより、前記折曲部に連続する通路が前記収容室とともに前記ボディの外部に開放されるように前記収容室に連接して形成されること、
を特徴とする弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−229748(P2012−229748A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98242(P2011−98242)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】