説明

引き戸式防熱扉用パッキング材

【課題】基材に対してガスケットをどの方向からも着脱でき、またガスケットが基材に安定して保持される引き戸式防熱扉用パッキング材を提供する。
【解決手段】パッキング材1は、長尺のアルミ押し出し型材からなる基材2と、この基材2に着脱自在に取り付けられる長尺の弾性樹脂製ガスケット3とを具備する。基材2は防熱扉41の周縁部にねじで固着される。ガスケット3は、基材2の短尺方向両側の嵌合溝7に一対装着される。基材2は、嵌合溝7の両側壁8から突出する係合フランジ9、係合フランジ9の表面と両側壁8の内側面とで形成される係合段部10を有する。ガスケット3は、嵌合溝7に嵌合される嵌合部11と、嵌合部11から延出する一対のヒレ板部12とを具備する。嵌合部11は、基底板部13と、一対の突縁14と、一対の傾斜板部15と、一対の係合突片16とを具備する。ガスケット3は、嵌合溝7に表面側から押し込んで嵌合可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、冷蔵室の開口を開閉する引き戸式防熱扉の周縁部に取り付けられ、閉鎖時に開口周囲の壁面との間を密閉するパッキング材に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵室の開口を開閉する引き戸式の防熱扉は、開口の上に水平に架設されたガイドレールに吊られて冷蔵室の壁面に沿って移動自在であり、また閉鎖位置においては周縁部が開口周辺の壁面に密着し、断熱するようになっている。断熱効果を高めるため、防熱扉の周縁の壁面と対向する面に図6に示すようなパッキング材が取り付けられる(例えば特許文献1の図4参照)。このパッキング材31は、防熱扉41の周縁部に固着される長尺のアルミ押し出し型材からなる基材32と、この基材に着脱自在に取り付けられる長尺の弾性樹脂製ガスケット33とを具備する。基材32は、ガスケット33を保持する嵌合溝34を有する。嵌合溝34は、断面ほぼ円形で、表面側に縊部35を介して開放し、長手方向に延びる。ガスケット33は、基材32の嵌合溝34に嵌合される断面ほぼ円形の嵌合部36と、この嵌合部36から延出して長手方向に延びるヒレ板部37とを具備する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6−60783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のパッキング材31においては、ガスケット33を基材32に装着するのに、ガスケット33の長手方向一端を基材32の長手方向一端から嵌合溝34に差し込み全長に渉って送り込んでいく必要がある。このため、ガスケット33の装着が面倒であるし、基材32を扉に固着した後では、基材32の端部が塞がれているため、ガスケット33を着脱することができないという問題点がある。
したがって、この出願に係る発明は、基材に対してガスケットをどの方向からも着脱でき、またガスケットが基材に安定して保持される引き戸式防熱扉用パッキング材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、この出願に係る発明のパッキング材1は、長尺のアルミ押し出し型材からなる基材2と、この基材2に着脱自在に取り付けられる長尺の弾性樹脂製ガスケット3とを具備する。基材2は、防熱扉41の取り付け面44に密着する平滑な裏面4とその反対側の表面5を有し、防熱扉41の周縁部にねじで固着される。ガスケット3は、基材2の短尺方向両側に一対装着される。基材2は、ガスケット3の基部を着脱可能に嵌合させる短尺方向両側一対の嵌合溝7を有する。嵌合溝7は、表面側に開放して長手方向に延びる。この嵌合溝7の開放側端より溝底側へ所定距離寄った位置において嵌合溝7の両側壁8から相対向して突出するように係合フランジ9が形成される。また、この係合フランジ9の表面と両側壁8の内側面とで係合段部10が形成される。ガスケット3は、基材2の嵌合溝7に嵌合される嵌合部11と、嵌合部11から延出する一対のヒレ板部12とを具備する。ヒレ板部12は、嵌合部11の短尺方向両縁から互いにほぼ平行に延出して長手方向に延びる。嵌合部11は、一対のヒレ板部12の基端側を接続する基底板部13と、一対の突縁14と、一対の傾斜板部15と、一対の係合突片16とを具備する。一対の突縁14は、基底板部13の短尺方向両縁から突出して基材2の係合段部10に当接する。一対の傾斜板部15は、基底板部13の両縁部から嵌合溝7内へ延び、基底板部13を一辺とし頂点が嵌合溝7の溝底に当接する三角筒を形成する。係合突片16は、傾斜板部15から基底板部13側へ互いに広がるように傾斜して延出し、先端が係合フランジ9の裏面に当接する。したがって、ガスケット3は、嵌合溝7に表面側から押し込んで嵌合可能に構成される。
【発明の効果】
【0006】
この出願に係る発明の装置によれば、基材2に対してガスケット3をどの方向からも着脱でき、またガスケット3が基材2に安定して保持される引き戸式防熱扉用パッキング材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係るパッキング材の断面図である。
【図2】図1のパッキング材の一部の斜視図である。
【図3】図1のパッキング材における基材の断面図である。
【図4】図1のパッキング材におけるガスケットの断面図である。
【図5】図1のパッキング材の使用状態を示す断面図である。
【図6】従来のパッキング材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
図5に示すように、パッキング材1は、冷蔵室の開口42を開閉する引き戸式防熱扉41の周縁部に取り付けられ、閉鎖時に開口周囲の壁面43との間を密閉する。パッキング材1は、長尺のアルミ押し出し型材からなる基材2と、この基材2に着脱自在に取り付けられる長尺の弾性樹脂製ガスケット3とを具備する。
【0009】
基材2は、防熱扉41の取り付け面(壁面43と対向する面)44に密着する平滑な裏面4とその反対側の表面5を有し、防熱扉41の周縁部にねじ6で固着される。ガスケット3は、基材2の短尺方向両側に一対装着される。
【0010】
図1ないし図3に示すように、基材2は、ガスケット3の基部を着脱可能に嵌合させる短尺方向両側一対の嵌合溝7を有する。嵌合溝7は、表面5側に開放して長手方向に延びる。この嵌合溝7の開放側端より溝底側へ所定距離寄った位置において嵌合溝7の両側壁8から相対向して突出するように係合フランジ9が形成される。また、この係合フランジ9の表面と両側壁8の内側面とで係合段部10が形成される。
【0011】
ガスケット3は、基材2の嵌合溝7に嵌合される嵌合部11と、嵌合部から延出する一対のヒレ板部12とを具備する。ヒレ板部は、嵌合部の短尺方向両縁から互いにほぼ平行に延出して長手方向に延びる。
【0012】
嵌合部11は、一対のヒレ板部12の基端側を接続する基底板部13と、一対の突縁14と、一対の傾斜板部15と、一対の係合突片16とを具備する。一対の突縁14は、基底板部13の短尺方向両縁から突出して基材2の係合段部10に当接するように構成される。一対の傾斜板部15は、基底板部13の両縁部から嵌合溝内7へ延び、基底板部13を一辺とし頂点が嵌合溝7の溝底に当接する三角筒を形成する。係合突片16は、傾斜板部15から基底板部13側へ互いに広がるように傾斜して延出し、先端が係合フランジ9の裏面に当接するように構成される。
【0013】
したがって、ガスケット3は、嵌合部11を弾性的に変形させながら、表面5側から嵌合溝7に押し込んで嵌合可能である。一対のガスケット3のそれぞれが一対のヒレ板部12を有するので、基材に装着するガスケットの数を減じることができる。図1において、ガスケット3は、一対の突縁14と一対の係合突片16とで、基材2の係合フランジ9の表裏に4点で当接し、また突縁14が段部10に嵌ることにより、ヒレ板部12の柔軟性と復元性を確保し、安定して基材2に保持される。
【符号の説明】
【0014】
1 パッキング材
2 基材
3 ガスケット
4 裏面
5 表面
6 ねじ
7 嵌合溝
8 側壁
9 係合フランジ
10 段部
11 嵌合部
12 ヒレ板部
13 基底板部
14 突縁
15 傾斜板部
16 係合突片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵室の開口を開閉する引き戸式防熱扉の周縁部に取り付けられ、閉鎖時に開口周囲の壁面との間を密閉するパッキング材であって、
前記壁面に対向する防熱扉の取り付け面に密着する平滑な裏面とその反対側の表面を有し、防熱扉の周縁部にねじで固着される長尺のアルミ押し出し型材からなる基材と、この基材に着脱自在に取り付けられる長尺の一対の弾性樹脂製ガスケットとを具備し、
前記基材は、表面側に開放して長手方向に延び、ガスケットの基部を着脱可能に嵌合させる一対の嵌合溝と、この嵌合溝の開放側端より溝底側へ所定距離寄った位置において嵌合溝の両側壁から相対向して突出する係合フランジと、この係合フランジの表面と両側壁の内側面とで形成される係合段部とを具備し、
前記ガスケットは、前記基材の嵌合溝に嵌合される嵌合部と、この嵌合部の短尺方向両縁から互いにほぼ平行に延出して長手方向に延びる一対のヒレ板部とを具備し、
前記ガスケットの嵌合部は、前記一対のヒレ板部の基端側を接続する基底板部と、この基底板部の短尺方向両縁から突出して前記基材の係合段部に当接する一対の突縁と、基底板部を一辺とし頂点が前記基材における嵌合溝の溝底に当接する三角筒を形成するように基底板部の両縁部から嵌合溝内へ延びる一対の傾斜板部と、この傾斜板部から基底板部側へ互いに広がるように傾斜して延出し先端が前記係合フランジの裏面に当接する係合突片とを具備し、嵌合溝に表面側から押し込んで嵌合可能に構成されることを特徴とする引き戸式防熱扉用パッキング材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−26214(P2012−26214A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167889(P2010−167889)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(000108708)タキゲン製造株式会社 (256)
【Fターム(参考)】