説明

引掛シーリング

【課題】停電時の明るさを確保することが可能な引掛シーリングを提供する。
【解決手段】引掛シーリング1は、器体11に設けられ施工面側から交流電源の給電線が接続される複数個の電源接続用端子2aと、器体11に設けた引掛栓刃挿入口19に対応する部位で器体11内にそれぞれ配設され、引掛栓刃挿入口19の一端部から挿入された引掛キャップ40の引掛栓刃41が引掛栓刃挿入口19の他端部に移動したときに引掛栓刃41を引掛保持する引掛栓刃受部22と、電源接続用端子2aを介して入力される交流電力を直流電力に変換して引掛栓刃受部22に供給するAC−DC変換部4と、交流電源の停電を検知する停電検知回路5と、AC−DC変換回路4の出力により充電される二次電池9と、停電検知回路5が停電を検知すると二次電池9を電源として引掛栓刃受部22に接続された照明器具型の直流機器102,102’を点灯させる制御回路10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引掛シーリングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、天井面等の施工面に取り付けられるとともに、照明器具の引掛キャップが着脱自在に接続され、引掛キャップを介して照明器具に交流電力を供給する引掛シーリングが提供されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この引掛シーリングは施工面に露設される器体を備え、器体の室内側の面には弧状に開口する複数個の引掛栓刃挿入口が形成されている。また器体には施工面側からの電線が接続される複数個の端子が設けられるとともに、器体内部の各引掛栓刃挿入口に対応する部位には、端子に各別に電気的に接続され、引掛栓刃挿入口の一端部から挿入された引掛キャップの引掛栓刃が引掛栓刃挿入口の他端部に移動したときに引掛栓刃を引掛保持する引掛栓刃受部が収納されている。
【特許文献1】特開2001−35585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の引掛シーリングでは、施工面側からの電線が複数の端子に接続され、電線を介して供給される交流電力を引掛栓刃受部に供給しているのであるが、交流電源の停電時には照明器具側に電力を供給することができず、照明器具が消灯してしまうため、明るさを確保できないという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、停電時の明るさを確保することが可能な引掛シーリングを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、直流電力の供給を受けて動作する直流機器の引掛キャップが着脱自在に接続され、引掛キャップを介して直流機器に直流電力を供給する引掛シーリングであって、施工面に露設され施工面側とは異なる面にそれぞれ弧状に開口する複数個の引掛栓刃挿入口を有した器体と、器体に設けられ施工面側から交流電源の給電線が接続される複数個の電源接続用端子と、各引掛栓刃挿入口に対応する部位で器体内にそれぞれ配設され、引掛栓刃挿入口の一端部から挿入された引掛キャップの引掛栓刃が引掛栓刃挿入口の他端部に移動したときに引掛栓刃を引掛保持する引掛栓刃受部と、複数個の電源接続用端子を介して入力される交流電力を直流電力に変換して引掛栓刃受部に供給するAC−DC変換部と、交流電源の停電を検知する停電検知部と、AC−DC変換部の出力により充電される二次電池と、停電検知部が停電を検知すると二次電池を電源として光源を点灯させる点灯制御部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、光源が、引掛栓刃受部に引掛キャップが接続される照明器具型の直流機器からなり、点灯制御部は、停電検知部が停電を検知すると二次電池から引掛栓刃受部に直流電力を供給させることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、光源が、器体において施工面から露出する部位に配設された発光部からなることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかの発明において、周囲の明るさを検知する明るさセンサを備え、点灯制御部は、明るさセンサの検知した明るさが所定の基準値よりも暗く、且つ、停電検知部が停電を検知すると、光源を点灯させることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、引掛栓刃受部に直付け型の照明器具からなる直流機器が接続された場合に当該照明器具によって覆われる部位に明るさセンサが配置されたことを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかの発明において、電源接続用端子と当該電源接続用端子に対応するAC−DC変換部の交流入力端との間に外部スイッチを接続するためのスイッチ接続用端子を備え、停電検知部がスイッチ接続用端子よりも上流側の検出点で停電を検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、AC−DC変換部が、施工面側からの給電線を介して供給される交流電力を直流電力に変換して引掛栓刃受部に供給するとともに、AC−DC変換部の出力により二次電池を充電しており、停電検知部が交流電源の停電を検知すると、点灯制御部が二次電池を電源として光源を点灯させているので、引掛シーリングに非常灯の機能を持たせて、周囲の明るさを確保することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、停電時には点灯制御部が二次電池から引掛栓刃受部に直流電力を供給させ、引掛栓刃受部に引掛キャップが接続された照明器具型の直流機器を点灯させているので、引掛シーリングに接続された照明器具を非常灯として動作させることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、引掛シーリング自体を非常灯として動作させることができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、周囲の明るさが基準値よりも明るい場合には点灯制御部が光源を消灯させるので、二次電池の消耗を抑制することができ、その結果二次電池に容量の小さいものを使用することができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、直付け型の照明器具からなる直流機器を引掛シーリングに接続すると、この照明器具によって明るさセンサが覆われるから、明るさセンサにより検出される明るさが基準値よりも暗くなり、停電を検知した場合には常に光源を点灯させることができる。
【0017】
請求項6の発明によれば、停電検知部がスイッチ接続用端子よりも上流側の検出点で停電を検出しているので、スイッチ接続用端子に接続された外部スイッチによりAC−DC変換部への電力供給が停止させられた場合でも交流電源の停電を確実に検出して、光源を点灯させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(実施形態1)
本発明の実施形態1を図1〜図4に基づいて説明する。本実施形態の引掛シーリングは施工面としての天井面に設置されるものであって、直流電力の供給を受けて動作する直流機器の引掛キャップが着脱自在に接続され、当該引掛キャップを介して直流機器へ直流電源を供給するものである。
【0020】
図1(a)は本実施形態の引掛シーリング1を用いる配電システムの要部を示した概略のシステム構成図であり、住宅内に設置された分電盤110内の分岐ブレーカ115から分岐した交流供給線路Wacに引掛シーリング1が接続されている。
【0021】
引掛シーリング1は、図1(a)(b)に示すように施工面側からの交流供給線路Wacが接続される電源接続用端子2aと、送り配線用の端子2bと、直流機器102が備える引掛キャップ40に設けた一対の引掛栓刃41と引掛係止する引掛栓刃受部22を具備して、引掛キャップ40が着脱自在に接続される引掛接続部3と、電源接続用端子2aを介して入力される交流電力を直流電力に変換して引掛栓刃受部22に供給するAC−DC変換回路4(AC−DC変換部)と、リレー接点あるいは半導体スイッチからなり、AC−DC変換回路4の一方の直流出力端子と引掛栓刃受部22との間を接続する電路の途中に設けられたスイッチSWと、AC−DC変換回路4の出力電圧をもとに交流電源の停電を検知する停電検知回路5(停電検知部)と、フォトダイオードのような受光素子を備えて周囲の明るさを検知する明るさセンサ回路6と、明るさ検知機能を入/切するための入/切スイッチ7と、通電時にはAC−DC変換回路4の出力電圧により二次電池9を充電するとともに、停電時には二次電池9を放電させて引掛栓刃受部22に電力を供給する充放電回路8と、停電検知回路5および明るさセンサ回路6の検出結果に基づいて充放電回路8の動作を制御する制御回路10(点灯制御部)とを備えている。なお二次電池9は、AC−DC変換回路4の出力電圧と略同じ電圧まで充電され、交流電源の停電時には停電検知回路5、明るさセンサ回路6、充放電回路8および制御回路10は二次電池9から動作電源を得るようになっている。
【0022】
ここで、引掛シーリング1の動作について説明する。なお、引掛シーリング1の引掛接続部3には、ペンダント型の照明器具からなる直流機器102の引掛キャップ40が接続されているものとする。また入/切スイッチ7により明るさ検知機能がオフになっているものとする。
【0023】
交流電源の通電中は、引掛シーリング1のAC−DC変換回路4が、交流供給線路Wacを介して供給された交流電力を直流に変換して、引掛栓刃受部22に供給するので、引掛接続部3に接続された照明型の直流機器102が点灯する。なお停電検知回路5はAC−DC変換回路4の出力電圧と所定の基準電圧とを比較することによって停電の有無を検知しており、停電検知回路5が停電を検知していない場合、制御回路10はスイッチSWを閉極させるとともに、充放電回路8により二次電池9の充電を行わせている。
【0024】
一方、交流電源の停電などにより交流供給線路Wacを介して交流電源が供給されなくなると、AC−DC変換回路4の出力電圧が0Vとなって、停電検知回路5により停電が検知されるので、点灯制御部たる制御回路10が、停電検知回路5からの検知入力に基づいて、スイッチSWを開極させるとともに、充放電回路8により二次電池9の放電を開始させる。二次電池9が、通電時に充電された電荷を放出すると、二次電池9から引掛接続部3に接続された直流機器102に電源が供給され、直流機器102が点灯するので、引掛接続部3に接続された直流機器102を非常灯として使用することができる。なお、直流電力の供給を受けて動作する照明器具型の直流機器102では発光源に発光ダイオードを用いており、発光ダイオードを用いる照明器具の消費電流は、発光源に白熱灯や蛍光灯を用いる照明器具に比べて非常に小さいので、容量の小さい二次電池9でも照明器具型の直流機器102を長時間点灯させることができる。
【0025】
ここで、入/切スイッチ7により明るさ検知機能がオフになっている場合、制御回路10では、周囲の明るさの明暗に関係なく、停電が発生すると二次電池9から直流機器102へ電源を供給させているが、入/切スイッチ7により明るさ検知機能がオンに設定されると、停電発生時に明るさセンサ回路6が検知した周囲の明るさが、所定の基準値よりも暗くなった場合のみ、制御回路10が充放電回路8により二次電池9の放電を開始させ、二次電池9を電源として引掛接続部3に接続された直流機器102を点灯させるので、周囲が基準値よりも明るい場合には直流機器102が点灯することはなく、二次電池9の消耗を抑制して、電池寿命を延ばすことができるとともに、二次電池9に容量の小さいものを使用することができる。
【0026】
ところで、引掛接続部3には、ペンダント型の照明器具からなる直流機器102の代わりに、天井直付け型(シーリング型)の照明器具からなる直流機器102’を接続することもでき、明るさセンサ回路6が備える受光素子の受光部は、引掛接続部3に天井直付け型(シーリング型)の照明器具からなる直流機器102’が接続された場合に、当該直流機器102’によって覆われる部位に配置されている。したがって、このような直流機器102’が引掛接続部3に接続されると、明るさセンサ回路6により検出される明るさが上記基準値よりも暗くなるから、停電検知回路5が停電を検知した場合には制御回路10が光源(照明器具型の直流機器102’)を常に点灯させることができる。
【0027】
図2は引掛シーリング1の分解斜視図、図3は引掛シーリング1を下側から見た外観斜視図であり、本実施形態の引掛シーリング1は、上面が開口した有底円筒状であって、上面を天井面に当接させた形で施工される器体11と、器体11の上面側から器体11内に挿入される円板状の端子カバー12とを備える。器体11および端子カバー12は熱硬化性樹脂であるメラミンフェノール樹脂ないしポリエステル樹脂の成形品であって難燃性を有している。
【0028】
器体11と端子カバー12とはタッピンねじである組立ねじ13により結合される。端子カバー12の周部の2箇所には切欠12aが形成され、器体11の周部内側面に設けた筒部11aに切欠12aが嵌合することによって器体11と端子カバー12とが位置決めされるようになっている。
【0029】
器体11の底壁内側面には一対の立壁14が突設され、立壁14の上に端子カバー12を載置した状態で端子カバー12を通して組立ねじ13を立壁14の穴14aにねじ込むことにより器体11と端子カバー12とが結合される。ここで、立壁14の上に端子カバー12を載置したときに、器体11の上面よりも端子カバー12の上面のほうが下方に位置するように、器体11と端子カバー12と立壁14との寸法関係が設定されている。
【0030】
器体11の周壁内周面の2箇所には筒部11aが形成され、筒部11aには器体11を上下に貫通する挿入孔15が形成されている。挿入孔15には器体11の下面側から固定ねじ(図示せず)が挿入され、この固定ねじの上端部を天井面に螺入することによって、器体11を天井面に固定することができる。
【0031】
器体11の内部は、器体11底壁内側面に突設された仕切壁16によって2分されている。仕切壁16の長手方向中央部には受け片16aが両側方へ向かって突設されるとともに、仕切壁16の長手方向両端部に支持リブ16bが両側方へ向かって突設されている。さらに、器体11の底壁内側面には支持リブ16bに対して仕切壁16の反対側に突台18が突設されている。
【0032】
器体11の内部は仕切壁16によって2つの収納室に仕切られており、各収納室17に対応する部位において器体11の底壁の周部には図3に示す引掛キャップ40の引掛栓刃41、41が挿入されるほぼ円弧状の引掛栓刃挿入口19、19がそれぞれ1個ずつ開口している。両引掛栓刃挿入口19,19は、器体11の底壁の中心を中心とする円周上に形成されている。各引掛栓刃挿入口19は、図3に示す向きにおいて引掛キャップ40を左回りに回転させたときの一端側に、他の部位よりも幅広の幅広部19aを備えている。尚、幅広部19aは他の部位である幅狭部19bに対して、内向きに突出する形で引掛栓刃挿入口19の幅を広げている。そして、側面視L字形に形成された引掛栓刃41を引掛栓刃挿入口19に挿入する際には、引掛栓刃41を先ず幅広部19aから引掛栓刃挿入口19に挿入した後、図3における右回りに回転させ、引掛栓刃41の先端部を引掛栓刃挿入口19の幅狭部19bの周縁に重複させる。引掛栓刃挿入口19の幅狭部19bには引掛栓刃受部22が対応して設けられている。ここにおいて引掛栓刃挿入口19と引掛栓刃受部22とで上述の引掛接続部3が構成され、引掛栓刃挿入口19,19の形状および寸法は交流電源用の引掛シーリングとは異なる形状および寸法に設定されている。また引掛栓刃挿入口19,19の一方は正極用、他方は負極用であり、極性を誤って引掛栓刃が挿入されないように、正極用の引掛栓刃挿入口19と負極用の引掛栓刃挿入口19とは、底壁の中心に対して非対称な形状に形成することが好ましく、また引掛栓刃41も引掛栓刃挿入口19の形状に合わせて正極用と負極用とで非対称な形状に形成することが好ましい。
【0033】
引掛栓刃受部22は板金により形成されたものであり、引掛栓刃41の先端部を挟持する刃受ばね22aを有し、この刃受ばね22aが引掛栓刃挿入口19に沿って配置されている。また刃受ばね22aにおいて引掛栓刃挿入口19の幅広部19aに臨む先部は、引掛栓刃41が刃受ばね22aに乗り上げ易くするために、先端側から登り傾斜面となっている。而して引掛栓刃41の先端部が幅狭部19bに導入されると、引掛栓刃41の先端部が刃受ばね22aの上り傾斜面に乗り上げ、刃受ばね22aによって引掛保持されるのである。なお引掛栓刃受部22において刃受ばね22aの先端部より延長される部位は器体11の底面との間で隙間があり、引掛栓刃41の先端部と、引掛キャップ40のボディとの間に刃受ばね22aと器体11の底壁とが介在する際に刃受ばね22aの上向きばね弾性に抗しながら引掛栓刃41の先端部が刃受ばね22aに弾接するようになっている。
【0034】
また器体11の各収納室には、施工面側から交流電源の給電線が接続される一対の端子金具20が収納されている。端子金具20は板金により形成されたものであり、器体11の底壁内側面に立設された形で配置される。なお端子金具20は、支持リブ16bに当接する一対の端子板20aと、両端子板20aの片側縁間を連結する連結片20bとによりコ字形に形成されている。そして、各収納室において受け片16aと端子板20aとの間には鎖錠ばね32が配設される。鎖錠ばね32は帯板の一端部をS字状に屈曲させて接触片32aを形成し、他端部をJ字状に屈曲させて鎖錠片32bを形成したものを用いてあり、接触片32aと鎖錠片32bとが端子板20aに対向するように配置される。
【0035】
ここで、施工面側から交流電源の給電線(電源線)を電源接続用端子2aに接続する際に、端子カバー12に形成した電線挿入口33を通して鎖錠片32b側から電源線を導入すれば、接触片32aおよび鎖錠片32bと端子板20aとの間に電源線の芯線を挟持することができ、このとき接触片32aが電源線の芯線に接触して電気的接続状態を確保し、鎖錠片32bの先端縁が電源線の芯線に食い込んで電源線を抜けないように保持する。ここにおいて端子金具20の端子板20aと鎖錠ばね32とを用いたいわゆる速結端子構造の端子により上述の端子2a,2bが構成される。
【0036】
また、端子板20aと鎖錠ばね32とを用いて保持した電源線を取り外すために、器体11内には解除釦31が配置される。解除釦31は、端子カバー12に設けた切欠よりなる操作用開口部12bと突台18の中央台18aとの間に露出する操作部31aを備え、操作部31aの両端部には一対の鎖錠ばね32の鎖錠片32bの一部にそれぞれ当接する一対の押圧片31bを備えている。すなわち、解除釦31は仕切壁16の両側に位置する一対の押圧片31bを操作部31aを介して連続一体に連結した形状に形成され、押圧片31bの先端部は鎖錠片32bに当接する。また、押圧片31bは端子金具20に設けた挿入用切欠20cを通して進退する。
【0037】
而して、電源線を保持した状態で、操作用開口部12bと中央台18aとに囲まれた部位にマイナスドライバ等の治具の先端部などを挿入し、操作部31aを押せば、押圧片31bが一対の鎖錠片32bを端子板20aから引き離す向きに撓ませるから、鎖錠片32bが電源線から外れ、電源線をそのまま引き抜くことができる。ここで、解除釦31は両端子金具20に跨がる形で配置されており、異極の2個の鎖錠ばね32の鎖錠片32bを同時に撓ませるから、1個の解除釦31で2本の電源線を同時に外すことが可能であり、操作性がよい。
【0038】
また器体11には両収納室に跨る形で、図1(b)に示す回路が形成されたプリント配線板(図示せず)を収納してあり、プリント配線板には端子金具20と引掛栓刃受部22とが半田付けされている。なお明るさセンサ回路6が備える受光素子および入/切スイッチ7は、プリント配線板において器体11の底壁と対向する面に実装されており、器体11の底壁に設けた透光窓11bに臨ませて受光素子の受光部が配置されるとともに、入/切スイッチ7の操作摘み7aが器体11の底壁に設けた操作孔11c内に配置されている。
【0039】
また本実施形態の引掛シーリング1は、天井面に器体11の上面を当接させた形で挿入孔15を通して天井面に螺入する固定ねじ(図示せず)を用いて固定されるのであって、天井面に電源線を通すための通し孔を形成するだけで容易に施工設置することができる。
【0040】
なお図2および図3に示した引掛シーリング1は、器体11の上面を天井面に当接させた状態で施工される露出型のものであるが、図4に示すように天井面に設けた埋込孔(図示せず)に器体11の上部を埋設した状態で施工される埋込型のものでも良い。
【0041】
(実施形態2)
本発明の実施形態2を図5に基づいて説明する。本実施形態では、実施形態1で説明した引掛シーリング1において、図5(a)(b)に示すように電源接続用端子2aの一方の端子と、この端子に対応するAC−DC変換回路4の交流入力端との間に外部スイッチ50を接続するためのスイッチ接続用端子2cを設け、このスイッチ接続用端子2cよりも上流側の検出点の電圧から停電検知回路5が停電の有無を検出するようにしている。尚、スイッチ接続用端子2cおよび停電検知回路5以外の構成は実施形態1で説明した引掛シーリング1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0042】
また、上述の実施形態1では一対の端子板20aを連結片20bにより連結して一体に形成しているが、本実施形態では鎖錠ばね32と共に速結端子構造の端子を構成する4個の端子板20aがそれぞれ別体に形成され、各端子板20aが上述のプリント配線板に電気的に接続されている。そして、電源接続用端子2aを構成する2個の端子板20aのうち、一方の端子板20aがAC−DC変換回路4の一方の交流入力端に接続されるとともに、他方の端子板20aがスイッチ接続用端子2cを構成する一方の端子板20aに電気的に接続されている。またスイッチ接続用端子2cを構成する他方の端子板20aはAC−DC変換回路4の他方の交流入力端子に電気的に接続されている。
【0043】
次に、本実施形態の引掛シーリング1の動作について説明する。なお引掛シーリング1の引掛接続部3には照明型の直流機器102の引掛キャップ40が接続されているものとする。また入/切スイッチ7により明るさ検知機能がオフになっているものとする。
【0044】
交流電源の通電中に外部スイッチ50がオンになっている状態では、引掛シーリング1のAC−DC変換回路4が、外部スイッチ50を介して供給された交流電力を直流に変換して、引掛栓刃受部22に供給するので、引掛接続部3に接続された照明型の直流機器102が点灯する。なお停電検知回路5はスイッチ接続用端子2cよりも上流側の検出点の電圧を所定の基準電圧とを比較することによって停電の有無を検知しており、停電検知回路5が停電を検知していない場合、制御回路10はスイッチSWを閉極させ、充放電回路8により二次電池9の充電を行わせている。
【0045】
その後、外部スイッチ50がオフされると、AC−DC変換回路4に交流電源が入力されなくなり、AC−DC変換回路4の出力が0Vになるので、引掛接続部3に接続された照明型の直流機器102が消灯する。ここで、停電検知回路5はスイッチ接続用端子2cよりも上流側の検出点の電圧から停電を検知しており、外部スイッチ50がオフされても、交流電源の通電状態を検知できるので、充放電回路8により二次電池9の放電を開始させることはなく、照明型の直流機器102を消灯させる。
【0046】
一方、交流電源の停電などにより交流供給線路Wacを介して交流電源が供給されなくなると、外部スイッチ50のオン/オフに関係無く、検出点の電圧が0Vとなって(基準電圧よりも低下して)、停電検知回路5により停電が検知されるので、制御回路10が、停電検知回路5からの検知入力に基づいて、スイッチSWを開極させるとともに、充放電回路8により二次電池9の放電を開始させる。この時、通電時に充電された電荷が二次電池9から放出され、引掛接続部3に接続された直流機器102に電源が供給されて直流機器102が点灯するので、引掛接続部3に接続された直流機器102を非常灯として使用することができる。
【0047】
ここで、入/切スイッチ7により明るさ検知機能がオフになっている場合、制御回路10では、周囲の明るさの明暗に関係なく、停電が発生すると二次電池9から直流機器102へ電源を供給させているが、入/切スイッチ7により明るさ検知機能がオンに設定されると、停電発生時に明るさセンサ回路6が検知した周囲の明るさが、所定の基準値よりも暗くなった場合のみ、充放電回路8により二次電池9の放電を開始させ、二次電池9を電源として引掛接続部3に接続された直流機器102を点灯させている。而して、周囲が基準値よりも明るい場合には直流機器102が点灯することはなく、二次電池9の消耗を抑制して、電池寿命を延ばすことができるとともに、二次電池9に容量の小さいものを使用することができる。なお明るさセンサ回路6の受光部は、引掛接続部3に天井直付け型(シーリング型)の照明器具102’が接続された場合に、当該照明器具102’によって覆われる部位に配置されているので、天井直付け型の照明器具102’が接続されると、明るさセンサ回路6により検出される明るさが基準値よりも暗くなるから、停電検知回路5が停電を検知した場合には常に光源を点灯させることができる。
【0048】
以上説明したように本実施形態では、電源接続用端子2aと当該電源接続用端子2aに対応するAC−DC変換回路4の交流入力端との間に外部スイッチ50を接続するためのスイッチ接続用端子2cを備え、停電検知回路5がスイッチ接続用端子2cよりも上流側の検出点の電圧から停電の有無を検出しているので、スイッチ接続用端子2cに接続された外部スイッチ50がオフされて、AC−DC変換回路4への電圧供給が停止させられた場合でも停電の発生を検出して、引掛接続部3に接続された照明型の直流機器102を点灯させ、非常灯として動作させることができる。
【0049】
なお本実施形態においてスイッチ接続用端子2cに外部スイッチ50を接続しない場合には、スイッチ接続用端子2cの端子板20a,20a間を短絡すれば良い。
【0050】
(実施形態3)
本発明の実施形態3を図6〜図8に基づいて説明する。上述した実施形態1、2では停電発生時に引掛接続部3に接続された照明型の直流機器102に二次電池9から電源を供給して点灯させているが、本実施形態では図7(a)(b)に示すように、引掛シーリング1の器体11において施工面から露出する部位に発光部としての発光ダイオード(LED)26を1乃至複数個配設し、停電時にこのLED26を点灯させることによって、引掛シーリング1自体に非常灯の機能を付加している。ここで、図7(a)は露出型の引掛シーリング1の外観斜視図を示しており、複数個のLED26は器体11の側周面に一定の間隔をおいて配設されている。なお図7(b)は埋込型の引掛シーリング1の一形態を示し、埋込型の場合には器体11の底壁の外周部に一定の間隔をおいて複数個のLED26が配設されている。尚、LED26とその点灯回路を除いては、実施形態2で説明した引掛シーリング1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0051】
そして、本実施形態の引掛シーリング1では、AC−DC変換回路4の一方の直流出力端と一方の引掛栓刃受部22との間に、リレー接点あるいは半導体スイッチからなる2個のスイッチSW1,SW2を直列に接続するとともに、スイッチSW1,SW2の接続点と、AC−DC変換回路4の他方の直流出力端子との間に充放電回路8の入出力端を接続してある。またスイッチSW1,SW2の接続点と、AC−DC変換回路4の他方の直流出力端子との間に、リレー接点あるいは半導体スイッチからなるスイッチSW3を介してLED点灯回路25を接続してあり、LED点灯回路25からLED26に電流を印加して、LED26を点灯させている。
【0052】
次に、本実施形態の引掛シーリング1の動作について説明する。なお引掛シーリング1の引掛接続部3には、図8(a)に示すようにペンダント型の照明器具よりなる直流機器102の引掛キャップ40が接続されているものとする。また入/切スイッチ7により明るさ検知機能がオフになっているものとする。
【0053】
交流電源の通電中は外部スイッチ50がオンになっている状態では、引掛シーリング1のAC−DC変換回路4が、外部スイッチ50を介して供給された交流電力を直流に変換して、引掛栓刃受部22に供給するので、引掛接続部3に接続された照明型の直流機器102が点灯する。なお停電検知回路5はスイッチ接続用端子2cよりも上流側の検出点の電圧を所定の基準電圧とを比較することによって停電の有無を検知しており、停電検知回路5が停電を検知していない場合、制御回路10はスイッチSW1,SW2を閉極させるとともに、スイッチSW3を開極させているので、LED26は消灯する。また制御回路10は充放電回路8により二次電池9の充電を行わせている。
【0054】
その後、外部スイッチ50がオフされると、AC−DC変換回路4に交流電源が入力されなくなり、AC−DC変換回路4の出力が0Vになるので、引掛接続部3に接続された照明型の直流機器102が消灯する。ここで、停電検知回路5はスイッチ接続用端子2cよりも上流側の検出点の電圧を所定の基準電圧とを比較することによって停電の有無を検知しており、外部スイッチ50がオフされても、交流電源の通電状態を検知できるので、制御回路10はスイッチSW1,SW2を閉極させるとともに、スイッチSW3を開極させている。また制御回路10は、充放電回路8により二次電池9の放電を開始させることはなく、照明型の直流機器102およびLED26を消灯させている。
【0055】
一方、交流電源の停電などにより交流供給線路Wacを介して交流電源が供給されなくなると、外部スイッチ50のオン/オフに関係無く、検出点の電圧が0Vとなって(基準電圧よりも低下して)、停電検知回路5により停電が検知されるので、制御回路10が、停電検知回路5からの検知入力に基づいて、スイッチSW1,SW2を開極させるとともに、スイッチSW3を閉極させ、さらに充放電回路8により二次電池9の放電を開始させる。この時、通電時に充電された電荷が二次電池9から放出され、スイッチSW3を介してLED点灯回路25に電源が供給されるので、LED点灯回路25からLED26に励磁電流が供給されて、LED26が点灯する。
【0056】
ここで、入/切スイッチ7により明るさ検知機能がオフになっている場合は、制御回路10では、周囲の明るさの明暗に関係なく、停電が発生すると二次電池9を電源としてLED26を点灯させているが、入/切スイッチ7により明るさ検知機能がオンに設定されると、停電発生時に明るさセンサ回路6が検知した周囲の明るさが、所定の基準値よりも暗くなった場合のみ、充放電回路8により二次電池9の放電を開始させ、二次電池9を電源としてLED26を点灯させるので、周囲が基準値よりも明るい場合にはLED26が点灯することはなく、二次電池9の消耗を抑制して、電池寿命を延ばすことができるとともに、二次電池9に容量の小さいものを使用することができる。
【0057】
なお明るさセンサ回路6の受光部は、引掛接続部3に天井直付け型(シーリング型)の照明器具102’が接続された場合に、当該照明器具102’によって覆われる部位に配置されているので、天井直付け型の照明器具102’が接続されると、明るさセンサ回路6により検出される明るさが基準値よりも暗くなるから、停電検知回路5が停電を検知した場合には常に光源を点灯させることができる。
【0058】
上述のように本実施形態では、停電時において引掛シーリング1に設けたLED26が点灯するから、引掛シーリング1自体を非常灯として機能させることができる。ここにおいて、露出型の引掛シーリング1では、器体11の側周面にLED26が配設されているので、図8(a)に示すようにLED26からの照射光A1を周方向に配光して、天井面201を明るく照らすことができる。また埋込型の引掛シーリング1では、器体11の下面の外周部にLED26が配設されているので、図8(b)に示すようにLED26からの照射光A2を下方向に配光して、床面を明るく照明することができる。また実施形態1、2では停電時に二次電池9を電源として引掛接続部3に接続された照明器具よりなる直流機器102を点灯させているのに対して、本実施形態では引掛シーリング1に設けたLED26を点灯させているので、光源による消費電流を更に低減して、二次電池9による点灯時間を延ばすことができ、また二次電池9に容量の小さい電池を使用することもできる。
【0059】
ところで、上述の各実施形態で説明した引掛シーリング1は、以下に示す直流配電システムに用いられるものである。ここでは本発明を適用する建物として戸建て住宅の家屋を想定して説明するが、本発明の技術思想を集合住宅に適用することを妨げるものではない。家屋Hには、図9に示すように、直流電力を出力する直流電力供給部101と、直流電力により駆動される負荷としての直流機器102とが設けられ、直流電力供給部101の出力端部に接続した直流供給線路Wdcを通して直流機器102に直流電力が供給される。直流電力供給部101と直流機器102との間には、直流供給線路Wdcに流れる電流を監視し、異常を検知したときに直流供給線路Wdc上で直流電力供給部101から直流機器102への給電を制限ないし遮断する直流ブレーカ114が設けられる。
【0060】
直流供給線路Wdcは、直流電力の給電路であるとともに通信路としても兼用されており、高周波の搬送波を用いてデータを伝送する通信信号を直流電圧に重畳することにより直流供給線路Wdcに接続された機器間での通信を可能にしている。この技術は、交流電力を供給する電力線において交流電圧に通信信号を重畳させる電力線搬送技術と類似した技術である。
【0061】
直流供給線路Wdcは、直流電力供給部101を介して宅内サーバ116に接続される。宅内サーバ116は、宅内の通信網(以下、「宅内網」という)を構築する主装置であり、宅内網において直流機器102が構築するサブシステムなどと通信を行う。
【0062】
図示例では、サブシステムとして、パーソナルコンピュータ、無線アクセスポイント、ルータ、IP電話機のような情報系の直流機器102からなる情報機器システムK101、照明器具のような照明系の直流機器102からなる照明システムK102,K105、来客対応や侵入者の監視などを行う直流機器102からなるインターホンシステムK103、火災感知器のような警報系の直流機器102からなる住警器システムK104などがある。各サブシステムは、自立分散システムを構成しており、サブシステム単独でも動作が可能になっている。
【0063】
上述した直流ブレーカ114は、サブシステムに関連付けて設けられており、図示例では、情報機器システムK101、照明システムK102およびインターホンシステムK103、住警器システムK104、照明システムK105に関連付けて4個の直流ブレーカ114を設けている。1台の直流ブレーカ114に複数個のサブシステムを関連付ける場合には、サブシステムごとに直流供給線路Wdcの系統を分割する接続ボックス121が設けられる。図示例においては、照明システムK102とインターホンシステムK103との間に接続ボックス121が設けられている。
【0064】
情報機器システムK101としては、壁コンセントあるいは床コンセントの形態で家屋Hに先行配置(家屋Hの建築時に施工)される直流コンセント131に接続される直流機器102からなる情報機器システムK101が設けられる。
【0065】
照明システムK102、K105としては、家屋Hに先行配置される照明器具(直流機器102)からなる照明システムK102と、天井に先行配置される直流配電系の引掛シーリング133に接続する照明器具(直流機器102)からなる照明システムK105とが設けられる。引掛シーリング133には、家屋Hの内装施工時に施工業者が照明器具を取り付けるか、または家人自身が照明器具を取り付ける。
【0066】
照明システムK102を構成する直流機器102である照明器具に対する制御の指示は、赤外線リモコン装置を用いて与えるほか、直流供給線路Wdcに接続されたスイッチ141から通信信号を用いて与えることができる。すなわち、スイッチ141は直流機器102とともに通信の機能を有している。また、スイッチ141の操作によらず、宅内網の別の直流機器102あるいは宅内サーバ116から通信信号により制御の指示がなされることもある。照明器具への指示には、点灯、消灯、調光、点滅点灯などがある。
【0067】
上述した直流コンセント131、引掛シーリング133には、任意の直流機器102を接続することができ、接続された直流機器102に直流電力を出力するから、以下では直流コンセント131、引掛シーリング133を区別する必要がない場合には「直流アウトレット」と呼ぶ。
【0068】
これらの直流アウトレットは、直流機器102に直接設けた接触子(図示せず)または接続線を介して設けた接触子(図示せず)が差し込まれる差込式の接続口が器体に開口し、接続口に差し込まれた接触子に直接接触する接触子受けが器体に保持された構造を有している。すなわち、直流アウトレットは接触式で給電を行う。直流アウトレットに接続された直流機器102が通信機能を有する場合には、直流供給線路Wdcを通して通信信号を伝送することが可能になる。直流機器102だけではなく直流アウトレットにも通信機能が設けられている。
【0069】
宅内サーバ116は、宅内網に接続されるだけではなく、インターネットを構築する広域網NTに接続される接続口を有している。宅内サーバ116が広域網NTに接続されている場合には、広域網NTに接続されたコンピュータサーバであるセンタサーバ200によるサービスを享受することができる。
【0070】
センタサーバ200が提供するサービスには、広域網NTを通して宅内網に接続された機器(主として直流機器102であるが通信機能を有した他の機器も含む)の監視や制御を可能にするサービスがある。このサービスにより、パーソナルコンピュータ、インターネットTV、移動体電話機などのブラウザ機能を備える通信端末(図示せず)を用いて宅内網に接続された機器の監視や制御が可能になる。
【0071】
宅内サーバ116は、広域網NTに接続されたセンタサーバ200との間の通信と、宅内網に接続された機器との間の通信との両方の機能を備え、宅内網の機器に関する識別情報(ここでは、IPアドレスを用いるものとする)の取得の機能を備える。
【0072】
宅内サーバ116は、センタサーバ200との通信機能を用いることにより、広域網NTに接続された通信端末からセンタサーバ200を通して宅内の機器の監視や制御を可能にする。センタサーバ200は、宅内の機器と広域網NT上の通信端末とを仲介する。
【0073】
通信端末から宅内の機器の監視や制御を行う場合は、監視や制御の要求をセンタサーバ200に記憶させ、宅内の機器は定期的に片方向のポーリング通信を行うことにより、通信端末からの監視や制御の要求を受信する。この動作により、通信端末から宅内の機器の監視や制御が可能になる。
【0074】
また、宅内の機器において火災検知など通信端末に通知すべきイベントが生じたときには、宅内の機器からセンタサーバ200に通知し、センタサーバ200から通信端末に対して電子メールによる通知を行う。
【0075】
宅内サーバ116における宅内網との通信機能のうち重要な機能は、宅内網を構成する機器の検出と管理である。宅内サーバ116では、UPnP(Universal Plug and Play)を応用して宅内網に接続された機器を自動的に検出する。宅内サーバ116はブラウザ機能を有する表示器117を備え、検出した機器の一覧を表示器117に表示する。この表示器117はタッチパネル式もしくは操作部が付設された構成を有し、表示器117の画面に表示された選択肢から所望の内容を選択する操作が可能になっている。したがって、宅内サーバ116の利用者(施工業者あるいは家人)は、表示器117の画面上で機器の監視ないし制御が可能になる。表示器117は宅内サーバ116とは分離して設けてもよい。
【0076】
宅内サーバ116では、機器の接続に関する情報を管理しており、宅内網に接続された機器の種類や機能とアドレスとを把握する。したがって、宅内網の機器を連動動作させることができる。機器の接続に関する情報は上述のように自動的に検出されるが、機器を連動動作させるには、機器自身が保有する属性により自動的に関係付けを行うほか、宅内サーバ116にパーソナルコンピュータのような情報端末を接続し、情報端末のブラウザ機能を利用して機器の関係付けを行うこともできる。
【0077】
機器の連動動作の関係は各機器がそれぞれ保持する。したがって、機器は宅内サーバ116を通すことなく連動動作することができる。各機器について、連動動作の関係付けを行うことにより、たとえば、機器であるスイッチの操作により、機器である照明器具の点灯あるいは消灯の動作を行うことが可能になる。また、連動動作の関係付けはサブシステム内で行うことが多いが、サブシステムを超える関係付けも可能である。
【0078】
ところで、直流電力供給部101は、基本的には、商用電源のように宅外から供給される交流電源ACの電力変換により直流電力を生成する。図示する構成では、交流電源ACは、分電盤110に内器として取り付けられた主幹ブレーカ111を通して、スイッチング電源を含むAC/DCコンバータ112に入力される。AC/DCコンバータ112から出力される直流電力は、協調制御部113を通して各直流ブレーカ114に接続される。
【0079】
直流電力供給部101には、交流電源ACから電力が供給されない期間(たとえば、商用電源ACの停電期間)に備えて二次電池162が設けられている。また、直流電力を生成する太陽電池161や燃料電池163を併用することも可能になっている。交流電源ACから直流電力を生成するAC/DCコンバータ112を備える主電源に対して、太陽電池161や二次電池162や燃料電池163は分散電源になる。なお、図示例において、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163は出力電圧を制御する回路部を含み、二次電池162は放電だけではなく充電を制御する回路部も含んでいる。
【0080】
分散電源のうち太陽電池161や燃料電池163は必ずしも設けなくてもよいが、二次電池162は設けるのが望ましい。二次電池162は主電源や他の分散電源により適時充電され、二次電池162の放電は、交流電源ACから電力が供給されない期間だけではなく必要に応じて適時に行われる。二次電池162の充放電や主電源と分散電源との協調は、協調制御部113により行われる。すなわち、協調制御部113は、直流電力供給部101を構成する主電源および分散電源から直流機器102への電力の配分を制御する直流電力制御部として機能する。なお、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163の出力を交流電力に変換し、AC/DCコンバータ112の入力電力として用いる構成を採用してもよい。
【0081】
直流機器102の駆動電圧は機器に応じた複数種類の電圧から選択されるから、協調制御部113にDC/DCコンバータを設け、主電源および分散電源から得られる直流電圧を必要な電圧に変換するのが望ましい。通常は、1系統のサブシステム(もしくは1台の直流ブレーカ114に接続された直流機器102)に対して1種類の電圧が供給されるが、1系統のサブシステムに対して3線以上を用いて複数種類の電圧を供給するように構成してもよい。あるいはまた、直流供給線路Wdcを2線式とし、線間に印加する電圧を時間経過に伴って変化させる構成を採用することも可能である。DC/DCコンバータは、直流ブレーカと同様に複数に分散して設けてもよい。
【0082】
上述の構成例では、AC/DCコンバータ112を1個だけ図示しているが、複数個のAC/DCコンバータ112を並設することが可能であり、複数個のAC/DCコンバータ112を設けるときには、負荷の大きさに応じて運転するAC/DCコンバータ112の台数を増減させるのが望ましい。
【0083】
上述したAC/DCコンバータ112、協調制御部113、直流ブレーカ114、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163には通信機能が設けられており、主電源および分散電源や直流機器102を含む負荷の状態に対処する連携動作を行うことを可能にしている。この通信に用いる通信信号は、直流機器102に用いる通信信号と同様に直流電圧に重畳する形式で伝送する。
【0084】
上述の例では主幹ブレーカ111から出力された交流電力をAC/DCコンバータ112により直流電力に変換するために、AC/DCコンバータ112を分電盤110内に配置しているが、主幹ブレーカ111の出力側において分電盤110内に設けた分岐ブレーカ(図示せず)で交流供給線路を複数系統に分岐し、各系統の交流供給線路にAC/DCコンバータを設けて系統ごとに直流電力に変換する構成を採用してもよい。
【0085】
この場合、家屋Hの各階や各部屋を単位として直流電力供給部101を設けることができるから、直流電力供給部101を系統別に管理することができ、しかも、直流電力を利用する直流機器102との間の直流供給線路Wdcの距離が小さくなるから、直流供給線路Wdcでの電圧降下による電力損失を低減させることができる。また、主幹ブレーカ111および分岐ブレーカを分電盤110に収納し、AC/DCコンバータ112と協調制御部113と直流ブレーカ114と宅内サーバ116とを分電盤110とは別の盤に収納してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】(a)は実施形態1の引掛シーリングを用いた配電システムの要部を示す概略のシステム構成図、(b)は同上の引掛シーリングの概略的なブロック図である。
【図2】同上の露出型の一形態を示す分解斜視図である。
【図3】同上の露出型の一形態を示す外観斜視図である。
【図4】同上の埋込型の一形態を示す外観斜視図である。
【図5】(a)は実施形態2の引掛シーリングを用いた配電システムの概略的なシステム構成図、(b)は同上の引掛シーリングの概略的なブロック図である。
【図6】実施形態3の引掛シーリングの概略的なブロック図である。
【図7】(a)は同上の露出型の一形態を示す外観斜視図、(b)は同上の埋込型の一形態を示す外観斜視図である。
【図8】(a)(b)は同上の使用状態を説明する説明図である。
【図9】各実施形態の引掛シーリングを用いる直流配電システムのシステム構成図である。
【符号の説明】
【0087】
1 引掛シーリング
2a 電源接続用端子
3 引掛接続部
4 AC−DC変換回路(AC−DC変換部)
5 停電検知回路(停電検知部)
6 明るさセンサ回路
7 入/切スイッチ
8 充放電回路
9 二次電池
10 制御回路(点灯制御部)
11 器体
19 引掛栓刃挿入口
22 引掛栓刃受部
40 引掛キャップ
41 引掛栓刃
102,102’ 直流機器(光源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力の供給を受けて動作する直流機器の引掛キャップが着脱自在に接続され、引掛キャップを介して直流機器に直流電力を供給する引掛シーリングであって、
施工面に露設され施工面側とは異なる面にそれぞれ弧状に開口する複数個の引掛栓刃挿入口を有した器体と、器体に設けられ施工面側から交流電源の給電線が接続される複数個の電源接続用端子と、各引掛栓刃挿入口に対応する部位で器体内にそれぞれ配設され、引掛栓刃挿入口の一端部から挿入された引掛キャップの引掛栓刃が引掛栓刃挿入口の他端部に移動したときに引掛栓刃を引掛保持する引掛栓刃受部と、複数個の電源接続用端子を介して入力される交流電力を直流電力に変換して引掛栓刃受部に供給するAC−DC変換部と、交流電源の停電を検知する停電検知部と、AC−DC変換部の出力により充電される二次電池と、停電検知部が停電を検知すると二次電池を電源として光源を点灯させる点灯制御部とを備えたことを特徴とする引掛シーリング。
【請求項2】
前記光源が、引掛栓刃受部に引掛キャップが接続される照明器具型の直流機器からなり、点灯制御部は、停電検知部が停電を検知すると二次電池から前記引掛栓刃受部に直流電力を供給させることを特徴とする請求項1記載の引掛シーリング。
【請求項3】
前記光源が、器体において施工面から露出する部位に配設された発光部からなることを特徴とする請求項1記載の引掛シーリング。
【請求項4】
周囲の明るさを検知する明るさセンサを備え、前記点灯制御部は、明るさセンサの検知した明るさが所定の基準値よりも暗く、且つ、前記停電検知部が停電を検知すると、前記光源を点灯させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の引掛シーリング。
【請求項5】
前記引掛栓刃受部に直付け型の照明器具からなる直流機器が接続された場合に当該照明器具によって覆われる部位に前記明るさセンサが配置されたことを特徴とする請求項4記載の引掛シーリング。
【請求項6】
電源接続用端子と当該電源接続用端子に対応するAC−DC変換部の交流入力端との間に外部スイッチを接続するためのスイッチ接続用端子を備え、前記停電検知部がスイッチ接続用端子よりも上流側の検出点で停電を検知することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の引掛シーリング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−158299(P2009−158299A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335177(P2007−335177)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】