説明

引込み式ニードル遮蔽器具

【課題】採血セットや他の注射もしくは注入システムに使用できる、製造と動作が簡単で、構造が単純な、遮蔽(シールド)可能な安全なニードル器具の提供。
【解決手段】レバー40を有するハブ30と、ハブ30から突き出た穿刺先端28を設けた針套管20を備えるニードル器具。ハブ30はハウジング50と相互係合し、ハウジング50は針套管が通る前方開口60を設けた本体部分52と、長手方向スロットを設けた後方延長部62とを有し、ハブ30のレバー40は、長手方向スロットから突き出てスロット前端でロックされる。ハウジング50はまた本体部分52の内部に先端ガード80を備える。レバー40は、それをスロット前端でのロックから解放するため半径方向に移動可能であり、かつスロット後端に向かって軸方向にも移動可能であり、それにより針套管20の軸方向移動を生じさせて、先端ガード80が針套管20の穿刺先端28を防護カバーする位置まで針套管20をハウジング50の本体部分52の内部に引っ込めて、針套管20を安全に遮蔽する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニードル (針) の安全かつ便利な取扱いのための安全ニードル器具に関する。より具体的には、本発明は使用ずみの針の先端からの防護のための前進するセーフティ・シールド (安全遮蔽部材、以下では安全シールドという) を備えた遮蔽可能なニードル器具に関する。
【背景技術】
【0002】
医用針を備えた使い捨て医療器具は、薬剤の投与または患者からの体液の抜き取りのために使用されている。このような使い捨て医療器具は典型的には、採血針、体液処置針、またはそれらのアセンブリを備える。現在の医療では、そのような器具に用いる体液容器と針のアセンブリが安価で簡単に廃棄できるものであることが要求される。そのため、既存の採血器具は典型的には、何らかの形の耐久性のある再使用可能なホルダーを用い、それに着脱可能で使い捨ての医用針と体液採集試験管が装着できるようになっている。この種の採血器具は、使用前に組立てて、使用後に分解 (取外し) できるようになっている。即ち、これらの採血器具では、相対的に安価な医用針および/または体液採集試験管を交換して、相対的に高価なホルダーを繰り返し使用することができる。血液検体の採取コストの低減に加えて、この種の採血器具は、危険な廃棄材料の産出を最小限にするのを助ける。
【0003】
採血器具または静脈内(IV)注入器具は典型的には、近位端 (手前側の端部) と尖った遠位端 (先端) と、それらの間を通る内腔とを有する針套管 (ニードル・カニューレ、管状針) を備える。針套管の近位端は、この針套管を貫通している内腔と連通する中心通路を画成しているプラスチック・ハブ内にしっかり装着される。このハブには細い柔軟な熱可塑性チューブが連結され、このチューブは針套管の内腔と連通する。針套管とは反対側のプラスチック・チューブの端部には、針套管を血液採集試験管または他の受け器に接続するための取付け具を設けてもよい。この取付け具の具体的な構成は、取付け具を連結すべき受け器の特性に依存しよう。
【0004】
偶発的な針の突き刺し事故 (傷) が起こる危険性を低減するために、使用ずみの針套管の防護が重要になっている。疾病の感染および伝染を懸念して、使用ずみの針套管を封入または包囲する方法および器具が、医療分野では非常に重要かつ大いに求められるようになってきた。例えば、使用ずみの針套管との遮蔽係合状態になるように動いて、偶発的な針の突き刺しの危険性を最小限にすることができる安全シールドが、ニードル・アセンブリに普通に採用されている。
【0005】
例えば、Haber らの特許文献1は、安全ハウジングに設けたスライド・トラックを通る位置制御ボタンの後退移動により該ハウジング内に引き込むことができるカテーテル・カニューレを備えた安全IVカテーテル・アセンブリを開示している。このカテーテル・カニューレは、スライド・トラックの後部に設けたロック用戻り止め内に制御ボタンを位置させることにより、ハウジング内に保持しておくことができる。Firth らの特許文献2は、針をウィング対(wingset) 形態の本体内に引き込むことができる皮下注射器およびカテーテル器具を開示している。この本体は、幅が異なる複数のポケットを持つ開放チャネルを備え、針はこのチャネル内を摺動するスライド部材に連結される。針を本体内に引き込むには、スライド部材を本体内で押し下げ、チューブが引っ張られて針を引っ込める。Manjarrez の特許文献3は、突出しと引込みが可能な針を備えたIV器具を開示する。針は、使用のために、引張バネによる力に抗して突き出させて突出状態にロックすることができ、引張バネにより後退させて針をハウジング内に引込むことができる。この器具は、ハウジングのチャネル内にまたがるボタンをさらに備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,167,635 号公報
【特許文献2】米国特許第5,501,672 号公報
【特許文献3】米国特許第5,746,215 号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような従来の器具は、通常は製造が難しく、動作に複雑な操作を必要とし、かつ針の再出現を防止するための針クリップの準備がない。以上を考慮すると、製造が簡単で、単純で、かつ安全に操作できる、使用ずみ針套管の確実かつ有効な遮蔽 (シールド) を達成する遮蔽可能なニードル器具を備えた採血セットがなお求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は遮蔽可能な (針をシールドできる) ニードル器具に関する。この遮蔽可能なニードル器具は、ハブを備え、このハブはその外面から突き出たレバーを有する。ハブの前端からは、穿刺先端 (穿刺可能なとがった先端) を備えた針套管が突き出ている。このニードル器具はさらにハウジングを備え、このハウジングは、針套管を通すための前方開口
(前方の穴) と内部開口部とを設けた本体部分と、長手方向スロットを設けた後方延長部とを有し、この長手方向スロットは、後方延長部に軸方向に沿ってスロット前端とスロット後端との間に延びている。ハブのレバーは、長手方向スロットから突き出て、長手方向スロットのスロット前端において後方延長部の一部と係合状態にある解放可能なロック機構などにより、長手方向スロットのスロット前端にロックされている。ハウジングはさらにその本体部分の内部に、針套管に対して軸方向に移動可能な先端ガード(チップ・ガード)を備える。レバーは、それをスロット前端でのロックから解放するためにニードル器具の長手軸に対して半径方向に移動可能であり、かつスロット後端に向かって軸方向にも移動可能である。このレバーの軸方向の移動は、ハウジングの前方開口を通る針套管の軸方向移動を生じさせ、それにより先端ガードが針套管の穿刺先端を防護カバーする位置まで針套管をハウジングの本体部分の内部に引っ込める(後退させる)。ハウジングは一対の概ね平面のウィングを備えることにより、ウィング対形態のハウジングを形成していてもよい。このようなハウジングは、採血セットへの接続に特に適合している。
【0009】
望ましくは、レバーと長手方向スロットとが長手方向スロットに沿って摩擦係合状態にあり、それによりスロット後端に向かうレバーの軸方向移動を生じさせるのにレバーにスロット後端方向への力を加えることが必要となる。レバーは、使用者の指に順応させるためのプロファイルを有するフィンガー面 (指を載せる表面) を備えていてもよく、こうすると、フィンガー面に加えた圧力によりレバーはスロット後端に向かって軸方向に移動可能となる。また、長手方向スロットは、後方側にはロック機構を有していないことが好ましく、スロット前端とスロット後端との間で実質的に均一な幅のものであることが望ましい。
【0010】
先端ガードは弾性により撓むことができる材料とすることができ、望ましくは、ハウジング内に装着された、前端と後端との間をバネ脚部(スプリング・レッグ)とした、撓むことができるワンピース(1部品)型のクリップ様部材を備える。例えば、この先端ガード部材の前端はロックアウト(閉鎖)脚部を形成するベンド (折り曲げ部) を備え、その後端は後方外延部を形成するベンドを備えていてもよい。この後端と後方外延部はそれぞれ、針套管を通すための穴(開口)を備える。その場合、バネ脚部は、針套管の軸方向移動中には針套管に当たって偏倚されており、ロックアウト脚部は針套管を本体部分の内部に引っ込める (後退させる) 時に、バネ脚部が針套管の穿刺先端をカバーするよう弾性により動く。
【0011】
別の態様において、本発明のニードル器具は、ハウジングとハブとの間に配置された、圧縮バネのようなエネルギー貯蔵手段をさらに含んでいてもよい。この場合、貯蔵されたエネルギーはレバーの半径方向の移動により解放され、それによりハブはハウジングから遠ざかるように動かされて、長手方向スロットに沿ったレバーの軸方向移動を生じさせて、先端ガードが針套管の穿刺先端を防護カバーする位置まで針套管をハウジングの本体部分の内部に後退させる。
【0012】
本発明はまた、可撓性チューブに連結されたニードル器具と採血セットを受け器に相互接続するための取付け具とを備えた安全採血セットにも関する。このニードル器具は、可撓性チューブの一端に装着されたハブを備え、このハブはハブの外面から突き出たレバーを備える。穿刺先端と内腔とを有する針套管が、この内腔がハブを介して可撓性チューブと流体連通するようにハブから突き出ている。このニードル器具はさらに、前方開口とハウジング内に収容された先端ガードとを設けた本体部分と、後方延長部とを有するウィング対形態のハウジングを備える。ハウジングの後方延長部は、それに沿って軸方向にスロット前端とスロット後端との間で延設された長手方向スロットを備える。針套管はハウジングの前方開口から突き出ており、ハブのレバーは長手方向スロットを貫通して突き出ていて、スロット前端の位置にロックされている。この安全採血セットは次のように動作しうる。レバーを半径方向に動かすことによって、レバーは長手方向スロットのスロット前端からのロックが解かれ、レバーを長手方向スロットのスロット後端に向かって軸方向に動かすことによって、ウィング対形態のハウジングの内部開口部を通る針套管の軸方向移動が生じ、それにより先端ガードが針套管の穿刺先端を防護カバーする位置まで針套管が後退してハウジング内に引っ込む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る遮蔽可能なニードル器具を備えた採血セットの斜視図で、包囲カバーの一部は部分破断により内部を示す。
【図2】針が突き出た採血状態の本発明に係る遮蔽可能なニードル器具の斜視図。
【図3】図2のニードル器具の平面図。
【図4】針が突き出た採血状態のニードル器具の図3のIV−IV線に沿った断面図。
【図5】針が完全に引っ込んだ、遮蔽状態の本発明に係る遮蔽可能なニードル器具の斜視図。
【図6】図5のニードル器具の平面図。
【図7】遮蔽状態のニードル器具の図6の VII−VII 線に沿った断面図。
【図8】本発明で使用する先端ガードの拡大斜視図。
【図9】針が突き出た採血状態で示す、本発明の別の態様のニードル器具の側断面図。
【図10】針が引っ込んだ遮蔽状態における、図9に示した別の態様のニードル器具の側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照すると、そのいくつかの図を通して、類似の参照記号は類似の部分を意味する。図1は、本発明と関連する特徴に従った遮蔽可能なニードル器具を備えた採血セットを示す。本発明を遮蔽可能なニードル器具に関して以下に概略説明する。図1は、この遮蔽可能なニードル器具を、遮蔽可能なニードル器具12を含んだ採血セット10の形態で示している。ここでは採血セットの1態様に関して説明するが、本発明の遮蔽可能なニードル器具は、皮下注射アセンブリ、皮下針、採血用の両頭針(double ended needle) アセンブリ、静脈内注入セット、または他の穿刺要素を含む処置器具もしくは医療器具アセンブリといった、針と連結して使用される他の医療器具と組合わせて、またはそれに組み込んで使用することもできる。
【0015】
図1に示すように、採血セット10は、遮蔽可能なニードル器具12と、このニードル器具12から延びた可撓性 (柔軟) チューブ14と、チューブ14に装着された取付け具16と、ニードル器具12のチューブ14とは反対側の部分に、例えば摩擦係合によって、取り外し可能に装着された包囲カバー18とを備える。採血セット10の遮蔽可能なニードル器具12は図2〜7に詳しく示されており、一般に、針套管 (ニードル・カニューレ) 20、レバー40を備えたハブ30、ならびに本体部分52と後方延長部62とを備えたハウジング50を備える。
【0016】
針套管20は、近位 (手前側) または後方の端部 (後端) 22と、遠位 (先端側) または前方の端部 (前端) 24とを備え、内腔26が後端22から前端24まで針套管20を貫通して延びている。針套管20の前端24は、斜めに切断されていて、静脈内穿刺先端のような鋭い穿刺先端28を形成している。穿刺先端28は患者の静脈などの血管に挿入するために設けられ、従って簡単に挿入でき、静脈穿刺中の不快 (痛み) が最小限となるように設計される。
【0017】
ニードル器具12はさらにハブ30を備える。ハブ30は近位または後方の端部 (後端) 32と、遠位または前方の端部 (前端) 34とを備え、それらの間に内部開口部36が通じている。針套管20がハブ30の前端34から突き出るように、針套管20の後端が22がハブ30に取付けられており、針套管の内腔26とハブの内部開口部36とが流体連通している。例えば、針套管20の後端22はハブ30の内部開口部36内に接着剤により固定してもよい。ハブ30は可撓性チューブ14との接続のために設けたリム38をさらに備えていてもよい。或いは、ハブ30はニードル・アセンブリ12を特定の使用目的のための任意の望ましい医療器具と連結するための任意の種類の接続手段を備えていてもよい。例えば、可撓性チューブ14は、針套管20の後端22を可撓性チューブ14に直接取り付けて、ハブ30の内部開口部36内に突き出させてもよい。そのような態様では、ハブ30の後端32を可撓性チューブ14の周囲に、摩擦係合または接着剤などの利用といった手法で、直接取り付けてもよい。
【0018】
ハブ30はさらに、ハブ30の外面から半径方向に向かうレバー40を備える。望ましくは、レバー40は、ハブ30と一対に形成され、ハブ30の外面からフィンガー面 (指載せ面) 44に至る延長アーム42を備える。フィンガー面44は望ましくは、リブまたはバンプ46といった、使用者の指に順応させるためのプロファイルを有する表面を備える。望ましくは、レバー40のフィンガー面44は、本明細書においてさらに詳述するように、フィンガー面44に柔軟性を与えるベンド (曲げ部) 47を備える。
【0019】
ニードル器具12はさらにハウジング50を備える。ハウジング50は、望ましくは熱可塑性材料から成形された、一体構造のものである。ハウジング50は、前端54と後端56とを有する本体部分52を備え、内部開口部58を画成する概ね開口したボディーを有する。前端54は本体部分52の壁面を貫通して内部開口部58に通じる前方開口60を備える。
【0020】
ハウジング50はさらに、本体部分52の後端56から概ね長手軸120(図2) の方向に沿って後方に延びる後方延長部62を備える。後方延長部62は長手方向スロット64を備え、このスロット64は、スロット前端66とスロット後端68との間でその長さに沿って延びている。長手方向スロット64はスロット前端66においてスロット前縁部70により画成された拡張部分をさらに備えていてもよい。長手方向スロット64の形状はさらに、その長手方向の長さに沿って延びるスロット側縁部72, 74によっても規定される。望ましくは、スロット側縁部72, 74は、スロット前端66においてスロット前縁部70により画成される拡張部分を別にすれば、長手方向スロット64の全長に沿って、互いに実質的に平行で、実質的に均一な幅のものである。
【0021】
ハウジング50は、本体部分52からその両側に横方向に延びた平面ウィング76, 78の形態の一対のスタビライザをさらに備えていてもよい。平面ウィング76, 78により、ハウジング50とニードル器具12はバタフライ型ウィング対の形態のアセンブリになり、採血処置中にニードル器具12と採血セット10の位置決めと配置を助ける。
【0022】
ニードル器具12はさらに、ハウジング50の本体部分52の内部開口部58の内部に配置された先端ガード80のようなロック用 (固定用) アセンブリをさらに備える。先端ガード80は、ハウジング50と一体に形成してもよいが、より望ましくは、内部開口部58の内部に固定して取り付けられた別個のクリップ型ワンピース (1部品) 部材である。先端ガード80は望ましくは、弾性により撓みうる金属材料から形成される。図8により詳しく示すように、先端ガード80は一般に後端82と前端84を備える。後端82はその上部で折り返されていて、後方外延部(extent) 86 を形成している。後端82と前端84は底面のバネ脚部88を介して連結され、この脚部は前端84で折り曲げられて、前端壁90を形成する。前端壁90はさらに折り曲げられて、ロックアウト (閉鎖) 脚部92を形成する。本体部分52の内部開口部58は、先端ガード80の形状を収容するプロファイルを備え、図7に示すように、この内部開口部はロックアウト脚部92を収容するためのポケット領域を有することが望ましい。後端82と後方外延部86は、後でより詳しく説明するように、針套管20を通すためにそれぞれその壁面を貫通する穴94, 96を備える。
【0023】
ハブ30のレバー40はハウジング後方延長部62の長手方向スロット64を貫通している。具体的には、図4に示すように、延長アーム42が長手方向スロット64を貫通しており、フィンガー面44がハウジング50の外面で長手方向スロット64を超えて延長アーム42から突き出ている。
【0024】
ニードル器具12は使用位置と使用からの防護位置の2つの位置をとることができる。具体的には、ニードル器具12は、針套管20が内部開口部58内でハウジング50の本体部分52の前方開口60から突き出ている、図2〜4に示すような第1の位置では、使用可能である。この使用位置の状態では、ニードル器具12はサンプリング (検体採取) 状態にあり、針套管20は本体部分52の前端56から突き出た突出位置にある。針套管20はハブ30に連結されているので、ハブ30はハウジング50に対して前方位置にあり、本体部分52の内部開口部58内に位置する。この状態では、レバー40は後方延長部62の長手方向スロット64のスロット前端66に位置する。針套管20がこの突出位置から外れるのを防止するため、レバー40はスロット前端66にロックされる。このロックは、レバー40の延長アーム42の拡張部分48のようなロック機構により達成される。図4に示すように、この拡張部分48は、長手方向スロット64内で後方延長部62のスロット前縁部74との嵌まり係合(interference engagement) 状態にある。
【0025】
ニードル器具12はまた、ニードル器具を使用し終わった後に安全防護を与えるといった目的で、使用からの防護位置をとることもできる。この位置では、図5〜7に示すように、針套管20は、これが本体部分52の内部開口部58内に引っ込んだ引込み (後退) 位置にある。この状態では、ハブ30は、レバー40が長手方向スロット64のスロット後端68に位置する後退位置にある。後でより詳しく説明するように、針套管20の穿刺先端28はハウジング50の本体部分52内に完全に引っ込んでいて、先端ガード80が穿刺先端28を防護するようにカバーしていて、その再露出 (再突出) を防止している。
【0026】
図2〜4に示すような突出位置と図5〜7に示すような引き込み (後退) 位置との間の針套管20の移動はレバー40の作動により達成され、それによりニードル器具12を動作位置から遮蔽された安全防護位置に動かすことができる。具体的には、上述したように、動作状態では、針套管20は本体部分50の前方開口60から突き出ていて、レバー40は拡張部分48とスロット前縁部70との間の締まり係合などによって所定位置にロックされている。針套管20を動かすには、矢印124(図2) の方向といった、ニードル器具12の長手軸120 に垂直な方向への半径方向力を加えることによってレバー40を作動させる。この半径方向力により、フィンガー面44のベンド47は、フィンガー面44の弾性の性質により部分的に撓むようになり、その結果、レバー40とハブ30も長手軸120 の中心から部分的にはずれて半径方向に動く。このような半径方向の動きにより、延長アーム42の拡張部分48は後方延長部62の長手方向スロット64のスロット前縁部70との締まり係合状態から外れる。その結果、レバー40はロック位置から解放され、レバー40は長手方向スロット64内を自由に動くことができるようになる。
【0027】
針套管20の引き込み (後退) を行うには、レバー40を矢印130(図5) の方向にスロット後端68に向かって後方に長手軸120 に沿って軸方向に動かす。これは、レバー40のフィンガー面44に矢印130 の方向に圧力を加えることにより達成することができる。バンプ46はそのような指による圧力のための効果的な触覚表面を与える。一方、ベンド47は、フィンガー面44に、後ろ向きに力を加えるのをさらに助けるやや傾斜した角度つき表面を付与する。このような指の圧力により、レバー40の延長アーム42は長手方向スロット64を通って摺動または案内され、その結果、ハブ30は後ろ向きに動かされる。針套管20はハブ30に連結されているため、針套管20も後方に移動する。レバー40をスロット後端68の方に移動させる間に、針套管20の穿刺先端28は本体部分52の前方開口60を通って後退する。先端ガード80が本体部分52の内部開口部58内に設置されているので、針套管20はこの先端ガード80の穴94および96を通って摺動しながら後退するが、この先端ガードの底面バネ脚部88は撓んだ状態のままであって、ロックアウト脚部92はこの後退中に針套管20の外面に沿って摺動するようになる。レバー40がスロット後端68まで完全に移動してしまうと、穿刺先端28は本体部分52の前方開口60を過ぎ、かつ先端ガード80の前端84も過ぎた位置まで後退していて、先端ガード80の底面バネ脚部88は、バネ作用でその自然の状態に戻り、ロックアウト脚部92は針套管20の穿刺先端28をカバーする位置をとり、それによって針套管20が前方に移動することが防止され、従って、穿刺先端28がハウジング50から再露出することが防止される。
【0028】
本体部分52の内部に先端ガード80を設けることにより、レバー40と長手方向スロット64との間でロック機構の係合を行うといった使用者の側でのさらなる動作を全く必要とせずに、針套管20はハウジング50の内部に効果的にロックされる。このようにして、針套管20が先端ガード80により所定位置に効果的にロックされるため、長手方向スロット64はスロット後端68には後方側のロック機構を何も必要としない。
【0029】
長手方向スロット64の長さは、針套管20の完全な引き込みを確保するために、レバー40が長手方向スロット64のスロット後端68に位置した時、好ましくはレバー40がスロット後端68に位置する直前に、針套管20が本体部分52の内部開口部58の中に完全に引っ込み、かつ先端ガード80が穿刺先端28を包囲するように撓むようにするのに十分な長さとすべきである。
【0030】
望ましくは、レバー40と長手方向スロット64を形成する後方延長部62の壁面とが摩擦係合状態にある。例えば、延長アーム42がスロットの側縁部72, 74と摩擦係合するように、延長アーム42の幅は、望ましくは長手方向スロット64の幅とほぼ同じである。このようにすると、レバー40は、例えば、処置中に針套管20を患者に挿入し終わった後、針套管20を不完全に引っ込めるために、長手方向スロット64に沿った位置に不完全に動かすことができるようになる。また、このような摩擦係合では、長手方向スロット64を通ってレバー40を動かすにはスロット後端68に向かってレバー40に力を加えることが必要となり、それによりレバー40を軸方向に動かし、従って、針套管20を安全遮蔽位置に後退させることになる。
【0031】
別の態様において、図9〜10に示すように、ニードル器具12は、長手方向スロット64のスロット前端66にレバー40を保持するロック機構を解放すると、ハブ30が矢印130 の方向に長手軸120 に沿って自動的に後方に動かされ、それにより針套管20の後退と安全遮蔽とを自動的に生じさせるように、ハウジング50とハブ30との間に設けたエネルギー貯蔵手段を備えていてもよい。図9〜10は本発明のそのような別の態様を示し、図1〜8の構成要素と実質的に同一の多数の構成要素を備える。従って、類似の機能を果たす類似の構成要素は図1〜8の構成要素と同じ参照番号を付しているが、ただし図9および10の類似要素には番号の後に接尾辞"a" を用いている。
【0032】
エネルギー貯蔵手段は、図9〜10には圧縮バネ100aとして一般に示されている。圧縮バネ100aは先端ガード80a の後端82a とハブ30a の前端34a との間に設けられる。圧縮バネ100aは、ニードル器具12a が針套管20a が検体採取処置のために前方開口60a から突き出た動作位置にある時といった、圧縮状態にある時にエネルギーを貯蔵する。レバー40a を所定位置に保持するロック機構を解放すると、圧縮バネ100aに貯蔵されているエネルギーが解放され、それにより先端ガード80a の後端82a とハブ30a の前端34a との間で力を反対方向に発揮する。その状態で、ハウジング50a とハブ30a は相対的に反対方向に動き、それによりレバー40a を長手方向スロット64a 内で後方に摺動させて、針套管20の引き込み (後退) を生じさせる。
【0033】
本発明の遮蔽可能なニードル器具は、防護のために針の先端の安全なシールドを提供するためのユニークな構造を与える。ハウジング50内に先端ガード80を配置することにより、穿刺先端28の効果的で安全な遮蔽 (シールド) を達成する。さらに、フィンガー面44が長手方向スロット64を超えて突き出るレバー40の配置により、使用者の片手だけで遮蔽状態への作動を生じさせるための単純なメカニズムが可能となる。具体的には、親指と中指の間にハウジング50の本体部分52をつかむことにより、レバー40を人指し指の圧力により後ろ向きに効果的に動かすことができ、それにより単純な片手で行うメカニズムで針套管20を効果的に引っ込めることができる。このような片手で行う動作をさらに助けるため、使用者の手のひらでつかむためにハブ30の延長部または可撓性チューブ14のコイル化またはバンドル化といった、さらなる構造をニードル器具12の後方部分に付加することができることも考えられる。さらに、レバー40と長手方向スロット64の配置は、遮蔽状態への動作が、作用させる指を針の先端から離れる方向 (後ろ向き) に動かす間に同時にハウジングを遮蔽位置に前進させることによって行われる点で、動作にさらなる安全性を付加するものとなる。
【0034】
本発明のニードル・アセンブリを採血システムに関連した使用態様に関して以上に説明したが、このニードル・アセンブリは、いずれもニードル器具と使用することが本技術分野で周知である、慣用の静脈内注入セット、皮下注射針アセンブリ、または採血用の両頭針アセンブリと組合わせるといった、他の医療処置で使用することができることもさらに考えられる。
【0035】
本発明は多くの異なる形態の態様により満足されるが、本発明の好適態様を添付図面に示し、以上に詳述した。但し、以上の開示は本発明の原理の例示として考えるべきものであり、本発明を例示した態様に制限する意図はない。本発明の範囲および技術思想から逸脱せずに、各種の他の態様も当業者には明らかで、容易になしうるであろう。本発明の範囲は特許請求の範囲とその均等物により判断されよう。
【符号の説明】
【0036】
10: 採血セット、12: ニードル器具、14: 可撓性チューブ、16: 取付け具、18: 包囲カバー、20: 針套管、26: 内腔、28: 穿刺先端、30: ハブ、36: ハブ内部開口部、38: リム、40: レバー、42: 延長アーム、44: フィンガー面、46: バンプ、47: ベンド、50: ハウジング、52: 本体部分、58: ハウジング内部開口部、60: ハウジング前方開口、62: 後方延長部、64: 長手方向スロット、66: スロット前端、68: スロット後端、76,78:ウィング、80: 先端ガード、86: 後方延在部、88: バネ脚部、92: ロックアウト脚部、94,96:穴、100a: 圧縮バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その外面から突き出たレバーを備えたハブと、
該ハブから突き出た、穿刺先端を有するニードル・カニューレ (以下、針套管) と、
本体部分と後方延長部とを備えたハウジングと、
から構成される遮蔽可能なニードル器具であって、
該ハウジングの本体部分は前方開口を有し、該針套管はこの前方開口から該本体部分を貫通して延びており、該ハウジングの後方延長部は、それに沿って軸方向にスロット前端とスロット後端との間で延設された長手方向スロットを有し、該ハブの該レバーは該長手方向スロットを貫通して、その該スロット前端にロックされており、該ハウジングはさらに該本体部分の内部に固定された先端ガードを備えており、
ここで、該レバーはスロット前端からのレバーのロックを解くためにニードル器具の長手軸に対して半径方向に移動可能であり、該レバーはスロット後端に向かって軸方向にも移動可能であって、それにより該ハウジングの該前方開口を通る該針套管の軸方向移動を生じさせて、該先端ガードで該ハウジングの該本体部分内の引込み位置にて該針套管をロックする該先端ガードが該針套管の該穿刺先端を防護カバーする位置まで該針套管が該ハウジングの該本体部分の内部に引っ込むようにした、遮蔽可能なニードル器具。
【請求項2】
前記レバーと前記長手方向スロットが前記長手方向スロットに沿って摩擦係合状態にあり、それにより前記スロット後端に向かう前記レバーの軸方向移動を生じさせるのに前記レバーに前記スロット後端方向への力を加えることが必要となる、請求項1に記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項3】
前記レバーが使用者の指に順応させるためのプロファイルを有するフィンガー面を備える、請求項1または2に記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項4】
前記レバーが前記フィンガー面に加えた圧力により前記スロット後端に向かって軸方向に移動可能である、請求項3に記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項5】
前記先端ガードが、前記本体部分の内部に引っ込めるための前記針套管の軸方向移動の間に前記針套管を通すための部分を備える、請求項1〜4のいずれかに記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項6】
前記先端ガードが弾性により撓むことができる材料から構成される、請求項1〜5のいずれかに記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項7】
前記弾性により撓むことができる材料が、前端と後端との間をバネ脚部とした構造であり、該前端はロックアウト脚部を形成するためのベンドを備え、該後端は後方外延部を形成するベンドを備え、該後端と該後方外延部はそれぞれ、該針套管を通すための穴を備え、ここで、該バネ脚部は該針套管の軸方向移動中には該針套管に当たって偏倚されており、該ロックアウト脚部は該針套管を該本体部分の内部に引っ込める時に該針套管の該穿刺先端をカバーするように弾性により動く、請求項6に記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項8】
前記長手方向スロットが後方側のロック機構を有していない、請求項1〜7のいずれかに記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項9】
前記長手方向スロットが、前記スロット前端と前記スロット後端との間で実質的に均一な幅のものである、請求項1〜8のいずれかに記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項10】
前記ハウジングと前記ハブとの間に配置されたエネルギーを貯蔵する手段をさらに含み、ここで、貯蔵されたエネルギーは前記レバーの半径方向の移動により解放され、それにより前記ハブは前記ハウジングから遠ざかるように動かされて、前記長手方向スロットに沿った前記レバーの軸方向移動を生じさせて、前記先端ガードが前記針套管の前記穿刺先端を防護カバーする位置まで前記針套管を前記ハウジングの前記本体部分の内部に引っ込める、請求項1および3〜9のいずれかに記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項11】
前記エネルギー貯蔵手段が圧縮バネから構成される、請求項10に記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項12】
前記レバーが、このレバーを前記長手方向スロットの前記スロット前端で解放可能にロックするために前記スロット前端で前記後方延長部の一部と係合する解放可能なロック機構を備える、請求項1〜11のいずれかに記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項13】
前記レバーが前記長手方向スロットを超えて突き出たフィンガー面を持つ延長アームを含み、前記ロック機構が前記長手方向スロットの壁面との締まり係合のための前記延長アームの拡張部分から構成される、請求項12に記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項14】
前記ハウジングが、このハウジングの両側から突き出た一対の概ね平面のウィングを備える、請求項1〜13のいずれかに記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項15】
前記ハウジングが採血セットに接続するようになっている、請求項1〜14のいずれかに記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項16】
前記針套管にかぶさる包囲カバーを備える、請求項1〜15のいずれかに記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項17】
本体部分と該本体部分から突き出た後方延長部とを備えたハウジング、ここで、該本体部分はそれを貫通する内部開口部を備え、この内部開口部内に固定されたロック用アセンブリが配置され、該後方延長部は該本体部分に隣接するスロット前端とスロット後端との間に延設された長手方向スロットを備える、
前端と後端とその間に位置する内部開口部とを備えるハブ、ここで該ハブは該ハウジングの該長手方向スロットを貫通するレバーを備え、該レバーは該長手方向スロットを超えて突き出たフィンガー面と、該レバーを該長手方向スロットの該スロット前端でロックするためのロック機構とを備える、および
前端が、該ハブの該前端から該ハウジングの該本体部分の該内部開口中に突き出ている針套管、
から構成される遮蔽可能なニードル器具であって、
該レバーは、このレバーの該ロック機構を、該長手方向スロットの該スロット前端でのロック位置から解放するために該長手方向スロットに対して半径方向に移動可能であり、該レバーはさらに該フィンガー面により該長手方向スロットに沿って軸方向にも摺動可能であって、それにより該針套管と該ハウジングの該本体部分は、該針套管の該前端が該ハウジングの該本体部分の前端から突き出ている突出位置と、該針套管の該前端が該本体部分の該内部開口部内に引っ込んでいる後退位置との間で、互いに軸方向への相対移動を生じ、該後退位置では、該ロック用アセンブリで該ハウジングの該本体部分内の引込み位置にて該針套管をロックする該ロック用アセンブリが該針套管の該前端と係合して、該針套管が該後退位置から該突出位置に移動することが防止される、遮蔽可能なニードル器具。
【請求項18】
前記レバーと前記長手方向スロットとが、前記長手方向スロットに沿って摩擦係合状態にあり、それにより前記スロット後端に向かう前記レバーの軸方向移動を生じさせるのに前記レバーに前記スロット後端方向への力を加えることが必要となる、請求項17に記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項19】
前記レバーが前記ハブと前記フィンガー面との間をつなぐ延長アームを含み、前記ロック機構が前記長手方向スロットの壁面との締まり係合のための前記延長アームの拡張部分から構成される、請求項17または18に記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項20】
前記ハウジングが、このハウジングの両側から突き出た一対の概ね平面のウィングを備える、請求項17〜19のいずれかに記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項21】
前記ロック用アセンブリが弾性により撓むことができる材料から構成される先端ガードから構成される、請求項17〜20のいずれかに記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項22】
前記弾性により撓むことができる材料が、後端および前端と、それらの間のバネ脚部とを備え、該前端はロックアウト脚部を形成するためのベンドを備え、該後端は後方外延部を形成するベンドを備え、該後端と該後方外延部はそれぞれ、該針套管を通すための穴を備え、ここで、該バネ脚部は前記突出位置においては前記針套管に当たって偏倚されており、該ロックアウト脚部は前記後退位置においては前記針套管の前記穿刺先端をカバーするように弾性により動く、請求項21に記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項23】
前記長手方向スロットが後方側のロック機構を有していない、請求項17〜22のいずれかに記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項24】
前記長手方向スロットが、前記スロット前端と前記スロット後端との間で実質的に均一な幅のものである、請求項17〜23のいずれかに記載の遮蔽可能なニードル器具。
【請求項25】
下記から構成される安全採血セットであって:
採血セットを受け器に連結する取付け具、
両側の第1および第2の端部を有する可撓性チューブであって、その該第1の端部は該取付け具に連結されている可撓性チューブ、
該可撓性チューブの該第2の端部に装着されたハブであって、該ハブの外面から突き出たレバーを備えるハブ、
該ハブから突き出た針套管であって、穿刺先端と該ハブを介して該可撓性チューブと流体連通している内腔とを有する針套管、および
本体部分と後方延長部とを備えたウィング対形態のハウジングであって、該本体部分は前方開口を有し、該針套管は該前方開口から突き出ており、該後方延長部はそれに沿って軸方向にスロット前端とスロット後端との間で延設された長手方向スロットを有し、該ハブの該レバーは該長手方向スロットを貫通して、該スロット前端でロックされており、さらに該本体部分の内部に固定された先端ガードを備えているウィング対形態のハウジング、
ここで、該レバーの半径方向の動きによって、該レバーは該長手方向スロットの該スロット前端からのロックが解かれ、該レバーの該長手方向スロットのスロット後端に向かう軸方向の動きによって、該ウィング対形態のハウジングの該内部開口部を通る該針套管の軸方向移動を生じて、それにより、該先端ガードで該ハウジングの該本体部分内の引込み位置にて該針套管をロックする該先端ガードが該針套管の該穿刺先端を防護カバーする位置まで該針套管が該ウィング対形態のハウジング内部に引っ込むようにした、安全採血セット。
【請求項26】
前記レバーと前記長手方向スロットが前記長手方向スロットに沿って摩擦係合状態にあり、それにより前記スロット後端に向かう前記レバーの軸方向移動を生じさせるのに前記レバーに前記スロット後端方向への力を加えることが必要となる、請求項25に記載の安全採血セット。
【請求項27】
前記レバーが使用者の指に順応させるためのプロファイルを有するフィンガー面を備え、前記レバーが前記フィンガー面に加えた圧力により前記スロット後端に向かって軸方向に移動可能である、請求項25または26に記載の安全採血セット。
【請求項28】
前記ウィング対形態のハウジングと前記ハブとの間に配置された圧縮バネをさらに含み、ここで、前記レバーの半径方向の移動によって、該圧縮バネに貯蔵されたエネルギーが解放され、それにより前記ハブは前記ウィング対形態のハウジングから遠ざかるように動かされて、前記長手方向スロットに沿った前記レバーの軸方向移動を生じさせて、前記先端ガードが前記針套管の前記穿刺先端を防護カバーする位置まで前記針套管を前記ウィング対形態のハウジングの前記本体部分の内部に引っ込める、請求項25または27に記載の安全採血セット。
【請求項29】
前記レバーが、このレバーを前記長手方向スロットの前記スロット前端で解放可能にロックするために前記スロット前端で前記後方延長部の一部と係合する解放可能なものであって、前記レバーに含まれ前記長手方向スロットを超えて突き出たフィンガー面を持ち前記長手方向スロットの壁面との締まり係合のための延長アームの拡張部分から構成されるものである、ロック機構を備える、請求項25〜28のいずれかに記載の安全採血セット。
【請求項30】
前記長手方向スロットが前記スロット後端に後方側のロック機構を有していない、請求項25〜29のいずれかに記載の安全採血セット。
【請求項31】
前記長手方向スロットが、前記スロット前端と前記スロット後端との間で実質的に均一な幅のものである、請求項25〜30のいずれかに記載の安全採血セット。
【請求項32】
前記先端ガードが弾性により撓むことができる材料から構成される、請求項25〜31のいずれかに記載の安全採血セット。
【請求項33】
前記弾性により撓むことができる材料が、前端と後端の間をバネ脚部とした構造であり、該前端はロックアウト脚部を形成するためのベンドを備え、該後端は後方外延部を形成するベンドを備え、該後端と該後方外延部はそれぞれ、該針套管を通すための穴を備え、ここで、該バネ脚部は該針套管の軸方向移動中には該針套管に当たって偏倚されており、該ロックアウト脚部は該針套管を該本体部分の内部に引っ込める時に該針套管の該穿刺先端をカバーするように弾性により動く、請求項32に記載の安全採血セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−41836(P2011−41836A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258942(P2010−258942)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【分割の表示】特願2004−11834(P2004−11834)の分割
【原出願日】平成16年1月20日(2004.1.20)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】