強化光学フィルム
構造化された表面を有する光学フィルムを、とりわけ、ディスプレイ内での光の伝搬を管理するために用いる。ディスプレイが大きくになるにつれて、剛性を維持するためにフィルムを強化することがより重要になる。本発明の光学フィルムは、ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維を含む第1の層を有する。第2の層を通過する光に対する光学機能をもたらすための構造化された表面を有する第2の層は、第1の層に取り付けられている。フィルムは、種々の有益な光学特性を有する場合があり、それはたとえば、第1の層を通って実質的に垂直に伝搬する光が、ヘイズの特定のレベル以下を受ける場合があるか、またはフィルムに入射する光が輝度利得の最小値を受ける場合がある。フィルムを製造する種々の方法が記載されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムに関し、より詳細には、構造化された表面を伴う光学フィルムであって、ディスプレイ(たとえば液晶ディスプレイ)において使用しても良い光学フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
光学フィルム、たとえば構造化された屈折面を有するフィルムが、ディスプレイにおいて使用されることが多く、これは、たとえば、光源からディスプレイパネルまでの光の伝搬を管理するためである。たとえば、プリズム輝度向上フィルムが、ディスプレイからの軸上の光の量を増加させるために使用されることが多い。
【0003】
ディスプレイシステムのサイズが大きくなるにつれて、フィルムの面積も大きくなる。そのような表面構造化フィルムは、薄く、典型的には厚さ数十または数百ミクロンであり、そのため、構造一体化がほとんどなく、特に大型のディスプレイシステムにおいて使用するときにそうである。たとえば、特定の厚さのフィルムが、携帯電話のディスプレイで用いるときには十分に硬くても、同じフィルムが、より大型のディスプレイ(たとえばテレビジョンまたはコンピュータモニタ)で用いるには、いくらかの付加的な支持手段がなければ、硬さが不十分な場合がある。またより堅いフィルムによっても、大きなディスプレイシステムの組立プロセスが、それほど困難ではなくなり、またより自動化され、ディスプレイの最終組立コストが低くなる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
付加的な剛性を提供するために、表面構造化フィルムをより厚く形成することができ、または厚いポリマー基材に積層して、大面積フィルムで用いるのに必要な支持体を提供しても良い。しかし、厚いフィルムまたは厚い基材を用いると、ディスプレイユニットの厚さが増し、重量が増えることにもなり、そして場合により光吸収も増加することになる。より厚いフィルムまたは基材の使用はまた、断熱も高めて、ディスプレイから熱を移す能力を低下させる。さらに、輝度が増したディスプレイに対する継続的な要求があり、それはディスプレイシステムによって熱がより生成されることを意味する。これは、より高い加熱に関連する変形効果、たとえばフィルムの反りの増加をもたらす。加えて、表面構造化フィルムを基材に積層することによって、装置にコストが追加され、装置の厚さおよび重量が増すことになる。しかし、追加された費用は、ディスプレイの光学機能の著しい改善を結果としてもたらさない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維を含む第1の層と第1の層に取り付けられた第2の層とを有する光学フィルムを対象とする。第2の層は構造化された表面を有する。フィルムを通って実質的に垂直に伝搬する光は、30%未満のバルクヘイズを受ける。
【0006】
本発明の別の実施形態は、ディスプレイパネル、バックライト、およびディスプレイパネルとバックライトとの間に位置する強化フィルムを有するディスプレイシステムを対象とする。強化フィルムは、ポリマーマトリックスとポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維とから形成される第1の層を有する。第2の層は、第1の層に取り付けられ、構造化された表面を有する。強化フィルムを通って実質的に垂直に伝搬する光は、30%未満のバルクヘイズを受ける。
【0007】
本発明の別の実施形態は、光学フィルムを製造する方法を対象とする。本方法は、構造化された表面を有する第1の層を準備する工程と、ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維を含む繊維強化層を準備する工程と、を含む。繊維強化層を通って伝搬する光は、30%未満のバルクヘイズを受ける。繊維強化層は第1の層に取り付けられている。
【0008】
本発明の別の実施形態は、第1の層を含む光学フィルムを対象とする。第1の層は、ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維を含む。第2の層が、第1の層に取り付けられ、構造化された表面を有する。フィルムは、少なくとも10%の輝度利得を、フィルムを通って伝搬する光に対して提供する。
【0009】
本発明の別の実施形態は、ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維を有する第1の層と第2の層とを含む光学フィルムを対象とする。第2の層は構造化された表面を有する。構造化された表面とは反対方向を向くフィルムの側面上に実質的に垂直に入射する光に対する単光路透過率は、40%未満である。
【0010】
本発明の上記の概要は、本発明の各図示の実施形態またはすべての実施を説明しようとするものではない。以下の図および詳細な説明は、より具体的にこれらの実施形態を例証する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、光学システムに適用することができ、および特に、1つ以上の光学フィルムを使用する光学ディスプレイシステムに適用することができる。光学ディスプレイ、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)が、より大きくより明るくなるにつれて、ディスプレイ内の光学フィルムへの要求がより大きくなる。より大きいディスプレイは、反り、曲がり、および弛みを防ぐために、より堅いフィルムを必要とする。しかし、フィルムの厚さをその長さおよび幅とともに拡大することは、より厚いおよびより重いフィルムをもたらす。そのため光学フィルムが、厚さの増加を同時に伴わずに、大きいディスプレイに使用できるように、より堅くされることは望ましい。光学フィルムの剛性を増加させるための1つアプローチは、フィルム内に強化繊維を含むことである。一部の代表的な実施形態では、繊維は、フィルムを通過する光の散乱がほとんどないかまたは全くないように、屈折率について、フィルムの周囲の材料と整合する。多くの応用例において、複合光学フィルムは薄い(たとえば、最大0.2mm未満である)ことが望ましい場合があるが、厚さに対しては特別な制限はない。一部の実施形態においては、たとえばLCD−TVで使用される厚いプレートとして、厚さ0.2〜10mmであり得るものを作製することなど、複合材料の有利性とより大きい厚さの有利性とを組み合わせることが望ましい場合がある。この応用例の目的に対して、用語「光学フィルム」は、これらのより厚い光学プレートまたは導光体を含むとみなすべきである。
【0012】
本発明の一部の代表的な実施形態においては、表面構造化フィルムは、繊維強化層に取り付けられた表面構造化層を含む。この配置によって、表面構造化フィルムをより大面積で形成することが、より大型のディスプレイにおける動作条件の下で著しく歪むことも反ることもない硬い形状を維持しながら、可能になる。
【0013】
本発明を含んでも良いディスプレイシステム100の代表的な実施形態の概略的な分解図を図1に示す。そのようなディスプレイシステム100は、たとえば、液晶ディスプレイ(LCD)モニタまたはLCD−TVにおいて用いても良い。ディスプレイシステム100は、LCパネル102を使用することに基づいており、LCパネル102は典型的に、パネルプレート106の間に配置された液晶(LC)104の層を含む。プレート106は多くの場合ガラスで形成され、またLC層104内の液晶の配向を制御するために、プレート106の内部表面上に電極構造体およびアラインメント層を含んでもよい。当該電極構造体は、LCパネル画素、隣接した領域とは独立して液晶の配向が制御できるLC層の領域、を画定するように一般に配置されている。カラーフィルタが、表示された画像に色を付与するために1以上のプレート106に含まれていてもよい。
【0014】
上側の吸収偏光子108は、LC層104の上方に位置され、また下側の吸収偏光子110は、LC層104の下方に位置されている。図示した実施形態では、上側および下側の吸収偏光子108、110は、LCパネル102の外部に位置されている。吸収偏光子108、110およびLCパネル102は、ともに、バックライト112からディスプレイシステム100を通って視聴者に至る光の透過を制御する。
【0015】
バックライト112は、LCパネル102を照明する光を発生する多くの光源116を含む。LCD−TVまたはLCDモニタに使用される光源116は多くの場合、ディスプレイ装置100にわたって延びる線状、冷陰極蛍光管である。しかし、他のタイプの光源も用いても良く、たとえば、フィラメントもしくはアークランプ、発光ダイオード(LED)、薄型蛍光パネル、または外部蛍光ランプなどである。ここに挙げた光源は、限定的なものまたは網羅的なものを意図するのではなく、単に例示的なものであることが意図される。
【0016】
バックライト112はまた、光源116から下方へLCパネル102から離れる方向に伝播する光を反射するための反射体118も含んでもよい。当該反射体118はまた、以下に説明するように、ディスプレイ装置100内で光を再利用するのに有用である場合もある。当該反射体118はまた、鏡面反射体であっても良いし、拡散反射体であっても良い。反射体118として使用して良い鏡面反射体の一例は、ミネソタ州、セントポール(St.Paul,Minnesota)の3M社(3M Company)から入手可能なビキュイティ(Vikuiti)(商標)鏡面反射性向上(Enhanced Specular Reflection)(ESR)フィルムである。適切な拡散反射体の例としては、拡散反射する粒子、たとえば二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が装填されているポリマー、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン、ポリスチレンなどが含まれる。微小多孔性材料および微細繊維含有材料を含む拡散反射体のその他の例は、共有の米国特許出願公開第2003/0118805A1号に記載されている。
【0017】
光制御層(light management layer)の配置120は、バックライト112とLCパネル102の間に位置されている。当該光制御層は、ディスプレイ装置100の動作を改善するように、バックライト112から伝播する光に影響をおよぼす。たとえば、光制御層の配置120は、拡散層122を含んでいても良い。当該拡散層122は、光源から受けた光を拡散するために使用され、これはLCパネル102に入射する照明光の均一性の増加をもたらす。それ故に、このことは、より均一で明るい画像が視聴者によって知覚されることになる。
【0018】
光制御層の配列120はまた、反射偏光子124を含んでいても良い。光源116は典型的に、非偏光光を発生するが、下側の吸収偏光子110は単一の偏光状態のみを透過するので、光源116により発生される光の約半分はLC層104まで透過されない。しかし、この反射偏光子124を使用して、本来は下側の吸収偏光子内に吸収されてしまうであろう光を反射しても良いので、この光を反射偏光子124と反射体118との間の反射によって再利用しても良い。反射偏光子124によって反射される光の少なくとも一部を偏分極して、その後に反射偏光子124へ戻すことを、反射偏光子124および下側の吸収偏光子110を通ってLC層104まで透過される偏光状態で行なっても良い。このようにして、反射偏光子124を使用して、光源116によって発せられる光のうちLC層104に到達する光の割合を増加させることができ、したがって、ディスプレイ装置100によって形成される画像はより明るくなる。
【0019】
任意の好適なタイプの反射偏光、たとえば、多層光学フィルム(MOF)反射偏光子、拡散反射偏光フィルム(DRPF)(たとえば、連続/分散相偏光子またはコレステリック反射偏光子)などを用いても良い。
【0020】
MOF、コレステリック、および連続/分散相反射偏光子は、材料(通常はポリマー材料)内の変化する屈折率プロファイルを基にして、直交する偏光状態での光を透過する一方で、1つの偏光状態の光を選択的に反射する。MOFの一部の例は、共有の米国特許第5,882,774号に記載されている。MOF反射偏光子の市販の例としては、ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能な、拡散面を含む多層反射偏光子であるビキュイティ(商標)DBEF−IIおよびDBEF−D400が挙げられる。
【0021】
本発明に関連して有用なDRPFの例としては、共有の米国特許第5,825,543号に記載の連続/分散相反射偏光子、および、たとえば同第5,867,316号に記載の拡散反射多層偏光子が挙げられる。他の好適なタイプのDRPFは、米国特許第5,751,388号に記載されている。
【0022】
本発明に関連して有用なコレステリック偏光子の一部の例としては、たとえば米国特許第5,793,456号、および米国特許公開第2002/0159019号に記載のものが挙げられる。コレステリック偏光子は多くの場合、コレステリック偏光子を透過した光が直線偏光に変換されるように、出力側の四分の一波長遅延層(quarter wave retarding layer)とともに提供される。
【0023】
光制御層の配列120はまた、プリズム状輝度向上層128も含んでいても良い。輝度向上層は、軸からずれた光をディスプレイの軸により近い方向に方向変換する表面構造体を含む層である。これはLC層104を通って軸上を伝播する光の量を増加させるので、視聴者が見る画像の輝度が向上する。プリズム輝度向上層の一つの例は、屈折と反射を通して照明光の向きを変える多くのプリズム要素を有するものである。ディスプレイ装置に使用され得るプリズム状輝度向上層は、たとえば、ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能な、BEFII 90/24、BEFII 90/50、BEFIIIM 90/50、およびBEFIIITを含むプリズムフィルムのビキュイティ(商標)BEFIIおよびビキュイティBEFIIIファミリーが挙げられる。プリズム要素は、フィルムの幅にわたって延びる隆起部としてか、またはより短い要素として形成されても良い。
【0024】
強化輝度向上フィルム200の代表的な実施形態を、図2Aに概略的に例示する。強化フィルム200は、輝度向上層208に取り付けられた強化層202を含む。輝度向上層208は、光の方向を変えてディスプレイの軸により近い方向に伝播させる構造を有する任意の表面構造化層を含んでいても良い。強化層202は、ポリマーマトリックス206内に配置される無機繊維204の複合配置を含む。
【0025】
無機繊維204は、ガラス、セラミック、またはガラス−セラミック材料で形成されても良く、またマトリックス206内において、個々の繊維として、1つ以上のトウ内にまたは1つ以上の織布層内に配置されても良い。繊維204は、規則的なパターンで配置されても良いし、不規則なパターンで配置されても良い。強化ポリマー層のいくつかの異なる実施形態は、米国特許出願番号第11/125,580号(2005年5月10日出願)により詳しく論じられている。
【0026】
マトリックス206および繊維204の屈折率は、整合するように選択されても良いし、整合しないように選択されても良い。一部の代表的な実施形態においては、結果として生じる物品が光源からの光に対してほとんどまたは完全に透明となるように、屈折率が整合することが望ましい場合がある。他の代表的な実施形態においては、屈折率の意図的な不整合を起こして、特定の色散乱効果を生じるか、あるいはフィルム上に入射する光の拡散透過または反射を生じることが、望ましい場合がある。屈折率整合を、屈折率が樹脂マトリックス206のそれとほぼ同一に近い指数を有する適切な繊維204強化材を選択することによってか、または屈折率が繊維204のそれと近いか同一の屈折率を有する樹脂マトリックスを生じることによって、達成することができる。
【0027】
ポリマーマトリックス206を形成する材料に対するx−、y−、およびz−方向の屈折率を、本明細書では、n1x、n1yおよびn1zと称する。ポリマーマトリックス材料206が等方性である場合、x−、y−、およびz−屈折率は、すべて実質的に整合する。マトリックス材料が複屈折性である場合、x−、y−、およびz−屈折率の少なくとも1つは、他のものと異なる。繊維204の材料は、典型的には等方性である。それ故に、繊維を形成する材料の屈折率は、n2として与えられる。しかし、繊維204は複屈折であっても良い。
【0028】
一部の実施形態では、ポリマーマトリックス206が等方性であることが望ましい場合があり、それはすなわちn1x≒n1y≒n1z≒n1である。2つの屈折率が実質的に同じであると考えられるのは、2つの屈折率の間の差が、0.05未満、好ましくは0.02未満、およびより好ましくは0.01未満の場合である。したがって、材料が等方的であると考えられるのは、どの屈折率の対も、0.05を超えないで、好ましくは0.02未満で異ならない場合である。さらに、一部の実施形態では、マトリックス206および繊維204の屈折率は実質的に整合することが望ましい。したがって、マトリックス206と繊維204との間の屈折率の差である、n1とn2との間の差は小さくなければならず、少なくとも0.02未満、好ましくは0.01未満、およびより好ましくは0.002未満であるべきである。
【0029】
他の実施形態においては、ポリマーマトリックスが複屈折性であることが望ましい場合があり、この場合、マトリックスの屈折率の少なくとも1つが繊維204の屈折率とは異なっている。繊維204が等方的である実施形態においては、複屈折のマトリックスによって、結果として、少なくとも1つの偏光状態にある光が強化層により散乱されることになる。散乱される量は、散乱されている偏光状態の屈折率の差の大きさ、繊維204のサイズ、およびマトリックス206内の繊維204の密度を含むいくつかの因子に依存する。さらに、光は前方散乱(拡散透過)、後方散乱(拡散反射)、または両方の組み合わせであっても良い。繊維強化層202による光の散乱は、米国特許出願番号第11/125,580号により詳しく論じられている。
【0030】
ポリマーマトリックス206において使用するのに好適な材料としては、光波長の所望する範囲にわたって透明である熱可塑性および熱硬化性ポリマーが挙げられる。一部の実施形態においては、ポリマーが水に不溶性であることは特に有用である場合があり、ポリマーは疎水性であってもよいし、吸水率が低い傾向を有していてもよい。さらに、好適なポリマー材料は、非晶質または部分的結晶性であっても良く、およびホモポリマー、コポリマー、またはこれらのブレンドを含んでいても良い。ポリマー材料の例としては、ポリ(カーボネート)(PC);シンジオタクチックおよびアイソタクチックポリ(スチレン)(PS);C1〜C8アルキルスチレン;ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)およびPMMAコポリマーを包含する、アルキル、芳香族、および脂肪族環含有(メタ)アクリレート;エトキシル化およびプロポキシル化(メタ)アクリレート;多官能性(メタ)アクリレート;アクリレート化エポキシ;エポキシ;および他のエチレン性不飽和物質;環状オレフィンおよび環状オレフィン性コポリマー;アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS);スチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN);エポキシ;ポリ(ビニルシクロヘキサン);PMMA/ポリ(ビニルフロライド)ブレンド;ポリ(フェニレンオキシド)合金;スチレン系ブロックコポリマー;ポリイミド;ポリサルフォン;ポリ(ビニルクロライド);ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS);ポリウレタン;飽和ポリエステル;低複屈折性ポリエチレンを包含するポリ(エチレン);ポリ(プロピレン)(PP);ポリ(アルカンテレフタレート)、たとえばポリ(エチレンテレフタレート)(PET);ポリ(アルカンナフタレート(alkane napthalates))、たとえばポリ(エチレンナフタレート)(PEN);ポリアミド;アイオノマー;ビニルアセテート/ポリエチレンコポリマー;セルロースアセテート;セルロースアセテートブチレート;フルオロポリマー;ポリ(スチレン)−ポリ(エチレン)コポリマー;ポリオレフィン性PETおよびPENを含むPETおよびPENコポリマー;ならびにポリ(カーボネート)/脂肪族PETブレンドが挙げられるが、これらに限定されない。(メタ)アクリレートという用語は、対応するメタクリレートまたはアクリレート化合物のいずれかであると定義される。これらのポリマーを、光学的に等方的な形状で使用しても良い。
【0031】
一部の製品用途において、フィルム製品および成分が、逃亡種(fugitive species)(低分子量の未反応または未変換の分子、溶解水分子(dissolved water molecules)、または反応副生成物)の低濃度を示すことは重要である。逃亡種は、製品またはフィルムの最終使用環境から吸収されることができ、たとえば水分子は、製品またはフィルム中に初期製品製造から存在することができるか、または化学反応(たとえば縮合重合反応)の結果として生成されることができる。縮合重合反応から小さい分子が発生する例は、ジアミンと二塩基酸との反応からポリアミドが形成される間の水の遊離である。逃亡種としてはまた、低分子量の有機材料、たとえばモノマー、可塑剤などを挙げることができる。
【0032】
逃亡種は一般に、機能的製品またはフィルムの残りを構成する材料の大部分よりも分子量が低い。製品の使用条件は、たとえば、製品またはフィルムの一つの側面上に差別的に大きい熱応力をもたらす場合がある。これらの場合には、逃亡種はフィルムを通って移動する可能性があるか、またはフィルムもしくは製品の1つの表面から揮発して濃度勾配、全体の機械的変形、表面の変更、そして時には、望ましくないガス抜けを生じる可能性がある。ガス抜けは、製品、フィルム、またはマトリックス中に空隙もしくは泡をもたらすか、または他のフィルムへの接着に関しての問題をもたらす可能性がある。逃亡種はまた、潜在的に、溶媒和するか、食刻するか、または製品用途における他の成分に望ましくない影響をおよぼす可能性もある。
【0033】
これらのポリマーのいくつかは、配向されたときに複屈折性になる場合がある。特に、PET、PEN、およびこれらのコポリマー、ならびに液晶ポリマーは、配向されたときに比較的大きな値の複屈折性を表す。ポリマーを、押出成形および延伸を含む異なる方法を用いて配向しても良い。延伸は、それが高度な配向を可能にし、またいくつかの容易に制御可能な外部パラメータ、たとえば温度および延伸比により制御しても良いために、ポリマーを配向するために特に有用な方法である。
【0034】
マトリックス206を、様々な添加剤ともに提供し、フィルム200に所望の特性を提供しても良い。たとえば、添加剤は、耐候剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸化防止剤、分散剤、潤滑剤、静電気防止剤、顔料または染料、核剤、難燃剤、および発泡剤のうちの1つ以上を含んでいても良い。
【0035】
一部の代表的な実施形態では、経時的な黄ばみおよび曇りに耐性があるポリマーマトリックス材料を使用する場合がある。たとえば、芳香族ウレタンのようないくつかの材料は、長時間紫外線に曝されると不安定になり、また時間とともに変色する。長時間同じ色を維持することが重要であるときには、そのような材料を避けることが望ましい場合もある。
【0036】
その他の添加剤が、ポリマーの屈折率を変えるために、または材料の強度を増加するために、マトリックス206に提供されても良い。そのような添加剤としては、たとえば、ポリマーのビーズまたは粒子、およびポリマーのナノ粒子のような有機添加剤が挙げられても良い。一部の実施形態においては、マトリックスを、2つまたはそれ以上の異なるモノマーの特定の比率を用いて形成しても良く、その場合、各モノマーは、重合時の異なる最終屈折率に関連づけられる。異なるモノマーの比率によって、最終樹脂206の屈折率が決まる。
【0037】
他の実施形態では、無機添加剤をマトリックス206に加えて、マトリックス206の屈折率を調整するか、または材料の強度および/もしくは堅さを増加しても良い。たとえば、無機材料は、ガラス、セラミック、ガラスセラミック、または金属酸化物であってもよい。無機繊維に関して以下に論じられるガラス、セラミック、またはガラスセラミックのいずれかの好適な種類を使用しても良い。金属酸化物の好適な種類としては、たとえばチタニア、アルミナ、酸化スズ、酸化アンチモン、ジルコニア、シリカ、これらの混合物またはこれらの混合酸化物が挙げられる。そのような無機材料を、ナノ粒子として、たとえば製粉された、粉末化された、ビーズ、フレーク、または粒子状材料の形態で提供し、およびマトリックス内に分配しても良い。ナノ粒子を、たとえば、気相または溶液ベースのプロセスを用いて合成しても良い。粒子のサイズは、材料206を通過する光の散乱を減らすために、好ましくは約200nm未満であり、および100nm未満であっても良いし、50nmでさえあっても良い。添加剤は、官能化された表面を有し、懸濁液の分散および/またはレオロジーおよび他の流体特性を最適化するか、またはポリマーマトリックスと反応しても良い。他のタイプの粒子としては、中空のシェル、たとえば中空のガラスシェルが挙げられる。
【0038】
無機材料のあらゆる好適な種類をも繊維204に対して使用しても良い。繊維204を、フィルムを通過する光に対して実質的に透明であるガラスから形成しても良い。好適なガラスの例としては、繊維ガラス複合物内で使用されることが多いガラス、たとえばE、C、A、S、R、およびDガラスが挙げられる。たとえば、溶融シリカおよびBK7ガラスの繊維を含む、より高品質のガラス繊維も使用しても良い。好適なより高品質のガラスは、ニューヨーク州エルムスフォード(Elmsford)のショットノースアメリカ社(Schott North America Inc.)のようないくつかの供給元から入手可能である。これらのより高品質のガラスから製造された繊維を使用することは、それらがより純粋であるために、より均一な屈折率を有し、またより少ない含有物を有し、そのため、少ない散乱および増加された透過をもたらすために、望ましい場合がある。また、繊維の機械的特性が均一になる可能性がより高い。より高品質のガラス繊維は、水分を吸収する可能性がより低く、ひいてはフィルムは、長期間の使用において、より安定になる。さらに、ガラス中のアルカリ内容物が、水の吸収を増やすため、低アルカリガラスを使用することが望ましい場合がある。
【0039】
粒子またはチョップト繊維のような不連続な強化材が、伸ばすことが必要なポリマー内において、または特定の他の形成プロセスにおいて、好ましい場合がある。チョップトガラスで充填された押し出された熱可塑性樹脂、たとえば、米国特許出願番号第11/323,726号に記載のものを、繊維充填された強化層として使用しても良い。他の応用例に対して、これらが、熱膨張(CTE)の係数を大きく減少させ、また弾性率をさらに増加させることができるため、連続的なガラス繊維強化材(すなわち、ウィーブまたはトウ)が好ましい場合がある。
【0040】
繊維204に対して使用してもよい無機材料の別の種類は、ガラスセラミック材料である。ガラスセラミック材料は一般に、95体積%〜98体積%の、1μより小さいサイズを有する非常に小さい結晶を含む。いくつかのガラスセラミック材料は、50nmほどの小さい結晶サイズを有し、結晶サイズが、実質上散乱が起こらないほど可視光線の波長よりずっと小さいために、それらを可視波長において有効に透明にする。これらのガラスセラミックはまた、ガラス領域の屈折率と結晶領域の屈折率との間に事実上の差がほとんどないかまたは全くないようにして、それらを視覚的に透明にすることができる。透明性に加えて、ガラスセラミック材料は、ガラスの破裂強度を超える破裂強度を有することができ、また一部のタイプは、ゼロまたは負の値でさえある熱膨張の係数を有することが知られている。関心のあるガラスセラミックは、Li2O−Al2O3−SiO2、CaO−Al2O3−SiO2、Li2O−MgO−ZnO−Al2O3−SiO2、Al2O3−SiO2、およびZnO−Al2O3−ZrO2−SiO2、Li2O−Al2O3−SiO2、およびMgO−Al2O3−SiO2を含む組成を有するが、これらに限定されない。
【0041】
一部のセラミックはまた、適切に整合する屈折率を有するマトリックスポリマー中にそれらが組み込まれた場合に透明に見えるように、十分に小さい結晶サイズを有する。ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能なネクステル(Nextel)(商標)セラミック繊維は、この種の材料の例であり、スレッド、ヤーン、および織布マットとして入手可能である。好適なセラミックまたはガラスセラミック材料はさらに、「ガラスの化学第2版(Chemistry of Glasses, 2nd Edition)」、(A.ポール(A.Paul)、チャップマンアンドホール(Chapman and Hall)、1990年)および「セラミックス入門第2版(Introduction to Ceramics, 2nd Edition)」、(W.D.キンゲリー(W.D.Kingery)、ジョンワイリーアンドサンズ(John Wiley and Sons)、1976年)に記載されている。
【0042】
一部の代表的な実施形態では、マトリックス206と繊維204の間で完全な屈折率の整合を有しないことが望ましい場合があり、その結果、光の少なくとも一部は繊維204によって拡散される。そのような実施形態では、マトリックス206および繊維204のいずれかもしくは両方が複屈折性であってもよいし、マトリックスおよび繊維の両方が等方性であってもよい。繊維204のサイズに応じて、拡散は散乱から生じるか、または単純な屈折から生じる。繊維による拡散は非等方的であり、光が繊維の軸に対して横方向に拡散されてもよいが、繊維に対して軸方向には拡散されない。それ故に、拡散の性質は、マトリックス内の繊維の配向に依存する。繊維が、たとえばx軸に平行に配置された場合、次に光はy−およびz−軸に平行な方向に拡散される。
【0043】
加えて、マトリックス206に、光を等方的に散乱する拡散粒子を装填してもよい。拡散粒子は、マトリックスとは異なる屈折率、多くの場合により高い屈折率の粒子であり、最大約10μmの直径を有する。これらはまた、複合材料に構造強化材を提供することもできる。拡散粒子は、たとえば、マトリックスの屈折率を調整するためのナノ粒子として使用する上記のような金属酸化物であってもよい。拡散粒子の他の好適な種類としては、ポリスチレンもしくはポリシロキサン粒子のようなポリマー粒子、またはこれらの組み合わせが挙げられる。拡散粒子はまた、中空のガラス球体、たとえば、ミネソタ州セントポールの3M社により製造されたタイプS60HSガラス気泡であっても良い。拡散粒子を、単独で使用して光を拡散しても良いし、屈折率が非整合の繊維とともに使用して光を拡散しても良いし、構造化された表面とともに使用して光を拡散し向きを変えても良い。
【0044】
マトリックス206内の繊維204の一部の代表的な配置としては、繊維のタウもしくはポリマーマトリックス内の1つの方向に配置されたヤーン、繊維ウィーブ、不織布、チョップトファイバー、チョップトファイバーマット(無作為のもしくは規則的な形式による)、またはこれらの形式の組み合わせが挙げられる。チョップトファイバーマットまたは不織布は、繊維の無作為の配置を有するのではなく、不織布またはチョップトファイバーマット内に繊維の何らかの配列を提供するように、延伸され、圧力をかけられ、または配向されても良い。さらに、マトリックス206は繊維204の多層を含有しても良く、たとえば、マトリックス206は、異なるトウ、ウィーブなどの中に繊維のより多くの層を含んでいても良い。図2Aに例示する特定の実施形態においては、繊維204は2層で配置されている。
【0045】
図2Bに概略的に例示する強化フィルム220の別の代表的な実施形態においては、接着剤222の層が、構造化された表面層208と繊維強化材層202との間に設けられている。接着剤222は、たとえば感圧性接着剤または硬化性積層接着剤などの、あらゆる好適なタイプの接着剤であっても良い。
【0046】
図3を参照して、強化表面構造化フィルムを製造する1つの代表的なアプローチについて説明する。一般的に、このアプローチとしては、マトリックス樹脂を、予め調製された表面構造化層に直接塗布することが挙げられる。製造配列300は、繊維強化材302のロールを含み、それは、マトリックス樹脂306を包含する含浸槽(impregnation bath)304を通過する。たとえば、繊維強化材302を一連のローラ308内に通すことによるなど任意の好適な方法を用いて、樹脂306を繊維強化材302内へ含浸させる。
【0047】
含浸された強化材310をいったん槽304から取り出したら、それを、表面構造化フィルム312の層へ適用し、必要に応じて付加の樹脂318を加えても良い。含浸された繊維強化材310および表面構造化フィルム312の層は、ピンチローラ316において一緒に圧搾され、2つの層310および312の間の良好な物理的接触を確実にする。任意に、たとえばコーター320を用いて、付加の樹脂318を強化材層310わたり塗布しても良い。コーター320は、たとえば、ナイフエッジコーター、コンマコーター(図示している)、バーコーター、ダイコーター、スプレーコーター、カーテンコーター、高圧射出などのいずれかの好適な種類のコーターであってもよい。他の考察の中で、塗布条件における樹脂の粘度によって、適切なコーティングの方法または方法類が決定される。コーティング方法および樹脂の粘度はまた、強化材にマトリックス樹脂が含浸される工程の間に、強化材から気泡が除かれる速度および程度にも影響する。
【0048】
完成したフィルムが低い散乱を有することが望ましい場合、この段階で、樹脂が繊維間の空間を完全に充填するのを確実にすることが重要であり、樹脂中に残された空隙または泡は、散乱の中心として作用する場合がある。泡の発生を減らすために、異なるアプローチを、個々にまたは組み合わせて使用してもよい。たとえば、フィルムを、強化材層310全体への樹脂306の含浸を促すために、機械的に振動させてもよい。機械的振動を、たとえば超音波源を用いて適用してもよい。加えて、フィルムを、樹脂306から泡を抽出する真空に曝しても良い。これは、コーティングと同時に、またはその後に、たとえば任意の脱気装置322において行なわれてもよい。
【0049】
フィルム中の樹脂306を、次に、固化ステーション324で固化してもよい。固化としては、硬化、冷却、架橋、およびポリマーマトリックスが固体状態に達する結果となるいずれかの他のプロセスが挙げられる。例示した実施形態においては、放射源324を使用して、放射線を樹脂306に適用している。他の実施形態では、樹脂306を硬化するために、樹脂306に適用され得るエネルギーの異なる形態としては、熱および圧力、電子ビーム放射などが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態では、樹脂306を、冷却、重合によってか、または架橋によって固化しても良い。一部の実施形態では、固化されたフィルム326は、巻き取りロール328上に集められ貯蔵されるほどに十分に柔軟である。他の実施形態では、固化されたフィルム326は、巻き取るには堅過ぎる場合があり、その場合、それを何らかの他の方法によって貯蔵され、たとえばフィルム326を、貯蔵のためにシートに切断してもよい。
【0050】
繊維強化表面構造化フィルムを作る別のアプローチは、最初に複合物を支持フィルム上に作製し、後にそれをフィルムから分離することである。複合物を、次に、表面構造化フィルムを支持するために使用することができる。1つの代表的な実施形態においては、複合物を、積層接着剤および所望の表面構造化フィルムを伴う積層プロセス内に供給することができる。図4に、このアプローチを概略的に例示する。この製造システム400においては、接着剤404の層を、表面構造化フィルム402上に設ける。接着剤404は、2つのフィルムを一緒に積層するのに有用ないずれかの好適なタイプの接着剤であっても良い。たとえば、接着剤は、感圧性接着剤であっても、硬化性積層接着剤であっても良い。例示した実施形態においては、接着剤404を液体として適用し、コーター406を用いて薄層に広げる。接着層はそれ自体、たとえばUV吸収剤または光拡散粒子などの、複合物マトリックス樹脂に添加することができる機能要素のいずれかを包含していても良い。
【0051】
予め調製された繊維強化複合物層408を、次に、たとえば圧力ローラ410を用いて、強化積層体412を形成するなど、接着剤406わたって配置し、繊維強化層408を表面構造化フィルム402とともに圧搾する。必要に応じて、次に、たとえば放射線414の適用を介するなど、接着剤404を硬化しても良い。硬化積層体416を、次に、ロール418上に集めるか、貯蔵のためにシートに切断しても良い。
【0052】
このアプローチの変形形態では、接着剤404を最初に繊維強化層に塗布して、次に表面構造フィルムを接着剤404に押圧しても良い。
【0053】
別の代表的な実施形態においては、表面構造フィルムを、予め調製した繊維強化層上に鋳造しても良い。図5に、このアプローチを概略的に例示する。この製造システム500においては、ポリマー材料502の層を繊維強化層504上に広げる。フィルムを、次に、成形ロール506までガイドロール508によって導き、そして任意に、成形ロール506に圧力ロール510によって押し付けても良い。成形ロール506は、コーティングされた材料502内に型押しされる成形された表面512を有する。ポリマー材料502を、モノマーまたはポリマー材料502が、成形ロール506と接触している間に、たとえば熱、放射線などの印加を介して硬くしても良い。例示した実施形態においては、たとえば熱ランプのような放射源514を使用して、表面構造化層516を硬化させる。
【0054】
一部の代表的な実施形態においては、繊維強化層を、表面構造化フィルムの各側面に取り付けても良い。図6に、2つの繊維強化材層604、606の間に挟まれる表面構造化層602を有する、強化表面構造化フィルム600の代表的な実施形態を概略的に例示する。下側の強化材層606を、前述した異なる方法を含む、任意の好適な方法を用いて取り付けても良い。
【0055】
上側の強化材層604を、強化材層604の下側の表面612上に配置した接着層610の使用を介して、構造化された表面608に取り付けても良い。プリズム状輝度向上層の構造化された表面の別の光学フィルムへの取り付けが、米国特許番号第6,846,089号により詳しく論じられている。一般的に、接着層610は、表面構造の高さと比較して、比較的薄い。構造化された表面608を、構造化された表面608の有意な部分が空気と接したままとなるような深さまで、接着層内に押圧する。これによって、空気と層602との間の比較的大きな屈折率の差が維持され、その結果、構造化された表面612の屈折効果が保たれる。表面構造化フィルムの他のタイプの構造化された表面を、輝度向上フィルムに加えて、強化層に取り付けても良いことが理解されるであろう。
【0056】
図はまた、軸616とより近くに位置合わせされた方向にあるプリズム状輝度向上フィルムによって方向を変えられる1つの代表的な光線614の光路も示す。軸616は、フィルム600に垂直に位置する。一部の構成においては、光線614は主光線であっても良い。この応用例の目的に対して、主光線は、分散された光線の強度−加重された中心方向で伝搬する光線として規定され、分散されたビームそれ自体、異なる角度で伝搬する複数の光線が包含されても良い。光線614がフィルム600に入射する角度は、軸614に対して30°超であり、フィルム600から出て行く角度は、軸614に対して25°未満である。一部の実施形態においては、フィルム600を透過した後の主光線614の方向は、フィルム600に入る前の主光線614の方向とは5°超だけ異なっており、言い換えればフィルム600は、光線614を、5°超の角度だけ、いくつかの実施形態では10°超だけ、いくつかの実施形態では20°超だけ、そらせている。
【0057】
構造化された表面は、輝度向上層であることに限定されず、いずれかの他のタイプの表面であっても良い。たとえば、構造化された表面は、レンズ表面、拡散表面、回折光学表面、光回転表面(市販の「回転」フィルムにおいて使用される)、または再帰反射表面などのレンズ表面であっても良い。本発明の特定の好ましい透過性の光方向変換の応用例に対しては、主光線の方向を実質的に変えることができる非ランダムの構造化された表面を使用することが望ましい。たとえば、そのような表面を用いたフィルムは、主光線の方向を5°以上の角度だけ変えても良い。以下、一部の代表的な構造化された表面についてより詳しく論じる。
【0058】
図7Aに概略的に例示するように、構造化された表面の1つの代表的なタイプはレンズ表面である。この実施形態においては、構造化表面層702が強化層704に取り付けられている。構造化された表面706は多くのレンズ708を含み、これらは、そこを通過する光に光学パワーを加えることに対して有用であり得る。1つのレンズから複数のレンズまでの任意の好適な数のレンズが、あっても良い。加えて、レンズは正の光学パワーを提供しても良いし負の光学パワーを提供しても良いし、またすべてが同じ光学パワーを提供する必要はない。
【0059】
別のタイプのレンズ構造化された表面は、フレネルレンズ(Fresnel lens)である。図7Bに概略的に例示する強化フィルムの代表的な実施形態710においては、表面構造化層712が繊維強化層714に取り付けられている。表面構造化層712はフレネル表面716を有し、この表面によって、そこを通過する光718がフォーカスされる。他の実施形態においては、表面構造化層712は、一つ以上のフレネルレンズパターンを含んでいても良い。
【0060】
構造化された表面の別のタイプは、回折光学表面である。図7Cに概略的に例示する強化フィルム720の代表的な実施形態においては、表面構造化層722が繊維強化層714に取り付けられている。表面構造化層722は回折光学表面726を有し、この表面によって、そこを通過する光728が回折される。異なるタイプの回折が、回折光学表面726によって与えられても良いことが理解されるであろう。たとえば、一実施形態においては、回折光学表面726はレンズのように動作して、光728に光学パワーを提供しても良い。他の実施形態においては、回折光学表面は、別の仕方で光を回折しても良い。たとえば、回折光学表面を使用して光を分離し、異なる着色をされた成分に分けて、たとえばドットパターンなどのパターンを形成して、レンズとしての機能を果たし、または成形された散光器としての機能を果たしても良い。
【0061】
図7Dに概略的に例示するように、強化構造化された表面フィルムの別の代表的な実施形態は、強化回転フィルム730である。強化回転フィルム730は、強化層734に取り付けられている回転層732を含む。回転層732は、光源の方に向けられている構造化された表面736を有する。それ故に、強化フィルム730に大きな角度で入射する光738は、構造化表面により軸740に対してより平行な方向に沿って方向を変えられる。図では、光738は構造要素742に入って、要素742内で全内部反射される。
【0062】
図7Eに概略的に例示するように、強化構造化された表面フィルムの別の代表的な実施形態は、強化再帰反射フィルム750である。強化再帰反射フィルム750は、強化層754に取り付けられた再帰反射層752を含む。再帰反射層752は、光源とは反対方向に向けられている構造化された表面756を有する。それ故に、強化フィルム750に入射する光758の少なくとも一部は、全内部反射が起こる2つの表面を包含する要素760によって全内部反射される場合がある。その結果として、光は表面756によって再帰反射される。
【0063】
強化構造化された表面フィルムの別の代表的な実施形態は、強化集光器フィルムである。集光器は、反射性の要素であり、典型的には非結像要素であり、大きい領域からの光をより小さい領域に収束させるものである。集光器の例としては、放物面反射体、複合放物面反射体などが挙げられる。集光器フィルムは、多くの集光器を包含するフィルムである。
【0064】
図7Fに例示する代表的な実施形態においては、集光器層772が繊維強化層774に取り付けられている。集光器層772は、反射側壁778を有する多くの反射性コレクタ776を含む。光780は、集光器層772の出力開口部782で収束される。このことは、より小さい開口部の面内に向けられる光とともに、逆方向において動作時に、光コリメータとして機能することができる。
【0065】
輝度向上以外の目的で、強化層を有する他の光制御層を含めるかまたは取り付けても良い。これらの使用は、光の空間混合または色混合、隠れた光源、および均一性向上を含む。これらの目的に対して使用しても良いフィルムとしては、拡散フィルム、拡散プレート、部分的反射層、色混合導光体(color-mixing lightguides)またはフィルム、およびそこで拡散光のピーク輝度光線が入力光のピーク輝度光線の方向と平行でない方向において伝播する拡散システムが挙げられる。
【0066】
また他の層を、たとえば表面構造化層自体に直接取り付けるか、または表面構造化層に取り付けられた繊維強化層に取り付けるなど、強化表面構造化層に取り付けても良い。図8に、付加的な光学層を含む強化表面構造化フィルム800の一般的な例を概略的に例示する。例示した実施形態においては、強化表面構造化層800は、繊維強化層804に取り付けられた表面構造化層802を有する。例示した実施形態においては、付加的な光学層806が繊維強化層804に取り付けられている。光学層806は、強化表面構造化層800に取り付けることが望ましい他の任意のタイプの光学層であっても良い。たとえば、光学層806は、透過性、拡散性、または反射性の光学層を含んでいても良い。拡散層は、たとえば、マトリックス内に分散された光拡散性粒子を含んでいても良い。反射層は、鏡面反射層、たとえばポリマーまたは他の誘電体材料から形成される多層フィルムであっても良い。他の代表的な実施形態においては、光学層806は、構造化された屈折表面を含む別の光学層であっても良い。光学的機能表面を伴う光学層の異なる代表的なタイプとしては、プリズム表面を伴うフィルム、レンズ表面を伴うフィルム、回折面、拡散面を伴うフィルム、および集光表面を伴うフィルムが挙げられる。他の実施形態においては、付加的な光学層は、表面構造化層または反射偏光子層であっても良い。
【0067】
他の光制御層を、輝度向上以外の目的で含んでも良い。これらの使用は、光の空間混合または色混合、隠れた光源、および均一性向上を含む。これらの目的に対して使用しても良いフィルムとしては、拡散フィルム、拡散プレート、部分的反射層、色混合導光体またはフィルム、およびそこで拡散光のピーク輝度光線が入力光のピーク輝度光線の方向と平行でない方向において伝播する拡散システムが挙げられる。
【0068】
強化表面構造化フィルムに取り付けることができるフィルムのタイプの1つの代表的な実施形態は、反射層である。反射層は、たとえば拡散性の反射層であっても良いし、鏡面反射層であっても良い。拡散性の反射層を、たとえば、フィルムに高密度の拡散粒子を装填することによって形成しても良い。鏡面反射層を、たとえば、異なる屈折率のポリマー材料の複数の交互層を用いて形成しても良い。図9に、強化層904の1つの側面に取り付けられた構造化された表面層902を有する強化構造化された表面フィルム900を概略的に例示する。反射層906を、例示するように強化層904の他方の側面に取り付けても良いし、強化層904と構造化された表面層902との間に取り付けても良い。構造化された表面層902を通過する光908は、反射層906によって反射される。
【0069】
強化表面構造化フィルムに取り付けることができるフィルムのタイプの別の代表的な実施形態は、偏光層である。偏光層は、たとえばそこでブロック偏光状態にある光が吸収される吸収偏光子層であっても良いし、そこでブロック偏光状態にある光が反射される反射偏光層であっても良い。図10に、そのような強化表面構造化フィルム1000の1つの特定の実施形態を概略的に例示する。この実施形態においては、表面構造化層1002が、強化層1004に順に取り付けられている偏光子層1006に取り付けられる。表面構造化層1002を輝度向上層として例示しているが、他のタイプの表面構造化層を使用しても良い。例示した実施形態においては、偏光子層1006は、フィルム1000に入った非偏光1008が2つの直交偏光成分に分割されるように反射偏光子層であり、第1の成分1008aは、フィルム1000を透過した成分であり、第2の直交偏光成分1008bは、フィルム1000から反射された成分である。他の実施形態においては、強化層1004を、表面構造化層1002と偏光子層1006との間に位置しても良い。
【0070】
図11に、ここでは、表面構造化層1102が繊維強化層1104に取り付けられていて、偏光層1106が表面構造化層1102の構造化された表面に取り付けられている、強化フィルムの別の実施形態1100を概略的に例示する。
【0071】
偏光層1106が吸収偏光子である場合、Hタイプのヨウ素系偏光子、Kタイプの固有吸収偏光子、染料系偏光子などの吸収偏光子層のいずれかの好適なタイプを使用しても良い。偏光子層1106が反射偏光子である場合、多層光学フィルム(MOF)偏光子、およびDRPF偏光子のような拡散偏光子のいずれかの好適なタイプの反射偏光子を使用しても良い。
【0072】
偏光子を含む一部の実施形態においては、偏光子層の機能を乱さないように、システム内の他の層が、低い均一の複屈折を示すことが望ましい場合がある。この例は、表面構造化層を反射偏光子の上部に配置したときのものであり、またこの組み合わせ要素は、LCDディスプレイの輝度を向上させるために使用される。この場合、一般的に、構造化された層を透過するときに反射偏光子を通過する支配的な偏光状態を維持することが望ましい。これは、ガラス強化熱硬化性層の1つの有利性であり、これを、複屈折が非常に低くなるように作ることができる。
【0073】
一部の他の実施形態においては、2つ以上の表面構造化層を、繊維強化層とともに取り付けても良い。表面構造化層は、同じであっても良いし異なっていても良い。図12Aに、2つの同じタイプの表面構造化層を含む強化フィルムの1つの代表的な実施形態を、概略的に例示する。第1の輝度向上層1202が、第1の強化層1204に取り付けられている。第2の輝度向上層1206を、第1の輝度向上層1202に取り付けても良いし、第1の強化層1204に取り付けても良い。一部の実施形態においては、2つの輝度向上層1202、1206の隆起部を、互いに垂直に配向しても良く、たとえばディスプレイシステムの垂直および水平方向の両方の観察方向に対して、光の方向を変えるために輝度向上層を使用することが望ましい場合である。他の実施形態においては、強化輝度向上層1210に対する図12Bに概略的に例示するように、任意的の付加的な強化層1208を含んでいても良い。
【0074】
表面構造化層の他の組み合わせを使用しても良い。たとえば、輝度向上層を、回折面パターンによって構造化された層に取り付けても良いし、光学パワーをもたらす層に取り付けても良い。
【0075】
強化材層に取り付けられた表面構造化層をまた、それ自身が繊維を含む別の表面構造化層に取り付けても良い。強化表面構造化層が、すなわち、米国特許出願番号第11/125,580号および同第11/278,253号、「構造化された複合光学フィルム」(本出願と同日に出願)、代理人整理番号61102US002により詳しく論じられている。強化表面構造化層は、強化するためにポリマーマトリックス内に無機繊維を含み、またその表面の少なくとも1つが構造化されてもいる光学層である。図13に、強化表面構造化層に表面構造化層が取り付けられた強化フィルム1300の1つの代表的な実施形態を例示する。輝度向上層1302が、繊維強化層1304に取り付けられている。繊維強化回折面層1306が輝度向上層に、たとえば接着層1308の使用を介して取り付けられている。
【0076】
図6〜13に例示した強化表面構造化フィルムの異なる実施形態においては、フィルムスタック内の異なる層の順序は、例示したものとは異なる場合があることを理解することが重要である。たとえば、図10に概略的に例示したフィルム1000の実施形態においては、反射体層1006は、強化層1004と表面構造化層1002との間に位置しても良い。また、別の光学フィルムの付加を示しているすべての例において、単層だけの代わりに2つ以上の繊維強化層を設けても良い。
【実施例】
【0077】
本発明の選択された実施形態を以下に記載する。これらの実施例は、制限することを意味せず、本発明の態様のいくつかを例示するのみである。
【0078】
無機繊維強化材として使用される複合フィルムの以下の例はすべて、サウスカロライナ州アンダーソン(Anderson, South Carolina)のヘクセルリインフォースメント社(Hexcel Reinforcements Corp.)によって製造される織布繊維ガラスである。ヘクセル(Hexcel)106(H−106)繊維を供給業者から受け取った際、繊維に仕上げが施されていて、繊維と樹脂マトリックスとの間のカップリング剤としての機能を果たすようになっていた。実施例において、使用するH−106ガラス布地はすべて、CS767シラン仕上げがなされていた。他のシステムにおいては、仕上げがなされておらずガラス繊維に適用されるカップリング剤も有しない生繊維材料状態のガラス強化材を使用することが望ましい場合がある。表Iに記載された繊維試料の屈折率(RI)を、20×/0.50対物レンズによる透過単一偏光(Transmitted Single Polarized Light)(TSP)、および20×/0.50対物レンズによる透過位相差ゼルニケ(Transmitted Phase Contrast Zernike)(PCZ)を用いて測定した。繊維試料は、かみそりの刃を用いて繊維の一部を切断することにより、屈折率測定用に調製した。繊維を、スライドガラス上で様々なRI油の中に載せて、ガラスカバースリップによりカバーした。試料を、ツァイスアクシオプラン(Zeiss Axioplan)(カールツァイス(Carl Zeiss)、ドイツ)を用いて分析した。RI油の較正を、ニューヨーク州ロチェスター(Rochester)のミルトンロイ社(Milton Roy Inc.)製造のABBE−3L屈折計上で行なって、値をそれにしたがって調整した。位相差を伴うベッケライン法(Becke Line Method)を、試料のRIを決定するために使用した。589nmのナトリウムD線の波長での屈折率、nDの値についての公称RIの結果は、各試料について±0.002の精度であった。
【0079】
表Iに、実施例1〜4で使用した様々な樹脂についての概要の情報を示す。
【0080】
【表1】
【0081】
ダロクア1173およびダロクア4265は光開始剤であり、THFA(テトラヒドロフルフリルアクリレート)は単機能のアクリレートモノマーである。表Iの残りの成分は、硬化時に架橋する樹脂である。エベクリル600(Ebecryl 600)は、ビスフェノール−Aエポキシジアクリレートオリゴマーである。
【0082】
(実施例1)−強化複合物層に取り付けたBEF
導光プリズム状輝度向上微細構造化フィルム(ビキュイティ(商標)薄いBEF−90/24−II−T、ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能)を、積層接着剤としての機能を果たすUV硬化樹脂を用いて透明な複合物に取り付けた。この例では、輝度向上フィルムの平坦な側面を準備し、ポリマーマトリックス中にガラス繊維を包含する予め作製した強化複合物層に積層した。完成した物品の構造は、最下層から最上層に、i)強化複合物層、ii)積層接着剤、およびiii)輝度向上層であった。
【0083】
強化複合物層を、前述の繊維材料F1を用いて形成した。CS767表面仕上げがなされているF1ガラス繊維の屈折率は、1.551±0.002であった。
【0084】
強化層に対して使用されたポリマー樹脂は、以下の成分の重量当たりの混合物であった。
【0085】
【表2】
硬化複合物樹脂混合物の屈折率は1.5517であった。したがって、繊維とマトリックスとの間の屈折率における差異は0.0007であった。
【0086】
PETの30.5cm×61cm(12”×24”)シートを、アルミニウムの30.5cm×50.8cm×0.6cm(12”×20”×1/4”)シートの前縁にテーピングすることによって、透明な複合物の調製を始めた。F1ガラス繊維布地のシートを、PETの上部に置いた。ガラス繊維布地を、30.5cm×61cm(12”×24”)PETの別のシートによってカバーして、その前縁を、アルミニウムプレートの前縁にテーピングした。アルミニウムプレートの前縁を、手動のラミネーター内に配置した。PETの最上層シートと繊維ガラスとを後方へ剥がし、PETの最下層シートにアクセスできるようにした。樹脂のビーズ(6〜8mL)を、積層ロールに最も近い縁付近のPETの最下層シートに加えた。PETの層間のガラス繊維布地のサンドイッチ構成を、ラミネーターを通して定常速度で供給し、強制的に樹脂をガラス繊維布地を通して上昇させ、繊維全体をコーティングした。
【0087】
積層体を、まだアルミニウムプレートに取り付けられている間に、真空オーブン中に置き、60℃〜65℃の間の温度まで加熱した。オーブンを大気下で68.6cm(27インチ)のHgまで排気して、4分間積層体からガスを抜いた。真空を、オーブン内に窒素を導入することによって解放した。積層体を、もう一度ラミネーターに通した。次に、樹脂を、236W/cm(600W/in)で動作するUVヒュージョン(Fusion)「D」ランプの真下に、15cm/s(30fpm)のスピードで積層体を通すことによって硬化した。
【0088】
プライマーを使用して、輝度向上層の底面に対するアクリル樹脂の接着を向上させた。アクリルコーティングに対する放射線グラフトプライマーが知られている。1つのプライマーを、ヘキサンジオールジアクリレート97重量%およびベンゾフェノン3重量%から形成した。フィルムのシートにプライマー処理するために、プライマー溶液を3滴フィルムの必要な側に加えて、ティッシュを用いて拭くことによってコーティングした。わずかでも過剰なプライマー溶液は、きれいなティッシュで拭いて取り除いた。プライマーコーティングを、236W/cm(600W/in)で動作するヒュージョン「D」ランプを15cm/s(30fpm)の線速度で用いて、空気雰囲気中で硬化した。
【0089】
続いて、プライマー処理した輝度向上層を、プライマー処理した輝度向上層と強化複合物層との間に積層接着剤をコーティングし硬化させることによって、予め作製した透明な複合物に取り付けた。積層接着剤は、以下の組成物から形成した。
【0090】
【表3】
この例では、強化複合物層を輝度向上層の底面に取り付けることを、以下の手順を用いて行なった。最初に、PETの30.5cm×30.5cm(12”×24”)のシートを、アルミニウムの30.5cm×50.8cm×0.6cm(12”×20”×1/4”)のシートの前縁にテーピングした。プライマー処理した輝度向上層を、そのプライマー処理した表面が上方を向くようにPET上に置いた。PETの最下層シートを、予め作製した強化複合物層から注意深く剥がした。予め作製した強化複合物層を、複合物層の露出面が輝度向上層のプライマー処理した面に面するように、輝度向上層にわたって置いた。次に、強化複合物層の最上層PET層を、アルミニウムプレートの前縁にテーピングした。アルミニウムプレートの前縁を、手動のラミネーター内に置いた。強化複合物層を後方へ引いて、輝度向上層にアクセスできるようにした。積層接着剤樹脂のビーズ(最大5mL)を、積層ロールに最も近い輝度向上層の縁部に加えた。サンドイッチ構成を、ラミネーターを通して定常速度で供給し、輝度向上層および強化複合物を積層接着剤でコーティングした。
【0091】
まだアルミニウムプレートに取り付けられている積層体を、真空オーブン内に置き、60℃〜65℃の間の温度まで加熱した。オーブンの排気を大気下で68.6cm(27インチ)のHgまで排気して、4分間積層体からガスを抜いた。真空を、オーブン内に窒素を導入することによって解放した。次に、積層体を、もう一度ラミネーターに通した。積層樹脂を、積層体を236W/cm(600W/in)で動作するヒュージョン「D」ランプの真下に、15cm/s(30fpm)のスピードで通すことによって硬化した。
【0092】
(実施例2)−強化複合物層に取り付けたBEFおよびRP
表面構造化層が、プリズム表面を有する輝度向上反射偏光子であるビキュイティ(商標)BEF−RP−II90/24r(ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能)であったことを除き、試料を実施例1で前述したのと同じ仕方で調製した。強化用複合物層を、H−106繊維ガラスにCS767表面仕上げを施したものと、30/70TMPTA/エベクリル600(Ebecrly600)樹脂とから作製した。複合物層を、BEF−RP(HDODA/BPの3%溶液を伴う)の平坦な側面にプライマー処理すること、および複合物層を直接BEF−RP上に実施例1で説明したのと同様の技術を用いてコーティングし硬化させることによって、取り付けた。
【0093】
(実施例3)−2つの強化複合物層間のRP+BEF
プリズム状に構造化された輝度向上層を、多層の反射性偏光層(RP)に取り付けて、2つの強化複合物層の間に挟んだ。プリズム状に構造化された層は、厚さ125μm(5ミル)のモノリシックのポリカーボネート輝度向上層のシート、ビキュイティ(商標)WBEFW818(ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能)であった。反射性偏光層は、ビキュイティ(商標)DBEF−P2(3M社から入手可能)のシートと同じ光学層構成を有する多層のポリマー反射偏光子であったが、表面薄層は市販製品よりもわずかに薄かった。
【0094】
この例では、実施例1で説明したのと同じ下塗り技術を用いて、RP層の各側面およびWBEF層の未構造化面をプライマー処理した。予め作製した繊維強化複合物層をRP層の各側面に取り付け、WBEF層の最下層をUV硬化積層接着剤を用いて強化複合物の1つの他方の側面に取り付けた。したがって、物品の構造は、強化複合物層;積層接着剤;プライマー;RP;プライマー;積層接着剤;強化複合物;積層接着剤;プライマー;WBEFであった。強化複合物層および積層接着剤は、実施例1に対して前述したものと同じであった。
【0095】
強化複合物を、強化複合物層をBEF層に取り付けるために実施例1で論じたのと同じ手順を用いて、WBEFフィルムに取り付けた。
【0096】
透明な複合物の異なるシートを、以下のプロセスを用いてRP層に取り付けた。PETの30.5cm×61cm(12”×24”)シートの前縁を、アルミニウムの30.5cm×50.8cm×0.6cm(12”×20”×1/4”)シートの前縁にテーピングした。RPのシートをPETシート上に置いた。まだPETの単一シートに積層されている強化複合物のシートをRPの上部に置き、積層体の前縁をアルミニウムプレートの前縁にテーピングした。アルミニウムプレートの前縁を、手動のラミネーター内に置いた。強化複合物の最上層シートを後方へ剥がし、RPの層にアクセスできるようにした。積層樹脂のビーズ(最大5mL)を、積層ロールに最も近いRP層の縁部に加えた。サンドイッチ構成を、ラミネーターを通して定常速度で供給し、強制的に積層接着剤樹脂を、強化複合物とRPの間に送った。樹脂を、236W/cm(600W/in)で動作するヒュージョン「D」ランプの真下に、15cm/s(30fpm)のスピードで積層体を通すことによって硬化した。PETの最下層シートを、RPから注意深く剥がし、取っておいた。
【0097】
強化複合物をWBEF層上に載せたPETシートを、露出した複合物の面が上になるようにして、アルミニウムプレート上に置き、その前縁を、前述した仕方でテーピングした。強化複合物をRP層上に載せたPETシートを、露出したRP層が下になるようにして、アルミニウムシート上にすでに置かれた複合物の上部に置き、その前縁を、前述した仕方でテーピングした。アルミニウムプレートの前縁を、手動のラミネーター内に置いた。強化複合物の最上層シートとRP層とを後方へ剥がし、強化複合物のシートにアクセスできるようにした。積層接着剤樹脂のビーズ(最大5mL)を、積層ロールに最も近い強化複合物の縁部に加えた。次に、サンドイッチ構成を、ラミネーターを通して定常速度で供給し、強制的に積層接着剤樹脂を、強化複合物とRPとの間に送った。
【0098】
積層接着剤樹脂を、236W/cm(600W/in)で動作するUVヒュージョン「D」ランプの真下に、15cm/s(30fpm)のスピードで積層体を通すことによって硬化した。PETの両方のシートを、フィルムの複合物強化積層されたサンドイッチから取り除いた。
【0099】
(実施例4)−強化複合物層を伴う統合されたBEFおよびRP
表面構造化層が、主な違いはプリズム先端が7ミクロンの半径に丸められていることだけであるビキュイティ−BEF−III90/50に見られるものと良く似た擬似ランダム高さ起伏を伴うプリズム構造を有する厚さ250μmのポリカーボネート(PC)層上に形成されたプリズム状輝度向上層、PC−BEFであったことを除き、試料の作製を実施例1で説明したように行なった。加えて、PC−BEF層は、以前に反射偏光子層に取り付けられていた。RP層は、実施例3で使用したものと同じRPであった。
【0100】
PC−BEF層および反射偏光子層を、以下の手順を用いて取り付けた。RP層の各側面およびPC−BEF層の未構造化面を、実施例1で前述したプライマーを用いてプライマー処理した。ともにUV硬化積層接着剤を用いて、予め作製した強化複合物層をRP層の一方の側面に取り付け、PC−BEFシートの未構造化面をRP層の他方の側面に取り付けた。したがって、完成した物品の構造は、強化複合物層;積層接着剤;プライマー;RP;プライマー;積層接着剤;プライマー;PC−BEFであった。
【0101】
強化複合物層を、実施例1で前述したのと同じ仕方で調製した。
【0102】
最初に、PETの30.5cm×61cm(12”×24”)シートをアルミニウムの30.5cm×50.8cm×0.6cm(12”×20”×1/4”)シートの前縁にテーピングすることによって、PC−BEF層を反射偏光子層に取り付けた。PC−BEFの層を、プリズム構造がPETシートに面するようにしてPETシート上に置いた。RPのプライマー処理したシートを、PC−BEFシートの上部に置いた。RPシートを、30.5cm×61cm(12”×24”)PETの別のシートによってカバーし、その前縁を、アルミニウムプレートの前縁にテーピングした。次に、アルミニウムプレートの前縁を、手動のラミネーター内に置いた。最上層PETシートおよびRPシートを後方へ剥がし、PC−BEFのシートにアクセスできるようにした。積層樹脂のビーズ(最大5mL)を、積層ロールに最も近い縁部付近のPC−BEFシートに加えた。サンドイッチ構成をラミネーターを通して定常速度で供給し、強制的に積層接着剤樹脂を、フィルムの間に一様にコーティングした。
【0103】
まだアルミニウムプレートに取り付けられている積層体を、236W/cm(600W/in)で動作するUVヒュージョン「D」ランプの真下に、15cm/s(30fpm)のスピードで積層体を通すことによって、硬化した。
【0104】
予め作製した強化複合物の最下層PETシートを剥がし、硬化積層体サンドイッチの最上層PETシートを剥がし、その下に設けられたRP層を露出した。予め作製した強化複合物を、複合物面を下にして、露出するRP層の上部に置き、複合物上のPETの最上層をアルミニウムプレートの前縁にテーピングした。アルミニウムプレートの前縁を、手動のラミネーター内に置いた。強化複合物の最上層シートおよびPETを後方に引いて、RPの層にアクセスできるようにした。積層接着剤のビーズ(最大5mL)を、積層ロールに最も近いRPの縁部に加えた。積層接着剤は、実施例1で説明したものと同じであった。サンドイッチ構成をラミネーターを通して定常速度で供給し、RP層および予め作製した強化複合物層をコーティングした。まだアルミニウムプレートに取り付けられている結果として生じる積層体を、236W/cm(600W/in)で動作するヒュージョン「D」ランプの真下に、15cm/s(30fpm)のスピードで積層体を通すことによって、硬化した。PETの残りのシートを両方とも、注意深く剥がした。
【0105】
(実施例5)
実施例5は、単一シートのビキュイティ(商標)薄いBEF−90/24−II−T(ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能)であり、比較目的で使用した。これは、実施例1で使用したものと同じ表面構造化層であった。
【0106】
(実施例6)
実施例6は、単一シートのビキュイティ(商標)BEF−RP−II90/24r、プリズム表面を有する輝度向上反射偏光子(ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能)であった。この実施例は、比較目的で使用した。
【0107】
(実施例7)
実施例7は、単一シートのビキュイティ(商標)DBEF−DTV、プリズム表面を有する第2のタイプの輝度向上反射偏光子(ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能)であった。この実施例は、比較目的で使用した。
【0108】
試料試験
本明細書の実施例に含まれるものと同様のガラス−樹脂複合物層を、交差させた偏光子の下で、またスペクトル走査源を伴う偏光計を用いて、評価した。複合物試料は、小さい遅延特性(retardance)および小さい複屈折を有することが分かった。遅延特性(ナノメートル)を、本明細書では、d×(|no−ne|)として定義し、ここで、dは試料の厚さであり、量(|no−ne|)は、複屈折、または試料の通常軸と異常軸との間の屈折率の差の大きさに相当する。本明細書で作製したものと同様の複合物層は、複屈折値0.0001未満に対応する遅延特性値が2nm未満(600nm波長で)であることが分かった。
【0109】
次に、本発明の光学フィルムの光学性能を定量化するために使用される一般的な相対ゲイン試験法について説明する。具体的な詳細について、完全を期すために述べるが、同様の結果を以下のアプローチの変更を用いて得ることが可能であることが、容易に認識されるべきである。カリフォルニア州チャッツワース(Chatsworth,CA)のフォトリサーチ社(Photo Research,Inc.)から入手可能なMS−75レンズ付きスペクトラスキャン(SpectraScan)(商標)PR−650スペクトラコリメーター(SpectraColorimeter)を用いて、フィルムの光学的性能を測定した。拡散透過性中空ライトボックスの上部にフィルムを配置した。ライトボックスの拡散透過および拡散反射は、ランベルト型(Lambertian)として説明することができる。ライトボックスは、厚み最大6mmの拡散PTFEプレートから作製された約12.5cm×12.5cm×11.5cm(L×W×H)の大きさの六面中空キューブであった。ボックスの1つの面が、試料表面として選択される。中空ライトボックスの拡散反射率は、試料表面で測定したときに最大0.83であった(たとえば、以下にさらに記載のボックス反射率測定法により400〜700nmの波長範囲にわたり平均した場合、最大83%)。ゲイン試験中、ボックスの底面内の最大1cmの円孔を介して内部からボックスを照光した(底面は試料表面に対向し、光は内部から試料表面に向けた)。この照明を、光を方向付けるために用いられる光繊維束に取り付けられる安定化広帯域白熱光源(マサチューセッツ州マールボロ(Marlborough MA)およびニューヨーク州オーバーン(Auburn,NY)のスコットフォステックLLC(Schott-Fostec LLC)からの最大1cm直径の繊維束延長を伴うフォステック(Fostec)DCR−II)を使用して提供する。標準的な線吸収偏光子(たとえばメレスグリオ(Melles Griot)03FPG007)を試料ボックスとカメラの間に配置する。カメラは、最大34cmの距離でライトボックスの試料表面に焦点を合わせ、吸収偏光子は、カメラレンズから最大2.5cm離して配置する。照明されたライトボックスの輝度は、所定の位置に偏光子を配置するとともに試料フィルムのない状態で測定したところ、>150cd/m2であった。試料フィルムをボックスに概ね接触した状態にして試料フィルムをボックスの試料表面に平行に配置したときに、ボックスの試料表面の平面に対して法線入射した状態で、試料輝度をPR−650によって測定する。ライトボックス単独から同じように測定した輝度と、当該試料輝度とを比較することによって、相対ゲインを計算する。迷光源を排除するために、全測定を黒色包囲体中で行なった。反射偏光子を備えているフィルムアセンブリの相対ゲインを試験する場合、反射偏光子の通過軸を試験システムの吸収偏光子の通過軸にアライメントした。
【0110】
ライトボックスの拡散反射率を、直径15.25cm(6インチ)のスペクトラロン(Spectralon)被覆積分球、安定化広帯域ハロゲン光源、およびすべてニューハンプシャー州サットン(Sutton,NH)のラボスフェア(Labsphere)から供給される光源用の電源を用いて測定した。積分球には3つの開口ポートがあり、1つのポート(直径2.5cm)は入力光用であり、1つのポートは第2の軸に沿って90度をなして、検出器用ポート(直径2.5cm)として用い、第3のポートは第3の軸に沿って90度をなして(すなわち最初の2つの軸に直交する)、試料ポート(直径5cm)として用いる。PR650スペクトラカラリメーター(Spectracolorimeter)(上記と同じ)は、最大38cmの距離で検出器用ポートに焦点を合わせた。拡散反射率が最大99%であるラボスフェア製の較正反射標準(SRT−99−050)を用いて、積分球の反射効率を計算した。標準は、ラボスフェアにより較正されたものであり、NIST標準(SRS−99−020−REFL−51)が基になっている。積分球の反射効率を以下のように計算した。
【0111】
球体輝度比=1/(1−R球体*R標準)
この場合の球輝度比は、参照試料で試料ポートを覆って検出器ポートで測定した輝度を、試料で試料ポートを覆わずに検出器ポートで測定した輝度で除すことによって得られる比である。この輝度比および較正標準の反射率(R標準)がわかれば、積分球の反射効率(R球体)を計算することができる。次に、この値を以下の類似の式中で再び用いて、試料の反射率(この場合、PTFEライトボックス)を求める。
【0112】
球体輝度比=1/(1−R球体*R試料)
この場合には、球輝度比は、試料を試料ポートに置いたときの検出器における輝度を、試料を用いずに測定した輝度で除すことによって得られる比として求める。R球体は前述から分かるため、R試料を計算するのは簡単である。これらの反射率を4nmの波長間隔で計算し、400〜700nmの波長範囲にわたる平均として報告した。
【0113】
試料および光ボックスアセンブリのCIE(1931)色度座標を、PR−650スペクトラカラリメーター(SpectraColorimeter)によって同時に記録する。結果として生じる色度座標x、y(表IIIに示す)によって、異なる試料を透過する光の色の定量測定値がもたらされる。ΔxおよびΔyの値は、フィルムが存在した状態で測定した(x、y)座標とそうでない状態で測定した(x、y)座標との差、すなわちフィルムに起因する色の変化を示す。
【0114】
ライトボックス単独から同じように測定した輝度と、当該試料輝度とを比較することによって、相対ゲインgを計算する。
【0115】
g=Lf/Lo
ここで、Lfは、フィルムが所定の位置にある状態で測定した輝度であり、Loは、フィルムがない状態で測定した輝度である。迷光源を排除するために、測定を黒色包囲体中で行った。反射偏光子を備えているフィルムアセンブリの相対ゲインを試験する場合、反射偏光子の通過軸を試験システムの吸収偏光子の通過軸にアライメントした。「空白」の輝度は、光ボックス単独から、試験システムの吸収偏光子が所定の位置にあり光ボックス上方に試料がない状態で測定したものであり、約275カンデラm−2であった。表IIに、相対ゲインの測定値gを示す。図に示すように、すべての場合において、輝度ゲインは10%(相対ゲイン1.1に相当)よりも大きく、50%(相対ゲイン1.5)よりも大きく、また多くの場合において、100%(相対ゲイン2)よりも大きい。
【0116】
試料の厚さは、フィルムにわたる異なる位置で得られた4つの厚さ測定値の平均から決定した。厚さの測定は、EG−233デジタルリニアゲージ(小野測器(Ono Sokki)(横浜、日本)により製造)を用いて行なった。
【0117】
【表4】
【0118】
一般的に、強化輝度向上フィルム(実施例1〜4)の相対ゲインは、市販の未強化の輝度向上フィルムの実施例(実施例5および6)に匹敵しており、大きな色変化は分からない。実施例1と5の間で相対ゲインの差が非常に小さいことは、注目に値する。実施例1で用いた表面構造化層フィルムは、実施例5のものと同じであるが、付加的な繊維強化層を有している。これらの2つの実施例の相対ゲインは比較に値するもので、強化複合物層が低い光吸収および散乱を有していることを示しており、このことは、たとえば光をフィルムに2回以上通して再利用し得る場合など光学フィルムの応用例に対して有利である。複合物光学製品の一部の間に差があるのは、種々のヘイズレベルおよびプリズム形状に起因する。
【0119】
光学フィルムの性能を特徴付けるために一般に使用される試験は、単光路透過率である。このタイプの透過測定では、光再利用空洞におけるフィルムの影響を考慮に入れない。この試験において検出器に当たる光は、フィルムを一度だけ通過する。さらに、入力光を典型的に、フィルムの平面に実質的に垂直な角度に向けて、すべての透過光を透過角度にかかわらず積分球内に集める。多くの一般的な装置は、ほとんどの市販のヘイズメータおよびUV−ビススペクトロメーター(UV-Vis spectrometers)を含む、このタイプの単光路透過率を試験する。
【0120】
多くの効率的な輝度向上フィルムおよび光リダイレクトフィルムは、高い単光路透過率を有さない。特に、輝度向上構造が光源と反対方向であるとき、ほとんどの輝度向上フィルムは低い単光路透過率を有する。これは、再帰反射を介して単光路透過率において測定される軸上の光を再利用する一方で、軸からずれた光の方向を法線の方へ変えることによって再利用バックライトにおける輝度向上を効率的に実現するために、輝度向上フィルムが設計されているからである。正味の効果は、ディスプレイシステムにおける効率的な輝度向上である。したがって、相対ゲイン試験のように他の特性試験と組み合わせた場合に、単光路透過率を使用して、プリズム状輝度向上フィルムの光再利用効率を評価することができる。したがって、輝度向上フィルムは再帰反射の高い効率を示すため、他の測定値とともに解釈したときに、輝度向上フィルムが単光路透過率値の低い値を示すことが望ましい。特定の輝度向上フィルムに対して高い単光路透過率が望ましくないのは、それが不規則および光散乱を示し、完成したディスプレイシステムにおける効率的な輝度向上を小さくするからである。一部の実施形態においては、単光路透過率が40%未満であることが望ましく、他の実施形態においては、10%未満であることが望ましい。
【0121】
本発明の代表的な光学フィルムを、パーキンエルマーラムダ(Perkin Elmer Lambda)900UV−ビススペクトロメーター(450〜650nmからの概算平均を用いる)を用いて、単光路透過率(%T)に対して試験した。輝度向上構造を、光源と反対方向のフィルムの側面上に配置した。結果を下表IIIに示す。
【0122】
【表5】
【0123】
図に示すように、複合物輝度向上フィルムは非常に低い単光路透過率を示し、ディスプレイシステムにおける高い効率輝度向上を示している。
【0124】
特定の表面構造化フィルム、特に輝度向上フィルムに対して、フィルム内で起こるバルク拡散を制限することが望ましい場合が多い。バルク拡散を、光学ボディの内部で起こる光散乱として定義する(ボディの表面で起こる光散乱とは対照的である)。構造化された表面材料のバルク拡散を、構造化された表面を屈折率整合油を用いて濡らすこと、またヘイズを標準的なヘイズメータを用いて測定することによって測定することができる。ヘイズを、多くの市販のヘイズメータによって測定することができ、またASTM D1003によって規定することができる。バルク拡散を抑制することによって典型的には、構造化された表面が、光の方向変換、輝度向上などにおいて最も効率的に動作できるようになる。本発明の一部の実施形態に対して、バルク拡散は低いことが望ましい。特に、一部の実施形態では、バルク拡散に起因するヘイズ(バルクヘイズ)は30%未満であっても良く、他の実施形態では10%未満であっても良く、および他の実施形態では1%未満であっても良い。
【0125】
実施例1および特定の他のフィルム試料に対するバルク拡散を、構造化された表面を認定済み屈折率整合油(カーギル(Cargille)製(シリーズ(Series)RF、カタログ(Cat.)18005))を用いて濡らすこと、フィルムをガラスプレートに接触させて濡らすことによって測定した。次に、濡れたフィルムおよびガラスプレートを、BYKガードナヘイズガードプラス(BYK Gardner Haze-Gard Plus)(カタログ番号4725)の光路内に配置し、ヘイズを記録した。この場合、ヘイズは、透過した光のうち8°円錐の外側に散乱された部分を、透過した光の総量で割ったものとして定義する。光はフィルム上に垂直に入射する。
【0126】
下表IVに、バルクヘイズ(すなわち、ポリマーマトリックスのバルク内の伝搬から生じるヘイズであって、フィルムの表面で起こるいかなる拡散から生じるヘイズでもない)の測定値を示す。実施例1のフィルムを、屈折率が1.55の油を用いて濡らした。すべての他のプリズム試料を、屈折率が1.58の油を用いて濡らした。図に示すように、試料フィルムは、30%未満、および10%未満のヘイズを示した。
【0127】
【表6】
【0128】
機械的特性
フィルム試料のガラス転移温度を、フィルム引っ張り形状を伴うTAインスツルメンツQ800シリーズ(TA Instruments Q800 series)のダイナミックメカニカルアナライザー(Dynamic Mechanical Analyzer)(DMA)を用いて、測定した。温度掃引実験を、動ひずみモードにおいて、−40℃から200℃までの範囲にわたって200℃/分で実行した。貯蔵弾性率およびタンデルタ(損失係数)を、温度の関数として報告した。タンデルタ曲線のピークを使用して、フィルムに対するガラス転移温度Tgを同定した。Tgを、実施例1で使用したものに非常に似ている複合物層で測定し、71℃の値を得た。同じ樹脂(強化材なし)の対応する試料で測定したTgは、90℃であった。バラツキは測定因子に起因する。複合物層に対して使用した樹脂材料は、本明細書で説明したすべての実施例において実質的に同じTgを有した。一部の実施形態においては、Tgの値は120℃未満となることが望ましい場合がある。
【0129】
貯蔵弾性率および剛性(張力において)を、フィルム引っ張り形状を伴うTAインスツルメンツモデル番号Q800を用いたダイナミックメカニカルアナリシス(Dynamic Mechanical Analysis)(DMA)を用いて、測定した。DMA試験に関係する専門用語を、ASTM D−4065およびASTM D−4092に基づいて定義することができる。報告値は、室温(24℃)におけるものである。表Vに剛性結果をまとめる。測定は、24℃〜28℃の範囲の温度で行なった。表は、複合材料を用いて得ることができる貯蔵弾性率の著しい増加を示す。貯蔵弾性率は、フィルム特性の厚さに無関係な測定値をもたらすため、より重要である。これらのデータにおける多少のバラツキが、試験方法と複合物試料の実験室規模の試作との両方から予想される。
【0130】
引っ張り弾性率および剛性のこれらの高い値は、最終物品の構成および形状に応じて、潜在的な曲げ剛性にも対応することが考えられ、高弾性層の適切に配置は結果として、高い曲げ剛性を有する物品をもたらす。高い剛性は、より薄くてより軽いディスプレイを容易に取り扱うことを可能にし、またより良いディスプレイ均一性を可能にする(ディスプレイの光学部品の反りまたは曲げが小さいため)。最終物品の実際の性能は、繊維の配置および物品の最終形状によって決まる。たとえば、一部の応用例に対しては、「バランスが取れている」物品を構成することが望ましい場合があり、たとえば、材料が、硬化または加熱時に、ある特定の方向に曲がるかまたはカールする傾向を有しないように、単一の中央に位置する複合物層または2つの対称的に対向する複合物層が存在する。本明細書で試験した複合物試料は、その構成において実質的にバランスが取れていない。一部の応用例では、本発明の「バランスが取れていない」構成はまた、その増加した剛性および弾性率に起因する有用性ももたらす。プロセス、コスト、厚さ、重量、および光学性能の有利性も、バランスが取れていない構成を用いることについて存在する場合があり、この場合、意図する応用例および物品構成の詳細に応じて、より少ない複合物層を必要とする場合がある。
【0131】
表Vには、試料の簡単な説明とともに試料番号を列挙する。表はまた、測定の配向を、偏光子のパスまたはブロック軸に対して、または機械製造時のウェブに対する方向に対して列挙する。方向「機械」は、ダウンウェブ(down-web)方向に対応し、方向「横方向」は、ウェブを横切る方向に対応する。表はまた、平均の貯蔵弾性率、平均の剛性、および厚さも列挙する。
【0132】
【表7】
【0133】
フィルム組み合わせ
ある特定の空間周波数および角度関係で他の周期的なパターンと組み合わされたときに、空間周期的なパターンが時には、望ましくないモアレ効果を生じる可能性がある。こうして、場合によっては、複数の複合物層の間、複合物層と任意の構造化されたフィルム表面(同じフィルムまたは隣接するフィルム)の間、または複合物層と任意のディスプレイシステム要素(たとえば画素、ライトガイドドットパターン、もしくはLED源)との間に形成されるモアレパターンを最小にするために、強化繊維の間隔、配置、または角度バイアスを調整することが望ましい場合がある。また、強化繊維の屈折率整合がほとんど完全で、複合物層がほとんど完全に滑らかである場合には、モアレパターンは起こりようがない。
【0134】
これらの複合物光学物品の多くは、アセンブリに有利に組み合わせることができる。アセンブリの一つの例は、「交差BEF」構成であり、この構成では、2つの輝度向上フィルムが互いに隣接して配置され、一方のフィルムのプリズム表面が他方の非プリズム表面に隣接し、それらのプリズム溝がほぼ直交している。光学フィルムの多くの異なる有利な組み合わせを、繊維強化光学フィルムを用いて繰り返し、複合物フィルムの向上した機械的特性をフィルムアセンブリの有利な光学特性と組み合わせても良い。これらのアセンブリの代表的な実施形態の網羅的でない列挙は、以下のものを含む。
【0135】
1.反射偏光子層(たとえば、実施例2〜4)と一体化された強化輝度向上層と交差される強化輝度向上フィルム(たとえば、実施例1)。
【0136】
2.反射偏光子層(たとえば、実施例2〜4)と一体化された強化輝度向上と交差される未強化の輝度向上フィルム(たとえば、実施例5〜6)。
【0137】
3.強化輝度向上フィルム(たとえば、実施例1)と交差される強化輝度向上フィルム(たとえば、実施例1)。
【0138】
4.強化輝度向上フィルム(たとえば、実施例1)と交差される未強化の輝度向上フィルム(たとえば、例5〜6)。
【0139】
5.強化輝度向上フィルム(たとえば、実施例1)および強化反射偏光子と交差される強化輝度向上フィルム(たとえば、実施例1)。
【0140】
6.強化輝度向上フィルム(たとえば、実施例1)および強化反射偏光子と交差される未強化の輝度向上フィルム(たとえば、実施例5〜6)。
【0141】
7.強化反射偏光子とともに構成される強化輝度向上フィルム(たとえば、実施例1)。
【0142】
8.未強化の反射偏光子とともに構成される強化輝度向上フィルム(たとえば、実施例1)。
【0143】
9.強化反射偏光子とともに構成される強化回転フィルム。
【0144】
説明を目的として、これらのフィルム組み合わせ/アセンブリの一部を、前述したのと同じ相対ゲイン試験方法を用いて測定した。試験した組み合わせとしては、i)強化BEF層と交差される強化BEFフィルム、ii)反射偏光子層と一体化された強化輝度向上層と交差される強化BEF層、およびiii)反射偏光子層と一体化された強化輝度向上層と交差される未強化の薄いBEFII層、が挙げられた。これらの代表的な組み合わせを、市販の層の種々の組み合わせと比較した。結果を下表VIに示す。
【0145】
【表8】
【0146】
一般的に、複合物実施例の相対ゲインは、比較例のものとほぼ同じであり、小さい色変化が分かるだけである。また、たとえば交差した実施例1のフィルムと交差した薄いBEFIIフィルムとの間のゲインの差が非常に小さいことは注目に値する。このことが示しているのは、実施例1の複合物基材が非常に小さい光吸収および散乱を有しており、これは、光をフィルムを複数回通して再利用する構成に対して有利である。
【0147】
本発明は、上に記載した特定の実施例に限られるとみなすべきではなく、添付の請求項で明確に提示されているとおり、本発明のあらゆる態様を網羅していると理解すべきである。種々の変更例、同等のプロセスだけでなく、本発明を適用しても良い多数の構造も、本明細書を検討すれば、本発明に関連する当業者には容易にはっきりと理解されるであろう。本特許請求の範囲は、そのような修正および装置を網羅しようと意図するものである。
【0148】
添付の図面と関連して本発明の様々な実施形態の以下の発明を実施するための最良の形態を検討することで、本発明はより完全に理解され得る。
【0149】
本発明は様々な変更例および代替形状に柔軟に従うことができるが、それらの細目は図面で例を用いてこれまで示したし、また詳細に記述されるであろう。しかし、その意図は、記述した特定の実施形態に本発明を限定することではないことを理解されるべきである。反対に、その意図は、添付された特許請求の範囲により規定されるように、本発明の精神および範囲内にあるすべての変更例、同等の方法および代わりの方法を網羅しようとするものである。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明の原理により表面構造化フィルムを用いるディスプレイシステムを概略的に例示。
【図2A】本発明の原理により表面構造化層に直接的に取り付けられた強化層を有する繊維強化表面構造化フィルムの代表的な実施形態を概略的に例示。
【図2B】本発明の原理により接着層を介して表面構造化層に取り付けられた強化層を有する繊維強化表面構造化フィルムの代表的な実施形態を概略的に例示。
【図3】本発明の原理により繊維強化表面構造化フィルムを製造するためのシステムの実施形態を概略的に例示。
【図4】本発明の原理により繊維強化表面構造化フィルムを製造するためのシステムの別の実施形態を概略的に例示。
【図5】本発明の原理により繊維強化表面構造化フィルムを製造するためのシステムの別の実施形態を概略的に例示。
【図6】本発明の原理により2つの強化層を有する強化表面構造化フィルムの実施形態を概略的に例示。
【図7A】本発明の原理により強化表面構造化フィルムの異なる実施形態を概略的に例示。
【図7B】本発明の原理により強化表面構造化フィルムの異なる実施形態を概略的に例示。
【図7C】本発明の原理により強化表面構造化フィルムの異なる実施形態を概略的に例示。
【図7D】本発明の原理により強化表面構造化フィルムの異なる実施形態を概略的に例示。
【図7E】本発明の原理により強化表面構造化フィルムの異なる実施形態を概略的に例示。
【図7F】本発明の原理により強化表面構造化フィルムの異なる実施形態を概略的に例示。
【図8】本発明の原理により光学層が取り付けられた強化表面構造化フィルムの実施形態を概略的に例示。
【図9】本発明の原理により反射体が取り付けられた強化表面構造化フィルムの実施形態を概略的に例示。
【図10】本発明の原理により偏光子層が取り付けられた強化表面構造化フィルムの実施形態を概略的に例示。
【図11】本発明の原理により強化表面構造化フィルムの別の実施形態を概略的に例示。
【図12A】本発明の原理により2つの表面構造化層を含む強化表面構造化フィルムの実施形態を概略的に例示。
【図12B】本発明の原理により2つの表面構造化層を含む強化表面構造化フィルムの実施形態を概略的に例示。
【図13】本発明の原理により2つの表面構造化層を含む強化表面構造化フィルムの実施形態を概略的に例示。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムに関し、より詳細には、構造化された表面を伴う光学フィルムであって、ディスプレイ(たとえば液晶ディスプレイ)において使用しても良い光学フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
光学フィルム、たとえば構造化された屈折面を有するフィルムが、ディスプレイにおいて使用されることが多く、これは、たとえば、光源からディスプレイパネルまでの光の伝搬を管理するためである。たとえば、プリズム輝度向上フィルムが、ディスプレイからの軸上の光の量を増加させるために使用されることが多い。
【0003】
ディスプレイシステムのサイズが大きくなるにつれて、フィルムの面積も大きくなる。そのような表面構造化フィルムは、薄く、典型的には厚さ数十または数百ミクロンであり、そのため、構造一体化がほとんどなく、特に大型のディスプレイシステムにおいて使用するときにそうである。たとえば、特定の厚さのフィルムが、携帯電話のディスプレイで用いるときには十分に硬くても、同じフィルムが、より大型のディスプレイ(たとえばテレビジョンまたはコンピュータモニタ)で用いるには、いくらかの付加的な支持手段がなければ、硬さが不十分な場合がある。またより堅いフィルムによっても、大きなディスプレイシステムの組立プロセスが、それほど困難ではなくなり、またより自動化され、ディスプレイの最終組立コストが低くなる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
付加的な剛性を提供するために、表面構造化フィルムをより厚く形成することができ、または厚いポリマー基材に積層して、大面積フィルムで用いるのに必要な支持体を提供しても良い。しかし、厚いフィルムまたは厚い基材を用いると、ディスプレイユニットの厚さが増し、重量が増えることにもなり、そして場合により光吸収も増加することになる。より厚いフィルムまたは基材の使用はまた、断熱も高めて、ディスプレイから熱を移す能力を低下させる。さらに、輝度が増したディスプレイに対する継続的な要求があり、それはディスプレイシステムによって熱がより生成されることを意味する。これは、より高い加熱に関連する変形効果、たとえばフィルムの反りの増加をもたらす。加えて、表面構造化フィルムを基材に積層することによって、装置にコストが追加され、装置の厚さおよび重量が増すことになる。しかし、追加された費用は、ディスプレイの光学機能の著しい改善を結果としてもたらさない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維を含む第1の層と第1の層に取り付けられた第2の層とを有する光学フィルムを対象とする。第2の層は構造化された表面を有する。フィルムを通って実質的に垂直に伝搬する光は、30%未満のバルクヘイズを受ける。
【0006】
本発明の別の実施形態は、ディスプレイパネル、バックライト、およびディスプレイパネルとバックライトとの間に位置する強化フィルムを有するディスプレイシステムを対象とする。強化フィルムは、ポリマーマトリックスとポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維とから形成される第1の層を有する。第2の層は、第1の層に取り付けられ、構造化された表面を有する。強化フィルムを通って実質的に垂直に伝搬する光は、30%未満のバルクヘイズを受ける。
【0007】
本発明の別の実施形態は、光学フィルムを製造する方法を対象とする。本方法は、構造化された表面を有する第1の層を準備する工程と、ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維を含む繊維強化層を準備する工程と、を含む。繊維強化層を通って伝搬する光は、30%未満のバルクヘイズを受ける。繊維強化層は第1の層に取り付けられている。
【0008】
本発明の別の実施形態は、第1の層を含む光学フィルムを対象とする。第1の層は、ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維を含む。第2の層が、第1の層に取り付けられ、構造化された表面を有する。フィルムは、少なくとも10%の輝度利得を、フィルムを通って伝搬する光に対して提供する。
【0009】
本発明の別の実施形態は、ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維を有する第1の層と第2の層とを含む光学フィルムを対象とする。第2の層は構造化された表面を有する。構造化された表面とは反対方向を向くフィルムの側面上に実質的に垂直に入射する光に対する単光路透過率は、40%未満である。
【0010】
本発明の上記の概要は、本発明の各図示の実施形態またはすべての実施を説明しようとするものではない。以下の図および詳細な説明は、より具体的にこれらの実施形態を例証する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、光学システムに適用することができ、および特に、1つ以上の光学フィルムを使用する光学ディスプレイシステムに適用することができる。光学ディスプレイ、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)が、より大きくより明るくなるにつれて、ディスプレイ内の光学フィルムへの要求がより大きくなる。より大きいディスプレイは、反り、曲がり、および弛みを防ぐために、より堅いフィルムを必要とする。しかし、フィルムの厚さをその長さおよび幅とともに拡大することは、より厚いおよびより重いフィルムをもたらす。そのため光学フィルムが、厚さの増加を同時に伴わずに、大きいディスプレイに使用できるように、より堅くされることは望ましい。光学フィルムの剛性を増加させるための1つアプローチは、フィルム内に強化繊維を含むことである。一部の代表的な実施形態では、繊維は、フィルムを通過する光の散乱がほとんどないかまたは全くないように、屈折率について、フィルムの周囲の材料と整合する。多くの応用例において、複合光学フィルムは薄い(たとえば、最大0.2mm未満である)ことが望ましい場合があるが、厚さに対しては特別な制限はない。一部の実施形態においては、たとえばLCD−TVで使用される厚いプレートとして、厚さ0.2〜10mmであり得るものを作製することなど、複合材料の有利性とより大きい厚さの有利性とを組み合わせることが望ましい場合がある。この応用例の目的に対して、用語「光学フィルム」は、これらのより厚い光学プレートまたは導光体を含むとみなすべきである。
【0012】
本発明の一部の代表的な実施形態においては、表面構造化フィルムは、繊維強化層に取り付けられた表面構造化層を含む。この配置によって、表面構造化フィルムをより大面積で形成することが、より大型のディスプレイにおける動作条件の下で著しく歪むことも反ることもない硬い形状を維持しながら、可能になる。
【0013】
本発明を含んでも良いディスプレイシステム100の代表的な実施形態の概略的な分解図を図1に示す。そのようなディスプレイシステム100は、たとえば、液晶ディスプレイ(LCD)モニタまたはLCD−TVにおいて用いても良い。ディスプレイシステム100は、LCパネル102を使用することに基づいており、LCパネル102は典型的に、パネルプレート106の間に配置された液晶(LC)104の層を含む。プレート106は多くの場合ガラスで形成され、またLC層104内の液晶の配向を制御するために、プレート106の内部表面上に電極構造体およびアラインメント層を含んでもよい。当該電極構造体は、LCパネル画素、隣接した領域とは独立して液晶の配向が制御できるLC層の領域、を画定するように一般に配置されている。カラーフィルタが、表示された画像に色を付与するために1以上のプレート106に含まれていてもよい。
【0014】
上側の吸収偏光子108は、LC層104の上方に位置され、また下側の吸収偏光子110は、LC層104の下方に位置されている。図示した実施形態では、上側および下側の吸収偏光子108、110は、LCパネル102の外部に位置されている。吸収偏光子108、110およびLCパネル102は、ともに、バックライト112からディスプレイシステム100を通って視聴者に至る光の透過を制御する。
【0015】
バックライト112は、LCパネル102を照明する光を発生する多くの光源116を含む。LCD−TVまたはLCDモニタに使用される光源116は多くの場合、ディスプレイ装置100にわたって延びる線状、冷陰極蛍光管である。しかし、他のタイプの光源も用いても良く、たとえば、フィラメントもしくはアークランプ、発光ダイオード(LED)、薄型蛍光パネル、または外部蛍光ランプなどである。ここに挙げた光源は、限定的なものまたは網羅的なものを意図するのではなく、単に例示的なものであることが意図される。
【0016】
バックライト112はまた、光源116から下方へLCパネル102から離れる方向に伝播する光を反射するための反射体118も含んでもよい。当該反射体118はまた、以下に説明するように、ディスプレイ装置100内で光を再利用するのに有用である場合もある。当該反射体118はまた、鏡面反射体であっても良いし、拡散反射体であっても良い。反射体118として使用して良い鏡面反射体の一例は、ミネソタ州、セントポール(St.Paul,Minnesota)の3M社(3M Company)から入手可能なビキュイティ(Vikuiti)(商標)鏡面反射性向上(Enhanced Specular Reflection)(ESR)フィルムである。適切な拡散反射体の例としては、拡散反射する粒子、たとえば二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が装填されているポリマー、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン、ポリスチレンなどが含まれる。微小多孔性材料および微細繊維含有材料を含む拡散反射体のその他の例は、共有の米国特許出願公開第2003/0118805A1号に記載されている。
【0017】
光制御層(light management layer)の配置120は、バックライト112とLCパネル102の間に位置されている。当該光制御層は、ディスプレイ装置100の動作を改善するように、バックライト112から伝播する光に影響をおよぼす。たとえば、光制御層の配置120は、拡散層122を含んでいても良い。当該拡散層122は、光源から受けた光を拡散するために使用され、これはLCパネル102に入射する照明光の均一性の増加をもたらす。それ故に、このことは、より均一で明るい画像が視聴者によって知覚されることになる。
【0018】
光制御層の配列120はまた、反射偏光子124を含んでいても良い。光源116は典型的に、非偏光光を発生するが、下側の吸収偏光子110は単一の偏光状態のみを透過するので、光源116により発生される光の約半分はLC層104まで透過されない。しかし、この反射偏光子124を使用して、本来は下側の吸収偏光子内に吸収されてしまうであろう光を反射しても良いので、この光を反射偏光子124と反射体118との間の反射によって再利用しても良い。反射偏光子124によって反射される光の少なくとも一部を偏分極して、その後に反射偏光子124へ戻すことを、反射偏光子124および下側の吸収偏光子110を通ってLC層104まで透過される偏光状態で行なっても良い。このようにして、反射偏光子124を使用して、光源116によって発せられる光のうちLC層104に到達する光の割合を増加させることができ、したがって、ディスプレイ装置100によって形成される画像はより明るくなる。
【0019】
任意の好適なタイプの反射偏光、たとえば、多層光学フィルム(MOF)反射偏光子、拡散反射偏光フィルム(DRPF)(たとえば、連続/分散相偏光子またはコレステリック反射偏光子)などを用いても良い。
【0020】
MOF、コレステリック、および連続/分散相反射偏光子は、材料(通常はポリマー材料)内の変化する屈折率プロファイルを基にして、直交する偏光状態での光を透過する一方で、1つの偏光状態の光を選択的に反射する。MOFの一部の例は、共有の米国特許第5,882,774号に記載されている。MOF反射偏光子の市販の例としては、ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能な、拡散面を含む多層反射偏光子であるビキュイティ(商標)DBEF−IIおよびDBEF−D400が挙げられる。
【0021】
本発明に関連して有用なDRPFの例としては、共有の米国特許第5,825,543号に記載の連続/分散相反射偏光子、および、たとえば同第5,867,316号に記載の拡散反射多層偏光子が挙げられる。他の好適なタイプのDRPFは、米国特許第5,751,388号に記載されている。
【0022】
本発明に関連して有用なコレステリック偏光子の一部の例としては、たとえば米国特許第5,793,456号、および米国特許公開第2002/0159019号に記載のものが挙げられる。コレステリック偏光子は多くの場合、コレステリック偏光子を透過した光が直線偏光に変換されるように、出力側の四分の一波長遅延層(quarter wave retarding layer)とともに提供される。
【0023】
光制御層の配列120はまた、プリズム状輝度向上層128も含んでいても良い。輝度向上層は、軸からずれた光をディスプレイの軸により近い方向に方向変換する表面構造体を含む層である。これはLC層104を通って軸上を伝播する光の量を増加させるので、視聴者が見る画像の輝度が向上する。プリズム輝度向上層の一つの例は、屈折と反射を通して照明光の向きを変える多くのプリズム要素を有するものである。ディスプレイ装置に使用され得るプリズム状輝度向上層は、たとえば、ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能な、BEFII 90/24、BEFII 90/50、BEFIIIM 90/50、およびBEFIIITを含むプリズムフィルムのビキュイティ(商標)BEFIIおよびビキュイティBEFIIIファミリーが挙げられる。プリズム要素は、フィルムの幅にわたって延びる隆起部としてか、またはより短い要素として形成されても良い。
【0024】
強化輝度向上フィルム200の代表的な実施形態を、図2Aに概略的に例示する。強化フィルム200は、輝度向上層208に取り付けられた強化層202を含む。輝度向上層208は、光の方向を変えてディスプレイの軸により近い方向に伝播させる構造を有する任意の表面構造化層を含んでいても良い。強化層202は、ポリマーマトリックス206内に配置される無機繊維204の複合配置を含む。
【0025】
無機繊維204は、ガラス、セラミック、またはガラス−セラミック材料で形成されても良く、またマトリックス206内において、個々の繊維として、1つ以上のトウ内にまたは1つ以上の織布層内に配置されても良い。繊維204は、規則的なパターンで配置されても良いし、不規則なパターンで配置されても良い。強化ポリマー層のいくつかの異なる実施形態は、米国特許出願番号第11/125,580号(2005年5月10日出願)により詳しく論じられている。
【0026】
マトリックス206および繊維204の屈折率は、整合するように選択されても良いし、整合しないように選択されても良い。一部の代表的な実施形態においては、結果として生じる物品が光源からの光に対してほとんどまたは完全に透明となるように、屈折率が整合することが望ましい場合がある。他の代表的な実施形態においては、屈折率の意図的な不整合を起こして、特定の色散乱効果を生じるか、あるいはフィルム上に入射する光の拡散透過または反射を生じることが、望ましい場合がある。屈折率整合を、屈折率が樹脂マトリックス206のそれとほぼ同一に近い指数を有する適切な繊維204強化材を選択することによってか、または屈折率が繊維204のそれと近いか同一の屈折率を有する樹脂マトリックスを生じることによって、達成することができる。
【0027】
ポリマーマトリックス206を形成する材料に対するx−、y−、およびz−方向の屈折率を、本明細書では、n1x、n1yおよびn1zと称する。ポリマーマトリックス材料206が等方性である場合、x−、y−、およびz−屈折率は、すべて実質的に整合する。マトリックス材料が複屈折性である場合、x−、y−、およびz−屈折率の少なくとも1つは、他のものと異なる。繊維204の材料は、典型的には等方性である。それ故に、繊維を形成する材料の屈折率は、n2として与えられる。しかし、繊維204は複屈折であっても良い。
【0028】
一部の実施形態では、ポリマーマトリックス206が等方性であることが望ましい場合があり、それはすなわちn1x≒n1y≒n1z≒n1である。2つの屈折率が実質的に同じであると考えられるのは、2つの屈折率の間の差が、0.05未満、好ましくは0.02未満、およびより好ましくは0.01未満の場合である。したがって、材料が等方的であると考えられるのは、どの屈折率の対も、0.05を超えないで、好ましくは0.02未満で異ならない場合である。さらに、一部の実施形態では、マトリックス206および繊維204の屈折率は実質的に整合することが望ましい。したがって、マトリックス206と繊維204との間の屈折率の差である、n1とn2との間の差は小さくなければならず、少なくとも0.02未満、好ましくは0.01未満、およびより好ましくは0.002未満であるべきである。
【0029】
他の実施形態においては、ポリマーマトリックスが複屈折性であることが望ましい場合があり、この場合、マトリックスの屈折率の少なくとも1つが繊維204の屈折率とは異なっている。繊維204が等方的である実施形態においては、複屈折のマトリックスによって、結果として、少なくとも1つの偏光状態にある光が強化層により散乱されることになる。散乱される量は、散乱されている偏光状態の屈折率の差の大きさ、繊維204のサイズ、およびマトリックス206内の繊維204の密度を含むいくつかの因子に依存する。さらに、光は前方散乱(拡散透過)、後方散乱(拡散反射)、または両方の組み合わせであっても良い。繊維強化層202による光の散乱は、米国特許出願番号第11/125,580号により詳しく論じられている。
【0030】
ポリマーマトリックス206において使用するのに好適な材料としては、光波長の所望する範囲にわたって透明である熱可塑性および熱硬化性ポリマーが挙げられる。一部の実施形態においては、ポリマーが水に不溶性であることは特に有用である場合があり、ポリマーは疎水性であってもよいし、吸水率が低い傾向を有していてもよい。さらに、好適なポリマー材料は、非晶質または部分的結晶性であっても良く、およびホモポリマー、コポリマー、またはこれらのブレンドを含んでいても良い。ポリマー材料の例としては、ポリ(カーボネート)(PC);シンジオタクチックおよびアイソタクチックポリ(スチレン)(PS);C1〜C8アルキルスチレン;ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)およびPMMAコポリマーを包含する、アルキル、芳香族、および脂肪族環含有(メタ)アクリレート;エトキシル化およびプロポキシル化(メタ)アクリレート;多官能性(メタ)アクリレート;アクリレート化エポキシ;エポキシ;および他のエチレン性不飽和物質;環状オレフィンおよび環状オレフィン性コポリマー;アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS);スチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN);エポキシ;ポリ(ビニルシクロヘキサン);PMMA/ポリ(ビニルフロライド)ブレンド;ポリ(フェニレンオキシド)合金;スチレン系ブロックコポリマー;ポリイミド;ポリサルフォン;ポリ(ビニルクロライド);ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS);ポリウレタン;飽和ポリエステル;低複屈折性ポリエチレンを包含するポリ(エチレン);ポリ(プロピレン)(PP);ポリ(アルカンテレフタレート)、たとえばポリ(エチレンテレフタレート)(PET);ポリ(アルカンナフタレート(alkane napthalates))、たとえばポリ(エチレンナフタレート)(PEN);ポリアミド;アイオノマー;ビニルアセテート/ポリエチレンコポリマー;セルロースアセテート;セルロースアセテートブチレート;フルオロポリマー;ポリ(スチレン)−ポリ(エチレン)コポリマー;ポリオレフィン性PETおよびPENを含むPETおよびPENコポリマー;ならびにポリ(カーボネート)/脂肪族PETブレンドが挙げられるが、これらに限定されない。(メタ)アクリレートという用語は、対応するメタクリレートまたはアクリレート化合物のいずれかであると定義される。これらのポリマーを、光学的に等方的な形状で使用しても良い。
【0031】
一部の製品用途において、フィルム製品および成分が、逃亡種(fugitive species)(低分子量の未反応または未変換の分子、溶解水分子(dissolved water molecules)、または反応副生成物)の低濃度を示すことは重要である。逃亡種は、製品またはフィルムの最終使用環境から吸収されることができ、たとえば水分子は、製品またはフィルム中に初期製品製造から存在することができるか、または化学反応(たとえば縮合重合反応)の結果として生成されることができる。縮合重合反応から小さい分子が発生する例は、ジアミンと二塩基酸との反応からポリアミドが形成される間の水の遊離である。逃亡種としてはまた、低分子量の有機材料、たとえばモノマー、可塑剤などを挙げることができる。
【0032】
逃亡種は一般に、機能的製品またはフィルムの残りを構成する材料の大部分よりも分子量が低い。製品の使用条件は、たとえば、製品またはフィルムの一つの側面上に差別的に大きい熱応力をもたらす場合がある。これらの場合には、逃亡種はフィルムを通って移動する可能性があるか、またはフィルムもしくは製品の1つの表面から揮発して濃度勾配、全体の機械的変形、表面の変更、そして時には、望ましくないガス抜けを生じる可能性がある。ガス抜けは、製品、フィルム、またはマトリックス中に空隙もしくは泡をもたらすか、または他のフィルムへの接着に関しての問題をもたらす可能性がある。逃亡種はまた、潜在的に、溶媒和するか、食刻するか、または製品用途における他の成分に望ましくない影響をおよぼす可能性もある。
【0033】
これらのポリマーのいくつかは、配向されたときに複屈折性になる場合がある。特に、PET、PEN、およびこれらのコポリマー、ならびに液晶ポリマーは、配向されたときに比較的大きな値の複屈折性を表す。ポリマーを、押出成形および延伸を含む異なる方法を用いて配向しても良い。延伸は、それが高度な配向を可能にし、またいくつかの容易に制御可能な外部パラメータ、たとえば温度および延伸比により制御しても良いために、ポリマーを配向するために特に有用な方法である。
【0034】
マトリックス206を、様々な添加剤ともに提供し、フィルム200に所望の特性を提供しても良い。たとえば、添加剤は、耐候剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸化防止剤、分散剤、潤滑剤、静電気防止剤、顔料または染料、核剤、難燃剤、および発泡剤のうちの1つ以上を含んでいても良い。
【0035】
一部の代表的な実施形態では、経時的な黄ばみおよび曇りに耐性があるポリマーマトリックス材料を使用する場合がある。たとえば、芳香族ウレタンのようないくつかの材料は、長時間紫外線に曝されると不安定になり、また時間とともに変色する。長時間同じ色を維持することが重要であるときには、そのような材料を避けることが望ましい場合もある。
【0036】
その他の添加剤が、ポリマーの屈折率を変えるために、または材料の強度を増加するために、マトリックス206に提供されても良い。そのような添加剤としては、たとえば、ポリマーのビーズまたは粒子、およびポリマーのナノ粒子のような有機添加剤が挙げられても良い。一部の実施形態においては、マトリックスを、2つまたはそれ以上の異なるモノマーの特定の比率を用いて形成しても良く、その場合、各モノマーは、重合時の異なる最終屈折率に関連づけられる。異なるモノマーの比率によって、最終樹脂206の屈折率が決まる。
【0037】
他の実施形態では、無機添加剤をマトリックス206に加えて、マトリックス206の屈折率を調整するか、または材料の強度および/もしくは堅さを増加しても良い。たとえば、無機材料は、ガラス、セラミック、ガラスセラミック、または金属酸化物であってもよい。無機繊維に関して以下に論じられるガラス、セラミック、またはガラスセラミックのいずれかの好適な種類を使用しても良い。金属酸化物の好適な種類としては、たとえばチタニア、アルミナ、酸化スズ、酸化アンチモン、ジルコニア、シリカ、これらの混合物またはこれらの混合酸化物が挙げられる。そのような無機材料を、ナノ粒子として、たとえば製粉された、粉末化された、ビーズ、フレーク、または粒子状材料の形態で提供し、およびマトリックス内に分配しても良い。ナノ粒子を、たとえば、気相または溶液ベースのプロセスを用いて合成しても良い。粒子のサイズは、材料206を通過する光の散乱を減らすために、好ましくは約200nm未満であり、および100nm未満であっても良いし、50nmでさえあっても良い。添加剤は、官能化された表面を有し、懸濁液の分散および/またはレオロジーおよび他の流体特性を最適化するか、またはポリマーマトリックスと反応しても良い。他のタイプの粒子としては、中空のシェル、たとえば中空のガラスシェルが挙げられる。
【0038】
無機材料のあらゆる好適な種類をも繊維204に対して使用しても良い。繊維204を、フィルムを通過する光に対して実質的に透明であるガラスから形成しても良い。好適なガラスの例としては、繊維ガラス複合物内で使用されることが多いガラス、たとえばE、C、A、S、R、およびDガラスが挙げられる。たとえば、溶融シリカおよびBK7ガラスの繊維を含む、より高品質のガラス繊維も使用しても良い。好適なより高品質のガラスは、ニューヨーク州エルムスフォード(Elmsford)のショットノースアメリカ社(Schott North America Inc.)のようないくつかの供給元から入手可能である。これらのより高品質のガラスから製造された繊維を使用することは、それらがより純粋であるために、より均一な屈折率を有し、またより少ない含有物を有し、そのため、少ない散乱および増加された透過をもたらすために、望ましい場合がある。また、繊維の機械的特性が均一になる可能性がより高い。より高品質のガラス繊維は、水分を吸収する可能性がより低く、ひいてはフィルムは、長期間の使用において、より安定になる。さらに、ガラス中のアルカリ内容物が、水の吸収を増やすため、低アルカリガラスを使用することが望ましい場合がある。
【0039】
粒子またはチョップト繊維のような不連続な強化材が、伸ばすことが必要なポリマー内において、または特定の他の形成プロセスにおいて、好ましい場合がある。チョップトガラスで充填された押し出された熱可塑性樹脂、たとえば、米国特許出願番号第11/323,726号に記載のものを、繊維充填された強化層として使用しても良い。他の応用例に対して、これらが、熱膨張(CTE)の係数を大きく減少させ、また弾性率をさらに増加させることができるため、連続的なガラス繊維強化材(すなわち、ウィーブまたはトウ)が好ましい場合がある。
【0040】
繊維204に対して使用してもよい無機材料の別の種類は、ガラスセラミック材料である。ガラスセラミック材料は一般に、95体積%〜98体積%の、1μより小さいサイズを有する非常に小さい結晶を含む。いくつかのガラスセラミック材料は、50nmほどの小さい結晶サイズを有し、結晶サイズが、実質上散乱が起こらないほど可視光線の波長よりずっと小さいために、それらを可視波長において有効に透明にする。これらのガラスセラミックはまた、ガラス領域の屈折率と結晶領域の屈折率との間に事実上の差がほとんどないかまたは全くないようにして、それらを視覚的に透明にすることができる。透明性に加えて、ガラスセラミック材料は、ガラスの破裂強度を超える破裂強度を有することができ、また一部のタイプは、ゼロまたは負の値でさえある熱膨張の係数を有することが知られている。関心のあるガラスセラミックは、Li2O−Al2O3−SiO2、CaO−Al2O3−SiO2、Li2O−MgO−ZnO−Al2O3−SiO2、Al2O3−SiO2、およびZnO−Al2O3−ZrO2−SiO2、Li2O−Al2O3−SiO2、およびMgO−Al2O3−SiO2を含む組成を有するが、これらに限定されない。
【0041】
一部のセラミックはまた、適切に整合する屈折率を有するマトリックスポリマー中にそれらが組み込まれた場合に透明に見えるように、十分に小さい結晶サイズを有する。ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能なネクステル(Nextel)(商標)セラミック繊維は、この種の材料の例であり、スレッド、ヤーン、および織布マットとして入手可能である。好適なセラミックまたはガラスセラミック材料はさらに、「ガラスの化学第2版(Chemistry of Glasses, 2nd Edition)」、(A.ポール(A.Paul)、チャップマンアンドホール(Chapman and Hall)、1990年)および「セラミックス入門第2版(Introduction to Ceramics, 2nd Edition)」、(W.D.キンゲリー(W.D.Kingery)、ジョンワイリーアンドサンズ(John Wiley and Sons)、1976年)に記載されている。
【0042】
一部の代表的な実施形態では、マトリックス206と繊維204の間で完全な屈折率の整合を有しないことが望ましい場合があり、その結果、光の少なくとも一部は繊維204によって拡散される。そのような実施形態では、マトリックス206および繊維204のいずれかもしくは両方が複屈折性であってもよいし、マトリックスおよび繊維の両方が等方性であってもよい。繊維204のサイズに応じて、拡散は散乱から生じるか、または単純な屈折から生じる。繊維による拡散は非等方的であり、光が繊維の軸に対して横方向に拡散されてもよいが、繊維に対して軸方向には拡散されない。それ故に、拡散の性質は、マトリックス内の繊維の配向に依存する。繊維が、たとえばx軸に平行に配置された場合、次に光はy−およびz−軸に平行な方向に拡散される。
【0043】
加えて、マトリックス206に、光を等方的に散乱する拡散粒子を装填してもよい。拡散粒子は、マトリックスとは異なる屈折率、多くの場合により高い屈折率の粒子であり、最大約10μmの直径を有する。これらはまた、複合材料に構造強化材を提供することもできる。拡散粒子は、たとえば、マトリックスの屈折率を調整するためのナノ粒子として使用する上記のような金属酸化物であってもよい。拡散粒子の他の好適な種類としては、ポリスチレンもしくはポリシロキサン粒子のようなポリマー粒子、またはこれらの組み合わせが挙げられる。拡散粒子はまた、中空のガラス球体、たとえば、ミネソタ州セントポールの3M社により製造されたタイプS60HSガラス気泡であっても良い。拡散粒子を、単独で使用して光を拡散しても良いし、屈折率が非整合の繊維とともに使用して光を拡散しても良いし、構造化された表面とともに使用して光を拡散し向きを変えても良い。
【0044】
マトリックス206内の繊維204の一部の代表的な配置としては、繊維のタウもしくはポリマーマトリックス内の1つの方向に配置されたヤーン、繊維ウィーブ、不織布、チョップトファイバー、チョップトファイバーマット(無作為のもしくは規則的な形式による)、またはこれらの形式の組み合わせが挙げられる。チョップトファイバーマットまたは不織布は、繊維の無作為の配置を有するのではなく、不織布またはチョップトファイバーマット内に繊維の何らかの配列を提供するように、延伸され、圧力をかけられ、または配向されても良い。さらに、マトリックス206は繊維204の多層を含有しても良く、たとえば、マトリックス206は、異なるトウ、ウィーブなどの中に繊維のより多くの層を含んでいても良い。図2Aに例示する特定の実施形態においては、繊維204は2層で配置されている。
【0045】
図2Bに概略的に例示する強化フィルム220の別の代表的な実施形態においては、接着剤222の層が、構造化された表面層208と繊維強化材層202との間に設けられている。接着剤222は、たとえば感圧性接着剤または硬化性積層接着剤などの、あらゆる好適なタイプの接着剤であっても良い。
【0046】
図3を参照して、強化表面構造化フィルムを製造する1つの代表的なアプローチについて説明する。一般的に、このアプローチとしては、マトリックス樹脂を、予め調製された表面構造化層に直接塗布することが挙げられる。製造配列300は、繊維強化材302のロールを含み、それは、マトリックス樹脂306を包含する含浸槽(impregnation bath)304を通過する。たとえば、繊維強化材302を一連のローラ308内に通すことによるなど任意の好適な方法を用いて、樹脂306を繊維強化材302内へ含浸させる。
【0047】
含浸された強化材310をいったん槽304から取り出したら、それを、表面構造化フィルム312の層へ適用し、必要に応じて付加の樹脂318を加えても良い。含浸された繊維強化材310および表面構造化フィルム312の層は、ピンチローラ316において一緒に圧搾され、2つの層310および312の間の良好な物理的接触を確実にする。任意に、たとえばコーター320を用いて、付加の樹脂318を強化材層310わたり塗布しても良い。コーター320は、たとえば、ナイフエッジコーター、コンマコーター(図示している)、バーコーター、ダイコーター、スプレーコーター、カーテンコーター、高圧射出などのいずれかの好適な種類のコーターであってもよい。他の考察の中で、塗布条件における樹脂の粘度によって、適切なコーティングの方法または方法類が決定される。コーティング方法および樹脂の粘度はまた、強化材にマトリックス樹脂が含浸される工程の間に、強化材から気泡が除かれる速度および程度にも影響する。
【0048】
完成したフィルムが低い散乱を有することが望ましい場合、この段階で、樹脂が繊維間の空間を完全に充填するのを確実にすることが重要であり、樹脂中に残された空隙または泡は、散乱の中心として作用する場合がある。泡の発生を減らすために、異なるアプローチを、個々にまたは組み合わせて使用してもよい。たとえば、フィルムを、強化材層310全体への樹脂306の含浸を促すために、機械的に振動させてもよい。機械的振動を、たとえば超音波源を用いて適用してもよい。加えて、フィルムを、樹脂306から泡を抽出する真空に曝しても良い。これは、コーティングと同時に、またはその後に、たとえば任意の脱気装置322において行なわれてもよい。
【0049】
フィルム中の樹脂306を、次に、固化ステーション324で固化してもよい。固化としては、硬化、冷却、架橋、およびポリマーマトリックスが固体状態に達する結果となるいずれかの他のプロセスが挙げられる。例示した実施形態においては、放射源324を使用して、放射線を樹脂306に適用している。他の実施形態では、樹脂306を硬化するために、樹脂306に適用され得るエネルギーの異なる形態としては、熱および圧力、電子ビーム放射などが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態では、樹脂306を、冷却、重合によってか、または架橋によって固化しても良い。一部の実施形態では、固化されたフィルム326は、巻き取りロール328上に集められ貯蔵されるほどに十分に柔軟である。他の実施形態では、固化されたフィルム326は、巻き取るには堅過ぎる場合があり、その場合、それを何らかの他の方法によって貯蔵され、たとえばフィルム326を、貯蔵のためにシートに切断してもよい。
【0050】
繊維強化表面構造化フィルムを作る別のアプローチは、最初に複合物を支持フィルム上に作製し、後にそれをフィルムから分離することである。複合物を、次に、表面構造化フィルムを支持するために使用することができる。1つの代表的な実施形態においては、複合物を、積層接着剤および所望の表面構造化フィルムを伴う積層プロセス内に供給することができる。図4に、このアプローチを概略的に例示する。この製造システム400においては、接着剤404の層を、表面構造化フィルム402上に設ける。接着剤404は、2つのフィルムを一緒に積層するのに有用ないずれかの好適なタイプの接着剤であっても良い。たとえば、接着剤は、感圧性接着剤であっても、硬化性積層接着剤であっても良い。例示した実施形態においては、接着剤404を液体として適用し、コーター406を用いて薄層に広げる。接着層はそれ自体、たとえばUV吸収剤または光拡散粒子などの、複合物マトリックス樹脂に添加することができる機能要素のいずれかを包含していても良い。
【0051】
予め調製された繊維強化複合物層408を、次に、たとえば圧力ローラ410を用いて、強化積層体412を形成するなど、接着剤406わたって配置し、繊維強化層408を表面構造化フィルム402とともに圧搾する。必要に応じて、次に、たとえば放射線414の適用を介するなど、接着剤404を硬化しても良い。硬化積層体416を、次に、ロール418上に集めるか、貯蔵のためにシートに切断しても良い。
【0052】
このアプローチの変形形態では、接着剤404を最初に繊維強化層に塗布して、次に表面構造フィルムを接着剤404に押圧しても良い。
【0053】
別の代表的な実施形態においては、表面構造フィルムを、予め調製した繊維強化層上に鋳造しても良い。図5に、このアプローチを概略的に例示する。この製造システム500においては、ポリマー材料502の層を繊維強化層504上に広げる。フィルムを、次に、成形ロール506までガイドロール508によって導き、そして任意に、成形ロール506に圧力ロール510によって押し付けても良い。成形ロール506は、コーティングされた材料502内に型押しされる成形された表面512を有する。ポリマー材料502を、モノマーまたはポリマー材料502が、成形ロール506と接触している間に、たとえば熱、放射線などの印加を介して硬くしても良い。例示した実施形態においては、たとえば熱ランプのような放射源514を使用して、表面構造化層516を硬化させる。
【0054】
一部の代表的な実施形態においては、繊維強化層を、表面構造化フィルムの各側面に取り付けても良い。図6に、2つの繊維強化材層604、606の間に挟まれる表面構造化層602を有する、強化表面構造化フィルム600の代表的な実施形態を概略的に例示する。下側の強化材層606を、前述した異なる方法を含む、任意の好適な方法を用いて取り付けても良い。
【0055】
上側の強化材層604を、強化材層604の下側の表面612上に配置した接着層610の使用を介して、構造化された表面608に取り付けても良い。プリズム状輝度向上層の構造化された表面の別の光学フィルムへの取り付けが、米国特許番号第6,846,089号により詳しく論じられている。一般的に、接着層610は、表面構造の高さと比較して、比較的薄い。構造化された表面608を、構造化された表面608の有意な部分が空気と接したままとなるような深さまで、接着層内に押圧する。これによって、空気と層602との間の比較的大きな屈折率の差が維持され、その結果、構造化された表面612の屈折効果が保たれる。表面構造化フィルムの他のタイプの構造化された表面を、輝度向上フィルムに加えて、強化層に取り付けても良いことが理解されるであろう。
【0056】
図はまた、軸616とより近くに位置合わせされた方向にあるプリズム状輝度向上フィルムによって方向を変えられる1つの代表的な光線614の光路も示す。軸616は、フィルム600に垂直に位置する。一部の構成においては、光線614は主光線であっても良い。この応用例の目的に対して、主光線は、分散された光線の強度−加重された中心方向で伝搬する光線として規定され、分散されたビームそれ自体、異なる角度で伝搬する複数の光線が包含されても良い。光線614がフィルム600に入射する角度は、軸614に対して30°超であり、フィルム600から出て行く角度は、軸614に対して25°未満である。一部の実施形態においては、フィルム600を透過した後の主光線614の方向は、フィルム600に入る前の主光線614の方向とは5°超だけ異なっており、言い換えればフィルム600は、光線614を、5°超の角度だけ、いくつかの実施形態では10°超だけ、いくつかの実施形態では20°超だけ、そらせている。
【0057】
構造化された表面は、輝度向上層であることに限定されず、いずれかの他のタイプの表面であっても良い。たとえば、構造化された表面は、レンズ表面、拡散表面、回折光学表面、光回転表面(市販の「回転」フィルムにおいて使用される)、または再帰反射表面などのレンズ表面であっても良い。本発明の特定の好ましい透過性の光方向変換の応用例に対しては、主光線の方向を実質的に変えることができる非ランダムの構造化された表面を使用することが望ましい。たとえば、そのような表面を用いたフィルムは、主光線の方向を5°以上の角度だけ変えても良い。以下、一部の代表的な構造化された表面についてより詳しく論じる。
【0058】
図7Aに概略的に例示するように、構造化された表面の1つの代表的なタイプはレンズ表面である。この実施形態においては、構造化表面層702が強化層704に取り付けられている。構造化された表面706は多くのレンズ708を含み、これらは、そこを通過する光に光学パワーを加えることに対して有用であり得る。1つのレンズから複数のレンズまでの任意の好適な数のレンズが、あっても良い。加えて、レンズは正の光学パワーを提供しても良いし負の光学パワーを提供しても良いし、またすべてが同じ光学パワーを提供する必要はない。
【0059】
別のタイプのレンズ構造化された表面は、フレネルレンズ(Fresnel lens)である。図7Bに概略的に例示する強化フィルムの代表的な実施形態710においては、表面構造化層712が繊維強化層714に取り付けられている。表面構造化層712はフレネル表面716を有し、この表面によって、そこを通過する光718がフォーカスされる。他の実施形態においては、表面構造化層712は、一つ以上のフレネルレンズパターンを含んでいても良い。
【0060】
構造化された表面の別のタイプは、回折光学表面である。図7Cに概略的に例示する強化フィルム720の代表的な実施形態においては、表面構造化層722が繊維強化層714に取り付けられている。表面構造化層722は回折光学表面726を有し、この表面によって、そこを通過する光728が回折される。異なるタイプの回折が、回折光学表面726によって与えられても良いことが理解されるであろう。たとえば、一実施形態においては、回折光学表面726はレンズのように動作して、光728に光学パワーを提供しても良い。他の実施形態においては、回折光学表面は、別の仕方で光を回折しても良い。たとえば、回折光学表面を使用して光を分離し、異なる着色をされた成分に分けて、たとえばドットパターンなどのパターンを形成して、レンズとしての機能を果たし、または成形された散光器としての機能を果たしても良い。
【0061】
図7Dに概略的に例示するように、強化構造化された表面フィルムの別の代表的な実施形態は、強化回転フィルム730である。強化回転フィルム730は、強化層734に取り付けられている回転層732を含む。回転層732は、光源の方に向けられている構造化された表面736を有する。それ故に、強化フィルム730に大きな角度で入射する光738は、構造化表面により軸740に対してより平行な方向に沿って方向を変えられる。図では、光738は構造要素742に入って、要素742内で全内部反射される。
【0062】
図7Eに概略的に例示するように、強化構造化された表面フィルムの別の代表的な実施形態は、強化再帰反射フィルム750である。強化再帰反射フィルム750は、強化層754に取り付けられた再帰反射層752を含む。再帰反射層752は、光源とは反対方向に向けられている構造化された表面756を有する。それ故に、強化フィルム750に入射する光758の少なくとも一部は、全内部反射が起こる2つの表面を包含する要素760によって全内部反射される場合がある。その結果として、光は表面756によって再帰反射される。
【0063】
強化構造化された表面フィルムの別の代表的な実施形態は、強化集光器フィルムである。集光器は、反射性の要素であり、典型的には非結像要素であり、大きい領域からの光をより小さい領域に収束させるものである。集光器の例としては、放物面反射体、複合放物面反射体などが挙げられる。集光器フィルムは、多くの集光器を包含するフィルムである。
【0064】
図7Fに例示する代表的な実施形態においては、集光器層772が繊維強化層774に取り付けられている。集光器層772は、反射側壁778を有する多くの反射性コレクタ776を含む。光780は、集光器層772の出力開口部782で収束される。このことは、より小さい開口部の面内に向けられる光とともに、逆方向において動作時に、光コリメータとして機能することができる。
【0065】
輝度向上以外の目的で、強化層を有する他の光制御層を含めるかまたは取り付けても良い。これらの使用は、光の空間混合または色混合、隠れた光源、および均一性向上を含む。これらの目的に対して使用しても良いフィルムとしては、拡散フィルム、拡散プレート、部分的反射層、色混合導光体(color-mixing lightguides)またはフィルム、およびそこで拡散光のピーク輝度光線が入力光のピーク輝度光線の方向と平行でない方向において伝播する拡散システムが挙げられる。
【0066】
また他の層を、たとえば表面構造化層自体に直接取り付けるか、または表面構造化層に取り付けられた繊維強化層に取り付けるなど、強化表面構造化層に取り付けても良い。図8に、付加的な光学層を含む強化表面構造化フィルム800の一般的な例を概略的に例示する。例示した実施形態においては、強化表面構造化層800は、繊維強化層804に取り付けられた表面構造化層802を有する。例示した実施形態においては、付加的な光学層806が繊維強化層804に取り付けられている。光学層806は、強化表面構造化層800に取り付けることが望ましい他の任意のタイプの光学層であっても良い。たとえば、光学層806は、透過性、拡散性、または反射性の光学層を含んでいても良い。拡散層は、たとえば、マトリックス内に分散された光拡散性粒子を含んでいても良い。反射層は、鏡面反射層、たとえばポリマーまたは他の誘電体材料から形成される多層フィルムであっても良い。他の代表的な実施形態においては、光学層806は、構造化された屈折表面を含む別の光学層であっても良い。光学的機能表面を伴う光学層の異なる代表的なタイプとしては、プリズム表面を伴うフィルム、レンズ表面を伴うフィルム、回折面、拡散面を伴うフィルム、および集光表面を伴うフィルムが挙げられる。他の実施形態においては、付加的な光学層は、表面構造化層または反射偏光子層であっても良い。
【0067】
他の光制御層を、輝度向上以外の目的で含んでも良い。これらの使用は、光の空間混合または色混合、隠れた光源、および均一性向上を含む。これらの目的に対して使用しても良いフィルムとしては、拡散フィルム、拡散プレート、部分的反射層、色混合導光体またはフィルム、およびそこで拡散光のピーク輝度光線が入力光のピーク輝度光線の方向と平行でない方向において伝播する拡散システムが挙げられる。
【0068】
強化表面構造化フィルムに取り付けることができるフィルムのタイプの1つの代表的な実施形態は、反射層である。反射層は、たとえば拡散性の反射層であっても良いし、鏡面反射層であっても良い。拡散性の反射層を、たとえば、フィルムに高密度の拡散粒子を装填することによって形成しても良い。鏡面反射層を、たとえば、異なる屈折率のポリマー材料の複数の交互層を用いて形成しても良い。図9に、強化層904の1つの側面に取り付けられた構造化された表面層902を有する強化構造化された表面フィルム900を概略的に例示する。反射層906を、例示するように強化層904の他方の側面に取り付けても良いし、強化層904と構造化された表面層902との間に取り付けても良い。構造化された表面層902を通過する光908は、反射層906によって反射される。
【0069】
強化表面構造化フィルムに取り付けることができるフィルムのタイプの別の代表的な実施形態は、偏光層である。偏光層は、たとえばそこでブロック偏光状態にある光が吸収される吸収偏光子層であっても良いし、そこでブロック偏光状態にある光が反射される反射偏光層であっても良い。図10に、そのような強化表面構造化フィルム1000の1つの特定の実施形態を概略的に例示する。この実施形態においては、表面構造化層1002が、強化層1004に順に取り付けられている偏光子層1006に取り付けられる。表面構造化層1002を輝度向上層として例示しているが、他のタイプの表面構造化層を使用しても良い。例示した実施形態においては、偏光子層1006は、フィルム1000に入った非偏光1008が2つの直交偏光成分に分割されるように反射偏光子層であり、第1の成分1008aは、フィルム1000を透過した成分であり、第2の直交偏光成分1008bは、フィルム1000から反射された成分である。他の実施形態においては、強化層1004を、表面構造化層1002と偏光子層1006との間に位置しても良い。
【0070】
図11に、ここでは、表面構造化層1102が繊維強化層1104に取り付けられていて、偏光層1106が表面構造化層1102の構造化された表面に取り付けられている、強化フィルムの別の実施形態1100を概略的に例示する。
【0071】
偏光層1106が吸収偏光子である場合、Hタイプのヨウ素系偏光子、Kタイプの固有吸収偏光子、染料系偏光子などの吸収偏光子層のいずれかの好適なタイプを使用しても良い。偏光子層1106が反射偏光子である場合、多層光学フィルム(MOF)偏光子、およびDRPF偏光子のような拡散偏光子のいずれかの好適なタイプの反射偏光子を使用しても良い。
【0072】
偏光子を含む一部の実施形態においては、偏光子層の機能を乱さないように、システム内の他の層が、低い均一の複屈折を示すことが望ましい場合がある。この例は、表面構造化層を反射偏光子の上部に配置したときのものであり、またこの組み合わせ要素は、LCDディスプレイの輝度を向上させるために使用される。この場合、一般的に、構造化された層を透過するときに反射偏光子を通過する支配的な偏光状態を維持することが望ましい。これは、ガラス強化熱硬化性層の1つの有利性であり、これを、複屈折が非常に低くなるように作ることができる。
【0073】
一部の他の実施形態においては、2つ以上の表面構造化層を、繊維強化層とともに取り付けても良い。表面構造化層は、同じであっても良いし異なっていても良い。図12Aに、2つの同じタイプの表面構造化層を含む強化フィルムの1つの代表的な実施形態を、概略的に例示する。第1の輝度向上層1202が、第1の強化層1204に取り付けられている。第2の輝度向上層1206を、第1の輝度向上層1202に取り付けても良いし、第1の強化層1204に取り付けても良い。一部の実施形態においては、2つの輝度向上層1202、1206の隆起部を、互いに垂直に配向しても良く、たとえばディスプレイシステムの垂直および水平方向の両方の観察方向に対して、光の方向を変えるために輝度向上層を使用することが望ましい場合である。他の実施形態においては、強化輝度向上層1210に対する図12Bに概略的に例示するように、任意的の付加的な強化層1208を含んでいても良い。
【0074】
表面構造化層の他の組み合わせを使用しても良い。たとえば、輝度向上層を、回折面パターンによって構造化された層に取り付けても良いし、光学パワーをもたらす層に取り付けても良い。
【0075】
強化材層に取り付けられた表面構造化層をまた、それ自身が繊維を含む別の表面構造化層に取り付けても良い。強化表面構造化層が、すなわち、米国特許出願番号第11/125,580号および同第11/278,253号、「構造化された複合光学フィルム」(本出願と同日に出願)、代理人整理番号61102US002により詳しく論じられている。強化表面構造化層は、強化するためにポリマーマトリックス内に無機繊維を含み、またその表面の少なくとも1つが構造化されてもいる光学層である。図13に、強化表面構造化層に表面構造化層が取り付けられた強化フィルム1300の1つの代表的な実施形態を例示する。輝度向上層1302が、繊維強化層1304に取り付けられている。繊維強化回折面層1306が輝度向上層に、たとえば接着層1308の使用を介して取り付けられている。
【0076】
図6〜13に例示した強化表面構造化フィルムの異なる実施形態においては、フィルムスタック内の異なる層の順序は、例示したものとは異なる場合があることを理解することが重要である。たとえば、図10に概略的に例示したフィルム1000の実施形態においては、反射体層1006は、強化層1004と表面構造化層1002との間に位置しても良い。また、別の光学フィルムの付加を示しているすべての例において、単層だけの代わりに2つ以上の繊維強化層を設けても良い。
【実施例】
【0077】
本発明の選択された実施形態を以下に記載する。これらの実施例は、制限することを意味せず、本発明の態様のいくつかを例示するのみである。
【0078】
無機繊維強化材として使用される複合フィルムの以下の例はすべて、サウスカロライナ州アンダーソン(Anderson, South Carolina)のヘクセルリインフォースメント社(Hexcel Reinforcements Corp.)によって製造される織布繊維ガラスである。ヘクセル(Hexcel)106(H−106)繊維を供給業者から受け取った際、繊維に仕上げが施されていて、繊維と樹脂マトリックスとの間のカップリング剤としての機能を果たすようになっていた。実施例において、使用するH−106ガラス布地はすべて、CS767シラン仕上げがなされていた。他のシステムにおいては、仕上げがなされておらずガラス繊維に適用されるカップリング剤も有しない生繊維材料状態のガラス強化材を使用することが望ましい場合がある。表Iに記載された繊維試料の屈折率(RI)を、20×/0.50対物レンズによる透過単一偏光(Transmitted Single Polarized Light)(TSP)、および20×/0.50対物レンズによる透過位相差ゼルニケ(Transmitted Phase Contrast Zernike)(PCZ)を用いて測定した。繊維試料は、かみそりの刃を用いて繊維の一部を切断することにより、屈折率測定用に調製した。繊維を、スライドガラス上で様々なRI油の中に載せて、ガラスカバースリップによりカバーした。試料を、ツァイスアクシオプラン(Zeiss Axioplan)(カールツァイス(Carl Zeiss)、ドイツ)を用いて分析した。RI油の較正を、ニューヨーク州ロチェスター(Rochester)のミルトンロイ社(Milton Roy Inc.)製造のABBE−3L屈折計上で行なって、値をそれにしたがって調整した。位相差を伴うベッケライン法(Becke Line Method)を、試料のRIを決定するために使用した。589nmのナトリウムD線の波長での屈折率、nDの値についての公称RIの結果は、各試料について±0.002の精度であった。
【0079】
表Iに、実施例1〜4で使用した様々な樹脂についての概要の情報を示す。
【0080】
【表1】
【0081】
ダロクア1173およびダロクア4265は光開始剤であり、THFA(テトラヒドロフルフリルアクリレート)は単機能のアクリレートモノマーである。表Iの残りの成分は、硬化時に架橋する樹脂である。エベクリル600(Ebecryl 600)は、ビスフェノール−Aエポキシジアクリレートオリゴマーである。
【0082】
(実施例1)−強化複合物層に取り付けたBEF
導光プリズム状輝度向上微細構造化フィルム(ビキュイティ(商標)薄いBEF−90/24−II−T、ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能)を、積層接着剤としての機能を果たすUV硬化樹脂を用いて透明な複合物に取り付けた。この例では、輝度向上フィルムの平坦な側面を準備し、ポリマーマトリックス中にガラス繊維を包含する予め作製した強化複合物層に積層した。完成した物品の構造は、最下層から最上層に、i)強化複合物層、ii)積層接着剤、およびiii)輝度向上層であった。
【0083】
強化複合物層を、前述の繊維材料F1を用いて形成した。CS767表面仕上げがなされているF1ガラス繊維の屈折率は、1.551±0.002であった。
【0084】
強化層に対して使用されたポリマー樹脂は、以下の成分の重量当たりの混合物であった。
【0085】
【表2】
硬化複合物樹脂混合物の屈折率は1.5517であった。したがって、繊維とマトリックスとの間の屈折率における差異は0.0007であった。
【0086】
PETの30.5cm×61cm(12”×24”)シートを、アルミニウムの30.5cm×50.8cm×0.6cm(12”×20”×1/4”)シートの前縁にテーピングすることによって、透明な複合物の調製を始めた。F1ガラス繊維布地のシートを、PETの上部に置いた。ガラス繊維布地を、30.5cm×61cm(12”×24”)PETの別のシートによってカバーして、その前縁を、アルミニウムプレートの前縁にテーピングした。アルミニウムプレートの前縁を、手動のラミネーター内に配置した。PETの最上層シートと繊維ガラスとを後方へ剥がし、PETの最下層シートにアクセスできるようにした。樹脂のビーズ(6〜8mL)を、積層ロールに最も近い縁付近のPETの最下層シートに加えた。PETの層間のガラス繊維布地のサンドイッチ構成を、ラミネーターを通して定常速度で供給し、強制的に樹脂をガラス繊維布地を通して上昇させ、繊維全体をコーティングした。
【0087】
積層体を、まだアルミニウムプレートに取り付けられている間に、真空オーブン中に置き、60℃〜65℃の間の温度まで加熱した。オーブンを大気下で68.6cm(27インチ)のHgまで排気して、4分間積層体からガスを抜いた。真空を、オーブン内に窒素を導入することによって解放した。積層体を、もう一度ラミネーターに通した。次に、樹脂を、236W/cm(600W/in)で動作するUVヒュージョン(Fusion)「D」ランプの真下に、15cm/s(30fpm)のスピードで積層体を通すことによって硬化した。
【0088】
プライマーを使用して、輝度向上層の底面に対するアクリル樹脂の接着を向上させた。アクリルコーティングに対する放射線グラフトプライマーが知られている。1つのプライマーを、ヘキサンジオールジアクリレート97重量%およびベンゾフェノン3重量%から形成した。フィルムのシートにプライマー処理するために、プライマー溶液を3滴フィルムの必要な側に加えて、ティッシュを用いて拭くことによってコーティングした。わずかでも過剰なプライマー溶液は、きれいなティッシュで拭いて取り除いた。プライマーコーティングを、236W/cm(600W/in)で動作するヒュージョン「D」ランプを15cm/s(30fpm)の線速度で用いて、空気雰囲気中で硬化した。
【0089】
続いて、プライマー処理した輝度向上層を、プライマー処理した輝度向上層と強化複合物層との間に積層接着剤をコーティングし硬化させることによって、予め作製した透明な複合物に取り付けた。積層接着剤は、以下の組成物から形成した。
【0090】
【表3】
この例では、強化複合物層を輝度向上層の底面に取り付けることを、以下の手順を用いて行なった。最初に、PETの30.5cm×30.5cm(12”×24”)のシートを、アルミニウムの30.5cm×50.8cm×0.6cm(12”×20”×1/4”)のシートの前縁にテーピングした。プライマー処理した輝度向上層を、そのプライマー処理した表面が上方を向くようにPET上に置いた。PETの最下層シートを、予め作製した強化複合物層から注意深く剥がした。予め作製した強化複合物層を、複合物層の露出面が輝度向上層のプライマー処理した面に面するように、輝度向上層にわたって置いた。次に、強化複合物層の最上層PET層を、アルミニウムプレートの前縁にテーピングした。アルミニウムプレートの前縁を、手動のラミネーター内に置いた。強化複合物層を後方へ引いて、輝度向上層にアクセスできるようにした。積層接着剤樹脂のビーズ(最大5mL)を、積層ロールに最も近い輝度向上層の縁部に加えた。サンドイッチ構成を、ラミネーターを通して定常速度で供給し、輝度向上層および強化複合物を積層接着剤でコーティングした。
【0091】
まだアルミニウムプレートに取り付けられている積層体を、真空オーブン内に置き、60℃〜65℃の間の温度まで加熱した。オーブンの排気を大気下で68.6cm(27インチ)のHgまで排気して、4分間積層体からガスを抜いた。真空を、オーブン内に窒素を導入することによって解放した。次に、積層体を、もう一度ラミネーターに通した。積層樹脂を、積層体を236W/cm(600W/in)で動作するヒュージョン「D」ランプの真下に、15cm/s(30fpm)のスピードで通すことによって硬化した。
【0092】
(実施例2)−強化複合物層に取り付けたBEFおよびRP
表面構造化層が、プリズム表面を有する輝度向上反射偏光子であるビキュイティ(商標)BEF−RP−II90/24r(ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能)であったことを除き、試料を実施例1で前述したのと同じ仕方で調製した。強化用複合物層を、H−106繊維ガラスにCS767表面仕上げを施したものと、30/70TMPTA/エベクリル600(Ebecrly600)樹脂とから作製した。複合物層を、BEF−RP(HDODA/BPの3%溶液を伴う)の平坦な側面にプライマー処理すること、および複合物層を直接BEF−RP上に実施例1で説明したのと同様の技術を用いてコーティングし硬化させることによって、取り付けた。
【0093】
(実施例3)−2つの強化複合物層間のRP+BEF
プリズム状に構造化された輝度向上層を、多層の反射性偏光層(RP)に取り付けて、2つの強化複合物層の間に挟んだ。プリズム状に構造化された層は、厚さ125μm(5ミル)のモノリシックのポリカーボネート輝度向上層のシート、ビキュイティ(商標)WBEFW818(ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能)であった。反射性偏光層は、ビキュイティ(商標)DBEF−P2(3M社から入手可能)のシートと同じ光学層構成を有する多層のポリマー反射偏光子であったが、表面薄層は市販製品よりもわずかに薄かった。
【0094】
この例では、実施例1で説明したのと同じ下塗り技術を用いて、RP層の各側面およびWBEF層の未構造化面をプライマー処理した。予め作製した繊維強化複合物層をRP層の各側面に取り付け、WBEF層の最下層をUV硬化積層接着剤を用いて強化複合物の1つの他方の側面に取り付けた。したがって、物品の構造は、強化複合物層;積層接着剤;プライマー;RP;プライマー;積層接着剤;強化複合物;積層接着剤;プライマー;WBEFであった。強化複合物層および積層接着剤は、実施例1に対して前述したものと同じであった。
【0095】
強化複合物を、強化複合物層をBEF層に取り付けるために実施例1で論じたのと同じ手順を用いて、WBEFフィルムに取り付けた。
【0096】
透明な複合物の異なるシートを、以下のプロセスを用いてRP層に取り付けた。PETの30.5cm×61cm(12”×24”)シートの前縁を、アルミニウムの30.5cm×50.8cm×0.6cm(12”×20”×1/4”)シートの前縁にテーピングした。RPのシートをPETシート上に置いた。まだPETの単一シートに積層されている強化複合物のシートをRPの上部に置き、積層体の前縁をアルミニウムプレートの前縁にテーピングした。アルミニウムプレートの前縁を、手動のラミネーター内に置いた。強化複合物の最上層シートを後方へ剥がし、RPの層にアクセスできるようにした。積層樹脂のビーズ(最大5mL)を、積層ロールに最も近いRP層の縁部に加えた。サンドイッチ構成を、ラミネーターを通して定常速度で供給し、強制的に積層接着剤樹脂を、強化複合物とRPの間に送った。樹脂を、236W/cm(600W/in)で動作するヒュージョン「D」ランプの真下に、15cm/s(30fpm)のスピードで積層体を通すことによって硬化した。PETの最下層シートを、RPから注意深く剥がし、取っておいた。
【0097】
強化複合物をWBEF層上に載せたPETシートを、露出した複合物の面が上になるようにして、アルミニウムプレート上に置き、その前縁を、前述した仕方でテーピングした。強化複合物をRP層上に載せたPETシートを、露出したRP層が下になるようにして、アルミニウムシート上にすでに置かれた複合物の上部に置き、その前縁を、前述した仕方でテーピングした。アルミニウムプレートの前縁を、手動のラミネーター内に置いた。強化複合物の最上層シートとRP層とを後方へ剥がし、強化複合物のシートにアクセスできるようにした。積層接着剤樹脂のビーズ(最大5mL)を、積層ロールに最も近い強化複合物の縁部に加えた。次に、サンドイッチ構成を、ラミネーターを通して定常速度で供給し、強制的に積層接着剤樹脂を、強化複合物とRPとの間に送った。
【0098】
積層接着剤樹脂を、236W/cm(600W/in)で動作するUVヒュージョン「D」ランプの真下に、15cm/s(30fpm)のスピードで積層体を通すことによって硬化した。PETの両方のシートを、フィルムの複合物強化積層されたサンドイッチから取り除いた。
【0099】
(実施例4)−強化複合物層を伴う統合されたBEFおよびRP
表面構造化層が、主な違いはプリズム先端が7ミクロンの半径に丸められていることだけであるビキュイティ−BEF−III90/50に見られるものと良く似た擬似ランダム高さ起伏を伴うプリズム構造を有する厚さ250μmのポリカーボネート(PC)層上に形成されたプリズム状輝度向上層、PC−BEFであったことを除き、試料の作製を実施例1で説明したように行なった。加えて、PC−BEF層は、以前に反射偏光子層に取り付けられていた。RP層は、実施例3で使用したものと同じRPであった。
【0100】
PC−BEF層および反射偏光子層を、以下の手順を用いて取り付けた。RP層の各側面およびPC−BEF層の未構造化面を、実施例1で前述したプライマーを用いてプライマー処理した。ともにUV硬化積層接着剤を用いて、予め作製した強化複合物層をRP層の一方の側面に取り付け、PC−BEFシートの未構造化面をRP層の他方の側面に取り付けた。したがって、完成した物品の構造は、強化複合物層;積層接着剤;プライマー;RP;プライマー;積層接着剤;プライマー;PC−BEFであった。
【0101】
強化複合物層を、実施例1で前述したのと同じ仕方で調製した。
【0102】
最初に、PETの30.5cm×61cm(12”×24”)シートをアルミニウムの30.5cm×50.8cm×0.6cm(12”×20”×1/4”)シートの前縁にテーピングすることによって、PC−BEF層を反射偏光子層に取り付けた。PC−BEFの層を、プリズム構造がPETシートに面するようにしてPETシート上に置いた。RPのプライマー処理したシートを、PC−BEFシートの上部に置いた。RPシートを、30.5cm×61cm(12”×24”)PETの別のシートによってカバーし、その前縁を、アルミニウムプレートの前縁にテーピングした。次に、アルミニウムプレートの前縁を、手動のラミネーター内に置いた。最上層PETシートおよびRPシートを後方へ剥がし、PC−BEFのシートにアクセスできるようにした。積層樹脂のビーズ(最大5mL)を、積層ロールに最も近い縁部付近のPC−BEFシートに加えた。サンドイッチ構成をラミネーターを通して定常速度で供給し、強制的に積層接着剤樹脂を、フィルムの間に一様にコーティングした。
【0103】
まだアルミニウムプレートに取り付けられている積層体を、236W/cm(600W/in)で動作するUVヒュージョン「D」ランプの真下に、15cm/s(30fpm)のスピードで積層体を通すことによって、硬化した。
【0104】
予め作製した強化複合物の最下層PETシートを剥がし、硬化積層体サンドイッチの最上層PETシートを剥がし、その下に設けられたRP層を露出した。予め作製した強化複合物を、複合物面を下にして、露出するRP層の上部に置き、複合物上のPETの最上層をアルミニウムプレートの前縁にテーピングした。アルミニウムプレートの前縁を、手動のラミネーター内に置いた。強化複合物の最上層シートおよびPETを後方に引いて、RPの層にアクセスできるようにした。積層接着剤のビーズ(最大5mL)を、積層ロールに最も近いRPの縁部に加えた。積層接着剤は、実施例1で説明したものと同じであった。サンドイッチ構成をラミネーターを通して定常速度で供給し、RP層および予め作製した強化複合物層をコーティングした。まだアルミニウムプレートに取り付けられている結果として生じる積層体を、236W/cm(600W/in)で動作するヒュージョン「D」ランプの真下に、15cm/s(30fpm)のスピードで積層体を通すことによって、硬化した。PETの残りのシートを両方とも、注意深く剥がした。
【0105】
(実施例5)
実施例5は、単一シートのビキュイティ(商標)薄いBEF−90/24−II−T(ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能)であり、比較目的で使用した。これは、実施例1で使用したものと同じ表面構造化層であった。
【0106】
(実施例6)
実施例6は、単一シートのビキュイティ(商標)BEF−RP−II90/24r、プリズム表面を有する輝度向上反射偏光子(ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能)であった。この実施例は、比較目的で使用した。
【0107】
(実施例7)
実施例7は、単一シートのビキュイティ(商標)DBEF−DTV、プリズム表面を有する第2のタイプの輝度向上反射偏光子(ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能)であった。この実施例は、比較目的で使用した。
【0108】
試料試験
本明細書の実施例に含まれるものと同様のガラス−樹脂複合物層を、交差させた偏光子の下で、またスペクトル走査源を伴う偏光計を用いて、評価した。複合物試料は、小さい遅延特性(retardance)および小さい複屈折を有することが分かった。遅延特性(ナノメートル)を、本明細書では、d×(|no−ne|)として定義し、ここで、dは試料の厚さであり、量(|no−ne|)は、複屈折、または試料の通常軸と異常軸との間の屈折率の差の大きさに相当する。本明細書で作製したものと同様の複合物層は、複屈折値0.0001未満に対応する遅延特性値が2nm未満(600nm波長で)であることが分かった。
【0109】
次に、本発明の光学フィルムの光学性能を定量化するために使用される一般的な相対ゲイン試験法について説明する。具体的な詳細について、完全を期すために述べるが、同様の結果を以下のアプローチの変更を用いて得ることが可能であることが、容易に認識されるべきである。カリフォルニア州チャッツワース(Chatsworth,CA)のフォトリサーチ社(Photo Research,Inc.)から入手可能なMS−75レンズ付きスペクトラスキャン(SpectraScan)(商標)PR−650スペクトラコリメーター(SpectraColorimeter)を用いて、フィルムの光学的性能を測定した。拡散透過性中空ライトボックスの上部にフィルムを配置した。ライトボックスの拡散透過および拡散反射は、ランベルト型(Lambertian)として説明することができる。ライトボックスは、厚み最大6mmの拡散PTFEプレートから作製された約12.5cm×12.5cm×11.5cm(L×W×H)の大きさの六面中空キューブであった。ボックスの1つの面が、試料表面として選択される。中空ライトボックスの拡散反射率は、試料表面で測定したときに最大0.83であった(たとえば、以下にさらに記載のボックス反射率測定法により400〜700nmの波長範囲にわたり平均した場合、最大83%)。ゲイン試験中、ボックスの底面内の最大1cmの円孔を介して内部からボックスを照光した(底面は試料表面に対向し、光は内部から試料表面に向けた)。この照明を、光を方向付けるために用いられる光繊維束に取り付けられる安定化広帯域白熱光源(マサチューセッツ州マールボロ(Marlborough MA)およびニューヨーク州オーバーン(Auburn,NY)のスコットフォステックLLC(Schott-Fostec LLC)からの最大1cm直径の繊維束延長を伴うフォステック(Fostec)DCR−II)を使用して提供する。標準的な線吸収偏光子(たとえばメレスグリオ(Melles Griot)03FPG007)を試料ボックスとカメラの間に配置する。カメラは、最大34cmの距離でライトボックスの試料表面に焦点を合わせ、吸収偏光子は、カメラレンズから最大2.5cm離して配置する。照明されたライトボックスの輝度は、所定の位置に偏光子を配置するとともに試料フィルムのない状態で測定したところ、>150cd/m2であった。試料フィルムをボックスに概ね接触した状態にして試料フィルムをボックスの試料表面に平行に配置したときに、ボックスの試料表面の平面に対して法線入射した状態で、試料輝度をPR−650によって測定する。ライトボックス単独から同じように測定した輝度と、当該試料輝度とを比較することによって、相対ゲインを計算する。迷光源を排除するために、全測定を黒色包囲体中で行なった。反射偏光子を備えているフィルムアセンブリの相対ゲインを試験する場合、反射偏光子の通過軸を試験システムの吸収偏光子の通過軸にアライメントした。
【0110】
ライトボックスの拡散反射率を、直径15.25cm(6インチ)のスペクトラロン(Spectralon)被覆積分球、安定化広帯域ハロゲン光源、およびすべてニューハンプシャー州サットン(Sutton,NH)のラボスフェア(Labsphere)から供給される光源用の電源を用いて測定した。積分球には3つの開口ポートがあり、1つのポート(直径2.5cm)は入力光用であり、1つのポートは第2の軸に沿って90度をなして、検出器用ポート(直径2.5cm)として用い、第3のポートは第3の軸に沿って90度をなして(すなわち最初の2つの軸に直交する)、試料ポート(直径5cm)として用いる。PR650スペクトラカラリメーター(Spectracolorimeter)(上記と同じ)は、最大38cmの距離で検出器用ポートに焦点を合わせた。拡散反射率が最大99%であるラボスフェア製の較正反射標準(SRT−99−050)を用いて、積分球の反射効率を計算した。標準は、ラボスフェアにより較正されたものであり、NIST標準(SRS−99−020−REFL−51)が基になっている。積分球の反射効率を以下のように計算した。
【0111】
球体輝度比=1/(1−R球体*R標準)
この場合の球輝度比は、参照試料で試料ポートを覆って検出器ポートで測定した輝度を、試料で試料ポートを覆わずに検出器ポートで測定した輝度で除すことによって得られる比である。この輝度比および較正標準の反射率(R標準)がわかれば、積分球の反射効率(R球体)を計算することができる。次に、この値を以下の類似の式中で再び用いて、試料の反射率(この場合、PTFEライトボックス)を求める。
【0112】
球体輝度比=1/(1−R球体*R試料)
この場合には、球輝度比は、試料を試料ポートに置いたときの検出器における輝度を、試料を用いずに測定した輝度で除すことによって得られる比として求める。R球体は前述から分かるため、R試料を計算するのは簡単である。これらの反射率を4nmの波長間隔で計算し、400〜700nmの波長範囲にわたる平均として報告した。
【0113】
試料および光ボックスアセンブリのCIE(1931)色度座標を、PR−650スペクトラカラリメーター(SpectraColorimeter)によって同時に記録する。結果として生じる色度座標x、y(表IIIに示す)によって、異なる試料を透過する光の色の定量測定値がもたらされる。ΔxおよびΔyの値は、フィルムが存在した状態で測定した(x、y)座標とそうでない状態で測定した(x、y)座標との差、すなわちフィルムに起因する色の変化を示す。
【0114】
ライトボックス単独から同じように測定した輝度と、当該試料輝度とを比較することによって、相対ゲインgを計算する。
【0115】
g=Lf/Lo
ここで、Lfは、フィルムが所定の位置にある状態で測定した輝度であり、Loは、フィルムがない状態で測定した輝度である。迷光源を排除するために、測定を黒色包囲体中で行った。反射偏光子を備えているフィルムアセンブリの相対ゲインを試験する場合、反射偏光子の通過軸を試験システムの吸収偏光子の通過軸にアライメントした。「空白」の輝度は、光ボックス単独から、試験システムの吸収偏光子が所定の位置にあり光ボックス上方に試料がない状態で測定したものであり、約275カンデラm−2であった。表IIに、相対ゲインの測定値gを示す。図に示すように、すべての場合において、輝度ゲインは10%(相対ゲイン1.1に相当)よりも大きく、50%(相対ゲイン1.5)よりも大きく、また多くの場合において、100%(相対ゲイン2)よりも大きい。
【0116】
試料の厚さは、フィルムにわたる異なる位置で得られた4つの厚さ測定値の平均から決定した。厚さの測定は、EG−233デジタルリニアゲージ(小野測器(Ono Sokki)(横浜、日本)により製造)を用いて行なった。
【0117】
【表4】
【0118】
一般的に、強化輝度向上フィルム(実施例1〜4)の相対ゲインは、市販の未強化の輝度向上フィルムの実施例(実施例5および6)に匹敵しており、大きな色変化は分からない。実施例1と5の間で相対ゲインの差が非常に小さいことは、注目に値する。実施例1で用いた表面構造化層フィルムは、実施例5のものと同じであるが、付加的な繊維強化層を有している。これらの2つの実施例の相対ゲインは比較に値するもので、強化複合物層が低い光吸収および散乱を有していることを示しており、このことは、たとえば光をフィルムに2回以上通して再利用し得る場合など光学フィルムの応用例に対して有利である。複合物光学製品の一部の間に差があるのは、種々のヘイズレベルおよびプリズム形状に起因する。
【0119】
光学フィルムの性能を特徴付けるために一般に使用される試験は、単光路透過率である。このタイプの透過測定では、光再利用空洞におけるフィルムの影響を考慮に入れない。この試験において検出器に当たる光は、フィルムを一度だけ通過する。さらに、入力光を典型的に、フィルムの平面に実質的に垂直な角度に向けて、すべての透過光を透過角度にかかわらず積分球内に集める。多くの一般的な装置は、ほとんどの市販のヘイズメータおよびUV−ビススペクトロメーター(UV-Vis spectrometers)を含む、このタイプの単光路透過率を試験する。
【0120】
多くの効率的な輝度向上フィルムおよび光リダイレクトフィルムは、高い単光路透過率を有さない。特に、輝度向上構造が光源と反対方向であるとき、ほとんどの輝度向上フィルムは低い単光路透過率を有する。これは、再帰反射を介して単光路透過率において測定される軸上の光を再利用する一方で、軸からずれた光の方向を法線の方へ変えることによって再利用バックライトにおける輝度向上を効率的に実現するために、輝度向上フィルムが設計されているからである。正味の効果は、ディスプレイシステムにおける効率的な輝度向上である。したがって、相対ゲイン試験のように他の特性試験と組み合わせた場合に、単光路透過率を使用して、プリズム状輝度向上フィルムの光再利用効率を評価することができる。したがって、輝度向上フィルムは再帰反射の高い効率を示すため、他の測定値とともに解釈したときに、輝度向上フィルムが単光路透過率値の低い値を示すことが望ましい。特定の輝度向上フィルムに対して高い単光路透過率が望ましくないのは、それが不規則および光散乱を示し、完成したディスプレイシステムにおける効率的な輝度向上を小さくするからである。一部の実施形態においては、単光路透過率が40%未満であることが望ましく、他の実施形態においては、10%未満であることが望ましい。
【0121】
本発明の代表的な光学フィルムを、パーキンエルマーラムダ(Perkin Elmer Lambda)900UV−ビススペクトロメーター(450〜650nmからの概算平均を用いる)を用いて、単光路透過率(%T)に対して試験した。輝度向上構造を、光源と反対方向のフィルムの側面上に配置した。結果を下表IIIに示す。
【0122】
【表5】
【0123】
図に示すように、複合物輝度向上フィルムは非常に低い単光路透過率を示し、ディスプレイシステムにおける高い効率輝度向上を示している。
【0124】
特定の表面構造化フィルム、特に輝度向上フィルムに対して、フィルム内で起こるバルク拡散を制限することが望ましい場合が多い。バルク拡散を、光学ボディの内部で起こる光散乱として定義する(ボディの表面で起こる光散乱とは対照的である)。構造化された表面材料のバルク拡散を、構造化された表面を屈折率整合油を用いて濡らすこと、またヘイズを標準的なヘイズメータを用いて測定することによって測定することができる。ヘイズを、多くの市販のヘイズメータによって測定することができ、またASTM D1003によって規定することができる。バルク拡散を抑制することによって典型的には、構造化された表面が、光の方向変換、輝度向上などにおいて最も効率的に動作できるようになる。本発明の一部の実施形態に対して、バルク拡散は低いことが望ましい。特に、一部の実施形態では、バルク拡散に起因するヘイズ(バルクヘイズ)は30%未満であっても良く、他の実施形態では10%未満であっても良く、および他の実施形態では1%未満であっても良い。
【0125】
実施例1および特定の他のフィルム試料に対するバルク拡散を、構造化された表面を認定済み屈折率整合油(カーギル(Cargille)製(シリーズ(Series)RF、カタログ(Cat.)18005))を用いて濡らすこと、フィルムをガラスプレートに接触させて濡らすことによって測定した。次に、濡れたフィルムおよびガラスプレートを、BYKガードナヘイズガードプラス(BYK Gardner Haze-Gard Plus)(カタログ番号4725)の光路内に配置し、ヘイズを記録した。この場合、ヘイズは、透過した光のうち8°円錐の外側に散乱された部分を、透過した光の総量で割ったものとして定義する。光はフィルム上に垂直に入射する。
【0126】
下表IVに、バルクヘイズ(すなわち、ポリマーマトリックスのバルク内の伝搬から生じるヘイズであって、フィルムの表面で起こるいかなる拡散から生じるヘイズでもない)の測定値を示す。実施例1のフィルムを、屈折率が1.55の油を用いて濡らした。すべての他のプリズム試料を、屈折率が1.58の油を用いて濡らした。図に示すように、試料フィルムは、30%未満、および10%未満のヘイズを示した。
【0127】
【表6】
【0128】
機械的特性
フィルム試料のガラス転移温度を、フィルム引っ張り形状を伴うTAインスツルメンツQ800シリーズ(TA Instruments Q800 series)のダイナミックメカニカルアナライザー(Dynamic Mechanical Analyzer)(DMA)を用いて、測定した。温度掃引実験を、動ひずみモードにおいて、−40℃から200℃までの範囲にわたって200℃/分で実行した。貯蔵弾性率およびタンデルタ(損失係数)を、温度の関数として報告した。タンデルタ曲線のピークを使用して、フィルムに対するガラス転移温度Tgを同定した。Tgを、実施例1で使用したものに非常に似ている複合物層で測定し、71℃の値を得た。同じ樹脂(強化材なし)の対応する試料で測定したTgは、90℃であった。バラツキは測定因子に起因する。複合物層に対して使用した樹脂材料は、本明細書で説明したすべての実施例において実質的に同じTgを有した。一部の実施形態においては、Tgの値は120℃未満となることが望ましい場合がある。
【0129】
貯蔵弾性率および剛性(張力において)を、フィルム引っ張り形状を伴うTAインスツルメンツモデル番号Q800を用いたダイナミックメカニカルアナリシス(Dynamic Mechanical Analysis)(DMA)を用いて、測定した。DMA試験に関係する専門用語を、ASTM D−4065およびASTM D−4092に基づいて定義することができる。報告値は、室温(24℃)におけるものである。表Vに剛性結果をまとめる。測定は、24℃〜28℃の範囲の温度で行なった。表は、複合材料を用いて得ることができる貯蔵弾性率の著しい増加を示す。貯蔵弾性率は、フィルム特性の厚さに無関係な測定値をもたらすため、より重要である。これらのデータにおける多少のバラツキが、試験方法と複合物試料の実験室規模の試作との両方から予想される。
【0130】
引っ張り弾性率および剛性のこれらの高い値は、最終物品の構成および形状に応じて、潜在的な曲げ剛性にも対応することが考えられ、高弾性層の適切に配置は結果として、高い曲げ剛性を有する物品をもたらす。高い剛性は、より薄くてより軽いディスプレイを容易に取り扱うことを可能にし、またより良いディスプレイ均一性を可能にする(ディスプレイの光学部品の反りまたは曲げが小さいため)。最終物品の実際の性能は、繊維の配置および物品の最終形状によって決まる。たとえば、一部の応用例に対しては、「バランスが取れている」物品を構成することが望ましい場合があり、たとえば、材料が、硬化または加熱時に、ある特定の方向に曲がるかまたはカールする傾向を有しないように、単一の中央に位置する複合物層または2つの対称的に対向する複合物層が存在する。本明細書で試験した複合物試料は、その構成において実質的にバランスが取れていない。一部の応用例では、本発明の「バランスが取れていない」構成はまた、その増加した剛性および弾性率に起因する有用性ももたらす。プロセス、コスト、厚さ、重量、および光学性能の有利性も、バランスが取れていない構成を用いることについて存在する場合があり、この場合、意図する応用例および物品構成の詳細に応じて、より少ない複合物層を必要とする場合がある。
【0131】
表Vには、試料の簡単な説明とともに試料番号を列挙する。表はまた、測定の配向を、偏光子のパスまたはブロック軸に対して、または機械製造時のウェブに対する方向に対して列挙する。方向「機械」は、ダウンウェブ(down-web)方向に対応し、方向「横方向」は、ウェブを横切る方向に対応する。表はまた、平均の貯蔵弾性率、平均の剛性、および厚さも列挙する。
【0132】
【表7】
【0133】
フィルム組み合わせ
ある特定の空間周波数および角度関係で他の周期的なパターンと組み合わされたときに、空間周期的なパターンが時には、望ましくないモアレ効果を生じる可能性がある。こうして、場合によっては、複数の複合物層の間、複合物層と任意の構造化されたフィルム表面(同じフィルムまたは隣接するフィルム)の間、または複合物層と任意のディスプレイシステム要素(たとえば画素、ライトガイドドットパターン、もしくはLED源)との間に形成されるモアレパターンを最小にするために、強化繊維の間隔、配置、または角度バイアスを調整することが望ましい場合がある。また、強化繊維の屈折率整合がほとんど完全で、複合物層がほとんど完全に滑らかである場合には、モアレパターンは起こりようがない。
【0134】
これらの複合物光学物品の多くは、アセンブリに有利に組み合わせることができる。アセンブリの一つの例は、「交差BEF」構成であり、この構成では、2つの輝度向上フィルムが互いに隣接して配置され、一方のフィルムのプリズム表面が他方の非プリズム表面に隣接し、それらのプリズム溝がほぼ直交している。光学フィルムの多くの異なる有利な組み合わせを、繊維強化光学フィルムを用いて繰り返し、複合物フィルムの向上した機械的特性をフィルムアセンブリの有利な光学特性と組み合わせても良い。これらのアセンブリの代表的な実施形態の網羅的でない列挙は、以下のものを含む。
【0135】
1.反射偏光子層(たとえば、実施例2〜4)と一体化された強化輝度向上層と交差される強化輝度向上フィルム(たとえば、実施例1)。
【0136】
2.反射偏光子層(たとえば、実施例2〜4)と一体化された強化輝度向上と交差される未強化の輝度向上フィルム(たとえば、実施例5〜6)。
【0137】
3.強化輝度向上フィルム(たとえば、実施例1)と交差される強化輝度向上フィルム(たとえば、実施例1)。
【0138】
4.強化輝度向上フィルム(たとえば、実施例1)と交差される未強化の輝度向上フィルム(たとえば、例5〜6)。
【0139】
5.強化輝度向上フィルム(たとえば、実施例1)および強化反射偏光子と交差される強化輝度向上フィルム(たとえば、実施例1)。
【0140】
6.強化輝度向上フィルム(たとえば、実施例1)および強化反射偏光子と交差される未強化の輝度向上フィルム(たとえば、実施例5〜6)。
【0141】
7.強化反射偏光子とともに構成される強化輝度向上フィルム(たとえば、実施例1)。
【0142】
8.未強化の反射偏光子とともに構成される強化輝度向上フィルム(たとえば、実施例1)。
【0143】
9.強化反射偏光子とともに構成される強化回転フィルム。
【0144】
説明を目的として、これらのフィルム組み合わせ/アセンブリの一部を、前述したのと同じ相対ゲイン試験方法を用いて測定した。試験した組み合わせとしては、i)強化BEF層と交差される強化BEFフィルム、ii)反射偏光子層と一体化された強化輝度向上層と交差される強化BEF層、およびiii)反射偏光子層と一体化された強化輝度向上層と交差される未強化の薄いBEFII層、が挙げられた。これらの代表的な組み合わせを、市販の層の種々の組み合わせと比較した。結果を下表VIに示す。
【0145】
【表8】
【0146】
一般的に、複合物実施例の相対ゲインは、比較例のものとほぼ同じであり、小さい色変化が分かるだけである。また、たとえば交差した実施例1のフィルムと交差した薄いBEFIIフィルムとの間のゲインの差が非常に小さいことは注目に値する。このことが示しているのは、実施例1の複合物基材が非常に小さい光吸収および散乱を有しており、これは、光をフィルムを複数回通して再利用する構成に対して有利である。
【0147】
本発明は、上に記載した特定の実施例に限られるとみなすべきではなく、添付の請求項で明確に提示されているとおり、本発明のあらゆる態様を網羅していると理解すべきである。種々の変更例、同等のプロセスだけでなく、本発明を適用しても良い多数の構造も、本明細書を検討すれば、本発明に関連する当業者には容易にはっきりと理解されるであろう。本特許請求の範囲は、そのような修正および装置を網羅しようと意図するものである。
【0148】
添付の図面と関連して本発明の様々な実施形態の以下の発明を実施するための最良の形態を検討することで、本発明はより完全に理解され得る。
【0149】
本発明は様々な変更例および代替形状に柔軟に従うことができるが、それらの細目は図面で例を用いてこれまで示したし、また詳細に記述されるであろう。しかし、その意図は、記述した特定の実施形態に本発明を限定することではないことを理解されるべきである。反対に、その意図は、添付された特許請求の範囲により規定されるように、本発明の精神および範囲内にあるすべての変更例、同等の方法および代わりの方法を網羅しようとするものである。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明の原理により表面構造化フィルムを用いるディスプレイシステムを概略的に例示。
【図2A】本発明の原理により表面構造化層に直接的に取り付けられた強化層を有する繊維強化表面構造化フィルムの代表的な実施形態を概略的に例示。
【図2B】本発明の原理により接着層を介して表面構造化層に取り付けられた強化層を有する繊維強化表面構造化フィルムの代表的な実施形態を概略的に例示。
【図3】本発明の原理により繊維強化表面構造化フィルムを製造するためのシステムの実施形態を概略的に例示。
【図4】本発明の原理により繊維強化表面構造化フィルムを製造するためのシステムの別の実施形態を概略的に例示。
【図5】本発明の原理により繊維強化表面構造化フィルムを製造するためのシステムの別の実施形態を概略的に例示。
【図6】本発明の原理により2つの強化層を有する強化表面構造化フィルムの実施形態を概略的に例示。
【図7A】本発明の原理により強化表面構造化フィルムの異なる実施形態を概略的に例示。
【図7B】本発明の原理により強化表面構造化フィルムの異なる実施形態を概略的に例示。
【図7C】本発明の原理により強化表面構造化フィルムの異なる実施形態を概略的に例示。
【図7D】本発明の原理により強化表面構造化フィルムの異なる実施形態を概略的に例示。
【図7E】本発明の原理により強化表面構造化フィルムの異なる実施形態を概略的に例示。
【図7F】本発明の原理により強化表面構造化フィルムの異なる実施形態を概略的に例示。
【図8】本発明の原理により光学層が取り付けられた強化表面構造化フィルムの実施形態を概略的に例示。
【図9】本発明の原理により反射体が取り付けられた強化表面構造化フィルムの実施形態を概略的に例示。
【図10】本発明の原理により偏光子層が取り付けられた強化表面構造化フィルムの実施形態を概略的に例示。
【図11】本発明の原理により強化表面構造化フィルムの別の実施形態を概略的に例示。
【図12A】本発明の原理により2つの表面構造化層を含む強化表面構造化フィルムの実施形態を概略的に例示。
【図12B】本発明の原理により2つの表面構造化層を含む強化表面構造化フィルムの実施形態を概略的に例示。
【図13】本発明の原理により2つの表面構造化層を含む強化表面構造化フィルムの実施形態を概略的に例示。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維を含む第1の層と、
前記第1の層に取り付けられた第2の層であって、構造化された表面を有する第2の層、を含む光学フィルムであって、この光学フィルムを通って伝搬する光に対して少なくとも10%の輝度利得を提供する光学フィルム。
【請求項2】
前記第1の層を通って実質的に垂直に伝搬する光は、30%未満のバルクヘイズを受ける、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機ナノ粒子、光拡散粒子、または中空粒子のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記構造化された表面は輝度向上層表面を含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記構造化された表面は複数の再帰反射要素を含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記構造化された表面は1つ以上のレンズを含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記構造化された表面は回折面および集光面のうちの1つを含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項8】
前記第1の光学層および前記第2の光学層のうちの1つに取り付けられた第3の層をさらに含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項9】
前記第3の層は、反射層、透過層、拡散層、および構造化された表面を有する層のうちの1つを含む、請求項8に記載の光学フィルム。
【請求項10】
前記第3の層は偏光子層を含む、請求項8に記載の光学フィルム。
【請求項11】
前記偏光子層は反射偏光子層を含む、請求項10に記載の光学フィルム。
【請求項12】
前記第3の層は前記構造化された表面に取り付けられている、請求項8に記載の光学フィルム。
【請求項13】
前記第3の層は前記第1の層に取り付けられている、請求項8に記載の光学フィルム。
【請求項14】
前記第3の層は前記第2の層に取り付けられており、前記第3の層は、前記ポリマーマトリックス内に埋め込まれた前記無機繊維を有するポリマーマトリックスを含む、請求項8に記載の光学フィルム。
【請求項15】
前記構造化された表面とは反対方向を向くフィルムの表面に実質的に垂直に向けられた光に対してフィルムを通る単光路透過率が40%未満である、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項16】
前記フィルムに向けられた光の主光線の角度がフィルム法線に対して30°超であるときに、前記フィルムから透過される光の主光線の伝搬角度がフィルムに対して25°未満である、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項17】
光が光学フィルム上に入射するときに、光の主光線の伝搬が、光学フィルム上に入射するときに第1の方向で行なわれ、光が前記フィルムから透過されるときの主光線の伝搬は、第1の方向とは少なくとも5°だけ異なる第2の方向で行なわれる、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項18】
ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維を含む第1の層と、
前記第1の層に取り付けられた第2の層であって、前記第2の層は構造化された表面を有し、前記構造化された表面とは反対方向を向く光学フィルムの側面上に実質的に垂直に入射する光に対する単光路透過率は40%未満である、第2の層と、を含む光学フィルム。
【請求項19】
前記構造化された表面は輝度向上層表面を含む、請求項18に記載の光学フィルム。
【請求項20】
前記第1の層および前記第2の層のうちの1つに取り付けられた第3の層をさらに含む、請求項18に記載の光学フィルム。
【請求項21】
前記第3の層は、反射層、透過層、拡散層、および構造化された表面を有する層のうちの1つを含む、請求項20に記載の光学フィルム。
【請求項22】
前記第3の層は偏光子層を含む、請求項20に記載の光学フィルム。
【請求項23】
前記偏光子層は、反射偏光子層および吸収偏光子層のうちの少なくとも1つを含む、請求項22に記載の光学フィルム。
【請求項24】
ディスプレイユニットと、
バックライトと、
前記ディスプレイユニットと前記バックライトとの間に配置される、請求項1に記載の光学フィルムと、を含むディスプレイシステム。
【請求項25】
ディスプレイユニットと、
バックライトと、
前記ディスプレイユニットと前記バックライトとの間に配置される、請求項18に記載の光学フィルムと、を含むディスプレイシステム。
【請求項26】
ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維を含む第1の層であって、前記第1の層を通って伝搬する光は、30%未満のバルクヘイズを受ける、第1の層と、
前記第1の層に取り付けられた第2の層であって、構造化された表面を有するポリマー層を含む第2の層と、を含む光学フィルム。
【請求項27】
前記第1の層および前記第2の層を接着によって取り付けられる接着層をさらに含む、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項28】
前記ポリマーマトリックスは前記第2の層のポリマーと架橋している、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項29】
前記構造化された表面は輝度向上層表面を含む、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項30】
前記構造化された表面は、回折面および集光面のうちの少なくとも1つを含む、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項31】
前記無機繊維と前記ポリマーマトリックスとの間の屈折率の差は0.02未満である、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項32】
前記第1の層および前記第2の層のうちの1つに取り付けられた第3の層をさらに含む、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項33】
前記第3の層は、前記ポリマーマトリックス内に埋め込まれた前記無機繊維を有する繊維強化層を含む、請求項32に記載の光学フィルム。
【請求項34】
前記第3の層は、反射層、透過光学層、拡散層、構造化された表面を有する層、および偏光子層のうちの1つを含む、請求項32に記載の光学フィルム。
【請求項35】
前記偏光子層は反射偏光子層を含む、請求項34に記載の光学フィルム。
【請求項36】
前記構造化された表面とは反対方向を向くフィルムの表面に実質的に垂直に向けられた光に対してフィルムを通る単光路透過率は40%未満である、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項37】
前記フィルムは少なくとも10%の輝度利得を提供する、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項38】
前記フィルムに向けられた光の主光線の角度がフィルムに対して30°超であるときに、前記フィルムから透過される光の主光線の伝搬角度がフィルムに対して25°未満である、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項39】
光が光学フィルム上に入射するときに、光の主光線の伝搬が、光学フィルム上に入射するときに第1の方向で行なわれ、光が前記フィルムから透過されるときの主光線の伝搬は、第1の方向とは少なくとも5°だけ異なる第2の方向で行なわれる、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項40】
ディスプレイパネルと、
バックライトと、
前記ディスプレイパネルと前記バックライトとの間に位置する強化フィルムであって、前記強化フィルムは、ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維を含む第1の層を含み、前記第1の層を通って伝搬する光は30%未満のバルクヘイズを受ける、第1の層と、前記第1の層に取り付けられた第2の層であって、構造化された表面を有するポリマー層を含む第2の層と、を含む強化フィルムと、を含むディスプレイシステム。
【請求項41】
ディスプレイパネルは液晶ディスプレイパネルを含む、請求項40に記載のディスプレイシステム。
【請求項42】
前記ディスプレイパネルと前記バックライトとの間に配置される拡散層および反射偏光子層のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項40に記載のディスプレイシステム。
【請求項43】
光学フィルムを製造する方法であって、
構造化された表面を有する第1の層を準備する工程と、
ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維を含む繊維強化層であって、前記繊維強化層を通って伝搬する光は30%未満のバルクヘイズを受ける、繊維強化層を準備する工程と、
前記繊維強化層を前記第1の層に取り付ける工程と、を含む方法。
【請求項44】
前記繊維強化層を取り付ける工程は、前記第1の層および前記繊維強化層のうちの少なくとも1つの上に接着層を配置する工程と、前記第1の層および前記繊維強化層を一緒に押す工程と、を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
接着層を硬化させる工程をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第1の層はポリマー樹脂を含み、前記繊維強化層のポリマーマトリックスの少なくとも一部は完全には架橋されておらず、前記繊維強化層を前記第1の層の上に配置する工程と、ポリマーマトリックスを第1の層のポリマー材料と架橋する工程と、をさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項1】
ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維を含む第1の層と、
前記第1の層に取り付けられた第2の層であって、構造化された表面を有する第2の層、を含む光学フィルムであって、この光学フィルムを通って伝搬する光に対して少なくとも10%の輝度利得を提供する光学フィルム。
【請求項2】
前記第1の層を通って実質的に垂直に伝搬する光は、30%未満のバルクヘイズを受ける、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機ナノ粒子、光拡散粒子、または中空粒子のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記構造化された表面は輝度向上層表面を含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記構造化された表面は複数の再帰反射要素を含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記構造化された表面は1つ以上のレンズを含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記構造化された表面は回折面および集光面のうちの1つを含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項8】
前記第1の光学層および前記第2の光学層のうちの1つに取り付けられた第3の層をさらに含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項9】
前記第3の層は、反射層、透過層、拡散層、および構造化された表面を有する層のうちの1つを含む、請求項8に記載の光学フィルム。
【請求項10】
前記第3の層は偏光子層を含む、請求項8に記載の光学フィルム。
【請求項11】
前記偏光子層は反射偏光子層を含む、請求項10に記載の光学フィルム。
【請求項12】
前記第3の層は前記構造化された表面に取り付けられている、請求項8に記載の光学フィルム。
【請求項13】
前記第3の層は前記第1の層に取り付けられている、請求項8に記載の光学フィルム。
【請求項14】
前記第3の層は前記第2の層に取り付けられており、前記第3の層は、前記ポリマーマトリックス内に埋め込まれた前記無機繊維を有するポリマーマトリックスを含む、請求項8に記載の光学フィルム。
【請求項15】
前記構造化された表面とは反対方向を向くフィルムの表面に実質的に垂直に向けられた光に対してフィルムを通る単光路透過率が40%未満である、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項16】
前記フィルムに向けられた光の主光線の角度がフィルム法線に対して30°超であるときに、前記フィルムから透過される光の主光線の伝搬角度がフィルムに対して25°未満である、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項17】
光が光学フィルム上に入射するときに、光の主光線の伝搬が、光学フィルム上に入射するときに第1の方向で行なわれ、光が前記フィルムから透過されるときの主光線の伝搬は、第1の方向とは少なくとも5°だけ異なる第2の方向で行なわれる、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項18】
ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維を含む第1の層と、
前記第1の層に取り付けられた第2の層であって、前記第2の層は構造化された表面を有し、前記構造化された表面とは反対方向を向く光学フィルムの側面上に実質的に垂直に入射する光に対する単光路透過率は40%未満である、第2の層と、を含む光学フィルム。
【請求項19】
前記構造化された表面は輝度向上層表面を含む、請求項18に記載の光学フィルム。
【請求項20】
前記第1の層および前記第2の層のうちの1つに取り付けられた第3の層をさらに含む、請求項18に記載の光学フィルム。
【請求項21】
前記第3の層は、反射層、透過層、拡散層、および構造化された表面を有する層のうちの1つを含む、請求項20に記載の光学フィルム。
【請求項22】
前記第3の層は偏光子層を含む、請求項20に記載の光学フィルム。
【請求項23】
前記偏光子層は、反射偏光子層および吸収偏光子層のうちの少なくとも1つを含む、請求項22に記載の光学フィルム。
【請求項24】
ディスプレイユニットと、
バックライトと、
前記ディスプレイユニットと前記バックライトとの間に配置される、請求項1に記載の光学フィルムと、を含むディスプレイシステム。
【請求項25】
ディスプレイユニットと、
バックライトと、
前記ディスプレイユニットと前記バックライトとの間に配置される、請求項18に記載の光学フィルムと、を含むディスプレイシステム。
【請求項26】
ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維を含む第1の層であって、前記第1の層を通って伝搬する光は、30%未満のバルクヘイズを受ける、第1の層と、
前記第1の層に取り付けられた第2の層であって、構造化された表面を有するポリマー層を含む第2の層と、を含む光学フィルム。
【請求項27】
前記第1の層および前記第2の層を接着によって取り付けられる接着層をさらに含む、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項28】
前記ポリマーマトリックスは前記第2の層のポリマーと架橋している、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項29】
前記構造化された表面は輝度向上層表面を含む、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項30】
前記構造化された表面は、回折面および集光面のうちの少なくとも1つを含む、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項31】
前記無機繊維と前記ポリマーマトリックスとの間の屈折率の差は0.02未満である、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項32】
前記第1の層および前記第2の層のうちの1つに取り付けられた第3の層をさらに含む、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項33】
前記第3の層は、前記ポリマーマトリックス内に埋め込まれた前記無機繊維を有する繊維強化層を含む、請求項32に記載の光学フィルム。
【請求項34】
前記第3の層は、反射層、透過光学層、拡散層、構造化された表面を有する層、および偏光子層のうちの1つを含む、請求項32に記載の光学フィルム。
【請求項35】
前記偏光子層は反射偏光子層を含む、請求項34に記載の光学フィルム。
【請求項36】
前記構造化された表面とは反対方向を向くフィルムの表面に実質的に垂直に向けられた光に対してフィルムを通る単光路透過率は40%未満である、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項37】
前記フィルムは少なくとも10%の輝度利得を提供する、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項38】
前記フィルムに向けられた光の主光線の角度がフィルムに対して30°超であるときに、前記フィルムから透過される光の主光線の伝搬角度がフィルムに対して25°未満である、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項39】
光が光学フィルム上に入射するときに、光の主光線の伝搬が、光学フィルム上に入射するときに第1の方向で行なわれ、光が前記フィルムから透過されるときの主光線の伝搬は、第1の方向とは少なくとも5°だけ異なる第2の方向で行なわれる、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項40】
ディスプレイパネルと、
バックライトと、
前記ディスプレイパネルと前記バックライトとの間に位置する強化フィルムであって、前記強化フィルムは、ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維を含む第1の層を含み、前記第1の層を通って伝搬する光は30%未満のバルクヘイズを受ける、第1の層と、前記第1の層に取り付けられた第2の層であって、構造化された表面を有するポリマー層を含む第2の層と、を含む強化フィルムと、を含むディスプレイシステム。
【請求項41】
ディスプレイパネルは液晶ディスプレイパネルを含む、請求項40に記載のディスプレイシステム。
【請求項42】
前記ディスプレイパネルと前記バックライトとの間に配置される拡散層および反射偏光子層のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項40に記載のディスプレイシステム。
【請求項43】
光学フィルムを製造する方法であって、
構造化された表面を有する第1の層を準備する工程と、
ポリマーマトリックス内に埋め込まれた無機繊維を含む繊維強化層であって、前記繊維強化層を通って伝搬する光は30%未満のバルクヘイズを受ける、繊維強化層を準備する工程と、
前記繊維強化層を前記第1の層に取り付ける工程と、を含む方法。
【請求項44】
前記繊維強化層を取り付ける工程は、前記第1の層および前記繊維強化層のうちの少なくとも1つの上に接着層を配置する工程と、前記第1の層および前記繊維強化層を一緒に押す工程と、を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
接着層を硬化させる工程をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第1の層はポリマー樹脂を含み、前記繊維強化層のポリマーマトリックスの少なくとも一部は完全には架橋されておらず、前記繊維強化層を前記第1の層の上に配置する工程と、ポリマーマトリックスを第1の層のポリマー材料と架橋する工程と、をさらに含む、請求項43に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【公表番号】特表2009−532719(P2009−532719A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503246(P2009−503246)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/065364
【国際公開番号】WO2008/042457
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/065364
【国際公開番号】WO2008/042457
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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