説明

強化複合材料

【課題】本発明は強化複合材料及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明の複合材料は、強化性材料を有する少なくとも1の硬化樹脂を含む。好ましくは、前記強化性材料は、実質的に各繊維を実質的に取り囲んでいる界面相の特性が、バルク硬化樹脂の特性と実質的に等しくなるように処理される複数のガラス繊維である。繊維への処理は、ポリマーコーティング、親水性表面コーティング、フリーラジカル阻害剤の表面コーティング、又は繊維の全表面積の低減からなる群より選択されてよい。本発明の強化複合材料は、従来のガラス繊維強化材料と比較して、改善された長期の機械的特性を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強化複合材料に関し、具体的には繊維強化ポリマー複合体に関する。しかしながら、本発明はこの特定の分野の使用に限定されない。
【背景技術】
【0002】
本明細書全体の先行技術のあらゆる議論は、このような先行技術が広く知られており、又は当該分野において一般的に周知であることの一部を形成する自白として考えられるべきではない。
【0003】
繊維強化ポリマー複合体は、当該技術分野で知られており、一般的に、フリーラジカル開始剤の存在下で、反応性希釈剤と硬化性樹脂を反応させることによって作られる。典型的に、硬化性樹脂は不飽和ポリエステル樹脂であり、反応性希釈剤はビニルモノマーである。ガラス繊維等の強化性材料は、多くの場合、寸法安定性及びじん性を提供するための調合物に含まれる。このような強化複合体は、建築、自動車、航空宇宙、海洋、及び耐食性製品用を含む多くの基幹工業での用途に利用されている。
【0004】
従来のガラス繊維強化ポリマー複合体については、繊維長は、一般的に、例えばフィラメント巻き線の場合で約12mmから数10メートルに及ぶ。これらのガラス繊維ポリマー複合体において、繊維の大部分は機械的摩擦によって適切な位置に保持され、樹脂基剤と繊維の結合は比較的弱いものしかない。従って、このようなポリマー複合体の能力は、用いられる繊維の長さに大きく起因し、これらの複合体で、繊維と樹脂との間に不連続性/ギャップがある。樹脂基剤から始まる裂け目がギャップを飛び越すことは非常に困難であることが分かっており、従って、これらの複合体で、樹脂から始まる裂け目は、通常、樹脂境界で阻止され、ガラス表面に達しない。しかしながら、従来のガラス繊維複合体は、多数の欠点を有している。例えば、硬化前の樹脂により繊維を「濡らす」ことは困難であり、複合体全体の、特に複雑な部分についての長い繊維の均一な分散は困難である。
【0005】
加えて、このような従来のガラス強化ポリマー複合体は、一般的に手動で層にすることが必要であり、或いは型の形状及び複雑さに極端な制限がある製造技術によって制限される。
【0006】
これらの欠点を克服するために、非常に短いガラス繊維を用いてもよい。VSFPLCs又は非常に短い繊維の重合可能な液体複合体が80MPaよりも大きい引っ張り強度及び130MPaよりも大きい曲げ強度を有するラミネートを製造することができる。VSFPLCsは、非常に短い表面処理された強化性繊維及びUP樹脂ビニル官能樹脂、エポキシ樹脂、又はポリウレタン樹脂等の重合可能な樹脂/熱硬化性樹脂の懸濁液である。樹脂繊維混合物が噴霧できない、又はポンプで送り込むことができなくなるまで液体の粘度を増加させないように、繊維の長さは非常に短い状態にされる。VSFPLCsは、開放及び閉鎖成形用途で標準ガラス繊維のレイアウトを置き換えるために用いることができ、また、樹脂の注入成形及び回転成形用途で熱可塑性プラスチックに対する代替物としても用いることができる。
【0007】
しかし、このような非常に短いガラス繊維を基質内に機械的に「適合する」にはあまりにも短すぎるので、繊維―基質結合の改善は典型的に必要とされる。カップリング剤を用いて強化性繊維をコーティングすることによって、繊維―基質結合が改善され得る。一般的に用いられるカップリング剤としては、例えば、Dow Corning Z−6030であり、これは、メタクリラート反応性有機基及び3メトキシシリル基を含有する二官能価のシランである。Dow Corning Z−6030は、ガラス繊維等の無機ミネラルはもとより、有機熱硬化性樹脂と反応する。このようなカップリング剤が繊維―基質結合を改善する一方で、カップリング剤は、時間とともに脆化する傾向があるので、強化ポリマー複合体の有用性は制限される。より大きい可撓性及びじん性を有する製品が、時として必要とされる。
【0008】
PCT特許出願No.PCT/AU01/01484号(国際公開番号第WO02/40577号)において、これらのいくつかの欠点を解決するための試みがなされた。ここで、当該出願は、ガラス強化性繊維をコーティングして「接触面を可塑化する」前に、カップリング剤が予備重合されたものである。予備重合したカップリング剤の目的は、繊維とバルク樹脂との間に弾性のある界面相を提供することである。これによって、改善した衝撃抵抗及び強度を有する製品が得られた。しかし、更に長期間の脆化は、上記のPCT出願で依然として問題である。非常に短い繊維の重合可能な液体複合体においては、繊維と樹脂との間の空気ギャップがない。VSFPLCsにおいては、樹脂は、樹脂基質に化学的に結合され、樹脂と繊維との間にギャップが存在しない。樹脂基質で起きる亀裂は繊維表面に直接伝わる。伝搬する亀裂の全エネルギーは、ガラス繊維上の点に集中し、エネルギーは、繊維を破断するのに十分である。これについての十分な証拠は、シラン処理した繊維の破面上で見られる。これは、特に100MPaより大きい曲げ強度を有するラミネートに当てはまる。
【0009】
本発明の目的は、上記先行技術の不利益の少なくとも1を克服し、又は改善し、又は有益な代替物を提供することである。
【発明の開示】
【0010】
第1の面によって、本発明は、少なくとも1の硬化性樹脂と複数の強化性繊維を結合させる工程と、硬化した樹脂が界面相で強化性繊維に接するように、少なくとも1の硬化性樹脂を硬化させる工程とを含み、界面相の特性が、バルク硬化樹脂の特性と実質的に等しいように、強化性繊維が処理される強化複合材料の製造方法を提供する。
【0011】
好ましい実施例では、強化性繊維は、カップリング剤を結合されたガラス繊維である。ガラス繊維は、E−、S−、C−クラスのガラスから選択される。ガラス繊維長は、典型的に約100乃至1000ミクロンであり、繊維は、好ましくは樹脂を通して均一に分散される。カップリング剤は、複数の分子を含み、各分子は、ガラス繊維に結合するように構成された第1の端と、硬化したときに樹脂に結合するように構成された第2の端とを有する。好ましくは、カップリング剤は、Dow Corning Z−6030である。しかし、Dow Corning Z−6032、及びZ−6075のようなその他のカップリング剤も用いられる。同様のカップリング剤は、De Gussa社及びCrompton Specialties社から入手可能である。
【0012】
バルク樹脂の特性と実質的に等しい界面相の特性は、強度、じん性、及び脆性からなる群より選択された機械的特性であってよい。代替として、又は加えて、これらの特性は、密度、架橋結合密度、分子量、化学抵抗、及び結晶度からなる群より選択された物理的又は化学的特性であってよい。
【0013】
硬化性樹脂は、好ましくはポリマーを含み、改善した引裂き抵抗、強度、じん性、及び脆化に対する抵抗性の1又はそれ以上を含む所定の特性を有するように選択される。好ましくは、樹脂は、硬化した状態で、長さ100mm、幅15mm、及び厚さ5mmの寸法を有する試験片についての標準曲げ試験によって、3ジュールよりも大きい曲げじん性を有するように選択される。ポリマーを有する硬化樹脂は、理想的には製造後5年まで3ジュールよりも大きい曲げじん性を有する。
【0014】
好ましい実施例では、硬化樹脂は、亀裂伝播に対する抵抗がある。好ましい硬化樹脂は、十分な量で、十分な固有の引っ張り強度を有するフィブリルを供給して、裂け目の前のひび割れの部分を安定化することができ、裂け目の伝播を制限又は防止する。理想的には、裂け目がガラス繊維の表面に到達する前に、又は裂け目前のひび割れがガラスに到達する場合にはひび割れがガラス繊維表面を破壊するにはエネルギーが不十分なうちに、ポリマー修飾硬化性樹脂が裂け目を阻む。このような硬質の樹脂は、理想的には、非常に短い繊維強化複合体に好適である。加えて、このような樹脂は、年とともに脆性が低減する。記:ガラス繊維の表面は、ガラス繊維の表面とガラス繊維の本体との間の非常に異なる冷却率に起因して繊維自身の強度とはかけ離れている。この表面は非常に容易に破壊される。これを示すためには、「接着剥離した」装飾的なガラスパネルを作成するプロセスに注目しさえすればよい。
【0015】
繊維に適用される処理は、好ましくは、界面相の樹脂重合の触媒作用を低減する処理である。1つの実施例では、強化性繊維に対して適用される処理は、ポリマーコーティングの適用である。ポリマーコーティングのポリマーは、好ましくは比較的中程度の不飽和度のみを有するモノマー欠損(33%w/w未満のモノマー)低活性不飽和ポリエステル樹脂である。不飽和ポリエステル樹脂は、実質的に親水性であるように形成されることが望ましい。
【0016】
別の実施例では、強化性繊維に対して適用される処理は、親水性表面コーティングの塗布である。親水性剤とカップリング剤(ガラス繊維をコーティングする)を反応させることで、親水性表面コーティングを提供する。好ましい面では、親水性剤は、トリブチルスズ等の触媒の存在下で、トリメトリルプロパン等のトリヒドロキシ化合物、又はペンタエリスリトール等のテトラヒドロキシ化合物と、Dow Corning Z−6030を反応させることによって提供される。ガラス強化性繊維は、修飾された繊維が実質的に親水性であるように、親水性表面コーティングを用いて十分コーティングされる。
【0017】
親水性表面コーティングの態様の更なる面では、処理したガラス繊維は、エマルジョンで更に処理される。処理は、単純に混合であってよいが、配合するのが好ましい。好ましくは、エマルジョンは、
16.6部の水と;
100部のアセトンと;
200部のポリマーと;
を含む。選択的に、エマルジョンは、フリーラジカル阻害剤を含み、これは、ヒドロキノン(HQ)又はヒンダードアミンを含む。ポリマーは、ビニルエステル樹脂であってよいが、上記で参照されるポリマーが好ましい。具体的には、ポリマーは、比較的中程度の量の不飽和度のみを有するモノマー欠損(約33%w/w未満のモノマー)低活性不飽和ポリエステル樹脂である。不飽和ポリエステル樹脂は、実質的に親水性であるように形成されることが望ましい。
【0018】
更なる態様では、強化繊維に適用される処理は、ヒドロキノンアセチルアセトン、ヒンダードフェノール又はヒンダードアミン等のフリーラジカル阻害剤のコーティングの塗布である。また、更なる態様では、強化性繊維に適用される処理は、強化性繊維の全表面積の低減である。
【0019】
上記のように、非常に短い繊維の重合可能な液体複合体は、基質へ機械的に適合するには繊維が短すぎるため、繊維―基質結合を改善するためにカップリング剤の使用を典型的には必要とする。本出願人らは、このようなカップリング剤の使用が、時間とともに強化複合材料の脆化を引き起こす傾向があることを見出した。他の人たちは、樹脂の混合物を用いることによって、このような脆化を緩和することを試みた。これによって、少なくとも1の樹脂は「弾性がある」。その他の代替物は、カップリング剤を修飾して、第WO02/40577号で開示されているように、繊維の周囲の「弾性」相を提供する。本発明は完全に異なるアプローチを取る。
【0020】
理論に縛られることを望まないが、ガラス繊維にコーティングされる先行技術のカップリング剤は、界面相、すなわちガラス繊維に直接接触する領域の樹脂重合を触媒するように機能し、従って、時間とともに脆弱な界面相を形成する。本発明のアプローチは、カップリング剤コーティングを化学的に「不動態化し」、これによってカップリング剤が繊維―樹脂界面相に及ぼすあらゆる影響を緩和することを試み、界面相がバルク硬化樹脂の特性と実質的に等しい特性を有することができる。しかし、当業者がよく理解しているように、不動態化の度合いは、カップリング剤が繊維―樹脂界面相に及ぼす影響を緩和するのに十分であるべきであるが、一方で、バルク樹脂への繊維の十分な結合も達成するべきである。
【0021】
本出願人らは、本発明が、先行技術のガラス強化複合材料と比較して、比較的脆化が低いが、強度、じん性及び加熱撓み温度等の特性を有する強化複合材料を提供することを見出した。特に、結合繊維を用いる先行技術の複合体の長期の脆化問題が著しく低減される。
【0022】
第2の面によって、本発明は、複数の強化性繊維を有する少なくとも1の硬化樹脂を含む強化複合材料を提供し、硬化した樹脂が界面相で強化性繊維に接し、この界面相はバルク硬化樹脂の特性と実質的に等しい特性を有する。
【0023】
第3の面によって、本発明は、硬化性樹脂を含む複合材料に用いる強化性繊維の処理方法を提供し、この方法は、使用時に、硬化した樹脂が界面相で強化性繊維に接し、界面相がバルク硬化樹脂の特性と実質的に等しい特性を有するように、ポリマーコーティング、親水性表面コーティング、又はフリーラジカル阻害剤のコーティングの1又はそれ以上を強化性繊維へ適用する工程を含む。
【0024】
第4の面によって、本発明は、硬化性樹脂を含む複合材料で用いられる強化性繊維を提供し、使用時に、硬化した樹脂が界面相で強化性繊維に接し、界面相がバルク硬化樹脂の特性と実質的に等しい特性を有するように、ポリマーコーティング、親水性表面コーティング、又はフリーラジカル阻害剤のコーティングの1又はそれ以上が適用された強化性繊維を有する。
【0025】
第5の面によって、本発明は、硬化性樹脂、及び、複合材料を通して分散される複数の強化性繊維を有する複合材料における脆化を低減する方法を提供し、硬化した樹脂が界面相で強化性繊維に接し、前記方法が強化性繊維の全表面積を低減する工程を含み、これによって界面相の量の相当する量を低減する。
【0026】
第6の面によって、本発明は、本発明の第1の面による成形複合体を提供する。
【0027】
第7の面によって、本発明は、本発明の第3の面による処理した強化性繊維を提供する。
【0028】
第8の面によって、本発明は、少なくとも1の硬化性樹脂と本発明の第4の面による複数の強化性繊維の混合物を提供する工程と、型に対して混合物を適用する工程と、少なくとも1の硬化性樹脂を硬化させる工程とを含む複合体を成形する方法を提供する。
【0029】
第9の面によって、本発明は、第8の面による方法によって製造された場合の成形複合材料を提供する。
【0030】
第10の面によって、本発明は、使用時に、硬化した樹脂が界面相で強化性繊維に接し、界面相の特性が、バルク硬化樹脂の特性と実質的に等しくなるように強化性繊維が処理された、少なくとも1の硬化性樹脂と複数の強化性繊維とを含む液体硬化性複合体を提供する。
【0031】
第11の面によって、本発明は、少なくとも1の硬化性樹脂と複数の強化性繊維とを含み、硬化したとき、硬化した樹脂が界面相で強化性繊維に接し、界面相がバルク硬化樹脂の特性と実質的に等しい特性を有するように、ポリマーコーティング、親水性表面コーティング、又はフリーラジカル阻害剤のコーティングの1又はそれ以上を適用された強化性繊維を有する液体硬化性複合体を提供する。
【0032】
明細書及び特許請求の範囲を通して、コンテクストにより明確に要求しない限り、単語「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」等は、排他的な、又は完全な意味とは対照的に包括的な意味、すなわち、「含む(including)、限定はされないが(but not limited to)」の意味で解釈される。
【0033】
実施例以外、又はその他で示されない場合、本明細書で用いられる成分の量又は反応条件を示す全ての数値は、用語「約(about)」によってすべての実施例で修正されるように理解されるべきである。実施例は、本発明の範囲を限定することを意図していない。以下において、又はほかで示される場合に、「%」は、「重量%」を意味し、「率」は、「重量配分比」を意味し、「部」は、「重量部」を意味する。
【0034】
本発明を記載し、本願明細書で特許請求の範囲において権利を主張するときに、次の術語は、以下で述べられている定義に従って用いられる。また、本明細書で用いられる術語は本発明の特定の実施例を記載する目的のみを意図しており、限定することを意図していない。
【0035】
本明細書を通して、用語「繊維(fibre)」、及び「繊維(fibres)」は、それぞれプレートレット(platelet)、及びプレートレット(platelets)を含むと捉えられることができる。ガラス繊維は、本発明に最も好適な繊維である。しかし、珪灰石及びセラミック繊維等のその他の鉱物繊維は、本発明の範囲から逸脱することなく用いられてもよい。
【0036】
本明細書を通して、用語「特性(property)」及び「特性(properties)」は、ポリマー及び硬化樹脂の典型的な機械的、物理的、及び化学的特性を含むように取られることができる。例えば、機械的特性は、曲げ及び/又は引っ張り強度、じん性、弾性、塑性、延性、脆性及び衝撃抵抗性からなる群より選択される特性である。化学的、物理的特性は、密度、硬度、架橋結合密度、分子量、化学抵抗、及び結晶度からなる群より選択される。
【0037】
本明細書を通して、用語「触媒する(catalyse)」、及び「触媒作用(catalysation)」は、フリーラジカル重合に関して用語「反応を開始する」、及び「開始反応」と同義であると捉えられることができる。
【0038】
また、本出願の用語「材料」は、繊維/樹脂混合物の液体及び固体をいう。材料自身は、硬化形状、未硬化液体形状で、又は別の成分、例えば現場で別々に混合する強化性繊維及び樹脂として提供されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明は、強化複合材料の製造方法及びその方法により製造される複合体を提供する。本方法は、繊維が、樹脂を通して実質的に均一に分散されるように複数の強化性繊維と少なくとも1の硬化性樹脂を結合させる工程と、樹脂を硬化させる工程とを含む。好ましくは、樹脂は、スチレンモノマー等の約40%の反応性希釈剤を有するビニルエステル樹脂である。しかし、モノ―、ジ―、及びトリ官能性アクリラート及びメタクリラート等のその他のモノマーも用いられてもよい。代替として、樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシビニルエステル樹脂、ビニル官能樹脂、強化ビニル官能性ウレタン樹脂、強化ビニル官能性アクリル樹脂、及び非可塑化可撓性ポリエステル樹脂、及びこれらの組み合わせから選択されてよい。
【0040】
好ましい実施例では、繊維は、長さ約100乃至1000ミクロンのE−、S−、C−クラスのガラスから選択されたガラス繊維である。しかし、1000ミクロンより長い繊維も使用可能である。好ましくは、あらゆるサイズ剤が、カップリング剤での処理前にガラス繊維から取り除かれる。好ましいカップリング剤は、Dow Corning Z−6030である。しかしながら、Dow Corning Z−6032及びZ−6075等のその他のカップリング剤を用いてもよい。
【0041】
ポリマーを含む少なくとも1の硬化性樹脂が、改善した引裂き抵抗、強度、じん性、及び脆化に対する抵抗性の1又はそれ以上から選択された所定の特性を有するように、選択され又はポリマー等で修飾される。好ましくは、ポリマー修飾硬化樹脂は、長さ約110mm、幅15mm、及び厚さ5mmの寸法の試験片による標準曲げ試験によって、製品化後に最大5年間、3ジュールより大きい曲げじん性を有する。
【0042】
好ましい実施例では、ポリマー修飾硬化性樹脂は、裂け目の伝播が起きにくい。このようなポリマー修飾樹脂は、年とともに低減された脆化を示す。好ましくは、ポリマーは、比較的中程度の量の不飽和度のみを有するモノマー欠損(約30%w/w未満のモノマー)低活性不飽和ポリエステル樹脂である。このようなポリエステルの実施例は以下の表で提供される。これらのポリエステルは、親水性であることが望ましい。
【0043】
樹脂が硬化して強化複合材料が作製されると、強化性繊維に接して実質的に周囲を囲む硬化性樹脂が界面相を形成し、界面相の特性がバルク硬化樹脂の特性と実質的に等しくなるように、硬化性樹脂に加える前に強化性繊維は処理される。1つの実施例では、繊維に適用される処理は、ポリマーコーティングである。ポリマーコーティングのポリマーは、好ましくは、上記の低活性不飽和ポリエステル樹脂である。
【0044】
上記のように、理論に縛られることを望まないが、本出願人は、先行技術のカップリング剤で処理された繊維が樹脂重合を触媒するように機能し、これによってバルク硬化樹脂と実質的に異なる特性を有する界面相を形成する。高い架橋結合材料を有する界面相は、バルク樹脂の特性と非常に異なる特性を有し、これによって、最終的な硬化強化複合体の機械的及び物理的特性に影響を及ぼす。例えば、高い架橋結合材料を有する界面相は、バルク樹脂よりも本質的に脆弱である。破壊する間に、伝播する裂け目は、この脆弱な界面相を比較的容易に破壊し、界面相の樹脂のあらゆる裂け目を阻む特性は、実質的に減少する。更に、当業者に理解されるように、複合体で用いられる繊維が多くなるほど、脆弱界面相の全量が多くなる結果となり、複合体がより脆弱になる。
【0045】
フリーラジカル重合の触媒作用を低減するように結合ガラス繊維を処理することによって、本出願人らは、界面相がバルク硬化樹脂に類似する特性を有するように界面相への結合ガラス繊維の影響を低減することを可能にした。他の実施例では、ガラス繊維の表面は、ヒドロキノン又はアセチルアセトン、ヒンダードフェノール及びヒンダードアミン等の1又はそれ以上のフリーラジカル阻害剤のコーティングで処理される。フリーラジカル阻害剤のコーティングは、界面相の樹脂重合の触媒作用が低減し、界面相がバルク硬化樹脂と同様の特性を有するようにガラス繊維の表面と結合する。
【0046】
更なる態様では、処理は、繊維の全表面積の低減である。例えば、これは、ガラス繊維を、比較的大きな直径のガラス繊維と置換することによって達成される。説明するために、ガラス繊維強化複合体で一般的に用いられるガラス繊維は、約5乃至12ミクロンの直径を有する。しかし、本出願人らは、ガラス繊維の与えられた重量について、全表面積が、繊維直径の増加に反比例するので、約15乃至24ミクロンの直径を有するガラス繊維を使用することによって、強化複合体の最終特性に対して脆性を著しく低くすることができることを発見した。もちろん、24ミクロンよりも大きい直径の繊維を用いることができるが、繊維特性の実用的な作用限界がある。
【0047】
この態様では、ガラス表面が、樹脂重合を触媒して脆性界面相を生成するが、脆性界面相材料の全量は比較的低減される。加えて、同様の機械的特性を有する最終的な硬化ポリマー複合体を提供するために、用いられる比較的大きい直径のガラス繊維の長さは、好ましくは、通常用いられる比較的短い直径の繊維で採用される長さよりも長いものである。
【0048】
また、当業者が認識しているように、上記の態様の組み合わせは、適切である場合に用いられる。例えば、比較的大きい直径を有するガラス繊維を用いて、フリーラジカル阻害剤で繊維をコーティングする、又は上記のポリマーで繊維をコーティングすることが可能であろう。
【0049】
更なる実施例では、処理は、2段階の工程を含み、これによって、ガラス繊維は、第1に第1剤でコーティングされ、次いで第2剤を第1剤と反応させて、実質的に親水性の表面修飾ガラス繊維を提供する。好ましくは、第1剤は、繊維に結合するように構成された第1端と、第2剤又は硬化したときの樹脂のいずれかに結合するように構成された第2端を有するカップリング剤である。好ましい実施例では、カップリング剤は、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Dow Corning Z−6030)である。第2剤は、第1剤とトリメトリルプロパン等のトリヒドロキシ化合物との間の反応性生成物を含む。しかし、代替の実施例では、ヒドロキシ化合物は、ペンタエリトリトール等のテトラヒドロキシ化合物である。Z−6030とトリメトリルプロパンの反応は、適切な反応条件下で、トリブチルスズ等のスズ触媒の存在下で行われる。
【0050】
上記の態様によるガラス繊維の処理方法が、エマルジョンとコーティングされた強化性繊維を、混合又は配合する工程を更に含む。エマルジョンは、好ましくは16.6部の水と、100部のアセトンと、200部のポリマーとを含み、前記ポリマーは、好ましくは、上記の親水性低活性不飽和ポリエステル樹脂である。また、エマルジョンは、HQ等の親水性フリーラジカル阻害剤を含む。
【実施例】
【0051】
本発明は、例示的で、非限定的であるとしてすべての点で考えられるべき以下の実施例を参照して記載される。
【0052】
親水性表面コーティングによるガラス繊維の処理
1.E−ガラス繊維を3400ミクロンの平均繊維長に切断し、次いで700ミクロンの平均長に粉砕した。
2.粉砕したガラス繊維を強力な洗浄剤を用いて強力な撹拌で沸騰水を用いて洗浄した。次いで、この洗浄剤を繊維から洗い流した。
3.1%w/wのメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(Dow Z−6030)をpH4の水に懸濁し、繊維を懸濁液に加えた。得られた混合液を60分間室温で勢いよく撹拌した。
4.次いで、液体をガラス繊維から排して、ガラス繊維が混合液でまだ濡れている状態にした。
5.次いで、Z−6030で処理した繊維をpH7の水で再分散させた。
6.別に、Z−6030の溶液を、110乃至120℃で、15乃至20分間スズ触媒(例えばトリブチルスズ)の存在下でトリメトリルプロパン(TMP)と反応させて、約1200乃至1500cPの粘度を有するZ−6030−TMP付加体を形成した。メタノールは、反応中に放出される。
7.次いで、Z−6030で処理した繊維を、Z−6030−TMP付加体と反応させて、親水性処理繊維を準備した。これは、水中にZ−6030で処理した繊維を分散させて、約2乃至3重量%の繊維濃度で、その水にZ−6030−TMP付加体を加えた。この混合物をほぼ10分間共に撹拌した。次いで、繊維を分離して、過剰の水を除去するために遠心分離した。更に、「濡れた」繊維を、当初30℃で3乃至4時間乾燥し、次いで110乃至125℃で5乃至7分間加熱した。
8.別に、200部のポリマーと、100部のアセトンと、16.6部の水とを有するポリマーのエマルジョンを調製した。好ましくは、ポリマーは、不飽和ポリエステル等の親水性樹脂である。
9.次いで、約93w/w%の繊維と7w/w%のエマルジョンの割合で均一に分散するまで、親水性処理繊維を乳化樹脂と配合した。
10.次いで、配合した繊維エマルジョン混合物を、90乃至55%樹脂に対して、ほぼ10乃至45%の繊維―エマルジョンになるようにベースとなる樹脂に添加した。
【0053】
表1は、市販で入手できるDerakaneエポキシビニルエステル樹脂411−350(Ashland Chemicals社製)の硬化したクリアキャストについての曲げ強度のデータを提供する。これらの試験パネルは、製造者の仕様書によって準備された。得られた曲げ率の値は、平均して約3.1GPaであり、曲げ降伏強度は、平均して約120MPaであり、破断伸び率は、平均して約5乃至6%であった。
【0054】
表2は、表1の試験パネルと同様の試験パネルを示すが、ただし熱劣化されている。パネルは2時間108℃で加熱処理することによって熱劣化されており、次いで、約2時間に渡って40℃以下に冷却するように制御されている。以上のように、曲げ率及び曲げ強度は、実験誤差の範囲内で、同様に劣化した後についてのものである。しかしながら、破断伸び率はおよそ半分であり、これは劣化が加速されてパネルが実質的に脆化したことを意味する。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
表3は、様々なポリマー添加剤(以下に記載する)によるDerakaneエポキシビニルエステル樹脂の劣化した硬化クリアキャストについての曲げ強度データを提供する。以上のように、得られる曲げ率は、平均して約3.3GPaとなり、曲げ降伏強度は、平均して約135MPaとなり、破断伸び率は、平均して約5乃至7%となる。表2と表3の間で伸び率のデータを比較すると、様々なポリマー添加剤が、劣化した脆性を実質的に低減したことが分かる。
【0058】
【表3】

【0059】
表で提供されるポリマーは、ポリオールと二酸の濃縮生成物である。各ポリマーを含むポリオールと二酸の濃縮生成物は、表4で提供される。これらのポリエステルは、約4乃至約12時間約200℃を超える温度で、ほぼ等モル量のジオール及び酸を加熱することによって一般的に調製される。不飽和の大部分は、フマル酸ジエステル基として存在する。これらのポリエステルは、約15乃至約25の範囲で酸価を有する(酸価は、1グラムの試料を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラムである)。
【0060】
3リットルの丸底フラスコにパドル撹拌機、温度計、不活性ガスの注入口と排気口、及び電気マントルヒーターを備え付けた。エステル化反応を2段階で行った。第1段階は、過剰のグリコール中に飽和酸を反応させ、第2段階は、不飽和酸と残りのグリコールを添加することで実施した。反応器をステージ間で秤量し、少なくなった分を補充する必要がある場合に、グリコールを加えた。水を遊離させて、コンデンサー注入口の温度が95℃よりも大きくなるように、この混合物を150乃至170℃に加熱した。
【0061】
次の2乃至3時間、混合物の温度を240℃に上げた。次いで、混合物を、105℃に冷却し、抑制スチレンと混合した。最終的なポリエステル樹脂は、80重量パーセントの不飽和ポリエステル及び20重量%のスチレンを含んだ。
【0062】
【表4】

【0063】
表5は、ガラス繊維は、Z−6030カップリング剤でのみ処理され、樹脂対ガラス繊維の規定された比(かっこ内)を有するDerakaneエポキシビニルエステル樹脂についての曲げ強度データを提供する。
【0064】
【表5】

【0065】
表6は、上記の約12乃至15重量%のポリマー添加剤と、45乃至50重量%の本発明の処理をしたガラス繊維を有するDerakaneエポキシビニルエステル樹脂の劣化した試験パネルについての曲げ強度データを示す。
【0066】
【表6】

【0067】
表5と表6で提供される曲げデータを比較すると、本発明による試験パネル20乃至24が、劣化されたパネルについての破断伸び率を著しく改善され、劣化した脆化を低減することが分かる。
【0068】
表7は、樹脂対ガラス繊維の標準比率(カッコ内)を有するDerakaneエポキシビニルエステル樹脂の劣化した試験パネルについての曲げ強度データを提供し、前記ガラス繊維は、モノマー欠損樹脂で処理される。試験パネル25はコーティングされておらず、パネル26乃至28はコーティングされている。コーティングされたガラス繊維を有するパネルは、著しく改善したじん性を示す。
【0069】
【表7】

【0070】
本発明は、建築、自動車、航空宇宙、海洋、及び耐食性製品を含む幅広い産業に有益である。本発明の強化複合材料は、従来のガラス繊維強化材料と比較して、改善した長期間の機械的特性を提供する。
【0071】
本発明は、特定の例を参照して記載されているが、本発明が多くのその他の形態で実施されることは、当該技術分野の当業者によって十分理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化複合材料の製造方法において:少なくとも1の硬化性樹脂と複数の強化性繊維とを結合させる工程と;硬化した前記樹脂が界面相で前記強化性繊維に接するように、前記少なくとも1の硬化性樹脂を硬化させる工程とを含み、前記界面相の特性が実質的にバルク硬化樹脂の特性と等しいように前記強化性繊維が処理されることを特徴とする強化複合材料の製造方法。
【請求項2】
硬化性樹脂を含む複合材料に用いるための強化性繊維の処理方法において、前記方法が、硬化した前記樹脂が界面相で前記強化性繊維に接し、前記界面相がバルク硬化樹脂の特性と実質的に等しい特性を有するように、ポリマーのコーティング、親水性表面コーティング、又はフリーラジカル阻害剤のコーティングの1又はそれ以上を、前記強化性繊維に対して適用する工程を含むことを特徴とする処理方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法が、前記強化性繊維に対してカップリング剤を結合させる工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記カップリング剤がビニル官能シランであることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記カップリング剤が、Dow Corning Z−6030、Z−6032、及びZ−6075からなる群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法において、前記強化性繊維がガラス繊維であることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記ガラス繊維の長さが、約100乃至1000ミクロンであることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法において、前記特性が、強度、じん性、及び脆性、又はこれらの組み合わせからなる群より選択された機械的特性を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法において、前記特性が、密度、架橋密度、化学抵抗、分子量、及び結晶度又はこれらの組み合わせからなる群より選択された物理的又は化学的特性を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法において、当該方法が、前記少なくとも1の硬化性樹脂とポリマーを結合させてポリマー修飾樹脂を製造する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記ポリマーが、約5乃至50%w/wで、前記少なくとも1の硬化性樹脂と結合することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の方法において、前記硬化性樹脂が、所定の特性を有するように、選択されるか又は前記ポリマーで修飾されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、前記特性が、引裂き抵抗、強度、じん性、及び脆化に対する抵抗性の1又はそれ以上から選択されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれか1項に記載の方法において、標準曲げ試験において、長さ約100mm、幅15mm、及び厚さ5mmの寸法を有する試験片で試験したとき、前記硬化樹脂が約3ジュールより大きい曲げじん性を有することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記硬化複合材料が最大5年間、3ジュールより大きい曲げじん性を有することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項10乃至15のいずれか1項に記載の方法において、前記ポリマーがモノマー欠損低活性不飽和ポリエステル樹脂であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、前記ポリマーの前記モノマー含有量が約5乃至30%w/wであることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の方法において、前記不飽和ポリエステル樹脂が、酸とポリオールを反応させることによって調製され、前記ポリオールが、プロピレングリコール、メチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、及びジエチレングリコールからなる群より選択され、前記酸がテレフタル酸、イソフタル酸、フマル酸、及び1,4−シクロヘキサン二酸からなる群より選択され、前記不飽和ポリエステル樹脂が、約1.2:1乃至2:1の飽和酸対不飽和酸比からなることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれか1項に記載の方法において、前記処理が前記強化性繊維に適用されるポリマーコーティングであることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、前記ポリマーコーティングのポリマーがモノマー欠損低活性不飽和ポリエステル樹脂であることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1乃至18のいずれか1項に記載の方法において、前記処理が前記強化性繊維に適用される親水性表面コーティングであることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、前記親水性表面コーティングが、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランをトリメトリルプロパン(trimetholylpropane)と反応させることによって調製されることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項21又は22に記載の方法において、前記親水性表面コーティングがエマルジョンを用いた処理を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、前記エマルジョンが約16.6部の水と、100部のアセトンと、200部のポリマーとを含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項23又は24に記載の方法において、前記エマルジョンがフリーラジカル阻害剤を含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、前記フリーラジカル阻害剤が、ヒドロキノン、ヒンダードアミン、アセチルアセトン、ヒンダードフェノール、又はこれらの組み合わせであることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項1乃至18のいずれか1項に記載の方法において、前記処理が前記強化性繊維に適用されるフリーラジカル阻害剤のコーティングであることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項10乃至27のいずれか1項に記載の方法において、:
a.前記硬化性樹脂を修飾;及び/又は
b.前記繊維をコーティング;及び/又は
c.前記エマルジョンを調製;
する際に同一の前記ポリマーが選択されることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項1乃至18のいずれか1項に記載の方法において、前記処理が、前記強化性繊維の全表面積の低減であることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、前記表面積の低減が、前記強化性繊維の寸法を変更することによって提供されることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法において、前記寸法が、前記強化性繊維の直径を増加させること、及び/又は、前記強化性繊維の長さを低減させることによって、変更されることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法において、前記繊維の直径が約15乃至24ミクロンであることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項1乃至32のいずれか1項に記載の方法において、前記硬化複合材料の曲げ率が、約3.5GPaより大きいことを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項1乃至33のいずれか1項に記載の方法において、前記硬化複合材料の曲げ応力が、約120MPaより大きいことを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項1乃至34のいずれか1項に記載の方法において、前記硬化複合材料の破断伸び率が約2%よりも大きいことを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項1乃至35のいずれか1項に記載の方法において、本発明による処理がされない繊維と比較したとき、前記処理が、前記界面相における樹脂重合の触媒作用を低減することを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項1乃至36のいずれか1項に記載の方法において、本発明による処理がされない繊維と比較したとき、前記処理が、前記界面相の脆化を低減することを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項1乃至37のいずれか1項に記載の方法において、前記繊維が、前記樹脂に十分結合して前記樹脂を強化することを特徴とする方法。
【請求項39】
強化複合材料が:複数の強化性繊維を有する少なくとも1の硬化樹脂を含み、硬化した前記樹脂が界面相で前記強化性繊維に接し、前記界面相が、前記バルク硬化樹脂の特性に実質的に等しい特性を有することを特徴とする強化複合材料。
【請求項40】
硬化性樹脂を含む複合材料で用いられる強化性繊維において、使用時に、前記硬化した樹脂が界面相で前記強化性繊維に接し、前記界面相が前記バルク硬化樹脂の特性と実質的に等しい特性を有するように、前記強化性繊維が、ポリマーコーティング、親水性表面コーティング、又はフリーラジカル阻害剤のコーティングのうちの1又はそれ以上を適用されていることを特徴とする強化性繊維。
【請求項41】
請求項39に記載の強化複合材料又は請求項40に記載の強化性繊維において、前記強化性繊維が、該強化性繊維に結合したカップリング剤を有することを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項42】
請求項41に記載の強化複合材料又は請求項41に記載の強化性繊維において、前記カップリング剤がビニル官能シランであることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項43】
請求項42に記載の強化複合材料又は請求項42に記載の強化性繊維において、前記カップリング剤がDow Corning Z−6030、Z−6032、及びZ−6075からなる群より選択されることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項44】
請求項39乃至43のいずれか1項に記載の強化複合材料又は請求項40乃至43のいずれか1項に記載の強化性繊維において、前記強化性繊維がガラス繊維であることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項45】
請求項44に記載の強化複合材料又は請求項44に記載の強化性繊維において、前記ガラス繊維の長さが、約100乃至1000ミクロンであることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項46】
請求項39乃至45のいずれか1項に記載の強化複合材料又は請求項40乃至45のいずれか1項に記載の強化性繊維において、前記特性が、強度、じん性、及び脆性、又はこれらの組み合わせからなる群より選択される機械的特性を含むことを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項47】
請求項39乃至46のいずれか1項に記載の強化複合材料又は請求項40乃至46のいずれか1項に記載の強化性繊維において、前記特性が密度、架橋結合密度、化学抵抗、分子量、及び結晶度、又はこれらの組み合わせからなる群より選択される物理的又は化学的特性を更に含むことを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項48】
請求項39乃至47のいずれか1項に記載の強化複合材料又は請求項40乃至47のいずれか1項に記載の強化性繊維において、前記少なくとも1の硬化性樹脂が、ポリマーを含むことによりポリマー修飾樹脂を製造することを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項49】
請求項48に記載の強化複合材料又は請求項48に記載の強化性繊維において、前記ポリマーが約5乃至50%w/wで含まれることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項50】
請求項48又は49に記載の強化複合材料、又は、請求項48又は49に記載の強化性繊維において、前記硬化性樹脂が、所定の特性を有するように、選択されるか又は前記ポリマーで修飾されることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項51】
請求項50に記載の強化複合材料又は請求項50に記載の強化性繊維において、前記特性が、引裂き抵抗、強度、じん性、及び脆化に対する抵抗性の1又はそれ以上から選択されることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項52】
請求項48乃至51のいずれか1項に記載の強化複合材料又は請求項48乃至51のいずれか1項に記載の強化性繊維において、標準曲げ試験において、長さ約100mm、幅15mm、及び厚さ5mmの寸法を有する試験片で試験したとき、前記硬化樹脂が約3ジュールより大きい曲げじん性を有することを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項53】
請求項52に記載の強化複合材料又は請求項52に記載の強化性繊維において、前記硬化複合材料が最大5年間、3ジュールより大きい曲げじん性を有することを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項54】
請求項48乃至53のいずれか1項に記載の強化複合材料又は請求項48乃至53のいずれか1項に記載の強化性繊維において、前記ポリマーがモノマー欠損低活性不飽和ポリエステル樹脂であることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項55】
請求項54に記載の強化複合材料又は請求項54に記載の強化性繊維において、前記ポリマーのモノマー含有量が約5乃至30%w/wであることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項56】
請求項54又は55に記載の強化複合材料、又は、請求項54又は55に記載の強化性繊維において、前記不飽和ポリエステル樹脂が、ポリオールを酸と反応させることによって調製され、前記ポリオールが、プロピレングリコール、メチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、及びジエチレングリコールからなる群より選択され、前記酸が、テレフタル酸、イソフタル酸、フマル酸、及び1,4−シクロヘキサン二酸からなる群より選択され、前記不飽和ポリエステル樹脂が、約1.2:1乃至2:1の飽和酸対不飽和酸比からなることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項57】
請求項39乃至56のいずれか1項に記載の強化複合材料又は請求項40乃至56のいずれか1項に記載の強化性繊維において、前記処理が前記強化性繊維に対して適用されるポリマーコーティングであることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項58】
請求項57に記載の強化複合材料又は請求項57に記載の強化性繊維において、前記ポリマーコーティングのポリマーがモノマー欠損低活性不飽和ポリエステル樹脂であることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項59】
請求項39乃至58のいずれか1項に記載の強化複合材料又は請求項40乃至58のいずれか1項に記載の強化性繊維において、前記処理が前記強化性繊維に対して適用される親水性表面コーティングであることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項60】
請求項59に記載の強化複合材料又は請求項59に記載の強化性繊維において、前記親水性表面コーティングが、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランをトリメトリルプロパン(trimetholylpropane)と反応させることによって調製されることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項61】
請求項59又は60に記載の強化複合材料又は請求項59又は60に記載の強化性繊維において、前記親水性表面コーティングが、エマルジョンを用いた処理を更に含むことを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項62】
請求項61に記載の強化複合材料又は請求項61に記載の強化性繊維において、前記エマルジョンが、約16.6部の水と、100部のアセトンと、200部のポリマーとを含むことを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項63】
請求項61又は62に記載の強化複合材料、又は、請求項61又は62に記載の強化性繊維において、前記エマルジョンが、フリーラジカル阻害剤を含むことを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項64】
請求項63に記載の強化複合材料又は請求項63に記載の強化性繊維において、前記フリーラジカル阻害剤が、ヒドロキノン、ヒンダードアミン、アセチルアセトン、ヒンダードフェノール、又はこれらの組み合わせであることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項65】
請求項39乃至56のいずれか1項に記載の強化複合材料又は請求項40乃至56のいずれか1項に記載の強化性繊維において、前記処理が、前記強化性繊維に対して適用されるフリーラジカル阻害剤のコーティングであることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項66】
請求項48乃至65のいずれか1項に記載の強化複合材料又は請求項48乃至65のいずれか1項に記載の強化性繊維において、:
a.前記硬化樹脂を修飾;及び/又は
b.前記繊維をコーティング;及び/又は
c.前記エマルジョンを調製
する際に同一の前記ポリマーが選択されることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項67】
請求項39乃至58のいずれか1項に記載の強化複合材料又は請求項40乃至58のいずれか1項に記載の強化性繊維において、前記処理が、前記強化性繊維の全表面積の低減であることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項68】
請求項67に記載の強化複合材料又は請求項67に記載の強化性繊維において、前記表面積の低減が、前記強化性繊維の寸法を変更することによって提供されることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項69】
請求項68に記載の強化複合材料又は請求項68に記載の強化性繊維において、前記寸法を、前記強化性繊維の直径を増加すること、及び/又は前記強化性繊維の長さを低減することによって、変更することを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項70】
請求項69に記載の強化複合材料又は請求項69に記載の強化性繊維において、前記繊維の直径が約15乃至24ミクロンであることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項71】
請求項39乃至70のいずれか1項に記載の強化複合材料又は請求項40乃至70のいずれか1項に記載の強化性繊維において、前記硬化複合材料の曲げ率が約3.5GPaより大きいことを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項72】
請求項39乃至71のいずれか1項に記載の強化複合材料又は請求項40乃至71のいずれか1項に記載の強化性繊維において、前記硬化複合材料の曲げ応力が約120MPaより大きいことを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項73】
請求項39乃至72のいずれか1項に記載の強化複合材料又は請求項40乃至72のいずれか1項に記載の強化性繊維において、前記硬化複合材料の破断伸び率が約2%より大きいことを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項74】
請求項39乃至73のいずれか1項に記載の強化複合材料又は請求項40乃至73のいずれか1項に記載の強化性繊維において、本発明によって処理されていない繊維と比較したとき、前記処理が界面相における樹脂重合の触媒作用を低減することを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項75】
請求項39乃至74のいずれか1項に記載の強化複合材料又は請求項40乃至74のいずれか1項に記載の強化性繊維において、本発明によって処理されない繊維と比較したとき、前記処理が、前記界面相の脆化を低減することを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項76】
請求項39乃至75のいずれか1項に記載の強化複合材料又は請求項40乃至75のいずれか1項に記載の強化性繊維において、約5乃至50%w/wの処理された繊維が、前記樹脂に添加されることを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項77】
請求項39乃至76のいずれか1項に記載の強化複合材料又は請求項40乃至76のいずれか1項に記載の強化性繊維において、前記繊維が、前記樹脂に十分結合して前記樹脂を強化することを特徴とする強化複合材料又は強化性繊維。
【請求項78】
硬化性樹脂、及び、複合材料を通して分散される複数の強化性繊維を有し、前記硬化した樹脂が界面相で前記強化性繊維に接する前記複合材料における脆性を低減する方法において、前記方法が前記強化性繊維の全表面積を低減する工程を含むことによって、前記界面相の量の相当する量を減少させることを特徴とする方法。
【請求項79】
請求項78に記載の方法において、前記表面積の低減が、前記強化性繊維の寸法を変更することによって提供されることを特徴とする方法。
【請求項80】
請求項79に記載の方法において、前記寸法が、前記強化性繊維の直径を増加させること、及び/又は前記強化性繊維の長さを低減させることによって、変更されることを特徴とする方法。
【請求項81】
請求項80に記載の方法において、前記繊維の直径が、約15乃至24ミクロンであることを特徴とする方法。
【請求項82】
請求項78乃至81のいずれか1項に記載の方法において、前記強化性繊維の全表面積の低減によって、前記界面相における樹脂の重合の触媒の全量を低減し、これにより、前記界面相の脆化を比較的低減することを特徴とする方法。
【請求項83】
複合材料を成形するための方法において、当該方法が、請求項2乃至38のいずれか1項に記載の方法によって製造された少なくとも1の硬化性樹脂と複数の強化性繊維との混合物を準備する工程と、型に前記混合物を適用する工程と、前記少なくとも1の硬化性樹脂を硬化させる工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項84】
請求項83に記載の方法によって製造されるときの成形複合材料。
【請求項85】
液体硬化性複合体が、使用時に、硬化した樹脂が界面相で強化性繊維に接するように、少なくとも1の硬化性樹脂と複数の強化性繊維を含み、前記界面相の特性が前記バルク硬化樹脂の特性と実質的に等しいように前記強化性繊維が処理されることを特徴とする液体硬化性複合体。
【請求項86】
液体硬化複合体が、少なくとも1の硬化性樹脂と複数の強化性繊維とを含み、硬化させたときに、前記硬化した樹脂が界面相で前記強化性繊維に接し、前記界面相が前記バルク硬化樹脂の特性と実質的に等しい特性を有するように、前記強化性繊維は、ポリマーコーティング、親水性表面コーティング、又はフリーラジカル阻害剤のコーティングのうちの1又はそれ以上を適用されていることを特徴とする液体硬化複合体。

【公表番号】特表2009−511720(P2009−511720A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535844(P2008−535844)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001536
【国際公開番号】WO2007/045025
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(508117950)アドバンスド コンポジッツ インターナショナル ピーティーワイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】