説明

強磁性粒子又は超磁性粒子を選択的に検出する方法及び装置

【課題】
本発明は、アナライトに結合された超磁性粒子及び/又は強磁性粒子を選択的に検出及び/又は定量化する方法に関する。この方法は、粒子の磁化特性曲線の非線形性に基づいて生成された磁場(15,18)の周波数成分が、合成周波数で測定されることによって解決される。本発明は、アナライトに結合された超磁性粒子及び/又は強磁性粒子を選択的に検出及び/又は定量化する装置に関する:この装置は、検査すべき及び/又は定量化すべきアナライトを有する1つの容器(12),交番磁場(15,18)の周波数を生成するための少なくとも1つの発振器(13,16;25),アナライトに交番磁場(15,18)をかけるための少なくとも1つの磁場発生器(14,17),粒子の応答磁場(19)を測定するための1つの磁場センサ(20)及び少なくとも1つの位相感知検出器(21,23)を有する。この場合、粒子の磁化特性曲線の非線形性に基づいて生成された磁場(15,18)の周波数成分が、合成周波数で測定されるように、構成部品が構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナライトに対する標識剤としての磁気粒子の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
アナライト用のいわゆる標識剤としての蛍光クロム,酵素又は放射性粒子を用いたアナライトの検出方法が、従来の技術から公知である。蛍光標識剤の線形検出範囲又は酵素技術の感度が制限される点が欠点である。放射性マーカは、放射線の保護要求の理由から問題である。
【0003】
アナライトの磁気マーキングに基づく生物検定が、これに代わる検出方法である。磁気粒子は、数十から数百ナノメートルの直径を有する酸化鉄コアから成る。これらの磁気粒子は、生物適合性の表面層を有する。これらの磁気粒子は、この表面層によってアナライト、例えば化学物質又は細胞若しくはウイルスに公知の方法で結合される。
【0004】
このような標識剤は、安定で無害でありかつ磁場を用いて操作可能である。酸化鉄から成る粒子は超磁性である。試料体積中の磁化粒子の存在が、交番磁場の磁化測定によって測定される。単一、すなわち一様な粒子の大きさの場合、粒子の濃度も定量的に測定され得る。
【0005】
磁化測定による磁化粒子の検出が、米国特許第 6,110,660号明細書から公知である。この場合、アナライトの磁化率が、マクスウェル・ブリッジによって200kHz程度の周波数範囲内で測定される。このブリッジの出力増幅器で測定された電圧が、溶液の磁化率に比例する。一定な粒子の大きさの場合、磁化率が、溶液中の磁化粒子の数に比例する。
【0006】
この方法が選択的でない点が欠点である。しかも高濃度のナノ粒子溶液の磁化率が高い。確かに、免疫評価分析は、一般に生物分子の非常に僅かな濃度の検出及びそれに応じて磁気標識剤粒子の非常に僅かな濃度を要求する。このとき、溶液の得られる磁化率は、非常に小さくかつ磁気粒子のない比較溶液の磁化率とほとんど区別が付かない。試料容器の磁化率の変化,試薬及び実験室の環境のような寄生効果が、出力電圧中の読取装置の構成部品の熱効果及び電気ドリフトのようなノイズを招くので、マクスウェル・ブリッジの出力の増幅を上げることは、この問題の有効な解決手段ではない。
【0007】
グラジオメータ式のSQUID磁場検出装置を使用して測定信号の低周波変調を実現する磁気粒子試料の移動が、米国特許第 6,046,585号明細書から公知である。この方法による試料の支持部及び試料の容器の場合によっては起こり得る信号が抑制されない点が欠点である。
【特許文献1】米国特許第 6,110,660号明細書
【特許文献2】米国特許第 6,046,585号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、超磁性粒子及び/又は強磁性粒子を選択的に検出する方法を提供することにある。この方法は、僅かな装置経費で高感度のこのような粒子の検出を可能にする。さらに本発明の課題は、この方法を実施するこれに関する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、主請求項に記載の方法及び従属請求項に記載の装置によって解決される。好適な構成は、これらの請求項に関連する請求項に記載されている。
【0010】
選択的に検出するため及び/又は超磁性粒子及び/又は強磁性粒子を定量化するため、粒子の磁気特性曲線の非線形成に起因して生じる周波数成分が、合成周波数の磁場から測定される。
【0011】
超磁性材及び強磁性材は、非線形な磁化特性曲線を有する。この特性が、これらの材料を選択的に検出するために本発明にしたがって利用される。この方法は、粒子に作用する磁場による粒子の磁化率の差の依存性(すなわち、磁場にしたがう磁化率の誘導)を利用する。
【0012】
第1交番磁場が粒子にかかる。このことは、粒子の磁気特性曲線の制御を伴う(制御磁場)。
【0013】
好ましくは、制御磁場は 50 〜100Hz である。低電流及び電圧が、このような低周波の交番磁場を選択することによって使用され得る。
【0014】
さらに、制御磁場と異なる周波数の第2交番磁場が粒子にかかる。第2交番磁場が、粒子の磁気特性曲線の非線形性を走査するために使用される(走査磁場)。
【0015】
結果として、両交番磁場の作用に基づいて誘導された磁気粒子の応答磁場が発生する。この応答磁場が測定される。
【0016】
走査磁場は、好ましくは10〜100kHzの周波数でもよい。これによって、磁場センサとしての誘導コイルを使用する場合、このコイル内で応答磁場によって誘導された電圧が、高くこれによって容易に測定可能である。
【0017】
応答磁場の発生する振幅変化は、主に磁気粒子の種類及び濃度に依存する。超磁性材及び強磁性材は、−説明したように−非線形磁化特性曲線を有する。上述した材料を非線形磁化特性曲線に基づいて選択的に検出することができる。
【0018】
応答磁場の磁気粒子にかかる両交番磁場の周波数合成成分が、センサで感知される。このような成分(変調)は、位相を感知する適切な検出器(変調器)によって検出され得る。これによって発生した電圧は、これらの成分の振幅変化に相当し、アナライトの濃度を測定するための出力信号として利用される。
【0019】
特に好ましくは、応答磁場の振幅(振幅の変化)の経時変化が、位相感知検出器によって走査磁場の周波数で測定される。超磁性アナライト及び強磁性アナライトの場合、応答磁場の振幅の経時変化が周波数成分を有する。これらの周波数成分は、制御磁場の周波数の倍数であり、特に偶数倍であり、この場合特に、制御磁場の2倍の周波数を有する成分である。
【0020】
その結果、制御磁場が、磁気粒子の歪んだ磁気誘導を招く。制御磁場によって生じる瞬間の磁気誘導が零点を通過する場合、さらにかけられた走査磁場が、大きいさらなる磁気誘導を伴う。制御誘導が最大値を取る場合、走査磁場は、これに対して小さい追加の誘導しか取らない。この振幅は、すなわち磁気粒子の磁化曲線を導き出すことによって制御される。この振幅は、飽和効果に起因してより小さい磁場のときよりもより大きい磁場のときのほうが小さい。
【0021】
時間の関数として走査磁場の周波数による応答磁場の振幅の経時変化を観察すると、この振幅は、制御磁場の周波数の2倍の周波数と共に変化する。この振幅は、制御の最大時にその最小値を取り、零通過時にその最大値を取る。
【0022】
応答磁場の振幅の変化が、好ましくは位相感知検出器によって復調される。応答磁場が、好ましくは磁場センサによって電圧に変換され場合によっては増幅される。
【0023】
その結果生じる出力電圧は、単一粒子(monodisperser) の場合は好ましくはアナライトの濃度に線形に比例する。この出力電圧は、測定システムの校正後に適切に算定される。
【0024】
粒子の磁化率の差を測定することによって超磁性粒子及び/又は強磁性粒子を選択的に検出及び/又は定量化する装置が、アナライトに関する検出すべき及び/又は定量化すべき粒子を伴う容器を有する。この容器は、本発明の方法に適した非磁性材、すなわち例えばガラス又は合成樹脂から形成され得る。
【0025】
装置は、少なくとも1つの発振器を有する。この発信機は、この場合に必要であるように交番磁場の周波数を生成するために適する。
【0026】
装置は、特に好ましくは基準周波数発振器を有する。走査磁場及び制御磁場の周波数が、分周期によって基準周波数発振器から位相一定に導き出される。
【0027】
しかし、両交番磁場を独立して生成する2つの発振器を使用してもよい。このとき、第1発振器は走査磁場の周波数を生成し、第2発振器は制御磁場の周波数を生成する。
【0028】
さらに装置は、少なくとも1つの磁場発生器を有する。この装置は、交番磁場をアナライトにかけるために使用される。特に好ましくはこのような磁場発生器を2つ設けてもよい。これらの磁場発生器は、第1項番磁場又は第2交番磁場、すなわち制御磁場及び走査磁場をアナライトにかける。
【0029】
装置は、粒子の応答磁場を感知するための磁場センサを有する。磁場センサは、粒子の応答磁場の振幅の変化を変換し増幅してこの振幅の変化を位相感知検出器に転送する。
【0030】
装置は、少なくとも1つの位相感知検出器をさらに有する。基準周波数が、発振器から場合によっては分周器を介してこの検出器に供給される。位相感知検出器は、この周波数に対する応答磁場の振幅を算出する。
【0031】
装置は、少なくとも1つの第2位相感知検出器を有する。同様に、基準周波数が、発振器から場合によっては分周器を介してこの検出器に供給される。この場合、好ましくは基準としての走査周波数が、第1位相感知検出器に供給される。走査周波数に対する応答磁場の振幅が、それに応じて供給される。制御磁場の倍数の周波数が、基準として第2位相感知検出器に供給される。この第2位相感知検出器は、応答磁場の振幅を検査する。この振幅は、第1位相感知検出器を介して第2位相感知検出器に送られて制御磁場の周波数の偶数倍、特に2倍に相当する周波数成分になる。この第2位相感知検出器は、この周波数成分の振幅に相当する出力電圧を生成する。
【0032】
復調された信号を最大にするため、本発明は、移相器を位相感知検出器の基準入力部にさらに有する。
【0033】
以下に、本発明を実施の形態及び添付図面1〜8に基づいて詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1は、超磁性材及び強磁性材の基本的な物理特性を示す。このような材料は、非線形磁化特性曲線を有する(図1b)。これとは反対に反磁性及び常磁性材料は、線形の磁化特性曲線を有する(図1a)。
【0035】
周波数f及び振幅Ha の交番磁場が物質にかかる。場合によってはさらに存在する静的磁場、例えば地磁場が、H0 で示される。
【0036】
【数1】

【0037】
【数2】

【0038】
超磁性物質は、説明した非線形磁化特性曲線及び非ヒステリシス磁化特性曲線5を有する。超磁性物質の磁化M(H)は、一般に式
【0039】
【数3】

【0040】
【数4】

【0041】
超磁性材料の一般的な磁気応答は、磁気制御誘導6としての歪んだ正弦関数によって図1b中に示されていて、一般に式(1)を式(3)に代入することによって式(5)にしたがって記すことができる:
【0042】
【数5】

【0043】
さらに、(図示しなかった)第2交番磁場、いわゆる走査磁場が、アナライトにかかる。走査磁場の周波数が、制御磁場4の周波数と異なって選択される。
【0044】
図2は、本発明の方法に基づく原理を説明する。図2bは、超磁性アナライト又は強磁性アナライトの場合を示し、図2aは、反磁性アナライト及び常磁性アナライトの場合を示す。制御磁場4は、図1中に示されたように歪んだ制御誘導6を招く。この誘導6の時間依存性は、式(5)によって記される。制御磁場4によって生じた磁気制御誘導6が、その零点を通過する場合、さらにかけられた第2交番磁場が、走査磁場として走査磁場の周波数に対して大きいさらなる走査誘導を招く(図2b,No.9)。
【0045】
第1交番磁場(制御磁場4)によって生じた誘導6が最大値を取る場合、走査磁場は、小さいさらなる誘導を招く(図2b,No.10 )。
【0046】
応答磁場11の振幅が、すなわち磁化特性曲線を導き出すことによって制御される。超磁性又は強磁性物質の場合、磁化特性曲線のこの上昇は、大きい磁場|H|の場合はH=0のときの初期よりも遥かに小さい。方程式(5)による磁化特性曲線による超磁性物質に対しては、この裏付けは、ランゲビン関数の導関数、
【0047】
【数6】

【0048】
この導関数は、大きさ|x|に対してはx=0のときの初期よりも遥かに小さい。
【0049】
時間の関数として走査磁場の周波数に対する磁気誘導、すなわち応答磁場の振幅11の変化を示す場合、この振幅11が制御磁場4の2倍の周波数で変化することが分かる。この振幅11は、極値でその最小値を取り、制御磁場4又は磁気制御誘導6の零通過時にその最大値を取る。
【0050】
常磁性アナライトの場合、図1中の線形磁気特性曲線2に基づいて、歪まない磁気誘導3が制御磁場1によって得られる。したがって、どの値が制御磁場1又は制御誘導3を取るかに関係なく、さらなる誘導7の同じ振幅8が、走査磁場に基づいて得られる(図2a,No.7)。走査磁場の周波数に対する磁気誘導の対応する振幅8は時間的に一定である。
【0051】
制御磁場4(又は制御誘導6)の周波数の2倍の周波数に加えて、走査磁場の周波数に対する制御磁場4の印譜区11は、制御磁場4の周波数のより高い調波も有する。磁化特性曲線5の対称な制御(すなわち、H0 =0)の場合、確かに制御磁場4の周波数の偶数倍に対する周波数成分だけが確認できる。静的な一定の場H0 がアナライトにさらにかかる場合、制御磁場の周波数の奇数倍に対するさらなる周波数成分が得られる。
【0052】
この方法には、非線形磁化特性曲線5を呈するアナライトだけが図2b中に示されたような振幅11の経時変化を示すという利点がある。これに対して線形磁化特性曲線2を呈する常磁性物質又は反磁性物質が、走査磁場の周波数に対する磁気誘導の一定な振幅8を有する(図2a)。本発明の方法のこの選択性は、測定される磁化率が反磁性若しくは常磁性材料又は超磁性若しくは強磁性材料に起因するのかどうかが分からない従来の技術による方法に比べて優れている。
【0053】
図3は、アナライトに関する超磁性粒子及び/又は強磁性粒子を選択的に検出及び/又は定量化する第1の装置を示す。粒子の磁化特性曲線5の非線形性に起因して生じた磁場15,18の周波数成分が、合成周波数で測定されるように、これらの構成要素は構成されている。
【0054】
適切な容器12が必要である。アナライトが、この容器12内に測定容積で存在する。アナライトは、自然収着法,化学収着法,沈殿,濾過又は抽出のような公知の方法によって容器12内に入れられ得る。検出すべき超磁性粒子及び/又は強磁性粒子が、アナライトに結合される。発振器16が、制御磁場18の周波数を生成する。この制御磁場18は、磁場発生器17によってアナライトにかけられる。
【0055】
発振器13は、走査磁場15である第2交番磁場の周波数を生成する。この走査磁場15は、別の磁場発生器14によってアナライトにかけられる。
【0056】
粒子又はアナライトから出た応答磁場19が、磁場センサ20によって電圧に変換され増幅される。
【0057】
さらに装置は、第1位相感知検出器21を有する。この第1位相感知検出器21は、走査磁場15の周波数を基準として発振器13から供給される。この位相感知検出器21は、走査磁場15の周波数に対する応答磁場19の振幅(図2,No.11 又は8 参照)の経時変化を算出する。この振幅11又は8の周波数成分が、第2位相感知検出器23によって検査される。この第2位相感知検出器23は、発振器16によって制御磁場18の周波数がm倍周波数掛算器22を介して基準として供給される。この周波数成分は、正の整数mによる制御磁場18の周波数のm倍に相当する。好ましくは、好ましくはmが選択される。特に好ましくはm=2である。生成された出力信号24は、この周波数成分の振幅に相当する。合成周波数に対する周波数成分が測定される。この合成周波数は、粒子の磁化特性曲線の非線形性が存在するときにだけ発生する。
【0058】
検出の流れ19〜23が線形に作動する場合、出力電圧24が、容器12の試料容積の超磁性/強磁性モーメントに依存する。
【0059】
アナライトの個々の磁気粒子が一定のモーメントでありかつ測定容積が一定である場合、試料中の磁気標識剤の濃度が、出力電圧24に比例する。アナライトが磁気飽和するように、制御磁場24の振幅が適切に選択される。磁気特性曲線が方程式(3)によって記述可能である超磁性粒子の場合、制御磁場18の振幅が、使用される超磁性粒子の特性磁場BC の範囲内で選択される。磁化特性曲線(方程式3)に基づくランゲビン関数の曲線
【0060】
【数7】

【0061】
場合によっては発生しうる静的な周囲の一定の磁場が、適切に可能な限り小さく選択される。
【0062】
図4は、異なる装置を示す。クウォーツ発振器25が、周波数を生成するために使用される。この周波数は、3つの分周器26,27,28によって低く分割される。これらの3つの分周器26,27,28の分割比が、
【0063】
【数8】

【0064】
出力電圧24が、測定信号として両位相感知検出器21,23の後方で任意に処理される。
【0065】
図5は、もう1つの装置を示す。クウォーツ発振器25が、基準周波数として使用される。この基準周波数は、3つの分周器29,30,28によって低く分割される。これらの3つの分周器29,30,28の分割比がそれぞれ正の整数m及びnによって
【0066】
【数9】

【0067】
磁気粒子の異なる濃度の試料が実験的に製造され測定される。これに対して、ナノメータの範囲内のコロイド状の酸化鉄粒子溶液が、製造され、引き続き等しん圧の食塩水(PBS)で希薄される。図6は、測定された出力電圧を標準偏差と共に試料の鉄の濃度の関数として示す。
【0068】
図7は、一定濃度の試料の測定信号が静的な周囲の一定磁場H0 に応じてどのように変化するかを示す。最小一定磁場で最大出力電圧を取る。出力電圧の最小値が、約1.9mT の一定磁場振幅で観察される。この信号は、より高い一定磁場に対して再び上昇する。信号がランゲビン関数(Langevin-Funktion) の3次導関数
【0069】
【数10】

【0070】
図8は、制御磁場の振幅に対する一定の濃度の試料の出力電圧の測定された依存性を示す。振幅に依存する信号変化に関する積分によって、予測される信号が、算定され図8中に記入される。測定値との一致が、特に小さい振幅に対して良好である。
【0071】
本発明の方法/装置は、特に以下の用途に対して使用され得る:
分子の相互作用、特にリガンド・リセプター相互作用,抗原・抗体相互作用及びオリゴヌクレオチド間の相互作用の定量検出による化学物質,細胞又はウィルスの検出。この場合、超磁性粒子及び/又は強磁性粒子が、物質,細胞又はウィルスに結合されている。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】超磁性材及び強磁性材の基本的な物理特性を示す。
【図2】本発明の方法に基づく原理を説明する。
【図3】アナライトに関する超磁性粒子及び/又は強磁性粒子を選択的に検出及び/又は定量化する第1の装置を示す。
【図4】異なる装置を示す。
【図5】もう1つの装置を示す。
【図6】測定された出力電圧を標準偏差と共に試料の鉄の濃度の関数として示す。
【図7】一定濃度の試料の測定信号が静的な周囲の一定磁場H0 に応じてどのように変化するかを示す。
【図8】制御磁場の振幅に対する一定の濃度の試料の出力電圧の測定された依存性を示す。
【符号の説明】
【0073】
1,4,18 制御磁場
2 磁化特性曲線,線形
3 線形磁化特性曲線の場合の磁気制御誘導
5 磁化特性曲線
6 非線形磁化特性曲線の場合の非線形磁気制御誘導
7 線形磁化特性曲線の場合の追加の走査誘導
8 線形磁化特性曲線の場合の走査磁場の周波数に対する磁気誘導の振幅
9,10 零通過(9)及び極値(10)時の非線形磁化特性曲線に対する追加の走査誘導
11 非線形磁化特性曲線の場合の走査磁場の周波数に対する磁気誘導の振幅
13,16,25 発振器
14,17 磁場発生器
15 走査磁場
19 応答磁場
20 磁場センサ
21,23 位相感知検出器
24 出力電圧
26,27,28 分周器
29,30

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超磁性粒子及び/又は強磁性粒子を選択的に検出及び/又は定量化する方法において、粒子の磁化特性曲線の非線形性に基づいて生成された磁場の周波数成分が、合成周波数で測定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
所定の周波数の制御磁場(4,18)が、粒子の磁化特性曲線(5)を制御するために粒子にかかることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
制御磁場(4,18)が、50〜100 ヘルツの周波数を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
制御磁場(4,18)と異なる周波数を有する走査磁場(15)が、粒子にかかることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
走査磁場(15)は、10〜100 キロヘルツの周波数を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
両交番磁場(15,18)の作用に基づいて誘導された粒子の応答磁場が測定されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
走査磁場(15)の周波数に対する応答磁場(19)の振幅の変化が、測定されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
走査磁場(15)の周波数に対する応答磁場(19)の振幅の変化(8,11)の周波数成分が、測定され、この周波数は、制御磁場(4,18)の周波数の整数倍であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
走査磁場(15)の周波数に対する応答磁場(19)の振幅の変化(8,11)の周波数成分が、測定され、この周波数は、制御磁場(4,18)の周波数の偶数倍であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
走査磁場(15)の周波数に対する応答磁場(19)の振幅の変化(8,11)の周波数成分が、測定され、この周波数は、制御磁場(4,18)の周波数の2倍であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
応答磁場(19)の振幅の変化(11)が、変換されてアナライトの濃度を測定するための出力電圧(24)として使用されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
アナライトに結合した超磁性粒子及び/又は強磁性粒子を選択的に検出及び/又は定量化する装置において、
−検査すべき及び/又は定量化すべきアナライトを有する1つの容器(12),
−交番磁場(15,18)の周波数を生成するための少なくとも1つの発振器(13,16;25),
−アナライトに交番磁場(15,18)をかけるための少なくとも1つの磁場発生器(14,17),
−粒子の応答磁場(19)を測定するための1つの磁場センサ(20),及び
−少なくとも1つの位相感知検出器(21,23)を有する装置。
【請求項13】
発振器(25)を分周するための少なくとも1つの分周器(26,27,28,29,30)を有する請求項12に記載の装置。
【請求項14】
分周器(26,27,28,29,30)は、発振器の周波数を正の整数の比で分割することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
分周器(26,27,28)は、発振周波数を
【数1】

の比で分割することを特徴とする請求項13又は14に記載の装置。
【請求項16】
分周器(26,27,28)は、発振周波数を
【数2】

の比で分割することを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
l,m及びnは、正の整数である請求項15又は16に記載の装置。
【請求項18】
mは、偶数、特にm=2である請求項15〜17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
分周器(26,28)内で低く分割された発振器の少なくとも1つの周波数が、基準として少なくとも1つの位相感知検出器(21,23)内に供給される請求項13〜18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
装置は、分周器(26)内で低く分割された発振器の周波数を基準として1つの位相感知検出器(21)内に供給し、装置は、分周器(28)内で低く分割された発振周波数を基準として位相感知検出器(23)内に供給する請求項13〜19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
分周器(26,27;29,30)の周波数によって制御される磁場発生器(14,17)を特徴とする請求項13〜20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
少なくとも1つの周波数掛算器(22)を有する請求項12〜21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
磁場センサ(20)は、微分式に構成されている請求項12〜22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
磁場センサ(20)は、同じ構造の2つの部分コイルを有する請求項12〜23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
磁場センサ(20)の部分コイルは、逆向きに巻かれていることを特徴とする請求項12〜24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
磁場センサ(20)の部分コイルは、直列に接続されていることを特徴とする請求項12〜25のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
アナライトを有する容器(12)は、磁場センサ(20)の両部分コイルの一方の部分コイルだけに接触していることを特徴とする請求項12〜26のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−519366(P2006−519366A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501481(P2006−501481)
【出願日】平成16年1月30日(2004.1.30)
【国際出願番号】PCT/DE2004/000149
【国際公開番号】WO2004/077044
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(390035448)フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (100)
【出願人】(505323541)
【Fターム(参考)】