説明

弾性材料からなるシール部材の検査方法及びその装置

【課題】Oリング等弾性材料からなるシール部材に付着している異物を適切に検出することができる弾性材料からなるシール部材の検査方法、及びその装置を提供する。
【解決手段】Oリング2の裏面2aと平面部材4の平面4aとが所定間隔を存して平行となるように配置し、Oリング2の裏面2aに対して垂直な方向からOリング2の裏面2aを撮影し、その撮影した映像を解析してOリング2に異物が付着しているか否かを検査する。Oリング2の裏面2aに付着している異物がOリング2に埋もれてしまうことがなく、Oリング2の裏面2aに付着している異物を適切に検出できる。又、Oリング2に下方向へ延びるように付着している異物が平面部材4の平面4aに接することで、その糸状の異物が撮影される領域を広げて糸状の異物を撮影でき、Oリング2に下方向へ延びるように付着している糸状の異物を適切に検出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばOリング等の弾性材料からなるシール部材に異物が付着しているか否かを検査する弾性材料からなるシール部材の検査方法、及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
部材同士の接触部を気密又は水密に保持するための手段としてOリングが多用されている。この種のOリングにおいては、部材同士の接触部を気密又は水密に確実に保持するように、ワークに組付けられた時に異物(人毛や衣類の繊維等)が付着しないことが望ましい。このような事情から、特許文献1には、Oリングに透明材料からなる平面部材を接触させてOリングを弾性変形させ、その弾性変形させたOリングを撮影した映像を解析して当該Oリングに異物が付着しているか否かを検査する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−72860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1に開示されている方法では、Oリングに平面部材を接触させてOリングを弾性変形させるので、Oリングに異物が付着している場合に、そのOリングに付着している異物がOリングに埋もれてしまい、本来であれば異物とOリングとの境界に形成される段差が形成されなくなるという虞がある。その結果、Oリングを撮影した映像を解析する際に、異物とOリングとの境界で段差を検出することができず、Oリングに付着している異物を検出することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、例えばOリング等弾性材料からなるシール部材に付着している異物を適切に検出することができる弾性材料からなるシール部材の検査方法、及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1及び2に記載した発明によれば、弾性材料からなるシール部材(2)と透明材料からなる平面部材(4,7)とを、前記シール部材(2)のシール面(2a,2b)と前記平面部材(4,7)の平面(4a,7a)とが所定間隔を存して平行となるように配置し、当該シール部材(2)のシール面(2a,2b)に対して垂直な方向から当該シール部材(2)のシール面(2a,2b)を当該平面部材(4,7)を通して撮影し、その撮影した映像を解析して当該シール部材(2)に異物が付着しているか否かを検査する。
【0007】
これにより、シール部材(2)を弾性変形させる従来の方法とは異なり、シール部材(2)を弾性変形させることなく、シール部材(2)のシール面(2a,2b)と平面部材(4,7)の平面(4a,7a)とが所定間隔を存して平行となるように配置することで、たとえ異物がシール部材(2)のシール面(2a,2b)に付着していたとしても、その異物がシール部材(2)に埋もれてしまうことがなく、シール部材(2)のシール面(2a,2b)に付着している異物を適切に検出することができる。又、たとえ糸状の異物が撮影方向に対して平行にシール部材(2)に付着していたとしても、その糸状の異物が平面部材(4,7)の平面(4a,7a)に接することで、その糸状の異物が撮影される領域を広げて糸状の異物を撮影することができ、シール部材(2)に付着している糸状の異物を適切に検出することができる。又、シール面(2a,2b)に対して垂直な方向から撮影することで、シール面(2a,2b)に対して平行な方向から撮影することなく、撮影方向に対して平行に付着している糸状の異物を検出することができる。
【0008】
請求項3に記載した発明によれば、環状に形成されているシール部材(2)を検査対象とし、シール部材(2)のシール面(2a,2b)に付着している異物を適切に検出することができ、又、シール部材(2)に付着している糸状の異物を適切に検出することができる。
【0009】
請求項4に記載した発明によれば、断面が円形状に形成されているシール部材(2)を検査対象とし、シール部材(2)のシール面(2a,2b)に付着している異物を適切に検出することができ、又、シール部材(2)に付着している糸状の異物を適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、Oリング検査装置の全体構成を概略的に示す図
【図2】Oリング検査装置の機能ブロック図
【図3】フローチャート
【図4】異物を検出する原理を概略的に示す図
【図5】図4相当図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、弾性材料からなるシール部材としてOリングを適用した本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。尚、後述するOリング、異物、Oリングと平面部材との間隔等は、発明の内容を明示するために実際のサイズ比と異ならせて示している。図1は、Oリング検査装置の全体構成を概略的に示している。Oリング検査装置1(弾性材料からなるシール部材の検査装置)は、Oリング2(弾性材料からなるシール部材)の裏面側(図1では下面側)を検査する部分(以下、裏面側検査部と称する)1aと、Oリング2の表面側(図1では上面側)を検査する部分(以下、表面側検査部と称する)1bとを有する。
【0012】
Oリング2は、例えばシリコンゴムを材質とする弾性変形可能な弾性材料からなり、円環状で且つ断面が円形状に形成され、圧力センサの構成部品としてのケース部材3(ワーク)に組付けられる。圧力センサを製造する工程では、Oリング2がケース部材3に組付けられた後に、カバー部材(図示せず)がケース部材3に組付けられ、ケース部材3とカバー部材との接合箇所でOリング2が垂直方向(Oリング2の軸方向)からの圧力を受けて弾性変形することで、Oリング2がケース部材3とカバー部材とを気密又は水密に保持することになる。即ち、Oリング2の面うちケース部材3に接する側の部分(Oリング2の裏面2aと称する)及びカバー部材に接する側の部分(Oリング2の表面2bと称する)がシール面である。
【0013】
Oリング検査装置1において、裏面側検査部1aは、例えば透明ガラスや透明樹脂等の透明材料からなる平面部材4、平面部材4の真下に設けられた裏面検査用照明ライト5、裏面検査用照明ライト5の真下に設けられた裏面検査用撮影カメラ6(撮影手段に相当)等を有する。これら平面部材4、裏面検査用照明ライト5、裏面検査用撮影カメラ6の各々は、保持部材(図示せず)により保持されることで位置が固定されている。一方、表面側検査部1bは、例えば透明ガラスや透明樹脂等の透明材料からなる平面部材7、平面部材7の真上に設けられた表面検査用照明ライト8、表面検査用照明ライト8の真上に設けられた表面検査用撮影カメラ9(撮影手段に相当)等を有する。これら平面部材7、表面検査用照明ライト8、表面検査用撮影カメラ9の各々も、保持部材(図示せず)により保持されることで位置が固定されている。
【0014】
図2は、上記したOリング検査装置1の電気的な構成を機能ブロック図により示している。制御部10(映像解析手段、検査手段に相当)は、マイクロコンピュータ主体として構成されており、検査対象であるOリング2を吸着する吸着ヘッド11、吸着ヘッド11を搬送する吸着ヘッド搬送機構12(配置手段に相当)、吸着ヘッド11を水平方向に回転する吸着ヘッド回転機構13、ワークであるケース部材3を搬送するワーク搬送機構14(配置手段に相当)、ケース部材3を水平方向に回転するワーク回転機構15、裏面検査用照明ライト5、裏面検査用撮影カメラ6、表面検査用照明ライト8、表面検査用撮影カメラ9を接続している。制御部10は、予め記憶している制御プログラムを実行することで、これら吸着ヘッド11、吸着ヘッド搬送機構12、吸着ヘッド回転機構13、ワーク搬送機構14、ワーク回転機構15、裏面検査用照明ライト5、裏面検査用撮影カメラ6、表面検査用照明ライト8、表面検査用撮影カメラ9の動作を制御し、Oリング検査装置1の動作全体を制御する。
【0015】
吸着ヘッド11は、検査対象のOリング2を吸着する吸着面部11aを有し、制御部10から吸着指令信号を入力すると、Oリング2を真空吸着により吸着面部11aに吸着し、制御部10から吸着破壊指令信号を入力すると、吸着面部11aに吸着しているOリング2を吸着面部11aから自然落下させる(吸着破壊する)。尚、吸着ヘッド11がOリング2を吸着する際の吸着力はOリング2の重量や大きさ等に基づいて決定する。
【0016】
吸着ヘッド搬送機構12は、制御部10から搬送指令信号を入力すると、吸着ヘッド11を予め設定されている所定の搬送経路にしたがって搬送する(移動させる)。吸着ヘッド回転機構13は、制御部10から回転指令信号を入力すると、吸着ヘッド11を予め設定されている所定の回転方向(例えば時計回り方向)へ所定の回転角度(例えば60度)だけ回転させる。ワーク搬送機構14は、制御部10から搬送指令信号を入力すると、ケース部材3を予め設定されている所定の搬送経路にしたがって搬送する(移動させる)。ワーク回転機構15は、制御部10から回転指令信号を入力すると、ケース部材3を予め設定されている所定の回転方向(例えば時計回り方向)へ所定の回転角度(例えば60度)だけ回転させる。
【0017】
裏面検査用照明ライト5は、中空部5aを有する円環状に形成されており、Oリング2が吸着ヘッド11に吸着された状態で平面部材4の真上に位置している状態で、制御部10から照明指令信号を入力すると、光を上方向へ照射し、Oリング2の裏面2aの一部を平面部材4を通して照明する。裏面検査用撮影カメラ6は、Oリング2の裏面2aの一部が裏面検査用照明ライト5からの光が照射されている状態で、制御部10から撮影指令信号を入力すると、そのOリング2の裏面2aのうち裏面検査用照明ライト5からの光が照射されている領域を検査対象領域として撮影し、その撮影した映像を含む映像信号を制御部10へ出力する。この場合、裏面検査用照明ライト5が中空部5aを有する円環状に形成されていることで、裏面検査用撮影カメラ6の撮影視野が確保される。
【0018】
表面検査用照明ライト8は、裏面検査用照明ライト5と同様に、中空部8aを有する円環状に形成されており、Oリング2が吸着ヘッド11に吸着された状態で平面部材7の真下に位置している状態で、制御部10から照明指令信号を入力すると、光を下方向へ照射し、Oリング2の表面2bの一部を平面部材7を通して照明する。表面検査用撮影カメラ9は、Oリング2の表面2bの一部が表面検査用照明ライト8からの光が照射されている状態で、制御部10から撮影指令信号を入力すると、そのOリング2の表面2bのうち表面検査用照明ライト8からの光が照射されている領域を検査対象領域として撮影し、その撮影した映像を含む映像信号を制御部10へ出力する。この場合も、表面検査用照明ライト8が中空部8aを有する円環状に形成されていることで、表面検査用撮影カメラ9の撮影視野が確保される。
【0019】
次に、上記した構成の作用について、図3乃至図5を参照して説明する。本実施形態では、例えばエアガンにより高圧エアを噴付けること等でOリング2を洗浄する洗浄工程を終えた後に、洗浄工程が終えられたOリング2をケース部材3に組付ける組付工程を行う前後で、Oリング2に異物が付着しているか否かを検査する検査工程を行う。この場合、作業者が例えばパーソナルコンピュータを操作して制御部10に検査プログラムを実行させることで検査工程を行う。制御部10は、検査プログラムを開始すると、図3にフローチャートとして示す処理を実行する。
【0020】
制御部10は、検査プログラムを開始すると、搬送指令信号を吸着ヘッド搬送機構12へ出力し、洗浄工程が終えられたOリング2を吸着した吸着ヘッド11を吸着ヘッド搬送機構12により裏面検査位置(図1では「P1」にて示す位置)へ移動させ、Oリング2の裏面2aと平面部材4の平面4a(図1では上面)とが所定間隔(図1では「d1」にて示す)を存して平行となるように配置する(ステップS1)。ここでいう所定間隔は以下のようにして決定する。例えばケース部材3とカバー部材との気密又は水密を破壊し得ると想定される最小の異物が300[μm]程度の異物である、即ち、300[μm]未満の異物であればOリング2に付着していてもケース部材3とカバー部材との気密又は水密を保持し得るが、300[μm]以上の異物がOリング2に付着しているとケース部材3とカバー部材との気密又は水密を保持し得なくなるような場合であれば、その最小の異物を検出し得るように、所定間隔を300[μm]よりも小さい10[μm]〜100[μm]程度の範囲で決定する。
【0021】
次いで、制御部10は、照明指令信号を裏面検査用照明ライト5へ出力し、裏面検査用照明ライト5からの上方向への光の照射を開始し(ステップS2)、撮影指令信号を裏面検査用撮影カメラ6へ出力し、Oリング2の裏面2aのうち裏面検査用照明ライト5からの光が照射されている検査対象領域の撮影を開始する(ステップS3)。次いで、制御部10は、検査対象領域の撮影を開始したことに応じて、裏面検査用撮影カメラ6から映像信号を入力すると、その入力した映像信号から映像を抽出して解析し(ステップS4)、Oリング2に異物が付着しているか否かを判定する(ステップS5)。
【0022】
即ち、制御部10は、Oリング2の裏面2aのエッジを背景色との相違により抽出し、Oリング2の裏面2aの輪郭を検出した後に、Oリング2に異物が付着しているか否かを判定する。ここで、図4に示すように、Oリング2の裏面2aに異物Aが付着していれば、Oリング2の裏面2aと平面部材4の平面4aとが接することなく、Oリング2の裏面2aと平面部材4の平面4aとが所定間隔を存して近付くだけで、異物AがOリング2に埋もれることがなく、Oリング2と異物Aとの間に段差が形成されるので、制御部10は、その段差を検出することで、Oリング2の裏面2aに異物Aが付着していると判定可能となる。又、図5に示すように、Oリング2の側面2cに糸状の異物Bが下方へ延びるように(立下がるように、垂れるように)付着しており、その糸状の異物Bの長さがOリング2の裏面2aと平面部材4の平面4aとの間の所定間隔よりも長ければ、その糸状の異物Bが平面部材4の平面4aに接することで、その糸状の異物Bが撮影される領域が広げられるので、制御部10は、その広げられた領域を検出することで、Oリング2に異物Bが下方へ延びるように付着していると判定可能となる。
【0023】
制御部10は、このようにしてOリング2に異物が付着していると判定すると(ステップS5にて「YES」)、検査結果を否(検査対象のOリング2に異物が付着している)と特定し(ステップS6)、一連の処理を終了する。一方、制御部10は、Oリング2に異物が付着していないと判定すると(ステップS5にて「NO」)、Oリング2の裏面2aの全周について検査したか否かを判定し(ステップS7)、Oリング2の裏面2aの全周について検査していないと判定すると(ステップS7にて「NO」)、回転指令信号を吸着ヘッド回転機構13へ出力し、吸着ヘッド11を予め設定されている所定の回転方向へ所定の回転角度だけ吸着ヘッド回転機構13により回転させることで(ステップS8)、Oリング2の裏面2aにおける検査対象領域を回転させ、上記したステップS4に戻り、S4以降の処理を繰返して行う。即ち、制御部10は、1回あたりの回転角度が「60度」であれば、S4以降の処理を最大で6回行う。
【0024】
制御部10は、Oリング2の裏面2aの全周について検査したと判定すると(ステップS7にて「YES」)、撮影指令信号の裏面検査用撮影カメラ6への出力を停止し、Oリング2の裏面2aの撮影を終了し(ステップS9)、照明指令信号の裏面検査用照明ライト5への出力を停止し、裏面検査用照明ライト5からの上方向への光の照射を終了する(ステップS10)。制御部10は、このようにしてOリング2の裏面2aについて異物が付着しているか否かを検査する。
【0025】
次いで、制御部10は、搬送指令信号を吸着ヘッド搬送機構12へ出力し、裏面2aの検査が終えられたOリング2を吸着した吸着ヘッド11を吸着ヘッド搬送機構12により組付位置(図1では「P2」にて示す位置)へ移動させ、吸着破壊指令信号を吸着ヘッド11へ出力し、吸着面部11aに吸着しているOリング2を吸着面部11aからケース部材3の凹部3aへ自然落下させる(吸着破壊する)。
【0026】
次いで、制御部10は、搬送指令信号をワーク搬送機構14へ出力し、裏面2aについて異物が付着しているか否かの検査が終えられたOリング2が組付けられたケー部材3をワーク搬送機構14により表面検査位置(図1では「P3」にて示す位置)へ移動させ、Oリング2の表面2bと平面部材7の平面7a(図1では下面)とが所定間隔(図1では「d2」にて示す)を存して平行となるように配置する(ステップS11)。ここでいう所定間隔も、上記した理由により、最小の異物を検出し得るように300[μm]よりも小さい10[μm]〜100[μm]程度の範囲で決定する。
【0027】
次いで、制御部10は、照明指令信号を表面検査用照明ライト8へ出力し、表面検査用照明ライト8からの下方向への光の照射を開始し(ステップS12)、撮影指令信号を表面検査用撮影カメラ9へ出力し、Oリング2の表面2bのうち表面検査用照明ライト8からの光が照射されている検査対象領域の撮影を開始する(ステップS13)。次いで、制御部10は、検査対象領域の撮影を開始したことに応じて、表面検査用撮影カメラ9から映像信号を入力すると、その入力した映像信号から映像を抽出して解析し(ステップS14)、Oリング2に異物が付着しているか否かを判定する(ステップS15)。
【0028】
この場合も、制御部10は、Oリング2の表面2bのエッジを背景色との相違により抽出し、Oリング2の表面2bの輪郭を検出した後に、Oリング2に異物が付着しているか否かを判定する。ここで、Oリング2の表面2bに異物が付着していれば、Oリング2と異物との間に段差が形成されるので、制御部10は、その段差を検出することで、Oリング2の表面2bに異物が付着していると判定可能となる。又、Oリング2の側面2cに糸状の異物が上方へ延びるように(立上がるように)付着しており、その糸状の異物の長さがOリング2の表面2bと平面部材7の平面7aとの間の所定間隔よりも長ければ、その糸状の異物が平面部材7の平面7aに接することで、その糸状の異物Bが撮影される領域が広げられるので、制御部10は、その広げられた領域を検出することで、Oリング2に異物が上方へ延びるように付着していると判定可能となる。
【0029】
制御部10は、このようにしてOリング2に異物が付着していると判定すると(ステップS15にて「YES」)、この場合も、検査結果を否と特定し(ステップS6)、一連の処理を終了する。一方、制御部10は、Oリング2に異物が付着していないと判定すると(ステップS15にて「NO」)、Oリング2の表面2bの全周について検査したか否かを判定し(ステップS16)、Oリング2の表面2bの全周について検査していないと判定すると(ステップS16にて「NO」)、回転指令信号をワーク回転機構15へ出力し、ケース部材3を予め設定されている所定の回転方向へ所定の回転角度だけワーク回転機構15により回転させ(ステップ17)、上記したステップS14に戻り、S14以降の処理を繰返して行う。即ち、制御部10は、1回あたりの回転角度が「60度」であれば、S14以降の処理を最大で6回行う。
【0030】
制御部10は、Oリング2の表面2bの全周について検査したと判定すると(ステップS16にて「YES」)、撮影指令信号の表面検査用撮影カメラ9への出力を停止し、Oリング2の表面2bの撮影を終了し(ステップS18)、照明指令信号の表面検査用照明ライト8への出力を停止し、表面検査用照明ライト8からの下方向への光の照射を終了する(ステップS19)。制御部10は、このようにしてOリング2の表面2bについて異物が付着しているか否かを検査する。そして、制御部10は、Oリング2の裏面2a及び表面2bの双方について異物が付着していないと判定すると、検査結果を正(検査対象のOリング2に異物が付着していない)と特定し(ステップS20)、一連の処理を終了する。尚、検査結果が正と特定されたOリング2は次の工程へと進められる。
【0031】
以上に説明したように本実施形態によれば、Oリング2の裏面2aを検査する際に、Oリング2の裏面2aと平面部材4の平面4aとが所定間隔を存して平行となるように配置し、Oリング2の裏面2aに対して垂直な方向からOリング2の裏面2aを撮影し、その撮影した映像を解析してOリング2に異物が付着しているか否かを検査するようにしたので、たとえ異物がOリング2の裏面2aに付着していたとしても、その異物がOリング2に埋もれてしまうことがなく、Oリング2の裏面2aに付着している異物を適切に検出することができる。又、たとえ糸状の異物が下方向へ延びるように付着していたとしても、その糸状の異物が平面部材4の平面4aに接することで、その糸状の異物が撮影される領域を広げて糸状の異物を撮影することができ、Oリング2に下方向へ延びるように付着している糸状の異物を適切に検出することができる。Oリング2の表面2bを検査する際も、同様にして、Oリング2の表面2bに付着している異物を適切に検出することができ、Oリング2に上方向へ延びるように付着している糸状の異物を適切に検出することができる。又、Oリング2の裏面2a及び表面2bに対して垂直な方向(Oリング2の軸方向)から撮影することで、Oリング2の裏面2a及び表面2bに対して平行な方向(Oリング2の径方向)から撮影することなく、下方向又は上方向へ延びるように付着している糸状の異物を検出することができる。
【0032】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
Oリング2を部分的に撮影して映像を解析することに限らず、Oリング2の全周を一度に撮影して映像を解析するようにしても良い。
検査対象である弾性材料からなるシール部材としては、円環状で且つ断面が円形状に形成されているOリング2に限らず、どのような形状の部材であっても良い。
【符号の説明】
【0033】
図面中、1はOリング検査装置(弾性材料からなるシール部材の検査装置)、2はOリング(弾性材料からなるシール部材)、2aは裏面(シール面)、2bは表面(シール面)、4は平面部材、4aは平面、6は裏面検査用撮影カメラ(撮影手段)、7は平面部材、7aは平面、9は裏面検査用撮影カメラ(撮影手段)、10は制御部(映像解析手段、検査手段)、12は吸着ヘッド搬送機構(配置手段)、14はワーク搬送機構(配置手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性材料からなるシール部材(2)と透明材料からなる平面部材(4,7)とを、前記シール部材(2)のシール面(2a,2b)と前記平面部材(4,7)の平面(4a,7a)とが所定間隔を存して平行となるように配置し、当該シール部材(2)のシール面(2a,2b)に対して垂直な方向から当該シール部材(2)のシール面(2a,2b)を当該平面部材(4,7)を通して撮影し、その撮影した映像を解析して当該シール部材(2)に異物が付着しているか否かを検査することを特徴とする弾性材料からなるシール部材の検査方法。
【請求項2】
透明材料からなる平面部材(4,7)と、
弾性材料からなるシール部材(2)と前記平面部材(4,7)とを、前記シール部材(2)のシール面(2a,2b)と前記平面部材(4,7)の平面(4a,7a)とが所定間隔を存して平行に配置する配置手段(12,14)と、
前記シール部材(2)のシール面(2a,2b)に対して垂直な方向から当該シール部材(2)のシール面(2a,2b)を前記平面部材(4,7)を通して撮影する撮影手段(6,9)と、
前記撮影手段(6,9)により撮影された映像を解析する映像解析手段(10)と、
前記映像解析手段(10)の解析結果に基づいて前記シール部材(2)に異物が付着しているか否かを検査する検査手段(10)と、を備えたことを特徴とする弾性材料からなるシール部材の検査装置。
【請求項3】
前記シール部材(2)は、環状に形成されており、
前記検査手段(10)は、環状に形成されている前記シール部材(2)に異物が付着しているか否かを検査することを特徴とする請求項2に記載した弾性材料からなるシール部材の検査装置。
【請求項4】
前記シール部材(2)は、断面が円形状に形成されており、
前記検査手段(10)は、断面が円形状に形成されている前記シール部材(2)に異物が付着しているか否かを検査することを特徴とする請求項3に記載した弾性材料からなるシール部材の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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