説明

弾性柱状体

【課題】前記の如き課題を解消し、自転車や人等が衝突しても破損することなく、かつそれが設置された付近を通行する自転車や人等を視認することができる弾性柱状体を提供する。
【解決手段】前記柱状体1を、上端が開口した筒状体で形成すると共に、前記開口上端にキャップ12を被せ、該キャップ12は、柱状体1の上端開口を覆うキャップ本体121と、該キャップ本体121の下端部から垂下されて柱状体1の上端開口内に挿入され且つ前記柱状体1より硬質である筒状の脚部122とを備え、前記取付具3のバンド金具31は、前記脚部122に重合する上端位置において、柱状体1の側壁11に巻回しているため、バンド金具31を締め込んでいった時、バンド金具31が締まり過ぎることがなく、好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、道路の路側や公園や遊歩道、自転車道等の主として屋外で使用される弾性柱状体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の歩道への進入を物理的又は心理的に防止する弾性柱状体に関しては、数多くの発明がなされており、また強固な芯柱の周囲に弾性を有する合成樹脂を用いてカバーを形成し、車両のくい止め力を確保しつつ、車両や歩行者が衝突した場合の衝撃力を緩和する発明もまた種々なされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、弾性を有する合成樹脂製の中空外装体の中空部の途中まで剛性芯柱が挿入され、前記中空部の下部において前記剛性芯柱と外装体との間に外装保持体を介在させることによって外装体が剛性芯柱に一体的に保持され、中空部の上部には発泡弾性材が充填され、前記剛性芯柱の下部に固定部が設けられてなる弾性車止め支柱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−282428号公報
【特許文献2】特開平08−246423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の弾性車止めは、それが設置された付近を通行する自転車や人等の姿を弾性車止めを介して視認することはできない。かかる問題を解消するために、例えば特許文献2には、道路工事現場や建設現場等において、車両や歩行者に対して危険である場所であることを知らせ、その通行を制限するための設備として用いられるカラーコーンに、取付部材を介してミラーが取付けられたものが提案されている。
【0006】
しかしながら、上記ミラーが取付けられたカラーコーンについては、自転車や人等が衝突すると、カラーコーンが所定の位置から動いたり、カラーコーンが破損してしまうと言った問題があった。
【0007】
本発明は、前記の如き課題を解消し、自転車や人等が衝突しても破損することなく、かつそれが設置された付近を通行する自転車や人等を視認することができる弾性柱状体を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわち、本発明に係る弾性柱状体は、弾性を有する柱状体と、背面に鏡面支持部が突出された鏡面部と、柱状体の側壁に巻回されるバンド金具から鏡面部取付部が側方に向けて突設された取付具とを備え、前記鏡面部の鏡面支持部が取付具の鏡面部取付部に固定されて、鏡面部が柱状体の側壁に取付けられていることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明に係る弾性柱状体は、前記柱状体は、上端が開口した筒状体で形成されると共に、前記開口上端にキャップが被せられ、該キャップは、柱状体の上端開口を覆うキャップ本体と、該キャップ本体の下端部から垂下されて柱状体の上端開口内に挿入され且つ前記柱状体より硬質である筒状の脚部とを備え、前記取付具のバンド金具は、前記脚部が重合する上端位置において、柱状体の側壁に巻回されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明に係る弾性柱状体は、前記鏡面部の背面に設けられた鏡面支持部が弾性体で形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、弾性を有する柱状体と、背面に鏡面支持部が突出された鏡面部と、柱状体の側壁に巻回されるバンド金具から鏡面部取付部が側方に向けて突設された取付具とを備え、前記鏡面部の鏡面支持部を取付具の鏡面部取付部に固定して、鏡面部を柱状体の側壁に取付けているため、自転車や人が衝突しても、柱状体が弾性変形して、当該柱状体及び鏡面部の破損が低減される。
【0012】
また、本発明によれば、前記柱状体を、上端が開口した筒状体で形成すると共に、前記開口上端にキャップを被せ、該キャップは、柱状体の上端開口を覆うキャップ本体と、該キャップ本体の下端部から垂下されて柱状体の上端開口内に挿入され且つ前記柱状体より硬質である筒状の脚部とを備え、前記取付具のバンド金具は、前記脚部が重合する上端位置において、柱状体の側壁に巻回しているため、すなわち、硬質の脚部が重合されて、弾性変形する柱状体の変形が当該脚部によって抑制される上端位置に、バンド金具が巻回されているため、当該バンド金具を強固に締め付けることができる。
【0013】
また、本発明によれば、前記鏡面部の背面に設けた鏡面支持部を弾性体で形成しているため、鏡面支持部に自転車や人が衝突しても、自転車が破損したり、人がケガをしたりするのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る弾性柱状体の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の、(イ)は正面図、(ロ)平面図、(ハ)は右側面図である。
【図3】本発明に係る弾性柱状体の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照し、具体的に説明する。
本発明に係る弾性柱状体Pは、道路の路側や公園や遊歩道、自転車道等の主として屋外で使用され、1は弾性を有する柱状体、2は背面に鏡面支持部21が突出された鏡面部、3は柱状体1の上端部において上下にそれぞれ取付けられた計2個の取付具であって、各取付具3は、柱状体1の側壁11に巻回される帯状のバンド金具31と、その両端から相対向して側方に向けて、すなわち鏡面部2の方向に突出された2個の縦板状の突片321からなる鏡面部取付部32とを備えたものである。かように、本形態に係る弾性柱状体Pは、柱状体1と、鏡面部2と、取付具3とを備え、前記鏡面部2の鏡面支持部21が取付具3の鏡面部取付部32に固定されて、鏡面部2が柱状体1の側壁11に取付けられているものである。
【0016】
柱状体1は、上端と下端とが開口した筒状体で形成されると共に、開口した柱状体1の上端に被せられるキャップ12と、柱状体1の下端に取付けられるベース部13とを備えている。
【0017】
前記キャップ12は、柱状体1の上端開口を覆う半球ドーム状のキャップ本体121と、該キャップ本体121の下端部から垂下されて柱状体1の上端開口内に挿入され且つ前記柱状体1より硬質である筒状の脚部122とを備え、キャップ本体121の下部側面には溝部123が周設され、該溝部123に再帰反射性を有するガラス製のビーズを帯状の合成樹脂成形体に埋設した反射体R1が巻着されて、夜間における視認性を高めるようになされている。
【0018】
前記ベース部13は、高さの低い円柱体からなるベース部本体131と、ベース部本体131の下面から突設されたアンカーボルトBと、該アンカーボルトBに螺着される有底のアンカーナットNとを備え、ベース部本体131の側面には溝部132が周設され、該溝部132に、前記キャップ部12と同様に、再帰反射性を有するガラス製のビーズを帯状の合成樹脂成形体に埋設した反射体R2が巻着されて、夜間における視認性を高めるようになされている。そして、ベース部本体131の下面が路面等の設置面に当接されると共に、アンカーナットNが設置面に埋設されて、弾性柱状体Pが設置される。なお、弾性柱状体Pの高さは約800mm、外径は約80mmである。
【0019】
ここで、柱状体1は、車両、自転車、通行人等の衝突に対して弾性変形するように、弾性を有するものであれば特に限定されるものではなく、天然ゴムやブタジエンスチレンゴム、ネオプレン、ブタジエンアクリロニトリルゴム、クロロプレン重合体、ブチルゴム、エチレンプロピレンターポリマー、ウレタン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、シリコン樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、エラストマー等の各種合成ゴムや合成樹脂等からなる弾性材やそれらを発泡させたもの等を、成形の条件等を考慮して適宜用いてよい。また、廃タイヤ、工場廃材等の再生材料やそれらをチップ状に処理したものを用いてもよい。またキャップ12及びベース部13は、柱状体1より硬質の材料で形成されていればよく、成形の容易さ及び耐久性等に優れる熱可塑性合成樹脂が好適に用いられ、例えばポリウレタン樹脂を用いて射出成形することで形成される。
【0020】
また上述の如く前記鏡面部2は、その背面から突出された鏡面支持部21が、柱状体1の側壁11に巻回された取付具3のバンド金具31から側方に向けて突設された鏡面部取付部32に固定されて、鏡面部2が柱状体1の側壁11に取付けられているのであるが、さらに詳しく説明すると、前記取付具3のうち、上方に取付けられた取付具3は、キャップ本体121の下端部から垂下されて柱状体1の上端開口内に挿入され且つ前記柱状体1より硬質である筒状の脚部122が重合する上端位置において、そのバンド金具31が柱状体1の側壁11に巻回されている。かようにすることで、バンド金具31をボルト・ナット等の固定具Kをもって締め込んでいった時、弾性変形する柱状体1の変形が、上端位置においては、当該柱状体1に重合された硬質の脚部122によって抑制されるので、当該バンド金具31を強固に締め付けることができる。なお、脚部122と柱状体1の側壁11とが重合している位置においてバンド金具31が締め付けられていればよいので、前記脚部122の長さを、できるだけ長くして、バンド金具31の幅全体が当該重合する部分にかかった状態で締め付けるようにしてもよいし、また下方にも重合する部分を設け、下方の取付具3も当該重合する部分でバンド金具31を締め付けるようにしてもよいし、図3に示されるように、脚部122の長さを短くして、上方の取付具3において、そのバンド金具31の半分の幅程度が当該重合する部分にかかった状態で締め付けるようにしてもよい。
【0021】
また前記鏡面部2の背面に設けられた鏡面支持部21は弾性体で形成されているため、鏡面支持部21に自転車や人が衝突しても、自転車が破損したり、人がケガをしたりするのを防止することができるようになされている。なお、鏡面支持部21は弾性体であれば特に限定されるものではなく、天然ゴムやブタジエンスチレンゴム、ネオプレン、ブタジエンアクリロニトリルゴム、クロロプレン重合体、ブチルゴム、エチレンプロピレンターポリマー、ウレタン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、シリコン樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、エラストマー等の各種合成ゴムや合成樹脂等からなる弾性材やそれらを発泡させたもの等を、成形の条件等を考慮して適宜用いてよいことは言うまでもない。
【0022】
また本実施形態における鏡面部2は、縦長矩形状のポリカーボネート樹脂板の背面にアルミニウム合金を蒸着させて形成した凸面鏡22であり、該凸面鏡22は、例えばウレタン樹脂等の柔軟な素材で形成された額縁23でその外周が覆われているので、人の手や足が鏡面部2に当接しても、手を切ったりしてケガをすること防止するようになされている。
【0023】
また鏡面支持部21と凸面鏡22との固定についても、特に限定されるものではないが、本実施形態においては、鏡面支持部21をクロロプレンゴムで形成し、凸面鏡22をポリカーボネート樹脂で形成しているので、アクリル変成シリコーン樹脂系の接着剤を用いて接着し、鏡面支持部21と凸面鏡22とを固定している。鏡面支持部21と凸面鏡22とが本実施形態とは別の材質で形成される場合には、接着剤を適宜選定して鏡面支持部21と凸面鏡22とを固定すればよい。
【0024】
また上述の如く取付具3は、柱状体1の側壁11に巻回される帯状のバンド金具31から突出された2個の縦板状の突片321からなる鏡面部取付部32が鏡面部2の方向に向けて形成されている。そして、鏡面部取付部32の基端側、すなわち柱状体1側には円形の通孔322が設けられ、鏡面部取付部32の先端側、すなわち鏡面部2側には横長の長孔323が設けられて、該通孔に挿入される固定具Kにより、バンド金具31を締め付けて取付具3を柱状体1の側壁11に固定するようにし、前記長孔323に挿入される固定具Kにより、鏡面部2を各取付具3に取付けると共に、当該固定具Kを長孔323の範囲で横方向にそれぞれ動かすことにより、上下方向に角度調整するようになされている。また、相対向して突設された2個の突片321の隙間には、その隙間を埋める弾性体からなるスペーサー33が挿着されている。かようにすることによって、人の指が隙間に入らないようになされ、また2個の突片321がスペーサー33を挟みつけることにより、適度な押圧力でバンド金具31を柱状体1に締め付けることができる。スペーサー33には、一般にはポリエチレン等の軟質の熱可塑性合成樹脂やその発泡体、エラストマー、ゴム等と言った材料から形成される。
【0025】
なお、本実施形態においては、鏡面部取付部32の先端側に長孔323を設けているが、これは取付具3を上下に2個用いて鏡面部2を柱状体1に取付けているので、鏡面部2を上下方向に角度調整するために、孔形状を長孔にする必要があるが、取付具3を1個用いて鏡面部2を柱状体1に取付ける場合は、特に孔形状を長孔にする必要はなく、円形の孔とすればよいことは言うまでもない。また、取付具3を左右対称に分割し、バンド金具31の部分を蝶番状に軸支すれば、柱状体1の上方から取付具3を挿着するのみならず、柱状体1の側方から取付具3を取付けることができ、好ましい。
【符号の説明】
【0026】
1 柱状体
11 側壁
12 キャップ
121 キャップ本体
122 脚部
123 溝部
13 ベース部
131 ベース部本体
132 溝部
2 鏡面部
21 鏡面支持部
22 凸面鏡
23 額縁
3 取付具
31 バンド金具
32 鏡面部取付部
321 突片
322 通孔
323 長孔
33 スペーサー
P 弾性柱状体
B アンカーボルト
N アンカーナット
R1 反射体
R2 反射体
K 固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有する柱状体と、背面に鏡面支持部が突出された鏡面部と、柱状体の側壁に巻回されるバンド金具から鏡面部取付部が側方に向けて突設された取付具とを備え、前記鏡面部の鏡面支持部が取付具の鏡面部取付部に固定されて、鏡面部が柱状体の側壁に取付けられていることを特徴とする弾性柱状体。
【請求項2】
前記柱状体は、上端が開口した筒状体で形成されると共に、前記開口上端にキャップが被せられ、該キャップは、柱状体の上端開口を覆うキャップ本体と、該キャップ本体の下端部から垂下されて柱状体の上端開口内に挿入され且つ前記柱状体より硬質である筒状の脚部とを備え、前記取付具のバンド金具は、前記脚部が重合する上端位置において、柱状体の側壁に巻回されていることを特徴とする請求項1に記載の弾性柱状体。
【請求項3】
前記鏡面部の背面に設けられた鏡面支持部が弾性体で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の弾性柱状体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−154088(P2012−154088A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13673(P2011−13673)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.カラーコーン
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】