説明

弾性舗装補修用舗装材料および弾性舗装の補修方法

【課題】短い施工時間で、既存弾性舗装体表面の雨天時等のウェット状態でのすべり抵抗性を回復することのできる弾性舗装補修用舗装材料および弾性舗装の補修方法を提供する。
【解決手段】既設弾性舗装体上に敷設される舗装材料であって、光硬化材料を主成分とし、硬質骨材を含む弾性舗装補修用舗装材料である。光硬化材料は、好適には光重合性官能基を有する反応性ポリマー並びに/またはモノマーおよびオリゴマーと、光重合開始剤とからなる。既設弾性舗装体上に、上記弾性舗装補修用舗装材料を塗布し、硬化させる弾性舗装の補修方法である。硬化は、太陽光または紫外線の照射により行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は弾性舗装補修用舗装材料および弾性舗装の補修方法(以下、単に「舗装材料」および「補修方法」とも称する」に関し、詳しくは、ウェット時におけるすべり抵抗性(ウェットμ)の改良に係る弾性舗装補修用舗装材料および弾性舗装の補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加硫ゴムを粉末またはチップ状にして利用する方法として、これらを骨材として使用し、ウレタンやエポキシ等の硬化性樹脂をバインダーとして用いた低騒音弾性舗装が知られている。また、ゴムチップをバインダーと混合してプレス成形した弾性舗装体が、歩道や運動場、車道等で使用されている。
【0003】
これら粉末またはチップ状の加硫ゴムを用いた弾性舗装は、加硫ゴムの有する弾力性により歩行時の衝撃吸収性や転倒時の安全性といった優れた効果を奏するとともに、内部に空隙を有することから、排水性および通気性に加えて吸音性にも優れ、そのためタイヤと路面内で発生する騒音の低減にも有効であるため、都市部での交通騒音低減のための機能性弾性舗装材としても注目されている。
【0004】
弾性舗装材料に係る改良技術としては、例えば、特許文献1に、濡れた状態での弾性舗装材のすべり摩擦係数の低下が小さく、高いすべり摩擦係数を長期間維持することができる弾性舗装材の提供を目的として、弾性舗装材を、(A)弾性骨材、(B)硬質骨材、(C)水酸基両末端ジエン系ポリマーから誘導される構造部分を含有し、その含有量が、水酸基両末端ジエン系ポリマー基準で、バインダー全体の30〜70重量%の範囲内に設定されているウレタン系バインダー、および(D)カーボンブラックを用いて成形する技術が開示されている。また、特許文献2には、表面が摩耗、老朽、劣化又は損傷した弾性舗装面を補修するにあたり、補修対象面に、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、又はアクリル/ウレタン系樹脂よりなる表面処理樹脂を含む表面被覆層を形成する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2005−264565号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】特開2004−68280号公報(特許請求の範囲等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、弾性舗装においては、雨天時において、すべり抵抗が経時的に低下してしまうという問題があった。これに対し、その補修方法として、舗装表面にトップコートを塗布する技術も提案されているが、このトップコート材料は硬化時間が長いために、交通開放までに時間がかかるという難点があり、十分なものではなかった。
【0006】
そこで本発明の目的は、短い施工時間で、既存弾性舗装体表面の雨天時等のウェット状態でのすべり抵抗性を回復することのできる弾性舗装補修用舗装材料および弾性舗装の補修方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、舗装材料の主成分として光硬化材料を用いることで、既存弾性舗装体のウェット時すべり抵抗性を短時間で回復することのできる弾性舗装補修用舗装材料および弾性舗装の補修方法が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の弾性舗装体補修用舗装材料は、既設弾性舗装体上に敷設される舗装材料であって、光硬化材料を主成分とし、硬質骨材を含むことを特徴とするものである。
【0009】
本発明の舗装材料においては、好適には、前記光硬化材料が光重合性官能基を有する反応性ポリマー並びに/またはモノマーおよびオリゴマーと、光重合開始剤とからなり、この場合、より好適には、前記光重合性官能基を有する反応性ポリマー並びに/またはモノマーおよびオリゴマー100重量部に対し、前記硬質骨材30〜200重量部および光重合開始剤0.5〜5重量部を含む。また、前記光重合性官能基を有する反応性ポリマー並びに/またはモノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレートモノマーまたはその重合体が好適である。
【0010】
また、本発明の弾性舗装の補修方法は、既設弾性舗装体上に、上記本発明の弾性舗装補修用舗装材料を塗布し、硬化させることを特徴とするものである。本発明の補修方法においては、前記硬化を、太陽光または紫外線の照射により好適に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上記構成としたことにより、短い施工時間で、既設弾性舗装体表面の雨天時等のウェット状態でのすべり抵抗性を回復することのできる弾性舗装補修用舗装材料および弾性舗装の補修方法を実現することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明の弾性舗装補修用舗装材料は、光硬化材料を主成分とし、硬質骨材を含むものであり、既設弾性舗装体上に敷設することで、弾性舗装を短時間で補修して、その表面のウェット時すべり抵抗性(ウェットμ)を回復することが可能である。
【0013】
本発明に用いる光硬化材料としては、特に制限されるものではなく、慣用の材料のうちから適宜選択して用いることができる。具体的には、光硬化材料は、(a)重クロム酸塩系感光性樹脂、(b)光分解型感光性樹脂、(c)光二量化型感光性樹脂、(d)光重合型感光性樹脂に分類される。
【0014】
このうち(a)重クロム酸塩系感光性樹脂としては、ゼラチン、グルー、卵白、アラビアゴム、セラミックなどの天然高分子、あるいは、PVA(ポリビニルアルコール)、ポリアクリルアミドのような合成高分子に、重クロム酸アンモニウムあるいは重クロム酸カリウムを加えたものを挙げることができる。また、(b)光分解型感光性樹脂としては、芳香族ジアゾニウム塩系樹脂、o−キノンジアジド類樹脂、アジド化合物含有樹脂があり、(c)光二量化型感光性樹脂としては、桂皮酸エステル系樹脂が挙げられる。
【0015】
さらに、(d)光重合型感光性樹脂としては、不飽和二重結合のラジカル重合反応を利用した光ラジカル重合系組成物、二重結合へのチオール基の付加反応を利用した光付加反応系組成物、および、エポキシ基の開環付加反応(カチオン重合)を利用した光カチオン重合系組成物等が挙げられる。光重合型感光性樹脂は、一般に、光重合性官能基を有する反応性ポリマー、光重合性官能基(好ましくは(メタ)アクリロイル基)を有する化合物(モノマーおよびオリゴマー)、光重合開始剤、および、所望により他の添加剤から構成される。
【0016】
光重合性官能基を有する反応性ポリマーとしては、例えば、アルキルアクリレート(メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等)および/またはアルキルメタクリレート(メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等)から得られる単独重合体または共重合体(即ち、アクリル樹脂)であって、かつ、主鎖または側鎖に光重合性官能基を有するものを挙げることができる。このような重合体は、例えば、1種以上の(メタ)アクリレートと、ヒドロキシル基等の官能基を有する(メタ)アクリレート(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等)とを共重合させ、得られた重合体とイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートなどの、重合体の官能基と反応しかつ光重合性基を有する化合物と反応させることにより得ることができる。従って、光重合性官能基をウレタン結合を介して有するアクリル樹脂が好ましい。
【0017】
かかる反応性ポリマーは、光重合性官能基を通常1〜50モル%、特には5〜30モル%含むことが好ましい。この光重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基が好ましく、特にアクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。また、この反応性ポリマーのガラス転移温度は、一般に20℃以下であり、数平均分子量は通常5000〜1000000、好ましくは10000〜300000であり、また、重量平均分子量は通常5000〜1000000、好ましくは10000〜300000である。
【0018】
光重合性官能基を有する化合物の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエトキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジプロポキシジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス〔(メタ)アクリロキシエチル〕イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマー類、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、ビスフェノールAポリエトキシジオール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオール類、前記ポリオール類とコハク酸、マレイン酸、イタコン酸、アジピン酸、水添ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の多塩基酸またはこれらの酸無水物類との反応物であるポリエステルポリオール類、前記ポリオール類とε−カプロラクトンとの反応物であるポリカプロラクトンポリオール類、前記ポリオール類と前記多塩基酸またはこれらの酸無水物類のε−カプロラクトンとの反応物、ポリカーボネートポリオール、ポリマーポリオール等)と有機ポリイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4’−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2’−4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)と水酸基含有(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメチロールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等)の反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応物であるビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートオリゴマー類等を挙げることができる。これら光重合可能な官能基を有する化合物は1種又は2種以上、混合して使用することができる。
【0019】
光重合開始剤としては、公知のどのような光重合開始剤でも使用することができるが、配合後の貯蔵安定性の良いものが望ましい。このような光重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、イソプロピルチオキサントン、2−4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系、アシルホスフィンオキサイド系、その他特殊なものとしては、メチルフェニルグリオキシレートなどが使用できる。特に好ましくは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾフェノン等が挙げられる。これら光重合開始剤は、必要に応じて、4−ジメチルアミノ安息香酸などの安息香酸系または、第3級アミン系などの公知慣用の光重合促進剤の1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。また、光重合開始剤のみを1種または2種以上混合して使用することができる。
【0020】
光重合開始剤のうち、アセトフェノン系重合開始剤としては、上記の他、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン等が挙げられ、ベンゾフェノン系重合開始剤としては、上記の他、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。また、アシルホスフィンオキサイド系としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド等の化合物が挙げられる。
【0021】
上記アセトフェノン系重合開始剤の中でも、特に、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1が好ましい。また、上記ベンゾフェノン系重合開始剤の中でも、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチルが好ましい。
【0022】
さらに、第3級アミン系の光重合促進剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルなどが使用できる。特に好ましくは、光重合促進剤としては、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。以上のように、光重合開始剤は、通常、上記3成分を組み合わせることにより使用する。
【0023】
また、カチオン重合系の化合物として、オキセタン環を1個有する重合性モノマーの具体例としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、4−メトキシ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル〕フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。オキセタン環を2個有する重合性モノマーの具体例としては、1,4−ビス{〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕メチル}ベンゼン、ビス{〔(1−エチル)3−オキセタニル〕メチル}エーテル、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕ベンゼン、1,3−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕ベンゼン、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、1,2−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕エタン、1,2−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレンビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ブタン、1,6−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ヘキサン、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールFビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。オキセタン環を3乃至5個有する重合性モノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
【0024】
また、グリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、例えば、芳香族核を有する多価フェノール類またはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等が挙げられる。具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールS、ビスフェノールフルオレンまたはこれらフェノール類のアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールまたはそのアルキレンオキサイド付加体等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル;ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコールまたはこれらグリコールのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリンまたはこれら3価アルコールのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル;ペンタエリスリトールのジ、トリまたはテトラグリシジルエーテル等の多価アルトールまたはそのアルキレンオキサイド付加体のポリグリシジルエーテル;ノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック樹脂;並びにこれら化合物の芳香族核がハロゲン置換された化合物;などが挙げられる。
【0025】
さらに、脂環式エポキシ化合物としては、例えば、シクロへキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素や過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物等が挙げられる。具体的には、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシ化テトラベンジルアルコール、ラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ラクトン変性エポキシ化テトラヒドロベンジルアルコール、シクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。また、カチオン重合系の化合物としては、スピロオルトカーボネート化合物も使用可能である。
【0026】
カチオン重合系の光重合開始剤の市販品としては、例えば、ユニオンカーバイド社製のUVI−6950、UVI−6970(ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ)−フェニルスルフィド]、UVI−6974(ビス[4−ジフェニルスルホニオ]−フェニル)スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネートとジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートとの混合物)、UVI−6990(UVI6974のヘキサフルオロホスフェイトの塩)、旭電化
業(株)製のアデカオプトマーSP−151、SP−170(ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ)−フェニルスルフィド]、SP−150(SP−170のヘキサフルオロホスフェイト)、チバガイギー社製のIrgacure 261(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(1+)−ヘキサフルオロフォスフェート(1−))、日本曹達(株)製のCI−2481、CI−5102、CI−2855、CI−2064CD−1010、サートマー社製のKI85、CD−1011、CD−1012(4−(2−ヒドロキシテトラデカニルオキシ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート)、みどり化学(株)製のDTS−102、DTS−103、NAT−103、NDS−103((4−ヒドロキシナフチル)−ジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)、TPS−102(トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェイト)、TPS−103(トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)、MDS−103(4−メトキシフェニル−ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)、MPI−103(4−メトキシフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート)、BBI−101(ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート)、BBI−102(ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート)、BBI−103(ビス(4−tert−フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート)、デグサ社製のDegacure K126(ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)−フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェイト)、ローディア社製のロードシルフォトイニシエータ2074等の商品名で入手できるものが挙げられる。これらは、1種単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
本発明において使用する硬質骨材としては、特に制限はなく、川砂利、川砂等の天然の骨材や砕石、スラグ、コンクリート、ガラス、FRP等のリサイクル骨材を使用することができる。この硬質骨材に使用する石材、砂等は、完成した舗装の強度、耐摩耗性を確保し、表面に露出して防滑作用を得るためのものである。石材は互いに噛み合って荷重を分散させる機能を持つことが好ましく、このため、砕石のような尖った形状で硬い物が適当である。また、粒径0.5〜30mmの粗粒骨材に対して、粒径0.5mm以下の細粒骨材を5体積%以上混合することが好ましい。粗粒骨材は、互いに噛み合って隙間を形成するような、砕石のような尖った形状で硬いものが適当であり、一方、細粒骨材は、大型の粗粒骨材の表面に付着してタイヤ等に対して防滑作用(サンドペーパーのような研磨効果)をもたらすこととなる。なお、本発明の舗装材料には、本発明の効果を阻害しない範囲で、粒径1mm以下程度のゴムを配合してもよい。
【0028】
本発明の舗装材料は、好適には、光重合性官能基を有する反応性ポリマー並びに/またはモノマーおよびオリゴマー100重量部に対し、硬質骨材30〜200重量部および光重合開始剤0.5〜5重量部を含み、光重合性官能基を有する反応性ポリマー並びに/またはモノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレートモノマーまたはその重合体を好適に用いることができる。また、本発明の舗装材料を弾性舗装体上に敷設する際の厚みとしては、例えば、0.5〜3.0mm程度とすることができる。
【0029】
また、本発明の弾性舗装の補修方法は、既設弾性舗装体上に、上記弾性舗装補修用舗装材料を塗布して、硬化させることにより行う。具体的には、上記光硬化材料と、硬質骨材との混合物を既設弾性舗装体上に塗布し、太陽光により硬化させるか、または、紫外線を照射することにより硬化させる。施工を日中に行う場合には、太陽光に0.5〜3.0時間程度曝すことで硬化させることができ、また、紫外線照射により硬化を促進する場合には、2〜15秒間程度の短時間出効果を完了させることが可能である。紫外線照射を行う際の光源としては、例えば、超高圧,高圧,低圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、マーキュリーハロゲンランプ、カーボンアーク灯、白熱灯、レーザー光等を用いることができ、特には、高圧水銀灯またはメタルハライドランプが、広範囲の舗装面に短時間で照射を行うことができるため好適である。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
下記表1に示す配合成分を混合して、既設弾性舗装体の表面に塗布し、硬化させた。その後、この補修済み弾性舗装体表面について、ダイナミックフリクションテスター(DFT)により、60km/h走行時におけるウェット状態でのすべり抵抗試験を行った(DFT測定)。その結果を、下記の表1中に併せて示す。なお、比較例1は、既設の弾性舗装体表面についての評価結果である。
【0031】
【表1】

*1)ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、製品名 SR344、サートマー社製
*2)Irgacure184、チバスペシャリティケミカルズ社製
【0032】
上記表1に示すように、光硬化材料を主成分とする舗装材料を用いて補修を行った弾性舗装体においては、補修を行っていない比較例1の弾性舗装体に比し、DFT測定において高いウェットμが得られており、短い硬化時間でウェットμを向上させることができることが確かめられた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設弾性舗装体上に敷設される舗装材料であって、光硬化材料を主成分とし、硬質骨材を含むことを特徴とする弾性舗装補修用舗装材料。
【請求項2】
前記光硬化材料が光重合性官能基を有する反応性ポリマー並びに/またはモノマーおよびオリゴマーと、光重合開始剤とからなる請求項1記載の弾性舗装補修用舗装材料。
【請求項3】
前記光重合性官能基を有する反応性ポリマー並びに/またはモノマーおよびオリゴマー100重量部に対し、前記硬質骨材30〜200重量部および光重合開始剤0.5〜5重量部を含む請求項2記載の弾性舗装補修用舗装材料。
【請求項4】
前記光重合性官能基を有する反応性ポリマー並びに/またはモノマーおよびオリゴマーが、メチル(メタ)アクリレートモノマーまたはその重合体である請求項2または3記載の弾性舗装補修用舗装材料。
【請求項5】
既設弾性舗装体上に、請求項1〜4のうちいずれか一項記載の弾性舗装補修用舗装材料を塗布し、硬化させることを特徴とする弾性舗装の補修方法。
【請求項6】
前記硬化を太陽光の照射により行う請求項5記載の弾性舗装の補修方法。
【請求項7】
前記硬化を紫外線の照射により行う請求項5記載の弾性舗装の補修方法。

【公開番号】特開2007−170010(P2007−170010A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367984(P2005−367984)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】