説明

弾性表面波共振子

【課題】本発明は、Q値が高い弾性表面波共振子を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明の弾性表面波共振子は、対向する一対のバスバー11と、それぞれのバスバー11から他方のバスバー11側へ交互に延出された複数の電極指12を有する櫛型電極13とを備え、前記それぞれのバスバー11から延びる電極指12が交差する前記櫛型電極13の交差領域14における外側部分の交差幅を内側部分の交差幅より小さく設定し、前記電極指12の延伸方向に他方のバスバー11から延出したダミー電極15を配置するとともに、このダミー電極15が設けられた部分をダミー領域16とし、前記ダミー領域16におけるダミー電極15とこのダミー電極15と隣り合う電極指12とのピッチを前記交差領域14における電極指12間ピッチより広くしたことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器等に使用される弾性表面波共振子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の弾性表面波共振子としては、図4に示すように櫛型電極1の交差幅が中央部で大きく、左右両側に行くに従って一様に小さくなるように重み付けされ、非交差領域2にダミー電極3を配置していた。
【0003】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開平6−85602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の弾性表面波共振子においては、交差領域と非交差領域2で電極ピッチが同じであるため、ダミー領域の反射特性におけるストップバンドの周波数に交差領域の放射コンダクタンスのピーク周波数がほぼ一致してしまい、交差領域で励振された弾性表面波がダミー領域を通過してしまう。
【0005】
すなわち、弾性表面波が櫛型電極1の外部にもれてしまうため、弾性表面波共振子のQ値が劣化してしまうという課題を有していた。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、弾性表面波共振子のQ値を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0008】
本発明の請求項1に記載の発明は、対向する一対のバスバーと、それぞれのバスバーから他方のバスバー側へ交互に延出された複数の電極指を有する櫛型電極とを備え、前記それぞれのバスバーから延びる電極指が交差する前記櫛型電極の交差領域における外側部分の交差幅を内側部分の交差幅より小さく設定し、前記電極指の延伸方向に他方のバスバーから延出したダミー電極を配置するとともに、このダミー電極が設けられた部分をダミー領域とし、前記ダミー領域におけるダミー電極とこのダミー電極と隣り合う電極指とのピッチを前記交差領域における電極指間ピッチより広くしたことを特徴とするもので、この構成によれば、交差領域の放射コンダクタンスのピーク周波数をダミー領域の反射領域内に位置させることができるため、エネルギーの閉じ込め効果が高くなり、これにより、弾性表面波共振子のQ値を向上させることができるという作用効果が得られるものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明の弾性表面波共振子は、ダミー領域におけるダミー電極とこのダミー電極と隣り合う電極指とのピッチを交差領域における電極指間ピッチより広くしたため、弾性表面波共振子のQ値を向上させることができるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明の一実施の形態における弾性表面波共振子を形成するインターデジタルトランスデューサ(以下、IDTと称する)のパターン図であり、このIDTは圧電性基板(図示せず)上に設けられた一対のバスバー11と、それぞれのバスバー11から他方のバスバー11側へ交互に延出された複数の電極指12を有する櫛型電極13とを備え、それぞれのバスバー11から延びる電極指12が交差する破線で囲まれた交差領域14における外側部分の交差幅を内側部分の交差幅より小さく設定し、電極指12の延伸方向に他方のバスバー11から延出したダミー電極15を配置したアポダイズ重み付け構成となっている。
【0011】
なお、交差領域14における電極指12の電極ピッチおよび電極幅はともに一定としている。
【0012】
そして、このIDTにおいては、ダミー電極15が設けられる部分、すなわち隣接するダミー電極15の先端部分を結ぶ包絡線とバスバー11で囲まれる部分をダミー領域16とし、図2に示されるごとくダミー領域16におけるダミー電極15とこのダミー電極15と隣り合う電極指12とのピッチp1を交差領域14における電極指12間ピッチp2より広くなるように設定している。
【0013】
このような構成とすることで、ダミー領域16の反射効率が最大となる周波数が低下し、結果として図3に示されるようにダミー領域16での弾性表面波の反射特性を周波数の低い側へシフトさせる(17a→17b)ことができ、交差領域14の放射コンダクタンス18のピーク周波数をダミー領域16の反射領域内に位置させることができるため、エネルギーの閉じ込め効果が高くなり、これにより、弾性表面波共振子のQ値を向上させることができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明に係る弾性表面波共振子は、Q値が高いという効果を有するものであり、通信機器等に使用される弾性表面波共振子等において有用となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態における弾性表面波共振子を構成するIDTのパターン図
【図2】同IDTの部分拡大図
【図3】同IDTの周波数特性図
【図4】従来の弾性表面波共振子を構成するIDTのパターン図
【符号の説明】
【0016】
11 バスバー
12 電極指
13 櫛型電極
14 交差領域
15 ダミー電極
16 ダミー領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対のバスバーと、それぞれのバスバーから他方のバスバー側へ交互に延出された複数の電極指を有する櫛型電極とを備え、前記それぞれのバスバーから延びる電極指が交差する前記櫛型電極の交差領域における外側部分の交差幅を内側部分の交差幅より小さく設定し、前記電極指の延伸方向に他方のバスバーから延出したダミー電極を配置するとともに、このダミー電極が設けられた部分をダミー領域とし、前記ダミー領域におけるダミー電極とこのダミー電極と隣り合う電極指とのピッチを前記交差領域における電極指間ピッチより広くしたことを特徴とする弾性表面波共振子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate