説明

弾性表面波装置及び通信装置

【課題】リップルを低減しつつ、挿入損失劣化を低減し、通過帯域幅が広く、優れた弾性表面波装置を提供する。
【解決手段】弾性表面波素子Aにおいて、電極群21の少なくとも一端に位置するIDT電極32の電極指ピッチは、当該電極群21の他のIDT電極31及び分離電極61の平均電極指ピッチより狭い。中間電極45の電極指ピッチは、当該分離電極61の両側に隣接する電極群21,22の端部に位置するIDT電極32,33の電極指ピッチより広い。弾性表面波素子Aに縦続接続される弾性表面波素子Bも同様の構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波装置及びこれを備えた通信装置に関するものである。前記通信装置には、例えば携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistance)等の移動体通信機器があげられる。
【背景技術】
【0002】
近年、小形化,無調整化を図ることができる弾性表面波フィルタが各種通信装置に使用されるようになっている。
そして、通信装置の高周波化,高機能化の進展にともない、弾性表面波フィルタを広帯域化する要求が益々増大してきている。
例えば、1.9GHz帯の携帯電話機用フィルタとしては、実効通過帯域幅が80MHz以上(比帯域幅約4%以上)もある広帯域フィルタが望まれている。
【0003】
このような広帯域化を実現するために、例えば、圧電基板上に3つのIDT(Inter Digital Transducer)電極を設け、励振する弾性表面波の共振周波数の異なる縦1次モードと縦3次モードとの2つの共振モードを利用した2重モード共振器型弾性表面波フィルタが提案されている。
図7に、従来の2重モード共振器型弾性表面波フィルタの電極構造の平面図を示す。圧電基板202上に弾性表面波素子が2段設けられている。上段の弾性表面波素子には、複数の電極指を有するIDT電極203〜207が配置されている。下段の弾性表面波素子には、複数の電極指を有するIDT電極208〜212が配置されている。
【0004】
IDT電極203〜212は、互いに対向させ噛み合わせた一対の櫛歯状電極からなり、この一対の櫛歯状電極に電界を印加し弾性表面波を生じさせるものである。
上段のIDT電極203,205,207の一方の櫛歯状電極に接続された入力端子215から電気信号を入力することにより、励振された弾性表面波がIDT電極204,206に伝搬され、IDT電極204,206で電気信号が発生する。
【0005】
IDT電極204,206と下段のIDT電極209,211とは、それぞれ接続されており、IDT電極204,206で発生した電気信号は、IDT電極209,211を駆動し、IDT電極209,211から弾性表面波を励振させる。
IDT電極209,211から励振された弾性表面波は、下段のIDT電極210,208,212に伝搬し、出力端子216へ電気信号が出力される。
【0006】
このように、共振器電極パターンを2段縦続接続することにより、1段目と2段目の定在波の相互干渉を避けることができる。したがって、1段目で減衰された帯域外信号が2段目でさらに減衰され,帯域外減衰量を約2倍に向上させることができる。
なお、図中220〜223はそれぞれ反射器電極である。上段において、反射器電極220,221により弾性表面波が反射され、両端の反射器電極間で定在波となる。下段においても、反射器電極222,223により弾性表面波が反射され、両端の反射器電極間で定在波となる。
【0007】
この定在波のモードには、3つのIDT電極により1次モードとその高次(3次)モードが含まれる。
これらのモードで発生する共振により通過特性が得られるため、これらのモードで発生する共振周波数の間隔を制御することにより通過帯域を広くすることができる。
従来、共振周波数の間隔を制御するために、IDT電極の端部に狭ピッチ部を設け、表面波がバルク波に変換されるときのバルク波の放射損失を低減させて広帯域化を図っていた。
【0008】
また、他の方法としてIDT電極間の間隔の制御により、共振周波数の間隔を制御していた。
また、さらに他の方法として出力用のIDT電極に容量を付加させて共振周波数の間隔を制御していた。
従来の2重モード共振器型弾性表面波フィルタでは、圧電基板としてよく使用されるLiTaO基板を用いた場合で、2段縦続した場合は、比帯域幅(中心周波数に対する通過帯域幅の値)は約0.40%(例えば、特許文献1を参照)、また、容量の付加を行った場合でも高々2%程度しか得られないものであった(例えば、特許文献2を参照。)。
【0009】
また、IDT電極間の間隔を制御した場合、最大の比帯域幅3.7%が得られているが(例えば、特許文献3を参照。)、フィルタとしては温度変動を考慮しなければならず、また製造された電極形状のばらつきにより周波数が変動することから、広い通過帯域幅が必要な携帯電話機等の通信装置への適用には無理があった。
そこで、隣り合うIDT電極の端部に電極指の狭ピッチ部を設けることにより、IDT電極間におけるバルク波の放射損失を低減して、共振モードの状態を制御することにより広帯域化及び挿入損失の改善が図られている(例えば、特許文献4,5を参照)。
【0010】
また、広帯域低損失で高域側の帯域外減衰量の大きな弾性表面波フィルタを提供するために、IDT電極間に反射器電極を挿入する例も提案されている(例えば、特許文献6を参照)。
【特許文献1】特開平1−231417号公報
【特許文献2】特開平4−40705号公報
【特許文献3】特開平7−58581号公報
【特許文献4】特開2002−9587号公報
【特許文献5】特表2002−528987号公報
【特許文献6】特開平8−250969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献4,5に開示されている弾性表面波装置では、IDT電極の端部に狭ピッチ部を設けると、弾性表面波的には結合した状態で電極指ピッチが異なる部分が存在するため、通過帯域におけるフィルタ特性のリップルが大きくなり、肩特性が劣化して平坦な特性が得られない。
また、IDT電極の端部に狭ピッチ部を設けるだけでは、弾性表面波の励振に利用できる基本的な共振モードの数が縦1次モードと縦3次モードに限定され、他の共振モードが利用できないので、設計の自由度が小さくなっていた。そのため、広帯域化するには限界があった。
【0012】
また、特許文献6に開示されているような弾性表面波装置では、IDT電極間に反射器電極を挿入しただけでは伝搬路長が長くなるため、伝搬損失が大きくなり、フィルタ特性においては挿入損失が増大し、通過帯域幅が減少して好ましくない。
なお、充分な帯域幅を確保するために3つのIDT電極に代えて5つのIDT電極を用いることも考えられるが、やはり同様に伝搬路長が長くなるため、伝搬損失が大きくなり、フィルタ特性においては挿入損失が増大し、さらには弾性表面波フィルタのサイズが大きくなり好ましくない。
【0013】
このように、従来、広帯域化するため用いられてきた手段としては、隣接するIDT間の距離を短くするか、IDT電極の端部に狭ピッチ部を設けていたが、弾性表面波的には結合した状態で電極指ピッチが異なる部分が存在するためリップルが大きくなっていた。
また、従来用いられているIDT電極は、電極指1本おきにバスバーを介して接続されているが、IDT電極の電極指本数が多くなると、共振器内である程度の割合を占有することとなり、出現することが許される共振モードが制約される。しかし、弾性表面波フィルタの設計において、通過帯域を形成するのに用いることができる共振モードの選択には自由度があることが望ましい。
【0014】
一般に共振器型の弾性表面波フィルタは、弾性表面波の振幅の分布が共振モードの現れる周波数を決めており、弾性表面波の振幅分布は、IDT電極配置及びIDT電極の接続形態により制御が可能となる。特にIDT電極を互いに接続した場合、この接続により特定の弾性表面波の振幅分布の出現を抑制したり、増加させたりすることができる。
本発明は上述した従来の諸問題に鑑み提案されたものであって、その目的はリップルを低減しつつ、かつ挿入損失の劣化を生じず、通過帯域幅の広い優れたフィルタ特性を有し、高品質な平衡型弾性表面波フィルタとしても機能できる弾性表面波装置及びそれを用いた通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の弾性表面波装置は、圧電基板上の弾性表面波の伝搬方向に沿って弾性表面波素子が配置され弾性表面波装置であって、前記弾性表面波素子は、2つ以上の電極群と、前記電極群の間に配置された中間電極とを含み、前記各電極群は、弾性表面波の伝搬方向に対して直交する方向に伸びる電極指をかみ合わせたIDT電極を少なくとも両端に有するとともに、前記弾性表面波の伝搬方向に沿って前記IDT電極の間に配置された分離電極を有する。
【0016】
前記電極群の少なくとも一端に位置する前記IDT電極の電極指ピッチは、当該電極群の他のIDT電極及び分離電極の平均電極指ピッチより狭く、前記中間電極の電極指ピッチは、当該分離電極の両側に隣接する前記電極群の端部に位置する前記IDT電極の電極指ピッチより広い。
ここでIDT電極や反射器電極の「電極指ピッチ」とは、隣り合う電極指において、一方の電極指の弾性表面波の伝搬方向での中心位置から他方の電極指の中心位置までの距離をさすものとする。1つのIDT電極や反射器電極で電極指ピッチが均一でなく、一定の範囲で分布している場合があるが、この場合、「電極指ピッチ」は、当該IDT電極や反射器電極内で平均をとった値とする。
【0017】
また、「平均電極指ピッチ」とは、複数のIDT電極の電極指ピッチ又は複数の反射器電極の電極指ピッチを、平均した値とする。
上記構成の弾性表面波装置によれば、電極群において分離電極を設けることにより、共振モードの選択の自由度が広がり、弾性表面波振幅分布の制御の自由度が増し、結果としてリップルを低減しつつ広帯域化することができる。よって、フィルタ特性の広範囲な制御を行うことができる。
【0018】
なお、異なる電極群に属する分離電極同士は、電気的に接続するか、電気的に接続しない非接続の構成を採用することにより、さらに共振モード選択の自由度を大きくすることができる。
また、広帯域化しようとして無理に共振モードの間の間隔を広げようとすると、共振ピークと共振ピークの間の伝送特性であるS21が低下してしまう傾向があるが、上述したように、共振モードの選択の自由度が大きいので、ある程度以上の間隔をあけて共振周波数を配置することが可能(広帯域特性に適した共振周波数の配置が容易)となり、結果として広帯域化するのに有利となる。
【0019】
さらに、1つの電極群において、電極群の一端又は両端のIDT電極の電極指ピッチを、それ以外の電極の平均電極指ピッチより小さく設定したことにより、弾性表面波からバルク波への変換量を減らし、変換に基づく放射損失を防ぐことが可能となり、結果としてフィルタ特性の通過帯域幅を広帯域化できる。
また、電極群の間に中間電極を配置し、中間電極の電極指ピッチを、隣接する電極群端部のIDT電極の電極指ピッチより広くすることにより、通過帯域における共振ピークを最適な位置に配置調整することが可能となり、結果としてリップルを低減しつつフィルタ特性の通過帯域幅を広帯域化できる。
【0020】
また、前記電極群は、隣合う2つの前記IDT電極または隣合う前記IDT電極と前記反射器電極とが互いに電極指ピッチが異なりかつ互いに電気的に非接続であるようにすれば、共振モードの選択の自由度が大きくなり、弾性表面波的な結合はそのままで電気的な結合が切離されていることにより、リップルを低減し、特に肩特性を向上させることができるため、結果として広帯域化を実現することができる。
【0021】
また、前記弾性表面波素子が複数段配置されてなり、これら複数段の弾性表面波素子の前記中間電極同士が電気的に接続されている構成であれば、例えば1段目から2段目につながる経路を増やすことができ、通過帯域の設計の自由度が増し、より効果的に通過帯域幅を広げることができる。
また、前記弾性表面波素子に対して、直列、並列又は直並列に、1つ以上のモード共振を発生させる弾性表面波共振子を接続して付加することにより、インピーダンス整合がとれるようになり、弾性表面波共振子を接続することで減衰極を形成することが可能であり、帯域外減衰量が高減衰で要求される仕様を満たすように特性を制御できる。
【0022】
また、例えば、少なくとも1つのIDT電極を構成する複数本の相対する櫛歯状電極の内、一方の櫛歯状電極を分割し、分割した櫛歯状電極を入力及び出力の平衡信号へと接続される電極とすることにより、不平衡−平衡信号の変換器の機能を有した弾性表面波装置を提供できる。
また、例えば、弾性表面波の伝搬方向に沿って配置させた1段目と2段目の電極群(例えば、複数のIDT電極と反射器電極とから構成)において、一方の電極群を他方の電極群に対して平行移動させた場合、双方の電極群がほぼ一致するように配置させると、挿入損失,振幅バランス,位相バランスともに著しく優れた弾性表面波装置を提供できる。さらに、フィルタ特性の通過帯域幅を広帯域化した品質的にも優れた弾性表面波装置を実現することができる。
【0023】
以上により、前記弾性表面波装置を有する受信回路や送信回路を備えた通信機等の通信装置の感度が格段に良好となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の弾性表面波装置について、共振器型の弾性表面波フィルタを例にとり説明する。
なお、以下に説明する図面において、各電極の大きさ、電極間の距離、電極指の本数・間隔等については、説明のために模式的に図示したものである。
図1〜図3は、本発明の弾性表面波装置が形成された圧電基板1の主面の電極配置を示す平面図である。なお、本明細書で「主面」とは、板状の圧電基板1の表面である電極形成面のことをいう。
【0025】
以下、弾性表面波装置の実装構造を説明するにあたり、図1の電極配置を例にとって説明する。
図1に示すように、圧電基板1の主面には、複数の電極群21〜26と、反射器電極2〜5と、分離電極61〜68と、中間電極45〜48と、電極群22,25に電気的に接続される入力電極6及び出力電極7とが形成されている。
【0026】
さらに図示しないが、圧電基板1の主面には、前記電極群21〜26、反射器電極2〜5、分離電極45〜48、入力電極6、出力電極7を取り囲むように四角枠状の環状電極が形成されている。
一方、この弾性表面波装置を実装するための実装用基板(図示せず)には、前記圧電基板1の入力電極6、出力電極7に対向する位置に、所定の導体パッドが設けられ、前記圧電基板1の環状電極に対向する位置に、所定の環状導体が設けられている。
【0027】
これらの電極群21〜26、反射器電極2〜5、分離電極45〜48、入力電極6、出力電極7及び環状電極が形成された弾性表面波装置を、実装用基板に対してフェースダウン実装する。すなわち、圧電基板1の主面上の環状電極を、実装用基板上の所定の環状導体に対して半田等を用いて接合することにより、電極群21〜26、分離電極45〜48、入力電極6及び出力電極7を、環状電極等で囲まれる封止空間内に閉じ込めるとともに、入力電極6及び出力電極7を、実装用基板側の所定の導体パッドに電気的に接続する。
【0028】
前記弾性表面波フィルタ用の圧電基板1としては、36°±3°YカットX伝搬タンタル酸リチウム単結晶、42°±3°YカットX伝搬タンタル酸リチウム単結晶、64°±3°YカットX伝搬ニオブ酸リチウム単結晶、41°±3°YカットX伝搬リチウム単結晶、45°±3°XカットZ伝搬四ホウ酸リチウム単結晶が、電気機械結合係数が大きく、かつ、周波数温度係数が小さいため圧電基板として好ましい。
【0029】
また、これらの圧電単結晶のうち、酸素欠陥を発生させたり、Fe等を固溶させたりして焦電性を著しく減少させた基板であれば、電極が放電破壊される可能性が減少し、デバイスの信頼性が良好である。
圧電基板1の厚みは0.1mm〜0.5mm程度がよく、0.1mm未満では圧電基板がもろくなり、0.5mm超では材料コストと部品寸法が大きくなる。
【0030】
また、IDT電極及び反射器電極は、AlもしくはAl合金(Al−Cu系、Al−Ti系)からなり、蒸着法、スパッタ法、又はCVD法などの薄膜形成法により圧電基板1上に形成される。電極厚みは0.1μm〜0.5μm程度とすることが弾性表面波フィルタとしての特性を得る上で好適である。
さらに、圧電基板1上の電極部にSiO,SiN,Si,Alを保護膜として形成して、導電性異物による通電防止や耐電力向上を図ることもできる。
【0031】
なお、本発明の弾性表面波装置の実装構造は、前述した環状電極等で囲まれた封止構造の態様に限定されるものではない。
このようにして、弾性表面波装置を実装した弾性表面波フィルタが構成される。
以下、本発明の弾性表面波装置の電極構造を、図1〜図3を参照しながら、詳細に説明する。
【0032】
図1(b)に示すように、弾性表面波装置は、1段目の弾性表面波素子Aと2段目の弾性表面波素子Bとが縦続接続された構造を備えている。
1段目の弾性表面波素子Aにおいては、圧電基板1上に、電極群21〜23を、弾性表面波の伝搬方向に沿って並べて配置してなる。各電極群21〜23は、弾性表面波の伝搬方向に対して直交する方向に延びる複数の電極指を櫛歯状にかみ合わせたIDT電極31〜37及び分離電極61〜64を含む。
【0033】
この図では、分離電極61〜64は、反射器電極2〜5と同様の形状をしているが、弾性表面波の伝搬方向に対して直交する方向に伸びる電極指をかみ合わせたIDT電極の形状を有するものであってもよい。
電極群21は、電気的に接続されたIDT電極31,32からなる電極群と分離電極61により構成される。それとともに、IDT電極31とIDT電極32が互いに電気的に接続されている。
【0034】
電極群22は、IDT電極33,34,35からなる電極群と分離電極62,63により構成される。IDT電極33,34,35は、互いに入力端子6により電気的に接続されている。
また、電極群21においては、隣合う2つのIDT電極31と反射器電極61とが互いに電極指ピッチが異なり電気的に非接続であり、隣合う2つのIDT電極32と反射器電極61とが互いに電極指ピッチが異なりかつ互いに電気的に非接続である。他の電極群22,電極群23においても同様の構成を有している。
【0035】
電極群23は、IDT電極36,37からなる電極群と分離電極64により構成される。それとともに、IDT電極36と37が互いに電気的に接続されている。
また、隣り合う電極群に属するIDT電極32,33の間に、中間電極45を配置してなり、隣り合う電極群に属するIDT電極35,36の間に、中間電極46を配置してなる。
【0036】
この図では、中間電極45,46は、電極指を櫛歯状にかみ合わせたIDT電極の形状を有しているが、反射器電極2〜5と同様の形状を有していても良い。
そして、1段目の弾性表面波素子Aの両端部には、弾性表面波の伝搬方向に対して直交する方向に長い電極指を複数本備え、電極指ピッチが等ピッチの反射器電極2,3が配置されている。
【0037】
2段目の弾性表面波素子Bにおいては、圧電基板1上に、電極群24〜26を、弾性表面波の伝搬方向に沿って並べて配置してなる。各電極群24〜26は、弾性表面波の伝搬方向に対して直交する方向に延びる複数の電極指を櫛歯状にかみ合わせたIDT電極38〜44及び分離電極65〜68を含む。
この図では、分離電極65〜68は、反射器電極2〜5と同様の形状をしているが、弾性表面波の伝搬方向に対して直交する方向に伸びる電極指をかみ合わせたIDT電極の形状を有するものであってもよい。
【0038】
電極群24は、電気的に接続されたIDT電極38,39からなる電極群と分離電極65により構成される。それとともに、IDT電極38とIDT電極39が互いに電気的に接続されている。
電極群25は、IDT電極40,41,42からなる電極群と分離電極66,67により構成される。IDT電極40,41,42は、互いに出力端子7に電気的に接続されている。
【0039】
電極群26は、IDT電極43,44からなる電極群と分離電極68により構成される。それとともに、IDT電極43,44が互いに電気的に接続されている。
また、隣り合う電極群に属するIDT電極39,47の間に、中間電極47を配置してなり、隣り合う電極群に属するIDT電極42,43の間に、中間電極48を配置してなる。
【0040】
また、電極群24においては、隣合う2つのIDT電極38と反射器電極65とが互いに電極指ピッチが異なり電気的に非接続であり、隣合う2つのIDT電極39と反射器電極65とが互いに電極指ピッチが異なりかつ互いに電気的に非接続である。他の電極群25,電極群26においても同様の構成を有している。
この図では、中間電極47,48は、電極指を櫛歯状にかみ合わせたIDT電極の形状を有しているが、反射器電極2〜5と同様の形状を有していても良い。
【0041】
そして、2段目の弾性表面波素子Bの両端部には、弾性表面波の伝搬方向に対して直交する方向に長い電極指を複数本備えた反射器電極4,5が配置されている。
さらに、1段目と2段目に属する中間電極45と47とは、接続電極により接続され、1段目と2段目に属する中間電極46と48とは、接続電極により接続されている。これにより、段間の接続が行われる。
【0042】
なお、IDT電極31〜44、中間電極45〜48、反射器電極2〜5の電極指ピッチ(隣り合う電極指において、一方の電極指の中心位置から他方の電極指の中心位置までの距離をいう)は、各電極内では一定(等ピッチ)であるものとする。
なお、電極群を構成する分離電極61〜68は、図1に示すように接地されているが、浮いている状態でも、段間接続に用いられてもかまわない。反射器電極2〜5が電気的に接続されておらず、浮いている状態の場合は、配線の引き回しが容易になる利点がある。
【0043】
本発明では、これらの電極構成において、次のような構造上の特徴がある。
図1(a)は、各段を構成するIDT電極、分離電極及び中間電極の電極指ピッチの分布を示すグラフである。
各電極群において、少なくとも一方の端(片方の端又は両端)に位置するIDT電極の電極指ピッチは、当該電極群における他の全ての電極の平均電極指ピッチより狭くなっている。
【0044】
また、中間電極の電極指ピッチは、隣接する電極群端部のIDT電極の電極指ピッチより広くなっている。
また、中間電極を挟んで隣り合う2つのIDT電極(これらは別の電極群に属する)は、互いに電極指ピッチが異なっており、かつ互いに電気的に非接続としている。
以下、さらに具体的に説明する。
【0045】
例えば、電極群21において、片方の端に位置するIDT電極32の電極指ピッチは、当該電極群における他の全ての電極(IDT電極31,反射器電極61)の平均電極指ピッチより狭い。
電極群22において、両端に位置するIDT電極33,35の電極指ピッチは、当該電極群における他の全ての電極(IDT電極34,分離電極62,63)の平均電極指ピッチより狭い。
【0046】
電極群23において、一方の端に位置するIDT電極36の電極指ピッチは、当該電極群における他の全ての電極(IDT電極37,反射器電極64)の平均電極指ピッチより狭い。
2段目の電極群24〜26においても、同様に、少なくとも一方の端(片方の端又は両端)に位置するIDT電極の電極指ピッチは、当該電極群における他の全ての電極の平均電極指ピッチより狭くなっている。
【0047】
また、電極群の間に存在する中間電極45の電極指ピッチが、隣接するIDT電極32,33の電極指ピッチより広くなっている。また、IDT電極46の電極指ピッチが隣接するIDT電極35,36の電極指ピッチより広くなっている。
また、2段目においても、IDT電極47の電極指ピッチがIDT電極39,40の電極指ピッチより広く、IDT電極48の電極指ピッチがIDT電極42,43の電極指ピッチより広くなっている。
【0048】
さらに、中間電極45を挟んで隣り合う2つのIDT電極32,33は互いに電極指ピッチが異なるように設定され、中間電極46を挟んで隣り合う2つのIDT電極35,36も互いに電極指ピッチが異なるように設定されている。
2段目についても同様に、中間電極47を挟んで隣り合う2つのIDT電極39,40は互いに電極指ピッチが異なるようにし、中間電極48を挟んで隣り合う2つのIDT電極42,43も互いに電極指ピッチが異なるようにした。
【0049】
以上に説明した電極構造に基づく効果を説明する。
まず、各段の弾性表面波素子A,Bを、それらを構成する個々の電極群21〜23,24〜26に分離し、電極群21〜23,24〜26同士を段間接続したことにより、共振モード選択の自由度が大きくなり、そのため弾性表面波振幅分布の制御の自由度が増し、フィルタ特性の制御に利用することが可能となる。
【0050】
共振モード選択の自由度が大きければ、ある程度以上の間隔をあけて共振周波数を配置することが可能となり、結果として広帯域化するのに有利となる。
つまり、1段目から2段目につながる経路を増やすことができ、通過帯域の設計の自由度が増し、より効果的に通過帯域幅を広げることができる。
さらに、1つの電極群において、電極群の一端又は両端のIDT電極の電極指ピッチを、それ以外の電極の平均電極指ピッチより小さく設定したことにより、弾性表面波からバルク波への変換量を減らし、変換に基づく放射損失を防ぐことが可能となり、結果としてフィルタ特性の通過帯域幅を広帯域化できる。
【0051】
また、隣接する電極群の間に中間電極45〜48を配置し、中間電極45〜48の電極指ピッチを、両側に隣接するIDT電極の電極指ピッチより広くすることにより、通過帯域における共振ピークの位置を調整することが可能となり、結果としてリップルを低減しつつ、フィルタ特性の通過帯域幅を広帯域化できる。
また、中間電極45〜48を挟んで隣り合う2つのIDT電極32,33;35,36;39,40;42,43を、互いに電極指ピッチが異なるようにしたので、共振モードの選択の自由度が大きくなる。かつ互いに電気的に非接続としたので、リップルを低減し、特に肩特性を向上させることができるため、結果として広帯域化を実現することができる。低挿入損失を維持しながら、帯域を広げられる。
【0052】
図2は上記電極構造の変形例を説明する図である。
図1の電極構造と異なるところは、2段目の弾性表面波素子Bにおける電極群の中央に位置するIDT電極41のうち、IDT電極41を構成する一方の櫛歯状電極を2分割して、平衡入出力に対応させるようにしたことを特徴としている。
図中の10,10は2分割された櫛歯状電極41につながる出力端子を示している。
【0053】
この構造においても、図1の構造と同様、電極群の一方の端又は両端に位置するIDT電極の平均電極指ピッチが、他のIDT電極及び反射器電極の平均電極指ピッチより小さくなっており、かつ電極群の間に中間電極を配置してなり、中間電極の電極指ピッチが、隣接するIDT電極の電極指ピッチより広くなっている。
図2の電極構造では、図1の電極構造と同様の広帯域化の効果に加えて、さらに2段目の共振器型弾性表面波フィルタBの中央に位置するIDT電極41の一方の櫛歯状電極を2分割したので、弾性表面波フィルタを平衡入出力に対応させることが可能となる。
【0054】
図3、図4は、電極構造のさらに他の変形例を説明する図である。図1(b)との違いは、電極構成が1段構成からなることである。
図3に示す共振器型弾性表面波フィルタは、図1(b)に示す1段目の弾性表面波素子Aと同様の構造を有する。すなわち、この図3の弾性表面波フィルタにおいても、電極群の一方の片端又は両端に位置するIDT電極の電極指ピッチが、当該電極群の他のIDT電極の平均電極指ピッチより小さく、電極群の間に中間電極を配置してなり、中間電極の電極指ピッチが、隣接するIDT電極の電極指ピッチより広く、かつ中間電極を挟んで隣接するIDT電極が電気的に接続されない構造になっている。
【0055】
さらに、IDT電極31,32,36,37に対して直列又は並列に、1つ以上のモード共振を発生させる共振子12,13を接続している。各共振子12,13は、IDT電極と該IDT電極を挟む反射器電極とから成る。
入力端子9は、共振子12に接続されており、平衡出力端子10,10は、共振器型弾性表面波フィルタの中央に位置するIDT電極34の一対の櫛歯状電極にそれぞれ接続されている。
【0056】
図4の弾性表面波フィルタにおいては、図3の共振器型弾性表面波フィルタとほぼ同様の構成をとるが、図3と違うところは、共振器型弾性表面波フィルタの中央のIDT電極34のうち、IDT電極34を構成する一方の櫛歯状電極を2分割して、平衡入出力に対応させるようにしたことである。
上記図3、図4の構造では、挿入損失の劣化を低減し、フィルタ特性の通過帯域幅を広帯域化でき、さらには品質的に優れた弾性表面波フィルタを提供できる。
【0057】
また、弾性表面波共振子12,13を直列及び並列に付加することにより、インピーダンス整合がとれるようになるとともに、複数のIDT電極、反射器電極の電極指ピッチを調整することにより、減衰極を複数形成し、その形成を制御することができる。よって、帯域外減衰量が高減衰で、より高度に要求される仕様を満たす設計が可能になる。
なお、本発明の弾性表面波フィルタの電極構造は、図示された態様に限定されるものではない。
【0058】
例えば段数は、図示した物に限られず、さらに多数段に構成することもできる。
また、弾性表面波共振子の付加方法として、1つ以上の共振子を組合せて直列もしくは並列、又は直並列に付加すればよく、上記構造ではラダー型回路に弾性表面波共振子を付加したラダー型弾性表面波共振子であるが、ラティス型回路になるようにしてラティス型弾性表面波共振子としてもよい。
【0059】
なお、上述した電極構造の説明では、弾性表面波装置として弾性表面波フィルタを例にとり説明したが、弾性表面波共振器にも好適に適用可能である。
また、電極群に1つの分離電極を配置し、隣接する電極群の2つのIDT電極の間に、前記IDT電極に電気的に非接続の中間電極を配置してなる例を示したが、これに限定されるものではなく、中間電極及び反射器電極の2種を複数配置するようにしてもよい。
【0060】
また、本発明の弾性表面波フィルタは、受信回路又は送信回路の少なくとも一方を備える通信装置に適用することができる。
例えば、送信信号をミキサでキャリア周波数に混合し、不要信号をバンドパスフィルタで減衰させ、その後、パワーアンプで送信信号を増幅して、デュプレクサを通ってアンテナより送信する送信回路において、本発明の弾性表面波フィルタを、前記バンドパスフィルタとして用いることができる。
【0061】
また、電波をアンテナで受信し、デュプレクサを通った受信信号をローノイズアンプで増幅し、その後、バンドパスフィルタで不要信号を減衰して、ミキサでキャリア周波数から信号を分離し、この信号を取り出す受信回路において、本発明の弾性表面波フィルタを、前記バンドパスフィルタとして用いることができる。
これらのバンドパスフィルタに、本発明の弾性表面波装置を採用すれば、分離度と感度が向上した優れた通信装置を提供できる。
【実施例】
【0062】
<実施例1>
図1に示す弾性表面波フィルタを試作した。
38.7°YカットのX方向伝搬LiTaO単結晶の圧電基板をアセトン・IPA(イソプロピルアルコール)等によって超音波洗浄し、有機成分を落とした。次に、クリーンオーブンによって充分に基板乾燥を行った後、電極の成膜を行った。
【0063】
電極の成膜にはスパッタリング装置を使用し、Al(99質量%)−Cu(1質量%)合金から成る材料を用いた。このときの電極膜厚は約0.30μmとした。
次に、フォトレジストを約0.5μmの厚みにスピンコートし、縮小投影露光装置(ステッパー)により、所望形状にパターニングを行い、現像装置にて不要部分のフォトレジストをアルカリ現像液で溶解させ、所望パターンを表出した後、RIE装置により電極膜のエッチングを行い、パターニングを終了し、電極パターンを得た。
【0064】
この後、前記電極の所定領域上に保護膜を作製した。すなわち、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置により、電極パターン及び圧電基板上にSiOを約0.02μmの厚みに形成した。
その後、フォトリソグラフィによってフォトレジストのパターニングを行い、RIE装置等でフリップチップ実装用の窓開け部のエッチングを行った。
【0065】
その後、スパッタリング装置を使用し、Alを主体とする電極を成膜した。このときの電極膜厚は約1.0μmとした。その後、フォトレジスト及び不要箇所のAlをリフトオフ法により同時に除去し、電極パッドを完成した。
次に、上記電極パッドにAuからなるフリップチップ用バンプを、バンプボンディング装置を使用し形成した。バンプの直径は約80μm、その高さは約30μmであった。
【0066】
次に、圧電基板をダイシング線に沿ってダイシング加工を施し、チップごとに分割した。その後、各チップをフリップチップ実装装置にて電極形成面を下面にして実装基板に接着した。その後、N雰囲気中でベーキングを行い、弾性表面波フィルタを完成した。
なお、実装基板は2.5×2.0mm角のセラミック製の積層構造のものを用いた。
図5(a)に、弾性表面波フィルタを構成するIDT電極及び反射器電極の電極指ピッチを示す。
【0067】
図5(a)において、白い柱状グラフは図1(b)の1段目の弾性表面波素子Aを構成する各電極ピッチを表し、黒い柱状グラフは図1(b)の2段目の弾性表面波素子Bを構成する各電極ピッチを表す。横軸に付けた番号は、図1(b)の弾性表面波素子A,Bを構成する各電極の番号に対応する。
1段目のIDT電極31,32,33,34,35,36,37の電極指ピッチは、それぞれ2.21μm,2.07μm,2.02μm,2.21μm,2.02μm,2.07μm,2.21μmとした。
【0068】
また、反射器電極型の分離電極61,62,63,64の電極指ピッチは、それぞれ2.22μm,2.10μm,2.10μm,2.22μmとした。
また、電極群の間に配置した中間電極45,46の電極指ピッチは、2.13μmとした。
同様に、2段目のIDT電極38,39,40,41,42,43,44の平均電極指ピッチは、それぞれ2.21μm,2.08μm,2.02μm,2.21μm,2.02μm,2.08μm,2.21μmとした。
【0069】
また、分離電極となる反射器電極65,66,67,68の平均電極指ピッチは、それぞれ2.22μm,2.10μm,2.10μm,2.22μmとした。
また、電極群の間に配置した中間電極47,48の平均電極指ピッチは、2.13μmとした。
また、弾性表面波共振子の両側に配置した反射器電極2,3,4,5の平均電極指ピッチは、それぞれ2.20μm,2.20μm,2.21μm,2.21μmとした。
【0070】
以上の構成からわかるように、電極群の少なくとも片方の端に位置するIDT電極(IDT電極32,33,35,36,39,40,42,43)の電極指ピッチが、当該電極群の他の全ての電極の平均電極指ピッチより狭くなっている。
また、中間電極(IDT電極45,46,47,48)の電極指ピッチが、隣接する電極群端部のIDT電極の電極指ピッチより広くなっている。
【0071】
比較用サンプルとして、図1(b)に示すような微細電極パターンを上記と同様な工程で作製した。
図5(b)に、比較例1の弾性表面波装置を構成するIDT電極及び反射器電極の電極指ピッチの分布を示す。
1段目のIDT電極31,32,33,34,35,36,37の電極指ピッチは、それぞれ2.21μm,2.07μm,2.01μm,2.19μm,2.01μm,2.07μm,2.21μmとした。
【0072】
また、反射器電極型の分離電極61,62,63,64の電極指ピッチは、それぞれ2.10μm,2.13μm,2.13μm,2.10μmとした。
また、電極群の間に配置した中間電極45,46の電極指ピッチは、2.19μmとした。
同様に、2段目のIDT電極38,39,40,41,42,43,44の電極指ピッチは、それぞれ2.21μm,2.12μm,2.04μm,2.20μm,2.04μm,2.12μm,2.21μmとした。
【0073】
また、反射器電極型の分離電極65,66,67,68の電極指ピッチは、それぞれ1.88μm,2.23μm,2.23μm,1.88μmとした。
また、電極群の間に配置した中間電極47,48の電極指ピッチは、2.06μmとした。
また、弾性表面波共振子の両側に配置した反射器電極2,3,4,5の電極指ピッチは、2.21μmとした。
【0074】
この比較例1においては、2段目の弾性表面波素子Bにおいて、電極群の少なくとも片方の端に位置するIDT電極39,43の電極指ピッチが、当該電極群の他の全ての電極の平均電極指ピッチより狭くなっていないで、広くなっている。
また、2段目の弾性表面波素子Bにおいて、中間電極47,48の電極指ピッチが、両側に隣接する電極群端部のIDT電極の電極指ピッチより広くなっていない。つまり片側に隣接する電極群端部のIDT電極39,43の電極指ピッチより狭くなっている。
【0075】
本実施例1及び比較例1における弾性表面波フィルタの特性測定を行った。
0dBmの信号をフィルタに入力し、周波数780MHz〜960MHz、測定ポイントを800ポイントの条件にて測定した。サンプル数は30個、測定機器はアジレント・テクノロジー社製マルチポート・ネットワークアナライザE5071Aである。
通過帯域近傍の周波数特性グラフを図6に示す。ここで、図6はフィルタの伝送特性を表す挿入損失を縦軸に、周波数を横軸にとっている。
【0076】
本実施例1のフィルタ特性は、図6の実線に示すように、比帯域幅が4.9%であり、リップルは、0.68dBと非常に良好であった。
一方、比較例1の比帯域幅は、図6の破線に示すように4.2%であり、リップルは、1.60dBであった。
このように本実施例1では、リップルを低減しつつ広帯域化を実現することができた。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の弾性表面波装置の電極構造の一例を模式的に示す図であり、(a)は電極位置と電極指ピッチの関係を模式的に説明する線図、(b)は電極構造の平面図である。
【図2】本発明の弾性表面波装置の電極構造の他の例を模式的に示す図であり、(a)は電極位置と電極指ピッチの関係を模式的に説明する線図、(b)は電極構造の平面図である。
【図3】本発明の弾性表面波装置の電極構造のさらに他の例を模式的に示す平面図である。
【図4】本発明の弾性表面波装置の電極構造のさらに他の例を模式的に示す平面図である。
【図5】本発明の弾性表面波装置のIDT電極の電極指ピッチの変化を模式的に示す図であり、(a)は実施例1の電極位置と電極指ピッチの関係を模式的に説明する線図、(b)は比較例1の電極位置と電極指ピッチの関係を模式的に説明する線図である。
【図6】実施例1及び比較例1について測定した弾性表面波フィルタの通過帯域及びその近傍における挿入損失の周波数特性を示す線図である。
【図7】従来の弾性表面波装置の電極構造例を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 圧電基板
2〜5 反射器電極
6,9 入力端子
7,10 出力端子
12,13 共振子
21〜26 電極群
31〜44 IDT電極
45〜48 中間電極
61〜68 分離電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板上の弾性表面波の伝搬方向に沿って弾性表面波素子が配置された弾性表面波装置であって、
前記弾性表面波素子は、2つ以上の電極群と、前記電極群の間に配置された中間電極とを含み、
前記各電極群は、弾性表面波の伝搬方向に対して直交する方向に伸びる電極指をかみ合わせたIDT電極を少なくとも両端に有するとともに、前記弾性表面波の伝搬方向に沿って前記IDT電極の間に配置された分離電極を有し、
前記電極群の少なくとも一端に位置する前記IDT電極の電極指ピッチが、当該電極群の他のIDT電極及び分離電極の平均電極指ピッチより狭く、
前記中間電極の電極指ピッチが、当該中間電極の両側に隣接する前記電極群の端部に位置する前記IDT電極の電極指ピッチより広いことを特徴とする弾性表面波装置。
【請求項2】
前記分離電極は、弾性表面波の伝搬方向に対して直交する方向に伸びる電極指をかみ合わせたIDT電極又は弾性表面波の伝搬方向に対して直交する方向に伸びる電極指を有する反射器電極で構成される請求項1記載の弾性表面波装置。
【請求項3】
前記中間電極は、弾性表面波の伝搬方向に対して直交する方向に伸びる電極指をかみ合わせたIDT電極又は弾性表面波の伝搬方向に対して直交する方向に伸びる電極指を有する反射器電極で構成される請求項1記載の弾性表面波装置。
【請求項4】
前記電極群は、隣合う2つの前記IDT電極または隣合う前記IDT電極と前記反射器電極とが、互いに平均電極指ピッチが異なりかつ電気的に非接続とされている請求項1から請求項3のいずれかに記載の弾性表面波装置。
【請求項5】
前記弾性表面波素子が複数段配置されてなり、これら複数段の弾性表面波素子の前記中間電極同士が電気的に接続されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の弾性表面波装置。
【請求項6】
前記弾性表面波素子に対して、直列、並列又は直並列に、1つ以上のモード共振を発生させる弾性表面波共振子が電気的に接続されている請求項1から請求項5のいずれか記載の弾性表面波装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか記載の弾性表面波装置を有する受信回路を備えた通信装置。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれか記載の弾性表面波装置を有する送信回路を備えた通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−88989(P2007−88989A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−277401(P2005−277401)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】