説明

弾球遊技機

【課題】通過球検出センサの電線が透明部材により形成される遊技盤を透して明視されないようにして、遊技領域の見栄え向上を図る。
【解決手段】前面に遊技球が打ち込まれる遊技領域71を有する遊技盤7を透明部材により形成する。遊技領域71に、遊技球が流下する過程において通過可能な通過球検出センサ172を配置する。遊技盤7の少なくとも通過球検出センサ172が取り付けられる領域を含む裏面に、遊技領域71を裏側から装飾する不透明または半透明の装飾部材18を配置する。装飾部材18は、通過球検出センサ172に接続された電線173を自体の後方へ挿通可能とする装飾部材通孔181を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤を透明部材により形成し、遊技領域に、遊技球が流下する過程において通過可能な通過球検出センサを配置した弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機(パチンコ機)において、遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤を透明部材により形成し、遊技領域には遊技球が流下する過程において通過可能な通過球検出センサ(特許文献1においては通過口11)が配置される。通過球検出センサに電気的に接続された電線は、遊技盤の裏側へ導出され、遊技盤の裏側に配置される電気基板に電気的に接続される。そして、遊技領域に打ち込まれた遊技球が通過球検出センサを通過すると、このときの通過信号に基づいて、遊技盤の裏側に配置された制御部が大当たりや小当たりチャンスの権利を発生させる等の抽選を実行する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−319663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような弾球遊技機においては、遊技盤が透明部材により形成されるため、通過球検出センサの電線を遊技盤の裏面に沿って配線すると、電線が遊技盤を透して露呈し、遊技領域の見栄えが悪くなる問題を有する。
【0005】
本発明は、上述のような課題に鑑み、通過球検出センサの電線が透明部材により形成される遊技盤を透して露呈することがないようにして、遊技領域の見栄え向上を可能にした弾球遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明にかかる弾球遊技機においては、前面に遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤を透明部材により形成すると共に、前記遊技領域に、遊技球が流下する過程において通過可能な通過球検出センサを配置した弾球遊技機において、前記遊技盤の少なくとも前記通過球検出センサが取り付けられる領域を含む裏面に、前記遊技領域を裏側から装飾する不透明または半透明の装飾部材を配置し、前記装飾部材は、前記通過球検出センサに接続された電線を自体の後方へ挿通可能とする装飾部材通孔を有する。この構成により、通過球検出センサの電線を、装飾部材通孔を挿通して装飾部材の後側に導出することができる。装飾部材の後側に導出された電線は、遊技盤の裏側に取り付けた装飾部材により隠蔽されて、遊技盤を透して露呈することがない。よって、通過球検出センサの電線を見栄え良く配線することができ、遊技領域の見栄え向上を図ることができる。
【0007】
さらに、本発明にかかる弾球遊技機においては、前記装飾部材の後方に、前記装飾部材を通して前記遊技領域を電飾可能な光源を実装した光源基板を配置し、前記光源基板は、前記装飾部材通孔に対向し、かつ前記装飾部材通孔を挿通した前記通過球検出センサの前記電線を後方へ挿通可能とする基板通孔を有する。この構成により、通過球検出センサの周辺を、光源基板の光源によって、遊技領域を裏側から電飾して、遊技の演出を盛り上げることができると共に、通過球検出センサの電線を、装飾部材通孔及び基板通孔を挿通して光源基板の後側に導出することができる。光源基板の後側に導出された電線は、装飾部材により明視し難いように隠蔽される光源基板により隠蔽されて、遊技盤を透して露呈することがない。よって、通過球検出センサの電線を見栄え良く配線することができ、遊技領域の見栄え向上を図ることができる。
【0008】
さらに、本発明にかかる弾球遊技機においては、前記装飾部材の後方に、各種電気基板が取り付けられるセット部材を配置し、前記セット部材は、前記装飾部材通孔に対向し、かつ前記装飾部材通孔を挿通した前記通過球検出センサの前記電線を後方へ挿通可能とするセット部材通孔を有する。この構成により、通過球検出センサの電線を、装飾部材通孔及びセット部材通孔を挿通してセット部材の後側に導出することができる。セット部材の後側に導出された電線は、装飾部材により隠蔽されて遊技盤を透して露呈することがない。よって、通過球検出センサの電線を見栄え良く配線することができ、遊技領域の見栄え向上を図ることができる。
【0009】
さらに、本発明にかかる弾球遊技機においては、前記光源基板の後方に、各種電気基板が取り付けられるセット部材を配置し、前記セット部材は、前記基板通孔に対向し、かつ前記基板通孔を挿通した前記通過球検出センサの前記電線を後方へ挿通可能とするセット部材通孔を有する。この構成により、通過球検出センサの電線を、装飾部材通孔、基板通孔及びセット部材通孔を挿通してセット部材の後側に導出することができる。セット部材の後側に導出された電線は、装飾部材により明視し難いように隠蔽される光源基板により隠蔽されて、遊技盤を透して露呈することがない。よって、通過球検出センサの電線を見栄え良く配線することができ、遊技領域の見栄え向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係わる弾球遊技機は、通過球検出センサの電線が透明な遊技盤の裏側に取り付けた装飾部材により隠蔽されるため、遊技領域の見栄え向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態を適用した弾球遊技機の正面図、図2は、遊技盤ユニットの正面図、図3は、遊技盤ユニットの分解斜視図、図4は、図2におけるIV−IV線拡大断面図である。なお、以下の説明においては、図1、2における図面手前を「前方または表面」とし、図面奥を「後方または裏面」とし、左方を「左方」とし、右方を「右方」とする。
【0012】
弾球遊技機1は、遊技施設に据え付けられる外枠2と、外枠2に支持される遊技盤ユニット3と、遊技盤ユニット3の後方に配置され、かつ遊技に係わる図柄、数字等で構成される演出情報20を表示可能な表示装置(図示略)と、中央部に円形のガラス板が嵌め込まれ、外枠2の左部に上下方向のヒンジ軸により開閉可能に支持された前扉4とを備え、前面右下に設けられたハンドル5を時計方向へ回転操作することにより、前扉4の下方に設けられた球貯留皿6に貯留されている遊技球が図示略の発射装置から後述の遊技盤7の前面に形成された遊技領域71に打ち込まれることにより所定の遊技が行われる。
【0013】
図3に示すように、遊技盤ユニット3は、透明合成樹脂板等の透明部材により形成される遊技盤7と、表示装置の前面に配置され、かつ遊技盤7の裏側に固定される合成樹脂製のセット部材8と、遊技状況に応じて点灯、点滅する複数の光源91を実装した光源基板9と、遊技盤7の前面を裏側から装飾する不透明または半透明の合成樹脂製の装飾部材18とを含む。
【0014】
遊技盤7は、前面に帯状のガイドレール10、11によって包囲される円形の遊技領域71を有している。遊技領域71には、主な部品として、遊技領域71に打ち込まれた遊技球の流下方向を変化させる多数の遊技釘12、表示装置に表示される演出情報20をセット部材8を通して透視可能とする演出情報透視窓72、演出情報透視窓72の周囲を装飾する不透明な合成樹脂製の装飾枠13、遊技領域71に打ち込まれた遊技球が入賞可能な図柄始動口14及び遊技者にとって不利な第1状態(遊技球が入賞不能な閉鎖状態)及び遊技者にとって有利な第2状態(遊技球が入賞可能な開放状態)に変化可能な大入賞口15、及び遊技領域71に打ち込まれた遊技球が流下する過程において通過可能なスルーチャッカ17等が配置されている。
【0015】
また、遊技領域71の最下部には、図柄始動口14、大入賞口15等に入賞しなかった外れ遊技球を遊技盤7の裏面側に排出するアウト口16が設けられ、また、同じくスルーチャッカ17の配置部位に対応する箇所には、前後方向へ貫通し、かつ後述の通過球検出センサ172の電線173が挿通可能な遊技盤通孔73が穿設されている。
【0016】
スルーチャッカ17は、遊技盤7における装飾枠13の左方に配置されると共に、遊技盤通孔73の前面周囲を包囲するように固定され、かつ遊技球が上から下に向けて通過可能なゲート171と、ゲート171を通過する遊技球を磁気的、光学的または電気的手段等により検出する通過球検出センサ172とを含む。遊技球の通過を検出した通過球検出センサ172の通過電気信号は、セット部材8の裏側に配置され、かつ制御電子機器を実装した電気基板21に送信される。電気基板21は、通過電気信号の受信に基づいて、大当たりや小当たりチャンスの権利を発生させる等の抽選を実行する。
【0017】
通過球検出センサ172は、ゲート171内に固定されると共に、後部に設けられたコネクタ部174に電気的に接続された電線173は遊技盤通孔73を挿通して遊技盤7の後側へ導出される。
【0018】
装飾部材18は、遊技盤7における装飾枠13の左方の裏側、すなわち遊技領域71における少なくとも通過球検出センサ172が取り付けられる領域を含む裏側に固定されることにより、遊技領域71を遊技盤7の裏側から装飾すると共に、遊技盤7の前面から遊技機1の内部構造が露呈しないように隠蔽する。装飾部材18には、遊技盤通孔73に対向し、かつ通過球検出センサ172の電線173が挿通可能な装飾部材通孔181が穿設されている。なお、装飾部材18の左側端182は、遊技盤7の左側端74に接近する位置まで延出している。
【0019】
光源基板9は、装飾部材18の裏側に固定されると共に、装飾部材通孔181に対向する箇所には、装飾部材通孔181を挿通した通過球検出センサ172の電線173が挿通可能な基板通孔92が穿設されている。
【0020】
光源基板9の前面に実装された複数の光源91は、遊技状況に応じて点灯、点滅することによって、装飾部材18に設けた複数の開口部183を通して、スルーチャッカ17の周辺を遊技盤7の裏側から電飾して遊技時の演出効果を高める。
【0021】
セット部材8は、遊技盤7の演出情報透視窓72に対応し、かつ表示装置に表示される演出情報20を視認可能とする正面視ほぼ矩形の開口部81を有すると共に、開口部81の左側には、基板通孔92に後側から遊嵌可能な筒状部82が設けられている。筒状部82の内側には、基板通孔92に対向し、かつ基板通孔92を挿通した通過球検出センサ172の電線173が挿通可能なセット部材通孔83が設けられる。また、セット部材8の後側には、遊技を制御する電気基板21及びその他の各種電気基板(図示略)が配置される。
【0022】
セット部材通孔83を挿通した通過球検出センサ172の電線173は、セット部材8の後側に導出されて、セット部材8の裏面に配置された電気基板21またはその他の電気基板に電気的に接続される。
【0023】
上述のように、本実施形態においては、不透明または半透明の装飾部材18を、透明部材により形成される遊技盤7における少なくとも通過球検出センサ172の配置部位を含む領域の後方の裏側に配置すると共に、光源基板9を装飾部材18の後側に配置し、さらに、遊技盤7、装飾部材18、光源基板9及びセット部材8に、遊技盤通孔73、装飾部材通孔181、基板通孔92及びセット部材通孔83をそれぞれ設けた構成により、通過球検出センサ172の電線173を、遊技盤通孔73、装飾部材通孔181、基板通孔92及びセット部材通孔83を挿通してセット部材8の後側に導出することができる。セット部材8の後側に導出された電線173は、装飾部材18により明視し難いように隠蔽される光源基板9により隠蔽されて、遊技盤7を透して露呈することがない。よって、通過球検出センサ172の電線173を見栄え良く配線することができ、遊技領域71の見栄え向上を図ることができる。
【0024】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、本実施形態に対して、次のような変形や変更を施すことが可能である。
装飾部材18の後側に配置される光源基板9及び/またはセット部材8を省略する。
光源基板9のみを省略した場合は、通過球検出センサ172の電線173は、装飾部材18の装飾部材通孔181及びセット部材8のセット部材通孔83を挿通してセット部材8の後側に導出されて、セット部材8の後側に配置される電気基板21またはその他の電気基板に接続される。
セット部材8のみを省略した場合は、通過球検出センサ172の電線173は、装飾部材18の装飾部材通孔181及び光源基板9の基板通孔92を挿通して光源基板9の後側に導出されて、装飾部材18または遊技盤7の裏側に固定される他の部材に取り付けられる電気基板に接続される。
光源基板9及びセット部材8の両方を省略した場合は、通過球検出センサ172の電線173は、装飾部材18の装飾部材通孔181を挿通して装飾部材18の後側に導出されて、装飾部材18または遊技盤7の裏側に固定される他の部材に取り付けられる電気基板に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態を適用した弾球遊技機の正面図である。
【図2】遊技盤ユニットの正面図である。
【図3】遊技盤ユニットの分解斜視図である。
【図4】図2におけるIV−IV線拡大断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 弾球遊技機
2 外枠
3 遊技盤ユニット
4 前扉
5 ハンドル
6 球貯留皿
7 遊技盤
8 セット部材
9 光源基板
10、11 ガイドレール
12 遊技釘
13 装飾枠
14 図柄始動口
15 大入賞口
16 アウト口
17 スルーチャッカ
18 装飾部材
20 演出情報
21 電気基板
71 遊技領域
72 演出情報透視窓
73 遊技盤通孔
74 左側端
81 開口部
82 筒状部
83 セット部材通孔
91 光源
92 基板通孔
171 ゲート
172 通過球検出センサ
173 電線
174 コネクタ部
181 装飾部材通孔
182 左側端
183 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤を透明部材により形成すると共に、前記遊技領域に、遊技球が流下する過程において通過可能な通過球検出センサを配置した弾球遊技機において、
前記遊技盤の少なくとも前記通過球検出センサが取り付けられる領域を含む裏面に、前記遊技領域を裏側から装飾する不透明または半透明の装飾部材を配置し、前記装飾部材は、前記通過球検出センサに接続された電線を自体の後方へ挿通可能とする装飾部材通孔を有することを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記装飾部材の後方に、前記装飾部材を通して前記遊技領域を電飾可能な光源を実装した光源基板を配置し、前記光源基板は、前記装飾部材通孔に対向し、かつ前記装飾部材通孔を挿通した前記通過球検出センサの前記電線を後方へ挿通可能とする基板通孔を有することを特徴とする請求項1記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記装飾部材の後方に、各種電気基板が取り付けられるセット部材を配置し、前記セット部材は、前記装飾部材通孔に対向し、かつ前記装飾部材通孔を挿通した前記通過球検出センサの前記電線を後方へ挿通可能とするセット部材通孔を有することを特徴とする請求項1記載の弾球遊技機。
【請求項4】
前記光源基板の後方に、各種電気基板が取り付けられるセット部材を配置し、前記セット部材は、前記基板通孔に対向し、かつ前記基板通孔を挿通した前記通過球検出センサの前記電線を後方へ挿通可能とするセット部材通孔を有することを特徴とする請求項2記載の弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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