弾着位置推測支援装置および弾着位置推測支援プログラム
【課題】 配置数を増やすこと無く、射撃装置が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を詳細に推測させることができる弾着位置推測支援装置および弾着位置推測支援プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】 射撃装置1が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置4を、人員が推測することを支援する弾着位置推測支援装置20であって、自機の現在位置,仮想弾丸の弾着位置4の関係に基づいて、自機の現在位置から見た仮想弾丸の弾着位置4の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を、現示手段に出力させる制御手段を備えたことにより上記課題を解決する。
【解決手段】 射撃装置1が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置4を、人員が推測することを支援する弾着位置推測支援装置20であって、自機の現在位置,仮想弾丸の弾着位置4の関係に基づいて、自機の現在位置から見た仮想弾丸の弾着位置4の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を、現示手段に出力させる制御手段を備えたことにより上記課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾着位置推測支援装置および弾着位置推測支援プログラムに係り、特に射撃装置が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を、人員が推測することを支援する弾着位置推測支援装置および弾着位置推測支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば射撃訓練を行なう演習場や射撃ゲームを行なうアミューズメント施設では、火器が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を現示する為、予め演習場やアミューズメント施設に発音発煙装置を配置しておき、その発音発煙装置から弾着音,爆発音,弾着時や爆発時の煙を発生することでリアリティを高めている。
【0003】
図1は、射撃訓練を行なう為の模擬訓練システムの一例の構成図である。火器1は、射撃訓練に使用する仮想的な火器を示し、例えば航空機,戦車,地対空誘導弾,高射機関砲等が上げられる。人員2は、射撃訓練に参加する人員を示す。弾道3は、火器1が実際に射撃を行った際に想定される弾道を示す。弾着位置4は、火器1が実際に射撃を行った際に想定される弾着位置を示す。
【0004】
端末装置5は訓練に参加する火器1や人員2が保持する装置を示す。端末装置5は無線部6,現示部7等からなり、データの送受信,各種の現示を行なう。現示部7は発音を行なうスピーカや発光を行なうLED等から成る。発音発煙装置8は、従来の発音発煙装置を示している。発音発煙装置8は、無線部6,発音部9,発煙部10等からなる。発音部9及び発煙部10は、無線部6からの指示に応じて発音,発煙を行なう。
【0005】
中央局11は、端末装置5から送信された発射データ12を受信すると共に、端末装置5へ損耗指示データ13を送信し、発音発煙装置8へ現示指示データ14を送信する。中央局11は、全ての端末装置5,発音発煙装置8が、限られた周波数帯域にてデータの送受信を行なう為の制御を行なう。
【0006】
発射データ12は、火器1の発射条件を示すデータである。発射データ12の内容の一例としては、火器1の種類,弾種,目標座標,自身(自機)の位置情報,発射時刻などが上げられる。また、損耗指示データ13は、どの人員2が、どの程度の損耗をするかを示すデータである。損耗指示データ13の内容の一例としては、火器1または人員2の個別番号,損耗程度,損耗時刻などが上げられる。
【0007】
端末装置5は、損耗指示データ13を受信して、損耗の結果を音や光で現示する。現示指示データ14は、どの発音発煙装置8が、どの現示を行なうかを示すデータである。現示指示データ14の内容の一例としては、発音発煙装置8の個別番号,弾種,現示時刻などが上げられる。発音発煙装置8は、現示指示データ14に含まれる情報に応じて、音の発音や煙の発生により弾着の現示を行なう。特許文献1〜3には、従来の模擬訓練システムの一例が記載されている。
【特許文献1】特開平7−146096号公報
【特許文献2】特許第3538870号公報
【特許文献3】特許第2773615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の発音発煙装置8を用いて射撃訓練を行なう場合、人員2は発音発煙装置8から発音される音や発生される煙により弾着位置4を推測する。従って、訓練に参加している人員2は演習場に配置される発音発煙装置8の分布が密であれば弾着位置4を詳細に、発音発煙装置8の分布が疎であれば弾着位置4を大まかに推測できる。
【0009】
しかしながら、従来の発音発煙装置8は高価である。この為、多くの発音発煙装置8を演習場に配置することは、コスト面から問題があった。また、発音発煙装置8は、音の発音や煙の発生を行なうため、ある程度の大きさとなってしまう。従って、多くの発音発煙装置8を演習場に配置することは、実戦環境に近い形で訓練を行なうという面からも問題があった。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、配置数を増やすこと無く、射撃装置が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を詳細に推測させることができる弾着位置推測支援装置および弾着位置推測支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、射撃装置が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を、人員が推測することを支援する弾着位置推測支援装置であって、自機の現在位置,前記仮想弾丸の弾着位置の関係に基づいて、前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を、現示手段に出力させる制御手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、少なくとも記憶装置と制御装置とを備えたコンピュータにおいて実行される弾着位置推測支援プログラムであって、前記記憶装置は、自機の現在位置,前記仮想弾丸の弾着位置の関係に対して前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力が対応付けられているテーブルを記憶しており、前記制御装置は、自機の現在位置,前記仮想弾丸の弾着位置の関係に基づいて、前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を前記テーブルから読み出し、その出力を現示手段に出力させるステップを実行し、射撃装置が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を、人員が推測することを支援することを特徴とする。
【0013】
本発明では、自機の現在位置,仮想弾丸の弾着位置の関係に基づいて、自機の現在位置から見た仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を現示手段から出力することで、その出力に応じて人員が弾着位置を推測できる。
【発明の効果】
【0014】
上述の如く、本発明によれば、配置数を増やすこと無く、射撃装置が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を詳細に推測させることができる弾着位置推測支援装置および弾着位置推測支援プログラムを提供可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明していく。本発明の弾着位置推測支援装置の一例としての発音発煙装置は、実際に射撃を行わない場合も、実弾と同様に仮想弾丸の飛来音,弾着音,爆発音を発音し、弾着時及び爆発時の煙を発生する装置をいう。
【0016】
本発明による発音発煙装置を配置しておくことにより、射撃訓練を行なう演習場や射撃ゲームを行なうアミューズメント施設では、より実際に近い状況の現示を行なうことができる。また、本発明による発音発煙装置を射撃訓練又は射撃ゲームに参加する人員に保持させることで、射撃訓練を行なう演習場や射撃ゲームを行なうアミューズメント施設には発音発煙装置を設置する必要が無くなる。
【0017】
本実施例では、演習場で行なう射撃訓練を例に説明するが、アミューズメント施設で行なう射撃ゲームであってもよい。本実施例における射撃訓練とは、実弾による射撃を行なう代わりに、無線信号やレーザ信号を使用して、その効果を判定すること、また弾着位置における車両や人員の対処方法を訓練することをいう。
【0018】
現示とは、弾着位置における状況を音や煙により、模擬的に表示することをいう。音量とは、音の大きさ、ボリュームを指す。音質とは、音色,音調を指し、音の継続時間,リズム,高低(周波数)等をいう。
【0019】
図2は、射撃訓練を行なう為の模擬訓練システムの一例の構成図である。なお、図2の模擬訓練システムは一部を除いて図1の模擬訓練システムと同様である為、適宜説明を省略する。
【0020】
火器1,人員2,弾道3,弾着位置4及び端末装置5は、図1と同様である。発音発煙装置20は、本発明による発音発煙装置を示している。発音発煙装置20の構成は、図3を参照しつつ後述する。
【0021】
中央局11は、図1の中央局11と同様、端末装置5から送信された発射データ12を受信すると共に、端末装置5へ損耗指示データ13を送信する。また、中央局11は発音発煙装置20へ現示指示データ21を送信する。中央局11は、全ての端末装置5,発音発煙装置20が、限られた周波数帯域にてデータの送受信を行なう為の制御を行なう。
【0022】
なお、発射データ12,損耗指示データ13は、図1と同様である。現示指示データ21は、火器1が仮想的に仮想弾丸を発射した発射位置,火器1が実際に射撃を行った際に想定される弾着位置4を含むデータである。発音発煙装置20は、現示指示データ21に含まれる情報に応じて、後述する実施例1〜3のように現示を行なう。
【0023】
図3は、発音発煙装置20の一実施例のブロック図である。発音発煙装置20は、無線部31,制御部32,メモリ33,位置標定部34,スピーカ35,複数の発煙部36を含む構成である。
【0024】
メモリ33は、後述する実施例1〜3の処理に必要な各種テーブルを記憶している。スピーカ35は、制御部32からの指示に応じて音量と音質を可変してステレオ又はモノラルで発音できるものとする。
【0025】
複数の発煙部36(36−1,36−2,36−3,・・・・)は、制御部32からの指示に応じて煙の色を変えて発煙できるものとする。無線部31は、中央局11からの現示指示データ21を受信して制御部32へ送信する。
【0026】
位置標定部34は、自機の現在位置を測位して制御部32へ送信する。位置標定部34はGPS受信器などが上げられる。制御部32は無線部31から受信した現示指示データ21と位置標定部34から受信した位置データ37とを受信し、メモリ33に記憶されている各種テーブルを用いてスピーカ35へ発音指示38を行なうと共に、発煙部36に対して発煙指示39を行なう。
【0027】
現示指示データ21は、火器1が仮想的に仮想弾丸を発射した発射位置,火器1が実際に射撃を行った際に想定される弾着位置4を含むデータである。ここでは一例として現示指示データ21は射撃を行なう火器1に取り付けられた端末装置5または中央局11から送信されるものとする。
【0028】
なお、発音発煙装置20は図4のような構成としてもよい。図4は、発音発煙装置20の他の実施例のブロック図である。図4の発音発煙装置20は、複数の発煙部36が無い構成であり、煙の発生による弾着の現示を行わない。図4の発音発煙装置20は、例えば人員2に保持させるときに安全面から有効である。
【0029】
図3,図4の発音発煙装置20は、外部から位置データ37を受信できれば、位置標定部34が無い構成も可能である。また、スピーカ35や発煙部36を外部接続できるような構成としてもよい。
【0030】
図3,図4の発音発煙装置20では、本発明の弾着位置推測支援プログラムがメモリ33に記憶されている。制御部32はメモリ33に記憶されている弾着位置推測支援プログラムを読み出し、その弾着位置推測支援プログラムに従って、後述する実施例1〜3のような処理を実現できる。
【0031】
本発明による発音発煙装置20は、弾着位置4と発音発煙装置20の位置との位置関係から音量,音質,煙量,煙色を変えて現示を行なう。この為、発音発煙装置20の数が少なくても、射撃訓練に参加している人員2が、実戦と同様に弾着位置4を推測することができる。また、発音発煙装置20は人員2に装着させることで、演習場に発音発煙装置20を配置することなく、現示を行なうことができる。また、本発明による発音発煙装置20は発射から弾着までの時間経過毎に音質を変えて発音することができるので、仮想弾丸の飛来音を正確に模擬することができる。
【0032】
したがって、本発明による発音発煙装置20は、より小さいコストで、より実戦環境に近い形での訓練を可能とする。
【実施例1】
【0033】
図5は、本発明による発音発煙装置20の処理手順を示す第1実施例のフローチャートである。図5のフローチャートは、弾着位置4と発音発煙装置20の現在位置との距離Rに応じて、発音の音量と発煙の煙量を変えて現示する処理を示している。具体的に発音発煙装置20は、弾着位置4と発音発煙装置20の現在位置との距離Rが大きければ発音の音量と発煙の煙量とを小さくし、弾着位置4と発音発煙装置20の現在位置との距離Rが小さければ発音の音量と発煙の煙量とを大きくする。
【0034】
発音発煙装置20の制御部32は、次のように処理を行う。制御部32は、無線部31から現示指示データ21を受信するまでステップS31の処理を繰り返す。制御部32は無線部31から現示指示データ21を受信すると、ステップS32に進む。
【0035】
ステップS32では、制御部32が、ステップS31で受信した現示指示データ21に含まれる弾着位置4と、位置標定部34から受信した位置データ37に含まれる発音発煙装置(自機)20の現在位置との距離Rを算出する。
【0036】
ステップS33では、制御部32がメモリ33から図6のテーブルを読み出す。図6は弾着位置4と発音発煙装置20の現在位置との距離Rに応じた発音指示及び発煙指示を表した一例のテーブルである。図5のフローチャートの処理は、図7に表すようなイメージとなる。図7は、第1実施例の処理を表したイメージ図である。
【0037】
ステップS33に進み、制御部32は距離Rが図6のテーブルに格納されている距離D1より小さいか否かを判定する。距離Rが距離D1より小さくない(R≧D1)と判定すれば(S33においてNO)、制御部32はステップS35に進み、図6のテーブルを参照してスピーカ35へ行なう発音指示38と、発煙部36に対して行なう発煙指示39とを決定する。具体的に、ステップS35では図6のテーブルの条件(R≧D1)に対応する発音指示「なし」,発煙指示「なし」が決定される。
【0038】
距離Rが距離D1より小さい(D1>R)と判定すれば(S33においてYES)、制御部32はステップS34に進み、距離Rが図6のテーブルに格納されている距離D2より小さいか否かを判定する。距離Rが距離D2より小さくない(D1>R≧D2)と判定すれば(S34においてNO)、制御部32はステップS36に進み、図6のテーブルを参照してスピーカ35へ行なう発音指示「音量小」と、発煙部36に対して行なう発煙指示「なし」とを決定する。制御部32は、決定した発音指示38をスピーカ35に行なう。
【0039】
距離Rが距離D2より小さい(D2>R)と判定すれば(S34においてYES)、制御部32はステップS35に進み、距離Rが図6のテーブルに格納されている距離D3より小さいか否かを判定する。距離Rが距離D3より小さくない(D2>R≧D3)と判定すれば(S35においてNO)、制御部32はステップS37に進み、図6のテーブルを参照してスピーカ35へ行なう発音指示「音量中」と、発煙部36に対して行なう発煙指示とを決定する。そして、制御部32は、決定した発音指示38をスピーカ35に行なうと共に、発煙部36−1に対して発煙指示39を行なう。
【0040】
距離Rが距離D3より小さい(D3>R)と判定すれば(S35においてYES)、制御部32はステップS36に進み、距離Rが図6のテーブルに格納されている距離D4より小さいか否かを判定する。距離Rが距離D4より小さくない(D3>R≧D4)と判定すれば(S36においてNO)、制御部32はステップS38に進み、図6のテーブルを参照してスピーカ35へ行なう発音指示「音量大」と、発煙部36に対して行なう発煙指示とを決定する。そして、制御部32は、決定した発音指示38をスピーカ35に行なうと共に、発煙部36−1〜36−2に対して発煙指示39を行なう。
【0041】
距離Rが距離D4より小さい(D4>R)と判定すれば(S36においてYES)、制御部32はステップS39に進み、図6のテーブルを参照してスピーカ35へ行なう発音指示「音量特大」と、発煙部36に対して行なう発煙指示とを決定する。制御部32は、決定した発音指示38をスピーカ35に行なうと共に、発煙部36−1〜36−3に対して発煙指示39を行なう。なお、図7のイメージ図の場合、制御部32はステップS36に進み、図6のテーブルの条件(D1>R≧D2)に対応する発音指示「小」,発煙指示「なし」が決定される。
【0042】
距離D1〜D4は、予め設定する距離の閾値であり、現示指示データ21に含まれる弾種毎に設定することもできる。距離D1〜D4は、距離D1>D2>D3>D4となるように4つの閾値として設定されている。発音指示は、音量小,音量中,音量大,音量特大の4段階が設定されている。
【0043】
発煙指示は、発煙部36−1による発煙,発煙部36−1〜36−2による発煙,発煙部36−1〜36−3による発煙の3段階が設定されている。発音指示及び発煙指示はスピーカ35の音量設定可能な分解能及び発煙部36の数に応じて距離の閾値Dを多く設定することにより、細かい段階設定による現示も可能となる。
【実施例2】
【0044】
図8は、本発明による発音発煙装置20の処理手順を示す第2実施例のフローチャートである。図8のフローチャートは、弾着位置4と発音発煙装置20の現在位置との位置関係に応じて、発音の音質と発煙の煙色とを変えて現示する処理を示している。具体的に発音発煙装置20は、弾着位置4を発音発煙装置20の上方右,上方左,下方右,下方左の4方向に分けて例えば図9に示すように現示する。
【0045】
図9は、弾着位置4を発音発煙装置20の上方右,上方左,下方右,下方左の4方向に分けた一例のイメージ図である。上方右の方向とは、例えば平面地図上でみて北東方向をいう。また、上方左の方向とは例えば平面地図上でみて北西方向をいう。また、下方右の方向とは例えば平面地図上でみて南東方向をいう。また、下方左の方向とは例えば平面地図上でみて南西方向をいう。
【0046】
発音発煙装置20の制御部32は、次のように処理を行う。制御部32は、無線部31から現示指示データ21を受信するまでステップS51の処理を繰り返す。制御部32は無線部31から現示指示データ21を受信すると、ステップS52に進む。
【0047】
ステップS52では、制御部32が、ステップS51で受信した現示指示データ21に含まれる弾着位置4と、位置標定部34から受信した位置データ37に含まれる発音発煙装置(自機)20の現在位置とのX座標を比較する。発音発煙装置20の現在位置のX座標が弾着位置4のX座標よりも小さければ(S52においてYES)、制御部32はステップS53に進む。一方、発音発煙装置20の現在位置のX座標が弾着位置4のX座標よりも小さくなければ(S52においてNO)、制御部32はステップS54に進む。
【0048】
ステップS53では、制御部32が、ステップS51で受信した現示指示データ21に含まれる弾着位置4と、位置標定部34から受信した位置データ37に含まれる発音発煙装置(自機)20の現在位置とのY座標を比較する。
【0049】
発音発煙装置20の現在位置のY座標が弾着位置4のY座標よりも小さければ(S53においてYES)、制御部32はステップS55に進む。一方、発音発煙装置20の現在位置のY座標が弾着位置4のY座標よりも小さくなければ(S53においてNO)、制御部32はステップS56に進む。
【0050】
一方、ステップS54では、制御部32が、ステップS51で受信した現示指示データ21に含まれる弾着位置4と、位置標定部34から受信した位置データ37に含まれる発音発煙装置(自機)20の現在位置とのY座標を比較する。
【0051】
発音発煙装置20の現在位置のY座標が弾着位置4のY座標よりも小さければ(S54においてYES)、制御部32はステップS57に進む。一方、発音発煙装置20の現在位置のY座標が弾着位置4のY座標よりも小さくなければ(S54においてNO)、制御部32はステップS58に進む。
【0052】
ステップS55〜S58では、制御部32がメモリ33から図10のようなテーブルを読み出す。図10は弾着位置4と発音発煙装置20の現在位置との位置関係に応じた発音指示及び発煙指示を表した一例のテーブルである。
【0053】
ステップS55に進み、制御部32は、弾着位置4が発音発煙装置20の現在位置からみて上方右であると判定し、図10のテーブルに基づき、スピーカ35へ行なう発音指示38と、発煙部36に対して行なう発煙指示39とを決定する。具体的に、ステップS55では、図10のテーブルの条件(上方右)に対応する発音指示「音質1」,発煙指示「色1」が決定される。そして、制御部32は、決定した発音指示38をスピーカ35に行なうと共に、発煙部36に対して発煙指示39を行なう。
【0054】
また、ステップS56に進み、制御部32は、弾着位置4が発音発煙装置20の現在位置からみて下方右であると判定し、図10のテーブルに基づき、スピーカ35へ行なう発音指示38と、発煙部36に対して行なう発煙指示39とを決定する。具体的に、ステップS56では、図10のテーブルの条件(下方右)に対応する発音指示「音質2」,発煙指示「色2」が決定される。そして、制御部32は、決定した発音指示38をスピーカ35に行なうと共に、発煙部36に対して発煙指示39を行なう。
【0055】
また、ステップS57に進み、制御部32は、弾着位置4が発音発煙装置20の現在位置からみて上方左であると判定し、図10のテーブルに基づき、スピーカ35へ行なう発音指示38と、発煙部36に対して行なう発煙指示39とを決定する。具体的に、ステップS57では、図10のテーブルの条件(上方左)に対応する発音指示「音質3」,発煙指示「色3」が決定される。そして、制御部32は、決定した発音指示38をスピーカ35に行なうと共に、発煙部36に対して発煙指示39を行なう。
【0056】
また、ステップS58に進み、制御部32は、弾着位置4が発音発煙装置20の現在位置からみて下方左であると判定し、図10のテーブルに基づき、スピーカ35へ行なう発音指示38と、発煙部36に対して行なう発煙指示39とを決定する。具体的に、ステップS58では、図10のテーブルの条件(下方左)に対応する発音指示「音質4」,発煙指示「色4」が決定される。そして、制御部32は、決定した発音指示38をスピーカ35に行なうと共に、発煙部36に対して発煙指示39を行なう。
【0057】
図8のフローチャートでは、弾着位置4が発音発煙装置20の真上である場合を考慮していないが、図10のテーブルの条件に真上を追加してもよいし、何れかの方向に真上を含ませてもよいし、発音指示「音質1〜4」,発煙指示「色1〜4」が決定されるようにしてもよい。
【0058】
なお、弾着位置4を発音発煙装置20の上方右,上方左,下方右,下方左の4方向に分けて例えば図9に示すように現示する例を示しているが、スピーカ35による発音の音質の種類数、発煙部36による発煙の煙色の種類数に応じて、発音発煙装置20の現在位置に対する弾着位置4の方向を多く設定することにより、細かい段階設定による現示も可能となる。
【実施例3】
【0059】
図11は本発明による発音発煙装置20の処理手順を示す第3実施例のフローチャートである。図11のフローチャートは、火器1が仮想的に仮想弾丸を発射した発射位置,火器1が実際に射撃を行った際に想定される弾着位置4および発音発煙装置20の現在位置の位置関係に応じて発音の音質を変えて発音する際、発射時刻から弾着時刻までの時間経過毎に音質を変えることで、弾丸通過時の音質の変化を模擬して発音する一例の処理を示している。
【0060】
図12〜図14は、発射位置,弾着位置4および発音発煙装置20の現在位置の位置関係を表した一例の関係図である。図12〜図14に示すように、ここでは発射位置と弾着位置4との距離を距離R1と定義し、発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離を距離R2と定義し、弾着位置4と発音発煙装置20との距離を距離R3と定義する。
【0061】
図12の関係図は、発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離R2が、発射位置と弾着位置4との距離R1および弾着位置4と発音発煙装置20との距離R3よりも大きい場合を示している。図12の関係図は、仮想弾丸が発音発煙装置20に近づいてくる例を表している。
【0062】
図13の関係図は、弾着位置4と発音発煙装置20との距離R3が、発射位置と弾着位置4との距離R1および発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離R2よりも大きい場合を示している。図13の関係図は、仮想弾丸が発音発煙装置20から遠ざかっていく例を表している。
【0063】
図14の関係図は、発射位置と弾着位置4との距離R1が、発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離R2および弾着位置4と発音発煙装置20との距離R3よりも大きい場合を示している。図14の関係図は、仮想弾丸が発音発煙装置20の最も近い点91まで近づき、その後、遠ざかっていく例である。
【0064】
発音発煙装置20の制御部32は、次のように処理を行う。制御部32は、無線部31から現示指示データ21を受信するまでステップS71の処理を繰り返す。制御部32は無線部31から現示指示データ21を受信すると、ステップS72に進む。
【0065】
ステップS72では、制御部32が、ステップS71で受信した現示指示データ21に含まれる発射位置と、弾着位置4と、位置標定部34から受信した位置データ37に含まれる発音発煙装置20の現在位置とを用いて、発射位置と弾着位置4との距離R1と、発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離R2と、弾着位置4と発音発煙装置20との距離R3とを算出する。
【0066】
ステップS73に進み、制御部32は発射位置と弾着位置4との距離R1が発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離R2よりも大きいか否かを判定する。制御部32は発射位置と弾着位置4との距離R1が発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離R2よりも大きければ(S73においてYES)、ステップS75に進み、発射位置と弾着位置4との距離R1が弾着位置4と発音発煙装置20との距離R3よりも大きいか否かを判定する。
【0067】
発射位置と弾着位置4との距離R1が弾着位置4と発音発煙装置20との距離R3よりも大きければ(S75においてYES)、制御部32はステップS76に進む。ステップS76に進んだ場合、発射位置,弾着位置4および発音発煙装置20の現在位置の位置関係は図14のようになっている。制御部32は、仮想弾丸が発音発煙装置20の最も近い点91を通過する時間T1を算出する。
【0068】
そして、ステップS77に進み、制御部32は発射時刻T0から時刻T1まで音量が徐々に大きくなるように発音指示38を行い、時刻T1から弾着時刻T2まで音量が徐々に小さくなるように発音指示38を行なう。
【0069】
一方、ステップS73において、制御部32は発射位置と弾着位置4との距離R1が発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離R2よりも大きくなければ(S73においてNO)、ステップS74に進み、発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離R2が弾着位置4と発音発煙装置20との距離R3よりも大きいか否かを判定する。
【0070】
発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離R2が弾着位置4と発音発煙装置20との距離R3よりも大きければ(S74においてYES)、制御部32はステップS78に進む。ステップS78に進んだ場合、発射位置,弾着位置4および発音発煙装置20の現在位置の位置関係は図12のようになっている。制御部32は、音量が徐々に大きくなるように発音指示38を行なう。
【0071】
発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離R2が弾着位置4と発音発煙装置20との距離R3よりも大きくなければ(S74においてNO)、制御部32はステップS79に進む。また、発射位置と弾着位置4との距離R1が弾着位置4と発音発煙装置20との距離R3よりも大きくない場合も(S75においてNO)、制御部32はステップS79に進む。
【0072】
ステップS79に進んだ場合、発射位置,弾着位置4および発音発煙装置20の現在位置の位置関係は図13のようになっている。制御部32は、音量が徐々に小さくなるように発音指示38を行なう。
【0073】
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0074】
本発明は、以下に記載する付記のような構成が考えられる。
(付記1)
射撃装置が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を、人員が推測することを支援する弾着位置推測支援装置であって、
自機の現在位置,前記仮想弾丸の弾着位置の関係に基づいて、前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を、現示手段に出力させる制御手段を備えた弾着位置推測支援装置。
(付記2)
前記制御手段は、自機の現在位置,前記仮想弾丸の発射位置および弾着位置の関係に基づいて、前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾道に応じた出力を、現示手段に出力させることを特徴とする付記1記載の弾着位置推測支援装置。
(付記3)
前記現示手段は、少なくとも音及び煙の何れか一方を出力可能であり、
前記制御手段は、前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を、少なくとも音量又は煙量の何れか一方で前記現示手段に出力させることを特徴とする付記1又は2記載の弾着位置推測支援装置。
(付記4)
前記現示手段は、少なくとも音及び煙の何れか一方を出力可能であり、
前記制御手段は、前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を、少なくとも音質又は煙の色で前記現示手段に出力させることを特徴とする付記1又は2記載の弾着位置推測支援装置。
(付記5)
前記現示手段は、音を出力可能であり、
前記制御手段は、前記仮想弾丸の弾道に応じた飛来音を時間経過毎の音質の変化で前記現示手段に出力させることを特徴とする付記2記載の弾着位置推測支援装置。
(付記6)
前記制御手段は、前記仮想弾丸が前記自機の現在位置に近づいてくるときに前記仮想弾丸の弾道に応じた飛来音を、時間経過毎に音量を段階的に大きくすることで前記現示手段に出力させ、
前記仮想弾丸が前記自機の現在位置から遠ざかっていくときに前記仮想弾丸の弾道に応じた飛来音を、時間経過毎に音量を段階的に小さく出力することで前記現示手段に出力させることを特徴とする付記5記載の弾着位置推測支援装置。
(付記7)
前記制御手段は、前記仮想弾丸が前記自機の現在位置に近づいてくるときに前記仮想弾丸の弾道に応じた飛来音を、時間経過毎に音の周波数を段階的に大きくすることで前記現示手段に出力させ、
前記仮想弾丸が前記自機の現在位置から遠ざかっていくときに前記仮想弾丸の弾道に応じた飛来音を、時間経過毎に音の周波数を段階的に小さく出力することで前記現示手段に出力させることを特徴とする付記5記載の弾着位置推測支援装置。
(付記8)
少なくとも記憶装置と制御装置とを備えたコンピュータにおいて実行される弾着位置推測支援プログラムであって、
前記記憶装置は、自機の現在位置,前記仮想弾丸の弾着位置の関係に対して前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力が対応付けられているテーブルを記憶しており、
前記制御装置は、自機の現在位置,前記仮想弾丸の弾着位置の関係に基づいて、前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を前記テーブルから読み出し、その出力を現示手段に出力させるステップを実行し、
射撃装置が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を、人員が推測することを支援する弾着位置推測支援プログラム。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】射撃訓練を行なう為の模擬訓練システムの一例の構成図である。
【図2】射撃訓練を行なう為の模擬訓練システムの一例の構成図である。
【図3】発音発煙装置20の一実施例のブロック図である。
【図4】発音発煙装置20の他の実施例のブロック図である。
【図5】本発明による発音発煙装置20の処理手順を示す第1実施例のフローチャートである。
【図6】弾着位置4と発音発煙装置20の現在位置との距離Rに応じた発音指示及び発煙指示を表した一例のテーブルである。
【図7】第1実施例の処理を表したイメージ図である。
【図8】本発明による発音発煙装置20の処理手順を示す第2実施例のフローチャートである。
【図9】弾着位置4を発音発煙装置20の上方右,上方左,下方右,下方左の4方向に分けた一例のイメージ図である。
【図10】弾着位置4と発音発煙装置20の現在位置との位置関係に応じた発音指示及び発煙指示を表した一例のテーブルである。
【図11】本発明による発音発煙装置20の処理手順を示す第3実施例のフローチャートである。
【図12】発射位置,弾着位置4および発音発煙装置20の現在位置の位置関係を表した一例の関係図である。
【図13】発射位置,弾着位置4および発音発煙装置20の現在位置の位置関係を表した一例の関係図である。
【図14】発射位置,弾着位置4および発音発煙装置20の現在位置の位置関係を表した一例の関係図である。
【符号の説明】
【0076】
1 火器
2 人員
3 弾道
4 弾着位置
5 端末装置
11 中央局
12 発射データ
13 損耗指示データ
20 発音発煙装置
21 現示指示データ
31 無線部
32 制御部
33 メモリ
34 位置標定部
35 スピーカ
36 発煙部
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾着位置推測支援装置および弾着位置推測支援プログラムに係り、特に射撃装置が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を、人員が推測することを支援する弾着位置推測支援装置および弾着位置推測支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば射撃訓練を行なう演習場や射撃ゲームを行なうアミューズメント施設では、火器が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を現示する為、予め演習場やアミューズメント施設に発音発煙装置を配置しておき、その発音発煙装置から弾着音,爆発音,弾着時や爆発時の煙を発生することでリアリティを高めている。
【0003】
図1は、射撃訓練を行なう為の模擬訓練システムの一例の構成図である。火器1は、射撃訓練に使用する仮想的な火器を示し、例えば航空機,戦車,地対空誘導弾,高射機関砲等が上げられる。人員2は、射撃訓練に参加する人員を示す。弾道3は、火器1が実際に射撃を行った際に想定される弾道を示す。弾着位置4は、火器1が実際に射撃を行った際に想定される弾着位置を示す。
【0004】
端末装置5は訓練に参加する火器1や人員2が保持する装置を示す。端末装置5は無線部6,現示部7等からなり、データの送受信,各種の現示を行なう。現示部7は発音を行なうスピーカや発光を行なうLED等から成る。発音発煙装置8は、従来の発音発煙装置を示している。発音発煙装置8は、無線部6,発音部9,発煙部10等からなる。発音部9及び発煙部10は、無線部6からの指示に応じて発音,発煙を行なう。
【0005】
中央局11は、端末装置5から送信された発射データ12を受信すると共に、端末装置5へ損耗指示データ13を送信し、発音発煙装置8へ現示指示データ14を送信する。中央局11は、全ての端末装置5,発音発煙装置8が、限られた周波数帯域にてデータの送受信を行なう為の制御を行なう。
【0006】
発射データ12は、火器1の発射条件を示すデータである。発射データ12の内容の一例としては、火器1の種類,弾種,目標座標,自身(自機)の位置情報,発射時刻などが上げられる。また、損耗指示データ13は、どの人員2が、どの程度の損耗をするかを示すデータである。損耗指示データ13の内容の一例としては、火器1または人員2の個別番号,損耗程度,損耗時刻などが上げられる。
【0007】
端末装置5は、損耗指示データ13を受信して、損耗の結果を音や光で現示する。現示指示データ14は、どの発音発煙装置8が、どの現示を行なうかを示すデータである。現示指示データ14の内容の一例としては、発音発煙装置8の個別番号,弾種,現示時刻などが上げられる。発音発煙装置8は、現示指示データ14に含まれる情報に応じて、音の発音や煙の発生により弾着の現示を行なう。特許文献1〜3には、従来の模擬訓練システムの一例が記載されている。
【特許文献1】特開平7−146096号公報
【特許文献2】特許第3538870号公報
【特許文献3】特許第2773615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の発音発煙装置8を用いて射撃訓練を行なう場合、人員2は発音発煙装置8から発音される音や発生される煙により弾着位置4を推測する。従って、訓練に参加している人員2は演習場に配置される発音発煙装置8の分布が密であれば弾着位置4を詳細に、発音発煙装置8の分布が疎であれば弾着位置4を大まかに推測できる。
【0009】
しかしながら、従来の発音発煙装置8は高価である。この為、多くの発音発煙装置8を演習場に配置することは、コスト面から問題があった。また、発音発煙装置8は、音の発音や煙の発生を行なうため、ある程度の大きさとなってしまう。従って、多くの発音発煙装置8を演習場に配置することは、実戦環境に近い形で訓練を行なうという面からも問題があった。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、配置数を増やすこと無く、射撃装置が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を詳細に推測させることができる弾着位置推測支援装置および弾着位置推測支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、射撃装置が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を、人員が推測することを支援する弾着位置推測支援装置であって、自機の現在位置,前記仮想弾丸の弾着位置の関係に基づいて、前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を、現示手段に出力させる制御手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、少なくとも記憶装置と制御装置とを備えたコンピュータにおいて実行される弾着位置推測支援プログラムであって、前記記憶装置は、自機の現在位置,前記仮想弾丸の弾着位置の関係に対して前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力が対応付けられているテーブルを記憶しており、前記制御装置は、自機の現在位置,前記仮想弾丸の弾着位置の関係に基づいて、前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を前記テーブルから読み出し、その出力を現示手段に出力させるステップを実行し、射撃装置が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を、人員が推測することを支援することを特徴とする。
【0013】
本発明では、自機の現在位置,仮想弾丸の弾着位置の関係に基づいて、自機の現在位置から見た仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を現示手段から出力することで、その出力に応じて人員が弾着位置を推測できる。
【発明の効果】
【0014】
上述の如く、本発明によれば、配置数を増やすこと無く、射撃装置が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を詳細に推測させることができる弾着位置推測支援装置および弾着位置推測支援プログラムを提供可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明していく。本発明の弾着位置推測支援装置の一例としての発音発煙装置は、実際に射撃を行わない場合も、実弾と同様に仮想弾丸の飛来音,弾着音,爆発音を発音し、弾着時及び爆発時の煙を発生する装置をいう。
【0016】
本発明による発音発煙装置を配置しておくことにより、射撃訓練を行なう演習場や射撃ゲームを行なうアミューズメント施設では、より実際に近い状況の現示を行なうことができる。また、本発明による発音発煙装置を射撃訓練又は射撃ゲームに参加する人員に保持させることで、射撃訓練を行なう演習場や射撃ゲームを行なうアミューズメント施設には発音発煙装置を設置する必要が無くなる。
【0017】
本実施例では、演習場で行なう射撃訓練を例に説明するが、アミューズメント施設で行なう射撃ゲームであってもよい。本実施例における射撃訓練とは、実弾による射撃を行なう代わりに、無線信号やレーザ信号を使用して、その効果を判定すること、また弾着位置における車両や人員の対処方法を訓練することをいう。
【0018】
現示とは、弾着位置における状況を音や煙により、模擬的に表示することをいう。音量とは、音の大きさ、ボリュームを指す。音質とは、音色,音調を指し、音の継続時間,リズム,高低(周波数)等をいう。
【0019】
図2は、射撃訓練を行なう為の模擬訓練システムの一例の構成図である。なお、図2の模擬訓練システムは一部を除いて図1の模擬訓練システムと同様である為、適宜説明を省略する。
【0020】
火器1,人員2,弾道3,弾着位置4及び端末装置5は、図1と同様である。発音発煙装置20は、本発明による発音発煙装置を示している。発音発煙装置20の構成は、図3を参照しつつ後述する。
【0021】
中央局11は、図1の中央局11と同様、端末装置5から送信された発射データ12を受信すると共に、端末装置5へ損耗指示データ13を送信する。また、中央局11は発音発煙装置20へ現示指示データ21を送信する。中央局11は、全ての端末装置5,発音発煙装置20が、限られた周波数帯域にてデータの送受信を行なう為の制御を行なう。
【0022】
なお、発射データ12,損耗指示データ13は、図1と同様である。現示指示データ21は、火器1が仮想的に仮想弾丸を発射した発射位置,火器1が実際に射撃を行った際に想定される弾着位置4を含むデータである。発音発煙装置20は、現示指示データ21に含まれる情報に応じて、後述する実施例1〜3のように現示を行なう。
【0023】
図3は、発音発煙装置20の一実施例のブロック図である。発音発煙装置20は、無線部31,制御部32,メモリ33,位置標定部34,スピーカ35,複数の発煙部36を含む構成である。
【0024】
メモリ33は、後述する実施例1〜3の処理に必要な各種テーブルを記憶している。スピーカ35は、制御部32からの指示に応じて音量と音質を可変してステレオ又はモノラルで発音できるものとする。
【0025】
複数の発煙部36(36−1,36−2,36−3,・・・・)は、制御部32からの指示に応じて煙の色を変えて発煙できるものとする。無線部31は、中央局11からの現示指示データ21を受信して制御部32へ送信する。
【0026】
位置標定部34は、自機の現在位置を測位して制御部32へ送信する。位置標定部34はGPS受信器などが上げられる。制御部32は無線部31から受信した現示指示データ21と位置標定部34から受信した位置データ37とを受信し、メモリ33に記憶されている各種テーブルを用いてスピーカ35へ発音指示38を行なうと共に、発煙部36に対して発煙指示39を行なう。
【0027】
現示指示データ21は、火器1が仮想的に仮想弾丸を発射した発射位置,火器1が実際に射撃を行った際に想定される弾着位置4を含むデータである。ここでは一例として現示指示データ21は射撃を行なう火器1に取り付けられた端末装置5または中央局11から送信されるものとする。
【0028】
なお、発音発煙装置20は図4のような構成としてもよい。図4は、発音発煙装置20の他の実施例のブロック図である。図4の発音発煙装置20は、複数の発煙部36が無い構成であり、煙の発生による弾着の現示を行わない。図4の発音発煙装置20は、例えば人員2に保持させるときに安全面から有効である。
【0029】
図3,図4の発音発煙装置20は、外部から位置データ37を受信できれば、位置標定部34が無い構成も可能である。また、スピーカ35や発煙部36を外部接続できるような構成としてもよい。
【0030】
図3,図4の発音発煙装置20では、本発明の弾着位置推測支援プログラムがメモリ33に記憶されている。制御部32はメモリ33に記憶されている弾着位置推測支援プログラムを読み出し、その弾着位置推測支援プログラムに従って、後述する実施例1〜3のような処理を実現できる。
【0031】
本発明による発音発煙装置20は、弾着位置4と発音発煙装置20の位置との位置関係から音量,音質,煙量,煙色を変えて現示を行なう。この為、発音発煙装置20の数が少なくても、射撃訓練に参加している人員2が、実戦と同様に弾着位置4を推測することができる。また、発音発煙装置20は人員2に装着させることで、演習場に発音発煙装置20を配置することなく、現示を行なうことができる。また、本発明による発音発煙装置20は発射から弾着までの時間経過毎に音質を変えて発音することができるので、仮想弾丸の飛来音を正確に模擬することができる。
【0032】
したがって、本発明による発音発煙装置20は、より小さいコストで、より実戦環境に近い形での訓練を可能とする。
【実施例1】
【0033】
図5は、本発明による発音発煙装置20の処理手順を示す第1実施例のフローチャートである。図5のフローチャートは、弾着位置4と発音発煙装置20の現在位置との距離Rに応じて、発音の音量と発煙の煙量を変えて現示する処理を示している。具体的に発音発煙装置20は、弾着位置4と発音発煙装置20の現在位置との距離Rが大きければ発音の音量と発煙の煙量とを小さくし、弾着位置4と発音発煙装置20の現在位置との距離Rが小さければ発音の音量と発煙の煙量とを大きくする。
【0034】
発音発煙装置20の制御部32は、次のように処理を行う。制御部32は、無線部31から現示指示データ21を受信するまでステップS31の処理を繰り返す。制御部32は無線部31から現示指示データ21を受信すると、ステップS32に進む。
【0035】
ステップS32では、制御部32が、ステップS31で受信した現示指示データ21に含まれる弾着位置4と、位置標定部34から受信した位置データ37に含まれる発音発煙装置(自機)20の現在位置との距離Rを算出する。
【0036】
ステップS33では、制御部32がメモリ33から図6のテーブルを読み出す。図6は弾着位置4と発音発煙装置20の現在位置との距離Rに応じた発音指示及び発煙指示を表した一例のテーブルである。図5のフローチャートの処理は、図7に表すようなイメージとなる。図7は、第1実施例の処理を表したイメージ図である。
【0037】
ステップS33に進み、制御部32は距離Rが図6のテーブルに格納されている距離D1より小さいか否かを判定する。距離Rが距離D1より小さくない(R≧D1)と判定すれば(S33においてNO)、制御部32はステップS35に進み、図6のテーブルを参照してスピーカ35へ行なう発音指示38と、発煙部36に対して行なう発煙指示39とを決定する。具体的に、ステップS35では図6のテーブルの条件(R≧D1)に対応する発音指示「なし」,発煙指示「なし」が決定される。
【0038】
距離Rが距離D1より小さい(D1>R)と判定すれば(S33においてYES)、制御部32はステップS34に進み、距離Rが図6のテーブルに格納されている距離D2より小さいか否かを判定する。距離Rが距離D2より小さくない(D1>R≧D2)と判定すれば(S34においてNO)、制御部32はステップS36に進み、図6のテーブルを参照してスピーカ35へ行なう発音指示「音量小」と、発煙部36に対して行なう発煙指示「なし」とを決定する。制御部32は、決定した発音指示38をスピーカ35に行なう。
【0039】
距離Rが距離D2より小さい(D2>R)と判定すれば(S34においてYES)、制御部32はステップS35に進み、距離Rが図6のテーブルに格納されている距離D3より小さいか否かを判定する。距離Rが距離D3より小さくない(D2>R≧D3)と判定すれば(S35においてNO)、制御部32はステップS37に進み、図6のテーブルを参照してスピーカ35へ行なう発音指示「音量中」と、発煙部36に対して行なう発煙指示とを決定する。そして、制御部32は、決定した発音指示38をスピーカ35に行なうと共に、発煙部36−1に対して発煙指示39を行なう。
【0040】
距離Rが距離D3より小さい(D3>R)と判定すれば(S35においてYES)、制御部32はステップS36に進み、距離Rが図6のテーブルに格納されている距離D4より小さいか否かを判定する。距離Rが距離D4より小さくない(D3>R≧D4)と判定すれば(S36においてNO)、制御部32はステップS38に進み、図6のテーブルを参照してスピーカ35へ行なう発音指示「音量大」と、発煙部36に対して行なう発煙指示とを決定する。そして、制御部32は、決定した発音指示38をスピーカ35に行なうと共に、発煙部36−1〜36−2に対して発煙指示39を行なう。
【0041】
距離Rが距離D4より小さい(D4>R)と判定すれば(S36においてYES)、制御部32はステップS39に進み、図6のテーブルを参照してスピーカ35へ行なう発音指示「音量特大」と、発煙部36に対して行なう発煙指示とを決定する。制御部32は、決定した発音指示38をスピーカ35に行なうと共に、発煙部36−1〜36−3に対して発煙指示39を行なう。なお、図7のイメージ図の場合、制御部32はステップS36に進み、図6のテーブルの条件(D1>R≧D2)に対応する発音指示「小」,発煙指示「なし」が決定される。
【0042】
距離D1〜D4は、予め設定する距離の閾値であり、現示指示データ21に含まれる弾種毎に設定することもできる。距離D1〜D4は、距離D1>D2>D3>D4となるように4つの閾値として設定されている。発音指示は、音量小,音量中,音量大,音量特大の4段階が設定されている。
【0043】
発煙指示は、発煙部36−1による発煙,発煙部36−1〜36−2による発煙,発煙部36−1〜36−3による発煙の3段階が設定されている。発音指示及び発煙指示はスピーカ35の音量設定可能な分解能及び発煙部36の数に応じて距離の閾値Dを多く設定することにより、細かい段階設定による現示も可能となる。
【実施例2】
【0044】
図8は、本発明による発音発煙装置20の処理手順を示す第2実施例のフローチャートである。図8のフローチャートは、弾着位置4と発音発煙装置20の現在位置との位置関係に応じて、発音の音質と発煙の煙色とを変えて現示する処理を示している。具体的に発音発煙装置20は、弾着位置4を発音発煙装置20の上方右,上方左,下方右,下方左の4方向に分けて例えば図9に示すように現示する。
【0045】
図9は、弾着位置4を発音発煙装置20の上方右,上方左,下方右,下方左の4方向に分けた一例のイメージ図である。上方右の方向とは、例えば平面地図上でみて北東方向をいう。また、上方左の方向とは例えば平面地図上でみて北西方向をいう。また、下方右の方向とは例えば平面地図上でみて南東方向をいう。また、下方左の方向とは例えば平面地図上でみて南西方向をいう。
【0046】
発音発煙装置20の制御部32は、次のように処理を行う。制御部32は、無線部31から現示指示データ21を受信するまでステップS51の処理を繰り返す。制御部32は無線部31から現示指示データ21を受信すると、ステップS52に進む。
【0047】
ステップS52では、制御部32が、ステップS51で受信した現示指示データ21に含まれる弾着位置4と、位置標定部34から受信した位置データ37に含まれる発音発煙装置(自機)20の現在位置とのX座標を比較する。発音発煙装置20の現在位置のX座標が弾着位置4のX座標よりも小さければ(S52においてYES)、制御部32はステップS53に進む。一方、発音発煙装置20の現在位置のX座標が弾着位置4のX座標よりも小さくなければ(S52においてNO)、制御部32はステップS54に進む。
【0048】
ステップS53では、制御部32が、ステップS51で受信した現示指示データ21に含まれる弾着位置4と、位置標定部34から受信した位置データ37に含まれる発音発煙装置(自機)20の現在位置とのY座標を比較する。
【0049】
発音発煙装置20の現在位置のY座標が弾着位置4のY座標よりも小さければ(S53においてYES)、制御部32はステップS55に進む。一方、発音発煙装置20の現在位置のY座標が弾着位置4のY座標よりも小さくなければ(S53においてNO)、制御部32はステップS56に進む。
【0050】
一方、ステップS54では、制御部32が、ステップS51で受信した現示指示データ21に含まれる弾着位置4と、位置標定部34から受信した位置データ37に含まれる発音発煙装置(自機)20の現在位置とのY座標を比較する。
【0051】
発音発煙装置20の現在位置のY座標が弾着位置4のY座標よりも小さければ(S54においてYES)、制御部32はステップS57に進む。一方、発音発煙装置20の現在位置のY座標が弾着位置4のY座標よりも小さくなければ(S54においてNO)、制御部32はステップS58に進む。
【0052】
ステップS55〜S58では、制御部32がメモリ33から図10のようなテーブルを読み出す。図10は弾着位置4と発音発煙装置20の現在位置との位置関係に応じた発音指示及び発煙指示を表した一例のテーブルである。
【0053】
ステップS55に進み、制御部32は、弾着位置4が発音発煙装置20の現在位置からみて上方右であると判定し、図10のテーブルに基づき、スピーカ35へ行なう発音指示38と、発煙部36に対して行なう発煙指示39とを決定する。具体的に、ステップS55では、図10のテーブルの条件(上方右)に対応する発音指示「音質1」,発煙指示「色1」が決定される。そして、制御部32は、決定した発音指示38をスピーカ35に行なうと共に、発煙部36に対して発煙指示39を行なう。
【0054】
また、ステップS56に進み、制御部32は、弾着位置4が発音発煙装置20の現在位置からみて下方右であると判定し、図10のテーブルに基づき、スピーカ35へ行なう発音指示38と、発煙部36に対して行なう発煙指示39とを決定する。具体的に、ステップS56では、図10のテーブルの条件(下方右)に対応する発音指示「音質2」,発煙指示「色2」が決定される。そして、制御部32は、決定した発音指示38をスピーカ35に行なうと共に、発煙部36に対して発煙指示39を行なう。
【0055】
また、ステップS57に進み、制御部32は、弾着位置4が発音発煙装置20の現在位置からみて上方左であると判定し、図10のテーブルに基づき、スピーカ35へ行なう発音指示38と、発煙部36に対して行なう発煙指示39とを決定する。具体的に、ステップS57では、図10のテーブルの条件(上方左)に対応する発音指示「音質3」,発煙指示「色3」が決定される。そして、制御部32は、決定した発音指示38をスピーカ35に行なうと共に、発煙部36に対して発煙指示39を行なう。
【0056】
また、ステップS58に進み、制御部32は、弾着位置4が発音発煙装置20の現在位置からみて下方左であると判定し、図10のテーブルに基づき、スピーカ35へ行なう発音指示38と、発煙部36に対して行なう発煙指示39とを決定する。具体的に、ステップS58では、図10のテーブルの条件(下方左)に対応する発音指示「音質4」,発煙指示「色4」が決定される。そして、制御部32は、決定した発音指示38をスピーカ35に行なうと共に、発煙部36に対して発煙指示39を行なう。
【0057】
図8のフローチャートでは、弾着位置4が発音発煙装置20の真上である場合を考慮していないが、図10のテーブルの条件に真上を追加してもよいし、何れかの方向に真上を含ませてもよいし、発音指示「音質1〜4」,発煙指示「色1〜4」が決定されるようにしてもよい。
【0058】
なお、弾着位置4を発音発煙装置20の上方右,上方左,下方右,下方左の4方向に分けて例えば図9に示すように現示する例を示しているが、スピーカ35による発音の音質の種類数、発煙部36による発煙の煙色の種類数に応じて、発音発煙装置20の現在位置に対する弾着位置4の方向を多く設定することにより、細かい段階設定による現示も可能となる。
【実施例3】
【0059】
図11は本発明による発音発煙装置20の処理手順を示す第3実施例のフローチャートである。図11のフローチャートは、火器1が仮想的に仮想弾丸を発射した発射位置,火器1が実際に射撃を行った際に想定される弾着位置4および発音発煙装置20の現在位置の位置関係に応じて発音の音質を変えて発音する際、発射時刻から弾着時刻までの時間経過毎に音質を変えることで、弾丸通過時の音質の変化を模擬して発音する一例の処理を示している。
【0060】
図12〜図14は、発射位置,弾着位置4および発音発煙装置20の現在位置の位置関係を表した一例の関係図である。図12〜図14に示すように、ここでは発射位置と弾着位置4との距離を距離R1と定義し、発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離を距離R2と定義し、弾着位置4と発音発煙装置20との距離を距離R3と定義する。
【0061】
図12の関係図は、発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離R2が、発射位置と弾着位置4との距離R1および弾着位置4と発音発煙装置20との距離R3よりも大きい場合を示している。図12の関係図は、仮想弾丸が発音発煙装置20に近づいてくる例を表している。
【0062】
図13の関係図は、弾着位置4と発音発煙装置20との距離R3が、発射位置と弾着位置4との距離R1および発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離R2よりも大きい場合を示している。図13の関係図は、仮想弾丸が発音発煙装置20から遠ざかっていく例を表している。
【0063】
図14の関係図は、発射位置と弾着位置4との距離R1が、発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離R2および弾着位置4と発音発煙装置20との距離R3よりも大きい場合を示している。図14の関係図は、仮想弾丸が発音発煙装置20の最も近い点91まで近づき、その後、遠ざかっていく例である。
【0064】
発音発煙装置20の制御部32は、次のように処理を行う。制御部32は、無線部31から現示指示データ21を受信するまでステップS71の処理を繰り返す。制御部32は無線部31から現示指示データ21を受信すると、ステップS72に進む。
【0065】
ステップS72では、制御部32が、ステップS71で受信した現示指示データ21に含まれる発射位置と、弾着位置4と、位置標定部34から受信した位置データ37に含まれる発音発煙装置20の現在位置とを用いて、発射位置と弾着位置4との距離R1と、発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離R2と、弾着位置4と発音発煙装置20との距離R3とを算出する。
【0066】
ステップS73に進み、制御部32は発射位置と弾着位置4との距離R1が発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離R2よりも大きいか否かを判定する。制御部32は発射位置と弾着位置4との距離R1が発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離R2よりも大きければ(S73においてYES)、ステップS75に進み、発射位置と弾着位置4との距離R1が弾着位置4と発音発煙装置20との距離R3よりも大きいか否かを判定する。
【0067】
発射位置と弾着位置4との距離R1が弾着位置4と発音発煙装置20との距離R3よりも大きければ(S75においてYES)、制御部32はステップS76に進む。ステップS76に進んだ場合、発射位置,弾着位置4および発音発煙装置20の現在位置の位置関係は図14のようになっている。制御部32は、仮想弾丸が発音発煙装置20の最も近い点91を通過する時間T1を算出する。
【0068】
そして、ステップS77に進み、制御部32は発射時刻T0から時刻T1まで音量が徐々に大きくなるように発音指示38を行い、時刻T1から弾着時刻T2まで音量が徐々に小さくなるように発音指示38を行なう。
【0069】
一方、ステップS73において、制御部32は発射位置と弾着位置4との距離R1が発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離R2よりも大きくなければ(S73においてNO)、ステップS74に進み、発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離R2が弾着位置4と発音発煙装置20との距離R3よりも大きいか否かを判定する。
【0070】
発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離R2が弾着位置4と発音発煙装置20との距離R3よりも大きければ(S74においてYES)、制御部32はステップS78に進む。ステップS78に進んだ場合、発射位置,弾着位置4および発音発煙装置20の現在位置の位置関係は図12のようになっている。制御部32は、音量が徐々に大きくなるように発音指示38を行なう。
【0071】
発射位置と発音発煙装置20の現在位置との距離R2が弾着位置4と発音発煙装置20との距離R3よりも大きくなければ(S74においてNO)、制御部32はステップS79に進む。また、発射位置と弾着位置4との距離R1が弾着位置4と発音発煙装置20との距離R3よりも大きくない場合も(S75においてNO)、制御部32はステップS79に進む。
【0072】
ステップS79に進んだ場合、発射位置,弾着位置4および発音発煙装置20の現在位置の位置関係は図13のようになっている。制御部32は、音量が徐々に小さくなるように発音指示38を行なう。
【0073】
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0074】
本発明は、以下に記載する付記のような構成が考えられる。
(付記1)
射撃装置が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を、人員が推測することを支援する弾着位置推測支援装置であって、
自機の現在位置,前記仮想弾丸の弾着位置の関係に基づいて、前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を、現示手段に出力させる制御手段を備えた弾着位置推測支援装置。
(付記2)
前記制御手段は、自機の現在位置,前記仮想弾丸の発射位置および弾着位置の関係に基づいて、前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾道に応じた出力を、現示手段に出力させることを特徴とする付記1記載の弾着位置推測支援装置。
(付記3)
前記現示手段は、少なくとも音及び煙の何れか一方を出力可能であり、
前記制御手段は、前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を、少なくとも音量又は煙量の何れか一方で前記現示手段に出力させることを特徴とする付記1又は2記載の弾着位置推測支援装置。
(付記4)
前記現示手段は、少なくとも音及び煙の何れか一方を出力可能であり、
前記制御手段は、前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を、少なくとも音質又は煙の色で前記現示手段に出力させることを特徴とする付記1又は2記載の弾着位置推測支援装置。
(付記5)
前記現示手段は、音を出力可能であり、
前記制御手段は、前記仮想弾丸の弾道に応じた飛来音を時間経過毎の音質の変化で前記現示手段に出力させることを特徴とする付記2記載の弾着位置推測支援装置。
(付記6)
前記制御手段は、前記仮想弾丸が前記自機の現在位置に近づいてくるときに前記仮想弾丸の弾道に応じた飛来音を、時間経過毎に音量を段階的に大きくすることで前記現示手段に出力させ、
前記仮想弾丸が前記自機の現在位置から遠ざかっていくときに前記仮想弾丸の弾道に応じた飛来音を、時間経過毎に音量を段階的に小さく出力することで前記現示手段に出力させることを特徴とする付記5記載の弾着位置推測支援装置。
(付記7)
前記制御手段は、前記仮想弾丸が前記自機の現在位置に近づいてくるときに前記仮想弾丸の弾道に応じた飛来音を、時間経過毎に音の周波数を段階的に大きくすることで前記現示手段に出力させ、
前記仮想弾丸が前記自機の現在位置から遠ざかっていくときに前記仮想弾丸の弾道に応じた飛来音を、時間経過毎に音の周波数を段階的に小さく出力することで前記現示手段に出力させることを特徴とする付記5記載の弾着位置推測支援装置。
(付記8)
少なくとも記憶装置と制御装置とを備えたコンピュータにおいて実行される弾着位置推測支援プログラムであって、
前記記憶装置は、自機の現在位置,前記仮想弾丸の弾着位置の関係に対して前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力が対応付けられているテーブルを記憶しており、
前記制御装置は、自機の現在位置,前記仮想弾丸の弾着位置の関係に基づいて、前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を前記テーブルから読み出し、その出力を現示手段に出力させるステップを実行し、
射撃装置が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を、人員が推測することを支援する弾着位置推測支援プログラム。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】射撃訓練を行なう為の模擬訓練システムの一例の構成図である。
【図2】射撃訓練を行なう為の模擬訓練システムの一例の構成図である。
【図3】発音発煙装置20の一実施例のブロック図である。
【図4】発音発煙装置20の他の実施例のブロック図である。
【図5】本発明による発音発煙装置20の処理手順を示す第1実施例のフローチャートである。
【図6】弾着位置4と発音発煙装置20の現在位置との距離Rに応じた発音指示及び発煙指示を表した一例のテーブルである。
【図7】第1実施例の処理を表したイメージ図である。
【図8】本発明による発音発煙装置20の処理手順を示す第2実施例のフローチャートである。
【図9】弾着位置4を発音発煙装置20の上方右,上方左,下方右,下方左の4方向に分けた一例のイメージ図である。
【図10】弾着位置4と発音発煙装置20の現在位置との位置関係に応じた発音指示及び発煙指示を表した一例のテーブルである。
【図11】本発明による発音発煙装置20の処理手順を示す第3実施例のフローチャートである。
【図12】発射位置,弾着位置4および発音発煙装置20の現在位置の位置関係を表した一例の関係図である。
【図13】発射位置,弾着位置4および発音発煙装置20の現在位置の位置関係を表した一例の関係図である。
【図14】発射位置,弾着位置4および発音発煙装置20の現在位置の位置関係を表した一例の関係図である。
【符号の説明】
【0076】
1 火器
2 人員
3 弾道
4 弾着位置
5 端末装置
11 中央局
12 発射データ
13 損耗指示データ
20 発音発煙装置
21 現示指示データ
31 無線部
32 制御部
33 メモリ
34 位置標定部
35 スピーカ
36 発煙部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射撃装置が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を、人員が推測することを支援する弾着位置推測支援装置であって、
自機の現在位置,前記仮想弾丸の弾着位置の関係に基づいて、前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を、現示手段に出力させる制御手段を備えた弾着位置推測支援装置。
【請求項2】
前記制御手段は、自機の現在位置,前記仮想弾丸の発射位置および弾着位置の関係に基づいて、前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾道に応じた出力を、現示手段に出力させることを特徴とする請求項1記載の弾着位置推測支援装置。
【請求項3】
前記現示手段は、少なくとも音及び煙の何れか一方を出力可能であり、
前記制御手段は、前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を、少なくとも音量又は煙量の何れか一方で前記現示手段に出力させることを特徴とする請求項1又は2記載の弾着位置推測支援装置。
【請求項4】
前記現示手段は、少なくとも音及び煙の何れか一方を出力可能であり、
前記制御手段は、前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を、少なくとも音質又は煙の色で前記現示手段に出力させることを特徴とする請求項1又は2記載の弾着位置推測支援装置。
【請求項5】
少なくとも記憶装置と制御装置とを備えたコンピュータにおいて実行される弾着位置推測支援プログラムであって、
前記記憶装置は、自機の現在位置,前記仮想弾丸の弾着位置の関係に対して前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力が対応付けられているテーブルを記憶しており、
前記制御装置は、自機の現在位置,前記仮想弾丸の弾着位置の関係に基づいて、前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を前記テーブルから読み出し、その出力を現示手段に出力させるステップを実行し、
射撃装置が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を、人員が推測することを支援する弾着位置推測支援プログラム。
【請求項1】
射撃装置が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を、人員が推測することを支援する弾着位置推測支援装置であって、
自機の現在位置,前記仮想弾丸の弾着位置の関係に基づいて、前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を、現示手段に出力させる制御手段を備えた弾着位置推測支援装置。
【請求項2】
前記制御手段は、自機の現在位置,前記仮想弾丸の発射位置および弾着位置の関係に基づいて、前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾道に応じた出力を、現示手段に出力させることを特徴とする請求項1記載の弾着位置推測支援装置。
【請求項3】
前記現示手段は、少なくとも音及び煙の何れか一方を出力可能であり、
前記制御手段は、前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を、少なくとも音量又は煙量の何れか一方で前記現示手段に出力させることを特徴とする請求項1又は2記載の弾着位置推測支援装置。
【請求項4】
前記現示手段は、少なくとも音及び煙の何れか一方を出力可能であり、
前記制御手段は、前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を、少なくとも音質又は煙の色で前記現示手段に出力させることを特徴とする請求項1又は2記載の弾着位置推測支援装置。
【請求項5】
少なくとも記憶装置と制御装置とを備えたコンピュータにおいて実行される弾着位置推測支援プログラムであって、
前記記憶装置は、自機の現在位置,前記仮想弾丸の弾着位置の関係に対して前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力が対応付けられているテーブルを記憶しており、
前記制御装置は、自機の現在位置,前記仮想弾丸の弾着位置の関係に基づいて、前記自機の現在位置から見た前記仮想弾丸の弾着位置の少なくとも距離及び方向の何れか一方に応じた出力を前記テーブルから読み出し、その出力を現示手段に出力させるステップを実行し、
射撃装置が仮想的に発射した仮想弾丸の弾着位置を、人員が推測することを支援する弾着位置推測支援プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−10194(P2007−10194A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189443(P2005−189443)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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