待機電力削減電話システム
【課題】従来の待機電力削減電話システムに於ける電話機は、通常運用状態と待機状態の切替を行う為に電話機内部に状態監視回路と接点を持ち、接点を開閉するための状態監視回路は待機状態であっても電力を消費していた。
【解決手段】この待機電力削減電話システムは電話回線30にそれぞれ接続され、電話回線30からの電力によって動作する電話機10と、スイッチ部25をそれぞれ有する複数の電話回線30を備え、電話回線30の待機時にスイッチ部25を切断する電話交換機20とを備えている。1つの電話回線30へ着信すると、電話交換機20はその1つの電話回線30のスイッチ部25を接続し、電話機10は、その1つの電話回線30からの電力によって動作する。電話機10から発信するときは起動確認信号を無線で送信し、電話交換機20は起動確認信号を受信すると電話回線30のスイッチ部25を接続して呼出信号を送信する
【解決手段】この待機電力削減電話システムは電話回線30にそれぞれ接続され、電話回線30からの電力によって動作する電話機10と、スイッチ部25をそれぞれ有する複数の電話回線30を備え、電話回線30の待機時にスイッチ部25を切断する電話交換機20とを備えている。1つの電話回線30へ着信すると、電話交換機20はその1つの電話回線30のスイッチ部25を接続し、電話機10は、その1つの電話回線30からの電力によって動作する。電話機10から発信するときは起動確認信号を無線で送信し、電話交換機20は起動確認信号を受信すると電話回線30のスイッチ部25を接続して呼出信号を送信する
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電話交換機と電話機を備えた待機電力削減電話システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、待機電力削減電話システムでは、通常運用状態において電話機は全ての機能を動作させ、待機状態において電話機は機能の一部を休止して発信や着信に係る最小限の監視を行う節電技術が知られていた。
【0003】
特開2000−253172号公報には、電話回線が接続されていない時には電源を遮断するモデムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−253172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の待機電力削減電話システムに於ける電話機は、通常運用状態と待機状態の切替を行う為に電話機内部に状態監視回路と接点を持ち、接点を開閉するための状態監視回路は待機状態であっても電力を消費するという課題があった。これは、待機電力削減電話システムに収容される待機状態の電話機の状態監視回路すべての電力消費に係るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の待機電力削減電話システムは、電話回線にそれぞれ接続され、前記電話回線からの電力によって動作する電話機と、スイッチをそれぞれ有する複数の前記電話回線を備え、前記電話回線の待機時に前記スイッチを切断する電話交換機と、を備えた待機電力削減電話システムであって、前記電話交換機は、外線から1つの前記電話回線へ着信すると、その1つの前記電話回線の前記スイッチを接続し、前記電話機は、その1つの前記電話回線からの電力によって動作することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の待機電力削減電話システムによれば、電話機は、待機時に電話交換機から電気的に切り離され全く電力を消費しない為に、従来の待機電力削減電話システムに比べて、大幅な節電が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施例1における待機電力削減電話システムを示す概略の構成図である。
【図2】図2は、本発明の実施例1における接続動作のワークフローを示す図である。
【図3】図3は、図2の発信時の動作を示すフローチャートである。
【図4】図4は、図2の発信後の発信側切断時の動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は、図2の発信後の着信側切断時の動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、図2の着信時の動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、図2の着信後の発信側切断時の動作を示すフローチャートである。
【図8】図8は、図2の着信後の着信側切断時の動作を示すフローチャートである。
【図9】図9は、従来技術と本発明の実施例1における給電チャートの概略例を示す図である。
【図10】図10は、本発明の実施例2における接続動作のワークフローを示す図である。
【図11】図11は、図10の着信時の動作を示すフローチャートである。
【図12】図12は、本発明の実施例3における待機電力削減電話システムを示す概略の構成図である。
【図13】図13は、本発明の実施例3における接続動作のワークフローを示す図である。
【図14】図14は、図13の発信時の動作を示すフローチャートである。
【図15】図15は、図13の着信時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0010】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1における待機電力削減電話システムを示す概略の構成図である。
【0011】
待機電力削減電話システムとは、ボタン電話システムやインターネットプロトコル電話(以下、「IP電話」という。)システム等であり、複数の電話機10(=10−1〜10−3)と、これらの電話機10と電話回線30でそれぞれ接続されている電話交換機20とを有している。電話交換機20とは、電子交換機やIP−PBX(Intenet Protocol Private Branch eXchange)等である。
【0012】
各電話機10(=10−1〜10−3)は、従来技術と同様に電話回線30からの信号を受信すると共に電話回線30からの給電を受ける回線インタフェース(以下「I/F」という。)部11と、この回線I/F部11からの給電を受けて動作する内部回路12と、押しボタン等を有しダイヤル操作を行う操作部13とを備え、更に、振動を検知する振動受信部14と、この振動受信部14が振動を検知したときに動作する無線通信部15とアンテナ16とを備えている。
【0013】
無線通信部15とアンテナ16は、アクティブ型の無線タグ(Radio Frequency IDentification)のプロトコルにより、非常に微弱な電力で数十メートルの距離の通信が可能である。振動受信部14は、小型のボタン電池を内蔵し、電話機10本体が起動していないときであっても、電話機10の受話器のオフフックやボタンの押下げに伴う振動を検知する振動検知手段である。図示しない受話器は、送信用のマイクと受信音の発生用のスピーカを有している通話部である。
【0014】
電話交換機20は、従来技術と同様に、外線からの信号と各電話機10(=10−1〜10−3)からの信号とを送受信して制御する制御部21と、制御部21と複数の電話回線30(=30−1〜30−3)にそれぞれ接続され、電話信号を中継する機能を有する複数の回線I/F部26(=26−1〜26−3)と、制御部21に電源を供給する電源部24とを有している。この電話交換機20は、更に各電話機10(=10−1〜10−3)の無線通信部15と通信するための無線通信部22及びアンテナ23と、制御部21から指示を受けて、それぞれの電話回線30(=30−1〜30−3)の接続と切断を制御する複数のスイッチ部25(=25−1〜25−3)とを有している。無線通信部22及びアンテナ23は、アクティブ型の無線タグのプロトコルを送受信する機能を有している。
【0015】
制御部21は、電源部24によって電源の供給を受け、無線通信部22と外線が接続されていると共に、複数のスイッチ部25(=25−1〜25−3)及び回線I/F部26(=26−1〜26−3)を介して複数の電話回線30に接続されている。制御部21は更に、複数のスイッチ部25(=25−1〜25−3)との間に制御信号がそれぞれ接続されており、スイッチ部25を閉じて回線I/F部26と接続するか、又はスイッチ部25を開いて回線I/F部26と切断するかをそれぞれ制御できる。例えば、スイッチ部25−1を閉じたときには、電話回線30−1は電話機10−1に給電すると共に信号を送受信するが、スイッチ部25−1を開いたときには、電話回線30−1は、電話機10−1へ給電せず、かつ電話機10―1との信号の送受信は行わない。各電話機10(=10−1〜10−3)の無線通信部15及びアンテナ16は、無線通信路を介して電話交換機20の無線通信部22及びアンテナ23と通信できる。
【0016】
(実施例1の動作)
図2は、本発明の実施例1における接続動作のワークフローを示す図である。
【0017】
例えば、電話機10−1から発信する場合には、時刻W2において、電話機10−1の受話器のオフフックやボタン押下げに伴う振動が発生したとき、その振動を振動受信部14の振動センサが検知して無線通信部15に無線の送信を指示し、無線通信部15はアンテナ16を介して無線の発信信号を送信する。
【0018】
時刻W6において、電話交換機20は、その無線の発信信号を受信したならば、スイッチ部25−1を閉じることにより、電話機10−1との回線を接続する。以降は従来技術と同様に、時刻W10において、電話機10−1はオフフックに伴い通常運用状態に遷移し、発呼信号を電話交換機20に送信する。時刻W20において、電話交換機20は、発信音を電話機10−1に送信し、ダイヤル受信待ち状態になる。時刻W30において、電話機10−1は、ダイヤルが押されるとダイヤル信号を電話交換機20に送信し、電話交換機20は受信したダイヤル信号をもとにパス接続処理を行う。時刻W40において、電話交換機20は、電話機10−1に呼出音を送信する。時刻W50において、電話交換機20は電話機10−1に応答信号を送信し、通信中に遷移する。
【0019】
例えば、通信中に発信側の電話機10−1から切断する場合には、時刻W60において、電話機10−1はオンフックに伴い、切断信号を電話交換機20に送信して待機状態に遷移し、電話交換機20はパス切断処理を行う。時刻W62において、電話交換機20は、発信側の電話機10−1に係るスイッチ部25−1を開くことにより、電話機10−1との電話回線30−1を切断する。
【0020】
例えば、通信中に着信側の電話機10−2から切断された場合には、時刻W90において、電話交換機20は、パス切断処理を行うと共に発信側の電話機10−1に話中音を送信する。時刻W100において、発信側の電話機10−1はオンフックに伴い切断信号を電話交換機20に送信して待機状態に遷移する。時刻W102において、電話交換機20は、発信側の電話機10−1に係るスイッチ部25−1を開くことにより、電話機10−1との電話回線30−1を切断する。
【0021】
例えば、電話機10−2へ着信した場合には、時刻W36において、電話交換機20は、電話機10−2に係るスイッチ部25−2を閉じることにより、電話機10−2との電話回線30−2を接続する。以降は従来技術と同様に、時刻W40において、電話交換機20は、電話機10−2に呼出信号を送信し、電話機10−2は通常運用状態に遷移して呼出音を鳴らす。電話機10−2は、オフフックに伴う応答信号を電話交換機20に送信し、通信中に遷移する。
【0022】
例えば、通信中に発信側の電話機10−1から切断された場合には、時刻W60において、電話交換機20は、バス切断処理と共に切断信号を電話機10−2に送信したのち、時刻W70において話中音を送出する。時刻W80において、電話機10−2がオンフックしたならば、終話信号を電話交換機20に送信する。時刻W82において、電話交換機20は、電話機10−2に係るスイッチ部25−2を開いて、電話回線30−1を切断する。
【0023】
例えば、通信中に電話機10−2がオンフックした場合には、時刻W90において電話交換機20に終話信号を送信して待機状態に移行し、電話交換機20はバス切断処理を行う。時刻W92において、電話交換機20は、電話機10−2に係るスイッチ部25−2を開いて、電話回線30−2を切断する。
【0024】
図3は、図2の発信時の動作を示すフローチャートである。
待機状態の場合、電話機10−1は、電話回線30−1から給電を受けていない。電話機10−1は、電話機10−1の受話器のオフフックやボタン押下げに伴う振動が発生したとき、その振動を振動受信部14の振動センサが検知し、小型電池によって無線通信部15に給電し、処理が開始する。ステップS1において、電話機10−1は、無線通信部15によって無線を介して発信信号を送信する。この処理は図2の時刻W2の処理に対応している。
【0025】
ステップS2において、電話機10−1は、電話交換機20から電話回線30−1を介して給電を受けて通常運用状態に遷移し、ステップS3において当該電話機10−1を起動する。この処理は図2の時刻W6の処理に対応している。
【0026】
ステップS4において、電話機10−1は、受話器がオフフックしたか否かを判断する。受話器がオフフックしたならば、ステップS5において、電話機10−1は、発呼信号を電話交換機20に送信する。この処理は図2の時刻W10の処理に対応している。ステップS6において、電話機10−1は、局番号のダイヤル操作を待つ。局番号のダイヤル操作がされたならば、ステップS7において、電話交換機20にダイヤル信号を送信する。この処理は図2の時刻W30の処理に対応しているステップS8において、電話機10−1は、電話交換機20からの応答信号を受信したか否かを判断する。応答信号を受信したならば通信中に遷移し、図3の処理を終了する。この処理は図2の時刻W50の処理に対応している。
【0027】
初期状態の場合、電話交換機20は、ステップS20において、無線で発信信号を受信したか否かを判断する。この処理は図2の時刻W2の処理に対応している。無線で発信信号を受信したならば、ステップS21において、電話交換機20は、無線の発信信号に係るスイッチ部25−1を閉じて電話回線30−1を接続する。この処理は図2の時刻W6の処理に対応している。ステップS22において、電話交換機20は、電話回線30−1を介して電話機10−1からの発呼信号を受信したか否かを判断する。この処理は図2の時刻W10の処理に対応している。発呼信号を受信したならば、ステップS23において、電話交換機20は、電話回線30−1を介して電話機10−1へ発信音を送信する。この処理は図2の時刻W20の処理に対応している。
【0028】
ステップS24において、電話交換機20は、電話回線30−1を介して電話機10−1からのダイヤル信号を受信したか否かを判断する。ダイヤル信号を受信したならばステップS25において、ダイヤル信号に従ってパス接続処理を行う。この処理は図2の時刻W30の処理に対応している。ステップS26において、電話交換機20は、電話回線30−1を介して電話機10−1へ呼出音を送信する。この処理は図2の時刻W40の処理に対応している。ステップS27において、電話交換機20は、パス接続先の相手局が応答したか否かを判断する。相手局が応答したならば、ステップS28において、電話機10−1に応答信号を送信して通信中に遷移し、図3の処理を終了する。この処理は図2の時刻W50の処理に対応している。
【0029】
図4は、図2の発信後の発信側切断時の動作を示すフローチャートである。
通信中の場合、電話機10−1は、ステップS60において、受話器がオンフックしたか否かを判断する。受話器がオンフックしたならば、ステップS61において電話回線30−1を介して電話交換機20に切断信号を送信する。この処理は図2の時刻W60の処理に対応している。その後、電話交換機20から電話回線30−1が切断されたならば、ステップS62において回線I/F部11経由の給電は終了し、電話機10−1は停止して待機状態となり、通信は終了する。この処理は図2の時刻W62の処理に対応している。
【0030】
通信中の場合、電話交換機20は、ステップS70において、電話回線30−1を介して電話機10−1から切断信号を受信したか否かを判断する。切断信号を受信したならば、ステップS71において、パス切断処理を行う。この処理は図2の時刻W60の処理に対応している。ステップS72において初期状態に移行したのち、ステップS73において該当するスイッチ部25−1を開き、電話回線30−1を切断する。この処理は図2の時刻W62の処理に対応している。
【0031】
図5は、図2の発信後の着信側切断時の動作を示すフローチャートである。
通信中に相手局が終話した場合、電話機10−1は話中音を受信する。処理は図2の時刻W90の処理に対応している。ステップS80において、電話機10−1は、受話器がオンフックしたか否かを判断する。受話器がオンフックしたならば、ステップS81において、電話回線30−1を介して電話交換機20に切断信号を送信する。この処理は図2の時刻W100の処理に対応している。その後、電話交換機20から電話回線30−1が切断されたならば、ステップS82において回線I/F部11経由の給電は終了し、電話機10−1は停止して通信は終了する。この処理は図2の時刻W102の処理に対応している。
【0032】
通信中の場合、電話交換機20は、ステップS90において相手局が終話したか否かを判断する。相手局が終話したならば、ステップS91においてバス切断処理を行い、ステップS92において電話回線30−1を介して電話機10−1に話中音を送信する。この処理は図2の時刻W90の処理に対応している。
【0033】
ステップS93において、電話交換機20は、電話回線30−1を介して電話機10−1から切断信号を受信したか否かを判断する。切断信号を受信したならば、ステップS94において、初期状態へ移行する。この処理は図2の時刻W100の処理に対応している。ステップS95において該当するスイッチ部25−1を開き、電話回線30−1を切断する。この処理は図2の時刻W102の処理に対応している。
【0034】
図6は、図2の着信時の動作を示すフローチャートである。
待機状態の場合、電話機10−2は、ステップS100において、電話回線30−2及び回線I/F部11経由で給電を受けて起動して処理を開始する。この処理は図2の時刻W36の処理に対応している。ステップS101において、電話機10−2は、電話交換機20から呼出信号を受信したか否かを判断する。電話交換機20から呼出信号を受信したならば、ステップS102において呼出音を鳴動する。この処理は図2の時刻W40の処理に対応している。ステップS103において、電話機10−2は、受話器がオフフックしたか否かを判断する。受話器がオフフックしたならば、ステップS104において応答信号を電話交換機20に送信する。この処理は図2の時刻W50の処理に対応している。
【0035】
初期状態の場合、電話交換機20は、ステップS110において、外線から着信したか否かを判断する。外線から着信したならば、ステップS111において該当するスイッチ部25−2を閉じて、該当する電話回線30−2を接続する。この処理は図2の時刻W36の処理に対応している。
【0036】
ステップS112において、電話交換機20は、一定時間待機したのち、ステップS113において、着信種別に従い呼出信号を電話機10−2に送信する。この処理は図2の時刻W40の処理に対応している。ステップS114において、電話交換機20は、電話機10−2から応答信号を受信したか否かを判断する。応答信号を受信したならば、通信中に遷移する。この処理は図2の時刻W50の処理に対応している。
【0037】
図7は、図2の着信後の発信側切断時の動作を示すフローチャートである。
通信中の場合、電話機10−2は、ステップS120において、受話器がオンフックしたか否かを判断する。受話器がオンフックしたならば、ステップS121において、電話回線30−2を介して電話交換機20に終話信号を送信する。その後、電話交換機20によって電話回線30−2が切断されたならば、ステップS122において回線I/F部11経由の給電は終了し、電話機10−2は停止する。
【0038】
通信中の場合、電話交換機20は、ステップS130において、相手局が終話したか否かを判断する。相手局が終話したならば、ステップS131においてバス切断処理を行い、ステップS132において電話回線30−2を介して電話機10−2に切断信号を送信する。この処理は図2の時刻W60の処理に対応している。その後、ステップS133において電話回線30−2を介して電話機10−2に話中音を送信する。この処理は図2の時刻W70の処理に対応している。
【0039】
ステップS134において、電話交換機20は、電話回線30−2を介して電話機10−2から終話信号を受信したか否かを判断する。終話信号を受信したならば、ステップS135において、初期状態へ移行する。この処理は図2の時刻W80の処理に対応している。ステップS136において、該当するスイッチ部25−1を開き、電話回線30−2を切断する。この処理は図2の時刻W82の処理に対応している。
【0040】
図8は、図2の着信後の着信側切断時の動作を示すフローチャートである。
通信中の場合、電話機10−2は、ステップS140において、受話器がオンフックしたか否かを判断する。受話器がオンフックしたならば、ステップS141において電話回線30−2を介して電話交換機20に終話信号を送信する。この処理は図2の時刻W90の処理に対応している。その後、電話交換機20から電話回線30−2が切断されたならば、ステップS142において回線I/F部11経由の給電は終了し、電話機10−2は停止して通信は終了する。この処理は図2の時刻W92の処理に対応している。
【0041】
通信中の場合、電話交換機20は、ステップS150において、電話回線30−2を介して電話機10−2から終話信号を受信したか否かを判定する。終話信号を受信したならば、ステップS151において、パス切断処理を行う。この処理は図2の時刻W90の処理に対応している。ステップS152において、初期状態に移行したのち、ステップS153において、該当するスイッチ部25−2を開き、電話回線30−2を切断する。この処理は図2の時刻W92の処理に対応している。
【0042】
図9(a)(b)は、従来技術と本発明の実施例1における給電チャートの概略例を示す図である。
【0043】
図9(a)の従来技術における給電チャートでは、給電動作は常に行われており、受話器がオフフック又は着信した時刻T0以前、及び受話器がオンフックした時刻T1以降の待機状態に於いても一定の電力を消費していたことを示している。
【0044】
図9(b)の本発明の実施例1における給電チャートでは、通常運用状態のみ給電が行われ、時刻T0以前及び時刻T1以降の待機状態においては全く給電がおこなわれず、よって電力は消費されなかったことを示している。
【0045】
(実施例1の効果)
本実施例1の待機電力削減電話システムによれば、次の(A),(B)のような効果がある。
【0046】
(A) 各電話機10(=10−1〜10−3)は、発信時にはオフフックに伴う振動を検知して無線タグを動作させて電話交換機20に通知し、着信時には電話交換機20からの給電が開始されたのちに呼出信号を受信する。よって、各電話機10は、待機時には電話交換機20から電気的に切り離され全く電力を消費しない為に、従来の待機電力削減電話システムに比べて、大幅な節電が可能である。
【0047】
(B) 各電話機10(=10−1〜10−3)の無線通信部15に搭載した無線タグは非常に微弱な電力で動作し、従来の監視回路に比べ大幅な節電が可能である。
【実施例2】
【0048】
(実施例2の構成)
本発明の実施例2における待機電力削減電話システムの構成は、図1に示す実施例1の構成と同一である。
【0049】
(実施例2の動作)
図10は、本発明の実施例2における接続動作のワークフローを示す図であり、実施例1を示す図2中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0050】
電話交換機20と発信側電話機10−1との通信を開始し切断するときの時刻W2〜W102のワークフローと、着信側電話機10−2との通信を切断するときの時刻W60〜W102のワークフローとは、実施例1と同一であるが、着信側電話機10−2との通信を開始するときの時刻W36〜W50のワークフローが異なる。
【0051】
例えば、待機状態の場合、電話機10−2に着信したならば、時刻W36において、電話交換機20は、電話機10−2に係るスイッチ部25−2を閉じることにより、電話機10−2との電話回線30−2を接続する。時刻W38において、電話機10−2は電話交換機20に無線で起動確認信号を送信する。以降は実施例1と同様に、時刻W40において、電話交換機20は、電話機10−2に呼出信号を送信し、電話機10−2は通常運用状態に遷移して呼出音を鳴らす。時刻W50において、電話機10−2は、オフフックに伴い応答信号を電話交換機20に送信し、通信中に遷移する。
【0052】
図11は、図10の着信時の動作を示すフローチャートであり、実施例1を示す図6中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0053】
待機状態の場合、電話機10−2は、ステップS100において電話回線30−2と回線I/F部11を介して給電を受けることによって起動することは、実施例1と同様であるが、起動が完了したときに、ステップS105において、電話交換機20に無線で起動確認信号を送信する点が異なる。この処理は、図10の時刻W38の処理に対応している。以降、ステップS101〜S104の処理を実施例1と同様に行い、通信中に遷移する。
【0054】
初期状態の場合、電話交換機20は、ステップS110〜S111の処理を実施例1と同様に行い、ステップS115において、電話交換機20は、無線を介して電話機10−2からの起動確認信号を受信したか否かを判断する点が異なる。この処理は、図10の時刻W38の処理に対応している。起動確認信号を受信したならば、ステップS113〜114の処理を実施例1と同様に行う。
【0055】
(実施例2の効果)
本実施例2の待機電力削減電話システムによれば、実施例1の効果に加えて、着信時の電話機10−2の起動確認を確実におこなえることにより、待機電力削減電話システムが安定して動作するという効果が得られる。
【実施例3】
【0056】
(実施例3の構成)
図12は、本発明の実施例3における待機電力削減電話システムを示す概略の構成図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0057】
本実施例3の待機電力削減電話システムは、実施例1とは異なる構成の複数の電話機10B(=10B−1〜10B−3)と、実施例1と同様の電話交換機20と、電話交換機20と複数の電話機10Bとをそれぞれ接続する複数の電話回線30(=30−1〜30−3)とを有している。
【0058】
各電話機10Bは、実施例1と同様の回線I/F部11と操作部13とを有し、実施例1とは異なる構成の内部回路12Bと振動受信部14Bと無線通信部15Bとを有し、更に電源の切断と接続を制御するスイッチ部17と、商用交流電源を直流電源に変換して電話機10Bに供給する外部電源18とを有している。
【0059】
外部電源18で生成された直流電圧は、スイッチ部17を介して内部回路12Bと操作部13と回線I/F部11とに供給されている。振動受信部14Bと無線通信部15Bは、スイッチ部17の切断と接続を制御する。
【0060】
(実施例3の動作)
図13は、本発明の実施例3における接続動作のワークフローを示す図であり、実施例1を示す図2中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0061】
例えば、電話交換機20と、発信側の電話機10B−1との通信を開始し切断するときの時刻W2〜W102のワークフローと、着信側電話機10B−2との通信を切断するときの時刻W60〜W102のワークフローは、実施例1と同一であるが、着信側の電話機10B−2との通信を開始するときの時刻W32〜W50のワークフローが異なる。
【0062】
例えば、待機状態の電話機10B−2に着信した場合、時刻W32において、電話交換機20は、無線で着信認識信号を送信する。時刻W34において、電話機10B−2が無線で起動確認信号を送信したならば、時刻W36において、電話交換機20は、電話機10B−2に係るスイッチ部25−2を閉じることにより、電話機10B−2との電話回線30−2を接続する。以降は実施例1と同様に、時刻W40において、電話交換機20は、電話機10B−2に呼出信号を送信し、電話機10B−2は通常運用状態に遷移して呼出音を鳴らす。電話機10B−2は、オフフックに伴い応答信号を電話交換機20に送信し、通信中に遷移する。
【0063】
図14は、図13の発信時の動作を示すフローチャートであり、実施例1を示す図3中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0064】
例えば、待機状態の場合、電話機10B−1は、ステップS1において無線で発信信号を送信するのは実施例1と同様であるが、次にステップS9において、電話機10B−1の受話器のオフフックやボタン押下げに伴う振動が発生したとき、その振動を振動受信部14Bの振動センサが検知すると、スイッチ部17を閉じて、外部電源18の供給を開始する点が異なる。以降ステップS4〜S8の処理は実施例1と同様であり、電話交換機20のステップS20〜S28の処理も実施例1と同様である。
【0065】
図15は、図13の着信時の動作を示すフローチャートであり、実施例1を示す図6中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0066】
例えば、待機状態の場合、電話機10B−2は、ステップS106において、無線で着信認識信号を受信したか否かを判断する。この処理は、図13の時刻W32の処理に対応している。着信認識信号を受信したならば、ステップS107において、スイッチ部17を閉じて外部電源18の供給を開始して起動し、ステップS108において起動確認信号を無線で送信する。この処理は図13の時刻W34の処理に対応している。以降、ステップS101〜S104の処理を実施例1と同様に行い、通信中に遷移する。
【0067】
初期状態の場合、電話交換機20は、ステップS110の処理を実施例1と同様に行うが、ステップS116において、電話交換機20は、無線で該当する電話機10B−2に着信認識信号を送信する点が異なる。この処理は図13の時刻W32の処理に対応している。ステップS117において、電話機10B−2の起動確認信号を無線で受信したか否かを判断する。電話機10B−2の起動確認信号を無線で受信したならば、ステップS111において、該当するスイッチ部25−2を閉じて電話回線30−2を接続し、以降はステップS113〜S114の処理を実施例1と同様に行う。
【0068】
(実施例3の効果)
本実施例3の待機電力削減電話システムによれば、電話回線30(=30−1〜30−3)を介して給電を受ける電話機10の場合だけではなく、外部電源18で駆動する電話機10B(=10B−1〜10B−3)の場合であっても待機時の電力を抑えることが可能となる。
【0069】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(f)のようなものがある。
【0070】
(a) 実施例1〜3では無線タグのプロトコルで無線の送受信を行ったが、無線LAN(IEEE802.11b/a/g/n)、Bluetooth(登録商標)(IEEE802.15.1)、ZigBee(登録商標)(IEEE802.15.4)、携帯電話関連の主たる標準(ARIB-STD-27,28,35,36,T53,T63,T64,T94,T95)等の双方向での通信が可能なプロトコルであれば同様の効果が得られる。
【0071】
(b) 実施例1〜3は、振動受信部14,14Bが、電話機10,10Bの受話器のオフフックやボタン押下げに伴う振動を検知し、振動受信部14,14Bが内蔵する小型電池の電力を無線通信部15,15Bに給電して、無線送信する例である。振動受信部14,14Bは、振動発電素子によって振動を電力に変換して無線通信部15,15Bに給電して、無線送信してもよい。振動発電素子は振動発電手段である。これにより実施例1〜3の効果に加えて更に、小型ボタン電池の交換が不要となるという効果が得られる。
【0072】
(c) 振動受信部14,14Bを、可視光を電力に変換する太陽電池と振動センサで構成し、電話機10,10Bの受話器のオフフックやボタン押下げに伴う振動が発生したとき、その振動を振動センサで検知し、太陽電池が発生した電力を無線通信部15,15Bに給電して無線送信してもよい。これにより実施例1〜3の効果に加えて更に、小型ボタン電池の交換が不要となるという効果が得られる。
【0073】
(d) 振動受信部14,14Bを、大容量コンデンサや二次電池等と振動センサとで構成し、通常動作状態のときに外部電源18や電話回線30から大容量コンデンサや二次電池等に電力を蓄えておき、待機状態のときに大容量コンデンサや二次電池に蓄えた電力で振動センサを動作させ、電話機10,10Bの受話器のオフフックやボタン押下げに伴う振動を振動センサで検知したら、大容量コンデンサや二次電池に蓄えた電力で無線送信してもよい。大容量コンデンサや二次電池は蓄電手段である。これにより実施例1〜3の効果に加えて更に、小型ボタン電池の交換が不要となるという効果が得られる。
【0074】
(e) 振動受信部14,14Bを、可視光を電力に変換する太陽電池と大容量コンデンサや二次電池等と振動センサとで構成し、可視光を電力に変換する太陽電池の電力を大容量コンデンサ等に蓄えておき、この大容量コンデンサに蓄えた電力で振動センサを動作させ、電話機10,10Bの受話器のオフフックやボタン押下げに伴う振動を振動センサで検知したら、大容量コンデンサや二次電池に蓄えた電力で無線送信してもよい。大容量コンデンサや二次電池は蓄電手段である。これにより実施例1〜3の効果に加えて更に、小型ボタン電池の交換が不要となるという効果と、夜間であっても動作可能であるという効果が得られる。
【0075】
(f) 実施例3のように、外部電源18を備えた機器であれば、電話交換機20と電話機10Bとの間の電話回線30は、給電機能を有さない有線通信路又は無線通信路であってもよい。これにより、実施例3と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0076】
10,10−1〜10−3,10B,10B−1〜10B−3 電話機
11 回線I/F部
12,12B 内部回路
13 操作部
14,14B 振動受信部
15,15B 無線通信部
16 アンテナ
20 電話交換機
21 制御部
22 無線通信部
23 アンテナ
24 電源部
25,25−1〜25−3 スイッチ部
26,26−1〜26−3 回線I/F部
30,30−1〜30−3 電話回線
【技術分野】
【0001】
本発明は電話交換機と電話機を備えた待機電力削減電話システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、待機電力削減電話システムでは、通常運用状態において電話機は全ての機能を動作させ、待機状態において電話機は機能の一部を休止して発信や着信に係る最小限の監視を行う節電技術が知られていた。
【0003】
特開2000−253172号公報には、電話回線が接続されていない時には電源を遮断するモデムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−253172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の待機電力削減電話システムに於ける電話機は、通常運用状態と待機状態の切替を行う為に電話機内部に状態監視回路と接点を持ち、接点を開閉するための状態監視回路は待機状態であっても電力を消費するという課題があった。これは、待機電力削減電話システムに収容される待機状態の電話機の状態監視回路すべての電力消費に係るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の待機電力削減電話システムは、電話回線にそれぞれ接続され、前記電話回線からの電力によって動作する電話機と、スイッチをそれぞれ有する複数の前記電話回線を備え、前記電話回線の待機時に前記スイッチを切断する電話交換機と、を備えた待機電力削減電話システムであって、前記電話交換機は、外線から1つの前記電話回線へ着信すると、その1つの前記電話回線の前記スイッチを接続し、前記電話機は、その1つの前記電話回線からの電力によって動作することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の待機電力削減電話システムによれば、電話機は、待機時に電話交換機から電気的に切り離され全く電力を消費しない為に、従来の待機電力削減電話システムに比べて、大幅な節電が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施例1における待機電力削減電話システムを示す概略の構成図である。
【図2】図2は、本発明の実施例1における接続動作のワークフローを示す図である。
【図3】図3は、図2の発信時の動作を示すフローチャートである。
【図4】図4は、図2の発信後の発信側切断時の動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は、図2の発信後の着信側切断時の動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、図2の着信時の動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、図2の着信後の発信側切断時の動作を示すフローチャートである。
【図8】図8は、図2の着信後の着信側切断時の動作を示すフローチャートである。
【図9】図9は、従来技術と本発明の実施例1における給電チャートの概略例を示す図である。
【図10】図10は、本発明の実施例2における接続動作のワークフローを示す図である。
【図11】図11は、図10の着信時の動作を示すフローチャートである。
【図12】図12は、本発明の実施例3における待機電力削減電話システムを示す概略の構成図である。
【図13】図13は、本発明の実施例3における接続動作のワークフローを示す図である。
【図14】図14は、図13の発信時の動作を示すフローチャートである。
【図15】図15は、図13の着信時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0010】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1における待機電力削減電話システムを示す概略の構成図である。
【0011】
待機電力削減電話システムとは、ボタン電話システムやインターネットプロトコル電話(以下、「IP電話」という。)システム等であり、複数の電話機10(=10−1〜10−3)と、これらの電話機10と電話回線30でそれぞれ接続されている電話交換機20とを有している。電話交換機20とは、電子交換機やIP−PBX(Intenet Protocol Private Branch eXchange)等である。
【0012】
各電話機10(=10−1〜10−3)は、従来技術と同様に電話回線30からの信号を受信すると共に電話回線30からの給電を受ける回線インタフェース(以下「I/F」という。)部11と、この回線I/F部11からの給電を受けて動作する内部回路12と、押しボタン等を有しダイヤル操作を行う操作部13とを備え、更に、振動を検知する振動受信部14と、この振動受信部14が振動を検知したときに動作する無線通信部15とアンテナ16とを備えている。
【0013】
無線通信部15とアンテナ16は、アクティブ型の無線タグ(Radio Frequency IDentification)のプロトコルにより、非常に微弱な電力で数十メートルの距離の通信が可能である。振動受信部14は、小型のボタン電池を内蔵し、電話機10本体が起動していないときであっても、電話機10の受話器のオフフックやボタンの押下げに伴う振動を検知する振動検知手段である。図示しない受話器は、送信用のマイクと受信音の発生用のスピーカを有している通話部である。
【0014】
電話交換機20は、従来技術と同様に、外線からの信号と各電話機10(=10−1〜10−3)からの信号とを送受信して制御する制御部21と、制御部21と複数の電話回線30(=30−1〜30−3)にそれぞれ接続され、電話信号を中継する機能を有する複数の回線I/F部26(=26−1〜26−3)と、制御部21に電源を供給する電源部24とを有している。この電話交換機20は、更に各電話機10(=10−1〜10−3)の無線通信部15と通信するための無線通信部22及びアンテナ23と、制御部21から指示を受けて、それぞれの電話回線30(=30−1〜30−3)の接続と切断を制御する複数のスイッチ部25(=25−1〜25−3)とを有している。無線通信部22及びアンテナ23は、アクティブ型の無線タグのプロトコルを送受信する機能を有している。
【0015】
制御部21は、電源部24によって電源の供給を受け、無線通信部22と外線が接続されていると共に、複数のスイッチ部25(=25−1〜25−3)及び回線I/F部26(=26−1〜26−3)を介して複数の電話回線30に接続されている。制御部21は更に、複数のスイッチ部25(=25−1〜25−3)との間に制御信号がそれぞれ接続されており、スイッチ部25を閉じて回線I/F部26と接続するか、又はスイッチ部25を開いて回線I/F部26と切断するかをそれぞれ制御できる。例えば、スイッチ部25−1を閉じたときには、電話回線30−1は電話機10−1に給電すると共に信号を送受信するが、スイッチ部25−1を開いたときには、電話回線30−1は、電話機10−1へ給電せず、かつ電話機10―1との信号の送受信は行わない。各電話機10(=10−1〜10−3)の無線通信部15及びアンテナ16は、無線通信路を介して電話交換機20の無線通信部22及びアンテナ23と通信できる。
【0016】
(実施例1の動作)
図2は、本発明の実施例1における接続動作のワークフローを示す図である。
【0017】
例えば、電話機10−1から発信する場合には、時刻W2において、電話機10−1の受話器のオフフックやボタン押下げに伴う振動が発生したとき、その振動を振動受信部14の振動センサが検知して無線通信部15に無線の送信を指示し、無線通信部15はアンテナ16を介して無線の発信信号を送信する。
【0018】
時刻W6において、電話交換機20は、その無線の発信信号を受信したならば、スイッチ部25−1を閉じることにより、電話機10−1との回線を接続する。以降は従来技術と同様に、時刻W10において、電話機10−1はオフフックに伴い通常運用状態に遷移し、発呼信号を電話交換機20に送信する。時刻W20において、電話交換機20は、発信音を電話機10−1に送信し、ダイヤル受信待ち状態になる。時刻W30において、電話機10−1は、ダイヤルが押されるとダイヤル信号を電話交換機20に送信し、電話交換機20は受信したダイヤル信号をもとにパス接続処理を行う。時刻W40において、電話交換機20は、電話機10−1に呼出音を送信する。時刻W50において、電話交換機20は電話機10−1に応答信号を送信し、通信中に遷移する。
【0019】
例えば、通信中に発信側の電話機10−1から切断する場合には、時刻W60において、電話機10−1はオンフックに伴い、切断信号を電話交換機20に送信して待機状態に遷移し、電話交換機20はパス切断処理を行う。時刻W62において、電話交換機20は、発信側の電話機10−1に係るスイッチ部25−1を開くことにより、電話機10−1との電話回線30−1を切断する。
【0020】
例えば、通信中に着信側の電話機10−2から切断された場合には、時刻W90において、電話交換機20は、パス切断処理を行うと共に発信側の電話機10−1に話中音を送信する。時刻W100において、発信側の電話機10−1はオンフックに伴い切断信号を電話交換機20に送信して待機状態に遷移する。時刻W102において、電話交換機20は、発信側の電話機10−1に係るスイッチ部25−1を開くことにより、電話機10−1との電話回線30−1を切断する。
【0021】
例えば、電話機10−2へ着信した場合には、時刻W36において、電話交換機20は、電話機10−2に係るスイッチ部25−2を閉じることにより、電話機10−2との電話回線30−2を接続する。以降は従来技術と同様に、時刻W40において、電話交換機20は、電話機10−2に呼出信号を送信し、電話機10−2は通常運用状態に遷移して呼出音を鳴らす。電話機10−2は、オフフックに伴う応答信号を電話交換機20に送信し、通信中に遷移する。
【0022】
例えば、通信中に発信側の電話機10−1から切断された場合には、時刻W60において、電話交換機20は、バス切断処理と共に切断信号を電話機10−2に送信したのち、時刻W70において話中音を送出する。時刻W80において、電話機10−2がオンフックしたならば、終話信号を電話交換機20に送信する。時刻W82において、電話交換機20は、電話機10−2に係るスイッチ部25−2を開いて、電話回線30−1を切断する。
【0023】
例えば、通信中に電話機10−2がオンフックした場合には、時刻W90において電話交換機20に終話信号を送信して待機状態に移行し、電話交換機20はバス切断処理を行う。時刻W92において、電話交換機20は、電話機10−2に係るスイッチ部25−2を開いて、電話回線30−2を切断する。
【0024】
図3は、図2の発信時の動作を示すフローチャートである。
待機状態の場合、電話機10−1は、電話回線30−1から給電を受けていない。電話機10−1は、電話機10−1の受話器のオフフックやボタン押下げに伴う振動が発生したとき、その振動を振動受信部14の振動センサが検知し、小型電池によって無線通信部15に給電し、処理が開始する。ステップS1において、電話機10−1は、無線通信部15によって無線を介して発信信号を送信する。この処理は図2の時刻W2の処理に対応している。
【0025】
ステップS2において、電話機10−1は、電話交換機20から電話回線30−1を介して給電を受けて通常運用状態に遷移し、ステップS3において当該電話機10−1を起動する。この処理は図2の時刻W6の処理に対応している。
【0026】
ステップS4において、電話機10−1は、受話器がオフフックしたか否かを判断する。受話器がオフフックしたならば、ステップS5において、電話機10−1は、発呼信号を電話交換機20に送信する。この処理は図2の時刻W10の処理に対応している。ステップS6において、電話機10−1は、局番号のダイヤル操作を待つ。局番号のダイヤル操作がされたならば、ステップS7において、電話交換機20にダイヤル信号を送信する。この処理は図2の時刻W30の処理に対応しているステップS8において、電話機10−1は、電話交換機20からの応答信号を受信したか否かを判断する。応答信号を受信したならば通信中に遷移し、図3の処理を終了する。この処理は図2の時刻W50の処理に対応している。
【0027】
初期状態の場合、電話交換機20は、ステップS20において、無線で発信信号を受信したか否かを判断する。この処理は図2の時刻W2の処理に対応している。無線で発信信号を受信したならば、ステップS21において、電話交換機20は、無線の発信信号に係るスイッチ部25−1を閉じて電話回線30−1を接続する。この処理は図2の時刻W6の処理に対応している。ステップS22において、電話交換機20は、電話回線30−1を介して電話機10−1からの発呼信号を受信したか否かを判断する。この処理は図2の時刻W10の処理に対応している。発呼信号を受信したならば、ステップS23において、電話交換機20は、電話回線30−1を介して電話機10−1へ発信音を送信する。この処理は図2の時刻W20の処理に対応している。
【0028】
ステップS24において、電話交換機20は、電話回線30−1を介して電話機10−1からのダイヤル信号を受信したか否かを判断する。ダイヤル信号を受信したならばステップS25において、ダイヤル信号に従ってパス接続処理を行う。この処理は図2の時刻W30の処理に対応している。ステップS26において、電話交換機20は、電話回線30−1を介して電話機10−1へ呼出音を送信する。この処理は図2の時刻W40の処理に対応している。ステップS27において、電話交換機20は、パス接続先の相手局が応答したか否かを判断する。相手局が応答したならば、ステップS28において、電話機10−1に応答信号を送信して通信中に遷移し、図3の処理を終了する。この処理は図2の時刻W50の処理に対応している。
【0029】
図4は、図2の発信後の発信側切断時の動作を示すフローチャートである。
通信中の場合、電話機10−1は、ステップS60において、受話器がオンフックしたか否かを判断する。受話器がオンフックしたならば、ステップS61において電話回線30−1を介して電話交換機20に切断信号を送信する。この処理は図2の時刻W60の処理に対応している。その後、電話交換機20から電話回線30−1が切断されたならば、ステップS62において回線I/F部11経由の給電は終了し、電話機10−1は停止して待機状態となり、通信は終了する。この処理は図2の時刻W62の処理に対応している。
【0030】
通信中の場合、電話交換機20は、ステップS70において、電話回線30−1を介して電話機10−1から切断信号を受信したか否かを判断する。切断信号を受信したならば、ステップS71において、パス切断処理を行う。この処理は図2の時刻W60の処理に対応している。ステップS72において初期状態に移行したのち、ステップS73において該当するスイッチ部25−1を開き、電話回線30−1を切断する。この処理は図2の時刻W62の処理に対応している。
【0031】
図5は、図2の発信後の着信側切断時の動作を示すフローチャートである。
通信中に相手局が終話した場合、電話機10−1は話中音を受信する。処理は図2の時刻W90の処理に対応している。ステップS80において、電話機10−1は、受話器がオンフックしたか否かを判断する。受話器がオンフックしたならば、ステップS81において、電話回線30−1を介して電話交換機20に切断信号を送信する。この処理は図2の時刻W100の処理に対応している。その後、電話交換機20から電話回線30−1が切断されたならば、ステップS82において回線I/F部11経由の給電は終了し、電話機10−1は停止して通信は終了する。この処理は図2の時刻W102の処理に対応している。
【0032】
通信中の場合、電話交換機20は、ステップS90において相手局が終話したか否かを判断する。相手局が終話したならば、ステップS91においてバス切断処理を行い、ステップS92において電話回線30−1を介して電話機10−1に話中音を送信する。この処理は図2の時刻W90の処理に対応している。
【0033】
ステップS93において、電話交換機20は、電話回線30−1を介して電話機10−1から切断信号を受信したか否かを判断する。切断信号を受信したならば、ステップS94において、初期状態へ移行する。この処理は図2の時刻W100の処理に対応している。ステップS95において該当するスイッチ部25−1を開き、電話回線30−1を切断する。この処理は図2の時刻W102の処理に対応している。
【0034】
図6は、図2の着信時の動作を示すフローチャートである。
待機状態の場合、電話機10−2は、ステップS100において、電話回線30−2及び回線I/F部11経由で給電を受けて起動して処理を開始する。この処理は図2の時刻W36の処理に対応している。ステップS101において、電話機10−2は、電話交換機20から呼出信号を受信したか否かを判断する。電話交換機20から呼出信号を受信したならば、ステップS102において呼出音を鳴動する。この処理は図2の時刻W40の処理に対応している。ステップS103において、電話機10−2は、受話器がオフフックしたか否かを判断する。受話器がオフフックしたならば、ステップS104において応答信号を電話交換機20に送信する。この処理は図2の時刻W50の処理に対応している。
【0035】
初期状態の場合、電話交換機20は、ステップS110において、外線から着信したか否かを判断する。外線から着信したならば、ステップS111において該当するスイッチ部25−2を閉じて、該当する電話回線30−2を接続する。この処理は図2の時刻W36の処理に対応している。
【0036】
ステップS112において、電話交換機20は、一定時間待機したのち、ステップS113において、着信種別に従い呼出信号を電話機10−2に送信する。この処理は図2の時刻W40の処理に対応している。ステップS114において、電話交換機20は、電話機10−2から応答信号を受信したか否かを判断する。応答信号を受信したならば、通信中に遷移する。この処理は図2の時刻W50の処理に対応している。
【0037】
図7は、図2の着信後の発信側切断時の動作を示すフローチャートである。
通信中の場合、電話機10−2は、ステップS120において、受話器がオンフックしたか否かを判断する。受話器がオンフックしたならば、ステップS121において、電話回線30−2を介して電話交換機20に終話信号を送信する。その後、電話交換機20によって電話回線30−2が切断されたならば、ステップS122において回線I/F部11経由の給電は終了し、電話機10−2は停止する。
【0038】
通信中の場合、電話交換機20は、ステップS130において、相手局が終話したか否かを判断する。相手局が終話したならば、ステップS131においてバス切断処理を行い、ステップS132において電話回線30−2を介して電話機10−2に切断信号を送信する。この処理は図2の時刻W60の処理に対応している。その後、ステップS133において電話回線30−2を介して電話機10−2に話中音を送信する。この処理は図2の時刻W70の処理に対応している。
【0039】
ステップS134において、電話交換機20は、電話回線30−2を介して電話機10−2から終話信号を受信したか否かを判断する。終話信号を受信したならば、ステップS135において、初期状態へ移行する。この処理は図2の時刻W80の処理に対応している。ステップS136において、該当するスイッチ部25−1を開き、電話回線30−2を切断する。この処理は図2の時刻W82の処理に対応している。
【0040】
図8は、図2の着信後の着信側切断時の動作を示すフローチャートである。
通信中の場合、電話機10−2は、ステップS140において、受話器がオンフックしたか否かを判断する。受話器がオンフックしたならば、ステップS141において電話回線30−2を介して電話交換機20に終話信号を送信する。この処理は図2の時刻W90の処理に対応している。その後、電話交換機20から電話回線30−2が切断されたならば、ステップS142において回線I/F部11経由の給電は終了し、電話機10−2は停止して通信は終了する。この処理は図2の時刻W92の処理に対応している。
【0041】
通信中の場合、電話交換機20は、ステップS150において、電話回線30−2を介して電話機10−2から終話信号を受信したか否かを判定する。終話信号を受信したならば、ステップS151において、パス切断処理を行う。この処理は図2の時刻W90の処理に対応している。ステップS152において、初期状態に移行したのち、ステップS153において、該当するスイッチ部25−2を開き、電話回線30−2を切断する。この処理は図2の時刻W92の処理に対応している。
【0042】
図9(a)(b)は、従来技術と本発明の実施例1における給電チャートの概略例を示す図である。
【0043】
図9(a)の従来技術における給電チャートでは、給電動作は常に行われており、受話器がオフフック又は着信した時刻T0以前、及び受話器がオンフックした時刻T1以降の待機状態に於いても一定の電力を消費していたことを示している。
【0044】
図9(b)の本発明の実施例1における給電チャートでは、通常運用状態のみ給電が行われ、時刻T0以前及び時刻T1以降の待機状態においては全く給電がおこなわれず、よって電力は消費されなかったことを示している。
【0045】
(実施例1の効果)
本実施例1の待機電力削減電話システムによれば、次の(A),(B)のような効果がある。
【0046】
(A) 各電話機10(=10−1〜10−3)は、発信時にはオフフックに伴う振動を検知して無線タグを動作させて電話交換機20に通知し、着信時には電話交換機20からの給電が開始されたのちに呼出信号を受信する。よって、各電話機10は、待機時には電話交換機20から電気的に切り離され全く電力を消費しない為に、従来の待機電力削減電話システムに比べて、大幅な節電が可能である。
【0047】
(B) 各電話機10(=10−1〜10−3)の無線通信部15に搭載した無線タグは非常に微弱な電力で動作し、従来の監視回路に比べ大幅な節電が可能である。
【実施例2】
【0048】
(実施例2の構成)
本発明の実施例2における待機電力削減電話システムの構成は、図1に示す実施例1の構成と同一である。
【0049】
(実施例2の動作)
図10は、本発明の実施例2における接続動作のワークフローを示す図であり、実施例1を示す図2中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0050】
電話交換機20と発信側電話機10−1との通信を開始し切断するときの時刻W2〜W102のワークフローと、着信側電話機10−2との通信を切断するときの時刻W60〜W102のワークフローとは、実施例1と同一であるが、着信側電話機10−2との通信を開始するときの時刻W36〜W50のワークフローが異なる。
【0051】
例えば、待機状態の場合、電話機10−2に着信したならば、時刻W36において、電話交換機20は、電話機10−2に係るスイッチ部25−2を閉じることにより、電話機10−2との電話回線30−2を接続する。時刻W38において、電話機10−2は電話交換機20に無線で起動確認信号を送信する。以降は実施例1と同様に、時刻W40において、電話交換機20は、電話機10−2に呼出信号を送信し、電話機10−2は通常運用状態に遷移して呼出音を鳴らす。時刻W50において、電話機10−2は、オフフックに伴い応答信号を電話交換機20に送信し、通信中に遷移する。
【0052】
図11は、図10の着信時の動作を示すフローチャートであり、実施例1を示す図6中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0053】
待機状態の場合、電話機10−2は、ステップS100において電話回線30−2と回線I/F部11を介して給電を受けることによって起動することは、実施例1と同様であるが、起動が完了したときに、ステップS105において、電話交換機20に無線で起動確認信号を送信する点が異なる。この処理は、図10の時刻W38の処理に対応している。以降、ステップS101〜S104の処理を実施例1と同様に行い、通信中に遷移する。
【0054】
初期状態の場合、電話交換機20は、ステップS110〜S111の処理を実施例1と同様に行い、ステップS115において、電話交換機20は、無線を介して電話機10−2からの起動確認信号を受信したか否かを判断する点が異なる。この処理は、図10の時刻W38の処理に対応している。起動確認信号を受信したならば、ステップS113〜114の処理を実施例1と同様に行う。
【0055】
(実施例2の効果)
本実施例2の待機電力削減電話システムによれば、実施例1の効果に加えて、着信時の電話機10−2の起動確認を確実におこなえることにより、待機電力削減電話システムが安定して動作するという効果が得られる。
【実施例3】
【0056】
(実施例3の構成)
図12は、本発明の実施例3における待機電力削減電話システムを示す概略の構成図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0057】
本実施例3の待機電力削減電話システムは、実施例1とは異なる構成の複数の電話機10B(=10B−1〜10B−3)と、実施例1と同様の電話交換機20と、電話交換機20と複数の電話機10Bとをそれぞれ接続する複数の電話回線30(=30−1〜30−3)とを有している。
【0058】
各電話機10Bは、実施例1と同様の回線I/F部11と操作部13とを有し、実施例1とは異なる構成の内部回路12Bと振動受信部14Bと無線通信部15Bとを有し、更に電源の切断と接続を制御するスイッチ部17と、商用交流電源を直流電源に変換して電話機10Bに供給する外部電源18とを有している。
【0059】
外部電源18で生成された直流電圧は、スイッチ部17を介して内部回路12Bと操作部13と回線I/F部11とに供給されている。振動受信部14Bと無線通信部15Bは、スイッチ部17の切断と接続を制御する。
【0060】
(実施例3の動作)
図13は、本発明の実施例3における接続動作のワークフローを示す図であり、実施例1を示す図2中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0061】
例えば、電話交換機20と、発信側の電話機10B−1との通信を開始し切断するときの時刻W2〜W102のワークフローと、着信側電話機10B−2との通信を切断するときの時刻W60〜W102のワークフローは、実施例1と同一であるが、着信側の電話機10B−2との通信を開始するときの時刻W32〜W50のワークフローが異なる。
【0062】
例えば、待機状態の電話機10B−2に着信した場合、時刻W32において、電話交換機20は、無線で着信認識信号を送信する。時刻W34において、電話機10B−2が無線で起動確認信号を送信したならば、時刻W36において、電話交換機20は、電話機10B−2に係るスイッチ部25−2を閉じることにより、電話機10B−2との電話回線30−2を接続する。以降は実施例1と同様に、時刻W40において、電話交換機20は、電話機10B−2に呼出信号を送信し、電話機10B−2は通常運用状態に遷移して呼出音を鳴らす。電話機10B−2は、オフフックに伴い応答信号を電話交換機20に送信し、通信中に遷移する。
【0063】
図14は、図13の発信時の動作を示すフローチャートであり、実施例1を示す図3中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0064】
例えば、待機状態の場合、電話機10B−1は、ステップS1において無線で発信信号を送信するのは実施例1と同様であるが、次にステップS9において、電話機10B−1の受話器のオフフックやボタン押下げに伴う振動が発生したとき、その振動を振動受信部14Bの振動センサが検知すると、スイッチ部17を閉じて、外部電源18の供給を開始する点が異なる。以降ステップS4〜S8の処理は実施例1と同様であり、電話交換機20のステップS20〜S28の処理も実施例1と同様である。
【0065】
図15は、図13の着信時の動作を示すフローチャートであり、実施例1を示す図6中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0066】
例えば、待機状態の場合、電話機10B−2は、ステップS106において、無線で着信認識信号を受信したか否かを判断する。この処理は、図13の時刻W32の処理に対応している。着信認識信号を受信したならば、ステップS107において、スイッチ部17を閉じて外部電源18の供給を開始して起動し、ステップS108において起動確認信号を無線で送信する。この処理は図13の時刻W34の処理に対応している。以降、ステップS101〜S104の処理を実施例1と同様に行い、通信中に遷移する。
【0067】
初期状態の場合、電話交換機20は、ステップS110の処理を実施例1と同様に行うが、ステップS116において、電話交換機20は、無線で該当する電話機10B−2に着信認識信号を送信する点が異なる。この処理は図13の時刻W32の処理に対応している。ステップS117において、電話機10B−2の起動確認信号を無線で受信したか否かを判断する。電話機10B−2の起動確認信号を無線で受信したならば、ステップS111において、該当するスイッチ部25−2を閉じて電話回線30−2を接続し、以降はステップS113〜S114の処理を実施例1と同様に行う。
【0068】
(実施例3の効果)
本実施例3の待機電力削減電話システムによれば、電話回線30(=30−1〜30−3)を介して給電を受ける電話機10の場合だけではなく、外部電源18で駆動する電話機10B(=10B−1〜10B−3)の場合であっても待機時の電力を抑えることが可能となる。
【0069】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(f)のようなものがある。
【0070】
(a) 実施例1〜3では無線タグのプロトコルで無線の送受信を行ったが、無線LAN(IEEE802.11b/a/g/n)、Bluetooth(登録商標)(IEEE802.15.1)、ZigBee(登録商標)(IEEE802.15.4)、携帯電話関連の主たる標準(ARIB-STD-27,28,35,36,T53,T63,T64,T94,T95)等の双方向での通信が可能なプロトコルであれば同様の効果が得られる。
【0071】
(b) 実施例1〜3は、振動受信部14,14Bが、電話機10,10Bの受話器のオフフックやボタン押下げに伴う振動を検知し、振動受信部14,14Bが内蔵する小型電池の電力を無線通信部15,15Bに給電して、無線送信する例である。振動受信部14,14Bは、振動発電素子によって振動を電力に変換して無線通信部15,15Bに給電して、無線送信してもよい。振動発電素子は振動発電手段である。これにより実施例1〜3の効果に加えて更に、小型ボタン電池の交換が不要となるという効果が得られる。
【0072】
(c) 振動受信部14,14Bを、可視光を電力に変換する太陽電池と振動センサで構成し、電話機10,10Bの受話器のオフフックやボタン押下げに伴う振動が発生したとき、その振動を振動センサで検知し、太陽電池が発生した電力を無線通信部15,15Bに給電して無線送信してもよい。これにより実施例1〜3の効果に加えて更に、小型ボタン電池の交換が不要となるという効果が得られる。
【0073】
(d) 振動受信部14,14Bを、大容量コンデンサや二次電池等と振動センサとで構成し、通常動作状態のときに外部電源18や電話回線30から大容量コンデンサや二次電池等に電力を蓄えておき、待機状態のときに大容量コンデンサや二次電池に蓄えた電力で振動センサを動作させ、電話機10,10Bの受話器のオフフックやボタン押下げに伴う振動を振動センサで検知したら、大容量コンデンサや二次電池に蓄えた電力で無線送信してもよい。大容量コンデンサや二次電池は蓄電手段である。これにより実施例1〜3の効果に加えて更に、小型ボタン電池の交換が不要となるという効果が得られる。
【0074】
(e) 振動受信部14,14Bを、可視光を電力に変換する太陽電池と大容量コンデンサや二次電池等と振動センサとで構成し、可視光を電力に変換する太陽電池の電力を大容量コンデンサ等に蓄えておき、この大容量コンデンサに蓄えた電力で振動センサを動作させ、電話機10,10Bの受話器のオフフックやボタン押下げに伴う振動を振動センサで検知したら、大容量コンデンサや二次電池に蓄えた電力で無線送信してもよい。大容量コンデンサや二次電池は蓄電手段である。これにより実施例1〜3の効果に加えて更に、小型ボタン電池の交換が不要となるという効果と、夜間であっても動作可能であるという効果が得られる。
【0075】
(f) 実施例3のように、外部電源18を備えた機器であれば、電話交換機20と電話機10Bとの間の電話回線30は、給電機能を有さない有線通信路又は無線通信路であってもよい。これにより、実施例3と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0076】
10,10−1〜10−3,10B,10B−1〜10B−3 電話機
11 回線I/F部
12,12B 内部回路
13 操作部
14,14B 振動受信部
15,15B 無線通信部
16 アンテナ
20 電話交換機
21 制御部
22 無線通信部
23 アンテナ
24 電源部
25,25−1〜25−3 スイッチ部
26,26−1〜26−3 回線I/F部
30,30−1〜30−3 電話回線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話回線にそれぞれ接続され、前記電話回線からの電力によって動作する電話機と、
スイッチをそれぞれ有する複数の前記電話回線を備え、前記電話回線の待機時に前記スイッチを切断する電話交換機と、
を備えた待機電力削減電話システムであって、
前記電話交換機は、外線から1つの前記電話回線へ着信すると、その1つの前記電話回線の前記スイッチを接続し、
前記電話機は、その1つの前記電話回線からの電力によって動作することを特徴とする待機電力削減電話システム。
【請求項2】
前記電話機は、動作を開始したのちに起動を確認する起動確認信号を無線で送信し、
前記電話交換機は、前記スイッチを接続したのちに、前記無線を介して前記起動確認信号を受信すると、前記電話回線を介して呼出信号を送信することを特徴とする請求項1記載の待機電力削減電話システム。
【請求項3】
電話回線にそれぞれ接続された電話機と、
スイッチをそれぞれ有する複数の電話回線を備え、前記電話回線の待機時に前記スイッチを切断する電話交換機と、
を備えた待機電力削減電話システムであって、
前記電話交換機は、外線から1つの前記電話回線へ着信すると前記電話回線への着信を通知する着信認識信号を前記無線で送信し、更に前記無線を介して前記起動確認信号を受信すると前記電話回線の前記スイッチを接続し、
前記電話機は、前記無線を介して前記着信認識信号を受信すると起動し、前記起動確認信号を前記無線で送信することを特徴とする待機電力削減電話システム。
【請求項4】
前記電話機は、振動を検知すると前記電話回線からの発信を通知する発信信号を前記無線で送信し、
前記電話交換機は、前記無線を介して前記発信信号を受信すると前記発信信号に係る前記電話回線の前記スイッチを接続することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の待機電力削減電話システム。
【請求項5】
前記電話機は、前記発信信号を送信して起動すると前記起動確認信号を前記無線で送信し、
前記電話交換機は、前記無線を介して前記起動確認信号を受信すると前記起動確認信号に係る前記電話回線の前記スイッチを接続することを特徴とする請求項4に記載の待機電力削減電話システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の待機電力削減電話システムにおいて、
前記電話機は更に、電池と、
振動を検知する振動検知手段と、を有し、
前記振動検知手段が振動を検知すると、電池が供給する電力によって前記無線で送信することを特徴とする待機電力削減電話システム。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の待機電力削減電話システムにおいて、
前記電話機は、更に、振動で発電する振動発電手段を有し、
前記振動発電手段が発電した電力によって前記無線で送信することを特徴とする待機電力削減電話システム。
【請求項8】
請求項4又は5に記載の待機電力削減電話システムにおいて、
前記電話機は更に、電源からの電力を蓄える蓄電手段と、
振動を検知する振動検知手段と、を有し、
前記振動検知手段が振動を検知すると、前記蓄電手段が蓄えた電力によって前記無線で送信することを特徴とする待機電力削減電話システム。
【請求項9】
請求項8に記載の待機電力削減電話システムにおいて、
前記電源は、商用交流電源、前記電話回線、可視光を電力に変換する太陽電池、又は振動で発電する振動発電素子のいずれか1つであることを特徴とする待機電力削減電話システム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の待機電力削減電話システムにおいて、
前記電話交換機は、前記電話回線を介して切断信号又は終話信号を受信すると、前記電話回線の前記スイッチを切断することを特徴とする待機電力削減電話システム。
【請求項1】
電話回線にそれぞれ接続され、前記電話回線からの電力によって動作する電話機と、
スイッチをそれぞれ有する複数の前記電話回線を備え、前記電話回線の待機時に前記スイッチを切断する電話交換機と、
を備えた待機電力削減電話システムであって、
前記電話交換機は、外線から1つの前記電話回線へ着信すると、その1つの前記電話回線の前記スイッチを接続し、
前記電話機は、その1つの前記電話回線からの電力によって動作することを特徴とする待機電力削減電話システム。
【請求項2】
前記電話機は、動作を開始したのちに起動を確認する起動確認信号を無線で送信し、
前記電話交換機は、前記スイッチを接続したのちに、前記無線を介して前記起動確認信号を受信すると、前記電話回線を介して呼出信号を送信することを特徴とする請求項1記載の待機電力削減電話システム。
【請求項3】
電話回線にそれぞれ接続された電話機と、
スイッチをそれぞれ有する複数の電話回線を備え、前記電話回線の待機時に前記スイッチを切断する電話交換機と、
を備えた待機電力削減電話システムであって、
前記電話交換機は、外線から1つの前記電話回線へ着信すると前記電話回線への着信を通知する着信認識信号を前記無線で送信し、更に前記無線を介して前記起動確認信号を受信すると前記電話回線の前記スイッチを接続し、
前記電話機は、前記無線を介して前記着信認識信号を受信すると起動し、前記起動確認信号を前記無線で送信することを特徴とする待機電力削減電話システム。
【請求項4】
前記電話機は、振動を検知すると前記電話回線からの発信を通知する発信信号を前記無線で送信し、
前記電話交換機は、前記無線を介して前記発信信号を受信すると前記発信信号に係る前記電話回線の前記スイッチを接続することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の待機電力削減電話システム。
【請求項5】
前記電話機は、前記発信信号を送信して起動すると前記起動確認信号を前記無線で送信し、
前記電話交換機は、前記無線を介して前記起動確認信号を受信すると前記起動確認信号に係る前記電話回線の前記スイッチを接続することを特徴とする請求項4に記載の待機電力削減電話システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の待機電力削減電話システムにおいて、
前記電話機は更に、電池と、
振動を検知する振動検知手段と、を有し、
前記振動検知手段が振動を検知すると、電池が供給する電力によって前記無線で送信することを特徴とする待機電力削減電話システム。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の待機電力削減電話システムにおいて、
前記電話機は、更に、振動で発電する振動発電手段を有し、
前記振動発電手段が発電した電力によって前記無線で送信することを特徴とする待機電力削減電話システム。
【請求項8】
請求項4又は5に記載の待機電力削減電話システムにおいて、
前記電話機は更に、電源からの電力を蓄える蓄電手段と、
振動を検知する振動検知手段と、を有し、
前記振動検知手段が振動を検知すると、前記蓄電手段が蓄えた電力によって前記無線で送信することを特徴とする待機電力削減電話システム。
【請求項9】
請求項8に記載の待機電力削減電話システムにおいて、
前記電源は、商用交流電源、前記電話回線、可視光を電力に変換する太陽電池、又は振動で発電する振動発電素子のいずれか1つであることを特徴とする待機電力削減電話システム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の待機電力削減電話システムにおいて、
前記電話交換機は、前記電話回線を介して切断信号又は終話信号を受信すると、前記電話回線の前記スイッチを切断することを特徴とする待機電力削減電話システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−135421(P2011−135421A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294118(P2009−294118)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(308033722)株式会社OKIネットワークス (165)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(308033722)株式会社OKIネットワークス (165)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]