説明

後付床暖房施工方法。

【課題】床暖房施工費用その他の軽減を目的とする。
【解決手段】床下に人が潜れる住宅において、床下に潜り既設床材に発熱体を取り付ける作業工程と断熱材を発熱体にあてがい固定する作業工程、および発熱体に熱源を供給する作業工程を備えた床暖房施工方法で、既設床の上に置いてある物には一切手をつけず、床下に潜り既設床材に上記工程の床暖房施工を行うことにより課題「床暖房施工費用その他の軽減を目的とする。」を解決するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は床暖房の施工方法である。
【背景技術】
【0002】
新築住宅において階層的に積み上げていく床暖房施工方法は確立しているが、床下に潜って床暖房発熱体を取り付ける後付床暖房施工方法は、仕事がきつい、汚い等の理由で未確立である。
【0003】
住宅リフォームにおいてリビングの既設床材を剥がしての床暖房施工方法としては下記の施工段取りとなる
1リビング家具の移動
2他の部屋への影響を考えてブルーシートでの埃飛散防止の養生
3床を丸鋸等で切って取り外し
4下地合板の撤去または再利用
5根太の交換または既設材料を使用する場合は釘等突起物の処理
6廃材運搬処理
7床暖房用断熱材施工
8床暖房用下地合板施工
9発熱体位置墨出し
10発熱体設置
11熱源への接続施工
12床暖房仕上げ床材の施工
13床工事に伴い影響が出た壁と巾木の補修
14清掃
15養生材の撤去
16家具を元の位置に移動、整理
以上一連の作業は早い作業でも約五日程度を要する。これには床暖房施工費用の他、根太、下地合板、床材、壁補修材の材料代と工賃がかかる。
【0004】
住宅リフォームにおいて既設床の上に発熱体を乗せて施工し、さらに新しい床材を貼る施工方法がある。この場合も家具の移動が伴い上記3、4、5、6、8を除く1から16の仕事が必然的に伴う。この施工方法の場合他の部屋との段差が発生してしまう問題が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
床暖房施工費用の軽減および工期短縮、工事のための家具移動等をなくし、施主の精神的肉体的負担を軽減するために前記(0003)の1から6の作業及び8の作業を削除する。さらに12から16までの作業も削除することを課題として取り組んだものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
床下に人が潜れる住宅において、床下に潜り既設床材に発熱体を取り付ける作業工程と断熱材を発熱体にあてがい固定する作業工程、および発熱体に熱源を供給する作業工程を備えた床暖房施工方法で、既設床の上に置いてある物には一切手をつけず、床下に潜って床暖房施工を行うことにより上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0007】
1床暖房施工に伴う上記もろもろの材料および施工費用が削減できる。
2工期を短縮できる。
3最小の資材投入で施工できる。
4最小の廃材排出を可能とした。
5施主の精神的肉体的負担の軽減を図ることができる。
上記5点を可能にしたほか、家具の移動費用の削減等々で施主の経済的負担をも軽減した床暖房施工方法を実現した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
床下からの床暖房施工要領の講習会実施の形態をとる。
【実施例】
【0009】
床下に潜り込む実地例は次の通りで、潜り込み方は4つの方法があり一番安価で簡単な方法を選択する。
1床下収納庫を引き出してそこから潜る方法。
2和室の畳をはがしてさらに床材をはずして潜る方法。
3前記二カ所から潜れない場合押入れの床板をはずして潜り込む方法。
4どこにも潜っていけそうな開口部が見つからない場合は、床下点検口または床下収納庫を新設してそこから潜り込む方法を採る。
【0010】
床下に潜り込み、床材の天井を点検する。断熱材が入っている場合と断熱材が無い場合とがある。
【0011】
断熱材が入っていない場合は次の施工工程である。
【0012】
床材の天井に釘図(1)12等突起物の有無を調べ、突起物があれば折り取る等の処置をする。
【0013】
発熱体11を大引き1の上に、根太2と根太の間に差し込む。
【0014】
位置調整を行い粘着テープ8で仮止めする。
【0015】
新設断熱材4を大引1の上に、根太2と根太の間に差し込み、断熱材固定材5で固定する。
【0016】
断熱材が入っている場合は次の施工工程である。
【0017】
断熱材4の材質を確認し床暖房部材として適材かを判断する。
【0018】
次に厚みを測定し、床暖房としての断熱性能が十分であるかを判断する。厚みが少なく断熱効果が期待できないときは、取り替えまたは重ねて施工する。
【0019】
発熱体10、11を断熱材と床の間に滑り込ませる。位置調整をする。
【0020】
釘12等の突起物があれば断熱材と床の間に滑り込ませるときに引っ掛かり、滑り込ませることができないのでその部分の断熱材をはずして突起物を点検し、折り取る等の処置をする。
【0021】
断熱材と発熱体と床材が密着するよう適当な厚さの断熱材固定材5を大引き1と断熱材、および断熱材固定板7と断熱材との間に押し込み固定する。
【0022】
熱源を接続する。電気の場合は屋内配線に制御機器を介して発熱体に接続する。温水式の場合は配管を熱源器に接続する。
【0023】
10帖リビングと8帖ダイニングの二部屋程度の床暖房施工は、施主の生活形態に影響を及ぼすことなく1日程度で完了する事ができる床暖房施工方法である。
【0024】
下記の実地例がある。新築後3年目の一戸建て住宅でダイニングの床暖房は新築時に行った。実際の生活様式はリビングで長時間の団欒がありご主人が床暖房を切望されていた。しかしまだ築三年では床材の痛みもなく床の張り替えまで考えると実行できなかった。そこに床下からの施工方法を提案した。床下収納庫がキッチンにあり、床下に潜って調査した。断熱材は40mm厚さのウレタンフォームがあった。問題なく床下から床暖房の施工が可能と判断し、ご主人と打ち合わせを行った。即発注となり工事日を三日後と決定した。工事期間予定は1日とした。施工当日、朝9時から取りかかり午後14時には床下の施工を完了した。16時に電気配線、制御機器取り付けを完了した。次に電気的チェックを完了し試運転を実施した。室温18℃、床表面温度30℃の結果が出た。工事仕掛かり日の夕方からすぐに使用出来る床暖房が完成した。その後、ご家族に取り扱いの説明に伺った折りに評価を聞いた。今度の休みに冷え性の友人が遊びに来るので体感してもらい「薦めたい」とのことだった。
【産業上の利用可能性】
【0025】
床暖房のみを床下から実施し、他部材、たとえば新しい床板等を使用しないため余分な資源を無駄に消費することがない。また新しい床暖房施工方法としての人材育成、雇用の増大に寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】床下からの床暖房施工見取り図
【図2】図1A−A' の床上から床下へ突き抜けた断面図
【符号の説明】
【0027】
1 大引
2 根太
3 床下地材の捨て貼りコンパネ
4 断熱材
5 断熱材固定材
6 束
7 断熱材固定用板
8 発熱体仮固定用粘着テープ
9 配線材料
10 仮固定された発熱体
11 仮固定前の垂れ下がった状態の発熱体
12 突起した釘
13 床下のベタ基礎
14 基礎コンクリート
15 床仕上げ材
16 温度センサー穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床下に人が潜れる住宅において、床下に潜り既設床材に発熱体を取り付ける作業工程と断熱材を発熱体にあてがい固定する作業工程、および発熱体に熱源を供給する作業工程を備えた床暖房施工方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−224577(P2007−224577A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−46180(P2006−46180)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(306005583)
【Fターム(参考)】