説明

後処理装置及び画像形成装置

【課題】ブロッキング現象を防止しつつ、用紙の意図しない挙動を抑制でき、良好な後処理品質を得ることができる後処理装置を提供する。
【解決手段】搬送経路での用紙搬送中のDCモータ20の目標速度に対する速度変動を速度変動検出手段27により検出し、検出値に基づいて用紙厚判定手段28により用紙の厚さを判定し、フアン制御手段25により、判定結果に応じて冷却ファンのファンモータ21の駆動(送風量)を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に一体的にあるいは着脱自在に設けられ、画像形成装置で画像が形成された記録媒体に綴じ、揃え、パンチなどの後処理を施す後処理装置、該後処理装置を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置で画像形成された用紙が後処理装置で積載される流れにおいては、画像形成時の熱が冷却されることなく後処理装置まで保持され、積載時に画像同士(トナー)が貼りつく現象(以下、「ブロッキング現象」という)が生じる。
その対策として、用紙自体に送風して冷却する方法や、用紙の搬送中に接触するガイド部材に送風することで冷却し、用紙から熱を奪う方法が既に知られている。
特許文献1には、用紙を効率的に冷却する目的で、用紙排紙後の積載トレイ上での送風ファンにより冷却し、送風ファンの駆動を用紙の有無や枚数、温度などの条件により制御する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来におけるブロッキング現象を防止する方法では、用紙を冷却することができても、弊害があったり、十分な効果が得られない場合があった。
すなわち、用紙を直接冷却する方法では、用紙に風が当たることで、用紙の意図しない挙動が見られ、整然性が崩れて正常な後処理や積載できないという問題があった。
また、ガイド部材を冷却する方法では、用紙の搬送中に接触するガイド部材が少ない機械では用紙から熱を奪いきることができずに、ブロッキング現象を防止することができないという問題があった。
特許文献1記載の発明においても、用紙に意図しない挙動をさせないという問題は解消できていない。
【0004】
本発明は、上記のような現状に鑑みてなされたものであり、ブロッキング現象を防止しつつ、用紙の意図しない挙動を抑制でき、良好な後処理品質を得ることができる後処理装置の提供を、その主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、用紙の搬送中に紙厚の判断を行い、紙厚に応じた強さの送風になるよう制御することで、厚紙に対する冷却効果を発揮しながら、薄紙に対しては送風による用紙の意図しない挙動の発生を防止するという考えに基づいている。
具体的には、請求項1に記載の発明は、画像形成装置より排出されるシート状の記録媒体を順次受け入れ、記録媒体を後処理部へと搬送する搬送経路と、記録媒体を搬送するための駆動源を動作させる搬送駆動部と、前記搬送駆動部を制御する搬送制御手段と、前記搬送経路からの記録媒体を一時的に積載する処理トレイと、前記処理トレイ上の記録媒体に後処理を施す後処理部と、記録媒体を冷却するための冷却ファンと、
前記冷却ファンを動作させるファン駆動部と、前記ファン駆動部を制御するファン制御手段と、を備えた後処理装置において、前記記録媒体を搬送するための駆動源がDCモータであり、前記搬送経路での記録媒体搬送中の前記DCモータの目標速度に対する速度変動から、記録媒体の厚さを判定し、判定結果に応じて、前記冷却ファンの駆動制御を変更することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の後処理装置において、前記搬送駆動部による記録媒体の搬送において、駆動速度が少なくとも2種類以上であるときは、前記DCモータの目標速度に対する速度変動の検出タイミングを、高速駆動による記録媒体搬送時とすることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の後処理装置において、前記記録媒体の厚さ判定結果で記録媒体を薄いと判定したときは、前記冷却ファンの風量を通常より少なくすることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の後処理装置において、前記記録媒体の厚さ判定結果で記録媒体を一度でも厚いと判定したときは、前記冷却ファンの風量を通常より多くすることを特徴とする。
【0007】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の後処理装置において、前記冷却ファンの制御を、記録媒体の位置によって少なくとも2回以上切り替えることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1つに記載の後処理装置において、前記記録媒体の厚さ判定結果に基づいて、記録媒体の厚さと前記冷却ファンの風量とが比例関係になるように、前記冷却ファンの制御を変更することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1又は2に記載の後処理装置において、前記搬送経路上で記録媒体に穿孔処理を施す穿孔部と、前記穿孔部を駆動する穿孔駆動部と、前記穿孔駆動部を制御する穿孔制御手段とを備えた穿孔ユニットを有し、前記DCモータの速度変動に基づく記録媒体の厚さ判定結果と、前記穿孔駆動部での穿孔時間に基づく記録媒体の厚さ判定結果の、どちらか一方の判定結果に応じて、前記冷却ファンの制御を変更することを特徴とする。
【0008】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の後処理装置において、前記穿孔部での穿孔中には、記録媒体の厚さ判定結果に関係なく、前記冷却ファンの駆動を停止することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、画像形成装置において、請求項1〜8のいずれか1つに記載の後処理装置を一体にあるいは着脱自在に備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ブロッキング現象を防止しつつ、用紙の意図しない挙動を抑制でき、良好な後処理品質を得ることができる。
請求項2記載の発明によれば、高速駆動時は低速駆動時に比べて紙厚の影響による速度変動が大きくなり、薄紙と厚紙の差がより明確になるため、低速駆動時よりも短い時間で紙厚を判定することが可能になり、用紙を効率よく冷却する時間を増やすことができる。
請求項3記載の発明によれば、薄紙時は風量を制限することで、可能な限り用紙を冷却しながら、意図しない用紙の挙動の発生を防止することができる。また、不要な動作による電力消費を抑制することができる。
請求項4記載の発明によれば、厚紙時は一定時間の経過を待つことなく風量を増大させることで、通常時よりも長い時間効率よく用紙を冷却することができる。
請求項5記載の発明によれば、用紙が搬送ローラなどにより保持されている場合は、可能な限り冷却を行い、保持されていない状態では、意図しない用紙の挙動の発生を防止することができる。
請求項6記載の発明によれば、用紙厚を段階(薄い、通常、厚い)で分類するよりも、用紙厚とファンモータの風量が比例関係になるように制御を変更すれば、微小な用紙厚の差でもより適切な冷却が可能になり、更に用紙を効率よく冷却することができる。
請求項7記載の発明によれば、穿孔処理時点で厚紙を検知することで、搬送中での紙厚検知に要する時間分、より長い時間用紙を冷却することができる。
請求項8記載の発明によれば、冷却ファンを停止することで、穿孔動作時に用紙が意図しない挙動を示すことによる穿孔位置ズレを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概要構成図である。
【図2】同画像形成装置の用紙搬送経路を示す図である。
【図3】用紙の片面に画像を印刷する場合の動作を示す図で、印刷位置にある状態を示す図である。
【図4】用紙の片面に画像を印刷する場合の動作を示す図で、排出状態を示す図である。
【図5】増設排紙ユニットを装着したときの構成を示す図である。
【図6】片面印刷された用紙が後処理されるときの用紙の動きを示す図で、印刷位置にある状態を示す図である。
【図7】片面印刷された用紙が後処理されるときの用紙の動きを示す図で、後処理装置内を搬送されている状態を示す図である。
【図8】片面印刷された用紙が後処理されるときの用紙の動きを示す図で、シフトモード時の積載状態を示す図である。
【図9】片面印刷された用紙が後処理されるときの用紙の動きを示す図で、ステイプルモード時の状態を示す図である。
【図10】後処理装置に穿孔ユニットの装着されたときの構成を示す図である。
【図11】後処理装置の制御ブロック図である。
【図12】後処理装置に穿孔ユニットの装着されたときの制御ブロック図である。
【図13】DCモータを駆動させる目標速度を示す図である。
【図14】DCモータを動かして厚紙を搬送した場合の実動作の波形図である。
【図15】DCモータを動かして薄紙を搬送した場合の実動作の波形図である。
【図16】目標速度に対する大きさ差異を示す波形図である。
【図17】用紙厚さの判定動作を示すフローチャートである。
【図18】用紙搬送中のDCモータの駆動速度を示す図である。
【図19】DCモータを駆動させる目標速度を示す図である。
【図20】DCモータを動かして厚紙を搬送した場合の実動作の波形図である。
【図21】DCモータの高速駆動に関する波形図である。
【図22】DCモータの高速駆動時の変動量を示す波形図である。
【図23】用紙厚さの判定動作を示すフローチャートである。
【図24】制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図25】制御動作の他例を示すフローチャートである。
【図26】制御動作の他例を示すフローチャートである。
【図27】用紙厚とファンモータの風量との関係を示す特性図である。
【図28】制御動作の他例を示すフローチャートである。
【図29】紙厚(穿孔負荷)に対する穿孔時間の推移を示す特性図である。
【図30】穿孔ユニットを有する場合の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図31】穿孔ユニットを有する場合の制御動作の他例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図を参照して説明する。
図1に本実施形態に係る画像形成装置の構成の概要を示す。画像形成装置は給紙部A、画像形成部B、画像読取り部Cから構成されており、画像読取り部Cの下部には画像形成部Bにて印刷された記録媒体としての用紙を収納する空間、すなわち用紙収納部Dが存在し、用紙収納部Dには用紙を積載する積載手段D−1が具備されている。
図2に画像形成装置の用紙搬送経路を示す。用紙搬送経路には、搬送手段である搬送ローラ対1,2,5,7,8,9と用紙に画像を印刷する印刷手段3、用紙収納部Dの積載手段D−1上へ用紙を排出する排紙ローラ対4、用紙を反転させる時に正逆方向に回転する反転ローラ対6、さらに用紙搬送路を切り替える切り替え手段t1〜t3が設けられている。
印刷手段3は、像担持体上に形成された静電潜像を現像手段によりトナー像として可視像化し、該トナー像を用紙に転写手段により転写する周知の構成を有している。
【0012】
用紙の片面に画像を印刷する時の動作を図3〜図4に示す。外部もしくは画像読取り部Cから画像情報を取得し、図3に示すように給紙部Aの用紙束Sから用紙S1を画像形成部Bへ搬送し、搬送ローラ対1,2で用紙を搬送し、印刷手段3にて画像情報を基に印刷処理を行う。次に図4に示すように片面に画像を印刷された用紙S1は切り替え手段t1により排紙経路に送られ、排紙ローラ対4にて用紙収納部Dの積載手段D−1上へ排出される。
増設排紙ユニットD−2を装着した時の構成を、図5に示す。増設排紙ユニットD−2には排紙ローラ対10と積載手段が具備されており、増設排紙ユニットD−2は画像形成装置の用紙収納部Dの反転ローラ対6の下流に増設することができる。
これにより両面印刷時、右トレイ排出時に用紙を反転する際には、反転ローラ対6と排紙ローラ対10が同じ動作をして、用紙を積載手段上で受けることにより反転が可能となる。また、排紙先を増設ユニットD−2とすることにより、通常の排紙先である積載手段D−1とは別の排紙先として増設排紙ユニットD−2を設定し使用することができる。
【0013】
片面印刷された用紙が後処理されるときの用紙の動きを図6〜図9に示す。図6に示すように画像形成部B内の印刷手段3にて画像を印刷された用紙S1は、切り替え手段t1によって排紙経路に送られ、排紙ローラ対4にて後処理装置Fへと搬送される。後処理装置F内では、図7で示すように、搬送ローラ対11〜13によって後処理装置内を搬送され、シフトモード時は、図8に示すように排紙ローラ対14によって、積載手段上へ積載される。
ステイプルモード時は、図9に示すように、一時処理トレイとしての積載部50に積載され、選択された後処理が実施される。後処理の実施後は、排紙ローラ対14により、用紙積載手段上に排紙される。
後処理装置Fには、穿孔ユニットPが装着可能であり、図10に示すように、後処理装置Fの前(搬送方向上流側)に穿孔ユニットPが接続される。穿孔動作時は、用紙を停止させてプレスピン15を用紙の上方から下降させて穿孔を行う。
【0014】
図11は後処理装置Fの制御部を示している。
各モータ(搬送DCモータ20、ファンモータ21)を動作させるための駆動部(搬送駆動部22、ファン駆動部23)、駆動部を制御してモータの動作を指示する制御手段(搬送制御手段24、ファン制御手段25)を備えている。後処理装置Fには、ファンモータ21で駆動される図示しない冷却ファンが設けられている。
冷却ファンの設置位置は、用紙が積載される前の段階で用紙を直接冷却できる位置、あるいは用紙の搬送をガイドする部材を空冷することによって用紙から熱を奪うことができる位置等を考慮して適宜決定される。
搬送DCモータ20の速度を検出する搬送モータ検出手段26で検出した速度から、速度変動検出手段27により目標速度との比較結果を速度変動として算出し、算出結果を元に用紙厚判定手段28で用紙厚を判定して、判定した用紙厚に応じた制御をファン制御手段25で行う。
【0015】
図12は後処理装置Fに穿孔ユニットPが装着した場合の制御部を示している。
穿孔DCモータ29を動作させるための穿孔駆動部30、該駆動部を制御してモータの動作を指示する穿孔制御手段31を備えている。穿孔DCモータ29が穿孔完了するまでの時間を検出する穿孔時間検出手段32で検出した穿孔時間と、速度変動検出手段27により算出した速度変動の結果に応じて、用紙厚判定手段28で用紙厚を判定して、判定した用紙厚に応じた制御をファン制御手段25で行う。
【0016】
図13〜図15はDCモータの定速駆動に関する波形を示している。図13はDCモータを駆動させる目標速度であり、図14はDCモータを動かして厚紙を搬送した場合の実動作波形、図15はDCモータを動かして薄紙を搬送した場合の実動作波形の一例である。
図13と図14もしくは図15を比較すると、実動作の速度は目標速度に対してバラツキが見て取れる。
次に図14と図15を比較すると、厚紙を搬送した波形の方が、目標速度に対して大きな差異が発生する回数が多いことが分かる。目標速度に対する大きな差異とは、図16で示す点線の範囲外まで速度が変動したことであり、速度変動回数が厚紙の場合は多く、薄紙では少なくなる。図16では5回となる。この特性を利用して、搬送中の用紙の紙厚を判定する。
【0017】
用紙厚さの判定動作を図17のフローチャートに基づいて説明する。
まず後処理装置への排出が設定される(ステップS1、以下単に「S1」という)。後処理装置に画像形成済みの用紙が搬送され(S2)、後処理装置の搬送経路内に用紙が到達すると(S3)、用紙搬送駆動の速度変動計測が開始される(S4)。
搬送駆動の速度が随時監視され(S5)、速度変動があればS6へ進む。速度変動がなければ、S7へ進む。
速度変動があった場合には、速度変動の回数nをカウントする(S6)。測定開始から一定時間が経過したかを判定し(S7)、一定時間が経過していればS8へ進む。一定時間が経過していなければS5へ進む。
用紙搬送駆動の速度変動計測が終了すると(S8)、速度変動の計測回数nがN回に達しているかを判定する(S9)。計測回数がN回以上の場合はS10へ進む。計測回数がN回未満の場合は、次用紙の処理へ移行する。
計測回数がN回以上の場合は、冷却ファンの制御を変更し(S10)、その後次用紙の処理へ移行する。
【0018】
図18は用紙搬送中のDCモータの駆動速度を表している図であり、図中の低速駆動時、高速駆動時のように、2種類の速度を用紙搬送中に切り替えて使用している。
図19〜図21は図18に記載のDCモータの高速駆動に関する波形を示している。図19はDCモータを駆動させる目標速度であり、図20はDCモータを動かして厚紙を搬送した場合の実動作波形、図21はDCモータを動かして薄紙を搬送した場合の実動作波形の一例である。
図19と図20もしくは図21を比較すると、実動作の速度は目標速度に対してバラツキが見て取れる。
次に図20と図21を比較すると、厚紙を搬送した波形の方が、薄紙を搬送した波形より上下に大きく速度が変動している。高速駆動開始から一定時間内に最大の変動が発生しているため、この最大の変動の特性を利用して、搬送中の用紙の紙厚を判定する。
【0019】
速度の変動については、図22に示すように、目標速度V0と、実動作速度VAから、変動量V2として算出する。
用紙厚さの判定動作を図23のフローチャートに基づいて説明する。
後処理装置への排出が設定される(S1)。後処理装置に画像形成済みの用紙が搬送され(S2)、後処理装置の搬送経路内に用紙が到達すると(S3)、搬送駆動が高速駆動開始され(S4)、用紙搬送駆動の速度変動お計測が開始される(S5)。
搬送駆動の速度は随時監視され(S6)、速度変動があればステップS7へ進み、速度変動がなければステップS10へ進む。
S6で判定した速度変動の変動量(V2)を計算し(S7)、1つ前の変動量(V1)とV2とを比較する(S8)。
V1≦V2の場合(1度目の変動では必ずこちらになる。)、ステップS9へ進み、V1>V2の場合はステップS10へ進む。
V1≦V2の場合、V2の値をV1に代入し(S9)、測定開始から一定時間が経過したかを判定する(S10)。一定時間が経過していればステップS11へ進み、一定時間が経過していなければステップS6へ進む。
一定時間が経過していれば用紙搬送駆動の速度変動の計測を終了し(S11)、冷却ファンの制御を変更し(S12)、次用紙の処理へ移行する。
【0020】
図24に基づいて、具体的な制御動作を説明する。
後処理装置への排出が設定される(S1)。後処理装置に画像形成済みの用紙が搬送され(S2)、後処理装置の搬送経路内に用紙が到達すると(S3)、搬送駆動が高速駆動開始され(S4)、用紙搬送駆動の速度変動の計測が開始される(S5)。
搬送駆動の速度が随時監視され(S6)、速度変動があればステップS7へ進み、速度変動がなければステップS10へ進む。
ステップS6で判定した速度変動の変動量(V2)を計算する(S7)。速度変動が2回目以降であれば、1つ前の変動量(V1)とV2’とを比較し(S8)、V1≦V2の場合、ステップS9へ進み、V1>V2の場合、ステップS10へ進む。
V2の値をV1に代入し(S9)、測定開始から一定時間が経過したかを否かを判定する(S10)。一定時間が経過していればステップS11へ進み、一定時間が経過していなければステップS6へ進む。
一定時間が経過した場合、用紙搬送駆動の速度変動の計測を終了する(S11)。
規定値(V)と速度変動(V1)との大きさを比較し(S12)、V>V1の場合、ステップS13へ進む。V≦V1の場合、冷却ファンの制御は変更しない。
V>V1の場合には、冷却ファンの風量を制限し(S13)、次用紙の処理へ移行する。
【0021】
図25に基づいて、具体的な制御動作の他例を説明する。
後処理装置への排出が設定される(S1)。後処理装置に画像形成済みの用紙が搬送され(S2)、後処理装置の搬送経路内に用紙が到達すると(S3)、搬送駆動が高速駆動開始され(S4)、用紙搬送駆動の速度変動の計測が開始される(S5)。
搬送駆動の速度が随時監視され(S6)、速度変動があればステップS7へ進み、速度変動がなければステップS12へ進む。
ステップS6で判定した速度変動の変動量(V2)を計算し(S7)、規定値(V)と速度変動(V2)との大きさを比較する(S8)。V≦V2の場合、ステップS9へ進み、V>V2の場合、ステップS10へ進む。
V≦V2の場合には、冷却ファンの風量を増大する(S9)。
速度変動が2回目以降であれば、1つ前の変動量(V1)とV2’とを比較し(S10)、V1≦V2の場合、ステップS11へ進み、V1>V2の場合、ステップS12へ進む。
V1≦V2の場合には、V2の値をV1に代入し(S11)、測定開始から一定時間が経過したかを判定する(S12)。一定時間が経過していればステップS13へ進み、一定時間が経過していなければステップS6へ進む。
一定時間が経過している場合には、用紙搬送駆動の速度変動の計測を終了する(S13)。規定値(V)と速度変動(V1)との大きさを比較し(S14)、V>V1の場合、ステップS15へ進み、V≦V1の場合、冷却ファンの制御は変更しない。
V>V1の場合には、冷却ファンの風量を制限し(S15)、その後次用紙の処理へ移行する。
【0022】
図26に基づいて、具体的な制御動作の他例を説明する。
後処理装置への排出が設定される(S1)。後処理装置に画像形成済みの用紙が搬送され(S2)、後処理装置の搬送経路内に用紙が到達すると(S3)、搬送駆動が高速駆動開始され(S4)、用紙搬送駆動の速度変動の計測が開始される(S5)。
搬送駆動の速度が随時監視され(S6)、速度変動があればステップS7へ進み、速度変動がなければステップS10へ進む。
S6で判定した速度変動の変動量(V2)を計算し(S7)、速度変動が2回目以降であれば、1つ前の変動量(V1)とV2’とを比較する(S8)。
V1≦V2の場合、ステップS9へ進み、V1>V2の場合、ステップS10へ進む。V2の値をV1に代入し(S9)、測定開始から一定時間が経過したか否かを判定する(S10)。
一定時間が経過していればステップS11へ進み、一定時間が経過していなければステップS6へ進む。一定時間が経過している場合、用紙搬送駆動の速度変動の計測を終了する(S11)。
規定値(V)と速度変動(V1)の大きさを比較し(S12)、V>V1の場合、ステップS13へ進み、V≦V1の場合には冷却ファンの制御は変更しない。
V>V1の場合には、冷却ファンの風量を制限し(S13)、用紙が排紙位置に到達したら(S14)、冷却ファンを停止する(ステップS15)。その後次用紙の処理へ移行する。
【0023】
図27は用紙厚とファンモータの風量との関係を示した図である。図中の点線は厚みを範囲でグループとして考えて、ファンモータの風量を調整する制御を行った場合を示しており、グループの中の薄い紙に合わせた制御となっており、グループ内の厚い紙には適切な制御とは言えない。
図中の実線は厚みとファンモータの風量が比例関係になるように制御を行った場合を示しており、判定した用紙厚に最も適切な制御を行うことができる。
風量の決定式は一例として、算出した用紙厚をTP、ファンモータの風量(回転数)をSとした場合、
S=(a×TP)+b
として算出する。
【0024】
図28に基づいて、請求項2に記載の制御に上記制御を適用した場合の動作フローを説明する。
後処理装置への排出が設定される(S1)。後処理装置に画像形成済みの用紙が搬送され(S2)、後処理装置の搬送経路内に用紙が到達すると(S3)、搬送駆動が高速駆動開始され(S4)、用紙搬送駆動の速度変動の計測が開始される(S5)。
搬送駆動の速度が随時監視され(S6)、速度変動があればステップS7へ進み、速度変動がなければステップS10へ進む。
速度変動があった場合には、ステップS6で判定した速度変動の変動量(V2)を計算し(S7)、1つ前の変動量(V1)とV2とを比較する(S8)。
V1≦V2の場合(1度目の変動では必ずこちらになる。)、ステップS9へ進み、V1>V2の場合、ステップS10へ進む。
V1≦V2の場合、V2の値をV1に代入し(S9)、測定開始から一定時間が経過したか否かを判定する(S10)。一定時間が経過していればステップS11へ進み、一定時間が経過していなければステップS6へ進む。
一定時間が経過している場合、用紙搬送駆動の速度変動の計測を終了し(S11)、V1の値に従い、用紙厚TPを判定し、適切なファンモータの風量Sを決定する(S12)。
S12で算出した風量に冷却ファンの制御を変更し(S13)、次用紙の処理へ移行する。
【0025】
図29は紙厚(穿孔負荷)に対する穿孔時間の推移であり、用紙が無い場合(図29では空転)と薄紙の場合ではほとんど変化が無いが、厚紙を穿孔した場合は、厚さが増すほど穿孔時間が増える傾向にあることが分かる。
一例として図29の点線を穿孔時間の規定値Tと考える。この特性を利用して搬送中の用紙の紙厚を判定する。
【0026】
図30に基づいて、穿孔ユニットを有する場合の動作フローを説明する。
後処理装置への排出が設定される(S1)。後処理装置に画像形成済みの用紙が搬送され(S2)、後処理装置の搬送経路内に用紙が到達すると(S3)、用紙の穿孔処理が開始され(S4)、穿孔時間の測定が開始される(S5)。
穿孔時間の測定が終了し(S6)、用紙の穿孔処理が終了すると(S7)、搬送駆動が高速駆動開始される(S8)。
規定時間Tと計測した穿孔時間tとを比較し(S9)、t≧Tの場合、厚紙と判定してステップS10へ進み、t<Tの場合、ステップS11へ進む。t≧Tの場合、冷却ファンの風量を増大させ(S10)、次用紙の処理へ移行する。
【0027】
t<Tの場合、用紙搬送駆動の速度変動の計測を開始し(S11)、搬送駆動の速度を随時監視する(S12)。速度変動があればステップS13へ進み、速度変動がなければステップS16へ進む。
速度変動がある場合には、ステップS6で判定した速度変動の変動量(V2)を計算する(ステップS13)。速度変動が2回目以降であれば、1つ前の変動量(V1)とV2’とを比較し(S14)、V1≦V2の場合、ステップS15へ進み、V1>V2の場合、ステップS16へ進む。
V1≦V2の場合には、V2の値をV1に代入し(S15)、測定開始から一定時間が経過したか否かを判定する(S16)。一定時間が経過していればステップS17へ進み、一定時間が経過していなければステップS12へ進む。
一定時間が経過している場合には、用紙搬送駆動の速度変動計測終了し(S17)、規定値(V)と速度変動(V1)との大きさを比較する(S18)。
V>V1の場合、ステップS19へ進み、V≦V1の場合、冷却ファンの制御は変更しない。V>V1の場合には、冷却ファンの風量を制限し(S19)、次用紙の処理へ移行する。
【0028】
図30に基づいて、穿孔ユニットを有する場合の動作フローの他例を説明する。
後処理装置への排出が設定される(S1)。後処理装置に画像形成済みの用紙が搬送され(S2)、後処理装置の搬送経路内に用紙が到達すると(S3)、冷却ファンが停止され(S4)、用紙の穿孔処理が開始されるとともに(S5)、穿孔時間の測定が開始される(S6)。
穿孔時間の測定が終了し(S7)、用紙の穿孔処理が終了すると(S8)、冷却ファンが再動作される(S9)。
搬送駆動が高速駆動開始され(S10)、規定時間Tと計測した穿孔時間tとを比較する(S11)。t≧Tの場合、厚紙と判定してステップS12へ進み、t<Tの場合、ステップS13へ進む。
厚紙と判定した場合、冷却ファンの風量を増大させ(S12)、次用紙の処理へ移行する。
【0029】
t<Tの場合には、用紙搬送駆動の速度変動の計測を開始し(S13)、搬送駆動の速度を随時監視する(S14)。速度変動があれば、ステップS15へ進み、速度変動がなければ、ステップS18へ進む。
速度変動があった場合、S6で判定した速度変動の変動量(V2)を計算する(S15)。速度変動が2回目以降であれば、1つ前の変動量(V1)とV2’とを比較し(S16)、V1≦V2の場合、ステップS17へ進み、V1>V2の場合、ステップS18へ進む。
V1≦V2の場合には、V2の値をV1に代入し(S17)、測定開始から一定時間が経過したか否かを判定する(S18)。一定時間が経過していればステップS19へ進み、一定時間が経過していなければステップS14へ進む。
一定時間が経過している場合には、用紙搬送駆動の速度変動の計測を終了し(S19)、規定値(V)と速度変動(V1)との大きさを比較する(S20)。V>V1の場合、ステップS21へ進み、V≦V1の場合、冷却ファンの制御は変更しない。
V>V1の場合には、冷却ファンの風量を制限し(S21)、次用紙の処理へ移行する。
【符号の説明】
【0030】
20 駆動源としての搬送DCモータ
22 搬送駆動部
23 ファン駆動部
24 搬送制御手段
25 ファン制御手段
29 穿孔部としての穿孔DCモータ
30 穿孔駆動部
31 穿孔制御手段
F 後処理装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】特開2007−079310号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置より排出されるシート状の記録媒体を順次受け入れ、記録媒体を後処理部へと搬送する搬送経路と、
記録媒体を搬送するための駆動源を動作させる搬送駆動部と、
前記搬送駆動部を制御する搬送制御手段と、
前記搬送経路からの記録媒体を一時的に積載する処理トレイと、
前記処理トレイ上の記録媒体に後処理を施す後処理部と、
記録媒体を冷却するための冷却ファンと、
前記冷却ファンを動作させるファン駆動部と、
前記ファン駆動部を制御するファン制御手段と、
を備えた後処理装置において、
前記記録媒体を搬送するための駆動源がDCモータであり、前記搬送経路での記録媒体搬送中の前記DCモータの目標速度に対する速度変動から、記録媒体の厚さを判定し、判定結果に応じて、前記冷却ファンの駆動制御を変更することを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の後処理装置において、
前記搬送駆動部による記録媒体の搬送において、駆動速度が少なくとも2種類以上であるときは、前記DCモータの目標速度に対する速度変動の検出タイミングを、高速駆動による記録媒体搬送時とすることを特徴とする後処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の後処理装置において、
前記記録媒体の厚さ判定結果で記録媒体を薄いと判定したときは、前記冷却ファンの風量を通常より少なくすることを特徴とする後処理装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の後処理装置において、
前記記録媒体の厚さ判定結果で記録媒体を一度でも厚いと判定したときは、前記冷却ファンの風量を通常より多くすることを特徴とする後処理装置。
【請求項5】
請求項3に記載の後処理装置において、
前記冷却ファンの制御を、記録媒体の位置によって少なくとも2回以上切り替えることを特徴とする後処理装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の後処理装置において、
前記記録媒体の厚さ判定結果に基づいて、記録媒体の厚さと前記冷却ファンの風量とが比例関係になるように、前記冷却ファンの制御を変更することを特徴とする後処理装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の後処理装置において、
前記搬送経路上で記録媒体に穿孔処理を施す穿孔部と、前記穿孔部を駆動する穿孔駆動部と、前記穿孔駆動部を制御する穿孔制御手段とを備えた穿孔ユニットを有し、
前記DCモータの速度変動に基づく記録媒体の厚さ判定結果と、前記穿孔駆動部での穿孔時間に基づく記録媒体の厚さ判定結果の、どちらか一方の判定結果に応じて、前記冷却ファンの制御を変更することを特徴とする後処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の後処理装置において、
前記穿孔部での穿孔中には、記録媒体の厚さ判定結果に関係なく、前記冷却ファンの駆動を停止することを特徴とする後処理装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の後処理装置を一体にあるいは着脱自在に備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−185392(P2012−185392A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49462(P2011−49462)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】