説明

後嚢混濁を予防するためのコンブレタスタチン

後嚢混濁の処置および予防のための方法および組成物が提供される。この方法は、後嚢混濁に罹患しているかまたは後嚢混濁を発症するリスクのある被験体に対して、治療上有効な量のコンブレタスタチンを投与することを包含する。特定の実施では、このコンブレタスタチンは、コンブレタスタチンA−4、またはその誘導体、プロドラッグもしくはアナログである。特定の実施では、このコンブレタスタチンは、コンブレタスタチンA−4リン酸塩(CA4P)またはその薬学的に許容され得る塩である。このコンブレタスタチンは全身的に、例えば、静脈内に、または非全身的に、例えば、被験体の眼に対して局所的に投与される。特定の実施では、このコンブレタスタチンは、眼内レンズを挿入するため手術の間に投与され、必要に応じてその後、その被験体の眼に対して同じまたは異なる用量の引き続く投与が全身にまたは局所に行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2009年7月2日に出願された米国仮特許出願第61/222,841号(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
(I.背景)
加齢型の白内障は、世界中の失明の50%を占める(WHOファクトシートN143)。白内障手術の最も一般的な合併症は、後嚢混濁(PCO)であり、これは、術後の眼の水晶体嚢に残る水晶体上皮細胞の増殖、遊走、および上皮間葉の分化転換から生じる。PCOは、嚢のしわ、透明度の低下およびさらなる手術の必要性をもたらす。
【0003】
白内障は極めて蔓延している疾患であり−毎年、イギリスだけで250,000例の新しい症例があり、後嚢混濁(PCO)を減少するための眼内レンズの設計は進歩しているが、既存の技術と組み合わせてPCOを予防するための薬理学的解決法が所望される。コンブレタスタチンA4−リン酸塩(CA4P)は、微小管の重合を阻害し、本明細書に実証されるとおり、水晶体上皮細胞増殖を阻害する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(III.発明の要旨)
本発明の一局面は、後嚢混濁(PCO)を処置するかおよび/または予防する方法を提供し、この方法は、後嚢混濁に罹患しているかまたは後嚢混濁を発症するリスクのある被験体に対して、治療上有効な量のコンブレタスタチンを投与する工程を包含する。特定の実施では、このコンブレタスタチンは、コンブレタスタチンA−4、またはその誘導体、プロドラッグもしくはアナログである。特定の実施では、このコンブレタスタチンは、コンブレタスタチンA−4リン酸塩(CA4P)またはその薬学的に許容され得る塩である。このコンブレタスタチンは全身的に、例えば、静脈内に、または非全身的に、例えば、被験体の眼に対して局所的に投与される。特定の実施では、このコンブレタスタチンは、眼内レンズを挿入するため手術の間に投与され、必要に応じてその後、その被験体の眼に対して同じまたは異なる用量の引き続く投与が全身にまたは局所に行われる。
【0005】
本発明はまた、後嚢混濁の処置または予防のための、医薬の製造のための、コンブレタスタチンの使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、パクリタキセルまたはCA4Pに対する曝露後、96時間の細胞数を48時間での細胞数に対するパーセンテージとして示す。
【図2】図2は、パクリタキセルまたはCA4Pに対する曝露後、48時間での未処理のコントロールに比較した、処理した嚢についての細胞数のパーセンテージの増大/減少を示す。
【図3】図3は、試験因子に対する曝露後48時間および96時間での、未処理であるかまたは10μMのCA4Pで処理した、ウシ水晶体細胞培養物の写真を示す。
【図4】図4は、1mMのCA4Pに対する30分の曝露後、30分、24時間および48時間での、BIE細胞の抗チューブリンのウエスタンブロットを示す。
【図5】図5は、未処理かまたは1mMのCA4Pで30分間処理し、次いで培養培地中で48時間増殖させた、水晶体嚢上で培養された初代水晶体上皮細胞の写真を示す。
【図6】図6は、1mMのCA4Pに対する30分の曝露後の72時間にわたる細胞数を示す。
【図7】図7は、1mMのCA4Pに対して30分間曝露した直後のBIE中のリン酸化Erk1/2のレベルを示す(図7)。GAPDHのレベルが、デンシトメトリーによって定量する場合、正規化のために用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(IV.詳細な説明)
(A.コンブレタスタチン)
最も一般的には、後嚢混濁を処置、予防または阻害するのに有用な現在公知またはこれから発見される任意のコンブレタスタチンまたはその誘導体を、本明細書に記載される組成物、液体処方物および方法で用いてもよい。
【0008】
南アフリカの樹木であるCombretum caffrum由来のコンブレタスタチン、例えば、コンブレタスタチンA−4(CA4)は、最初は、1980年代にチューブリン重合の強力なインヒビターとして特定された。CA4および他のコンブレタスタチン類(例えば、コンブレタスタチンA−1(CA1))は、高い親和性でチューブリン上のコルヒチン結合部位にある部位またはその近位の部位に結合することが示された。インビトロの研究によって、コンブレタスタチン類は、培養中の多様な範囲の腫瘍細胞型に対して強力な細胞傷害性因子であることが明確に示された。CA4PおよびCA1P(それぞれCA4およびCA1のリン酸塩プロドラッグ)が、その後、水不溶性の問題を克服するために開発された(各々が参照によって本明細書に援用される、米国特許第4,996,237号;同第5,409,953号;および同第5,569,786号を参照のこと)。CA1PおよびCA4Pはまた、腫瘍組織への血流の迅速かつ急速な遮断を生じることが示されており、それは、腫瘍細胞自体に対するその因子の抗増殖効果とは別であり、かつ異なる。多数の研究によって、コンブレタスタチン類は、腫瘍の微小血管系内の血流の広範囲の遮断を生じ、二次的な腫瘍細胞死を生じることが示された(Darkら、Cancer Res.57:1829−34,(1997);Chaplinら、Anticancer Res.19:189−96,(1999);Hillら、Anticancer Res.22(3):1453−8(2002);Holwellら、Anticancer Res.22(2A):707−11,(2002)。正常組織への血流は一般に、腫瘍への血流よりもCA4PおよびCA1Pによる影響はかなり受けにくい(Tozerら、Cancer Res.59:1626−34(1999))。
【0009】
CA4PおよびCA4は、微小管のアセンブリを破壊して、新生の内皮細胞の細胞骨格(成熟内皮細胞の形状は、二次足場タンパク質アクチンによって維持される)の破壊をもたらす。これらの新しく形成されるかまたは異常な内皮細胞は、次に形状を平坦で細長い形状から丸いか球体に変化する。この内皮細胞形状の変化は、未熟および異常な血管では血管の閉塞を生じるが、正常な成熟血管には影響を有さない。選択性は、分化状態と同程度に内皮細胞(endothelial call)の年齢に依存する。例えば、腫瘍血管系では、成熟内皮細胞は構造的に異常であり、かつアクチン細胞骨格を欠き、それによってCA4Pに対して感受性になる。本発明の理論に限定されることなく、未熟上皮細胞に対する選択性によって、CA4Pおよび他のコンブレタスタチン類がPCOを予防するのに特に有効であるようになると考えられる。
【0010】
特定の実施形態では、コンブレタスタチンは、式I:
【0011】
【化1】

の化合物であり
ここで、各々のR、RおよびRは、他と独立して、水素、C1〜6アルコキシ、およびハロゲンからなる群より選択され、ここでR、RおよびRのうちの少なくとも2つは、水素ではなく;
は、R、R、1つ以上の同じもしくは異なるRもしくはRで置換されるR、1つ以上の同じものもしくはRもしくはRで置換される−OR、−B(OR、−B(NR、−(CH−R、−(CHR−R、−O−(CH−R、−S−(CH−R、−O−CHR、−O−CR(R、−O−(CHR−R、−O−(CH−CH[(CH]R、−S−(CHR−R、−C(O)NH−(CH−R、−C(O)NH−(CHR−R、−O−(CH−C(O)NH−(CH−R、−S−(CH−C(O)NH−(CH−R、−O−(CHR−C(O)NH−(CHR−R、−S−(CHR−C(O)NH−(CHR−R、−NH−(CH−R、−NH−(CHR−R、−NH[(CH]、−N[(CH、−NH−C(O)−NH−(CH−R、−NH−C(O)−(CH−CHRおよび−NH−(CH−C(O)−NH−(CH−Rからなる群より選択され;
各々のRは独立して、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、C4〜11シクロアルキルアルキル、C5〜10アリール、C6〜16アリールアルキル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のヘテロシクリル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリール、6〜16員のヘテロアリールアルキル、リン酸塩、リン酸塩エステル、ホスホン酸塩、ホスホロジアミデート、ホスホラミデートモノエステル、ホスホラミデートジエステル、環状ホスホラミデート、環状ホスホロジアミデートおよびホスホンアミデートからなる群より選択され
各々のRは、=O、−OR、C1〜3ハロアルキルオキシ、−OCF、=S、−SR、=NR、=NOR、−NR、ハロゲン、−CF、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO、=N、−N、−S(O)R、−S(O)、−S(O)OR、−S(O)NR、−S(O)NR、−OS(O)R、−OS(O)、−OS(O)OR、−OS(O)NR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−C(NH)NR、−C(NR)NR、−C(NOH)R、−C(NOH)NR、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−OC(NH)NR、−OC(NR)NR、−[NHC(O)]、−[NRC(O)]、−[NHC(O)]OR、−[NRC(O)]OR、−[NHC(O)]NR、−[NRC(O)]NR、−[NHC(NH)]NRおよび−[NRC(NR)]NRからなる群より独立して選択される適切な基であり;
各々のRは独立して、水素、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、C4〜11シクロアルキルアルキル、C5〜10アリール、C6〜16アリールアルキル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリール、6〜16員のヘテロアリールアルキル、リン酸塩、リン酸塩エステル、ホスホン酸塩、ホスホロジアミデート、ホスホラミデートモノエステル、ホスホラミデートジエステル、環状ホスホラミデート、環状ホスホロジアミデート、およびホスホンアミデートからなる群より選択され;
各々のRは独立して、Rであるか、あるいは2つのRはこれらが結合している窒素原子と一緒になり、5〜8員のヘテロシクリルまたはヘテロアリールが形成され、これは必要に応じて1つ以上の同じかまたは異なる追加のヘテロ原子を含み、かつこれは必要に応じて、1つ以上の同じもしくは異なるRまたは適切なR基で置換されてもよく;
各々のmは独立して1〜3の整数であり;
各々のnは独立して0〜3の整数であり;
pは1〜5の整数であり、かつ
ここで2つの隣接するR基およびそれらの介在する原子は、中央のフェニル基に縮合された5〜8員の環を形成するように結合されてもよい。
【0012】
特定の実施形態では、コンブレタスタチン誘導体は、コンブレタスタチンのリン酸塩プロドラッグである。例示的なリン酸塩プロドラッグは、式II:
【0013】
【化2】

の化合物であって、ここで
は、HまたはOP(O)(OR)ORであり;かつ
OR、OR、ORおよびORは各々が独立して、OH、−OQHまたは−Oであり、ここでMは一価または二価の金属陽イオンであり、かつQは独立して:
a)少なくとも2つの窒素原子を含むアミノ酸であって、ここで窒素原子の1つがプロトンと一緒になって、四級アンモニウム陽イオンQHを形成するアミノ酸;または
b)少なくとも1つの窒素原子を含む有機アミンであって、プロトンと一緒になって、四級アンモニウム陽イオンQHを形成するアミン、である。
【0014】
式IIの一実施形態では、RはHであり、ORおよびORの1つがヒドロキシルであり、かつ他は−OQHであり、ここでQはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(「TRIS」または「トロメタミン」)である。
【0015】
式IIの別の実施形態では、RはHまたはOP(O)(OR)ORであり、かつR、R、RおよびRは各々独立して、脂肪族有機アミン、アルカリ金属、遷移金属、ヘテロアリーレン、ヘテロシクリル、ヌクレオシド、ヌクレオチド、アルカロイド、アミノ糖、アミノニトリル、または窒素系抗生物質である。
【0016】
式IIの別の実施形態では、R、R、RおよびRは各々独立して、Na、トロメタミン、ヒスチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、グルカミン、N−メチルグルカミン、エチレンジアミン、2−(4−イミダゾリル)−エチルアミン、コリンまたはヒドラバミンである。
【0017】
別の実施形態では、式IIは、式III:
【0018】
【化3】

の化合物で示され、ここで、
OR、OR、ORおよびORは各々独立して、OH、−OQHまたは−Oであり、ここでMは一価または二価の金属陽イオンであり、かつQは独立して:
a)少なくとも2つの窒素原子を含むアミノ酸であって、ここで窒素原子の1つがプロトンと一緒になって、四級アンモニウム陽イオンQHを形成するアミノ酸;または
b)少なくとも1つの窒素原子を含む有機アミンであって、プロトンと一緒になって、四級アンモニウム陽イオンQHを形成するアミン、
である。
【0019】
式IIIの一実施形態では、OR、OR、ORおよびORのうちの少なくとも1つがヒドロキシルであり、OR、OR、ORおよびORのうちの少なくとも1つが−OQHであり、ここでQはトロメタミンである。
【0020】
1つの例示的な実施形態では、コンブレタスタチン誘導体は、CA4のアミンまたはセリンアミド誘導体、例えば、AVE8032(Aventis Pharma,France)である。別の例示的な実施形態では、コンブレタスタチン誘導体はZD6126(AstraZeneca,UK)である。
【0021】
本明細書に記載の方法での使用を意図する例示的なコンブレタスタチン塩は、その全体が参照によって本明細書に援用される、WO99/35150;WO01/81355;米国特許第6,670,344号;同第6,538,038号;同第5,569,786号;同第5,561,122号;同第5,409,953号;同第4,996,237号に詳細に考察される。
【0022】
本明細書に開示される方法で用いられ得る、他のコンブレタスタチン誘導体またはコンブレタスタチンのアナログは、Singhら、J.Org.Chem.,1989;Cushmanら、J.Med.Chem.,1991;Getahunら、J.Med.Chem.,1992;Andresら、Bioorg.Med.Chem.Lett.,1993;Mannila,ら、Liebigs.Ann.Chem.,1993;Shiraiら、Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994;Medardeら、Bioorg.Med.Chem.Lett.,1995;Woodら、Br.J.Cancer,1995;Bedfordら、Bioorg.Med.Chem.Lett.,1996;Dorrら、Invest.New Drugs,1996;Jonnalagaddaら、Bioorg.Med.Chem.Lett.,1996;Shiraiら、Heterocycles,1997;Aleksandrzak,ら、Anticancer Drugs,1998;Chenら、Biochem.Pharmacol.,1998;Duckiら、Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998;Hatanakaら、Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998;Medardeら、Eur.J.Med.Chem.,1998;Medinaら、Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998;Ohsumiら、Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998;Ohsumiら、J.Med.Chem.,1998;Pettit,ら、J.Med.Chem.,1998;Shiraiら、Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998;Banwellら、Aust.J.Chem.,1999;Medardeら、Bioorg.Med.Chem.Lett.,1999;Shanら、PNAS,1999;Combeauら、Mol.Pharmacol.,2000;Pettitら、J.Med.Chem.,2000;Pinneyら、Bioorg.Med.Chem.Lett.,2000;Flynnら、Bioorg.Med.Chem.Lett.,2001;Gwaltneyら、Bioorg.Med.Chem.Lett.,2001;Lawrenceら、2001;Nguyen−Haiら、Bioorg.Med.Chem.Lett.,2001;Xiaら、J.Med.Chem.,2001;Tahirら、Cancer Res.,2001;Wu−Wongら、Cancer Res.,2001;Janikら、Biooorg.Med.Chem.Lett.,2002;Kimら、Bioorg Med Chem Lett.,2002;Liら、Biooorg.Med.Chem.Lett.,2002;Namら、Bioorg.Med.Chem.Lett.,2002;Wangら、J.Med.Chem.2002;Hsiehら、Biooorg.Med.Chem.Lett.,2003;Hadimaniら、Bioorg.Med.Chem.Lett.,2003;Muら、J.Med.Chem,2003;Namら、Curr.Med.Chem.,2003;Pettitら、J.Med.Chem.,2003;Gaukrogerら、Org Biomol Chem.2003;Baillyら、J Med Chem.2003;Sunら、Anticancer Res.2004;Sunら、Bioorg Med Chem Lett.2004;Liouら、J Med Chem.2004;Perez−Meleroら、Bioorg Med Chem Lett.2004;Liouら、J Med Chem.2004;Mamaneら、Chemistry.2004;De Martiniら、J Med Chem.2004;Duckiら、J Med Chem.2005;Mayaら、J Med Chem.2005;Medardeら、J Enzyme Inhib Med Chem.2004;Simoniら、J Med Chem.2005;Sanchezら、Bioorg Med Chem.2005;Vongvanichら、Planta Med.2005;Tronら、J Med Chem.2005;Borrelら、Bioorg Med Chem.2005;Hsiehら、Curr Pharm Des.2005;Lawrenceら、Curr Pharm Des.2005;Hadfieldら、Eur J Med Chem.2005;Pettitら、J Med Chem.2005;Coggioloaら、Bioorg Med Chem Lett.2005;Kaffyら、Org Biomol Chem.2005;Mateoら、J Org Chem.2005;LeBlancら、Bioorg Med Chem.2005;Srivistavaら、Bioorg Med Chem.2005;Nguyenら、J Med Chem.2005;Kongら、Chem Biol.2005;Liら、Bioorg Med Chem Lett.2005;Pettitら、J Nat Prod.2005;Nicholsonら、Anticancer Drugs.2006;Monkら、Bioorg Med Chem.2006;De Martinoら、J Med Chem.2006;Peiferら、J Med Chem.2006;Kaffyら、Bioorg Med Chem.2006;Banwellら、Bioorg Med Chem.2006;Dupeyreら、Bioorg Med Chem.2006 Simoniら、J Med Chem.2006;Tronら、J Med Chem.2006;Romagnoliら、J Med Chem.2006;Panditら、Bioorg Med Chem.2006;Nakamuraら、ChemMedChem.2006;Piraliら、J Med Chem.2006;Bellina ら、Bioorg Med Chem Lett.2006;Huら、J Med Chem.2006;Changら、J Med Chem.2006;Thomsonら、Mol Cancer Ther.2006;Fortinら、Bioorg Med Chem Lett.,2007;Duanら、J Med Chem.,2007;Zhangら、J Med Chem.2007;Wuら、Bioorg Med Chem Lett.2007;Sunら、Bioorg Med Chem Lett.2007、WO07/140662;WO07/059118;WO06/138427;WO06/036743;WO05/007635、WO03/040077、WO03/035008、WO02/50007、WO02/14329;WO01/12579、WO01/09103、WO01/81288、WO01/84929、WO00/48590、WO00/73264、WO00/06556、WO00/35865、WO99/34788、WO99/48495、WO92/16486、米国特許第7,312,241号;同第7,223,747号;同第7,220,784号;同第7,135,502号;同第7,125,906号;同第7,105,695号;同第7,105,501号;同第7,087,627号;同第7,030,123号;同第7,078,552号;同第7,030,123号;同第7,018,987号;同第6,992,106号;同第6,919,324号;同第6,846,192,6,855,702号;同第6,849,656号;同第6,794,384号;同第6,787,672号;同第6,777,578号;同第6,723,858号;同第6,720,323号;同第6,433,012号;同第6,423,753号;同第6,201,001号;同第6,150,407号;同第6,169,104号;同第5,731,353号;同第5,674,906号;同第5,430,062号;同第5,525,632号;同第4,996,237号、および同第4,940,726号(その各々が、その全体が参照によって本明細書に援用される)に記載される。
【0023】
この組成物は、追加の活性剤を含むことができる。例示的な活性剤としては、鎮痛剤、麻酔剤または抗炎症剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、液体処方物中で用いられ得る活性剤は、抗炎症剤(例えば、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、フルオロメトロン、ベタメタゾンおよびトリアムシノロン)、ACE阻害剤、内因性サイトカイン、基底膜に影響する因子、内皮細胞の増殖に影響する因子、アドレナリン作動薬またはアドレナリン遮断薬、コリン作動薬またはコリン遮断薬、アルドース還元酵素インヒビター、抗生物質(例えば、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、セファレキシン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、リファンピシン、シプロフロキサシン、アミノシド類(aminosides)、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、キノロン、セフタジジム、バンコマイシン、イミペネム、スルホンアミド類、スルファジアジン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、ニトロフラゾン、およびプロピオン酸ナトリウム)、抗真菌薬(antifungal)(例えば、アンホテリシンB、フルコナゾール、ケトコナゾールおよびミコナゾール)、抗アレルギー薬(例えば、クロモリンナトリウム、アンタゾリン、メタピリリン、クロルフェニラミン、セチリジン、ピリルアミンおよびプロフェンピリダミン)、降圧剤、昇圧剤、抗原虫薬、抗ウイルス剤、抗真菌剤(antifungal agent)、抗感染症薬、抗腫瘍剤、代謝拮抗剤および血管新生阻害剤である。
【0024】
いくつかの実施形態では、追加の活性剤と組み合わせて用いられるコンブレタスタチンは、その追加の活性剤と同時に(すなわち、同時投与)、連続して(すなわち連続投与)、または独立して投与されてもよい。いくつかの実施形態では、コンブレタスタチンおよび追加の活性剤は、同じ投与経路によって投与される。いくつかの実施形態では、コンブレタスタチンおよび追加の活性剤は両方とも、医療の専門家への1回の来診の間に投与される。いくつかの実施形態では、コンブレタスタチンおよび追加の活性剤は両方とも、同じ医師への来診の間に投与される。いくつかの実施形態では、コンブレタスタチンおよび追加の活性剤は、医師への2回以上の来診の間に投与される。
【0025】
いくつかの実施形態では、コンブレタスタチンおよび追加の活性剤は、同じ投与経路によって投与される。いくつかの実施形態では、コンブレタスタチンおよび追加の活性剤は異なる投与経路によって投与される。
【0026】
いくつかの実施形態では、コンブレタスタチンの投与および追加の活性剤の投与の組み合わせは、単独療法として用いる場合の量効果に比較して、一方または両方の薬剤の投与用量(例えば、コンブレタスタチンの投与容積、用量濃度、または量)を低減する。いくつかの実施形態では、コンブレタスタチンおよび追加の活性剤の組み合わせは、投与の間の時間を増大するかもしくは延長するか、および/または一方もしくは両方の剤の投与の頻度を低減する。
【0027】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される処方物および薬学的処方物は、PCOを予防するために用いられる(ここでは限定するものではないがヒト被験体を含む被験体がPCOを発症するリスクが高まっている)。PCOを発症するリスクが高まっている被験体とは、特定の被験体でPCOが発症する可能性が高いという1つ以上の指標を有する被験体である。いくつかの実施形態では、処方物または薬学的処方物は、CA4Pのようなコンブレタスタチン化合物を含み、かつPCOを処置または予防するために投与される。
【0028】
本明細書に記載される処方物、液体処方物および方法は被験体におけるPCOを処置、予防または阻害するために用いられ得る。後嚢混濁(PCO)とは、後嚢細胞の過形成および遊走によって特徴付けられる障害であって、眼内レンズ(IOL)配置のために白内障を除去したとき、後ろに残る水晶体後嚢の肥厚、不透明化および混濁を呈する。これは、視力を損なう場合がある。現在、PCOの発症を予防する方法も薬物も存在しない。PCOの現在の標準的な処置は、Nd−YAGレーザー(ネオジム−イットリウム−アルミニウム−ガーネット)を使用して、不透明化した水晶体後嚢の中央部分を破断して除去することである。極めて厚い不透明化した水晶体後嚢では、不透明を除去するために手技的な外科的手順が必要である場合がある。
【0029】
本明細書において用いる場合、コンブレタスタチンの投与によってPCOを「処置する、処理する(treat)」とは、コンブレタスタチンの投与後、PCOの少なくとも1つの検出可能な身体的特徴または症状の進行が遅くなるか、停止するかまたは逆転されることを意味する。PCOの例示的な検出可能な身体的な特徴または症状としては限定するものではないが、後嚢細胞の過形成および視力の喪失が挙げられる。
【0030】
本明細書において用いる場合、コンブレタスタチンの投与によってPCOを「阻害する(inhibit)」とは、コンブレタスタチンの投与後、PCOの少なくとも1つの検出可能な身体的特徴または症状の進行が遅くなるか、または停止されることを意味する。
【0031】
本明細書において用いる場合、コンブレタスタチンの投与によってPCOを「予防する(prevent)」とは、コンブレタスタチンの投与後、PCOの検出可能な身体的特徴または症状が発症しないことを意味する。
【0032】
素因があるかまたは予防の必要な、限定するものではないがヒト被験体を含む被験体は、本明細書の教示を考慮してこの分野の確立された方法および基準によって当業者によって特定され得る。当業者はまた、本明細書の教示を考慮してPCOまたはPCOに対する素因を特定するためのこの分野における確立された基準に基づいて阻害または処置の必要な個体を容易に診断し得る。
【0033】
本明細書において用いる場合、「被験体」とは一般には、本明細書に記載されるコンブレタスタチン類の投与から利益を得る場合がある任意の動物である。いくつかの実施形態では、コンブレタスタチン類は哺乳動物被験体に投与される。いくつかの実施形態では、コンブレタスタチン類は、ヒト被験体に投与される。
【0034】
(B.投与)
本明細書に記載される組成物、方法および液体処方物は、限定するものではないがヒト被験体を含む被験体に対して1つ以上のコンブレタスタチン類を送達する。
【0035】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物、方法および液体処方物は、ヒト被験体の水性媒体に対して1つ以上のコンブレタスタチン類を送達する。
【0036】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物、方法および液体処方物は、水晶体嚢に対して直接を含めて、被験体の眼に対して1つ以上のコンブレタスタチン類を、PCOを処置、予防または阻害するために有効な量でかつ期間で送達する。
【0037】
非限定的な例として、本明細書に記載される組成物、液体処方物および方法は、硝子体、眼房水、強膜、結膜、強膜と結膜との間、網膜脈絡膜組織、黄斑、または被験体の眼の中または近位の他の領域に対して、これらの組織に対する直接投与によってまたは眼の周囲の経路によって、PCOを処置、予防または阻害するために有効な量でかつ期間にわたって投与され得る。有効な量および期間は、PCOの各々の処置、予防または阻害について、ならびに送達の各々の異なる部位について異なってもよい。
【0038】
硝子体内投与は、いくつかの他の種類の眼科手順よりも侵襲的である。有害な影響の潜在的な危険性のせいで、硝子体内投与は、比較的健常な眼の処置には最適ではない場合がある。対照的に、眼の周囲の投与、例えば、結膜下投与は、硝子体内投与よりも侵襲性がかなり低い。コンブレタスタチンが眼の周囲の経路によって送達される場合、硝子体投与を用いて処置できるよりも健康な眼の患者を処置することは可能であろう。いくつかの実施形態では、結膜下注射を用いて眼の疾患または状態の発生を予防または遅延し、ここでは被験体の眼は、20/40以上という視力を有する。
【0039】
「結膜下(subconjunctival)」の配置または注射とは本明細書において用いる場合、強膜と結膜との間の配置または注射をいう。結膜下とは時に、本明細書において「sub−conj(結膜下)」投与と呼ばれる。
【0040】
いくつかの実施形態では、コンブレタスタチンは、眼内レンズの外科的移植の前に、またはそれと同時に、またはその後に投与され得る。いくつかの実施形態では、コンブレタスタチンは、手術の間に投与される。関連の実施形態では、コンブレタスタチンは、手術の間に局所的に投与され、続いて同じまたは異なる量の1つ以上の引き続く用量が、全身的にまたは眼に局所的に投与される。特定の実施形態では、眼内レンズは、挿入の前にコンブレタスタチンに浸される。コンブレタスタチンは、一回投与されても、または複数回の用量で投与されてもよい。
【0041】
液体処方物を投与するために用いられ得る投与経路としては、限定するものではないが、被験体における水性媒体への、例えば注射による、液体処方物の配置が挙げられ、これには限定するものではないが、ヒト被験体を含む被験体の眼への、限定するものではないが注射によるものを含む配置が挙げられるがこれらに限定されない。液体処方物は、全身的に投与されてもよく、これには限定するものではないが、以下の送達経路が挙げられる:直腸、膣、注入、筋肉内、腹腔内、動脈内、くも膜下、気管支内、槽内、皮膚、皮下、皮内、経皮、静脈内、頚内、腹内、頭蓋内、眼内、肺内、胸腔内、気管内、鼻腔内、口腔内(buccal)、舌下、経口、非経口または噴霧もしくはエアロゾル化(エアロゾル噴射剤を用いる)。
【0042】
コンブレタスタチンを含む組成物および液体処方物は、種々の手順を用いて眼に直接投与され得、この種々の手順としては、限定するものではないが、(1)注射器および皮下注射針を用いた注射によってコンブレタスタチンが投与される手順、(2)コンブレタスタチンを注射するために特別に設計されたデバイスを用いる手順、(3)コンブレタスタチンを注射する前に、コンブレタスタチンまたはコンブレタスタチン組成物の貯蔵容器としての機能を果たすポケットを強膜内に外科的に形成する手順、が挙げられる。例えば、ある投与手順においては、外科医が眼の強膜内にポケットを形成し、続いてこのポケット内に、コンブレタスタチンを含む溶液または液体処方物を注射する。
【0043】
他の投与手順としては、限定するものではないが、(1)コンブレタスタチンが眼の一部に直接配置されるように特別に設計された湾曲したカニューレを通じて、コンブレタスタチンの処方物が注射される手順、(2)コンブレタスタチンの圧縮型が眼の一部に直接配置される手順、(3)特別に設計された注射器または挿入器によってコンブレタスタチンを強膜内に挿入する手順、(4)コンブレタスタチンを含む液体処方物がポリマー内に組み込まれる手順、(5)外科医が小さな結膜切開を作成して、これを通じて縫合糸および任意のコンブレタスタチン送達構造物が通過し、強膜に隣接して構造物を固定する手順、(6)眼の硝子体内、あるいは記載されている任意の他の部位内に直接注射するために注射針が用いられる手順、が挙げられる。
【0044】
本明細書に記載されている液体処方物は、例えば、エリキシル剤として、注射によって、直接用いられてもよく、局所的投与のために、限定するものではないが、点眼液を介して投与されてもよく、またはミニタブレット(minitablet)中で投与されてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている液体処方物は、局所的投与によって投与されてもよい。いくつかの実施形態では、局所的投与は、眼の局所的投与である。いくつかの実施形態では、眼の局所的投与としては、限定するものではないが、点眼液、コンタクト(contact)、涙点プラグ(punctual plug)、または他の眼科用デバイスを介した投与が挙げられる。いくつかの実施形態では、液体処方物は局所的に適用され、例としては、一日におよそ1、2、3、4または5回のいずれかで、眼に局所的に用いられる。いくつかの実施形態では、液体処方物は局所的に、例としては眼に局所的に、およそ1、2、3、4、5、6、7、10、14、21または28日ごとにおよそ1回以下適用される。いくつかの実施形態では、液体処方物は局所的に、例としては眼に対して局所的に、ほぼ1日に1回以下適用される。いくつかの実施形態では、液体処方物は局所的に、例としては眼に対して局所的に、およそ5日ごとに1回以下適用される。いくつかの実施形態では、液体処方物は局所的に、例としては眼に対して局所的に、およそ10日ごとに1回以下適用される。
【0046】
特定の実施では、コンブレタスタチンは好ましくは、非経口的に、例えば、静脈内、筋肉内、静脈内、皮下または腹腔内に投与される。キャリアまたは賦形剤または賦形剤の混合物は、例えば、種々の極性もしくは非極性の溶媒、その適切な混合物、または油を含む溶媒または分散性媒体であってもよい。本明細書において用いる場合、「キャリア」または「賦形剤」とは、薬学的に許容され得るキャリアまたは賦形剤を意味し、これには、任意のかつ全ての溶媒、分散剤または媒体、コーティング(単数または複数)、抗菌剤、等張性/低張性/高張性剤、吸収変性(absorption−modifying)剤などが挙げられる。薬学的に活性な物質のためのこのような物質および剤の使用は、当該分野で周知である。任意の従来の媒体または剤が、活性成分と不適合である場合を除いて、治療組成物における使用が意図される。さらに、他のまたは補助的な活性成分をまた、最終の組成物中に組み込んでもよい。
【0047】
コンブレタスタチンの溶液は、適切な希釈剤、例えば、水、エタノール、グリセロール、液体ポリエチレングリコール(類)、種々の油類、および/またはそれらの混合物、ならびに当業者に公知のその他のものの中で調製され得る。
【0048】
注射用途に適切な薬学的形態としては、滅菌溶液、分散物、エマルジョンおよび無菌粉末が挙げられる。最終の形態は、製造および貯蔵の条件下で安定でなければならない。さらに、最終の薬学的形態は、混入を防御されなければならず、従って細菌または真菌のような微生物の増殖を阻害できなければならない。単独の静脈内または腹腔内用量が投与されてもよい。あるいは、緩徐な長期注入または多数回の短期の毎日の注入が利用されてもよく、これは代表的には1〜8日続く。隔日または数日間ごとに1回の投薬を利用してもよい。
【0049】
無菌の注射可能な溶液は、1つ以上の適切な溶媒中に必要な量で化合物を組み込むことによって調製され、ここに当業者に公知である他の成分が必要に応じて追加されてもよい。無菌の注射用溶液は、必要に応じて種々の他の成分とともに、適切な溶媒中に必要な量でコンブレタスタチンを組み込むことによって調製される。滅菌手順、例えば、濾過を続いて行う。代表的には、分散物は、化合物を無菌のビヒクル(これはまた、分散媒体および上に示すような必要な他の成分も含む)中に組み込むことによって作製される。無菌粉末の場合、好ましい方法としては、任意の必要な成分が添加される真空乾燥または凍結乾燥が挙げられる。
【0050】
注記するように、全ての場合、最終形態は、無菌でなければならず、かつ中空針のような注射デバイスを容易に通過可能でなければならない。適切な粘度は、溶媒または賦形剤の適切な選択によって達成されかつ維持され得る。さらに、分子または粒子状コーティング、例えば、レシチンの使用、分散物中の粒子サイズの適切な選択、またはサーファクタントの特性を有する材料の使用も利用され得る。
【0051】
微生物の増殖の予防または阻害は、1つ以上の抗菌剤、例えば、クロロブタノール、アスコルビン酸、パラベン、チメロサールなどの添加を通じて達成され得る。糖または塩などの張度を変更する剤を含むことも好適である場合がある。
【0052】
ヒトを含む哺乳動物では、有効量は、標準的な方法によって決定されて、体表面積に基づいて投与され得る。投薬量の相互関係は、動物の種々の大きさおよび種によって変化し、ヒトについては(体表面積のmg/mに基づく)、E.J.Freireichら、Cancer Chemother.Rep.,50(4):219(1966)に記載される。体表面積は、個体の身長および体重から近似的に決定され得る(例えば、Scientific Tables,Geigy Pharmaceuticals,Ardsley,N.Y.pp.537−538(1970)を参照のこと)。適切な用量の範囲は、体表面積1mあたり1〜1000mg当量のコンブレタスタチン、例えば、50〜500mg/mである。
【0053】
(C.組成物および処方物)
本明細書に記載される処方物は、コンブレタスタチンを含み、かつ一般には、任意の液体または半液体の処方物であってもよく、これには限定するものではないが、溶液、懸濁液、エマルジョンおよびゲルが挙げられる。
【0054】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物の総容積は、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して局所的に投与され、これは、約1000μl未満、約900μl未満、約800μl未満、約700μl未満、約600μl未満、約500μl未満、約400μl未満、約300μl未満、約200μl未満、約150μl未満、約100μl未満、約90μl未満、約80μl未満、約70μl未満、約60μl未満、約50μl未満、約40μl未満、約30μl未満、約20μl未満、約10μl未満、約5μl未満、約3μl未満、または約1μl未満である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して局所的に投与され、これは、約200μl未満である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して局所的に投与され、これは、約100μl未満である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して局所的に投与され、これは、約0.1μl〜約200μl、約50μl〜約200μl、約200μl〜約300μl、約300μl〜約400μl、約400μl〜約500μl、約600μl〜約700μl、約700μl〜約800μl、約800μl〜約900μl、約900μl〜約1000μl、約50μl〜約150μl、約0.1μl〜約100μl、約0.1μl〜約50μl、約1μl〜約40μl、約1μl〜約30μl、約1μl〜約20μl、約1μl〜約10μl、または約1μl〜約5μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物の総容積が被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して局所的に投与され、これは、約10μl〜約200μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物の総容積が被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して局所的に投与され、これは、約0.1μl〜約200μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物の総容積が被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して局所的に投与され、これは、約40μl〜約160μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物の総容積が被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して局所的に投与され、これは、約40μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物の総容積が被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して局所的に投与され、これは、約80μlである。
【0055】
いくつかの実施形態では、約5mg未満というコンブレタスタチンの総量が局所的に投与される。いくつかの実施形態では、約5.0mg未満というコンブレタスタチンの総量が局所的に投与される。いくつかの実施形態では、約4.5mg未満というコンブレタスタチンの総量が局所的に投与される。いくつかの実施形態では、約4.0mg未満というコンブレタスタチンの総量が局所的に投与される。いくつかの実施形態では、約3.5mg未満というコンブレタスタチンの総量が局所的に投与される。いくつかの実施形態では、約3.0mg未満というコンブレタスタチンの総量が局所的に投与される。いくつかの実施形態では、約2.5mg未満というコンブレタスタチンの総量が局所的に投与される。いくつかの実施形態では、約2mg未満というコンブレタスタチンの総量が局所的に投与される。いくつかの実施形態では、約1.2mg未満というコンブレタスタチンの総量が局所的に投与される。いくつかの実施形態では、約1.0mg未満というコンブレタスタチンの総量が局所的に投与される。いくつかの実施形態では、約0.8mg未満というコンブレタスタチンの総量が局所的に投与される。いくつかの実施形態では、約0.6mg未満というコンブレタスタチンの総量が局所的に投与される。いくつかの実施形態では、約0.4mg未満というコンブレタスタチンの総量が局所的に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるある量のコンブレタスタチンを含む処方物のある容積が投与される。いくつかの実施形態では、局所的に投与されるコンブレタスタチンの総量は、約20μg〜約4000μg、約10μg〜約2000μg、約10μg〜1750μg、約1500μg〜1000μg、または約10μg〜1000μgのいずれかである。いくつかの実施形態では、局所的に投与されるコンブレタスタチンの総量は、約1660μgである。いくつかの実施形態では、局所的に投与されるコンブレタスタチンの総量は、約880μgである。いくつかの実施形態では、局所的に投与されるコンブレタスタチンの総量は、40μgである。いくつかの実施形態では、局所的に投与されるコンブレタスタチンの総量は、約28μgである。
【0056】
特定の容積の液体処方物が投与される場合、液体処方物を投与するために用いられ得る種々のデバイスの精度にはある程度の不正確性が存在することが理解される。特定の容積を記述する場合、これが標的の容積であることが理解される。しかし、特定のデバイス、例えば、インスリン注射器は、10%超まで不正確であり、時には、20%超まで不正確である。ハミルトン(Hamilton)HPLC型のシリンジは一般に、10%内まで正確であると思われ、10μl未満の容積を注射するのに推奨される。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物の容積は、被験体の眼、例としては限定するものではないが、ヒト被験体の眼の硝子体に対して投与され、これは、約500μl未満、約400μl未満、約300μl未満、約200μl未満、約100μl未満、約90μl未満、約80μl未満、約70μl未満、約60μl未満、約50μl未満、約40μl未満、約30μl未満、約20μl未満、約10μl未満、約5μl未満、約3μl未満、または約1μl未満である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、ウサギまたは被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼の硝子体に対して投与され、これは約20μl未満である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が硝子体に対して投与され、これは約10μl未満である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼の硝子体に対して投与され、これは、約0.1μl〜約200μl、約50μl〜約200μl、約50μl〜約150μl、約0.1μl〜約100μl、約0.1μl〜約50μl、約1μl〜約40μl、約1μl〜約30μl、約1μl〜約20μl、約1μl〜約10μl、または約1μl〜約5μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼の硝子体に対して投与され、これは、約1μl〜約10μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼の硝子体に対して投与され、これは、約1μl〜約5μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼の硝子体に対して投与され、これは、約0.1μl〜約200μlである。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼の硝子体、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼の硝子体に対して投与され、これは、約2μl、約4μl、約5μl、約6μl、約8μl、約10μl、約12μl、約14μl、約16μl、約18μl、または約20μlのいずれかである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼の硝子体、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼の硝子体に対して投与され、これは、約2μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼の硝子体、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼の硝子体に対して投与され、これは、約5μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼の硝子体に対して投与され、これは約8μlである。
【0059】
いくつかの実施形態では、硝子体内に投与されるコンブレタスタチンの総量は、約20μg〜約750μg、約20μg〜約500μg、または約30μg〜約200μgのいずれかである。いくつかの実施形態では、硝子体内に投与されるコンブレタスタチンの総量は、約44μg、約110μg、約132μg、約133.5μg、約176μg、約264μg、約352μg、約440μgまたは約976μgのいずれかである。いくつかの実施形態では、硝子体内に投与されるコンブレタスタチンの総量は、約44μgである。いくつかの実施形態では、硝子体内に投与されるコンブレタスタチンの総量は、約110μgである。いくつかの実施形態では、硝子体内に投与されるコンブレタスタチンの総量は、約967μgである。いくつかの実施形態では、44μgの量のコンブレタスタチンを含む液体処方物が、本明細書に記載される液体処方物の約2μlを投与することによってヒト被験体に対して硝子体内に投与される。いくつかの実施形態では、110μgの量のコンブレタスタチンを含む液体処方物が、本明細書に記載される液体処方物の約5μlを投与することによってヒト被験体に対して硝子体内に投与される。いくつかの実施形態では、176μgの量のコンブレタスタチンを含む液体処方物が、本明細書に記載される液体処方物の約8μlを投与することによってヒト被験体に対して硝子体内に投与される。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物の総容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して結膜下に投与され、これは、約1000μl未満、約900μl未満、約800μl未満、約700μl未満、約600μl未満、約500μl未満、約400μl未満、約300μl未満、約200μl未満、約100μl未満、約90μl未満、約80μl未満、約70μl未満、約60μl未満、約50μl未満、約40μl未満、約30μl未満、約20μl未満、約10μl未満、約5μl未満、約3μl未満、または約1μl未満である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して結膜下に投与され、これは、約20μl未満である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して結膜下に投与され、これは、約10μl未満である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して結膜下に投与され、これは、約0.11〜約200μl、約50μl〜約200μl、約200μl〜約300μl、約300μl〜約400μl、約400μl〜約500μl、約600μl〜約700μl、約700μl〜約800μl、約800μl〜約900μl、約900μl〜約1000μl、約50μl〜約150μl、約0.1μl〜約100μl、約0.1μl〜約50μl、約1μl〜約40μl、約1μl〜約30μl、約1μl〜約20μl、約1μl〜約10μl、または約1μl〜約5μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して結膜下に投与され、これは、約1μl〜約10μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して結膜下に投与され、これは、約1μl〜約5μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して結膜下に投与され、これは、約1μl〜約5μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して結膜下に投与され、これは、約0.1μl〜約200μlである。
【0061】
いくつかの実施形態では、液体処方物の総容積が被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して結膜下に投与され、これは、約150μl未満である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して結膜下に投与され、これは、約10μl、約20μl、約30μl、約40μl、約50μl、約60μl、約70μl、約80μl、約90μl、または約100μlのいずれかである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して結膜下に投与され、これは、約10μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して結膜下に投与され、これは、約20μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して結膜下に投与され、これは、約30μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して結膜下に投与され、これは、40μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対して結膜下に投与され、これは、約10μl〜約50μl、約15μl〜約45μl、約20μl〜約40μl、または約25μl〜約35μlのいずれかである。
【0062】
いくつかの実施形態では、結膜下に投与されるコンブレタスタチンの総量は、約50μg〜約3mg、約150μg〜約750μg、約300μg〜約1000μg、約300μg〜約950μg、約400μg〜約900μg、約450μg〜約850μg、約500μg〜約800μg、約550μg〜約750μg、または約600μg〜約700μgのいずれかである。いくつかの実施形態では、結膜下に投与されるコンブレタスタチンの総量は、約220μg、約440μg、約587μg、約630μg、約660μg、約880μg、約1320μg、約1760μg、または約2200μgのいずれかである。いくつかの実施形態では、結膜下に投与されるコンブレタスタチンの総量は、約220μgである。いくつかの実施形態では、結膜下に投与されるコンブレタスタチンの総量は、約440μgである。いくつかの実施形態では、結膜下に投与されるコンブレタスタチンの総量は、約660μgである。いくつかの実施形態では、結膜下に投与されるコンブレタスタチンの総量は、約880μgである。いくつかの実施形態では、220μgの量のコンブレタスタチンを含む液体処方物が、本明細書に記載される液体処方物の約10μlを投与することによってヒト被験体に対して結膜下に投与される。いくつかの実施形態では、440μgの量のコンブレタスタチンを含む液体処方物が、本明細書に記載される液体処方物の約20μlを投与することによってヒト被験体に対して結膜下に投与される。いくつかの実施形態では、660μgの量のコンブレタスタチンを含む液体処方物が、本明細書に記載される液体処方物の約30μlを投与することによってヒト被験体に対して結膜下に投与される。いくつかの実施形態では、880μgの量のコンブレタスタチンを含む液体処方物が、本明細書に記載される液体処方物の約40μlを投与することによってヒト被験体に対して結膜下に投与される。
【0063】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物の総容積が被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対してテノン嚢下に投与され、これは、約1000μl未満、約900μl未満、約800μl未満、約700μl未満、約600μl未満、約500μl未満、約400μl未満、約300μl未満、約200μl未満、約150μl未満、約100μl未満、約90μl未満、約80μl未満、約70μl未満、約60μl未満、約50μl未満、約40μl未満、約30μl未満、約20μl未満、約10μl未満、約5μl未満、約3μl未満、または約1μl未満である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対してテノン嚢下に投与され、これは、約200μl未満である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対してテノン嚢下に投与され、これは、約100μl未満である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対してテノン嚢下に投与され、これは、約0.1μl〜約200μl、約50μl〜約200μl、約200μl〜約300μl、約300μl〜約400μl、約400μl〜約500μl、約600μl〜約700μl、約700μl〜約800μl、約800μl〜約900μl、約900μl〜約1000μl、約50μl〜約150μl、約0.1μl〜約100μl、約0.1μl〜約50μl、約1μl〜約40μl、約1μl〜約30μl、約1μl〜約20μl、約1μl〜約10μl、または約1μl〜約5μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対してテノン嚢下に投与され、これは、約10μl〜約200μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対してテノン嚢下に投与され、これは、約0.1μl〜約200μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対してテノン嚢下に投与され、これは、約50μl〜約150μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対してテノン嚢下に投与され、これは、約30μlである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物のある容積が、被験体の眼、例としては、限定するものではないが、ヒト被験体の眼に対してテノン嚢下に投与され、これは、約120μlである。
【0064】
いくつかの実施形態では、約5mg未満というコンブレタスタチンの総量がテノン嚢下に投与される。いくつかの実施形態では、約5.0mg未満というコンブレタスタチンの総量がテノン嚢下に投与される。いくつかの実施形態では、約4.5mg未満というコンブレタスタチンの総量がテノン嚢下に投与される。いくつかの実施形態では、約4.0mg未満というコンブレタスタチンの総量がテノン嚢下に投与される。いくつかの実施形態では、約3.5mg未満というコンブレタスタチンの総量がテノン嚢下に投与される。いくつかの実施形態では、約3.0mg未満というコンブレタスタチンの総量がテノン嚢下に投与される。いくつかの実施形態では、約2.5mg未満というコンブレタスタチンの総量がテノン嚢下に投与される。いくつかの実施形態では、約2mg未満というコンブレタスタチンの総量がテノン嚢下に投与される。いくつかの実施形態では、約1.2mg未満というコンブレタスタチンの総量がテノン嚢下に投与される。いくつかの実施形態では、約1.0mg未満というコンブレタスタチンの総量がテノン嚢下に投与される。いくつかの実施形態では、約0.8mg未満というコンブレタスタチンの総量がテノン嚢下に投与される。いくつかの実施形態では、約0.6mg未満というコンブレタスタチンの総量がテノン嚢下に投与される。いくつかの実施形態では、約0.4mg未満というコンブレタスタチンの総量がテノン嚢下に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される量のコンブレタスタチンを含む処方物の容積がテノン嚢下に投与される。
【0065】
いくつかの実施形態では、コンブレタスタチンとは、コンブレタスタチンA−4またはそのアナログ、プロドラッグもしくは誘導体である。いくつかの実施では、コンブレタスタチンとは、コンブレタスタチンA−4リン酸塩である。
【0066】
「コンブレタスタチンの総量」とは本明細書において用いる場合、患者および/または医師および/または他の医療専門家によって単回投与セッション(session)の間に投与されるコンブレタスタチンの総量を指す。いくつかの実施形態では、単回投与セッションは、コンブレタスタチンの単回投与を包含する。いくつかの実施形態では、1回の投与セッションは、コンブレタスタチンの2回以上の投与を包含する。いくつかの実施形態では、1回の投与セッションは、単一の投与経路を包含する。いくつかの実施形態では、1回の投与セッションは、複数の投与経路を包含する。従って、いくつかの実施形態では、コンブレタスタチンの総量のうちの一部は、単回の投与セッションの間に別々に投与される。このような実施形態では、別々に投与される総量のうちの一部は、同じおよび/または異なる投与経路によって投与されてもよい。さらにいくつかの実施形態では、別々に投与される総量のうちの一部は、同じおよび/または異なる処方物で投与されてもよい。
【0067】
「液体処方物の総容積」とは、本明細書において用いる場合、患者および/または医師および/または他の医療専門家によって、単回投与セッションの間に投与される液体処方物の総容積を指す。いくつかの実施形態では、単回投与セッションは、液体処方物の単回の投与を包含する。いくつかの実施形態では、1回の投与セッションは、液体処方物の2回以上の投与を包含する。いくつかの実施形態では、1回の投与セッションは、単一の投与経路を包含する。いくつかの実施形態では、1回の投与セッションは、複数の異なる投与経路を包含する。従って、いくつかの実施形態では、総容積の一部が単回投与セッションの間に別々に投与される。このような実施形態では、別々に投与される総容積のうちの一部は、同じおよび/または異なる投与経路で投与されてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、コンブレタスタチンは複数の眼の位置に投与される。いくつかの実施形態では、コンブレタスタチンは硝子体内におよび結膜下に投与される。いくつかの実施形態では、コンブレタスタチンは最初に、硝子体内に投与され、そして少なくとも1回の引き続く投与が結膜下に投与される。いくつかの実施形態では、コンブレタスタチンは、最初に結膜下に投与され、そして少なくとも1回の引き続く投与が、硝子体内に投与される。いくつかの実施形態では、コンブレタスタチンは最初に、硝子体内に、結膜下に、またはテノン嚢下に投与され、そして少なくとも1回の(at least on)引き続く投与は局所的である。いくつかの実施形態では、同じ(すなわち、同一の)コンブレタスタチンの液体処方物が最初およびその後の投与のために用いられる。いくつかの実施形態では、異なる液体処方物が、最初およびその後の投与のために用いられる。いくつかの実施形態では、複数の眼の位置に対する投与が医師への1回の来診の間に行われる。いくつかの実施形態では、複数の眼の位置に対する投与が医師への別々の来診の間に行われる。
【0069】
本明細書に記載される液体処方物のいくつかの実施形態では、コンブレタスタチンは、液体媒体中のCA4Pの溶液または懸濁液である。本明細書に記載される液体処方物は、可溶化剤成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、可溶化剤成分とは、サーファクタントである。溶媒であってもよい成分と可溶化剤との間にはある程度の重複があり、従って、同じ成分はいくつかの系では、溶媒または可溶化剤のいずれかとして用いられ得ることに注意のこと。コンブレタスタチンおよび溶媒または可溶化剤またはサーファクタントのいずれかとみなされ得る成分を含む液体処方物は、溶媒の役割を果たす場合、溶媒とみなされ;その成分が溶媒の役割を果たしていない場合、その成分は、可溶化剤またはサーファクタントとみなされてもよい。
【0070】
一般には、任意の可溶化剤または可溶化剤の組み合わせは、本明細書に記載される液体処方物中で用いられ得る。いくつかの実施形態では、可溶化剤はサーファクタントまたはサーファクタントの組み合わせである。多くのサーファクタントが可能である。種々の種類のサーファクタントの組み合わせを含む、サーファクタントの組み合わせもまた用いられてもよい。例えば、非イオン性、陰イオン性(すなわち、石鹸、スルホン酸塩)、陽イオン性(すなわち、CTAB)、両性イオン性、ポリマーまたは両性であるサーファクタントを用いてもよい。
【0071】
用いられ得るサーファクタントは、目的のコンブレタスタチンと推定の溶媒および推定のサーファクタントとを混合すること、ならびに媒体に対する曝露後の処方物の特徴を観察することによって決定され得る。サーファクタントの例としては限定するものではないが、脂肪酸のエステルもしくはアミドもしくはエーテルのアナログ、またはそれらの親水性誘導体;モノエステルもしくはジエステル、またはそれらの親水性誘導体;あるいはそれらの混合物;モノグリセリドもしくはジグリセリド、またはそれらの親水性誘導体;あるいはそれらの混合物;富化されたモノ−もしくは/およびジグリセリドを有する混合物、またはそれらの親水性誘導体;親水性部分で部分的に誘導体化されたサーファクタント;モノエステルもしくはジエステルもしくは他のアルコールの複数−エステル、ポリオール、糖類もしくはオリゴ糖類もしくは多糖類、オキシアルキレンオリゴマーもしくはポリマーもしくはブロックコポリマー、またはそれらの親水性誘導体、あるいはそれらのアミドアナログ;アミン、ポリアミン、ポリイミン、アミノアルコール、アミノ糖、ヒドロキシアルキルアミン、ヒドロキシポリイミン、ペプチド、ポリペプチドの脂肪酸誘導体、またはそれらのエーテルアナログが挙げられる。
【0072】
液体処方物は必要に応じてさらに、安定化剤、賦形剤、ゲル化剤、アジュバント、抗酸化剤、および/または本明細書に記載されるような他の成分を含んでもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、液体処方物中のコンブレタスタチン以外の全ての成分は室温で液体である。
【0074】
いくつかの実施形態では、液体処方物は、放出改変剤(release modifying agent)を含む。いくつかの実施形態では、この放出改変剤は、フィルム形成ポリマー成分である。このフィルム形成ポリマー成分は、1つ以上のフィルム形成ポリマーを含んでもよい。任意のフィルム形成ポリマーを賦形剤成分中で用いてもよい。いくつかの実施形態では、フィルム形成ポリマー成分は、水不溶性のフィルム形成ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、放出改変剤成分は、アクリル系ポリマー、例としては、限定するものではないが、ポリメタクリレート、例としては、限定するものではないが、Eudragit RLを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、液体処方物中のコンブレタスタチンは、組成物の総重量のうち約0.01〜約30%;約0.05〜約15%;約0.1〜約10%;約1〜約5%;または約5〜約15%;約8〜約10%;約0.01〜約1%;約0.05〜約5%;約0.1〜約0.2%;約0.2〜約0.3%;約0.3〜約0.4%;約0.4〜約0.5%;約0.5〜約0.6%;約0.6〜約0.7%;約0.7〜約1%;約1〜約5%;約5〜約10%;約15〜約30%、約20〜約30%;または約25〜約30%を構成する。
【0076】
いくつかの実施形態では、液体処方物中のコンブレタスタチンは、組成物の総重量の約0.001〜約1.00%を構成する。いくつかの実施形態では、液体処方物中のコンブレタスタチンは、組成物の総重量のうち約0.07%、約0.08%、0.09%、0.17%、1.38%、1.47%、2%、4%、4.84%、または5%のいずれかを構成する。いくつかの実施形態では、コンブレタスタチンは、コンブレタスタチンの化合物であってもよい。いくつかの実施形態では、コンブレタスタチンは、CA4またはそのアナログ、プロドラッグもしくは誘導体であってもよい。いくつかの実施形態では、コンブレタスタチンはCA4Pである。
【0077】
液体処方物の溶媒成分は、例えば、組成物の総重量の、例えば、約0.01〜約99.9%;約0.1〜約99%;約25〜約55%;約30〜約50%;または約35〜約45%;約0.1〜約10%;約10〜約20%;約20〜約30%;約30〜約40%;約40〜約45%;約40〜約45%;約45〜約50%;約50〜約60%;約50〜約70%;約70〜約80%;約80〜約90%;または約90〜約100%を構成してもよい。
【0078】
液体処方物の可溶化剤成分は、例えば、組成物の総重量の約0.01〜約30%;約0.1〜約20%;約2.5〜約15%;約10〜約15%;または約5〜約10%;約8〜約12%;約10〜約20%;約20〜約30%を構成してもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物は、40%〜120%センチポイズの粘度を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物は、60%〜80%センチポイズの粘度を有する。
【0080】
本明細書に記載される液体処方物は、粘度改変剤(viscosity modifying agent)とともに投与されてもよいし、またはさらに粘度改変剤を含んでもよい。用いられ得る1つの例示的な粘度改変剤は、ヒアルロン酸である。ヒアルロン酸はグリコサミノグリカンである。これは、グルクロン酸およびグルコサミンの反復配列からなる。ヒアルロン酸は、身体の多くの組織および臓器に存在し、このような組織および臓器の粘性およびコンシステンシーに寄与する。ヒアルロン酸は、眼の硝子体を含めて、眼に存在し、コラーゲンとともにその粘性に寄与する。本明細書に記載される液体処方物はさらに、ヒアルロン酸を含んでもよいし、またはヒアルロン酸とともに投与されてもよい。粘度改変剤の他の非限定的な例としては、ポリアルキレンオキシド類、グリセロール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キトサン、デキストラン、硫酸デキストランおよびコラーゲンが挙げられる。これらの粘度改変剤は、化学的に修飾されてもよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物は、コンブレタスタチンおよび溶媒成分を含む。この溶媒成分は、単一の溶媒または溶媒の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、溶媒は、グリセリン、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロールホルマール、エトキシジグリコール、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリアセチン、ジアセチン、コーン油、クエン酸アセチルトリエチル(ATC)、乳酸エチル、ポリグリコール化カプリルグリセリド、γブチロラクトン、ジメチルイソソルビド、ベンジルアルコール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール(PG)、種々の分子量のポリエチレングリコール、例としては限定するものではないが、PEG300およびPEG400またはそれらの1つ以上の組み合わせである。
【0082】
いくつかの実施形態では、溶媒は、ポリエトキシ化ヒマシ油((例えば、Cremophor(PEG 35ヒマシ油))、カプリル酸のモノグリセリド類および/またはジグリセリド類(例えば、Capmul MCM(C8))、アルキルアリールポリエーテルアルコールの非イオン性ポリマー(例えば、チロキサポール(エトキシ化p−tert−オクチルフェノールホルムアルデヒドポリマー))、プロピレングリコール/エタノールキャリア中の50%ホスファチジルコリン(例えば、Phosal(登録商標)50PG)、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、マクロゴール15ヒドロキシステアレート、エタノール、またはそれらの1つ以上の混合物である。いくつかのバリエーションでは、溶媒は少なくとも2つの溶媒の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの溶媒は、第一の溶媒、例えば、ポリエトキシ化ヒマシ油((例えば、Cremophor(PEG 35ヒマシ油))、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、マクロゴール15ヒドロキシステアレート、またはアルキルアリールポリエーテルアルコールの非イオン性ポリマー(例えば、チロキサポール(エトキシ化p−tert−オクチルフェノールホルムアルデヒドポリマー))、および第二の溶媒、例えば、カプリル酸のモノグリセリド類および/またはジグリセリド類(例えば、Capmul MCM(C8))を含んでいる。いくつかの実施形態では、この溶媒はさらに、エタノールを含んでもよい。いくつかの実施形態では、この溶媒はさらに水を含んでもよい。いくつかの実施形態では、液体処方物は局所に投与される。いくつかの実施形態では、液体処方物は、点眼液として投与される。いくつかの実施形態では、液体処方物は、PCOを処置または予防するために用いられる。
【0083】
この溶媒成分は、例えば、組成物の総重量の約0.01〜約99.9%;約0.1〜約99%;約25〜約55%;約30〜約50%;または約35〜約45%;約0.1〜約10%;約10〜約20%;約20〜約30%;約30〜約40%;約40〜約45%;約40〜約45%;約45〜約50%;約50〜約60%;約50〜約70%;約70〜約80%;約80〜約90%;または約90〜約100%の水を含んでもよい。いくつかの実施形態では、水は、液体処方物の約15〜約30%(w/w)を構成する。いくつかの実施形態では、水は、液体処方物の約80〜約90%(w/w)を構成する。いくつかの実施形態では、水は少なくとも15%(w/w)を構成する。いくつかの実施形態では、水は液体処方物の少なくとも20%(w/w)を構成する。いくつかの実施形態では、水は、液体処方物の少なくとも25%(w/w)を構成する。いくつかの実施形態では、水は液体処方物の少なくとも約5%(w/w)を構成する。いくつかの実施形態では、水は液体処方物の約16%(w/w)を構成する。いくつかの実施形態では、水は約22%(w/w)を構成する。いくつかの実施形態では、水は液体処方物の約28%(w/w)を構成する。いくつかの実施形態では、水は液体処方物の約83%(w/w)を構成する。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物は、懸濁液であり、かつコンブレタスタチンおよび希釈剤成分を含む。いくつかの実施形態では、この希釈剤成分は、溶媒または可溶化剤として本明細書に列挙される1つ以上の成分を含む、ここでこの得られた混合物は懸濁液である。いくつかの実施形態では、液体処方物は部分的に溶液であり、かつ部分的に懸濁液である。
【0085】
本明細書に記載される組成物および処方物は、PCOを処置、予防または阻害するために有効な量のコンブレタスタチン類を送達するために用いられてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物および処方物は、1つ以上の血管破壊剤(vascular disrupting agent)および/または追加の活性剤を長期間にわたって送達する。
【0086】
「有効量」とは、本明細書に記載されるような投与のためのコンブレタスタチンの「治療上有効な量」とも本明細書で呼ばれ、これは限定するものではないがヒト被験体を含む被験体に投与された場合、所望の治療効果をもたらすコンブレタスタチンの量である。種々の治療効果を達成するには、異なる有効量のコンブレタスタチンを要する場合がある。例えば、疾患または状態を予防するために用いられるコンブレタスタチンの治療上有効な量は、その疾患または状態を処置または阻害するために用いられる治療上有効な量とは異なる場合がある。さらに、治療上有効な量は、取り組まれている疾患または状態において熟知されたものに対して周知であるとおり、被験体の年齢、体重および他の健康状態に依存し得る。さらに治療上有効な量は、投与経路に依存し得る。従って、治療上有効な量は、コンブレタスタチンが投与されるあらゆる被験体において同じでなくてもよい。
【0087】
PCOを処置、予防または阻害するためのコンブレタスタチンの有効量はまた、PCOまたはその症状を処置、予防または阻害するために有効な量のコンブレタスタチンとしても本明細書に言及される。
【0088】
コンブレタスタチンのレベルがPCOを処置、予防または阻害するために「治療上有効な量」であるか否かを決定するために、処方物はPCOの動物モデルに投与されてもよく、この効果が観察され得る。さらに、用量設定の(dose ranging)ヒト臨床治験を行って、コンブレタスタチンの治療上有効な量を決定してもよい。
【0089】
一般には、コンブレタスタチンは、必要な送達期間にわたって被験体に対してまたは被験体の眼に対してコンブレタスタチンの治療上有効な量を送達し得る、任意の組成物または処方物中に処方され得る。組成物としては液体処方物が挙げられる。
【0090】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の処方物は、1つ以上の単位剤形(unit dose form)で提供され、ここでこの単位剤形は、これが投与される疾患または状態を処置または予防するために有効である量の本明細書に記載される液体処方物を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される処方物は、1つ以上の単位剤形で提供され、ここでこの単位剤形は、PCOを処置または予防するために有効である量の本明細書に記載の液体コンブレタスタチン処方物を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、この単位剤形は、投与される濃度で調製される。いくつかの実施形態では、この単位剤形は、被験体に対する投与の前に希釈される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物は、被験体に対する投与の前に水性媒体中に希釈される。いくつかの実施形態では、この水性媒体は、等張性媒体である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される液体処方物は、被験体に対する投与の前に非水性媒体中に希釈される。
【0092】
さらなる局面では、本明細書に記載されるような1つ以上の単位剤形を含むキットが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、このキットは、1つ以上の疾患または状態を処置する使用のための1つ以上の包装および説明書を含む。いくつかの実施形態では、このキットは、処方物または薬学的処方物と物理的接触をしていない希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、このキットは、1つ以上の密閉容器中に、本明細書に記載の任意の1つ以上の単位剤形を含む。いくつかの実施形態では、このキットは、任意の1つ以上の無菌単位剤形を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、この単位剤形は、限定するものではないが、無菌の密閉容器などの容器中にある。いくつかの実施形態では、この容器は、バイアル、アンプルまたは低容積のアプリケーター、例としては限定するものではないが注射器である。いくつかの実施形態では、低容積のアプリケーターは、PCOの処置のために、限定するものではないがCA4Pなどのコンブレタスタチンを事前に充填される。本明細書に記載されるのは、限定するものではないがCA4Pなどのコンブレタスタチンを含む処方物を事前に充填されたプレフィルド(pre−filled)低容積アプリケーターである。いくつかの実施形態では、低容積アプリケーターは、限定するものではないがCA4Pなどのコンブレタスタチンを含む溶液を事前に充填され、かつ必要に応じてさらに、1つ以上の追加の成分(限定するものではないが、溶媒、サーファクタントおよび/または安定化剤を含む)を含む。
【0094】
1つ以上の容器を含むキットが本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、キットは、1つ以上の低容積アプリケーターを含み、これは、限定するものではないがCA4Pを含む処方物などの、コンブレタスタチンを含む本明細書に記載される処方物を事前に充填され、かつ必要に応じてさらに、1つ以上の追加の成分を含む。いくつかの実施形態では、このキットは、1つ以上の容器を含み、この容器としては、限定するものではないが、プレフィルド低容積アプリケーター(その使用のための説明書を備える)が挙げられる。さらなるバリエーションでは、キットは、CA4Pを事前に充填された1つ以上の低容積アプリケーター(PCOを処置するのにおけるその使用のための説明書を備える)を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される容器は、二次的な包装中にある。
【実施例】
【0095】
(V.実施例)
コンブレタスタチン−A−4−リン酸塩(CA4P)は、腫瘍内の血管系を破壊することが示された微小管重合化のインヒビターである(Quanら、Int.J.Cancer,122:1730−1737(2008))。本発明者らは、白内障手術の共通の合併症である後嚢混濁(PCO)の間、水晶体上皮細胞の上皮間葉移行(EMT)の強力なインヒビターとして、CA4Pを試験した。抗チューブリン免疫蛍光およびイムノブロッティングによって示されるとおり、1μMのCA4Pに対する30分の曝露は、インビトロで培養された固定されたウシ水晶体上皮細胞、およびその天然の基底膜、水晶体嚢上でインビトロで増殖された初代ウシ水晶体上皮細胞の両方において、微小管の網目状構造を効果的に脱重合するのに十分であった。この効果は、CA4P曝露後最大48時間まで持続した。水晶体上皮細胞の増殖もまた、Ki67免疫蛍光、MTT−ベース細胞生存度アッセイ、およびフローサイトメトリーによる細胞周期分析で評価した場合、影響を受けていた。EMTの特徴、すなわち、細胞の極性および遊走挙動の喪失もまた、水晶体嚢で増殖した初代ウシ水晶体上皮細胞で調べたところ、CA4P曝露によって減少されていたが、細胞の多層化は影響されなかったようであった。これらの結果によって、既に十分特徴付けられた化合物での潜在的な新規な治療適用が特定され、ここでは1回の30分曝露の後最大2日間有意な効果が達成された。
【0096】
実施例1
(A.実施例1:CA4Pは、水晶体上皮細胞増殖を阻害する)
初代ウシ水晶体上皮細胞を、生存因子は水晶体嚢から放出させて、無血清条件で培養した。パクリタキセルまたはコンブレタスタチンA−4リン酸塩をこの培養物に対して、10nM、100nMまたは10μMという最終濃度まで添加した。細胞数は、各々の(水晶体)嚢について、試験因子の添加後48時間および96時間で測定した。1処理あたり2つの(水晶体)嚢をとって、細胞数は、48時間の値のパーセンテージとして表した後に平均した。これによって、パーセンテージとして正規化された、48時間の期間内(すなわち、48時間〜96時間)の細胞数の増大/減少が示される。CA4Pのコントロールと10μMとの間の独立T検定のP値は0.0002である。コンブレタスタチンA−4リン酸塩は、96時間の曝露にわたって細胞数の減少を誘導するのにパクリタキセルよりも効果的である(図1および図2)。
【0097】
光学顕微鏡によれば、コントロールの培養物において、水晶体細胞がアクチンsm/デスミン陽性細胞へ分化転換して(水晶体)嚢からの遊走を開始したとき、CA4Pは、細胞の形態に劇的な効果を有し、水晶体上皮の玉石状の特徴を保持している。写真は、FujiFinepixによる、水晶体嚢上の生きた初代ウシ細胞から撮った(図3)。未処理のコントロールは、上皮細胞シートおよび線維芽細胞様の細胞塊の混合物を示すが、処理したサンプル(CA4P 10μM)は、レンズ上皮の典型的な玉石状外観を有する上皮シートしか示さない。
【0098】
実施例2
(B.実施例2:CA4Pに対する一過性の曝露)
(1.培養細胞中でのチューブリン重合体の喪失)
BMI−不死化ウシ水晶体上皮(BIE)細胞(プラスチック上)、および初代ウシ水晶体上皮細胞(そのもともとのインビボの基底膜上)(眼の水晶体嚢)を、10%のウシ胎仔血清(FCS)−補充培地(37℃)中で培養した後に1μMのCA4Pに対して30分曝露して、その後にそれらの細胞を10%のFCS補充培地に戻した。比較的短時間の曝露を選択して、白内障手術の期間に近似した。曝露後のある範囲の時点で、細胞を細胞生存度アッセイ(MTTベースのアッセイ、PROMEGA,UK)、イムノブロッティングまたは免疫蛍光に供した。
【0099】
BMI−不死化ウシ水晶体上皮細胞(BIE細胞株,イギリス、ダラム大学(University of Durham)のRoy Quinlan研究室で作製)を、37℃、5%COで、10cmの直径のペトリ皿中で、10%ウシ胎仔血清(FCS)を補充した組織培養培地(Sigma−Aldrich,UK)中で増殖させた。コンフルエンスに近くなった場合、それらを、10%FCS補充培地中で希釈した1μMのコンブレタスタチンA4−リン酸塩(CA4P)(OXiGENE,UK)に30分間曝露し、その後、細胞を10%のFCS補充培地に戻した。CA4P曝露の終了直後、細胞を抽出して、Lieuvinら、1994(J.Cell Biology 124(6):985−996)に記載されるように、ダイマー/ポリマーのチューブリンの割合を評価した。要するに、細胞をリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中で2回洗浄し、次いで事前に30℃に温めておいた500μLの溶解緩衝液(80mMのPipes−KOH pH6.8、1mMのMgCl、1mMのEGTA、0.5% Triton X−100(vol/vol)、10%グリセロール(vol/vol))中で3分間抽出した。細胞溶解物を、細胞をかきとることなくペトリ皿の端部に収集させて、500μLの2×サンプル緩衝液(100mM Tris・HCl pH6.8、2mMのEDTA、2%のSDS、40%グリセロール(vol/vol))に添加し、その後に3分間煮沸した。この最初の抽出物は、ダイマーのチューブリン画分を含む。ペトリ皿中に保持されている細胞は、10mLの溶解緩衝液中で1回30分間洗浄し、その後それらを500μLの1%SDS中で3分間抽出した。次いで、細胞をかきとって、この第二の溶解物を500μLの2×サンプル緩衝液に添加し、続いて注射器に通し(syringing)(25Gのニードル、BD Microlance,Ireland)、3分間煮沸した。この第二の抽出物は、ポリマーチューブリン画分を含む。この手順をCA4P曝露の終わった後、24時間で繰り返した。全ての抽出物は、−20℃で使用まで保持した。
【0100】
ダイマー/ポリマーのチューブリンの割合を、ウエスタンブロットによって評価した。15μLの抽出物を12%のアクリルアミド変性ゲルの1レーンあたりにロードして、これを200Vで40分間泳動し、続いて、ニトロセルロース膜上に0.8mA/cmで2時間ブロットして、Tween−Tris緩衝化生理食塩水(TTBS:0.2% Tween(vol/vol)、150mMのNaCl、20mMのTris・HCl pH7.4)中のミルク(α−チューブリン)またはウシ血清アルブミン(GAPDH)のいずれかで室温で1時間ブロッキングした。TTBS中での単回の5分の洗浄後、次に膜を、TTBS中の一次抗体(α−チューブリン:マウスモノクローナル、1/1000、イギリス、ダラム大学のKarakesisoglou博士から贈呈;GAPDH:マウスモノクローナル、1/1000、ab9484(ABCAM,UK))に対して一晩4℃で曝した。翌朝、膜をTTBS中で3回10分洗浄し、次いで、二次抗体(ポリクローナルヤギ抗マウス西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)−結合体化、1/1000,DAKO,Denmark)に対して、37℃で1時間曝した。さらにTTBS中で3回10分の洗浄後、膜を化学発光(緩衝液1(100mM Tris・HCl pH8.5、0.02%H)および緩衝液2(100mM Tris・HCl pH8.5、0.44%クマリン酸、1%ルミノール)の20mlの1:1混合物)によって暗所で5分間、発色させ、その後シグナルをFujiFilm Intelligent Dark Box IIで検出し、IR−LAS−1000 Pro V3.12ソフトウェアを介して分析した。1μMのCA4Pでの単回の30分の処理によって、CA4P曝露の開始後30分(すなわち、曝露終了の直後)およびCA4P曝露の終了後最大24時間の両方で、重合されたチューブリンの喪失が生じる(図4)。
【0101】
(2.初代ウシ水晶体上皮細胞中の微小管の喪失)
ウシの眼を、Coast and County Meat Group(Felling,UK)から、処分の日に入手して、下に記載されるように無菌組織培養フードのもとで水晶体を眼から解体した。70%エタノール中にたっぷり浸した後、角膜−結膜境界に対して平行かつ後方のシングルカットを介して、メジャー・サージカル・ブレード(major surgical blade)(Swann−Morton,UK)を用いて眼を切り開いた。次いで、眼を反転させて、硝子体を除去した。水晶体を毛様体繊維から解放し、直ちに12ウェル組織培養プレート(Greiner Bio−One,UK)のSYLGARD−カバー(Dow Corning,Germany)ウェル中に前面に置いた。水晶体嚢の後側を、細い外科用メスでY形に切り、得られたフラップを巻き上げてSYLGARD上にピン固定した。繊維塊を、水晶体嚢前方に穏やかに巻き取ることによって取り除いて、これによって水晶体嚢前方上に付着した初代水晶体上皮細胞層のほとんどを残した。次いで、この初代水晶体上皮細胞層をそのもとの水晶体嚢上で37℃、5%COで、0%のFCS補充組織培養中で培養した。
【0102】
切開直後、初代水晶体上皮細胞を、0%FCS培地中で希釈した1μMのCA4Pに対して30分間曝露し、その後それらを0%FCS補充培地に戻した。CA4P曝露の直後、およびCA4P曝露の終わりの48時間後、初代水晶体上皮細胞層中の重合したチューブリンの存在を免疫蛍光によって検討した。
【0103】
水晶体嚢上の細胞を、PBS中で3回リンスし、続いてメタノールおよびアセトンの1:1混合物中で単回20分間固定し、PBS/0.2g/L BSA/0.2g/L Na Azide中で3回リンスし、PBS/BSA/NaAzide中で希釈した10%のヤギ血清(Sigma−Aldrich,UK)中で単回20分のブロッキング工程を行った。次いでこの細胞を一次抗体(α−チューブリン:マウスモノクローナル、1/100、イギリス、ダラム大学のKarakesisoglou博士から贈呈)に対して室温で1時間曝露し、その後、それらをPBS/BSA/NaAzide中で3回リンスして、二次抗体(ヤギ抗−マウス IgG FITC−結合体化、1/100;DAPI,1/1000(Sigma−Aldrich,UK))に対して暗所で室温で1時間曝した。PBS/BSA/NaAzide中の3回の最後のリンス後、細胞層およびそれらの水晶体嚢を、顕微鏡のスライド(VWR International,Belgium)にプレートして、Zeiss LSM 510 Meta共焦点顕微鏡およびその関連のソフトウェアを用いて検査した。
【0104】
1μMのCA4Pを用いた単回30分の処理によって、CA4P曝露の開始後30分(すなわち、曝露終了の直後)およびCA4P曝露の終了後最大48時間までの両方で、重合されたチューブリンの喪失が生じる(図5)。さらに、無血清状態で水晶嚢上で48時間増殖した初代ウシ水晶体上皮細胞は、創傷の端部から離れていく。創傷を付けた直後1mMのCA4Pに対する30分の曝露によって、細胞は創傷の端部から離れないように防がれるが、細胞の多層化は妨げない(データ示さず)。
【0105】
3.細胞生存度
BMI−不死化ウシ水晶体上皮細胞(BIE細胞株,イギリス、ダラム大学(University of Durham)のロイ・クインラン研究室(Roy Quinlan’s Laboratory)で作製)を、12ウェルの組織培養プレート上で、10%ウシ胎仔血清(FCS)補充組織培養培地(Sigma−Aldrich,UK)中に播種して、37℃、5%COで一晩保持した。翌朝、それらを、10%FCS補充培地中で希釈した1μMのCA4Pに対して30分間曝露し、その後、細胞を10%のFCS補充培地に戻した。生きている細胞数を、直ちに、ならびに曝露の終了後、24時間、48時間および72時間で、MTTベースの比色アッセイ(CellTiter95 Aqueous非放射性細胞増殖アッセイ,Promega,UK)を用い、製造業者の指示に従ってアッセイした。要するに、もとの細胞培養培地を全てのウェルから廃棄して、500μLの新鮮培地と交換し、ここに100μLのキット試薬を添加した。次いでこのウェルを暗所で37℃、5%COに2時間30分間戻し、その後、200μLを各々のウェルから96ウェルプレート中に移して、これを492nmの吸光度でAnthos Lucy I(Anthos Labtech Instruments,Germany)で読み取った。吸光度の値は、水晶体上皮細胞に特異的な標準曲線(イギリス、ダラム大学、ロイ・クインラン研究室(Roy Quinlan’s laboratory,University of Durham,UK)で決定)を用いて細胞数に変換し、得られた生きた細胞数を標準偏差つきで平均した。種々の時点でコントロールと処理細胞との間で得られた値の有意な相違を、独立、両側t検定を用いて評価した。図は、3つの独立した繰り返しの照合した結果を示す。
【0106】
1μMのCA4Pによる単回30分間の処理によって、CA4P処理後72時間にわたるBIE細胞の数の一貫した減少が生じる(図6)。
【0107】
(4.細胞増殖)
BMI−不死化ウシ水晶体上皮細胞(BIE細胞株,イギリス、ダラム大学(University of Durham)のロイ・クインラン研究室(Roy Quinlan’s Laboratory)で作製)を、13mmの丸いカバースリップ上で、6ウェル組織培養プレート中で、10%ウシ胎仔血清(FCS)補充組織培養培地(Sigma−Aldrich,UK)中に播種して、37℃、5%COで一晩保持した。翌朝、それらを、10%FCS補充培地中で希釈した1μMのCA4Pに対して30分間曝露し、その後、細胞を10%のFCS補充培地に戻した。48時間後、Ki67陽性細胞の存在率を、免疫蛍光によって評価した。
【0108】
カバースリップ上のBIE細胞を、PBS中で3回リンスし、続いて、メタノールおよびアセトンの1:1混合物中で単回20分間固定し、PBS/0.2g/L BSA/0.2g/L Na Azide中で3回リンスし、PBS/BSA/NaAzide中で希釈した10%のヤギ血清(Sigma−Aldrich,UK)中で単回20分のブロッキング工程を行った。次いでこの細胞を一次抗体(Ki−67:マウスモノクローナル、1/100、MIB−1(DAKO,Denmark)に対して室温で1時間曝露し、その後、それらをPBS/BSA/NaAzide中で3回リンスして、二次抗体(ヤギ抗−マウス IgG FITC−結合体化、1/100;DAPI,1/1000(Sigma−Aldrich,UK))に対して暗所で室温で1時間曝した。PBS/BSA/NaAzide中の3回の最後のリンス後、細胞を、顕微鏡のスライド(VWR International,Belgium)にプレートして、Zeiss LSM 510 Meta共焦点顕微鏡およびその関連のソフトウェアを用いて検査した。Ki−67陽性細胞を、各々3回の独立した反復について2つのカバースリップについて、1つのカバースリップあたり全部で200〜500個の細胞をカウントし、カウントされた細胞総数(DAPI染色によって決定した場合)のうちのKi−67陽性細胞の平均割合として表した。コントロール細胞と処理細胞との間の有意な相違をχ−検定によって評価した。
【0109】
Ki67(細胞増殖を伴う)陽性細胞の割合は、曝露後48時間で決定した場合、コントロール細胞および処理細胞の両方で同様であった(表1)が、核形態の変化および多核性細胞が曝露の30時間後に検出された(データ示さず)。この異常な核形態は、有糸分裂の間の細胞質分離の欠陥を連想させる。とりわけ、48時間までは、細胞の喪失は広範であって、核形態の異常を呈する細胞は観察されず、これによって、それらの「異常な」細胞は、CA4P曝露の30時間〜48時間後に失われることが示唆される。
【0110】
【表1】

(5.Erk1/2リン酸化)
ウシの眼を、Coast and County Meat Group(Felling,UK)から、処分の日に入手して、下に記載されるように無菌組織培養フードのもとで水晶体を眼から解体した。70%エタノール中にたっぷり浸した後、角膜−結膜境界に対して平行かつ後方のシングルカットを介して、メジャー・サージカル・ブレード(major surgical blade)(Swann−Morton,UK)を用いて眼を切り開いた。次いで、眼を反転させて、硝子体を除去した。水晶体を毛様体繊維から解放し、直ちに12ウェル組織培養プレート(Greiner Bio−One,UK)のSYLGARD−カバー(Dow Corning,Germany)ウェル中に前面に置いた。水晶体嚢の後側を、細い外科用メスでY形に切り、得られたフラップを巻き上げてSYLGARD上にピン固定した。繊維塊を、水晶体嚢前方に穏やかに巻き取ることによって取り除いて、これによって水晶体嚢前方上に付着した初代水晶体上皮細胞層のほとんどを残した。次いで、この初代水晶体上皮細胞層をそのもとの水晶体嚢上で37℃、5%COで、0%のFCS補充組織培養中で培養した。
【0111】
切開直後、初代水晶体上皮細胞を、0%FCS培地中で希釈した1μMのCA4Pに対して30分間曝露し、その後それらを0%FCS補充培地に戻した。CA4P曝露の直後、およびCA4P曝露の終わりの1時間後、初代水晶体上皮細胞層中のERK1/2(p42およびp44)のリン酸化状態をイムノブロッティングによって検討した。要するに、細胞をリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中で2回洗浄し、次いで、3分間、1ウェルあたり150μLの2×サンプル緩衝液(100mM Tris・HCl pH6.8、2mM EDTA、2%のSDS、40%グリセロール(vol/vol))中で抽出し、その後注射し、3分間煮沸した。全ての抽出物を使用まで−20℃で保持した。ビシンコニン酸(BCA)アッセイ(ThermoScientific,UK)による抽出物の総タンパク質定量後、20μgの抽出物を12%のアクリルアミド変性ゲルの1レーンあたりにロードして、これを200Vで40分間泳動し、続いて、ニトロセルロース膜上に0.8mA/cmで2時間ブロットして、ミルク(Erk1/2)またはBSA(GAPDH)のいずれかが含有されるTTBS(0.2%Tween(vol/vol)、150mMのNaCl、20mMのTris・HCl pH7.4)中で室温で1時間ブロッキングした。TTBS中での単回の5分の洗浄後、次に膜を、TTBS中に含有される一次抗体(リン酸(phosphor)−Erk1/2(Thr202/Tyr204)(D13.14.4E):ウサギモノクローナル、1/1000、Cell Signaling Technology,UK);GAPDH:マウスモノクローナル、1/1000、ab9484(ABCAM,UK))に対して一晩4℃で曝した。翌朝、膜をTTBS中で3回10分洗浄し、次いで、TTBS中に含まれる二次抗体(ポリクローナルヤギ抗マウスHRP−結合体化、1/1000;ポリクローナルブタ抗ウサギHRP結合体化(DAKO,Denmark))に対して、4℃で一晩曝露した。さらにTTBS中で3回10分の洗浄後、膜を化学発光(緩衝液1(100mM Tris・HCl pH8.5、0.02%H)および緩衝液2(100mM Tris・HCl pH8.5、0.44%クマリン酸、1%ルミノール)の20mlの1:1混合物)によって暗所で5分間、発色させ、その後シグナルをFujiFilm Intelligent Dark Box IIで検出し、IR−LAS−1000 Pro V3.12ソフトウェアを介して分析した。Erk1/2のリン酸化レベルは、ImageGauge V4.23ソフトウェアおよびGAPDHレベルに対する正規化を用いて濃度測定によって定量した。
【0112】
ホスホ(phospho)−Erk1/2レベルは、コントロール細胞および処理細胞の両方においてCA4P曝露の終了後直ちに上昇され、そしてコントロール細胞および処理細胞の両方においてCA4P曝露の終了1時間後に低下された(図7)。これによって、一時的なErkリン酸化が切開/手術後正常な過程として生じ、この状況ではCA4Pによって影響されないことが示唆される。この実験をBIE細胞(CA4P曝露の前の切開に関連する任意の潜在的なストレスを経験しない)で繰り返した。この場合、ホスホ−Erkレベルは、CA4P曝露の終わりの直後にはCA4P処理で上昇されたが、CA4P曝露の終わりの1時間後にはコントロールのレベルに戻った。従って、初代細胞では、切開に起因する一般的なストレス応答は、Erkリン酸化に対するCA4Pの影響をマスクするということが仮定され得る。リン酸化されたp38およびJNKのレベルは、CA4P処理によって影響されなかった(データ示さず)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後嚢混濁に罹患しているかまたは後嚢混濁を発症するリスクのある被験体に対して、治療上有効な量のコンブレタスタチンを投与することを包含する、後嚢混濁を処置または予防する方法。
【請求項2】
前記コンブレタスタチンが、コンブレタスタチンA−4、またはその誘導体、プロドラッグもしくはアナログである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンブレタスタチンが、コンブレタスタチンA−4リン酸塩(CA4P)またはその薬学的に許容され得る塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コンブレタスタチンが全身的に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記コンブレタスタチンが非全身的に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記コンブレタスタチンが前記被験体の眼に対して局所投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記コンブレタスタチンが、眼内レンズを挿入するための手術の間に投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
後嚢混濁の処置または予防のための医薬の製造のための、コンブレタスタチンの使用。
【請求項9】
前記コンブレタスタチンが、コンブレタスタチンA−4、またはその誘導体、プロドラッグもしくはアナログである、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記コンブレタスタチンが、コンブレタスタチンA−4リン酸塩(CA4P)またはその薬学的に許容され得る塩である、請求項8に記載の使用。
【請求項11】
前記医薬が、全身投与のために適切である、請求項8に記載の使用。
【請求項12】
前記医薬が後嚢混濁に罹患しているかまたは後嚢混濁を発症するリスクのある被験体の眼に対する局所投与のために適切である、請求項8に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−532113(P2012−532113A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517919(P2012−517919)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/040943
【国際公開番号】WO2011/003080
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(503224792)オキシジーン, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】