説明

徘徊防止装置

【課題】本発明の目的は、被介護者が意図せず単独で施設外にでることを確実に防止しつつ、管理の手間を削減する簡便な徘徊防止装置を提供することである。
【解決手段】徘徊防止装置100では、自動ドア400により施設内外が区画され、撮像部200により自動ドア400を通行する人物の顔情報撮像データが撮像される。設定記録部300には、予め被介護者の被介護顔特徴データと、被介護顔特徴データにリンクして被介護者に関連する人物の介護顔特徴データが記録される。制御部500により撮像された顔情報データと記録部における各顔特徴データとが比較判定され、自動ドア400の開閉動作が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護老人ホーム等の施設において、痴呆性老人等が誤って施設外に退出することを防止する徘徊防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、老人介護を行う老人ホーム等の施設、特に痴呆性老人介護を行う施設では入所者が誤って施設外に出ることによって発生する事故を防止するため、入所者に発信装置を装着させ、自動ドア側に受信装置を設置し、入所者が通過しようとした時は自動ドアの開閉を停止するというドア制御システムが知られている。
また、例えば、特許文献1には、特殊介護老人ホーム等の施設において、痴呆性老人等が誤って施設外に退出することを防止するとともに、簡便な開閉体制御システムを提供する開閉体制御システムについて開示されている。
【0003】
特許文献1記載の開閉体制御システムでは、開閉体と、開閉体を開閉駆動する駆動手段と、人を検出する第1の検出手段と、所定の識別信号を受信する受信手段と、管理者等への通知を行う通知手段と、各手段を制御する制御手段と、受信手段が識別信号を受信したときは、制御手段は駆動手段に信号を送り開閉体の開閉を制御するとともに、第1の検出手段が人を検出して、かつ受信手段が識別信号を受信しないときは、制御手段は通知手段に信号を送り、管理者等へ通知することを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−311332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の開閉体制御システムでは、介護者が外出する際には、介護者が持っている発信機からの識別番号により、自動ドアを開閉させることができる。
【0006】
一方、被介護者は、発信機を持っていないので単独では外出することはできないシステムである。また、外部から施設内へは自由に入れるようになっているため、訪問者が入る際には発信機は、不要となっている。
【0007】
さらに、訪問者等の発信機を持たない人が施設外にでる場合は、その都度、管理者が確認してドアを開閉させることにより、特殊介護老人ホーム等の施設において、痴呆性老人等が誤って施設外に退出することを防止するものである。
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の開閉体制御システムにおいては、訪問者が帰る場合や、訪問者と被介護者とが一緒に施設外に出る場合、例えば、親子で散歩する場合などは、管理者がその都度、ドアを開けることになり、管理上手間がかかる。
【0009】
また、介護者(職員等)の発信機を何らかの手段で被介護者が入手した場合、簡単に施設外にでることができるという問題がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、被介護者が意図せず単独で施設外にでることを確実に防止しつつ、管理の手間を削減する簡便な徘徊防止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)
一局面に従う徘徊防止装置は、被介護者が施設外に退出することを防止する徘徊防止装置であって、施設内外を区画するドア装置と、ドア装置の近傍で、ドア装置を通行する人物の顔情報撮像データを撮像する撮像部と、予め被介護者の被介護顔特徴データと、被介護顔特徴データに被介護者に関連する人物の介護顔特徴データを関連付けて記録する記録部と、ドア装置の開閉を制御するとともに、撮像装置により撮像される顔情報データと記録部における各顔特徴データとを比較判定する制御部と、を備え、制御部は、撮像部からの顔情報撮像データ内に記録部に記録された被介護顔特徴データが含まれていた場合、顔情報撮像データに当該被介護顔特徴データに関連付けられた介護顔特徴データが含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合にのみ、ドア装置を開動作可能とするものである。
【0012】
徘徊防止装置では、ドア装置により施設内外が区画され、撮像部によりドア装置を通行する人物の顔情報撮像データが撮像される。記録部には、予め被介護者の被介護顔特徴データと、被介護顔特徴データに関連付けて被介護者に関連する人物の介護顔特徴データが記録される。制御部により撮像された顔情報データと記録部における各顔特徴データとが比較判定されるとともに、ドア装置の開閉が制御される。
【0013】
この場合、制御部は、撮像部からの顔情報撮像データ内に記録部に記録された被介護顔特徴データが含まれた場合、顔情報撮像データに当該被介護顔特徴データに関連付けされた介護顔特徴データが含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合にのみ、ドア装置を開動作可能とし、含まれないと判定した場合には、ドア装置の閉状態を維持する。
したがって、被介護者や介護者が発信機等を所持する必要がない。また、管理者が不要となり監視の手間およびコスト削減を図ることができる。さらに、被介護者が単独の場合には、ドア装置は開かないため、被介護者の施設外への退出を容易に防止することができ、一方、被介護者の介護担当者など被介護者に関連する人物が付き添う場合のみ、ドア装置の開動作が可能となる。
つまり、被介護者の介護担当者でない者は、被介護者の顔情報データと関連付けられていないので、被介護者とともに、当該被介護者の介護担当でない者が、ドア装置の近くに偶然居合わせても、ドア装置は開動作可能とはならない。
その結果、介護老人ホーム等の施設において、被介護者が意図せず単独で施設外にでることを確実に防止しつつ、管理の手間を削減することができる。
【0014】
(2)
徘徊防止装置において、制御部は、撮像部からの顔情報撮像データに記録部に記録された被介護顔特徴データが含まれず、かつ、当該顔情報撮像データに記録部に記録されていない人の顔が含まれると判定した場合、ドア装置を開動作可能としてもよい。
【0015】
この場合、制御部は、顔情報撮像データに記録部に記録された被介護顔特徴データが含まれておらず、かつ、当該顔情報撮像データに記録部に記録されていない人の顔が含まれると判定した場合、ドア装置を開動作可能にするので、施設内に、見舞いなどで来訪した人がドア装置近傍に来て施設外へ出る場合であっても、ドア装置の施設内側に被介護者が存在する場合には、ドア装置が開動作可能とならない。つまり、ドア装置の施設内に被介護者が存在しない場合にのみ、ドア装置が開動作可能となる。その結果、被介護者の介護担当者以外の者や被介護者に関連しない者と、被介護者が意図せず単独で施設外に出てしまうことを確実に防止することができる。
【0016】
(3)
徘徊防止装置において、介護顔特徴データは、被介護者の家族または親族の顔特徴データおよび施設内における被介護者の担当者の顔特徴データを含んでもよい。
【0017】
この場合、被介護者は、当該被介護者の担当者だけでなく、家族や親族と施設外に容易に外出することができるようになる。
【0018】
(4)
徘徊防止装置において、ドア装置の施設外側に設けられ、ドア装置近傍の人又は物体を検知して信号を出力するセンサをさらに備え、制御部は、センサから信号を受信しても、撮像部における顔情報撮像データに記録部に記録された被介護顔特徴データが含まれる場合には、ドア装置の閉状態を維持してもよい。
【0019】
この場合、制御部は、ドア装置の施設内側に被介護者が存在する場合には、ドア装置の施設外側に設けられたセンサが人又は物体を検知しても、ドア装置を開動作可能とせず、閉状態を維持する。
その結果、被介護者が、施設へ来訪する人が開閉装置近傍に来た場合に、施設外へ出ようと考えてドア装置近傍で待っていた場合でも、ドア装置が開かないため、被介護者は単独で施設外へでることができない。したがって、被介護者が意図せず単独で施設外に出ることを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態にかかる徘徊防止装置の構成の一例を示す模式図である。
【図2】撮像部の配設の一例を説明するための模式図である。
【図3】登録顔特徴データの構成の一例を示す模式図である。
【図4】徘徊防止装置の制御部の動きの一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を用いて説明する。本実施の形態においては、徘徊防止装置100を施設の出入口に備えた場合について説明する。
【0022】
(徘徊防止装置の構成)
まず、図1は本実施の形態にかかる徘徊防止装置100の構成の一例を示す模式図である。
【0023】
図1に示すように、徘徊防止装置100は、撮像部200、設定記録部300、自動ドア400、駆動部450、制御部500および外部起動センサ部600を含む。以下、各部または各装置の詳細について説明を行う。
【0024】
(自動ドア)
図1の自動ドア400は、施設内外を区画するドア装置である。本実施の形態に係る自動ドア400では、壁面に平行な方向にドア410(図2参照)がスライド移動に配設されている。自動ドア400は、駆動部450の駆動により開動作または閉動作を行う。自動ドア400は、開動作が行われることにより、出入口が開放され、人の通行が可能になる。一方、閉動作が行われることにより、出入口が閉鎖され、人の通行が不能となる。
【0025】
なお、本実施の形態における駆動部450は、ベルトドライブ方式であり、無目内に収納され、主に、モータ、モータドライバ、無端ベルト及びドアハンガから構成されている。制御部500からモータドライバにモータ駆動信号が送信されると、モータが駆動して無端ベルトが周回運動する。ドアハンガは、無端ベルトとドアとを連結している。その結果、自動ドア400のドア410が、無端ベルトの周回に伴って壁面に沿って平行な方向に往復移動する。
【0026】
(撮像部)
図2は、撮像部200の配設の一例を説明するための模式図である。
図2(a),(b)に示すように、撮像部200は、自動ドア400の施設内の中央部に設けられたタッチセンサ内に内蔵される。
その結果、図2(b)に示すように、撮像部200は、自動ドア400の施設内側にいる人を撮像することができる。
撮像部200は、いわゆるCCDイメージセンサカメラであって、数ミリ秒〜数十ミリ秒程度の間隔で撮像領域の静止画像を撮像し、その静止画像データを順次、制御部500に送信する。なお、撮像部200の撮像領域は、施設内の自動ドア400の近傍に人が立っている場合において、その人の顔から足元までが写るように設定される。
【0027】
(外部起動センサ部)
外部起動センサ部600は、自動ドア400の近傍でかつ施設外側に配設される。例えば、外部起動センサ部600は、赤外線センサであって、赤外線により自動ドア400の外側近傍の人又は物体の有無を検知する。外部起動センサ部600は、検知結果を制御部500に与える。
【0028】
(制御部)
図1の制御部500は、CPU(中央制御処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)およびRAM(ランダムメモリ)等を備えるマイクロコンピュータからなる。制御部500は、ROMに記録された後述するプログラムに応じて、主に駆動部450の駆動、設定記録部300のデータ受信または記録、外部起動センサ部600からの検知結果の受信、撮像部200からの撮像データ受信等を行う。
【0029】
(設定記録部)
次に、図3は、登録顔特徴データ350の構成の一例を示す模式図である。図1の設定記録部300は、図3に示す登録顔特徴データ350を設定し、登録顔特徴データテーブルとして記録する。
【0030】
図3に示すように、登録顔特徴データ350は、被介護者毎のデータからなる。例えば、所定の施設において、100名の被介護者が存在した場合、各被介護者毎にID001,〜,ID100までのID番号が割り付けられる(図3の符号351)。
【0031】
図3の当該被介護者ID001のデータ351には、登録顔特徴データ001−01,〜,001−03までが関連付けされている(図3の符号352)。
例えば、登録顔特徴データ001−01には、被介護者ID001の本人の顔特徴データが記録されており、登録顔特徴データ001−02には、被介護者ID001の担当職員Aの顔特徴データが記録されており、登録顔特徴データ001−03には、被介護者ID001の親族の顔特徴データが記録されている。
【0032】
同様に、登録顔特徴データ002−01には、被介護者ID002の本人の顔特徴データが記録されており、登録顔特徴データ002−02には、被介護者ID002の担当職員Bの顔特徴データが記録されており、登録顔特徴データ002−03,04には、被介護者ID002の親族の顔特徴データが記録されている。
【0033】
さらに、登録顔特徴データ003−01には、被介護者ID003の本人の顔特徴データが記録されており、登録顔特徴データ003−02には、被介護者ID003の担当職員Cの顔特徴データが記録されている。
【0034】
設定記録部300は、被介護者毎に応じて複数の顔登録情報データが関連付けされた登録顔特徴データ350を保持する。
【0035】
(徘徊防止装置のフローチャート)
図4は、徘徊防止装置100の制御部500の動きの一例を説明するためのフローチャートである。
【0036】
まず、制御部500は、撮像部200から撮像データを受信する(ステップS1)。そして、制御部500は、撮像データに含まれる全ての顔を認識する(ステップS2)。ここでステップS2における顔認識処理について簡略に説明を行う。
【0037】
(顔認識処理の概略)
ここで、制御部500は、顔認識処理を実施する。顔認識処理の概略は、まず、撮像部200から送られてくる撮像データを背景画像データと比較して輝度調整を行った後、撮像データと背景画像データとが一致する場合、何ら処理を行わない。一方、撮像データが背景画像データと異なる場合、所定時間、パターン認識技術によりその撮像データから顔画像の検出を繰り返し試みる。
【0038】
ここで、制御部500は、所定時間の間、繰り返し顔画像の検出を実施することにより、顔画像の大きさが拡大した場合、撮像データの人物が撮像部200の設けられた自動ドア400に近づいて来ることを認識する。 一方、制御部500は、顔画像の大きさが変化しない、または縮小した場合、撮像データの人物が撮像部200の設けられた自動ドア400の前を通ったのみか、遠ざかることを認識する。そして、制御部500は、顔の特徴部分を検出し、登録された登録顔特徴データと比較を行う。以上のように制御部500は、顔認識処理を実施する。
【0039】
続いて、図4に示すように、制御部500は、登録顔特徴データテーブルを読込む(ステップS3)。そして、制御部500は、上述した顔認識処理を用いて撮像データにおいて認識した全ての顔の中に被介護者データと一致する顔特徴情報データが存在するか否か判定を行う(ステップS4)。例えば、制御部500は、被介護者ID001の登録顔特徴データ001−01と一致するか否か判定する。
【0040】
ステップS4の処理において、制御部500が、撮像データにおいて認識した全ての顔の中に被介護者データと一致する顔特徴情報データが存在しないと判定した場合(ステップS4のNo)、次いで、制御部500は、登録顔特徴データが終わりか否か判定する(ステップS5)。例えば、ステップS4の処理において、制御部500は、被介護者ID001に関連付けされた登録顔特徴データ001−02,03を比較したか否かを判定する。
【0041】
ステップS5の処理において、制御部500は、登録顔特徴データを比較し、登録顔特徴データが顔認識処理された撮像データの中に存在しない場合(ステップS5のNo)、次の登録顔特徴データへ移動を行う(ステップS6)。すなわち、制御部500は、被介護者ID001に該当する登録顔特徴データが存在しなかったので、被介護者ID002に該当する登録顔特徴データに応じて、ステップS4から処理を繰り返す。
【0042】
一方、制御部500は、ステップS4の処理において、被介護者データが一致したと判定した場合(ステップS4のYes)、一致した被介護者データの介護者データを読込む(ステップS10)。
すなわち、制御部500は、被介護者ID001の被介護者の登録顔特徴データ001−01が一致した場合、登録顔特徴データ001−02,03を読込む。
【0043】
次いで、制御部500は、読込んだ介護者データである登録顔特徴データ001−02,03が撮像データ内に存在するか否か判定する(ステップS11)。ここで、制御部500は、撮像データ内に、介護者データである登録顔特徴データ001−02,03が存在すると判定した場合(ステップS11のYes)、駆動部450を駆動させ、自動ドア400の開動作を実施し、所定後、閉動作を行わせる(ステップS12)。
【0044】
一方、制御部500は、撮像データ内に、介護者データである登録顔特徴データ001−02,03が無いと判定した場合(ステップS11のNo)、駆動部450を駆動させ、自動ドア400の閉動作または閉状態であれば、閉状態を維持させる。(ステップS13)。
【0045】
また、ステップS5の処理において、登録顔特徴データを全て比較し、登録顔特徴データが終わりである場合(ステップS5のYes)、従来の自動ドアように、制御部500は、撮像データ内に顔が含まれるか否かの判定を行う(ステップS20)。この場合、制御部500は、撮像データ内に人の顔が存在するか否かの判定のみ行う。したがって、上述した顔認識処理とは異なり、人か人でないかを判定するものである。
【0046】
その結果、制御部500は、撮像データ内に人の顔が存在すると判定した場合(ステップS20のYes)、駆動部450を駆動させ、自動ドア400の開動作を実施し、所定後、閉動作を行わせる(ステップS12)。
一方、制御部500は、撮像データ内に人の顔が存在しないと判定した場合(ステップS20のNo)、駆動部450を駆動させ、自動ドア400の閉動作または閉状態であれば、閉状態を維持させる。(ステップS13)。
【0047】
以上のように、本実施の形態に係る徘徊防止装置100においては、制御部500が撮像部200からの撮像データ内に設定記録部300に記録された登録顔特徴データ001−01,002−01,003−01が含まれた場合、撮像データ内に、当該登録顔特徴データ001−01,002−01,003−01に関連付けされた登録顔特徴データ001−02,03、002−02,〜,04、003−02が存在するか否かを判定し、存在すると判定した場合にのみ、自動ドア400を開動作し、無いと判定した場合には、自動ドア400の閉動作または閉状態を維持する。
【0048】
したがって、被介護者または介護者が発信機等を所持する必要がない。また、管理者が不要となり監視の手間およびコスト削減を図ることができる。さらに、被介護者が単独の場合には、自動ドア400は開かないため、被介護者の施設外への退出を容易に防止することができ、一方、被介護者の家族、親戚または介護担当者が付き添う場合のみ、自動ドア400の開動作させることができる。
つまり、被介護者の家族、親戚または介護担当者でない者は、被介護者の登録顔特徴データと関連付けされていないので、被介護者とともに、当該被介護者の家族、親戚または介護担当でない者が、自動ドア400の傍に偶然居合わせても、自動ドア400は開動作しない。
その結果、介護老人ホーム等の施設において、被介護者が意図せず単独で施設外にでることを確実に防止しつつ、管理の手間を削減することができる。
【0049】
(2)
また、本実施の形態に係る徘徊防止装置100において、制御部500は、撮像データ内に設定記録部300に記録された登録顔特徴データ001−01,002−01,003−01が含まれておらず、かつ、当該撮像データ内に設定記録部300に記録されていない人の顔が存在すると判定した場合、自動ドア400の開動作を実施するので、施設内に見舞いなどで来訪した人が自動ドア400近傍に来て施設外へ出る場合であっても、自動ドア400の施設内に被介護者が存在する場合には、自動ドア400が開動作しない。つまり自動ドア400の施設内に被介護者が存在しない場合にのみ、自動ドア400が開動作する。その結果、被介護者の介護担当者以外の者や被介護者の家族や親族以外の者と、被介護者が意図せず単独で施設外にでることを確実に防止することができる。
【0050】
(3)
さらに、本実施の形態に係る徘徊防止装置100においては、被介護者とともに、当該被介護者の担当者または家族、親族と施設外に容易に外出することができる。
【0051】
(4)
さらに、本実施の形態に係る徘徊防止装置100において、制御部500は、自動ドア400の施設内側に被介護者が存在する場合には、外部起動センサ部600が人又は物体を検知して信号が出力されたとしても、自動ドア400の開動作させず、自動ドア400の施設内に被介護者が存在しない場合にのみ、自動ドア400の開動作させる。
【0052】
その結果、被介護者が、施設へ来訪する人が自動ドア400近傍に来た場合に、施設外へ出ようと考えて自動ドア400近傍で待っていた場合でも、自動ドア400が開かないため、被介護者は単独で施設外へ出ることができない。したがって、被介護者が意図せず単独で施設外にでることを確実に防止することができる。
【0053】
なお、制御部500は、マイクロコンピュータからなることとしているが、これに限定されず、シーケンサまたはパーソナルコンピュータ、これらの組み合わせであってもよい。また、駆動部450は、ベルトドライブ方式であることとしているが、これに限定されず、リニア駆動方式であってもよい。
【0054】
また、撮像部200は、CCDイメージセンサカメラからなることとしているが、これに限定されず、CMOSカメラであってもよく、さらに夜間用カメラであってもよく、他の任意の装置、例えば、夜間用照明を備えたカメラであってもよい。
【0055】
さらに、撮像部200は、カメラ内蔵型タッチセンサに内蔵させることとしたが、これに限定されず、自動ドア400の無目近傍に設けてもよく、他の任意の位置に設けてもよい。
【0056】
また、本実施の形態においては、ドア装置として両開きの自動ドア400を例示したが、これに限定されず、他の任意の開閉装置、例えば、引き戸であってもよく、開き戸等にも適用することができる。また、電気錠が設けられていても良い。更に、自動ドアの代わりに、手動のドアと電気錠との組み合わせで、ドアを開動作可能としたり、不能したりしても良い。
【0057】
本発明においては、徘徊防止装置100が徘徊防止装置に相当し、自動ドア400がドア装置に相当し、撮像部200が撮像部に相当し、登録顔特徴データ350が被介護顔特徴データおよび介護顔特徴データに相当し、設定記録部300が記録部に相当し、制御部500が制御部に相当し、登録顔特徴データ001−03,002−03,002−04が被介護者の親族の顔特徴データに相当し、登録顔特徴データ001−02,002−02,003−02が施設内における前記被介護者の担当者の顔特徴データに相当し、外部起動センサ部600がセンサに相当する。
【0058】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0059】
100 徘徊防止装置
400 自動ドア
200 撮像部
350 登録顔特徴データ
300 設定記録部
500 制御部
600 外部起動センサ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被介護者が施設外に退出することを防止する徘徊防止装置であって、
前記施設内外を区画するドア装置と、
前記ドア装置の近傍で、前記ドア装置を通行する人物の顔情報撮像データを撮像する撮像部と、
予め前記被介護者の被介護顔特徴データと、前記被介護者に関連する人物の介護顔特徴データを前記被介護顔特徴データに関連付けて記録する記録部と、
前記撮像装置により撮像される顔情報データと前記記録部における各顔特徴データとを比較判定するとともに、前記ドア装置の開閉を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記撮像部からの顔情報撮像データ内に前記記録部に記録された前記被介護顔特徴データが含まれていた場合、前記顔情報撮像データに当該被介護顔特徴データに関連付けられた前記介護顔特徴データが含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合にのみ、前記ドア装置を開動作可能とすることを特徴とする徘徊防止装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記撮像部からの顔情報撮像データに前記記録部に記録された前記被介護顔特徴データが含まれず、かつ、当該顔情報撮像データに前記記録部に記録されていない人の顔が含まれると判定した場合、前記開閉装置を開動作可能とすることを特徴とする請求項1記載の徘徊防止装置。
【請求項3】
前記介護顔特徴データは、前記被介護者の家族または親族の顔特徴データおよび前記施設内における前記被介護者の担当者の顔特徴データを含むことを特徴とする請求項1または2記載の徘徊防止装置。
【請求項4】
前記ドア装置の前記施設外側に設けられ、前記ドア装置近傍の人又は物体を検知して前記ドア装置を開動作可能とする信号を出力するセンサをさらに備え、
前記制御部は、前記センサから信号を受信しても、前記撮像部における顔情報撮像データに前記記録部に記録された前記被介護顔特徴データが含まれる場合には、前記ドア装置の閉状態を維持することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の徘徊防止装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−49983(P2013−49983A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188511(P2011−188511)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】