説明

復水圧送装置のモニタリングシステム

【課題】復水圧送装置の寿命を正確に予測できる復水圧送装置のモニタリングシステムを提供する。
【解決手段】復水圧送装置24は本体1と蓋2からなる密閉容器に作動流体の給気口6と排気口7及び圧送復水の流入口8と圧送口9が設けられ、給気口6が高圧の作動流体源から蒸気使用装置としての熱交換器25に蒸気が供給される蒸気配管31に連通する給気管32に接続され、所定時間における作動回数(N)あるいは1回の作動に要する時間(T)を検出する作動検出器33と、蒸気使用装置に供給される蒸気量あるいは復水圧送装置24に流入する復水量としての流入流量(Q)を検出する流量計34と、所定時間における作動回数(N)と流入流量(Q)との比(N/Q)あるいは1回の作動に要する時間(T)と流入流量(Q)との比(T/Q)を演算する寿命推定器35とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種蒸気使用装置で発生した復水を高圧の蒸気や圧縮空気等の作動流体によりボイラーや廃熱利用箇所等の復水圧送先に圧送する復水圧送装置のモニタリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の復水圧送装置のモニタリングシステムは、例えば特許文献1に開示されている。これは、密閉容器に作動流体の給気口と排気口及び圧送復水の流入口と圧送口が設けられ、流入口が密閉容器への復水の流れだけを許容する流入側逆止弁を介して蒸気使用装置に連通する流入管に接続され、圧送口が復水圧送先への復水の流れだけを許容する圧送側逆止弁を介して復水圧送先に連通する圧送管に接続され、給気口が高圧の作動流体源から蒸気使用装置に蒸気が供給される蒸気配管に連通する給気管に接続され、排気口が排気管を介して蒸気循環側に連通する排気管に接続され、密閉容器内の液位が所定高位に達すると給気口が開口されると共に排気口が閉口されて密閉容器内に作動流体が供給されることにより、密閉容器内の復水が圧送口から復水圧送先へ圧送され、密閉容器内の液位が所定低位に達すると給気口が閉口されると共に排気口が開口されて密閉容器内の液位が所定高位に達するまで密閉容器内の作動流体が排気口から蒸気循環側に排気されると共に蒸気使用装置で発生した復水が流入口から密閉容器内に流入される復水圧送装置において、所定時間における作動回数を検出する作動検出器を設けることにより、密閉容器内に溜まって1回の作動で圧送される復水量と作動回数から圧送される復水量を演算すると共に、所定時間における作動回数から復水圧送装置の寿命を推測するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−213399
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
復水圧送装置は作動に伴う内部部品の磨耗及び復水中の錆やスケール等の異物の内部部品への付着堆積等により、復水の密閉容器内への流入と復水の密閉容器からの圧送とが切り替えられる密閉容器内の所定高位と所定低位との間隔が次第に拡がり、この間隔が限界まで拡がったときに故障が発生する。そして、所定高位と所定低位との間隔が拡がると1回の作動に要する時間は増加する。また、所定高位と所定低位との間隔が拡がると1回の作動で圧送される復水量が増加するので所定時間における作動回数は減少する。上記従来の復水圧送装置のモニタリングシステムは、所定時間における作動回数から復水圧送装置の寿命を予測するものであるが、所定時間における作動回数は蒸気使用装置に供給される蒸気量あるいは復水圧送装置に流入する復水量により変化するために、復水圧送装置の寿命を正確に予測できない問題点があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、復水圧送装置の寿命を正確に予測できる復水圧送装置のモニタリングシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の復水圧送装置のモニタリングシステムは、密閉容器に作動流体の給気口と排気口及び圧送復水の流入口と圧送口が設けられ、流入口が密閉容器への復水の流れだけを許容する流入側逆止弁を介して蒸気使用装置に連通する流入管に接続され、圧送口が復水圧送先への復水の流れだけを許容する圧送側逆止弁を介して復水圧送先に連通する圧送管に接続され、給気口が高圧の作動流体源から蒸気使用装置に蒸気が供給される蒸気配管に連通する給気管に接続され、排気口が排気管を介して蒸気循環側に連通する排気管に接続され、密閉容器内の液位が所定高位に達すると給気口が開口されると共に排気口が閉口されて密閉容器内に作動流体が供給されることにより、密閉容器内の復水が圧送口から復水圧送先へ圧送され、密閉容器内の液位が所定低位に達すると給気口が閉口されると共に排気口が開口されて密閉容器内の液位が所定高位に達するまで密閉容器内の作動流体が排気口から蒸気循環側に排気されると共に蒸気使用装置で発生した復水が流入口から密閉容器内に流入される復水圧送装置において、所定時間における作動回数(N)あるいは1回の作動に要する時間(T)を検出する作動検出器と、蒸気使用装置に供給される蒸気量あるいは復水圧送装置に流入する復水量としての流入流量(Q)を検出する流量計と、所定時間における作動回数(N)と流入流量(Q)との比(N/Q)あるいは1回の作動に要する時間(T)と流入流量(Q)との比(T/Q)を演算する寿命推定器とを具備したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所定時間における作動回数(N)と流入流量(Q)との比(N/Q)あるいは1回の作動に要する時間(T)と流入流量(Q)との比(T/Q)を演算するものであるので、比(N/Q)が小さくなることによりあるいは比(T/Q)が大きくなることにより復水圧送装置の寿命を正確に予測できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係わる復水圧送装置のモニタリングシステムの構成図である。
【図2】図1の復水圧送装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図2を参照して説明する。復水圧送装置24は、本体1と蓋2で密閉容器を構成して、密閉容器内にフロート3とフロート弁4とスナップ機構部5を配置すると共に、蓋2に作動流体の給気口6と排気口7及び圧送復水の流入口8と圧送口9を設ける。流入口8が密閉容器への復水の流れだけを許容する流入側逆止弁20を介して蒸気使用装置としての熱交換器25に連通する流入管21に接続され、圧送口9が復水圧送先への復水の流れだけを許容する圧送側逆止弁22を介して復水圧送先としてのボイラー29に連通する圧送管30に接続され、給気口6が高圧の作動流体源から熱交換器25に蒸気が供給される蒸気配管31に連通する給気管32に接続され、排気口7が蒸気循環側(図示せず)に連通する排気管23に接続される。
【0010】
フロート3は支点10を回転中心として上下に浮上降下して、ダブル弁機構のフロート弁4を上下に移動させて圧送口9を連通遮断すると共に、第1レバー11を支点12を中心として上下に変位させる。同じく支点12を中心として回転自在に第2レバー13を配置し、この第2レバー13の端部と第1レバー11の端部の間に圧縮状態のコイルバネ14を取り付ける。第2レバー13の上部に操作棒15を連結する。操作棒15の上部には、排気口7を開閉する球状の排気弁体16を取り付けると共に、操作棒15の中段部に操作レバー17を固着する。操作レバー17の上部に上下動自在に給気棒18を配置して、この給気棒18の更に上方に球状の給気弁体19を自由状態で配置する。
【0011】
復水圧送装置24と作動検出器33と流量計34及び寿命推定器35とで復水圧送装置のモニタリングシステムを構成する。作動検出器33は給気弁体19の変位をリミットスイッチや近接スイッチあるいはリードスイッチ等で検出して、給気弁体19の変位から復水圧送装置24の作動の有無を検出すると共に、内蔵するタイマー等の計時手段により所定時間における作動回数(N)あるいは1回の作動に要する時間(T)を検出する。作動検出器33は復水圧送装置24内の温度や圧力あるいは液位レベルを検出することにより復水圧送装置24の所定時間における作動回数(N)あるいは1回の作動に要する時間(T)を検出することもできる。流量計34は蒸気配管31に設置され、蒸気使用装置としての熱交換器25に供給される蒸気量としての流入流量を(Q)を検出する。流量計34は流入管21に配置され、復水圧送装置24に流入する復水量としての流入流量(Q)を検出するものであってもよい。寿命推定器35は作動検出器33と流量計34で検出した所定時間における作動回数(N)と流入流量(Q)との比(N/Q)あるいは1回の作動に要する時間(T)と流入流量(Q)との比(T/Q)を演算し、比(N/Q)が所定の閾値を下回ったときにあるいは比(T/Q)が所定の閾値を上回ったときに寿命が近づいていることを報知するアラームを発する。
【0012】
図2は、密閉容器内の液位が低くフロート3が底部に位置する状態を示している。フロート弁4は閉弁して密閉容器内と圧送口9を遮断し、給気弁体19が給気口6を閉口すると共に排気弁体16が排気口7を開口している。密閉容器内の作動流体が排気口7から排気管23を通して蒸気循環側に排気されると共に熱交換器25で発生した復水が流入管21から流入側逆止弁20を介して流入口8から密閉容器内に流入される。密閉容器内の液位上昇に伴ってフロート3が上昇してフロート弁4が開弁する。密閉容器内の液位が所定高位に達すると、スナップ機構部5がスナップ移動して給気弁体19が給気口6を開口すると共に排気弁体16が排気口7を閉口し、給気口6から密閉容器内に供給される作動流体によって、密閉容器内の復水が圧送口9から圧送側逆止弁22を介してボイラー29へ圧送される。復水の圧送に伴ってフロート3が降下し、密閉容器内の液位が所定低位に達すると、フロート弁4が閉弁し、スナップ機構部5が反対側にスナップ移動して給気弁体19が給気口6を閉口すると共に排気弁体16が排気口7を開口する。このような作動サイクルを繰り返す。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、各種蒸気使用装置で発生した復水を作動流体により復水圧送先に圧送する復水圧送装置のモニタリングシステムに利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 本体
2 蓋
6 給気口
7 排気口
8 流入口
9 圧送口
20 流入側逆止弁
21 流入管
22 圧送側逆止弁
23 排気管
24 復水圧送装置
25 熱交換器
29 ボイラー
30 圧送管
31 蒸気配管
32 給気管
33 作動検出器
34 流量計
35 寿命推定器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器に作動流体の給気口と排気口及び圧送復水の流入口と圧送口が設けられ、流入口が密閉容器への復水の流れだけを許容する流入側逆止弁を介して蒸気使用装置に連通する流入管に接続され、圧送口が復水圧送先への復水の流れだけを許容する圧送側逆止弁を介して復水圧送先に連通する圧送管に接続され、給気口が高圧の作動流体源から蒸気使用装置に蒸気が供給される蒸気配管に連通する給気管に接続され、排気口が排気管を介して蒸気循環側に連通する排気管に接続され、密閉容器内の液位が所定高位に達すると給気口が開口されると共に排気口が閉口されて密閉容器内に作動流体が供給されることにより、密閉容器内の復水が圧送口から復水圧送先へ圧送され、密閉容器内の液位が所定低位に達すると給気口が閉口されると共に排気口が開口されて密閉容器内の液位が所定高位に達するまで密閉容器内の作動流体が排気口から蒸気循環側に排気されると共に蒸気使用装置で発生した復水が流入口から密閉容器内に流入される復水圧送装置において、所定時間における作動回数(N)あるいは1回の作動に要する時間(T)を検出する作動検出器と、蒸気使用装置に供給される蒸気量あるいは復水圧送装置に流入する復水量としての流入流量(Q)を検出する流量計と、所定時間における作動回数(N)と流入流量を(Q)との比(N/Q)あるいは1回の作動に要する時間(T)と流入流量を(Q)との比(T/Q)を演算する寿命推定器とを具備したことを特徴とする復水圧送装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−106548(P2011−106548A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261280(P2009−261280)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】