説明

循環流動床ボイラ

前部壁(16)、後部壁(16’)、及び2つの側壁(14、14’)によって水平方向に密閉された方形の炉(12)と、前部壁(16)と後部壁(16’)のそれぞれの上部部分へ接続された複数の粒子分離器(18、18’)であって、各粒子分離器がガス出口(34、34’)を備える、複数の粒子分離器(18、18’)と、清浄にした煙道ガスを後部煙道(28)へ誘導するようにガス出口へ接続された煙道ガス・ダクト・システム(26)とを備え、粒子分離器が、粒子分離器対の形で構成され、各対の粒子分離器が、前部壁(16)に隣接して構成された前部分離器(18)と、後部壁(16’)に隣接して構成された後部分離器(18’)とを含み、煙道ガス・ダクト・システムが、連結ダクト(32、32’、32”)を備え、各連結ダクトが、1対の粒子分離器のうちの前部分離器(18)のガス出口(34)を、炉全体を越えて同じ対の粒子分離器のうちの後部分離器(18’)のガス出口(34’)へ、そして後部煙道(28)へ接続し、後部煙道(28)が、炉(12)の後部壁側に構成される、循環流動床ボイラ(10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の循環流動床(CFB)ボイラに関する。したがって、本発明は、通常約300MWeを超える容量を有し、炉の2つの長い側壁のそれぞれに対して平行に接続された複数の粒子分離器を備える大型のCFBボイラに関する。本発明は特に、粒子分離器からの清浄にした煙道ガスを後部煙道へ誘導するために使用される煙道ガス・ダクト・システムの構成を対象とする。
【背景技術】
【0002】
煙道ガス及び煙道ガスに同伴される固体粒子の流れは通常、大型のCFBボイラの炉から煙道ガス排出チャネルを通って、平行に構成された複数の粒子分離器、通常サイクロン分離器へ排出される。粒子分離器内で煙道ガスから分離された粒子は炉に戻され、清浄にした煙道ガスは、煙道ガス・ダクト・システムを介して後部煙道へ誘導される。後部煙道内では、煙道ガスから熱エネルギーが回収され、冷却された煙道ガスは、後部煙道から様々なガス清浄ステップへさらに導かれ、最後には煙突へ、又は酸素燃料燃焼の際には二酸化炭素固定ステップへ導かれる。
【0003】
通常約300MWe以下の容量を有する小型及び中型のCFBボイラには、通常1つ〜4つの粒子分離器が存在し、これらの粒子分離器はすべて、ボイラの1つの側壁上に構成される。約300MWeを超える容量を有する大型のCFBボイラには、通常複数の粒子分離器が存在し、ボイラの2つの対向する長い側壁のそれぞれの上に構成される。すべての粒子分離器が炉の同じ側壁上で接続されるとき、又は1つの粒子分離器しか存在しないとき、炉のうち分離器と同じ側で後部煙道を構成することが知られており、それによってこの構成は、インライン構造として知られている。別法として、炉の片側に構成された後部煙道及び1つ又は複数の粒子分離器は、炉の両側に位置決めすることができ、それによってこの構造は、粒子分離器のガス出口を後部煙道へ接続する煙道ガス・ダクトが、清浄にした煙道ガスを炉の上部を越えて誘導するため、オーバー・ザ・トップ(over−the−top)構造として知られている。
【0004】
ボイラの2つの対向する長い側壁のそれぞれに複数の粒子分離器を有する大型のCFBボイラは通常、方形の断面をもつ炉を有し、長い側壁の幅は、短い側壁の幅より明らかに大きい。従来技術によれば、そのような大型のCFBボイラは、炉の短い側壁に隣接して構成された後部煙道を有する。同じ側壁上に構成された粒子分離器のガス出口管は、共通の煙道ガス・ダクトへ接続され、この煙道ガス・ダクトが、清浄な煙道ガスを後部煙道へ誘導する。ガス出口管の数は通常、少なくとも3つである。炉の長い側壁の両方に粒子分離器が存在するため、煙道ガス・ダクト・システムは、必然的に2つの煙道ガス・ダクトを備える。このときそのような煙道ガス・ダクトは、分離器より上、又は炉の上部で、炉の水平断面の長い寸法に対して平行に構成される。分離器より上に煙道ガス・ダクトをもつCFBボイラの一例は、2007年8月にCoalGen Conference in Milwaukee,Wisconsinで提示された記事「Milestones for CFB and OTU Technology−The 460 MWe Lagisza Design Supercritical Boiler Project Update」に記載されている。
【0005】
上記のタイプの大型のCFBボイラの煙道ガス・ダクトはかなり長く、現在最大のCFBボイラでは30メートルを超える。したがって、煙道ガス・ダクトは、構造の十分な安定性及び耐久性を得るようにうまく支持しなければならない。米国特許第7,244,400号に開示されている有利な構成によれば、煙道ガス・ダクトは、炉壁の延長部として炉より上に形成される。この構成は、剛性及び耐久性のある構造を提供し、長い煙道ガス・ダクトからなる従来の構造に関係する問題をある程度小さくする。
【0006】
従来の大型の循環流動床ボイラの2つの煙道ガス・ダクトはそれぞれ、たとえば3つ又は4つの分離器から煙道ガスを収集する。したがって、煙道ガス・ダクトの断面が端部の方へ向かって拡大しない限り、ガスの流れは、特に煙道ガス・ダクトの最後の区間では非常に大きくなり、場合によっては浸食する。しかし、そのような徐々に広がる煙道ガス・ダクトは、複雑な構造である。別の可能性は、長い煙道ガス・ダクトが、端部でも十分に遅い流速を維持するのに十分なほど広い一定の断面積を有することである。そのような構造は、煙道ガス・ダクトの重量を増大させ、煙道ガスの流速が一定でないために問題を引き起こすことがある。
【0007】
2003年10月13日に47th International Energy Agency Workshop on Large Scale CFB、Zlotnicki、Polandで提示された記事「Recent Alstom Power Large CFB and Scale up aspects including steps to Supercritical」は、長い側壁のそれぞれに3つの粒子分離器を有する大型のCFBボイラを示している。このCFBボイラでは、各側壁の粒子分離器の出口ダクトは、収集チャネルによってともに接続され、また収集チャネルの中心へ接続された共通の煙道ガス・ダクトによって後部煙道へさらに接続される。この構成は、複雑な構造を提供し、たとえば支持するのが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7,244,400号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】2007年8月にCoalGen Conference in Milwaukee,Wisconsinで提示された記事「Milestones for CFB and OTU Technology−The 460 MWe Lagisza Design Supercritical Boiler Project Update」
【非特許文献2】2003年10月13日に47th International Energy Agency Workshop on Large Scale CFB、Zlotnicki、Polandで提示された記事「Recent Alstom Power Large CFB and Scale up aspects including steps to Supercritical」
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の問題を最小にするために、本発明は、請求項1に記載の循環流動床ボイラを提供する。したがって、本発明は、前部壁、後部壁、及び2つの側壁によって水平方向に密閉された方形の炉であって、前部壁及び後部壁の共通の幅が側壁の共通の幅より大きい、方形の炉と、煙道ガスの流れからの粒子と炉から排出された粒子を分離するように前部壁と後部壁のそれぞれの上部部分へ接続された複数の粒子分離器であって、各粒子分離器が、清浄にした煙道ガスを粒子分離器から排出するためのガス出口を備える、複数の粒子分離器と、清浄にした煙道ガスを後部煙道へ誘導するように粒子分離器のガス出口へ接続された煙道ガス・ダクト・システムとを備え、複数の粒子分離器が、複数対の粒子分離器の形で構成され、各対の粒子分離器が、前部壁に隣接して配置された前部分離器と、後部壁に隣接して配置された後部分離器とを含み、煙道ガス・ダクト・システムが、複数の連結ダクトを備え、各連結ダクトが、1対の粒子分離器のうちの前部分離器のガス出口を、炉の上方を越えて同じ対の粒子分離器のうちの後部分離器のガス出口へ、そして後部煙道へ接続し、後部煙道が、炉の後部壁側で後部分離器の外側に配置される、循環流動床ボイラを提供する。
【0011】
上述のように、炉の両方の長い側壁上に構成された粒子分離器を有する大型の循環流動床ボイラでは、後部煙道は従来、炉の短い側壁に隣接して構成される。したがって、清浄にした煙道ガスは従来、2つの長い側壁に沿って構成された2つの煙道ガス・ダクトに沿って後部煙道へ誘導される。本発明者らは、驚くべきことに、炉の短い側壁のうちの1つの近くではなく長い側壁のうちの1つに後部煙道を構成し、各対の粒子分離器から排出された煙道ガスを、炉の上方を越えて後部煙道へ延びる連結ダクトに沿って後部煙道へ誘導することによって、ボイラ・プラントのより有利な配置を得られることを見出した。
【0012】
本発明による連結ダクトは、両方の長い側壁上に粒子分離器を有するボイラの長手方向の対称性を壊すため、有利でない構造を提供するように思われる。しかし、下記の様々な考慮では、この構造が結局、煙道ガス・ダクト・システムの非常に有利な構造及び発電所の全体的に小型の配置につながることがわかった。
【0013】
本発明者らが観察した本発明の有利さの主な理由は、それぞれ多くの粒子分離器を後部煙道へ接続する2つの長い煙道ガス・ダクトを有するより、それぞれ2つの粒子分離器を後部煙道へ接続する多くの比較的短い煙道ガス・ダクトの方が容易に構成できることである。そのような比較的短い煙道ガス・ダクト、すなわち連結ダクトは、炉の長い側壁に沿って延びるより長い煙道ガス・ダクトより容易に支持することができる。本発明は、炉の水平断面が細長く、したがって前部壁及び後部壁の幅が短い側壁の幅より明らかに大きい大型の循環ボイラで特に有利である。したがって、本発明は、前部壁及び後部壁の幅が短い側壁の幅の少なくとも約3倍であるとき、特に有利である。
【0014】
方形の炉の主支持梁は、炉の水平断面の長い寸法に対して直角に構成されると有利である。
【0015】
したがって、本発明による連結ダクトは主支持梁と位置合わせされ、それによって全体として小型の配置を形成する可能性をもたらす。その場合連結ダクトは、少なくとも部分的に主支持梁間に構成することもできる。したがって、炉のそれぞれの長い側壁に好ましくは少なくとも3つ、さらにより好ましくは少なくとも4つの粒子分離器を有する大型の循環流動床ボイラでは、前部壁上の粒子分離器と後部壁上の対応する粒子分離器とからなる各対の粒子分離器を共通の連結ダクトによって後部煙道へ接続すると有利である。
【0016】
本発明による煙道ガス・ダクト・システムは、好ましくは少なくとも3つ、さらにより好ましくは少なくとも4つの平行の連結ダクトを備える。連結ダクトはそれぞれ、後部煙道の後部壁の高さまで、同じ寸法、すなわち同じ長さ及び同じ断面を有すると有利である。したがって、連結ダクトは、一続きの作業により経済的に製造することができる。このとき連結ダクトの支持も、簡単及び有利な方法で行うことができる。
【0017】
寸法が類似しているため、連結ダクトはそれぞれ、煙道ガスに対してほぼ同じ圧力降下を提供する。したがって、燃焼条件は、炉の中心で、短い側壁のそれぞれにできるだけ近いところで容易に類似させることができ、炉全体にわたって最適且つ環境的に有利な燃焼プロセスを得ることが可能である。
【0018】
本発明の有利な実施例によれば、各連結ダクトのうち後部分離器と後部煙道の間に位置する部分の断面積は、前部分離器と後部分離器の間の部分の断面積の約2倍の大きさである。断面積が拡大するため、煙道ガスの速度は、連結ダクト全体にわたって概ね一定のままである。そのような一定の速度により、煙道ガスの流れ内で乱流を小さくし、この流れに同伴される粒子によって引き起こされる浸食を最小にすることが可能になる。
【0019】
煙道ガス・ダクト・システムは、煙道ガスからの熱を水又は蒸気へ伝達するための水管又は蒸気管を備えると有利である。本発明の有利な実施例によれば、各連結ダクトは方形の断面を有し、後部分離器と後部煙道の間の一定の幅及び高さは、前部分離器と後部分離器の間の高さの約2倍である。幅を一定にすると、連結ダクト間に炉の支持梁を構成するのに有利である。
【0020】
断面の拡大は、ダクトの上部表面を一定の高さで保持し、後部分離器からのガスの流れが前部分離器からのガスの流れと合流する箇所までダクトの高さを下方へ増大させることによって行われると有利である。したがって、前部分離器と後部分離器の間、すなわち炉の上には自由空間が存在し、この自由空間を使用して、たとえば炉内に熱交換器のための懸架手段を構成できると有利である。
【0021】
煙道ガス・ダクトは、まっすぐな水管パネルから作ると有利であり、この水管パネルは、特に後部分離器からのガスの流れが前部分離器からのガスの流れと合流する箇所で、必要な形状を得るのに適した方法で湾曲させられる。冷却式の煙道ガス・ダクト・システムは、耐久性のある軽量の構造として有利である。したがって、本発明による簡単な形状の連結ダクトを作ると、直線状の水管パネルを使用することによって、冷却式の煙道ガス・システムを経済的に製造することが可能になる。
【0022】
たとえば長い側壁上で3つ又は4つの粒子分離器を接続する対応する煙道ガス・ダクトで必要な2つ又は3つの拡大区間ではなく、1つの拡大区間しか使用しないため、本発明による連結ダクトでは、煙道ガスの比較的平滑な流れを得ることができる。後部分離器からの煙道ガスの流れと対応する前部分離器からの煙道ガスの流れの合流は、合流点で前部分離器からの流れに位置合わせされるように後部分離器からの流れを誘導するように形成されると有利である。この構成によって、煙道ガスは、煙道ガス・ダクト・システムを通って平滑に流れ、フライ・アッシュが煙道ガスに同伴されたまま残っているために、大きな圧力降下又は大きな乱流によりシステムの内部表面で大きな浸食を生じることはない。
【0023】
冷却式の煙道ガス・ダクト・システムは従来、浸食を回避するため、耐火層によって内部保護される。しかし、本発明による連結ダクトの形状は簡単で最適化されているため、ダクト・システムの少なくとも一部分は、耐火層によって保護されないが、煙道ガスは、連結ダクトの水管又は蒸気管パネルの金属表面に接触できることが有利である。それによって、連結ダクトの製造コストは低減され、表面の熱伝達率は改善される。
【0024】
後部煙道は、後部壁に面する第1の長い側壁と、炉の短い側壁に対して平行な2つの短い側壁とをもつ方形の断面を有すると有利である。それによって、すべての連結ダクトを後部煙道の第1の長い側壁の上部部分へ接続することができる。しかし、少なくとも4つの連結ダクトが存在するときに特に有用な本発明の好ましい実施例によれば、2つの真ん中の連結ダクトは第1の長い側壁へ接続されるが、2つの最も外側の連結ダクトは、湾曲チャネルによって、後部煙道の短い側壁の上部部分へ接続される。この構造により、すべての主支持梁を支持するための同一の柱システムを構成することが可能である。この構造によって、後部煙道への煙道ガスのさらなる流れを得ることも可能であり、それによって後部煙道内の熱交換面における熱伝達効率を改善する。
【0025】
上記の簡単な説明、並びに本発明のさらなる目的、特徴、及び利点は、本発明の現在好ましいがそれでもなお例示的な実施例の以下の詳細な説明を、添付の図面と併せて参照することによって、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の好ましい実施例による循環流動床ボイラの概略上面図である。
【図2】図1に示す循環流動床ボイラの概略垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明による循環流動床(CFB)ボイラ10の概略上面図を示し、図2は、図1の線A−Aに沿って切り取ったCFBボイラの概略垂直断面図を示す。CFBボイラの炉12は方形の断面を有し、この断面は、2つの短い側壁14、14’と、2つの長い側壁すなわち前部壁16及び後部壁16’とを有する。それぞれの長い側壁へは、煙道ガス排出チャネル20によって複数の粒子分離器18、18’が接続される。ここでは、それぞれの長い側壁上の粒子分離器の数は4つであるが、たとえば3つ、又はさらには5つ以上とすることもできる。
【0028】
炉12内で燃料が燃焼されると、高温の煙道ガス、及び煙道ガスに同伴される粒子が、煙道ガス排出チャネル20を通って粒子分離器18、18’へ排出される。粒子分離器18、18’内で煙道ガスから分離された粒子は、戻りダクト22を介して炉12の下部部分へ戻される。戻りダクトは、再循環された高温の粒子から熱を回収するために、熱交換面24を備えると有利である。
【0029】
清浄にした煙道ガスの流れは、煙道ガス・ダクト・システム26を通って後部煙道28へ誘導される。後部煙道は通常、煙道ガスからの熱を熱伝達媒体へ伝達するための熱交換面30を備える。図1では、1つの熱交換面30だけを記号で示すが、実際には、過熱器、再熱器、節炭器、及び空気加熱器など、通常いくつかの熱交換面が存在する。冷却された煙道ガスは、後部煙道から、図1には示していない集塵器及び二酸化硫黄スクラバなどのガス清浄段階へさらに誘導される。清浄にした煙道ガスは最終的に、煙突を通って環境へ解放され、又は酸素燃料燃焼の際には、さらに、二酸化固定段階へ誘導される。
【0030】
炉の両方の長い側壁上に複数の粒子分離器を有する大型のCFBボイラでは通常、後部煙道は、炉の短い側壁のうちの1つに隣接して構成される。しかし、本CFBボイラ10は異なる配置に基づいており、後部煙道28は、炉の後部壁16’側で粒子分離器18’の外側に構成される。図1で最もよくわかるように、この構成は、たとえばシステム、すなわち炉12、粒子分離器18、18’、後部煙道28、及び煙道ガス・ダクト・システム26を小型の鋼鉄製の構造(図示せず)上に支持できるようにするのに有利な小型の配置を提供する。この構成によって、図示していないボイラ建造物の最大寸法が低減され、たとえば空気、燃料、煙道ガス、水、及び蒸気を輸送するための様々なチャネル及びパイプの全体的な長さが最小になる。
【0031】
本発明によれば、前部壁16上の各粒子分離器18、いわゆる前部分離器、及び後部壁16’上の対応する位置にある粒子分離器18’、いわゆる後部分離器は、共通の連結ダクト32によってともに接続された1対の粒子分離器を形成する。したがって、煙道ガス・ダクト・システム26は概して複数の連結ダクト32、32’、32”からなり、複数の連結ダクト32、32’、32”はそれぞれ、1対の粒子分離器のうちの前部分離器18のガス出口34を、炉12の上方を越えて同じ対の粒子分離器のうちの後部分離器18’のガス出口34’へ、そしてさらに後部煙道28へ接続する。
【0032】
図1でわかるように、各連結ダクト32、32’、32”は、長い側壁上のすべての粒子分離器を、短い側壁に隣接して構成された後部煙道へ接続する従来の煙道ガス・ダクトより短い。構造の長さが増大するとともに、構造の剛性及び安定性に関係する問題が急速に増大するため、本構造は、特に好ましくは300MWeを超える容量、さらにより好ましくは500MWeを超える容量を有する非常に大型のCFBボイラの場合、従来の構造に対する改善を提供する。
【0033】
本発明による煙道ガス・ダクト・システム26は、好ましくは少なくとも3つ、さらにより好ましくは少なくとも4つの連結ダクト32、32’、32”を備える。連結ダクト32、32’、32”は、互いに同一であることが好ましく、すなわち、ベローズ36まで同一の断面及び同じ長さを有する。したがって、連結ダクト32、32’、32”はそれぞれ、煙道ガスに対してほぼ同一の圧力降下を提供し、それによって炉12内で均一の最適化された燃焼プロセスを得るのに役立つ。同一の連結ダクト32、32’、32”は、一続きの作業によって経済的に製造できる直線状の水管パネルから構築されることが好ましい。
【0034】
図2でわかるように、連結ダクト32、32’、32”の最終部分40、すなわち後部分離器18’と後部煙道28の間における交差ダクトの高さ38’は、連結ダクト32、32’、32”の第1の部分42、すなわち前部分離器18と後部分離器18’の間における交差ダクトの高さ38の約2倍であると有利である。他方では、図1でわかるように、連結ダクト32、32’、32”の幅44は、ダクト全体を通じて一定であると有利である。したがって、連結ダクト32、32’、32”の断面積は、接合部46、すなわち後部分離器18’からのガスの流れが前部分離器18からのガスの流れと合流して、第1の部分42内の約2倍の大きさになる箇所で変化する。最終部分40では、2つの分離器からの煙道ガスを収集するが、煙道ガスの流速は、連結ダクト32、32’、32”全体を通じてほぼ一定である。したがって、連結ダクト内の煙道ガスの速度は、煙道ガスに同伴されるフライ・アッシュ粒子の浸食作用が許容できるレベルになるように、容易に最適化することができる。
【0035】
図1でわかるように、接合部46における連結ダクト32、32’、32”の断面積の拡大は、上部壁48を一定のレベルで保ちながらダクトの高さを下方へ増大させることによって行われると有利である。この構造は、直線状の水管パネル又は蒸気管パネルを必要な形状に湾曲させることによって主に行うことができると有利である。したがって、本発明による簡単な形状の連結ダクトにより、費用効果の高い煙道ガス・ダクト・システム内で煙道ガスを効率的に冷却することが可能になる。
【0036】
前部分離器18からの煙道ガスの流れが連結ダクト32の第1の部分42を通って炉12の上部を横切るように誘導されてから、後部分離器18’からの煙道ガスが前部分離器18からの煙道ガスに合流する。したがって、煙道ガスの流れは、連結ダクト内で接合部46の上流に都合よく規定された方向を有する。前部分離器からの煙道ガスの流れ、いわゆる最初の流れの方向性をこのように都合よくすることによって、後部分離器18’からの煙道ガスの流れは、最初の流れを本質的に妨害しないで合流することが可能になる。煙道ガスの流れの合流は、接合部46において最初の流れと位置合わせされるように後部分離器18’からの煙道ガスの流れを誘導することによって行われると有利である。この構成により、連結ダクト32、32’、32”内の乱流及び圧力降下を減らし、連結ダクトの内部表面の浸食を最小にする。
【0037】
一般に、耐火層によって煙道ガス・ダクトを内部保護することが知られている。連結ダクト32、32’、32”の簡単な最適化された形状のため、本発明の好ましい実施例によれば、ダクト・システムの少なくとも一部分50は、耐火層によって保護されないが、煙道ガスは、連結ダクトの水管パネル又は蒸気管パネルの金属表面に接触することができる。そのような保護されていない領域50は、連結ダクト32、32’、32”の第1の区間42の下流端部に近接して提供されると有利である。保護されていない部分50を使用することで、連結ダクトの重量及び製造コストを減らし、連結ダクト32、32’、32”の表面における熱伝達率を改善する。
【0038】
後部煙道28は、後部壁16’に面する第1の長い側壁52と、炉の短い側壁14、14’に対して平行な2つの短い側壁54とをもつ方形の断面を有すると有利である。連結ダクト32、32’、32”は、後部煙道28の第1の長い側壁52の上部部分へ接続することができる。しかし、少なくとも4つの連結ダクト32、32’、32”が存在するときに特に有用な図1に示す本発明の好ましい実施例によれば、2つの最も外側の連結ダクト32’、32”は、湾曲区間56によって後部煙道28の短い側壁54の上部部分へ接続され、残りの真ん中の連結ダクト32だけが、第1の長い側壁52へ接続される。この構成により、後部煙道28内でも煙道ガスの比較的均等な流れを得ることが可能になり、それによって後部煙道内の熱交換面30における熱伝達効率を改善する。ベローズ36まで連結ダクト32、32’、32”の同一の形状を使用することによって、図1には示していないが、連結ダクト間のボイラ10の支柱の規則的なアレイを構成することが可能である。
【0039】
本発明について、現在最も好ましい実施例であると考えられるものに関連して一例として本明細書に説明したが、本発明は、開示した実施例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に規定の本発明の範囲内に含まれる特徴及びいくつかの他の応用例の様々な組合せ又は修正を包含することを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部壁(16)、後部壁(16’)、及び2つの側壁(14、14’)によって水平方向に密閉された方形の炉(12)であって、前記前部壁及び前記後部壁の共通の幅が前記側壁の共通の幅より大きい、方形の炉(12)と、
煙道ガスの流れからの粒子と前記炉から排出された粒子を分離するように前記前部壁(16)と前記後部壁(16’)のそれぞれの上部部分へ接続された複数の粒子分離器(18、18’)であって、各粒子分離器が、清浄にした煙道ガスを前記粒子分離器から排出するためのガス出口(34、34’)を備える、複数の粒子分離器(18、18’)と、
清浄にした煙道ガスを後部煙道(28)へ誘導するように前記粒子分離器の前記ガス出口へ接続された煙道ガス・ダクト・システム(26)と
を備える循環流動床ボイラ(10)において、
前記複数の粒子分離器が、複数対の粒子分離器の形で構成され、各対の粒子分離器が、前記前部壁(16)に隣接して配置された前部分離器(18)と、前記後部壁(16’)に隣接して配置された後部分離器(18’)とを含むこと、並びに前記煙道ガス・ダクト・システムが、複数の連結ダクト(32、32’、32”)を備え、各連結ダクトが、1対の粒子分離器のうちの前部分離器(18)の前記ガス出口(34)を、前記炉の上方を越えて同じ対の粒子分離器のうちの前記後部分離器(18’)の前記ガス出口(34’)へ、そして前記後部煙道(28)へ接続し、前記後部煙道(28)が、前記炉(12)の前記後部壁側で前記後部分離器(18’)の外側に配置されることを特徴とする、循環流動床ボイラ(10)。
【請求項2】
前記前部壁(16)及び後部壁(16’)の前記幅が、前記側壁(14、14’)の前記幅の少なくとも3倍であることを特徴とする、請求項1に記載の循環流動床ボイラ。
【請求項3】
前記複数対の粒子分離器(18、18’)が、少なくとも3対の粒子分離器を備えることを特徴とする、請求項2に記載の循環流動床ボイラ。
【請求項4】
前記複数対の粒子分離器(18、18’)が、少なくとも4対の粒子分離器を備えることを特徴とする、請求項3に記載の循環流動床ボイラ。
【請求項5】
前記複数の連結ダクト(32、32’、32”)がそれぞれ、概して同じ寸法を有することを特徴とする、請求項3に記載の循環流動床ボイラ。
【請求項6】
前記煙道ガス・ダクト・システムが、前記煙道ガスからの熱を水又は蒸気へ伝達するための水管又は蒸気管を備えることを特徴とする、請求項1に記載の循環流動床ボイラ。
【請求項7】
前記連結ダクト(32、32’、32”)が、直線状の水管パネルから作られることを特徴とする、請求項6に記載の循環流動床ボイラ。
【請求項8】
前記連結ダクト(32、32’、32”)が一定の幅(44)を有し、後部分離器(18’)と前記後部煙道(28)の間の各連結ダクトの高さ(38’)が、前記後部分離器(18’)と前部分離器(18)の間の前記連結ダクトの高さ(38)の約2倍であることを特徴とする、請求項1に記載の循環流動床ボイラ。
【請求項9】
前記連結ダクト(32、32’、32”)が、一定の高さに上部壁(48)を有することを特徴とする、請求項8に記載の循環流動床ボイラ。
【請求項10】
前記煙道ガス・ダクト・システム(26)の少なくとも一部分が、耐火層によって内部保護されることを特徴とする、請求項1に記載の循環流動床ボイラ。
【請求項11】
前記煙道ガス・ダクト・システム(26)の一部分(50)が、耐火層によって保護されないことを特徴とする、請求項10に記載の循環流動床ボイラ。
【請求項12】
前記連結ダクト(32、32’、32”)がそれぞれ、前部分離器(18)から排出された煙道ガスと後部分離器(18’)から排出された煙道ガスを合流させるための接合部(46)を備え、前記接合部が、前記前部分離器から排出された前記煙道ガスとが整合するように前記後部分離器から排出された煙道ガスを誘導するように形成されることを特徴とする、請求項1に記載の循環流動床ボイラ。
【請求項13】
前記後部煙道(28)が、前記後部壁(16’)に面する第1の長い側壁(52)と、前記炉(12)の前記短い側壁(14、14’)に対して平行な2つの短い側壁(54)とをもつ方形の断面を有し、前記炉の前記短い側壁(14、14’)の最も近くに位置する前記2つの最も外側の連結ダクト(32’、32”)が、湾曲区間(56)によって前記後部煙道(28)の前記短い側壁(54)へ接続され、他の連結ダクト(32)が、前記後部煙道の前記第1の長い側壁(52)へ直接接続されることを特徴とする、請求項3に記載の循環流動床ボイラ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−523539(P2012−523539A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504040(P2012−504040)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050281
【国際公開番号】WO2010/116039
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(506425251)フォスター ホイーラー エナージア オサケ ユキチュア (23)
【Fターム(参考)】