説明

微多孔性ポリマー膜、電池用セパレータ、およびそれらの製造方法

本発明は、電池用セパレータフィルムとしての使用に好適な多層微多孔膜の発見に関する。本発明はまた、かかる膜の製造方法、電池用セパレータとしてかかる膜を含有する電池、およびかかる電池の使用方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年5月11日出願の米国特許仮出願第61/177,060号および2009年6月25日出願の欧州特許出願公開第091636985号;2009年3月30日出願の米国特許仮出願第61/164,824号および2009年5月25日出願の欧州特許出願公開第091609644号;2009年3月30日出願の米国特許仮出願第61/164,817号および2009年5月25日出願の欧州特許出願公開第091609651号;2009年3月30日出願の米国特許仮出願第61/164,833号および2009年5月25日出願の欧州特許出願公開第091609669号;2009年3月30日出願の米国特許仮出願第61/164,827号および2009年5月25日出願の欧州特許出願公開第091609677号;2009年6月24日出願の米国特許仮出願第61/220,094号および2009年8月19日出願の欧州特許出願公開第091681940号の優先権を主張し、それぞれの内容を全体として参照により組み入れるものとする。
【0002】
本発明は、130.5℃以下のシャットダウン温度および0.3ボルト以下の保存安定性を有する多層微多孔膜に関する。本発明は、かかる多層微多孔膜により形成される電池用セパレータ、およびかかるセパレータを含む電池に関する。本発明の別の態様は、多層微多孔膜の製造方法、セパレータとしてかかる膜を用いる電池の製造方法、およびかかる電池の使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
微多孔膜は、例えば、リチウム一次電池および二次電池、リチウムポリマー電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル亜鉛電池、銀亜鉛二次電池等における電池用セパレータとして使用することができる。微多孔膜を電池用セパレータ、特にリチウムイオン電池用セパレータとして使用する場合、膜の性能が電池の特性、生産性、および安全性に大きく影響する。したがって微多孔膜は、好適な機械的特性、耐熱性、透過性、寸法安定性、シャットダウン特性、メルトダウン特性等を有するべきである。電池は、電池の安全性を向上させるために比較的低いシャットダウン温度および比較的高い温度安定性を有することが望ましく、特に製造、充電、再充電、過充電、使用、および/または保管中に高温にさらされる電池に関して必要である。セパレータの透過性を向上させると、通常は電池のパワーおよび容量の向上につながる。低いシャットダウン温度は、特に電池が過充電条件下で作動する場合に、電池の安全性の向上にとって望ましい。高温でセパレータが劣化すると電池の電圧低下を引き起こすので、セパレータの保存安定性の向上が望まれている。
【0004】
電池用セパレータとして使用するために、炭素原子10,000個当たり約0.2超の末端不飽和基量を有するポリエチレンを含む微多孔膜が開示されている。これらのセパレータは、比較的強度が低くなってしまうものの、シャットダウン温度が低く、国際公開公報第1997/23554号Aおよび特開2002−338730号公報に開示されているように、電池の安全性の改善につながっている。しかしながら、そのような末端不飽和基量のポリエチレンを含む微多孔膜は電池の保管および使用中に劣化することも確認されている。こうした劣化は、少なくとも一部はポリエチレンの酸化反応が原因であると考えられる。炭素原子10,000個当たり約0.2未満の末端不飽和基量を有するポリエチレンを含む微多孔膜もまた、電池用セパレータに有用であるとして開示されてきた。これらのセパレータを有する電池は電池の保管および使用中の劣化がより少ないが、これらの電池はシャットダウン温度がより高くなってしまう。
【0005】
したがって、シャットダウン温度と耐酸化性のバランスが改善された多層ポリエチレン膜を提供することが望ましい。
発明の実施形態の概要
【0006】
一態様においては、本発明の実施形態は、ポリマーを含み、130.5℃以下のシャットダウン温度および0.3ボルト(V)以下の保存安定性を有する多層微多孔膜を提供する。
【0007】
別の態様においては、本発明の実施形態は、10〜45重量%の、115.0℃〜130.0℃の範囲の融点、Tm、および5.0×10〜4.0×10の重量平均分子量、Mw、を有する第1のポリマー、55〜90重量%の、1.0×10未満のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有する第1のポリエチレンを互いに独立して含む第1および第3の層;ならびに70〜98重量%の、1.0×10未満のMwを有する第2のポリエチレン、および2〜30重量%の、1.0×10以上のMwを有するポリエチレンを含む第2の層を含み、第2の層が第1の層と第3の層の間に位置する多層微多孔膜を提供する。
【0008】
別の態様においては、本発明の実施形態は、微多孔膜の製造方法であって、(a)少なくとも、115.0℃〜130.0℃の範囲のTmおよび5.0×10〜4.0×10のMwを有する第1のポリマーと、1.0×10未満のMwおよび末端不飽和基量が炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有する第1のポリエチレンとを含む第1のポリマー組成物と、少なくとも第1の希釈剤とを混合する工程;(b)少なくとも、1.0×10未満のMwを有する第2のポリエチレンを含む第2のポリマー組成物と、少なくとも第2の希釈剤とを混合する工程;(c)第1のポリマー組成物を含む第1の層、第2のポリマー組成物を含む第2の層を有する多層押出物を形成する工程;ならびに(d)第1および第2の希釈剤の少なくとも一部を多層押出物から除去して膜を製造する工程を含む方法を提供する。
【0009】
さらに別の態様においては、本発明の実施形態は、負極と、正極と、負極と正極の間に位置する少なくとも1つのセパレータとを含む電池を提供し、セパレータは、115.0℃〜130.0℃の範囲のTmおよび5.0×10〜4.0×10のMwを有する第1のポリマーと、1.0×10未満のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有する第1のポリエチレンとを含む第1の層を含む。この態様においては、セパレータは、Mwが1.0×10未満のポリエチレンを含む第2の層もまた含んでいる。かかる電池は、例えばリチウムイオン一次電池または二次電池であってもよく、例えば、電動ノコギリもしくはドリル等の電動工具用、または電気自動車もしくはハイブリッド電気自動車用の電源として使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特許請求の範囲に記載の発明は、電池の保管および使用中において低いシャットダウン温度およびより良好なセパレータ安定性の両方を有する多層微多孔フィルムの発見に関する。
【0011】
ある実施形態においては、多層微多孔膜は、炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量有するポリエチレンならびに115.0℃以上130.0℃以下のTmおよび5.0×10〜4.0×10のMwを有するポリマー(以下「低融点ポリマー」と呼ぶ)を含む、少なくとも1つの層を有する。この実施形態においては、膜は、1.0×10未満のMwを有するポリエチレンであって、層内において特定の末端不飽和基量を必要とすることのないポリエチレンを含む、別の層もまた含んでいる。
【0012】
以下、特定の実施形態を三層膜に関して説明する。かかる実施形態においては、膜は、第1のポリマー(P1)および第3のポリマー(P3)をそれぞれ含む第1および第3の層を含んでいる。第1および第3のポリマーは、ポリエチレンまたはポリエチレンの混合物と混合された低融点ポリマーを含んでいる。所望により、P3に用いられるポリエチレンまたはポリエチレンの混合物は、P1に用いられるものと同じポリエチレンまたはポリエチレンの混合物より選択される。P1およびP3用に選択されるポリエチレンは、炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有する。多層微多孔膜は、第1の層と第3の層の間に位置する第2の層もまた含有し、第2の層は、1.0×10未満のMwを有するポリエチレン等の第2のポリマー(P2)を含む。第1および第3の層用に末端不飽和基量が少ないポリエチレンを選択すると、電池の保管および使用中の膜の劣化を低減する保存安定性が得られると考えられる。低融点ポリマーを、特に外層内に含んでいることにより、第2の層によって得られる突刺強度および耐収縮性等の他の特性の良好なバランスを維持しつつより低いシャットダウン温度が可能になる、と考えられる。シャットダウン速度は、膜の表面により近い層内にシャットダウン機能を与えることによって向上させることもできる。当業者であれば、三層の膜についての説明が四層以上の膜に適用することができること、またこの説明が第1または第3の層の一方が存在しない二層膜についても矛盾しないことを理解するであろう。
[1]微多孔膜の組成および構造
【0013】
ある実施形態においては、微多孔膜は、1.0×10未満、典型的には1.0×10〜0.95×10のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有する1つまたは複数のポリエチレン(PE1)を互いに独立して含む第1および第3の層を含む。第1または第3の層の少なくとも一方は、低融点ポリマーを含んでいる。膜は、また、第1の層と第3の層の間に位置する第2の層も含み、PE1等の1つまたは複数のポリエチレンを含む。強度の改善が望まれる実施形態においては、1.0×10未満、典型的には1.0×10〜0.95×10のMwおよび炭素原子10,000個当たり例えば0.25以上といった0.20以上の末端不飽和基量を有するポリエチレン(PE2)が、第2の層に用いられる。膜中のPE2の総量は、通常は、例えば5重量%〜18重量%といった、約3重量%〜25重量%の範囲である(重量パーセントは膜中のポリマーの全重量が基準)。第2の層の厚さは、通常は、第1、第2、および第3の層を合わせた合計厚さの約4%〜約25%、約10%〜約20%、または10%〜約15%の範囲である。ある実施形態においては、第1および第3の層は、5重量%未満または1重量%未満のPE1を含有し、かつ第3の層は、5重量%未満または1重量%未満のPE1を含有する。ある実施形態においては、第1、第2、および第3の層は本質的にポリエチレンからなる。
【0014】
別の実施形態においては、多層微多孔膜は、1.0×10以上、典型的には約1.8×10〜2.3×10のMwを有する第3のポリエチレン(PE3)をさらに含む。ある実施形態においては、第1の層は、本質的にPE1、低融点ポリマー、およびPE3からなる。ある実施形態においては、第1の層は、所望によりPE3と組み合わされた、PE1および低融点ポリマーから本質的になり、第2の層は、所望によりPE3と組み合わされたPE1から本質的になり、第3の層は、所望によりPE3と組み合わされた、PE1および低融点ポリマーから本質的になる。
【0015】
ある実施形態においては、多層微多孔膜は、第1および第3の層(「表面」層または「スキン」層とも呼ぶ)が膜の外層を構成し、第2の層が第1の層と第2の層の間に位置する中間層(または「コア」層)である、3つの層を含む。関連する実施形態においては、多層微多孔膜は、さらなる層、すなわち、2つのスキン層およびコア層以外の層を含んでもよい。例えば、膜はさらなるコア層を有してもよい。膜は被覆膜であってもよく、すなわち、第1および第3の層の上に1つまたは複数のさらなる層があってもよいし、第1および/または第3の層に1つまたは複数の層が塗布されていてもよい。必須ではないが、コア層は、例えばA/B/Aといった配置で層が対面で積み重ねられたスキン層の1つまたは複数と平面接触していてもよい。膜がポリオレフィンを含有する場合、膜を「ポリオレフィン膜」と呼んでもよい。膜はポリオレフィンのみを含んでいてもよいが、これは必須ではなく、ポリオレフィン膜が、ポリオレフィン、およびポリオレフィンではない材料を含むことは、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内である。ある実施形態においては、膜はポリエチレンからなるか、または本質的にポリエチレンからなる。
【0016】
必須ではないが、第1および第3の層は、厚さおよび組成が同じであってもよい。第1および第3の層を合わせた厚さは、所望により多層微多孔膜の合計厚さの70%〜96%の範囲であってもよい。例えば厚さは、75%〜85%、または77%〜83%の範囲であってもよい。第1の層内のPE1の量は、所望により、第1の層の重量を基準として50〜90重量%、または55〜70重量%の範囲であってもよい。低融点ポリマーの量は、約10〜約50重量%、特に約15〜30重量%の範囲であってもよい。第1の層がPE3を含む場合、層内のP4の量は、層の重量を基準として45重量%以下、または約10〜25重量%であってもよい。第3の層内の、PE1、低融点ポリマー、および任意であるPE3の量は、通常は第1の層について説明した範囲と同じである。特定の実施形態においては、第3の層の組成は第1の層と実質的に同じであってもよいが、同じである必要はない。
【0017】
ある実施形態においては、第2の層の厚さは、多層微多孔膜の合計厚さの約4%〜約30%、約15%〜約25%、または17%〜約23%の範囲である。第2の層内のPE2の量は、所望により、層の重量を基準として55〜100重量%、または75〜95重量%の範囲であってもよい。第2の層がPE3を含む場合、層内のPE3の量は、層の重量を基準として、ゼロより多く45重量%以下、または5〜25重量%の範囲であってもよい。
【0018】
PE1、PE2、およびPE3に加えて、膜は、特にメルトダウン性能の向上が望まれる場合、所望によりポリプロピレン等の他のポリオレフィンを含んでもよい。
【0019】
ある実施形態においては、膜は、第1および第3の層の厚さが等しく、それぞれが膜の合計厚さの約35%〜約45%の範囲、例えば約40%である、ポリエチレン膜である。ある実施形態においては、第1および第3の層は、例えば55重量%といった、約50重量%〜65重量%の範囲の量のPE1をともに含む。第1および第3の層内の低融点ポリマーの量は等しく、それぞれ20〜30重量%の範囲である。第1および第3の層内のPE3の量は、例えば17〜20重量%といった、15重量%〜30重量%の範囲である。第2の層内のPE1の量は、例えば80〜83重量%といった、約75重量%〜85重量%の範囲であり、第2の層内のPE3の量は、例えば17〜20重量%といった、15重量%〜25重量%の範囲である。
【0020】
以下に、押出物および微多孔膜の製造に用いるPE1、PE2、PE3、ならびに希釈剤についてさらに詳細に説明する。
[2]多層微多孔膜の製造に用いる材料
【0021】
本明細書に記載のポリマー組成物は、1つまたは複数のポリマー、特にポリオレフィン、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンコポリマーを含む、ポリエチレン、ポリプロピレンを含む。本明細書で用いるポリエチレンという用語は、エチレン由来の繰返し単位を有するポリオレフィンホモポリマーまたはコポリマーを指す。このようなポリエチレンとしては、限定するものではないが、ポリエチレンホモポリマー、および/または繰返し単位の少なくとも85%(個数基準)がエチレン由来であるコポリマーが挙げられる。本明細書で用いるポリプロピレンという用語は、プロピレン由来の繰返し単位を有するポリオレフィンホモポリマーまたはコポリマーを指す。このようなポリプロピレンとしては、限定するものではないが、ポリプロピレンホモポリマー、および/または繰返し単位の少なくとも85%(個数基準)がプロピレン由来であるコポリマーが挙げられる。このようなポリエチレンおよびポリプロピレンは、それぞれ、ポリエチレンもしくはポリプロピレンの単独物の、混合物またはリアクタブレンドであってもよい。
【0022】
第1のポリエチレン(PE1)は、約2.0×10〜約0.95×10の範囲のMw、約2〜約50の範囲の分子量分布(「MWD」)、および炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有する高密度ポリエチレン(HDPE)であってもよい。ある実施形態においては、PE1は、例えば約4×10〜約6×10といった、約2.0×10〜約9×10の範囲のMw、および約3〜約10のMWDを有する。ある実施形態においては、PE1は、炭素原子10,000個当たり0.1以下、または炭素原子10,000個当たり0.10以下、例えば炭素原子10,000個当たり0.05〜0.14の範囲の末端不飽和基量を有する。
【0023】
PE2はまた、約2.0×10〜約0.95×10の範囲のMw、約2〜約50の範囲のMWDを有し、かつ炭素原子10,000個当たり0.20以上の末端不飽和基量を有するHDPEであってもよい。ある実施形態においては、PE2は、炭素原子10,000個当たり0.30以上、または炭素原子10,000個当たり0.50以上、例えば炭素原子10,000個当たり0.7〜10の範囲の末端不飽和基量を有する。本発明で使用するPE2の非限定的な例としては、例えば約7.0×10といった、約3.0×10〜約7.0×10の範囲のMw、および約4〜約50のMWDを有するものがある。
【0024】
PE1およびPE2は、エチレンホモポリマー、または例えば、少量、例えば約5モル%の1つまたは複数のα−オレフィンコモノマーを含むようなエチレン/α−オレフィンコポリマーであってもよい。好適なα−オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン、およびそれらの組合せが挙げられる。ポリマーは、例えばチーグラー・ナッタ重合触媒またはシングルサイト重合触媒を用いるプロセスで製造することができるが、これは必須ではない。末端不飽和基量は、例えばPCT公開WO97/23554に記載の手順に従って測定することができる。
【0025】
PE3は、例えば、約1.0×10〜約5.0×10のMwおよび約2〜約100のMWDを有する超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)であってもよい。本発明で使用するPE3の非限定的な例としては、例えば約2.0×10といった、約1.0×10〜約3.0×10のMw、および約2〜約50、好ましくは約4〜15のMWDを有するものがある。PE3は、エチレンホモポリマー、または例えば、少量、例えば約5モル%の1つまたは複数のα−オレフィンコモノマーを含有するようなエチレン/α−オレフィンコポリマーであってもよい。好適なα−オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン、およびそれらの組合せが挙げられる。かかるコポリマーはシングルサイト触媒を用いて製造することができるが、これは必須ではない。
【0026】
低融点ポリマーは、115.0℃〜130.0℃の範囲のTm、および5.0×10〜4.0×10の範囲のMwを有する。一般に、115.0℃超の熱的に処理する温度(例えば熱セット温度)によって、熱的に安定な膜が製造され、熱セット温度がポリマーのTm以上の場合は膜の透過性が低下する。したがって、Tmが115.0℃以下の場合、膜の透過性を低下させずに、同時に熱的に安定な膜(例えば熱収縮が小さいもの)を製造することはより困難である。第1のポリマーのTmが131.0℃超の場合、高い透過性と低いシャットダウン温度の両方を有する微多孔膜を製造することはより難しい。第1のポリマーのMwが5.0×10を有意に下回るかまたはMwが4.0×10を有意に上回ると、Tmが例えば125℃〜130℃の範囲またはそれ以上といった比較的高い場合であっても、良好な透気度を有する微多孔膜を製造することはより困難である、ということが分かっている。
【0027】
ある実施形態においては、低融点ポリマーは、ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマーを含む。いくつかの有用なポリエチレンホモポリマーおよびコポリマーは、8.0×10〜2.0×10の範囲のMwを有する。一実施形態においては、ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマーは、1.0×10〜1.0×10または1.0×10〜7.0×10の範囲のMwを有する。所望によりエチレン系ポリマーは、例えば1.5〜20、約1.5〜約5、または約1.8〜約3.5の範囲といった、100以下のMWDを有する。
【0028】
特定の実施形態においては、低融点ポリマーは、エチレンとα−オレフィン等のコモノマーとのコポリマーを含む。コモノマーは、一般的にエチレンの量と比べて比較的少量で存在する。例えばコモノマー量は、コポリマー100モル%を基準として通常は10モル%未満、例えば1.0%〜5.0モル%である。コモノマーは、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン、または他のモノマーの、特にヘキセン−1またはオクテン−1の1つまたは複数、であってもよい。かかるコポリマーは、シングルサイト触媒を含むいずれかの好適な触媒を用いて製造することができる。例えばポリマーは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,084,534号に開示されている方法(例えば、当該特許の実施例27および41に開示されている方法)に従って製造することができる。コモノマー含有量は、H−NMRまたは他の好適な方法により測定することができる。あるいは、コモノマー含有量は、Mirabella and ChristがJ. Polymer. Sci, Part B, 42, 3416-3427 (2004)に記載している手順に従って評価することができる。
【0029】
低融点ポリマーの量は、膜中のポリマーの全重量を基準として、6.0〜約34重量%の範囲、例えば約10重量%〜30重量%または15.0〜20.0重量%であってもよい。
【0030】
Tmは、JIS K7122に従って次のようにして測定する。第1のポリエチレンの試料を、210℃で溶融プレスされる厚さ0.5mmの成形物として作製し、次いで約25℃の温度にさらしながら約24時間保存する。次いで試料を、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製Pyris Diamond DSC)の試料ホルダーに入れ、窒素雰囲気中にて25℃の温度にさらす。次いで試料を、230℃の温度に達するまで10℃/分の速度で上昇する温度にさらす(第1の加熱サイクル)。試料を230℃の温度に1分間さらし、次いで30℃の温度に達するまで10℃/分の速度で低下する温度にさらす。試料を30℃の温度に1分間さらし、次いで230℃の温度に達するまで10℃/分の速度で上昇する温度にさらす(第2の加熱サイクル)。DSCによって、第2の加熱サイクル中に試料へと流れる熱量が記録される。Tmは、30℃〜200℃の温度範囲内の、DSCによって記録される試料への熱流量が最大の時の温度である。ポリエチレンは、主ピークに隣接する副融解ピーク、および/または溶融終点転移(end-of-melt transition)を示すことがあるが、本明細書においては、そのような副融解ピークはまとめて一つの融点と見なし、これらのピークの中で最も高いものをTmと見なす。
【0031】
ある実施形態においては、ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマーは、例えば120.0℃〜126.0℃、120.5℃〜124.5℃、または121.0℃〜124.0℃といった、120.0℃〜128.0℃の範囲のTmを有する。別の実施形態においては、ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマーは、122.0℃〜126.0℃の範囲のTmを有する。
【0032】
ポリエチレンのMwおよびMnは、示差屈折計(DRI)を備えた高温サイズ排除クロマトグラフ、すなわち「SEC」(GPC PL 220、ポリマーラボラトリーズ社)を用いて決定する。3本のPLgel Mixed-Bカラム(ポリマーラボラトリーズ社製)を用いる。公称流量は0.5cm/分であり、公称注入量は300μLである。トランスファーライン、カラム、およびDRI検出器が、145℃に維持されたオーブン内に含まれている。測定は、"Macromolecules, Vol. 34, No. 19, pp. 6812-6820 (2001)"に開示されている手順に従って行う。
【0033】
使用するGPC溶媒は、約1000ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する、濾過済みの、アルドリッチ社製の、試薬グレードの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)である。TCBを、SECに導入する前にオンライン脱気装置で脱気する。ポリマー溶液は、乾燥ポリマーをガラス容器に入れ、所望の量の上記TCB溶媒を加え、次いでこの混合物を160℃で継続的に撹拌しながら約2時間加熱することにより調製する。UHMWPE溶液の濃度は0.25〜0.75mg/mlである。試料溶液は、GPCに注入する前に、モデルSP260 Sample Prep Station(ポリマーラボラトリーズ社製)を用いて2μmフィルターでオフラインろ過する。
【0034】
Mpが約580〜約10,000,000の範囲の17種のそれぞれのポリスチレン標準を用いて作成した検量線でカラムセットの分離効率を較正し、これを検量線の作成に用いる。ポリスチレン標準はポリマーラボラトリーズ社(マサチューセッツ州アマースト)より入手する。各PS標準についてDRI信号のピークにおける保持容量を記録し、このデータセットを二次多項式に当てはめることによって、検量線(logMp対保持容量)を作成する。ウェーブメトリクス社(Wave Metrics, Inc.)製IGOR Proを用いて試料を分析する。
多層微多孔膜の製造に用いる希釈剤
【0035】
第1、第2、および第3の希釈剤は、例えば、ノナン、デカン、デカリン、p−キシレン、ウンデカン、ドデカン等の脂肪族、脂環式、または芳香族炭化水素の1つまたは複数から成るもの;流動パラフィン;および前述の炭化水素と同程度の沸点を有する鉱油蒸留物であってもよい。必須ではないが、第1、第2、および第3の希釈剤は同じであってもよい。ある実施形態においては、希釈剤は、押出物の製造に用いるポリマー用の不揮発性液体溶媒である。希釈剤の粘度は、25℃の温度で測定した場合、通常は約30cSt〜約500cSt、または約30cSt〜約200cStの範囲である。粘度の選択は特に重要なことではないが、25℃における粘度が約30cSt未満である場合は、ポリマーと希釈剤との混合物が泡立つことがあり、その結果配合が困難になる。一方で、粘度が約500cStを超えた場合は、押出物から溶媒を除去するのがより困難になり得る。
【0036】
ある実施形態においては、押出物中の希釈剤の総量は、例えば、押出物の重量を基準として約25重量%〜約80重量%、または60重量%〜80重量%の範囲であってもよく、残りが押出物の製造に用いるポリマーとなる。他の実施形態においては、押出物は、約65重量%〜80重量%、または70重量%〜75重量%の範囲の量の希釈剤を含む。
【0037】
押出物および微多孔膜は、無機種(ケイ素および/またはアルミニウム原子を含有する種等)および/またはPCT公開公報WO2007/132942および同WO2008/016174に記載のポリマー等の耐熱性ポリマーを含んでもよいが、これらは必須ではない。ある実施形態においては、押出物および膜は、かかる物質を実質的に含まない。この文脈における実質的に含まないとは、微多孔膜中のかかる物質の量が、押出物の製造に用いるポリマーの全重量を基準として1.0重量%未満であることを意味する。
【0038】
一般的には最終的な微多孔膜は押出物の製造に用いるポリマーを含む。処理中に導入する希釈剤または他の種の少量もまた、一般的に微多孔性ポリオレフィン膜の重量を基準として1重量%未満の量で存在してもよい。処理中にポリマーの分子量の低下が少量発生することがあるが、これは許容可能なものである。ある実施形態においては、処理中に分子量の低下があったとしても、膜中のポリマーのMWDの値と押出し前のポリマーのMWDとの違いは、例えばわずか約10%、わずか約1%、またはわずか約0.1%にしかならない。
[3]多層微多孔性ポリオレフィン膜の製造方法
【0039】
ある実施形態においては、多層微多孔膜は、微多孔膜の外層を構成する第1および第3の微多孔層ならびに第1の層と第3の層の間に位置する第2の層を含む。第1の層はP1および希釈剤から製造され、第2の層はP2および希釈剤から製造され、第3の層はP3および希釈剤から製造される。
【0040】
例えば、多層膜の製造方法の1つは、(a) P1と少なくとも1種の第1の希釈剤とを混合する工程であって、P1はPE1および少なくとも第1の低融点ポリマーを含む工程、ならびに(b)少なくともP2と少なくとも1種の第2の希釈剤とを混合する工程であって、P2はPE1またはPE2を含む工程を含む。三層膜が所望である場合は、かかる方法は、P3と少なくとも第3の希釈剤とを混合する工程であって、P3は例えば少なくともPE1および低融点ポリマーを含んでいる。
【0041】
当該方法は、少なくともP2と第2の希釈剤を混合したものの一部を共押出ししながら、P1と第1の希釈剤を混合したものの少なくとも一部を少なくとも1つのダイを通して共押出しして、それぞれP1およびP2を含む第1および第2の層を有する多層押出物を形成する工程もまた含んでいる。三層膜を形成する場合、P3と第3の希釈剤を混合したものの少なくとも一部を少なくとも1つのダイを通して共押出して、P2を含む第2の層が第1の層と第3の層の間に位置するように第3の層を形成する。所望により低融点ポリマーの総量は、P1の重量を基準として1.0〜50重量%の範囲である。
【0042】
当該方法は、第1、第2、および第3の希釈剤の少なくとも一部を押出物から除去して多層微多孔膜を製造する工程をさらに含んでいる。膜の横方向(TD)への大きさは第1の乾燥幅(the first dry width)と呼ぶことができ、膜の機械方向(MD)への大きさは第1の乾燥長さ(the first dry length)と呼ぶことができる。所望によりこの方法は、乾燥後の押出物を、第1の乾燥長さは変えずに、第1の乾燥幅から、約1.1〜約1.6の範囲の倍率で第1の乾燥幅より大きい第2の乾燥幅へ横方向に延伸して延伸膜を作製する工程をさらに含んでもよい。延伸は、乾燥後の押出物を、例えば118℃〜129℃の範囲といった、116℃〜130℃の温度にさらしながら行ってもよい。
【0043】
微多孔膜の製造において一般的に有用である追加の工程を任意に用いてもよい。例えば、任意の押出物冷却工程、任意の押出物延伸工程、任意の熱溶媒処理工程、任意の熱セット工程、任意の電離放射線による架橋工程、および任意の親水性処理工程等、全てPCT公開公報WO2007/132942および同WO2008/016174に記載されているが、これらを所望により行ってもよい。これらの任意の工程の数も順序も重要ではない。
(1)および(2)ポリマーと希釈剤との混合
【0044】
上記のポリマーは、例えば、ドライ混合または溶融混練により混合することができ、次いで適切な希釈剤(または希釈剤の混合物)と混合してポリマーと希釈剤との混合物を製造することができる。あるいは、ポリマー(1つまたは複数)と希釈剤とは単一の工程で混合することもできる。第1、第2、および第3の希釈剤は、同じであっても異なっていてもよく、例えば同じまたは異なる流動パラフィンであってもよい。希釈剤がポリマーの1つまたは複数に対する溶媒である場合、混合物はポリマー溶液と呼ぶことができる。混合物は、1種または複数の酸化防止剤等の添加剤を含有してもよい。ある実施形態においては、かかる添加剤の量は、ポリマー溶液の重量を基準として1重量%を超えることはない。混合条件、押出し条件等の選択は、例えばPCT公開公報第WO2008/016174号に開示されているものと同じであってもよい
(3)押出し
【0045】
ある実施形態においては、混合したポリマーと希釈剤とを押出機からダイへと導く。
【0046】
押出物または冷却押出物(後述)は、延伸工程の後に、望ましい厚さの最終膜を製造するのに適切な厚さを有するべきである。例えば押出物は、約0.2mm〜2mm、または1.2mm〜1.8mmの範囲の厚さでもよい。この押出しを行うための処理条件は、例えばPCT公開公報WO2007/132942および同WO2008/016174に開示されているものと同じであってもよい。MDは、押出物がダイから製造される方向と定義される。TDは、MDおよび押出物の厚さ方向の両方に対して垂直な方向と定義される。押出物はダイから連続的に製造することができるし、または、例えばバッチ処理の場合のように不連続的に製造することもできる。TDおよびMDの定義は、バッチ処理および連続処理のどちらにおいても同じである。押出物は(a)P1(ならびに所望によりHDPEおよび/またはUHMWPE)と第1の希釈剤とを混合したもの、(b)P2(ならびに所望によりHDPEおよび/またはUHMWPE)と第2の希釈剤、および(c)P3(ならびに所望によりHDPEおよび/またはUHMWPE)と第3の希釈剤を共押出しすることにより製造することができるが、これは必須ではない。積層法等の、前述の組成の層状押出物を製造できるいずれの方法を用いてもよい。積層法を用いて膜を製造する場合、希釈剤(1種または複数)は、積層法の前または後に除去してもよい。
任意の冷却
【0047】
所望により、多層押出物を15℃〜25℃の範囲の温度にさらして冷却押出物を形成することができる。冷却速度は特に重要ではない。例えば押出物は、押出物の温度(冷却した温度)が押出物のゲル化温度とほぼ同じ(またはそれ以下)になるまで、少なくとも約30℃/分の冷却速度で冷却してもよい。冷却の処理条件は、例えばPCT公開公報第WO2008/016174号および同第WO2007/132942号に開示されているものと同じであってもよい。ある実施形態においては、冷却押出物は、1.2mm〜1.8mm、または1.3mm〜1.7mmの範囲の厚さを有する。
任意の延伸
【0048】
所望により、押出物または冷却押出物を少なくとも1つの方向(例えば、MDまたはTD等の少なくとも1つの平面方向)に延伸して延伸押出物を製造することができる。例えば押出物を、例えば112℃〜118℃、または113℃〜115℃といった、約110℃〜120℃の範囲の温度にさらしながら、横方向および機械方向に同時に4〜6の範囲の倍率に延伸することができる。好適な延伸方法は、例えばPCT公開公報第WO2008/016174号および同第WO2007/13294号に記載されている。必須ではないが、MDおよびTDの倍率は同じであってもよい。ある実施形態においては、MDおよびTDの延伸倍率は5であり、延伸温度は115.0℃である。別の実施形態においては、MDおよびTDの延伸倍率は5であり、延伸温度は113.0℃である。
(4)希釈剤の除去
【0049】
希釈剤の少なくとも一部を延伸押出物から除去(または置換)して膜を形成する。例えばPCT公開第WO2008/016174号および同第WO2007/132942号に記載のように、置換(または「洗浄」)溶媒を用いて希釈剤を除去(洗浄、または置換)してもよい。全ての希釈剤を延伸押出物から除去する必要はないが、希釈剤を除去すると最終膜の空孔率が増加するのでそうすることが望ましいと言える。
【0050】
ある実施形態においては、洗浄溶媒等の残留したいずれかの揮発性種の少なくとも一部を、希釈剤除去後のいずれかの時点において膜から除去してもよい。加熱乾燥、風乾(空気を動かすこと)等の従来の方法を含む、洗浄溶媒を除去することが可能ないずれの方法を用いてもよい。洗浄溶媒等の揮発性種を除去するための処理条件は、例えばPCT公開公報第WO2008/016174号および同第WO2007/132942号に開示されているものと同じであってもよい。
(5)任意の膜の延伸(ドライ延伸)
【0051】
膜を延伸して延伸膜を製造することができる。この工程の開始時において、膜は、MD方向の最初の大きさ(第1の乾燥長さ(a first dry length))およびTD方向の最初の大きさ(第1の乾燥幅(a first dry width))である。膜を、第1の乾燥長さは変えずに、第1の乾燥幅から、約1.1〜約1.6(例えば、1.20〜1.40)倍の倍率で第1の乾燥幅より大きい第2の乾燥幅へTDに延伸する。延伸は、乾燥後の押出物を、例えば118℃〜123℃または120℃〜122℃といった、110℃〜129℃の範囲の温度にさらしながら行ってもよい。ある実施形態においては、延伸は121.2℃で行う。ドライ延伸は、一般に乾燥膜を例えばおよそTcd−30℃〜Tmの範囲といったTm以下の温度にさらしながら行うが、この工程に適切なTmは使用するポリマーの中で最も低いTmを有するポリマーのTmであり、Tcdは結晶分散温度である。
【0052】
本明細書で用いる用語「第1の乾燥幅」は、乾燥後の押出物の、ドライ延伸開始前における横方向の大きさを指す。用語「第1の乾燥長さ」は、乾燥後の押出物の、ドライ延伸開始前における機械方向の大きさを指す。
【0053】
延伸速度は、TDにおいては好ましくは1%/秒以上である。延伸速度は、好ましくは2%/秒以上、より好ましくは3%/秒以上、例えば2%/秒〜10%/秒の範囲である。特に重要ではないが、延伸速度の上限は通常は約50%/秒である。
(6)任意の制御された幅の縮小
【0054】
ドライ延伸に続き、乾燥後の膜に、第2の乾燥幅から第3の幅へ制御して幅を縮小するが、第3の乾燥幅は、第1の乾燥幅から第1の乾燥幅の約1.3倍の範囲である。ある実施形態においては、それぞれ第1の幅に対して、第2の乾燥幅は1.4倍広く、第3の幅は1.2倍広い。一般に、幅の縮小は、膜を、Tcd−30℃以上であるがTmよりは低い温度にさらしながら行う。この工程に適切なTmは、使用するポリマーの中で最も低いTmを有するポリマーのTmである。例えば、幅の縮小中に、膜を、例えば約116℃〜約132℃、例えば約118℃〜約119℃といった、約70℃〜約135℃の範囲の温度にさらしてもよい。ある実施形態においては、膜の幅の減少は、膜をTmよりも低い温度にさらしながら行う。ある実施形態においては、第3の乾燥幅は、第1の乾燥幅の1.0倍〜第1の乾燥幅の約1.6倍、例えば1.2〜1.5倍、の範囲である。
【0055】
制御された幅の縮小の際に、TD延伸中に膜がさらされる温度以上の温度に膜をさらすと、最終膜の耐熱収縮性がより高くなると考えられる。
任意の熱セット
【0056】
所望により、希釈剤の除去後、例えばドライ延伸の後、制御された幅の縮小の後、またはその両方の後、一回または複数回、膜を熱的に処理(熱セット)する。熱セットにより、結晶が安定化して膜中に均一なラメラ層が形成されると考えられる。ある実施形態においては、熱セットは、TcdからTmの範囲の温度に膜をさらしながら行われるが、この工程に適切なTmは、使用するポリマーの中で最も低いTmを有するポリマーのTmであり、例えば、例えば約118℃〜123℃または120℃〜122℃といった、約100℃〜約129℃の範囲の温度である。ある実施形態においては、延伸は121.2℃で行う。一般的に、熱処理は、膜中にラメラ層を形成するのに十分な時間、例えば1〜1000秒、特に500〜約750秒の範囲の時間行う。ある実施形態においては、熱セットは、一般的な熱セット「熱固定」条件下で実施する。用語「熱固定」は、例えば熱セット中に膜の外周をテンタークリップで保持すること等によって膜の長さおよび幅をほぼ一定に維持しながら行う熱セットを指す。
【0057】
所望により、熱セット工程の後にアニーリング処理を行ってもよい。アニーリングは、膜には荷重をかけない加熱処理であり、例えばベルトコンベアを備えた加熱室またはエアフローティング型(air-floating-type)加熱室等を用いて行うことができる。アニーリングは、熱セットの後にテンターを緩めた状態で連続的に行うこともできる。アニーリング中、膜を、例えば約60℃〜およそTm−5℃の範囲といった、Tmまたはそれ以下の範囲の温度にさらしてもよい。アニーリングによって微多孔膜の透過度および強度が向上すると考えられる。
【0058】
任意である、熱ローラ処理、熱溶媒処理、架橋処理、親水性処理、およびコーティング処理を、例えばPCT公開第WO2008/016174号に記載されているように、必要に応じて行ってもよい。
【0059】
所望により、熱セットの前、間、または後にアニーリング処理を行ってもよい。アニーリングは、膜には負荷をかけない加熱処理であり、例えば、ベルトコンベアを備えた加熱室またはエアフローティング型加熱室を用いて行うことができる。アニーリングは、例えば熱セットの後にテンターを緩めた状態で連続的に行うことができる。アニーリング中に膜がさらされる温度(アニーリング温度)は、例えば約116℃〜125℃の範囲であってもよい。アニーリングによって微多孔膜の熱収縮特性および強度が向上すると考えられる。
【0060】
任意である、熱ローラ処理、熱溶媒処理、架橋処理、親水性処理、およびコーティング処理を、例えばPCT公開第WO2008/016174号に記載されているように、必要に応じて行ってもよい。
[4]多層微多孔膜の特性
【0061】
ある実施形態においては、多層ポリエチレン製微多孔膜は、130.5℃以下の比較的低いシャットダウン温度および0.3V以下の保存安定性が特徴である耐酸化性を有する。膜の厚さは、通常は、約3μm〜約200μm、または約5μm〜約50μm、好ましくは15μm〜約25μmの範囲である。本発明の膜の1つまたは複数の実施形態が有する特性を以下のセクションで説明する。
A.130.5℃以下のシャットダウン温度
【0062】
微多孔膜のシャットダウン温度は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、PCT公開第公報WO2007/052663号に開示されている方法により測定する。この方法に従い、微多孔膜を上昇していく温度(5℃/分)にさらし、その間に膜の透気度を測定する。微多孔膜のシャットダウン温度は、微多孔膜の透気度(ガーレー値)が最初に100,000秒/100cmを超える時の温度と定義される。微多孔膜の透気度は、透気度計(旭精工株式会社製、EGO-1T)を用いてJIS P8117に従って測定する。ある実施形態においては、シャットダウン温度は126℃〜130℃である。別の実施形態においては、シャットダウン温度は128℃である。
B.電気化学的特性
1.保存安定性(電圧測定)
【0063】
保存安定性とは、膜が電池用セパレータとして使用され、電池が比較的高温にさらされて保管または使用される場合の膜の耐酸化性に関連した膜の特性である。保存安定性はボルトを単位とし、高温での保管または過充電中の電池電圧のロスがより少ないことを表すより低い電圧が一般的には望ましい。電気自動車やハイブリッド電気自動車を動かすための動力手段の起動、またはその動力手段への給電に用いる電池等の自動車用電池、および電動工具用電池に関しては、これらの比較的高出力で大容量の用途は、電池電圧のわずかなロスにも特に敏感であるため、0.3V以下の保存性が望ましい。一般的に、しかし特に大容量電池に関しては、電池電圧が4.0V未満に降下すると電池容量が大幅に減少する。したがって、0.3V以下の保存安定性を有するセパレータがこれらの電池には通常は望ましい。
【0064】
膜の保存安定性を測定するため、70mmの長さ(MD)および60mmの幅(TD)を有する膜を、膜と同じ面積を有する負極と正極の間に配置する。負極は天然黒鉛製であり、正極はLiCoO製である。電解質は、エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(EMC)(4/6、V/V)との混合物中にLiPFを1M溶液として溶解させることにより調製する。負極と正極の間の領域にある膜の中に電解質を含浸させ、電池を完成させる。電池を、23℃の温度で4.2Vの電圧に充電する。次いで電池を60℃の温度に2日間さらし、次いで電池電圧を測定する。膜の保存安定性は、4.2Vと保管後に測定した電池電圧との差と定義される。ある実施形態においては、膜は、例えば0.01V〜0.25Vの範囲といった、0.3V以下の保存安定性を有する。
2.電気化学的安定性(電流測定)
【0065】
電気化学的安定性とは、比較的高温にさらされて保管または使用される電池内のBSFとして膜を使用する場合の、酸化等の化学変化に対する膜の耐性に関連した膜特性である。電気化学的安定性はmAhを単位とし、より低い値が一般的には望ましく、高温での保管または過充電中の総充電ロスがより少ないことを表す。本発明の膜は、電気化学的安定性が向上しており、したがって高出力で大容量の電池において有用である。このような電池としては、電動工具用電池、および電気自動車やハイブリッド電気自動車を動かすための動力手段の起動、またはその動力手段への給電に用いる電池等の自動車用電池が挙げられる。膜は1.0×10mAh以下の電気化学的安定性を有するが、このことは、このような比較的高出力で大容量の用途は、BSFの電気化学的不安定性に起因する自己放電ロス等の電池容量のロスに特に敏感であるため、望ましい。「大容量」電池という用語は、通常は、例えば2.0Ah〜3.6Ahといった、1アンペア時(1Ah)以上を供給することが可能な電池を意味する。ある実施形態においては、膜の電気化学的安定性は、例えば75.0mAh以下、例えば60.0mAh以下といった、80.0mAh以下である。ある実施形態においては、膜の電気化学的安定性は、1.0mAh〜75.0mAh、所望により10.0mAh〜60.0mAhの範囲である。
【0066】
膜の電気化学的安定性を測定するため、70mmの長さ(MD)および60mmの幅(TD)を有する膜を、膜と同じ面積を有する負極と正極の間に配置する。負極は天然黒鉛製であり、正極はLiCoO製である。電解質は、エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(EMC)(4/6、V/V)との混合物中にLiPFを1M溶液として溶解させることにより調製する。負極と正極の間の領域にある膜の中に電解質を含浸させ、電池を完成させる。電池を、23℃の温度にさらしながら4.2Vの電圧に充電する。次いで電池を60℃の温度に48時間さらす。電気化学的安定性は、48時間にわたって電圧源と電池との間に流れる積分電流(mAh)と定義される。
C.700秒/100cm/20μm以下の正規化透気度
【0067】
ある実施形態においては、膜の正規化透気度(ガーレー値)は700秒/100cm/20μm以下である。正規化透気度は、JIS P8117に従って測定し、その結果を、A=20μm*(X)/Tの式を用いて、20μmの厚さを有する同等の膜の透気度値に正規化する。式中、Xは、実厚さTを有する膜の透気度の実測値であり、Aは、20μmの厚さを有する同等の膜の正規化透気度である。透気度値は、20μmの厚さを有する同等の膜に正規化するため、透気度値は「秒/100cm/20μm」の単位で表す。ある実施形態においては、正規化透気度は、400〜約600秒/100cm/20μm、または150〜375秒/100cm/20μmの範囲である。
D.約1000mN/20μm以上の突刺強度
【0068】
突刺強度(膜厚20μmにおける値に換算)は、1000mN/20μm以上である。突刺強度は、厚さTを有する微多孔膜を、末端が球面(曲率半径R:0.5mm)である直径1mmの針で2mm/秒の速度で突き刺した時に測定した最大荷重、と定義される。突刺強度は、S=20μm*(S)/T(式中、Sは突刺強度の実測値であり、Sは正規化突刺強度であり、Tは膜の平均厚さである。)の式を用いて、膜厚1μmにおける値に正規化してもよい。ある実施形態においては、突刺強度は3000mN/20μm以上であり、別の実施形態においては、突刺強度は3750〜4500mN/20μmである。
E.約25%〜約80%の空孔率
【0069】
膜の空孔率は、膜の実重量と、100%ポリエチレンの同等の非多孔膜(同じ長さ、幅、および厚さを有するという意味において同等)の重量とを比較することにより、従来法で測定する。次に、以下の式を用いて空孔率を求める:空孔率%=100×(w2−w1)/w2。式中、「w1」は微多孔膜の実重量であり、「w2」は、同じ大きさおよび厚さを有する、100%ポリエチレンの同等の非多孔膜の重量である。
F.破膜温度
【0070】
ある実施形態においては、膜の破膜温度は、例えば150℃〜200℃、または148℃〜151℃の範囲といった、145℃以上である。破膜温度は、次のようにして測定する。5cm×5cmの微多孔膜を、それぞれが直径12mmの円形の開口部を有するブロックで挟み、直径10mmの炭化タングステンの球を、円形の開口部内の微多孔膜上に置く。次いで、膜を5℃/分の速度で上昇する温度にさらす。膜の破膜温度は、球が最初に膜を突き破る時の温度と定義される。膜の破膜温度は、球が試料を完全に貫通する温度、すなわち試料が破壊する温度と定義される。
G.145℃以上のメルトダウン温度
【0071】
メルトダウン温度は以下の手順で測定する:3mm×50mmの長方形の試料を、試料の長軸が、微多孔膜が本プロセスで製造されるときの微多孔膜の横方向と並び、かつ短軸が機械方向と並ぶように微多孔膜から切り出す。この試料を、チャック間距離10mmで、熱機械分析装置(TMA/SS6000 セイコーインスツル株式会社製)にセットする。すなわち、上部チャックから下部チャックまでの距離が10mmである。下部チャックを固定し、上部チャックで試料に19.6mNの荷重をかける。両チャックおよび試料を、加熱可能な管に封入する。30℃で開始し、管の内部の温度を5℃/分の速度で上昇させ、19.6mNの荷重下における試料の長さの変化を0.5秒間隔で測定し、温度の上昇とともに記録する。温度は200℃まで上昇させる。試料のメルトダウン温度は、試料が破壊する温度と定義され、通常は約145℃〜約200℃の範囲の温度である。
H.5.5%未満の105℃におけるTDおよびMD熱収縮率
【0072】
105℃における微多孔膜の直交面方向(例えばTDおよびMD)の収縮率は、次にようにして測定する:
(i)周囲温度における微多孔膜の試験片の大きさをMDおよびTDの両方について測定し、(ii)微多孔膜の試験片を、105℃の温度にて8時間、負荷をかけずに平衡化させ、次いで(iii)膜の大きさをMDおよびTDの両方について測定する。MDまたはTDのどちらの熱(すなわち「熱による」)収縮率も、測定結果(i)を測定結果(ii)で割り、得られた商を百分率で表すことによって得ることができる。
【0073】
ある実施形態においては、微多孔膜は、例えば2%〜4.0%といった、1.0%〜5%の範囲の105℃におけるMDおよびTD熱収縮率を有する。
[5]電池用セパレータ
【0074】
ある実施形態においては、上記の多層微多孔性ポリオレフィン膜によって作られた電池用セパレータは、約3μm〜約200μm、または約5μm〜約50μmの範囲の厚さを有する。例えば選択する電解質にもよるが、セパレータの膨潤によって最終厚さが200μm超の値に増加する可能性がある。
[6]電池
【0075】
本発明の微多孔膜は、例えばリチウムイオン一次電池および二次電池における電池用セパレータとして有用である。かかる電池は、PCT公開WO2008/016174に記載されている。
【0076】
電池は、1つまたは複数の電気部品または電子部品への(または、からの)電荷のソース(またはシンク)として有用である。かかる部品としては、例えば変圧器等を含む、抵抗器、コンデンサ、誘導器等の受動素子、電動機および発電機等の電動デバイス、ならびにダイオード、トランジスタおよび集積回路等の電子デバイスが挙げられる。これらの部品を、直列および/または並列電気回路にて電池に接続して電池システムを形成することができる。回路は、直接的または間接的に電池に接続してもよい。例えば、電池によって生成される電気エネルギーは、これらの部品の1つまたは複数の中で電気エネルギーが消費または蓄積される前に、(例えば二次電池または燃料電池によって)電気化学的に、かつ/または(例えば発電機を動かしている電動機によって)電気機械的に変換することができる。電池システムは、電動工具および電気自動車またはハイブリッド電気自動車を駆動するための電動機等の比較的高出力のデバイスに動力を供給するための電力源として用いることができる。
実施例
【0077】
以下の非限定的な例を参照し、本発明をより詳細に説明する。
実施例1
(1)第1のポリオレフィン溶液の調製
【0078】
第1のポリマー組成物(P1)を、(a)57.0重量%の、5.6×10のMwおよび4.1のMWD、および0.11/10,000Cの末端不飽和基量を有するポリエチレン樹脂(PE1)、(b)25.0重量%の、204.07g/10分のメルトインデックス(MI、ASTM D-1238、条件190℃/2.16kg(正式には「条件(E)」として知られており、またIとしても知られている)に従って決定)、2.5のMWD、および122.8℃のTm、0.9401g/cmの密度、162.1J/gのΔHfを有する低融点ポリエチレン(シングルサイト触媒を用いて製造)、ならびに(c)18.0重量%の、2.0×10のMwおよび5.1のMWD、および無視できる末端不飽和基量を有するポリエチレン樹脂(PE3)をドライブレンドすることにより調製する。
【0079】
25重量%となるように第1のポリマー組成物を、58mmの内径および42のL/Dを有する強混練タイプの二軸スクリュー押出機内に供給し、流動パラフィン(40℃で50cSt)75重量%を、サイドフィーダーを介して二軸スクリュー押出機に供給して、第1のポリマー溶液を調製する。重量パーセントは第1のポリマー溶液の重量が基準である。溶融混練は、210℃および200rpmにて行う。
(2)第2のポリオレフィン溶液の調製
【0080】
第2のポリマー組成物(P2)を、(a)82.0重量%の、5.6×10のMw、4.1のMWDおよび0.11/10,000Cの末端不飽和基量を有し、135℃のTc、および100℃のTcdを有するポリエチレン樹脂(PE1)ならびに(b)18重量%の、2.0×10のMwおよび5.1のMWDおよび無視できる末端不飽和基量を有しポリエチレン樹脂(PE3)(パーセンテージは第2のポリマー組成物の重量が基準)をドライブレンドすることにより調製する。
【0081】
25重量%となるようにP2を、58mmの内径および42のL/Dを有する第2の強混練タイプの二軸スクリュー押出機内に供給し、75重量%の流動パラフィン(40℃で50cSt)を、サイドフィーダーを介して二軸スクリュー押出機に供給して、第2のポリマー溶液を調製する。重量パーセントは第2のポリオレフィン溶液の重量が基準である。溶融混練は、210℃および200rpmにて行う。
(3)膜の製造
【0082】
第1および第2、ならびに第3のポリマー溶液を、それぞれの二軸スクリュー押出機から三層押出Tダイへと供給し、そこから押し出して第1のポリマー溶液層/第2のポリマー溶液層/第3のポリマー溶液層の層厚比が45.3/9.4/45.3である層状押出物(積層物とも呼ぶ)を製造する。あるいは、第1および第3の層内のポリマーが同じである場合は、第1または第3のポリマー溶液のどちらかを用いるだけでよく、その溶液をダイに送り込み、2つの押出機を使用するだけで膜を製造することができる。押出物を、20℃に制御された冷却ローラに通しながら冷却させ、三層ゲル状シートの形態の押出物を製造する。ゲル状シートを、115℃の温度(「二軸延伸温度」)にさらしながら、テンター延伸機で、MDおよびTDのそれぞれに5倍の倍率に(同時に)二軸延伸する。延伸した三層ゲル状シートを、20cm×20cmのアルミニウムフレームに固定し、25℃に制御された塩化メチレン浴に3分間浸漬して流動パラフィンを除去し、室温で風乾させて乾燥膜を製造する。次いで乾燥膜をドライ延伸する。ドライ延伸の前には、乾燥膜は、最初の乾燥長さ(MD)および最初の乾燥幅(TD)を有する。まず乾燥膜を、121.2℃の温度(「TD延伸温度」)にさらしながら1.4倍の倍率にTDにドライ延伸し、第2の乾燥長さを得る。膜の幅(MD)は、TDドライ延伸中、最初の乾燥幅とほぼ等しいままである。TDドライ延伸に続いて、膜を、121.2℃の温度(「幅縮小温度」)にさらしながら、第2の乾燥幅から1.2倍の最終倍率への制御された幅の縮小(TD)にかける。最終倍率は、ドライ延伸の開始時における最初の膜の幅が基準である。膜の長さ(MD)は、幅の縮小中、第2の乾燥長さとほぼ等しいままである。膜はバッチ延伸機に固定されたままであるが、次いでこの膜を、10分間121.2℃の温度(「熱セット温度」)にさらしながら熱処理し、最終の多層微多孔膜を製造する。
比較例1
スキン層ポリエチレン溶液の調製
【0083】
ポリマー溶液を、(a)82重量%の、7.5×10のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.20超の末端不飽和基量を有するPE2、ならびに(b)18%の、1.9×10のMwおよび5のMWDを有するPE3を含むポリエチレン組成物から製造するが、この組成物はドライブレンドにより調製する。組成物中のポリエチレンは135℃の融点を有する。コア層の製造に用いるポリマー溶液を、35重量%のコア層ポリエチレン組成物と70重量%の流動パラフィン(40℃で50cSt)とを強混練タイプの押出機内で混合することにより調製する(重量パーセントはコア層の製造に用いるポリマー溶液の全重量が基準)。ポリマーと希釈剤とを210℃の温度で混合する。
膜の製造
【0084】
ポリマー溶液を、二軸スクリュー押出機から押出Tダイに供給し、そこから押し出して単層押出物を形成する。押出物を20℃に制御された冷却ローラに通しながら冷却し、三層押出物(ゲル状シートの形態)を形成し、これを、テンター延伸機で、MD(縦)およびTD(横)の両方に5倍の倍率に115℃にて同時二軸延伸する。次に、延伸押出物を25℃の塩化メチレン浴に浸漬して流動パラフィンを除去し、ポリオレフィン溶液中に存在する流動パラフィンの重量を基準として1重量%以下の量とし、次いで室温で風乾させる。乾燥膜を126.7℃の温度に27秒間さらしながらテンター型機で熱セットして単層微多孔膜を製造する。
比較例2
ポリエチレン溶液の調製
【0085】
(a)70重量%の、5.6×10のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有するPE1、(b)30%の、1.9×10のMwおよび5のMWDを有するPE3を含むポリエチレン組成物、これを、ドライブレンドにより調製する。組成物中のポリエチレンは135℃の融点を有する。
【0086】
ポリマー溶液を、28.5重量%のポリエチレン組成物と71.5重量%の流動パラフィン(40℃で50cSt)とを強混練タイプの押出機内で混合することにより調製する(重量パーセントはスキン層の製造に用いるポリマー溶液の全重量が基準)。ポリマーと希釈剤とを210℃の温度で混合する。
膜の製造
【0087】
ポリマー溶液を、二軸スクリュー押出機から押出Tダイに供給し、そこから押し出して単層押出物を形成する。押出物を20℃に制御された冷却ローラに通しながら冷却し、三層押出物(ゲル状シートの形態)を形成し、これを、テンター延伸機で、MD(縦)およびTD(横)の両方に5倍の倍率に115℃にて同時二軸延伸する。次に、延伸押出物を25℃の塩化メチレン浴に浸漬して流動パラフィンを除去し、ポリオレフィン溶液中に存在する流動パラフィンの重量を基準として1重量%以下の量とし、次いで室温で風乾させる。乾燥後の押出物を、126.7℃の温度にさらしながら、TDに1.3倍の倍率に延伸(ドライ延伸)し、引き続き、126.7℃の温度にさらしながら、TDに1.2倍の倍率に収縮させる。延伸に続き、乾燥後の膜を128.0℃の温度に27秒間さらしながらテンター型機で熱セットし三層微多孔膜を製造する。
比較例3
スキン層ポリエチレン溶液の調製
【0088】
コア層を、(a)70重量%の、5.6×10のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有するPE1、(b)30%の、1.9×10のMwおよび5のMWDを有するPE3を含むポリエチレン組成物から製造するが、この組成物はドライブレンドにより調製する。組成物中のポリエチレンは135℃の融点を有する。
【0089】
コアの製造に用いるポリマー溶液を、28.5重量%のポリエチレン組成物(PE2はPE1と同じ)と71.5重量%の流動パラフィン(40℃で50cSt)とを強混練タイプの押出機内で混合することにより調製する(重量パーセントはスキン層の製造に用いるポリマー溶液の全重量が基準)。ポリマーと希釈剤とを210℃の温度で混合する。
スキン層ポリエチレン溶液の調製
【0090】
スキン層ポリマー溶液を、(a)70重量%の、7.5×10のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.20超の末端不飽和基量を有するPE2、ならびに(b)30%の、1.9×10のMwおよび5のMWDを有するPE3を含むポリエチレン組成物から調製するが、この組成物はドライブレンドにより調製する。組成物中のポリエチレンは135℃の融点を有する。コア層の製造に用いるポリマー溶液を、35重量%のコア層ポリエチレン組成物と70重量%の流動パラフィン(40℃で50cSt)とを強混練タイプの押出機内で混合することにより調製する(重量パーセントはコア層の製造に用いるポリマー溶液の全重量が基準)。ポリマーと希釈剤とを210℃の温度で混合する。
膜の製造
【0091】
ポリマー溶液を、それぞれの二軸スクリュー押出機から三層押出Tダイに供給し、そこから押し出して層厚比33.5/33.0/33.5(スキン/コア/スキン)の押出物を形成する。押出物を20℃に制御された冷却ローラに通しながら冷却し、三層押出物(ゲル状シートの形態)を形成し、これを、テンター延伸機で、MD(縦)およびTD(横)の両方に5倍の倍率に115℃にて同時二軸延伸する。次に、延伸押出物を25℃の塩化メチレン浴に浸漬して流動パラフィンを除去し、ポリオレフィン溶液中に存在する流動パラフィンの重量を基準として1重量%以下の量とし、次いで室温で風乾させる。乾燥後の押出物を、126.7℃の温度にさらしながら、TDに1.3倍の倍率に延伸(ドライ延伸)し、引き続き、126.5℃の温度にさらしながら、TDに1.2倍の倍率に収縮させる。延伸に続き、乾燥後の膜を125.0℃の温度に27秒間さらしながらテンター型機で熱セットし三層微多孔膜を製造する。
【表1】

【0092】
実施例1の微多孔膜は、比較例1〜3のそれぞれの膜よりも低いシャットダウン温度を有する。同様に、実施例1は、熱収縮特性と突刺強度との良好なバランスを有する。いかなる理論にもとらわれることを望まないが、低融点ポリマーの存在によって、コア層に熱収縮特性と他の機械的特性との良好なバランスを提供させたままスキン層がシャットダウン機能を果たすことが可能になる、と考えられる。スキン層内において特に保存安定性を犠牲にすることなくシャットダウン機能を提供する能力が望ましい、とも考えられる。コア層への熱移動はシャットダウンの開始には必要ないため、このような構造によってより速いシャットダウン速度が可能になる。最後に、本発明の実施形態、例えば実施例1は、末端不飽和基含有量が低いポリマー、例えば比較例3のポリマーを含んでいるスキン層を使用することが可能なため、その保存安定性は比較例3と非常に類似していることが当然予測できる、と考えられる。したがって実施例1のような膜は、比較例と比べて、より望ましいシャットダウン温度、向上した保存安定性、および/またはより望ましい突刺強度を提供する。
【0093】
本発明を以下の実施形態でさらに説明する。本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
1.微多孔膜の製造方法であって、
a.少なくとも、115.0℃〜130.0℃の範囲のTmおよび5.0×10〜4.0×10のMwを有する第1のポリマーと1×10未満のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有する第1のポリエチレンとを含む第1のポリマー組成物と、少なくとも第1の希釈剤とを混合する工程;
b.少なくとも、1×10未満のMwを有する第2のポリエチレンを含む第2のポリマー組成物と、少なくとも第2の希釈剤とを混合する工程;
c.第1のポリマー組成物を含有する第1の層、第2のポリマー組成物を含有する第2の層を有する多層押出物を形成する工程;ならびに
d.第1および第2の希釈剤の少なくとも一部を多層押出物から除去して膜を製造する工程
を含む方法。
2.少なくとも、115.0℃〜130.0℃の範囲のTmおよび5.0×10〜4.0×10のMwを有する第2のポリマー、1×10未満のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有する第3のポリエチレンを含む第3のポリマー組成物と、少なくとも1つの第3の希釈剤とを混合する工程;ならびに第3のポリマー組成物と第3の希釈剤とから第3のポリマー組成物を含む第3の層を形成する工程をさらに含む、実施形態1の方法。
3.工程(d)の前に押出物を延伸する工程、および工程(d)の間または後にいずれかの揮発性種の少なくとも一部を膜から除去する工程をさらに含んでいる、実施形態1または2の方法。
4.(a)第1の希釈剤と混合する第1のポリマー組成物の量が、約15〜35重量%の範囲であり、第1の希釈剤の量が、65〜85重量%の範囲であり(重量パーセントはともに第1のポリマー組成物と第1の希釈剤とを混合したものが基準);かつ
(b)第2の希釈剤と混合する第2のポリマー組成物の量が、約20〜40重量%の範囲であり、第2の希釈剤の量が、60〜80重量%の範囲である(重量パーセントはともに第2のポリマー組成物と第2の希釈剤とを混合したものが基準)、
実施形態1〜3のいずれかの方法。
5.多層押出物が、少なくとも1つの1×10以上のMwを有する第4のポリエチレンをさらに含む、実施形態1〜4のいずれかの方法。
6.第3のポリマー組成物が、第1のポリマー組成物と同じポリマー組成物であり、第3の希釈剤が、第1の希釈剤と同じであり、
第1および第3の層が、5〜15重量%の、115.0℃〜130.0℃の範囲のTmおよび5.0×10〜4.0×10のMwを有するポリマー、70〜80重量%の第1の希釈剤、ならびに5〜15重量%の、1×10以上のMwを有する第4のポリエチレンを含み、第3の希釈剤が、第1および第2の希釈剤と同じである、
実施形態5の方法。
7.第2の層が、第4のポリエチレンもまた含んでおり、かつ第1および第2の層内の、1×10以上のMwを有する第4のポリエチレンが、第3の層内の、1×10以上のMwを有する第4のポリエチレンと同じである、実施形態6の方法。
8.工程(c)に続いて多層押出物を冷却する工程をさらに含む、実施形態1〜7のいずれかの方法。
9.膜を少なくとも1つの方向に延伸する工程をさらに含む、実施形態8の方法。
10.膜の延伸が、膜を90℃〜135℃の範囲の温度にさらしながら行われる、実施形態1の方法。
11.末端不飽和基量が、炭素原子10,000個当たり0.20以上である、実施形態1の方法。
12.実施形態1〜10のいずれかの方法により作製される多層膜。
13.負極と、正極と、負極と正極の間に位置する少なくとも1つのセパレータとを含む電池であって、セパレータが、
115.0℃〜130.0℃の範囲のTmおよび5.0×10〜4.0×10のMwを有する第1のポリマーならびに1×10未満のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有する第1のポリエチレンを少なくとも含む第1の層;1×10未満のMwを有する第2のポリエチレンを含む第2の層
を含む、電池。
14.115.0℃〜130.0℃の範囲のTmおよび5.0×10〜4.0×10のMwを有する第2のポリマーならびに1×10未満のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有する第3のポリエチレンを少なくとも含む第3の層をさらに含み、第2の層が、第1の層と第3の層の間に位置する、実施形態13の電池。
15.第2のポリエチレンが、炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有する、実施形態14の電池。
16.第2のポリエチレンが、炭素原子10,000個当たり0.20以上の末端不飽和基量を有する、実施形態16の電池。
17.実施形態13〜15のいずれかの電池、およびそれに電気的に接続された負荷。
18.ポリマーを含み、かつ130.5℃以下のシャットダウン温度およびmN/20μmの突刺強度を有する多層微多孔膜。
19.a.10〜45重量%の、115.0℃〜130.0℃の範囲のTmおよび5.0×10〜4.0×10のMwを有する第1のポリマーと、55〜90重量%の、1.0×10未満のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有するポリエチレンとを含む第1の層;
b.70〜98重量%の、1×10未満のMwを有するポリエチレンと、2〜30重量%の、1.0×10以上のMwを有するポリエチレンとを含む第2の層;ならびに
c.10〜45重量%の、115.0℃〜130.0℃の範囲のTmおよび5.0×10〜4.0×10のMwを有する第2のポリマーと、55〜90重量%の、1.0×10未満のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有するポリエチレンとを含み、第2の層が第1の層と第3の層の間に位置する、第3の層
を含む、実施形態18の膜。
【0094】
本発明を、特定の実施形態を参照することにより説明かつ例示してきたが、当業者であれば、本発明が、本明細書中で例示していない多くの異なる変更例に適していることを理解するであろう。これらの理由により、本発明の範囲を決定するためには、添付の特許請求の範囲のみを参照すべきである。さらに、本発明のある特定の特徴は、一連の数値の上限および一連の数値の下限で説明している。これらの限界のいずれかの組合せによってできる範囲は、特に明記しない限り本発明の範囲内であるということを理解すべきである。
【0095】
全ての優先権書類は、組込みが許容される全ての権限について、参照により本明細書中に完全に組み込まれる。さらに、本明細書で引用した、試験手順を含む全ての文献は、組込みが許容される全ての権限について、参照により本明細書中に完全に組み込まれる。
【0096】
加えて、「含む」という用語は、オーストラリア法においては、「含んでいる」という用語と同義語と見なされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーを含み、かつ130.5℃以下のシャットダウン温度および0.3V以下の保存安定性を有することを特徴とする多層微多孔膜。
【請求項2】
少なくとも第1の層が、115.0℃以上130.0℃以下のTmおよび5.0×10〜4.0×10のMwを有する第1のポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の多層微多孔膜。
【請求項3】
第1のポリマーが、115.0℃以上130.0℃以下のTmを有するポリオレフィンであることを特徴とする請求項1または2に記載の膜。
【請求項4】
第1のポリマーが、121.0以上125.0℃以下のTmを有するエチレン/α−オレフィンコポリマーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の膜。
【請求項5】
ポリエチレンを含む第2の層をさらに含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の膜。
【請求項6】
第2の層のポリエチレンが、1.0×10未満のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.20以上の末端不飽和基量を有する、請求項5に記載の膜。
【請求項7】
第2の層のポリエチレンが、炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有することを特徴とする請求項6に記載の膜。
【請求項8】
第2の層のポリエチレンが、1.0×10未満のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.12未満の末端不飽和基量を有することを特徴とする請求項5に記載の膜。
【請求項9】
第1の層が、1.0×10未満のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有するポリエチレンを含んでいることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の膜。
【請求項10】
121.0〜125.0℃の範囲のTmを有するエチレン/α−オレフィンコポリマーと1.0×10未満のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有するポリエチレンとを含む少なくとも第3の層をさらに含み;第1のポリマーが、121.0〜125.0℃の範囲のTmを有するエチレン/α−オレフィンコポリマーであり;第2の層が、第1の層と第3の層の間に位置し、かつ1.0×10以上のMwを有するポリエチレンをさらに含むことを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の膜。
【請求項11】
シャットダウン温度が、128.5℃以下である、請求項1〜10のいずれかに記載の微多孔膜。
【請求項12】
保存安定性が、0.2V未満であり、かつ膜が、18μm超の厚さを有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の微多孔膜。
【請求項13】
膜が、3900mN/20μm以上の正規化突刺強度および300秒/100cm/20μm以下の正規化透気度を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の微多孔膜。
【請求項14】
膜の厚さが、20ミクロン〜25ミクロンの範囲であり、正規化突刺強度が、3900〜4300mN/20μmの範囲であり、正規化透気度が、200〜300秒/100cm/20μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の微多孔膜。
【請求項15】
膜が、1%〜5%の範囲の105℃におけるTD熱収縮率および2%〜10%の範囲のMD熱収縮率、約30%〜約45%の範囲の空孔率、1000Kg/cm以上のMD引張強度、1000Kg/cm以上のTD引張強度、ならびに145℃以上のメルトダウン温度を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の微多孔膜。
【請求項16】
a.10〜45重量%の、115.0℃〜130.0℃の範囲のTmおよび5.0×10〜4.0×10のMwを有する第1のポリマーと、55〜90重量%の、1.0×10未満のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有するポリエチレンとを含む第1の層;
b.70〜98重量%の、1×10未満のMwを有するポリエチレンと、2〜30重量%の、1.0×10以上のMwを有するポリエチレンとを含む第2の層;ならびに
c.10〜45重量%の、115.0℃〜130.0℃の範囲のTmおよび5.0×10〜4.0×10のMwを有する第2のポリマーと、55〜90重量%の、1.0×10未満のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.20未満の末端不飽和基量を有するポリエチレンとを含み、第2の層が第1の層と第3の層の間に位置する、第3の層を含むことを特徴とする多層微多孔膜。
【請求項17】
多層微多孔膜が、三層膜であり、第1および第3の層内のポリエチレンが、同じ重量平均分子量および同じ末端不飽和基量を有することを特徴とする請求項16に記載の多層微多孔膜。
【請求項18】
第2の層が、多層微多孔膜の合計厚さの約5.0%〜約95%の範囲の厚さを有することを特徴とする請求項16または17に記載の多層微多孔膜。
【請求項19】
第1および/または第3の層内のポリエチレンが、1×10以上のMwを有するポリエチレンをさらに含むことを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の多層微多孔膜。
【請求項20】
第1および第2の層内のポリエチレンが、合わせて炭素原子10,000個当たり0.009〜0.032の範囲の総末端不飽和基量を有することを特徴とする請求項16〜19のいずれかに記載の多層微多孔膜。
【請求項21】
第1および第3の層のポリエチレンの末端不飽和基量が、炭素原子10,000個当たり0.14以下であり、第2の層のポリエチレンが、1.0×10未満のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.20以上の末端不飽和基量を有することを特徴とする請求項16〜20のいずれかに記載の多層微多孔膜。
【請求項22】
1×10未満のMwおよび炭素原子10,000個当たり0.20以上の末端不飽和基量を有するポリエチレンの総量が、多層微多孔膜の全重量を基準として3.0重量%〜17.0重量%の範囲であることを特徴とする請求項16〜21のいずれかに記載の多層微多孔膜。
【請求項23】
シャットダウン温度が、130.5℃以下であり、突刺強度が、20ミクロン当たり3900〜4300mNであり、第1のポリマーが、エチレン/α−オレフィンコポリマーであることを特徴とする請求項16〜22のいずれかに記載の多層微多孔膜。
【請求項24】
膜が、80.0mAh以下の電気化学的安定性を有することを特徴とする請求項16〜23のいずれかに記載の多層微多孔膜。

【公表番号】特表2012−521914(P2012−521914A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503458(P2012−503458)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/026416
【国際公開番号】WO2010/114671
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(510157580)東レバッテリーセパレータフィルム株式会社 (31)
【Fターム(参考)】