説明

微小構造ローラシステム

皮膚表面を通じて物質を移送するための微細構造体であって、該微細構造体は、第1面と第2面を備える基板と、前記基板の前記第2面から突出する複数の微小構造部からなる。前記微小構造部は、少なくとも1つの中空部を備える。中空部は、前記基板の前記第1面から流体が流入しないように形成される。前記微小構造部が皮膚表面を貫き、侵入したとき、前記物質の少なくとも一部が、前記中空部内で、前記皮膚表面に移送される

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微小構造に関する。また特に、薬剤およびワクチンを移送するために加えて、化粧品を塗るために用いる微小構造に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品及び医療用皮膚治療剤、例えば化粧用および医療用クリームをうまく塗布できるか否かは、化粧品或いは医療用皮膚治療剤が皮膚に浸透するかどうかによる。化粧品或いは医学的な皮膚治療の分野では、微小構造を用いて、皮膚表面を貫き、物質を角質層及び皮膚深部に用いることが知られている。ここでは、「微小構造」との用語を皮膚表面を貫くために用いる構造として定義する。微小構造の例としては、これには限られないが、マイクロニードルおよびマイクロピラミッドが挙げられる。微小構造は通常、コラーゲンの増加を加速するために用いられる。これにより、皮膚の皺を緩和し、新陳代謝を促進し、皮膚を引き締まった状態に保ち(老化防止効果)、また皮膚を厚くする。加えて、微小構造を用いると、該微小構造の使用前、使用中、或いは使用後に、塗布される活性化合物の浸透を増進することが可能である。
【0003】
先行技術、特に国際公開WO/0,247,555号公報及びWO/0,249,711号公報は、ローラ・ヘッドから小さな鋼製ピンが突出したローラ器具を用いることを開示している。鋼製ピンはそれぞれローラ・ヘッド内に配されている。使用時には、該ローラ・ヘッドを皮膚上で転がして、皮膚内にチャネルを作る。
【0004】
【特許文献1】国際公開WO/0,247,555号公報
【特許文献2】国際公開WO/0,249,711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のシステムの短所は、ピン同士の間隔が限定されることである。これは、各ピンをローラ・ヘッド内に配するという構築方法のためである。該方法によるとローラ・ヘッド内は鋼製ピンがローラ内に延びると、ローラ・ヘッド内が過密となる。このため、ローラ・ヘッド上でのピン同士の間隔は、湾曲方向では3mm以上、横軸方向では2mm以上に限定される。この間隔に対する制限のために、治療の有効性は減じられる。貫通穴が密であると治療効果が向上するためである。前述のシステムのもう一つの欠点は、ローラを強く押さえると鋼製ピンがローラから脱落したり、使用時に望まれる深さ以上まで貫いたりしかねないことである。ゆえに、安全性については十分に考慮されていない。特に、皮膚を貫かないことが重要である化粧品の塗布については十分に考慮されていない。上述のシステムの更なる欠点は、ゲルやクリームまたはその他の形態の、医療用或いは化粧用物質とともに用いた場合、該ニードル(ピン)を用いても効果的に該薬剤を皮膚内に移送できないことである。該ニードルは、予備治療或いは効果の少ない後処理にのみ使用可能である。
【0006】
ゆえに、医療用或いは化粧用の活性物質を、安全かつ効果的に、皮膚内の適切な深さに移送するためのシステムが必要である。例えば化粧用化合物であれば角質層内或いは角質層の直下に、ワクチンであれば上皮内に、薬剤の全身および局所への分配であれば真皮内に移送する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る微小構造ローラシステムの構造並びに該構造の操作方法は以下の通りである。
本発明は、皮膚表面を通じて物質を移送するための微細構造体であって、(a)第1面と第2面を備える基板と、(b)前記基板の前記第2面から突出する複数の微小構造部からなり、前記微小構造部のそれぞれが、少なくとも1つの中空部を備え、該中空部が前記基板の前記第1面から流体が流入しないように形成され、前記微小構造部が皮膚表面を貫き、侵入したとき、前記物質の少なくとも一部が、前記中空部内で、前記皮膚表面に移送されることを特徴とする構造体を提供する。
本発明は更に、前記中空部が、単一の開口部を備える中空部であることを特徴とする。
本発明は更に、前記微小構造部のそれぞれが前記基板の前記第1面から流体が流入しないように形成された複数の中空部を備えることを特徴とする。
本発明は更に、前記中空部内に配される医薬物質を更に備えることを特徴とする。
本発明は更に、前記中空部内に配される化粧用物質を更に備えることを特徴とする。
本発明は更に、転動構造部を更に備え、前記転動構造部、前記基板及び前記微小構造部がともに微小構造転動システムを形成し、前記微小構造転動システムが、皮膚表面上で転動されると、前記物質の少なくとも一部が皮膚表面上に移送されることを特徴とする。
本発明は更に、前記微小構造転動システムが、分配構造部を備え、該分配構造部は、前記物質を蓄えるとともに、前記微小構造部の前記中空部に前記物質を分配することを特徴とする。
【0008】
本発明は更に、皮膚表面を通じて物質を移送する微小構造体であって、(a)第1面と第2面を備える基板と、(b)前記基板の前記第2面から突出する少なくとも1つの微小構造部からなり、前記少なくとも1つの微小構造部は、少なくとも1つの中空部を備え、該少なくとも1つの中空部は、該少なくとも1つの中空部は、前記基板の前記第1面から流体が流入しないように形成され、前記少なくとも1つの微小構造部が、皮膚表面を通じて挿入されたときに、前記少なくとも1つの中空部内で、前記物質の一部が皮膚表面を介して移送されるように前記少なくとも1つの中空部が形成されることを特徴とする構造体を提供する。
本発明は更に、前記中空部が、単一の開口部を備える中空部であることを特徴とする。
本発明は更に、前記微小構造部のそれぞれが前記基板の前記第1面との前記第1面から流体が流入しないように形成された複数の中空部を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明は更に、微小構造体を用いて皮膚表面を通じて物質を移送するための方法であって、前記微小構造体は、第1面と第2面を備える基板と、前記基板の第2面から突出する複数の微小構造部を備え、前記方法は、(a)前記第2面から微小構造体に前記物質を供給する段階と、(b)皮膚表面上に前記微小構造体を配し、皮膚表面に前記微小構造部を挿入し、皮膚表面を介して前記物質の少なくとも一部を移送することを特徴とする方法を提供する。
本発明は更に、(a)前記供給する段階が、前記微小構造部の中空部に物質の少なくとも一部を配することにより行われ、該中空部は、前記基板の前記第1面から流体が流入しないように形成され、(b)前記微小構造体を配する段階で、前記物質の少なくとも一部が前記中空部内で、皮膚表面を通じて移送されることを特徴とする。
本発明は更に、前記物質が乾燥物質であることを特徴とする。
本発明は更に、前記物質がゲル状であることを特徴とする。
本発明は更に、前記物質がクリーム状であることを特徴とする。
本発明は更に、前記物質が化粧用物質であることを特徴とする。
本発明は更に、前記物質が医薬物質であることを特徴とする。
【0010】
本発明は更に、皮膚表面に挿入するための微小構造システムであって、該微小構造システムは、(a)転動要素と、(b)前記転動要素と連通するとともに1mm以下の針内部空間を備える複数の微小構造部と、(c)前記転動要素と機械的に接続するハンドル部からなり、前記ハンドル部が動作され、皮膚表面上で前記微小構造部が転動されるときに、前記微小構造部が皮膚表面に挿入されるように、前記転動要素、前記微小構造部及び前記ハンドル部が形成されることを特徴とするシステムを提供する。
【0011】
本発明は更に、皮膚表面に挿入するための微小構造システムであって、該微小構造システムは、(a)転動要素と、(b)基板と該基板から突出する複数の微小構造部とが一体に形成されてなる微小構造体であって、前記転動要素と連通する微小構造体と、(c)前記転動要素と機械的に接続するハンドル部からなり、前記転動要素は、前記ハンドル部に対して転動可能に形成され、前記ハンドル部が動作され、皮膚表面上で前記微小構造部が転動されるときに、前記微小構造部が皮膚表面に挿入されるように、前記転動要素、前記微小構造部及び前記ハンドル部が形成されることを特徴とするシステムを提供する。
【0012】
本発明は更に、皮膚表面に挿入するための微小構造システムであって、該微小構造システムは、(a)略球形に形成される転動要素と、(b)前記転動要素と連通する複数の微小構造部と、(c)前記転動要素と機械的に接続するハンドル部からなり、前記転動要素は、前記ハンドル部に対して転動可能に形成され、前記ハンドル部が動作され、皮膚表面上で前記微小構造部が転動されるときに、前記微小構造部が皮膚表面に挿入されるように、前記転動要素、前記微小構造部及び前記ハンドル部が形成されることを特徴とするシステムを提供する。
【0013】
本発明は更に、皮膚表面を通じて物質を移送するための微小構造システムであって、該微小構造システムは、(a)転動要素と、(b)前記転動要素と連通する複数の微小構造部と、(c)前記転動要素と機械的に接続するハンドル部であって、前記転動要素を前記ハンドル部に対して転動可能とするハンドル部と、(d)前記転動要素に機械的に接続する分配構造部からなり、前記分配構造部は物質を蓄積するとともに前記微小構造部に前記物質を分配可能とし、前記ハンドル部が動作され、皮膚表面上で前記微小構造部が転動されるときに、前記物質の少なくとも一部が前記皮膚表面を通じて移送されるように、前記転動要素、前記微小構造部、前記ハンドル部及び前記分配構造部が形成されることを特徴とするシステムを提供する。
【0014】
本発明は更に、皮膚表面を通じて物質を移送するための微小構造システムであって、該微小構造システムは、(a)転動要素と、(b)前記転動要素と連通する複数の微小構造部であって、各微小構造部が、その内部を通過するチャネルを備える微小構造部と、(c)物質を蓄積するとともに前記微小構造部の前記チャネルと連通し、前記微小構造部の前記チャネルを介して物質を分配するリザーバと、(d)前記転動要素と機械的に接続するハンドル部からなり、前記転動要素は前記ハンドル部に対して転動可能とされ、前記ハンドル部が動作され、皮膚表面上で前記微小構造部が転動され、前記微小構造部が皮膚表面に挿入されるときに、前記物質の少なくとも一部が前記微小構造部の前記チャネルを介して前記皮膚表面を通じて移送されるように、前記転動要素、前記微小構造部、前記リザーバ及び前記ハンドル部が形成されることを特徴とするシステムを提供する。
【0015】
本発明は更に、皮膚表面に挿入するための微小構造システムであって、該微小構造システムは、(a)ローラと、(b)前記ローラに機械的に接続するハンドル部であって、該ハンドル部に対して前記ローラを転動可能とするハンドル部と、(c)前記ローラと連通する複数の微小構造部からなり、該微小構造部は、(i)前記ローラが第1の方向で転動するときに、第1深さまで皮膚表面を通じて前記微小構造部が挿入され、(ii)前記ローラが第2の方向で転動するときに、第2の深さまで皮膚表面を通じて前記微小構造部が挿入され、前記第1深さが第2深さよりも大きいことを特徴とするシステムを提供する。
本発明は更に、前記第2深さがゼロであることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を、図を参照しつつ説明する。尚、以下の説明は、単に例示である。本発明は微小構造ローラシステムおよびその操作方法である。本発明による微小構造ローラシステムの原理および動作は、図面と付随する説明を参照することでよりよく理解されうる。
本発明の構造は特に、化粧品の塗布、薬剤及び/またはワクチン、或いは同様の化合物の皮膚内への移送に好適に利用可能である。例えば、化粧品の場合、皮膚のごく浅い深さ、すなわち100ミクロン以下に移送し、ワクチンの場合200ミクロン以下まで移送し、皮膚または全身に関わる化合物を400ミクロン以下まで移送する。
【0017】
ここで図1a乃至図1fを参照する。図1a乃至図1fは、本発明の好適な実施形態に従い構築され、動作可能とされる微小構造ローラシステム(10)の様々な図である。図1aは微小構造ローラシステム(10)の斜視図である。図1bは微小構造ローラシステム(10)の側面図である。図1cは微小構造ローラシステム(10)の平面図である。図1dは図1aの符号Aで示される領域の拡大図である。図1eは微小構造ローラシステム(10)の概略断面図である。図1fは図1eの符号Aで示される領域の拡大図である。微小構造ローラシステム(10)は、転動要素(12)、ハンドル部(14)、分配構造部(16)、一体的に形成された複数の微細構造体(18)を備える。転動要素(12)は通常シリンダ状の形状である。一体的に形成された微細構造体(18)はそれぞれ、基部(20)及び複数の微小構造部(22)を備える(図1d)。基部(20)は第一主要表面(24)及び第二主要表面(26)を備える(図3)。微小構造部(22)は基部(20)の第二主要表面(26)より突出する。一体的に形成された微細構造体(18)は、図3を参照してより詳しく説明される。一体的に形成された微小構造部(18)は、基部(20)と微小構造部(22)とが通常一つのユニットとして形成されるという点から、一体的に形成されると表される。一体的に形成された微細構造体(18)は、転動要素(12)と相互接続される。この相互接続は通常、基部(20)を転動要素(12)の表面上に配し、微小構造部(22)が転動要素(12)から突出するようにすることで実現される。通常の当業者であれば、転動要素(12)および微細構造体(18)が一つの一体的に形成されたユニットとして形成されうることが理解可能である。微小構造部(22)は、転動要素(12)内に個別に差し込まれるものではない。ゆえに、微小構造部(22)を、先行技術によるローラシステムのピンよりも、間隔を密にして配することが可能となる。当技術分野では、ニードル(微小構造部)間の間隔が100ミクロン未満であるような、シリコン製或いはポリマ製の微小構造が生産可能であることが知られている。よって、微小構造体(22)では一般的に、ニードル同士の間隔が1mm未満、好ましくは450ミクロン未満とする。これにより、微小構造ローラシステムによって実施される治療の効果が向上する。「ニードル同士の間隔」という用語は、ここでは、微小構造体(22)の外端と最寄りの隣接する微小構造体(22)の外端との最短直線距離として定義する。該距離は、微小構造体(22)が基部に接する場所で計測される。微小構造体(22)の長さは通常、用途に応じて、20ミクロンから750ミクロンとする。微小構造体(22)の底幅は通常、300ミクロン以下、好ましくは100ミクロン以下とする。底幅対高さの比率は、通常1対1から1対5までとする。転動要素(12)は通常、プラスチック素材(例えば、ポリカーボネート或いはPMMA)、テフロン(登録商標)、ステンレスなどの金属、或いはガラスまたはアルミナなどのセラミックスから形成される。転動要素(12)がプラスチックから形成される場合には、転動要素(12)は射出成形或いは鋳造により成形される。
【0018】
ハンドル部(14)は、転動要素(12)に機械的に接続されており、その結果転動要素(12)はハンドル部(14)を軸として回転する。転動要素(12)、一体成形された微細構造体(18)、及びハンドル部(14)は、ハンドル部(14)を操作して微小構造部(22)を皮膚表面上を転がす際に、微小構造部(22)が皮膚表面を貫くように配される。
【0019】
分配構造部(16)は転動要素(12)に機械的に接続される。分配構造部(16)は物質(一般的には医療用或いは化粧用)を、通常加圧下で蓄えるとともに、該物質を微小構造部(22)上に向けて分配する。「微小構造部上に向けて分配する」、「微小構造上に配する」及び「微細構造体に物質を使用する」という表現は、ここでは、微小構造部(22)の中空部内に物質を配することも含むものとする。中空部を備える微小構造部(22)については、図3乃至図9bを参照して詳細に説明する。しかしながら、通常の当業者であれば、中空部を持たない微小構造もまた微小構造部(22)として使用可能であることが理解できる。中空部によって、該物質が貫かれる皮膚と接する表面積が増加する。加えて、中空部によって、各マイクロニードル(22)が保持する該物質の量が増加する。したがって、微小構造部(22)に用いられる該物質は、基部(20)の第二主要表面(26)から微小構造部(22)にもたらされるのに対して、第一主要表面(24)からは該物質は微小構造部(22)のチャネルを通してもたらされる。分配構造部(16)は開口部(28)(図1f)を備える。該開口部は、分配構造部(16)と転動要素(12)が接する付近に配される。該物質は分配構造部(16)からボタン(30)を押すことにより放出される。該物質は、弾力性塗布用板(32)によって微小構造部(22)上に広げられる。よって微小構造ローラシステム(10)は、ハンドル部(14)を操作して微小構造部(22)を皮膚表面上で転がす際に、該物質が微小構造部(22)によって皮膚表面を貫いて移送されるように形成される。微小構造部(22)が中空部を備える場合には、該物質は、主に微小構造部(22)の中空部内で、皮膚表面を貫いて移送される。「皮膚表面を貫いて移送」との表現は、ここでは、体外から皮膚の様々な層内に該物質を移送することを含むものとする。皮膚の様々な層とは、例えば、これには限らないが、角質層、表皮、及び真皮などである。また、「皮膚表面を貫く」との表現は、皮膚の層、例えば、これには限らないが、角質層、表皮、真皮などに届く微小構造によって、体外から皮膚を貫くことを含むものとする。通常の当業者であれば、分配構造部(16)として、独立したリザーバを用いてもよいことが理解できる。該リザーバは、ハンドル部(14)に取り付けられた、しなやかなチューブを備えて、それにより該物質を転動要素(12)に供給する。このような機構は、一部の診療施設での大量の治療に適する。
【0020】
ここで、図1gおよび図1hを参照する。図1gは、本発明に従い構築され、動作可能とされる微小構造ローラシステム(34)の側面図である。図1hは図1gの符号Aで示される領域の拡大断面図である。微小構造ローラシステム(34)は、転動要素(36)、ハンドル部(38)、リザーバ(40)、及び複数の微小構造部(42)を備える。転動要素(36)は通常、シリンダ・ローラとする。ハンドル部(38)は転動要素(36)に機械的に接続されるので、転動要素(36)はハンドル部(38)を軸に回転する。リザーバ(40)は転動要素(36)内に配される。リザーバ(40)は物質を蓄えるためのものである。微小構造部(42)は転動要素(36)と相互接続される。各微小構造部(42)内には、チャネル(44)が通る。各チャネル(44)は、リザーバ(40)及び各微小構造部(42)の開口部(46)と相互接続される。これにより、リザーバ(40)がチャネル(44)を通して該物質を分配することが可能となる。よって、ハンドル部(38)を操作して微小構造部(42)を皮膚表面上で転がし、微小構造部(42)に皮膚表面を貫かせる際には、該物質の少なくとも一部は、微小構造部(42)のチャネル(44)を介して皮膚を貫いて移送される。
【0021】
ここで図2a及び図2bを参照する。図2aは、概略断面図であり、転動要素(12)を第一方向(48)に回転させた場合の、図1aに示す微小構造ローラシステム(10)の微小構造部(22)が皮膚を貫く様子を示す。図2bは概略断面図であり、転動要素(12)を第二方向(50)に回転させた場合の、図1aに示す微小構造ローラシステム(10)の微小構造部(22)が皮膚を貫く様子を示す。微小構造部(22)は、転動要素(12)上で、その形状及び/または角度を変更可能とされる。これにより、転動要素(12)が第一方向(48)に回転されると、微小構造部(22)は皮膚の第一の深さまで貫き、転動要素(12)が第二方向(50)に回転されると、微小構造部(22)は皮膚の第二の深さまで貫くこととなる。尚、第一の深さは第二の深さより深いものとする。このような効果は通常、微小構造部(22)を、上記の効果が得られるまで、転動要素(12)の半径方向に対して傾斜させることにより実現される。一般的に微小構造部(22)は、第二の深さがゼロとなるように角度を決められる。言い換えると、転動要素(12)が第二方向(50)に回転される場合には、微小構造部(22)は、皮膚を単にマッサージするのみで、貫かない。転動要素(12)が第一方向(48)に回転される場合には、微小構造部(22)は皮膚を貫く。本発明のもっとも好適な実施例によると、マイクロニードル(22)は切断用エッジと穴あけ用チップとの両方を備える。両者により、皮膚を貫くことが容易になる。
【0022】
ここで図3を参照する。図3は概略図であり、図1aに示す微小構造ローラシステム(10)の、一体的に形成された微細構造体(18)を表す。一体的に形成された微細構造体(18)は基部(20)及び微小構造部(22)を備える。基部(20)は第一主要表面(24)及び第二主要表面(26)を備える。微小構造部(22)は第二主要表面(26)より突出する。本発明の最も好適な実施形態によると、各微小構造部(22)は一つ以上の中空部(52)を備える。しかしながら、通常の当業者であれば、微小構造部(22)を、中空部(52)なしに、また第一主要表面(24)と第二主要表面(26)とを接続する貫通孔を備えるように或いは備えないように形成することが可能であることが理解できる。中空部(52)は、基部(20)の第一主要表面(24)に通じる流体連結部から独立して配される。言い換えると、中空部(52)は第一主要表面(24)と第二主要表面(26)とを接続する貫通孔ではない。中空部(52)は、微小構造部(22)が皮膚を通して挿入されたときに、該物質が中空部(52)内で皮膚内に移送されるように配される。よって、中空部(52)は、該物質が貫かれる皮膚と接する表面積を増やすことにより、該物質の皮膚内への移送を増加させる。したがって、中空部(52)は、活性化合物が皮膚内部へ皮膚を貫いて移送されることを容易にする。該活性物質は、これには限らないが、例えば医療用或いは化粧用目的の物質である。中空部(52)は単一の開口部を備える中空部である。「単一の開口部を備える中空部」とは、ここでは微小構造部(22)表面に唯一つの開口部を備える中空部として定義する。中空部(52)は「複数の開口部を備える」中空部として実施されてもよい。この場合、各中空部は微小構造部(22)表面に、2つ以上の開口部を備える。通常の当業者であれば、一体的に形成された微細構造体(18)が、微小構造ローラシステム(10)或いはその他の微小構造システムとともに使用可能であることが理解できる。その他の微小構造システムの例としては、これには限らないが、注射器および塗布器などが挙げられる。塗布器とは、これには限らないが、微小構造アレイが、皮膚に押し付けられる或いは皮膚上を様々な方向に滑らされるような器具のことを言う。該アレイが滑らされる方向は、例えば、微小構造チップ及び中空部の貫通を助けるような方向とする。加えて、通常の当業者であれば、一体的に形成された微細構造体(18)は一回のみの使用にも複数回の使用にも用いられうることが理解できる。また、通常の当業者であれば、一体的に形成された微細構造体(18)は、短時間の使用(ボーラスと同義)或いは長時間に及ぶ、すり切れるまでの使用のいずれにも用いられうることが理解できる。微小構造部(22)の中空部(52)を通して移送される物質は通常、医薬物質或いは化粧用物質とする。これら物質の例としては、局所的或いは全身に分配される薬剤または化粧用化合物が挙げられる。通常の当業者であれば、該物質は、これには限らないが、クリーム、液体、或いはゲルのいずれとしてもよいことが理解できる。加えて、該物質は、粉末或いは乾燥フィルムなどの乾燥した物質として、中空部(52)内に配されてもよい。様々な理由から、薬剤を液体以外の形態(例えば、これには限らないが、乾燥フィルム、粉末、ゲル、クリーム、及び凍結乾燥薬剤など)にすると好都合である。それら理由としては、これには限らないが、例えば、濃縮、安定性、生体適合性、投薬管理などが挙げられる。このような液体以外の形態は、従来の技術では、皮膚を貫いて分配することが困難である。シリンジその他の液体に関する機構は、液体以外の形態に対しては解決策とならない。これら液体以外の物質としては、多数の指示薬及び分子グループ、例えば、たんぱく質、ペプチド(例えば凍結乾燥状態で)、ワクチン、DNAワクチン、小さな分子、大きな炭化水素基を有する薬剤或いは化粧用活性化合物が使用可能である。「医療用」とは、ここでは、患者の健康状態の向上または維持を第一目的とするものとして定義する。「化粧用」とは、ここでは、純粋に美観上の結果を、唯一或いは主要な目的とするものとして定義する。通常の当業者であれば、該物質が皮膚に直接用いられてもよいことが理解できる。この場合、該物質は、微小構造部(22)が皮膚内に押し込まれる時に、中空部(52)内に配される。
【0023】
ここで図4a乃至図9bを参照する。図4a乃至図9bは、カップ状微小構造部を表す。該微小構造部は、図1aの微小構造ローラシステム(10)とともに用いる。「カップ状」微小構造部とは、中空部を備える微小構造のことを表す。これは、該中空部がカップのように働いて、カップ内において、物質を皮膚外部から皮膚表面下に移送するからである。通常の当業者であれば以下のことが理解できる。(i)中空部の断面は様々な形状をとりうる。(ii)中空部は様々な形状の微小構造内に形成されうる。(iii)中空部は微小構造内の様々な位置に形成されうる。(iv)中空部は様々な寸法で形成されうる。通常の当業者であれば、中空部は、当技術分野において既知の技術を用いた微小構造内に形成されうることが理解できる。例えば、中空部は、シリコンを選択的にエッチングすることにより、シリコン製微小構造内に形成される。また例えば中空部は、ポリマ微小構造内に形成される。この場合、該中空部は、鋳造或いはリソグラフ技術を用いて1つ以上の中空部を備えるポリマ微小構造を形成することにより、形成される。微小構造を形成するための先行技術は、係属中の特許出願である、国際出願第IL03/00165号(2003年3月4日出願)、2003年3月27日出願の米国特許出願、米国特許第6,533,949号及び米国特許第6,558,361号中に、また「Process development for polymer needles by using SU-8 technology and silicon molding techniques」(オランダ、エンシェデ、トゥウェンデ大学メサ+インスティトゥートを居所とするDominique Maria Altpeter著)という出版物中に開示されている。尚、中空部の大きさは、微小構造全体の強度を考慮して決定されるべきである。もし中空部の比率が微小構造全体に対して大きくなりすぎると、該構造は使用に際してまた使用中に壊れかねない。図4aはカップ状微小構造部(54)の斜視図である。図4bは図4aの微小構造部(54)の切断図である。図4cは、図1aの微小構造ローラシステムとともに用いる、非対称カップ状微小構造部(55)の斜視図である。図4dは、図4cの非対称カップ状微小構造部(55)の切断図である。図5は、切断されたカップ状微小構造部(56)の断面図である。図6aは、断面が六角形の中空部(60)を備えるピラミッド型微小構造部(62)の平面図である。図6bは断面が楕円形の中空部(64)を2つ備えるピラミッド型微小構造部(62)の平面図である。図6cは断面が三角形の中空部(68)を備えるピラミッド型微小構造部(66)の平面図である。図6dは断面が楕円形の広い中空部(72)を備えるピラミッド型微小構造部(70)の平面図である。図6eは断面が楕円形の狭い中空部(76)を備えるピラミッド型微小構造部(74)の平面図である。図7aは、断面が円形の中空部(80)を備える第一微小構造部(78)の平面図である。図7bは、断面が円形の中空部(84)を備える第二微小構造部(82)の平面図である。図7cは、断面が円形の中空部(88)を備える第三微小構造部(86)の平面図である。図8aは、断面が矩形の中空部(92)を備えるピラミッド型微小構造部(90)の平面図である。図8bは、図8aのピラミッド型微小構造部(90)の断面図である。図9aは複数の中空部(96)を備える微小構造(94)の断面図である。微小構造部(94)は図1aの微小構造ローラシステムとともに用いる。図9bは図9aの中空部(96)の側面図である。
【0024】
ここで図10a乃至図10cを参照する。図10a乃至図10は、本発明の第二代替実施形態に従い構築され、動作可能とされる、微小構造球状ローラシステム(98)の様々な図である。図10aは微小構造球状ローラシステム(98)の斜視図である。図10bは図10aの符号Aで示される領域の拡大図である。図10cは微小構造球状ローラシステム(98)の側面図である。微小構造球状ローラシステム(98)は分配構造部(100)及び転動要素(102)を備える。転動要素(102)はほぼ球形である。微小構造球状ローラシステム(98)は、微小構造部(104)を備える、複数の基部(106)を備える。微小構造部(104)は通常、基部(106)と一体的に形成される。基部(106)は転動要素(102)上に配される。通常の当業者であれば、微小構造部(104)が転動要素(102)と一体的に形成されてもよいことが理解できる。転動要素(102)は分配構造部(100)の一端内で回転する。通常の当業者であれば、分配構造部(100)の、転動要素(102)及び微小構造部(104)と接する表面は、転動要素(102)が回転時に微小構造部(104)が壊れないように柔らかくなければならないことが理解できる。しかしながら、分配構造部(100)のこれら表面は、分配構造部(100)の端部に転動要素(102)を保持できるほどには、頑丈である必要がある。これら表面は通常、ゴム素材からなる。分配構造部(100)は通常、断面が円形の、細長い要素とする。分配構造部(100)は中空で、微小構造部(104)上に分配される(医療用或いは化粧用)液体物質を蓄えることができる。微小構造部(104)は好ましくは中空部を備える微小構造とする。
【0025】
微小構造ローラシステム(10)、微小構造ローラシステム(34)、及び微小構造球状ローラシステム(98)は、化粧品或いは薬剤を用いる前に皮膚を準備するため(前処理)、化粧品或いは薬剤自体を用いるため(処理)、または化粧品或いは薬剤を用いた後に使用するため(後処理)のいずれの目的でも使用可能である。これらの器具を用いることで、化粧品或いは薬剤の皮膚内への浸透が向上する。例えば、微小構造ローラシステム(10)を前処理に用いると、ビタミンC含有クリームのようなクリームを塗布する前に、皮膚を準備し、該クリームの皮膚内での皮膚浸透性及び有効性を向上することが可能である。塗布するものとしては、これには限らないが、老化防止用、皺防止用および染み防止用剤が挙げられる。
【0026】
通常の当業者であれば、本発明は、上で特に示され説明されたことに限定されないことが理解できる。むしろ、本発明はその範囲に、上記の様々な特徴を組み合わせたもの及び階層的に組み合わせたもの及び、当業者が前記を読んで想到するような、先行技術にはない、本発明を変更及び改変したものを含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1a】本発明の好適な実施例にしたがい構築され、動作可能とされる微小構造ローラシステムの斜視図である。
【図1b】図1aに示す微小構造ローラシステムの側面図である。
【図1c】図1aに示す微小構造ローラシステムの平面図である。
【図1d】図1aにおいて符号Aで示される領域の拡大図である。
【図1e】図1aに示す微小構造ローラシステムの概略断面図である。
【図1f】図1eに示す符号Aで示される領域の拡大図である。
【図1g】本発明の他の実施例にしたがい構築され、動作可能とされる微小構造ローラシステムの側面図である。
【図1h】図1gに示す符号Aで示される領域の拡大断面図である。
【図2a】ローラが第1の方向に転動するときに、図1aに示す微小構造ローラシステムの微小構造部が挿入される状態を示す概略断面図である。
【図2b】ローラが第2の方向に転動するときに、図1aに示す微小構造ローラシステムの微小構造部が挿入される状態を示す概略断面図である。
【図3】図1aに示す微小構造ローラシステムの微小構造体の概略図である。
【図4a】図1aに示す微小構造ローラシステムに使用されるカップ状の微小構造部の斜視図である。
【図4b】図4aに示すカップ状の微小構造部の切取図である。
【図4c】図1aに示す微小構造ローラシステムに使用される非対称のカップ状微小構造部の斜視図である。
【図4d】図4cに示す非対称のカップ状微小構造部の切取図である。
【図5】図1aに示す微小構造ローラシステムに使用される切面付カップ状微小構造部の断面図である。
【図6a】図1aに示される微小構造ローラシステムに用いられる六角形断面を有する中空部を備えるピラミッド型微小構造部の平面図である。
【図6b】図1aに示される微小構造ローラシステムに用いられる楕円断面を有する2つの中空部を備えるピラミッド型微小構造部の平面図である。
【図6c】図1aに示される微小構造ローラシステムに用いられる三角形断面を有する中空部を備えるピラミッド型微小構造部の平面図である。
【図6d】図1aに示される微小構造ローラシステムに用いられる楕円断面を有する広い中空部を備えるピラミッド型微小構造部の平面図である。
【図6e】図1aに示される微小構造ローラシステムに用いられる楕円断面を有する狭い中空部を備えるピラミッド型微小構造部の平面図である。
【図7a】図1aに示される微小構造ローラシステムに用いられる円形断面を有する中空部を備える第1の微小構造部の平面図である。
【図7b】図1aに示される微小構造ローラシステムに用いられる円形断面を有する中空部を備える第2の微小構造部の平面図である。
【図7c】図1aに示される微小構造ローラシステムに用いられる円形断面を有する中空部を備える第3の微小構造部の平面図である。
【図8a】図1aに示される微小構造ローラシステムに用いられる四角形断面を有する中空部を備えるピラミッド型微小構造部の平面図である。
【図8b】図8aに示される微小構造部の断面図である。
【図9a】図1aに示される微小構造ローラシステムに用いられる複数の中空部を備える微小構造部の斜視図である。
【図9b】図9aに示される微小構造部の側面図である。
【図10a】本発明の第2の他の実施例にしたがい構築され、動作可能とされる微小構造球状ローラシステムの斜視図である。
【図10b】図10aの符号Aで示される領域の拡大図である。
【図10c】図10aの微小構造球状ローラシステムの側面図である。








【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚表面を通じて物質を移送するための微細構造体であって、
(a)第1面と第2面を備える基板と、
(b)前記基板の前記第2面から突出する複数の微小構造部からなり、
前記微小構造部のそれぞれが、少なくとも1つの中空部を備え、
該中空部が前記基板の前記第1面から流体が流入しないように形成され、
前記微小構造部が皮膚表面を貫き、侵入したとき、前記物質の少なくとも一部が、前記中空部内で、前記皮膚表面に移送されることを特徴とする構造体。
【請求項2】
前記中空部が、単一の開口部を備える中空部であることを特徴とする請求項1記載の構造体。
【請求項3】
前記微小構造部のそれぞれが前記基板の前記第1面から流体が流入しないように形成された複数の中空部を備えることを特徴とする請求項1記載の構造体。
【請求項4】
前記中空部内に配される医薬物質を更に備えることを特徴とする請求項1記載の構造体。
【請求項5】
前記中空部内に配される化粧用物質を更に備えることを特徴とする請求項1記載の構造体。
【請求項6】
転動構造部を更に備え、
前記転動構造部、前記基板及び前記微小構造部がともに微小構造転動システムを形成し、
前記微小構造転動システムが、皮膚表面上で転動されると、前記物質の少なくとも一部が皮膚表面上に移送されることを特徴とする請求項1記載の構造体。
【請求項7】
前記微小構造転動システムが、分配構造部を備え、
該分配構造部は、前記物質を蓄えるとともに、前記微小構造部の前記中空部に前記物質を分配することを特徴とする請求項6記載の構造体。
【請求項8】
皮膚表面を通じて物質を移送する微小構造体であって、
(a)第1面と第2面を備える基板と、
(b)前記基板の前記第2面から突出する少なくとも1つの微小構造部からなり、
前記少なくとも1つの微小構造部は、少なくとも1つの中空部を備え、
該少なくとも1つの中空部は、前記基板の前記第1面から流体が流入しないように形成され、
前記少なくとも1つの微小構造部が、皮膚表面を通じて挿入されたときに、前記少なくとも1つの中空部内で、前記物質の一部が皮膚表面を介して移送されるように前記少なくとも1つの中空部が形成されることを特徴とする構造体。
【請求項9】
前記中空部が、単一の開口部を備える中空部であることを特徴とする請求項8記載の構造体。
【請求項10】
前記少なくとも1つの微小構造部が、複数の中空部を備え、
該中空部が前記第1面から流体が流入しないように形成された複数の中空部を備えることを特徴とする請求項1記載の構造体。
【請求項11】
微小構造体を用いて皮膚表面を通じて物質を移送するための方法であって、
前記微小構造体は、第1面と第2面を備える基板と、前記基板の第2面から突出する複数の微小構造部を備え、
前記方法は、
(a)前記第2面から微小構造体に前記物質を供給する段階と、
(b)皮膚表面上に前記微小構造体を配し、皮膚表面に前記微小構造部を挿入し、皮膚表面を介して前記物質の少なくとも一部を移送することを特徴とする方法。
【請求項12】
(a)前記供給する段階が、前記微小構造部の中空部に物質の少なくとも一部を配することにより行われ、
該中空部は、前記基板の前記第1面から流体が流入しないように形成され、
(b)前記微小構造体を配する段階で、前記物質の少なくとも一部が前記中空部内で、皮膚表面を通じて移送されることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記物質が乾燥物質であることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記物質がゲル状であることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記物質がクリーム状であることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記物質が化粧用物質であることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項17】
前記物質が医薬物質であることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項18】
皮膚表面に挿入するための微小構造システムであって、該微小構造システムは、
(a)転動要素と、
(b)前記転動要素と連通するとともに1mm以下の針内部空間を備える複数の微小構造部と、
(c)前記転動要素と機械的に接続するハンドル部からなり、
前記ハンドル部が動作され、皮膚表面上で前記微小構造部が転動されるときに、前記微小構造部が皮膚表面に挿入されるように、前記転動要素、前記微小構造部及び前記ハンドル部が形成されることを特徴とするシステム。
【請求項19】
皮膚表面に挿入するための微小構造システムであって、該微小構造システムは、
(a)転動要素と、
(b)基板と該基板から突出する複数の微小構造部とが一体に形成されてなる微小構造体であって、前記転動要素と連通する微小構造体と、
(c)前記転動要素と機械的に接続するハンドル部からなり、
前記転動要素は、前記ハンドル部に対して転動可能に形成され、
前記ハンドル部が動作され、皮膚表面上で前記微小構造部が転動されるときに、前記微小構造部が皮膚表面に挿入されるように、前記転動要素、前記微小構造部及び前記ハンドル部が形成されることを特徴とするシステム。
【請求項20】
皮膚表面に挿入するための微小構造システムであって、該微小構造システムは、
(a)略球形に形成される転動要素と、
(b)前記転動要素と連通する複数の微小構造部と、
(c)前記転動要素と機械的に接続するハンドル部からなり、
前記転動要素は、前記ハンドル部に対して転動可能に形成され、
前記ハンドル部が動作され、皮膚表面上で前記微小構造部が転動されるときに、前記微小構造部が皮膚表面に挿入されるように、前記転動要素、前記微小構造部及び前記ハンドル部が形成されることを特徴とするシステム。
【請求項21】
皮膚表面を通じて物質を移送するための微小構造システムであって、該微小構造システムは、
(a)転動要素と、
(b)前記転動要素と連通する複数の微小構造部と、
(c)前記転動要素と機械的に接続するハンドル部であって、前記転動要素を前記ハンドル部に対して転動可能とするハンドル部と、
(d)前記転動要素に機械的に接続する分配構造部からなり、
前記分配構造部は物質を蓄積するとともに前記微小構造部に前記物質を分配可能とし、
前記ハンドル部が動作され、皮膚表面上で前記微小構造部が転動されるときに、前記物質の少なくとも一部が前記皮膚表面を通じて移送されるように、前記転動要素、前記微小構造部、前記ハンドル部及び前記分配構造部が形成されることを特徴とするシステム。
【請求項22】
皮膚表面を通じて物質を移送するための微小構造システムであって、該微小構造システムは、
(a)転動要素と、
(b)前記転動要素と連通する複数の微小構造部であって、各微小構造部が、その内部を通過するチャネルを備える微小構造部と、
(c)物質を蓄積するとともに前記微小構造部の前記チャネルと連通し、前記微小構造部の前記チャネルを介して物質を分配するリザーバと、
(d)前記転動要素と機械的に接続するハンドル部からなり、
前記転動要素は前記ハンドル部に対して転動可能とされ、
前記ハンドル部が動作され、皮膚表面上で前記微小構造部が転動され、前記微小構造部が皮膚表面に挿入されるときに、前記物質の少なくとも一部が前記微小構造部の前記チャネルを介して前記皮膚表面を通じて移送されるように、前記転動要素、前記微小構造部、前記リザーバ及び前記ハンドル部が形成されることを特徴とするシステム。
【請求項23】
皮膚表面に挿入するための微小構造システムであって、該微小構造システムは、
(a)ローラと、
(b)前記ローラに機械的に接続するハンドル部であって、該ハンドル部に対して前記ローラを転動可能とするハンドル部と、
(c)前記ローラと連通する複数の微小構造部からなり、
該微小構造部は、
(i)前記ローラが第1の方向で転動するときに、第1深さまで皮膚表面を通じて前記微小構造部が挿入され、
(ii)前記ローラが第2の方向で転動するときに、第2の深さまで皮膚表面を通じて前記微小構造部が挿入され、
前記第1深さが第2深さよりも大きいことを特徴とするシステム。
【請求項24】
前記第2深さがゼロであることを特徴とする請求項23記載のシステム。

【図3】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−516201(P2006−516201A)
【公表日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−553059(P2004−553059)
【出願日】平成15年11月18日(2003.11.18)
【国際出願番号】PCT/IL2003/000974
【国際公開番号】WO2004/045671
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(504336331)ナノ パス テクノロジーズ リミテッド (4)
【Fターム(参考)】