説明

微生物を検出するための品質保証システム

本発明は、a)国際薬局方、食品法、化粧品指令または通常の市販の間接法による標準条件下、8〜24時間の培養に対応する一晩培養で試料中の微生物を増菌するためのシステムと、b)i)生存細胞の場合、特定の蛍光色素試薬との反応により検出可能な蛍光色素を放出する特定の酵素の生成を導く、誘導物質および蛍光試薬を含有する少なくとも一つの試薬と、ii)インサイチュハイブリダイゼーションにより微生物を検出するための、蛍光マーカーに固定された少なくとも一つの核酸プローブとを含有する、ろ過性および/または非ろ過性生産物中の生存、損傷または死んだ微生物を検出するためのキットとを含んでなり、増殖性微生物について<10CFU/gの検出限界を達成する、増殖性微生物を検出するための品質保証システムに関する。また、本発明は、本発明の品質保証システムの使用、および本発明の品質保証システムを使用して、ろ過性および/または非ろ過性試料または生産物中の生存、損傷または死んだ微生物を検出するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、微生物の検出、およびろ過性および/または非ろ過性生産物の品質制御、および生産工場の衛生状態の評価に関する。
【背景技術】
【0002】
長い間、生産物中の微生物の同定は、時間がかかる培養および付随する増幅によってのみ行うことができ、要求された結果は、1〜2週間後にのみ利用可能であった。例えば、細菌、真菌類および単細胞藻類について、培養は、各々の種について最も有利な栄養培地中で行われていた。
この同定方法は、どれ位多くの、およびどの微生物が単位体積当たりの最終生産物中に存在するかを確立する。増殖可能な生存微生物は、中間または最終生産物の望まれない汚染を生じさせ得るため、特に興味深い。
【0003】
標準的方法は、例えば、膜ろ過であり、ここで試料は培養およびろ過され、そして微生物は膜上に残る。該微生物を、膜上で増殖させ、そして同定する。他の方法は、スタンディング試験、および、ある程度、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。しかしながら、ポリメラーゼ連鎖反応は、「裸の」DNAでさえも陽性結果を与えるので、偽陽性結果は一般的である。
しかしながら、全てのこれらの方法は、試料の処理が非常に複雑であり、および結果が早くても数日間から数週間後にのみわかるという欠点を伴う。
【0004】
既知の方法のさらなる開発は、例えば、DNAに結合し、かくしてRNAの合成を阻害する蛍光色素を細胞に導入し、および該細胞をエピ蛍光顕微鏡法によって検出する直接エピ蛍光フィルター技術(DEFT)(Kroll, R.;Methods in Molecular Biology;1995;46;113〜121頁)によって、ろ過性生産物(例えば、飲料)中の生存細胞を直接同定可能にする方法を導いている。欧州特許EP 386051およびDE 19841588は、例えば、誘導物質を使用して生存微生物中に特定の酵素を形成させ、続いて、形成された酵素と反応して蛍光を発することで検出され得る蛍光試薬を添加することによって、どのようにDEFT方法を変形することができるかを記載する。しかしながら、この方法は、大腸菌または乳酸菌の検出についてのみ記載されている。さらに、DEFT方法の既知の変形のいずれも、ろ過性生産物についてしか使用できず、これが主な欠点である。さらに、この方法は、単位領域当たり除外される少なくとも10〜1,000個の微生物が存在しなければならないという検出限界の問題を伴う。しかしながら、このような試料中の非常に多くの微生物は、今日の衛生状態の要件を満たさない。したがって、迅速かつ多大な努力をせずに、試料中の少数の微生物を検出可能にするシステムの必要性が存在する。
【0005】
非ろ過性生産物について、蛍光核酸プローブを用いるインサイチュハイブリダイゼーションにより特異的微生物の検出を導く方法が存在する。この方法は、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)として既知であり、細胞中の任意の種類の核酸を検出および位置決めするために使用される。この目的のために、標識RNAまたはDNAプローブを使用して、染色体中に存在するDNA/RNAとの分子ハイブリダイゼーションを行う。(FISH;Amann, R.L.、W. LudwigおよびK.-H. Schleifer、1995、Phylogenetic identification and in situ detection of individual microbial cells without cultivation.、Microbiol. Rev. 59、143〜169頁;独国特許DE 10160666参照)。該プローブの特異的ハイブリダイゼーションは、例えば、独国特許DE 19936875中に記載の蛍光顕微鏡法に基づく技術によって検出される。
【0006】
FISH技術は、それらの生体機能によって、進化の過程においてわずかに変異したに過ぎない特定の分子:16Sおよび23Sリボソームリボ核酸(rRNS)が細菌細胞中に存在するという事実に基づく。両者は、リボソーム(タンパク質生合成部位)の構成成分であり、およびそれらの偏在する分散、それらの大きさおよびそれらの構造的および官能性不変性によって特異的マーカーとして役に立つ。rRNAデータバンクは、種-および属-特異的遺伝子プローブを構築するのに使用することができる。この目的のために、全ての利用可能なrRNA配列は互いに比較され、および細菌の種、属または群を特異的に検出するプローブが製造される。
FISH技術において、リボソームの標的配列上の特定領域に相補的であるこれらの遺伝子プローブを細胞中に導入する。該遺伝子プローブは、通常、小さく、16〜20塩基長の一本鎖デオキシリボ核酸フラグメントであり、および細菌の種または群に典型的である標的領域に向けられている。蛍光標識遺伝子プローブが細菌細胞中にその標的配列を見付けた場合、それはその配列に結合するので、それらの蛍光によって、該細胞を蛍光顕微鏡で検出することができる。
【0007】
しかしながら、研究は、大集団の変動に起因して、これらの方法がサンプリングレベルの統計的問題を伴うことを示した。また、検出限界も問題である。なぜなら、単位領域当たり除外される少なくとも10〜1,000個の微生物は、確実な結果を得るためにも必要であるからである。このような試料中の非常に多くの微生物は、今日の衛生状態の要件を満たさない。
【0008】
国際薬局方(欧州薬局方)によれば、<100CFU/gの検出限界は未だ許容されており、生産物の上市には十分であるけれども、今日、産業および消費者は、はるかにより低い検出限界を期待しており、また、今日、生産物が満たすことが期待される衛生標準はそのように高いので、<10CFU/gの検出限界は不可避であり、および<1CFU/gの検出限界が標的とされるべきである。
【0009】
微生物を検出および定量するための方法は、多くの異なる微生物について、迅速および高効率な検出方法、低検出限界および低コストの要求を満たすために、益々、より高感度およびユーザーフレンドリーとなることが必要である。それは、しばしば、第一工程として「非存在試験」(有(yes)/無(no)試験)を単に行い、微生物を分類学的に決定する前に、そもそも試料中に微生物が存在するかどうかを確かめるのに十分である。それは、種々の微生物について、多数の検出方法を適用しなければならないか、または市場において利用可能な最も効果的な種々の方法を選択しなければならないため、余りにも時間がかかり、および、余りに大きい研究室の収容能を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明によって解決される問題は、ろ過性および非ろ過性試料および生産物の両方を分析することができ、および種々の微生物、生存および死んだ微生物の両方を迅速な方法により定量的に検出することができるシステムを提供することであった。該システムは、選択された量の試料において、<10CFU/gの検出限界で微生物を検出可能にするであろう。該システムは、生物体に特に適用可能であるばかりでなく、試料および生産物中の微生物の一般的な検出も提供するであろう。該システムは、生産工場の衛生状態をモニターするのを可能にするであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、a)国際薬局方(例えば欧州薬局方)、食品法、化粧品指令または市販の間接法(例えば、微生物の成長の間に形成されたCOを決定する間接方法など)による標準条件下、8〜24時間の培養に対応する「一晩培養」で試料中の微生物を増菌するためのシステムと、
b)i)生存細胞によって、特定の蛍光試薬との反応により検出可能な蛍光色素を放出する特定の酵素の生成を導く、誘導物質および蛍光試薬を含有する少なくとも一つの試薬と、
ii)インサイチュハイブリダイゼーションにより微生物を検出するための、蛍光マーカーに固定された少なくとも一つの核酸プローブと
を含有する、ろ過性および/または非ろ過性生産物中の生存、損傷または死んだ微生物を検出するためのキットと
を含んでなり、
増殖性微生物について<10CFU/gの検出限界を達成する、
増殖性微生物を検出するための品質保証システムに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
従来の試験方法においては、0.1gのみ、および最大1gの試料を、通常、試験を行うために取る。これは、深刻な統計的問題を生じさせる。なぜなら、理想的には、できるだけ大きな試料体積を試験すべきであるからである。しかしながら、従来の試験方法では、上記の大きさの試料しか取ることができない。
【0013】
一方、「一晩培養」における培養は、国際薬局方、食品法および化粧品指令に規定された標準的方法に対応する。一晩培養は、試料を8〜24時間、好適には10〜20時間および特には12〜15時間培養することを特に意味する。標準培養条件は、該当する正文に記載されている。しかしながら、少しの逸脱、例えば、栄養培地の構成成分の濃度、標準培養方法の温度または他のパラメーターは、本発明の品質保証システムに包含されるべきである。同様に、該正文に対する如何なる補正も、本発明のシステムに適用可能であるべきである。しかしながら、該条件は、増殖性微生物についての検出限界を決定することができるように、記録されなければならない。したがって、使用される試料の量は、非常に重要である。
【0014】
本発明によれば、国際薬局方、食品法および化粧品指令からの方法に対して代替となる標準的方法として、市販の間接法も増菌に使用することができる。例えば、一つの間接方法は、インキュベーションチェンバーにおける膜への吸着および光度定量によって、微生物の成長の間に形成されたCOを決定する。この方法は、例えば、BacT/ALERT(登録商標)の名称のもとBioMerieux companyにより上市されている。この方法は、非常に感度がよく、および遅くとも一晩培養後の潜在的な汚染を示す。その結果、分析結果は、遅くとも24時間後に利用可能である。
【0015】
この方法において、(必要に応じて希釈された)分析する材料を、滅菌条件下、栄養培地のアンプル中に導入する。該アンプルを、加熱可能なインキュベーションチェンバー内部の試料セル中に置く。該アンプルは、検出チェンバーへと接続されたガス透過性膜を有する。検出チェンバー中には、細胞の成長の間に形成されたCOを膜を介して吸収し、およびその変化をインキュベーションチェンバー中で光度的に測定する指示器が存在する。得られたシグナルを、各試料セルについて電子的に記録し、および「成長曲線」(時間対CO含量)に変換する。
この方法は、血液バンク試料、保存血液、骨、組織試料および他の医学関連材料の無菌制御のために、医薬において既に使用されている。
【0016】
本発明の試料の微生物学的品質保証のための該方法の使用は、今のところ、本発明にしたがって、記載も試験もされていない。該方法は、全ての水混和性および水非混和性液体、およびエマルジョン、ワックス含有真珠光沢調製物、油、ペーストおよび固体に適当である。
【0017】
所定量(通常1g)の分析する試料を、滅菌条件下、液体チェンバー中に導入し、および15〜40℃(好適には30℃)でインキュベートする。試料が微生物を含有する場合、それらはCOの発生を伴って増殖する。1ml当たり1〜100個の微生物の蔓延レベルについて、約10世代サイクル後および約2時間後、ガスの発生を記録することができる。陽性の場合、bi)またはbii)からの試薬および対応する方法を使用して、材料を直ちにさらに分析することができる。
汚染の陽性指示が存在するや否や、汚染のタイプを検証することができる。
【0018】
本発明によれば、1〜10g(好適には5g)の分析する試料または生産物を、100〜1000mlの標準溶液に懸濁し、および一晩培養で増菌する。この処理は、しばしば必要である。なぜなら、幾つかの試料は、微生物に対して自己阻害効果を有し得るからである。それにもかかわらず、長期保存の場合に衛生状態要件に関連した生産物の所望の品質を破壊し得る非常に低い微生物集団を検出可能にするために、試料の希釈後になお微生物を検出することができる方法に対する必要性が存在する。しかしながら、これは、検出限界の問題を含む。なぜなら、DEFTまたはFISH試験の迅速な適用のための微生物の総数は、希釈後、余りに少ないので、非存在試験を行うことができないからである。増殖性微生物についての非存在試験(すなわち、言い換えれば、増殖性微生物についての有/無試験)に関連した品質保証システムによって満足される第一の要件は、<10CFU/gの検出限界が一晩培養によって達成されることを確実にすることである。より詳細には、<1CFU/gまたは<1CFU/5gの検出限界は、100〜1000mlの標準溶液中の5〜10gの試料の試料調製物によって達成される。これは、国際薬局方により規定された<100CFU/gの最小検出限界をはるかに下回る。したがって、増殖性微生物の最小集団を迅速に検出可能にする品質保証システムが開発されたので、産業および消費者による多くの生産物についての今日の衛生標準要求は保持され得る。
【0019】
1つのキットにおける2つの検出方法の組合せは、使用者が異なる試料、中間生産物および最終生産物を直接的におよび同時に試験することを可能にする。したがって、一貫性のある中間生産物は何でも、製造方法の任意の相にて微生物の存在について分析することができる。
【0020】
一方で、本発明による微生物の検出は、望まれない微生物が分析する試料または生産物中に存在するかどうかの問題に答える「有/無」試験を含み、および他方では、試験下の試料または生産物に応じて、検出された微生物のその後の正確な同定を含む。提供される特定の証拠は、試料または生産物、したがって、使用する試薬および使用する核酸プローブの一貫性に依存する。
【0021】
本発明において、用語「試料」および「生産物」は、中間生産物および最終生産物の両方を包含すると理解される。さらに、用語「試料」は、好適には所定の反応時間の後、特には製造方法全体をモニターするための、中間生産物または最終生産物の一部、例えば、異種の生産物または中間生産物の液体または固体部分を含むと解釈することができる。また、本発明において、「試料」は、例えば、生産工場に対して適用された洗浄工程の残渣も含むと理解される。最終生産物は、消費者用の最終生産物、ならびに販売するための、および消費者用の最終生産物の製造に使用される、粗生産物の両方を含むと理解される。また、試料は、殺菌後に有効性を試験するために、工業単位から生じ得る。工業単位は、蒸気または薬品(次亜塩素酸塩または過酸化水素)によって定期的に殺菌される。これまで、有効性試験は、仮にあったとしても、標準的方法によって行われていた。しかしながら、多くの場合、標準的方法は余りに複雑であることから、有効性は経験値に基づいていた。本発明のシステムおよび方法を使用することで、殺菌の成功を迅速かつ効果的に試験することができる。
【0022】
本発明において、「ろ過性」試料または生産物は、試料または生産物が0.45μmの孔径を有するフィルターを通過することができることを意味する。したがって、油滴または固体粒子などは存在すべきでない。
【0023】
本発明の特定の一実施態様において、本発明のキットのbi)からの試薬は、分析するろ過性液体試料および生産物、または該試料および生産物のろ過性液体成分について、生存微生物を検出するために使用される。また、死んだ微生物は、このようにして間接的に検出することができる。この検出方法は、特定の物質の取込みを通じて、酵素の誘導から形成までの代謝経路を調査する。誘導は、誘導物質および蛍光試薬を含有する試薬によって行われる。該試薬は、細胞膜を通過することができ、その後、誘導された酵素は、高度に蛍光性の化合物の細胞内形成を可能にする。無傷の細胞膜または活性な代謝を有しない細胞は、蛍光反応生成物を形成することができず、および如何なる蛍光も示さない。誘導された酵素を通じての反応が存在することができないため、死んだ細胞中に蓄積する別の着色試薬を使用することで、死んだ細胞と生存細胞との間の区別をすることができる。蛍光反応生成物の形成を通じての酵素の検出のみが、この代謝経路が作用していることの保証を与えるので、作用する代謝および増殖能は、それらの細胞に起因すると考えることができる。結果は、1時間後にのみ利用可能になる。薄膜フィルター、特には0.2〜1.20μm(好適には0.45μm)の細孔の大きさを有するポリカーボネートフィルターは、好適には、ろ過性試料または生産物から細胞を分離するために使用される。また、可能であれば、分析する試料および生産物は、適当に液化することができる。標的酵素の誘導物質を、この試料に添加し、続いて、誘導された標的酵素との反応後にのみ蛍光を発する蛍光試薬を添加する。
【0024】
これらの特定の蛍光試薬としては、例えば、誘導物質としてガラクトースにより誘導されるガラクトシダーゼを検出するための蛍光性ジガラクトシドが挙げられる。乳酸菌および大腸菌、例えば、エスケリキア・コリ(Escherichia coli)、エロモナス菌(Aeromonas)、シトロバクター菌(Citrobacter)、エンテロバクター菌(Enterobacter)、クレブシエラ菌(Klebsiella)、シュードモナス菌(Pseudomonads)および他のプロセス水関連微生物は、この誘導物質および蛍光試薬で検出することができる。
【0025】
本発明によれば、蛍光試薬としては、特定の酵素に対して特異的に誘導体化された4-メチルウンベリフェロン誘導体が挙げられる。例えば、4-メチルウンベリフェロンヘプタノエートは、リパーゼまたはエステラーゼを検出するために使用される。また、4-メチルウンベリフェロン-β-D-ガラクトシドは、ガラクトシダーゼを検出するために使用することができる。溶液を、上記マイクロフィルターを通じてろ過し、およびエピ蛍光顕微鏡を使用して蛍光-光学的に試験する。
【0026】
別の適用形態において、誘導物質および蛍光試薬をフィルター上の残渣に添加する。
別の実施態様において、該キットのbii)からの核酸プローブを、ろ過性液体試料および生産物および非ろ過性試料および生産物の両方、ならびにろ過性および非ろ過性試料および生産物の混合物について、生存微生物を検出するために使用する。
【0027】
本発明によれば、核酸プローブは、DNAまたはRNAプローブであり得る。これは、通常、12個と1000個の間、好適には12個と500個の間、より好適には12個と200個の間、最も好適には12個と50個の間、および15個と40個の間のヌクレオチドを含み、最も特に好適な実施態様において、17個と25個の間のヌクレオチドを含む。核酸プローブは、相補的配列が検出する微生物中に存在するかどうかに基づいて選択される。所定の配列の選択を通じて、細菌の種、属または群全体を検出することができる。15個のヌクレオチドのプローブに関して、相補性は、配列の100%に渡って存在すべきである。15個よりも多くのヌクレオチドを含んでなるオリゴヌクレオチドに関して、1つの誤対合部位から数個の誤対合部位が許容される。
【0028】
本発明のキットからの核酸プローブは、非特異的核酸プローブを通じて、微生物を非特異的に検出することができる。これは、しばしば、微生物を正確に特徴付けることなく、望まれない微生物が試料または生産物中に存在するかどうかの問いを明らかにすることができる。
【0029】
分析する生産物および試料に応じて、ハイブリダイゼーション条件およびハイブリダイゼーション時間を核酸プローブに基づいて適合させる。
【0030】
核酸プローブのための適当な検出可能マーカーは、例えば、蛍光基、例えば、CY2(Amersham Life Sciences, Inc.(アーリントンハイツ、米国)から入手可能)、CY3(同様にAmersham Life Sciencesから入手可能)、CY5(同様にAmersham Life Sciencesから入手可能)、FITC(Molecular Probes, Inc.(ユージーン、米国))、FLUOS(Roche Diagnostics GmbH(マンハイム、独国)から入手可能)、TRITC(Molecular Probes, Inc.(ユージーン、米国)から入手可能)、6-FAMまたはFLUOS-PRIMEなどである。
【0031】
本発明の品質保証システムは、グラム陽性および/またはグラム陰性細菌および/または酵母および/またはカビおよび/または藻類を検出するために使用することができる。
【0032】
また、環境関連種に加えて、グラム陽性細菌としては、医学関連微生物、例えば、ブドウ球菌、連鎖球菌、炭疽菌、破傷風菌、乳酸菌、ジフテリア菌、豚丹毒菌および枯草菌などが挙げられる。また、グラム陰性細菌としては、環境関連および医学関連微生物の両方、例えば、淋菌、髄膜炎菌、レジオネラ菌、大腸菌、チフス菌、Rur菌およびペスト菌が挙げられる。環境関連およびヒト関連微生物としては、とりわけ、プロセス水特異的微生物、例えば、シュードモナス種、バークホルデリア種、ラオウルテラ種、クレブシエラ種、コリネバクテリア種およびバチルス種が挙げられる。
【0033】
最終生産物の微生物学的解放において、選択的に接種した生産物中の微生物の再発率は、該キットのbi)からの試薬を使用する本発明の方法によって決定することができる。また、細菌に加えて、酵母およびカビも本発明の方法を適用することによって検出することができる。選択的接種に通常使用される標準微生物(これらの幾つかは、国際薬局方中に指名されている)として使用および検出し得る微生物としては、シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、エスケリキア・コリ、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)、サルモネラ菌(Salmonella)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)が挙げられる。
【0034】
また、本発明は、微生物を検出するための、およびろ過性および/または非ろ過性試料または生産物を品質評価するための、および生産工場の衛生状態を評価するための、本発明の品質保証システムの使用に関する。分析するろ過性および/または非ろ過性試料または生産物は、粗生産物、化粧品、医薬品、食品、補助食品、繊維助剤、洗浄剤および洗剤、並びに染料およびラッカーからなる群から選択される。
【0035】
本発明において、粗生産物は、消費者用の最終生産物の製造に使用される生産物であると理解される。このような生産物は、界面活性剤、油成分、乳化剤、真珠色化ワックス、稠度因子、増粘剤、過脂肪剤、安定剤、ポリマー、シリコーン化合物、脂肪、ワックス、レシチン、リン脂質、UV保護因子、抗酸化剤、脱臭剤、制汗剤、ふけ防止剤、塗膜形成剤、膨張剤、防虫剤、セルフ・タンニング調製物、チロシナーゼ阻害剤(脱色剤)、ヒドロトロープ剤、可溶化剤、防腐剤、香油、非ろ過性o/wおよびw/oエマルジョンであり得る。プロセス水も粗生産物とみなされる。
【0036】
化粧品は、例えば、軟膏、クリーム、ローション、シャンプー、コンディショナー、シャワーゲル、バス添加剤、装飾用化粧品、例えば、メーキャップ、アイシャドー、口紅、マニキュア液などであり得る。医薬品は、ジュース、クリーム、軟膏、ローション、懸濁物、チンキ剤、ドロップなどの形態で存在し得る。
【0037】
食品は、好適には牛乳または乳生産物、菓子および肉生産物、飲料、例えば、ミネラルウォーター、ビール、レモネードまたは果汁である。補助食品は、好適にはビタミン溶液、不飽和脂肪酸、特には共役リノール酸、防腐剤または抗酸化剤である。
【0038】
また、本発明は、ろ過性および/または非ろ過性生産物中の微生物を検出するための方法であって、本発明の品質保証システムを、
a)微生物を増菌するため、国際薬局方、食品法または化粧品指令による標準条件下、8〜24時間の培養に対応する「一晩培養」で、試料を培養し、
b)ろ過性および/または非ろ過性生産物中の生存、損傷または死んだ微生物を検出するためのキットを、
i)該細胞中で特定の酵素の生成を誘導し、および該工程において、蛍光試薬から蛍光化合物が形成されることを可能にする、誘導物質および蛍光試薬を含有する試薬と共に、該増菌試料をインキュベートし、および/または
ii)細菌を固定後、ハイブリダイゼーションを誘導するため、蛍光マーカーを備えた核酸プローブと共に、それらをインキュベートする
ことによって使用し、および
c)該試料の蛍光を検出し、該結果と細胞数とを相関させる(ここで細胞数は決定可能であり、b)i)を使用する場合、死んだ細胞と生存細胞とは互いに区別することができる)
ことによって使用する、方法に関する。
【0039】
本発明において、細菌の「固定」は、細菌のエンベロープが核酸プローブに対して透過性になる処理であると理解される。メタノール、アルコールの混合物、低い百分率のパラホルムアルデヒド溶液または希釈ホルムアルデヒド溶液、酵素的処理なども使用することができるが、エタノールが通常固定に使用される。
【0040】
「ハイブリダイゼーション」に関して、固定化細菌を、蛍光標識核酸プローブと共にインキュベートする。これらの核酸プローブは、オリゴヌクレオチドおよびそれに固定化されたマーカーからなり、細胞エンベロープに侵入することができ、および細胞内部の該核酸プローブに対応する標的配列にそれ自身結合することができる。本発明の核酸プローブは、種々のハイブリダイゼーション溶液と共に使用することができる。種々の有機溶媒は、0〜80%の範囲の濃度で使用することができる。ストリンジェントハイブリダイゼーション条件を維持することは、核酸プローブが標的配列と実際にハイブリダイズすることを確実にする。本発明における穏やかな条件は、例えば、以下に記載のハイブリダイゼーション緩衝液中の0%のホルムアミドである。本発明におけるストリンジェント条件は、例えば、ハイブリダイゼーション緩衝液中の20〜80%のホルムアミドである。
【0041】
典型的なハイブリダイゼーション溶液は、0〜80%のホルムアミド、好適には20〜60%のホルムアミドおよび特には35%のホルムアミドを含有する。さらに、それは、0.1モル/l〜1.5モル/l、好適には0.5モル/l〜1.0モル/l、より好適には0.7モル/l〜0.9モル/lおよび最も好適には0.9モル/lの濃度の塩を有する。該塩は、好適には塩化ナトリウムである。また、ハイブリダイゼーション溶液は、典型的には洗剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))を、例えば、0.001〜0.2%の濃度、好適には0.005〜0.05%の濃度、より好適には0.01〜0.03%の濃度および最も好適には0.01%の濃度で含有する。種々の化合物(例えば、トリス-HCl、クエン酸ナトリウム、PIPESまたはHEPES)は、ハイブリダイゼーション溶液を、典型的には0.01〜0.1モル/lの濃度(好適には0.01〜0.08モル/lの濃度)で、6.0〜9.0(好適には7.0〜8.0)のpH範囲に渡って、緩衝化するために使用することができる。本発明のハイブリダイゼーション溶液の特に好適な実施態様は、0.02モル/lのトリス-HClを含有する(pH8.0)。
【0042】
該プローブの濃度は、期待された標的構造の標識化および数にしたがってかなり変動し得る。迅速かつ効率的なハイブリダイゼーションを達成するため、プローブ量は、標的構造の数を数桁超えるべきである。しかしながら、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)の場合、過剰量の蛍光標識ハイブリダイゼーションプローブは、背景の蛍光の増大を導くことに留意することが重要である。したがって、プローブ量は、0.5ng/l〜500ng/lの範囲、好適には1.0ng/l〜100ng/lの範囲、特には1.0ng/l〜50ng/lの範囲であるべきである。
【0043】
ハイブリダイゼーション時間は、典型的には10分と12時間の間、好適には約1.5時間である。ハイブリダイゼーション温度は、好適には44℃と48℃の間、より好適には46℃である。ハイブリダイゼーション温度ならびにハイブリダイゼーション溶液中の塩および洗剤の濃度のパラメーターは、核酸プローブ、特にはそれらの長さおよび検出する細胞中の標的配列に対する相補性の程度に基づいて最適化することができる。ハイブリダイゼーション後、ハイブリダイズされなかったおよび余分の核酸プローブ分子を、標準洗浄溶液を用いて除去または洗い流す。所望の場合、この洗浄溶液は、0.001〜0.1%(好適には0.01%)の洗剤(例えば、SDS)、および0.001〜0.1モル/l、好適には0.01〜0.05モル/lおよび特には0.02モル/lの濃度のトリス-HClを含有することができる。また、洗浄溶液は、要求された厳しさに応じて、典型的には0.003モル/l〜0.9モル/lおよび好適には0.01モル/l〜0.9モル/lの濃度のNaClを含有する。また、洗浄溶液は、0.01モル/lまでの濃度、好適には0.005モル/lの濃度でEDTAを含有することができる。さらに、より低い塩濃度のハイブリダイゼーション緩衝液に対応する緩衝液は、該洗浄溶液に添加される。
【0044】
非固定化核酸プローブ分子の洗浄による除去は、通常、30℃〜50℃の温度、好適には44℃〜50℃の温度および特には46℃の温度にて、10〜40分間(好適には15分間)に亘って行う。本発明のキットを使用する場合、結果は、24〜48時間後に利用可能である。蛍光試薬または蛍光マーカーで処理された特定の試料または生産物は、顕微鏡(好適にはエピ蛍光顕微鏡)を使用して光学的に検出される。
【実施例】
【0045】
〔実施例1:上記方法の組合せを使用するろ過性生産物の品質分析〕
分析期間は、通常、10〜24時間である。
1.試料調製
全ての操作は、滅菌/無菌条件下で行う必要がある。
欧州薬局方2.6.12.または2.6.13.にしたがって、分析する試料(10g)を、滅菌条件下で重量測定し、そしてTHLClブイヨン(90ml)中に均質に混合した。該溶液を、薄膜フィルター(0.45μl)を通じて滅菌ろ過し、そして、ろ液を捨てた。該フィルターを滅菌緩衝液(200ml)ですすいだ。該生産物(10g)中に存在し得る全ての微生物は、フィルター上に留まった。
次いで、該フィルターを外し、20mlのCASOブイヨン(細菌増菌用)またはSabouraudブイヨン(酵母およびカビの増菌用)(標準一晩培養)を含有する滅菌容器に、またはBacT/ALERT(登録商標)瓶(20mlの特定のブイヨンを含有するライム瓶)に完全に移す。BacT/ALERT(登録商標)システムは、微生物的相互作用の存在なしで、自己触媒的にCOを放出する傾向を有することが既知である該試料について適当ではない。これは、大抵の化粧品および工業的に使用される原材料に関する場合ではない。
かくして製造された試料を、30±5℃で一晩インキュベートする。ゆっくり成長する生物による任意の汚染の疑念が存在する場合、8時間の予備増菌を、24時間までさえも延長することができる。
【0046】
2.増菌培養物の光学的試験またはBacT/ALERTシステムの評価
増菌ブイヨンが微生物成長によって濁る場合、またはCOの発生をBacT/ALERT(登録商標)システムにおいて測定できる場合、試料をFISH技術によってさらに分析し、グラム陽性およびグラム陰性生物に大きく分類する。場合によっては、細菌種(実施例2:非ろ過性生産物参照)の範囲までさえも分類する。増菌における成長の非存在下、またはBacT/ALERT(登録商標)システムにおける任意のCO発生の非存在下、結果は、DEFT方法によって検証する。
【0047】
3.微生物の存在についてのDEFT試験
10mlの増菌培養物(5gの出発生産物の量に対応する)を、滅菌シリンジで除去し、そして0.45μmのポリカーボネートフィルターを通してろ過する。増菌細胞が存在するポリカーボネートフィルターを、蛍光色素を含有するDEFT PAD上に置き、および湿潤チェンバー中で20〜37℃にて8〜15分間インキュベートする。
該色素を、ポリカーボネートフィルターの背景を着色しないようにして該PADから該細胞上に渡す。インキュベーション後、フィルターを該パッドから放し、スライド上に置く。次いで、着色反応を固定液体で停止する。
次いで、蛍光顕微鏡を100倍の倍率で使用して、該調製物を着色細胞の存在について試験し、該フィルターを完全に走査する。フィルターの背景は、暗くなければならない。陽性および陰性コントロールは、明白な結果を与えなければならない。
【0048】
4.結果
赤色細胞が検出される場合、既に死んだ細胞が該調製物に添加された。一般に、このような細胞は、環境に由来し、調製物の品質に関係しない。非経口投与用の生産物は、除外される。それらの場合、該調製物は、赤色蛍光細胞も緑色蛍光細胞も含有するべきではない。
緑色細胞が検出される場合、増殖可能な細胞が生産物中に存在する。該生産物は、微生物学的に汚染されたと分類されなければならない。
先の増菌工程からの緑色細胞の存在は、出発生産物中の微生物数に関して引き出されたものからの如何なる結論も妨げるので、該方法は、有/無として、または(対応する統計的データに基づいて)半定量的として、分類しなければならない。これは、通常、品質評価について十分である。なぜなら、主目的は、「増殖性微生物が存在しないことを検出する」ことであるからである。
【0049】
3.DEFT方法による保存微生物についての試験
・項目1に記載された試料調製を行い(生産物試料Texapon NSO、IMQ 418935)、
・使用した増菌培地の陰性コントロールを携え、
・生産物(20mlの試料溶液への0.2mlの微生物保存溶液の添加(10〜100CFU/10mlに対応する希釈))、生産物または陰性コントロールの存在下、保存微生物を検出するための一連の試料を使用し、および均質に混合し、
・ろ過による標準微生物数の決定(HIPCO方法)のための10mlおよび該フィルターをCASO培地上で30〜35℃にて3〜5日間インキュベートし、
・残りの量を増菌およびDEFT(24時間)に使用し、
・増菌および項目1に記載の試験の評価を行う。
・成長で誘導された濁りまたはCO形成なし-DEFT試験
【0050】
【表1】

【0051】
〔実施例2:上記方法の組合せを使用する非ろ過性生産物の品質分析〕
1.試料調製
全ての操作は、滅菌/無菌条件下で行う必要がある。
分析する試料(10g)を、滅菌条件下で重量測定し、および欧州薬局方2.6.12.または2.6.13.にしたがって適当な補助機(好適には市販のストマッカー混合機)を用いて90mlのTHLC1ブイヨン中に均質に混合した。10mlのこの懸濁物(1gの分析する試料に対応する)を、100mlのCASOまたはSabouraudブイヨン中にピペットで取った。
また、自己触媒的にCOを放出する如何なる傾向も示さない試料の場合、10mlの懸濁物をBacT/ALERT(登録商標)瓶(20mlの特定のブイヨンを含有するライム瓶)に移し、次いで、これをBacT/ALERT(登録商標)システム中に置くこともできる。
該試料を、30〜35℃にて一晩(最大24時間まで)インキュベートして微生物成長させる。
【0052】
2.増菌培養物の光学的試験またはBacT/ALERT(登録商標)システムの評価
増菌が微生物汚染(ブイヨン濁りまたはBacT/ALERT(登録商標)システムにおけるCOの発生)を示す場合、定性的FISH試験を行う。グラム陽性細菌は、それ自身が汚染源の初期兆候を与えるグラム陰性細菌から区別される。微生物種は、選択培地上へのストリークプレーティングか、またはPCR方法のどちらかによってさらに区別される。
【0053】
3.グラム陽性およびグラム陰性微生物の存在についてのFISH試験の実施(製造業者明細書による)
〔試料調製〕
・100μlの試料をエッペンドルフ型容器中にピペットで取り、
・4滴の溶液B2を添加し、そして試料と混合し(=固定)、
・10μlの固定化試料を5つの反応チェンバー(領域1、2、3および陽性および陰性コントロール領域)中のスライド上にピペットで取り、
・スライドを35〜37℃にて30〜60分間インキュベート(乾燥)し、
・24μlのブレイカー溶液を反応領域3上にピペットで取り、そして室温にて5〜10分間インキュベートし、
・1滴のブレイカー4を領域3に、および1滴のブレイカー2を領域2にピペットで取り、そして室温にて5〜10分間インキュベートし、
・VIT反応器に脱塩水を満たし、およびスライドを洗浄し、
・スライドを35〜37℃にて30〜60分間インキュベート(乾燥)し、
・1滴の溶液B2を添加し、
・スライドを35〜37℃にて30〜60分間インキュベートする。
【0054】
〔プローブとの接触〕
・1滴の「陽性コントロール」を領域1、2および3に添加し、
・1滴の「陰性コントロール」を陰性コントロール領域に添加し、
・1滴の「陽性コントロールG」を陽性コントロール領域に添加し、
・スライドをVIT反応器に挿入し、および44〜46℃にて1.5〜2時間インキュベートする。
【0055】
〔洗浄〕
・反応器からスライドを除き、
・反応器に温洗浄緩衝液を満たし、スライドを挿入し、44〜46℃にて15〜30分間洗浄し、
・洗浄緩衝液を廃棄し、
・反応器に脱塩水を満たし、そしてスライドを洗浄し、
・スライドを44〜46℃にて15〜120分間乾燥する。
【0056】
〔顕微鏡的評価〕
・固定化液体(仕上げ剤)で反応を停止させ、
・ガラス製カバーを付与し、および蛍光灯中100倍の倍率の顕微鏡によって走査する。
・背景は暗くなければならず、陽性および陰性コントロールは明白な結果を与えなければならず、発光赤色細胞は生存細菌と解釈される。
【0057】
〔結果〕
領域1=赤色細胞の検出=グラム陰性微生物(例えば、シュードモナス属、エンテロバクター属)
領域2=赤色細胞の検出=グラム陽性微生物(例えば、ラクトバチルス属、バチルス属、リステリア(Listeria)属)
領域3=赤色細胞の検出=グラム陽性微生物(例えば、スタフィロコッカス属)
自己蛍光が試料中に現れる場合、手順を繰り返さなければならず、および陽性コントロールDを添加しなければならない。次いで、細胞は緑色になるか、そうでなければ変化しないと予測される。
結果の表示は、生産物-特異的制限にしたがって1gの生産物当たりで算出した。
【0058】
4.FISH方法による保存微生物の検出
・項目1のように試料調製を行い(生産物試料:コンパウンドIMQ 322015)、
・生産物(100mlのCASOブイヨンへの細菌保存溶液の添加(10〜100CFU/1g生産物に対応する細菌の希釈))、生産物試料または陰性コントロールの存在下、保存細菌を検出するための一連の試料を使用し、および均質に混合し、
・増菌および項目2のような試験評価を行う。
【0059】
【表2】

【0060】
5.評価
先の増菌工程からの細胞の存在は、出発生産物中の微生物数に関して引き出されるものからの如何なる結論も妨げるので、方法は「有/無」として分類しなければならない。これは、通常、品質評価について十分である。なぜなら、主目的は、「増殖性微生物が存在しないことを検出する」ことであるからである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)国際薬局方(例えば欧州薬局方)、食品法、化粧品指令または他の市販の間接法による標準条件下、8〜24時間の培養に対応する「一晩培養」で試料中の微生物を増菌するためのシステムと、
b)i)生存細胞によって、特定の蛍光試薬との反応により検出可能な蛍光色素を放出する特定の酵素の生成を導く、誘導物質および蛍光試薬を含有する少なくとも一つの試薬と、
ii)インサイチュハイブリダイゼーションにより微生物を検出するための、蛍光マーカーに固定された少なくとも一つの核酸プローブと
を含有する、ろ過性および/または非ろ過性生産物中の生存、損傷または死んだ微生物を検出するためのキットと
を含んでなり、
増殖性微生物について<10CFU/gの検出限界を達成する、
増殖性微生物を検出するための品質保証システム。
【請求項2】
増殖性微生物について<1CFU/gの検出限界を達成することを特徴とする、請求項1に記載の品質保証システム。
【請求項3】
bi)からの試薬は、分析するろ過性液体試料および生産物または該試料および生産物のろ過性液体部分について、生存微生物を検出するために、および死んだ微生物を間接的に検出するために使用することができることを特徴とする、請求項1に記載のキット。
【請求項4】
bii)からの核酸プローブは、ろ過性液体試料および生産物、および非ろ過性試料および生産物の両方について、ならびにろ過性および非ろ過性試料および生産物の混合物について、生存微生物を検出するために使用することができることを特徴とする、請求項1に記載のキット。
【請求項5】
グラム陽性および/またはグラム陰性細菌および/または酵母および/またはカビおよび/または藻類を検出するための、請求項1〜4のいずれかに記載の品質保証システム。
【請求項6】
微生物を検出するための、およびろ過性および/または非ろ過性生産物を品質評価するための、および生産工場の衛生状態を評価するための、<10CFU/gの検出限界を達成する、請求項1〜5のいずれかに記載の品質保証システムの使用。
【請求項7】
微生物を検出するための、および粗生産物、化粧品、医薬品、食品、補助食品、飲料、繊維助剤、洗浄剤および洗剤、並びに染料およびラッカーからなる群から選択されるろ過性および/または非ろ過性生産物を品質評価するための、請求項1〜5のいずれかに記載の品質保証システムの使用。
【請求項8】
ろ過性および/または非ろ過性生産物中の微生物を検出するための方法であって、請求項1〜5のいずれかに記載の品質保証システムを、
a)微生物を増菌するため、国際薬局方(例えば欧州薬局方)、食品法、化粧品指令または市販の間接法による標準条件下、8〜24時間の培養に対応する「一晩培養」で、試料を培養し、
b)ろ過性および/または非ろ過性生産物中の生存、損傷または死んだ微生物を検出するためのキットを、
i)該細胞中で特定の酵素の生成を誘導し、および該工程において、蛍光試薬から蛍光化合物が形成されることを可能にする、誘導物質および蛍光試薬を含有する試薬と共に、該増菌試料をインキュベートし、および/または
ii)細菌を固定後、ハイブリダイゼーションを誘導するため、蛍光マーカーを備えた核酸プローブと共に、それらをインキュベートする
ことによって使用し、および
c)該試料の蛍光を検出し、該結果と細胞数とを相関させる(ここで細胞数は決定可能であり、b)i)を使用する場合、死んだ細胞と生存細胞とは互いに区別することができる)
ことによって使用する、方法。

【公表番号】特表2007−527723(P2007−527723A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502237(P2007−502237)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002209
【国際公開番号】WO2005/087944
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】