説明

微生物感染症の治療に有用なカルバミン酸エステル結合マクロライド

本発明は、式(I)で示される、4”で置換されている14員または15員マクロライドおよびその医薬上許容される誘導体、それらの製造方法、ならびにヒトまたは動物体における全身性または局所性微生物感染症の治療または予防におけるそれらの使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗微生物活性(特に、抗細菌活性)を有する新規半合成マクロライドに関する。より詳しくは、本発明は、4”位で置換されている14員および15員のマクロライド、それらの製造方法、それらを含有する組成物ならびにそれらの医薬用途に関する。
【背景技術】
【0002】
マクロライド抗細菌剤は、細菌感染症の治療または予防において有用であることが知られている。しかしながら、マクロライド耐性細菌株の出現により、新しいマクロライド化合物の開発が必要となってきた。例えば、特許文献1には、抗細菌活性を有する、マクロライド環の4”位で修飾されている誘導体が記載されている。
【特許文献1】EP 0 895 999
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明によると、本発明者らは、この度、抗微生物活性を有する、新規の、4”位で置換されている14員および15員のマクロライドを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の概要)
かくして、本発明は、一般式(I):
【化1】

[式中、
Aは、−C(O)−、−C(O)NH−、−NHC(O)−、−N(R7)−CH2−、−CH2−N(R7)−、−CH(NR89)−および−C(=NR10)−から選択される二価の基であり;
1は、−OC(O)N(R7)(CH2)dXR11であり;
2は、水素またはヒドロキシル保護基であり;
3は、水素、C1-4アルキル、または9〜10員縮合二環式ヘテロアリールによって置換されていてもよいC3-6アルケニルであり;
4は、ヒドロキシ、9〜10員縮合二環式ヘテロアリールによって置換されていてもよいC2-6アルケニルオキシ、またはC1-6アルコキシもしくは−O(CH2)eNR712によって置換されていてもよいC1-6アルコキシであり;
5は、ヒドロキシであるか、または
4およびR5は介在する原子と一緒になって下記構造:
【化2】

(式中、Yは、−CH2−、−CH(CN)−、−O−、−N(R13)−および−CH(SR13)−から選択される二価の基である);
を有する環状の基を形成し;
6は、水素またはフッ素であり;
7は、水素またはC1-6アルキルであり;
8およびR9は、各々独立して、水素、C1-6アルキル、−C(=NR10)NR1415または−C(O)R14であるか、または
8およびR9は一緒になって=CH(CR1415)fアリール、=CH(CR1415)fヘテロサイクリル、=CR1415または=C(R14)C(O)OR14を形成し(ここで、アルキル、アリールおよびヘテロサイクリル基はR16から独立して選択される3個までの基によって置換されていてもよい);
10は、−OR17、C1-6アルキル、−(CH2)gアリール、−(CH2)gヘテロサイクリルまたは−(CH2)hO(CH2)iOR7であり(ここで、各R10基は、R16から独立して選択される3個までの基によって置換されていてもよい);
11は、下記構造:
【化3】

または
【化4】

を有する複素環基であり;
12は、水素またはC1-6アルキルであり;
13は、水素、または置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよい5員もしくは6員ヘテロアリールおよび置換されていてもよい9〜10員縮合二環式ヘテロアリールから選択される基によって置換されているC1-4アルキルであり;
14およびR15は、各々独立して、水素またはC1-6アルキルであり;
16は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、アジド、−C(O)R21、−C(O)OR21、−OC(O)R21、−OC(O)OR21、−NR22C(O)R23、−C(O)NR2223、−NR2223、ヒドロキシ、C1-6アルキル、−S(O)k1-6アルキル、C1-6アルコキシ、−(CH2)mアリールまたは−(CH2)mヘテロアリールであり(ここで、アルコキシ基は、−NR1415、ハロゲンおよび−OR14から独立して選択される3個までの基によって置換されていてもよく、アリールおよびヘテロアリール基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、アジド、−C(O)R24、−C(O)OR24、−OC(O)OR24、−NR25C(O)R26、−C(O)NR2526、−NR2526、ヒドロキシ、C1-6アルキルおよびC1-6アルコキシから独立して選択される5個までの基によって置換されていてもよい);
17は、水素、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C3-6アルケニルまたは5員もしくは6員複素環基であり(ここで、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよび複素環基は、置換されていてもよい5員または6員複素環基、置換されていてもよい5員または6員ヘテロアリール、−OR27、−S(O)n27、−NR2728、−CONR2728、ハロゲンおよびシアノから独立して選択される3個までの置換基によって置換されていてもよい);
18は、水素、−C(O)OR29、−C(O)NHR29、−C(O)CH2NO2または−C(O)CH2SO27であり;
19は、水素;ヒドロキシ、シアノ、NH2、−NH(C1-4アルキル)または−N(C1-4アルキル)2により置換されていてもよいC1-4アルキル;ヒドロキシ、シアノ、NH2、−NH(C1-4アルキル)または−N(C1-4アルキル)2により置換されていてもよいC2-4アルケニル;C1-4アルコキシ、C3-7シクロアルキル、−NH2、−NH(C1-4アルキル)または−N(C1-4アルキル)2;(C1-4アルキル)OC(O)N(C1-4アルキル)または置換されていてもよいフェニルもしくはベンジルであり;
20は、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4チオアルキル、C1-4アルコキシ、−NH2、−NH(C1-4アルキル)または−N(C1-4アルキル)2であり;
21は、水素、C1-10アルキル、−(CH2)pアリールまたは−(CH2)pヘテロアリールであり;
22およびR23は、各々独立して、水素、−OR14、C1-6アルキル、−(CH2)qアリールまたは−(CH2)qヘテロサイクリルであり;
24は、水素、C1-10アルキル、−(CH2)rアリールまたは−(CH2)rヘテロアリールであり;
25およびR26は、各々独立して、水素、−OR14、C1-6アルキル、−(CH2)sアリールまたは−(CH2)sヘテロサイクリルであり;
27およびR28は、各々独立して、水素、C1-4アルキルまたはC1-4アルコキシC1-4アルキルであり;
29は、水素;またはハロゲン、C1-4アルコキシ、−OC(O)C1-6アルキルおよび−OC(O)OC1-6アルキルから独立して選択される3個までの基によって置換されていてもよいC1-6アルキル;または−(CH2)qヘテロサイクリル、−(CH2)qヘテロアリール、−(CH2)qアリール、−(CH2)q3-7シクロアルキルであり;
30は、水素、C1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、置換されていてもよいフェニルもしくはベンジル、アセチルまたはベンゾイルであり;
31は、水素またはR20であるか、またはR31およびR19が結合して、二価の基−O(CH2)2−、−(CH2)t−;−NR7(CH2)−、−OCH2NR7−、−SCH2NR7−、−CH2NR7CH2−、−CH2OCH2−、−CH2SCH2−、−(CH2)NR7−を形成し;
32は、水素であるか、またはR32およびR19が結合して、基−S(CH2)b−、−N(R7)(CH2)b−、−O(CH2)b−から選択される二価の基を形成し;
33は、C1-8アルキル、C2-6アルケニルまたはC2-6アルキニルであり;
Xは、−U(CH2)vB(CH2)vD−、−U(CH2)vB−R33−、−U(CH2)vB(CH2)vD(CH2)vE−、−U(CH2)vB(CH2)vD−R33−であるか、または
Xは、
【化5】

および
【化6】

から選択され;
U、B、DおよびEは、独立して、−N(R30)−、−O−、−S(O)z−、−N(R30)C(O)−、−C(O)N(R30)−および−N[C(O)R30]−から選択される二価の基であり;
Wは、−C(R31)−または窒素原子であり;
aは、1または2であり;
bは、1〜3の整数であり;
dは、1〜5の整数であり;
eは、2〜4の整数であり;
f、g、h、m、p、q、rおよびsは、各々独立して、0〜4の整数であり;
iは、1〜6の整数であり;
j、k、nおよびzは、各々独立して、0〜2の整数であり;
tは、2または3であり;
vは、各々独立して、1〜8から選択される整数である]
で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体を提供する。
【0005】
(発明の詳細な説明)
本明細書で使用する場合、「医薬上許容される」なる用語は、製薬学的用途に適している化合物を意味する。医薬用に適している本発明の化合物の塩および溶媒和物は、対イオンまたは会合溶媒が医薬上許容されているものである。しかしながら、医薬上許容されない対イオンまたは会合溶媒を有する塩および溶媒和物は、例えば、本発明の他の化合物ならびにそれらの医薬上許容される塩および溶媒和物の製造における中間体として使用するための、本発明の範囲内である。
【0006】
本明細書で使用する場合、「医薬上許容される誘導体」なる用語は、レシピエントへの投与後に本発明の化合物またはその活性代謝物または残基を(直接または間接的に)提供する能力を有する、本発明の化合物のいずれもの医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグ、例えば、エステルを意味する。かかる誘導体は、過度の実験を伴わずに当業者に認識される。それにもかかわらず、Burger's Medicinal Chemistry and DrugDiscovery, 5th Edition, Vol 1: Principles and Practiceの教示を参照する(かかる誘導体を教示すると言う点で出典明示により本明細書の記載とする)。好ましい医薬上許容される誘導体は、塩、溶媒和物、エステル、カルバミン酸エステルおよびリン酸エステルである。特に好ましい医薬上許容される誘導体は、塩、溶媒和物およびエステルである。最も好ましい医薬上許容される誘導体は、塩およびエステルである。
【0007】
本発明の化合物は、医薬上許容される塩の形態であってよく、および/または医薬上許容される塩として投与されてもよい。適当な塩の検討のために、Berge et al., J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19を参照。
【0008】
典型的には、医薬上許容される塩は、必要に応じて、所望の酸または塩基を使用することにより容易に製造され得る。該塩は、溶液から沈殿して濾過により回収され得るか、または溶媒の蒸発により回収することができる。例えば、式(I)で示される化合物の水性懸濁液に塩酸のような酸の水溶液を添加し、得られた混合物を蒸発乾固(凍結乾燥)させて、固体として酸付加塩を得ることができる。別法として、式(I)で示される化合物を適当な溶媒(例えば、イソプロパノールのようなアルコール)に溶解し、該酸を同じ溶媒または別の適当な溶媒に添加することができる。次いで、得られた酸付加塩を直接、またはジイソプロピルエーテルまたはヘキサンのようなあまり極性ではない溶媒の添加によって沈殿させ、濾過により単離することができる。
【0009】
適当な付加塩は、非毒性塩を形成する無機酸または有機酸から形成され、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、オキサロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、サッカラート、安息香酸塩、アルキルまたはアリールスルホン酸塩(例えば、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩)およびイセチオン酸塩である。代表的な例としては、トリフルオロ酢酸塩およびギ酸塩、例えば、二または三トリフルオロ酢酸塩および一または二ギ酸塩、特に、三または二トリフルオロ酢酸塩および一ギ酸塩が挙げられる。
【0010】
医薬上許容される塩基塩としては、アンモニウム塩、ナトリウムおよびカリウムの塩のようなアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウムの塩のようなアルカリ土類金属塩、ならびに、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミンおよびN−メチル−D−グルカミンのような第一、第二および第三アミンの塩を包含する有機塩基との塩が挙げられる。
【0011】
本発明の化合物は、塩基性中心および酸性中心の両方を有することができ、したがって、双性イオンの形態であり得る。
【0012】
有機化学の分野における当業者は、多くの有機化合物が、それらと反応するかまたはそれらを沈殿もしくは結晶化させる溶媒との複合体を形成することができることを理解するであろう。これらの複合体は、「溶媒和物」として知られている。例えば、水との複合体は、「水和物」として知られている。本発明の化合物の溶媒和物は、本発明の範囲内である。式(I)で示される化合物の塩は、溶媒和物(例えば、水和物)を形成することができ、本発明はまた全てのかかる溶媒和物を包含する。
【0013】
本明細書で使用する場合、「プロドラッグ」なる用語は、体内で、例えば血液中における加水分解によって、医薬効果を有する活性形態に変換される化合物を意味する。医薬上許容されるプロドラッグは、T. Higuchi and V. Stella, “Prodrugs as Novel Delivery Systems”, Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series, Edward B. Roche, ed., “Bioreversible Carriers in Drug Design”, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987、およびD. Fleisher, S. Ramon and H. Barbra “Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs”, Advanced Drug Delivery Reviews (1996) 19(2) 115-130に記載されている(どちらも、出典明示により本明細書の記載とする)。
【0014】
プロドラッグは、かかるプロドラッグを患者に投与した場合にインビボで構造式(I)で示される化合物を放出する、いずれもの共有結合されたキャリヤーである。プロドラッグは、一般に、慣用的な操作またはインビボのいずれかによって修飾が切断されて親化合物が得られるような方法で官能基を修飾することによって製造される。プロドラッグとしては、例えば、ヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基が、患者に投与した場合に切断されてヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基を形成するいずれもの基と結合している本発明の化合物が挙げられる。かくして、プロドラッグの代表的な例としては、構造式(I)で示される化合物のアルコール、スルフヒドリルおよびアミン官能基の酢酸エステル、ギ酸エステルおよび安息香酸エステル誘導体が挙げられる(これらに限定されるものではない)。また、カルボン酸(−COOH)の場合、メチルエステルおよびエチルエステルのようなエステルを使用することができる。エステルは、それ自体活性であってもよく、および/または人体におけるインビボ条件下で加水分解可能であってもよい。適当な医薬上許容されるインビボ加水分解性エステル基としては、人体中で容易に分解されて親酸またはその塩を放出するものが挙げられる。
【0015】
本発明の化合物についての以下の言及は、式(I)で示される化合物およびそれらの医薬上許容される誘導体の両方を包含する。
【0016】
立体異性体に関しては、構造式(I)で示される化合物は、2個以上の不斉炭素原子を有する。記載される一般式(I)において、黒塗りのくさび形の結合は、該結合が紙面の上にあることを示す。破線の結合は、該結合が紙面の下にあることを示す。
【0017】
マクロライド上の置換基もまた1個またはそれ以上の不斉炭素原子を有することができることは理解されるであろう。かくして、構造式(I)で示される化合物は、個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーとして生じることがある。かかる異性体の全ては、その混合物を含めて、本発明の範囲内である。
【0018】
本発明の化合物がアルケニル基を含む場合、シス(Z)およびトランス(E)異性もまた生じることがある。本発明は、本発明の化合物の個々の立体異性体、および必要に応じてその個々の互変異性体を、それらの混合物と一緒に包含する。
【0019】
ジアステレオ異性体またはシスおよびトランス異性体の分離は、慣用技術によって、例えば、分別結晶、クロマトグラフィーまたはHPLCによって、行うことができる。該作用物質の立体異性体混合物はまた、対応する光学的に純粋な中間体から、または適当なキラル支持体を使用する対応する混合物のHPLCのような分割によって、または必要に応じて対応する混合物と適当な光学活性酸または塩基との反応により形成されたジアステレオ異性体塩の分別結晶化によって、製造することもできる。
【0020】
構造式(I)で示される化合物は、結晶形態または非晶質形態であり得る。さらにまた、構造式(I)で示される化合物の結晶形態には多形体として存在するものもあり、それらは本発明に包含される。
【0021】
2がヒドロキシル保護基を表す化合物は、一般に、式(I)で示される他の化合物の製造のための中間体である。
【0022】
基OR2が保護ヒドロキシル基である場合、これは、好都合には、エーテルまたはアシルオキシ基である。特に適しているエーテル基の例としては、R2がトリアルキルシリル(すなわち、トリメチルシリル)であるものが挙げられる。基OR2がアシルオキシ基を表す場合、適当な基R2の例としては、アセチルまたはベンゾイルが挙げられる。
【0023】
6は、水素またはフッ素である。しかしながら、Aが−C(O)NH−または−CH2−N(R7)−である場合、R6が水素であることは理解されるであろう。
【0024】
11が下記構造:
【化7】

を有する複素環基である場合、該複素環は、6位または7位で上記にて定義したX基と結合している。R20基は、存在する場合、環のいずれもの位置にて結合することができる。一の実施態様では、R20基は、6位または7位で結合している。
【0025】
11が下記構造:
【化8】

[式中、Wは−C(R31)−であり、ここで、R31はR20であるか、またはR31およびR19が結合して二価の基−O(CH2)2−、−(CH2)t−;−NR7(CH2)−、−OCH2NR7−、−SCH2NR7−、−CH2NR7CH2−、−CH2OCH2−、−CH2SCH2−、−(CH2)NR7−を形成する]を有する複素環基である場合、該複素環は、(ii)の位置または(iii)の位置で上記にて定義したX基と結合している。
【0026】
11が下記構造:
【化9】

を有する複素環基である場合、該複素環は、6位または7位で上記にて定義したX基と結合している。
【0027】
11が下記構造:
【化10】

を有する複素環基である場合、該複素環は、7位または8位で上記にて定義したX基と結合している。
【0028】
11が下記構造:
【化11】

[式中、Wは−C(R31)−であり、ここで、R31はR20であるか、またはR31およびR19が結合して二価の基−O(CH2)2−、−(CH2)t−;−NR7(CH2)−、−OCH2NR7−、−SCH2NR7−、−CH2NR7CH2−、−CH2OCH2−、−CH2SCH2−、−(CH2)NR7−を形成する]を有する複素環基である場合、該複素環は、(i)、(ii)または(iii)の位置で上記にて定義したX基と結合している。一の実施態様では、該複素環は、(i)の位置で結合している。 別の実施態様では、該複素環は、(ii)または(iii)の位置で結合している。
【0029】
11が下記構造:
【化12】

を有する複素環基である場合、該複素環は、2位または3位で上記にて定義したX基と結合している。一の実施態様では、該複素環は、2位または3位で結合している。別の実施態様では、該複素環は、4位で結合している。
【0030】
一の基または一の基の一部として本明細書で使用する場合、「アルキル」なる用語は、特定の数の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝鎖状炭化水素鎖をいう。例えば、C1-10アルキルは、少なくとも1個、最大10個の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝鎖状アルキルを意味する。本明細書で使用する場合、「アルキル」の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、イソブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルおよびデシルが挙げられるが、それらに限定されるものではない。C1-4アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルまたはt−ブチル)が好ましい。
【0031】
本明細書で使用する場合、「C3-7シクロアルキル」基なる用語は、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルのような、炭素原子3〜7個の非芳香族単環式炭化水素環をいう。
【0032】
本明細書で使用する場合、「アルコキシ」なる用語は、特定の数の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝鎖状アルコキシ基をいう。例えば、C1-6アルコキシは、少なくとも1個、最大6個の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝鎖状アルコキシを意味する。本明細書で使用する場合、「アルコキシ」の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、プロパ−2−オキシ、ブトキシ、ブタ−2−オキシ、2−メチルプロパ−1−オキシ、2−メチルプロパ−2−オキシ、ペントキシおよびヘキシルオキシが挙げられるが、それらに限定されるものではない。C1-4アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、プロパ−2−オキシ、ブトキシ、ブタ−2−オキシまたは2−メチルプロパ−2−オキシ)が好ましい。
【0033】
一の基または一の基の一部として本明細書で使用する場合、「アルケニル」なる用語は、特定の数の炭素原子を含有し、少なくとも1つの二重結合を含有する、直鎖状または分枝鎖状炭化水素鎖をいう。例えば、「C2-6アルケニル」なる用語は、少なくとも2個、最大6個の炭素原子を含有し、少なくとも1つの二重結合を含有する、直鎖状または分枝鎖状アルケニルを意味する。本明細書で使用する場合、「アルケニル」例としては、エテニル、2−プロペニル、3−ブテニル、2−ブテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、3−メチル−2−ブテニル、3−メチルブタ−2−エニル、3−ヘキセニルおよび1,1−ジメチルブタ−2−エニルが挙げられるが、それらに限定されるものではない。−O−C2-6アルケニルの形態の基において、二重結合は、好ましくは、酸素に隣接しないことは理解されるであろう。
【0034】
一の基または一の基の一部として本明細書で使用する場合、「アルキニル」なる用語は、特定の数の炭素原子を含有し、少なくとも1つの三重結合を含有する、直鎖状または分枝鎖状炭化水素鎖をいう。例えば、「C2-6アルキニル」なる用語は、少なくとも2個、最大6個の炭素原子を含有し、少なくとも1つの三重結合を含有する、直鎖状または分枝鎖状アルキニルを意味する。本明細書で使用する場合、「アルキニル」の例としては、エチニル、2−プロピニル、3−ブチニル、2−ブチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、3−メチル−2−ブチニル、3−メチルブタ−2−イニル、3−ヘキシニルおよび1,1−ジメチルブタ−2−イニルが挙げられるが、それらに限定されるものではない。−O−C2-6アルキニルの形態の基において、三重結合は、好ましくは、酸素に隣接しないことは理解されるであろう。
【0035】
本明細書で使用する場合、「アリール」なる用語は、フェニル、ビフェニルまたはナフチルのような芳香族炭素環基をいう。
【0036】
本明細書で使用する場合、「ヘテロアリール」なる用語は、特記しない限り、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有し、少なくとも1個の炭素原子を含有する、5〜10員の芳香族複素環をいい、単環式および二環式環系のどちらも含む。ヘテロアリール環の例としては、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、1,3−ベンゾジオキサゾリル、インドリル、ベンゾチアゾリル、フリルピリジン、オキサゾロピリジルおよびベンゾチオフェニルが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0037】
一の基または一の基の一部として本明細書で使用する場合、「5員または6員ヘテロアリール」なる用語は、酸素、窒素および硫黄から独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する単環式5員または6員芳香族複素環をいう。例としては、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニルおよびトリアジニルが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0038】
一の基または一の基の一部として本明細書で使用する場合、「9〜10員縮合二環式ヘテロアリール」なる用語は、キノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、1,3−ベンゾジオキサゾリル、インドリル、ベンゾチアゾリル、フリルピリジン、オキサゾロピリジルまたはベンゾチオフェニルをいう。
【0039】
本明細書で使用する場合、「ヘテロサイクリル」なる用語は、特記しない限り、酸素、窒素および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する、単環式または二環式の3〜10員の飽和または非芳香族不飽和炭化水素環をいう。好ましくは、ヘテロサイクリル環は、5個または6個の環原子を有する。ヘテロサイクリル基の例としては、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリノ、テトラヒドロピラニルおよびチオモルホリノが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0040】
一の基または一の基の一部として本明細書で使用する場合、「5員または6員複素環基」なる用語は、酸素、窒素および硫黄から独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する単環式5員または6員飽和炭化水素環をいう。かかるヘテロサイクリル基の例としては、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリノ、テトラヒドロピラニルおよびチオモルホリノが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0041】
「ハロゲン」なる用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子をいう。
【0042】
本明細書で使用する場合、「置換されていてもよいフェニル」、「置換されていてもよいフェニルまたはベンジル」、「置換されていてもよい5員または6員ヘテロアリール」、「置換されていてもよい9〜10員縮合二環式ヘテロアリール」または「置換されていてもよい5員または6員複素環基」なる用語は、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、C1-4アルキルアミノまたはジC1-4アルキルアミノ、フェニルおよび5員または6員ヘテロアリールから選択される1〜3個の基によって置換されている基をいう。
【0043】
一の実施態様では、Aは、−C(O)−、−C(O)NH−、−NHC(O)−、−N(R7)−CH2−、−CH2−N(R7)−または−CH(NR89)−である。別の実施態様では、Aは、−C(O)−、−C(O)NH−、−NHC(O)−、−CH2−N(R7)−、−CH(NR89)−または−C(=NR10)−である。さらなる実施態様では、Aは、−C(O)−、−C(O)NH−、−NHC(O)−、−CH2−NR7−または−CH(NR89)−である。Aの代表的な例としては、−C(O)−および−N(R7)−CH2−が挙げられる。
【0044】
2の代表的な例は水素である。
【0045】
3の代表的な例としては、水およびC1-4アルキル(特に、水素およびメチル)が挙げられる。
【0046】
一の実施態様では、R4は、ヒドロキシまたはC1-6アルコキシであり、特に、ヒドロキシまたはメトキシである。好ましくは、R4はヒドロキシである。別の実施態様では、R5はヒドロキシである。別法として、R4およびR5は介在する原子と一緒になって下記構造:
【化13】

[式中、Yは−O−および−N(R13)−から選択される二価の基である]を有する環状の基を形成する。
【0047】
6の代表的な例は水素である。
【0048】
7の代表的な例はC1-6アルキルであり、例えば、C1-4アルキル、特に、メチルである。
【0049】
11の代表的な例としては、下記構造:
【化14】

および
【化15】

[式中、該複素環は、6位または7位で上記にて定義したX基と結合している]を有する複素環基および下記構造:
【化16】

[式中、Wは、−C(R31)−であり、R31およびR19が結合して二価の基−(CH2)t−を形成し、該複素環は、(ii)の位置または(iii)の位置で上記にて定義したX基と結合している]を有する複素環基が挙げられる。
【0050】
特に、R11の代表的な例は、下記構造:
【化17】

を有する複素環基を表す。
【0051】
13の代表的な例は水素である。
【0052】
一の実施態様では、R18は、−C(O)OR29、−C(O)NHR29、−C(O)CH2NO2または−C(O)CH2SO27である。R18の代表的な例は、−C(O)OR29である。好ましいR18は−C(O)OR29(ここで、R29は水素である)である。
【0053】
19の代表的な例としては、C1-4アルキル(特に、エチル)、およびC3-7シクロアルキル(特に、シクロプロピル)が挙げられる。
【0054】
一の実施態様では、R20は、ハロゲン(特に、塩素またはフッ素)、またはメトキシである。
【0055】
一の実施態様では、R30は、水素またはC1-4アルキルである。R30の代表的な例は、水素またはメチルである。
【0056】
31の代表的な例は水素であるか、またはR31およびR19が結合して二価の基−(CH2)t−を形成する。
【0057】
Xの代表的な例は、−U(CH2)vB(CH2)vD−、−U(CH2)vB−R33−、−U(CH2)vB(CH2)vD(CH2)vE−または−U(CH2)vB(CH2)vD−R33−である。一の実施態様では、Xの好ましい例は、−U(CH2)vB(CH2)vD−または−U(CH2)vB−R33−(ここで、Uは−O−であり、Bは−O−であり、Dは−O−または−N−である)である。
【0058】
U、B、DおよびEの代表的な例としては、二価の基−N(R30)−、−O−、S(O)z−、−N(R30)C(O)−および−C(O)N(R30)−が挙げられる。
【0059】
33の代表的な例は、C1-8アルキルまたはC2-6アルキニルである。
【0060】
dの代表的な例は1〜4であり、例えば、2〜4である。dの特に好ましい例は2または3である。
【0061】
vの代表的な例は1〜4であり、例えば、2または3である。特に好ましい例は、各vが独立して2である場合である。
【0062】
一の特に好ましい実施態様では、Xは、−O(CH2)2O(CH2)2O−、−O(CH2)2O(CH2)2N−または−U(CH2)vO−R33−であり、ここで、R33は、C1-8アルキルまたはC2-6アルキニルである。
【0063】
一の実施態様では、jは0〜2である。jの代表的な例は0または1である。
【0064】
tの代表的な例は3である。
【0065】
zの代表的な例は0である。
【0066】
特に好ましい本発明の化合物は以下のものである:
4”−O−2−{2−[2−(3−カルボキシ−7−クロロ−1−シクロプロピル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イルアミノ)−エトキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル−6−O−メチルエリスロマイシンA、
4”−O−2−{2−[2−(3−カルボキシ−7−クロロ−1−シクロプロピル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イルアミノ)−エトキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル−アジスロマイシン、
4”−(2−{2−[3−(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イル)−プロパ−2−イニルオキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル)−アジスロマイシン、
4”−(2−{2−[3−(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イル)−プロポキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル)−アジスロマイシン、
4”−(2−{2−[3−(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イル)−プロポキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル)−6−O−メチル−エリスロマイシンA、
またはそれらの医薬上許容される誘導体。
【0067】
さらに特に好ましい本発明の化合物は以下のものである:
4”−(2−{2−[3−(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イル)−プロパ−2−イニルオキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル)−6−O−メチルエリスロマイシンA、
4”−O−(2−{2−[2−(3−カルボキシ−7−クロロ−1−シクロプロピル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イルアミノ)−エトキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル)−9−エチルオキシイミノ−6−O−メチル−エリスロマイシンA、
4”−O−(2−{2−[2−(3−カルボキシ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−7−イルアミノ)−エトキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル)−9−エチルオキシイミノ−6−O−メチル−エリスロマイシンA、
4”−O−(3−{2−[2−(3−カルボキシ−1−シクロプロピル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イルアミノ)−エトキシ]−エトキシ}−プロピルカルバモイル)−アジスロマイシン、
4”−O−(2−{[2−({2−[(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−7−キノリニル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}エチルカルバモイル)−6−O−メチル−エリスロマイシンA、
4”−O−(2−{[2−({2−[(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−7−キノリニル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}エチルカルバモイル)−アジスロマイシン、
4”−O−(2−{[2−({2−[(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−6−キノリニル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}エチルカルバモイル)−6−O−メチル−エリスロマイシンA、
4”−O−(2−{[2−({2−[(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−6−キノリニル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}エチルカルバモイル)−アジスロマイシン、
4”−O−(2−{[2−({2−[3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−6−キノリニル]エチル}オキシ)エチル]オキシ}エチルカルバモイル)−アジスロマイシン
またはそれらの医薬上許容される誘導体。
【0068】
本発明の化合物はまた、広範囲の臨床的病原微生物に対して広範囲の抗微生物活性(特に、抗細菌活性)を示す。標準的なマイクロタイターブロス連続希釈試験を使用して、本発明の化合物は、広範囲の病原微生物に対して有用なレベルの活性を示すことが見出された。特に、本発明の化合物は、スタヒロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ヘモフィルス・インフルエンゼ(Haemophilus influenzae)、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)およびレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)の株に対して活性であり得る。本発明の化合物はまた、耐性株(例えば、エリスロマイシン耐性株)に対して活性であり得る。特に、本発明の化合物は、ストレプトコッカス・ニューモニエ、ストレプトコッカス・ピオゲネスおよびスタヒロコッカス・アウレウスのエリスロマイシン耐性株に対して活性であり得る。
【0069】
したがって、本発明の化合物は、ヒトおよび動物において、病原微生物(特に、細菌)によって引き起こされる様々な疾患を治療するために使用され得る。治療についての言及は、急性期治療または予防ならびに確立した症状の軽減を含むことが理解されるであろう。
【0070】
かくして、本発明の別の態様に従って、本発明者らは、治療で用いる式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を提供する。
【0071】
本発明の別の態様に従って、本発明者らは、ヒトまたは動物対象体において全身性または局所性微生物感染症の治療または予防で用いる式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を提供する。
【0072】
本発明の別の態様に従って、本発明者らは、ヒトまたは動物体における全身性または局所性微生物感染症の治療または予防用医薬の製造における式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用を提供する。
【0073】
本発明のさらに別の態様に従って、本発明者らは、微生物感染症と戦うためのヒトまたは非ヒト動物体の治療方法であって、かかる治療を必要とする身体に式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0074】
治療で用いるために本発明の化合物を未加工の化学物質として投与することは可能であるが、例えば、該作用物質が意図される投与経路および標準的な製薬業務に関して選択される適当な医薬賦形剤、希釈剤または担体と混合されている場合の医薬製剤として活性成分を提供することが好ましい。
【0075】
したがって、一の態様では、本発明は、医薬上許容される賦形剤、希釈剤および/または担体と合わせて、少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む医薬組成物または製剤を提供する。該賦形剤、希釈剤および/または担体は、該製剤の他の成分と適合し、そのレシピエントにとって有害ではないという意味で「許容され」なければならない。
【0076】
別の態様では、本発明は、治療で用いるための、特に、抗微生物化合物によって寛解され易い症状に罹患しているヒトまたは動物対象体の治療で用いるための医薬上許容される賦形剤、希釈剤および/または担体と合わせて活性成分として少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む医薬組成物を提供する。
【0077】
別の態様では、本発明は、本発明の化合物の治療上有効量および医薬上許容される賦形剤、希釈剤および/または担体(それらの組み合わせを含む)を含む医薬組成物を提供する。
【0078】
さらに、本発明により、少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬上許容される誘導体を医薬上許容される賦形剤、希釈剤および/または担体と一緒に混合することを含む医薬組成物の製造方法が提供される。
【0079】
本発明の化合物は、ヒトまたは獣医学で用いるためのいずれもの慣用的な方法で投与するために処方することができ、したがって、本発明は、その範囲内に、ヒトまたは獣医学で用いるのに適した本発明の化合物を含む医薬組成物を含む。かかる組成物は、1種類またはそれ以上の適当な賦形剤、希釈剤および/または担体の助けを借りて慣用的な方法で使用するために提供され得る。治療用途に許容される賦形剤、希釈剤および担体は、製薬技術分野において周知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A. R. Gennaro edit. 1985)に記載されている。医薬賦形剤、希釈剤および/または担体の選択は、意図される投与経路および標準的な製薬業務に関して選択され得る。当該医薬組成物は、該賦形剤、希釈剤および/または担体として、またはそれらに加えて、いずれもの適当な結合剤、滑沢剤、懸濁化剤、コーティング剤、可溶化剤を含むことができる。
【0080】
保存剤、安定剤、染料およびフレーバー剤を医薬組成物中に含むことができる。保存剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸およびp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが挙げられる。抗酸化剤および懸濁化剤を使用することもできる。
【0081】
いくつかの実施態様について、本発明の作用物質は、シクロデキストリンと合わせて使用することもできる。シクロデキストリンは薬物分子との包接および非包接複合体を形成することが知られている。薬物−シクロデキストリン複合体の形成は、薬物分子の溶解度、溶解速度、生物学的利用能および/または安定性を変更することができる。薬物−シクロデキストリン複合体は、一般に、ほとんどの剤形および投与経路に有用である。薬物との直接的な複合体形成の代替法として、シクロデキスリンを補助添加剤として(例えば、担体、希釈剤または可溶化剤として)使用することができる。α−、β−およびγ−シクロデキストリンが最も一般的に使用され、適当な例はWO 91/11172、WO 94/02518およびWO 98/55148に記載されている。
【0082】
本発明の化合物は、錠剤または他の種類の製剤に適している粒径を得るための湿式粉砕のような公知の粉砕法を使用して粉砕することができる。本発明の化合物の微粉化した(ナノ粒子)製剤は、当該技術分野で公知の方法によって調製することができ、例えば、国際特許出願WO 02/00196(SmithKline Beecham)を参照。
【0083】
投与(送達)経路としては、経口(例えば、錠剤、カプセル剤として、または口腔摂取用液剤として)、局所、粘膜(例えば、鼻用スプレー剤または吸入用エアゾール剤として)、経鼻、非経口(例えば、注射用剤形による)、胃腸、髄腔内、腹腔内、筋肉内、静脈内、子宮内、眼球内、皮内、頭蓋内、気管内、膣内、脳室内、脳内、皮下、眼(硝子体内または眼房内を含む)、経皮、直腸、口腔、硬膜外および舌下のうちの1つまたはそれ以上が挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0084】
送達系に応じて様々な組成物/製剤要求が起こり得る。一例として、本発明の医薬組成物は、ミニポンプを使用するかまたは粘膜経路によって(例えば鼻用スプレー剤または吸入用エアゾール剤または口腔摂取用液剤として)送達されるように処方され得るか、または非経口で送達されるように処方され得る(ここで、当該組成物は注射用剤形(例えば、静脈内経路、筋肉内経路または皮下経路による)による送達のために処方され得る)。別法として、該製剤は、両方の経路によって送達できるように設計することができる。
【0085】
当該作用物質が胃腸粘膜を介して粘膜により送達されるべきである場合、それは胃腸管の通過の間安定した状態を保つことができるべきである;例えば、それは、タンパク質分解に耐性を示し、酸性pHで安定であり、胆汁の界面活性剤効果に耐性を示すべきである。
【0086】
必要に応じて、当該医薬組成物は、吸入により、坐剤またはペッサリー剤の剤形で、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤または散布剤の剤形で局所的に、皮膚用パッチ剤の使用により、デンプンまたはラクトースのような賦形剤を含有する錠剤の剤形で経口的に、または単独または賦形剤と混合したカプセル剤またはオービュール剤(ovules)にて、またはフレーバーまたは着色剤を含有するエリキシル剤、液剤または懸濁剤の剤形で投与することができるか、またはそれらは、非経口注射、例えば、静脈注射、筋肉注射または皮下注射することができる。非経口投与については、当該組成物は、溶液を血液と等張にするのに十分な塩または単糖類のような他の物質を含有することができる滅菌水溶液の形態で最もよく使用され得る。口腔または舌下投与については、当該組成物は、慣用的な方法で処方することができる錠剤またはロゼンジ剤の剤形で投与することができる。
【0087】
当該化合物の全てが同一経路によって投与される必要があるわけではないことは理解されるべきである。同様に、当該組成物が2種類以上の活性成分を含む場合、これらの成分は、異なる経路によって投与することができる。
【0088】
本発明の組成物は、特に非経口用、経口用、口腔用、直腸用、局所用、埋込用、眼用、鼻用または泌尿生殖器用に処方された剤形のものを包含する。いくつかの用途については、本発明の作用物質は、全身送達(例えば、経口送達、口腔送達、舌下送達)、より好ましくは、経口送達される。したがって、好ましくは、当該作用物質は、経口送達に適している剤形である。
【0089】
本発明の化合物が非経口投与される場合、かかる投与の例としては、当該作用物質の静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、鞘内投与、脳室内投与、尿道内投与、胸骨内投与、頭蓋内投与、筋肉内投与または皮下投与のうちの1つまたはそれ以上;および/または注入技術を使用することによる投与が挙げられる。
【0090】
非経口投与については、当該化合物は、他の物質(例えば、溶液を血液と等張にするのに十分な塩またはグルコース)を含有することができる滅菌水溶液の形態で最もよく使用される。該水溶液は、必要に応じて、適当に(好ましくは、3〜9のpHに)緩衝化すべきである。無菌条件下での適当な非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準的な製薬技術によって容易に行われる。
【0091】
本発明の化合物は、注射により(例えば、静脈内ボーラス注射または注入により、または筋肉内、皮下もしくは鞘内経路により)ヒトまたは獣医学で用いるために処方することができ、単位投与剤形で、アンプルまたは他の単回投与用容器中にて、または必要に応じて保存剤を添加した複数回投与用容器中にて提供することができる。注射用組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤または乳剤の剤形であってよく、懸濁化剤、安定化剤、可溶化剤および/または分散剤のような処方剤を含有することができる。別法として、活性成分は、使用前に適当なビヒクル(例えば、滅菌したパイロジェンフリー水)で復元するための無菌の粉末形態であり得る。
【0092】
本発明の化合物は、即時放出、遅延放出、放出調節、持続放出、間欠放出または制御放出用の、フレーバーまたは着色剤を含有していてもよい、錠剤、カプセル剤、オービュール剤、エリキシル剤、液剤または懸濁剤の剤形で投与(例えば、経口投与または局所投与)することができる。
【0093】
本発明の化合物はまた、経口投与または口腔投与に適した剤形で、例えば、フレーバーおよび着色剤を含有していてもよい、液剤、ゲル剤、シロップ剤、マウスウォッシュ剤または懸濁剤の剤形で、または使用前に水または他の適当なビヒクルで復元するための乾燥粉末の剤形で、ヒトまたは獣医学用に提供することができる。錠剤、カプセル剤、ロゼンジ剤、パステル剤、丸薬、ボーラス剤、散剤、ペースト剤、顆粒剤、ブリット剤(bullets)またはプレミックス製剤のような固体組成物を使用することもできる。経口用の固体および液体組成物は、当該技術分野で周知の方法に従って調製することができる。かかる組成物はまた、固体または液体形態であってもよい1種類またはそれ以上の医薬上許容される担体および賦形剤を含有することもできる。
【0094】
錠剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウムおよびグリシンのような賦形剤、デンプン(好ましくは、コーンスターチ、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムおよびある種の複合ケイ酸塩のような崩壊剤、およびポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、シュークロース、ゼラチンおよびアカシアのような造粒結合剤を含有することができる。
【0095】
さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリルおよびタルクのような滑沢剤を含むこともできる。
【0096】
同様のタイプの固体組成物はまた、ゼラチンカプセルの充填剤として使用することもできる。これに関する好ましい賦形剤としては、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖または高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。水性懸濁剤および/またはエリキシル剤については、作用物質を種々の甘味剤またはフレーバー剤、着色剤または染料、乳化剤および/または懸濁化剤、および水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリンのような希釈剤、ならびにそれらの組み合わせと合わせることができる。
【0097】
本発明の化合物は、獣医学において、医薬上許容される担体または賦形剤と合わせた活性成分の溶液、懸濁液または分散液のような水薬の形態で経口投与することもできる。
【0098】
本発明の化合物は、例えば、ヒトまたは獣医学用の坐剤(例えば、慣用の坐剤基剤を含有する)として、またはペッサリー剤(例えば、慣用のペッサリー基剤を含有する)として処方することもできる。
【0099】
本発明の化合物は、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、シャンプー剤、散剤(スプレー剤または散布剤を含む)、ペッサリー剤、タンポン剤、スプレー剤、ディップ剤、エアゾール剤、滴剤(例えば、点眼剤、点耳剤または点鼻剤)またはポア−オン剤(pour-ons)の剤形で、ヒトおよび獣医学用の局所投与用に処方することができる。
【0100】
皮膚への局所投与については、本発明の作用物質は、例えば、下記のものの1つまたはそれ以上との混合物に懸濁または溶解させた活性化合物を含有する適当な軟膏剤として処方することができる:鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ろうおよび水。
【0101】
別法として、例えば、下記ものの1つまたはそれ以上の混合物に懸濁または溶解させた適当なローション剤またはクリーム剤として処方することができる:鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水。
【0102】
当該化合物は、例えば皮膚用パッチ剤の使用によって、皮膚投与または経皮投与することもできる。
【0103】
眼用については、当該化合物は、塩化ベンジルアルコニウムのような保存剤と組み合わせてもよい、等張性のpH調整した滅菌生理食塩水中の微粒懸濁液として、または、好ましくは、等張性のpH調整した滅菌生理食塩水中の溶液として処方することができる。別法として、それらは、ワセリンのような軟膏中にて処方され得る。
【0104】
適応があれば、本発明の化合物は、鼻腔内投与または吸入による投与をすることができ、好都合には、乾燥粉末吸入器、または適当な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、ヒドロフルオロアルカン(例えば、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134AT””)または1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EA))、二酸化炭素または他の適当なガス)の使用を伴う加圧容器、ポンプ、スプレーまたはネブライザーからのエアゾールスプレー供給の形態で送達される。加圧エアゾールの場合、投与単位は、定量を送達するためにバルブを提供することによって決定することができる。加圧容器、ポンプ、スプレーまたはネブライザーは、例えば溶媒としてエタノールおよび噴射剤の混合物を使用し、さらに滑沢剤(例えば、トリオレイン酸ソルビタン)を含有することができる、活性化合物の溶液または懸濁液を含有することができる。
【0105】
吸入器またはインサフレーターにおいて用いるためのカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチン製)は、化合物およびラクトースまたはデンプンのような適当な粉末基剤の混合粉末を含有するように処方することができる。
【0106】
吸入による局所投与については、本発明の化合物は、ネブライザーを介してヒトまたは獣医学用に送達することができる。
【0107】
本発明の化合物は、他の治療薬と組み合わせて使用することもできる。かくして、本発明は、さらなる態様では、本発明の化合物またはその医薬上許容される誘導体をさらなる治療薬と一緒に含む組み合わせを提供する。
【0108】
本発明の化合物またはその医薬上許容される誘導体を同じ病態に対して活性な別の治療薬と組み合わせて使用する場合、各化合物の用量は、化合物を単独で使用する場合と異なることができる。適当な用量は、当業者に容易に理解されるであろう。治療のために必要とされる本発明の化合物の量は、治療される症状の性質ならびに患者の年齢および状態によって変わるであろうし、最終的には主治医または獣医の判断であろうということは理解されるであろう。本発明の化合物は、例えば、必要に応じてコルチコステロイドまたは抗真菌剤のような他の活性成分と一緒に局所投与のために使用することができる。
【0109】
上記の組み合わせは、好都合には、医薬製剤の形態で使用するために提供することができ、かくして、医薬上許容される担体または賦形剤と一緒に上記で定義した組み合わせを含む医薬製剤は、本発明のさらなる態様を構成する。かかる組み合わせの個々の成分は、いずれもの好都合な経路によって、別々のまたは合わせた医薬製剤にて連続的にまたは同時に投与することができる。
【0110】
投与が連続的である場合、本発明の化合物または別の治療薬のどちらかを最初に投与することができる。投与が同時である場合、組み合わせは、同一の医薬組成物または異なる医薬組成物のいずれかにて投与することができる。
【0111】
同一の製剤中で合わせる場合、2つの化合物は、安定で、お互いにおよび該製剤の他の成分と適合しなければならないことは理解されるであろう。別々に処方された場合、それらは、好都合には当該技術分野でかかる化合物について知られているように、いずれもの好都合な製剤で提供され得る。
【0112】
当該組成物は、活性物質0.01〜99%を含有することができる。局所投与については、例えば、当該組成物は、一般に、活性物質0.01〜10%、より好ましくは、0.01〜1%を含有するであろう。
【0113】
典型的には、医師は、個々の対象体に最も適している実際の投与量を決定するであろう。特定の個体についての特定の投与量および投与回数は様々であってよく、使用される特定の化合物の活性、該化合物の代謝安定性および作用の長さ、年齢、体重、全般的健康、性、食事、投与の様式および時間、排泄率、薬物組み合わせ、特定の症状の重篤度、ならびに個々の受けている療法を含む種々の因子に依存するであろう。
【0114】
ヒトへの経口および非経口投与については、当該作用物質の1日投与量は、1回投与であっても分割投与であってもよい。
【0115】
全身投与については、成人の治療に使用される場合の1日用量は、例えば、投与経路および患者の状態に依存して、体重1kgにつき2〜100mg、好ましくは、体重1kgにつき5〜60mgの範囲(1日1〜4回で投与することができる)であろう。当該組成物が投与単位を含む場合、各単位は、好ましくは、活性成分200mg〜1gを含有するであろう。治療の期間は、任意の日数ではなくて応答率によって決定されるであろう。
【0116】
一般式(I)で示される化合物およびその塩は、以下に概略記載される一般的な方法によって製造され得、この方法は、本発明のさらなる態様を構成する。以下の記載において基R1〜R33、A、B、D、E、X、Y、U、W、a、b、d、e、f、g、h、i、j、k、m、n、p、q、r、s、t、vおよびzは、特記しない限り、式(I)で示される化合物について定義した意味を有する。
【0117】
基Xa11a は、式(I)について定義したと同じXR11であるかまたはXR11に変換可能な基である。基Xa11aのXR11基への変換は、典型的には、下記反応の間に保護基が必要とされる場合に生じる。かかる基が保護され得る方法および得られた保護誘導体を切断する方法の網羅的な議論は、例えば、T.W. Greene and P.G.M Wuts in Protective Groups in Organic Synthesis 2nd ed., John Wiley & Son, Inc 1991およびP.J. Kocienski in Protecting Groups, Georg Thieme Verlag 1994(出典明示により本明細書の記載とする)により提供される。適当なアミノ保護基の例としては、アシル型保護基(例えば、ホルミル、トリフルオロアセチルおよびアセチル)、芳香族ウレタン型保護基(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および置換Cbz、および9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc))、脂肪族ウレタン保護基(例えば、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、イソプロピルオキシカルボニルおよびシクロヘキシルオキシカルボニル)およびアルキル型保護基(例えば、ベンジル、トリチルおよびクロロトリチル)が挙げられる。適当な酸素保護基の例としては、例えば、アルキルシリル基、例えば、トリメチルシリルまたはtert−ブチルジメチルシリル;アルキルエーテル、例えば、テトラヒドロピラニルまたはtert−ブチル;またはエステル、例えば、酢酸エステルが挙げられる。ヒドロキシ基は、例えば、適当な溶媒中での無水酢酸、無水安息香酸またはトリアルキルシリルクロリドの反応によって保護することができる。非プロトン性溶媒の例は、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよびテトラヒドロフランなどである。
【0118】
式(I)で示される化合物は、R2がヒドロキシ保護基であってもよく、R34がイミダゾリルまたはハロゲンのような活性化基である式(II)で示される適当な活性化合物をアミンの適当な保護誘導体(III)と反応させ、次いで、必要に応じて、ヒドロキシ保護基R2の除去およびXa11aのXR11基への変換によって製造することができる。
【0119】
【化18】

【0120】
該反応は、好ましくは、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)などのような有機塩基の存在下にてN,N−ジメチルホルムアミドのような適当な非プロトン性溶媒中で行われる。
【0121】
本発明のさらなる実施態様では、dが1〜5の整数であり、Uが−N(R30)−、−O−および−S−から選択される基である式(I)で示される化合物は、式(IV):
【化19】

[式中、dは1〜5の整数であり、Lは適当な脱離基である]で示される化合物をXa11a(V)[ここで、Uは−N(R30)−、−O−および−S−から選択される基である]と反応させることによって製造することができる。反応は、好ましくは、ハロ炭化水素(例えば、ジクロロメタン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフランまたはジメトキシエタン)、アセトニトリルまたは酢酸エチルなど、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドまたは1−メチル−ピロリドンのような溶媒中にて、塩基の存在下にて行われ、次いで、必要に応じて、ヒドロキシル保護基R2の除去およびXa11a基のXR11への変換が行われる。使用することができる塩基の例としては、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンおよび1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンのような有機塩基、ならびに水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムのような無機塩基などが挙げられる。この反応に適している脱離基としては、ハライド(例えば、クロリド、ブロミドまたはヨージド)またはスルホニルオキシ基(例えば、トシルオキシまたはメタンスルホニルオキシ)が挙げられる。
【0122】
式(IV)で示される化合物は、R2がヒドロキシル保護基である式(II)で示される化合物をアミンの適当な保護誘導体HN(R7)(CH2)dL(VI)[式中、Lは上記定義と同じ適当な脱離基である]と反応させることにより製造することができる。該反応は、式(II)で示される化合物とアミン(III)との反応について上記した条件を使用して行われる。
【0123】
式R11aL(VII)[式中、Lは塩素、フッ素または臭素のような適当な脱離基であり、R31およびR19が結合して二価の基−O(CH2)2−,−(CH2)t−;−NR7(CH2)−、−OCH2NR7−、−SCH2NR7−、−CH2NR7CH2−、−CH2OCH2−、−CH2SCH2−または−(CH2)NR7−を形成する]で示される化合物は、公知化合物であるか、またはそれらは当該技術分野で知られている方法と類似の方法によって製造することができる。かくして、それらは、米国特許出願2002/0025959A1に記載されている方法に従って製造することができる。
【0124】
Xが−U(CH2)vB(CH2)vD−、U(CH2)vB−R33−であるか、またはXが
【化20】

および
【化21】

から選択される基である式(III)で示される化合物は、Xa11a(V)[式中、Xは上記で定義した意味を有する]をアクリロニトリルと反応させ、次いで、ニトリルをアミンへ還元することによって製造することができる。
【0125】
11aL(VII)[式中、Lは塩素、フッ素または臭素のような適当な脱離基であり、R32およびR19が結合して基−S(CH2)b−、−N(R7)(CH2)b−または−O(CH2)b−から選択される二価の基を形成する]で示される化合物は、公知化合物であるか、またはそれらは当該技術分野で知られている方法と類似の方法によって製造することができる。かくして、それらは、Arch. Pharm. Pharm. Med. Chem. 330, 63(1997)に記載されている方法に従って製造することができる。
【0126】
式(I)で示される化合物は、式(I)で示される他の化合物に変換することができる。かくして、Bが−S(O)z−であり、zが1または2である式(I)で示される化合物は、zが0である式(I)で示される対応する化合物の酸化によって製造することができる。該酸化は、好ましくは、過酸(例えば、過安息香酸)を使用し、次いで、トリフェニルホスフィンのようなホスフィンで処理することにより行われる。該反応は、適当には、塩化メチレンのような有機溶媒中にて行われる。UまたはBが−N(R30)−であり、R30がC1-4アルキルである式(I)で示される化合物は、R30が水素である化合物から還元アルキル化によって製造することができる。
【0127】
Aが−C(O)NH−または−NHC(O)−であり、R4またはR5がヒドロキシであり、R3が水素であり、R6が水素である式(II)で示される化合物は、公知化合物であるか、またはそれらは当該技術分野で知られている方法と類似の方法によって製造することができる。かくして、それらは、EP 507595およびEP 503932に記載されている方法に従って製造することができる。
【0128】
Aが−C(O)NH−または−NHC(O)−であり、R4またはR5がヒドロキシであり、R3がC1-4アルキル、または9〜10員縮合二環式ヘテロアリールによって置換されていてもよいC3-6アルケニルであり、R6が水素である式(II)で示される化合物は、公知化合物であるか、またはそれらは当該技術分野で知られている方法と類似の方法によって製造することができる。かくして、それらは、WO 9951616およびWO 0063223に記載されている方法に従って製造することができる。
【0129】
Aが−C(O)NH−であり、R4およびR5が介在する原子と一緒になって下記構造:
【化22】

を有する環状の基を形成し、R3がC1-4アルキル、または9〜10員縮合二環式ヘテロアリールによって置換されていてもよいC3-6アルケニルであり、R6が水素である式(II)で示される化合物は、公知化合物であるか、またはそれらは当該技術分野で知られている方法と類似の方法によって製造することができる。かくして、それらは、米国特許6262030に記載されている方法に従って製造することができる。
【0130】
Aが−C(O)−、−C(O)NH−、−NHC(O)−、−N(R7)−CH2−、−CH2−N(R7)−または−CH(NR89)−であり、R4またはR5がヒドロキシであるか、またはR4およびR5が介在する原子と一緒になって下記構造:
【化23】

(式中、Yは−O−および−N(R13)−から選択される二価の基である)を有する環状の基を形成し、R3がC1-4アルキル、または9〜10員縮合二環式ヘテロアリールによって置換されていてもよいC3-6アルケニルである式(II)で示される化合物は、公知化合物であるか、またはそれらは当該技術分野で知られている方法と類似の方法によって製造することができる。かくして、それらは、EP 307177、EP 248279、WO 0078773、WO 9742204に記載されている方法に従って製造することができる。
【0131】
Aが−C(O)NH−、−NHC(O)−、−N(CH3)−CH2−または−CH2−N(CH3)−であり、R4またはR5がヒドロキシであるか、またはR4およびR5が介在する原子と一緒になって下記構造:
【化24】

を有する環状の基を形成し、R6が水素である式(II)で示される化合物は、公知化合物であるか、またはそれらは当該技術分野で知られている方法と類似の方法によって製造することができる。かくして、それらは、EP 508699、J.Chem. Res.Synop (1988 pages 152-153)、および米国特許6262030(出典明示によりそれらの全体として本明細書の記載とする)に記載されている方法に従って製造することができる。
【0132】
Aが−C(=NR10)−であり、R4またはR5がヒドロキシであるか、またはR4およびR5が介在する原子と一緒になって下記構造:
【化25】

を有する環状の基を形成し、R6が水素である式(II)で示される化合物は、公知化合物であるか、またはそれらは当該技術分野で知られている方法と類似の方法によって製造することができる。かくして、それらは、EP 284203に記載されている方法に従って製造することができる。
【0133】
Aが−C(O)−であり、R4およびR5が介在する原子と一緒になって下記構造:
【化26】

を有する環状の基を形成し、R6が水素であり、R3がC1-4アルキルである式(II)で示される化合物は、式(XI)[式中、R35はヒドロキシ保護基である]で示される化合物の脱カルボキシル化、次いで、必要に応じて、保護基R2またはR35の除去により製造することができる。
【化27】

【0134】
該脱カルボキシル化は、塩化リチウムのようなリチウム塩の存在下で、好ましくは、ジメチルスルホキシドのような有機溶媒中にて、行うことができる。
【0135】
Aが−C(O)−であり、R4およびR5が介在する原子と一緒になって下記構造:
【化28】

を有する環状の基を形成し、R3がC1-4アルキルである式(II)で示される化合物は、WO 02/50091およびWO 02/50092に記載されている方法に従って製造することができる。
【0136】
本明細書中にて以下の略語を使用する:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンについてはDBU、ジクロロメタンについてはDCM、4−ジメチルアミノピリジンについてはDMAP、N,N−ジメチルホルムアミドについてはDMF、ジメチルスルホキシドについてはDMSO、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩についてはEDC.HCl、酢酸エチルについてはEtOAc、カリウムtert−ブトキシドについてはKOtBu、メタノールについてはMeOH、トリエチルアミンについてはTEA、1,1'−カルボニルジイミダゾールについては1,1'−CDI、テトラヒドロフランについてはTHF。
【0137】
本発明をより十分に理解することができるように、単なる例示として下記実施例を記載する。
【実施例】
【0138】
2−O−アセチル−6−O−メチル−エリスロマイシンAは、W. R. Baker et al. in J. Org. Chem. 1988, 53, 2340に記載されている方法によって製造することができ、2−O−アセチル−アジスロマイシンおよび2−O−アセチル−アジスロマイシン−11,12−炭酸エステルは、S. Djokic et al. in J. Chem. Res.(S)1988, 152に記載されている方法によって製造することができ、11−O−メチル−アジスロマイシンは、G.Kobrehel et al. in J. Antibiotics 45;1992, 527-532に記載されている方法によって製造することができる。9(E)−エトキシイミノ−エリスロマイシンAは、EP 1 167 375に記載されている方法によって製造することができる。1,4−ジヒドロ−6−ヨード−4−オキソ−キノリン−3−カルボン酸エチルエステルは、WO 99/32450に記載されている方法によって製造することができる。本明細書に含まれる全ての文献は出典明示によりその全体として本明細書の記載とする。
【0139】
中間体1:
7−{2−[2−(2−カルボキシ−エトキシ)−エトキシ]−エチルアミノ}−1,2,3,6−テトラヒドロ−6−オキソ−[1,3]−オキサジノ−[3,2a]−キノリン−5−カルボン酸
【化29】

【0140】
a)3−(2,4−ジクロロフェニル)−3−オキソ−プロピオン酸エチルエステル
中間体1aの合成は、2,4−ジクロロアセトフェノン、炭酸ジエチル(25当量)およびNaH(2当量)から出発して、標準的な方法によって80℃で60分間行った。
MS(ES+)m/z:[MH]+=262
【0141】
b)2−[ビス(メチルチオ)メチレン]−3−(2,4−ジクロロフェニル)−3−オキソ−プロピオン酸エチルエステル
中間体1a(15,7g)およびCs2CO3(2.5当量)のTHF(230mL)中混合物にCS2(4.6当量)を−10℃で撹拌しながら添加した。5分後、CH3I(2.5当量)を一度に添加し、反応物を室温で一夜撹拌した。該反応物をエーテル(50mL)で希釈し、濾過した。濾液を真空濃縮した。
MS(ES+)m/z:[MH]+=366
【0142】
c)7−クロロ−1,2,3,6−テトラヒドロ−6−オキソ−[1,3]オキサジノ[3,2a]キノリン−5−カルボン酸エチルエステル
中間体1b(18,08g)、3−アミノ−1−プロパノール(1.2当量)およびK2CO3(2.4当量)のジオキサン(500mL)中混合物を室温で1時間撹拌し、一夜還流した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下にて濃縮乾固した。粗製生成物をMeOHから沈殿させて、標記化合物を得た(2.6g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=308
【0143】
d)7−クロロ−1,2,3,6−テトラヒドロ−6−オキソ−[1,3]オキサジノ[3,2a]キノリン−5−カルボン酸
中間体1c(1.4g)のTHF(15mL)中溶液にNaOH(4.6当量)の水(15mL)中溶液を添加し、反応混合物を80℃で一夜撹拌した。THFを蒸発させ、HCl(0.6M)を添加してpH値を約4にし、DCM 10mLで3回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、DCMを減圧下で蒸発させ、標記化合物を得た(1.16g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=280
【0144】
e)7−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルアミノ]−1,2,3,6−テトラヒドロ−6−オキソ−[1,3]オキサジノ[3,2a]−キノリン−5−カルボン酸
中間体1d(1g)をメチル−ピロリドン5mLで希釈し、2−(2−アミノエトキシ)エタノール1.8mL(5当量)を添加し、110℃で24時間撹拌した。反応混合物にEtOAcを添加し、pHを6に調整し、H2O 15mLで3回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、EtOAcを減圧下で蒸発させ、標記化合物(600mg)を得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=349
【0145】
f)7−{2−[2−(3−アミノ−プロポキシ)−エトキシ]−エチルアミノ}−1,2,3,6−テトラヒドロ−6−オキソ−[1,3]−オキサジノ−[3,2a]−キノリン−5−カルボン酸
中間体1e(600mg)をC33N 7,4mLで希釈し、DBU 0.515mLを添加し、混合物を80℃で24時間撹拌した。C33Nを減圧下で蒸発させ、残留物をEtOAcに溶解し、pHを3に調整し、H2O 15mLで3回抽出した。EtOAcを減圧下で蒸発させて、シアノ誘導体650mgを得た。中間体7の方法に従って、シアノ基をアミノ基に還元して、標記化合物を得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=406
【0146】
中間体2
1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−クロロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−(2−ニトロアセチル)
【化30】

7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(1g、3,55mmol)および1,1−カルボニルジイミダゾール(2,88g、17,75mmol)のCCl3 15ml中混合物を一夜加熱還流させた。混合物を冷却し、溶媒を減圧除去した。残留物に少量のジエチルエーテルを添加し、得られた固体を濾過により収集し、ジエチルエーテルで洗浄して、イミダゾリド中間体を定量的な収率で得た。
NaH(0,26g、0,0108mol、60%分散油状物)およびニトロメタン(0,58ml、0,0108mol)の無水THF 20ml中混合物にイミダゾリド中間体(0,9g、0,289mmol)の無水THF 20ml中溶液を滴下し、18時間加熱還流させた。該混合物を冷却し、H2O 20mlをゆっくりと添加し、HClにより中和し、次いで、CH2Cl2で抽出した。有機層をH2Oおよびブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、蒸発させた。生成物を沈殿させ、濾過して標記化合物0,4gを得た。(LC−MSによると純度90,6%の化合物)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=325.1
【0147】
中間体3
1−シクロプロピル−6,7−ジフルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−(2−ニトロアセチル)
【化31】

1−シクロプロピル−6,7−ジフルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(1g、3,38mmol)および1,1−カルボニルジイミダゾール(2,19g、13,54mmol)のCCl3 15ml中混合物を一夜加熱還流させた。該混合物を冷却し、溶媒を減圧除去した。残留物に少量のジエチルエーテルを添加し、得られた固体を濾過により収集し、ジエチルエーテルで洗浄して、イミダゾリド中間体を定量的な収率で得た。
NaH(0,28g、0,0116mmol、60%分散油状物)およびニトロメタン(0,62ml、0,01158mol)の無水THF 20ml中混合物にイミダゾリド中間体(1g、2,89mmol)の無水THF 20ml中溶液を滴下し、18時間加熱還流させた。該混合物を冷却し、H2O 20mlをゆっくりと添加し、HClにより中和し、次いで、CH2Cl2で抽出した。有機層をH2Oおよびブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、蒸発させた。生成物を沈殿させ、濾過して、標記生成物0,56gを得た。(LC−MSによると純度93,46%の化合物)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=339.1
【0148】
中間体4
7−[2−(2−シアノ−エトキシ)−エチルアミノ]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−(2−ニトロアセチル)
【化32】

中間体3(250mg)のDMSO(15ml)中溶液にエタノールアミン(0,425ml)を添加し、該反応混合物を90℃で1,5時間撹拌した。混合物のpH値を4.5に調整し、生成物を沈殿させた。濾過後、1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−(2−ニトロアセチル) 190mgを得た。1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−(2−ニトロアセチル)(180mg)のアクリロニトリルおよびDBU中溶液を80℃でN2下にて5時間撹拌した。CH3CNを減圧下で蒸発させて、油状の標記生成物を得た。
【0149】
中間体5
6−[3−ピペラジン−1−イル)−プロピル]−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル
【化33】

【0150】
a)4−プロパ−2−イニル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1,0g、5,37mmol)のアセトニトリル(10ml)中脱ガス溶液にNa2CO3(1,708g、16,11mmol)を添加し、混合物を20分間撹拌した。懸濁液を50℃に加熱し、3−ブロモ−プロピン(0.9mL、8,055mmol)を添加した。溶媒を蒸発させ、残留物をEt−Acおよび水(2×50mL)で抽出した。有機層をNaClおよびNaHCO3(2×50ml)で洗浄した。有機層をK2CO3で乾燥させ、真空蒸発させて油状の標記中間体(0,70g)を得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=225.1
【0151】
b)6−[3−(4−tert−ブトキシカルビニル−ピペラジン−1−イル)−プロパ−1−イニル]−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル
1−エチル−6−ヨード−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル(0,7g、3,125mmol)、ヨウ化銅(I)(42,47mg、0,223mmol)およびトリエチルアミン(10,809mL、78,05mmol)を乾燥アセトニトリル(20ml)に懸濁した。該懸濁液を50℃に加熱し、N2を通気した。20分後、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(46,96mg、0,0669mmol)および中間体5a(0,7g、3,125mmol)を添加し、暗赤色の懸濁液を50℃で3時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物をEtOAcおよび水(2×50mL)で抽出した。有機層をNaClおよびNaHCO3(2×50mL)で洗浄し、K2CO3で乾燥させ、真空蒸発させて、油状赤色の標記生成物(1,24g)を得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=468.3
【0152】
c)6−[3−ピペラジン−1−イル)−プロピル]−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル
中間体5b(1,2g、2,57mmol)のDCM(1,2mL)中溶液にCF3COOH(1,2mL)を添加し、混合物を室温で48時間撹拌した。該反応混合物に水を添加し(pH=1,2)、層を分取した(pH=9,6)。有機層をK2CO3で乾燥させ、真空蒸発させて、油状赤色の標記生成物(1,7g)を得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=368.3
【0153】
中間体6
1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルアミノ]−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(A)および
7−クロロ−1−シクロプロピル−6−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルアミノ]−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(B)
【化34】

7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(10g、0,035mol)の1−メチル−2−ピロリドン(70mL)中混合物に2−(2−アミノ−エトキシ)−エタノール(18mL、0,18mol、5当量)を添加し、反応混合物を110℃で24時間撹拌した。次いで、水(200mL)およびCH2Cl2(60mL)で希釈し、pHを10に調整した。水性層をCH2Cl2(5×50mL)で抽出し、次いで、pHを6,7に調整した。10分後、最初の生成物が沈殿した。濾過して、粗製7−クロロ−1−シクロプロピル−6−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルアミノ]−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸2,7gを得た。(LC−MSによると純度100%の中間体6B)。一夜たち、2番目の生成物が沈殿した。濾過して黄色生成物7,7gを得た(LC−MSによると比率1:1の中間体6Aおよび中間体6Bの混合物)。
【0154】
中間体7
6−{2−[2−(3−アミノ−プロポキシ)エトキシ]エチルアミノ}−1−シクロプロピル−7−クロロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(A)および
6−{2−[2−(3−アミノ−プロポキシ)エトキシ]エチルアミノ}−1−シクロプロピル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(B)
【化35】

中間体6B(2g、5.45mmol)をアクリロニトリル25mLで希釈し、DBU(2.0mL)を添加し、80℃で24時間撹拌した。アクリロニトリルを減圧下にて蒸発させ、残留物をDCMに溶解し、pHをpH3に調整し、H2O 20mLで3回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、DCMを減圧下で蒸発させて、6−{2−[2−(2−シアノ−エトキシ)エトキシ]エチルアミノ}−1−シクロプロピル−7−クロロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸1.9gを得た。
高圧反応窯に6−{2−[2−(2−シアノ−エトキシ)エトキシ]エチルアミノ}−1−シクロプロピル−7−クロロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(1.9g)、酢酸(96%)70mLおよびPtO2 0,63gの混合物を5.0バールのH2の圧力により充填し、24時間撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、酢酸を真空蒸発させた。粗製生成物をCH2Cl2−ジイソプロピルエーテルから沈殿させて、標記化合物を得た。LC−MSは、クロロ誘導体および脱クロロ誘導体の混合物を示した。
【0155】
中間体8
1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−クロロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−3−[(2−メタンスルホニル)アセチル]−キノリン
【化36】

1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−クロロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2g、0.0071mol)および1,1'−カルボニルジイミダゾール(5.76g、0.035mol)のCHCl3 15mL中混合物を17時間加熱還流させた。溶媒を減圧除去した。残留物にエーテルを添加し、次いで、室温で30分間撹拌した。固体を濾過し、乾燥させて、3−イミダゾリド誘導体1.64gを得た。イミダゾリド誘導体(1g、0.003mol)をアセトニトリル40mLに溶解し、次いで、メタンスルホニルアセトン(2g、0.015mol)およびK2CO3を添加し、混合物を21時間加熱還流させた。溶媒を減圧除去し、H2O 120mLを添加した。該溶液を2N HCl(pH約3)により酸性化し、EtOAcで抽出した。有機層を乾燥させ、濃縮して粗製固体生成物を得た。粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(DCM−EtOH−NH4OH=90:9:1.5)により精製して、純粋な生成物1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−クロロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−3−[(2−メタンスルホニル)アセチル]−キノリンを得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=358.1
1H NMR(500MHz,DMSO)88.58、8.37、8.13、5.22、3.78、3.13、1.31および1.16
【0156】
中間体9
9−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−1−オキソ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボン酸
【化37】

【0157】
a)9−ブロモ−1−オキソ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij] キノリン−2−カルボン酸エチルエステル
1−オキソ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボン酸エチルエステル(7.5g、29mmol)の氷酢酸(120mL)中溶液に臭素(1.6ml、32mmol)を添加した。該混合物を室温で一夜撹拌し、新たに臭素(1.6mL、32mmol)を添加した。24時間後、反応混合物をH2O 100mLで希釈し、pHを2.9に調整した。沈澱物を濾過し、乾燥させた。粗製生成物をCH2Cl2/ジイソプロピルエーテルから沈殿させ、真空乾燥器で乾燥させて、粗製標記生成物13.07gを得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=338.0
【0158】
b)9−(ベンズヒドリリデン−アミノ)−1−オキソ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボン酸エチルエステル
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(50mg、0.05mmol)、rac−2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル(100mg、0.16mmol)、中間体9a(3g、8.9mmol)およびベンゾフェノンイミン(1.2ml)をTHF(45ml)で希釈した。雰囲気の空気をN2と取り換え、Cs2CO3(2.5g)を添加した。該混合物を還流下にて撹拌した。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(50mg、0.05mmol)、rac−2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル(100mg、0.16mmol)、ベンゾフェノンイミン(1.2ml)およびCs2CO3(2.5g)を2.5時間ごとにさらに2回添加した。該混合物を還流下にて一夜撹拌し、次いで、室温に冷却し、濾過した。HPLC/MSは、生成物9bの存在を示した。
MS(ES+)m/z:[MH]+=437.3
【0159】
c)9−アミノ−1−オキソ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボン酸エチルエステル
沈澱物が現れるまで中間体9bの混合物に5%HClを滴下した。沈澱物を濾過し、真空乾燥器で乾燥させて粗製標記生成物2gを得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=273.2
13C−NMR(125MHz,DMSO)δ:13.81、19.90、25.57、51.37、59.24、108.39、115.66、124.99、128.06、129.06、129.91、130.51、133.95、147.54、163.98、171.63。
【0160】
d)9−(2−ベンジルオキシ−エチルアミノ)−1−オキソ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボン酸エチルエステル
中間体9c(200mg、0.73mmol)のMeOH(75mL)中溶液にベンジルオキシアセトアルデヒド(110mg、0.73mmol)、NaBH3CN(137mg、2.2mmol)およびAcOH(250μl)を添加した。反応混合物を20分間撹拌し、真空蒸発させた。油状生成物を系(CH2Cl2−(MeOH−NH4OH=9:1.5)=9:(1.5))でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物159mgを得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=407.2
【0161】
e)9−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−1−オキソ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボン酸
中間体9d(159mg、0.39mmol)のEtOH(41.6mL)中溶液にシクロヘキセン(12.8mL)および10%Pd/C(243mg)を添加した。該混合物を還流下にて一夜撹拌し、セライトで濾過し、真空蒸発させて、標記生成物80mgを得た。
【0162】
中間体10
6−{2−[2−(2−シアノ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−7−クロロ−1−シクロプロピル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノロン−3−カルボン酸
【化38】

ジエチレングリコール50mLおよびDMSO 50mLの混合物を製造し、70℃で加熱した。該混合物にKO−t−Bu 8gを滴下した。次いで、フルオロ−クロロキノロン酸5g(17.8mmol)を滴下した。温度を105℃に上昇させた。5時間後、H2O 25mLを添加し、混合物をDCM 20mLで2回抽出した。水層をpH4に調整した。得られた沈澱物を濾過し、減圧乾燥させて、7−クロロ−1−シクロプロピル−6−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エトキシ]−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノロン−3−カルボン酸500mgを得た。
7−クロロ−1−シクロプロピル−6−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エトキシ]−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノロン−3−カルボン酸(500mg)をアクリロニトリル12,5mLに溶解し、次いで、DBU 1mLを添加し、混合物を80℃で24時間撹拌した。アクリロニトリルを減圧下で蒸発させ、残留物を2−プロパノール300mLに溶解し、混合物のpHをpH3.5に調整した。12時間後、沈澱物を得、濾過し、水で洗浄した(pH 3.5)。
【0163】
中間体11
1−オキソ−9−(3−ピペラジン−1−イル)−プロパ−1−イニル)−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボン酸エチルエステル
【化39】

【0164】
a)4−プロパ−2−イニル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0,5g、2,69mmol)のアセトニトリル(5mL)中脱ガス溶液にNa2CO3(0,854g、8,05mmol)を添加し、混合物を20分間撹拌した。懸濁液を50℃に加熱し、3−ブロモ−プロピン(448,65μl、4,03mmol)を得た。溶媒を蒸発させ、残留物をEtOAcおよび水で抽出した。有機層をNaClおよびNaHCO3(2×20ml)で洗浄し、K2CO3で乾燥させ、真空蒸発させて、黄色がかった油状物として標記生成物0.45gを得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=247.2
【0165】
b)9−[3−(4−tert−ブトキシカルビニル−ピペラジン−1−イル)−プロパ−1−イニル]−1−オキソ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボン酸エチルエステル
中間体13(0,2g、0,524mmol)、ヨウ化銅(I)(9,98mg、0,0524mmol)およびトリエチルアミン(2,54ml、18,34mmol)を乾燥アセトニトリル(10mL)に懸濁した。懸濁液を50℃に加熱し、N2を通気した。20分後、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(11,03mg、0,0157mmol)および中間体11a(0,164g、0,733mmol)を添加し、暗赤色の懸濁液を50℃で3時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物をEtOAcおよび水(2×20ml)で抽出した。有機層をNaClおよびNaHCO3(2×20ml)で洗浄し、K2CO3で乾燥させ、真空蒸発させて、赤色油状物として標記生成物0,34gを得た。
【0166】
c)1−オキソ−9−(3−ピペラジン−1−イル)−プロパ−1−イニル)−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボン酸エチルエステル
中間体11b(0,34g、0,71mmol)のDCM(3,4mL)中溶液にCF3COOH(3,4mL)を添加し、該混合物を室温で48時間撹拌した。該反応混合物に水を添加し(pH1,2)、層を分取した(pH9,6)。有機層をK2CO3で乾燥させ、真空蒸発させて、赤色油状物として標記生成物0,22gを得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=380.2
【0167】
中間体12
10−アミノ−1−オキソ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボン酸エチルエステル
【化40】

【0168】
a)10−ニトロ−1−オキソ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボン酸エチルエステル
1−オキソ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボン酸エチルエステル(1.0g)を丸底フラスコに入れ、それにH2SO4/HNO3(1:1)の混合物を添加し、0℃で3時間撹拌した。反応混合物を氷上に注ぎ、沈澱物を濾過して、標記生成物900mgを得た(LC/MS:95%)。
【0169】
b)10−アミノ−1−オキソ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボン酸エチルエステル
中間体12a(900mg)を酢酸35mLで希釈し、この混合物に10%Pd/C 800mgを添加し、室温および30Baで15時間撹拌した。反応混合物を濾過して、結晶を除去し、次いで、酢酸を減圧下で蒸発させて、標記生成物700mgを得た。(LC/MS:95%)。
【0170】
中間体13
9−ヨード−1−オキソ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボン酸エチルエステル
【化41】

0℃に冷却したトリフルオロメタンスルホン酸(3mL、33.31mmol)に1−オキソ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボン酸エチルエステル(1.53g、5,95mmol)を添加し、該溶液にN−ヨードスクシンイミド(1.6g、714mmol)を添加した。該混合物を撹拌しながら0℃から室温に加温した。反応混合物を氷中に注ぎ、沈澱物を濾過して、標記生成物1gを得た(LC/MS:57%)。
【0171】
中間体14
6−アミノ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル
【化42】

【0172】
a)6−(ベンズヒドリリデン−アミノ)−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル
パイレックス管にナトリウムtert−ブトキシド(1.4mmol)、Pd2(dba)3(0.00125mmol)、およびBINAP(0.00375mmol)を入れた。該パイレックス管に隔壁を装着し、空気雰囲気をアルゴンと取り換えた後、トルエン(4mL)、1−エチル−6−ヨード−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル(1.0mmol)、およびベンゾフェノンイミン(1.2mmol)をシリンジにより添加した。反応を密閉し、GC分析によって判断されるように出発物質が消費されてしまうまで撹拌しながら80℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却し、エーテル(40mL)で希釈し、濾過し、濃縮した。次いで、粗製反応混合物をMeOHから再結晶して、所望の生成物を収率90%で得た。
【0173】
b)6−アミノ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル
【化43】

【0174】
方法A:ヒドロキシルアミンによるアミノ基転移
室温でのイミン付加化合物のMeOH(0.1M)中溶液にNaOAc(2.4当量)およびヒドロキシルアミン・塩酸塩(1.8当量)を添加した。オキシム形成は、15〜30分間のうちに大抵完了した。次いで、該溶液を0.1M NaOHとCH2Cl2との間で分配させた。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、真空濃縮した。生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【0175】
方法B:水素添加分解
イミン付加化合物の溶液、ギ酸アンモニウム(15当量)および5%Pd/C(10mol%)をMeOH(イミン中0.2M)中にて60℃に加熱した。2時間後、還元は大抵完了した。該溶液を室温に冷却し、CH2Cl2(MeOHの5倍容量)で希釈し、セライトのプラグに通した。有機溶液を0.1M NaOHで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、真空濃縮した。該生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【0176】
方法C:酸加水分解
イミン付加化合物のTHF(0.3M)中溶液に2.0M HCl水溶液(THFの5容量%)を添加した。5〜20分後、加水分解を完了し、反応混合物を0.5M HClとヘキサン/EtOAc(2:1)との間で分配させた。水性層を分取し、アルカリ性にした。生成物アニリンをCH2Cl2で抽出し、無水Na2SO4で乾燥させ、真空濃縮した。
【0177】
中間体15
[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化44】

ジオキサン(40mL)、H2O(20mL)およびNaOH(20mL;1M)の溶液に2−(2−アミノエトキシ)エタノールを添加した。反応混合物を0℃に冷却し、ジ炭酸ジ−t−Bu(4,8g)を添加した。該混合物を0℃で30分間撹拌し、次いで、撹拌を室温で2時間続けた。続く3時間の間にジ炭酸ジ−t−Bu 0,22gを2回添加した。該混合物を室温で一夜撹拌し、次いで、濃縮した(20〜30mL)。該溶液にEtOAc(60mL)を添加し、pHを2.5に調整した。水性層をEtOAc(3×20mL)で抽出した。有機層をH2O(3×30mL)で洗浄し、K2CO3で乾燥させ、真空蒸発させて、油状物として標記生成物3,7gを得た。
【0178】
中間体16:
7−クロロ−1−シクロプロピル−6−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(A)および
1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(B)
DMSO(5mL)およびエチレングリコール(6mL)の混合物にKOtBu(1.6g、14.23mmol)を10分間にわたって滴下し、次いで、90℃に加熱した。該混合物に7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(1.0g)を20分間にわたって滴下し、温度を105℃に上昇させ、混合物を6時間撹拌した。該反応溶液に水(30mL)を添加し、該溶液のpHをpH=5に調整した。得られた溶液を冷蔵庫中にて一夜放置した。得られた沈澱物を濾過し、冷水で洗浄し、乾燥させて、中間体16Aおよび中間体16Bの2:1混合物(1.0g)を得た。
該粗製生成物の一部(700mg)を加熱還流によりEtOH(15mL)に溶解した。得られた溶液を30℃に冷却し、最初の沈澱物が生じた。沈澱物を濾過し、冷EtOHで洗浄し、減圧乾燥させた。中間体16A(204mg)を白色固体として得た;
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:15.06(s,1H)、8.71(s,1H)、8.40(s,1H)、7.86(s,1H)、4.97(t,1H)、4.25(t,2H)、3.87(m,1H)、3.82(q,2H)、1.32(m,2H)、1.20(m,2H);13C−NMR(75MHz,DMSO−d6)δ:176.61、165.67、152.47、147.54、135.34、129.48、124.95、120.02、106.90、106.66、71.22、59.15、35.99、7.46;
【0179】
中間体17
7−クロロ−6−[2−(2−シアノ−エトキシ)−エトキシ]−1−シクロプロピル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
中間体16A(2g)のアクリロニトリル(40mL)中懸濁液にDBU(2.3mL)を添加した。反応混合物を80℃で24時間撹拌した。アクリロニトリルを減圧下で蒸発させた。残留物にイソプロパノール(30mL)を添加し、2M HClを添加することにより該溶液のpHをpH=5に調整し、その間に生成物が沈殿した。該沈澱物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、白色固体として中間体17(1.7g)を得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=377.0
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:8.68(s,1H)、8.38(s,1H)、7.84(s,1H)、4.38(t,2H)、3.91(t,2H)、3.86(m,1H)、3.75(t,2H)、2.79(t,2H)、1.32(m,2H)、1.20(m,2H);13C−NMR(75MHz,DMSO−d6)δ:176.63、165.65、152.18、147.61、135.50、129.44、124.97、120.04、119.11、106.96、106.80、69.02、68.30、65.49、35.99、18.06、7.46;
【0180】
中間体18
6−{2−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−エチルアミノ}−1−シクロプロピル−7−クロロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(A)および
7−{2−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−エチルアミノ}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(B)
【化45】

7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(5g、0.018mol)、2,2'−(エチレンジオキシ)ビス−(エチルアミン)(26mL、0.18mol、10当量)の1−メチル−2−ピロリドン中混合物を110℃で24時間加熱した。反応混合物を水(70mL)で希釈し、pHを11に調整し、CH2Cl2(9×40mL)で抽出した。次いで、H2SO4を用いて水層をpH6.8に酸性化し、CH2Cl2(50mL)で抽出し、蒸発させた。2−プロパノールを添加し(200mL)、82℃で30分間撹拌した。次いで、反応混合物を濾過し、2−プロパノールを真空蒸発させて、油状生成物8gを得た(LC−MSによるとクロロ誘導体(A)50%およびフルオロ誘導体30%)。生成物をカラムクロマトグラフィー(溶離液:CH2Cl2−2−プロパノール=1:1)により精製して、純粋なクロロ誘導体(A)を得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=409.9(A)
MS(ES+)m/z:[MH]+=393.4(B)
【0181】
中間体19
3−(2−tert−ブトキシカルボニルエチル)−イミダゾリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化46】

【0182】
a)3−[2−(tert−ブトキシカルボニルメチル−アミノ)−エチルアミノ]−プロピオン酸tert−ブチルエステル
(2−アミノ−エチルアミノ)−酢酸tert−ブチルエステル(1,0mL、6.32mmol)のi−PrOH(50mL)中溶液にアクリル酸tert−ブチルエステル(309.1μL、2.11mmol)を添加した。懸濁液を60℃で48時間加熱した。溶媒を蒸発させ、生成物をカラムクロマトグラフィー(DCM−MeOH−NH3=90:3:0.5)により精製して、無色油状物として標記生成物を得た(0,45mg)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=289.2
【0183】
b)3−(2−tert−ブトキシカルボニルエチル)−イミダゾリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間体19a(0.45mg、1.56mmol)のクロロホルム(20mL)中溶液にHCOOH(0.218mL、5,78mmol)およびHCHO(0.24mL、8.69mmol)を添加し、室温で2時間撹拌した。該反応混合物に水を添加し(pH1.3)、層を分取した(pH2.5)。有機層をK2CO3で乾燥させ、真空蒸発させて、油状の無色生成物034gを得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=301.2
【0184】
中間体20
6−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エチルアミノ]−7−クロロ−1−シクロプロピル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(A)および
7−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エチルアミノ]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(B)
【化47】

7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(0.55g、1.95mmol)の1−メチル−2−ピロリドン(40mL)中溶液にビス−(2−アミノエチル)−エーテル・二塩酸塩(2.1g、11.9mmol、6当量)およびDBU(3.49mL、23.4mmol、12当量)を添加し、反応混合物を110℃で18時間撹拌した。次いで、反応混合物を水(70mL)で希釈し、pHを11に調整し、CH2Cl2(9×40mL)で抽出した。次いで、H2SO4を用いて水層をpH6.8に酸性化し、CH2Cl2 50mLで抽出し、次いで、真空蒸発させた。粗製生成物を2−プロパノール(60mL)で希釈し、82℃で20分間撹拌し、濾過した。沈澱物は純粋な塩であった(Na2SO4)。2−プロパノールを真空蒸発させ、生成物をカラムクロマトグラフィー(フラクション、溶離液:CH2Cl2−MeOH−NH3−CH3CN=4:4:2:1)により精製して、比率3:1のクロロ誘導体およびフルオロ誘導体の混合物として標記化合物0.5gを得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=365.8(A)(75%)
MS(ES+)m/z:[MH]+=349.4(B)(25%)
【0185】
中間体21
2'−O−アセチル−4”−O−(1−イミダゾリル−カルボニル)−アジスロマイシン
【化48】

2'−OAc−アジスロマイシン5gの乾燥トルエン(75mL)中溶液に、Et3N 2mLおよび1,1'−CDI 1.12g(1.1当量)を添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌し、次いで、さらに1,1'−CDI 1.12gを添加し、反応混合物を室温でさらに24時間撹拌した。反応混合物をNaHCO3飽和水溶液(2×35mL)で抽出し、水性層をトルエン(2×20mL)で洗浄した。合わせた有機層をK2CO3で乾燥させ、真空蒸発させて、標記化合物5.6gを得た。
【0186】
中間体22
2'−O−アセチル−4”−O−(1−イミダゾリル−カルボニル)−6−O−メチル−エリスロマイシンA
【化49】

2'−O−アセチル−6−O−メチル−エリスロマイシンA(4g)の乾燥トルエン(70mL)中溶液にK2CO3(2.09g)および1,1'−CDIを添加し、反応混合物をN2雰囲気下にて室温で24時間撹拌した。反応混合物をNaHCO3水溶液(2×35mL)で洗浄し、水層をトルエン(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層をK2CO3で乾燥させ、真空下にて蒸発させて標記化合物5.1gを得た。
【0187】
中間体23
6−[3−(2−アミノ−エトキシ)−プロパ−1−イニル]−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸・トリフルオロ酢酸塩
【化50】

【0188】
a)(2−ヒドロキシ−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
エタノールアミン(1.96mL、32.7mmol)のジオキサン(40mL)および水(20mL)中撹拌溶液にNaHCO3の飽和溶液(20mL)を添加した。該溶液を氷浴で冷却し、ジ炭酸ジ−t−ブチル(8.0g)を滴下した。1時間後、TLCは、出発物質が存在しないことを示した。EtOAc(50mL)および水(20mL)を添加し、有機層を分取し、蒸発させて、油状の標記化合物4.20gを得た。
【0189】
b)(2−プロパ−2−イニルオキシ−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
室温での中間体23a(1.16g)のTHF(30mL)中撹拌溶液にヨウ化t−ブチルアンモニウム(0.15g)、ヨウ化ナトリウム(0.15g)および臭化プロパルギル(トルエン中80%、1.20mL)を添加した。30分間の間にKOH(0.40g)を滴下し、該懸濁液を室温で24時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、EtOAc(30mL)および水(30mL)を添加し、有機層を10%Na225溶液で洗浄し、蒸発させて、標記化合物1.21gを得た。
【0190】
c)6−[3−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エトキシ)−プロパ−1−イニル]−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
1−エチル−6−ヨード−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(1.0g)のMeCN(20mL)中溶液にCuI(55mg)およびトリエチルアミン(14.06mL)を添加した。該混合物を室温で20分間撹拌した。Pd(PPh3)2Cl2(61mg)および中間体23b(0.70g)を添加し、混合物を50℃で4時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、EtOAc(30mL)および水(30mL)を添加し、有機層を水(30mL)およびブライン(30ml)で洗浄し、蒸発させて、標記化合物1.0gを得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=415.24
【0191】
d)6−[3−(2−アミノ−エトキシ)−プロパ−1−イニル]−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸・トリフルオロ酢酸塩
室温での中間体23c(0.42g)のMeCN(5mL)中溶液にトリフルオロ酢酸(0.386mL)を添加した。該溶液を室温で48時間撹拌し、蒸発させて、標記化合物0.80gを得た。
【0192】
中間体24
6−{3−[2−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エトキシ)−エトキシ]−プロパ−1−イニル}−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
【化51】

1−エチル−6−ヨード−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(2g、5,8mmol)をMeCN(25mL)で希釈した。CuI(0,11g、0,58mmol、0.1当量)およびEt3N(28,2ml、0,2mol、35当量)を添加し、反応混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、50℃に加熱した。ビス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)−クロリド(0,123g、0,17mmol、0,03当量)および[2−(2−プロパ−2−イニルオキシ)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(1,7g、6,9mmol、1,2当量)を添加し、反応混合物を50℃でさらに4時間撹拌した。触媒を濾過し、アセトニトリルを真空蒸発させた。生成物をEtOAc(50mL)で希釈し、水(50mL)で抽出した。水層をEtOAc 100mLで2回抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、K2CO3で乾燥させ、真空蒸発させて、油状の標記化合物3gを得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=459
【0193】
中間体25
6−{3−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−プロパ−1−イニル}−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸
【化52】

中間体24(3g、6,5mmol)をCH2Cl2(50mL)で希釈した。CF3COOH(3mL、39mmol、6当量)を添加し、反応混合物を室温で24時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させて、油状生成物4gを得、それを精製せずに使用した。
MS(ES+)m/z:[MH]+=359
【0194】
中間体26
2'−O−アセチル−4”−O−(1−イミダゾリル−カルボニル)−9−エチルオキシイミノ−6−O−メチル−エリスロマイシンA
【化53】

中間体22の方法を使用し、2'−O−アセチル−9−エチルオキシイミノ−6−O−メチル−エリスロマイシンA(900mg、1.08mmol)および1,1'−CDI(193mg、1.1当量)から出発して標記化合物を製造した(900mg)。
【0195】
中間体27
4”−O−(1−イミダゾリル−カルボニル)−6−O−メチル−エリスロマイシンA
テトラヒドロフラン(100mL)中の6−O−メチル−エリスロマイシンA(30g、40.1mmol)を氷浴で冷却しながら1,1'−カルボニルジイミダゾール(16g、97mmol)で処理した。1時間後、冷却浴を取り外した。さらに48時間後、テトラヒドロフラン(100mL)および水(200mL)を添加し、標記化合物のゆっくりとした沈殿が生じ、それを濾過により収集し、乾燥させて、標記化合物(24.7g)を得た。母液をエーテルで抽出して、さらに物質8.5gを得、水を含むテトラヒドロフラン溶液からそれを沈殿させ、さらに標記化合物を得た(3.92g、合計28.64g);ESMS m/z842.7 [M+H]+
【0196】
中間体28
6−[2−({2−[(2−アミノエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−3−キノリンカルボン酸・塩酸塩
【化54】

【0197】
a)1−エチル−6−[2−({2−[(2−ヒドロキシエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−3−キノリンカルボン酸エチルエステル
1,4−ジヒドロ−6−ヨード−4−オキソ−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル(8.55g、23.0mmol)、トリエチルアミン(4.82mL、34.6mmol)、および2−{[2−(エテニルオキシ)エチル]オキシ}エタノール(6.29mL、46.1mmol)のトルエン(25mL)中撹拌混合物に10%パラジウム−炭(0.245g)を添加し、混合物を100℃に加熱した。3時間後、溶媒を真空除去して残留物を得、それを酢酸エチルに溶解し、セライトで濾過した。濾液をリン酸二水素ナトリウムの水溶液で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮して、茶色の油状物として1−エチル−6−[2−({2−[(2−ヒドロキシエチル)オキシ]エチル}オキシ)エテニル]−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−3−キノリンカルボン酸エチルエステルを含有する混合物を得た(12.13g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=376.3
この物質の酢酸エチル(50mL)およびジクロロメタン(100mL)中溶液を大気圧にて10%パラジウム−炭(2g)で水素添加し、反応の経過の間にさらに10%Pd/C(5g)を添加した。72時間後、触媒を濾過により除去し、濾液を真空濃縮して残留物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン中0〜7%メタノール性アンモニア[2M])により精製して、混合物(4.21g)を得、それをジクロロメタン(140mL)に溶解し、大気圧にて10%Pd/C(2g)で14時間水素添加した。次いで、さらに10%Pd/C(2.6g)を添加し、混合物を45p.s.i.にて29時間水素添加した。次いで、該混合物を濾過し、真空濃縮して残留物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン中0〜6%メタノール性アンモニア[2M])により精製して混合物を得、それを酢酸エチルに溶解し、リン酸二水素ナトリウムの水溶液で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮して黄色/茶色の油状物として標記化合物を得た(2.15g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=378.2。
【0198】
b)6−(10,10−ジオキシド−3,6,9−トリオキサ−10−チアウンデカ−1−イル)−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−3−キノリンカルボン酸エチルエステル
0℃での中間体28a(1.58g、4.17mmol)のジクロロメタン(30mL)中溶液をトリエチルアミン(0.99mL、7.10mmol)で処理し、次いで、メタンスルホニルクロリド(0.42mL、5.43mmol)で処理し、混合物を2時間撹拌した。次いで、炭酸水素ナトリウム飽和溶液(20mL)を添加し、有機溶媒を真空除去した。炭酸ナトリウムの飽和溶液の添加により、該水性混合物をpH11に調整し、次いで、酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮して、薄黄色のガム状物として標記化合物を得た(2.04g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=456.3。
【0199】
c)6−[2−({2−[(2−アジドエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−3−キノリンカルボン酸エチルエステル
中間体28b(1.90g、4.17mmol)のジクロロメタン(20mL)中溶液をアジ化1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(1.95g、12.3mmol)で処理し、室温で21時間撹拌し、次いで、還流させながら27時間撹拌した。さらにアジ化1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(0.30g、1.90mmol)を添加し、混合物を還流させながらさらに8時間加熱した。該混合物を真空濃縮して残留物を得、それを酢酸エチルに溶解し、水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮して残留物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン中0〜6%メタノール性アンモニア[2M])により精製して、無色のガム状物として標記化合物を得た(1.49g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=403.3。
【0200】
d)6−[2−({2−[(2−アジドエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−3−キノリンカルボン酸
中間体28c(1.47g、3.64mmol)の1,4−ジオキサン(20mL)中溶液を2N水酸化ナトリウム水溶液(3.64mL)で処理した。20時間後、混合物を真空濃縮して残留物を得、それを水に溶解し、過剰の固体二酸化炭素で処理した。得られた沈澱物を濾過により取り出し、真空乾燥させて、クリーム色の固体として標記化合物を得た(1.09g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=375.2。
【0201】
e)6−[2−({2−[(2−アミノエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−3−キノリンカルボン酸・塩酸塩
中間体28d(1.07g、2.87mmol)のテトラヒドロフラン(30mL)中溶液をトリフェニルホスフィン(1.50g、5.73mmol)で処理し、20分間撹拌した。水(2mL)を添加し、撹拌を21時間続けた。次いで、溶媒を真空除去して残留物を得、それを塩酸(2N)に溶解し、酢酸エチルで洗浄した。水溶液を真空濃縮して残留物を得、それを水に溶解し、該溶液を凍結乾燥させて、クリーム色の固体として標記化合物を得た(0.63g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=349.3。
【0202】
中間体29:
6−{[2−({2−[(2−アミノエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−3−キノリンカルボン酸・ギ酸塩
【化55】

【0203】
a)4−オキソ−6−[(フェニルメチル)オキシ]−1,4−ジヒドロ−3−キノリンカルボン酸エチル
p−ベンジルオキシアニリン・塩酸塩(25g)を1M NaOH(120mL)およびジエチルエーテル(200mL)と一緒に振盪した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させて固体(21.3g)を得た。ディーン・スターク・コンデンサーを使用してこの物質をマロン酸エトキシメチレン(27.9g)と一緒に130℃で1.5時間加熱した。Dowtherm(100mL)を添加し、ディーン・スターク・コンデンサーを使用して混合物を250℃に70分間加熱した。該混合物を冷却し、石油エーテル(沸点60〜80℃)で処理して、茶色の固体を沈殿した。これをジクロロメタンでスラリー化し、薄黄色固体を濾過し、乾燥させて、標記化合物(11.06g)を得た。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:1.28(3H,t,J=7.2Hz)、4.21(2H,q,J=7.2Hz)、5.21(2H,s)、7.3(1H,m)、7.4(3H,m)、7.4(2H,m)、7.59(1H,d,J=8.8Hz)、7.66(1H,d,J=2.8Hz)、8.49(1H、s)および12.3(1H,br)。
【0204】
b)1−エチル−4−オキソ−6−[(フェニルメチル)オキシ]−1,4−ジヒドロ−3−キノリンカルボン酸エチル
DMF(100mL)中の中間体29a(11.0g)および炭酸カリウム(7.14g)をヨウ化エチル(10.88mL)で処理した。該混合物をアルゴン下で撹拌し、60℃に加熱した。2.5時間後、混合物を冷却し、濾過した。濾液を蒸発させて体積を減少させ、酢酸エチルを添加した。不溶性固体を水で洗浄し、次いで、ジクロロメタン(200mL)に溶解し、さらに水で洗浄した。乾燥(MgSO4)および蒸発の後、標記化合物を黄色固体として得た(9.0g)。酢酸エチル可溶性物質をクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル[沸点40〜60℃]中0〜40%酢酸エチル)により精製して、さらに標記化合物2.5gを得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.43(3H,t,J=7.0Hz)、1.54(3H,t,J=7.2Hz)、4.25(2H,q,J=7.2Hz)、4.41(2H,q,J=7.0Hz)、5.19(2H,s)、7.4(7H,m)、8.08(1H,d,J=2.8Hz)and 8.46(1H,s)。
【0205】
c)1−エチル−4−オキソ−6−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロ−3−キノリンカルボン酸エチル
エタノール(500mL)に懸濁した中間体29b(10.0g)を10%パラジウム−炭(50%水性ペースト2.5g)で16時間水素添加した。得られた混合物を濾過し、不溶性物質をジクロロメタン/メタノール(4:1)(2×250mL)で抽出した。合わせた濾液を蒸発乾固させ、ジクロロメタンでスラリー化して、白色固体として標記化合物を得た(4.9g)。
1H−NMR(400MHz,CDCl3+CD3OD)δ:1.41(3H,t,J=7.1Hz)、1.56(3H,t,J=7.2Hz)、4.4(4H,m)、7.31(1H,dd,J=2.9,9.1Hz)、7.57(1H,d,J=9.1Hz)、7.81(1H,d,J=2.9Hz)および8.58(1H,s)。
【0206】
d)1−エチル−6−{[2−({2−[(2−ヒドロキシエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチル
中間体29c(1.00g、3.8mmol)、トリエチレングリコール(2.55mL、19.1mmol)、およびトリフェニルホスフィン(1.30g、5.0mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)中撹拌溶液をアルゴン下にて氷浴中で冷却した。アゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.98mL、5.0mmol)を添加し、混合物を室温に加温した。19時間後および再度23時間後にさらにトリフェニルホスフィン(0.70g、2.7mmol)およびアゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.5mL、2.5mmol)を添加した。撹拌をさらに1.5時間続け、次いで、混合物を真空濃縮して残留物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン中0〜8%メタノール)により精製した。得られた残留物をさらにフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル中0〜20%メタノール)により精製して、薄黄色油状物として標記化合物を得た(0.57g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=394.1。
【0207】
e)1−エチル−6−[2−({2−[(2−アミノエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−3−キノリンカルボン酸・ギ酸塩
0℃での中間体29d(0.91g、2.31mmol)のジクロロメタン(20mL)中撹拌溶液をトリエチルアミン(0.62mL、4.48mmol)で処理し、次いで、メタンスルホニルクロリド(0.23mL、3.01mmol)で処理した。1時間後、アジ化1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(1.08g、6.84mmol)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。該混合物を還流させながら115時間加熱し、その間にさらにアジ化1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(0.52g、3.27mmol)を添加した。次いで、該混合物を真空濃縮して残留物を得、それを酢酸エチルに溶解し、水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮して残留物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン中0〜7%メタノール)により精製して、黄色油状物として1−エチル−6−{[2−({2−[(2−クロロエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチルおよび1−エチル−6−{[2−({2−[(2−アジドエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチルの混合物を得た(0.80g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=419.2。
この物質(0.78g)の1,4−ジオキサン(20mL)中溶液を2N水酸化ナトリウム水溶液(2.80mL)で処理した。22時間後、混合物を真空濃縮して残留物を得、それを水に溶解し、ジエチルエーテルで洗浄した。次いで、水溶液を過剰の固体二酸化炭素で処理し、得られた沈澱物を濾過により取り出し、真空乾燥させて、白色固体として1−エチル−6−{[2−({2−[(2−クロロエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸および1−エチル−6−{[2−({2−[(2−アジドエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸の混合物を得た(0.540g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=391.2。
この物質(0.271g)のテトラヒドロフラン(12mL)中溶液をトリフェニルホスフィン(0.364g、1.39mmol)で処理し、次いで、水(1mL)で処理し、30分間撹拌した。該混合物を40℃に70時間加熱し、次いで、水(1mL)を添加した。40℃でさらに28時間撹拌した後、溶媒を真空除去して残留物を得、それを酢酸エチルに懸濁した。得られた沈澱物を濾過により取り出し、真空乾燥させて残留物を得、それを分取逆相HPLC(MeCN/H2O/0.1%HCO2H)により精製して、白色固体として標記化合物を得た(0.081g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=365.3。
【0208】
中間体30:
7−{[2−({2−[(2−アミノエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−3−キノリンカルボン酸
【化56】

【0209】
a)7−ベンジルオキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチル
7−ベンジルオキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチル(0.97g、3mmol)および炭酸カリウム(0.56g、4mmol)のDMF中混合物をアルゴン下にて50℃で1時間撹拌し、次いで、ヨードエタン(0.9g、12mmol)を添加した。50℃でさらに14時間撹拌した後、混合物を冷却し、DMFを蒸発させた。残留物を水で処理し、氷中にて冷却した。得られた結晶生成物を濾過し、一夜真空乾燥させて、白色粉末として標記化合物を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ: 1.42(3H,t,J=7.2Hz)、1.45(3H,t,J=7.2Hz)、4.14(2H,q,J=7.2Hz)、4.39(2H,q,J=7.1Hz)、5.20(2H,s)、6.86(1H,d,J=2.2Hz)、7.11(1H,dd,J=9.0 & 2.2Hz)、7.3−7.5(5H,m)、8.42(1H,s)、8.47(1H,d,J=9.0Hz)。
【0210】
b)1−エチル−7−ヒドロキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチル
中間体30a(1.0g、2.8mmol)のメタノール(10mL)中溶液を10% パラジウム−炭(0.05g)の存在下にて1気圧および室温で水素添加した。14時間後、さらに触媒0.05gを添加した。さらに24時間後、混合物を濾過し、メタノールを蒸発させて、薄黄色固体として標記化合物を得た。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:1.28(3H,t,J=7.1Hz)、1.36(3H,t,J=7.1Hz)、4.20(2H,q,J=7.1Hz)、4.28(2H,q,J=7.1Hz)、6.92(1H,dd,J=8.8 & 2.1Hz)、6.97(1H,d,J=2.1Hz)、8.08(1H,d,J=8.8Hz)、8.57(1H,s)、10.52(1H、br.s)。
【0211】
c)1−エチル−7−{[2−({2−[(2−ヒドロキシエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチル
中間体30b(0.97g、3.7mmol)、トリエチレングリコール(2.47mL、18.5mmol)、およびトリフェニルホスフィン(1.26g、4.8mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)中撹拌溶液をアルゴン下にて氷浴中で冷却した。アゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.90mL、4.6mmol)を添加し、混合物を室温に加温した。22.5時間撹拌した後、混合物を濾過し、沈澱物をジエチルエーテルで洗浄した。濾液を真空濃縮して、白色固体として標記化合物を得た(0.92g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=394.1。
【0212】
d)7−{[2−({2−[(2−アミノエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−3−キノリンカルボン酸
0℃での中間体30c(0.90g、2.27mmol)のジクロロメタン(20mL)中撹拌溶液をトリエチルアミン(0.54mL、3.86mmol)で処理し、次いで、メタンスルホニルクロリド(0.23mL、2.96mmol)で処理した。2.5時間後、アジ化1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(1.07g、6.74mmol)を添加し、混合物を室温で19時間撹拌し、次いで、還流させながら72時間撹拌した。さらにアジ化1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(0.18g、1.14mmol)を添加し、混合物を還流させながらさらに21時間加熱した。該混合物を真空濃縮して残留物を得、それを酢酸エチルに溶解し、水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮して残留物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン中0〜8%メタノール)により精製して、油状物として1−エチル−7−{[2−({2−[(2−クロロエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチルおよび1−エチル−7−{[2−({2−[(2−アジドエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸エチルの混合物を得た(0.772g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=419.1。
この物質(0.732g)の1,4−ジオキサン(20mL)中溶液を2N水酸化ナトリウム水溶液(2.62mL)で処理した。18時間後、混合物を真空濃縮して残留物を得、それを水に溶解し、ジエチルエーテルで抽出し、次いで、水溶液を過剰の固体二酸化炭素で処理した。得られた沈澱物を濾過により取り出し、真空乾燥させて、白色固体として1−エチル−7−{[2−({2−[(2−クロロエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸および1−エチル−7−{[2−({2−[(2−アジドエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸の混合物を得た(0.573g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=391.0。
この物質(0.284g)のテトラヒドロフラン(12mL)中溶液をトリフェニルホスフィン(0.382g、1.45mmol)で処理し、次いで、水(1mL)で処理し、4時間撹拌した。次いで、該混合物を40℃に加熱し、撹拌をさらに114時間続けた。次いで、溶媒を真空除去して残留物を得、それを酢酸エチルに懸濁させた。得られた沈澱物を濾去し、真空乾燥させて、白色固体として標記化合物を得た(0.151g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=365.1。
【0213】
実施例1
4”−O−2−{2−[2−(3−カルボキシ−7−クロロ−1−シクロプロピル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イルアミノ)−エトキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル−6−O−メチルエリスロマイシンA
【化57】

中間体18A(0.2g、0.49mmol)のDMF(15mL、4Å)溶液に中間体22(0.86g、0.98mmol、2当量)のDMF(25mL)中溶液を添加した。次いで、DBU(0.22ml、1.47mmol、3当量)を添加し、反応混合物を40℃で20時間撹拌した。反応混合物を水(100mL)で希釈し、EtOAc(3×40mL)で抽出した。有機層をブライン(2×30mL)で洗浄し、K2CO3で乾燥させ、真空蒸発させた。MeOH(70mL)を添加し、反応混合物を55℃で24時間撹拌した。MeOHを蒸発させて生成物を得、それをカラムクロマトグラフィー(溶離液:CH2Cl2−MeOH−NH3=90:9:1.5)により精製して、標記化合物0.223gを得た。
【0214】
実施例2
4”−O−2−{2−[2−(3−カルボキシ−7−クロロ−1−シクロプロピル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イルアミノ)−エトキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル−アジスロマイシン
【化58】

中間体18A(0,2g、0,49mmol)のDMF(10mL、4Å)溶液に中間体21(0.86g、0,98mmol、2当量)のDMF(10mL)中溶液を添加した。次いで、DBU(0.22mL、1.5mmol、3当量)を添加し、反応混合物を室温で20時間撹拌した。反応混合物を水(60mL)で希釈し、EtOAc(3×30mL)で抽出した。有機層をブライン(3×30mL)で洗浄し、K2CO3で乾燥させ、真空蒸発させた。MeOH(60mL)を添加し、反応混合物を55℃で24時間撹拌した。MeOHを蒸発させて生成物を得、それをEtOAc/n−ヘキサンから沈殿させ、次いで、カラムクロマトグラフィー(溶離液:CH2Cl2−MeOH−NH3=90:9:1.5)により精製して、標記生成物0.151gを得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=1183.8
【0215】
実施例3
4”−(2−{2−[3−(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イル)−プロパ−2−イニルオキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル)−アジスロマイシン
【化59】

中間体25(0,2g、0,55mmol)のDMF(20ml、4Å)溶液に中間体21(1g、1,1mmol、2当量)の溶液を添加した。次いで、DBU(0,33mL、2,22mmol、4当量)を添加し、反応混合物を40℃で24時間撹拌した。反応混合物を水(80mL)で希釈し、EtOAc(2×40mL)で抽出した。有機層を水(2×50mL)、ブライン(2×50mL)で洗浄し、K2CO3で乾燥させ、真空蒸発させた。MeOH(40mL)を添加し、反応混合物を55℃で24時間撹拌した。MeOHを蒸発させて生成物を得、それを最初にEtOAc/n−ヘキサンから2回沈殿させ、次いで、カラムクロマトグラフィー(spカラム、10g、溶離液:CH2Cl2−MeOH−NH3=90:9:1,5および90:15:1,5)により精製して、標記生成物0,04gを得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=1133.6
【0216】
実施例4
4”−(2−{2−[3−(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イル)−プロポキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル)−アジスロマイシン
【化60】

高圧反応釜に実施例3(35mg、0,031mmol)、EtOH(15mL)を入れ、Pd/C(18mg、10%)の存在下にて5バールのH2圧により24時間水素添加した。触媒を濾去し、生成物をCH2Cl2/EtOAc/n−ヘキサンから沈殿させて、白色生成物18mgを得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=1138.3
【0217】
実施例5
4”−(2−{2−[3−(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イル)−プロポキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル)−6−O−メチル−エリスロマイシンA
【化61】

【0218】
a)4”−(2−{2−[3−(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イル)−プロパ−2−イニルオキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル)−6−O−メチルエリスロマイシンA

中間体22(0.74g、0.84mmol)および中間体25(0.15g、0.42mmol)から出発して、実施例3の方法に従って標記化合物(0.21g)を得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=1132.3。
【0219】
b)4”−(2−{2−[3−(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イル)−プロポキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル)−6−O−メチル−エリスロマイシンA
実施例4の方法に従って、実施例5a(0.21g、0.185mmol)から出発して、標記化合物(0.20g)を得た。
MS(ES+)m/z:[MH]+=1136.4。
【0220】
実施例6
4”−O−(2−{2−[2−(3−カルボキシ−7−クロロ−1−シクロプロピル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イルアミノ)−エトキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル)−9−エチルオキシイミノ−6−O−メチル−エリスロマイシンA(A)、および
4”−O−(2−{2−[2−(3−カルボキシ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−7−イルアミノ)−エトキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル)−9−エチルオキシイミノ−6−O−メチル−エリスロマイシンA(B)
【化62】

実施例1の方法を使用して、中間体26(0.9g、0.98mmol)ならびに中間体18AおよびBの混合物(0.2g、0.49mmol)からクロロ標記化合物およびフルオロ標記化合物の混合物を得た(270mg)。
HPLC/MS(ES)m/z:[MH]+=1226.4(実施例6A)
[MH]+=1210.5(実施例6B)
カラムクロマトグラフィー(溶離液:DCM−MeOH−NH3=90:5:0.5)ににより標記化合物(A)70mgを得た。
【0221】
実施例7
4”−O−(3−{2−[2−(3−カルボキシ−1−シクロプロピル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イルアミノ)−エトキシ]−エトキシ}−プロピルカルバモイル)−アジスロマイシン
【化63】

実施例1の方法を使用して、中間体21(2.1g、2.4mmol)ならびに中間体7AおよびB(0.5g、3.6mmol)からクロロ標記化合物および脱クロロ標記化合物の混合物(75mg)を得た。
クロロおよび脱クロロカルバメートの混合物(75mg)をMeOH(15mL)に溶解し、10%Pd/C(35mg)を添加し、混合物を4バールのH2下にて撹拌した。触媒を濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。EtOAc:n−ヘキサンから沈殿させて、標記化合物(31mg)。
HPLC/MS(ES)m/z:[MH]+=1164.5。
【0222】
実施例8
4”−O−(2−{2−[3−(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イル)−プロポキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル)−6−O−メチル−エリスロマイシンA・酢酸塩
実施例5b(0,08g、0,07mmol)のEtOAc(0,6mL)中溶液に酢酸(0,005mL、0,09mmol、1,2当量)を氷浴中にて撹拌しながら添加した。ジイソプロピルエーテル(4mL)およびn−ヘキサン(15mL)の添加により標記生成物(70mg)を沈殿させた。
【0223】
実施例9:
4”−O−(2−{[2−({2−[(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−7−キノリニル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}エチルカルバモイル)−6−O−メチル−エリスロマイシンA
【化64】

中間体27(0.269g、0.32mmol)および中間体30(0.059g、0.16mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)中撹拌混合物をDBU(0.30mL、2.0mmol)で処理した。該混合物を室温で18時間撹拌し、次いで、アセトニトリル(0.7mL)で希釈し、分取逆相HPLC(MeCN/H2O/0.1%HCO2H)により精製して残留物を得、それを水に溶解し、0.880アンモニア溶液で処理し、次いで、凍結乾燥させて、白色固体として標記化合物を得た(0.151g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=1138.7。
【0224】
実施例10:
4”−O−(2−{[2−({2−[(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−7−キノリニル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}エチルカルバモイル)−アジスロマイシン
【化65】

中間体21(0.354g、0.40mmol)および中間体30(0.076g、0.21mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)中撹拌混合物をDBU(0.42mL、2.8mmol)で処理した。該混合物を室温で3時間撹拌し、次いで、真空濃縮して残留物を得、それを水に溶解し、固体二酸化炭素で酸性化し、酢酸エチルで洗浄した。有機抽出物を合わせ、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮して、白色固体(0.427g)を得た。この固体の一部(0.248g)をメタノール(20mL)に溶解し、40℃で24時間加熱し、次いで、50℃でさらに3.5時間加熱した。該混合物を真空濃縮して残留物を得、それを分取逆相HPLC(MeCN/H2O/0.1%HCO2H)により精製して残留物を得、それを水に溶解し、0.880アンモニア溶液で処理し、次いで、凍結乾燥させて、白色固体として標記化合物を得た(0.154g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=1139.6。
【0225】
実施例11:
4”−O−(2−{[2−({2−[(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−6−キノリニル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}エチルカルバモイル)−6−O−メチル−エリスロマイシンA
【化66】

中間体27(0.211g、0.25mmol)および中間体29(0.050g、0.12mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)中撹拌混合物をDBU(0.26mL、1.71mmol)で処理した。該混合物を室温で18時間撹拌し、次いで、真空濃縮して残留物を得、それを分取逆相HPLC(MeCN/H2O/0.1%HCO2H)により精製した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン中0〜15%メタノール性アンモニア)によりさらに精製し、水/0.880アンモニアから凍結乾燥させた後、白色固体として標記化合物を得た(0.065g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=1139.0。
【0226】
実施例12:
4”−O−(2−{[2−({2−[(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−6−キノリニル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}エチルカルバモイル)−アジスロマイシン
【化67】

中間体21(0.283g、0.32mmol)および中間体29(0.063g、0.15mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)中撹拌混合物をDBU(0.32mL、2.15mmol)で処理した。該混合物を室温で18時間撹拌し、次いで、真空濃縮して残留物を得、それを分取逆相HPLC(MeCN/H2O/0.1%HCO2H)により精製して残留物を得、それを水に溶解し、0.880アンモニア溶液で処理し、次いで、凍結乾燥させた。得られた残留物をメタノール(10mL)に溶解し、40℃で5時間加熱し、次いで、50℃でさらに18時間加熱した。該混合物を真空濃縮して残留物を得、それを分取逆相HPLC(MeCN/H2O/0.1%HCO2H)により精製し、水/0.880アンモニアから凍結乾燥させた後、薄黄色固体として標記化合物を得た(0.023g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=1140.0。
【0227】
実施例13:
4”−O−(2−{[2−({2−[3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−6−キノリニル]エチル}オキシ)エチル]オキシ}エチルカルバモイル)−アジスロマイシン
【化68】

中間体21(0.301g、0.34mmol)および中間体28(0.059g、0.15mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)中撹拌混合物をDBU(0.25mL、1.67mmol)で処理した。該混合物を室温で20時間撹拌し、次いで、水に溶解し、固体二酸化炭素で酸性化し、酢酸エチルで洗浄した。有機抽出物を合わせ、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮して、白色固体を得た(0.378g)。この固体の一部(0.195g)をメタノール(15mL)に溶解し、50℃で22時間加熱した。該混合物を真空濃縮して残留物を得、それを分取逆相HPLC(MeCN/H2O/0.1%HCO2H)により精製して残留物を得、それを水に溶解し、0.880アンモニア溶液で処理し、次いで、凍結乾燥させて、白色固体として標記化合物を得た(0.141g)。
MS(ES+)m/z:[MH]+=1124.1。
【0228】
生物学的データ
以下に挙げる種々の生物に対する試験化合物のMIC(μg/ml)を測定した:
スタヒロコッカス・アウレウス・スミス(S. aureus Smith)ATCC 0329、ストレプトコッカス・ニューモニエ(S. pneumoniae)0541、ストレプトコッカス・ピオゲネス(S. pyogenes)0542、エンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)ATCC 0004、ヘモフィルス・インフルエンゼ(H. influenzae)ATCC 0529、モラクセラ・カタラーリス(M. catarrhalis)ATCC 0324。
実施例1、2、3および4は、スタヒロコッカス・アウレウス・スミスATCC 0329、ストレプトコッカス・ニューモニエ0541、ストレプトコッカス・ピオゲネス0542およびエンテロコッカス・フェカーリスATCC 0004に対して≦0.125μg/mlのMICを有する。
ヘモフィルス・インフルエンゼATCC 0529に対して、実施例1および2は、≦2μg/mlのMICを有し、実施例3および4は、≦0.125μg/mlのMICを有し、モラクセラ・カタラーリスATCC 0324に対して≦0.5μg/mlのMICを有する。
実施例1および2は、ストレプトコッカス・ニューモニエおよびストレプトコッカス・ピオゲネスのエリスロマイシン耐性株に対して≦0.125μg/mlのMICを有する。
【0229】
本明細書および特許請求の範囲が一部を形成する出願は、いずれもの後願について優先権の基礎として使用することができる。かかる後願の特許請求の範囲は、本明細書に記載したいずれかの特徴または特徴の組み合わせを対象とすることができる。それらは、物、組成物、方法または使用のクレームの形態を取ることができ、特許請求の範囲を挙げることができるが、これは例示であって限定を伴うものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
Aは、−C(O)−、−C(O)NH−、−NHC(O)−、−N(R7)−CH2−、−CH2−N(R7)−、−CH(NR89)−および−C(=NR10)−から選択される二価の基であり;
1は、−OC(O)N(R7)(CH2)dXR11であり;
2は、水素またはヒドロキシル保護基であり;
3は、水素、C1-4アルキル、または9〜10員縮合二環式ヘテロアリールによって置換されていてもよいC2-6アルケニルであり;
4は、ヒドロキシ、9〜10員縮合二環式ヘテロアリールによって置換されていてもよいC2-6アルケニルオキシ、またはC1-6アルコキシもしくは−O(CH2)eNR712によって置換されていてもよいC1-6アルコキシであり;
5は、ヒドロキシであるか、または
4およびR5は介在する原子と一緒になって下記構造:
【化2】

(式中、Yは、−CH2−、−CH(CN)−、−O−、−N(R13)−および−CH(SR13)−から選択される二価の基である)
を有する環状の基を形成し;
6は、水素またはフッ素であり;
7は、水素またはC1-6アルキルであり;
8およびR9は、各々独立して、水素、C1-6アルキル、−C(=NR10)NR1415または−C(O)R14であるか、または
8およびR9は一緒になって=CH(CR1415)fアリール、=CH(CR1415)fヘテロサイクリル、=CR1415または=C(R14)C(O)OR14を形成し(ここで、アルキル、アリールおよびヘテロサイクリル基はR16から独立して選択される3個までの基によって置換されていてもよい);
10は、−OR17、C1-6アルキル、−(CH2)gアリール、−(CH2)gヘテロサイクリルまたは−(CH2)hO(CH2)iOR7であり(ここで、各R10基は、R16から独立して選択される3個までの基によって置換されていてもよい);
11は、下記構造:
【化3】

または
【化4】

を有する複素環基であり;
12は、水素またはC1-6アルキルであり;
13は、水素、または置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよい5員もしくは6員ヘテロアリールおよび置換されていてもよい9〜10員縮合二環式ヘテロアリールから選択される基によって置換されているC1-4アルキルであり;
14およびR15は、各々独立して、水素またはC1-6アルキルであり;
16は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、アジド、−C(O)R21、−C(O)OR21、−OC(O)R21、−OC(O)OR21、−NR22C(O)R23、−C(O)NR2223、−NR2223、ヒドロキシ、C1-6アルキル、−S(O)k1-6アルキル、C1-6アルコキシ、−(CH2)mアリールまたは−(CH2)mヘテロアリールであり(ここで、アルコキシ基は、−NR1415、ハロゲンおよび−OR14から独立して選択される3個までの基によって置換されていてもよく、アリールおよびヘテロアリール基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、アジド、−C(O)R24、−C(O)OR24、−OC(O)OR24、−NR25C(O)R26、−C(O)NR2526、−NR2526、ヒドロキシ、C1-6アルキルおよびC1-6アルコキシから独立して選択される5個までの基によって置換されていてもよい);
17は、水素、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C3-6アルケニルまたは5員もしくは6員複素環基であり(ここで、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよび複素環基は、置換されていてもよい5員または6員複素環基、置換されていてもよい5員または6員ヘテロアリール、−OR27、−S(O)n27、−NR2728、−CONR2728、ハロゲンおよびシアノから独立して選択される3個までの置換基によって置換されていてもよい);
18は、水素、−C(O)OR29、−C(O)NHR29、−C(O)CH2NO2または−C(O)CH2SO27であり;
19は、水素;ヒドロキシ、シアノ、NH2、−NH(C1-4アルキル)もしくは−N(C1-4アルキル)2によって置換されていてもよいC1-4アルキル;ヒドロキシ、シアノ、NH2、−NH(C1-4アルキル)もしくは−N(C1-4アルキル)2によって置換されていてもよいC2-4アルケニル;C1-4アルコキシ、C3-7シクロアルキル、−NH2、−NH(C1-4アルキル)または−N(C1-4アルキル)2;(C1-4アルキル)OC(O)N(C1-4アルキル)または置換されていてもよいフェニルもしくはベンジルであり;
20は、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4チオアルキル、C1-4アルコキシ、−NH2、−NH(C1-4アルキル)または−N(C1-4アルキル)2であり;
21は、水素、C1-10アルキル、−(CH2)pアリールまたは−(CH2)pヘテロアリールであり;
22およびR23は、各々独立して、水素、−OR14、C1-6アルキル、−(CH2)qアリールまたは−(CH2)qヘテロサイクリルであり;
24は、水素、C1-10アルキル、−(CH2)rアリールまたは−(CH2)rヘテロアリールであり;
25およびR26は、各々独立して、水素、−OR14、C1-6アルキル、−(CH2)sアリールまたは−(CH2)sヘテロサイクリルであり;
27およびR28は、各々独立して、水素、C1-4アルキルまたはC1-4アルコキシC1-4アルキルであり;
29は、水素;またはハロゲン、C1-4アルコキシ、−OC(O)C1-6アルキルおよび−OC(O)OC1-6アルキルから独立して選択される3個までの基によって置換されていてもよいC1-6アルキル;−(CH2)qヘテロサイクリル、−(CH2)qヘテロアリール、−(CH2)qアリール、および−(CH2)q3-7シクロアルキルであり;
30は、水素、C1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、置換されていてもよいフェニルもしくはベンジル、アセチルまたはベンゾイルであり;
31は、水素またはR20であるか、またはR31およびR19が結合して、二価の基−O(CH2)2−、−(CH2)t−;−NR7(CH2)a−、−OCH2NR7−、−SCH2NR7−、−CH2NR7CH2−、−CH2OCH2−、−CH2SCH2−または−(CH2)aNR7−を形成し;
32は、水素であるか、またはR32およびR19が結合して、−S(CH2)b−、−N(R7)(CH2)b−および−O(CH2)b−から選択される二価の基を形成し;
33は、C1-8アルキル、C2-6アルケニルまたはC2-6アルキニルであり;
Xは、−U(CH2)vB(CH2)vD−、−U(CH2)vB−R33−、−U(CH2)vB(CH2)vD(CH2)vE−、−U(CH2)vB(CH2)vD−R33−であるか、または
Xは、
【化5】

および
【化6】

から選択され;
U、B、DおよびEは、独立して、−N(R30)−、−O−、−S(O)z−、−N(R30)C(O)−、−C(O)N(R30)−および−N[C(O)R30]−から選択される二価の基であり;
Wは、−C(R31)−または窒素原子であり;
aは、1または2であり;
bは、1〜3の整数であり;
dは、1〜5の整数であり;
eは、2〜4の整数であり;
f、g、h、m、p、q、rおよびsは、各々独立して、0〜4の整数であり;
iは、1〜6の整数であり;
j、k、nおよびzは、各々独立して、0〜2の整数であり;
tは、2または3であり;
vは、各々独立して、1〜8から選択される整数である]
で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体。
【請求項2】
Aが−C(O)−または−N(R7)−CH2−である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
dが2または3である、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
vが2である、請求項1〜3いずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
11が下記式:
【化7】

または
【化8】

[式中、該ヘテロサイクリックは、6位または7位で結合しており、j、R18、R19、R20およびR32は、請求項1における定義と同じである]
で示される複素環基である、請求項1〜4いずれか1項記載の方法
【請求項6】
実施例1または13のいずれか1つにて定義した請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項7】
以下のものから選択される化合物:
4”−O−2−{2−[2−(3−カルボキシ−7−クロロ−1−シクロプロピル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イルアミノ)−エトキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル−6−O−メチルエリスロマイシンA、
4”−O−2−{2−[2−(3−カルボキシ−7−クロロ−1−シクロプロピル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イルアミノ)−エトキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル−アジスロマイシン、
4”−(2−{2−[3−(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イル)−プロパ−2−イニルオキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル)−アジスロマイシン、
4”−(2−{2−[3−(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イル)−プロポキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル)−アジスロマイシン、
4”−(2−{2−[3−(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イル)−プロポキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル)−6−O−メチル−エリスロマイシンA、
4”−(2−{2−[3−(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イル)−プロパ−2−イニルオキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル)−6−O−メチルエリスロマイシンA、
4”−O−(2−{2−[2−(3−カルボキシ−7−クロロ−1−シクロプロピル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イルアミノ)−エトキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル)−9−エチルオキシイミノ−6−O−メチル−エリスロマイシンA、
4”−O−(2−{2−[2−(3−カルボキシ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−7−イルアミノ)−エトキシ]−エトキシ}−エチルカルバモイル)−9−エチルオキシイミノ−6−O−メチル−エリスロマイシンA、
4”−O−(3−{2−[2−(3−カルボキシ−1−シクロプロピル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−6−イルアミノ)−エトキシ]−エトキシ}−プロピルカルバモイル)−アジスロマイシン、
4”−O−(2−{[2−({2−[(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−7−キノリニル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}エチルカルバモイル)−6−O−メチル−エリスロマイシンA、
4”−O−(2−{[2−({2−[(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−7−キノリニル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}エチルカルバモイル)−アジスロマイシン、
4”−O−(2−{[2−({2−[(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−6−キノリニル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}エチルカルバモイル)−6−O−メチル−エリスロマイシンA、
4”−O−(2−{[2−({2−[(3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−6−キノリニル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}エチルカルバモイル)−アジスロマイシン、および
4”−O−(2−{[2−({2−[3−カルボキシ−1−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−6−キノリニル]エチル}オキシ)エチル]オキシ}エチルカルバモイル)−アジスロマイシン、
またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項8】
請求項1記載の化合物の製造方法であって:
a)R34がイミダゾリルまたはハロゲンのような活性化基である式(II)で示される適当な活性化合物をアミンの適当な保護誘導体(III)と反応させ:
【化9】

[式中、XaおよびR11aは、請求項1における定義と同じXおよびR11であるか、またはXおよびR11に変換可能な基である]、dが1〜5の整数である式(I)で示される化合物を生成すること;
b)式(V):
【化10】

で示される化合物を式Xa11a(V)で示される化合物と反応させて[式中、XaおよびR11aは、請求項1における定義と同じXおよびR11であるか、またはXおよびR11に変換可能な基であり、Lは、適当な脱離基である]、dが1〜5の整数である式(I)で示される化合物を生成すること
を含む方法。
【請求項9】
治療に用いるための請求項1〜7いずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
ヒトまたは動物体における全身性または局所性微生物感染症の治療または予防用医薬の製造における請求項1〜7いずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項11】
ヒトまたは動物体における全身性または局所性微生物感染症の治療または予防において用いるための請求項1〜7いずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項12】
微生物感染症と戦うためのヒトまたは非ヒト動物体の治療方法であって、かかる治療を必要とする身体に請求項1〜7いずれか1項記載の化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項13】
請求項1〜7いずれか1項記載の化合物の少なくとも1つを医薬上許容される賦形剤、希釈剤および/または担体と一緒に含む医薬組成物。

【公表番号】特表2007−536372(P2007−536372A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512558(P2007−512558)
【出願日】平成17年5月3日(2005.5.3)
【国際出願番号】PCT/IB2005/001203
【国際公開番号】WO2005/108413
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
【出願人】(506261316)グラクソスミスクライン・イストラジヴァッキ・センタル・ザグレブ・ドルズバ・ゼー・オメイェノ・オドゴヴォルノスティオ (25)
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE ISTRAZIVACKI CENTAR ZAGREB D.O.O.
【Fターム(参考)】