説明

微生物汚染を低減するためのデバイス

【課題】留置ラインのコネクターと組み合わせる使用のための医療用デバイスを提供する。
【解決手段】医療用デバイスは、仕切りによって互いから分離される近位部分および遠位部分を含むハウジングであって、該近位部分および該遠位部分の各々が個々の近位空洞および遠位空洞を規定し、そして該近位空洞および遠位空洞が互いと流体連通にあり、そして該遠位部分が該留置ラインのコネクターとの選択的連結のための構造を含む、ハウジングと、該近位部分の近位空洞内に配置される微生物低減剤と、該近位部分の近位空洞内に該微生物低減剤を維持するために該近位部分の端部を囲む変形可能部材とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2007年12月5日に出願された米国仮出願番号第60/992,539号の利益を主張しており、この仮出願の全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本出願は、医療用デバイスに、そしてより特定すれば、ニードルのない(needleless)コネクターなどと組み合わせる使用のための医療用デバイスであって、その外面上の微生物汚染の発生を低減する医療用デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
留置カテーテルとともに従来用いられるニードルのないコネクターは、代表的には、患者からの血液の引き抜き、および/または医薬の患者への送達/投与のために、シリンジのような医療用デバイスによって繰り返しアクセスされる。シリンジのニードルのないコネクター中への侵入の間に、このニードルのないコネクターの外面上(とくに、アクセス面上)に位置する任意の微生物は、流体通路中への侵入を獲得し得、そして次いで、留置カテーテル中に導入され、血流感染を起こす可能性がある。従来のニードルのないコネクターは、シリンジの連結の際に流れ通路を開き、そしてシリンジが連結を外れる際にこの流れ通路を閉じるバルブ機構を含むので、医療介入の間のニードルのないコネクターをキャップすることは、ありふれてはいない。
【0004】
これらの慣例の結果として、そして血流感染の問題を考慮して、医療介入の前のニードルのないコネクターの洗浄が推奨される。伝統的な洗浄方法は、ニードルのないコネクターの外部アクセス面上で拭き取るアルコール消毒綿(swab)を使用することである。しかし、便利さの欠如を含むいくつかの因子は、アルコール消毒綿の使用不足につながり、血流感染の可能性における増加に至る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、ニードルのないコネクターに付随する微生物汚染の可能性を低減するより効率的なシステムに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は、ニードルのないコネクターなどと組み合わせて使用するための医療用デバイスであって、その外面上で微生物汚染の発生を低減するための医療用デバイスに関する。
【0007】
本開示の局面によれば、留置ラインのコネクターと組み合わせる使用のための医療用デバイスが提供され、そして仕切りによって互いから分離される近位部分および遠位部分を含むハウジングであって、この近位部分および遠位部分の各々が個々の近位空洞および遠位空洞を規定し、この近位空洞および遠位空洞が互いと流体連通にあり、そしてこの遠位部分が該留置ラインのコネクターとの選択的連結のための構造を含むハウジングを含む。この医療用デバイスはさらに、上記近位部分の近位空洞内に配置される微生物低減剤;および上記近位部分の近位空洞内に上記微生物低減剤を維持するために上記近位部分の端部の上に横たわる変形可能部材を含む。
【0008】
上記医療用デバイスは、上記近位空洞と上記遠位空洞との間の選択的流体連通を可能にするために上記仕切りによって支持されるバルブ部材をさらに備え得る。上記医療用デバイスは、上記遠位空洞内に配置される吸収部材をなおさらに含み得る。
【0009】
上記吸収部材は、上記医療デバイスが上記吸収部材に連結されるとき、上記留置ラインのコネクターと接触するような寸法であり得る。上記吸収部材は、上記仕切りと接触していてもよい。上記吸収部材は、上記遠位空洞内で軸方向にスライド可能に配置され得る。
【0010】
上記医療用デバイスはさらに、上記仕切りと上記吸収部材との間に配置される付勢部材をさらに備え得る。この付勢部材は、上記吸収部材を最遠位位置で維持し得る。
【0011】
上記医療用デバイスは、上記吸収部材を支持する支持部材をさらに備え得る。この支持部材は、多孔性および透過性の少なくとも1つであり得る。
【0012】
上記吸収部材は、弾力的であり得る。上記吸収部材は、上記医療用デバイスが上記留置ラインの上記コネクターに連結されるとき、上記留置ラインのコネクターの外面と接触し得る。上記吸収部材は、上記医療用デバイスが上記留置ラインのコネクターから連結を外れる際に上記留置ラインのコネクターの外面の少なくとも一部分に機械的洗浄作用を及ぼし得る。
【0013】
上記微生物低減剤は、上記変形可能部材に十分な力が奏される際に、上記近位空洞から上記遠位空洞まで移動可能であり得る。上記微生物低減剤は、上記仕切り通って移動され得る。上記微生物低減剤は、上記バルブ部材通って移動され得る。上記バルブは、ダックビルバルブであり得る。
【0014】
上記微生物低減剤は、少なくとも、上記医療用デバイスの上記留置ラインのコネクターへの取り付けの前、および/または上記医療用デバイスの上記留置ラインのコネクターへの取り付けの後で上記吸収部材に移動可能であり得る。従って、上記吸収部材は、少なくとも、上記医療用デバイスの上記留置ラインのコネクターへの連結、および/またはそれからの連結の外れの際に、上記留置ラインのコネクターの外面上に化学的/生物学的および機械的洗浄作用を及ぼし得る。
【0015】
本開示のさらなる局面によれば、コネクターの隔壁の表面を洗浄するために、留置ラインのコネクターと組み合わせて使用するための医療用デバイスが提供される。この医療用デバイスは、所定量の微生物低減剤を含む空洞を規定する近位部分、上記留置ラインのコネクターとの選択的連結のための形態および寸法の空洞を規定する遠位部分、および上記近位空洞と上記遠位空洞を分離する仕切りを含み、上記近位空洞および遠位空洞が互いと流体連通しているハウジングを含む。この医療用デバイスはさらに、上記微生物低減剤を、上記近位部分の近位空洞内に維持するために上記近位部分の端部の上に横たわる変形可能部材を含む。使用において、上記微生物低減剤は、少なくとも、上記医療デバイスが上記留置ラインのコネクターに連結されるとき、上記遠位空洞中に分与可能であり、上記留置ラインのコネクターの表面を洗浄し、そしてその上に存在する微生物を低減する。
【0016】
上記医療用デバイスは、上記遠位空洞内に配置される吸収部材をさらに含み得る。上記吸収部材は、上記留置ラインのコネクターの表面に、上記医療用デバイスがそれに連結されるとき接触し、そして上記医療用デバイスが、上記留置ラインのコネクターに連結されるとき、および/または上記留置ラインのコネクターの連結から外れるとき、上記留置ラインの上記コネクターの外面の機械的洗浄作用を及ぼすような形態および寸法であり得る。
【0017】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
(項目1)留置ラインのコネクターと組み合わせる使用のための医療用デバイスであって:
仕切りによって互いから分離される近位部分および遠位部分を含むハウジングであって、該近位部分および該遠位部分の各々が個々の近位空洞および遠位空洞を規定し、そして該近位空洞および遠位空洞が互いと流体連通にあり、そして該遠位部分が該留置ラインのコネクターとの選択的連結のための構造を含むハウジング;
該近位部分の近位空洞内に配置される微生物低減剤;および
該近位部分の近位空洞内に該微生物低減剤を維持するために該近位部分の端部を囲む変形可能部材、を備える医療用デバイス。
(項目2)上記近位空洞と上記遠位空洞との間の選択的流体連通を可能にするために上記仕切りによって支持されるバルブ部材をさらに備える、項目1に記載の医療用デバイス。
(項目3)上記遠位空洞内に配置される吸収部材をさらに備える、項目2に記載の医療用デバイス。
(項目4)上記吸収部材が、上記医療デバイスが上記留置ラインのコネクターに連結されると、該留置ラインのコネクターと接触するような寸法である、項目3に記載の医療用デバイス。
(項目5)上記吸収部材が、上記遠位空洞内で軸方向にスライド可能に配置される、項目3に記載の医療用デバイス。
(項目6)上記仕切りと上記吸収部材との間に配置される付勢部材をさらに備え、該付勢部材が該吸収部材を最遠位位置で維持する、項目5に記載の医療用デバイス。
(項目7)上記吸収部材を支持する支持部材をさらに備える、項目6に記載の医療用デバイス。
(項目8)上記支持部材が、多孔性および透過性のうちの少なくとも1つである、項目7に記載の医療用デバイス。
(項目9)上記吸収部材が、弾力的である、項目3に記載の医療用デバイス。
(項目10)上記吸収部材が、上記留置ラインのコネクターから、上記医療用デバイスの連結が外れるとき、該留置ラインのコネクターの外面の少なくとも一部分上に機械的洗浄作用を及ぼす、項目3に記載の医療用デバイス。
(項目11)上記微生物低減剤が、上記変形可能部材に十分な力が奏されると、上記近位空洞から上記遠位空洞まで移動可能である、項目1に記載の医療用デバイス。
(項目12)上記微生物低減剤が、上記仕切りまたは上記バルブ部材を通って移動される、項目11に記載の医療用デバイス。
(項目13)上記微生物低減剤が:
上記医療用デバイスの上記留置ラインのコネクターへの取り付けの前;および該医療用デバイスの該留置ラインのコネクターへの取り付けの後;のうちの少なくとも1つで上記吸収部材に移動可能であり、
それによって、該吸収部材が、該医療用デバイスの該留置ラインのコネクターへの連結、およびそれからの連結の外れのうちの少なくとも1つに際し、該留置ラインのコネクターの外面上に化学的/生物学的および機械的洗浄作用を及ぼす、項目3に記載の医療用デバイス。
(項目14)コネクターの隔壁の表面を洗浄するために、留置ラインのコネクターと組み合わせて使用するための医療用デバイスであって:
所定量の微生物低減剤を含む空洞を規定する近位部分、該留置ラインのコネクターとの選択的連結のための形態および寸法の空洞を規定する遠位部分、および該近位空洞と該遠位空洞を分離する仕切りを含み、該近位空洞および遠位空洞が互いと流体連通しているハウジング;および
該微生物低減剤を、該近位部分の近位空洞内に維持するために該近位部分の端部を囲む変形可能部材;を備え、
ここで、該微生物低減剤は、少なくとも、該医療デバイスが該留置ラインのコネクターに連結されると、該遠位空洞中に分与可能であり、該留置ラインのコネクターの表面を洗浄し、そして該留置ラインのコネクターの表面上に存在する微生物を低減する、医療用デバイス。
(項目15)上記遠位空洞内に配置される吸収部材をさらに備え、該吸収部材は、
上記医療用デバイスが、上記留置ラインのコネクターに連結されると、該留置ラインのコネクターの表面に接触し、そして該医療用デバイスが、該留置ラインのコネクターに連結されるとき、および該留置ラインのコネクターの連結から外れるときのうちの少なくとも1つで、該留置ラインの該コネクターの外面の機械的洗浄作用を及ぼすような形態および寸法である、項目14に記載の医療用デバイス。
【0018】
(摘要)
コネクターの隔壁の表面を洗浄するために、留置ラインのコネクターと組み合わせて使用するための医療用デバイスが提供される。この医療用デハイスは、所定量の微生物低減剤を含む空洞を規定する近位部分、この留置ラインのコネクターとの選択的連結のため空洞を規定する遠位部分、およびこの近位空洞と遠位空洞を分離する仕切りを含み、この近位空洞および遠位空洞は互いと流体連通しているハウジング;およびその近位空洞内に上記微生物低減剤を維持するために、上記近位部分の端部の上に横たわる変形可能部材を含む。この微生物低減剤は、少なくとも、上記医療デバイスが上記留置ラインのコネクターに連結されるとき、上記遠位空洞中に分与可能であり、上記留置ラインのコネクターの表面を洗浄し、そしてその上に存在する微生物を低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下の説明は、請求項に記載の発明を、説明される実施形態に制限することは意図されず、そして開示された種々の実施形態における特徴の組み合わせは、本発明の解決のために必ずしも決定的に必要ではない。
【0020】
最初に図1A〜1Dを参照して、ニードルのないコネクター10の外面上の微生物汚染の発生を低減するための医療用デバイスは、一般に100として指定される。本明細書中で用いられるとき、そして当該技術分野で共通であるように、用語「遠位」は、使用者からより遠くに位置されるような要素をいい、そして用語「近位」は、使用者により近く位置されるような要素をいう。そうでないことが特定されなければ、本明細書中に開示されるデバイスの各々は、ほぼ円形の横断断面プロフィールを有する。
【0021】
一般に、ニードルのないコネクター10のようなニードルのないコネクターは、厚い隔壁12およびこの隔壁12を半径方向に圧縮するようなハウジング14を含み、それによって、隔壁12を通って延びるスリット16をシールする。あるいは、ほぼ中実の隔壁のような、当該技術分野で公知の任意のタイプの隔壁形態を備えたニードルのないコネクターが用いられ得る。従って、使用において、シリンジの雄ルアー先端部(図示されず)が、スリット16を開くために隔壁12の外面18に対して押されるとき、この雄ルアー先端部の外面は、隔壁12の外面18を乱し、それによって、それとともに隔壁12の外面18上に存在する任意の微生物をコネクター10中に(すなわち、隔壁12を超えて)運ぶ可能性がある。
【0022】
図1A〜1Dに見られるように、医療用デバイス100は、仕切り116によって互いから分離される近位端112および遠位端114を有するハウジング110を含む。近位端112は、不透過性膜118などの形態の変形可能部材によって覆われている開放近位端112bを有する空洞またはチャンバー112aを規定する。例えば、近位端112の長さに沿って位置され、そしてハウジング110と一体に形成される少なくとも1つのドーム形の面または変形可能部材を有する閉鎖形態のような、近位端112のためのその他の形態が用いられ得ることが企図される。この少なくとも1つのドーム形の面または変形可能部材の壁厚の少なくとも一部分は、ハウジング110の隣接する構造よりは薄くてもよく、これは、ドーム形構造の崩壊を容易にし得る。
【0023】
液体またはゲル形態にある微生物低減剤「MRA」が、近位空洞112a内に保持される。適切な微生物低減剤は、制限されないで、アルコール、ポビドンヨード、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、または医療用デバイスを洗浄するため、そして/またはその上の微生物汚染を阻害するために代表的に用いられる任意のその他の薬剤もしくは薬剤の任意の組み合わせを含む。十分な量の微生物低減剤「MRA」は、近位空洞112a内に、医療用デバイス100が新しい、および/または未使用であるとき、膜118が医療用デバイス100から突出するように保持される。
【0024】
遠位端114は、開放遠位端114bを有し、そしてニードルのないコネクター10を選択的に受容し、そして係合するような形態および寸法である開放遠位端114bを有する空洞またはチャンバー114aを規定する。遠位端114は、その内面上または内面中に形成される、ニードルのないコネクター10のハウジング14上またはその中に提供される相補的連結部材14aを選択的に係合するための連結部材114cを含む。連結部材114cは、らせんねじ、差し込みタイプコネクター、または医療用デバイス100とニードルのないコネクター10のハウジング14との間の機械的連結を確立し得る任意のその他の適切なフォーメーションを含み得るが、これらに制限されるわけではない。
【0025】
仕切り116は、その中に少なくとも1つの開口部116aを、近位空洞112aおよび遠位空洞114aを流体的に相互連結するために規定する。医療用デバイス100は、各開口部116a内に配置されるバルブ部材120を含む。バルブ部材120は、例えば、ダックビルバルブのような、一方向性バルブであり得、これは、近位空洞112aから遠位空洞114aへの実質的に単一方向にある流体流れを許容する。例えば、近位空洞112aと遠位空洞114aとの間の流体流れを許容する二方向性バルブのようなその他のタイプのバルブ部材が用いられ得ることが企図される。例えば、ブレークスルーシールのような、微生物低減剤「MRA」を近位空洞112a内に維持し得、そして近位空洞112a内から微生物低減剤「MRA」を選択的に放出し得る任意の要素が、各開口部116aを閉塞するために用いられ得ることがさらに企図される。医療用デバイス100が、新規および/または未使用であるとき、バルブ部材120は、実質的にすべての微生物低減剤「MRA」を近位空洞112a内に維持する。
【0026】
医療用デバイス100はさらに、遠位部分114の遠位空洞114a内に配置される、例えば、スポンジ、パッドなどのような吸収部材122を含む。吸収部材122は、支持部材124上に支持され得る。支持部材124は、多孔性、透過性であり得、または、それに代わって、それを通って形成される少なくとも1つのアパーチャ124aを含み得る。アパーチャ124aは、吸収部材124を少なくとも部分的に、または完全に通って延び得、隔壁12の面をより直接的に「浸す」ことが企図される。
【0027】
付勢部材126が、仕切り116と吸収部材122との間に、医療用デバイス100がニードルのないコネクター10に連結されていないとき、吸収部材122を遠位端114の遠位空洞114a内で最遠位位置で維持するために配置され得る。
【0028】
図1A〜1Dを続けて参照し、医療用デバイス100を用いる方法が以下に提供される。使用において、医療介入の終了に際し、医療用デバイス100の遠位部分114は、ニードルのないコネクター10に連結される。医療用デバイス100は、それぞれの連結部材114cと14aとの相互係合によりニードルのないコネクター10に連結されたままである。
【0029】
図1Bに見られるように、医療用デバイス100が、ニードルのないコネクター10に連結されるとき、その隔壁12の外面18は、吸収部材122に接触し、そしてそれを押す。さらに医療用デバイス100が、ニードルのないコネクター10に十分に、そして/または完全に連結されるとき、付勢部材126は、遠位空洞114a内で圧縮されるようになり、そしてそれ故、吸収部材122と隔壁12の外面18との間で増加する摩擦力を生成する。
【0030】
使用において、次の医療介入の前に、図1Cに見られるように、膜118は、矢印「A」の方向に押され、近位部分112の近位空洞112a内に流体圧力を生成する。そのようにする際、この圧力増加は、バルブ部材120を開き、微生物低減剤「MRA」を遠位空洞114a中に放出する。
【0031】
インジケーター窓(図示はされていない)が遠位端114中に提供され得、使用者に、微生物低減剤「MRA」が遠位空洞114a中に押されるか、または圧搾されたことに視覚指標を提供することが企図される。あるいは、ハウジング110は、部分的または全体が、使用者が微生物低減剤「MRA」の遠位空洞114a中への放出を視覚により認知することを可能にする、透明または半透明材料から形成され得る。
【0032】
微生物低減剤「MRA」が遠位部分114の遠位空洞114a中に放出されるとき、この微生物低減剤「MRA」は、吸収部材122中に直接吸収されるか、または支持部材124を、そして次に吸収部材122を通過し、そして少なくとも1つのアパーチャ124aを通り、隔壁12の外面18と直接接触する。微生物低減剤「MRA」が吸収部材122中に吸収されるとき、この微生物低減剤「MRA」は、隔壁12の外面18とさらに接触するようになり、それに対して化学的/生物学的洗浄を行い、そしてそれ故、隔壁12の外面18上に存在し得る任意の微生物汚染を低減する。
【0033】
遠位空洞114a中に存在する任意の空気は、膜118の圧縮の間に、連結部材14aおよび114cを通って排出され得る。このようにして、遠位空洞114aの微生物低減剤「MRA」での充填が容易にされる。あるいは、排気は、遠位部分114に形成されるベントまたはポート(図示はされていない)を通じて提供され得る。
【0034】
隔壁12の外面18上の微生物汚染の存在の可能性をさらに低減するために、用いられる微生物低減剤「MRA」のタイプの範囲に応じ、適切な期間が、ニードルのないコネクター10からの医療用デバイス100の除去の前に経過するようにされる。さらに、この微生物低減剤「MRA」は、医療用デバイス100のニードルのないコネクター10への連結直後に遠位部分114の遠位空洞114a中に放出され得、隔壁12の外面18に対し、即座の微生物低減化環境を達成する。このようにして、医療用デバイス100は、医療介入の間における期間全体で隔壁12の微生物汚染のさらなる予防を提供する。
【0035】
操作において、図1Dに見られるように、医療用デバイス100は、例えば、回転によるようにニードルのないコネクター10から除去されるか、または外されるとき、付勢部材126は、吸収部材122を隔壁12の外面18と接触して維持する。そのようにする際に、医療用デバイス100のニードルのないコネクター10、特に隔壁12の外面18に対する回転は、隔壁12の外面18に対する吸収部材122による機械的洗浄作用を与える。
【0036】
一旦、医療用デバイス100が、ニードルのないコネクター10から完全に除去されるか、または外されると、医療用デバイス100は、適宜捨てられ得る。
【0037】
ここで、図2A〜2Bを参照して、本開示の別の実施形態による医療用デバイスは、一般に200として指定される。医療用デバイス200は、医療用デバイス100と実質的に類似しており、そしてそれ故、本明細書では、その構成および作動における差異を識別するために必要な程度までのみ詳細に論議される。
【0038】
図2A〜2Bに見られるように、医療用デバイス200は、医療用デバイス100のように、仕切り216と吸収部材222との間に配置される付勢部材を含まない。その代わり、医療用デバイス200は、遠位部分214の遠位空洞214a内に配置された弾力的な吸収部材222を含む。吸収部材222は、吸収部材122より相対的に厚く、そしてそれを通って形成された少なくとも1つのアパーチャを含み得ることが企図される。
【0039】
使用において、医療用デバイス200が、ニードルのないコネクター10に連結されるとき、吸収部材222は、図2Bに見られるように圧縮される。ニードルのないコネクター10にアクセスする前に、部材218は圧縮され、それ故、微生物低減剤「MRA」を近位空洞212aから、バルブ部材220を通り、遠位空洞214a内に配置された吸収部材222中に駆出する。微生物低減剤「MRA」が吸収部材222中に吸収されると、微生物低減剤「MRA」は、隔壁12の外面18と接触するようになり、それに対して化学的/生物学的洗浄を行い、そしてそれ故、隔壁12の外面18上に存在し得る任意の微生物汚染を低減する。
【0040】
作動において、医療用デバイス100と同様に、医療用デバイス200が、例えば、回転によるように、ニードルのないコネクター10から除去されるか、または外されるとき、吸収部材222の弾力性は、医療用デバイス200のニードルのないコネクター10からの連結の外れに際して吸収部材222が拡大するので、吸収部材222を隔壁12の外面18と接触して維持することを支援する。そのようにする際に、医療用デバイス200のニードルのないコネクター10、そして特に隔壁12の外面18に対する回転は、隔壁12の外面18に対する吸収部材222による機械的洗浄作用を与える。
【0041】
ここで、図3A〜3Bを参照して、本開示の別の実施形態による医療用デバイスは、一般に300として指定される。医療用デバイス300は、医療用デバイス100または200に実質的に類似しており、そしてそれ故、本明細書では、その構成および作動における差異を識別するために必要な程度までが論議されるに過ぎない。
【0042】
図3A〜3Bに見られるように、医療用デバイス300は、医療用デバイス100のように、間に配置される付勢部材、またはその遠位部分314の遠位空洞314a内に配置される吸収部材を含まない。その代わり、医療用デバイス300の遠位空洞314aは、開いているか、そして/または空洞である。
【0043】
使用において、ニードルのないコネクター10にアクセスする前に、膜318が押され、それ故、微生物低減剤「MRA」を近位空洞312aから、バルブ部材320を通り、遠位空洞314a中に駆出する。微生物低減剤「MRA」が遠位空洞314a中に絞り出されると、微生物低減剤「MRA」は、隔壁12の外面18と接触するようになり、それに対して化学的/生物学的洗浄を行い、そしてそれ故、隔壁12の外面18上に存在し得る任意の微生物汚染を低減する。
【0044】
ここで、図4A〜4Bを参照して、本開示の別の実施形態による医療用デバイスは、一般に400として指定される。医療用デバイス400は、医療用デバイス200に実質的に類似しており、そしてそれ故、本明細書では、その構成および作動における差異を識別するために必要な程度までが論議されるに過ぎない。
【0045】
図4A〜4Bに見られるように、医療用デバイス400は、遠位空洞414a内に配置され、そして仕切り416と接触する吸収部材422を含む。吸収部材422は、吸収部材422が医療用デバイス400がニードルのないコネクター10に連結されるとき、隔壁12の外面18と接触しないような寸法であり得ることが企図される。吸収部材422は、微生物低減剤「MRA」の初期量を、隔壁12の外面18に向け、そして医療用デバイス400のニードルのないコネクター10との連結が外れる際に、遠位空洞414aを出得る微生物低減剤「MRA」の量を最小にするように機能する。
【0046】
使用において、ニードルのないコネクター10にアクセスする前に、膜418が押され、それ故、微生物低減剤「MRA」を近位空洞412aから、バルブ部材420を通り、遠位空洞414a中に駆出する。微生物低減剤「MRA」が遠位空洞414a中に絞り出されると、いくらかの微生物低減剤「MRA」は、吸収部材422中に吸収され、そして微生物低減剤「MRA」は、隔壁12の外面18と接触するようになり、それに対して化学的/生物学的洗浄を行い、そしてそれ故、隔壁12の外面18上に存在し得る任意の微生物汚染を低減する。
【0047】
医療用デバイス400がニードルのないコネクター10から除去または外されるとき、いくらかの微生物低減剤「MRA」は、吸収部材422中に吸収されたままであり、そしてそれ故、比較的より少ない微生物低減剤「MRA」が消費される。
【0048】
化学的/生物学的および/または機械的洗浄作用が、医療用デバイスのニードルのないコネクターからの連結の外れの間で記載されたが、吸収部材が、医療用デバイスのニードルのないコネクターへの連結の前に、微生物低減剤「MRA」で予備浸漬され得ることが企図され、そして本開示の範囲内である。このようにして、ニードルのないコネクターの隔壁の外面の化学的/生物学的および/または機械的洗浄作用は、吸収部材のニードルのないコネクターの外面に対する係合に起因して、医療用デバイスのニードルのないコネクターへの連結、または医療用デバイスのニードルのないコネクターからの連結の外れのいずれかに際して起こり得る。
【0049】
説明された本開示の実施形態は、本発明の原理の適用のいくつかの例示であることが理解される。種々の改変が、本発明の真実の思想および範囲から逸脱することなく当業者によってなされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1A】図1Aは、本開示の実施形態による、ニードルのないコネクターとの使用のための医療用デバイスを、第1の、未使用、および連結前の状態で示す、概略の長手方向断面図である。
【図1B】図1Bは、図1Aの医療用デバイスを、ニードルのないコネクターに連結され、そして未使用の状態で示す、概略の長手方向断面図である。
【図1C】図1Cは、図1Aおよび1Bの医療用デバイスを、プライムされた状態で示す、概略の長手方向断面図である。
【図1D】図1Dは、図1A〜1Cの医療用デバイスを、使用された状態で、ニードルのないコネクターから外された状態で示す、概略の長手方向断面図である。
【図2A】図2Aは、本開示の別の実施形態による医療用デバイスを、ニードルのないコネクターから外され、そして未使用状態で示す、概略の長手方向断面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aの医療用デバイスを、プライムされた状態で示す、概略の長手方向断面図である。
【図3A】図3Aは、本開示のなお別の実施形態による医療用デバイスを、ニードルのないコネクターに連結され、そして未使用状態で示す、概略の長手方向断面図である。
【図3B】図3Bは、図3Aの医療用デバイスを、プライムされた状態で示す、概略の長手方向断面図である。
【図4A】図4Aは、本開示のなお別の実施形態による医療用デバイスを、ニードルのないコネクターに連結され、そして未使用状態で示す、概略の長手方向断面図である。
【図4B】図4Bは、図4Aの医療用デバイスを、プライムされた状態で示す、概略の長手方向断面図である。
【符号の説明】
【0051】
10 ニードルのないコネクター
12 隔壁
14 ハウジング
14a 連結部材
16 スリット
18 外面
100 医療用デバイス
110 ハウジング
112a 近位空洞
114a 遠位空洞
114c 連結部材
116 仕切り
118 不透過性膜
120 バルブ部材
122 吸収部材
124 支持部材
124a アパーチャ
126 付勢部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
留置ラインのコネクターと組み合わせる使用のための医療用デバイスであって:
仕切りによって互いから分離される近位部分および遠位部分を含むハウジングであって、該近位部分および該遠位部分の各々が個々の近位空洞および遠位空洞を規定し、そして該近位空洞および遠位空洞が互いと流体連通にあり、そして該遠位部分が該留置ラインのコネクターとの選択的連結のための構造を含むハウジング;
該近位部分の近位空洞内に配置される微生物低減剤;および
該近位部分の近位空洞内に該微生物低減剤を維持するために該近位部分の端部を囲む変形可能部材、を備える医療用デバイス。
【請求項2】
前記近位空洞と前記遠位空洞との間の選択的流体連通を可能にするために前記仕切りによって支持されるバルブ部材をさらに備える、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項3】
前記遠位空洞内に配置される吸収部材をさらに備える、請求項2に記載の医療用デバイス。
【請求項4】
前記吸収部材が、前記医療デバイスが前記留置ラインのコネクターに連結されると、該留置ラインのコネクターと接触するような寸法である、請求項3に記載の医療用デバイス。
【請求項5】
前記吸収部材が、前記遠位空洞内で軸方向にスライド可能に配置される、請求項3に記載の医療用デバイス。
【請求項6】
前記仕切りと前記吸収部材との間に配置される付勢部材をさらに備え、該付勢部材が該吸収部材を最遠位位置で維持する、請求項5に記載の医療用デバイス。
【請求項7】
前記吸収部材を支持する支持部材をさらに備える、請求項6に記載の医療用デバイス。
【請求項8】
前記支持部材が、多孔性および透過性のうちの少なくとも1つである、請求項7に記載の医療用デバイス。
【請求項9】
前記吸収部材が、弾力的である、請求項3に記載の医療用デバイス。
【請求項10】
前記吸収部材が、前記留置ラインのコネクターから、前記医療用デバイスの連結が外れるとき、該留置ラインのコネクターの外面の少なくとも一部分上に機械的洗浄作用を及ぼす、請求項3に記載の医療用デバイス。
【請求項11】
前記微生物低減剤が、前記変形可能部材に十分な力が奏されると、前記近位空洞から前記遠位空洞まで移動可能である、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項12】
前記微生物低減剤が、前記仕切りまたは前記バルブ部材を通って移動される、請求項11に記載の医療用デバイス。
【請求項13】
前記微生物低減剤が:
前記医療用デバイスの前記留置ラインのコネクターへの取り付けの前;および該医療用デバイスの該留置ラインのコネクターへの取り付けの後;のうちの少なくとも1つで前記吸収部材に移動可能であり、
それによって、該吸収部材が、該医療用デバイスの該留置ラインのコネクターへの連結、およびそれからの連結の外れのうちの少なくとも1つに際し、該留置ラインのコネクターの外面上に化学的/生物学的および機械的洗浄作用を及ぼす、請求項3に記載の医療用デバイス。
【請求項14】
コネクターの隔壁の表面を洗浄するために、留置ラインのコネクターと組み合わせて使用するための医療用デバイスであって:
所定量の微生物低減剤を含む空洞を規定する近位部分、該留置ラインのコネクターとの選択的連結のための形態および寸法の空洞を規定する遠位部分、および該近位空洞と該遠位空洞を分離する仕切りを含み、該近位空洞および遠位空洞が互いと流体連通しているハウジング;および
該微生物低減剤を、該近位部分の近位空洞内に維持するために該近位部分の端部を囲む変形可能部材;を備え、
ここで、該微生物低減剤は、少なくとも、該医療デバイスが該留置ラインのコネクターに連結されると、該遠位空洞中に分与可能であり、該留置ラインのコネクターの表面を洗浄し、そして該留置ラインのコネクターの表面上に存在する微生物を低減する、医療用デバイス。
【請求項15】
前記遠位空洞内に配置される吸収部材をさらに備え、該吸収部材は、
前記医療用デバイスが、前記留置ラインのコネクターに連結されると、該留置ラインのコネクターの表面に接触し、そして該医療用デバイスが、該留置ラインのコネクターに連結されるとき、および該留置ラインのコネクターの連結から外れるときのうちの少なくとも1つで、該留置ラインの該コネクターの外面の機械的洗浄作用を及ぼすような形態および寸法である、請求項14に記載の医療用デバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2009−136681(P2009−136681A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309689(P2008−309689)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】