説明

微生物濃縮プロセス

(a)γ−FeO(OH)(別名レピドクロサイト)を含む粒子濃縮剤を提供すること、(b)少なくとも1種類の微生物株を含む流動体試料を提供すること、(c)その濃縮剤を試料と(好ましくは混合により)接触させることにより、濃縮剤の少なくとも一部分が試料中に分散し、少なくとも1種類の微生物株の少なくとも一部分がその濃縮剤に結合又は捕捉されることを含む、検出又は検定のために微生物の捕捉又は濃縮を行うプロセス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願第60/977,188号(2007年10月3日出願)の優先権を主張し、その内容は本明細書に参考として組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、検出又は検査の際に生存状態を保つような微生物の捕捉又は濃縮のためのプロセスに関するものである。他の態様において、本発明はそのような濃縮プロセスの実施に使用するための診断キットに関連するものである。
【背景技術】
【0003】
微生物汚染により生じる食品媒介疾患及び院内感染は、世界中の無数の場所で懸案となっている。よって、微生物の存在の同定及び/又は定量測定を行うために、さまざまな医療、食品、環境、又はその他の試料中における、細菌又は他の微生物の存在を検定することが、しばしば望ましく、あるいは必要である。
【0004】
例えば、たとえ他の細菌の存在下であっても、細菌DNA又は細菌RNAが、特定の細菌種の存在又は不在を評価するために検定することができる。しかしながら、特定の細菌の存在を検出する能力は、少なくとも部分的に、分析される試料中の細菌の濃度に依存する。細菌試料は、検出に十分な濃度を確保するため、試料中の細菌の数を増加させるために(平板)培養(plated or cultured)されるが、この培養工程はしばしば時間がかかり、よって評価結果を顕著に遅らせることがある。
【0005】
試料中の細菌を濃縮することで、培養時間を短縮することができ、培養の工程の必要を排除することすら可能になる。よって、菌株に特異的な抗体を使用することによって、特定の細菌株を分離する(及びこれにより濃縮する)ための方法が開発されている(例えば、抗体をコーティングした磁石又は非磁石粒子の形態で)。しかしながらこのような方法は高価になり、少なくとも一部の診断用途に望まれるよりも依然としてやや遅い傾向がある。
【0006】
菌株特異的でない濃縮方法も使用されている(例えば、試料に存在する微生物のより総合的な評価を得るため)。混合した微生物群を濃縮した後、望ましい場合は、菌株特異的な精査を用いることによって特定の菌株の存在を判定することができる。
【0007】
微生物の非特異的な濃縮又は捕捉は、炭水化物とレクチンタンパク質との相互作用に基づいた方法によって達成されている。非特異的捕捉装置としてキトサンコーティングされた支持体が使用され、微生物の栄養素の役目を果たす物質(例えば、炭水化物、ビタミン、鉄キレート化合物、及びシデロホア)が、微生物の非特異的捕捉を提供するための配位子として有用であることも記述されている。
【0008】
さまざまな無機物質(例えばヒドロキシアパタイト及び金属水酸化物)が、細菌に非特異的に結合しこれを濃縮するために使用されている。非特異的な捕捉のためには、無機結合剤を使用する及び/又は使用しない、物理的な濃縮方法(例えば濾過、クロマトグラフィー、遠心分離、及び重力沈殿)も利用されている。このような非特異的な濃縮方法は、速度、費用(少なくとも一部のものは高価な装置、材料、及び/又は訓練を受けた技術者が必要になる)、試料要件(例えば、試料の性質及び/又は量の制限)、空間的要件、使用の容易さ(少なくとも一部のものは複雑な複数の工程のプロセスを必要とする)、現場使用の適合性、及び/又は高価の点においてさまざま異なっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
よって我々は、病原微生物を迅速に検出するためのプロセスに対する切迫したニーズがあると認識している。このようなプロセスは、好ましくは迅速なだけでなく、コストが安く、単純であり(複雑な機器又は手順の必要がない)、及び/又はさまざまな条件下で有効である(例えば、さまざまなタイプの試料マトリックスで使用でき、細菌の量が変わっても、及び試料の量が変わっても、使用できる)。
【0010】
簡単に言えば、1つの態様において、本発明は、試料中に存在する微生物株(例えば細菌、真菌類、酵母、原生動物、ウイルス(非エンベロープ型ウイルス及びエンベロープ型ウイルスの両方を含む)、及び細菌内生胞子)を、その微生物が生存性のまま1つ以上の株の検出又は検定を行えるように、非特異的に濃縮するプロセスを提供する。このプロセスは、(a)γ−FeO(OH)(別名レピドクロサイト)を含む粒子濃縮剤を提供すること、(b)少なくとも1種類の微生物株を含む流動体試料を提供すること、(c)その濃縮剤を試料と(好ましくは混合により)接触させることにより、濃縮剤の少なくとも一部分が試料中に分散し、少なくとも1種類の微生物株の少なくとも一部分がその濃縮剤に結合又は捕捉されることを含む。好ましくは、このプロセスは更に、少なくとも1つの結合した微生物株の存在を検出すること(例えば、培養による方法、顕微鏡/画像手法、遺伝子学的方法、生物発光による方法、又は免疫学的検出方法)、及び/又は結果として得られた微生物結合濃縮剤を凝離すること(好ましくは重力沈殿により)を含む。このプロセスは所望により更に、結果として得られた凝離濃縮剤を試料から分離することを含む。
【0011】
本発明のプロセスは、特定の微生物株を標的とするものではない。むしろ、或る比較的安価な無機物質が、さまざまな微生物の捕捉に驚くべきほど有効であり得ることが見出されている。このような物質は、試料中(例えば食品試料)に存在する微生物株を、株特異性ではない状態で濃縮するのに使用することができるため、1種類以上の微生物株(好ましくは1種類以上の細菌株)をより容易かつ迅速に検定することができる。
【0012】
本発明のプロセスは比較的単純かつ低コストであり(複雑な装置又は高価な株特異性物質を必要としない)、比較的迅速であり得る(好ましい実施形態は、濃縮剤のない対応する対照試料に比べ、試料中に存在する微生物の少なくとも約70パーセント(より好ましくは少なくとも約80パーセント、最も好ましくは少なくとも約90パーセント)を約30分以内に捕捉する)。加えて、このプロセスはさまざまな微生物(グラム陽性菌とグラム陰性菌の両方などの病原体を含む)及びさまざまな試料に(さまざまな試料マトリックスを含み、しかも少なくとも一部の従来技術とは違って、微生物含有量が少ない試料及び/又は大量の試料であっても)有効であり得る。よって、本発明のプロセスの少なくともいくつかの実施形態は、さまざまな状況下で病原微生物を迅速に検出するための低コストで単純なプロセスに対する、上述のような緊迫したニーズに対応することができる。
【0013】
別の態様において、本発明は、本発明のプロセスを実施するのに使用するための診断キットも提供し、このキットは(a)γ−FeO(OH)を含む粒子濃縮剤、(b)試験容器(好ましくは滅菌済み試験容器)、及び(c)本発明のプロセスを実施する際の濃縮剤使用に関する説明書を含む。好ましくは、この診断キットは更に、微生物培地、溶解試薬、緩衝液、並びに遺伝子学的及び生物発光検出検定の構成要素から選択される、1つ以上の構成要素を含む。
【0014】
更に別の態様において、本発明は(a)最大寸法が1マイクロメートル未満の針状結晶を含む微粒子凝集体を含む、少なくとも1種類の酸化鉄又はオキシ水酸化鉄を含む粒子濃縮剤を提供し、(b)少なくとも1種類の微生物株を含む流動体試料を提供し、並びに(c)その濃縮剤を試料と(好ましくは混合により)接触させることにより、濃縮剤の少なくとも一部分が試料中に分散し、少なくとも1種類の微生物株の少なくとも一部分がその濃縮剤に結合又は捕捉されることを含むプロセスを提供する。
【0015】
また別の態様において、本発明は更に、(a)最大寸法が1マイクロメートル未満の針状結晶を含む微粒子凝集体を含む、少なくとも1種類の酸化鉄又はオキシ水酸化鉄を含む粒子濃縮剤、(b)試験容器、及び(c)請求項1のプロセスを実施する際の濃縮剤使用に関する説明書を含むキットを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
本特許出願で使用される場合、
「試料」とは、(例えば分析のために)採取される材質又は物質を意味する。
【0017】
「試料マトリックス」とは、試料の微生物以外の構成成分を意味する。
【0018】
「検出」とは、微生物の少なくとも構成要素の同定を意味し、これによりその微生物が存在すると判定される。
【0019】
「一般的検出」とは、標的微生物に由来するDNA又はRNAなどの一般的物質の構成要素の同定を意味する。
【0020】
「免疫学的検出」とは、標的微生物に由来するタンパク質又はプロテオグリカンなどの抗原性物質の同定を意味する。
【0021】
「微生物」とは、分析又は検出に適する一般的物質を有する細胞を意味する(例えば、細菌、酵母、ウイルス、及び細菌内生胞子を含む)。
【0022】
「微生物株」とは、或る検出方法によって区別可能な特定のタイプの微生物を意味する(例えば、異なる属、属内の異なる種、又は種内の異なる分離株)。
【0023】
「標的微生物」とは、検出したい微生物を意味する。
【0024】
濃縮剤
本発明のプロセス実施における使用に好適な濃縮剤には、γ−FeO(OH)(別名レピドクロサイト)を含む特定の濃縮剤が含まれる。このような濃縮剤は、グラム陰性菌(食品媒介及び水媒介の疾患及び人間の細菌感染に関して最大の懸念である微生物)を捕捉する他の鉄含有濃縮剤よりも驚くべきほど効果的であることが見出されている。濃縮剤は更に、(γ−FeO(OH)に加えて)他の構成成分(例えばベーマイト(α−AlO(OH))、粘土、酸化鉄、及び酸化ケイ素)を含み得るが、好ましくはそのような他の構成要素は、本発明のプロセス実施の際に、試料と濃縮剤との密接な接触を顕著に阻害しない。よって、濃縮剤は好ましくは、本質的にγ−FeO(OH)を含む。
【0025】
このような濃縮剤を使用した濃縮又は捕捉は一般的に特定の株、種、又は微生物のタイプに対して特異的ではなく、よって、試料内の微生物の全体的な個体群の濃縮を提供する。次に、株特異的精査を伴う任意の既知の検出方法を用いて、捕捉された微生物群の中から、微生物の具体的な株を検出することができる。よって、この濃縮剤は、医療、食品、環境、又はその他の試料における微生物汚染又は病原体(特に細菌などの食品媒介病原体)の検出に使用することができる。
【0026】
γ−FeO(OH)は既知の物質であり、周知の方法によって化学的に合成することができる(例えば、米国特許第4,729,846号(マツイら(Matsui et al.))(この記述は参考として本明細書に組み込まれる)で磁気テープ製造の目的のために記述されているように、中性又は弱酸性pHにおいて水酸化第一鉄の酸化によって合成できる)。γ−FeO(OH)はまた、市販のものが入手できる(例えば、マサチューセッツ州ウォードヒルのジョンソン・マッセイ社(Johnson Matthey Company)の一企業であるアルファ・エイサー社(Alfa Aesar)及びミズーリ州セントルイスのシグマ・アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Corporation))。
【0027】
本発明のプロセス実施において、この濃縮剤は特定の形態で使用され、より好ましくは微粒子(好ましくは粒径(最大寸法)が約3マイクロメートル(より好ましくは約5マイクロメートル、最も好ましくは約10マイクロメートル)〜約100メートル(より好ましくは約80マイクロメートル、更に好ましくは約50マイクロメートル、最も好ましくは約35マイクロメートルで、ここで任意の下限を範囲の任意の上限と組み合わせることができる)の範囲である。好ましくは、この粒子は小さな粒子の凝集体である。この粒子は好ましくは、寸法が約1マイクロメートル未満(好ましくは寸法が約0.5マイクロメートル未満)のクリスタライトを含む。クリスタライトは、針状結晶クリスタライトとして、針状クリスタライトを含むいかだ状構造として、又は針状クリスタライトといかだ状構造との組み合わせとして、存在し得る。濃縮剤は好ましくは、BET(ブルナウアー・エメット・テラー(Brunauer-Emmett-Teller))法(窒素ガス分子の物理的吸着による固体の表面積計算)によって測定される表面積が、1グラム当たり約25平方メートル(m/g)を超え、より好ましくは約50m/gを超え、最も好ましくは約75m/gを超える。
【0028】
好ましい粒子凝集体は、微粒子にしばしば伴う取扱い及びその他の危険性なしに、微粒子系の吸着機能を提供することができる。更に、そのような凝集体粒子は容易に流体中に沈殿させることができ、これにより流体相からの迅速な微生物分離が得られる(同時に、濾過適用に使用する際には背圧が低くて済む)。
【0029】
そのような凝集体構造は、微小な構成要素クリスタライトの調製を含むいくつかの方法によって、鉄含有の酸化物又はオキシ水酸化物粒子中に誘導され得る。一般に、針鉄鋼形態及びレピドクロサイト形態の両方の微細オキシ水酸化鉄は、水酸化第一鉄又は炭酸第一鉄の空気中酸化によって生成することができる。レピドクロサイトがより好ましい形態であり、低いpHを維持した状態(例えば、約pH3〜約pH5)で水酸化第一鉄又は炭酸第一鉄の空気中酸化によって生成することができる。pH値が高くなると、針鉄鋼形態に誘導され得る。これにより得られる微小クリスタライトは、酸化中の攪拌速度が低いときには(例えば磁気攪拌)、望ましい凝集形態へと自発的に凝集し得る。微小クリスタライトが、合成後に凝集形態にならないままの場合は、粒子分散液をスプレー乾燥して、乾燥後(例えば約90〜150℃で)に凝集体形態に維持され得るような凝集体を形成することができる。
【0030】
試料
本発明のプロセスは、医療、環境、食品、飼料、臨床、及び検査室の試料、及びこれらの組み合わせを含みこれらに限定されない、さまざまなタイプの試料に適用することができる。医療又は獣医試料には、例えば、臨床診断のために検査される生物源(例えばヒト又は動物)から得た細胞、組織、又は流体が含まれる。環境試料は、例えば、医療機関又は獣医機関、産業用設備、土壌、水源、食品調理領域(食品接触及び非接触領域)、検査室、又はバイオテロリズムの対象になり得る領域から得たものであり得る。食品の加工、取扱い、及び調理領域の試料は、細菌病原菌による食品供給汚染に関する懸念が特にしばしばあるため、より好適である。
【0031】
本発明のプロセスにおいては、試料は流体の形態で使用される(例えば、液体、気体、又は液体若しくは気体中の固体若しくは液体の分散物若しくは懸濁物)。例えば、液体の形態で得られる試料、又は液体中の固体の分散液又は懸濁液の形態で得られる試料は、直接使用することができ、あるいは濃縮して(例えば遠心分離により)又は希釈して(例えば緩衝(pH調整済み)溶液の追加により)使用することができる。固体又は半固体の試料は、例えば、流動体媒質(例えば緩衝液)で洗浄若しくはすすぎ、又はその中に懸濁若しくは分散させることにより抽出することができ、これによりプロセスに使用するための流動体試料を形成することができる。試料は表面から(例えばスワブ拭き取り及び/又はすすぎにより)採取することができる。
【0032】
本発明のプロセスを実施するのに(直接に、又は流動体試料を供給するための処理後に)使用できる試料の例としては、食品(例えば、生鮮農産物又はそのまま食べる昼食若しくは「調理済み」食肉)、飲料(例えばジュース又は炭酸飲料)、飲料水、並びに生物学的流動体(例えば全血、又は血漿、血小板の豊富な血液分画、血小板濃縮物、圧縮した赤血球などの血液構成成分;細胞調製物(例えば細胞分散液、骨髄吸引物、又は脊椎骨髄);細胞懸濁液;尿、唾液、及びその他の体液;骨髄;肺水;脳液;外傷滲出物;外傷生検試料;眼内液;脊髄液;その他同様物)が挙げられ、また溶解緩衝液の使用などの手順を使用して形成することができる細胞可溶化物などの溶解調製物、並びに同様物が挙げられる。好ましい試料としては、食品、飲料、飲料水、生物学的流動体、及びこれらの組み合わせが挙げられる(食品、飲料、飲料水、及びこれらの組み合わせが更に好ましい)。
【0033】
試料の量は、個々の用途に応じて異なり得る。例えば、本発明のプロセスが診断又は研究用途に使用される場合、試料の量は通常、マイクロリットルの範囲であり得る(例えば10μL以上)。プロセスが食品病原体試験検査又は飲料水安全性試験のために使用される場合、試料の量は通常、ミリリットル〜リットルの範囲であり得る(例えば100ミリリットル〜3リットル)。例えばバイオプロセス又は製剤処方などの産業用途においては、この量は何万リットルであることがある。
【0034】
本発明のプロセスは、濃縮状態の試料から微生物を分離し、更に、使用される検出手順を阻害し得る試料マトリックス構成成分から微生物を分離することも可能にする。これらすべての場合において、本発明のプロセスは、他の微生物濃縮方法に追加して、又はその代わりに、使用することができる。よって、所望により、追加の濃縮が望ましい場合には、本発明のプロセス実施の前又は後に試料からの培養を行うことができる。
【0035】
接触
本発明のプロセスは、分散液を形成するため2つの物質の間に接触をもたらす、さまざまな既知の方法又は今後開発される方法によって実施することができる。例えば、微粒子濃縮剤を試料に加えることができ、又は試料を微粒子濃縮剤に加えることができる。試料溶液に、粒子濃縮剤を含有するスパチュラ又はディップスティック、又はその他の物品を浸すこと、試料溶液を、粒子濃縮剤を含有するフィルムの上に注ぐこと、又は、試料溶液を、粒子濃縮剤を含む試験管又はウェルに注ぐこと、又はその他同様のことが可能である。すべての場合において、粒子濃縮剤の少なくとも一部分が試料中に分散される。
【0036】
しかしながら好ましくは、粒子濃縮剤と試料は、(任意の追加順序を用いて)さまざまな任意の容器(所望により、しかしながら好ましくは、キャップ付き、閉鎖、又は密閉された容器であり、より好ましくは、キャップ付きの試験管、瓶、又は広口瓶である)内に、合わせて入れられる。本発明のプロセスを実施する際の使用に好適な容器は、個々の試料によって決定され、量及び性質により大きく異なり得る。例えば、容器は10マイクロリットル容器(例えば試験管)などの小さいものであり得、又は100ミリリットルから3リットル容器(例えば三角フラスコ又はポリプロピレン製広口瓶)などの大きいものであり得る。容器、濃縮剤、及び試料に直接接触するその他の器具又は添加剤は、使用前に滅菌することができ(例えば、制御された熱、エチレンオキシドガス、過酸化水素、又は放射線によって)、これにより検出エラーを起こし得る試料の汚染を低減又は防ぐことができる。特定の試料の微生物を捕捉又は濃縮するための、検出を成功させるのに十分な濃縮剤の量は、場合によって異なり(例えば、濃縮剤の性質及び形態並びに試料の量に依存する)、当業者によって容易に決定できる。例えば、一部の用途については、試料ミリリットル当たり、10ミリグラムの濃縮剤が有用であり得る。
【0037】
望ましい場合は、試料の中に少なくとも1回、粒子濃縮剤を通過させることによって(例えば、約10分間にわたって重力沈殿に依存することによって)、接触を効果的にすることができる。接触は、混合によって(例えば攪拌、振盪、又は揺動プラットフォームによって)強化することができ、これにより濃縮剤の粒子が試料の大部分を通って繰り返し通過又は沈殿することができる。マイクロリットルの桁の少量(典型的には0.5マイクロリットル未満)の場合、混合は、例えば米国特許第5,238,812号(コールター(Coulter)ら)(この記述は参考として本明細書に組み込まれる)に記述されているように、渦動又は「転動(nutation)」などの急速なものであり得る。0.5ミリリットル以上の桁の、より大量(典型的には0.5ミリリットル〜3リットル)の場合、混合は、例えば米国特許第5,576,185号(コールター(Coulter)ら)(この記述は参考として本明細書に組み込まれる)に記述されているように、粒子濃縮剤及び試料を「上下転倒」させる方法で穏やかに混転することにより達成できる。このような混転は、例えば、試験管又は他のタイプの反応容器を支えるよう構成された装置を用い、その試験管又は容器を「上下転倒」させる方法でゆっくりと回転させて達成することができる。接触は、望むだけの時間、実施することができる(例えば、試料量が約100ミリリットル以下の場合、最高約60分間の接触が有用であり得、好ましくは、約15秒〜約10分又はそれ以上、より好ましくは、約15秒〜約5分の接触が有用であり得る)。
【0038】
よって、本発明のプロセス実施において、混合(例えば攪拌、揺動、又はかき混ぜ)及び/又は培養(例えば周囲温度で)は随意ではあるが、濃縮剤との接触で微生物を増加させるために好ましい。好ましい接触方法には、生物含有流動体試料を粒子濃縮剤と混合すること(例えば、約15秒〜約5分)と、培養すること(例えば約3分〜約30分)との両方が含まれる。望ましい場合は、1つ以上の添加剤(例えば溶解試薬、生物発光検定試薬、核酸捕捉試薬(例えば磁石ビーズ)、微生物用培地、緩衝液(例えば固体試料の分散又は抽出)、微生物染色試薬、洗浄用緩衝液(例えば、結合していない物質を洗い流すため)、溶出試薬(例えば血清アルブミン)、界面活性剤(例えば、テキサス州ヒューストンのユニオン・カーバイド・ケミカルズ・アンド・プラスティックス(Union Carbide Chemicals and Plastics)社から販売されているトリトン(Triton)(商標)X−100非イオン系界面活性剤)、機械的磨耗/溶出試薬(例えばガラスビーズ)、及び同様物)が、濃縮剤及び試薬の組み合わせ内に含まれ得る。
【0039】
凝離及び/又は分離
所望により、しかしながら好ましくは、本発明のプロセスは、結果として得られた微生物結合の濃縮剤の凝離を更に含む。好ましくはこのような凝離は、少なくとも部分的に、重力沈殿(重力沈降;例えば、約5分間〜約30分間にわたって)に依存することによって達成することができる。しかしながらいくつかの場合において、凝離を促進すること(例えば遠心分子又は濾過によって)又は任意の凝離方法の組み合わせを使用することが望ましいことがある。
【0040】
本発明のプロセスは、所望により、結果として得られた微生物結合の濃縮剤と試料の分離を更に含む。これには、凝離により生じた上澄みの除去又は分離を含み得る。上澄みの分離は、当該技術分野において周知の数多くの方法によって実施することができる(例えば、上澄みを注ぎ出し又は吸い上げることによって、プロセスを実施するのに使用した容器又は管の底に、微生物結合の濃縮剤を残すことができる)。
【0041】
本発明のプロセスは、手動により(例えばバッチ単位による方法で)実施することができ、又は(例えば、連続的又は準連続的処理を実現して)自動化することができる。
【0042】
検出
本発明のプロセスを用いて、さまざまな微生物を濃縮すること及び、所望により、しかしながら好ましくは、検出することができ、これには例えば、細菌、真菌類、酵母、原生動物、ウイルス(非エンベロープ型ウイルス及びエンベロープ型ウイルスの両方を含む)、細菌内生胞子(例えばバチルス(炭疽菌、セレウス菌、及び枯草菌を含む)及びクロストリジウム(ボツリヌス菌、クロストリジウム・ディフィシル、及びウェルシュ菌))、並びに同様物、並びにこれらの組み合わせが挙げられる(好ましくは、細菌、酵母、真菌類、ウイルス、細菌内生胞子、及びこれらの組み合わせであり、更に好ましくは、細菌、酵母、ウイルス、細菌内生胞子、及びこれらの組み合わせであり、更により好ましくは、グラム陰性菌、グラム陽性菌、非エンベロープ型ウイルス(例えばノロウイルス、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、ライノウイルス、及びこれらの組み合わせ)、細菌内生胞子、及びこれらの組み合わせであり、最も好ましくは、グラム陰性菌及びこれらの組み合わせである。このプロセスは、病原体の検出における有用性を有し、これは食品安全性又は医療、環境、若しくはテロ対策の理由から非常に重要であり得る。このプロセスは、病原菌(例えばグラム陰性菌とグラム陽性菌の両方)、並びにさまざまな酵母、カビ、及びマイコプラズマ(及びこれらの任意の組み合わせ)の検出に特に有用であり得る。
【0043】
検出される標的微生物の属には、リステリア属、大腸菌属、サルモネラ属、カンピロバクター属、クロストリジウム属、ヘリコバクター属、マイコバクテリウム属、シゲラ属、ブドウ球菌属、腸球菌属、バチルス属、ナイセリア属、シゲラ属、連鎖球菌属、ビブリオ属、エルシニア属、ボルデテラ属、ボレリア属、シュードモナス属、サッカロミケス属、カンジダ属、及び同様物、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。試料には複数の微生物株が含まれることがあり、任意の株を、他の株とはは独立に検出することができる。検出の標的となり得る具体的な微生物には、大腸菌、腸炎エルシニア菌、エルシニア仮性結核菌、コレラ菌、腸炎ビブリオ菌、ビブリオ・バルニフィカス菌、リステリア・モノサイトゲネス、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、サッカロマイセス・セレヴィシエ、カンジダ・アルビカンス、ブドウ球菌エンテロトキシン亜種、セレウス菌、炭疽菌、バチルス・アトロファエウス、枯草菌、ウェルシュ菌、ボツリヌス菌、クロストリジウム・ディフィシル、エンテロバクター・サカザキ、緑膿菌、及び同様物、並びにこれらの組み合わせ(好ましくは、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、カンジダ・アルビカンス、バチルス・アトロファエウス、枯草菌、大腸菌、大腸菌バクテリオファージがサロゲートであるヒト感染性非エンベロープ型腸内ウイルス、及びこれらの組み合わせ)が挙げられる。
【0044】
濃縮剤によって捕捉又は結合した(例えば吸着によって)微生物は、現在知られている、又は今後開発される任意の望ましい方法によって本質的に検出することができる。このような方法には、例えば、培養による方法(時間が許す場合は好ましいことがある)、顕微鏡(例えば透過光型顕微鏡又は落射蛍光顕微鏡(蛍光染料で標識した微生物を可視化するのに使用できる))、及びその他の画像手法、免疫学的検出方法、及び遺伝子学的検出方法が挙げられる。微生物捕捉後の検出プロセスは、所望により、試料マトリックス構成成分を除去するための洗浄が含まれる。
【0045】
免疫学的検出は、標的生物に由来する抗原物質の検出であり、これは一般的に、細菌又はウイルス粒子の表面にあるマーカーとして作用する生物学的分子(例えばタンパク質又はプロテオグリカン)である。抗原物質の検出は通常、抗体によって行うことができる。抗体は、例えばファージディスプレイなどのプロセスによって選択されたポリペプチド、又はスクリーニングプロセスから得られたアプタマーである。
【0046】
免疫学的検出方法は周知であり、例えば免疫沈降及び酵素結合免疫吸着検定(ELISA)が挙げられる。抗体結合は、さまざまな方法で検出することができる(例えば、一次抗体又は二次抗体のいずれかを、蛍光染料で、量子ドットで、又は化学発光若しくは着色基質を生成できる酵素で標識し、プレートリーダー又はラテラルフロー装置のいずれかを用いる)。
【0047】
検出はまた、遺伝子学的検定法(例えば核酸のハイブリダイゼーション又はプライマーを用いた増幅)によって実行することができ、これがしばしば好ましい方法である。捕捉又は結合された微生物は溶解され、検定に利用できる遺伝子学的物質を供給する。溶解方法は周知であり、これには例えば、音波処理、浸透性ショック、高温処理(例えば約50℃〜約100℃)、及び酵素(リゾチーム、グルコラーゼ、チモラーゼ(zymolose)、リチカーゼ、プロテイナーゼK、プロテイナーゼE、及びウイルスエンドリシン類(enolysins))と共にインキュベーションすることが挙げられる。
【0048】
一般的に使用されている遺伝子学的検出検定法の多くは、DNA及び/又はRNAを含む、具体的な微生物の核酸を検出する。遺伝子学的検出方法に使用される条件の厳密性は、検出される核酸配列の変異レベルに相関する。塩濃度及び温度の条件が非常に厳しいと、標的の正確な核酸配列の検出が制限され得る。よって、標的核酸配列に小さな変異を有する微生物株は、非常に厳しい遺伝子学的検定法を使用して区別することができる。遺伝子学的検出は、核酸ハイブリダイゼーションに基づいて行われ、ここにおいて一本鎖核酸プローブが微生物の変性核酸にハイブリッド化して、プローブ鎖を含む二本鎖核酸が生成される。当業者は、ゲル電気泳動、細管式電気泳動、又はその他の分離方法の後でハイブリッドを検出するための、放射性、蛍光、及び化学発光標識などのプローブ標識について熟知するであろう。
【0049】
特に有用な遺伝子学的検出方法は、プライマーを用いた増幅に基づくものである。プライマーを用いた核酸増幅方法には、例えば、熱サイクル方法(例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、及びリガーゼ連鎖反応(LCR)、並びに等温方法及び鎖置換増幅(SDA)(及びこれらの組み合わせ、好ましくはPCR又はRT−PCR)が挙げられる。増幅された生成物を検出する方法は、例えばゲル電気泳動分離及び臭化エチジウム染色、並びに生成物中に組み込んだ蛍光標識又は放射性標識の検出が含まれ、これらに限定されない。増幅生成物の検出前に分離工程を必要としない方法(例えば、リアルタイムPCR又はホモジニアス検出法)も使用することができる。
【0050】
生物発光検出法は周知であり、例えば、米国特許第7,422,868号(ファン(Fan)ら)(この記述は参考として本明細書に組み込まれる)に記述されているものを含むアデノシン(adensosine)三リン酸(ATP)検出方法が挙げられる。
【0051】
本発明のプロセスは株特異性ではないため、同じ試料内で、複数の微生物株を検定のための標的にすることができる、一般的な捕捉システムを提供する。例えば、食品試料の汚染について検定を行う場合、同じ試料内でリステリア・モノサイトゲネス、大腸菌、及びサルモネラの全部について試験を行うことが望ましいことがあり得る。捕捉工程を1回行い、次に例えば、これら微生物株それぞれの、異なる核酸配列を増幅するための固有プライマーを使用して、PCR又はRT−PCR検定を行うことができる。よって、各株について別々の試料取扱い及び調製手順を行う必要を回避することができる。
【0052】
診断キット
本発明のプロセスを実施する際に使用するための診断キットは、(a)上述の濃縮剤、(b)試験容器(好ましくは滅菌試験容器)、(c)本発明のプロセス実施における濃縮剤使用のための説明書を含む。好ましくは、この診断キットは更に、微生物培養媒体又は培地、溶解試薬、緩衝液、生物発光検出検定構成要素(例えば照度計、溶解試薬、ルシフェラーゼ酵素、酵素基質、反応緩衝液、その他同様物)、遺伝子学的検出検定構成要素、及びこれらの組み合わせから選択された1つ以上の構成要素を含む。好ましい溶解試薬は、緩衝液中に供給された溶解酵素であり、好ましい遺伝子学的検出検定構成要素には、標的微生物に固有の1つ以上のプライマーが含まれる。
【0053】
例えば、本発明の診断キットの好ましい実施形態には、粒子濃縮剤(例えば、ガラス製又はポリプロピレン製バイアルなどの滅菌使い捨て容器入り)に、本発明のプロセス実施における前記薬剤使用のための説明書(例えば、濃縮剤と、分析する流動体試薬とを混合し、この濃縮剤を重力によって沈殿させ、その結果生じた上澄みを除去し、濃縮剤に結合した少なくとも1種類の標的微生物株の存在を検出すること)を組み合わせたものが含まれる。濃縮剤は所望により、防腐剤を含んだ少量の緩衝液で水和させ、これにより保管及び輸送中の安定性を高めることができ、並びに/又は破って開けるタイプの密閉パウチに入れ/分包し、汚染を防ぐことができる。濃縮剤は液体中の分散液又は懸濁液の形態であり得、又は粉末形態であり得る。好ましくは、診断キットには、粒子濃縮剤をあらかじめ計量した分包(例えば、試料量に応じて)が含まれる(例えば1つ以上の破って開けるタイプの密閉パウチ)。
【実施例】
【0054】
本発明の目的及び利点は、下記の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に本発明を過度に制限するものと解釈すべきではない。
【0055】
材料
アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)(マサチューセッツ州ウォードヒルのジョンソン・マッセイ社(Johnson Matthey Company)の一企業)から、γ−FeO(OH)(60メッシュ粉末、直径250マイクロメートル未満、カタログ番号17531)、Fe(粉末、カタログ番号10716)、及びFe(粉末)が購入された。シグマ・アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Corporation)(カタログ番号40,086−6、ミズーリ州セントルイス)から、FeO(10メッシュ粉末、直径2mm未満)が購入された。微生物ストック培養物は、ザ・アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(The American Type Culture Collection)(ATCC、バージニア州マナサス)から購入された。
【0056】
各鉄含有粉末の試料は、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して検査した。Fe試料は主に、ブロック状、針状、虫状の結晶を含み、最小の結晶は寸法が約5マイクロメートルであり、最大のものは第一寸法が約44〜45マイクロメートルであることが見出された。虫状の結晶は、マイクロメートル未満の均一の穴があいた、低傾角粒界で結合した小さな結晶を含んでいた。
【0057】
Fe粒子はFe粒子に非常に似た寸法及び形状であり、ただしFe粒子試料には大きな(約50〜70マイクロメートル)のブロック状、虫状結晶の凝集体がより高い割合で含まれていた。
【0058】
γ−FeO(OH)試料は、より小さな粒子の凝集体を含み、この凝集体の寸法は約10マイクロメートルをわずかに下回る程度〜約60マイクロメートルの範囲であった。凝集体内の小さな粒子は一般に、針状で長さが約0.25〜0.75マイクロメートル、他の2方向の寸法が約0.05〜約0.25マイクロメートルである更に小さな粒子のクラスターを含んでいた。いくつかの場合において、針状結晶は、より大きな、約0.5マイクロメートル〜約1マイクロメートルのいかだ状構造に凝集していた。これらのいかだ状構造は、同様に凝集してより大きなクラスターになっていた。
【0059】
FeO試料は大きな粒子(例えば、寸法が約150マイクロメートルを超える)及び小さな粒子(例えば、寸法が約10マイクロメートル未満)を含んでいた。試料の大半は、約30〜70マイクロメートルの粒子として存在していた。粒子は多結晶質ではないように見受けられた。
【0060】
BET(ブルナウアー・エメット・テラー(Brunauer-Emmett-Teller))法による表面測定
約0.1〜1.0gの濃縮剤を直径1.3センチメートル(0.5インチ)の試験管(ジョージア州ノークロスのマイクロメトリックス社(Micromeritics, Inc.)から販売)に移し、マイクロメトリックス社から購入したシステム(商品名VACPREP 061)を使用して少なくとも一晩、110℃で、減圧下(0.13Pa(10mTorr)又は1.5Pa(0.015mbar)未満)で脱気した。脱気後、濃縮剤を減圧下、周囲温度(すなわち20℃〜25℃)で10分間冷まし、次に、マイクロメトリックス社から商品名TRISTAR 3000として市販されている表面積・多孔性測定器に搭載した。
【0061】
約0から始まり約0.3までの相対的圧力(P/P)での8点吸着等温曲線が設定された(標的圧力及び点については下の表を参照)。最初の「圧力固定用量」も最大量増分も設定されなかった。「絶対的圧力許容誤差」は667Pa(5mm Hg)に設定され、「相対的圧力許容誤差」5.0パーセントに設定された。「急速排出」オプションは使用せず、120秒漏れ試験が実施された。測定器の液体窒素デュアー瓶を下げて(すなわち、濃縮剤は液体窒素内にない状態)、0.1時間の排出時間を実施してから、自由空間測定を行った。自由空間測定後、除気試験を180秒間実施した。デュアー瓶を上げて分析を行った(すなわち、濃縮剤の入った試験管が液体窒素内にある状態)。77.350K(液体窒素の温度)で、Pが最初に測定され、分析中に120分間間隔で(必要に応じて)測定された。窒素ガスについての標準Pstat対温度の表を使用して、ガス吸着特性を、以下の値に設定した:非理想性係数(non-ideality factor)0.0000620、密度換算率0.0015468、分子の断面積0.162nm。BET吸着表面積は、8点吸着等温曲線中の、各相対圧力でのN吸着量に基づいて計算された。
【0062】
次の表は、分析に使用された圧力及び点を示す。
【0063】
【表1】

【0064】
結果として得られたBET表面積は81.43m/g(γ−FeO(OH))、1.64m/g(Fe)、及び1.74m/g(Fe)であった。
【0065】
微生物濃縮試験方法
単離した微生物コロニーを、5mLのBBL(商標)トリプチケース(Trypticase)(商標)ソイブロス(Soy Broth)(ベクトン・ディッキンソン社(Becton Dickinson)、メリーランド州スパークス)に接種し、37℃で18〜20時間インキュベートした。この1mL当たり約10コロニー形成単位の一晩培養物を、pH7.2の吸着緩衝液(5mM KCl、1mM CaCl、0.1mM MgCl、及び1mM KHPOを含む)で希釈し、希釈液1mL当たり10の微生物を得た。体積1.1mLの微生物希釈液を、10mgの濃縮剤が入った、分離、ラベル付け、滅菌済みの5mLのポリプロピレン試験管(BDファルコン(Falcon)(商標)、ベクトン・ディッキンソン社(Becton Dickinson)、ニュージャージー州フランクリンレークス)に加え、それぞれにキャップをして、サーモライン・マキシミックス・プラス(Thermolyne Maximix Plus)(商標)渦流ミキサー(バーンステッド・インターナショナル社(Barnstead International)、アイオワ州)上で混合した。キャップをした各試験管を、サーモライン・ヴァリ・ミックス(商標)振盪器プラットフォーム(バーンステッド・インターナショナル社(Barnstead International)、アイオワ州)上で、室温(25℃)にて15分間インキュベートした。インキュベーション後、各試験管を10分間実験台の上に静置し、濃縮剤を沈殿させた。濃縮剤を含まない1.1mLの微生物希釈液が入った対照試料試験管を、同じように処理した。結果として得られた沈殿した濃縮剤及び/又は上澄み液(及びその対照試料)を次に分析に使用した。
【0066】
沈殿した濃縮剤を、メーカーの指示に従い、1mLの滅菌バターフィールド(Butterfield’s)緩衝液(pH7.2±0.2、リン酸一カリウム緩衝液、VWRカタログ番号83008−093、VWR社、ペンシルバニア州ウェストチェスター)に再び懸濁させ、3M(商標)ペトリフィルム(Petrifilm)(商標)エアロビック・カウント・プレート(Aerobic Count Plates)培地(ドライ、脱水可能、3M社、ミネソタ州セントポール)上で培養した。3M(商標)ペトリフィルム(Petrifilm)(商標)プレートリーダー(Plate Reader)(3M社、ミネソタ州セントポール)を使用して、好気性菌計数が定量された。結果は次の式を用いて計算された:
再懸濁された濃縮剤中のCFU/mLパーセンテージ=
(培養された再懸濁濃縮剤からのコロニー数)/(培養された未処理対照試料からのコロニー数)×100
(式中、CFU=コロニー形成単位であり、これは生きている又は生存性微生物の単位である)。
【0067】
次に、下の式を用いて、濃縮剤による微生物捕捉のパーセンテージについて結果が報告された:
捕捉効率又は捕捉パーセンテージ=再懸濁濃縮剤中のCFU/mLパーセンテージ
比較のため、少なくともいくつかの場合において、1mLの上澄みを除去し、未希釈、又は1:10の割合でバターフィールド(Butterfield’s)緩衝液で希釈し、3M(商標)ペトリフィルム(Petrifilm)(商標)エアロビック・カウント・プレート(Aerobic Count Plates)培地上で培養した。3M(商標)ペトリフィルム(Petrifilm)(商標)プレートリーダー(Plate Reader)(3M社、ミネソタ州セントポール)を使用して、好気性菌計数が定量された。結果は次の式を用いて計算された:
上澄み中のCFU/mLパーセンテージ=
(培養された上澄みからのコロニー数)/(培養された未処理対照試料からのコロニー数)×100
(式中、CFU=コロニー形成単位であり、これは生きている又は生存性微生物の単位である)。
【0068】
微生物コロニー及び濃縮剤の色が似ている場合(プレートリーダーでのコントラストが少なくなる)、結果は上澄みに基づいて得られ、下の式を使用して濃縮剤による微生物の捕捉パーセンテージに関して報告を行った:
捕捉効率又は捕捉パーセンテージ=100−上澄み中のCFU/mLパーセンテージ
実施例1及び比較例1〜3
上述の微生物濃縮試験方法を使用して、標的微生物としてグラム陰性菌であるネズミチフス菌(Salmonella enterica subsp.enterica serovar Typhimurium)(ATCC 35987)に対する細菌濃縮について、さまざまな鉄含有濃縮剤10mgの試験が個別に行われた。結果を下記の表1に示す。
【0069】
【表2】

【0070】
実施例2〜4
上述の微生物濃縮試験方法を使用して、標的微生物としてグラム陰性菌であるネズミチフス菌(Salmonella enterica subsp.enterica serovar Typhimurium)(ATCC 35987)に対する細菌濃縮について、単位体積当たりのさまざまな重量のγ−FeO(OH)の試験が個別に行われた。結果を下の表2に示す(全試料の標準偏差は10パーセント未満)。
【0071】
【表3】

【0072】
実施例5
上述の微生物濃縮試験方法を使用して、標的微生物としてグラム陽性菌である黄色ブドウ球菌(ATCC 6538)に対する細菌濃縮について、10mgのγ−FeO(OH)の試験が行われた。結果を下の表3に示す(標準偏差は10パーセント未満)。
【0073】
【表4】

【0074】
実施例6〜8
上述の微生物濃縮試験方法を使用して、標的微生物としてネズミチフス菌(Salmonella enterica subsp.enterica serovar Typhimurium)(ATCC 35987)に対するインキュベーション5分間、10分間、及び15分間の場合の細菌濃縮について、10mgのγ−FeO(OH)の試験が行われた。結果を下の表4に示す(全試料の標準偏差は10パーセント未満)。
【0075】
【表5】

【0076】
実施例9
上述の微生物濃縮試験方法を使用して、標的微生物としてカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)(10CFU/mL;ATCC MYA−2876)に対する酵母濃縮について、10mgのγ−FeO(OH)の試験が行われた。結果として得られた物質を3M(商標)ペトリフィルム(Petrifilm)(商標)酵母・カビ計数プレート(Yeast and Mold Count Plate)培地(ドライ、脱水可能、3M社、ミネソタ州セントポール)上で培養し、メーカーの指示に従い5日間インキュベートした。単離された酵母コロニーを手動で数え、捕捉したパーセンテージを上述のように計算した。結果を下の表5に示す(標準偏差は10パーセント未満)。
【0077】
【表6】

【0078】
実施例10及び11
標的細菌内生胞子バチルス・アトロファエウス(Bacillus atrophaeus)(ATCC 9372)及び枯草菌(Bacillus subtilis)(ATCC 19659)に対する濃縮について、10mg試料のγ−FeO(OH)濃縮剤の試験が行われた。上述の微生物濃縮試験方法を利用し、次の変更を加えた:一晩培養物が、0.9×10CFU/mLのバチルス・アトロファエウス及び4.5×10CFU/mLの枯草菌をそれぞれ有し、結果として得られた上澄みを未希釈で培養し、結合したバチルス・アトロファエウスを伴い沈殿した濃縮剤を2mLの滅菌バターフィールド(Butterfield’s)緩衝液に再懸濁させ、2つ同じものに分けて培養した(各1mL)。結合した枯草菌を伴い沈殿した濃縮剤を5mLの滅菌バターフィールド(Butterfield’s)緩衝液に再懸濁させ、2つ同じものに分けて培養した(各1mL)。捕捉効率は、培養した上澄み液からの計数に基づいて計算され、バチルス・アトロファエウスについては99パーセント、枯草菌については96パーセントであった(全試料の標準偏差は10パーセント未満)。
【0079】
実施例12
標的の非エンベロープ型細菌感染ウイルスである大腸菌バクテリオファージMS2(ATCC 15597−B1;しばしばさまざまなヒト感染性非エンベロープ腸内ウイルスのサロゲートとして使用される)の濃度に対して、10mg試料のγ−FeO(OH)濃縮剤の試験が行われた。二層寒天法(下記に記述)を使用し、大腸菌細菌(ATCC 15597)をホストとして使用し、バクテリオファージMS2(ATCC 15597−B1)の捕捉の検定を行った。
【0080】
大腸菌バクテリオファージMS2ストックをpH7.2の滅菌1X吸着緩衝液(5mM KCl、1mM CaCl、0.1mM MgCl、及び1mM KHPOを含む)中で10倍段階希釈し、1mL当たり10プラーク形成単位(PFUs/mL)を得た。結果として得られた体積1.0mLのバクテリオファージ希釈液を、10mgの濃縮剤が入った、ラベル付け、滅菌済みの5mLのポリプロピレン試験管(BDファルコン(Falcon)(商標)、ベクトン・ディッキンソン社(Becton Dickinson)、ニュージャージー州フランクリンレークス)に加え、サーモライン・マキシミックス・プラス(Thermolyne Maximix Plus)(商標)渦流ミキサー(バーンステッド・インターナショナル社(Barnstead International)、アイオワ州)上で混合した。キャップをした試験管を、サーモライン・ヴァリ・ミックス(商標)振盪器プラットフォーム(バーンステッド・インターナショナル社(Barnstead International)、アイオワ州)上で、室温(25℃)にて15分間インキュベートした。インキュベーション後、試験管を10分間実験台の上に静置し、濃縮剤を沈殿させた。濃縮剤を含まない1.0mLのバクテリオファージ希釈液が入った対照試料試験管を、同じように処理した。結果として得られた沈殿した濃縮剤及び上澄み液(及びその対照試料)を次に分析に使用した。
【0081】
100マイクロリットルの上澄み液を取り出し、下記の二層寒天法を使用してバクテリオファージの検定を行った。更に上澄みを800マイクロリットル取り出して廃棄した。100マイクロリットルの沈殿した濃縮剤も、バクテリオファージの検定を行った。
【0082】
二層寒天法:
大腸菌細菌(ATCC 15597)の単一コロニーを25mLの滅菌済み3重量パーセントのトリプシン大豆ブロス(Bacto(商標)トリプシン・ソイ・ブロス(Tryptic Soy Broth)(ベクトン・ディッキンソン社(Becton Dickinson and Company)、メリーランド州スパークス、メーカーの指示に従って調製)に接種し、振盪インキュベーター(Innova(商標)44、ニュー・ブランスウィック・サイエンティフィック社(New Brunswick Scientific Co., Inc.)、ニュージャージー州エディソン)を毎分250回振動(rpm)に設定して一晩、37℃でインキュベートした。この一晩培養物750マイクロリットルを使用して、75mL滅菌済み3重量パーセントのトリプシン大豆ブロスに接種した。結果として得られた培養物を250rpmに設定した振盪インキュベーターで37℃でインキュベートし、SpectraMax M5分光光度計(モレキュラー・デバイシズ社(Molecular Devices)、カリフォルニア州サニーヴェール)を使用して550nmの吸光度で測定された対数期における大腸菌細胞を得た。細胞は、検定に使用するまでの間、氷上でインキュベートされた。
【0083】
100マイクロリットルの上述バクテリオファージ試験試料を、氷上でインキュベートした大腸菌(ホスト細菌)細胞75マイクロリットルと混合し、室温(25℃)で5分間インキュベートした。結果として得られた試料を、5mLの滅菌済みの、上部が溶融した寒天(3重量パーセントのトリプシン大豆ブロス、1.5重量パーセントのNaCl、0.6重量パーセントの寒天;その日に調製し、48℃水浴中に保管したもの)と混合した。混合物を次に、ペトリ皿内の下側寒天(3重量パーセントのトリプシン大豆ブロス、1.5重量パーセントのNaCl、1.2重量パーセントの寒天)の上に注いだ。混合物の溶融寒天を5分間固まらせてから、ペトリ皿又はプレートを逆さにし、37℃でインキュベートした。一晩インキュベーションの後、プレートを目視で点検し、3つの個別の実験において、これらの沈殿濃縮剤を含むプレートが(対照プレートと共に)、バクテリオファージプラークの存在を示した。捕捉効率は、培養した上澄みの計数に基づいて計算し、93パーセントと判定された(標準偏差は10パーセント未満)。
【0084】
実施例13
アップルジュースを地元の食料品店(セントポールのカブ・フーズ(Cub Foods))から購入した。アップルジュース(11g)を滅菌したガラスディッシュ内で計量し、99mLの滅菌バターフィールド(Butterfield’s)緩衝液を加えた。加えた液を1分間渦流で混合し、2つの細菌培養物をこれに添加した。培養物は、ネズミチフス菌(Salmonella enterica subsp.enterica serovar Typhimurium)(ATCC 35987)及び大腸菌(Escherichia coli)(ATCC 51813)をそれぞれ1CFU/mLの濃度で、18〜20時間の一晩培養物(細菌ストック)を用いた。細菌ストックを、上述のように1X吸着緩衝液中で段階希釈した。
【0085】
上述の細菌濃縮試験方法を使用して、菌を添加したアップルジュース試料10mLを、100mgのγ−FeO(OH)濃縮剤が入った滅菌済み50mL円錐形ポリプロピレン製遠心管(BDファルコン(Falcon)(商標)、ベクトン・ディッキンソン社(Becton Dickinson)、ニュージャージー州フランクリンレークス)に加え、標的微生物であるサルモネラ(Salmonella)の(競合微生物である大腸菌の存在下における)細菌捕捉/濃縮について試験を行った。結果として得られた上澄み液を除去し、沈殿した濃縮剤を、滅菌3重量パーセントのトリプシン大豆ブロス(バクト(Bacto)(商標)トリプシン大豆ブロス(Tryptic Soy Broth)、ベクトン・ディッキンソン社(Becton Dickinson and Company)、メリーランド州スパークス;メーカーの指示に従い調製)2mLが入った別の50mL遠心管に移した。この管にゆるくキャップをし、内容物を混合して、37℃でインキュベートした。一晩インキュベーションした後、結果として得られたブロス混合物を、SDI(デラウェア州ニューアークのストラテジック・ダイアグノスティックス社(Strategic Diagnostics, Inc.))から販売されているラピッドチェック(RapidChek)(商標)サルモネラ・ラテラルフロー・イムノアッセイ試験ストリップを用いて、サルモネラの存在について試験した。試験ストリップを目視検査し、サルモネラ陽性が示された。
【0086】
この微生物を含む混合物について、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による核酸検出も実施された。上述の一晩インキュベートした濃縮剤含有ブロス1mLを、試験試料として、アプライド・バイオシステムズ社(Applied Biosystems)(カリフォルニア州フォスターシティ)から販売されているタックマン(TaqMan)(商標)ABIサルモネラ検出キット(Salmonella enterica Detection Kit)を用いて、サルモネラの存在を検定した。対照試料として、ネズミチフス菌(Salmonella enterica subsp.enterica serovar Typhimurium)(ATCC 35987)の18〜20時間一晩培養物(ストック)1mLも検定が行われた。PCR試験が実施された。ストラタジーン(Stratagene)Mx3005P(商標)QPCR(定量PCR)システム(ストラタジーン社(Stratagene Corporation)、カリフォルニア州ラホーヤ)で、1サイクル当たり次のサイクル条件を用いて、45サイクルを実施した:25℃で30秒間、95℃で10分間、95℃で15秒間、及び60℃で1分間。対照試料について、平均(n=2)サイクル閾値(CT値)17.71が得られた。試験試料について、平均(n=2)CT値18.04が得られ、PCR反応陽性が示され、サルモネラの存在が確認された。
【0087】
本明細書で引用した特許、特許文献、及び公報に含有される参照された記述内容は、その全体が、それぞれ個別に組み込まれているかのように、参照として組み込まれる。本発明に対する様々な予見できない修正及び変更が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく当業者に明らかとなるであろう。本発明は、本明細書に記載した例示的な実施形態及び実施例によって過度に限定されるものではなく、またかかる実施例及び実施形態は、一例として表されているだけであり、ただし、本発明の範囲は、以下のように本明細書に記載した請求項によってのみ限定されることを意図するものと理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)γ−FeO(OH)を含む粒子濃縮剤を提供すること、(b)少なくとも1種類の微生物株を含む流動体試料を提供すること、(c)該濃縮剤を該試料と接触させることにより、該濃縮剤の少なくとも一部分が該試料中に分散し、少なくとも1種類の該微生物株の少なくとも一部分が該濃縮剤に結合又は捕捉されることを含む、プロセス。
【請求項2】
前記プロセスが、少なくとも1種類の結合した微生物株の存在を検出することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記濃縮剤が微粒子を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記濃縮剤が本質的にγ−FeO(OH)からなる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記微生物株が、細菌、真菌類、酵母、原生動物、ウイルス、細菌内生胞子、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記微生物株が、細菌、酵母、ウイルス、細菌内生胞子、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記微生物株が、グラム陰性菌株及びその組み合わせから選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記接触が、前記濃縮剤と前記試料との混合により実施される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記検出が、培養による方法、顕微鏡及びその他の画像手法、遺伝子学的検出方法、免疫学的検出方法、生物発光により検出方法、及びこれらの組み合わせから選択される方法によって実施される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項10】
前記プロセスが、結果として得られた微生物結合濃縮剤を凝離することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記凝離が、重力沈殿、遠心分離、濾過、及びこれらの組み合わせから選択される方法によって達成される、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記凝離が、少なくとも部分的に重力沈殿によって達成される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記プロセスが、結果として得られた凝離濃縮剤を前記試料から分離することを更に含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項14】
(a)γ−FeO(OH)を含む粒子濃縮剤を提供すること、(b)細菌、酵母、ウイルス、細菌内生胞子、及びこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1種類の微生物株を含む流動体試料を提供すること、(c)該濃縮剤と該試料とを混合することにより、該濃縮剤の少なくとも一部分が該試料中に分散し、少なくとも1種類の該微生物株の少なくとも一部分が該濃縮剤に結合又は捕捉されることを含む、プロセス。
【請求項15】
前記プロセスが、少なくとも1種類の結合した微生物株の存在を検出することを更に含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記濃縮剤が本質的にγ−FeO(OH)からなる、請求項14に記載のプロセス。
【請求項17】
前記プロセスが、結果として得られた微生物結合濃縮剤を、少なくとも部分的に重力沈殿により凝離することと、その結果として得られた凝離濃縮剤を前記試料から分離することとを更に含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項18】
前記微生物株が、細菌、酵母、ウイルス、細菌内生胞子、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項14に記載のプロセス。
【請求項19】
前記微生物株が、グラム陰性菌株及びその組み合わせから選択される、請求項14に記載のプロセス。
【請求項20】
(a)γ−FeO(OH)を含む粒子濃縮剤、(b)試験容器、(c)請求項1のプロセスを実施する際の該濃縮剤使用に関する説明書を含むキット。
【請求項21】
前記キットが、微生物培地、溶解試薬、緩衝液、遺伝子学的検出検定の構成要素、生物発光検出検定の構成要素、及びこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つの構成要素を更に含む、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
前記濃縮剤が微粒子を含み、前記試験容器が滅菌済みかつ使い捨てであり、該試験容器内に該濃縮剤が入っている、請求項20に記載のキット。
【請求項23】
前記キットが、1つ以上の破って開けるタイプの密閉パウチに、前記濃縮剤をあらかじめ計量した、少なくとも1つの分包を含む、請求項20に記載のキット。
【請求項24】
(a)最大寸法が1マイクロメートル未満の針状結晶を含む微粒子凝集体を含む、少なくとも1種類の酸化鉄又はオキシ水酸化鉄を含む粒子濃縮剤を提供すること、(b)少なくとも1種類の微生物株を含む流動体試料を提供すること、(c)該濃縮剤を該試料と接触させることにより、該濃縮剤の少なくとも一部分が該試料中に分散し、少なくとも1種類の該微生物株の少なくとも一部分が該濃縮剤に結合又は捕捉されることを含むプロセス。
【請求項25】
(a)最大寸法が1マイクロメートル未満の針状結晶を含む微粒子凝集体を含む、少なくとも1種類の酸化鉄又はオキシ水酸化鉄を含む粒子濃縮剤、(b)試験容器、(c)請求項1のプロセスを実施する際の該濃縮剤使用に関する説明書を含むキット。

【公表番号】特表2010−539983(P2010−539983A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528123(P2010−528123)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/078563
【国際公開番号】WO2009/046183
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】