説明

微細凹部加工システム、微細凹部加工方法、微細凹部加工用プログラム

【課題】摩擦損失の低減に適した微細凹部を短時間で確定し加工することができる微細凹部加工システムを提供する。
【解決手段】微細凹部加工システム10は、ワークの摺動面に加工する微細凹部の許容条件の設定入力、及びワークの摺動面と微小隙間を介した部材とワークとの間に摺動時に発生する非定常的な摩擦値の要望範囲の入力を受け付ける入力部21と、演算結果の摩擦値が要望範囲を満すまで、設定入力された微細凹部の許容条件内で摩擦係数を演算する演算部22と、摩擦係数の要望範囲を満した微細凹部を加工する際の加工指令を作成する加工指令作成部23と、加工指令に基づきワークの摺動面に微細凹部を加工する加工部32とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの摺動面に微細凹部を加工する微細凹部加工システム、微細凹部加工方法、及びワークの摺動面に加工する微細凹部を確定する処理をコンピュータに行わせる微細凹部加工用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の摺動部品における摩擦損失を低減するために、例えば、シリンダブロックの摺動面に微細凹部を加工することが知られている。例えば、特許文献1には、紫外線レーザを用いて微細凹部を加工することが開示されている。また、これ以外にも、様々な加工方法によって様々な形状の微小凹部を摺動面に加工することが検討、実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−205380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、種々の形状やパターンの微細凹部を摺動面に実際に加工し、その後の実験、解析を経て、摩擦損失の低減に適した微細凹部が見い出される。そのため、微細凹部を確定するまで長時間を要するという問題があった。また、定常状態の単純なモデルを用いた数値解析が行われることもあるが、実際の非定常状態とは乖離しており、摩擦損失の低減に適した微細凹部を得ることができなかった。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、摩擦損失の低減に適した微細凹部を短時間で確定し加工することができる微細凹部加工システム及び微細凹部加工方法を提供することを目的とする。また、摩擦損失の低減に適した微細凹部を短時間で確定する処理をコンピュータに行わせることができる微細凹部加工用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明は、ワークの摺動面に微細凹部を加工する微細凹部加工システムであって、前記微細凹部の許容条件の設定入力、及び前記ワークの摺動面と微小隙間を介した部材と当該ワークとの間に摺動時に発生する非定常的な摩擦値の要望範囲の入力を受け付ける入力部と、演算結果の摩擦値が前記要望範囲を満すまで、前記設定入力された微細凹部の許容条件内で摩擦値を演算する演算部と、前記摩擦値の要望範囲を満した前記微細凹部を加工する際の加工指令を作成する加工指令作成部と、前記加工指令に基づき前記ワークの摺動面に微細凹部を加工する加工部とを備えることを特徴とする。なお、摩擦値は、摩擦係数又は摩擦力の値を意味する。
【0007】
第1発明によれば、入力部で入力を受け付けた要望範囲内にある摩擦値を満す微細凹部の確定、及びこの確定した微細凹部の加工を、自動的に行うことができる。よって、従来に比べて、摩擦損失の低減に適した微細凹部を確定し加工するまでの期間を短縮化することができる。
【0008】
第2発明は、ワークの摺動面に微細凹部を加工する微細凹部加工方法であって、前記微細凹部の許容条件の設定入力を受け付ける工程と、前記ワークの摺動面と微小隙間を介した部材と当該ワークとの間に摺動時に発生する非定常的な摩擦値の要望範囲の入力を受け付ける工程と、演算結果の摩擦値が前記要望範囲を満すまで、前記設定入力された微細凹部の許容条件内で摩擦値を演算する工程と、前記摩擦値の要望範囲を満した前記微細凹部を加工する際の加工指令を作成する工程と、前記加工指令に基づき前記ワークの摺動面に微細凹部を加工する工程とを備えることを特徴とする。
【0009】
第2発明によれば、入力を受け付けた要望範囲内にある摩擦値を満す微細凹部の確定、、及びこの確定した微細凹部の加工を、自動的に行うことができる。よって、従来に比べて、摩擦損失の低減に適した微細凹部を確定し加工するまでの期間を短縮化することができる。
【0010】
第3発明は、微細凹部加工用プログラムであって、ワークの摺動面に加工する微細凹部の許容条件の設定入力を受け付ける処理と、前記ワークの摺動面と微小隙間を介した部材と当該ワークとの間に摺動時に発生する非定常的な摩擦値の要望範囲の入力を受け付ける処理と、演算結果の摩擦値が前記要望範囲を満すまで、前記設定入力された微細凹部の許容条件内で摩擦値を演算する処理と、前記摩擦値の要望範囲を満した前記微細凹部を示すデータを出力する処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
第3発明によれば、コンピュータが、入力を受け付けた要望範囲内にある摩擦値を満す微細凹部を示すデータを出力することができる。よって、従来に比べて、摩擦損失の低減に適した微細凹部を確定するまでの期間を短縮化することができる。
【0012】
第4発明は、微細凹部加工用プログラムであって、ワークの摺動面に加工する微細凹部の許容条件の設定入力を受け付ける処理と、前記ワークの摺動面と微小隙間を介した部材と当該ワークとの間に摺動時に発生する非定常的な摩擦値の要望範囲の入力を受け付ける処理と、演算結果の摩擦値が前記要望範囲を満すまで、前記設定入力された微細凹部の許容条件内で摩擦値を演算する処理と、前記摩擦値の要望範囲を満した前記微細凹部を加工する際の加工指令を作成し出力する処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0013】
第4発明によれば、コンピュータが、入力を受け付けた要望範囲内にある摩擦値を満す微細凹部を加工する際の加工指令を作成し出力することができる。よって、従来に比べて、摩擦損失の低減に適した微細凹部を加工するまでの期間を短縮化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る微細凹部加工システムを示すブロック図。
【図2】微細凹部加工システムの作動を示すフローチャート。
【図3】ワークとピストンとの隙間を拡大した部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の微細凹部加工システム、微細凹部加工方法、及び微細凹部加工プログラムの実施形態について図面を用いて説明する。
【0016】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る微細凹部加工システム10は、コントロールユニット装置20と加工装置30とを備えている。微細凹部加工システム10の作動が、本発明の微細凹部加工方法に係る実施形態である。
【0017】
以下、微細凹部加工システム10が、ワークWの例として内燃機関のシリンダブロックのボア表面に微細凹部を加工する場合について説明する。ボア表面は、シリンダブロックに対して摺動するピストンPとの摺動面となっている。ワークWとピストンPとの間には、潤滑油で満された微小なクリアランス(隙間)cが存在する(図3参照)。このクリアランスcは、非定常的であり、ピストンPの摺動により時間変化する。
【0018】
コントロールユニット装置20は、入力部21と演算部22と加工指令作成部23とを備えている。なお、コントロールユニット装置20は、図示しないが、CRTモニタ、液晶パネル等の表示部や、加工装置30とデータの送受信を行うI/F部も備えている。
【0019】
入力部21は、例えば、キーボード、テンキー、マウスなどから構成されており、微細凹部の許容条件の設定入力、及びシリンダ・ピストン間に発生する非定常的な摩擦係数kの要望範囲の入力等を受け付ける。入力部21は、演算部22に接続されており、演算部22に対して、操作指示、動作指示、データ入力等を行うことができる。
【0020】
演算部22及び加工指令作成部23は、CPU,ROM,RAM,I/O等により構成されるハードウェアとしてのコンピュータと、メモリに格納され、当該コンピュータに諸機能を付与するソフトウェアとしての本発明の実施形態に係る「微細凹部用加工プログラム」とから構成されている。なお、微細凹部加工用プログラムは最初からコンピュータのメモリ(ROM)に格納されていてもよいが、CD−ROM等の記憶媒体に格納され、記憶媒体ドライブから読み取られ、メモリ(RAM)等に格納されてもよい。
【0021】
演算部22は、演算結果の摩擦係数kが入力部21から入力された要望範囲を満すまで、入力部21から設定入力された微細凹部の許容条件内で摩擦係数kを演算する。
【0022】
加工指令作成部23は、摩擦係数kの要望範囲を満した微細凹部を加工装置30で加工する際の加工指令を作成する。加工指令作成部23は、メモリ等に格納された微細凹部の加工形状と加工指令とを対応させたマップ等を参照して、加工指令を作成する。
【0023】
加工装置30は、制御部31と加工部32とを備えている。なお、加工装置30は、図示しないが、コントロールユニット装置20とデータの送受信を行うI/F部も備えている。
【0024】
制御部31は、加工指令作成部23が作成した加工指令を受信し、該加工指令に基づき加工部32の駆動を制御する。
【0025】
加工部32は、制御部31の制御により、ワークWの摺動面に微細凹部を加工する。加工部32は、例えば、KrF(フッ化クリプトン)光源を有するレーザ発振機から発振されたエキシマレーザ光を、ホモジェナイザで均一化し、反射板で方向変換し、マスクを通過して、投影レンズで収束した後、ステージ上の被加工物であるワークWの摺動面に照射して加工する。なお、加工部32の構成や加工方法は限定されず、例えば、ArF(フッ化アルゴン)光源を光源とするエキシマレーザやフェムト秒レーザ等のレーザを用いた加工方法や、チップ、ドリルなどを用いた機械的な加工法や、ローラ・バニシングツールを用いた塑性加工による加工方法などであってもよい。
【0026】
なお、加工指令作成部23が作成する加工指令は、加工部32での加工方法に応じて異なる。例えば、加工部32でレーザ加工を行う場合、加工指令作成部23はレーザ出力、パルス周期、光学系走査条件などを含む加工指令を作成する。
【0027】
次に、図2に示すフローチャートに従って、微細凹部加工システム10の作動について説明する。
【0028】
まず、利用者から微細凹部の許容条件(加工パターン範囲)の設定入力を受け付ける微細凹部許容条件設定入力工程を行う(S1)。この工程では、ワークWのシリンダボア表面に形成する微細凹部の形状(テクスチャ)の許容可能範囲を、利用者が入力部21から設定入力する。
【0029】
微細凹部の許容形状条件は、例えば、加工装置30の加工条件等から制限される半球・円錐・円柱・角錐・角柱などの微細凹部の形状、強度等から制限される微細凹部の大きさの範囲、微細凹部の深さの範囲、微細凹部加工を施すシリンダボアの全面積に対する実際に加工が施される面積の比(以下、単に「面積比」という)の範囲である。微細凹部の形状は、例えば、半球・円錐・円柱・角錐・角柱である。微細凹部の大きさは、例えば、微細凹部が半球・円錐・円柱の場合は半径であり、微細凹部が角錐・角柱の場合は角数及び1辺の長さである。
【0030】
次に、利用者から使用環境の設定入力を受け付ける使用環境設定入力工程を行う(S2)。この工程では、ワークWであるシリンダブロックを使用する環境に関するデータを、利用者が入力部21から設定入力する。例えば、使用する潤滑油種や添加剤種、ピストンリング質量m、ピストンの摺動速度U、垂直抗力F、ピストン・シリンダボア間の静的クリアランス、環境温度などを、入力部21から設定入力する。
【0031】
次に、利用者から演算終了条件の設定入力を受け付ける演算終了条件設定入力工程を行う(S3)。この工程では、1サイクル間におけるピストン・シリンダボア間の摩擦係数kの要望範囲を、利用者が入力部21から設定入力する。ここで、利用者は、摩擦損失を低減させた摩擦係数kの要望範囲を設定入力することができる。なお、摩擦係数kの要望範囲は、上限のみであってもよい。また、摩擦係数kの要望範囲の他に、演算を行うワークWの面積の限定等も演算終了条件として設定入力することができる。
【0032】
次に、S1〜S3で設定された条件を基に、1サイクル間におけるピストン・シリンダボア間の摩擦係数kを演算する演算工程を行う(S4)。
【0033】
演算工程では、まず、計算条件の指定を行う(S5)。例えば、有限要素法を用いた演算時における微小区域(メッシュ)を分割する際の分割幅又は分割数、収束などを判定するための閾値、無限ループに陥ることを防ぐための計算回数上限値等の計算条件を指定する。計算条件は、利用者が入力部21から入力するものであっても、演算部22がメモリから所得すること等により設定するものであってもよい。
【0034】
次に、S1〜S3で設定された条件を基に、演算時の初期条件・境界条件の指定を行う(S6)。例えば、演算開始時の微細凹部の形状、大きさ、深さ、面積比や、潤滑油粘度μの初期値などを初期条件として指定する。また、例えば、微細凹部と平坦部との連続性等を境界条件として指定する。
【0035】
次に、S5、S6で指定された条件を基に、1サイクル間におけるピストン・シリンダボア間の摩擦係数kを演算する(S7)。ここでは、微細凹部の形状が半球である場合について説明する。なお、以下の演算は、ピストンPが上死点から一度下死点に達し、再度上死点に戻るまでの1サイクル分について、一般的な有限要素法を用いて行う。ただし、簡略化のため、ピストンPが上死点から下死点に達するまで、あるいはピストンPが下死点から上死点に達するまでの半サイクル分のみについて、演算を行ってもよい。
【0036】
ピストンPとシリンダボアWとが潤滑油を介して接触することから、レイノルズ方程式は次式(1)のようになる。

【0037】
ここで、hは微細凹部におけるクリアランス(図3参照)であり、x、z、tの関数である。pは圧力であり、x、z、tの関数である。また、μは潤滑油粘度、Uは摺動速度である。なお、hの初期値は、潤滑油の有する静的な油膜厚さとする。
【0038】
式(1)からp、即ち圧力分布が得られ、ピストン・シリンダボア間に生じる力Fは、次式(2)から得られる。

【0039】
ここで、Aはピストン・シリンダボア間の接触面積である。
【0040】
力Fとピストン・シリンダボア間のクリアランスcに関する微分方程式は次式(3)のようになる。

【0041】
ここで、Fは垂直抗力であり、既知である。なお、クリアランスcはx、z、tの関数である。
【0042】
そして、微細凹部の正味クリアランスhは、クリアランスcを用いた時間関数である次式(4)から得られる。

【0043】
ここで、hは微細凹部の深さであり(図3参照)、rは微細凹部の半径である。ζ,ηは微細凹部の面積比を定義するための位置パラメータである。σ、σは面粗さ関数であり、x、zの関数である。シリンダボア表面は平滑でなく粗さがあるため、面粗さ関数σ、σによりこれを加味している。面粗さ関数σ、σは、例えば、断面方向の凹凸(高さ)をランダム関数によって近似したものを用いる。シリンダボア表面の面粗さは、シリンダブロックの材質、加工方法、加工条件等に依存するものであり、平坦部の面粗さを表現する面粗さ関数σと、微細凹部の面粗さを表現する面粗さ関数σとに分けている。
【0044】
そして、ピストン・シリンダボア間に生じる摩擦力Fは、次式(5)から得られる。

【0045】
摩擦係数kは、この摩擦力Fを垂直抗力Fにより除する次式(6)から得られる。

【0046】
次に、求めた摩擦係数kがS3で設定入力された摩擦係数kの要望範囲内であるか否かを判定する(S8)。求めた摩擦係数kが要望範囲内にないとき(S8:NO)、演算時の初期条件の指定を変更して(S6)、再度演算を行う(S7)。なお、この場合、前回求めた摩擦係数k等を参照して、一般的な探索手法を用いて、演算時の初期条件を指定することが好ましい。
【0047】
一方、求めた摩擦係数kが要望範囲内にあるとき(S8:YES)、S6で初期条件として指定した微細凹部の形状、大きさ、深さ、面積比を、加工装置30で加工する微細凹部の仕様として確定し(S9)、演算工程(S4)を終了する。
【0048】
次に、加工装置30における加工指令を作成する加工指令作成工程を行う(S10)。この工程では、S9で確定した微細凹部を加工部32が加工するよう、微細凹部の形状、大きさ、深さ、面積比からなる仕様を加工部32での加工作動を指令する加工指令に変換する。
【0049】
最後に、加工装置30は、加工指令に基づいてワークに微細凹部を加工する加工工程を行う(S11)。
【0050】
以上のように、利用者が入力した摩擦係数kの要望範囲を満す微細凹部を確定し、この確定した微細凹部をワークWの摺動面に自動的に加工することができる。従って、従来に比べて、微細凹部の設計から加工までの工程に要する時間を短縮化することができる。
【0051】
また、微細凹部の許容条件を設定入力することにより、探索範囲が狭くなり、演算時間が短縮し、プロセスを効率化することができる。
【0052】
なお、本発明は、上述したものに限定されない。例えば、実施形態では、微細凹部許容条件設定入力工程(S1)、使用環境設定入力工程(S2)、演算終了条件設定入力工程(S3)が、この順序である場合について説明した。しかし、これらの工程の順序は任意である。
【0053】
また、実施形態では、コントロールユニット装置20が加工指令部23を備えるものについて説明した。しかし、加工装置30が加工指令部23を備えるものであってもよい。また、S9で確定した微細凹部の仕様をプリンタやCRTモニタ、液晶パネル等の表示部等に出力して、この出力結果に基づいて、利用者が加工指令を作成し、作成した加工指令を加工装置30に入力してもよい。
【0054】
また、実施形態では、要望範囲を満す摩擦係数kが得られる微細凹部をワークWの摺動面に加工する場合について説明した。しかし、利用者が入力部21から摩擦力Fの要望範囲を入力し、要望範囲を満す摩擦力Fが得られる微細凹部をワークWの摺動面に加工してもよい。
【0055】
また、実施形態では、微細凹部を加工するワークWがシリンダブロックである場合について説明した。しかし、微細凹部を加工するワークWは、シリンダブロックに限定されず、例えば、カムに対する摺動面を有するピペットや、金型、ドリル等に用いられる摺動部品であってもよい。また、ワークWは、摺動部品であっても被摺動部品であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
10…微細凹部加工システム、 20…コントロールユニット装置、 21…入力部、 22…演算部、 23…加工指令作成部、 30…加工装置、 31…制御部、 32…加工部、 P…ピストン(部材)、 W…ワーク、シリンダブロック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの摺動面に微細凹部を加工する微細凹部加工システムであって、
前記微細凹部の許容条件の設定入力、及び前記ワークの摺動面と微小隙間を介した部材と当該ワークとの間に摺動時に発生する非定常的な摩擦値の要望範囲の入力を受け付ける入力部と、
演算結果の摩擦値が前記要望範囲を満すまで、前記設定入力された微細凹部の許容条件内で摩擦値を演算する演算部と、
前記摩擦値の要望範囲を満した前記微細凹部を加工する際の加工指令を作成する加工指令作成部と、
前記加工指令に基づき前記ワークの摺動面に微細凹部を加工する加工部とを備えることを特徴とする微細凹部加工システム。
【請求項2】
ワークの摺動面に微細凹部を加工する微細凹部加工方法であって、
前記微細凹部の許容条件の設定入力を受け付ける工程と、
前記ワークの摺動面と微小隙間を介した部材と当該ワークとの間に摺動時に発生する非定常的な摩擦値の要望範囲の入力を受け付ける工程と、
演算結果の摩擦値が前記要望範囲を満すまで、前記設定入力された微細凹部の許容条件内で摩擦値を演算する工程と、
前記摩擦値の要望範囲を満した前記微細凹部を加工する際の加工指令を作成する工程と、
前記加工指令に基づき前記ワークの摺動面に微細凹部を加工する工程とを備えることを特徴とする微細凹部加工方法。
【請求項3】
微細凹部加工用プログラムであって、
ワークの摺動面に加工する微細凹部の許容条件の設定入力を受け付ける処理と、
前記ワークの摺動面と微小隙間を介した部材と当該ワークとの間に摺動時に発生する非定常的な摩擦値の要望範囲の入力を受け付ける処理と、
演算結果の摩擦値が前記要望範囲を満すまで、前記設定入力された微細凹部の許容条件内で摩擦値を演算する処理と、
前記摩擦値の要望範囲を満した前記微細凹部を示すデータを出力する処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする微細凹部用加工プログラム。
【請求項4】
微細凹部加工用プログラムであって、
ワークの摺動面に加工する微細凹部の許容条件の設定入力を受け付ける処理と、
前記ワークの摺動面と微小隙間を介した部材と当該ワークとの間に摺動時に発生する非定常的な摩擦値の要望範囲の入力を受け付ける処理と、
演算結果の摩擦値が前記要望範囲を満すまで、前記設定入力された微細凹部の許容条件内で摩擦値を演算する処理と、
前記摩擦値の要望範囲を満した前記微細凹部を加工する際の加工指令を作成し出力する処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする微細凹部加工用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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