説明

微細気泡発生ノズル

【課題】微細気泡をより微細化してより効果的に大量に発生することのできる微細気泡発生ノズルを提供する。
【解決手段】気体溶解装置において気体を溶解した溶解水の供給を受けて微細気泡を発生するための微細気泡発生ノズル1であって、オリフィス7,網部材9を通過することによって発生した気泡を微細化するために前記気泡を当接する当接壁面15を備えた圧力解放室11の周壁部に気泡流出孔17を備え、前記圧力解放室11の周囲に備えた流体通路19の断面積を前記気泡流出孔17の断面積にほぼ等しく設け、前記流体通路19から出口25に至る出口通路の途中に、前記流体通路19から気泡を含んで噴出される流体に渦流を発生させて攪拌すると共に圧力を解放して気泡の発生を促進しかつ気泡を当接してより微細化するための当接壁面27を備えた気泡発生微細化促進室21を備え、前記当接壁面27は粗面に形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体を飽和状態に溶解した溶解水から、例えばミクロン単位の微細な気泡を発生させるための微細気泡発生ノズルに係り、さらに詳細には、発生した気泡を含む流体の攪拌を効果的に行ってより多くの微細な気泡を発生することができる微細気泡発生ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば空気などの適宜の気体を飽和状態に溶解した溶解水からミクロン単位の微細な気泡を発生させるための微細気泡発生ノズルは既に開発されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3782090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に記載の微細気泡発生ノズルは、気体溶解装置において気体を溶解した溶解水の供給を受ける中空パイプ内に、オリフィス,網部材を備え、上記オリフィス,網部材を通過することによって発生した微細気泡を、前記中空パイプに取付けた嵌合パイプの奥壁部に衝突し攪拌して気泡の細分化を行っている。そして、前記嵌合パイプの周壁に設けた連通孔から周囲に噴出された流体は、前記嵌合パイプの周囲に形成された環状の空間においてさらに圧力を解放され、かつ対流,攪拌されて気泡をさらに細分化しているものである。
【0004】
上記構成においては、微細な気泡が多量発生するので望ましい構成であるが、嵌合パイプの周囲に、流体の圧力を解放しかつ対流,攪拌するための環状の空間を備えた構成であるから、全体的構成が比較的大径になるという問題がある。また、前記環状の空間は、嵌合パイプの連通孔から流出した流体を、前記連通孔からの噴出に従って対流し攪拌するものであるから、発生した微細気泡をより効果的にさらに微細化することや微細気泡の発生をより促進する上においてさらなる改善が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、気体溶解装置において気体を溶解した溶解水の供給を受けて微細気泡を発生するための微細気泡発生ノズルであって、オリフィス,網部材を通過することによって発生した気泡を微細化するために前記気泡を当接する当接壁面を備えた圧力解放室の周壁部に気泡流出孔を備え、前記圧力解放室の周囲に備えた流体通路の断面積を前記気泡流出孔の断面積にほぼ等しく設け、前記流体通路から出口に至る出口通路の途中に、前記流体通路から気泡を含んで噴出される流体に渦流を発生させて攪拌すると共に圧力を解放して気泡の発生を促進しかつ気泡を当接してより微細化するための当接壁面を備えた気泡発生微細化促進室を備えていることを特徴とするものである。
【0006】
また、前記微細気泡発生ノズルにおいて、前記気泡発生微細化促進室に備えた当接壁部は粗面に形成してあることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、圧力解放室の周壁部に設けた気泡流出孔から気泡発生微細化促進室に至ると、さらに圧力解放が行われると共に渦流が発生して攪拌が効果的に行われると共に、気泡発生微細化促進室の当壁部へ当接して気泡のさらなる微細化が促進されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1を参照するに、本発明の実施形態に係る微細気泡発生ノズル1は、筒状のノズル本体3を備えており、このノズル本体3の一端部には、気体溶解装置(図示省略)において、例えば空気等の適宜の気体を飽和状態に溶解した溶解水の供給を受けるために、適宜の配管,ホース等を介して前記気体溶解装置と接続するための接続具5が備えられている。この接続具5の下流側(図1において右側)には適数の小孔を備えたオリフィス7が備えられており、このオリフィス7の下流側には、オリフィス7を通過することによって発生した気泡を微細化するための網部材9が備えられている。
【0009】
さらに、前記網部材9の下流側には、圧力解放室11を備えた筒状のキャップ部材13が備えられている。このキャップ部材13には、前記網部材9を通過して下流方向へ直進する流体が当接する当接壁面15が備えられており、この当接壁面15は微細な凹凸を備えた粗面に形成してある。そして、前記キャップ部材13における周壁部には、適数の気泡流出孔17が備えられている。
【0010】
前記キャップ部材13の外周面と前記ノズル本体3の内周面との間には、前記気泡流出孔17から流出した流体を前記ノズル本体3の他端部側へ指向流出する環状の流体通路19が形成してある。上記流体通路19は、前記気泡流出孔17から流出した流体の流速が、前記気泡流出孔17からの流出速度を維持するように形成してある。換言すれば、全気泡流出孔17の総断面積と前記流体通路19の断面積はほぼ等しく設けてある。したがって、圧力解放室11から気泡流出孔17を経て流体通路19へ流出した流体は、流体通路19内において圧力解放されることなく高速を保持して環状に噴出されることになる。
【0011】
前記流体通路19から噴出される流体は、前記圧力解放室11内において発生した微細な気泡を含んでいるものである。この流体通路19から噴出される流体からさらに微細気泡を発生させると共に、発生した気泡をより微細にする微細化を促進するために、前記ノズル本体3の他端側には気泡発生微細化促進室21を備えた排出管23が接続してある。
【0012】
前記気泡発生微細化促進室21は、前記流体通路19から噴出された流体の圧力をさらに解放しかつ攪拌して気泡の発生を促進するために、前記流体通路19から単位時間当りに噴出される流体の量に比較して大きな空間に形成してあり、出口25は、前記流体通路19から噴出される流体の噴出方向に対してほぼ直交する方向に形成してある。そして前記流体通路19から噴出された流体が前記出口25に至る出口通路の途中には、前記流体通路19から噴出された流体が直接当接する当接壁面27が備えられている。この当接壁面27は、当接した微細気泡をより微細化するために、微小(微細)な凹凸部を備えた粗面に形成してある。
【0013】
以上のごとき構成において、気体を飽和状態に溶解した溶解水が気体溶解装置から供給されてオリフィス7を通過すると、溶解水の圧力が解放されるので気泡が発生する。そして、発生した気泡は、網部材9を通過することによって細分化されると共に圧力解放室11においてさらに気泡を発生し、かつ圧力解放室11の当接壁面15へ当接されて発生した気泡のさらなる細分化が行われる。
【0014】
前記圧力解放室11内の気泡を含む流体は気泡流出孔17から環状の流体通路19へ噴出される。この流体通路19の断面積は、気泡流出孔17の断面の総計にほぼ等しいので、流体は流体通路19内で圧力を解放されることなく、気泡流出孔17から噴出された噴出速度にほぼ等しい高速を維持して排出管23の気泡発生微細化促進室21へ矢印で示すように噴出される。
【0015】
前記流体通路19から気泡発生微細化促進室21へ噴出された環状の流体は圧力が解放されると共に流体の一部には、キャップ部材13の背面(当接壁面15の反対側の面)へ回り込む渦流が発生して攪拌が効果的に行われる。したがって、気泡発生微細化促進室21内に乱流が生起され、微細気泡の発生が促進される。そして、出口25に至る途中において流体が当接壁面27に当接することにより、微細気泡の微細化がより促進されるものである。
【0016】
したがって、全体的構成の小径化を図ることができることは勿論のこと、粒径がミクロン単位のより微細な気泡をより効果的に大量に発生することができるものである。換言すれば、気体溶解装置に改良を加えることなく、すなわち溶解水の条件が従来と同一であっても、より効果的に微細な気泡をより微細化してより大量に発生させることができるものである。よって、例えば溶槽内にミクロン単位の微細な気泡を発生させると、従来よりもより濃厚な乳白色となるものである。
【0017】
ところで、本発明は前述したごとき実施形態に限ることなく適宜の変更を行うことにより、その他の形態でも実施可能である。例えば図2に示すように、排出管23を前記キャップ部材13に類似の構成として当接壁面27の中央部に出口25を備えた構成とすることも可能である。また、前記流体通路19は環状に限ることなく、キャップ部材13に備えた各気泡流出孔17に対応した部分のみに流体通路19を形成した構成とすることも可能である。この場合、複数の流体通路19はキャップ部材13の外周面に沿って周方向に備えられることになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る微細気泡発生ノズルの断面説明図である。
【図2】微細気泡発生ノズルの別の形態を示す断面説明図である。
【符号の説明】
【0019】
1 微細気泡発生ノズル
3 ノズル本体
5 接続具
7 オリフィス
9 網部材
11 圧力解放室
13 キャップ部材
15,27 当接壁面
17 気泡流出孔
19 流体通路
21 気泡発生微細化促進室
23 排出管
25 出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体溶解装置において気体を溶解した溶解水の供給を受けて微細気泡を発生するための微細気泡発生ノズルであって、オリフィス,網部材を通過することによって発生した気泡を微細化するために前記気泡を当接する当接壁面を備えた圧力解放室の周壁部に気泡流出孔を備え、前記圧力解放室の周囲に備えた流体通路の断面積を前記気泡流出孔の断面積にほぼ等しく設け、前記流体通路から出口に至る出口通路の途中に、前記流体通路から気泡を含んで噴出される流体に渦流を発生させて攪拌すると共に圧力を解放して気泡の発生を促進しかつ気泡を当接してより微細化するための当接壁面を備えた気泡発生微細化促進室を備えていることを特徴とする微細気泡発生ノズル。
【請求項2】
請求項1に記載の微細気泡発生ノズルにおいて、前記気泡発生微細化促進室に備えた当接壁部は粗面に形成してあることを特徴とする微細気泡発生ノズル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−22919(P2010−22919A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186004(P2008−186004)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(308023594)株式会社資源開発研究所 (1)
【Fターム(参考)】