説明

微量一酸化炭素の再生除去

本発明においては、オレフィンおよびパラフィンなどの炭化水素を吸着することなく水素および炭化水素ストリームから一酸化炭素を分離するのに好適な変成クリノプチロライト吸着剤を用いる方法が提供される。精製装置内のプラットフォームユニットでの標準的な用途において、これらの水素ストリームは、5〜20ppmの一酸化炭素を含む。他の用途においては、一酸化炭素のレベルはこれより高い。この水素ストリームからの一酸化炭素の分離は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウムおよびマグネシウムから選択された少なくとも一つのカチオンとイオン交換されたクリノプチロライトモレキュラーシーブを用いることによって実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素および水素含有ストリームの精製のための方法に関する。より具体的には、本発明は上記ストリームから一酸化炭素を除去するための変成クリノプチロライトを含む吸着剤の使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
変成クリノプチロライトは、一つあるいは複数の金属カチオンとのイオン交換によって変成された天然あるいは合成クリノプチロライトである。
また、異なるサイズおよび形状の分子を含む供給ストリームを、上記供給ストリームを分離される上記供給ストリームの一成分を他の物よりも強く吸着する吸着剤に接触させることによって、分離するための方法が存在する。より吸着性の強い成分は上記吸着剤によって優先的に吸着され、上記供給ストリームと比較して弱吸着性あるいは非吸着性の成分が豊富な第一生成物ストリームを生成する。吸着剤が上記吸着成分によって所望の量充填された後、吸着剤の状態は変化する。例えば通常、上記吸着剤の温度あるいは圧力が変化して上記吸着成分が脱着され、それによって上記供給ストリームと比較して吸着成分が豊富な第二生成物ストリームを生成する。
【0003】
上記方法の重要な要素として、より吸着性の強い成分のためのモレキュラーシーブの受容能力および上記モレキュラーシーブの選択性が挙げられる(つまり、分離される上記成分が吸着される比率)。上記方法については多くの場合、吸着物の低分圧の条件下で吸着能力が高く、選択された際に、その細孔が好適なサイズおよび形状となり吸着種の凝縮において高い選択性を提供するので、ゼオライトが好適な吸着剤である。
【0004】
多くの場合、混合ガスの分離に用いられるゼオライトは、合成ゼオライトである。天然ゼオライトは安価に入手可能ではあるが、上記のような方法における吸着剤として有効な組成物においては安定性が十分ではないという理由から、その使用は好まれていない。しかし、細孔径が、多くのガス分離工程にとって有効な範囲である0.3〜0.4nmの範囲の合成ゼオライトは比較的少ない。
【0005】
クリノプチロライト(以下「クリノ」と称す)は、通常、水素、窒素、酸素、アルゴンあるいはメタンなどの軽質ガスの混合ガスの分離にしばしば用いられる天然ゼオライトのよく知られた種類である。
【0006】
米国特許第5,116,793号明細書には、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、銅、コバルト、鉄およびマンガンなどの金属カチオンとクリノプチロライトとのイオン交換のための方法が記載されている。この特許は、本出願において全体的に組み込まれる。
【0007】
米国特許第4,935,580号明細書には、炭化水素のストリームから微量の二酸化炭素及び水を除去する、イオン交換されたクリノプチロライトが開示されている。
【0008】
米国特許第5,019,667号明細書には、クリノプチロライト中のイオン交換可能なカチオンの少なくとも40%が、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、銅、コバルト、鉄およびマンガンカチオンの内のいずれか一つあるいは複数によって構成されていることを特徴とする変成クリノプチロライトの使用が開示されている。このクリノプチロライトは、炭化水素ストリームからアンモニアを除去するために用いられる。
【0009】
従って、吸着剤を用いての吸着によって、水素およびメタン、エタン、エチレン、プロパンおよびプロピレンなど炭化水素を除去することなく、水素および炭化水素から一酸化炭素を分離できる方法が求められている。変成クリノプチロライト吸着剤は、珪酸チタニウムおよび細孔径が0.4nm未満(かつ0.3nmより大きい)のモルデナイトを含む天然ゼオライトを有しており、上記目的を実現できることが知られている。さらに、上記変成クリノプチロライト吸着剤製造のための方法が求められている。
【0010】
触媒改質ユニットは、精製装置の水素製造に不可欠な部分であり、また精製装置の水素製造のための供給器でもある。低圧力、高苛酷度の触媒改質ユニットの出現に伴って、改質ユニットより生じる水素ガス中の一酸化炭素の存在がより一般的になっている。この水素を用いるパラフィン異性化ユニット等、上記方法の内のいくつかは、一酸化炭素に対して(他の酸素化物に対しても)非常に敏感な触媒を有しており、一酸化炭素が除去されなければ、触媒は被毒する。現在一酸化炭素除去のために用いられている方法の内の一つの方法において、水素を一酸化炭素と反応させてメタンおよび水を生成するメタネータが採用されている。メタネータは上記汚濁の問題を解決するための主要なツールではあるが、これは大きな資本を必要とし、また多くのエネルギーおよび水素を消費する。従来、上記方法において一酸化炭素除去のために吸着剤を用いる考察がいくつかなされてきたが、以前は、一酸化炭素を除去する吸着剤は、著しく高濃度で存在するエチレンなどの炭化水素を共吸着し、これによって一酸化炭素の除去効率が著しく減少してしまう、と考えられていた。
【発明の開示】
【発明の概要】
【0011】
本発明においては、炭化水素および水素含有ストリームから一酸化炭素を分離するのに好適な吸着剤、好ましくは変成クリノプチロライト吸着剤を用いる方法が提供される。精製装置内のプラットフォームユニットの標準的な用途においては、これらの炭化水素及び水素含有ストリームは5〜20ppmの一酸化炭素を含んでいる。その他の用途においては、一酸化炭素のレベルはさらに高くなる。例えば、精製が必要な一酸化炭素量が1%にもなるストリームも存在する。これらの炭化水素及び水素含有ストリームはさらに、エタンおよびエチレンを含む炭化水素を含んでいる。このストリームからの一酸化炭素の分離は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム及びマグネシウムから選択された少なくとも一つのカチオンとイオン交換されたクリノプチロライトモレキュラーシーブを用いることによって実現する。望ましくは、上記クリノプチロライト吸着剤は、クリノプチロライトの全カチオン中の少なくとも60%が上掲のカチオンの内の一つあるいは複数のカチオンによって占められる程度にイオン交換される。この方法によって、エチレンなどの炭化水素が除去されることなく、上記水素及び炭化水素含有ストリームから少なくとも50%の、望ましくは少なくとも90%の一酸化炭素が除去される。
【0012】
本発明においては、変成クリノプチロライトの使用を含めた、一酸化炭素除去のための吸着剤の使用方法が提供され、またクリノプチロライト中のイオン交換可能なカチオンの少なくとも40%が、リチウム、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウムあるいはバリウムカチオンの内のいずれか一つあるいは複数から構成されることを特徴とする。上記変成クリノプチロライト製造のための方法の一つは、自然発生クリノプチロライトをナトリウムカチオンを含む溶液と、クリノプチロライト中のイオン交換可能な非ナトリウム系カチオンの少なくとも40%がナトリウムカチオンと置き換えられるまでイオン交換処理し、これによってナトリウムクリノプチロライトを生成し、その後上記ナトリウムクリノプチロライトをリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウムおよびマグネシウムカチオンの内のいずれか一つあるいは複数を含む溶液とイオン交換処理することによってなされる。
【0013】
その他の方法においては、変成クリノプチロライトは、クリノプチロライトをリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウムおよびマグネシウムカチオンの内のいずれか一つあるいは複数を含む溶液と直接イオン交換処理することによって製造される。好適な変成クリノプチロライトはカルシウムとイオン交換処理される。特定の細孔径および形状になるよう調製可能な珪酸チタニウムなど、ゼオライトの細孔径が3Aおよび4Aの中間の細孔径を有する他の吸着剤も用いることが可能である。
【0014】
さらにもう一つの方法において、本発明は触媒改質装置から高純度の水素を生成する工程から構成されており、上記工程は、触媒改質装置で生成され、一酸化炭素を含有する水素ガスストリームの少なくとも一部を、炭化水素分子を除き、一酸化炭素分子を吸着するのに十分な大きさの有効細孔径および形状を有する吸着剤を含む吸着剤床に通過させる工程、から構成されている。一酸化炭素の濃度を低減させた水素ガスストリームの少なくとも一部を、一酸化炭素レベルの低い水素を必要とする触媒炭化水素転換工程へと通過させる。
【0015】
触媒改質ユニットは、精製装置の水素生成における不可欠な部分であり供給器でもある。低圧力の触媒改質方法の出現に伴って、水素ガス中の一酸化炭素の存在がより一般的なものとなっている。この水素を用いるパラフィン異性化ユニット等、上記方法の内のいくつかは、一酸化炭素に対して(他の酸素化物に対しても)非常に敏感な触媒を有している。この毒を除去するために現在用いられている方法ではメタネータが用いられているが、これは大きな資本を必要とし、水素を含め、多大な光熱費を浪費する。水素を乾燥させるために熱スイング吸着ユニットがしばしば用いられる。水素ストリーム内のC2+炭化水素を排除するため、クリノ(ナトリウムあるいはカルシウム形態)等の吸着剤を慎重に用いることによって、一酸化炭素の吸着が可能となる。ほとんどの場合、現在用いられているサイクル時間および吸着剤を修正しつつ、既存の脱水用スイング床吸着方式を用いることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
熱スイング吸着方式は、パラフィン異性化ユニット内で水素を乾燥させるために用いられる。水素ストリーム内のC2+炭化水素を排除するため、クリノプチロライト(ナトリウムあるいはカルシウム形態)等の吸着剤を慎重に用いることによって、一酸化炭素の吸着が可能となる。殆どの場合、一酸化炭素除去のために、既存の脱水用熱スイング吸着方式を用いることが可能である。上記パラフィン異性化(ButamerTM及びPenexTM)ユニット内で既存の熱スイング水素乾燥器を用いることで、水及び一酸化炭素の同時除去のために、サイクルを修正し、既存容器内の吸着剤の合成床を使用することが可能となる。従来、一酸化炭素除去のために熱スイング法を用いるのは、そのプロセスストリームからのより重質な炭化水素が共吸着され、それが吸着剤の一酸化炭素受容能力を著しく制限してしまうために、実用的ではないと考えられていた。この制限されてしまう問題については、通常共吸着をしてしまう炭化水素種を排除する細孔径および孔開口形状の吸着剤を用いることによって解決される。
【0017】
本発明によって、必要な資本の低減かつ運転経費の削減が可能となり、多くの場合、重度の触媒毒を除去することによって、機能を高めるために既存の容器及び備品が用いられる(この場合、パラフィン異性化ユニットのため)。
【0018】
殆どのパラフィン異性化ユニット用に設計された水素乾燥器は、脱水処理および一酸化炭素除去の両用途に使用することができる。従って、これらの熱スイングユニットは、脱水処理に加えて汚染物除去の機能も有している。本発明以前には、熱スイング法を用いて水素ストリームから微量の一酸化炭素を効率的に除去することは、C2+炭化水素の共吸着の結果、受容能力が非常に低くなってしまうため、不可能と考えられていた。触媒改質ユニットからの水素ストリーム中の一酸化炭素の標準的な濃度範囲は、5〜20ppm(m)である。この汚染物のレベルは水分除去のための吸着剤の、続いて一酸化炭素除去のための吸着剤の合成床を用いることによって除去することができる。これによって、費用のかかるメタネータを追加で用いることなく、パラフィン異性化触媒の機能を高めることができる。水素のみから微量レベルの一酸化炭素を吸着するのは、多くの吸着剤によって可能であるが、炭化水素の存在下では、熱的に再生する標準の吸着剤にとっては、炭化水素の共吸着によってその受容能力が著しく低減すると、本発明以前には考えられていた。
【0019】
多くのゼオライトの吸着特性、またそれらの混合ガス分離機能は、通常、イオン交換あるいは含浸法によって各種金属カチオンをゼオライト中に取り込むことによって変化させることができる。従って、カリウムAは通常、有効細孔径0.3nmを有していると見なされ、そしてカルシウムAは同様に、有効細孔径0.5nmを有していると見なされる。「有効細孔径」という用語は、しばしば不均整、非円形であることが多い実際の寸法よりも、吸着される分子の観点から、モレキュラーシーブの細孔径を機能的に定義する目的で用いられる。例えば、elliptical. D. W. Breck, in ZEOLITE MOLECULAR SIEVES,John Wiley and Sons(1974)中、633〜641頁に、参照のための言及として「有効細孔径」が記載されている。
【0020】
殆どの場合、イオン交換に続くゼオライト吸着特性の変化は、導入されるカチオンによる開孔の物理ブロッキングと一致している;通常、所与のゼオライトにおいて、ゼオライトに吸着できる分子のサイズで測定すると、導入されるイオンの半径が大きいほど、処理後のゼオライトの有効細孔径が小さい(例えば、カリウムAゼオライトの細孔径はカルシウムAゼオライトの細孔径よりも小さい)。
【0021】
しかし、これは導入されるカチオンのイオン半径の単純な関連、つまり細孔閉塞などではない予測不可能な関連を示すクリノプチロライト、の場合には当てはまらない。例えば、上記ゼオライトAのカルシウムおよびカリウムイオン交換形態とは違って、クリノプチロライトは、これら二つのカチオンに対して逆の効果を生み出す。つまり、カルシウムカチオンよりも大きいカリウムカチオンは、カルシウムイオン交換クリノプチロライトよりも有効細孔径が大きいクリノプチロライトをもたらす。実際、カルシウム含有量がアルミニウム含有量によって定義されるイオン交換容量の90%に相当するカルシウムイオン交換クリノプチロライトは、窒素およびメタンを実質的に排除する。一方、カリウム含有量が上記イオン交換容量の95%に相当するカリウムイオン交換クリノプチロライトは、窒素およびメタンを素早く吸着する。ここで、イオン半径の大きいカチオン、つまりカリウムを含むクリノプチロライトは、イオン半径の小さいカチオン、つまりカルシウムを含むクリノプチロライトよりも大きな細孔を有する。
【0022】
本発明の方法に用いられるクリノプチロライトは、天然あるいは合成クリノプチロライトである。「ZEOLITE MOLECULAR SIEVES, 260頁」に記載されているように、合成クリノプチロライトの合成は容易なものではない。従って、天然クリノプチロライトが好まれる。しかし、天然クリノプチロライトは組成に変化がある。化学分析によって、色々な鉱山から採取されたクリノプチロライト試料においてカチオンには大きな変化があることが示されている。さらに、天然クリノプチロライトは多くの場合、相当量の不純物、特に、凝集の障害となり、クリノプチロライトのペレット化(いかに詳しく述べる)を引き起こし、あるいは本発明実施の妨げとなる望ましくない副作用の原因ともなる可溶性珪酸を含んでいる。用途によっては、上記ペレット形態のクリノプチロライトに対しては、メッシュ形態の吸着剤の使用が好まれる。
【0023】
本発明によれば、クリノプチロライトは、分離処理を行い、そして組成の均一化を図るために適切な細孔径及び形状を実現するため、少なくとも一つの金属カチオンとイオン交換することによって変成する必要がある。クリノプチロライトに有効にイオン交換され得るカチオンとして、リチウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム及びバリウムカチオンが挙げられる。従って、細孔径に望ましい効果を及ぼすカチオンは、いずれもイオン交換に用いることが可能である。さらに、特定のカチオンの選択は出発原料の特性に依存する。望ましくは、イオン交換は、最終イオン交換クリノ生成物の内、所望のカチオンの占める比率が40%より多くなるまで継続される。本発明の方法に用いられるクリノプチロライトの処理に好適な金属カチオンとしては、カルシウム、マグネシウム、及びバリウムカチオンが挙げられ、カルシウムは特に好適である。カルシウムがイオン交換金属カチオンとして用いられる場合、クリノプチロライト中のカチオン全体の少なくとも60%がカルシウムカチオンとなるまでイオン交換を継続するのが望ましい。
【0024】
なお、イオン交換は二つ以上のステップにて行われる。例えば、イオン交換は、細孔径調製のための追加イオン交換に好適である、組成的に均質な出発原料を提供するために用いられる。従って、追加イオン交換は、天然物原料の固有のばらつきを補正するために用いられ、これによって一酸化炭素を炭化水素及び水素から分離する機能を強化する。
【0025】
クリノプチロライトは天然原料なので、市販品の粒径には差異があり、そしてクリノプチロライトの粒径は、イオン交換反応の速度及び完成度に影響する。
【0026】
クリノプチロライト等のゼオライトのイオン交換技術は、モレキュラーシーブ技術の当業者には公知の事柄なので、ここでは詳しく説明しない。イオン交換において、カチオンは、好都合なことに水溶性塩の形態で水溶液中に存在している。イオン交換は、カチオン容量の少なくとも40%、望ましくは少なくとも50%が所望のカチオンで占められるまで継続するのが望ましい。イオン交換は、クリノプチロライトに容易に導入できる所望のカチオンが無くなるまで継続するのがよい。元のクリノプチロライトカチオンの交換値を最大にするためには、イオン交換を、上記クリノプチロライトのイオン交換容量の2〜100倍の分量の被導入カチオンを含んだ溶液を用いて行うのが推奨される。通常、イオン交換溶液は1リットルあたり0.1〜5モルのカチオンを含んでおり、少なくとも1時間、元のクリノプチロライトと接触する。多くの場合イオン交換は、通常100℃未満の上昇させた温度下で行うことで、処理の進行を加速させるが、大気温度下で行うことも可能である。
【0027】
通常、カチオンはアルカリ金属が主要な割合を占めるが、クリノプチロライトは可変の組成を有する天然原料であるから、未加工のクリノプチロライト中に存在するカチオンには変化がある。また通常、最も消耗するイオン交換の後でさえ、元のクリノプチロライトカチオン中のある割合、すなわち5〜15重量%は、他のカチオンと交換できないことが分かる。しかし、元のクリノプチロライトカチオン中のこの少ない割合の存在が、本発明の方法におけるイオン交換後のクリノプチロライトの使用にとって妨げとなるものではない。
【0028】
上で述べたように、本発明に用いられる変成クリノプチロライトはいずれも、天然クリノプチロライトと適当なカチオンとをイオン交換することによって直接調製することができる。しかし実際問題として、このような直接イオン交換は、最も経済的あるいは実用的な技術ではない。クリノプチロライトは天然鉱物であるのでその組成には変化があり、また多くの場合、相当量の不純物、特に可溶性珪酸を含んでいる。イオン交換を可能な限り完全なものとするために、また不純物の除去のために、導入が望ましいカチオンを大過剰に用いて、クリノプチロライトのイオン交換を行うのが望ましい。しかし、例えばもし大過剰のバリウムをこのイオン交換に用いた場合、有毒なバリウム塩の環境への放出の制限を考慮すると、使用後のイオン交換溶液からのバリウムの処分及び/あるいは回収によって、困難な環境問題が引き起こされる。さらに、ナトリウムイオン交換において除去可能な不純物を含め、不純物によっては、バリウムイオン交換においては除去ができない。その理由は、バリウム関連化合物はそれらのナトリウム対応物に比べて溶性がずっと低いからである。
【0029】
本発明のクリノプチロライトが工業用吸着剤に用いられた場合、変成クリノプチロライトを凝集させ(ペレット化する)、マクロ細孔分布を制御するのが好ましい。あるいは工業用サイズの吸着塔においては、粉体状クリノプチロライトはコンパクトであって、上記コラムからの流出を阻止、あるいは少なくとも著しく低減させる。モレキュラーシーブの従来の凝集技術は、モレキュラーシーブ技術の当業者にとっては公知の事柄である;当該技術は、モレキュラーシーブと、通常粘土である結合剤とを混合させる工程と、通常、押し出しあるいはビード形成によって、上記混合物を凝集体に形成する工程と、そして形成されたモレキュラーシーブ/粘土混合物を500〜700℃まで加熱し、緑色凝集体を、粉砕に対して耐性がある凝集体に転換する工程とを含む。
【0030】
クリノプチロライトを凝集させるための上記結合剤は、粘土、シリカ、アルミナ、金属酸化物及びそれらの混合物を含む。さらに、クリノプチロライトは、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリア及びシリカ−チタニアなどの原料によって、またシリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア及び結合剤として存在する粘土などの三元系組成物によって形成される。上記原料及びクリノプチロライトの相対的比率は、混合物中の含有クリノプチロライトの重量が上記混合物の総重量の1〜99%、望ましくは60〜95%を占める割合で、大きく変化する。クリノプチロライトが使用に先立って凝集体へと形成される場合、上記凝集体の直径は1〜4mmであるのが望ましい。
【0031】
上記問題を回避するために、最初に未加工のクリノプチロライトをナトリウムイオン交換処理にかけ、生成されたナトリウムクリノプチロライトを凝集させ、そして上記凝集させた原料に第二イオン交換処理を施して所望の非ナトリウムカチオンを導入することにより、ナトリウムクリノプチロライト以外の変成クリノプチロライトを生成するのが望ましい場合もある。
【0032】
クリノプチロライトは、本発明の方法において用いる前に、焼成つまり加熱によって活性化する必要がある。クリノプチロライトを上述のように凝集させる場合、凝集のために必要な熱は通常、活性化のためにも十分なものであり、よってそれ以上の加熱は必要ではない。しかしクリノプチロライトを凝集させない場合は、通常、別途の活性化工程が必要となる。さらに、鉱石が直接用いられるか、あるいはイオン交換が凝集処理の後に行われる場合にも、通常、別途の活性化工程が必要となる。クリノプチロライトは、空気中、不活性雰囲気あるいは真空中で一定の温度まで、また活性状態になるまでの十分な時間加熱することによって活性化することができる。ここで用いられる「活性化している」という用語は、空気との平衡状態に比して水分の含有量が低減した吸着剤を表している。標準的な活性化の条件には、100〜700℃の温度、及びクリノプチロライトの水分の含有量を0.2〜2重量%まで低減させるのに十分な時間、30分間〜20時間の条件が含まれる。好ましくは、クリノプチロライトは、空気中あるいは窒素パージ蒸気あるいは真空中で200〜350℃で然るべき時間加熱することによって活性化される。クリノプチロライトのいずれかの特定検体の活性化に必要な温度は、定期的な実証テストによって容易に割り出すことが可能であり、このテストの際、いろいろな温度で活性化処理をしたサンプルにて絶対負荷あるいは吸着率などの標準的吸着特性が測定される。
【0033】
クリノプチロライトのイオン交換によって、その細孔径が一貫した変成クリノプチロライトが生成されるが、細孔径の精度は、交換される金属カチオンにばかり依存するのではなく、イオン交換後の生成物の熱処理にも依存している。概して、本発明の変成クリノプチロライトの細孔径は、上昇する温度に曝されることによって縮小する傾向がある。従って、変成クリノプチロライトの活性化温度の選択にあたっては、本発明の方法における変成クリノプチロライトの性能に対して悪影響を及ぼすほど細孔径を縮小させてしまう温度、すなわち700℃より高い温度まで変成クリノプチロライトを加熱してしまわないように注意する必要がある。熱に曝した際の変成クリノプチロライトの反応によって、採用できる活性化温度も制限されるが、細孔径の熱減量によって、変成クリノプチロライトの細孔径を微調整し、本発明の方法においてその性能を最適化できる可能性も提供される。
【0034】
本発明の方法は、主として、水素及び炭化水素ストリームから微量の一酸化炭素を除去することを目的としている。上記ストリーム中においては、僅か数ppmの一酸化炭素が存在することも望ましいことではない。
【0035】
これらのタイプの工程は、大量の水素および炭化水素ストリームから微量の一酸化炭素を分離する工程を含むものであるから、従来から行われていた工程に、吸着工程において通常凝集体の形態であるクリノプチロライト床に上記水素ストリームを単に通過させることによって有効なものとなる。吸着工程が継続するにつれて、上記床にて、一酸化炭素が充填された(loaded)クリノプチロライト及び充填されていないクリノプチロライト間に、いわゆる「フロント」が形成され、このフロントは上記床を通じてガス流の方向に移動する。吸着工程中の温度は−15℃から+100℃の間に保たれるのが望ましい。フロントが上記床の下流端に到達する前(不純物を含む水素ガスが床から出るまで)に、水素ガス流を遮断し、床から一酸化炭素を脱着させるパージガスを床に通過させて、床を再生させるのが望ましい。工業的実施において、パージガスは通常、天然ガスあるいは気化異性化生成物であって、100℃〜350℃の範囲の温度まで加熱される。そしてこのようなパージガスは本発明の方法において十分に有効な物でもある。なお、重要なこととして、圧力スイングや、パージサイクルなど、その他の吸着サイクルも利用可能である。こうしたサイクルは本発明の重要な部分ではなく、当業者にとっては公知のものであるので、ここでは、これ以上説明しない。
【0036】
以下に実施例を示すが、その目的は本発明の好ましい方法を示すためである。全ての吸着測定は、特に指定のない限り23℃にて行われる。また、全ての分離係数は実施例のデータに基づいた形態で示され、データによると、水素ガスからの一酸化炭素除去のためには、カルシウム交換クリノプチロライトが最も良い候補であると結論できる。
【実施例1】
【0037】
変成クリノプチロライトは、以下の手順に従って生成される:
まず、必要な塩溶液の分量を以下のステップを通じて判定する:
問題のクリノプチロライトを選択し、存在する各酸化物種のモル及び分子量から式量を見積もる。その後、存在する各交換可能カチオンのための活性試料の1グラム当量を決定し、その値を総計する。活性原料中の全てのカチオン(総交換が要求されるならば)を置き換えるのに化学量的に必要な塩及び溶液の量を計算する。通常、試料及び交換条件における不完全さを補うために、これらの値は4倍される。塩溶液のモル濃度は、殆どの交換にとって(しかし全てにではない)好適な濃度である0.4以下に制限される。
【0038】
交換塩溶液を生成し、そのpHを以下のように調整する:使用する塩の実際の分量を測定し、記録する。上記塩を目盛り付きバケットに入れ(超過して加える際は、精度は重要ではない)、脱イオン水を適当な目盛りまで加える。必要であれば、大容量の溶液にはカーボイを使用する。水中での10重量%の塩基溶液(例えば:CaCl2溶液のためのCa(OH)2)を調製し、塩溶液のpHを9.9〜10.2の間に調整する。これは殆どの交換にとって好適である。塩基液のアリコートを0.3〜0.5ml、塩溶液に加えて、そして各添加の後、pH紙を用いて塩溶液pHを測定する。後の参照のために、用いられる量を記録する。
【0039】
洗浄液を調製し、そのpHを以下のように調整する:洗浄液は交換溶液と同じ塩を用いるが、非常に希薄である(例:上記交換溶液が0.2Mだった場合、洗浄液は0.2M/20、あるいは0.01M)。必要な塩の量を測定し、その質量を記録する。交換溶液と同じ方法で、溶液の調製、及びpHの調整を完了する。
【0040】
交換塔への充填を以下のように行う:シリコングリースを薄く塗布したOリングを配置し、底部テフロン(登録商標)嵌合部(fitting)を上記塔に取り付ける。塔の頂上を通じて、ステンレスメッシュを1ピース挿入し、上記底部嵌合部の口を覆う。上記メッシュの上部に、6mmのガラスビード0.2kg(ボトルの2分の1)を加え、プレヒート部として利用する。ステンレスメッシュ3ピースを加えて、上記ビードより吸着剤試料を分離する。クリノプチロライト試料の実際の分量の重さを量って記録し、それを上記塔に加える。ステンレスメッシュ2ピースを上記試料の上部に配置し、上記塔の頂上付近まで6mmガラスビードで満たす(デッドボリュームを減らすため)。トップOリング(グリースを薄く塗布した)および嵌合部を取り付ける。通常通り、熱交換を行うならば、水槽をオンにして、ダイヤルを88℃、望ましくは、それ以下にセットする。
【0041】
交換処理を以下のように完了する:33ml/分の速さで塩溶液の汲み上げを開始する。開始時刻及び測定された流速を記録する。排液管の端部を、廃液用バケットあるいはカーボイ内に配置する。全ての工程が正確に進行するように、水槽及びポンプを時折チェックする。交換溶液が完全に調剤されたら、同じ速度及び温度で、洗浄液の汲み上げを直ちに開始する。洗浄液の汲み上げが完了したら、排液管を室内空気に接触させ、塔注入管の端部を廃液用コンテナ内に配置する。塔の温度を維持しながら、室内空気を適当な速度で上記塔内に通過させ、クリノプチロライト試料を乾燥させる(1〜3時間)。水槽をオフにして塔を冷却する。室内空気流も冷却の補助のため流し続ける。塔が冷却されたら、試料を、塔の底部を通じて慎重に除去する。
【0042】
試料の活性化を行い、その結果を、分析のために下の表に提示する:水分の緩やかな除去のために、室内空気を用いたこの「予備活性化」を利用することができる。
Ramp (hrs) Temp.(℃) Hold(hrs)
0.5 50 0.5
1.5 100 5
1.5 150 4
1.5 200 2
1.5 250 2
1.5 250 2
1.0 25 2
【0043】
最後に、上記試料を350℃で3時間真空活性化し、80℃前後まで冷却させ、ボトリングし、その一部を分析テスト(通常、LOIおよびICPP)のために提示する。
【実施例2】
【0044】
色々なゼオライト原料の初期のテストにおいて、バリウム交換クリノプチロライト(クリノ)メッシュのみが、精製工程において問題となる低分圧の条件下で十分な一酸化炭素の吸着能力を示した。未加工のクリノ鉱石をナトリウム交換することによって変成クリノの出発試料が生成された。このナトリウム交換クリノは出発原料として用いられ、カリウム、リチウム及びカルシウムのイオン交換形態を生成し、その結果、炭化水素をさらに排除する一酸化炭素の最適な吸着剤が検出された。上記試料は化学分析され、以下の表1に示すイオン交換の範囲を実証した。
【0045】
次に、上記原料は、一酸化炭素吸着の状態を調べるためのテストが行われた。上記試料が十分に活性化した後、一酸化炭素を、6Torr分圧で3時間吸着した。その後、CO圧は46Torrに上昇し、2時間吸着した。(表2)両条件下にて、見たところは平衡状態が保たれた。その後上記試料は一晩、350℃の温度で真空状態に置かれ、再活性化された。翌日、この試料を、炭化水素共吸着の状態を調べるためにテストした。第一に、250Torr及び21℃(表3)の条件下、プロパンでテストし、他の活性化処理の後、700Torr及び21℃(表4)の条件下、エチレンでテストした。
【0046】
四つの試料は、前もって生成された原料であって、そのままテストした。二つはバリウムクリノプチロライトの試料であった。これら二つの一酸化炭素データは、殆ど同一のもので、用いられた一酸化炭素のマックベイン試験技術の再現性を実証していた。マグネシウム・クリノはマグネシウム交換クリノであった。ナトリウム交換クリノはメッシュ生成物であり、炭化水素加工の市場における現在の市販品である。三つのイオン交換形態:クリノのカルシウム、リチウム及びカリウム形態は、この原料から作られる。
【0047】
【表1】

【0048】
一酸化炭素吸着については、7Torr一酸化炭素分圧(表2)の条件下で以下の順序が検出された:Baクリノ>Caクリノ>Liクリノ>Naクリノ(ペレット形態)>Mgクリノ>Naクリノ=Kクリノ。
【0049】
【表2】

【0050】
プロパン排除(少ないほど良い)について、以下の結果が判明した(表3):表3に結果の概要を示す。各クリノによる吸着は、Mgクリノ=Caクリノ=Naクリノ=Kクリノ=Liクリノ<Baクリノ<Naクリノペレット、である。
【0051】
【表3】

【0052】
エチレン排除について(少ないほど良い)、以下の結果が判明した(表4):960分間のテストの結果、Naクリノ=Caクリノ<Mgクリノ<<Kクリノ<Liクリノ<Baクリノ<Naクリノ(P)であることが示された。
【0053】
【表4】

【0054】
ある特定の状況では、ナトリウム形態のようなクリノの他の形態も効果があるが、水素精製の特定の用途においては、クリノのカルシウム交換バージョンが、炭化水素を吸着せず、一酸化炭素除去のためには最も良い候補である。
【実施例3】
【0055】
カルシウム交換クリノによって、炭化水素の共吸着量(プロパン、エチレン)が最少量で十分な一酸化炭素充填(loading)を成す最適な組み合わせを実現できたことから、クリノのカルシウム交換形態についてさらに研究が進められた。クリノの二つの異なる未加工の鉱石がテストされた。ナトリウム交換鉱石を最初に形成するナトリウム交換を経ることなく、未加工の鉱石をカルシウム交換することによって、コストが著しく削減される。各鉱石はカラム交換された。出発鉱石及びカルシウム交換形態の化学分析が、表5に示される。
【0056】
【表5】

【0057】
クリノは、それらの独特の層状構造のため、閉孔が容易である。活性化温度が高いほど、より多くの閉孔効果が生じた。従って、クリノのカルシウム交換形態の試料を、未加工のクリノ鉱石と共に、500℃で1時間焼成した。これによって、これらの原料に閉孔効果を生じさせることの容易さが示された。
【0058】
次に、上記原料を、マックベイン−バクル重力吸着装置における一酸化炭素吸着の状態を調べるためテストした。試料を十分に活性化した後、一酸化炭素を分圧6Torrにて1.9時間吸着した。そして、一酸化炭素圧は46Torrに上昇し、1時間吸着された。(表6)
室温での未加工原料の一酸化炭素吸着については、以下の順序が検出された。(表6)CaTX−764>CaEP−9174>CaTSM−140>CaTX−764*>>TSM−140>CaTSM−140*>TX−764*=TX−764
【0059】
【表6】

【0060】
1時間後の読取値と比較して、1時間後と1.9時間後の読取値の間に重量の変化が非常に少ないので、1時間後に6Torrデータポイントで均衡状態が達成されたようであった。第2ポイント(46Torr)に関しては、第1読取は30分後に、第2読取は1時間後に行われた。均衡状態はこの短い時間で達成され、一酸化炭素の吸着速度が速いことを示している。
【0061】
次に、これらの試料は1.5時間室温下で真空状態に置かれ、一酸化炭素の大部分が脱着され(表7)、その後試料は350℃で一晩、真空活性化された。翌日、これらの試料は22℃及び750Torrの条件下でエチレン吸着の状態を調べるためにテストされた。エチレン排除(少ないほど良い)に関して、以下の内容が検出された(表7):
CaEP1974<CaTSM−140*=CaTX−764=TX−764<TSM−140<CaTSM−140<<CaTX−764<TX−764
【0062】
【表7】

【0063】
エチレン吸収の後、マックベインを空にし、その後ヘリウムで満たし週末に渡って試料の乾燥状態を保った。その後、750Torrの圧力下でエチレンを再導入した。試料の一部は、6Torrの圧力下で2時間経過後の第1一酸化炭素吸着ポイントで重量が無くなった。従って、これらの試料における一酸化炭素率あるいは最終一酸化炭素充填(loading)に関しては不明である。一酸化炭素圧は46Torrに上昇した。この6Torrと46Torrとの間の差の原因が一酸化炭素吸収のみにあると判断することもできるが、この間にどれだけの量のエチレンが脱着されたのかについては知る方法がない。しかし、もしこの6Torrと46Torrとの間の差を観察し、またエチレン脱着については一切無視してよいと仮定すれば、概算は可能である。そうだとすれば、エチレンが存在する場合は、最も高い一酸化炭素値は最も良い候補ということになる。これらの条件下における一酸化炭素容量の順序は以下のとおりである(表8):
CaTX−764*=CaEP−9174>CaTSM−140>CaTX−764=TX−764*>CaTSM−140*=TSM−140>TX−764
【0064】
【表8】

【0065】
再び上記試料を、真空状態で350℃の温度下で一晩活性化させ、エタンをこのシステムに取り込んだ。標準的な触媒改質装置水素ガスのエタン含有量は検出される微量のエチレンよりもはるかに多いように見える。従って、エタンの排除は非常に重要である。試料を、22℃の温度下、750Torrの圧力下で2時間及び一晩、エタンに接触させた状態にした。そのデータは表9に示される。エタン吸収率が最も低い原料が最も良い原料である。検出されたエタン吸収値の順序は以下のとおりである:
CaEP−9174<CaTSM−140*<TX−764*=CaTX−764*<TSM−140=CaTSM−140<CaTX−764<TX−764
【0066】
【表9】

【0067】
交換クリノの焼成は、カチオンの種類に関係なく、クリノの性能(炭化水素の排除において最も顕著に)に効果をもたらすように見える。データに基づいて言えば、カルシウム交換EP−9174(ナトリウム交換クリノEP−9174の)は、化学的に言えばカルシウム交換未加工鉱石とそれほど大きな違いはないが、それでもプラットフォーマーの水素ガス利用において最も良い候補であるように見える。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素あるいは水素含有ストリームから小さい割合の一酸化炭素を分離するための方法であって、一酸化炭素含有混合物を吸着剤に接触させるステップを含んでいて、前記吸着剤は炭化水素分子を排除して一酸化炭素分子を吸着するのに十分な大きさの有効細孔径および形状を有している、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
上記吸着剤は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びバリウムカチオンから成る群の少なくとも一つの金属カチオンとイオン交換処理にかけられた天然クリノプチロライトであって、それにより一酸化炭素をクリノプチロライトに選択的に吸着させる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
金属カチオンが、カルシウム、バリウム並びにカルシウム及びナトリウムの混合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
上記天然クリノプチロライトが、100℃〜700℃の温度で適正な時間加熱されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
水素あるいは炭化水素含有ストリームの一酸化炭素含有量が、1重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記水素含有ストリームは触媒改質ユニットから生成され、その際に、
上記水素含有ストリームの少なくとも一部を、吸着剤を含む吸着剤床を通過させ、前記吸着剤は炭化水素分子を排除して一酸化炭素分子を吸着するのに十分な大きさの有効細孔径及び形状を有しているものであり、そして
一酸化炭素濃度を低減した水素ガスストリームの少なくとも一部を一酸化炭素含有量の低い水素を必要とする触媒炭化水素転換工程に通す、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
上記吸着剤がパラフィンあるいはオレフィン異性化ユニットに補給する水素の精製のために用いられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
上記吸着剤がオレフィン生成工程でオレフィンの精製のために用いられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
さらに、上記吸着剤の再生工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
さらに、二酸化炭素の除去工程を含む請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2007−514537(P2007−514537A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545443(P2006−545443)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/042305
【国際公開番号】WO2005/061421
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(598055242)ユーオーピー エルエルシー (182)
【Fターム(参考)】