説明

心臓に対する皮下電極位置決め方法およびシステム

皮下医療電極システムを実施するアプローチは、大部分の心室組織が電極サブシステム間で画定される容積内に含まれるように心臓に対して多数の電極サブシステムを位置決めすることを含む。このようにして位置決めされた電極サブシステムの一つが医療デバイスを囲曉するハウジング上に配置される缶電極を含んでいてもよい。医療デバイスは、例えば、心臓不整脈療法を含む、治療、診療、またはモニタ機能を提供するように構成され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、植込型医療デバイスに係り、より詳細には、皮下電極位置決めに関する。
【背景技術】
【0002】
健康な心臓は、規則的な、同期収縮をもたらす。心臓のリズミカルな収縮は、通常、上右心房に位置する特殊細胞である洞房(SA)結節によって制御される。洞房結節は、一般に、60乃至100拍/分の心拍から始まる心臓の正常なペースメーカーである。洞房結節が心臓を正常にペーシングしている時、心臓が正常な洞調律にあるという。
【0003】
心臓の電気的活動の調和がとれなくなり、あるいは、不規則になった場合、心臓は不整脈と呼ばれる。心臓の不整脈は、心臓の効率を損ない、生命を脅かす可能性のある事象となり得る。心臓の不整脈には、心筋梗塞、感染、または収縮を調和させる電気的衝撃を発生または同期させる心臓の能力の低下による組織の損傷を含む多数の精神病学的原因がある。
【0004】
心臓のリズムが遅すぎると、徐脈が起きる。この状態は、例えば、洞機能不全症候群と呼ばれる洞房結節の損傷機能によって、または、心房と心室の間の電気的刺激の遅延伝搬または遮断によって、発生する。徐脈は、遅すぎるために、充分な血液循環を維持できない心拍数をもたらす。
【0005】
心拍数が早すぎる場合、この状態は、頻拍と表される。頻拍は、心房または心室のいずれかにその原因がある。例えば、心臓の心房に起こる頻拍は、心房細動および心房粗動を含む。どちらの状態も心房の急速な収縮を特徴とする。心房の急速な収縮は、血行力学的に非効率的である上に、心室の収縮速度にも影響を与える。
【0006】
例えば、心室心筋において電気的活動が正常な洞調律より速く発生すると、心室性頻拍が起こる。頻拍は、素早く心室細動に縮退し得る。心室細動は、心室組織内の極めて急速かつ調和のとれない電気的活動が表す状態である。心室組織の急速かつ迷走的な興奮によって、同期収縮が妨害され、血液を効率的に汲み出し体内へ送り込む心臓機能が損なわれ、これによって、数分以内に心臓が洞調律に戻らない場合、致命的な条件となる。
【0007】
深刻な不整脈をもつ患者のための効果的な治療として、植込型心臓のリズム管理システムが用いられている。一般的に、これらのシステムは、心臓の一つ以上の内部表面および/または外部表面からの信号を感知(感知)するために、一つ以上のリードおよび回路を含む。このようなシステムは、心臓の一つ以上の内部表面および/または外部表面で心臓の組織に印加される電気的パルスを発生させるための回路も含む。例えば、患者の心臓まで延出するリードは、心臓の電気的信号を検出するとともに、上述された種々の不整脈療法に応じて心臓にパルスを送るために、心筋と接触する電極と接続される。
【0008】
深刻な心臓不整脈をもつ患者への効果的な治療として、植込型電気的除細動器および/または除細動器(ICD)が使われている。例えば、一般的なICD(植込型電気的除細動器/除細動器)は、少なくとも一つの除細動電極が接続される一つ以上の心内膜リードを含む。このようなICDは、心臓へ高エネルギーショックを送り、心室の頻拍性不整脈または心室細動を中断させ、心臓に正常な洞調律を再開させることが可能である。ICDがペーシング機能を含んでいてもよい。
【0009】
ICDは心臓突然死(SCD)の予防に非常に効果的であるにもかかわらず、SCDの危機に瀕した人の大部分が植込型除細動器を付けていなかった。この不運な現実に対する主な理由としては、経静脈的リードおよび/または電極植込を実行できる医師の不足、このような心臓治療に対応する設備の整った外科的設備の不足、および受けるべき心内膜または心外膜リードおよび/または電極植込治療を安心して受けられるSCDの危機を孕む患者人口が限定されていることなどがあげられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した理由や本明細書を読むことによって当業者に想定され得るさまざまな理由によって、心内膜または心外膜リードおよび/または電極を必要とせずに、心臓の活動の感知を提供するシステムおよび方法が必要とされる。心内膜または心外膜リードおよび/または電極を必要とせずに心臓刺激療法を施すためのシステムおよび方法が更に必要とされる。本発明は、さまざまなニーズに応え、知られているシステムおよび技術の欠点を補うものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一般に、経胸腔的な除細動療法、経胸腔的なペーシング療法、または、該経胸腔的な除細動療法と該経胸腔的なペーシング療法の組合せを提供する心臓刺激方法およびシステムに関する。本発明の実施の形態は、心臓不整脈を検出し治療する皮下心臓刺激方法およびシステムに関する実施の形態を含む。
【0012】
本発明の一実施の形態によれば、医療システムは、ハウジング内に配置される医療デバイスを有するハウジングを含む。該医療デバイスは、大部分の心室組織が電極サブシステム間で画定される容積内に含まれるように心臓に対して位置決めされる皮下電極サブシステムに接続される。
【0013】
本発明の他の実施の形態において、医療デバイスは、缶電極を含むハウジング内に配置される。該医療デバイスは、缶電極、そして、皮下電極サブシステムに接続される。該缶電極および該電極サブシステムは、大部分の心室組織が該缶電極と該電極サブシステムの間で画定される容積内に含まれるように心臓に対して位置決めされる。
【0014】
本発明のまた他の実施の形態は、医療デバイスを内部に配置したハウジングと、該医療デバイスに接続された第1と第2の皮下電極サブシステムとを有する医療システムを含む。第1と第2の皮下電極サブシステムは、大部分の心室組織が該第1と第2の電極サブシステム間で画定される容積内に含まれるように心臓に対して位置決めされる。
【0015】
本発明の更なる実施の形態において、電極システムは、第1の皮下電極サブシステムおよび第2の皮下電極サブシステムを含む。第1と第2の電極サブシステムは、大部分の心室組織が該第1と第2の電極サブシステムの間で画定される容積内に含まれるように位置決めされる。
【0016】
本発明のまた他の実施の形態において、方法は、ハウジング内に配置された医療デバイスに皮下電極サブシステムを接続することと、大部分の心室組織が該電極サブシステムの間の容積領域内に含まれるように該電極サブシステムを位置決めすることを含む。
【0017】
本発明の更なる実施の形態によれば、医療デバイスは、生理学的状態を感知する手段と、該感知された生理学的状態に基づいて心臓不整脈を検出する手段と、を含む。医療デバイスは、心臓不整脈を抑制するために心臓を電気的に刺激する手段も含む。心臓を電気的に刺激する手段は、大部分の心室組織が該心臓を電気的に刺激する手段間で画定される容積内に含まれるように心臓に対して皮下的に配置される。
【0018】
上記の「発明の開示」は、本発明の各実施の形態または全ての実施を網羅して記述することを意図するものではない。本発明の利点および概念は、本発明が一層完璧に理解されるように、添付図面に沿って作成された「発明を実施するための最良の形態」および「特許請求の範囲」を参照することによって、より一層明瞭に理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は種々の変形および他の形態に変更可能であるが、その具体例が例示することによって示され、以下に詳細に記述される。しかしながら、記述されている特定の実施の形態に本発明を限定しようとするものではないことが理解されよう。これに対して、添付の特許請求の範囲によって定義付けられるように、本発明は、本発明の範囲を逸脱せずに、すべての変更、等価のものおよび代替を網羅しようとするものである。
【0020】
図示されている実施の形態の以下の説明において、本発明を構成し、本発明が実施される種々の実施の形態を図解によって示した添付図面を参照されたい。他の実施の形態が使用可能であること、および、本発明の範囲を逸脱しない範囲において、本発明が構造的および機能的に変更され得ることが理解されよう。
【0021】
植込まれたデバイスは、以下に説明される、特徴、構造、方法、またはこれらの組合せの一つ以上を含むことができる。例えば、心臓のモニタまたは心臓の刺激装置は、後述する有利となる特徴および/またはプロセスの一つ以上を含むように実施され得る。このようなモニタ、刺激装置、または他の植込まれた、あるいは、部分的に植込まれたデバイスは、本明細書中に記載される特徴の全てを含む必要はないが、これらが、独特な特徴および/または機能を提供する、選択された特徴を含むように実施され得る。このようなデバイスは、さまざまな治療上または診断上の機能を提供すべく実施され得る。
【0022】
「植込型の経胸腔的心臓感知および/または刺激(ITCS)デバイス」と呼ばれるこのようなデバイスは、種々の有利となる特徴および/またはプロセスを含んで、本明細書中で説明される。ITCSの特徴およびプロセスが全体を通して記述されるが、あくまでも図示目的のためであり、本発明を限定するものではないこと、および、このような特徴およびプロセスが、植込型および非植込型のデバイスを含む、他のタイプのデバイスによって実施可能であることが理解されよう。例えば、本明細書中に参照することによって組み込まれている特許文献に開示されたデバイスを含む、心臓モニタ、診断デバイス、ペースメーカー、電気除細動器および/または除細動器、再同期調整器などにおいて実施され得る。本明細書中に記述された特徴およびプロセスは、経静脈的、心内膜、心外膜、皮下または表皮電極の一つ以上を使用可能なデバイスによって、または、これらの電極の組合せを使用可能なデバイスによって、実施され得ることが更に理解されよう。
【0023】
一般概念において、植込型経胸腔的心臓感知および/または刺激(ITCS)デバイスは、患者の胸部の皮下に植込まれ得る。例えば、ITCSデバイスは、該デバイスの全てまたは選択された素子が心臓の活動を感知すると共に心臓の刺激療法を施すために適した患者の前部、後部、側部または他の身体の位置に配置されるように、皮下的に植込まれ得る。例えば、心臓の近傍、周囲、内部または上部の異なる部位に電極をそれぞれ位置決めして、胸部、腹部、鎖骨下部位などでのいくつかの異なる身体位置において、ITCSデバイスの素子が配置され得ることが理解されよう。
【0024】
1つの構成において、例えば、ITCSデバイスの主要ハウジング(例えば、活動中または非活動中の缶)は、腹部、または、上胸部(鎖骨下位置、例えば、第3の肋骨より上)内の、例えば、肋間または肋骨下の位置で肋郭の外側に位置するように構成され得る。一つの実施の形態において、一つ以上の電極は、主要ハウジング上、及び/または、心臓、大血管、または冠状脈管の周辺であるが、これらに直接接触しない他の位置に配置され得る。他の実施において、一つ以上の電極は、例えば、一つ以上のリードを介して、心臓、大血管、または冠状脈管と直接接触して配置され得る。他の実施においては、例えば、一つ以上の皮下電極サブシステムまたは電極アレイは、活動缶を用いたITCSデバイス構成、または、非活動缶を用いた構成において、心臓の活動を感知し、心臓の刺激エネルギーを送るために使用され得る。電極は、心臓に対する前部および/または後部の位置に配置され得る。
【0025】
一般に、本明細書中に示されるいくつかの構成は、従来より、植込型電気除細動器及び/または除細動器(ICD)によって実行されてきた種々の機能を実施することが可能であるとして記述され、従来技術において知られているように多数の電気除細動/除細動モードで機能し得る。それらの態様が本明細書中で想定されるタイプのITCSデバイスに含まれ得る、例示的なICD回路、構造、および機能性が、全体がそれぞれ本明細書中に参照することによって組み込まれる、同一人に所有される米国特許第5,133,353号、第5,179,945号、第5,314,459号、第5,318,597号、第5,620,466号、および第5,662,688号に開示されている。
【0026】
特定の構成において、システムおよび方法は、例えば、電気除細動/除細動療法以外に、技術上知られているように、種々のペーシング療法を提供するなど、ペースメーカーによって以前から実行されていた機能を実行することができる。それらの態様が本明細書中で想定されるタイプのITCSデバイスに含まれ得る、例示的なペースメーカー回路、構造、および機能性は、全体がそれぞれ本明細書中に参照することによって組み込まれる、同一人に所有される米国特許第4,562,841号、第5,284,136号、第5,376,106号、第5,036,849号、第5,540,727号、第5,836,987号、第6,044,298号、および第6,055,454号に開示されている。ITCSデバイス構成が、徐脈および/または反徐脈ペーシング療法に加えて、または、この療法を用いずに、非生理学的ペーシングサポートを提供できることが理解されよう。
【0027】
技術上知られているように、ITCSデバイスは、電気除細動及び/または除細動療法を代替的または付加的に施すことによって、心臓診断デバイスまたは心臓モニタによって以前から提供されてきた機能を実施することができる。それらの態様が本明細書中で想定されるタイプのITCSデバイスに含まれ得る、例示的な心臓モニタ回路、構造、および機能性が、全体がそれぞれ本明細書中に参照することによって組み込まれる、同一人に所有される米国特許第5,313,953号、第5,388,578号、及び第5,411,031号に開示されている。
【0028】
ITCSデバイスは、速度ベースの、パターンと速度ベースの、および/または形態学的不整頻拍識別解析を実行することを含み得る、段階的治療などの種々の反不整頻拍療法を実行し得る。皮下の、皮膚の、および/または、外部センサは、不整頻拍の検出および終末を改良するために生理学的および非生理学的な情報を得るために用いられる。本開示に記載されている構成、特徴、及び特徴の組み合わせは、広範囲の植込型医療デバイスにおいて実施可能であること、また、このような実施の形態や特徴は、本明細書中に記述されている特定のデバイスに限定されないことが理解されよう。
【0029】
ITCSデバイスは、速度ベースの、パターンと速度ベースの、および/または、形態学的不整頻拍識別解析を実行することを含み得る、種々の診療機能を実行するために使用され得る。皮下の、皮膚の、および/または、外部センサは、不整頻拍の検出および終末を改良するために生理学的および非生理学的な情報を得るために用いられる。本開示に記載されている、構成、特徴 及び特徴の組み合わせは、広範囲の植込型医療デバイスにおいて実施可能であること、また、このような実施の形態や特徴は、本明細書中に記述されている特定のデバイスに限定されないことが理解されよう。
【0030】
図1Aおよび図1Bを参照すると、患者の胸部のさまざまな位置に植込まれた経胸腔的心臓感知および/または刺激(ITCS)デバイスの構成が示されている。図1Aおよび図1Bに示される特定の構成において、ITCSデバイスは、種々の心臓の感知、検出、処理、およびエネルギー分配回路がハウジングされ得る、ハウジング102を含む。図示され、本明細書中に記載された部品および機能性が、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアを組合せて、実施され得ることが理解される。図中、分離したまたは個別のブロックおよび/または素子として示される部品および機能性が、他の部品および機能性と組み合わされて実施され、このような部品および機能性は、説明をより一層明瞭にするために別体または一体型の形態で図示されており、本発明を限定するものではないことが更に理解されよう。
【0031】
通信回路は、ITCSデバイスと、例えば、携帯型、または、枕元の連絡ステーション、患者運搬型および/または着用型連絡ステーション、または外部プログラマなどの外部通信デバイスと、の間の連絡を容易にするためのハウジング102内に配置される。また、通信回路は、一つ以上の外部、皮膚、または皮下の生理学的または非生理学的センサとの単方向または双方向の連絡を容易にすることができる。一般に、ハウジング102は、一つ以上の電極(例えば、缶電極および/または不関電極)を含むように構成される。一般に、ハウジング102は活動缶として構成されるが、ハウジング102から離間される少なくとも2本の電極が用いられる非活動缶構成も実施可能であることが理解されよう。
【0032】
図1Aおよび図1Bに示される構成において、皮下電極104は、胸部の皮膚の下に配置され、ハウジング102からは遠位に位置する。皮下の、適用可能な場合は、ハウジング電極が、例えば、心臓に対して前部および/または後部のいろいろな位置で、様々な位置および配向において、心臓の周辺に配置され得る。皮下電極104は、リードアセンブリ106を介して、ハウジング102内の回路に電気的に接続される。一つ以上の導体(例えば、コイルまたはケーブル)は、リードアセンブリ106内に設けられ、皮下電極104をハウジング102の回路に電気的に接続させる。一つ以上の感知、感知/ペーシングまたは除細動電極は、細長い構造の電極支持体、ハウジング102および/または(図1Aおよび図1Bに示される構成の皮下電極104として示される)遠位電極アセンブリ上に配置され得る。
【0033】
1つの構成において、一般に、リードアセンブリ106は、可撓性で、従来の植込型医療電気リード(例えば、除細動リードまたは除細動/ペーシング組合せリード)と同様の構造を有する。他の構成では、リードアセンブリ106は、いくらか可撓性であるように構成されるだけでなく、臨床家によって形付けられるか、または、操作された後で所望の構成を保持する、弾性スプリングまたは機械的メモリを有する。例えば、リードアセンブリ106は、所望の形状に合わせて手曲げ可能な曲管型または組み紐状のシステムを含み得る。このように、リードアセンブリ106は、ある患者の特殊な解剖学的構成に適合するように形状フィットされ、植込後もカスタマイズされた形状を一般に保持する。この構成に応じたリードアセンブリ106の形付けは、ITCSデバイス植込の前およびITCSデバイス植込中に行われる。
【0034】
更なる構成によれば、リードアセンブリ106は、ハウジング102に対して皮下電極104を位置安定させる、剛性の長形構造体などの剛性の電極支持アセンブリを含む。この構成において、長形構造体の剛性は、皮下電極104とハウジング102の間の所望の間隔と、患者の心臓に対する皮下電極104/ハウジング102の所望の向きを維持する。長形構造体は、構造的なプラスチック材料、複合材料、または金属材料から形成され得て、生体親和性の材料を含むかまたはこれによって被覆される。ハウジング102と皮下電極104との間の適切な電気的絶縁は、長形構造体が金属などの導電性材料から形成される場合にもたらされる。
【0035】
1つの構成において、剛性の電極支持アセンブリとハウジング102は、単体構造を画定する(即ち、単一のハウジングおよび/またはデバイス)。電子部品および電極導体および/またはコネクタは、単体のITCSデバイスハウジングおよび/または電極支持アセンブリ内または同上に配置される。少なくとも2本の電極が、ハウジングおよび/または電極支持アセンブリの対向端近傍の単体構造上で支持される。該単体構造は、例えば、弓形状または傾斜状である。
【0036】
他の構造によれば、剛性の電極支持アセンブリは、ハウジング102に対して物理的に分離可能な装置を画定する。剛性の電極支持アセンブリは、ハウジング102の対応する機械的かつ電気的カップリングとのはめ合い係合を容易にする機械的かつ電気的カップリングを有する。例えば、ヘッダブロック装置は、剛性電極支持アセンブリとハウジング102との間に機械的および電気的接続を提供する電気的カップリングと機械的カップリングの両方を含むように構成され得る。ヘッダブロックデバイスは、ハウジング102または剛性の電極支持アセンブリ上に提供され得る。あるいは、機械的および/または電気的カップラー(結合器)は、剛性の電極支持アセンブリとハウジング102の間に機械的および電気的接続を設定するように使用され得る。このような構成において、形状、サイズおよび電極構成が変化する種々の異なる電極支持アセンブリが、標準のITCSデバイスハウジング102に物理的および電気的に接続され得る。
【0037】
電極およびリードアセンブリ106は、多種多様の形状を想定して構成されることに注目されたい。例えば、リードアセンブリ106は、楔、V形、平楕円形またはリボン形状に形成され得て、皮下電極104は、多数の離間電極、電極アレイまたは電極バンドなどの多数の離間電極を有することができる。更に、2本以上の皮下電極104は、皮下電極104の中で所望の離間関係を達成するために多数の電極支持アセンブリ106に取り付けられる。
【0038】
ITCSデバイスには、それぞれ全体が参照することによって本明細書中に組み込まれる、同一所有権の米国特許第5,203,348号、第5,230,337号、第5,360,442号、第5,366,496号、第5,397,342号、第5,391,200号、第5,545,202号、第5,603,732号、および第5,916,243号に開示された、皮下植込型医療デバイスの回路、構造および機能性が含まれる。
【0039】
特定のITCSデバイスの構成に応じて、送りステムは、ITCSデバイスのハウジングおよび皮下電極の適切な配置および配向を容易にするために有利に使用され得る。このような送りステムの一つの構成によれば、皮下層の小径の平滑組織解剖を実行するために、従来のトロカールと同様の長い金属ロッドを用いてもよい。このツールは、皮下電極の配置を容易にするために直線状または曲線状に予備成形されてもよいし、あるいは、充分に可撓性なので医師がその患者に合うようにそのツールを曲げることができる。それらの態様がITCSデバイス分配ツールに含まれる例示的な分配ツールが、全体がそれぞれ本明細書中に参照することによって組み込まれる、同一人に所有される米国特許第5,300,106号に開示されている。
【0040】
図1Cは、1つの構成に従ってITCSデバイスの種々の部品を示すブロック図である。この構成によれば、ITCSデバイスは、適切なメモリ209(揮発性および非揮発性)に接続されたマイクロプロセッサ206を含むプロセッサベースコントロールシステム205を含み、任意の論理ベースコントロールアーキテクチャが使用され得ることが理解されよう。コントロールシステム205は、回路および部品に接続され、心臓によって生成される電気的な信号を感知し検出し解析し、心臓不整脈を治療する所定の条件下で心臓へ電気的な刺激エネルギーを送る。いくつかの構成において、コントロールシステム205およびその関連部品も心臓にペーシング療法を提供する。ITCSデバイスによって送された電気的エネルギーは、電気除細動または除細動のための低エネルギーペーシングパルスまたは高エネルギーペーシングパルスの形態をとることもできる。
【0041】
心臓の信号は、皮下電極(複数の場合あり)214と、ITCSデバイスハウジングに設けられた缶または不関電極207を用いて感知される。心臓の信号は、例えば、非活動缶構成における皮下電極214だけを用いて感知され得る。このように、単極性、双極性、または単極性/双極性を組み合わせた電極構成が用いられ得る。感知された心臓の信号は、感知回路204によって受信される。該感知回路204は、感度増幅回路を含み、さらに、フィルタ回路およびアナログ−ディジタル(A/D)コンバータを有し得る。感知回路204によって処理される感知された心臓の信号は、ノイズ低減回路203によって受信されてもよい。該ノイズ低減回路203は、信号が検出回路202に送信される前にノイズを更に低減することができる。ノイズ低減回路203は、高出力または演算集中ノイズ低減アルゴリズムが要求される場合は、検出回路202の後に組み込まれてもよい。
【0042】
図1Cに示される構成において、検出回路202は、ノイズ低減回路203に接続されるか、さもなければ、該ノイズ低減回路203を組み込む。ノイズ低減回路203は、さまざまなソースから導かれる感知された心臓信号のノイズコンテンツを除去することによって、感知された心臓の信号の信号対ノイズ比を改良すべく動作する。一般的なタイプの経胸腔的心臓の信号ノイズは、電気的ノイズと、例えば、骨格筋から生じたノイズを含む。信号分離技術を含む、骨格筋導出ノイズの存在下で感知された心臓信号の信号対ノイズ比を改良するための方法のうちの多数が以下に記載される。
【0043】
他の態様によれば、骨格筋ノイズは、さまざまな用途に応じて、有用なアーチファクト信号として使用され得る。一つのアプローチにおいて、検出回路202とノイズ低減回路203は、協働して骨格筋ノイズを検出し、検出された骨格筋ノイズは、患者の活動レベルを判断するために用いられる。検出された骨格筋ノイズから得られた活動レベル情報は、以下により詳細に説明されているように、不適切な電気除細動および除細動療法の付与を最小化するなどの多数の用途に用いられる。
【0044】
一般に、検出回路202は、特に、頻拍性型不整脈などの心臓不整脈を検出するために感知された心臓信号および/または他のセンサ入力の解析を調整する、信号プロセッサを有する。速度ベースおよび/または形態学的識別アルゴリズムは、不整脈エピソードの発症とその状態を検出、確認するために、検出回路202の信号プロセッサによって実施可能である。それらの態様が本明細書中で想定されるタイプのITCSデバイスによって実施され得る、例示的な不整脈検出、識別回路、構造および技術が、それぞれ全体が参照することによって本明細書中に組み込まれる、同一人に所有される米国特許第5,301,677号および第6,438,410号に開示されている。皮下心臓刺激システムでの実施に特に好適な不整脈検出方法を以下に説明する。
【0045】
検出回路202は、コントロールシステム205へ心臓信号情報を伝達する。コントロールシステム205のメモリ回路209は、さまざまな感知、除細動、およびペーシングモードで動作するパラメータを含み、検出回路202によって受信された心臓の信号を表すデータを記憶する。メモリ回路209は、さまざまな用途に用いられるとともに、必要に応じて、あるいは、所望されるままに、外部受信デバイスに送信され得る、過去のECG(心電計)と治療データを記憶するように構成されてもよい。
【0046】
いくつかの構成において、ITCSデバイスは、診断回路210を含み得る。一般に、診断回路210は、検出回路202および感知回路204から入力信号を受信する。診断回路210は、コントロールシステム205へ診断データを提供し、コントロールシステム205は、診断回路210の全てまたは一部あるいはその機能性を取り込むことができることが理解されよう。コントロールシステム205は、多様な診断目的のために診断回路210によって提供される情報を記憶するとともに使用し得る。この診断情報は、例えば、原因となる事象に引き続き、または、所定の間隔で、記憶されるとともに、電源状態、治療付与ヒストリ、および/または患者診断などのシステム診療を含むこともできる。診断情報は、治療付与直前に得られる電気信号または他のセンサーデータという形態を取ってもよい。
【0047】
電気除細動および除細動療法を提供する構成によれば、コントロールシステム205は、検出回路202から受信された心臓の信号データを処理し、適切な不整頻拍療法を開始して、心臓不整脈エピソードを退治し、心臓を正常な同調律へ戻す。コントロールシステム205は、ショック治療回路216に接続される。ショック治療回路216は、皮下電極214と、ITCSデバイスハウジングの缶または不関電極207に接続される。命令を受けると、ショック治療回路216は、選択された電気除細動または除細動療法に応じて、心臓に電気除細動および除細動刺激エネルギーを付与する。あまり複雑ではない構成において、電気除細動と除細動療法の両方を施す構成とは対照的に、ショック治療回路216は、除細動療法を付与すべく制御される。それらの態様が本明細書中で想定されるタイプのITCSデバイスに組み込まれる、例示的なICD高エネルギー付与回路、構造および機能性が、それぞれ全体が参照によって本明細書中に組み込まれる、同一人に所有された米国特許第5,372,606、5,411,525、5,468,254、および5,634,938号に開示されている。
【0048】
他の構成によれば、ITCSデバイスは、電気除細動および/または除細動能力に加えて、心臓ペーシング能力を含むことができる。図1Cに点線で示されているように、ITCSデバイスは、コントロールシステム205と、皮下の、缶および/または不関電極214、207に接続されたペーシング療法回路230を含むことができる。命令されると、ペーシング療法回路は、選択されたペーシング療法に従って心臓へペーシングパルスを送信する。ペーシングレジメン(養成法)に応じてコントロールシステム205内のペースメーカー回路によって展開されるコントロール信号が開始され、ペーシングパルスが発生するペーシング療法回路230へ送信される。ペーシング養成法は、コントロールシステム205によって修正され得る。
【0049】
経胸腔的心臓刺激デバイスに特に有用な多数の心臓ペーシング療法が本明細書中に記載されている。図1Cに示すように、このような心臓ペーシング療法は、ペーシング療法回路230を介して付与することができる。あるいは、心臓ペーシング療法がショック療法回路216を介して付与されることから、別体のペースメーカー回路が不要となる効果がある。
【0050】
図1Cに示されるITCSデバイスは、一つ以上の生理学的および/または非生理学的センサから信号を受けるように構成され得る。用いられるセンサのタイプにもよるが、センサによって発生する信号は、検出回路に、直接接続された、または、感知回路を介して、(該検出回路に)間接接続されたトランスデューサ回路に送信され得る。検出回路202による処理を行わずに、感知データをコントロールシステム205へ送信することができる点に注目されたい。
【0051】
通信回路218は、コントロールシステム205のマイクロプロセッサ206に接続される。通信回路218によって、ITCSデバイスが、該ITCSデバイスの外部に配置された一つ以上の受信デバイスまたはシステムと通信することができる。例えば、ITCSデバイスは、通信回路218を介して、患者着用型、携帯型、またはベッドサイド通信システムと通信することができる。1つの構成において、(患者の皮下、皮膚、または外部の)一つ以上の生理学的または非生理学的センサは、ブルートゥースやIEEE(アイトリプルイー)802スタンダートなどの知られている通信スタンダードに準じたインターフェースなどの短距離ワイヤレス通信インターフェースを具備することができる。このようなセンサによって得られたデータは、通信回路218を介して、ITCSデバイスに伝達され得る。ワイヤレストランスミッタまたはトランシーバを備えた生理学的または非生理学的センサが患者の外部の受信システムと通信することができる点に注意されたい。
【0052】
通信回路218によって、ITCSデバイスは、外部プログラマと通信することができる。一構成において、通信回路218とプログラマ装置(図示せず)は、従来の技術で知られているように、ワイヤループアンテナおよび無線周波数遠隔計測リンクを使用して、プログラマ装置と通信回路218の間で信号およびデータを送受信する。このように、植込の最中またはその後で、プログラムコマンドとデータがITCSデバイスとプログラマ装置の間へ送信される。プログラマを用いることで、医師が、ITCSデバイスによって使われる種々のパラメータをセットまたは変更することができる。例えば、医師は、ペーシングおよび電気除細動/除細動療法モードを含む、ITCSデバイスの感知、検出、ペーシング、および除細動機能に影響を与えるパラメータを設定または変更することができる。
【0053】
一般に、ITCSデバイスは、技術上知られているように、人体への植込に好適なハウジング内に入れられ、気密密閉される。ITCSデバイスへの電力は、ITCSデバイス内にハウジングされた電気化学的電源220によって供給される。一構成において、電源220は、充電式バッテリを含む。該構成によれば、充電回路は、電源220に接続され、電源220の反復型非侵襲充電を容易にする。通信回路218または分離型レシーバ回路は、外部RF(無線周波数)エネルギートランスミッタによって伝送されるRFエネルギーを受けるように構成される。充電式電源以外に、ITCSデバイスは、非充電式バッテリを含んでもよい。長寿命の非充電式バッテリが使用される場合には、充電式電源を使わなくてもよいことが理解されよう。
【0054】
図1Dは、速度検出回路310および形態学的解析回路312の一方または両方を含むITCSデバイスの検出回路302の構成を示す。不整脈の検出および確認は、速度検出回路310によって実施される、技術上知られている速度ベースの識別アルゴリズムを用いて達成され得る。不整脈エピソードは、技術的に知られているように、感知された心臓信号の形態学ベースの解析によっても検出され確認され得る。段階的または並行型の不整脈識別アルゴリズムも、速度ベースと形態学ベースの両方法を使用して実施され得る。また、それぞれ全体が参照によって本明細書中に組み込まれる米国特許第6,487,443、6,259,947、6,141,581、5,855,593、および5,545,186号に開示される方法などの速度およびパターンベースの不整脈の検出および識別方法が、不整脈エピソードを検出および/または確認するために使用され得る。
【0055】
マイクロプロセッサ306に接続される検出回路302は、経胸腔的心臓刺激デバイスに特に有用なやり方で感知された心臓信号を処理するための専用回路を組み込むかまたは該専用回路と通信するように構成され得る。図1Dに例示されているように、検出回路302は、多数の生理学的または非生理学的センサから、情報を受け取ることができる。図示されているように、経胸腔的音響は適切な音響センサを使用してモニタされ得る。例えば、心音は、種々の用途のために心臓音響処理回路318によって検出され処理され得る。音響データは、ハードワイヤまたはワイヤレスリンクを介して、検出回路302に伝送され、心臓の信号検出を向上させるために用いられる。例えば、音響は、心室頻拍または心室細動などの潜在的に致命的な不整脈から、電気的ノイズを有する正常な心臓洞調律を識別するために使用可能である。
【0056】
検出回路302もまた、骨格筋活動をモニタする一つ以上のセンサから情報を受け取ることができる。心臓活動信号以外に、骨格筋信号も経胸腔的電極によって即刻検出される。このような骨格筋信号は、患者の活動レベルを決定するために使用され得る。心臓信号検出のコンテクストにおいて、このような骨格筋信号は、ノイズとして目視され得る心臓活動信号のアーチファクトであると考えられる。処理回路316は、一つ以上の骨格筋センサから信号を受信し、処理された骨格筋信号データを検出回路302へ送信する。このデータは、心臓不整脈から、骨格筋ノイズを有する正常な心臓洞調律を識別するために使用され得る。
【0057】
前述したように、検出回路302は、ノイズ処理回路314に接続されるか、さもなければ、該回路を含む。ノイズ処理回路314は、感知された心臓信号のノイズコンテンツを除去することによって感知された心臓信号の信号対ノイズ比を改良すべく、感知された心臓信号を処理する。
【0058】
さて、図1Eに戻ってみると、一構成に応じたITCSデバイスの種々の部品のブロック図が例示されている。図1Eは、種々の生理学的または非生理学的パラメータの検出と協働する多数の部品を示す。図示されているように、ITCSデバイスは、一般的にITCSデバイス用のコントロールシステムに含まれる、検出回路402に接続されたマイクロプロセッサ406を含む。センサ信号処理回路410は、多数の異なるセンサからセンサーデータを受信できる。
【0059】
例えば、ITCSは、さまざまなタイプの非生理学的センサ421、外部および/または皮膚の生理学的センサ422、および/または内部生理学的センサ424と協働するか、あるいは、これらを含むことができる。このようなセンサは、例えば、音響センサ、インピーダンスセンサ、酸素飽和センサ、および血圧センサを含むことができる。これらのセンサ421、422、および424は、それぞれ、短距離ワイヤレス通信リンク420を介して、センサ信号処理回路410に通信可能に接続され得る。あるいは、内部生理学的センサ424などのいくつかのセンサは、配線接続(例えば、電気的または光学的接続)を介して、センサ信号処理回路410に通信可能に接続され得る。
【0060】
心臓薬剤投与デバイス430は、本明細書中で想定されるタイプのITCSデバイスと協働するように用いられ得る。例えば、心臓薬剤投与デバイス430は、頻拍および細動の化学的治療に認定された一以上の不整脈抗剤を投与することができる。このような薬剤の例としては、キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド、フレカイニンド、プロパフェノン、モリチジン、ソタロール、アミオダロン、イブチリド、ドフェチリド、または他の不整脈抗剤が挙げられるが、これらは、ほんの一部の代表的な例であり、本発明を限定するのもではない。患者の安心感を高め、除細動閾値を下げ、および/または不整脈の状態を化学的に治療するために、電気除細動/除細動療法の施術の前後またはその最中に、上述した薬剤や他のさまざまな薬剤を投与することができる。
【0061】
他の構成によれば、ITCSデバイスは、該ITCSデバイスと協働して動作する非植込型の患者起動式アクチベータ432を含んでいてよい。アクチベータ432は、知覚される重い不整脈の状態を感知している患者に応答して、起動信号を生成する。あるいは、または、更に、起動信号は、不整脈の状態を検出するITCSデバイスに応答して、非植込型アクチベータ432によって生成され得る。ITCSデバイスは、非植込型のアクチベータ432と通信するための通信回路を含む。
【0062】
アクチベータ432は、患者または患者の付添人によって起動され、電気除細動/除細動療法を開始する。一般に、ITCSデバイスは、起動信号受信に応答して、適切な治療開始に先立って、患者が実際の悪化する心臓の状態を体験していることを確認する。非植込型アクチベータ432は、実際の悪化した心臓の状態を治療する薬剤投与養成法の手動または自動開始を示すためにITCSデバイスと通信しながら、患者知覚型の始動信号を生成することができる。
【0063】
アクチベータ432は、ITCSデバイスが潜在的に重い状態の不整脈が検出されたことが示しているにもかかわらず、その検出表示が誤りであると患者が判断した場合、刺激療法の付与を患者に拒絶させる抑止ボタンを含むように構成され得る。患者アクチベータ432からの抑止信号の受信にも関わらず、ITCSデバイスが検出した明瞭な不整脈エピソードはその検出および確認時に治療を施すことが好ましい。
【0064】
図1A乃至図1Eに示される部品、機能性および構造的な構成は、ITCSデバイスに組み込まれ得る、さまざまな特徴および特徴の組合せをより一層の理解を促すために提供されている。相対的に複雑な設計から相対的に単純な設計におよぶ、ITCSおよび他の植込型心臓モニタおよび/または刺激デバイスの多様な構成が想定されることが理解されよう。このように、ITCSおよび他の植込型心臓モニタおよび/または刺激デバイスの特定の構成は、本明細書中に記載された特定の特徴を含むことができるが、他のデバイス構成では、本明細書中に記載されている特定の特徴が除外されてもよい。
【0065】
本発明の実施の形態によれば、ITCSデバイスは、心臓感知および不整脈療法を施す皮下電極システムを含むように実施され得る。この方法によれば、ITCSデバイスは、モニタリング、診断上および/または治療上の機能を実行する連続的植込型システムとして実施され得る。ITCSデバイスは、心臓不整脈を自動的に検出および治療し得る。一構成において、ITCSデバイスは、パルスジェネレータと、身体の前胸部などの身体の胸部に皮下的に植込まれる一つ以上の電極を含む。ITCSデバイスは、徐脈および頻拍不整脈に対して心房および心室療法を提供すべく使用され得る。頻拍性不整脈療法は、例えば、心房または心室の頻拍または細動を治療するために、電気除細動、除細動および抗頻拍ペーシング(ATP)を含み得る。徐脈療法は、徐脈または不全収縮のために一時的なポスト・ショック・ペーシングを含み得る。徐脈または不全収縮のためのポスト・ショック・ペーシングを実施する方法とシステムは、本明細書中にその全体が参照によって組み込まれる、2003年2月28日出願の「ポストショック経胸腔的不全収縮予防ペーシングを用いた皮下心臓刺激装置(Subcutaneous Cardiac Stimulator Employing Post−Shock Transthoracic Asystole Prevention Pacing)」と題された、同一人に所有される出願番号第10/377,274号記載の米国特許出願に記載されている。
【0066】
一構成において、この方法によるITCSデバイスは、従来のパルスジェネレータおよび皮下電極植込技術を利用することができる。パルスジェネレータデバイスおよび電極は、連続的に皮下に植込まれ得る。このようなITCSは、従来の植込型システムと同様に不整脈を自動的に検出および治療するために使用され得る。他の構成では、ITCSデバイスは、単体構造(即ち、単一のハウジングおよび/または装置)を備えていてよい。電子部品および電極導体及び/またはコネクタは、単体のITCSデバイスハウジングおよび/または電極支持アセンブリの内部またはその上に配置される。
【0067】
ITCSデバイスは、電子部品を含み、従来の植込型除細動器と同様であってもよい。高電圧のショック療法は、うち一つがパルスジェネレータ・ハウジング(即ち、缶)であってよい、胸部に皮下的に配置される2本以上の電極間で付与され得る。
【0068】
更に、または、あるいは、徐脈療法としてITCSデバイスはより低いエネルギー電気的刺激を提供し得る。ITCSデバイスは、従来のペースメーカーと同様に徐脈ペーシングを提供し得る。ITCSデバイスは、徐脈または不全収縮に一時的なポスト・ショック・ペーシングを提供し得る。感知および/またはペーシングは、やはりショック電極を組み込む電極サブシステム上に位置決めされた感知および/またはペース電極を用いて、または、皮下に植込まれた分離した電極によって、達成され得る。
【0069】
ITCSデバイスは、さまざまな診断、治療、またはモニタリング実施に関連して使用され得る多種多様な生理学的信号を検出し得る。例えば、ITCSデバイスは、呼吸器系信号、心臓システム信号、および患者の活動に対応する信号を検出するセンサまたは回路を含んでいてもよい。一実施の形態において、ITCSデバイスは、種々の呼吸器系パラメータが得られる、例えば、呼吸潮心拍出量および毎分換気量を含む、胸腔内インピーダンスを感知する。センサおよび対応する回路が、一つ以上の身体の動き、または身体位置に対応する信号を検出するITCSデバイスと関連付けられて、組み込まれてもよい。例えば、加速度計およびGPSデバイスは、患者の活動、患者の位置、身体の配向、または胴の位置を検出するために使用され得る。
【0070】
ITCSデバイスは、先進型患者管理(APM)システムの構造内で使用され得る。先進型患者管理システムによって、医師は、心臓および呼吸系機能だけでなく、患者の他の状態も、遠隔的および自動的にモニタすることができる。一つの例において、心臓ペースメーカー、除細動器および再同期化デバイスなどの植込型心臓リズム管理システムは、患者のリアルタイムデータ収集、診断および治療を可能とするさまざまな電気的通信および情報技術を備えることができる。
【0071】
この方法によるITCSデバイスは、植込が容易な治療用、診断用または、モニタ用システムを提供する。ITCSシステムは、静脈や胸腔へのアクセスを必要とせずに、ポテンシャルに植込まれることができ、より単純で非侵襲的な植込処置を提供し、リードと外科的合併症の発生を最小限に抑えることができる。更に、このシステムは、経静脈リードシステムが合併症を引き起こす患者に効果的に作用する。このような合併症は、外科的合併症、感染性、不十分な開存性、人工弁の存在に伴う合併症、および、中でも小児患者のその成長に伴う制約が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは前胸部に皮下的に植込まれる2つ以上の電極サブシステムの組合せを含むように構成される点で、この方法によるITCSシステムは、従来の方法とは全く異なる。
【0072】
図2Aにおいて示される一構成において、ITCSシステムの電極サブシステムは、例えば、缶電極502からなる第1の電極サブシステムと、少なくとも一つのコイル電極を含む第2の電極サブシステム504と、を有する。第2の電極サブシステム504は、感知および/または電気的刺激に使用される多数の電極を備えていてよい。さまざまな構成において、第2の電極サブシステム504は、単一電極または複数の電極の組合せを備え得る。第2の電極サブシステム504からなる単一電極または複数の電極の組合せは、コイル電極、チップ電極、リング電極、マルチエレメントコイル、螺旋コイル、非導電性支持体に取り付けられた螺旋コイル、およびスクリーンパッチ電極を含んでいてよい。好適な非導電性支持体材料としては、例えば、シリコーンゴムが挙げられる。
【0073】
缶電極502は、ITCSデバイスの電子部品を囲僥するハウジング501に配置される。一実施の形態において、缶電極502は、ハウジング501の外部表面の全体を備える。他の実施の形態において、ハウジング501のさまざまな部分は、缶電極502から、または、組織から、電気的に絶縁され得る。例えば、缶電極502のアクティブエリアは、ハウジング501の前面または後面のいずれかの全体または一部を含み、心臓の感知および/または刺激に応じて有効に電流の流れを方向付けることができる。
【0074】
ハウジング501は、容積が約20乃至100cc、厚さが0.4〜2cm、および各面の表面積が約30〜100cm2であり、従来の植込型ICDのハウジングに類似している。前述のように、ハウジングの部分は、組織から電気的に絶縁され、電流の流れを最適に方向付けることができる。例えば、ハウジング501の部分は、非導電性、あるいは、電気的に抵抗性の材料によって被覆され、電流の流れを方向付けることができる。好適な非導電性材料のコーティングとしては、例えば、シリコーンゴム、ポリウレタン、またはパリレンから形成されたものが含まれる。
【0075】
更に、または、あるいは、ハウジング501の全てまたは部分は、電流の流れを最適に方向付けるためにそれらの導電特性を変更するように処理され得る。表面導電特性を変更するためには、例えば、表面導電性を増減することによって、電流の流れを最適化する種々の知られている技術が用いられる。このような技術は、所望の導電特性を達成するためにハウジング501の表面を機械的にまたは化学的に変更する技術を含んでもよい。
【0076】
図2Aは、ハウジング501と、従来のペースメーカーおよび除細動器植込に共通に使用される位置でもある左胸筋部の心臓510の上方に皮下的に配置された缶電極502とを示す。第2の電極サブシステム504は、好ましくは、リード本体506の遠位端に取り付けられるコイル電極を含む(直径約3乃至15フレンチ、長さが5乃至12cmのコイル)。コイル電極は、その長さに沿ってわずかに予備成形された曲線を有し得る。リードは、一般的なトンネル化植込技術を用いて、皮下鞘部の内腔を介して導入される。例えば、コイル電極からなる第2の電極サブシステム504は、下層の筋肉層に隣接して、皮下脂肪の任意の深さまで、皮下的に配置され得る。
【0077】
この構成において、第2の電極サブシステム504は、一端が心臓510の尖端を通って延出する、右心室自由壁の直下の心臓510の右心室の下方面に略平行に位置決めされる。例えば、電極サブシステム504の先端は、心臓510の尖部の左側へ、約3cm未満、好ましくは、約1乃至2cm、延びてよい。尖部の位置は、蛍光透視法または他の手段によって識別され得る。この電極装置は、ハウジング501と第2の電極サブシステム504間で画定された容積内に大部分の心室組織を含むように使用され得る。一構成において、大部分の心室組織は、第2の電極サブシステム504の近位端と遠位端の間、および左胸筋缶電極502の内側縁部と側方縁部の間、に引かれたラインによって境界付けされた面積に対応する容積内に含まれる。
【0078】
配列の一例として、大部分の心室組織を含む容積は、電極サブシステム502、504の端部間、または、電極サブシステム502、504のアクティブエレメント間に引かれたラインによって境界付けされた断面積と対応付けられる。一実施の形態では、電極サブシステム502、504のアクティブエレメント間で引かれたラインは、缶電極502の内側縁部および側方縁部と、第2の電極サブシステム504内で使用されるコイル電極の近位端および遠位端と、を含むことができる。大部分の心室組織が電極サブシステム502、504のアクティブエレメント間で画定された容積内に含まれるように電極サブシステムを配置することによって、電極サブシステム502、504間に印加される所与の電圧に対する心臓510の心室の電圧勾配を高めることによって除細動に効率的な位置が提供される。
【0079】
同様の構成において、図2Bに示すように、缶電極502からなるハウジング501は右胸筋部に配置される。第2の電極サブシステム504は、缶電極502と第2の電極サブシステム504の間で画定される容積内で大部分の心室組織を再度含むように、さらに側方に配置される。
【0080】
更なる構成において、図2Cに示すように、電子部品(即ち、缶)を含むITCSデバイスハウジング501は、電極として使用されない。この場合、ハウジング501に接続される2つの電極サブシステム508、509からなる電極システムは、例えば、前胸部などの身体の胸部に皮下的に植込まれ得る。第1および第2の電極サブシステム508、509は、心臓510の心室に対して互いに反対側に配置され、この際、心臓510の大部分の心室組織が電極サブシステム508、509間に画定される容積内に含まれる。図2Cに示されるように、第1の電極システム508は、心臓510の上位面に対して心臓の上位、例えば、左心室自由壁に平行に位置決めされる。第2の電極システム509は、心臓510より下位に配置され、心臓の下位面、例えば、右心室自由壁に平行に位置決めされる。
【0081】
この構成において、第1および第2の電極サブシステム508、509は、感知および/または電気的刺激のために使用される電極の任意の組み合わせを備え得る。種々の構成において、電極サブシステム508、509は、それぞれ、単一電極または複数の電極の組合せを備え得る。第1および第2の電極サブシステム508、509からなる電極または複数の電極は、例えば、一つ以上のコイル電極、チップ電極、リング電極、マルチエレメントコイル、螺旋コイル、非導電性支持体に取り付けられた螺旋コイル、およびスクリーンパッチ電極の組み合わせを含み得る。
【0082】
図3A乃至図3Cは、本発明の実施の形態による皮下電極サブシステムの配置をより詳細に示す図である。図3Aは、それぞれ、缶電極602とコイル電極604として構成された第1と第2の電極サブシステムを示す。図3Aは、左胸筋部内の心臓610の上位に配置された缶電極602と、心臓610の右心室自由壁604に平行な、心臓610の下位に配置されたコイル電極604を示す。
【0083】
缶電極602とコイル電極604は、大部分の心室組織が缶電極602とコイル電極604の間で画定される容積内に含まれるように位置決めされる。図3Aは、缶電極602とコイル電極604のアクティブエレメント間に引かれるラインによって形成される断面積605を示す。電極602、604のアクティブエリア間で引かれるラインは、缶電極602の内側および側方縁部および第2の電極サブシステム604として使用されるコイル電極の近位端と遠位端によって画定されてもよい。コイル電極604は、心臓610の尖端を越えて、所定距離、例えば、約3cm未満、延出される。
【0084】
同様の構成が図3Bに例示される。この実施の形態において、缶電極602は、右胸筋部内の心臓610の上方に配置される。一構成(装置)において、コイル電極は、心臓610の下方面、例えば、心臓の頂点に対して、配置される。缶電極602とコイル電極604は、大部分の心室組織が缶電極602とコイル電極604との間で画定される容積内に含まれるように位置決めされる。
【0085】
図3Bは、缶電極602およびコイル電極604のアクティブエレメントの間で描かれるラインによって形成される断面積605を示す。電極602、604のアクティブエリア間で引かれるラインは、缶電極602の内側と側方縁部、および第2の電極サブシステム604として使用されるコイル電極の近位端と遠位端によって画定され得る。コイル電極604は、心臓610の尖端を越えて、所定距離、例えば、約3cm未満、延出される。
【0086】
図3Cは、パルスジェネレータ・ハウジング601が電極を含まない構成を示す。この実施において、二つの電極サブシステムは、大部分の心室組織が電極サブシステム間で画定された容積内に含まれるように心臓周辺に配置される。この実施の形態によれば、第1と第2の電極サブシステムは、第1と第2のコイル電極608、609として構成される。第1のコイル電極608は、心臓610の上位に配置され、心臓の上位面、例えば、左心室自由壁に対して、配置されてよい。第2のコイル電極609は、心臓610の下位に配置される。第2の電極609は、心臓610の下位面に対して配置され得る。一構成において、第2の電極609は、右心室自由壁に平行に配置され、この際、電極609の先端が心臓610の尖端を越えて、所定距離、例えば、約3cm未満、延出される。図3Cに示されるように、電極間で画定された容積は、電極608、609のアクティブエリア間に引かれたラインによって境界付けされる断面積605によって画定され得る。
【0087】
第1と第2の電極サブシステムの一つまたは両方がコイル電極として図3A乃至図3Cに示されるが、第1と第2の電極サブシステムは、一つ以上のコイル電極、チップ電極、リング電極、缶電極、複数のコイル、マルチエレメントコイル、螺旋コイル、非導電性支持体に取り付けられた螺旋コイル、スクリーンパッチ電極の一つまたは任意の組み合わせ、および/または任意の他のタイプの好適な電極を、付加的または代替的に、備えていてもよい。
【0088】
上記の電極サブシステムのいずれかが、ペーシング、感知、および/または電気除細動/除細動を含んでもよい。缶電極は、その表面にペーシング、感知、および/または電気除細動/除細動のための分離電極を含み得る。あるいは、ペーシング、感知および/または電気除細動/除細動電極の二つ以上が単一電極に一体化されてもよい。
【0089】
図4A乃至図4Fは、心臓の電気的活動を感知し、および/または、心臓に電気的刺激を付与するために使用され得る電極サブシステムの例示的な構成を示す。これらの例示的な構成において、図4A乃至図4Fによって示されるように、リードシステムは、コイル電極を含み、また、その長さに沿った種々の位置で分配される個別のチップ電極およびリング電極を含んでもよい。
【0090】
1つの構成(図4A)は、個別のペーシング/感知電極のない単一コイルを含む。他の構成(図4Bおよび図4C)は、統一された双極性または単極性の感知および刺激に対して使用され得る単一リングおよび単一コイルを示す。他の構成には、遠位双極構成(図4D)、近位双極構成(図4E)、または広範囲双極構成(図4F)での感知およびペーシングのために位置決めされる二リングとコイル電極が含まれる。他の構成のチップ、リング、コイルおよび他のタイプの電極を含む感知、ペーシング、および電気除細動/除細動電極も使用可能である。
【0091】
本発明の範囲を逸脱しない限り、上述された好ましい実施の形態にさまざまに改良され、追加されてもよい。従って、本発明の範囲は、上述された特定の実施の形態によって限定されるべきではなく、以下に記述される特許請求の範囲およびそれらと等価のものによってのみ定義される。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1A】本発明の実施の形態による、患者に植込まれたときの経胸腔的心臓感知および/または刺激デバイスを示す図である。
【図1B】本発明の実施の形態による、患者に植込まれたときの経胸腔的心臓感知および/または刺激デバイスを示す図である。
【図1C】本発明の実施の形態による、経胸腔的心臓感知および/または刺激デバイスの種々の部品を示すブロック図である。
【図1D】本発明の実施の形態による、経胸腔的心臓感知および/または刺激デバイスの種々の処理および検出部品を示すブロック図である。
【図1E】本発明の実施の形態による、経胸腔的心臓感知および/または刺激デバイスの様々なセンサ、デバイス、および回路を示すブロック図である。
【図2A】本発明の実施の形態に応じて配置された経胸腔的心臓感知および/または刺激デバイスの種々の部品を示す図である。
【図2B】本発明の実施の形態に応じて配置された経胸腔的心臓感知および/または刺激デバイスの種々の部品を示す図である。
【図2C】本発明の実施の形態に応じて配置された経胸腔的心臓感知および/または刺激デバイスの種々の部品を示す図である。
【図3A】本発明の実施の形態による、心臓に対する電極サブシステムの配置を示す図である。
【図3B】本発明の実施の形態による、心臓に対する電極サブシステムの配置を示す図である。
【図3C】本発明の実施の形態による、心臓に対する電極サブシステムの配置を示す図である。
【図4A】本発明の実施の形態に基づいて構成された電極サブシステムにおいて実施され得る感知および刺激電極配列を示す図である。
【図4B】本発明の実施の形態に基づいて構成された電極サブシステムにおいて実施され得る感知および刺激電極配列を示す図である。
【図4C】本発明の実施の形態に基づいて構成された電極サブシステムにおいて実施され得る感知および刺激電極配列を示す図である。
【図4D】本発明の実施の形態に基づいて構成された電極サブシステムにおいて実施され得る感知および刺激電極配列を示す図である。
【図4E】本発明の実施の形態に基づいて構成された電極サブシステムにおいて実施され得る感知および刺激電極配列を示す図である。
【図4F】本発明の実施の形態に基づいて構成された電極サブシステムにおいて実施され得る感知および刺激電極配列を示す図である。図3Aは、それぞれ、缶電極602とコイル電極604として構成された第1と第2の電極サブシステムを示す。図3Aは、左胸筋部内の心臓610の上位に配置された缶電極602と、心臓610の右心室自由壁604に平行な、心臓610の下位に配置されたコイル電極604を示す。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置される医療デバイスと、
各々が、前記医療デバイスに接続されるとともに心臓に対して皮下胸腔外配置されるように構成された第1の電極サブシステムと第2の電極サブシステムと、
を備え、
大部分の心室組織が前記第1の電極サブシステムと前記第2の電極サブシステムの間で画定される容積内に含まれるように該第1と第2の電極サブシステムを心臓に対して位置決めする、
医療システム。
【請求項2】
前記第1の電極サブシステムと前記第2の電極サブシステムがそれぞれアクティブ部分を含み、該第1と第2の電極サブシステムの間で画定される前記容積が該第1と第2の電極サブシステムの前記アクティブ部分間で画定される容積を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の電極サブシステムが前記ハウジングによって支持される電極を含み、前記第2の電極サブシステムが該ハウジングから離間されて皮下胸腔外配置されるように構成された電極を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の電極サブシステムがコイル電極を含み、前記2の電極サブシステムが前記ハウジングの缶電極を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記大部分の心室組織が、前記缶電極の内縁と側方縁、及び前記コイル電極の近位端と遠位端によって画定される容積内に含まれる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の電極サブシステムが第1のコイル電極を含み、前記第2の電極サブシステムが第2のコイル電極を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の電極サブシステムが第1の缶電極を含み、前記第2の電極サブシステムが第2の缶電極を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の電極サブシステムと第2の電極サブシステムとの間で画定される容積が該第1と第2の電極サブシステムの端部によって画定される断面積に対応する容積を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1と第2の電極サブシステムの少なくとも一つが缶電極を含み、前記缶電極の端部が該缶電極の内縁と側方縁を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1と第2の電極サブシステムの少なくとも一つがコイル電極を含み、前記コイル電極の端部が該コイル電極の近位端と遠位端を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の電極サブシステムが第1のコイル電極を含み、前記第2の電極サブシステムが第2のコイル電極を含み、前記大部分の心室組織が、前記第1の電極サブシステムの近位端と遠位端のそれぞれと、前記第2の電極サブシステムの近位端と遠位端のそれぞれと、の間で画定される容積内に含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の電極サブシステムが心臓の上位面に対して位置決めされるように構成され、前記第2の電極サブシステムが心臓の下位面に対して位置決めされように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の電極サブシステムが左心室に対して位置決めされ、前記第2の電極サブシステムが右心室に対して位置決めされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
第1の電極サブシステムが左心室自由壁に略平行に位置決めされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の電極サブシステムの一端が心臓の尖端を所定距離越えて延出する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記所定距離が約3cm未満である、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第2の電極サブシステムが右心室自由壁と略平行に位置決めされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記第2の電極サブシステムの一端が心臓の尖端を所定距離越えて延出する、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記所定距離が約3cm未満である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1と第2の電極サブシステムの少なくとも1つがコイル電極を含み、該コイル電極の長さが約5cm乃至約12cmである、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記ハウジングが、約20cm3乃至約100cm3の容積を有するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記ハウジングが、約30cm3乃至約100cm3の表面積を有するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記ハウジングが、約0.4cm乃至約2cmの厚みを有するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記医療デバイスが、診断デバイスを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記医療デバイスが、治療デバイスを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
前記医療デバイスが、モニタデバイスを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
前記医療デバイスが、心臓リズム管理システムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
前記医療デバイスが心臓へペーシング刺激を送るように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項29】
前記医療デバイスが心臓へ電気除細動刺激と除細動刺激の一方または両方を送るように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項30】
各々が、前記医療デバイスに接続されるとともに心臓に対して皮下胸腔外内配置されるように構成される一つ以上の付加電極サブシステムを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項31】
前記第1の電極サブシステムと第2の電極サブシステムの一つまたは両方が一つ以上の生理学的信号を感知するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項32】
前記一つ以上の生理学的信号が心臓のシステム信号を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記一つ以上の生理学的信号が呼吸器のシステム信号を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
前記一つ以上の生理学的信号が患者の活動信号を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項35】
前記第1と第2の電極サブシステムの一つまたは両方が、複数のコイルを有する少なくとも一つの電極を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項36】
前記第1と第2の電極サブシステムの一つまたは両方が、少なくとも一つの螺旋形コイル電極を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項37】
前記第1と第2の電極サブシステムの一つまたは両方が、非導電性基板に取り付けられる少なくとも一つのコイル電極を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項38】
前記第1と第2の電極サブシステムの一つまたは両方が少なくとも一つのスクリーンパッチ電極を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項39】
前記第1と第2の電極サブシステムの一つまたは両方が、予備成形された曲線を有するコイル電極を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項40】
前記第1と第2の電極サブシステムの一つまたは両方が、約3フレンチ乃至約15フレンチの直径を有するコイル電極を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項41】
前記第1と第2の電極サブシステムの少なくとも一つが、リードを介して、前記医療デバイスに接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項42】
前記第1と第2の電極サブシステムの少なくとも一つが、リードの遠位端に配置された第1の電極と該第1の電極に近接して配置される第2の電極を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項43】
前記第2の電極がコイル電極を含む、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記第1の電極がリング電極を含み、前記第2の電極がコイル電極を含む、請求項42に記載のシステム。
【請求項45】
前記第1の電極がコイル電極を含み、前記第2の電極がリング電極を含む、請求項42に記載のシステム。
【請求項46】
前記システムが単体構造を画定し、前記第1と第2の電極サブシステムが離間された関係で前記ハウジング上に設けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項47】
前記ハウジングが弓形形状を有する、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
植込型ハウジング内に配置される医療デバイスに接続される電極サブシステムを提供し、大部分の心室組織が前記電極サブシステム間で画定される容積内に含まれ得るように前記電極サブシステムが心臓に対して皮下胸腔外配置されるように構成され、
前記電極サブシステムを用いて心臓の活動を検出し、
該電極サブシステムを用いて心臓の状態を治療する、
ことからなる方法。
【請求項49】
前記心臓の活動を検出することが、心臓の活動を感知することからなる、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記心臓の活動を検出することが、心臓の非電気生理学的活動を感知することからなる、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記心臓の状態を治療することが、心臓へ電気的刺激を送ることからなる、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記心臓の状態を治療することが、心臓へペーシング療法を施すことからなる、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記心臓の状態を治療することが、心臓へ再同期ペーシング療法を施すことからなる、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
前記心臓の状態を治療することが、頻拍予防ペーシング療法を施すことからなる、請求項48に記載の方法。
【請求項55】
前記心臓の状態を治療することが、不全収縮予防ペーシング療法を施すことからなる、請求項48に記載の方法。
【請求項56】
前記心臓の状態を治療することが、心臓へ電気除細動療法および除細動療法の一方または両方を施すことからなる、請求項48に記載の方法。
【請求項57】
更に、前記電極サブシステムを用いて一つ以上の生理学的信号を感知することからなる、請求項48に記載の方法。
【請求項58】
前記一つ以上の生理学的信号を感知することが、呼吸器のシステム信号を検出することからなる、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記一つ以上の生理学的信号を感知することが、患者の活動に対応する信号を感知することからなる、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記一つ以上の生理学的信号を感知することが、経胸腔的インピーダンス信号を感知することからなる、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
更に、前記感知された生理学的信号を用いて、一つ以上の患者の状態をモニタすることからなる、請求項57に記載の方法。
【請求項62】
前記電極サブシステムを提供することが、心臓の上位面に対して配置されるように構成される第1の電極サブシステムを提供し、心臓の下位面に対して配置されるように構成される第2の電極サブシステムを提供することからなる、請求項48に記載の方法。
【請求項63】
前記第1の電極サブシステムが前記ハウジングによって支持されるとともに胸部内で位置決めされるように構成される缶電極を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記電極サブシステムを提供することが、心室自由壁に略平行に配置されるように構成された少なくとも一つの電極サブシステムを提供することからなる、請求項48に記載の方法。
【請求項65】
前記電極サブシステムを提供することが、心室自由壁に略平行に配置されるように構成されるとともに心臓の尖端を越えて所定距離延出される少なくとも一つの電極サブシステムを提供することからなる、請求項48に記載の方法。
【請求項66】
前記所定距離が約3cm未満である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
心臓の活動を感知するために心臓に対して皮下的かつ胸腔外的に配置される手段と、
治療を必要とする心臓の状態を検出する手段と、
前記心臓の状態を緩和するために心臓を電気的に刺激する手段であって、大部分の心室組織が前記刺激手段の間で画定される容積内に含まれるように心臓に対して皮下的かつ胸腔外的に配置される刺激手段と、
を備える、医療装置。
【請求項68】
前記刺激手段が心臓へペーシング療法を施す手段を備える、請求項67に記載の装置。
【請求項69】
前記刺激手段が心臓へ再同期ペーシング療法を施す手段を備える、請求項67に記載の装置。
【請求項70】
前記刺激手段が頻拍予防ペーシング療法を施す手段を備える、請求項67に記載の装置。
【請求項71】
前記刺激手段が不全収縮予防ペーシング療法を施す手段を備える、請求項67に記載の装置。
【請求項72】
前記刺激手段が心臓へ電気除細動療法および除細動療法の一方または両方を施す手段を備える、請求項67に記載の装置。
【請求項73】
一つ以上の生理学的信号を感知する手段を更に備える、請求項67に記載の装置。
【請求項74】
前記感知手段が、呼吸器のシステム信号を検出する手段を備える、請求項73に記載の装置。
【請求項75】
前記感知手段が、患者の活動に対応する信号を感知する手段を備える、請求項73に記載の装置。
【請求項76】
前記感知手段が、経胸腔的インピーダンス信号を感知する手段を備える、請求項73に記載の装置。

【図1C】
image rotate

【図1D】
image rotate

【図1E】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図4D】
image rotate

【図4E】
image rotate

【図4F】
image rotate


【公表番号】特表2006−522650(P2006−522650A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509684(P2006−509684)
【出願日】平成16年4月5日(2004.4.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/010368
【国際公開番号】WO2004/091715
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(592245720)カーディアック ペースメーカーズ,インコーポレイテッド (26)
【Fターム(参考)】