説明

心臓マーカー分子を監視するための移植可能なバイオセンサー装置

移植可能なバイオセンサーシステムが開示され、診断において補助となるように患者において心臓マーカーのレベルを測定すること、重度の決定及び心臓血管疾患のマネージメントに適合される。当該バイオセンサーシステムは、測定される心臓マネージメントに特異的に結合するナノワイヤー変換器(transducer)に取付けられた生物認識要素を有するナノワイヤーセンサー要素を含む。各々のセンサーワイヤー要素は、当該センサー要素が周囲の環境に相互作用することを阻止する防御メンバーに結び付ける。選択された時間において、当該防御メンバーは無能化されて、それによりセンサー要素が生きた体内でシグナルを検出し始める。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、患者の中の生理学的分析物のレベルを検出、測定、及び/又は監視するためのセンサーに関し、特定すれば、一つ又はそれより多い心臓マーカーのインビボにおける検出及び/又は監視を提供するための移植に適したバイオセンサーに関する。
【0002】
心筋梗塞を含む心臓疾患は、ヒトにおける、特に西洋世界における死亡及び障害のアクティビティーの第1の原因である。虚血性心臓疾患は心不全の主要な形態である。心臓性虚血の共通の兆候は、胸部の痛みであり、心臓発作(急性心筋梗塞又はAMI)及び突然死を導くかもしれない。
【0003】
心筋の虚血性の異常は、心臓内の血流が制限された場合(虚血)及び/又は心臓筋肉への酸素の供給に欠陥が生じ(低酸素症)、そして酸素に関する心臓の需要を満たさない場合に、起こる。虚血と低酸素症は一過性であって可逆的であり得るが、心臓発作を導くこともあり得る。そのような発作の間、心臓の組織は損傷して、心臓の細胞は透過性になり、それらの含有物の一部、心臓の酵素及び他の生化学マーカーを含む含有物を、周囲の環境に放出する。これらの細胞マーカー、例えば、クレアチンキナーゼ(CK)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)及びクレアチンキナーゼ−MB(CKMB)及びトロポニン(I及びT)及びミオグロビンの質量レベルは患者の血流中で検出可能になる。これらのマーカーの使用及び新しい形態の処置法が心臓発作を有する患者の生存率を増加させた。増加した生存予測性と組み合わされたこの因子は、鬱血性心不全(CHF)の罹患率の増加を導いてきた。
【0004】
CHFは顕著な罹患率及び死亡率を導き、そしてこの疾患に関するヘルスケアの消費は十分である(substantial)。この疾患に関する良好な診断法及び予後(prognostic)法に関する要求が存在する。最近、BNPの血漿濃度の上昇をもたらす心室拡張及び圧力過剰負荷に応答して心室により分泌されるBタイプのナトリウム排泄増加性ペプチド(BNP)のアッセイがCHFの診断において用いられている。BNPレベルは左心室の機能不全の程度及びCHFの兆候の重度に比例して増加することがわかり、そして循環するBNPのレベルを監視することが治療の有効性を監視するために用いられている。BNPレベルの顕著な低下は入院の間の長期間の合間に相関する。即ち、BNP監視により、個々の患者において所望の効果を最大限にするために治療法をあつらえることができる。BNP前駆体分子、例えば、その前駆体からBNPから分割されるときに放出される、108アミノ酸の分子であって、「プレプロBNP」と呼ばれるN−末端プロBNP(NT−プロBNP)のレベルも、CHFを診断するため、特に、患者の治療が合成BNP分子により治療されることを含む場合に、アッセイにおいて測定された。
【0005】
患者がドクターの予約を有するか又は入院加療を必要とするまでに、患者のCHFがいつ悪化するかを決定することが不可能であるため(患者が数パウンドの体重増加するか及び/又は浮腫が顕著に増大する前)、処置の遅れをもたらすことになる。BNPレベルを測定するインビトロの診断アッセイが今は使用されているが、これらの評価は患者の変化の状態の完全なプロファイルを臨床医に提供しないポイントインタイム(point-in-time)評価である。さらに、患者の治療に対する必要な変化が遅れることになる。
【0006】
インビトロアッセイにおける最近の進歩は、アッセイの基質としてのバイオセンサーの使用である。バイオセンサーは生物学上の相互作用の結果として電気シグナルを生じる電気装置である。バイオセンサーは、一般に2つのグループに分類される。酵素、微生物又は細胞全体を用いる触媒センサーは、標的基質との生物学上の相互作用を触媒する。親和性システムは、抗体、受容体、核酸、又は標的基質と結合するための結合対の他方のメンバー、典型的には結合対の他方のメンバーを用いる。バイオセンサーは自動化された免疫アッセイシステムに典型的に必要とされるサンプル調製及び/又は分離工程の必要無しに、目的の分析物の存在を測定するために血液サンプルと共に使用してよい。
【0007】
移植可能な電気化学バイオセンサーは、最近、患者の血液の化学組成を分析及び定量するための重要なツールとなった。例えば、グルコースセンサーは糖尿病を有する患者において血液グルコースレベルを測定するために一般に用いられる。そのようなバイオセンサーは、米国特許出願番号2002/012086において記載されており、引用によりその教示を本明細書に編入する。
【0008】
心不全及び心筋梗塞を含む心臓血管疾患の診断及び治療において生物学上関連のあるマーカーのインビボ検出及び監視において使用するために、移植可能なバイオセンサーを有することが望まれる。
【0009】
本発明は、患者において所望の分析物の存在及び濃度を検出及び/又は監視するための移植可能なセンサーシステムを提供する。発明の一つの態様において、上記システムは、上記システムは、心臓内循環系又は心臓組織内のBNPのような所望の心臓マーカーのレベルを検出するための生化学バイオセンサー、心臓マーカーのレベルを測定してさらに任意にデータを保存するためのコントローラー及びプロセッサー、及びデータを表示するための外部使用者インターフェイスシステムを含む。一つの態様において、上記システムは、さらに、測定された心臓マーカーのレベルが予め決定された臨界レベルを超えた場合に患者に警告を誘発する回路を含む。
【0010】
発明のセンサーシステムは、心臓内部のリード上又は他の送達装置上にスタンドアローンシステムとして配備されるか、又は移植可能な医学装置、例えば、ペースメーカー、細動除去器又は心臓再同期治療(CRT)システムに取込まれてよい。移植可能な医学装置内に取込まれる場合、上記センサーは、当該装置により提供される治療的処置において装置と共に使用してもよい。いくつかの態様において、上記センサーシステムは、心臓の左心房の冠動脈の洞のオリフィス内に配置された心臓内リード上に配備される。
【0011】
発明の一つの態様において、上記センサーは、ナノスケールの装置である。上記センサーシステムは、ナノワイヤーに取付けられた(attached)生物認識要素及び当該ナノワイヤーに関連した特性を測定するための検出器を含む。生物認識要素は、測定される心臓マーカー又は分析物が結合対の他のメンバーである結合対の一方のメンバーである。好ましくは、ナノワイヤーセンサーがその上に形成された外部表面を有する半導体ナノワイヤーであることにより、関門開閉電極を形成し、そして導体と電気的に接触した第1末端を含むことによりソース電極を形成し、そして導体と接触した第2の末端を含むことによりドレーン電極を形成する。発明の一つの側面において、上記センサーは、断熱物質から形成される基質、ソース電極、ドレーン電極及びナノワイヤーの表面上に取付けられた生物認識要素と共にそれらの間に配置された半導体ナノワイヤーを含むフィールドエフェクトトランジスタである。結合事象が生物認識要素とその特異的結合パートナーの間で起こったら、フィールドエフェクトトランジスタの電流−電圧特性において検出可能な変化が引き起こされる。
【0012】
一つの態様において、センサーシステムはセンサーのアレイを含む。アレイ中の一つ又はそれより多いセンサーは防御メンバーと結び付けられており、結び付けられたセンサーが周囲の環境と相互作用することを阻止する。選択された時間において、防御メンバーは不具合になるかもしれず、それにより、センサーが周囲の流体又は組織と相互作用するように作動し始めることを可能にし、その結果、生物認識要素は、その対のメンバーが存在する場合に、その結合対の他のメンバーと相互作用できる。
【0013】
発明の別の側面において、防御メンバーは、酸化可能であり、生物適合性であり、生物により吸収可能であり、そして電気ポテンシャルの適用に際して血液のような流体内に溶解してよい伝導性材料により形成される。例えば、センサーは、生物適合性金属又は電気的侵食性ポリマーのような導電性材料をかぶせた基質の壁の中に形成してよい。別の態様において、防御メンバーは予め決定されたい時間をかけて溶解する材料を用いて形成される。
【0014】
所定の時間において、センサーの生物認識要素に物質が結合したときに生じる検出可能なシグナルを検出することにより、所望の分析物のレベルを測定するために、センサーアレイからの一つ又はそれより多い活性化センサーを利用してよい。上記データは、次にプロセシングを受けて保存されたデータと比較されることにより、生物学上の条件又は他の条件のより正確な指標が提供される。別のプロセシングのスキムを利用することにより測定値を得てよく、次に、それを使用することにより、患者の症状を監視するか、又は治療のデリバリーを修飾してよい。
【0015】
一つの態様において、上記センサーシステムは、測定される一つ又はそれより多い心臓マーカーのレベルに基づいて治療を提供するための治療デリバリーシステムを含む。当該治療デリバリーシステムは、ドラッグポンプ、組織へ電気刺激を提供するための回路、又は当業界で公知のあらゆる他の種類の治療デリバリー手段を含んでよい。
【0016】
本発明は、分析物、例えば、心臓マーカーのレベルを、独立型システムとして、又は移植されたか又は移植可能な医学用装置(「IMD」)、例えばペースメーカー、細動除去器、CRTシステム等の一部として、インビボにおいて連続して監視するための移植可能な親和性バイオセンサーシステムに関する。好ましくは、バイオセンサーは、目的の心臓マーカーに結合できる、それに取付けられた生物認識要素を有するナノワイヤーフィールドトランジスタ基質を含む。
【0017】
本明細書にて使用される「ナノワイヤー」は、その長さに沿って如何なる点においても少なくとも断面積上に、及びいくつかの態様において、1,000ナノメーター未満の2つの直交断面積を有する、延長されたナノスケール半導体を意味する。いくつかの態様において、上記ナノワイヤーは、約0.5ナノメーターから約200ナノメーターの範囲の少なくとも一つの断面積を有する。一つの態様においては、上記ナノワイヤーは、シリコン表面上の金属の蒸着によりもたらされる被覆の列(overlayer row)を意味する。そのようなナノワイヤーは、望ましくは、約1から4nmの幅及び10nm又はそれより長い長さを有する。
【0018】
発明のセンサーシステムに有用なナノワイヤーは、あらゆるナノワイヤーを含み、カーボンナノワイヤー、有機及び無機の伝導性及び半導性ポリマーを含む。様々なナノスケール寸法の他の伝導性又は半導性要素をいくつかの例において使用することができる。米国公開出願番号2002/0117659は引用によりその全体の教示が本明細書に編入され、発明と共に用いてよいナノワイヤー及びナノチューブを記載している。
【0019】
発明における使用のためのナノワイヤー又は他の伝導体又は半導体の選択のための主たる基準は、センサーシステムが移植されるエリア内の物質にナノワイヤー自体が非特異的に結合できるか否か、そして適切な生物認識要素、即ち、特異的結合対メンバーがナノワイヤーの表面上に取付けられ(attached)得るか否かということである。
【0020】
センサーシステムにおいて使用されるナノワイヤーは、望ましくは、個々のナノワイヤーである。本明細書において使用される「個々のナノワイヤー」は、他のナノワイヤーとの接触のないナノワイヤーを意味する(クロスバーアレイ中の個々のナノワイヤー間で望まれるかもしれない種類の接触は除外しない)。一般に、発明の各センサー要素は、個々のナノワイヤーを含むことになる。複数のセンサー要素が一つのハウジング、例えばアレイ中に設置されるか又は配置される場合、個々のナノワイヤーセンサー要素の列又はカラムは一緒に結び付けられて(associated)個別に同じ分析物に特異的に結合してよく、その結果、それらがナノワイヤーセンサー要素のセットを提供する。一つの態様において、センサー要素セット中の各個々のナノワイヤーセンサー要素は同時に活性化されて、各個々のセンサーにより生じた検出可能なシグナルが同時に検出されることになる。個々のナノワイヤーを作成する方法は公知である。
【0021】
生物認識要素は目的の心臓マーカーに結合することができるあらゆる作用因子(agent)を含む。好ましくは、要素は、特異性をもって所望の分析物に結合する、即ち、あらゆる他のモイエティよりも高い結合親和性及び/又は特異性を有する、結合対メンバーである。そのような結合対はよく知られており、以下を含む:抗原−抗体、成長因子−受容体、核酸−核酸結合蛋白質、核酸の相補対等。好ましくは、生物認識要素は、抗体又は分析物に対する特異的結合活性を保持したその有効な部分である。有効な部分とは、例えば、Fv,scFv,Fab,Fab及び重鎖可変領域又は上記一部のいずれかを含むキメラ分子又は組換え分子又は操作された蛋白質を含む。
【0022】
生物認識要素は、ナノワイヤーに取付けられる(attached to)。本明細書において使用される「取付けられた(attached to)」は、表面に、直接か又は間接に抗体及び蛋白質を結合させることにより、センサーが移植されて生物認識要素がその周囲の環境に相互作用したときに、当該要素が表面に結び付けられた(associated with)まま残るための全ての機構を包含する。そのような機構は、共有結合(covalent attachment)、特異的生物学結合による取付け(attachment)(例えば、ビオチン/ストレプトアビジン)、協調的結合(coordinative binding)、例えばキレート/金属結合等を通した化学的又は生物学的結合(linkage)である。発明の例示された態様が図面に示される。本出願を全部読んだ際に当業者には容易に明らかなとおり、本方法及びシステムは本明細書にて例示された態様以外の様々なシステムに適用可能である。
【0023】
図1は、発明の移植可能な親和性ナノセンサーの一例を示す。センサーシステム10は、基材30の上部表面32上に配置された単一のナノワイヤー20を含む。ハウジング40は、密封された(hermeted)センサーを融和した(integrated)回路パッケージであってよい。センサーシステムは、電気的接続により接続されたそれぞれ電極35及び37も含み、この態様においては、ハウジング中に配置される。センサーシステムは、ユーザーインターフェイス及び/又はIMDに接続されてよいリード50上に配備される(deployed)。
【0024】
基剤30は、一般には、ポリマー、シリコン、クオーツ又はガラスから作成される。電気的回路は一つ又はそれより多いバッテリーにより電力供給されてよく、あるいは、別の移植可能な医学用装置(IMD)にカップリングされた移植可能な医学用電気リードを通して電力を受けてよく、下に記載される。長期間の連続する監視を提供するのに適合されたあらゆる電気的回路を本発明の装置と共に使用してよい。いくつかの態様において、電気的回路は外部手段により電力供給されてよい。
【0025】
本発明のセンサーシステムのハウジングは、水性媒体中で当該システムの成分を保護するパッケージング技術を用いてよい。例えば、当該ハウジングの上部及び底部は熱成形された高密度ポリエチレンから製造してよい。電気回路及び他の成分を囲むハウジング内部のエリアは、回路の操作を干渉しないように、システムをクッションで支える材料により満たされることになる。充填する材料は、石油ワックス及び低融点温度の樹脂の混合物であってよい(例えば)。
【0026】
図2は、図1に示されたような、ナノワイヤーセンサー10の表面に生物認識要素を取付けるための工程を模式的に例示する。ナノワイヤーの表面は示されたとおりに活性化されて、目的の抗体に結合するように選択された生物分子リンカーが加えられて、化学的に活性化された表面に反応することを許容されることにより、抗体又は他の生物認識要素の表面への結合を促進させる。
【0027】
生物認識要素を取付ける方法は、ナノセンサーの材料及び使用される結合対に依存して異なってくる。要素が抗体又は蛋白質の場合、二機能性分子、例えば、グルタルアルデヒド、カルボジイミド類、ビオチン−アビジン、及び当業者には知られているとおり少なくとも2つの末端の各々の上に一つ又はそれより多い官能基を有する他の分子により、蛋白質を表面に共有結合させることにより、実施してよい。さらに、二機能性スペーサー分子、例えば、N−ヒドロキシサクシニミド誘導ポリエチレングリコールを用いることにより、蛋白質を結合してよい。
【0028】
図3は、発明のナノセンサーシステムの例を示すブロック図面である。図1に示したような親和性ナノワイヤーセンサー300を、患者内の移植のために医学用リード上に運ぶ。望ましくは、当該センサーを心臓の組織の上に配置するか又は患者の心臓内循環系内に配置するか又は他には心臓血管疾患に関連した特定の心臓マーカーのレベルが測定されるかもしれない血流中に配置する。発明の一つの側面において、検出される心臓マーカーは、限定ではないが、BNP,プレプロBNP,NTプロBNP,C−タイプの反応性蛋白質、トロポニンI及びT、それぞれ、ミオグロビン、D−ダイマー、サイトカイン類、例えば組織ネクローシス因子アルファ、及び当業界で公知の他の心臓マーカーを含む。センサー300は、ナノワイヤーに取付けられた生物認識要素に測定される単数又は複数の心臓マーカーの一つ又はそれより多い分子が結合した場合に、センサーにより生じる検出可能なシグナルを測定する検出器310に接続されて(connected)、生じたシグナルの量は患者内に存在する心臓マーカーのレベルを測定するために使用することができる。当該検出器は、患者により及び又は患者のヘルスケア扶養人(provider)により連続するディスプレイとして利用(access)されるか又はプロセッサーに保存されてよいユーザーインターフェイスディスプレイ320に接続してよい(図5中に520として示される)。一つの態様において、検出器310は、サーバー350に結び付けて(associated)よいレシーバー340へ感知した情報を伝達するテレメーター330に接続することができる。サーバー350は、患者の状態を監視するのに適当かもしれない他の患者の情報と共に患者のデータベースを含んでよい。図3のシステムにおいて、サーバー350は、インターネットアクセスマネージメントシステム320を通して任意にアクセス可能であり、その結果、ヘルスケア扶養人は患者の心臓マーカーの一つ又はそれより多くのレベルの連続した監視により得られた情報にアクセスすることができる。
【0029】
図4は、移植された医学用装置(IMD)及び任意にIMDの電気刺激システムを付随した発明のナノセンサーシステムのブロック図解を示す。この態様においては、ナノセンサー400、例えば図1に記載されたようなものを、検出器410に接続し、電気刺激器(electric stimulator)を含んでもよく、そしてIMDに結び付けられた電気刺激リード420に接続され、限定ではないが、CRT,ペースメーカー、又は細動除去器を含む。その量が直接又は間接に患者内の一つ又はそれより多い心臓マーカーのレベルに関係する、ナノセンサー400により生じた検出可能なシグナルは、検出器又は刺激器により受け取られ、そして所望の心臓マーカーのレベルが測定される。情報は、検出器内のコントローラー(図5において500として示す)により加工されることにより、患者の血液又は組織内の測定心臓マーカーのレベルの変化に応答してIMDのパラメーターを変更してよい。検出器により受け取られた情報をレシーバー430に伝達するために、テレメーター440は検出器410に結び付けられて含まれてよい。レシーバー430は一つの態様においては、ヘルスケア扶養人又は患者によりユーザーインターフェイス460を通して患者の情報へのインターネットアクセスを提供するサーバー450に接続される。
【0030】
図5は、発明のナノセンサーシステムのコントローラーの一つの態様のシステムブロックの図解である。コントローラー500は、当業界で公知の如何なるIMDの中に提供されてもよく、あるいは、ナノセンサーシステム、例えば図3及び4に示すシステムの検出器又はプロセッサー要素の一部であってよい。コントローラー500は、電気刺激出力上のペーシング、電気的除細動及び/又は細動除去のために電気刺激を送達するための回路構成を含んでよい。
【0031】
コントローラー500は、コミュニケーター510、例えば引用により本明細書に編入される共通譲受の米国特許第6,169,925号に記載されたテレメトリーシステムを含んでよい。このテレメトリーシステムの使用は、長期のコミュニケーションが可能なシステムに、個人的な患者のコミュニケーション装置を提供するはずである。そのような患者のコミュニケーションシステムは、アクセス可能と考えられる範囲の外へ、センサーの読みの患者に警告を発する(alert the patient of sensor readings outside a range considered acceptable)ためのアラーム機能を有してよい。当該アラームは、オリジナルの警告に応答してユーザーにより獲得されるべき作用をユーザーに知らせるためにも含ませてよい。アラームの緊急性のレベルは、シグナルの変化にコードされてよい。アラームは、当業界で公知のあらゆる種類の患者警報であってよく、限定ではないが、可聴性、可視性、又は振動により患者に警告を発するアラームを含む。さらに、患者は、装置上に追加の電極からの筋肉又は神経の刺激による情報を通知されてよい。別の態様において、テレメトリーシグナルが、緊急の状況が検出される事象において自動の警告を送達するための外部装置に提供されてよい。例えば、心臓マーカーのレベルが患者が心臓発作を患っていたことを示したなら、臨時ワーカー(emergency workers)は自動的にアップリンクを通してコミュニケーションシステムに接触してよい。患者のデータは、データ保存要素520により保存された情報を用いて臨時ヘルスケアワーカーに提供されてよい。コントローラー500はデータ獲得要素530及びデータプロセッサー540も含んでよい。
【0032】
発明の一つの態様において、発明のナノセンサーは、当該センサーの隣に位置する防御メンバーを含むことにより、選択可能な時間の間に周囲の環境からセンサーを絶縁してよい。コントローラー500は、防御メンバー又は酸化されるか、ディゾルブするか、又は他には除去される防御メンバーの予め決定された部分をもたらすシグナルを生じる防御活性化要素を含んでよく、それにより、ナノセンサーが操作可能になる。多数のセンサー要素を使用する場合、一つまたはそれより多い防御メンバーを、選択可能な時間が異なる一つ又はそれより多いセンサー要素に結び付けることができる。一つの態様において、一つ又はそれより多い防御メンバーをナノワイヤーセンサー要素の一つのセットに結び付けてよく、そうしてそのような防御メンバーが当該セット内で個々のナノワイヤーセンサー要素を同時に活性化するために同時に無能化されてよい。別の態様において、一つ又はそれより多い防御メンバーをナノワイヤーセンサー要素の第1のセットに結び付けてよく、一つ又はそれより多い防御メンバーが第1の選択可能な期間の間センサー要素のセットを絶縁することになり、そして第2の一つ又はそれより多い防御メンバーが、第2の選択可能な期間、ナノワイヤー選択可能な要素の第2のセットを絶縁することになる。センサー要素の第1のセットは第1の期間において分析物のレベルを測定するために活性化されてよく、そして、センサー要素の第2のセットは第2の期間において活性化されて、分析物のレベルを測定してよい。また別の態様において、ナノワイヤーセンサー要素の第1及び第2のセットは、特異的に別々の基質を結合する第1及び第2の生物認識要素を含んでよい。この態様においては、一つの防御メンバーがナノワイヤーセンサー要素の両方のセットに接続されてよく、そしてその防御メンバーが無能化されたときに、センサー要素の療法のセットが活性化されて、その結果、1より多い分析物のレベルが同時に測定され得る。あるいは、一つ又はそれより多い防御メンバーがセンサー要素の各セットに結び付けられて、そして防御メンバーが連続して無能化されてよい。当業者は、セット中の所望のメンバー内の個々のナノワイヤーセンサー要素の活性化を如何にして最適化することにより分析物の所望の感度及び特異性を測定するかを知っている。好ましい態様の一つにおいて、セット中の個々のナノワイヤーセンサー要素の数は、ナノグラムからピコグラム感度を提供するように選択される。
【0033】
プロセッサーは、当業界で公知のとおり、マイクロプロセッサー又は他のプロセシング回路であってよい。保存装置は、ランダムアクセスメモリー(RAM)、リードオンリーメモリー、レジスター、それらの組み合わせ、又は移植可能な医学用装置における使用に適した他のあらゆる種類のメモリー保存装置を含んでよい。コントローラー500は、センサーアドレス570を含んでもよい。
【0034】
コントローラー500は、一つの態様においてセンサー上に形成されてよい防御メンバーに、ディゾルブするまでの選択された時間の前に、体液にセンサーが暴露されることを阻止させる防御活性化因子をさらに含んでよい。
【0035】
防御メンバーは、その教示を引用により本明細書に編入する、共通譲受の米国公開特許出願番号2002/0120186においてセンサーと共に使用するために記載される。一つの態様において、防御メンバーは、伝導性材料の薄いフィルムからなる。酸化可能であり、生物的合成であり、生物吸収性であり、そして電気ポテンシャルの適用に際して血液のような液体に溶解され得る如何なる伝導性材料をも、防御メンバーの製作のために使用することができる。そのような材料の例は、銅、金、銀、及び亜鉛、そしていくつかのポリマーを含む。
【0036】
防御メンバーは注射又はスピンコーティングにより形成してよい。一つの態様において、ナノセンサーは、基質中に形成されたウエルと共に配置される。防御メンバーは、ウエルを覆うように大きさを決めるか、又は基質を部分的に覆うようにウエルの縁を越えて伸びてよい。一つの態様において、ウエルは、毛細管現象によるか、真空又は他の圧力勾配により材料を部分的にウエルに引っ張る(drawing)か、材料をウエルに溶解する(melting)か、遠心分離及び関連するプロセスによるか、固形物をウエルに挿入するか、又はこれら及び類似の方法のあらゆる組み合わせにより、仕上げる(cap)ことができる。
【0037】
一つの側面において、防御メンバーを、アノードと呼ばれる各伝導体に電気的及び機械的にカップリングさせる。追加の「カソード」伝導体を、各リザーバーに隣接して、しかし電気的及び機械的には離して配置することが望ましい。防御メンバーを伝導性溶液内に入れる場合にアノード及びカソードを横切って適用される電位差は、電子がアノード伝導体からカソード伝導体へ伝導性溶液を通して通過させる。これにより、次に、回路のアノードを考えてよい防御メンバーを、酸化して周囲の流体に溶解させ、センサーを周囲の体液に接触させ、その結果、センサーは操作可能になって、生物認識要素が周囲の環境に接触するかもしれない。
【0038】
前記の例は電流の使用により溶解するか又は腐食する防御メンバーを記載したが、予測可能な時間の間、患者の体内にて溶解するあらゆる生物吸収可能性材料を使用してよい。例えば、一つより多いセンサー要素がシステムに含まれる発明の一つの態様においては、一つ又はそれより多いセンサー要素を防御しないまま残してよく、一方一つ又はそれより多い追加のセンサー要素を第1の時間の間にわたり実質上吸収する各防御メンバーに結び付けられてよい。また別のセットのセンサー要素を各々、第1の時間等よりも長い第2の時間をかけて実質上溶解することが知られている別の材料から形成される防御メンバーに結び付けてよい。一つ又はそれより多いセンサー要素の連続活性化を提供するための多数のセンサー要素を伴う防御メンバーの使用は、患者内に存在する分析物のレベルに関連した分析物又は物質の特異的結合を干渉する様式にて、生物認識期間が周囲環境に暴露される期間を減少させ、そして体内に存在する蛋白質及び他の物質のセンサー要素への非特異的結合の可能性を減少さることにより、センサーの機能寿命を増加させることができる。いくつかの態様においては、防御メンバーを多数のセンサー要素と共に使用することにより、センサー要素のノイズに対する増加(the gain)又はシグナルを制御するのに必要なセンサー要素の所望の数の活性化を提供してよい。例えば、患者内の目的の分析物のレベルの意義のある測定を得るためには、生じる検出可能なシグナルのレベルを増加させるために一つより多いセンサー要素を活性化することが必要であるかもしれない。
【0039】
図6は、複数の分析物の監視のための移植可能なナノセンサーアレイの例を例示する図表である。多数のナノワイヤーフィールドエフェクトトランジスタ610を基材620の上に置く。基材620を、密閉したセンサーの統合した回路パッケージ630上に配置し、センサーの電気的回路を含む。センサーは、リード640上に配置されて接続される。6つのナノセンサーを示したが、基材620により支持されるようなあらゆる他の数のナノセンサーが可能である。
【0040】
図7は、複数の分析物を監視するため又は選択された期間にわたり単一の分析物の監視のため又はその組み合わせの例を例示する図表である。図7に示されたアレイは、多数の個々のナノセンサー720を含み、各々が基材750上に形成されて防御メンバー730により覆われたウエル740内に配置される。一つの態様において、各ナノセンサーは、同じ心臓マーカーのための生物認識要素を含む。使用に際して、上記アレイを患者内に移植してよく、そして相当する防御メンバーをディゾルブすることにより、予め決定された数のナノセンサーを操作可能にさせる。操作可能にされたナノセンサーの数は、生物認識要素と目的の心臓マーカーの間の結合の特異性及び感度並に検出可能なシグナルデータが如何にして加工されるかにより決定される。もし、特定の条件下で、目的の心臓マーカーのレベルが顕著に増加したなら、一つのナノセンサー内での心臓マーカーの生物認識要素への特異的結合は、変化を正確に測定するのに十分ではないかもしれない。
【0041】
別の態様において、各センサーは、上で論じられた様式においてナノセンサーに隣接した防御メンバーを除去するために、関連するコントロール及びアドレスのライン上にシグナルを適用することにより、使用の前に活性化されなければならない。活性化の前に、ナノセンサーは周囲の環境に暴露されず、そのため分解が起こらない。防御メンバーが除去された後で、センサーの実行が、分解していると決定されそして予め規定された範囲の正確性の範囲外であると決定されるような時間まで、検出(sensing)をセンサーにより実行してよい。その後は、ナノセンサーが使用されないまま残り、そして別のナノセンサーがその位置で活性化される。この様式において、移植されたセンサーシステムは、置換する要求なしに長期間使用してよい。
【0042】
図8は、IMDにより送達された治療と共に働くクローズされたループのナノセンサーシステムの例を例示するフローチャートである。治療の種類は、ペーシング、細動除去、薬剤送達、監視及び/又は患者のマネージメント治療を含んでよい。図8に例示された態様においては、IMD、例えばペースメーカー、細動除去器又は類似物により、治療が提供される。ナノセンサーシステム中及び/又は移植可能な装置中の、コンピューターで実行されるソフトウエアロジックシステムが、患者内に移植された一つ又はそれより多いナノセンサーを活性化して、患者内の所望の心臓マーカーのレベルを測定し始める。測定された心臓マーカーのレベルが患者の症状が悪化することを示すレベルまで増加したか又は低下したことを示すと、ナノセンサーが決定した場合、IMDの治療パラメーターをそれに応じて調節してよい。ナノセンサーは目的の心臓マーカーのレベルを測定し続け、治療において適切な調節をする。
【0043】
IMDがCRTシステムの場合、心臓マーカー、例えばBNPのレベルの増加を用いることにより、AV及びVVのタイミングを最適化するか、心臓の逆の改造(reverse remodeling)に対する治療養生法の影響を評価するか、又は随伴するドラッグ治療の影響を評価してよい。ソフトウエア及び/又はハードウエアのコントロール下での操作により、プロセシング回路が受け取ったシグナルを加工して実行方針を決定する。あるいは、プロセッサーが、一つ又はそれより多いナノセンサーの読みを平均化してよいか、又は範囲外のシグナルを捨てるための可決機構を使用してよいか、又は実行方針を決定する前により多くの心臓マーカーのレベルを相関させてよい。
【0044】
発明のナノセンサーシステムは、心臓血管の疾患を有する患者において心臓マーカーのレベルを監視するのに特に有用であり、特にそのような患者においてBNPのレベルを監視するのに有用である。心不全又は他の心臓血管の疾患と診断された患者の予後を決定する方法は、米国の公開された特許出願番号2003/0022235に記載されている。簡単に言えば、当該方法は、BNPレベルを、又はBNPに関連し且つ患者の心臓血管の疾患に付随する兆候の増加に関連するマーカーのレベルを、確認することを含む。そのレベルが決定されたら、BNP又はナノワイヤーフィールドエフェクトトランジスタに結合させた関連のマーカーの結合対メンバーである生物認識要素を有する発明のナノセンサーシステムが、患者の心臓内循環系内に、独立型装置として又は患者に既に移植されたか又は患者に移植される移植可能な医学用装置の一部として、移植される。当該ナノセンサーコントローラーは、予め決定された間隔にて患者のBNPレベルを測定し、測定値を保存し、そしてそれらを患者に関して以前に測定されたBNPの予後(prognostic)レベルと比較する。BNPのレベルが患者の症状が悪化していることを示したなら、そのとき、患者の警告が起動して(triggered)、その結果、患者は彼又は彼女の心臓ケア扶養人に接触することを知る。任意に、BNPレベルが患者の症状が悪化していることを示したなら、治療のパラメーターを、自動的により最適な設定に調節してよい。
【0045】
好ましくは、生物認識要素は、BNP分子内のペプチドエピトープに特異的に結合する抗体又はその断片である。一つの態様において、抗体はモノクローナル抗体である。BNPに結合するか又はBNPに関連するマーカーに結合する抗体及び他の要素は公知である。例えば、米国特許番号6,124,430はhBNP分子内のエピトープに結合する抗体を記載しており、その教示は引用により本明細書に編入される。
【0046】
発明の別の態様において、一つより多くの心臓マーカーのレベルを測定するために適合された個々のナノセンサーのアレイを含む発明のナノセンサーシステムを、器官の不全を診断するための方法において使用してよい。好ましくは、目的の心臓マーカーは、圧力、体積の変化及び心臓に対するストレスを示したマーカー(例えば、BNP及びプロBNP)及び組織の損傷の指標であるマーカー(例えば、心臓トロポニンI)を含む。インビトロ診断アッセイを用いて得られるそのようなマーカーの測定値を心不全の診断に対して相関させる方法は、米国特許番号6,461,828に記載されており、その教示は引用により本明細書に編入される。
【0047】
本明細書に引用された全ての特許及び刊行物は、それらの全体を引用により本明細書に編入される。上記の好ましい態様の特定の上記の構造、機能及び操作は、発明を実施するために必要ではなく、例示的な単一又は複数の態様の単なる完成のための記載に含まれる。さらに、上記引用された特許における特定の構造、機能及び操作は本発明に関連して実施できるが、それらはその実施に必須ではないことが理解される。よって、請求の範囲内で、発明は本発明の精神及び範囲から事実上逸脱することなく特別に記載されるものと別な方法で実施してよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、本発明によるセンサーの一つの態様を例示する図解である。
【図2】図2は、図1に示したようなセンサーへ生物認識要素を取付ける一つの方法を例示するフローチャートである。
【図3】図3は、本発明によるセンサーシステムの一つの態様を例示する図解である。
【図4】図4は、治療デリバリーシステムを含む本発明によるセンサーシステムの一つの態様を例示する図解である。
【図5】図5は、発明のセンサーシステムと共に使用してよいコントローラーの一つの態様のシステムブロックの図解である。
【図6】図6は、発明のセンサーの態様を例示する図解である。
【図7】図7は、防御メンバーと多数の個々のナノワイヤーセンサー要素を有する発明のセンサーの一つの態様を例示する図解である。
【図8】図8は、本発明と共に実施してよい方法の一つの態様を例示するフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.変換器の単一部分又は複数部分に結びつけられた(associated)生物認識要素を含むセンサー要素であって、上記生物認識要素は分析物の存在又は量に関連した量にて物質に特異的に結合することができ、但し、当該物質が結合したときに検出可能なシグナルが生じる、上記センサー要素;
b.検出可能なシグナルを測定するため及び分析物の存在又は量と共に測定された検出可能なシグナルの量に関連付けるためのセンサー要素に結び付けられたコントローラー;及び
c.選択された時間の間、周囲の環境から生物認識要素を絶縁するために上記センサー要素に隣接して配置された防御メンバー
を含む、分析物の存在又は量を測定するための移植可能なバイオセンサーシステム。
【請求項2】
生物認識要素に特異的に結合する物質が測定される分析物である、請求項1記載のセンサーシステム。
【請求項3】
変換器がナノワイヤー並びに当該ナノワイヤーに付随した特性を決定するために構築されて配置された検出器を含み、生物認識要素と上記物質との間の相互作用が検出可能なシグナルを生じるように特性における検出可能な変化を生じるように生物認識要素がナノワイヤーに対して適切に配置された、請求項1記載のセンサーシステム。
【請求項4】
ナノワイヤーが関門開閉化されたナノワイヤーフィールドエフェクトトランジスタを含み、ナノワイヤーの電気特性がナノワイヤーの表面上の変化に感受性である、請求項3記載のセンサーシステム。
【請求項5】
センサーシステムが心臓の心臓内循環系内に移植されるように適合されており、そして分析物が心臓マーカーである、請求項1記載のセンサーシステム。
【請求項6】
センサーシステムが冠状静脈洞(coronary sinus)内に移植されるように適合された、請求項5記載のセンサーシステム。
【請求項7】
心臓マーカーがBNP又はBNPレベルに関連したマーカーである、請求項5記載のセンサーシステム。
【請求項8】
選択された時間の間の後に、防御メンバーを無能化するために、防御メンバーにカップリングされたコントロール回路をさらに含む、請求項1記載のセンサーシステム。
【請求項9】
防御メンバーが生物適合性金属から作成される、請求項8記載のセンサーシステム。
【請求項10】
防御メンバーが腐食するポリマーゲルから作成される、請求項8記載のセンサーシステム。
【請求項11】
防御メンバーが生物適合性金属から作成される、請求項8記載のセンサーシステム。
【請求項12】
防御メンバーを通して電流の流れが起きるように誘導するためのカソード及びアノードに上記コントローラーが結び付けられた(associated)、請求項8記載のセンサーシステム。
【請求項13】
多数のセンサー要素をさらに含む、請求項1記載のセンサーシステム。
【請求項14】
一つ又はそれより多いセンサー要素が第1分析物の存在又は量に関連した量にて第1物質に特異的に結合できる生物認識要素を含み、そして一つ又はそれより多いセンサー要素が第2分析物の存在又は量に関連した量にて第1物質及び第2物質の一方に特異的に結合できる生物認識要素を含む、請求項13記載のセンサーシステム。
【請求項15】
センサー要素の各々が防御メンバーに結び付けられた(associated)、請求項13記載のセンサーシステム。
【請求項16】
コントローラーが一つ又はそれより多い防御メンバーを選択的に無能化することができる回路を含む、請求項15記載のセンサーシステム。
【請求項17】
生物認識要素が分析物に結合できる抗体又は抗体の一部である、請求項1記載のセンサーシステム。
【請求項18】
生物認識要素が上記物質に可逆的に結合できる、請求項1記載のセンサーシステム。
【請求項19】
コントローラーにカップリングされた治療送達システムをさらに含むが、但し、治療のパラメーターが分析物のレベルの測定値に基づいて変更される、請求項1記載のセンサーシステム。
【請求項20】
防御膜の一部が選択可能な時間をかけて生きた体内で実質上溶解する材料から形成され、そして電流が防御メンバーの一部を通して流れるように誘導された場合に、防御膜の一部が溶解する材料から作成される、請求項12記載のセンサーシステム。
【請求項21】
測定されたBNPレベルをコントローラー中に保存された予め決定されたレベルと比較するようにコントローラーが適合され、そしてコントローラーが再心調律(cardiac resynchronization)治療装置に接続されており、そしてBNPレベルを測定することに応答して当該再心調律治療装置のAVの間隔を変更するための回路を含む、請求項7記載のセンサーシステム。
【請求項22】
分析物の存在又は量を測定するための方法であって、
a.変換器の単一の部分又は複数の部分に結び付けられた(associated)生物認識要素を含むセンサー要素を移植するが、生物認識要素は分析物の存在又は量に関連する量にて物質に特異的に結合でき、そして物質が生物認識要素に結合した場合に検出可能なシグナルが生じ;そして生じた検出可能なシグナルを測定するように適合されたセンサー要素にコントローラーが接続されており、そしてコントローラーが測定された検出可能なシグナルの量を、存在する分析物の存在又は量により相関させることができ、
b.生物認識要素を組織又は流体に接触させることにより、物質が生物認識要素に結合することを可能にさせ、
c.物質が生物認識要素に結合したときに生じる検出可能なシグナルの量を測定し;そして
d.生じた検出可能シグナルの量を分析物の量又は存在に相関させること
を含む方法。
【請求項23】
生物認識要素に特異的に結合する物質が測定される分析物である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
選択された時間の間周囲の環境から生物認識メンバーを絶縁するために、センサー要素に隣接して配置された防御メンバーを用意し、そして防御メンバーを又はその一部を除去することにより生物認識要素を患者内の組織又は流体に接触できるようにすることをさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項25】
変換器がナノワイヤー並びに当該ナノワイヤーに付随した特性を決定するために構築されて配置された検出器を含み、生物認識要素と上記物質との間の相互作用が検出可能なシグナルを生じるように特性における検出可能な変化を生じるように生物認識要素がナノワイヤーに対して適切に配置された、請求項22記載の方法。
【請求項26】
ナノワイヤーが関門開閉化されたナノワイヤーフィールドエフェクトトランジスタを含み、ナノワイヤーの電気特性がナノワイヤーの表面上の変化に感受性である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
センサーシステムが心臓の心臓内循環系の一部の中に移植されるように適合されており、そして分析物が心臓マーカーである、請求項25記載の方法。
【請求項28】
一部が冠状静脈洞(coronary sinus)の一つの一部を含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
一部が冠状静脈洞(coronary sinus)内の一部を含む、請求項27記載の方法。
【請求項30】
心臓マーカーが、BNP,プレプロBNP,NTプロBNP,C−タイプの反応性蛋白質、トロポニンI、トロポニンT、ミオグロビン、D−ダイマー及びサイトカイン類及び分析物を特異的に結合する生物認識要素からなる群から選択される、請求項27記載の方法。
【請求項31】
心臓マーカーがBNP又はBNPレベルに関連したマーカーである、請求項27記載の方法。
【請求項32】
多数のセンサー要素及びコントローラーにカップリングされた多数の防御メンバーを用意し、そして防御メンバーの少なくとも一つを無能化することにより、一つ又はそれより多いセンサー要素を活性化することをさらに含む、請求項27記載の方法。
【請求項33】
センサー要素の第1のセットの一つ又はそれより多くが第1の心臓マーカーの存在又は量に関連した量において第1の物質に特異的に結合する生物認識要素を含み、そしてセンサー要素の第2のセットの一つ又はそれより多くが第2の心臓マーカーの存在又は量に関連した量において第2の物質に特異的に結合する生物認識要素を含む、請求項27記載の方法。
【請求項34】
第1のセットのセンサー要素を絶縁する一つ又はそれより多い防御メンバーを無能化することにより、そのセット中の一つ又はそれより多いセンサー要素を活性化し、そして同時又は連続して第2のセットのセンサー要素を絶縁する一つ又はそれより多い防御メンバーを無能化することにより、そのセット中の一つ又はそれより多いセンサー要素を活性化することをさらに含む、請求項27記載の方法。
【請求項35】
一つの心臓マーカーのレベルが心臓細胞の損傷のマーカーであり、そして他方の心臓マーカーが、血圧変化、体積変化、心臓ストレス症状の一つを示すマーカーであるという理由で第1及び第2心臓マーカーが選択される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
センサー要素の各々がナノワイヤーに取付けられた公知量の生物認識要素を含み、そして各センサー要素中の生物認識要素が同じであり、そして各センサー要素が一つ又はそれより多い防御メンバーをにより周囲環境から絶縁されており、そしてさらに、一つ又はそれより多い防御メンバーを無能化することにより測定された心臓マーカーの測定の感度を調節することにより、選択された時間の間、所望の数のセンサー要素を活性化することをさらに含む、請求項32記載の方法。
【請求項37】
コントローラー及びセンサーにカップリングされた治療送達システムを含むことにより治療を提供することをさらに含むが、但し、治療のパラメーターが心臓マーカーのレベルの測定値に基づいて変化する、請求項27記載の方法。
【請求項38】
選択された時間をかけて生きた体内において実質上溶解する材料から作成された一つ又はそれより多い防御メンバーをさらに含む、請求項32記載の方法。
【請求項39】
一つ又はそれより多い防御メンバーが、電流が流れて(flow through)一つ又はそれより多い防御メンバーを無能化させることができるカソード及びアノードに接続された(connected)コントローラーに結び付けられ(associated)ており、そして、電流をカソード及びアノードに適用して電気ポテンシャルをカソード及びアノードに適用することにより、一つ又はそれより多い防御メンバーを無能化することを含む、請求項32記載の方法。
【請求項40】
心臓マーカーがBNP又はBNPレベルに関連したマーカーである、請求項37記載の方法。
【請求項41】
選択された時間をかけて生きた体内において実質上溶解する材料から作成された一つ又はそれより多い防御メンバーをさらに含み、そして、一つ又はそれより多い防御メンバーが選択された時間の間の後及びセンサー要素が活性化された後に溶解したときに第1の所望の時間においてBNPのレベルを測定し、そしてBNPの測定されたレベルを、予め選択されたレベルに対して比較し、そして当該比較に基づいて治療のパラメーターを変更することをさらに含む、請求項40記載の方法。
【請求項42】
治療送達システムが再心調律(cardiac resynchronization)システムであり、そして変更された治療のパラメーターが当該システムのAVの間隔であり、BNPの測定されたレベルを、予め選択されたレベルに対して比較し、そして当該比較に基づいて治療のパラメーターを変更する、請求項41記載の方法。
【請求項43】
患者において心臓血管の疾患の重度を診断するか、決定するか又は心臓血管の疾患を管理する(managing)ための方法であって、
a.多数のセンサー要素を含むセンサーを患者に移植するが、各センサー要素は変換器の単一の部分又は複数の部分に結び付けられた生物認識要素を含み、生物認識要素は心臓マーカーのレベルに関連した量にて患者内の物質に特異的に結合でき、そして当該物質が結合したときに検出可能なシグナルが生じ;
b.センサーに隣接して配置された一つ又はそれより多い防御メンバーを無能化することによりセンサー要素の一つ又はそれより多くを活性化して、周囲の環境から生物認識要素を絶縁し;
c.生じた検出可能シグナルの量を測定し;
d.生じた検出可能シグナルの量を、患者内に存在する心臓マーカーのレベルに相関させ;そして
e.心臓マーカーの測定されたレベルを、そのような心臓マーカーの予め選択されたレベルに対して比較することにより、心臓血管の疾患の重度を診断するか、決定するか又は心臓血管の疾患を管理すること
を含む方法。
【請求項44】
心臓マーカーがBNPである、請求項43記載の方法。
【請求項45】
一つ又はそれより多いセンサー要素に結び付けられたコントローラーに接続された治療送達システムをさらに含むが、但し、当該治療送達システムは患者の心臓血管の疾患のマネージメントの一部として予め選択されたパラメーターのセットに基づいて患者に対する治療を提供し、そして心臓マーカーの予め選択されたレベルに対して比較された心臓マーカーの測定されたレベルにが患者の心臓血管の疾患の兆候における悪化を示し、そして治療のパラメーターを変更することをさらに含む、請求項43記載の方法。
【請求項46】
治療送達システムが再心調律(cardiac resynchronization)治療システムである、請求項45記載の方法。
【請求項47】
方法を実施するための指示書を保存するためのコンピューター読み取り可能媒体であって、
a.移植可能なセンサーに電気的に接近するための指示書であって、上記移植可能なセンサーはさらに複数のセンサー要素を含み、但し、各センサー要素は変換器に結び付けられた生物認識要素を含み、当該生物認識要素は心臓マーカーのそのとき存在する(then-present)レベルに関連した量にて物質に特異的に結合でき、そして当該物質が結合したときに検出可能なシグナルが生じ、
b.センサーに隣接して配置された一つ又はそれより多い防御メンバーを無能化することにより一つ又はそれより多いセンサー要素を活性化して、生物認識要素を周囲の環境から絶縁するための指示書、
c.検出可能なシグナルの規模を測定するための指示書、
d.検出可能なシグナルに少なくとも一部基づいて心臓マーカーの量を測定するための指示書、
e.心臓血管の疾患の重度をi)診断するか、ii)決定するか又はiii)心臓血管の疾患を管理するために、心臓マーカーの測定されたレベルを、心臓マーカーの公知のレベルと比較するための指示書
を含む上記媒体。
【請求項48】
心臓マーカーがBNP又はBNPレベルに関連したマーカーである、請求項43記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−503882(P2007−503882A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524897(P2006−524897)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/027958
【国際公開番号】WO2005/020797
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(591007804)メドトロニック・インコーポレーテッド (243)
【Fターム(参考)】