説明

心臓導電系の標的化された領域の遺伝子修飾

開示されたのは、心臓の導電系の目標とされた領域の細胞の遺伝子修飾により、心臓の機能不全、特に心臓のペーシングの機能不全を予防するか又は治療するための組成物、方法及び系である。特定すれば、バイオペースメーカー組成物を心臓の細胞に送達することにより、細胞の固有のペースメーキング速度を増加させるが、その際、バイオペースメーカーは、おかしな電流を生じるチャネル又はそのサブユニット及びT−タイプのCa2+チャネル又はそのサブユニットの発現を増加させ、そして野生型カリウムチャネルの発現を抑圧する一つ又はそれより多い分子を発現する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、心臓の機能不全の治療用治療法(curative therapy)を提供するための、組成物、装置及び方法に関し、特定すれば、不整脈及び心臓ペーシング機能不全のための治療用の治療剤及び系を寄与する(implementing)生物学上の系及び方法に関する。
【0002】
正常で健康な心臓においては、右心房に位置する洞房(「SA」)結節の自発的な興奮により、心臓の萎縮が開始する。SA結節により生じた電気衝撃(impulse)は、房室間(「AV」)結節に移動し、His及びプルキニエのネットワークの束に送られて、多くの方向に枝分かれすることにより、右心室と左心室の刺激性萎縮を促進させる。
【0003】
ある疾患状態においては、正確なペースを刻む心臓の能力が傷付けられる(compromised)。現在、そのような機能不全は移植可能なペースメーカーの移植により共通に処理される。多くの患者の生活を改善するが、移植可能なペースメーカーは、限定された寿命を有し、よって、移植可能なペースメーカーを置き換えるために患者を複数の外科手術にさらすかもしれない。さらに、移植可能なペースメーカーは、そのペーシング速度を増加させるか又は低下させるためにSA結節上で作用する体の内生的シグナリングに直接応答することができないかもしれない。
【0004】
最近、心臓の細胞のペーシング速度に影響を及ぼす生物学的方法が開発されたが、様々な薬剤と薬学組成物の使用を含む。遺伝子工学の進歩は、心臓細胞の固有のペーシング速度に影響を及ぼすために心臓細胞を遺伝子修飾するための方法をもたらしてきた。例えば、米国特許番号第6,214,620号は、特定のイオンチャネルを過剰発現する(例えば、Kチャネル)か又は過小発現する(例えば、Na及びCaチャネル)ことにより心室の細胞の興奮可能性を抑圧する方法を記載する。PCT公開番号WO02/087419は、無活動の心室細胞中のKチャネル(IK1)を内向きに整流する(inwardly rectifying)遺伝的修飾により心臓の細胞の電気的挙動を変調するための方法及び系を記載する。PCT公開番号WO02/098286は、HCN分子により心臓細胞のペースメーカー機能を制御する方法を記載する(ペースメーカー電流IのHCN1,2,又は4アイソフォーム)。
【0005】
しかしながら、心臓の機能不全のための好結果の治療用の治療法を保証するため、移植可能な医学用装置(IMD)と協同した、遺伝子修飾治療(バイオペーシング)の系を満たすための要求が残される。
【0006】
本発明は、生理学上のシグナルに応答することができ、並びに心室の同調性萎縮を促進させて回復させることにより、即ち健康な心臓の機能を模倣するバイオロジカルペースメーカー(「バイオペースメーカー」)を提供する。バイオペースメーカーは、バイオペースメーカー組成物の細胞への送達により心臓の導電系の標的化領域において心筋細胞の遺伝子修飾を通して生成される。
【0007】
発明の一つの側面において、バイオペースメーカー組成物は、細胞のペースメーキング速度を増加させるための、心臓導電系の心筋細胞中の一つ又はそれより多い分子をコードする少なくとも二つのコーディング配列を含む。当該コーディング配列は、おかしな電流(funny current)を生じるチャネル又はそのサブユニットをコードするコーディング配列、T−タイプのCa2+チャネル又はそのサブユニットをコードするコーディング配列、及び野生型のカリウムチャネルの発現を抑圧する一つ又はそれより多い分子をコードするコーディング配列を含む。
【0008】
好ましくは、導電系の細胞をバイオペースメーカーを用いて遺伝子修飾することにより、それらのペーシング速度を、正常な心臓内のSA結節細胞の固有のペーシング速度に似せたレベルに増加させる。
【0009】
好ましくは、発明のバイオペースメーカー組成物は、細胞の二つ又はそれより多い特性を変更することにより心臓の導電系中でバイオペースメーカーを生成して、以下:1)増加した内部へのCa2+電流、2)増加した内部へのおかしな電流(I)、及び/又は3)低下した外へのK電流を得る。
【0010】
T−タイプのCa2+チャネル又はそのサブユニットを過剰発現するように標的細胞を遺伝子修飾することにより増加した内部へのCa2+電流を得てよく、そして一つの態様においては、T−タイプのCa2+チャネルのα1Hを過剰発現させる。
【0011】
増加した内部へのおかしな電流(I)は、おかしな電流のチャネル又はそのサブユニットの発現を増加させることにより、得てよい。好ましくは、発現されたチャネルは、高分極−活性化されたカチオンチャネル遺伝子(HCN)のアイソフォームである。選択されたアイソフォームは、哺乳類種の細胞が修飾されることに関する。
【0012】
低下した外部へのK電流は、速いカリウム電流(IKr)を生じさせるのに必須の野生型カリウムチャネルの発現を抑圧する分子又は蛋白質をコードするようにデザインされたコーディング配列を含む標的細胞に、バイオペースメーカー組成物を送達することにより得てよい。一つの態様においては、発現された蛋白質が、カリウムチャネル蛋白質の優性阻害(dominant negative)形態である。
【0013】
発明の一つのさらなる態様において、発明のバイオペースメーカーは、移植可能なペースメーカーと組み合わせて使用される。特定すれば、移植可能なペースメーカーは、心臓の機能不全を予防するか又は遺伝子操作されたバイオペースメーカーのペースメーキング作用を感作及び監視するために、遺伝子操作されたバイオペースメーカーと協同して働くようにプログラムされる。さらに、移植可能なペースメーカーは、バイオペースメーカーのペースメーキング作用が期待された程でない場合に心拍を調整する(pace)ように作動する。例えば、移植可能なペースメーカーに頼る(resorting)2つのあり得るきっかけ(triggers)は、1)一定の予め決定された閾値より低いペーシング速度のバイオペースメーカー、及び2)バイオペースメーカーの断続性ではあるがおそらくは正常な機能である。移植可能なペースメーカーは、バイオロジカルペースメーカーを操作する一つ又はそれより多い試みが患者において失敗したなら、主要ペースメーカーの役割にスイッチすることができる。
【0014】
バイオペースメーカーがAV結節である場合、SA結節の先端部分はAV結節から心房(atria)を隔離(isolate)するように除去されてよい。バイオペースメーカーがプルキニエネットワーク内に位置する場合、全結節を除去してよい。
【0015】
本発明は、心臓の導電系の細胞、例えば心臓のAV結節の固有のペースメーキング速度を、細胞の遺伝子修飾により増加させる生物学上の方法に関する。
図1は、心臓の固有の導電系の部分及び右心房16及び右心室(「RV」)18の部屋(chamber)を露出するように剥がし取られた(peeled back)前外側の壁を有する心臓の右サイドの模式図である。図1に例示された心臓の固有の導電系の直接関係のある要素は、SA結節30、AV結節32、His 40の束、右の束のブランチ42、及びプルキニエ繊維46である。SA結節30は、上大静脈14と右心房(「RA」)16の間の接続部(junction)において示される。SA結節30において開始した電気衝撃は、RA16を通って迅速に移動し、そして右心房(示さず)はAV結節32に。AV結節32においては、His 40の束を通って移動する前に遅延を引き起こすように衝撃は遅くなり、心室間の隔壁17内で、右の束のブランチ42と左の束のブランチ(示さず)に枝分かれし、次に、先端で(apically)プルキニエ繊維46に分かれる。遅延後に、衝撃はRV18及び左心室(示さず)を迅速に移動する。本明細書に記載された電気衝撃の電流は心臓から血液を有効に汲み上げるための心房と心室の萎縮の順序正しい並びを創製する。心臓の固有の萎縮系の一部が機能不全になった場合、有効な汲み上げが危険にさらされる。
【0016】
典型的には、SA結節30が機能不全になった患者は、導線電極が心房の付属体(appendage)内に置かれた移植可能なペースメーカーを移植されて有するかもしれない。導線電極は機能不全のSA結節30の下流のRA16を刺激し、そして刺激するパルスがAV結節32、His 40の束、及びプルキニエ繊維46上に移動して、心臓の生理的萎縮を回復させる。しかしながら、患者が機能不全AV結節32を有するなら、心房の付属体中のペーシングは有効にならず、何故ならばそれは損傷により誘導されたブロックの上流だからである。
【0017】
His 40の束におけるペーシングは、心室の脱分極を実施するように、心臓の正常な導電系を利用する利点を提供する。換言すれば、Hisの束において提供された刺激は、右の束42、左の束(示さず)、及びプルキニエ繊維により心臓全体に素早く伝搬する。これは、シンクロナイズした有効な心室の萎縮を提供するが、素早く導電するプルキニエネットワークと比較すると心筋の組織はゆっくりとした導電体であるため、電気活性がゆっくりとした速度で伝搬する右心室の頂端からのペーシングのようではない。
【0018】
体内の他の興奮性組織の細胞のように、心臓の細胞は、膜を通したイオンの制御された電流を可能にする。細胞膜を通したこのイオンの移動は、膜貫通ポテンシャルの変化をもたらし、それは細胞の萎縮のきっかけである。心臓の細胞はいくつかの細胞種に分類され(例えば、心房、心室等、)、各細胞種は膜ポテンシャルにおいてそれ自身の特性のバリエーションを有する。例えば、心室細胞は、〜−85mVの静止ポテンシャルを有する。入ってくる脱分極の波の最前線に応答して、これらの細胞は〜20mVのピーク値を伴う活動ポテンシャルを発火し(fire)、そして次に再分極し始め、完了まで〜350msかかる。対照的に、SA結節細胞は安定な静止ポテンシャルを有さず、代わりに、それらの膜ポテンシャルが〜−50mVに到達したときに、自発的に脱分極し始める。細胞、例えばSA結節細胞は安定な静止膜貫通ポテンシャルを有さないが、代わりに閾値を自発的に増加させ、再生性で反復性の脱分極を引き起こし、自動能(automacity)を示すといわれる。
【0019】
心臓の筋肉細胞は、狭間隙結合として知られる小さな孔様構造により互いに構造上結合している。僅かな心臓細胞が脱分極したとき、それらは隣の細胞に対して電流の源(current sources)として作用して、それらがなお脱分極することを誘導し;そして今度はこれらの細胞が隣の細胞への電気性電荷をリレーする。心臓細胞の塊の中で脱分極が始まったら、全塊が脱分極して心臓細胞の塊がユニットとして萎縮することを誘導するまで、細胞対細胞導電により素早く広がる。
【0020】
SA結節中の細胞は特化されたペースメーカー細胞であり、もっとも高い発火(fire)速度を有する。これらの細胞からの脱分極は心房を通して広がる。心房の筋肉細胞は心室の筋肉細胞と密接に結合はしていないため、萎縮は直接心室には広がらない。代わりに、心房の脱分極がAV結節に入り、そして僅かな遅延の後に、Hisの束とプルキニエネットワークにより心室上へ通過して、心内膜に沿って細胞脱分極を開始する。次に、脱分極は、全心室塊を通して細胞対細胞導電により広がる。
【0021】
SA結節の唯一の細胞は、その自動能によりそれを授けるイオンチャネルのコンビネーションを含む。心臓の電気的機能の特徴の総説及びイオン及び分子の根本原理の現在の理解の記載は、Schramらの「Differential Distribution of Cardiac Ion Channel Expression as a Basis」、Circ.Res.,Vol.90,939−950ページ 2002の中に見いだすことができ、その教示は引用により本明細書に編入される。
【0022】
SA結節細胞の独特の特徴の幾つかは、Naチャネル(INa)及び内向き整流K(IK1)チャネルの不在を含む。ナトリウム電流の不在下では、SA結節の活動ポテンシャルの上昇運動がL−タイプのCa2+−チャネル(ICaL)により主に媒介される。SA結節細胞はIK1の欠如のために安定な静止ポテンシャルを有さず、そして再脱分極相が完了した直後に脱分極し始める。SA結節細胞に関しての最大の弛緩期ポテンシャルは、心房細胞及び心室細胞に関してのそれぞれ−78mV及び−85mVに比較して、約−50mVである。ゆっくりとした脱分極相は、「おかしな電流」(I)とT−タイプのCa2+チャネルの活性化及びゆっくりと早いカリウムの不活性化(それぞれ、IKs及びIKr)により媒介される。正常に機能する心臓の中のSA結節内のペースメーカーの放電(discharge)の速度は、1分あたり約60から100ビートの範囲に近い。
【0023】
疾患の状態においては、心臓の心拍を正確に調整するSA結節の能力は、厳しく傷つけられる。本発明の方法は、SA結節の特化されたペースメーカー細胞の電気生理学及びペーシングにより密接に似せるように電気生理学及びペーシングを修飾するためにAV結節の細胞を遺伝子修飾することを含む。
【0024】
図2は、図1に示されるのと類似の心臓の右サイドの模式図であり、ガイドカテーテル90が発明の遺伝子構築物の送達のために配置される。カテーテル90のための静脈アクセス部位は頭部又は鎖骨の静脈中にあってよく、そして静脈のアクセスのために使用される手段は当業界でよく知られており、標準の経皮導入キットを用いて実施されるセルジンガー(Seldinger)技術を含む。ガイドカテーテル90は近位末端(示さず)から遠位末端92に伸びるルーメン(示さず)を含み、スライドして送達系80を受ける。ガイドカテーテル90は約0.115インチと0.170インチの間の外部直径であり、構造は当業界でよく知られている。ガイドカテーテル80の遠位末端92は、遠位末端92をHis 40の束の移植部位に向けるために、マッピング電気活性のための電極(示さず)を含んでよい。或いは、別のマッピングカテーテルをガイドカテーテル90のルーメン内で用いることにより、遠位末端92をHis 40の束の近くの移植部位に向けさせてよく、方法は当業界でよく知られている。
【0025】
図3A及び3Bの描写は、発明の一つの態様を例示する。図3Aは、SA結節のペースメーカー機能に障害のあるSA結節内の正常なペースメーカー機能をもつ心臓を例示する。機能不全のSA結節ペースメーカー機能の心臓においては、固有のペースメーキング活性をもつ心臓の他の構造がペーシング機能を引き継ぐことができるが、生じる心拍数は正常な循環を支持するのには不十分である。図3Bは、遺伝子構築物又はベクター38内にコーディング配列を含むバイオペースメーカーの、導電系のAV結節部分への送達を例示する。上記組成物が宿主細胞に送達されて修飾された遺伝子発現が起こった後、AV結節の電気生理学は、正常に機能するSA結節のそれに密接に似せるように回復する。
【0026】
発明の一つの態様において、AV結節の先端部分はAV結節から心房を隔離するように除去されてよい。これは、3つの機能:1)内生チャネルの所定の発現のためにAV結節の発火速度を増強すること;2)心房の細動及び不規則な鼓動(flutter)の間に起こり得るように、AV結節が速い心房活性により侵入されることを予防すること;及び心房と心室がほとんど同時に鼓動する不愉快な接続部の鼓動を患者が経験することを予防することを供給する。
【0027】
本発明の一つの側面は、SA結節のペーシング速度により密接に似せるようにそのような細胞の固有のペーシング速度を増加させるために、哺乳類の心臓の導電系の細胞を遺伝子修飾することである。発明の一つの態様において、発明のバイオペースメーカー組成物をAV結節細胞に送達することにより、細胞の固有のペースメーキング速度が増加して、1)内部のT−タイプのCa2+電流を増加させるか、2)内部へのおかしな電流(I)を増加させるか、及び/又は4)修飾された細胞内での外へのK電流を低下させる。
【0028】
導電系の細胞を修飾することにより、これらの細胞の主たるペースメーカーへの形質転換を最大にし、そして、SA結節のそれに似せたレベルまでそれら固有のペーシング速度を増加させることができる。望ましくは、修飾された細胞の固有のペーシング速度を、SA結節のそれに実質同一なレベルまで増加させる。本明細書に使用される「似せる(resembling)」又は「似せる(resembles)」は、心臓が正常に機能しているときの特定の患者のSA結節細胞のペーシング速度の少なくとも約85%のレベルまで修飾された細胞のペーシング速度を増加させることを意味し、そして「実質上同一の」は、心臓が正常に機能しているときの特定の患者のSA結節細胞のペーシング速度の少なくとも約95%のレベルまで修飾された細胞のペーシング速度を増加させることを意味する。
【0029】
本明細書において使用される用語「コードする(encodes)」、「コードする(encoding)」、「配列をコードする(coding sequences)」及び類似の用語は、適切な制御配列の制御下に置かれたときに、インビトロ又はインビボにおいて、転写されて(DNAの場合)そしてポリペプチドに翻訳される(mRNAの場合)核酸配列を意味する。
【0030】
発明の一つの態様において、導電系の細胞は、一つまたはそれより多いコーディング配列を含む遺伝子構築物をこれらの細胞に送達することにより内部へのCa2+電流を増加させるように遺伝子修飾してよい。特定の例として、AV結節に関しては、上記遺伝子構築物がT−タイプのCa2+チャネルの増加した発現(過剰発現)をもたらすT−タイプのCa2+チャネルをコードするコーディング配列を含み、それにより、AV結節細胞の脱分極を促進させて、それらの固有のペーシング速度を増加させる。別の態様において、上記遺伝子構築物は、T−タイプのCa2+チャネルのサブユニットのコーディング配列を含み、そして一つの態様において;上記サブユニットはT−タイプのCa2+チャネルのα1Hサブユニットである。
【0031】
別の態様によれば、導電系の細胞は、おかしな電流を生じるチャネルをコードするコーディング配列を含む遺伝子構築物を送達することにより、おかしな電流(I)を増加させるように遺伝子修飾される。一つのそのようなコーディング配列は、高分極−活性化されたカチオンチャネル遺伝子(HCN)又はその一部である。HCNの一つ又はそれより多いアイソフォームを発明の方法において使用してよい。HCNファミリーの4つのアイソフォームは、HCN1,HCN2,HCN3,及びHCN4が同定された。最近の研究は、HCN4アイソフォームがSA結節中の心臓のおかしな電流のチャネルをコードする支配的なサブユニットであることを示唆する。(例えば、”Molecular Characterization of the Hyperpolarization−activated Cation Channel in Rabit Heart Sinoatrial Node,”J.Biol.Chem.274:12835−12839(1999)を参照。)
発明のまた別の態様においては、外向きに整流する速いカリウムチャネル(IKr)の発現を抑圧することにより、心臓導電系の心臓細胞の外部K電流を低下させる。後期の相の再分極の間のIKrの不活性化は、SA結節細胞の脱分極を促進させる。SA結節細胞は、速いのと遅いKチャネルの両方を発現するが、速い形態が支配的である。Kチャネルの発現は導電系において変化する。特定の実施例のとおり、AV結節細胞は、顕著に高いレベルのIKrを発現する。理論に拘束されなければ、これらの増加したレベルは、活動ポテンシャルを生じる次の脱分極を遅延させ、それによりAV結節のペースメーキング速度を遅くさせることが予測される。よって、発明の別の側面によれば、AV結節細胞を修飾し、その結果、SA結節に類似して、低い量のIKrを発現するか、又は各チャネルの導電を遺伝子操作により低くさせる。IKrチャネルは、IKrを形成するように共に集合するサブユニットからなる。HERGによりコードされる孔形成□−サブユニット又はMiRP1によりコードされるチャネル変調サブユニットの一つ又はそれより多い変異が、チャネルの導電性を潜在的に低くすることができる。
【0032】
発明の別の態様によれば、導電系の細胞(例えば、AV結節)を以下の修飾1)T−タイプのCa2+チャネルを過剰発現すること、2)おかしな電流(I)を生じるチャネルを過剰発現すること、及び3)野生型カリウムチャネル電流を抑圧することの一つ又はそれより多くに供される。これらのチャネルの修飾は、好ましくは、AV結節の結果としての電気生理学がSA結節のそれに密接に似せる程度まで実施される。当該修飾は、同時か又は連続して実施することができる。
【0033】
図4A及び4Bは、電気生理的特性の修飾により得られた導電系内のAV結節のペーシング速度に対する遺伝子変化の効果を示す。図4Aに示されるとおり、野生型のAV結節においては、L−タイプのCa2+チャネルが脱分極を媒介する。しかしながら、図4Bに示されるとおり、おかしな電流のチャネル及びT−タイプのCa2+チャネルをコードするコーディング配列を含む一つ又はそれより多い遺伝子構築物の送達に関する本発明の方法を用いた遺伝子修飾後は、脱分極が、L−タイプCa2+及びT−タイプCa2+チャネルの両方により媒介され、そしてAV結節の発火速度はSA結節のレベルまで増加する。
【0034】
図5Aを参照すると、移植可能なペースメーカー50に発明のバイオペースメーカーを装具する。この態様において、移植可能なペースメーカー50は当業界でよく知られた方法と矛盾なく移植される。移植可能なペースメーカー50は、幾つかの目的にかなうように適合されるか又はプログラムされてよい。最初に、心臓疾患の始まりはしばしば突然であるため、患者は即座のペースメーカー処置を必要とする。よく知られるとおり、遺伝子又はポリヌクレオチドの効果は数日間は認識されないか又は有効ではないかもしれない。即ち、移植可能なペースメーカーは、チャネルの完全な発現又は抑圧が達成される前の、本発明の遺伝子処理後の数日はブリッジとして作用してよく、図5Bのフローチャートにおいて描写されるとおりである。
【0035】
図5Bを参照すると、移植可能なペースメーカー50とバイオペースメーカー52の間の作用ロジックの一つの側面を示す。コンピューターにより実行されるソフトウエアロジックシステム60は、ロジックステップ62を含み、遺伝子ベクターが心臓導電系の標的化領域に送達されて、ペースメーカーがロジックステップ62下で移植される。ロジックステップ64においては、バイオロジカルペースメーカーの成熟及び送達された遺伝子ベクターにおける治療の機会の数を断続的に監視しながら、ペースメーカーを使用して患者の心臓の心拍調整をする(pace)。決定ステップ66においては、目標とされたか又はプログラム可能な心拍数がバイオロジカルペースメーカーにより達せられたとき、移植可能な医学用装置をロジックステップ68下で監視様式にスイッチする。しかしながら、目標とされた心拍数がバイオロジカルペースメーカーにより達せられなかったときには、次に決定ステップ70下で、終了したか否かについて、バイオロジカルペースメーカーの成熟の時間をチェックする。時間が終了したなら、次に、ロジックステップ82下で移植可能なペースメーカーを主要ペースメーカーとするよう、ロジックが続く。他方、バイオロジカルペースメーカーの閾値時間が終了していなければ、システムは、バイオロジカルペースメーカーの成熟を断続的に監視しながら、ペーシングが当該装置により行われるロジックステップ64に逆戻りする。今、ロジックステップ66を参照すると、目標とされた心拍数がバイオロジカルペースメーカーにより達せられたなら、次に、ロジックステップ68の下で、移植可能なペースメーカーを、バイオロジカルペースメーカーの作用を監視するためのみにスイッチする。次に、ロジックステップ72の下で、適切な心拍数が保持されているか否かを観察するため、バイオロジカルペースメーカーをチェックする。適切なペーシング速度がバイオロジカルペースメーカーにより保持されていれば、移植可能なペースメーカーは監視様式にて維持されて、或いは、バイオロジカルペースメーカーが適切な速度を保持していなければ、継続の通院に患者を気づかせるように、患者の警戒態勢を誘発する。典型的には、装置の患者警報装置、又は他の均等な知覚可能手段により、警戒態勢を伝える。さらに、ロジックステップ78の下で、遺伝子ベクターの別の用量が医師の意見に基づいて投与されるべきか否かを観察するために、上記システムは確かめる(look)。そのような用量が確認されたら、ロジックステップ80の下で別の用量の遺伝子ベクターを投与し、そしてバイオロジカルペースメーカーの成熟を断続的に監視しながら上記装置を用いて心拍調整をするためにロジックステップ64に論理を逆戻りさせる。或いは、別の用量の遺伝子ベクターの投与が薦められないなら、システムをロジックステップ82に逆戻りさせて、移植可能なペースメーカーを主要なペーサーとして作用させるようにする。さらに、移植可能なペースメーカーが本発明のバイオペースメーカーのバックアップとして作用してよい。バイオペースメーカーが作動しなくなるか、機能しなくなるか、又はペーシング速度の遅延が感知されるような偶発事故においては、移植可能なペースメーカーを活性化することにより、ペーサー機能を引き継いでよい。特定すれば、移植可能なペースメーカーは、バイオペースメーカーが十分な刺激を生じないような偶発自己においてバイオペースメーカーの活性を補ってよい。最後に、ペースメーキング速度が十分に患者の活性に遅れずについて行かないなら、移植可能なペースメーカーが患者に彼/彼女の医師への訪問を警告する。上記装置から回収されたデータは、患者が別の用量の遺伝子ベクターを投与されるべきかそれとも遺伝子治療をやめて装置自体を主たるペーサーとして用いるべきかに関して評価して結論を下すために、医師により用いられ得る。補うため又はAV結節の遺伝子修飾と共に用いられるための移植可能なペースメーカーを用いる別の目的は、診断目的のための長期のデータの管理及び遺伝子ペースメーカーの長期間の性能を追跡して監視することを含む。
【0036】
修飾された細胞は、AV結節に送達して心筋細胞を遺伝子修飾することにより、細胞の固有のペーシング速度を増加させてもよい。修飾された細胞は、増加したペーシング速度を提供することができて且つ、幹細胞、例えば胚性又は骨髄性の幹細胞から分化した細胞であってよい。
【0037】
発明のバイオペースメーカー組成物の送達は、当業界のあらゆる方法に従い実施することができる。遺伝子構築物が遺伝子操作のために標的化された細胞の小さな部分(例えば、AV結節の細胞)に達することのみを必要とする。例えば、治療上有効な量のバイオペースメーカー組成物を、AV結節を特異的に潅流する動脈内に注入してよい。或いは、バイオペースメーカーは、R.J.Guzman et al.,Circ.Res.,73,1202−1207(1993)に記載されたとおりに、心筋へ直接注入してよい。送達ステップは、さらに、一つ又はそれより多い遺伝子構築物を含むバイオペースメーカーの送達の前又は間に少なくとも一つの透過剤を送達することを含む、日常の手法を用いて微小管透過性を増加させることを含んでよい。発明の方法により有用な潅流(perfusion)プロトコルは、哺乳類において心筋の少なくとも約10%に遺伝子構築物を送達するのに普通は十分である。約0.5から約500mlの注入量が有用である。固形の器官、例えば、心臓に対して非ウイルスベクター遺伝子構築物を標的化するための方法は開発されており、米国特許第6,376,471号に記載された方法のようなものであり、その教示は引用により本明細書に編入される。
【0038】
発明の治療方法は、有効な量の発明の遺伝子構築物の、導電系の細胞への送達により、これらの細胞の固有のペーシング速度を増加させて、正常に機能したときにSA結節細胞のペーシング速度に似せることを含む。送達又は投与は、注入、カテーテル及び当業界で知られている他の送達手段により達成してよい。心臓の標的エリアにおいて遺伝物質を送達するための送達系は、本出願の譲受人に譲渡されたPCT公開番号WO98/02150に記載されており、その教示は引用により本明細書に編入される。
【0039】
遺伝子構築物は、例えば、トランスフェクション又はトランスダクションの手法により、細胞へ送達することができる。トランスフェクション及びトランスダクションは、添加された核酸分子の取り込みにより新しい遺伝物質の細胞による獲得を意味する。トランスフェクションは、物理的又は化学的方法により起こり得る。あらゆるトランスフェクション技術が当業者には知られており、限定ではないが、リン酸カルシウムDNA共沈殿、DEAE−デキストリンDNAトランスフェクション、エレクトロポレーション、ネイキッドプラスミド吸着、及びカチオン性リポソーム−媒介性トランスフェクションを含む。トランスダクションは、DNA又はRNAウイルスを用いた、核酸の細胞への移動のプロセスを意味する。トランスデュース剤としての使用のための適当なウイルスベクターは、限定ではないが、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルスベクター、ワクシニアウイルス、セムリキ森林ウイルスベクターを含む。
【0040】
本発明のコンテクストにおいて、電気生理的アッセイ法により心臓の導電系の細胞の変調を検出するための方法は、心臓の活動ポテンシャルの特性、例えば、活動ポテンシャルの期間(APD)を決定するために使用されるあらゆる慣用の試験に関する。そのような試験を実施することに関連するそのような方法の例は、Josephason ME,Clinical Cardiac Electrophysiology:Techniques and Interpretations,Lea & Febiger.(1993),pp.22:70により開示されており、その教示は引用により本明細書に編入される。簡単に言えば、標準の電気生理的アッセイは、以下の工程を含む:哺乳類の心臓を用意し(インビボ又はエクスビボ)、遺伝子構築物又は修飾された細胞を含む発明のバイオペースメーカーを心臓に送達し、コードされるアミノ酸配列の発現を許容する条件下で遺伝子構築物及び/又は修飾された細胞を心臓に移動させ;そして遺伝子構築物及び/又は修飾された細胞が送達される心臓の細胞内で少なくとも一つの電気的特性の増加を検出することを含み、但し、少なくとも一つの特性が基底値に関する細胞のペーシング速度である。基底値は導電系内で選択された特定の標的領域に関して変動する。さらに、発明の遺伝子構築物の投与の前及び後に慣用の心電図(ECG)を実施し、そしてECGの結果を検査することにより、発明の方法を用いて得られた心臓の電気特性の変調を観察してよい。心臓の電気的興奮によるECGのパターンは、よく研究されている。心臓の筋肉を通した脱分極及び再分極の広がりに付随した心臓内の電気ポテンシャルの変化を測定するためにECGの記録を分析するための様々な方法が公知である。
【0041】
発明においては、特定のイオンチャネルの発現を増加させることができるか、又はイオンチャネルの発現又は機能の全部又は一部を抑圧することができるポリヌクレオチドを含む遺伝子構築物を作成してよい。えり抜きのイオンチャネルをコードするポリヌクレオチドを、伝統のPCRに基づく増幅技術及び公知のクローン化技術により作成することができる。或いは、発明のポリヌクレオチドを当業界公知の自動化手法により作成することができる。発明のポリヌクレオチドは、転写を開始させるための開始コドン及び翻訳を停止させるための停止コドンを含むべきである。
【0042】
発明において使用するための適当なポリヌクレオチドは、様々な公的な源から得ることができ、限定ではないが、GenBank(National Center for Biotechnology Information(NCBI))、EMBLデータライブラリー、SWISS−PROT(スイスのジュネーブ大学)、PIRインターナショナルデータベース;及びアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)(1081大学ブルバード、マナッサス、VA20110−2209)を含む。一般には、GenBankの記載に関して、Benson,D.A.et al.,Nucl.Acids.Res.,25:1(1997)を参照。本発明において有用な特定のポリヌクレオチドは、GenBankからの呼び出し公的情報により容易に得られる。
【0043】
あらゆるDNAベクター又は送達媒体を利用することにより、所望のヌクレオチドを、AV結節の細胞に送達することができる。例えば、α1HcDNA,HCN1 cDNA又は両方を、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)のようなウイルスベクターにクローン化してよい。或いは、他のウイルスベクター、例えば、ヘルペスベクター、及びレトロウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターを用いてよい。選択されるウイルスベクターの種類は、標的組織及び送達される配列の長さに依存する。ウイルスベクターの考察に関しては、Gene Transfer and Expression Protocols,Murray ed.,pp.109−206(1991)を参照。例えば、リポソーム:DNA複合体、プラスミド:リポソーム複合体、ネイキッドDNA、DNAコートされた粒子、又はポリマーに基づく系を用いることにより、所望の配列を細胞に送達してよい。上記の送達系及びプロトコルは、よって、Gene Targeting Protocols,Kmeic 2ed.pp.1−35(2002)及びGene Targeting Protocols,Vol.7,Murray ed.pp.81−89(1991)に見いだすことができる。
【0044】
AAVベクターは、当業界でよく知られた技術を用いて構築することができる。典型的には、ベクターを構築することにより、調節要素の作動可能なように結合した成分を提供する。例えば、典型的なベクターは、転写開始領域、発現される蛋白質のヌクレオチド配列、及び転写終結領域を含む。典型的には、そのような作動可能に結合された構築物に、必要なウイルスcis要素であるAAV ITR配列を有するその5’及び3’の領域を周囲に加える。調節配列は、ウイルス由来のプロモーター、例えば、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、及びシミアンウイルス40からしばしば提供され得る。ウイルスの制御配列は、様々な細胞において高いレベルの発現を達成するように選択することができる。或いは、偏在する発現プロモーター、例えば、初期サイトメガロウイルスプロモーターを利用することにより、あらゆる細胞種において発現を達成することができる。第3の別法は、組織特異的発現を推進するプロモーターの使用である。このアプローチは、非標的組織内の所望の蛋白質の発現が有害な効果を有するかもしれない場合に、特に有用である。即ち、別の好ましい態様によれば、上記ベクターは、心臓特異的プロモーターとして機能する遠位ヒト脳ナトリウム尿排泄亢進脳(hBNP)プロモーターを含む。そのようなベクターの構築に関する詳細に関しては、LaPointe et al.,”Left Ventricular Targeting of Recepter Gene Expression In Vivo by Human BNP Promoter in an Adenoviral Vector,”Am.J.Physiol.Heart Circ.Physiol.,283:H1439−45(2002)を参照。
【0045】
ベクターは、心臓の導電系の標的化された領域内のトランス遺伝子の発現を増加させるために、心臓エンハンサーを含んでもよい。そのようなエンハンサー要素は、公開された米国特許出願20020022259内に開示されたCsx/Nkx2.5制御領域由来の心臓特異的エンハンサー要素を含んでよく、その教示は引用により本明細書に編入される。
【0046】
AAVベクターを適当な宿主、例えば酵母、細菌、又は哺乳類細胞に、当業界でよく知られた方法を用いて導入することにより、えり抜きの配列を運ぶAAVウイルス粒子を生産することができる。
【0047】
即ち、本発明の実施においては、T−タイプのCa2+チャネルのα1Hサブユニット又はおかしな電流のチャネルのHCNサブユニットのコーディング配列を含む構築物を生産することができる。両サブユニットの導入を要求する態様を実施する場合、上記配列を、同時に化合物構築物に送達することができるか、又は二つの別々の構築物を用いて同時送達してよい。後者は、異なるプロモーターの選択又は異ならせた用量の投与により、互いにチャネルの異なる発現を可能にさせる。
【0048】
多数の異なる構築物を生じさせてよい。例えば、単一のチャネルの発現を必要とする態様に関する構築物は、特定のチャネルに関するcDNAをクローニングプラスミドにクローン化することにより生成することができる。単一のチャネルに関するコーディング配列を含む構築物を単一遺伝子構築物と呼ぶ。さらに、単一遺伝子構築物を用いることにより、チャネルの発現を評価する(titrate)ことができる。例えば、あらゆる特定の導入されたチャネルの発現のレベルを、プロモーターを異ならせるか又は異なる用量を投与して単一遺伝子構築物を生じさせることにより別の導入されたチャネルの発現レベルに比較して、増加させるか又は低下させることができる。
【0049】
目標とされた遺伝子抑圧は多数の技術により達成することができる。一般には、転写レベル又は翻訳レベルにおいてIKrの発現を干渉するポリヌクレオチドを、AV結節に投与してよい。例えば、IKrチャネルの優性阻害形態をコードするポリヌクレオチドは、おとりとして機能してよく、又は三重鎖の形成により立体的に転写をブロックしてよい。或いは、アンチセンスアプローチを用いてよい。
【0050】
Krの優性阻害形態をコードするポリヌクレオチドを、本明細書において既に記載された技術によりAV結節の細胞に投与してよい。優性阻害は、野生型蛋白質の集合または機能を干渉することにより特定の蛋白質のレベルを低下させるように作用する。好ましくは、優性阻害が標的化された細胞に特異的であることにより、他の蛋白質の機能が変更されない。
【0051】
優性阻害遺伝子の抑圧は、当該遺伝子内に変異を導入して当該遺伝子を野生型蛋白質を発現する細胞において発現させることにより達成される。当該変異は、部位特異的変異導入により導入してよい。IKrの有効な優性阻害変異は、チャネルの導電性が減じられるように、孔領域に向けられた変異を含んでよい。或いは、変異は、チャネル細胞表面への輸送を阻害して、それにより細胞膜において機能性チャネルの数及び有効なチャネル(マクロ)導電性を低下させるように導入することができる。追加の優性の変異は、疎水性膜貫通領域内の親水生アミノ酸の導入を含む。そのような変更は、チャネルの細胞膜への有効な集合を妨害する。蛋白質の誤ったフォールディングをもたらす他の変異を利用してもよい。
【0052】
本発明における使用のための特定の構築物は、LQT2 A516V変異を伴うIKr構築物である。この変異は、変異体サブユニットが野生型サブユニットと集合する場合、初期に、優性阻害効果を有することが示された。Kagan et al.,”The Dominant Negative LQT2 Mutation A516V Reduces Wildtype HERG Expression,”J.Biol.Chem.,275:11241−11248(2000)を参照。即ち、変異された形態を含むベクターを、既に記載された技術によりAV結節の細胞に導入してよい。
【0053】
この発明の方法による心臓導電系の細胞中のIKrの抑圧は、チャネルのサブユニットの少なくとも一つに関する転写因子のためのおとりとして作用するオリゴヌクレオチドの投与により達成することもできる。おとりは、天然の制御配列と競合することにより遺伝子の発現を抑圧するように機能する。当該オリゴヌクレオチドは、当業界でよく知られた技術によりAV結節の細胞に投与してよい。当該オリゴヌクレオチドは、チャネルのサブユニットの少なくとも一つをコードする遺伝子を制御する転写因子に特異的であるべきである。
【0054】
発明は、IKr発現を抑圧するための三重鎖技術を用いて実施してもよい。即ち、単鎖オリゴヌクレオチドを心臓導電系の標的化領域の細胞(AV結節)に導入してよい。標的化された遺伝子の抑圧は、標的の二重鎖DNA及び上記オリゴヌクレオチドから構成される三重鎖構造の形成による転写の阻害により達成される。有力な三重鎖部位は、15塩基対のストレッチにわたる最低80%のプリンを有する標的化遺伝子配列を検索するコンピューターソフトウエアを用いて同定してよい。当該オリゴヌクレオチドは、細胞中に存在する3’エキソヌクレアーゼに対する防御のために3’プロパノールアミンを伴って合成してよい。三重鎖技術の考察に関しては、Vasquez et al.,Triplex−directed site−directed genome modification.Gene Targeting protocols,Kmiec 2ed.pp.183−200(2000)を参照。
【0055】
発明によれば、IKr発現は、アンチセンス技術を用いて抑圧してもよい。アンチセンス治療は、アンチセンス配列の、mRNAに結合して翻訳をブロックする能力に基づく。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、非標的遺伝子発現の破壊を避けるために、標的遺伝子に関して高い特異性を有さなければならない。より好ましくは、IKrサブユニット遺伝子に対して向けられたアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドを用いる。人工のアンチセンスオリゴデオキシリボヌクレオチドが好ましいが、何故ならば、容易に合成することができ、リポソームを用いて心臓導電系細胞の細胞質に容易に輸送され、そしてヌクレアーゼ活性に耐性だからである。
【0056】
如何なる心臓細胞種のペーシング速度も、細胞により発現されるチャネルの組成物並びに隣接する細胞により及ぼされる電気緊張作用の産物である。例えば、心房がAV結節の電気緊張作用を及ぼし、それによりそのペーシング速度を阻害することを、証拠が示す。即ち、有効になるためには、提案された遺伝子修飾が、野生型のチャネルの発現並びに隣接する細胞により及ぼされる影響を参酌せねばならない。
【0057】
本発明の上記の側面によれば、AV結節が導電系の目標とされる領域である場合、AV結節の上部領域の除去を、遺伝的な処理と移植可能なペースメーカーの移植と共に実施してよい。除去は3つの目的:1)心房がAV結節に対して電気緊張作用を及ぼすと信じられるため、バイオペースメーカーの効率を増強すること;2)良性ではあるが患者に顕著な痛みを引き起こし得る接続部の鼓動を予防すること3)心房細動を患う患者においてAV結節から心房を切り離すこと、にかなう。
【0058】
本発明のまた別の側面によれば、本明細書に記載された遺伝子修飾は、幹細胞に実施してよい。遺伝子修飾された幹細胞は、次に、ペースメーキング活性を誘発するように心臓導電系の細胞に投与することができる。例えば、幹細胞由来の心臓の心筋細胞を、本明細書に記載された遺伝学手法を用いて処理し、そしてカテーテルによるか又はAV結節組織への直接の注入により、導電系(例えば、AV結節)の領域へ移植してよい。
【0059】
発明は、以下の非限定実施例を参照してさらに記載される。当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく実施例に記載された態様において多数の変更がなされ得ることが明らかである。即ち、本発明の範囲は、この出願に記載された態様に限定されるべきでなく、特許請求の範囲により記載された態様及びそれらの態様の均等物のみによる。
実施例1:遺伝子修飾されたAV結節の増加した固有のペースメーキング速度
rAAVクローニングプラスミドの構築
構築物生成
発明のバイオペースメーカー組成物において有用な遺伝子構築物は、Schnepp and Clark Gene Therapy Protocol,Morgan 2ed.pp.490−510(2002)に記載された技術を用いて生成することができる。T−タイプのCa2+チャネルはクローン化されたα1Hサブユニットから構成され、そしてその位置はヒト染色体16p13.3にマップされる(Cribbs et al.,”Cloning and Characerization α1H From Human Heart,a Member of the T−type Calcium Channel Gene Family,”Cir.Res.,83:103−109(1988))。配列は、GenBank受入番号AF051946にて寄託されている。おかしな電流のチャネルをコードすることにおいてHCN4が担う役割は、例えば、”Molecular Characterization of the Hyperpolarization−activated Cation Channel in Rabbit Heart Sinoatrial Node,”J.Biol.Chem.,274:12835−12839(1999)中に記載される。ヒトHCN4配列は、GenBank受入番号NM005477にて寄託されている。
【0060】
T−タイプCa2+チャネルのα1Hサブユニット及びHCN4のcDNAを、rAAV生産型プラスミドpTP−D6deltaNotにクローン化する。図6に示されるこの三部からなるプラスミドは、AAVのrep及びcap遺伝子、SV40プロモーター並びにチミジンキナーゼポリアデニレーションシグナルを周囲に有するネオマイシン耐性遺伝子、及びAAVインバーテッドターミナルリピート(ITRs)を周囲に有する遺伝子発現カセットを含み、そしてCMVプロモーター、SV40ラージT抗原イントロン、及びポリアデニレーションシグナル、二つの唯一のNotI制限部位を周囲に有するベータガラクトシダーゼ遺伝子を含む。えり抜きのチャネルのcDNAがベータガラクトシダーゼ遺伝子を置き換えるが、NotI制限酵素を用いて当該遺伝子を切り出し、そして卵子遺伝子に関するcDNA内にクローン化することによる。結果の生産型プラスミドを用いることにより、rAAV粒子を生産する。或いは、別のプロモーターを置き換えて他の構築物を生成することができる。例えば、別のプロモーターを含むrAAV生産型プラスミドを利用してよい。
【0061】
T−タイプCa2+チャネルのα1Hサブユニット及びHCN4のコーディング配列を含む生産型プラスミドは、DH5−アルファのエシェリヒアコリの形質転換及びネオマイシ耐性によりスクリーンされたコロニーを生産することにより増幅する。次に、生産型プラスミドを耐性コロニーから単離し、そして野生型アデノウイルス5(E1欠失した)と共に適当な宿主細胞、例えば、HeLAへ同時トランスフェクトする(rAAV粒子を生産するためのHeLA細胞の使用に関する考察は、Clark et al.,”Cell Lines for the Production of Recombinant Adeno−Associated Virus,”Human.Gene Ther.6:1329−1341(1995)を参照)。ベクターを含む宿主細胞は、硫酸アンモニウム、次に二重セシウムバンド形成を用いて精製する。ウイルス粒子を含むバンドを塩化セシウム調製物から単離し、そしてTrisバッファー中へ透析する。
【0062】
AV結節細胞は、HERGの優性阻害LQTR A516Vを用いて速いカリウムチャネルの発現を抑圧することにより修飾する。優性阻害配列は、あらゆる公知の方法、例えば、Altered Sites(登録商標)IISystems(プロメガ、マジソン WI)において利用可能な部位特異的変異導入を用いて、A516V置換を含む合成オリゴヌクレオチドを合成することにより製造する。このオリゴヌクレオチドは、ハイブリッド遺伝子配列を含むプラスミドを製造するためのプライマーとして使用される。変異原遺伝子の増幅のために、当該プラスミドでエシェリヒアコリを形質転換する。
インビボベクター投与
約3X1010から3X1014プラーク形成ユニット(PFU)のウイルス濃度範囲の塩溶液をAV結節の動脈へ直接潅流することにより、成体のモルモットを感染させる。そのような送達法は、ベクターがAV結節の細胞に到達することを保証する。T−タイプCa2+チャネル及びおかしな電流のチャネルの発現を許容する4時間後に、AV結節を一時的に除去するために低音除去(cryoablation)カテーテルを用いて心房とAV結節の間の連絡を一時的に抑圧して、ECG法を用いて心室を監視することにより、修飾されたAV結節活性を確認する。
【0063】
本明細書に引用された全ての特許及び刊行物は、それらの全体を引用により本明細書に編入する。上記の好ましい態様の特定の上記の構造、機能及び操作は、本発明を実施するために必要ではなく、例示の態様の相補のための単なる記載に含まれることが理解される。さらに、上記の引用特許において記載された特定の構造、機能及び操作は本発明との関連において実施できるが、それらがその実施に必須でないことは、理解される。よって、特許請求の範囲内で、発明は、本発明の精神及び範囲から実際に逸脱することなく、特別に記載されたもの以外を実施してよいことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、ヒトの心臓の図である。
【図2】図2は、図1と類似のヒトの右サイドの模式図であり、ガイディングカテーテルを発明の遺伝子構築物の送達のために置かれている。
【図3】図3A及び3Bは、発明の態様が如何にして作動するかを模式的に例示する。
【図4】図4A及び4Bは、この発明による遺伝子修飾の前と後のAV結節細胞(バイオペースメーカーの一つの位置)の活動ポテンシャル(AP)の特性を示す。
【図5A】図5Aは導電系におけるAV結節の細胞を形質転換することに基づく発明のバイオペースメーカーと協同して働く小さな移植可能なバックアップペースメーカーの使用を例示する。
【図5B】図5Bは、発明の作動理論を描写する理論フロー図である。
【図6】図6は、三部からなるrAAV生産性プラスミド、pTP−D6deltaNotの図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心筋の導電系の中の一つ又はそれより多い分子をコードする少なくとも2つのコーディング配列を含むバイオペースメーカー組成物であって、当該コーディング配列は、おかしな電流を生じるチャネル又はそのサブユニットをコードするコーディング配列、T−タイプのCa2+チャネル又はそのサブユニットをコードするコーディング配列、及び野生型のカリウムチャネルの発現を抑圧する一つ又はそれより多い分子をコードするコーディング配列から本質的になる群から選択される、バイオペースメーカー組成物。
【請求項2】
コーディング配列が心房心室(atrioventricular)結節細胞内の分子をコードする、請求項1記載のバイオペースメーカー組成物。
【請求項3】
固有のペーシング速度が正常に機能する心臓内の洞房結節細胞の固有のペーシング速度に似たレベルに増加された、請求項2記載のバイオペースメーカー組成物。
【請求項4】
一つのコーディング配列がおかしな電流を生じるチャネル又はそのサブユニットをコードする、請求項1記載のバイオペースメーカー組成物。
【請求項5】
コーディング配列がHCNアイソフォームをコードする、請求項1記載のバイオペースメーカー組成物。
【請求項6】
コーディング配列がHCN1,HCN2,HCN3及びHCN4から本質的になる群から選択されるHCNアイソフォームをコードする、請求項4記載のバイオペースメーカー組成物。
【請求項7】
コーディング配列がHCN2又はHCN4をコードする、請求項6記載のバイオペースメーカー組成物。
【請求項8】
一つのコーディング配列がT−タイプのCa2+チャネル又はそのサブユニットをコードする、請求項1記載のバイオペースメーカー組成物。
【請求項9】
コーディング配列がT−タイプのカルシウムチャネルのα1Hサブユニットをコードする、請求項8記載のバイオペースメーカー組成物。
【請求項10】
一つのコーディング配列が速いカリウム電流を生じさせる野生型のナトリウムチャネルの発現を抑圧する分子又は分子類をコードする、請求項1記載のバイオペースメーカー組成物。
【請求項11】
コーディング配列が野生型の速いカリウムチャネルの優性阻害形態をコードする、請求項10記載のバイオペースメーカー組成物。
【請求項12】
コーディング配列がおとりのポリヌクレオチドをコードする、請求項10記載のバイオペースメーカー組成物。
【請求項13】
コーディング配列が野生型のカリウムチャネルの発現を抑圧するアンチセンスポリヌクレオチドをコードする、請求項10記載のバイオペースメーカー組成物。
【請求項14】
心臓の導電系の心筋細胞中の、おかしな電流を生じるチャネル又はそのサブユニット、T−タイプのCa2+チャネル又はそのサブユニット又は野生型のカリウムチャネルの発現を抑圧する一つ又はそれより多い分子をコードするコーディング配列
を含むバイオペースメーカー組成物。
【請求項15】
移植可能なペースメーカー及びバイオペースメーカー組成物を含むキットであって、バイオペースメーカー組成物が心筋の導電系中の一つ又はそれより多い分子をコードする少なくとも二つのコーディング配列を含み、コーディング配列が、おかしな電流を生じるチャネル又はそのサブユニットをコードするコーディング配列、T−タイプのCa2+チャネル又はそのサブユニットをコードするコーディング配列、及び野生型のカリウムチャネルの発現を抑圧する一つ又はそれより多い分子をコードするコーディング配列から本質的になる群から選択され、そして移植可能なペースメーカーが、細胞の固有のペーシング速度が予め決定されたレベルよりも低いなら心臓の心拍を調製する手段を含む、キット。
【請求項16】
導電系細胞が心房心室(atrioventricular)結節細胞である、請求項15記載のキット。
【請求項17】
AV結節に対して起こり得る電気緊張作用を有する心房の心筋細胞からAV結節を単離するために、心房心室結節の上部領域を除去するための装置をさらに含む、請求項16記載のキット。
【請求項18】
細胞の固有のペーシング速度を洞房結節のペーシング速度に似たペーシング速度に増加させるように、心臓の導電系の心筋細胞を遺伝学的に形質転換することにより、心臓のペーシング機能不全を治療するか又は予防するための方法。
【請求項19】
細胞が心房心室結節細胞である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
おかしな電流を生じるチャネル又はそのサブユニットをコードするコーディング配列、T−タイプのCa2+チャネル又はそのサブユニットをコードするコーディング配列、及び野生型のカリウムチャネルの発現を抑圧する一つ又はそれより多い分子をコードするコーディング配列を同時又は連続して細胞に送達することにより細胞を遺伝子修飾する、請求項18記載の方法。
【請求項21】
コーディング配列がHCNアイソフォームをコードする、請求項20記載の方法。
【請求項22】
コーディング配列がHCN2又はHCN4をコードする、請求項21記載の方法。
【請求項23】
コーディング配列がT−タイプのカルシウムチャネルのα1Hサブユニットをコードする、請求項22記載の方法。
【請求項24】
AV結節に対して電気緊張作用を有するかもしれない心筋細胞を除去し、そしてそのペーシング速度を抑圧するために、心房心室結節の上部領域を除去することをさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項25】
コーディング配列の送達の前又は同時に心臓内に移植可能なペースメーカーを移植することにより、心臓のペーシング速度が予め決定された閾値を下回るときに、遺伝子修飾された細胞による心臓のペーシングが移植可能なペースメーカーにより補完されるか又は置換されることを含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
心筋の導電系内の一つ又はそれより多い分子をコードする少なくとも二つのコーディング配列を含むバイオペースメーカー組成物を、心臓の導電系の心筋細胞に送達するための方法により作成されたバイオペースメーカーであって、コーディング配列が、おかしな電流を生じるチャネル又はそのサブユニットをコードするコーディング配列、T−タイプのCa2+チャネル又はそのサブユニットをコードするコーディング配列、及び野生型のカリウムチャネルの発現を抑圧する一つ又はそれより多い分子をコードするコーディング配列から本質的になる群から選択される、バイオペースメーカー。
【請求項27】
バイオペースメーカーと共に移植可能なペースメーカーを含む系であって、心臓の導電系の心筋細胞にバイオペースメーカー組成物を送達するための方法により作成され、バイオペースメーカー組成物は心筋の導電系内の一つ又はそれより多い分子をコードする少なくとも二つのコーディング配列を含み、コーディング配列が、おかしな電流を生じるチャネル又はそのサブユニットをコードするコーディング配列、T−タイプのCa2+チャネル又はそのサブユニットをコードするコーディング配列、及び野生型のカリウムチャネルの発現を抑圧する一つ又はそれより多い分子をコードするコーディング配列から本質的になる群から選択され、そして移植可能なペースメーカーが、細胞の固有のペーシング速度が予め決定されたレベルよりも低いなら心臓の心拍を調製する手段を含む、系。
【請求項28】
移植可能なペースメーカー及びバイオペースメーカーの一つが活動し、そして他方がスタンバイ中であるか又は活動していない、請求項27記載の系。
【請求項29】
移植可能なペースメーカーが、バイオペースメーカーの性能を監視し、そして、バイオペースメーカーが作動しないときに、ペーシング機能を引き継ぐ、請求項27記載の系。
【請求項30】
移植可能なペースメーカーが、バイオペースメーカーの性能を連続して監視し、そして、復帰のための情報及びデータを保存する、請求項29記載の系。
【請求項31】
装置患者警告を用いて医師により継続した通院をするように、移植可能なペースメーカーが患者に警告する、請求項29記載の系。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−526012(P2006−526012A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509931(P2006−509931)
【出願日】平成16年4月9日(2004.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/011232
【国際公開番号】WO2004/096290
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(591007804)メドトロニック・インコーポレーテッド (243)
【Fターム(参考)】