説明

心臓治療装置

【課題】迷走神経刺激後の心拍数応答に基づいて、心拍数の許容変動範囲の上限値を制御する。
【解決手段】迷走神経刺激する際の閾値となる心拍閾値を設定しておき、心拍計測手段によって心拍数を計測し、その出力が心拍閾値を超えた場合に、迷走神経を刺激する。この際、迷走神経を刺激するための心拍閾値を固定するのではなく、患者の状態に応じて可変できるように、心拍計測手段と心拍閾値設定手段と神経刺激手段に接続する制御手段が、迷走神経刺激後の心拍計測手段の出力に基づいて迷走神経を刺激するかどうかを決める心拍閾値を調節できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、迷走神経刺激によって致死的不整脈の予防及び治療を行う心臓治療装置に関し、特に、迷走神経刺激後の心拍数を安定化させることが可能な心臓治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
突然死の中で特に心臓病に起因するものを心臓突然死といい、その数は国内で年間約5万人にのぼる。心臓突然死の直接的な原因は、致死的不整脈と呼ばれる、血行動態の破綻をきたす心室頻拍や、心室細動の発生である。
【0003】
心室頻拍は、心室が発作的に異常に速く拍動した状態であり、心室細動は、心室を構成する個々の筋繊維がばらばらに興奮を始めて、心室全体としては小刻みに震えているだけの状態である。このような心室頻拍や心室細動が発生すると、心臓のポンプ機能が低下あるいは消失して、必要な血液を全身に送り出すことができなくなる。その結果、脳血流の減少に伴う意識消失をきたし、直ちに適切な処置を施さなければ死に至ることもある。
【0004】
ところで、心臓活動は、自律神経系の支配を受けるが、自律神経系には交感神経系と副交感神経系があり、心臓の副交感神経系は迷走神経である。交感神経の活動が高まる(緊張する)と心活動(心拍数及び心拍出量)が増加し、迷走神経の活動が高まると心活動(心拍数)は低下する。この交感神経と迷走神経の活動は通常拮抗しているが、疾病などによってそのバランスが崩れると、心筋の刺激伝導系における自動能の亢進や不応期の短縮によって不整脈が起こりやすくなる。特に、心筋梗塞や心筋症などの器質的心疾患患者では、迷走神経の活動が著しく低下するとともに、交感神経の活動が亢進しており、心臓の器質的病変と、この迷走神経活動の低下及び交感神経活動の亢進があいまって致死的不整脈発生の可能性が非常に高くなる。
【0005】
このような致死的不整脈に対して、迷走神経の電気的刺激がその発生に対して予防的に作用することが知られている。迷走神経の電気的刺激は、低下した迷走神経活動を補うとともに、交感神経の緊張を拮抗的に抑制する。また、迷走神経の電気的刺激に伴う心拍数の低下(心拍間隔の増大)は、心筋の酸素消費量を減少させ、心筋障害部位での酸欠状態を予防あるいは改善して、心筋虚血や心筋梗塞、及びこれに伴う致死的不整脈の発生を防止することが知られている。また、迷走神経の電気的刺激の制御による心拍数の安定化は、心臓の不応期分布を均一として致死的不整脈を起こりにくくすると考えられている。
【0006】
本発明者は、この作用を利用して、迷走神経の電気的刺激を行うことにより、致死的不整脈の発生を防止する心臓治療装置を提案した(例えば、特許文献1を参照。)。
この提案は、心拍数の許容変動範囲を定め、心拍数がこの許容変動範囲を超過した場合に迷走神経の刺激を行い、心拍数がこの許容変動範囲を下回った場合には心臓の刺激を行うことによって心拍数の安定化を図ろうとするものである。
【特許文献1】特開2004−173790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、この特許文献1に記載のものは、心拍数が許容変動範囲を超過すると、迷走神経の電気的刺激を行って心拍数を低下させ、心拍数を許容変動範囲内へ戻そうとする。しかし、交感神経活動の亢進が持続する場合には、迷走神経刺激によって一旦は心拍数が許容変動範囲内に収まるものの、迷走神経に対する電気的刺激の効果が減弱してくると、心拍数は許容変動範囲外へ超過してしまう。このため、再び迷走神経刺激を行うといった制御を繰り返すことになり、その結果、心拍数は比較的高い心拍数値である許容変動範囲の上限値を挟んで変動することになる。
この心拍数の変動は、患者に対して違和感や不快感を与えるものだけにとどまらず、更には心臓興奮の不応期を不安定として不整脈を起こしやすくするという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、迷走神経刺激後の心拍応答に基づいて、心拍数の許容変動範囲の上限値あるいは心拍間隔の許容変動範囲の下限値を制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、請求項1に記載の心臓治療装置は、心拍を計測する心拍計測手段と、第1の心拍閾値を設定する第1心拍閾値設定手段と、心拍計測手段が計測した心拍に基づく心臓の拍動が、第1心拍閾値が規定する心臓の拍動より速い場合に、迷走神経を刺激する神経刺激信号を発生する神経刺激手段と、心拍計測手段と第1心拍閾値設定手段と神経刺激手段に接続する制御手段とを備えており、この制御手段が、迷走神経の刺激後の心拍計測手段の出力に基づいて第1心拍閾値を調節することを特徴とする心臓治療装置である。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成要件に、更に、第1心拍閾値が規定する心臓の拍動より遅い心臓の拍動を規定する、第2の心拍閾値を設定する第2心拍閾値設定手段を備え、心拍計測手段が計測した心臓の拍動が、第2心拍閾値が規定する心臓の拍動より遅い場合に、心臓を刺激する心臓刺激パルスを発生する心臓刺激手段を備えたものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、更に、第1心拍閾値が規定する心臓の拍動の速さと第2心拍閾値が規定する心臓の拍動の速さの間にある心臓の拍動の速さを規定する、心拍基準値を設定する心拍基準値設定手段を備え、この心拍基準値と迷走神経の刺激後の心拍計測手段の出力とを比較することにより第1心拍閾値を調節することを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、所定期間内の総イベント数における、心拍基準値が規定する心臓の拍動より速いイベント数と、心拍基準値が規定する心臓の拍動より遅いイベント数を比較することにより、第1の心拍閾値の調節を行うものであり、請求項5に記載の発明は、上記比較を所定期間内のイベントに対して行うことを特徴としている。
【0013】
更に、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、所定期間内の、心拍基準値が規定する心臓の拍動より速いイベント数と、心拍基準値が規定する心臓の拍動より遅いイベント数の割合に基づいて第1心拍閾値を調節することを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、心拍基準値が規定する心臓の拍動より速いイベント数に対する、心拍基準値が規定する心臓の拍動より遅いイベント数の割合が、所定値を上回った場合に、第1心拍閾値が規定する心臓の拍動の速さを速くする方向に第1心拍閾値を変更制御することを特徴とし、また、請求項7に記載の発明は、同じく請求項5に記載の発明において、心拍基準値が規定する心臓の拍動より速いイベント数に対する、心拍基準値が規定する心臓の拍動より遅いイベント数の割合が、所定値を下回った場合に、第1心拍閾値が規定する心臓の拍動の速さを遅くする方向に第1心拍閾値を変更制御することを特徴としている。
【0015】
また、請求項8に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、所定期間内の総イベント数に対する、心拍基準値が規定する心臓の拍動より速いイベント数の割合が、所定値を上回った場合に、第1心拍閾値が規定する心臓の拍動の速さを遅くする方向に第1心拍閾値を変更制御するものであり、請求項11に記載の発明は、同じく請求項5に記載の発明において、所定期間内の総イベント数に対する、心拍基準値が規定する心臓の拍動より遅いイベント数の割合が、所定値を上回った場合に、第1心拍閾値が規定する心臓の拍動の速さを速くする方向に変更制御するものである。
【0016】
また、請求項10に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、所定期間内の総イベント数に対する、心拍基準値が規定する心臓の拍動より速いイベント数の割合が、所定値を下回った場合に、第1心拍閾値が規定する心臓の拍動の速さを速くする方向に第1心拍閾値を変更制御することを特徴とし、請求項11に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、所定期間内の総イベント数に対する、心拍基準値が規定する心臓の拍動より遅いイベント数の割合が、所定値を下回った場合に、第1心拍閾値が規定する心臓の拍動の速さを遅くする方向に第1心拍閾値を変更制御することを特徴としている。
【0017】
また、請求項12に記載の発明は、請求項6から請求項11のいずれかに記載の発明において、更に、所定値が第1心拍閾値に基づいて設定されることを限定したものであり、請求項13に記載の発明は、請求項3から請求項12のいずれかに記載の発明において、心拍基準値が規定する心臓の拍動の速さが、第1心拍閾値が規定する心臓の拍動の速さよりも予め定めた速さ分だけ遅いことを限定し、請求項14に記載の発明は、心拍基準値が規定する心臓の拍動の速さが、第1心拍閾値が規定する心臓の拍動の速さの所定の割合であることを限定的に示したものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の心臓治療装置によれば、迷走神経刺激後の心拍応答に基づいて、心拍数の許容変動の範囲の上限値(第1心拍閾値)あるいは心拍間隔の許容変動の範囲の下限値(第2心拍閾値)を制御することができるので、交換神経活動の亢進が持続している場合でも、患者に特別な違和感や不快感を与えることなく、迷走神経の刺激によって安定的に心拍数を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明による心臓治療装置の実施の形態の例について、図面を参照にして詳細に説明する。ここで、「心拍」とは「心拍数」または「心拍間隔」のいずれかを示すものであるが、本例では「心拍計測」は「心拍数計測」、「心拍閾値」は「心拍数閾値」、「心拍基準値」は「心拍数基準値」として以下、説明する。「心拍数」の代わりに「心拍間隔」を指標として同様な装置設計が可能であることはいうまでもない。なお、心拍数とは1分間当たりの拍動の数であり、心拍間隔とは連続する2回の拍動間の時間(秒)のことであるため、両者は反比例の関係にあり、例えば「心拍数が大きい」という記載は「心拍間隔が小さい」のように置き換えて理解することができる。
図1は、本発明による実施の形態の心臓治療装置の例を示すブロック図である。
本例の心臓治療装置1は、その基本的な構成要素として、心房の収縮を検出する心房収縮検出部2と、心房に心房刺激パルスを供給する心房刺激部3と、心室の収縮を検出する心室収縮検出部6と、心室に心室刺激パルスを供給する心室刺激部7を備える。心房収縮検出部2と心房刺激部3は共通の心房電極リード4を介して、心臓10の右心房11に配置される心房刺激/検出電極5に接続されている。また、心室収縮検出部6と心室刺激部7は、共通の心室電極リード8を介して、心臓10の右心室12内に配置された心室刺激/検出電極9に接続されている。
また、本例においては、迷走神経13を刺激するための神経刺激パルスを発生する神経刺激部14が設けられており、この神経刺激部14は神経電極リード15を介して迷走神経13に巻きつけられた神経刺激電極16に接続されている。
【0020】
一般に、心房電極リード4と心室電極リード8は、いずれも最初は大静脈を通って心臓10の右心房11に導かれる。そして、大静脈から右心房11に挿入された心房電極リード4は、J字状に曲げられた先端部を右心房11の壁から出っ張った袋状の右心耳内に引っ掛けるように挿入し、心房刺激/検出電極5が右心耳内壁に接触するように配置される。
また、大静脈から右心房11に挿入された心室電極リード8は、更に、右心房11と右心室12の間に位置する弁である三尖弁を通って右心室12に挿入され、先端部にある心室刺激/検出電極9は右心室12の下部に配置される。
【0021】
神経刺激電極16は上述したように通常は迷走神経13に巻きつけるようにして配置される。神経刺激電極16を巻きつける領域としては、頚部領域、詳しくは右外頚動脈中央に伴走する迷走神経部位が好適である。また、神経刺激電極16は、血管内から血管壁に隣接した迷走神経13を刺激するように配置することも可能である。配置領域としては、鎖骨下静脈内が好適である。
【0022】
本例の心臓治療装置1は、上記基本的な構成のほかに、心房刺激部3、心室刺激部7及び神経刺激部14を制御するための一連の制御手段を備えている。すなわち、心房収縮検出部2は、心房刺激インターバルタイマ17のリセット/スタート端子に接続されるとともに、心拍計測部20とOR回路21に接続されている。そして、心房刺激インターバルタイマ17と心房刺激インターバル設定値記憶部18が心房刺激インターバル比較部19に接続され、心房刺激インターバル比較部19の出力が心房刺激部3に供給されるとともに、心房刺激インターバルタイマ17のリセット/スタート端子にフィードバックされている。また、心房刺激インターバル比較部19の出力側端子は、OR回路21と心拍計測部20に接続されている。
【0023】
心室収縮検出部6は、房室遅延タイマ(AVDタイマ)22のストップ端子に接続され、AVDタイマ22のスタート端子にはOR回路21の出力が接続されている。そして、AVDタイマ22とAVD設定値記憶部23は、AVD比較部24に接続されており、このAVD比較部24の出力が心室刺激部7に供給されるように接続されている。
【0024】
心拍計測部20は、第1心拍閾値比較部25と心拍基準値比較部26に接続されており、第1心拍閾値比較部25には、心拍計測部20の出力と第1心拍閾値設定部27の出力が供給されている。第1心拍閾値比較部25の出力は、ゲート回路35を開閉するための制御入力として供給されており、心房収縮検出部2の出力を神経刺激部14に供給するか否かを制御している。
【0025】
また、心拍基準値比較部26には、心拍計測部20のほかに、心拍基準値設定部28が接続され、この心拍基準値比較部26の出力は第1心拍閾値制御部32に供給されている。第1心拍閾値制御部32には、心拍監視時間比較部31の出力が供給されている。この心拍監視時間比較部31には、心拍監視時間設定値記憶部29と心拍監視時間タイマ30の出力が供給されている。また、心拍監視時間タイマ30のリセット/スタート端子にはゲート回路35の出力が供給され、ストップ端子には心拍監視時間比較部31の出力が供給されている。
【0026】
次に、以上のように構成された本例の心臓治療装置1の動作について説明する。まず、心房収縮検出部2の心房収縮の検出により、心房刺激インターバルタイマ17がスタートする。心房刺激インターバル設定値記憶部18には、許容できる最大の心房収縮間隔(最低心拍数)、例えば1000ms(60回/分)が記憶されており、心房刺激インターバルタイマ17の計時が心房刺激インターバル設定値記憶部18に記憶されている設定値に達する前に心房収縮を検出すると、心房刺激インターバルタイマ17は再び計時をリセットしてスタートする。一方、心房刺激インターバルタイマ17の計時が、心房刺激インターバル設定値記憶部18に記憶されている設定値に達しても心房収縮が検出されない場合には、心房刺激インターバル比較部19から出力が発せられ、心房刺激部3、心房電極リード4、及び心房刺激電極5を介して右心房11が刺激されて、最大心房収縮間隔(最低心拍数)が確保される。同時に、心房刺激インターバル比較部19の出力は、心房刺激インターバルタイマ17のリセット/スタート端子に供給され、心房刺激インターバルタイマ17はその計時をリセットして再びスタートする。
【0027】
心房収縮の検出(心房収縮検出部2出力)や心房刺激(心房刺激インターバル比較部19出力)はOR回路21によって、AVDタイマ22をスタートさせる。また、心室収縮の検出(心室収縮検出部6出力)は、AVDタイマ22をストップさせる。自発的あるいは刺激によって心房が収縮すると、その興奮は心房と心室を連絡する房室伝導路を通って心室に伝わり、心室の収縮が起こる。心房の収縮から心室が収縮するまでの時間は、通常、120ms程度である。AVD設定値記憶部23には、この120msよりも若干大きい値、例えば150msが記憶されており、AVDタイマ22の出力がAVD設定値記憶部23に記憶された設定値を超えても心室収縮が検出されない場合は、AVD比較部24から出力が発せられ、心室刺激部7、心室電極リード8、及び心室刺激電極9を介して右心室12が刺激されて、心室収縮が確保される。
【0028】
また、心房収縮検出及び心房刺激(これを併せて「心房イベント」という。)の信号は、心拍計測部20に供給され、ここに供給される心房イベント信号の間隔の逆数から心拍数が計測される。心拍数(回/分)をHR、心房イベント信号間隔(秒)をAAIとすると、心拍数は次式により求められる。
(数1) HR=60/AAI
この心拍計測部20で計測された心拍数が、第1心拍閾値比較部25において、第1心拍閾値設定部27に設定されている心拍数の上限値と比較される。この第1心拍閾値設定部27に設定されている第1心拍閾値は、第1心拍閾値制御部32の出力によって変更可能に制御されるものである。
【0029】
心拍計測部20で計測した心拍数が第1心拍閾値設定部27で設定されている心拍数を超えると、第1心拍閾値比較部25より出力が発せられ、この出力がゲート回路35を開く。これによって心房収縮検出部2の出力が開かれたゲート回路35を経由して神経刺激部14に供給され、迷走神経13に対する刺激が行われる。このゲート回路35から神経刺激部14への信号は、心拍監視時間タイマ30のリセット/スタート端子にも供給されており、心拍監視時間タイマ30の計時を開始させる。なお、心拍監視時間タイマ30が計時中は、リセット/スタート端子への信号は受け付けられない。
【0030】
次に、第1心拍閾値設定部27に設定されている第1心拍閾値の変更制御、及び心拍基準値設定部28に設定される心拍基準値の変更制御について、図2に示す第1心拍閾値制御部32の詳細ブロック図に基づいて説明する。
図2に示すように、第1心拍閾値制御部32は、Hカウンタ36と、Lカウンタ37と、Hカウンタ36またはLカウンタ37のいずれかを選択するカウンタ選択部35と、演算部38と、制御上限値記憶部33に記憶されている第1心拍閾値の変更可能な上限値と制御下限値記憶部34に記憶されている第1心拍閾値の変更可能な下限値が供給される制限部39、及び制限部39に接続される心拍基準値演算部40から、構成されている。
このように構成された第1心拍閾値制御部32は、心拍監視時間比較部31からの信号が供給されているときだけ、すなわち、心拍監視時間タイマ30が計時を開始してから、その計時時間が心拍監視時間設定値記憶部29に記憶されている設定値を超えるまでの所定期間の間だけ作動状態となり、心拍監視時間タイマ30が計時を停止しているときは非作動状態に制御されるように構成される。
【0031】
次に、この第1心拍閾値制御部32の動作について説明する。第1心拍閾値制御部32のカウンタ選択部35には、図1に示す心拍基準値比較部26からの信号が供給されている。この信号は、心拍計測部20の心拍計測出力(計測心拍数)が心拍基準値設定部28に設定されている心拍基準値(基準心拍数)より大きい場合と、小さい場合とで異なる電圧値の出力となっており、この心拍基準値比較部26からの信号に基づいて、カウンタ選択部35は、Hカウンタ36またはLカウンタ37のいずれかを選択する。すなわち、心拍計測部20の心拍計測出力が心拍基準値設定部28に設定された心拍基準値より大きいときは、Hカウンタ36を選択してこれをインクリメントし、心拍計測出力が心拍基準値より小さいときはLカウンタ37を選択してこれをインクリメントする。
【0032】
このHカウンタ36の出力(カウント値:X)とLカウンタ37の出力(カウント値:Y)は、演算部38に供給される。演算部38においては、心拍監視時間、例えば1分間の間に、Hカウント値XをHカウンタとLカウンタの値の和で割った値、X/(X+Y)の値を演算して、所定値との比較を行う。そして、この値X/(X+Y)が所定値TH、例えば、0.5より大きいときは、制限部39を経由して第1心拍閾値設定部27に信号を送り、第1心拍閾値を予め定めた固定心拍数分だけ減少させる方向で設定値の変更を行う。また、この値X/(X+Y)が所定値TL、例えば、0.2より小さい場合は、第1心拍閾値を予め定めた固定心拍数分だけ増加する方向で、同じく制限部39を介して第1心拍閾値設定部27の設定値を変更制御する。ここで、制限部39には、制御上限値記憶部33と制御下限値記憶部34からの上限値と下限値が供給されており、演算部38における演算結果が上限値を超えた場合は、上限値をもって第1心拍閾値とし、下限値より小さくなった場合には下限値をもって第1心拍閾値とするように制限される。なお、比較を行う所定値のTHとTLは一組だけではなく、予め、第1心拍閾値の値に対応付けられた複数のTHとTLのテーブルを用意しておき、その時の第1心拍閾値の値に応じてそのテーブルからTHとTLを選択することも可能である。
【0033】
また、制限部39の出力は心拍基準値演算部40に供給されており、この心拍基準値演算部40において、制限部39からの第1心拍閾値に対して予め定めた固定心拍数分だけ低い心拍基準値に設定したり、あるいは上記第1心拍閾値に対して、予め定めた所定割合だけ低い心拍基準値に設定したりして、その結果を心拍基準値設定部28に送るようにしている。
【0034】
以上、本発明の心臓治療装置の実施形態例の構成と動作を説明したが、以下では本例の動作を図3〜図5に示すフローチャートに基づいて更に詳細に説明する。
まず、第1心拍閾値を初期化する(ステップS1)。すなわち、これ以上の心拍数になったときに迷走神経を刺激するための閾値を決定する。この第1心拍閾値の初期化においては、図2の制御上限値記憶部33に記憶された値が第1心拍閾値として採用され、図1の第1心拍閾値設定部27に格納される。
次に、この初期化した第1心拍閾値に基づいて心拍基準値を設定する(ステップS2)。この心拍基準値は、図1の心拍基準値設定部28に格納される。
【0035】
続いて、心拍監視時間タイマ30をストップするとともに、第1心拍閾値制御フラグをFALSEにする(ステップS3)。この第1心拍閾値制御フラグは心拍監視時間タイマ30の稼働状態をあらわしており、心拍監視時間タイマ30が計時を行っている間は第1心拍閾値制御フラグはTRUEに、心拍監視時間タイマ30が計時をストップしている間は第1心拍閾値制御フラグはFALSEになる。したがって、第1心拍閾値制御フラグがFALSEである間は、第1心拍閾値制御部32は非作動状態となって、第1心拍閾値及び心拍基準値の変更制御は行われない。
【0036】
次に、第1心拍閾値制御部32内に設けられているHカウンタ36とLカウンタ37を初期化する(ステップS4)。つまり、それぞれのカウンタを“0”にリセットする。そして、心房刺激インターバルタイマ17をリセットしカウントをスタートさせる(ステップS5)。続いて、第1心拍閾値制御フラグがTRUEになっているか否かを判断する(ステップS6)。言うまでもなく、ステップS3で第1心拍閾値制御フラグをFALSEとしたので、最初は判断ステップS6で“NO”と判断される。
【0037】
判断ステップS6で第1心拍閾値制御フラグがTRUEでない、つまりFALSEであると判断されると、続いて、心房収縮検出部2で心房の収縮が検出されたか否かが判断される(ステップS7)。ここで心房収縮が検出されると、心拍計測を行い(ステップS8)、判断ステップS7において、心房収縮が検出されないと判断されると、心房刺激インターバルタイマ17がタイムアウトしているか否かが判断される(ステップS9)。
【0038】
ステップS8の心拍計測で心拍数が計測されると、次に、この計測された心拍数が第1心拍閾値を超えたか否かが判断される(ステップS10)。この判断は第1心拍閾値比較部25において行われ、もし、心拍計測値(心拍数)が第1心拍閾値設定部27に設定されている第1心拍閾値を超えている場合には、神経刺激部14を介して迷走神経13の刺激が行われる(ステップS11)。この迷走神経13の刺激が行われると、第1心拍閾値制御フラグがFALSEからTRUEに変わり(ステップS12)、同時に心拍監視時間タイマ30をリセットしてカウントをスタートさせる(ステップS13)。
【0039】
判断ステップS9において、心房刺激インターバルタイマ17がタイムアウトしたと判断された場合、すなわち、心房刺激インターバルタイマ17の計時時間が心房刺激インターバル設定値記憶部18に記憶された設定値を超えた場合は、心房刺激がなされ(ステップS15)、心房刺激インターバルタイマ17の計時時間が心房刺激インターバル設定値記憶部18に記憶された設定値を超えずにタイムアウトしていない場合は、判断ステップS7に戻り、次の心房収縮の検出を待つ。ステップS15で心房刺激がなされた場合、または、判断ステップS10で心拍計測値が第1心拍閾値より大きくないと判定された場合には、心房刺激インターバルタイマ17をリセットし、カウントをスタートする(ステップS14)。続いて、房室遅延(AVD)タイマ22をスタートさせた後(ステップS16)、心室収縮が検出されたかどうかを判断する(ステップS17)。判断ステップS17において、心室の収縮が検出されなかったときには、AVDタイマ22がタイムアウトしたかどうかが判断される(ステップS18)。これは、AVDタイマ22のカウント値がAVD設定値記憶部23に記憶されている設定値、例えば150msを超えたかどうかをAVD比較部24が判断することにより行われる。
【0040】
判断ステップS18で、AVDタイマ22がタイムアウトしていないと判断されたとき、すなわち、AVDタイマ22の計時時間がAVD設定値記憶部23に記憶されている設定値を超えていないときは、判断ステップS17に戻り、次の心室収縮の検出を待つが、AVDタイマ22の計時時間がAVD設定値記憶部23に記憶されている設定値を超えてAVDタイマ22がタイムアウトした場合には、心室刺激が行われ(ステップS19)、判断ステップS6に戻る。
【0041】
判断ステップS6で、第1心拍閾値制御フラグがTRUEであると判断された場合(A)は、図4のフローチャートに進み、心房収縮の検出を待つ(ステップS20)。ステップS20で心房の収縮が検出されると、続いて心拍計測が開始される(ステップS21)。判断ステップS20において、心房収縮が検出されないと判断されると、心房刺激インターバルタイマ17がタイムアウトしているか否かが判断される(ステップS22)。
【0042】
ステップS21の心拍計測で心拍数の計測が開始されると、次に、この計測された心拍数が第1心拍閾値を超えたか否かが判断される(ステップS23)。この判断は第1心拍閾値比較部25において行われるが、もし、心拍計測値(心拍数)が第1心拍閾値設定部27に設定されている第1心拍閾値を超えている場合には、神経刺激部14を介して迷走神経13の刺激が行われる(ステップS24)。
【0043】
ステップS24で迷走神経13の刺激が行われた場合、あるいは判断ステップS23で心拍計測値が第1心拍閾値以下であると判断された場合は、続いて心拍計測値が心拍基準値設定部28に設定された心拍基準値より大きいか否かが判断される(ステップS25)。そして、心拍計測値が心拍基準値より大きい場合は、第1心拍閾値制御部32内に設けられたHカウンタ36を1だけ増加(インクリメント)させ、心拍計測値が心拍基準値以下の場合には、同じく第1心拍閾値制御部32内に設けられたLカウンタ37を1だけ増加(インクリメント)させる。
【0044】
判断ステップS22において、心房刺激インターバルタイマ17がタイムアウトしたと判断された場合は、心房刺激がなされ(ステップS28)、タイムアウトしていない場合(B)は、図5に示すフローチャートの判断ステップS34に進む。ステップS28で心房刺激がなされた場合には、これによって心房刺激インターバルタイマ17がリセットされる(ステップS29)。
同様に、Hカウンタ36またはLカウンタ37がインクリメントした後も、心房刺激インターバルタイマ17をリセットさせ、カウントを開始させるとともに、AVDタイマ22のカウントをスタートさせる。(ステップS30)。
【0045】
AVDタイマ22のカウントがスタートすると、続いて心室収縮が検出されたかどうかを判断する(ステップS31)。判断ステップS31において、心室の収縮が検出されなかったときには、AVDタイマ22がタイムアウトしたかどうかが判断され(ステップS32)、ここでAVDタイマ22がタイムアウトしたと判定されると、心室刺激部7を通して心室刺激が行われる(ステップS33)。判断ステップS31で心室収縮が検出された場合、あるいはステップS33で心室刺激が行われた場合には、判断ステップS20に戻り、次の心房収縮の検出を待つ。
【0046】
次に、判断ステップS22において、心房刺激インターバルタイマ17がタイムアウトしていないと判断された後の処理(B)について、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0047】
まず、心房刺激インターバルタイマ17がタイムアウトしていないと判断された場合は、続いて心拍監視時間タイマ30がタイムアウトしたか否かが判断される(ステップS34)。この判断は、心拍監視時間比較部31において、心拍監視時間タイマ30の計時時間が心拍監視時間設定値記憶部29に予め記憶させた設定値と比較されることによってなされる。心拍監視時間タイマ30がタイムアウトしていない場合(A)、すなわち、心拍監視時間タイマ30の計時時間が心拍監視時間設定値記憶部29に記憶された設定値を超えていない場合は、既に説明した図4に示す処理が行われる。
【0048】
判断ステップS34において、心拍監視時間タイマ30がタイムアウトしたと判断された場合、すなわち、心拍監視時間タイマ30の計時時間が心拍監視時間設定値記憶部29に記憶された設定値を超えた場合は、第1心拍閾値制御部32内のHカウンタ36及びLカウンタ37の値に基づいて、新たな第1心拍閾値を算出する(ステップS35)。そして、Hカウンタ36とLカウンタ37を初期化、つまり“0”にリセットする(ステップS36)。
【0049】
次に、第1心拍閾値制御部32において、ステップS35で算出した第1心拍閾値(算出値)が制御下限値記憶部34に記憶されている値よりも小さいかどうかが判断される(ステップS37)。そして算出した第1心拍閾値(算出値)が制御下限値より小さいと判断された場合は、制御下限値記憶部34に記憶されている値を算出値として用いる(ステップS38)。
【0050】
判断ステップS37において、ステップS35で算出した第1心拍閾値(算出値)が制御下限値記憶部34に記憶されている値よりも大きいか等しいと判断された場合は、続いて、この算出値が制御上限値記憶部33に記憶されている値以上であるかどうかが判断される(ステップS39)。そして、この算出値が上記制御上限値より小さい場合には、この算出値を新たな第1心拍閾値として設定する(ステップS40)。また、ステップS38で制御下限値を新たな算出値とした場合も、この算出値を新たな第1心拍閾値とする(ステップS40)。この新たに設定された第1心拍閾値は第1心拍閾値設定部27に送られ、その設定値が書き換えられる。
【0051】
次に、このように設定された第1心拍閾値に基づいて、心拍基準値を設定する(ステップS41)。具体的には、第1心拍閾値に対して、予め定めた所定の固定心拍数を引いた値とするか、あるいは予め定めた固定割合だけ低い値を心拍基準値に設定するようにする。そして、このようにして設定された新たな心拍基準値は、第1心拍閾値制御部32から心拍基準値設定部28に送られ、心拍基準値設定部28に設定されている心拍基準値を書き換える。この書き換えのタイミングで心拍数監視時間タイマ30がリセットされ、カウントを再スタートする(ステップS42)。
【0052】
また、判断ステップS39において、ステップS35で算出した第1心拍閾値(算出値)が制御上限値記憶部33に記憶されている値以上であると判断された場合は、新たに設定する第1心拍閾値として、制御上限値記憶部33に記憶されている値を設定する(ステップS43)。
そして、このように設定した第1心拍閾値に基づいて、心拍基準値を設定する(ステップS44)。最後に、第1心拍閾値制御フラグをFALSEにして(ステップS45)、図3のフローチャートの(C)に戻り、新たな心房収縮の検出を待つ。
【0053】
このように、本発明によれば、迷走神経を刺激するかどうかを判断する上限の心拍数(または下限の心拍間隔)を、迷走神経刺激後の患者の心拍数(心拍間隔)の状況に応じてリアルタイムに適宜変更制御することが可能となり、心拍数が高値で変動あるいは維持されたり、断続的な迷走神経刺激が継続されることを避け、より生理的な心臓活動を実現することができる。
【0054】
以上、本発明の心臓治療装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲を逸脱しない限りにおいて、種々の変更した実施形態にも適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の、実施の形態の心臓治療装置の構成例を示したブロック図である。
【図2】本発明の、実施の形態の心臓治療装置における第1心拍閾値制御部の詳細を示したブロック図である。
【図3】本発明の、実施の形態の心臓治療装置の動作を説明するための部分フロー図である。
【図4】本発明の、実施の形態の心臓治療装置の動作を説明するための部分フロー図である。
【図5】本発明の、実施の形態の心臓治療装置の動作を説明するための部分フロー図である。
【符号の説明】
【0056】
1・・・心臓治療装置、2・・・心房収縮検出部、3・・・心房刺激部、6・・・心室収縮検出部、7・・・心室刺激部、13・・・迷走神経、14・・・神経刺激部、17・・・心房刺激インターバルタイマ、19・・・心房刺激インターバル比較部、20・・・心拍計測部、22・・・房室遅延(AVD)タイマ、24・・・AVD比較部、25・・・第1心拍閾値比較部、26・・・心拍基準値比較部、27・・・第1心拍閾値設定部、28・・・心拍基準値設定部、30・・・心拍監視時間タイマ、31・・・心拍監視時間比較部、32・・・第1心拍閾値制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心拍を計測する心拍計測手段と、
第1の心拍閾値を設定する第1心拍閾値設定手段と、
前記心拍計測手段が計測した心拍に基づく心臓の拍動が、前記第1心拍閾値が規定する心臓の拍動より速い場合に、迷走神経を刺激する神経刺激信号を発生する神経刺激手段と、
前記心拍計測手段と前記第1心拍閾値設定手段と前記神経刺激手段に接続する制御手段とを備え、
前記制御手段が、前記迷走神経の刺激後の前記心拍計測手段の出力に基づいて前記第1心拍閾値を調節することを特徴とする心臓治療装置。
【請求項2】
前記第1心拍閾値が規定する心臓の拍動より遅い心臓の拍動を規定する、第2の心拍閾値を設定する第2心拍閾値設定手段を備え、前記心拍計測手段が計測した心臓の拍動が、前記第2心拍閾値が規定する心臓の拍動より遅い場合に、心臓を刺激する心臓刺激パルスを発生する心臓刺激手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の心臓治療装置。
【請求項3】
前記第1心拍閾値が規定する心臓の拍動の速さと前記第2心拍閾値が規定する心臓の拍動の速さの間にある心臓の拍動の速さを規定する、心拍基準値を設定する心拍基準値設定手段を備え、前記第1心拍閾値の調節が、前記迷走神経の刺激後の前記心拍計測手段の出力と前記心拍基準値の比較に基づいて行われることを特徴とする請求項1または2に記載の心臓治療装置。
【請求項4】
前記第1心拍閾値の調節が、所定期間内の総イベント数における、前記心拍基準値が規定する心臓の拍動より速いイベント数と、前記心拍基準値が規定する心臓の拍動より遅いイベント数の比較に基づいて行われることを特徴とする請求項3に記載の心臓治療装置。
【請求項5】
前記第1心拍閾値の調節が、前記所定期間内の、前記心拍基準値が規定する心臓の拍動より速いイベント数と、前記心拍基準値が規定する心臓の拍動より遅いイベント数の割合に基づいて行われることを特徴とする請求項4に記載の心臓治療装置。
【請求項6】
前記心拍基準値が規定する心臓の拍動より速いイベント数に対する、前記心拍基準値が規定する心臓の拍動より遅いイベント数の割合が、所定値を上回った場合に、前記第1心拍閾値が規定する心臓の拍動の速さを速くする方向に前記第1心拍閾値を変更制御することを特徴とする請求項5に記載の心臓治療装置。
【請求項7】
前記心拍基準値が規定する心臓の拍動より速いイベント数に対する、前記心拍基準値が規定する心臓の拍動より遅いイベント数の割合が、所定値を下回った場合に、前記第1心拍閾値が規定する心臓の拍動の速さを遅くする方向に前記第1心拍閾値を変更制御することを特徴とする請求項5に記載の心臓治療装置。
【請求項8】
前記所定期間内の総イベント数に対する、前記心拍基準値が規定する心臓の拍動より速いイベント数の割合が、所定値を上回った場合に、前記第1心拍閾値が規定する心臓の拍動の速さを遅くする方向に前記第1心拍閾値を変更制御することを特徴とする請求項5に記載の心臓治療装置。
【請求項9】
前記所定期間内の総イベント数に対する、前記心拍基準値が規定する心臓の拍動より遅いイベント数の割合が、所定値を上回った場合に、前記第1心拍閾値が規定する心臓の拍動の速さを速くする方向に前記第1心拍閾値を変更制御することを特徴とする請求項5に記載の心臓治療装置。
【請求項10】
前記所定期間内の総イベント数に対する、前記心拍基準値が規定する心臓の拍動より速いイベント数の割合が、所定値を下回った場合に、前記第1心拍閾値が規定する心臓の拍動の速さを速くする方向に前記第1心拍閾値を変更制御することを特徴とする請求項5に記載の心臓治療装置。
【請求項11】
前記所定期間内の総イベント数に対する、前記心拍基準値が規定する心臓の拍動より遅いイベント数の割合が、所定値を下回った場合に、前記第1心拍閾値が規定する心臓の拍動の速さを遅くする方向に前記第1心拍閾値を変更制御することを特徴とする請求項5に記載の心臓治療装置。
【請求項12】
前記所定値が前記第1心拍閾値に基づいて設定されることを特徴とする請求項6〜11のいずれかに記載の心臓治療装置。
【請求項13】
前記心拍基準値が規定する心臓の拍動の速さが、前記第1心拍閾値が規定する心臓の拍動の速さよりも予め定めた速さ分だけ遅いことを特徴とする請求項3〜12に記載の心臓治療装置。
【請求項14】
前記心拍基準値が規定する心臓の拍動の速さが、前記第1心拍閾値が規定する心臓の拍動の速さの所定の割合であることを特徴とする請求項3〜12に記載の心臓治療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−158520(P2006−158520A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−351636(P2004−351636)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】