心臓Mモード像の自動分析
【課題】すべての層を同時に整列させて当該アラインメントから運動曲線を抽出することによってMモード画像を組織層と運動曲線とに分離することに基づいて、Mモード画像の自動分析を提供する。
【解決手段】組織層と運動曲線とからなる像を使用して類似のMモードを検索する機能およびその類似性測度を提供する。
【解決手段】組織層と運動曲線とからなる像を使用して類似のMモードを検索する機能およびその類似性測度を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、画像分析分野に関する。より特定的には、本発明は、心臓Mモード像の自動分析に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、心エコー検査は、心臓疾患の診断に最も使用される器具となっている。標準的な二次元モードは、走査断面に横断する心臓の平面的な薄片を表す。映像に複数の二次元フレームを取り込むことによって、心臓の運動および機能を観察することができる。構造および運動両方の連続的な像を提供し、計測を行い、血液および組織ドプラを使用して機能性を検証するという機能は、これまで発展してきており、より精度の高いものとなってきている。それでもなお、これらのテスト結果は、超音波技師の技能に大きく依存しており、特に、センサと、取り込まれた画像に対して手動で位置決めされたキャリパ、ルーラ、およびマーカとを手動で正確に位置決めできるかに依存している。超音波画像は、一般的に画質が低い。超音波による撮像に限界があるため、画像は解像度が低く、境界が非常に不明瞭であり、ノイズおよび影が多い。非特許文献1に規定されているように、画像を読み取るには、特殊な訓練と十分な経験が必要である。例えば、超音波技師の最低推奨訓練には6ヶ月かかり、少なくとも150回の検査の履行と、さらに300回の検査の読み取りを行う。
【0003】
必要な計測の多くは、Mモードで行われる。これは、心臓を通る超音波装置の一走査線に沿った組織運動を時空間表示するものである。このような計測には、心室の容量、駆出率、組織圧、壁運動、弁開閉時期などの推定が含まれる。非特許文献2によれば、典型的な心エコー検査には、視点の異なる数回の二次元およびMモードによる取り込みが含まれ、約15分から20分かかる。
【0004】
心臓のMモードを取り込んで使用する直接的な手法を図1および図2に示す。まず、二次元モード(図1参照)を使用して心腔を突き止め、心腔を通る断面が見えるようにセンサを再度位置決めして、壁に垂直な方向に心腔を通るようにカーソル(矢印で示す)を位置決めする。その後、走査モードと表示モードとをMモードに切り替える(図2)。このモードにおいて、縦軸は、z軸、すなわち、二次元モードにおけるカーソル線に沿ったセンサからの深さに対応する。横軸は、時間に対応する。本例において、およそ2回の心臓拍動サイクルが示されている。超音波技師は、数回の心臓拍動サイクルを記録してから、その像を静止させる。その後、超音波技師は、キャリパ(2本の垂直な点線202,204)を設置して、(テーブル206から)測定値を取る。本例において、超音波技師は、2つのキャリパを、1つは拡張末期に、2つ目は収縮末期に設置する。これらのキャリパは、左腔の短軸径を計測する。キャリパによる計測結果は、その後、テーブル206において表示される。この処理は、患者の心エコー検査中に全て行われる。
【0005】
よって、直接Mモード画像は、センサの焦点を原点とした放射状方向のカーソル線に沿ってのみ撮影することができる。超音波技師は、心臓に依存する向きでセンサ装置を正確に位置決めしなければならず、骨を避けかつ干渉および不要な反射を減少させながら良好な二次元断面画像を得るためにセンサを最適に位置決めすることと相反することがしばしば生じる。
【0006】
パノラマMモード(アナトミックMモードとしても知られる)は、1つ以上の合成Mモード画像を二次元(または三次元)モード画像のシーケンスから作成するものであって、所望の(複数の)走査線に沿って当該画像をサンプリングして、新たなMモード画像におけるカラムとして積み重ねることによって行う処理である。直接Mモードと比較すると、パノラマMモードは、センサの位置によって制限されるのではなく、二次元画像上でどの方向および位置においても生成されるという利点がある。しかしながら、パノラマMモードでは、時間分解能または走査周波数が低くなる。パノラマMモードは、左心室壁運動、壁厚などを測定して虚血を診断するのに非常に有用と考えられてきた(例えば、非特許文献3参照)。近年、フィリップス(商標)がアナトミックMモードをエンバイザ(EnVisor)(商標)超音波システムに導入しており、「アナトミカルMモードは、異常な形または異常な位置の心臓においても、Mモード線を組織に対して垂直に保つのを容易にし、心腔、心壁、および駆出率を正確に測定することができる」としている。
【0007】
Mモードは、何十年にも渡って行われてきており、パノラマMモードは医療機器に導入され始めたばかりであるものの、コンピュータ・ビジョン手法を使用したMモード画像の自動分析はほとんど発展がなかった。非特許文献4では、コンピュータ・ディスプレイとタブレットを使用して、ユーザがキャリパやマーク・トレースを配置したり、測定を行ったり、画像上のユーザのマークに対応するグラフを作成することができる。しかしながら、特許文献4は、コンピュータ・ビジョン手法を適用していない。非特許文献5では、スネークを使用して、パノラマMモードにおける単一のドプラ・ブロブの発生を追跡する。しかしながら、特許文献4は、対象となる単一のカラー・ブロブを含むドプラ画像を扱うのみであり、通常のMモード画像は、数多くの組織層を示しており、分析するのが遥かに複雑である。
【0008】
特許文献1は、二次元の心エコー図のシーケンスからアナトミックMモード画像を生成するための方法を提供する。そして、これらの画像は、医師によって使用されて、診断の助けとなり得る。しかしながら、特許文献1は、Mモード画像を解剖学的に分析するための手段を提供していない。
【0009】
特許文献2は、心エコー図の画像を表示し、キャリパに基づく測定など、様々な測定を行い、医師が測定結果を選択して報告書を作成することができるようにするための一般的な枠組みを提供する。特許文献2は、マウスのクリックを取得してそれに応答するなどのユーザ・インターフェイス・ワークフローを開示しているが、画像を分析して測定値を自動的に抽出するための方法をなんら提供していない。
【0010】
特許文献3は、心エコー図による検査の全映像を分析し、診査に沿って様々なモードや像を区分および認識し、オーバーレイ心電図グラフを分析し、R波を検出し、映像を心臓の個々の拍動サイクルに区分するための方法およびシステムを提供する。しかしながら、特許文献3は、二次元像の分析のみを行うものであり、Mモード画像を扱うものではない。
【0011】
特許文献4は、標準的な画像処理手法を使用して心尖部四腔像の単一フレームを分析するための方法を提供する。しかしながら、特許文献4は、Mモード画像を扱うものではない。単一の二次元像が心臓の単一のスナップショットを取り込むだけであり、なんら経時情報を含むものではなく、したがって、駆出率を計算したり、運動または時間に基づく測定を行うことができない。
【0012】
特許文献5は、センターライン法を使用して心室機能の分析をいかに行うかを教示しており、二次元像内の心腔の長軸を手動でマーキングしてから、収縮期および拡張期の心腔画像間で異なる部分を手動でマーキングする。その後、マーキングした線および部位から、心腔の容量および駆出率を推定することができる。特許文献5記載の処理は、多くの労力がかかる処理である。また、特許文献5は、心エコー図を分析するための画像処理または他の自動的な手法をなんら提供していない。
【0013】
従来の技術には、特許文献6の教示にあるような、スペックルを減少させるなどの心エコー図の画像を改善するものがある。特許文献6において、このような方法は、本出願人の発明によって開示されるアルゴリズムを適用する前に画質を高めるための前処理として適用されてもよい。しかしながら、従来の技術には、画像コンテンツをどのように分析するかを教示するものはない。また、既存の研究には、自動的にインデックス化を行ったり類似症例を見つけるために心エコー図のMモード画像を考慮するものはない。さらに、既存の研究には、2つのMモード画像を比較する手段を提供するものはない。よって、適切な像を規定してそれを効率的に構築し、医学的に有意な計測値を自動的に抽出することができる方法および、インデックス化を可能にして類似症例を検索できることで多様な医学的判断のサポートを支援する類似性測度が必要である。上述の引例の明確なメリット、特徴、利点がどのようなものであろうとも、いずれも本発明の目的を達成または実現するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,515,856号
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0034538号
【特許文献3】米国特許第6,514,207号
【特許文献4】米国特許第6,708,055号
【特許文献5】米国特許第4,936,311号
【特許文献6】米国特許第6,755,787号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】ACC/AHA Clinical Competence Statement on Echocardiography, 2002
【非特許文献2】ACC/AHA/ASE 2003 Guideline Update for the Clinical Application of Echocardiography
【非特許文献3】Lee et al.,“Using Synthetic M−mode Imaging to Measure Temporal Differences in Left Ventricular Contraction Patterns during Ischemia”
【非特許文献4】Griffiths et al.,“Computer assisted M−mode echocardiogram analysis”
【非特許文献5】Maplica et al.,“A snake model for anatomic M−mode tracking in echocardiography, Image and Signal Processing and Analysis”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
すべての層を同時に整列させて当該アラインメントから運動曲線を抽出することによってMモード画像を組織層と運動曲線とに分離することに基づいて、Mモード画像の自動分析を提供する。また、組織層と運動曲線とからなる像を使用して類似のMモードを検索する機能およびその類似性測度を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、解剖学的部位の少なくとも一部を示す1つ以上のMモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データを受信するステップと、複数のサンプル時間に関連したデジタル・ピクセル・データ内の複数のカラムを選択するステップと、対応する組織層が合致するように複数のカラムを整列させることによってアラインメント・マップを生成するステップと、アラインメント・マップを使用して1つ以上の運動曲線を構築するステップであって、運動曲線は、Mモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データ内の運動パターンを表し、運動パターンは、アラインメント・マップにおいて識別された組織層から分離される、ステップと、1つ以上の運動曲線を出力するステップとを含む方法を提供する。
【0018】
また、本発明は、Mモード画像を比較するための方法であって、複数のMモード画像を受信するステップと、各画像について、組織層像および運動曲線像のうちの少なくとも1つを計算するステップと、少なくとも2つの画像の前記運動曲線または前記組織層あるいはその両方を比較するステップと、少なくとも2つの画像対間の類似値を決定するステップと、類似値を出力するステップとを含む方法を提供する。
【0019】
また、本発明は、コンピュータ・ベースの方法を実施するコンピュータ可読プログラム・コードを記憶するコンピュータ使用可能な媒体を有する製品であって、媒体は、解剖学的部位の少なくとも一部分を示す1つ以上のMモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データを受信することを支援するコンピュータ可読プログラム・コードと、デジタル・ピクセル・データ内の複数のカラムを選択するコンピュータ可読プログラム・コードと、対応する組織層が合致するように複数のカラムを整列させることによってアラインメント・マップを生成するコンピュータ可読プログラム・コードと、アラインメント・マップを使用して1つ以上の運動曲線を構築するコンピュータ可読プログラム・コードであって、運動曲線は、Mモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データにおける運動パターンを表し、運動パターンは、アラインメント・マップ内で識別される組織層から分離される、コンピュータ可読プログラム・コードと、1つ以上の運動曲線を出力するコンピュータ可読プログラム・コードとを備える製品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】心臓のMモードを取り込んで使用する直接的な手法を示す。
【図2】心臓のMモードを取り込んで使用する直接的な手法を示す。
【図3】複数の二次元フレームからのパノラマMモードの生成を示す。
【図4】心エコー映像フレームからのエコー領域の抽出を示す。
【図5】様々なピクセル・カラムに沿ったピクセルの中央値の階調レベルのグラフを示す。
【図6】可視ピクセルの個々のカラムを生じさせるMモードの小部分を示す。
【図7】心室壁の処理出力を重ね合わせたMモードROI領域の一例を示す。
【図8】2つのピクセル・カラム間の時間伸縮の一例を示す。
【図9】M元画像を示す。
【図10】時間軸に沿った組織層のアラインメントと運動(垂直要素)の除去とを行った後のMモード画像の一例を示す。
【図11】2つの心周期にほぼ対応する画像の一部分が本方法によって処理された、パノラマMモード画像を示す。
【図12】心臓Mモード画像を分析比較するための本発明の方法を実施するために使用されたコンピュータに基づくシステムの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を好適な実施形態で図示および説明するが、本発明は、数多くの様々な構成で作成されてもよい。図には、以下に詳細に説明する本発明の好適な一実施形態が示されており、本開示が本発明およびその構成に関連する機能仕様の一例とみなされるという理解であって、本発明は、示された実施形態に限定されるものではない。当業者は、本発明の範囲内で他の数多くのバリエーションを想定するだろう。
【0022】
本発明は、心エコーMモード像の自動分析を提供するものであって、本発明の方法は、有益かつ効率的な心エコーMモード画像の表示を、組織層および運動曲線を分離することによって作成し、それにより、この分離によって、(a)駆出率および左心室(left ventricle:LV)壁厚などといった心臓の様々な物理的および機能的特徴の抽出、(b)異なる時間に同一の患者から、または2人の異なる患者から得た2つの心エコー図(ここではエコーと称す)の比較、(c)患者のエコーを含む大量の電子カルテ(electronic medical records:EMR)における類似症例のインデックス化および検索、を行うことができる。
【0023】
様々な検査データを含むカルテを比較することは、多様な判断をサポートする上で有望な方向性であると認識されている。さらに、心エコー図分析の自動化を進め、人為ミスを減らす可能性がある。
【0024】
Mモード像は、心エコー装置によるか、またはパノラマMモードとして直接取り込むなど、様々な手法で生成することができる。
【0025】
本発明は、このような像の分析を提供するものであって、心運動中における全層の継続的な空間アラインメントのために組織層にわたって動的時間伸縮を使用するMモード分析のための新たなアプローチと、運動像と組織像とが分離される新規の低次画像表示とを開示する。
【0026】
図3は、複数の二次元フレームからのパノラマMモードの生成を示す。線302などの各線は、1つの合成Mモード画像の主軸に対応する。以下に、対応する主軸と共に、3つの例を示す。各合成Mモードフレームは、(上述のように)選択された主軸に沿って複数の二次元フレームをサンプリングすることによって作成される。
【0027】
本発明のアルゴリズムは、以下のように機能する。(a)Mモード画像を得て、画像のエコー領域(関心領域(Region of Interest:ROI))を抽出し、(b)第1の参照ピクセル・カラムを選択し、(c)各カラムi=1…nについて、rdtw(ci,c_ref)(rdtwは、緩和動的時間伸縮を表す)を計算し、c_refをc_refとwarp(c_i)との一次結合として更新する。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、まずエコーROIを求め、当該ROIは、エコー領域を含みかつその周囲のテキストおよびグラフィックスを含まない。心エコー装置によって取り込まれたMモードフレームから抽出されると、ROIは、背景と比較して明確に区別される階調レベルのヒストグラムを有する大きな矩形領域として抽出される。初期矩形が画像上に配置され、当該矩形領域の内側および外側両方について階調レベルのヒストグラムが計算される。次に、これらのヒストグラム間の差が計算される。その後、矩形の位置またはサイズあるいはその両方に対して小さな変化が導入され、ヒストグラムが再計算される。2つのヒストグラム間の距離について改善が見られない場合には、処理は停止する。
【0029】
図4は、心エコー映像フレームからのエコー領域の抽出を示す。エコー映像コンテンツ以外のすべてが、エコー領域(関心領域(Region of Interest、ROIと表す)の形状およびサイズに対応する形状およびサイズのマスクによって取り除かれる。マスクは、画像処理手法を使用して自動的に計算でき、または、手動でマーキングすることもできる。マスクは、マスク画像の下の数字の集合で例示されるように、ピクセルの座標によって効率的に表すことができる。矩形のROIに関しては、マスク記述子には、フレーム寸法、フレームの隅の座標、およびピクセルのアスペクト比が含まれる。扇形のROIに関しては、フレーム寸法、円の中心座標、小半径および大半径、開始角および終了角、およびアスペクト比が記憶される。
【0030】
他のROIを検出するために、デューダ(Duda)等への論文“Use of the Hough Transformation to Detect Lines and Curves in Pictures”に記載のハフ変換などが使用され得るだろう。
【0031】
パノラマMモードの場合、パノラマ生成処理は、MモードエコーROIのみを含むエコー画像を作成する。したがって、ROI検出は必要ない。
【0032】
次に、参照ピクセル・カラムがエコーから選択される。エコー内の各ピクセル・カラムは、ある時点と関連付けられる。ある時点とは、本サンプルが取り出された時間である。よって、Mモードエコーの横軸は時間軸であり、秒単位で計測される。Mモード画像の縦軸は、心臓を通る三次元の走査線を表す。よって、縦軸の計測単位はセンチメートルである。参照カラムは、まず、各ピクセル・ローにおける中央値の階調レベルを計算することによって選択され、それにより、中央カラムを参照カラムとして作成する。中央値は図5において線502として示されており、カラムに沿ったピクセルの中央値の階調レベルがグラフとして表わされている。横軸は、カラムに沿ったピクセルの位置(ロー番号、または画像内のピクセルのy座標)を表す。縦軸は、画像内のピクセル・ローに沿った中央値の階調レベルを表す。ゼロ値は黒で表し、255値は白で表す。図5のグラフの中程にある大きな谷部は黒エリアのピクセルに対応し、おおよそエコーの中程にあって、一般的には液体(すなわち、血液)に満たされた心室内部に対応する。参照カラムを選択する他の手法には、収縮末期または拡張末期などといった拍動サイクルの特定の時間においてカラムを選択することが含まれる。
【0033】
その後、各エコー・カラムが中央カラムと比較される。中央値に最も近いものとして求めたカラムが、参照カラムとして選択される。このカラムは、図6において、図中下部にある線602でマーキングされている。その後、他のカラムについてカラム・アラインメントが計算される。この処理は、参照カラムから開始し、左および右カラムへと進む。アルゴリズムは以下のとおりである。
【0034】
緩和時間伸縮アルゴリズムを使用するアラインメント・アルゴリズム
rHistory=r=rRef;
for i=1:n
t=M(:,cols(i))';
[Dist,D,ki,wi]=dtwrlx(r,t,2.0);
wrap_t(wi(:,1)=wi(:,2);
rHistory=alpha*rHistory+(1-alpha)*t(wrap_t(wi(:,1)));
r=alphaRef*rRef+(1-alphaRef)*rHistory;
end
【0035】
各反復において、カラムtが参照カラムrに整列され、その結果生じた両者間のマッピングがアレイwrap_tに書き込まれる。さらに、整列されたカラムの累積トレース履歴を表すrHistoryが計算される。その後、rが参照カラムrRefと累積履歴rHistoryとの一次結合に更新される。アラインメントを計算するための他の手法として、直接rRefへ整列させるか、または他のカラムに整列させるものもある。結果は、各カラムから参照カラムまたは近傍のカラムへのマッピングとなろう。このマッピングにより、経時的に組織層に沿ったパスをトレースして再構築することができる。トレースするための例を図7に示し、個々のピクセル・カラムが見えるようにした拡大図を図6に示す。
【0036】
2つのカラムのアラインメントは、動的時間伸縮アルゴリズム(Dynamic Time Warping)を使用して行われる。DTWアルゴリズムを使用して、時間変動信号のアラインメントを行う。周知の動的時間伸縮アルゴリズムの例を以下に示す。
int DTWDistance(char s[1..n], chart[1..m], int d[1..n,1..m]){
declare int DTW[0..n,0..m]
declare int i, j, cost
for i:=1 to m
DTW[0,i]:=infinity
for i:=1 to n
DTW[i,0]:=infinity
DTW[0,0]:=0
for i:=1 to n
for j:=1 to m
cost:=d[s[i],t[j]]
DTW[i,j]:=cost+minimum(DTW[i-1,j],//insertion
DTW[i,j-1],//deletion
DTW[i-1,j-1]//match
return DTW[n,m]
}
【0037】
一般的に、このアルゴリズムは、信号s(t)および信号r(t)間のアラインメントの計算を、|s(d(t))−r(t)|を最小化する最良の時間伸縮関数dを求めることによって行う。言い換えれば、このアルゴリズムは、s(t)を修正してr(t)にマッピングする時間マッピングを求める。
【0038】
ここで、DTWの一種を緩和(Relaxed)DTWと称し、以下のように示す。
緩和動的時間伸縮アルゴリズム
D=zeros(size(d));
upCost=zeros(size(d)); % accumulated costof next consequent up
step
rtCost=zeros(size(d)); % accumulated costof next consequent right
step
D(1,1)=d(1,1);
UpCostFactor=1000;
RtCostFactor=1000;
UpCostExp=1.5;
RtCostExp=1.5;
for n=2:N
D(n,1)=d(n,1)+D(n-1,1);
end
for m=2:M
D(1,m)=d(1,m)+D(1,m-1);
end
for n=2:N
for m=2:M
Drt=D(n,m-1)+rtCost(n,m-1);
Dup=D(n-1,m)+upCost(n-1,m);
Dur=D(n-1,m-1);
if (Dur<=Drt)
if (Dur<=Dup) % Dur
D(n,m)=d(n,m)+Dur;
else % Dup
D(n,m)=d(n,m)+Dup;
upCost(n,m)=UpCostExp*upCost(n-l,m)+UpCostFactor;
end
else
if (Drt<Dup) % Drt
D(n,m)=d(n,m)+Drt;
rtCost(n,m)=RtCostExp*rtCost(n,m-1)+RtCostFactor;
else % Dup
D(n,m)=d(n,m)+Dup;
upCost(n,m)=UpCostExp*upCost(n-1,m)+UpCostFactor;
end
end
end
end
【0039】
本アルゴリズムは、DTWを拡張したものであって、マッピングを大きく歪ませることによってDTWとは異なるものとなっている。この変種は、エコー・アラインメントに関してDTWよりも利点があるものの、他の時間伸縮アルゴリズムおよび基準を使用してもよい。例えば、組織の粘度および弾力性をDTW計算の際に考慮してもよい。本発明は、時間伸縮のための特定の方法に限定されるものではない。マイヤー(Myers)等の論文“A comparative study of several dynamic time−warping algorithms for connected word recognition”には、様々なDTWアルゴリズムの比較が見受けられる。
【0040】
2つのMモードピクセル・カラム間のアラインメントについての一例を図8に示す。ここで、2つのピクセル・カラム分だけの一部を拡大したものが示されている。長い灰色のレベルのボックスは、各カラム内のピクセルを表す。線は、本アルゴリズムによって整列されたピクセルを結んでいる。左のカラム内にあるピクセルiを右のカラム内にあるピクセルjに結んでいる線は、アラインメント・ベクトルwi(i,1)およびwi(i,2)にそれぞれ記憶される。そのような各ラインから次のカラムへたどって、そのカラムから結果としてのカラムへのマッピングを継続するなどすることによって、Mモード画像に沿ったパスを構築して、組織の層をたどることができる。例えば、図7における曲線702および704と図6に示すその拡大部分とを参照されたい。これらの線は、心室壁の境界をたどっている。DedおよびDesは、それぞれ、拡張末期および収縮末期を表す。
【0041】
図9は、パノラマMモードとして生成された元のMモードエコー領域を示し、図7は、全カラムのラッピングを計算して、画像上の検出された運動曲線を重ね合わせた結果生じた画像を示す。図からわかるように、運動は除去されており、組織層のみだけがある。出力の他の補足部分が伸縮マッピングである。これは、各ピクセルの運動だけを、左から右へと進んで当該組織層の運動をなぞる曲線という形式で示している(図7の702および704参照)。
【0042】
図10は、時間に沿った組織層のアラインメントと運動の除去とを行った後のMモード画像の一例を示す。層は水平領域を示しているように見える。層間の輪郭は、画像処理手法によって検出することができ、例えば縦軸に階調レベルに配して各組織層について統計モデルを計算することなどによって、水平画像構造を活用できる。例えば、ガウス混合モデル(Gaussian Mixture Model:GMM)を使用して組織層をモデル化することができよう。
【0043】
図11は、2つの心周期にほぼ対応する画像の一部分が本方法によって処理された、パノラマMモード画像を示す。処理された部分は、明るい窓によってマーキングされている。処理結果は、いくつかの組織層の動きに対応する青い曲線を画像に重ねあわせることによって示される。DedおよびDesは、それぞれ、拡張末期および収縮末期を表す。
【0044】
したがって、本発明は、新規のMモード画像表示を提供するものであって、本発明を使用して、組織の組成と運動パターンとを分離して表すことによってMモード画像の特徴を表すことができる。運動曲線は、一般的にはなめらかな曲線であり、少ない数の係数を使用して、例えばスプラインとして表すことができる。組織層は、各線における中央値などといった単一のカラムによって表すことができる。
【0045】
本発明は、心臓Mモード画像を分析するための方法であって、(a)解剖学的部位の少なくとも一部を示す1つ以上のMモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データを受信するステップと、(b)ピクセル・データ内の複数のカラムを選択するステップと、(c)対応する組織層が合致するように複数のカラムを整列させることによってアラインメント・マップを生成するステップと、(d)アラインメント・マップを使用して1つ以上の運動曲線を構築するステップであって、運動曲線は、Mモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データ内の運動パターンを表し、運動パターンは、アラインメント・マップにおいて識別された組織層から分離される、ステップと、を含む。
【0046】
一実施形態において、アラインメント・マップをさらに使用して、複数の整列されたカラムをラップし、組織が整列された合成画像を生成し、(垂直)運動は示さないようにする。本実施形態の一発展態様において、生成された合成画像を使用して、運動とは独立した組織層像を生成する。
【0047】
一実施形態において、アラインメントは、動的時間伸縮手法を使用して行われ、垂直(カラム)軸は、伸縮計算の際の「時間」を表す。
【0048】
また、本発明は、Mモード画像を比較するための方法を提供するものであって、複数のMモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データを受信するステップと、各画像について、組織層像および運動曲線像のうちの少なくとも1つを計算するステップと、少なくとも2つの画像の運動曲線または組織層あるいはその両方を比較するステップと、画像対間の類似値を決定するステップとを含む、方法である。類似値は、使用される比較方法、すなわち、ユークリッド距離または動的時間伸縮(DTW)距離に依存し、0.0から1.0の範囲で正規化され得る。
【0049】
一実施形態において、上述の方法は、Mモード画像の集合内の所定のMモード画像と最も類似する画像(最隣接画像)を求めるために適用される。
【0050】
一実施形態において、上述の方法は、左心室の駆出率(Ejection Fraction:EF)を求めるために以下のように適用される。
EF(%)={(Ved−Ves)/Ved}×100
式中、Ved=7Ded3/(2.4+Ded)、Ves=7Des3/(2.4+Des)
であり、DedおよびDesは、それぞれ、拡張末期および収縮末期を表す。
【0051】
左心室の容量をその寸法から推定するために、タイクホルツ(Teichholtz)法が適用される。寸法は、図7に示すような2つの曲線間によって計測され、一方は収縮末期に、他方は拡張末期に位置付けられる。
【0052】
本発明を2次元データに関して説明してきたが、本発明の教示は、より高次のデータに拡張でき、そのような拡張は本発明の範囲内であることに注意されたい。また、本明細書の例において、心臓に関するデータを広範に使用してきたが、本発明の教示は、運動中に検査される、肺などの他の身体部位の超音波画像に適用してもよいことに注意されたい。使用する超音波画像の種類によって、本発明の範囲が限定されるべきではない。さらに、本明細書において超音波画像が開示されているが、本発明の教示は超音波以外の画像形式に適用されてもよいことに注意されたい(よって、その主要な利点は、ノイズの多いデータを扱うことにある)。
【0053】
さらに、本発明は、全層を同時に整列させて運動曲線をアラインメントから抽出することによって、Mモード画像を組織層と運動曲線とに分離するための1つ以上のモジュールと、組織層と運動曲線からなる表示を使用して類似のMモードを検索するための1つ以上のモジュールとを実施するコンピュータ可読プログラム・コードを備える製品と、その類似性測度とを提供する。さらに、本発明は、コンピュータ・プログラム・コード・ベースの製品を含み、これは、コンピュータに対して、本発明に関連付けられるいずれの方法をも行うよう指示するように使用できるプログラム・コードを記憶した記憶媒体である。コンピュータ記憶媒体は、CD−ROM、DVD、磁気テープ、光ディスク、ハードドライブ、フレキシブル・ディスク、強誘電体メモリ、フラッシュ・メモリ、強磁性体メモリ、光ストレージ、電荷結合素子、磁気または光カード、スマート・カード、EEPROM、EPROM、RAM、ROM、DRAM、SRAM、SDRAMまたは他の適切な静的または動的メモリまたはデータ・ストレージ装置のいずれをも含むが、これに限定されない。
【0054】
本発明は、図12に示すように、心臓Mモード画像を分析比較するための方法を実施するための、コンピュータ・ベースのシステム1202を提供する。図12に示すコンピュータ・システムは、プロセッサ1204と、メモリ1206と、ストレージ1208と、ディスプレイ1210と、入出力装置1212とを備える。ストレージ1208は、心臓Mモード画像を比較分析するための1つ以上のモジュールを実施するコンピュータ可読プログラム・コードを記憶する。
【0055】
ストレージ1208に記憶されるのは、コンピュータ・ベースの方法を実施するコンピュータ可読プログラム・コードであって、コンピュータ可読プログラム・コードは、解剖学的部位の少なくとも一部分を示す1つ以上のMモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データを受信することを支援し、デジタル・ピクセル・データ内の複数のカラムを選択し、対応する組織層が合致するように複数のカラムを整列させることによってアラインメント・マップを生成し、アラインメント・マップを使用して1つ以上の運動曲線を構築し、運動曲線は、Mモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データにおける運動パターンを表し、運動パターンは、アラインメント・マップ内で識別される組織層から分離され、コンピュータ可読プログラム・コードは運動曲線を出力する。
【0056】
結論
心臓Mモード像の分析または比較あるいはその両方を自動的に行うためのシステムおよび方法を上記実施形態において示してきた。様々な好適な実施形態を示しかつ説明してきたが、そのような開示は本発明を限定するものではなく、むしろ、添付の請求項に規定されるような本発明の精神および範囲に該当するすべての修正を対象に含むものであることが理解されよう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、画像分析分野に関する。より特定的には、本発明は、心臓Mモード像の自動分析に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、心エコー検査は、心臓疾患の診断に最も使用される器具となっている。標準的な二次元モードは、走査断面に横断する心臓の平面的な薄片を表す。映像に複数の二次元フレームを取り込むことによって、心臓の運動および機能を観察することができる。構造および運動両方の連続的な像を提供し、計測を行い、血液および組織ドプラを使用して機能性を検証するという機能は、これまで発展してきており、より精度の高いものとなってきている。それでもなお、これらのテスト結果は、超音波技師の技能に大きく依存しており、特に、センサと、取り込まれた画像に対して手動で位置決めされたキャリパ、ルーラ、およびマーカとを手動で正確に位置決めできるかに依存している。超音波画像は、一般的に画質が低い。超音波による撮像に限界があるため、画像は解像度が低く、境界が非常に不明瞭であり、ノイズおよび影が多い。非特許文献1に規定されているように、画像を読み取るには、特殊な訓練と十分な経験が必要である。例えば、超音波技師の最低推奨訓練には6ヶ月かかり、少なくとも150回の検査の履行と、さらに300回の検査の読み取りを行う。
【0003】
必要な計測の多くは、Mモードで行われる。これは、心臓を通る超音波装置の一走査線に沿った組織運動を時空間表示するものである。このような計測には、心室の容量、駆出率、組織圧、壁運動、弁開閉時期などの推定が含まれる。非特許文献2によれば、典型的な心エコー検査には、視点の異なる数回の二次元およびMモードによる取り込みが含まれ、約15分から20分かかる。
【0004】
心臓のMモードを取り込んで使用する直接的な手法を図1および図2に示す。まず、二次元モード(図1参照)を使用して心腔を突き止め、心腔を通る断面が見えるようにセンサを再度位置決めして、壁に垂直な方向に心腔を通るようにカーソル(矢印で示す)を位置決めする。その後、走査モードと表示モードとをMモードに切り替える(図2)。このモードにおいて、縦軸は、z軸、すなわち、二次元モードにおけるカーソル線に沿ったセンサからの深さに対応する。横軸は、時間に対応する。本例において、およそ2回の心臓拍動サイクルが示されている。超音波技師は、数回の心臓拍動サイクルを記録してから、その像を静止させる。その後、超音波技師は、キャリパ(2本の垂直な点線202,204)を設置して、(テーブル206から)測定値を取る。本例において、超音波技師は、2つのキャリパを、1つは拡張末期に、2つ目は収縮末期に設置する。これらのキャリパは、左腔の短軸径を計測する。キャリパによる計測結果は、その後、テーブル206において表示される。この処理は、患者の心エコー検査中に全て行われる。
【0005】
よって、直接Mモード画像は、センサの焦点を原点とした放射状方向のカーソル線に沿ってのみ撮影することができる。超音波技師は、心臓に依存する向きでセンサ装置を正確に位置決めしなければならず、骨を避けかつ干渉および不要な反射を減少させながら良好な二次元断面画像を得るためにセンサを最適に位置決めすることと相反することがしばしば生じる。
【0006】
パノラマMモード(アナトミックMモードとしても知られる)は、1つ以上の合成Mモード画像を二次元(または三次元)モード画像のシーケンスから作成するものであって、所望の(複数の)走査線に沿って当該画像をサンプリングして、新たなMモード画像におけるカラムとして積み重ねることによって行う処理である。直接Mモードと比較すると、パノラマMモードは、センサの位置によって制限されるのではなく、二次元画像上でどの方向および位置においても生成されるという利点がある。しかしながら、パノラマMモードでは、時間分解能または走査周波数が低くなる。パノラマMモードは、左心室壁運動、壁厚などを測定して虚血を診断するのに非常に有用と考えられてきた(例えば、非特許文献3参照)。近年、フィリップス(商標)がアナトミックMモードをエンバイザ(EnVisor)(商標)超音波システムに導入しており、「アナトミカルMモードは、異常な形または異常な位置の心臓においても、Mモード線を組織に対して垂直に保つのを容易にし、心腔、心壁、および駆出率を正確に測定することができる」としている。
【0007】
Mモードは、何十年にも渡って行われてきており、パノラマMモードは医療機器に導入され始めたばかりであるものの、コンピュータ・ビジョン手法を使用したMモード画像の自動分析はほとんど発展がなかった。非特許文献4では、コンピュータ・ディスプレイとタブレットを使用して、ユーザがキャリパやマーク・トレースを配置したり、測定を行ったり、画像上のユーザのマークに対応するグラフを作成することができる。しかしながら、特許文献4は、コンピュータ・ビジョン手法を適用していない。非特許文献5では、スネークを使用して、パノラマMモードにおける単一のドプラ・ブロブの発生を追跡する。しかしながら、特許文献4は、対象となる単一のカラー・ブロブを含むドプラ画像を扱うのみであり、通常のMモード画像は、数多くの組織層を示しており、分析するのが遥かに複雑である。
【0008】
特許文献1は、二次元の心エコー図のシーケンスからアナトミックMモード画像を生成するための方法を提供する。そして、これらの画像は、医師によって使用されて、診断の助けとなり得る。しかしながら、特許文献1は、Mモード画像を解剖学的に分析するための手段を提供していない。
【0009】
特許文献2は、心エコー図の画像を表示し、キャリパに基づく測定など、様々な測定を行い、医師が測定結果を選択して報告書を作成することができるようにするための一般的な枠組みを提供する。特許文献2は、マウスのクリックを取得してそれに応答するなどのユーザ・インターフェイス・ワークフローを開示しているが、画像を分析して測定値を自動的に抽出するための方法をなんら提供していない。
【0010】
特許文献3は、心エコー図による検査の全映像を分析し、診査に沿って様々なモードや像を区分および認識し、オーバーレイ心電図グラフを分析し、R波を検出し、映像を心臓の個々の拍動サイクルに区分するための方法およびシステムを提供する。しかしながら、特許文献3は、二次元像の分析のみを行うものであり、Mモード画像を扱うものではない。
【0011】
特許文献4は、標準的な画像処理手法を使用して心尖部四腔像の単一フレームを分析するための方法を提供する。しかしながら、特許文献4は、Mモード画像を扱うものではない。単一の二次元像が心臓の単一のスナップショットを取り込むだけであり、なんら経時情報を含むものではなく、したがって、駆出率を計算したり、運動または時間に基づく測定を行うことができない。
【0012】
特許文献5は、センターライン法を使用して心室機能の分析をいかに行うかを教示しており、二次元像内の心腔の長軸を手動でマーキングしてから、収縮期および拡張期の心腔画像間で異なる部分を手動でマーキングする。その後、マーキングした線および部位から、心腔の容量および駆出率を推定することができる。特許文献5記載の処理は、多くの労力がかかる処理である。また、特許文献5は、心エコー図を分析するための画像処理または他の自動的な手法をなんら提供していない。
【0013】
従来の技術には、特許文献6の教示にあるような、スペックルを減少させるなどの心エコー図の画像を改善するものがある。特許文献6において、このような方法は、本出願人の発明によって開示されるアルゴリズムを適用する前に画質を高めるための前処理として適用されてもよい。しかしながら、従来の技術には、画像コンテンツをどのように分析するかを教示するものはない。また、既存の研究には、自動的にインデックス化を行ったり類似症例を見つけるために心エコー図のMモード画像を考慮するものはない。さらに、既存の研究には、2つのMモード画像を比較する手段を提供するものはない。よって、適切な像を規定してそれを効率的に構築し、医学的に有意な計測値を自動的に抽出することができる方法および、インデックス化を可能にして類似症例を検索できることで多様な医学的判断のサポートを支援する類似性測度が必要である。上述の引例の明確なメリット、特徴、利点がどのようなものであろうとも、いずれも本発明の目的を達成または実現するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,515,856号
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0034538号
【特許文献3】米国特許第6,514,207号
【特許文献4】米国特許第6,708,055号
【特許文献5】米国特許第4,936,311号
【特許文献6】米国特許第6,755,787号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】ACC/AHA Clinical Competence Statement on Echocardiography, 2002
【非特許文献2】ACC/AHA/ASE 2003 Guideline Update for the Clinical Application of Echocardiography
【非特許文献3】Lee et al.,“Using Synthetic M−mode Imaging to Measure Temporal Differences in Left Ventricular Contraction Patterns during Ischemia”
【非特許文献4】Griffiths et al.,“Computer assisted M−mode echocardiogram analysis”
【非特許文献5】Maplica et al.,“A snake model for anatomic M−mode tracking in echocardiography, Image and Signal Processing and Analysis”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
すべての層を同時に整列させて当該アラインメントから運動曲線を抽出することによってMモード画像を組織層と運動曲線とに分離することに基づいて、Mモード画像の自動分析を提供する。また、組織層と運動曲線とからなる像を使用して類似のMモードを検索する機能およびその類似性測度を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、解剖学的部位の少なくとも一部を示す1つ以上のMモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データを受信するステップと、複数のサンプル時間に関連したデジタル・ピクセル・データ内の複数のカラムを選択するステップと、対応する組織層が合致するように複数のカラムを整列させることによってアラインメント・マップを生成するステップと、アラインメント・マップを使用して1つ以上の運動曲線を構築するステップであって、運動曲線は、Mモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データ内の運動パターンを表し、運動パターンは、アラインメント・マップにおいて識別された組織層から分離される、ステップと、1つ以上の運動曲線を出力するステップとを含む方法を提供する。
【0018】
また、本発明は、Mモード画像を比較するための方法であって、複数のMモード画像を受信するステップと、各画像について、組織層像および運動曲線像のうちの少なくとも1つを計算するステップと、少なくとも2つの画像の前記運動曲線または前記組織層あるいはその両方を比較するステップと、少なくとも2つの画像対間の類似値を決定するステップと、類似値を出力するステップとを含む方法を提供する。
【0019】
また、本発明は、コンピュータ・ベースの方法を実施するコンピュータ可読プログラム・コードを記憶するコンピュータ使用可能な媒体を有する製品であって、媒体は、解剖学的部位の少なくとも一部分を示す1つ以上のMモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データを受信することを支援するコンピュータ可読プログラム・コードと、デジタル・ピクセル・データ内の複数のカラムを選択するコンピュータ可読プログラム・コードと、対応する組織層が合致するように複数のカラムを整列させることによってアラインメント・マップを生成するコンピュータ可読プログラム・コードと、アラインメント・マップを使用して1つ以上の運動曲線を構築するコンピュータ可読プログラム・コードであって、運動曲線は、Mモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データにおける運動パターンを表し、運動パターンは、アラインメント・マップ内で識別される組織層から分離される、コンピュータ可読プログラム・コードと、1つ以上の運動曲線を出力するコンピュータ可読プログラム・コードとを備える製品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】心臓のMモードを取り込んで使用する直接的な手法を示す。
【図2】心臓のMモードを取り込んで使用する直接的な手法を示す。
【図3】複数の二次元フレームからのパノラマMモードの生成を示す。
【図4】心エコー映像フレームからのエコー領域の抽出を示す。
【図5】様々なピクセル・カラムに沿ったピクセルの中央値の階調レベルのグラフを示す。
【図6】可視ピクセルの個々のカラムを生じさせるMモードの小部分を示す。
【図7】心室壁の処理出力を重ね合わせたMモードROI領域の一例を示す。
【図8】2つのピクセル・カラム間の時間伸縮の一例を示す。
【図9】M元画像を示す。
【図10】時間軸に沿った組織層のアラインメントと運動(垂直要素)の除去とを行った後のMモード画像の一例を示す。
【図11】2つの心周期にほぼ対応する画像の一部分が本方法によって処理された、パノラマMモード画像を示す。
【図12】心臓Mモード画像を分析比較するための本発明の方法を実施するために使用されたコンピュータに基づくシステムの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を好適な実施形態で図示および説明するが、本発明は、数多くの様々な構成で作成されてもよい。図には、以下に詳細に説明する本発明の好適な一実施形態が示されており、本開示が本発明およびその構成に関連する機能仕様の一例とみなされるという理解であって、本発明は、示された実施形態に限定されるものではない。当業者は、本発明の範囲内で他の数多くのバリエーションを想定するだろう。
【0022】
本発明は、心エコーMモード像の自動分析を提供するものであって、本発明の方法は、有益かつ効率的な心エコーMモード画像の表示を、組織層および運動曲線を分離することによって作成し、それにより、この分離によって、(a)駆出率および左心室(left ventricle:LV)壁厚などといった心臓の様々な物理的および機能的特徴の抽出、(b)異なる時間に同一の患者から、または2人の異なる患者から得た2つの心エコー図(ここではエコーと称す)の比較、(c)患者のエコーを含む大量の電子カルテ(electronic medical records:EMR)における類似症例のインデックス化および検索、を行うことができる。
【0023】
様々な検査データを含むカルテを比較することは、多様な判断をサポートする上で有望な方向性であると認識されている。さらに、心エコー図分析の自動化を進め、人為ミスを減らす可能性がある。
【0024】
Mモード像は、心エコー装置によるか、またはパノラマMモードとして直接取り込むなど、様々な手法で生成することができる。
【0025】
本発明は、このような像の分析を提供するものであって、心運動中における全層の継続的な空間アラインメントのために組織層にわたって動的時間伸縮を使用するMモード分析のための新たなアプローチと、運動像と組織像とが分離される新規の低次画像表示とを開示する。
【0026】
図3は、複数の二次元フレームからのパノラマMモードの生成を示す。線302などの各線は、1つの合成Mモード画像の主軸に対応する。以下に、対応する主軸と共に、3つの例を示す。各合成Mモードフレームは、(上述のように)選択された主軸に沿って複数の二次元フレームをサンプリングすることによって作成される。
【0027】
本発明のアルゴリズムは、以下のように機能する。(a)Mモード画像を得て、画像のエコー領域(関心領域(Region of Interest:ROI))を抽出し、(b)第1の参照ピクセル・カラムを選択し、(c)各カラムi=1…nについて、rdtw(ci,c_ref)(rdtwは、緩和動的時間伸縮を表す)を計算し、c_refをc_refとwarp(c_i)との一次結合として更新する。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、まずエコーROIを求め、当該ROIは、エコー領域を含みかつその周囲のテキストおよびグラフィックスを含まない。心エコー装置によって取り込まれたMモードフレームから抽出されると、ROIは、背景と比較して明確に区別される階調レベルのヒストグラムを有する大きな矩形領域として抽出される。初期矩形が画像上に配置され、当該矩形領域の内側および外側両方について階調レベルのヒストグラムが計算される。次に、これらのヒストグラム間の差が計算される。その後、矩形の位置またはサイズあるいはその両方に対して小さな変化が導入され、ヒストグラムが再計算される。2つのヒストグラム間の距離について改善が見られない場合には、処理は停止する。
【0029】
図4は、心エコー映像フレームからのエコー領域の抽出を示す。エコー映像コンテンツ以外のすべてが、エコー領域(関心領域(Region of Interest、ROIと表す)の形状およびサイズに対応する形状およびサイズのマスクによって取り除かれる。マスクは、画像処理手法を使用して自動的に計算でき、または、手動でマーキングすることもできる。マスクは、マスク画像の下の数字の集合で例示されるように、ピクセルの座標によって効率的に表すことができる。矩形のROIに関しては、マスク記述子には、フレーム寸法、フレームの隅の座標、およびピクセルのアスペクト比が含まれる。扇形のROIに関しては、フレーム寸法、円の中心座標、小半径および大半径、開始角および終了角、およびアスペクト比が記憶される。
【0030】
他のROIを検出するために、デューダ(Duda)等への論文“Use of the Hough Transformation to Detect Lines and Curves in Pictures”に記載のハフ変換などが使用され得るだろう。
【0031】
パノラマMモードの場合、パノラマ生成処理は、MモードエコーROIのみを含むエコー画像を作成する。したがって、ROI検出は必要ない。
【0032】
次に、参照ピクセル・カラムがエコーから選択される。エコー内の各ピクセル・カラムは、ある時点と関連付けられる。ある時点とは、本サンプルが取り出された時間である。よって、Mモードエコーの横軸は時間軸であり、秒単位で計測される。Mモード画像の縦軸は、心臓を通る三次元の走査線を表す。よって、縦軸の計測単位はセンチメートルである。参照カラムは、まず、各ピクセル・ローにおける中央値の階調レベルを計算することによって選択され、それにより、中央カラムを参照カラムとして作成する。中央値は図5において線502として示されており、カラムに沿ったピクセルの中央値の階調レベルがグラフとして表わされている。横軸は、カラムに沿ったピクセルの位置(ロー番号、または画像内のピクセルのy座標)を表す。縦軸は、画像内のピクセル・ローに沿った中央値の階調レベルを表す。ゼロ値は黒で表し、255値は白で表す。図5のグラフの中程にある大きな谷部は黒エリアのピクセルに対応し、おおよそエコーの中程にあって、一般的には液体(すなわち、血液)に満たされた心室内部に対応する。参照カラムを選択する他の手法には、収縮末期または拡張末期などといった拍動サイクルの特定の時間においてカラムを選択することが含まれる。
【0033】
その後、各エコー・カラムが中央カラムと比較される。中央値に最も近いものとして求めたカラムが、参照カラムとして選択される。このカラムは、図6において、図中下部にある線602でマーキングされている。その後、他のカラムについてカラム・アラインメントが計算される。この処理は、参照カラムから開始し、左および右カラムへと進む。アルゴリズムは以下のとおりである。
【0034】
緩和時間伸縮アルゴリズムを使用するアラインメント・アルゴリズム
rHistory=r=rRef;
for i=1:n
t=M(:,cols(i))';
[Dist,D,ki,wi]=dtwrlx(r,t,2.0);
wrap_t(wi(:,1)=wi(:,2);
rHistory=alpha*rHistory+(1-alpha)*t(wrap_t(wi(:,1)));
r=alphaRef*rRef+(1-alphaRef)*rHistory;
end
【0035】
各反復において、カラムtが参照カラムrに整列され、その結果生じた両者間のマッピングがアレイwrap_tに書き込まれる。さらに、整列されたカラムの累積トレース履歴を表すrHistoryが計算される。その後、rが参照カラムrRefと累積履歴rHistoryとの一次結合に更新される。アラインメントを計算するための他の手法として、直接rRefへ整列させるか、または他のカラムに整列させるものもある。結果は、各カラムから参照カラムまたは近傍のカラムへのマッピングとなろう。このマッピングにより、経時的に組織層に沿ったパスをトレースして再構築することができる。トレースするための例を図7に示し、個々のピクセル・カラムが見えるようにした拡大図を図6に示す。
【0036】
2つのカラムのアラインメントは、動的時間伸縮アルゴリズム(Dynamic Time Warping)を使用して行われる。DTWアルゴリズムを使用して、時間変動信号のアラインメントを行う。周知の動的時間伸縮アルゴリズムの例を以下に示す。
int DTWDistance(char s[1..n], chart[1..m], int d[1..n,1..m]){
declare int DTW[0..n,0..m]
declare int i, j, cost
for i:=1 to m
DTW[0,i]:=infinity
for i:=1 to n
DTW[i,0]:=infinity
DTW[0,0]:=0
for i:=1 to n
for j:=1 to m
cost:=d[s[i],t[j]]
DTW[i,j]:=cost+minimum(DTW[i-1,j],//insertion
DTW[i,j-1],//deletion
DTW[i-1,j-1]//match
return DTW[n,m]
}
【0037】
一般的に、このアルゴリズムは、信号s(t)および信号r(t)間のアラインメントの計算を、|s(d(t))−r(t)|を最小化する最良の時間伸縮関数dを求めることによって行う。言い換えれば、このアルゴリズムは、s(t)を修正してr(t)にマッピングする時間マッピングを求める。
【0038】
ここで、DTWの一種を緩和(Relaxed)DTWと称し、以下のように示す。
緩和動的時間伸縮アルゴリズム
D=zeros(size(d));
upCost=zeros(size(d)); % accumulated costof next consequent up
step
rtCost=zeros(size(d)); % accumulated costof next consequent right
step
D(1,1)=d(1,1);
UpCostFactor=1000;
RtCostFactor=1000;
UpCostExp=1.5;
RtCostExp=1.5;
for n=2:N
D(n,1)=d(n,1)+D(n-1,1);
end
for m=2:M
D(1,m)=d(1,m)+D(1,m-1);
end
for n=2:N
for m=2:M
Drt=D(n,m-1)+rtCost(n,m-1);
Dup=D(n-1,m)+upCost(n-1,m);
Dur=D(n-1,m-1);
if (Dur<=Drt)
if (Dur<=Dup) % Dur
D(n,m)=d(n,m)+Dur;
else % Dup
D(n,m)=d(n,m)+Dup;
upCost(n,m)=UpCostExp*upCost(n-l,m)+UpCostFactor;
end
else
if (Drt<Dup) % Drt
D(n,m)=d(n,m)+Drt;
rtCost(n,m)=RtCostExp*rtCost(n,m-1)+RtCostFactor;
else % Dup
D(n,m)=d(n,m)+Dup;
upCost(n,m)=UpCostExp*upCost(n-1,m)+UpCostFactor;
end
end
end
end
【0039】
本アルゴリズムは、DTWを拡張したものであって、マッピングを大きく歪ませることによってDTWとは異なるものとなっている。この変種は、エコー・アラインメントに関してDTWよりも利点があるものの、他の時間伸縮アルゴリズムおよび基準を使用してもよい。例えば、組織の粘度および弾力性をDTW計算の際に考慮してもよい。本発明は、時間伸縮のための特定の方法に限定されるものではない。マイヤー(Myers)等の論文“A comparative study of several dynamic time−warping algorithms for connected word recognition”には、様々なDTWアルゴリズムの比較が見受けられる。
【0040】
2つのMモードピクセル・カラム間のアラインメントについての一例を図8に示す。ここで、2つのピクセル・カラム分だけの一部を拡大したものが示されている。長い灰色のレベルのボックスは、各カラム内のピクセルを表す。線は、本アルゴリズムによって整列されたピクセルを結んでいる。左のカラム内にあるピクセルiを右のカラム内にあるピクセルjに結んでいる線は、アラインメント・ベクトルwi(i,1)およびwi(i,2)にそれぞれ記憶される。そのような各ラインから次のカラムへたどって、そのカラムから結果としてのカラムへのマッピングを継続するなどすることによって、Mモード画像に沿ったパスを構築して、組織の層をたどることができる。例えば、図7における曲線702および704と図6に示すその拡大部分とを参照されたい。これらの線は、心室壁の境界をたどっている。DedおよびDesは、それぞれ、拡張末期および収縮末期を表す。
【0041】
図9は、パノラマMモードとして生成された元のMモードエコー領域を示し、図7は、全カラムのラッピングを計算して、画像上の検出された運動曲線を重ね合わせた結果生じた画像を示す。図からわかるように、運動は除去されており、組織層のみだけがある。出力の他の補足部分が伸縮マッピングである。これは、各ピクセルの運動だけを、左から右へと進んで当該組織層の運動をなぞる曲線という形式で示している(図7の702および704参照)。
【0042】
図10は、時間に沿った組織層のアラインメントと運動の除去とを行った後のMモード画像の一例を示す。層は水平領域を示しているように見える。層間の輪郭は、画像処理手法によって検出することができ、例えば縦軸に階調レベルに配して各組織層について統計モデルを計算することなどによって、水平画像構造を活用できる。例えば、ガウス混合モデル(Gaussian Mixture Model:GMM)を使用して組織層をモデル化することができよう。
【0043】
図11は、2つの心周期にほぼ対応する画像の一部分が本方法によって処理された、パノラマMモード画像を示す。処理された部分は、明るい窓によってマーキングされている。処理結果は、いくつかの組織層の動きに対応する青い曲線を画像に重ねあわせることによって示される。DedおよびDesは、それぞれ、拡張末期および収縮末期を表す。
【0044】
したがって、本発明は、新規のMモード画像表示を提供するものであって、本発明を使用して、組織の組成と運動パターンとを分離して表すことによってMモード画像の特徴を表すことができる。運動曲線は、一般的にはなめらかな曲線であり、少ない数の係数を使用して、例えばスプラインとして表すことができる。組織層は、各線における中央値などといった単一のカラムによって表すことができる。
【0045】
本発明は、心臓Mモード画像を分析するための方法であって、(a)解剖学的部位の少なくとも一部を示す1つ以上のMモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データを受信するステップと、(b)ピクセル・データ内の複数のカラムを選択するステップと、(c)対応する組織層が合致するように複数のカラムを整列させることによってアラインメント・マップを生成するステップと、(d)アラインメント・マップを使用して1つ以上の運動曲線を構築するステップであって、運動曲線は、Mモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データ内の運動パターンを表し、運動パターンは、アラインメント・マップにおいて識別された組織層から分離される、ステップと、を含む。
【0046】
一実施形態において、アラインメント・マップをさらに使用して、複数の整列されたカラムをラップし、組織が整列された合成画像を生成し、(垂直)運動は示さないようにする。本実施形態の一発展態様において、生成された合成画像を使用して、運動とは独立した組織層像を生成する。
【0047】
一実施形態において、アラインメントは、動的時間伸縮手法を使用して行われ、垂直(カラム)軸は、伸縮計算の際の「時間」を表す。
【0048】
また、本発明は、Mモード画像を比較するための方法を提供するものであって、複数のMモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データを受信するステップと、各画像について、組織層像および運動曲線像のうちの少なくとも1つを計算するステップと、少なくとも2つの画像の運動曲線または組織層あるいはその両方を比較するステップと、画像対間の類似値を決定するステップとを含む、方法である。類似値は、使用される比較方法、すなわち、ユークリッド距離または動的時間伸縮(DTW)距離に依存し、0.0から1.0の範囲で正規化され得る。
【0049】
一実施形態において、上述の方法は、Mモード画像の集合内の所定のMモード画像と最も類似する画像(最隣接画像)を求めるために適用される。
【0050】
一実施形態において、上述の方法は、左心室の駆出率(Ejection Fraction:EF)を求めるために以下のように適用される。
EF(%)={(Ved−Ves)/Ved}×100
式中、Ved=7Ded3/(2.4+Ded)、Ves=7Des3/(2.4+Des)
であり、DedおよびDesは、それぞれ、拡張末期および収縮末期を表す。
【0051】
左心室の容量をその寸法から推定するために、タイクホルツ(Teichholtz)法が適用される。寸法は、図7に示すような2つの曲線間によって計測され、一方は収縮末期に、他方は拡張末期に位置付けられる。
【0052】
本発明を2次元データに関して説明してきたが、本発明の教示は、より高次のデータに拡張でき、そのような拡張は本発明の範囲内であることに注意されたい。また、本明細書の例において、心臓に関するデータを広範に使用してきたが、本発明の教示は、運動中に検査される、肺などの他の身体部位の超音波画像に適用してもよいことに注意されたい。使用する超音波画像の種類によって、本発明の範囲が限定されるべきではない。さらに、本明細書において超音波画像が開示されているが、本発明の教示は超音波以外の画像形式に適用されてもよいことに注意されたい(よって、その主要な利点は、ノイズの多いデータを扱うことにある)。
【0053】
さらに、本発明は、全層を同時に整列させて運動曲線をアラインメントから抽出することによって、Mモード画像を組織層と運動曲線とに分離するための1つ以上のモジュールと、組織層と運動曲線からなる表示を使用して類似のMモードを検索するための1つ以上のモジュールとを実施するコンピュータ可読プログラム・コードを備える製品と、その類似性測度とを提供する。さらに、本発明は、コンピュータ・プログラム・コード・ベースの製品を含み、これは、コンピュータに対して、本発明に関連付けられるいずれの方法をも行うよう指示するように使用できるプログラム・コードを記憶した記憶媒体である。コンピュータ記憶媒体は、CD−ROM、DVD、磁気テープ、光ディスク、ハードドライブ、フレキシブル・ディスク、強誘電体メモリ、フラッシュ・メモリ、強磁性体メモリ、光ストレージ、電荷結合素子、磁気または光カード、スマート・カード、EEPROM、EPROM、RAM、ROM、DRAM、SRAM、SDRAMまたは他の適切な静的または動的メモリまたはデータ・ストレージ装置のいずれをも含むが、これに限定されない。
【0054】
本発明は、図12に示すように、心臓Mモード画像を分析比較するための方法を実施するための、コンピュータ・ベースのシステム1202を提供する。図12に示すコンピュータ・システムは、プロセッサ1204と、メモリ1206と、ストレージ1208と、ディスプレイ1210と、入出力装置1212とを備える。ストレージ1208は、心臓Mモード画像を比較分析するための1つ以上のモジュールを実施するコンピュータ可読プログラム・コードを記憶する。
【0055】
ストレージ1208に記憶されるのは、コンピュータ・ベースの方法を実施するコンピュータ可読プログラム・コードであって、コンピュータ可読プログラム・コードは、解剖学的部位の少なくとも一部分を示す1つ以上のMモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データを受信することを支援し、デジタル・ピクセル・データ内の複数のカラムを選択し、対応する組織層が合致するように複数のカラムを整列させることによってアラインメント・マップを生成し、アラインメント・マップを使用して1つ以上の運動曲線を構築し、運動曲線は、Mモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データにおける運動パターンを表し、運動パターンは、アラインメント・マップ内で識別される組織層から分離され、コンピュータ可読プログラム・コードは運動曲線を出力する。
【0056】
結論
心臓Mモード像の分析または比較あるいはその両方を自動的に行うためのシステムおよび方法を上記実施形態において示してきた。様々な好適な実施形態を示しかつ説明してきたが、そのような開示は本発明を限定するものではなく、むしろ、添付の請求項に規定されるような本発明の精神および範囲に該当するすべての修正を対象に含むものであることが理解されよう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
解剖学的部位の少なくとも一部を示す1つ以上のMモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データを受信するステップと、
複数のサンプル時間に関連した前記デジタル・ピクセル・データ内の複数のカラムを選択するステップと、
対応する組織層が合致するように前記複数のカラムを整列させることによってアラインメント・マップを生成するステップと、
前記アラインメント・マップを使用して1つ以上の運動曲線を構築するステップであって、前記運動曲線は、前記Mモード画像に対応する前記デジタル・ピクセル・データ内の運動パターンを表し、前記運動パターンは、前記アラインメント・マップにおいて識別された組織層から分離される、ステップと、
前記1つ以上の運動曲線を出力するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記方法は、前記アラインメント・マップに基づいて複数の整列されたカラムをラップして、組織が整列されて垂直運動を示すことのない合成画像を生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記合成画像に基づいて、運動とは独立した組織層像を生成するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記生成された組織層像をスカラのベクトルとして計算するステップをさらに含み、各ベクトルは、前記合成画像内のピクセル・ローに沿った中央値または平均値の階調レベルに対応する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、前記生成された組織層像を、前記合成画像内のピクセル・ローに沿った中央値または平均値の階調レベルを表す曲線として出力するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、動的時間伸縮手法によって整列を行うステップをさらに含み、垂直カラム軸は、伸縮計算の際の「時間」を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、少なくとも1つの組織層に対応する複数の運動曲線を選択し、前記複数の運動曲線上の少なくとも2つの時点間の運動規模運動を計算するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、少なくとも1つの組織層に対応する複数の運動曲線を選択し、少なくとも一時点における少なくとも2つの曲線間の距離を計算するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記解剖学的部位は、ヒトの心臓であり、前記方法は、拡張末期径Dedと収縮末期径Desとを前記構築された運動曲線から算出し、前記ヒトの心臓の左心室の駆出率(EF)を、
EF(%)={(Ved−Ves)/Ved}×100
式中、Ved=7Ded3/(2.4+Ded)、Ves=7Des3/(2.4+Des)
のように計算および出力するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
Mモード画像を比較するための方法であって、
複数のMモード画像を受信するステップと、
各画像について、組織層像および運動曲線像のうちの少なくとも1つを計算するステップと、
少なくとも2つの画像の前記運動曲線または前記組織層あるいはその両方を比較するステップと、
前記少なくとも2つの画像の対の間の類似値を決定するステップと、
前記類似値を出力するステップと
を含む、方法。
【請求項11】
前記方法は、Mモード画像の集合内の所定のMモード画像と類似の画像または最隣接画像を識別するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
コンピュータ・ベースの方法を実施するコンピュータ可読プログラム・コードを記憶するコンピュータ使用可能な媒体を有する製品であって、前記媒体は、
解剖学的部位の少なくとも一部分を示す1つ以上のMモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データを受信することを支援するコンピュータ可読プログラム・コードと、
前記デジタル・ピクセル・データ内の複数のカラムを選択するコンピュータ可読プログラム・コードと、
対応する組織層が合致するように前記複数のカラムを整列させることによってアラインメント・マップを生成するコンピュータ可読プログラム・コードと、
前記アラインメント・マップを使用して1つ以上の運動曲線を構築するコンピュータ可読プログラム・コードであって、前記運動曲線は、前記Mモード画像に対応する前記デジタル・ピクセル・データにおける運動パターンを表し、前記運動パターンは、前記アラインメント・マップ内で識別される組織層から分離される、コンピュータ可読プログラム・コードと、
前記1つ以上の運動曲線を出力するコンピュータ可読プログラム・コードと
を備える、製品。
【請求項13】
前記媒体は、前記アラインメント・マップに基づいて複数の整列されたカラムをラップして、組織が整列されて垂直運動を示すことのない合成画像を生成するコンピュータ可読プログラム・コードをさらに備える、請求項12に記載の製品。
【請求項14】
前記媒体は、前記合成画像に基づいて、運動とは独立した組織層像を生成するコンピュータ可読プログラム・コードをさらに備える、請求項12に記載の製品。
【請求項15】
前記媒体は、前記生成された組織層像をスカラのベクトルとして計算するコンピュータ可読プログラム・コードをさらに備え、各ベクトルは、前記合成画像内のピクセル・ローに沿った中央値または平均値の階調レベルに対応する、請求項14に記載の製品。
【請求項16】
前記媒体は、前記生成された組織層像を、前記整列された合成画像内のピクセル・ローに沿った中央値または平均値の階調レベルを表す曲線として出力するコンピュータ可読プログラム・コードをさらに備える、請求項14に記載の製品。
【請求項17】
前記媒体は、動的時間伸縮手法によって整列を行うコンピュータ可読プログラム・コードをさらに含み、垂直カラム軸は、伸縮計算の際の「時間」を表す、請求項12に記載の製品。
【請求項18】
前記解剖学的部位は、ヒトの心臓であり、前記媒体は、拡張末期径Dedと収縮末期径Desとを前記構築された運動曲線から算出するコンピュータ可読プログラム・コードと、前記ヒトの心臓の左心室の駆出率(EF)を、
EF(%)={(Ved−Ves)/Ved}×100
式中、Ved=7Ded3/(2.4+Ded)、Ves=7Des3/(2.4+Des)
のように計算および出力するコンピュータ可読プログラム・コードをさらに備える、請求項12に記載の製品。
【請求項1】
解剖学的部位の少なくとも一部を示す1つ以上のMモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データを受信するステップと、
複数のサンプル時間に関連した前記デジタル・ピクセル・データ内の複数のカラムを選択するステップと、
対応する組織層が合致するように前記複数のカラムを整列させることによってアラインメント・マップを生成するステップと、
前記アラインメント・マップを使用して1つ以上の運動曲線を構築するステップであって、前記運動曲線は、前記Mモード画像に対応する前記デジタル・ピクセル・データ内の運動パターンを表し、前記運動パターンは、前記アラインメント・マップにおいて識別された組織層から分離される、ステップと、
前記1つ以上の運動曲線を出力するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記方法は、前記アラインメント・マップに基づいて複数の整列されたカラムをラップして、組織が整列されて垂直運動を示すことのない合成画像を生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記合成画像に基づいて、運動とは独立した組織層像を生成するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記生成された組織層像をスカラのベクトルとして計算するステップをさらに含み、各ベクトルは、前記合成画像内のピクセル・ローに沿った中央値または平均値の階調レベルに対応する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、前記生成された組織層像を、前記合成画像内のピクセル・ローに沿った中央値または平均値の階調レベルを表す曲線として出力するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、動的時間伸縮手法によって整列を行うステップをさらに含み、垂直カラム軸は、伸縮計算の際の「時間」を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、少なくとも1つの組織層に対応する複数の運動曲線を選択し、前記複数の運動曲線上の少なくとも2つの時点間の運動規模運動を計算するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、少なくとも1つの組織層に対応する複数の運動曲線を選択し、少なくとも一時点における少なくとも2つの曲線間の距離を計算するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記解剖学的部位は、ヒトの心臓であり、前記方法は、拡張末期径Dedと収縮末期径Desとを前記構築された運動曲線から算出し、前記ヒトの心臓の左心室の駆出率(EF)を、
EF(%)={(Ved−Ves)/Ved}×100
式中、Ved=7Ded3/(2.4+Ded)、Ves=7Des3/(2.4+Des)
のように計算および出力するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
Mモード画像を比較するための方法であって、
複数のMモード画像を受信するステップと、
各画像について、組織層像および運動曲線像のうちの少なくとも1つを計算するステップと、
少なくとも2つの画像の前記運動曲線または前記組織層あるいはその両方を比較するステップと、
前記少なくとも2つの画像の対の間の類似値を決定するステップと、
前記類似値を出力するステップと
を含む、方法。
【請求項11】
前記方法は、Mモード画像の集合内の所定のMモード画像と類似の画像または最隣接画像を識別するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
コンピュータ・ベースの方法を実施するコンピュータ可読プログラム・コードを記憶するコンピュータ使用可能な媒体を有する製品であって、前記媒体は、
解剖学的部位の少なくとも一部分を示す1つ以上のMモード画像に対応するデジタル・ピクセル・データを受信することを支援するコンピュータ可読プログラム・コードと、
前記デジタル・ピクセル・データ内の複数のカラムを選択するコンピュータ可読プログラム・コードと、
対応する組織層が合致するように前記複数のカラムを整列させることによってアラインメント・マップを生成するコンピュータ可読プログラム・コードと、
前記アラインメント・マップを使用して1つ以上の運動曲線を構築するコンピュータ可読プログラム・コードであって、前記運動曲線は、前記Mモード画像に対応する前記デジタル・ピクセル・データにおける運動パターンを表し、前記運動パターンは、前記アラインメント・マップ内で識別される組織層から分離される、コンピュータ可読プログラム・コードと、
前記1つ以上の運動曲線を出力するコンピュータ可読プログラム・コードと
を備える、製品。
【請求項13】
前記媒体は、前記アラインメント・マップに基づいて複数の整列されたカラムをラップして、組織が整列されて垂直運動を示すことのない合成画像を生成するコンピュータ可読プログラム・コードをさらに備える、請求項12に記載の製品。
【請求項14】
前記媒体は、前記合成画像に基づいて、運動とは独立した組織層像を生成するコンピュータ可読プログラム・コードをさらに備える、請求項12に記載の製品。
【請求項15】
前記媒体は、前記生成された組織層像をスカラのベクトルとして計算するコンピュータ可読プログラム・コードをさらに備え、各ベクトルは、前記合成画像内のピクセル・ローに沿った中央値または平均値の階調レベルに対応する、請求項14に記載の製品。
【請求項16】
前記媒体は、前記生成された組織層像を、前記整列された合成画像内のピクセル・ローに沿った中央値または平均値の階調レベルを表す曲線として出力するコンピュータ可読プログラム・コードをさらに備える、請求項14に記載の製品。
【請求項17】
前記媒体は、動的時間伸縮手法によって整列を行うコンピュータ可読プログラム・コードをさらに含み、垂直カラム軸は、伸縮計算の際の「時間」を表す、請求項12に記載の製品。
【請求項18】
前記解剖学的部位は、ヒトの心臓であり、前記媒体は、拡張末期径Dedと収縮末期径Desとを前記構築された運動曲線から算出するコンピュータ可読プログラム・コードと、前記ヒトの心臓の左心室の駆出率(EF)を、
EF(%)={(Ved−Ves)/Ved}×100
式中、Ved=7Ded3/(2.4+Ded)、Ves=7Des3/(2.4+Des)
のように計算および出力するコンピュータ可読プログラム・コードをさらに備える、請求項12に記載の製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図4】
【図11】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図4】
【図11】
【公表番号】特表2012−520096(P2012−520096A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553460(P2011−553460)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053132
【国際公開番号】WO2010/103085
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053132
【国際公開番号】WO2010/103085
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】
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