急速な病原体検出技術および装置
生きた病原体および死んだ病原体を含有する試料中における、死んだ病原体を検出することなく、生きた病原体を選択的に検出するための方法が開示される。そのような方法は、(i)生きたおよび死んだ病原体の少なくとも一部を物理的障壁のある固形支持体上に固定化するステップと、(ii)増殖培地中で固形支持体をインキュベートするステップと、このとき、培地中で生きた病原体が増殖することができ、増殖した病原体が固形支持体から増殖培地の上清に移動し、(iii)上清中における増殖した病原体を病原体アッセイにより検出するステップを含み得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、大体積の粒子性の試料中で病原体を急速に検出するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
文献、行為または知識項目が言及されるまたは考察される本明細書において、この言及または考察は、当該文献、行為もしくは知識項目またはその任意の組合せが優先日に公然と利用可能であった、公衆に公知であった、共通一般知識の一部であった、適用される法律の条項下において他の方法で先行技術を構成する、または本明細書が関与するなんらかの問題を解決する試みと関連があることが知られていることを認めるものではない。
【0003】
米国疾病予防管理センター(CDC)による最近の概算によれば、食品媒介病原体は、毎年、合衆国内だけでも食物が媒介する疾病のうちの7600万症例、325,000件の入院、および5000件の死亡の原因となっている。これらの食物が媒介する疾病の大発生は、人への有害な医学的影響に加えて、医療費、生産性の損失、商品の回収および輸出の停止による弊害のある経済的影響を及ぼす。米国農務省(USDA)は、小量の病原体でも生き延びて食中毒または集団発生を引き起こすことがあるので、特定の食物媒介病原体に対してはゼロトレランス政策を推奨している。したがって、食物試料中の単一の病原体でも検出することができる感度の良い病原体検出技術の開発が必要である。
【0004】
食物媒介病原体の検出には現在多くの検出技術および製品が利用可能であるが、数グラムの食物試料を汚染している単一の病原体を24時間の枠内で検出するのはまだ難問である。一般に、病原体は希釈および均質化により食物試料から抽出され、数百mLものまたはそれよりもはるかに多い試料体積が得られる。大体積の試料中における少数の病原体を検出するためには、病原体濃度が病原体検出アッセイに適したレベルに到達するまで生物を培養する必要がある。必要な前濃縮時間は、倍加時間、標的病原体の生存率、検出に必要な病原体濃度および食物試料の潜在的増殖阻害効果に依存する。濃縮は通常、少なくとも12時間から48時間かかる。したがって、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などの高感度検出アッセイを使用しても、食物試料中の病原体汚染の検出にはそれでも1日から2日は必要である。さらに、これらのアッセイは一般に高価であり、熟練の検査室職員が必要である。
【0005】
さらに、培養前濃縮を用いる食物病原体アッセイは、濃縮された病原体を取り扱う必要があり、このために検査室および職員の二次汚染を引き起こす可能性がある。したがって、これらのアッセイは、食品製造工場の現地での検査には適しておらず、代わりに現地外で、たとえば、参考検査室において行う必要がある場合がある。その上、培養前濃縮は、混入した食物病原体に関する定量的情報の消失を引き起こすことがある。なぜならば、病原体の生存率および汚染レベルならびに食物試料の成分は、病原体増殖速度および静止期に到達する時間または生物増殖の減退期に影響を及ぼし得るからである。したがって、前濃縮を用いる食物病原体アッセイは非定量的であり、食物病原体汚染のレベルを推定することは困難である。
【0006】
前濃縮を用いる病原体アッセイの前述の不利な点を克服するためには、病原体濃度を増加させるための大体積の試料の遠心分離または濾過などの代わりの濃縮法が必要になる可能性がある。しかし、遠心分離には遠心機が必要であり、特に多数の大体積の試料を試験する必要がある場合は、一般に厄介なプロセスである。
【0007】
濾過はさらに高いスループットで実施可能であり、大体積の試料中に存在する少数の病原体でさえ濃縮することができる。病原体を濃縮するためには、濾過法は一般に精密濾過(MF)膜フィルターを用いるが、このフィルターは一般に標的病原体よりも小さなポアサイズを有している。したがって、病原体はそのようなフィルター上で濃縮し、コロニー形成およびDNAプローブハイブリダイゼーションなどのいくつかの検出法により検出することができる。しかし、これらの膜フィルターは粒子保持力が非常に低く、その小さな孔サイズのせいで粒子性食物抽出物で容易に詰まる傾向がある。これらのフィルターは飲用水および環境水などの含有する粒子がより少ない試料に、またはごく小体積の粒子性試料に適している。保持率が適切なデプスフィルターも、病原体を捕捉するのに使用されているが、そのようなデプスフィルターに捕捉される病原体の検出は、その三次元マトリックス構造およびフィルター厚みにより複雑になる。
【0008】
食物試料中の生きた病原体を検出することが極めて重要である。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、そのアッセイ感度、速度および精度のおかげで急速病原体検出のための新しい優れた基準になりつつある。しかし、PCRは病原体ゲノムDNAの短い特定の領域を標的にしており、この領域は生物が死んだ後でも無傷のままでいることが多いために、PCRそれ自体により生きた病原体と死んだ病原体を区別するのは非常に困難である。最近、食品産業では、PCRアッセイを、生きた病原体は増殖することができるが死んだ病原体は増殖しない増殖培地における一晩の前濃縮ステップと組み合わせることが多い。
【0009】
PCRは非常に感度がよく10コピー未満のゲノムDNAでも検出することができるために、食物試料が死んだ病原体のみで高度に汚染されている場合には、PCRアッセイは偽陽性結果を出し、製品製造および輸送を必要もなく遅延させてしまうことになる。たとえば、デリミート、牛乳およびオレンジ果汁などの低温殺菌された食物試料をアッセイする場合に、その試料が低温殺菌前に病原体で汚染されているならば、そのような状況が起こるおそれがある。このような問題を回避するためには、生きた病原体が、食物試料中の死んだ病原体の考えられ得るどんな汚染レベルよりもはるかに高い濃度まで増殖することができる前濃縮条件を使用する必要がある。たとえば、1cfuの生きたリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes(L.monocytogenes))は、その増殖速度を1時間あたり2.5倍と仮定すると、24時間で3.6×109cfuまで増殖し得る。したがって、24時間の前濃縮ステップを用いれば、PCRアッセイは、死んだ生物に起因する偽陽性結果をほとんど出さずに、わずか1cfuの生きたL.モノサイトゲネスを検出し得る。なぜならば、そのような高レベルまたは109cfuまで汚染されている可能性がある食物試料はごくわずかだからである。
【0010】
最近、総アッセイ時間または最終アッセイ結果を得る時間を1勤務シフトまたは8時間未満まで短縮するようにという、食品産業からの要望および要求が増えている。試料調製および検出アッセイに必要な時間を考慮すると、1勤務シフト以内で病原体検出を達成するためには、前濃縮ステップに割ける時間はわずか6時間またはそれ未満である。しかし、たとえば、1cfuの生きたL.モノサイトゲネスは、その増殖速度を1時間あたり2.5倍と仮定しても、6時間で2.4×102cfuまでしか増殖しない可能性がある。したがって、一部の低温殺菌された食物試料は、死んだ生物に低レベルまたは102cfuまで汚染されていることがあるため、6時間前濃縮ステップを用いたPCRアッセイは、死んだ生物に起因する偽陽性結果に頻繁に直面する可能性がある。非常に感度の良いPCRアッセイを使用しても、死んだ生物に起因する頻繁な偽陽性問題のせいで前濃縮ステップを6時間またはそれ未満まで短縮することはそれでも非常に困難であり、これが食物検査においてPCRを用いる不利な点の1つになっている。
【0011】
前濃縮ステップを用いた従来のPCRベースの病原体検出において高い偽陽性結果を回避するためには、生きた食物病原体検出のための、特にPCR検出のための効果的試料調製法を用いるのが望ましいと考えられる。
【0012】
本発明の開示を促進するために、従来の技術のある種の態様を考察してきたが、本出願者らは、これらの技術面の権利を決して放棄することはなく、主張される本発明は本明細書において考察される従来の技術面のうちの1つまたは複数を包含するまたは含む可能性があることが企図されている。
【0013】
<定義>
本明細書において具体的に定義されていなければ、技術用語および科学用語はすべて、関連技術の当業者により一般的に理解されているのと同じ意味を有する。その上、本明細書において確認されるすべての出版物、特許出願公開および特許は、参照によりその全体を組み込まれている。
【0014】
本明細書で使用されるように、「選択的作用物質」または「選択的媒体」は、培地において非標的または競合する微生物の増殖を抑制するように作用する作用物質または1つもしくは複数の作用物質を含有する媒体を意味する。
【0015】
本明細書で使用されるように、「濾過中の目詰まりを防ぐためように構成される」は、標的病原体を効率的に捕捉するが、濾過を受けている試料中に存在する粒子に起因するフィルター目詰まりを回避するのに適切な粒子保持率および厚みを有することを意味する。
【0016】
本明細書で使用されるように、フィルターの「粒子保持率」は、98%の効率でフィルターにより取り除くことが可能な曝露した粒子の寸法として定義される。粒子保持率は膜フィルターの場合は孔サイズに類似しているが、デプスフィルターの粒子保持率は、その厚みのためにその孔サイズより小さい。
【発明の概要】
【0017】
一態様によれば、本発明は、生きた病原体および死んだ病原体を含有する試料中における、死んだ病原体を検出することなく、生きた病原体を選択的に検出する方法であって、(i)生きた病原体および死んだ病原体の少なくとも一部を物理的障壁のある固形支持体上に固定するステップと、(ii)増殖培地中で固形支持体をインキュベートするステップと、このとき、培地中で生きた病原体が増殖することができ、増殖した病原体が固形支持体から増殖培地の上清に移動し、(iii)上清中における増殖した病原体を病原体アッセイにより検出するステップとを含む方法を提供する。
【0018】
追加の態様によれば、本発明は、試料中における生きた病原体を選択的に検出する方法であって、病原体を引き付けるように構成されており、その結果、濾過中の目詰まりを防ぐように構成されている孔を有するフィルターを通して試料を濾過するステップと、それにより病原体をフィルター中に収集し、病原体の増殖および増殖した病原体の増殖培地への拡散に十分な期間、フィルターを増殖培地中でインキュベートするステップと、病原体アッセイにより、増殖培地中における、増殖した病原体の存在を病原体の指標として検出するステップとを含む、方法を提供する。
【0019】
さらに別の態様によれば、本発明は、粒子性の試料中における病原体を検出する方法であって、粒子性試料を高多孔質フィルターで濾過するステップと、ここで、前記フィルターが、病原体を引き付けるように構成されており、濾過中の目詰まりを防ぐように構成されている孔を有し、前記病原体および/もしくはその細胞成分を抽出する増殖培地、界面活性剤ならびにカオトロピック試薬または有機溶媒を含む溶出液中で前記高多孔質フィルターをインキュベートするステップと、病原体の存在を同定するために病原体および/もしくはその細胞成分を検出するステップとを含む、方法を提供する。
【0020】
本発明は、上で考察された先行技術の問題および欠陥のうちの1つまたは複数に取り組む可能性がある。しかし、本発明は、他の問題および欠陥に取り組むのに有用であることが判明しているか、または、いくつかの技術領域において利益および利点を提供し得ることが企図されている。したがって、特許請求される本発明は、必ずしも本明細書において考察される特定の問題または欠陥のいずれかに取り組むことに限定されると解釈されるべきではない。
【0021】
本発明のこれらのおよび他の特質は、この時点で、本発明を例示することを目的とし限定することを目的としない好ましい実施形態の図を参照して説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】高多孔質フィルター、多孔質球状ミクロビーズおよび培養を通じた病原体抽出を使用する病原体検出アッセイ法の手順を示す図である。
【図2A】生きた病原体の増殖および固形支持体から増殖培地への移動についての略図である。
【図2B】死んだ病原体の固形支持体上での保持についての略図である。
【図3A】3.6cfu(△)または36cfu(○)のL.モノサイトゲネスを播種された50mLの10%デリミートホモジネートの濾過後、培養を通じた高多孔質フィルターからの病原体抽出の速度を示す図である。
【図3B】6.5cfu(△)または65cfu(○)の熱損傷を受けたL.モノサイトゲネスを播種された50mLの10%デリミートホモジネートの濾過後、培養を通じた高多孔質フィルターからの病原体抽出の速度を示す図である。
【図4A】17時間の培養を通じた食物ホモジネートの濾過および病原体抽出とそれに続く免疫クロマトグラフィー検出を使用する開示されたアッセイ法において7.5cfuまたは75cfuのリステリアを播種された25gのデリミート試料の病原体検出アッセイの結果を示す図である。
【図4B】225mLの増殖培地における食物ホモジネートの17時間のインキュベーションとそれに続く免疫クロマトグラフィー検出を使用する従来のアッセイ法において7.5cfuまたは75cfuのリステリアを播種された25gのデリミート試料の病原体検出アッセイの結果を示す図である。
【図4C】培養を通じた食物ホモジネートの濾過および病原体抽出とそれに続く免疫クロマトグラフィー検出を使用する開示されたアッセイ法において、8.9cfuまたは89cfuのリステリアを播種された25gのデリミート試料の合計で13時間後の病原体検出アッセイの結果を示す図である。
【図5A−5C】それぞれL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌(S.enterica)および大腸菌(E.coli)O157の経時的な病原体増殖を示す図である。
【図6A−6C】開示されたアッセイ法における、それぞれL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157の生きたおよび死んだ生物試料の他にも陽性および陰性アッセイ対照をアッセイするための閾値サイクルを示す図である。
【図7A−7C】開示されたアッセイ法において、1cfu/mLまたは1cfu/mg未満のレベルで、L.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157をそれぞれ播種された様々な食物試料をアッセイするための閾値サイクルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の追加の態様、特質および利点は、以下に続く好ましい実施形態の詳細な説明から明らかになる。
【0024】
本開示は、大体積の粒子性試料中における複数の種の1つ以上の生きた病原体を低コスト、短い実践時間および短い総アッセイ時間で同時検出することを可能にする方法に関する。
【0025】
本発明のある種の任意の態様の方法および配置は、WO2009/018544、現在は米国特許出願第12/671,675号(現在 として公開されている)における記載の特質および/または技法のうちの1つまたは組合せを有するフィルターまたは方法を含み得る。これらの文献はその全内容を参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態では、開示された方法は、大体積の粒子性試料から病原体を効率的に濃縮するために、病原体吸着力および高い粒子保持力を有する高多孔質フィルターを用いる。開示された方法の実施形態において有用な高多孔質フィルターは、静電気的、親水性、疎水性、物理的または生物学的相互作用により、好ましくは複数の種において、標的病原体を引き付けることができ、その上、粒子性試料によるフィルター目詰まりを防ぐように構成されていてもよい。ある種の実施形態では、配置されるフィルターは、高い粒子保持力および病原体を捕捉する能力を提供する三次元マトリックスを有するデプスフィルターである。有用なデプスフィルターは、ガラス繊維およびニトロセルロース繊維などの繊維状物質で作製されており、粒子保持率が同じであるまたは異なる単層フィルターまたは多層フィルターで構成され得る。フィルターは適切な粒子保持率および病原体を効率的に捕捉し、試料中の粒子に起因するフィルター目詰まりを回避する厚みを有する。高い粒子負荷力を得るためには、フィルターは、上流側から下流側にその粒子保持率が高い順に配置される粒子保持率が異なる多層のフィルター材料を含んでいてもよい。たとえば、長さが0.5〜2μmで径が0.4〜0.5μmであるL.モノサイトゲネスなどの病原体をデプスフィルターで捕捉するためには、デプスフィルターの適切な粒子保持率は、0.1から10μm、好ましくは0.7から2.4μmでもよい。その上、フィルターは、濾過中に適用される真空力または圧力に耐えるのに十分な機械的強度を有する。
【0026】
他の実施形態では、フィルターは、病原体表面が通常、そこに含有されるリポ多糖、タイコ酸および表面タンパク質のせいで正味の負電荷を有しているので、好ましくは複数の種において、病原体を引き付けるのに正電荷を使用するデプスフィルターである。病原体は、フィルターマトリックスによってではなく、正電荷によってフィルター上に固定されてもよく、したがって、フィルター多孔度をさらに増加させ、フィルター目詰まりをもっと効率よく回避するさらに高い粒子保持力を得ることが可能になる。正電荷は、陽イオン分子を有するまたは正電荷コロイド、正電荷材料で作製された粒子もしくは繊維を組み込んでいるフィルターマトリックスの表面被膜により提供され得る。正電荷材料の例は、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウムおよびヒドロキシアパタイトなどの金属水酸化物および金属酸化物である。好ましくは、金属水酸化物または金属酸化物の等電点は、試料および検出試薬のpH値よりも高くてもよい。ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)などの正電荷を帯びた細菌の稀な例がいくつかある。そのような微生物は、負電荷を有するフィルターによりさらに容易に保持することが可能であり、負電荷を有するフィルターは、正電荷ではなく負電荷を使用して、上記の正電荷フィルターに類似する形で調製することができる。
【0027】
他の実施形態では、フィルターは、抗体、抗原、タンパク質、核酸、炭水化物、アプタマーまたはバクテリオファージなどの、病原体を認識する媒介物を含む。病原体を認識するこれらの媒介物は、試料中に存在する他の微生物に対して選択的にまたは非選択的に病原体を認識することができ、化学的結合、物理的結合、または他の標準固定化法によりフィルターマトリックス上に固定化することができる。ある種の実施形態では、病原体認識媒介物はトール様受容体(TLR)であり、この受容体は、様々な微生物の表面に存在する構造的に保存された分子を認識する。TLR2は、グラム陽性ペプチドグリカンおよびリポテイコ酸を認識することができ、TLR4はグラム陰性菌上のリポ多糖を認識することができる。
【0028】
フィルターに加えて、本開示は、試験される試料中の粒子によるフィルター目詰まりを防ぐ濾過助剤としての多孔質球状ミクロビーズの使用に関する(図1)。有用なミクロビーズは、粒度分布が小さな、球、楕円(spheroidally)または楕円(ellipsoidally)形状多孔質ミクロビーズでもよい。ミクロビーズは、立方最密構造および六方最密構造またはそれに近い構造などの最密構造を帯びてもよい。ミクロビーズは、試験される病原体が試料濾過中にミクロビーズの間を通過するように、典型的には、1から1000μm、好ましくは15から600μm、さらに好ましくは50から300μmの径を有していてもよい。有用なミクロビーズは、懸濁されるが水中、緩衝液中、増殖培地中または試料溶液中で浮遊しない適切な比重を有する。たとえば、ミクロビーズは、湿った状態で1.0から1.5の、好ましくは湿った状態で1.0から1.3の比重を有するものであり得る。ミクロビーズは、典型的には、標的病原体よりも小さな孔を有し、それによって、試料濾過中、病原体が多孔質球状ミクロビーズの孔内部に捕捉されるのを防ぐことができる。好ましくは、ミクロビーズは、不活性表面、好ましくは親水性表面を有しており、タンパク質、核酸、炭水化物、細菌、ウイルスおよび生物を含む、生体分子および微生物に対する非特異的結合が低くてもよい。一つの任意の実施形態では、ミクロビーズは、ポリメタクリレートおよびデキストランなどの架橋ポリマーなどの適切な材料で作製されている。随意に、ミクロビーズは、その多孔質構造による下流検出反応を阻害する可能性のある物質を取り除くことができる。
【0029】
多孔質球状ミクロビーズを使用して、以下の方法のうちの少なくとも1つ、またはそれらの組合せで大体積の粒子性試料の濾過を助けてもよい。濾過助剤は、試料濾過前に、病原体吸着力のある高多孔質フィルターの上流表面に、多孔質球状ミクロビーズの均一な層または段階的な層として重ねることができる。代わりに、濾過助剤は、濾過の前に粒子性試料に添加して、試料濾過中に多孔質球状ミクロビーズの層を形成させ、それによって、ミクロビーズの新たな層を連続して提供して、濾過をさらに改善することができる。試料濾過後に濾過助剤層を簡単に取り除けるように、高多孔質フィルターと濾過助剤層の間にメッシュ支持体を置いてもよい。適宜、病原体のミクロビーズ表面への結合を最小限に抑えるために、多孔質ミクロビーズは、使用前にペプチドやタンパク質などのブロッキング試薬を含有する溶液中で前インキュベートされるまたは懸濁される。
【0030】
検出されるべき病原体はミクロビーズの間を通過することがあり、典型的には、ミクロビーズの表面上または孔において捕捉されない。一方、濾過助剤層がないと典型的にフィルターを目詰まりさせる試料中の粒子は、ミクロビーズ表面上および多孔質球状ミクロビーズ間の間隙において捕捉してもよい。ミクロビーズの多孔質構造のため、濾過中の試料の流れはビーズ間を通過するだけではなく、ミクロビーズそれ自体も貫通し、したがって、試料粒子はビーズ間の間隙でではなくむしろビーズ表面で捕捉される傾向があり、それによって、多孔質球状濾過助剤層は高い粒子保持力を提供し、大体積の粒子性試料の濾過中のフィルター詰まりを防ぐことができる。試料の完全な濾過後、濾過助剤層を破壊することができ、ミクロビーズは洗浄液に懸濁させることができ、洗浄液は濾過されて粒子性試料の最初の濾過中に濾過助剤層に捕捉され得る病原体を収集し、それによって、フィルターへの病原体固定化収率を改善することができる。この洗浄工程は数回繰り返して、フィルターへの病原体回収率を最大にすることができる。洗浄液は典型的には、病原体に有害ではない緩衝液または増殖培地である。
【0031】
ある種の実施形態では、増殖培地を使用し得る。増殖培地には、一般に、病原体増殖のための炭素源、窒素源、アミノ酸および様々な塩のうちの1つまたは複数が含まれる。いくつかの実施形態では、増殖培地は、L.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌(E.coli)O157などの複数の種における病原体の同時増殖ならびに熱、寒さ、酸、アルカリ、冷蔵、凍結、圧力または真空などの試料状態により損傷を受けた場合の病原体の急速蘇生を支持する非選択培地でも選択培地でもよい。米国特許第5,145,786号、米国特許出願公開第2008/0014578号、およびAppl.Environ.Microbiol.2008、74、4853〜4866頁(これら文献はすべて参照によりその全体を本明細書に組み込まれる)にそれぞれ開示されているユニバーサルプレエンリッチメントブロス(UPB)、No.17ならびにサルモネラ菌、大腸菌およびL.モノサイトゲネス増殖培地(SEL)などのいくつかの増殖培地は、本発明において特に有用である可能性がある。なぜならば、それらの培地は、食物試料由来のL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌種および大腸菌O157などの複数の種における病原体の同時増殖を支持するように開発されたからである。UPBは、培養中の競合する微生物の増殖に起因する急速なpH低下を防ぐために、高度に緩衝されており炭水化物が少ない。したがって、UPBは損傷した病原体でも同時濃縮を支持することができる。No.17はUPBと類似の培地組成物を有する。SELは、L.モノサイトゲネスの増殖に加えて、サルモネラ菌種および大腸菌O157の増殖を支持するために抗生物質の濃度を下げることにより、リステリア選択増殖培地である緩衝されたリステリア濃縮ブロス(BLEB)を基に開発された。ブレインハートインフュージョンブロス(BHI)、栄養ブロス(NB)およびトリプチックソイブロス(TSB)などの他の非選択増殖培地は有用である可能性があるが、それらの増殖培地はジェイムソン効果、すなわち、培養物中の高い全微生物濃度はあらゆる微生物の増殖を抑制するという現象を示すことで知られている。代わりに、増殖培地は、競合する微生物に対する抗生物質などの1つ以上の選択作用物質を含む選択増殖培地であることができる。選択作用物質の濃度が高い選択培地は、それにもかかわらず、高濃度の選択作用物質は、損傷を受けた病原体の蘇生を妨げ培養物中のすべての病原体の増殖速度を下げることがあるので望ましくない。増殖培地は、増殖培地中の酸素濃度を減らすことにより特定の病原体の増殖および/または損傷を受けた病原体の蘇生を加速するL−システインおよびオキシラーゼ(Oxtrase Inc.、Mansfield、OH)などの化合物を適宜含有し得る。
【0032】
ある種の任意の実施形態では、大体積の粒子性試料中の1つ以上の病原体の検出は、以下を含む(図1)。
(1)高多孔質フィルター25および多孔質ミクロビーズ30濾過助剤を含む層状のフィルターを通して複数の種の病原体20を含有する可能性のある大体積の粒子性試料10をフィルターハウジング15において濾過し、それによりフィルターにおいて標的病原体20を収集するステップ。任意選択的に、濾過は吸引35により補助される。
(2)フィルターにおける病原体の回収を最大限にし、病原体増殖または病原体検出アッセイのどんな潜在的阻害因子も取り除くために、必要に応じて、フィルター25および多孔質ミクロビーズ30濾過助剤を洗浄するステップ。
(3)フィルター25を収集し、病原体20が検出可能になるように、損傷を受けた場合には病原体20の蘇生、病原体20の増殖、および増殖した病原体20の増殖培地40への拡散に十分な期間、増殖培地40においてフィルター25をインキュベートするステップ。
(4)病原体検出アッセイを使用して、増殖培地40において増殖した病原体20’を検出するステップ。
【0033】
ステップ1および2は、典型的な食物試料、たとえば、250mLの10%(w/v)デリミートおよびホットドッグホモジネートの場合は、5から30分以内に完了することができる。ステップ3に必要な時間は、試料中の病原体濃度、病原体の倍加時間およびステップ4における病原体検出アッセイの感度に依存する。たとえば、ステップ4においてリアルタイムPCR(1から100cfu感度)が使用される場合、ステップ3は1時間から8時間以内に完了し得る。免疫クロマトグラフィー(105から106cfu感度)などの感度がもっと低いアッセイを使用する場合、ステップ3は、病原体濃度がアッセイ感度に達するまでもっと長い時間がかかる可能性がある。ステップ4は、選択されるアッセイに応じて、数分から数時間以内に完了させることができる。
【0034】
任意選択的に、損傷を受けた病原体を蘇生し検出するためには、粒子性試料は、試料濾過前に、損傷を受けた病原体の蘇生を可能にする増殖培地または溶液中で調製しインキュベートし得る。
【0035】
病原体の増殖および/または増殖した病原体のフィルターからの拡散を促進するためには、ペトリ皿および遠心管などの容器内で、攪拌、振盪、回転もしくは混合して、または、せずにフィルターインキュベーションを行うことができる。フィルターインキュベーションは、増殖培地の連続流または非連続流において行うことが可能であり、増殖培地は、連続流を使用する場合には循環させてもよい。フィルターに固定化された病原体をわずかな体積中に抽出し、それによって、増殖培地中の病原体濃度がさらに高くなり病原体はもっと早期に検出することができるように、増殖培地の体積はできる限り低いほうが好ましいことがある。増殖培地の体積は、50mL未満、10mL未満または5mL未満でもよい。
【0036】
L.モノサイトゲネス、サルモネラ菌種および大腸菌O157などの複数の種における標的病原体は、これらの病原体の同時増殖を支持するUPB、No.17、BHI、NBおよびTSBなどの非選択増殖培地を使用することにより同時にアッセイすることができる。一般に、試料中の標的ではない微生物は、さらに急速に増殖し、増殖培地における栄養源およびエネルギー源の消耗ならびに増殖培地のpHの低下を引き起こすことにより、標的病原体の単離を妨げることがあり、したがって、標的病原体の増殖は検出可能レベルに到達する前に抑制されることがある(ジェイムソン効果)。しかし、開示された病原体検出アッセイでは、濾過により試料体積を著しく減少させ、病原体の増殖を抑制し得る食物残渣を取り除くことが可能であり、したがって、標的病原体は、生物増殖の低下段階に到達する前に非選択増殖培地においてさえ検出可能レベルまで増殖することができる。代わりに、複数の標的病原体の同時増殖を支持するが、他の非標的微生物の増殖を抑制する選択増殖培地を使用することができる。そのような選択増殖培地の一例は、L.モノサイトゲネス、サルモネラ菌種および大腸菌O157の同時増殖のためのSELブロスである。病原体の増殖を支持する非選択または選択増殖培地を使用して、複数種における病原体と同様に単一種の標的病原体を試験することができる。しかし、アッセイ処理量およびコストパフォーマンスを増加するためには複数種において病原体についてのアッセイを同時に行うほうが好ましい。
【0037】
小体積の増殖培地における高多孔質フィルターのインキュベーションは、フィルターに固定化された病原体を増殖させることができ、増殖した病原体はインキュベーションとともに増殖培地の溶液相に出てくることができ、したがって、病原体検出は、増殖培地における増殖した病原体の存在をアッセイすることにより行うことができる。病原体または特定の病原体の存在を示すゲノムDNA、リボソームRNA、トランスファーRNA、メッセンジャーRNAまたはタンパク質などの病原体の細胞成分は、上清から抽出され検出のために使用することができる。それらの細胞成分の抽出は、標準分子生物学技法または市販の製品を使用して行うことができる。有用な病原体検出アッセイは、発色性寒天プレート、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、他の任意の核酸増幅、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫クロマトグラフィー、バイオセンサーまたは核酸プローブである。
【0038】
複数の標的病原体がアッセイされる場合、フィルターインキュベーション後の増殖培地の上清または抽出された細胞成分は分割して各病原体の検出のために個々に使用することができる。代わりに、フィルターインキュベーション後の増殖培地の上清または抽出された細胞成分は、複数の標的病原体を同時に検出するマルチプレックスPCR、マルチプレックスELISA、DNAマイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイおよびルミネックスアッセイなどのマルチプレックス病原体検出アッセイによって試験することができる。
【0039】
代わりに、病原体または特定の病原体の存在を示すゲノムDNA、リボソームRNA、トランスファーRNA、メッセンジャーRNAもしくはタンパク質などの病原体の細胞成分は、増殖培地、界面活性剤、カオトロピック試薬、有機溶媒または電気泳動の使用により、フィルター構造を破壊してまたは破壊せずに、フィルターから抽出され、上記の従来の病原体検出アッセイを使用して検出することができる。有用な界面活性剤またはカオトロピック試薬は、Tween−20、CHAPS、Triton Xシリーズ、NP40、ドデシル硫酸ナトリウムまたは塩化グアニジウムでもよい。リボザイムおよびプロテイナーゼKなどの酵素またはDMSOなどの有機溶媒を、病原体および/またはその細胞成分の収集率を増強するために含んでいてもよい。必要であれば、フィルターの振盪、加熱および均質化などの任意の物理的方法を組み合わせて、収集効率を増強してもよい。
【0040】
生きた病原体の選択的な検出の方法に関する本発明の追加の実施形態は、図2A〜2Bに図示されている。そこに図示されているように、生きた/死んだ病原体20/20Aは、静電気的相互作用、水素結合、疎水的相互作用または抗体−抗原相互作用等を介して固形支持体50に永久的にまたは半永久的に固定化されていてもよいが、生きた病原体は上記の増殖培地40において固形支持体50のインキュベーション中増殖することができ、増殖した病原体20は固形支持体に再び固定化される前に増殖培地相に出てくることができる。増殖した病原体がインキュベーション中に固形支持体に固定化されても、その子孫はそれでも増殖培地に出てくることができる。一方、死んだ病原体は増殖せず、したがって、増殖培地においては死んだ病原体は観察されないことになる。したがって、固形支持体のインキュベーションにより、増殖した生きた病原体の増殖培地への選択的放出および死んだ病原体を固形支持体に留めておくことが可能になる。さらに、固形支持体は、インキュベーション中に、固定化された死んだ病原体が増殖培地相に放出されることを回避させる三次元マトリックス、迷路様構造、メッシュ、孔等などの物理的障壁を有していてもよい。なぜならば、これは、PCRなどのその後の病原体検出により偽陽性結果になるおそれがあるからである。固形支持体の一例は、上記の三次元マトリックスを有するフィルターなどの高多孔質フィルター25である。インキュベーション後の増殖培地における増殖した病原体の存在をアッセイすることにより、生きた病原体の選択的検出は、試料中の死んだ病原体に起因する偽陽性結果を有さずに達成することができる。特に、急速で感度が良いが、生きた病原体と死んだ病原体の区別をしない可能性があるPCRアッセイまたは他の核酸増幅技術が増殖した病原体の検出のために使用される場合、開示された方法は急速で感度の良い生きた病原体検出を可能にする。
【0041】
任意選択的に、固形支持体50は、病原体に対する忌避物質(たとえば、毒性はあるが生命を危うくすることはない)で作製されていても被膜されていてもよく、したがって、インキュベーション中、増殖した病原体は走化性(生物は毒性領域から非毒性領域に移動する)を通じて増殖培地相に移動し得る。
【0042】
検出し得る病原体の例には、病原性細菌およびヒト、動物、植物、環境および/または産業に感染性のもしくは有害な他の微生物が含まれる。病原性細菌の例には、大腸菌属(Escherichia)、サルモネラ属(Salmonella)、リステリア属(Listeria)、カンピロバクター属(Campylobacter)、赤痢菌属(Shigella)、ブルセラ属(Brucella)、ヘリコバクター属(Helicobactor)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、連鎖球菌属(Streptococcus)およびシュードモナス属(Pseudomonas)が含まれるが、これらに限定されない。病原性ウイルスは、本明細書に開示される従来の病原体検出法と組み合わせて検出することができる。病原性ウイルス科の例には、アデノウイルス科(Adenoviridae)、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)、ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)、フラビウイルス科(Flaviviridae)、レトロウイルス科(Retroviridae)、オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)、パポバウイルス科(Papovaviridae)、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)およびトガウイルス科(Togaviridae)が含まれるが、これらに限定されない。さらに、開示された濾過システムは、大体積の粒子性試料中の病原性微生物と非病原性微生物の両方を検出するのに有用である。
【0043】
試験することが可能な粒子性試料の例には、食物試料、食物試料のホモジネート、食物試料の洗浄液、飲用水、海洋/河川水、環境水、泥および土壌が含まれるが、これらに限定されない。さらに、種々の環境表面を拭き取るスワブ、スポンジおよびタオルも同様に試験することができる。さらに、開示された濾過システムは、ヒト体液、尿、血液および製造用水/溶液を含む、他の大体積の粒子性試料を試験するのに有用である。試料、特に固形は、試料のより効率的な濾過のために、試料濾過前に、希釈する、均質化するおよび/または50〜1000μmの孔を有するメッシュフィルターで前濾過することができる。
【実施例1】
【0044】
様々な用量のL.モノサイトゲネスを播種された50mLの10%デリミートホモジネートは、開示された病原体検出アッセイにより試験された。
【0045】
L.モノサイトゲネスは、BHI(ブレインハートインフージョン)ブロスにおいて37℃で一晩培養され、病原体濃度はコロニー計数法により推定された。熱損傷を受けたL.モノサイトゲネスは、新たに培養されたL.モノサイトゲネスをBHIブロスにおいて50℃で10分間加熱することにより調製された。10%デリミートホモジネートは、230rpmで2分間、ストマッカー(Seaward、UK)により225mLのPBS中で25gのデリミートを均質化することにより調製された。50mLの10%デリミートホモジネートは、病原体検出アッセイを行う前に、様々な用量のL.モノサイトゲネスを播種された。
【0046】
病原体検出アッセイは以下の通りに行われた。(1)L.モノサイトゲネスを播種された50mLの10%デリミートホモジネートは、真空濾過によりGMF150(1μm)フィルター(Whatman、NJ)で濾過される、(2)フィルターは無菌容器に移される、(3)フィルターは、5mLのハーフフレーザーブロスにおいて30℃で4、6または8時間インキュベートされる、(4)RAPID L’mono寒天(BioRad、CA)を使用する病原体検出アッセイのために100μLの上清が使用される。
【0047】
3.6または36cfuのL.モノサイトゲネスを播種された50mLの10%デリミートホモジネートは、2通りに試験された。異なるインキュベーション時間、RAPID L’mono寒天上で観察されたL.モノサイトゲネスコロニーの平均数は、図3Aに示されている。このデータは、GMF150(1μm)に固定化されたL.モノサイトゲネスが培養を通じて首尾よく上清に抽出され、6時間インキュベーションはRAPID L’mono寒天による検出に十分であったことを示している。
【0048】
6.5または65cfuの熱損傷を受けたL.モノサイトゲネスを播種された50mLの10%デリミートホモジネートも試験された。異なるインキュベーション時間、RAPID L’mono寒天上で観察されたL.モノサイトゲネスコロニーの平均数は、図3Bに示されている。このデータは、GMF150(1μm)に固定化された熱損傷を受けたL.モノサイトゲネスが培養を通じて首尾よく蘇生されて増殖培地に抽出され、7時間インキュベーションはRAPID L’mono寒天による検出に十分であったことを示している。
【実施例2】
【0049】
様々な用量のリステリアを播種された25gのデリミート試料は、開示された病原体検出アッセイにより試験された。
【0050】
リステリア・イノキュア(Listeria innocua)はBHIブロスにおいて37℃で一晩培養され、リステリア濃度はコロニー計数法により推定された。25gのデリミート試料は、様々な用量のリステリアをその表面に人為的に播種され、室温で少なくとも30分間乾燥された。
【0051】
病原体検出アッセイは以下の通りに行われた。(1)リステリアを播種された25gのデリミート試料は、230rpmで3分間、ストマッカー(Seaward、UK)により225mLのPBS中で均質化される、(2)食物ホモジネートは、真空濾過により、2gの多孔質球状ミクロビーズ(架橋されたポリメタクリレート、EG50OH、Hitachi Chemical、日本)とともに、GMF150(1μm)フィルター(Whatman、NJ)で濾過される、(2)フィルターは無菌容器に移され、5mLのLESS培地(Neogen、MI)中30℃で17時間インキュベートされる、(3)リステリア用のReveal(Neogen、MI)を使用する免疫クロマトグラフィー検出アッセイのために135μLの上清が使用される。
【0052】
7.5または75cfuを播種された25gのデリミート試料が試験された(図4A)。17時間インキュベーションとともに、対照ウィンドウ65と比べた場合試験ウィンドウ60における非常に強い陽性シグナルが7.5と75cfu試料の両方で得られ、リステリアの存在を示している。
【0053】
参考では、7.5または75cfuを播種された25gのデリミート試料が、(1)食物試料は225mLのLESS培地中30℃で17時間インキュベートされる、および(2)リステリア用のRevealを使用する病原体検出アッセイのために135μLの上清が使用される従来のアッセイプロトコールにおいて試験され、弱い陽性シグナルしか得られなかった(図4B)。24時間インキュベーション後に、図4Aに類似する強い陽性シグナルが得られた。これらのデータは、開示された病原体検出アッセイが、従来のアッセイプロトコールよりも少なくとも7時間早く25gのデリミート試料中におけるわずか7.5cfuのリステリアを検出することができることを示唆している。
【実施例3】
【0054】
様々な用量のリステリアを播種された25gのデリミート試料は、病原体検出アッセイにより試験された。
【0055】
病原体検出アッセイは以下の通りに行われた。(1)リステリアを播種された25gのデリミート試料は、230rpmで3分間、ストマッカー(Seaward、UK)により225mLのPBS中で均質化される、(2)食物ホモジネートは、真空濾過により、2gの多孔質球状ミクロビーズ(架橋されたポリメタクリレート、EG50OH、Hitachi Chemical、日本)とともに、GMF150(1μm)フィルター(Whatman、NJ)で濾過される、(3)フィルターは無菌容器に移され、5mLのLESS培地(Neogen、MI)中30℃で12時間インキュベートされる、(4)2mLの上清中の増殖したリステリアは、10,000rpmで5分間の遠心分離により150μL体積に濃縮される、および(5)リステリア用のReveal(Neogen、MI)を使用する免疫クロマトグラフィー検出アッセイのために135μLの濃縮された試料が使用される。
【0056】
8.9または89cfuを播種された25gのデリミート試料は、上記のプロトコールを用いて試験された(図4C)。合計で13時間以内に、25gのデリミート試料中わずか8.9cfuリステリアが首尾よく検出され、同じ検出法を使用する従来のアッセイよりも少なくとも11時間早くアッセイ結果が得られることになる。
【実施例4】
【0057】
ここで使用される試料は、様々な濃度の食物病原体(L.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157)を播種された10mLの10%デリミートホモジネートである。ガラス繊維で作製されたデプスフィルターは、物理的障壁を有する固形支持体として使用された。病原体固定化は、食物ホモジネートの真空濾過により行われた。固形支持体のインキュベーションは、37℃で最長8時間5mLのユニバーサルプレエンリッチメントブロス(UPB)において行われた。病原体検出は、増殖培地の分画を使用する発色性寒天またはリアルタイムPCRにより行われた。
【0058】
図5A〜5C、発色性寒天データ、に示されるように、病原体は固形支持体の5から8時間インキュベーション後、増殖培地において首尾よく検出された。リアルタイムPCR検出も、6時間および8時間インキュベーションを用いる別々の実験において、増殖培地中でL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157を首尾よく検出した。
【実施例5】
【0059】
L.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157は、5mLのBHIブロスにおいて37℃で一晩培養された。生物濃度はプレート計数法により決定された。L.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157の死んだ生物は、60℃で30分間生物を加熱することにより調製され、その無菌性はBHI寒天プレート上に蒔くことにより確認された。
【0060】
第一に、死んだ生物がそのゲノムDNAをまだ維持していることを確認するために、ゲノムDNAは105cfuの生きたまたは死んだ生物から調製され、以下の通りにリアルタイムPCRにより解析された。生きたおよび死んだ生物の閾値サイクルは類似しており、したがって、熱処理はL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157のゲノムDNAまたは生物構造を変質させないことが結論付けられた。
【0061】
第二に、開示されたアッセイ法が死んだ生物に起因するPCRの偽陽性を排除することが可能であり、過剰な死んだ生物の存在下で少量の生きた生物を区別することができることを確認するために、以下の実験が行われた。10mLのBHIブロス試料は、様々な量の生きたおよび死んだ生物:13(1×)、130(10×)、1,300(100×)および13,000cfu(1000×)のL.モノサイトゲネス、2.7(1×)、27(10×)、270(100×)および2,700cfu(1000×)のサルモネラ菌ならびに8.0(1×)、80(10×)、800(100×)および8,000(1000×)cfuの大腸菌O157を播種された。これらの試料は、真空吸引法により、ガラス繊維デプスフィルター、GMF150(1μm)(Whatman、NJ)で濾過された。フィルターは容器に入れられ、5mLのユニバーサルプレエンリッチメントブロスにおいて37℃で6時間インキュベートされた。2mLの上清が取り除かれ、ゲノムDNAはQuick−gDNA Microprepキット(Zymo Research、CA)により調製され、リアルタイムPCRにより定量化された。それぞれ図6A、6Bおよび6Cに示されるように、生きたL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157病原体は、低閾値サイクルを用いたリアルタイムPCRにより首尾よく検出され、死んだ病原体は検出されないまたは高閾値サイクルを用いた場合のみ検出された。○印は適切な融解曲線を有する閾値サイクルを示し、×印は適切な融解曲線のない閾値サイクルを示す(検出されない試料では50)。陽性および陰性対照は、それぞれ精製されたゲノムDNAおよび水である。
【実施例6】
【0062】
様々な食物試料(100mLの全乳、25mLのオレンジ果汁または25gのデリミート)は、1cfu/mLまたは1cfu/mg未満レベルでL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157病原体を播種された。
【0063】
病原体検出アッセイは、以下の通りに行われた。(1)100mLの全乳および25mLのオレンジ果汁試料は、それぞれ100mLおよび225mLのPBSに希釈され、25gのデリミート試料は200rpmで30秒間ストマッカー(Seaward、UK)により225mLのPBS中で均質化される、(2)各食物ホモジネートは真空濾過により、0.5gから1gの多孔質球状ミクロビーズ(架橋されたポリメタクリレート、EG50OH、Hitachi Chemical、日本)とともに、GMF150(1μm)フィルター(Whatman、NJ)で濾過される、(3)フィルターは5mLのUPBにおいて37℃で6時間インキュベートされる、(4)ゲノムDNAはQuick−gDNA Microprepキット(Zymo Research、CA)により上清から抽出され、リアルタイムPCRにより検出される。
【0064】
図7A、7Bおよび7Cに示されるように、様々な食物試料中1cfu/mLまたは1cfu/mg未満レベルのL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157病原体は、合計で8時間以内に首尾よく検出された。○印は各食物試料の閾値サイクルを示し、−印は閾値サイクルの平均を示す。下の表1はアッセイ精度と一緒にアッセイ結果を要約している。
【表1】
【実施例7】
【0065】
25gの様々な試料(デリミート、牛ひき肉、ホットドッグ、ロメインレタス、牛乳およびオレンジ果汁)は、25gあたり1から10cfuレベルでL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157病原体を播種された。
【0066】
病原体検出アッセイは、以下の(1)25gの食物試料は、225mLのUPB中で均質化されるまたは希釈され、37℃で6時間インキュベートされる、(2)食物ホモジネートは真空濾過により、0.5gから1.0gの多孔質球状ミクロビーズ(架橋されたポリメタクリレート、EG50OH、Hitachi Chemical、日本)とともに、GMF150(1μm)フィルター(Whatman、NJ)で濾過される、(3)フィルター内の固定化された病原体は5mLの溶出緩衝液(10mM Tris−HCl、pH8.0、1mMのEDTAおよび0.5%(v/v)のTween−20)を用いて抽出される、(4)ゲノムDNAは抽出され、iQ check Listeria II、Salmonella IIおよびE.coli O157キット(Biorad、CA)を使用するリアルタイムPCRにより検出される、の通りに行われた。
【0067】
下の表2において要約されるように、25gの様々な食物試料中のL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157は、8時間以内に100%のアッセイ精度でリアルタイムPCRにより首尾よく検出された。
【表2】
【0068】
本明細書において使用される成分、構成物の量、反応条件等を表すいかなる数字も、あらゆる場合に用語「約(about)」に修飾されていると理解されるべきである。記載されている数値の範囲およびパラメータ、本明細書に提示される主題の広い範囲は近似であるが、記載されている数値はできる限り正確に示されている。しかし、いかなる数値も本質的に、それぞれの測定法に見出される標準偏差から明らかなように、ある種の誤差または不正確さを含有している可能性がある。本明細書に列挙される特質はどれも、用語「意味する(means)」が明確に使用されていなければ、35U.S.C.§112,¶6を呼び起こしていると解釈されるべきではない。
【0069】
本発明はその好ましい実施形態と関連して説明されてきたが、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、具体的に記載されていない付加、欠失、改変および置換を行い得ることは当業者であれば認識されるであろう。
【技術分野】
【0001】
本開示は、大体積の粒子性の試料中で病原体を急速に検出するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
文献、行為または知識項目が言及されるまたは考察される本明細書において、この言及または考察は、当該文献、行為もしくは知識項目またはその任意の組合せが優先日に公然と利用可能であった、公衆に公知であった、共通一般知識の一部であった、適用される法律の条項下において他の方法で先行技術を構成する、または本明細書が関与するなんらかの問題を解決する試みと関連があることが知られていることを認めるものではない。
【0003】
米国疾病予防管理センター(CDC)による最近の概算によれば、食品媒介病原体は、毎年、合衆国内だけでも食物が媒介する疾病のうちの7600万症例、325,000件の入院、および5000件の死亡の原因となっている。これらの食物が媒介する疾病の大発生は、人への有害な医学的影響に加えて、医療費、生産性の損失、商品の回収および輸出の停止による弊害のある経済的影響を及ぼす。米国農務省(USDA)は、小量の病原体でも生き延びて食中毒または集団発生を引き起こすことがあるので、特定の食物媒介病原体に対してはゼロトレランス政策を推奨している。したがって、食物試料中の単一の病原体でも検出することができる感度の良い病原体検出技術の開発が必要である。
【0004】
食物媒介病原体の検出には現在多くの検出技術および製品が利用可能であるが、数グラムの食物試料を汚染している単一の病原体を24時間の枠内で検出するのはまだ難問である。一般に、病原体は希釈および均質化により食物試料から抽出され、数百mLものまたはそれよりもはるかに多い試料体積が得られる。大体積の試料中における少数の病原体を検出するためには、病原体濃度が病原体検出アッセイに適したレベルに到達するまで生物を培養する必要がある。必要な前濃縮時間は、倍加時間、標的病原体の生存率、検出に必要な病原体濃度および食物試料の潜在的増殖阻害効果に依存する。濃縮は通常、少なくとも12時間から48時間かかる。したがって、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などの高感度検出アッセイを使用しても、食物試料中の病原体汚染の検出にはそれでも1日から2日は必要である。さらに、これらのアッセイは一般に高価であり、熟練の検査室職員が必要である。
【0005】
さらに、培養前濃縮を用いる食物病原体アッセイは、濃縮された病原体を取り扱う必要があり、このために検査室および職員の二次汚染を引き起こす可能性がある。したがって、これらのアッセイは、食品製造工場の現地での検査には適しておらず、代わりに現地外で、たとえば、参考検査室において行う必要がある場合がある。その上、培養前濃縮は、混入した食物病原体に関する定量的情報の消失を引き起こすことがある。なぜならば、病原体の生存率および汚染レベルならびに食物試料の成分は、病原体増殖速度および静止期に到達する時間または生物増殖の減退期に影響を及ぼし得るからである。したがって、前濃縮を用いる食物病原体アッセイは非定量的であり、食物病原体汚染のレベルを推定することは困難である。
【0006】
前濃縮を用いる病原体アッセイの前述の不利な点を克服するためには、病原体濃度を増加させるための大体積の試料の遠心分離または濾過などの代わりの濃縮法が必要になる可能性がある。しかし、遠心分離には遠心機が必要であり、特に多数の大体積の試料を試験する必要がある場合は、一般に厄介なプロセスである。
【0007】
濾過はさらに高いスループットで実施可能であり、大体積の試料中に存在する少数の病原体でさえ濃縮することができる。病原体を濃縮するためには、濾過法は一般に精密濾過(MF)膜フィルターを用いるが、このフィルターは一般に標的病原体よりも小さなポアサイズを有している。したがって、病原体はそのようなフィルター上で濃縮し、コロニー形成およびDNAプローブハイブリダイゼーションなどのいくつかの検出法により検出することができる。しかし、これらの膜フィルターは粒子保持力が非常に低く、その小さな孔サイズのせいで粒子性食物抽出物で容易に詰まる傾向がある。これらのフィルターは飲用水および環境水などの含有する粒子がより少ない試料に、またはごく小体積の粒子性試料に適している。保持率が適切なデプスフィルターも、病原体を捕捉するのに使用されているが、そのようなデプスフィルターに捕捉される病原体の検出は、その三次元マトリックス構造およびフィルター厚みにより複雑になる。
【0008】
食物試料中の生きた病原体を検出することが極めて重要である。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、そのアッセイ感度、速度および精度のおかげで急速病原体検出のための新しい優れた基準になりつつある。しかし、PCRは病原体ゲノムDNAの短い特定の領域を標的にしており、この領域は生物が死んだ後でも無傷のままでいることが多いために、PCRそれ自体により生きた病原体と死んだ病原体を区別するのは非常に困難である。最近、食品産業では、PCRアッセイを、生きた病原体は増殖することができるが死んだ病原体は増殖しない増殖培地における一晩の前濃縮ステップと組み合わせることが多い。
【0009】
PCRは非常に感度がよく10コピー未満のゲノムDNAでも検出することができるために、食物試料が死んだ病原体のみで高度に汚染されている場合には、PCRアッセイは偽陽性結果を出し、製品製造および輸送を必要もなく遅延させてしまうことになる。たとえば、デリミート、牛乳およびオレンジ果汁などの低温殺菌された食物試料をアッセイする場合に、その試料が低温殺菌前に病原体で汚染されているならば、そのような状況が起こるおそれがある。このような問題を回避するためには、生きた病原体が、食物試料中の死んだ病原体の考えられ得るどんな汚染レベルよりもはるかに高い濃度まで増殖することができる前濃縮条件を使用する必要がある。たとえば、1cfuの生きたリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes(L.monocytogenes))は、その増殖速度を1時間あたり2.5倍と仮定すると、24時間で3.6×109cfuまで増殖し得る。したがって、24時間の前濃縮ステップを用いれば、PCRアッセイは、死んだ生物に起因する偽陽性結果をほとんど出さずに、わずか1cfuの生きたL.モノサイトゲネスを検出し得る。なぜならば、そのような高レベルまたは109cfuまで汚染されている可能性がある食物試料はごくわずかだからである。
【0010】
最近、総アッセイ時間または最終アッセイ結果を得る時間を1勤務シフトまたは8時間未満まで短縮するようにという、食品産業からの要望および要求が増えている。試料調製および検出アッセイに必要な時間を考慮すると、1勤務シフト以内で病原体検出を達成するためには、前濃縮ステップに割ける時間はわずか6時間またはそれ未満である。しかし、たとえば、1cfuの生きたL.モノサイトゲネスは、その増殖速度を1時間あたり2.5倍と仮定しても、6時間で2.4×102cfuまでしか増殖しない可能性がある。したがって、一部の低温殺菌された食物試料は、死んだ生物に低レベルまたは102cfuまで汚染されていることがあるため、6時間前濃縮ステップを用いたPCRアッセイは、死んだ生物に起因する偽陽性結果に頻繁に直面する可能性がある。非常に感度の良いPCRアッセイを使用しても、死んだ生物に起因する頻繁な偽陽性問題のせいで前濃縮ステップを6時間またはそれ未満まで短縮することはそれでも非常に困難であり、これが食物検査においてPCRを用いる不利な点の1つになっている。
【0011】
前濃縮ステップを用いた従来のPCRベースの病原体検出において高い偽陽性結果を回避するためには、生きた食物病原体検出のための、特にPCR検出のための効果的試料調製法を用いるのが望ましいと考えられる。
【0012】
本発明の開示を促進するために、従来の技術のある種の態様を考察してきたが、本出願者らは、これらの技術面の権利を決して放棄することはなく、主張される本発明は本明細書において考察される従来の技術面のうちの1つまたは複数を包含するまたは含む可能性があることが企図されている。
【0013】
<定義>
本明細書において具体的に定義されていなければ、技術用語および科学用語はすべて、関連技術の当業者により一般的に理解されているのと同じ意味を有する。その上、本明細書において確認されるすべての出版物、特許出願公開および特許は、参照によりその全体を組み込まれている。
【0014】
本明細書で使用されるように、「選択的作用物質」または「選択的媒体」は、培地において非標的または競合する微生物の増殖を抑制するように作用する作用物質または1つもしくは複数の作用物質を含有する媒体を意味する。
【0015】
本明細書で使用されるように、「濾過中の目詰まりを防ぐためように構成される」は、標的病原体を効率的に捕捉するが、濾過を受けている試料中に存在する粒子に起因するフィルター目詰まりを回避するのに適切な粒子保持率および厚みを有することを意味する。
【0016】
本明細書で使用されるように、フィルターの「粒子保持率」は、98%の効率でフィルターにより取り除くことが可能な曝露した粒子の寸法として定義される。粒子保持率は膜フィルターの場合は孔サイズに類似しているが、デプスフィルターの粒子保持率は、その厚みのためにその孔サイズより小さい。
【発明の概要】
【0017】
一態様によれば、本発明は、生きた病原体および死んだ病原体を含有する試料中における、死んだ病原体を検出することなく、生きた病原体を選択的に検出する方法であって、(i)生きた病原体および死んだ病原体の少なくとも一部を物理的障壁のある固形支持体上に固定するステップと、(ii)増殖培地中で固形支持体をインキュベートするステップと、このとき、培地中で生きた病原体が増殖することができ、増殖した病原体が固形支持体から増殖培地の上清に移動し、(iii)上清中における増殖した病原体を病原体アッセイにより検出するステップとを含む方法を提供する。
【0018】
追加の態様によれば、本発明は、試料中における生きた病原体を選択的に検出する方法であって、病原体を引き付けるように構成されており、その結果、濾過中の目詰まりを防ぐように構成されている孔を有するフィルターを通して試料を濾過するステップと、それにより病原体をフィルター中に収集し、病原体の増殖および増殖した病原体の増殖培地への拡散に十分な期間、フィルターを増殖培地中でインキュベートするステップと、病原体アッセイにより、増殖培地中における、増殖した病原体の存在を病原体の指標として検出するステップとを含む、方法を提供する。
【0019】
さらに別の態様によれば、本発明は、粒子性の試料中における病原体を検出する方法であって、粒子性試料を高多孔質フィルターで濾過するステップと、ここで、前記フィルターが、病原体を引き付けるように構成されており、濾過中の目詰まりを防ぐように構成されている孔を有し、前記病原体および/もしくはその細胞成分を抽出する増殖培地、界面活性剤ならびにカオトロピック試薬または有機溶媒を含む溶出液中で前記高多孔質フィルターをインキュベートするステップと、病原体の存在を同定するために病原体および/もしくはその細胞成分を検出するステップとを含む、方法を提供する。
【0020】
本発明は、上で考察された先行技術の問題および欠陥のうちの1つまたは複数に取り組む可能性がある。しかし、本発明は、他の問題および欠陥に取り組むのに有用であることが判明しているか、または、いくつかの技術領域において利益および利点を提供し得ることが企図されている。したがって、特許請求される本発明は、必ずしも本明細書において考察される特定の問題または欠陥のいずれかに取り組むことに限定されると解釈されるべきではない。
【0021】
本発明のこれらのおよび他の特質は、この時点で、本発明を例示することを目的とし限定することを目的としない好ましい実施形態の図を参照して説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】高多孔質フィルター、多孔質球状ミクロビーズおよび培養を通じた病原体抽出を使用する病原体検出アッセイ法の手順を示す図である。
【図2A】生きた病原体の増殖および固形支持体から増殖培地への移動についての略図である。
【図2B】死んだ病原体の固形支持体上での保持についての略図である。
【図3A】3.6cfu(△)または36cfu(○)のL.モノサイトゲネスを播種された50mLの10%デリミートホモジネートの濾過後、培養を通じた高多孔質フィルターからの病原体抽出の速度を示す図である。
【図3B】6.5cfu(△)または65cfu(○)の熱損傷を受けたL.モノサイトゲネスを播種された50mLの10%デリミートホモジネートの濾過後、培養を通じた高多孔質フィルターからの病原体抽出の速度を示す図である。
【図4A】17時間の培養を通じた食物ホモジネートの濾過および病原体抽出とそれに続く免疫クロマトグラフィー検出を使用する開示されたアッセイ法において7.5cfuまたは75cfuのリステリアを播種された25gのデリミート試料の病原体検出アッセイの結果を示す図である。
【図4B】225mLの増殖培地における食物ホモジネートの17時間のインキュベーションとそれに続く免疫クロマトグラフィー検出を使用する従来のアッセイ法において7.5cfuまたは75cfuのリステリアを播種された25gのデリミート試料の病原体検出アッセイの結果を示す図である。
【図4C】培養を通じた食物ホモジネートの濾過および病原体抽出とそれに続く免疫クロマトグラフィー検出を使用する開示されたアッセイ法において、8.9cfuまたは89cfuのリステリアを播種された25gのデリミート試料の合計で13時間後の病原体検出アッセイの結果を示す図である。
【図5A−5C】それぞれL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌(S.enterica)および大腸菌(E.coli)O157の経時的な病原体増殖を示す図である。
【図6A−6C】開示されたアッセイ法における、それぞれL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157の生きたおよび死んだ生物試料の他にも陽性および陰性アッセイ対照をアッセイするための閾値サイクルを示す図である。
【図7A−7C】開示されたアッセイ法において、1cfu/mLまたは1cfu/mg未満のレベルで、L.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157をそれぞれ播種された様々な食物試料をアッセイするための閾値サイクルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の追加の態様、特質および利点は、以下に続く好ましい実施形態の詳細な説明から明らかになる。
【0024】
本開示は、大体積の粒子性試料中における複数の種の1つ以上の生きた病原体を低コスト、短い実践時間および短い総アッセイ時間で同時検出することを可能にする方法に関する。
【0025】
本発明のある種の任意の態様の方法および配置は、WO2009/018544、現在は米国特許出願第12/671,675号(現在 として公開されている)における記載の特質および/または技法のうちの1つまたは組合せを有するフィルターまたは方法を含み得る。これらの文献はその全内容を参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態では、開示された方法は、大体積の粒子性試料から病原体を効率的に濃縮するために、病原体吸着力および高い粒子保持力を有する高多孔質フィルターを用いる。開示された方法の実施形態において有用な高多孔質フィルターは、静電気的、親水性、疎水性、物理的または生物学的相互作用により、好ましくは複数の種において、標的病原体を引き付けることができ、その上、粒子性試料によるフィルター目詰まりを防ぐように構成されていてもよい。ある種の実施形態では、配置されるフィルターは、高い粒子保持力および病原体を捕捉する能力を提供する三次元マトリックスを有するデプスフィルターである。有用なデプスフィルターは、ガラス繊維およびニトロセルロース繊維などの繊維状物質で作製されており、粒子保持率が同じであるまたは異なる単層フィルターまたは多層フィルターで構成され得る。フィルターは適切な粒子保持率および病原体を効率的に捕捉し、試料中の粒子に起因するフィルター目詰まりを回避する厚みを有する。高い粒子負荷力を得るためには、フィルターは、上流側から下流側にその粒子保持率が高い順に配置される粒子保持率が異なる多層のフィルター材料を含んでいてもよい。たとえば、長さが0.5〜2μmで径が0.4〜0.5μmであるL.モノサイトゲネスなどの病原体をデプスフィルターで捕捉するためには、デプスフィルターの適切な粒子保持率は、0.1から10μm、好ましくは0.7から2.4μmでもよい。その上、フィルターは、濾過中に適用される真空力または圧力に耐えるのに十分な機械的強度を有する。
【0026】
他の実施形態では、フィルターは、病原体表面が通常、そこに含有されるリポ多糖、タイコ酸および表面タンパク質のせいで正味の負電荷を有しているので、好ましくは複数の種において、病原体を引き付けるのに正電荷を使用するデプスフィルターである。病原体は、フィルターマトリックスによってではなく、正電荷によってフィルター上に固定されてもよく、したがって、フィルター多孔度をさらに増加させ、フィルター目詰まりをもっと効率よく回避するさらに高い粒子保持力を得ることが可能になる。正電荷は、陽イオン分子を有するまたは正電荷コロイド、正電荷材料で作製された粒子もしくは繊維を組み込んでいるフィルターマトリックスの表面被膜により提供され得る。正電荷材料の例は、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウムおよびヒドロキシアパタイトなどの金属水酸化物および金属酸化物である。好ましくは、金属水酸化物または金属酸化物の等電点は、試料および検出試薬のpH値よりも高くてもよい。ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)などの正電荷を帯びた細菌の稀な例がいくつかある。そのような微生物は、負電荷を有するフィルターによりさらに容易に保持することが可能であり、負電荷を有するフィルターは、正電荷ではなく負電荷を使用して、上記の正電荷フィルターに類似する形で調製することができる。
【0027】
他の実施形態では、フィルターは、抗体、抗原、タンパク質、核酸、炭水化物、アプタマーまたはバクテリオファージなどの、病原体を認識する媒介物を含む。病原体を認識するこれらの媒介物は、試料中に存在する他の微生物に対して選択的にまたは非選択的に病原体を認識することができ、化学的結合、物理的結合、または他の標準固定化法によりフィルターマトリックス上に固定化することができる。ある種の実施形態では、病原体認識媒介物はトール様受容体(TLR)であり、この受容体は、様々な微生物の表面に存在する構造的に保存された分子を認識する。TLR2は、グラム陽性ペプチドグリカンおよびリポテイコ酸を認識することができ、TLR4はグラム陰性菌上のリポ多糖を認識することができる。
【0028】
フィルターに加えて、本開示は、試験される試料中の粒子によるフィルター目詰まりを防ぐ濾過助剤としての多孔質球状ミクロビーズの使用に関する(図1)。有用なミクロビーズは、粒度分布が小さな、球、楕円(spheroidally)または楕円(ellipsoidally)形状多孔質ミクロビーズでもよい。ミクロビーズは、立方最密構造および六方最密構造またはそれに近い構造などの最密構造を帯びてもよい。ミクロビーズは、試験される病原体が試料濾過中にミクロビーズの間を通過するように、典型的には、1から1000μm、好ましくは15から600μm、さらに好ましくは50から300μmの径を有していてもよい。有用なミクロビーズは、懸濁されるが水中、緩衝液中、増殖培地中または試料溶液中で浮遊しない適切な比重を有する。たとえば、ミクロビーズは、湿った状態で1.0から1.5の、好ましくは湿った状態で1.0から1.3の比重を有するものであり得る。ミクロビーズは、典型的には、標的病原体よりも小さな孔を有し、それによって、試料濾過中、病原体が多孔質球状ミクロビーズの孔内部に捕捉されるのを防ぐことができる。好ましくは、ミクロビーズは、不活性表面、好ましくは親水性表面を有しており、タンパク質、核酸、炭水化物、細菌、ウイルスおよび生物を含む、生体分子および微生物に対する非特異的結合が低くてもよい。一つの任意の実施形態では、ミクロビーズは、ポリメタクリレートおよびデキストランなどの架橋ポリマーなどの適切な材料で作製されている。随意に、ミクロビーズは、その多孔質構造による下流検出反応を阻害する可能性のある物質を取り除くことができる。
【0029】
多孔質球状ミクロビーズを使用して、以下の方法のうちの少なくとも1つ、またはそれらの組合せで大体積の粒子性試料の濾過を助けてもよい。濾過助剤は、試料濾過前に、病原体吸着力のある高多孔質フィルターの上流表面に、多孔質球状ミクロビーズの均一な層または段階的な層として重ねることができる。代わりに、濾過助剤は、濾過の前に粒子性試料に添加して、試料濾過中に多孔質球状ミクロビーズの層を形成させ、それによって、ミクロビーズの新たな層を連続して提供して、濾過をさらに改善することができる。試料濾過後に濾過助剤層を簡単に取り除けるように、高多孔質フィルターと濾過助剤層の間にメッシュ支持体を置いてもよい。適宜、病原体のミクロビーズ表面への結合を最小限に抑えるために、多孔質ミクロビーズは、使用前にペプチドやタンパク質などのブロッキング試薬を含有する溶液中で前インキュベートされるまたは懸濁される。
【0030】
検出されるべき病原体はミクロビーズの間を通過することがあり、典型的には、ミクロビーズの表面上または孔において捕捉されない。一方、濾過助剤層がないと典型的にフィルターを目詰まりさせる試料中の粒子は、ミクロビーズ表面上および多孔質球状ミクロビーズ間の間隙において捕捉してもよい。ミクロビーズの多孔質構造のため、濾過中の試料の流れはビーズ間を通過するだけではなく、ミクロビーズそれ自体も貫通し、したがって、試料粒子はビーズ間の間隙でではなくむしろビーズ表面で捕捉される傾向があり、それによって、多孔質球状濾過助剤層は高い粒子保持力を提供し、大体積の粒子性試料の濾過中のフィルター詰まりを防ぐことができる。試料の完全な濾過後、濾過助剤層を破壊することができ、ミクロビーズは洗浄液に懸濁させることができ、洗浄液は濾過されて粒子性試料の最初の濾過中に濾過助剤層に捕捉され得る病原体を収集し、それによって、フィルターへの病原体固定化収率を改善することができる。この洗浄工程は数回繰り返して、フィルターへの病原体回収率を最大にすることができる。洗浄液は典型的には、病原体に有害ではない緩衝液または増殖培地である。
【0031】
ある種の実施形態では、増殖培地を使用し得る。増殖培地には、一般に、病原体増殖のための炭素源、窒素源、アミノ酸および様々な塩のうちの1つまたは複数が含まれる。いくつかの実施形態では、増殖培地は、L.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌(E.coli)O157などの複数の種における病原体の同時増殖ならびに熱、寒さ、酸、アルカリ、冷蔵、凍結、圧力または真空などの試料状態により損傷を受けた場合の病原体の急速蘇生を支持する非選択培地でも選択培地でもよい。米国特許第5,145,786号、米国特許出願公開第2008/0014578号、およびAppl.Environ.Microbiol.2008、74、4853〜4866頁(これら文献はすべて参照によりその全体を本明細書に組み込まれる)にそれぞれ開示されているユニバーサルプレエンリッチメントブロス(UPB)、No.17ならびにサルモネラ菌、大腸菌およびL.モノサイトゲネス増殖培地(SEL)などのいくつかの増殖培地は、本発明において特に有用である可能性がある。なぜならば、それらの培地は、食物試料由来のL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌種および大腸菌O157などの複数の種における病原体の同時増殖を支持するように開発されたからである。UPBは、培養中の競合する微生物の増殖に起因する急速なpH低下を防ぐために、高度に緩衝されており炭水化物が少ない。したがって、UPBは損傷した病原体でも同時濃縮を支持することができる。No.17はUPBと類似の培地組成物を有する。SELは、L.モノサイトゲネスの増殖に加えて、サルモネラ菌種および大腸菌O157の増殖を支持するために抗生物質の濃度を下げることにより、リステリア選択増殖培地である緩衝されたリステリア濃縮ブロス(BLEB)を基に開発された。ブレインハートインフュージョンブロス(BHI)、栄養ブロス(NB)およびトリプチックソイブロス(TSB)などの他の非選択増殖培地は有用である可能性があるが、それらの増殖培地はジェイムソン効果、すなわち、培養物中の高い全微生物濃度はあらゆる微生物の増殖を抑制するという現象を示すことで知られている。代わりに、増殖培地は、競合する微生物に対する抗生物質などの1つ以上の選択作用物質を含む選択増殖培地であることができる。選択作用物質の濃度が高い選択培地は、それにもかかわらず、高濃度の選択作用物質は、損傷を受けた病原体の蘇生を妨げ培養物中のすべての病原体の増殖速度を下げることがあるので望ましくない。増殖培地は、増殖培地中の酸素濃度を減らすことにより特定の病原体の増殖および/または損傷を受けた病原体の蘇生を加速するL−システインおよびオキシラーゼ(Oxtrase Inc.、Mansfield、OH)などの化合物を適宜含有し得る。
【0032】
ある種の任意の実施形態では、大体積の粒子性試料中の1つ以上の病原体の検出は、以下を含む(図1)。
(1)高多孔質フィルター25および多孔質ミクロビーズ30濾過助剤を含む層状のフィルターを通して複数の種の病原体20を含有する可能性のある大体積の粒子性試料10をフィルターハウジング15において濾過し、それによりフィルターにおいて標的病原体20を収集するステップ。任意選択的に、濾過は吸引35により補助される。
(2)フィルターにおける病原体の回収を最大限にし、病原体増殖または病原体検出アッセイのどんな潜在的阻害因子も取り除くために、必要に応じて、フィルター25および多孔質ミクロビーズ30濾過助剤を洗浄するステップ。
(3)フィルター25を収集し、病原体20が検出可能になるように、損傷を受けた場合には病原体20の蘇生、病原体20の増殖、および増殖した病原体20の増殖培地40への拡散に十分な期間、増殖培地40においてフィルター25をインキュベートするステップ。
(4)病原体検出アッセイを使用して、増殖培地40において増殖した病原体20’を検出するステップ。
【0033】
ステップ1および2は、典型的な食物試料、たとえば、250mLの10%(w/v)デリミートおよびホットドッグホモジネートの場合は、5から30分以内に完了することができる。ステップ3に必要な時間は、試料中の病原体濃度、病原体の倍加時間およびステップ4における病原体検出アッセイの感度に依存する。たとえば、ステップ4においてリアルタイムPCR(1から100cfu感度)が使用される場合、ステップ3は1時間から8時間以内に完了し得る。免疫クロマトグラフィー(105から106cfu感度)などの感度がもっと低いアッセイを使用する場合、ステップ3は、病原体濃度がアッセイ感度に達するまでもっと長い時間がかかる可能性がある。ステップ4は、選択されるアッセイに応じて、数分から数時間以内に完了させることができる。
【0034】
任意選択的に、損傷を受けた病原体を蘇生し検出するためには、粒子性試料は、試料濾過前に、損傷を受けた病原体の蘇生を可能にする増殖培地または溶液中で調製しインキュベートし得る。
【0035】
病原体の増殖および/または増殖した病原体のフィルターからの拡散を促進するためには、ペトリ皿および遠心管などの容器内で、攪拌、振盪、回転もしくは混合して、または、せずにフィルターインキュベーションを行うことができる。フィルターインキュベーションは、増殖培地の連続流または非連続流において行うことが可能であり、増殖培地は、連続流を使用する場合には循環させてもよい。フィルターに固定化された病原体をわずかな体積中に抽出し、それによって、増殖培地中の病原体濃度がさらに高くなり病原体はもっと早期に検出することができるように、増殖培地の体積はできる限り低いほうが好ましいことがある。増殖培地の体積は、50mL未満、10mL未満または5mL未満でもよい。
【0036】
L.モノサイトゲネス、サルモネラ菌種および大腸菌O157などの複数の種における標的病原体は、これらの病原体の同時増殖を支持するUPB、No.17、BHI、NBおよびTSBなどの非選択増殖培地を使用することにより同時にアッセイすることができる。一般に、試料中の標的ではない微生物は、さらに急速に増殖し、増殖培地における栄養源およびエネルギー源の消耗ならびに増殖培地のpHの低下を引き起こすことにより、標的病原体の単離を妨げることがあり、したがって、標的病原体の増殖は検出可能レベルに到達する前に抑制されることがある(ジェイムソン効果)。しかし、開示された病原体検出アッセイでは、濾過により試料体積を著しく減少させ、病原体の増殖を抑制し得る食物残渣を取り除くことが可能であり、したがって、標的病原体は、生物増殖の低下段階に到達する前に非選択増殖培地においてさえ検出可能レベルまで増殖することができる。代わりに、複数の標的病原体の同時増殖を支持するが、他の非標的微生物の増殖を抑制する選択増殖培地を使用することができる。そのような選択増殖培地の一例は、L.モノサイトゲネス、サルモネラ菌種および大腸菌O157の同時増殖のためのSELブロスである。病原体の増殖を支持する非選択または選択増殖培地を使用して、複数種における病原体と同様に単一種の標的病原体を試験することができる。しかし、アッセイ処理量およびコストパフォーマンスを増加するためには複数種において病原体についてのアッセイを同時に行うほうが好ましい。
【0037】
小体積の増殖培地における高多孔質フィルターのインキュベーションは、フィルターに固定化された病原体を増殖させることができ、増殖した病原体はインキュベーションとともに増殖培地の溶液相に出てくることができ、したがって、病原体検出は、増殖培地における増殖した病原体の存在をアッセイすることにより行うことができる。病原体または特定の病原体の存在を示すゲノムDNA、リボソームRNA、トランスファーRNA、メッセンジャーRNAまたはタンパク質などの病原体の細胞成分は、上清から抽出され検出のために使用することができる。それらの細胞成分の抽出は、標準分子生物学技法または市販の製品を使用して行うことができる。有用な病原体検出アッセイは、発色性寒天プレート、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、他の任意の核酸増幅、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫クロマトグラフィー、バイオセンサーまたは核酸プローブである。
【0038】
複数の標的病原体がアッセイされる場合、フィルターインキュベーション後の増殖培地の上清または抽出された細胞成分は分割して各病原体の検出のために個々に使用することができる。代わりに、フィルターインキュベーション後の増殖培地の上清または抽出された細胞成分は、複数の標的病原体を同時に検出するマルチプレックスPCR、マルチプレックスELISA、DNAマイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイおよびルミネックスアッセイなどのマルチプレックス病原体検出アッセイによって試験することができる。
【0039】
代わりに、病原体または特定の病原体の存在を示すゲノムDNA、リボソームRNA、トランスファーRNA、メッセンジャーRNAもしくはタンパク質などの病原体の細胞成分は、増殖培地、界面活性剤、カオトロピック試薬、有機溶媒または電気泳動の使用により、フィルター構造を破壊してまたは破壊せずに、フィルターから抽出され、上記の従来の病原体検出アッセイを使用して検出することができる。有用な界面活性剤またはカオトロピック試薬は、Tween−20、CHAPS、Triton Xシリーズ、NP40、ドデシル硫酸ナトリウムまたは塩化グアニジウムでもよい。リボザイムおよびプロテイナーゼKなどの酵素またはDMSOなどの有機溶媒を、病原体および/またはその細胞成分の収集率を増強するために含んでいてもよい。必要であれば、フィルターの振盪、加熱および均質化などの任意の物理的方法を組み合わせて、収集効率を増強してもよい。
【0040】
生きた病原体の選択的な検出の方法に関する本発明の追加の実施形態は、図2A〜2Bに図示されている。そこに図示されているように、生きた/死んだ病原体20/20Aは、静電気的相互作用、水素結合、疎水的相互作用または抗体−抗原相互作用等を介して固形支持体50に永久的にまたは半永久的に固定化されていてもよいが、生きた病原体は上記の増殖培地40において固形支持体50のインキュベーション中増殖することができ、増殖した病原体20は固形支持体に再び固定化される前に増殖培地相に出てくることができる。増殖した病原体がインキュベーション中に固形支持体に固定化されても、その子孫はそれでも増殖培地に出てくることができる。一方、死んだ病原体は増殖せず、したがって、増殖培地においては死んだ病原体は観察されないことになる。したがって、固形支持体のインキュベーションにより、増殖した生きた病原体の増殖培地への選択的放出および死んだ病原体を固形支持体に留めておくことが可能になる。さらに、固形支持体は、インキュベーション中に、固定化された死んだ病原体が増殖培地相に放出されることを回避させる三次元マトリックス、迷路様構造、メッシュ、孔等などの物理的障壁を有していてもよい。なぜならば、これは、PCRなどのその後の病原体検出により偽陽性結果になるおそれがあるからである。固形支持体の一例は、上記の三次元マトリックスを有するフィルターなどの高多孔質フィルター25である。インキュベーション後の増殖培地における増殖した病原体の存在をアッセイすることにより、生きた病原体の選択的検出は、試料中の死んだ病原体に起因する偽陽性結果を有さずに達成することができる。特に、急速で感度が良いが、生きた病原体と死んだ病原体の区別をしない可能性があるPCRアッセイまたは他の核酸増幅技術が増殖した病原体の検出のために使用される場合、開示された方法は急速で感度の良い生きた病原体検出を可能にする。
【0041】
任意選択的に、固形支持体50は、病原体に対する忌避物質(たとえば、毒性はあるが生命を危うくすることはない)で作製されていても被膜されていてもよく、したがって、インキュベーション中、増殖した病原体は走化性(生物は毒性領域から非毒性領域に移動する)を通じて増殖培地相に移動し得る。
【0042】
検出し得る病原体の例には、病原性細菌およびヒト、動物、植物、環境および/または産業に感染性のもしくは有害な他の微生物が含まれる。病原性細菌の例には、大腸菌属(Escherichia)、サルモネラ属(Salmonella)、リステリア属(Listeria)、カンピロバクター属(Campylobacter)、赤痢菌属(Shigella)、ブルセラ属(Brucella)、ヘリコバクター属(Helicobactor)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、連鎖球菌属(Streptococcus)およびシュードモナス属(Pseudomonas)が含まれるが、これらに限定されない。病原性ウイルスは、本明細書に開示される従来の病原体検出法と組み合わせて検出することができる。病原性ウイルス科の例には、アデノウイルス科(Adenoviridae)、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)、ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)、フラビウイルス科(Flaviviridae)、レトロウイルス科(Retroviridae)、オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)、パポバウイルス科(Papovaviridae)、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)およびトガウイルス科(Togaviridae)が含まれるが、これらに限定されない。さらに、開示された濾過システムは、大体積の粒子性試料中の病原性微生物と非病原性微生物の両方を検出するのに有用である。
【0043】
試験することが可能な粒子性試料の例には、食物試料、食物試料のホモジネート、食物試料の洗浄液、飲用水、海洋/河川水、環境水、泥および土壌が含まれるが、これらに限定されない。さらに、種々の環境表面を拭き取るスワブ、スポンジおよびタオルも同様に試験することができる。さらに、開示された濾過システムは、ヒト体液、尿、血液および製造用水/溶液を含む、他の大体積の粒子性試料を試験するのに有用である。試料、特に固形は、試料のより効率的な濾過のために、試料濾過前に、希釈する、均質化するおよび/または50〜1000μmの孔を有するメッシュフィルターで前濾過することができる。
【実施例1】
【0044】
様々な用量のL.モノサイトゲネスを播種された50mLの10%デリミートホモジネートは、開示された病原体検出アッセイにより試験された。
【0045】
L.モノサイトゲネスは、BHI(ブレインハートインフージョン)ブロスにおいて37℃で一晩培養され、病原体濃度はコロニー計数法により推定された。熱損傷を受けたL.モノサイトゲネスは、新たに培養されたL.モノサイトゲネスをBHIブロスにおいて50℃で10分間加熱することにより調製された。10%デリミートホモジネートは、230rpmで2分間、ストマッカー(Seaward、UK)により225mLのPBS中で25gのデリミートを均質化することにより調製された。50mLの10%デリミートホモジネートは、病原体検出アッセイを行う前に、様々な用量のL.モノサイトゲネスを播種された。
【0046】
病原体検出アッセイは以下の通りに行われた。(1)L.モノサイトゲネスを播種された50mLの10%デリミートホモジネートは、真空濾過によりGMF150(1μm)フィルター(Whatman、NJ)で濾過される、(2)フィルターは無菌容器に移される、(3)フィルターは、5mLのハーフフレーザーブロスにおいて30℃で4、6または8時間インキュベートされる、(4)RAPID L’mono寒天(BioRad、CA)を使用する病原体検出アッセイのために100μLの上清が使用される。
【0047】
3.6または36cfuのL.モノサイトゲネスを播種された50mLの10%デリミートホモジネートは、2通りに試験された。異なるインキュベーション時間、RAPID L’mono寒天上で観察されたL.モノサイトゲネスコロニーの平均数は、図3Aに示されている。このデータは、GMF150(1μm)に固定化されたL.モノサイトゲネスが培養を通じて首尾よく上清に抽出され、6時間インキュベーションはRAPID L’mono寒天による検出に十分であったことを示している。
【0048】
6.5または65cfuの熱損傷を受けたL.モノサイトゲネスを播種された50mLの10%デリミートホモジネートも試験された。異なるインキュベーション時間、RAPID L’mono寒天上で観察されたL.モノサイトゲネスコロニーの平均数は、図3Bに示されている。このデータは、GMF150(1μm)に固定化された熱損傷を受けたL.モノサイトゲネスが培養を通じて首尾よく蘇生されて増殖培地に抽出され、7時間インキュベーションはRAPID L’mono寒天による検出に十分であったことを示している。
【実施例2】
【0049】
様々な用量のリステリアを播種された25gのデリミート試料は、開示された病原体検出アッセイにより試験された。
【0050】
リステリア・イノキュア(Listeria innocua)はBHIブロスにおいて37℃で一晩培養され、リステリア濃度はコロニー計数法により推定された。25gのデリミート試料は、様々な用量のリステリアをその表面に人為的に播種され、室温で少なくとも30分間乾燥された。
【0051】
病原体検出アッセイは以下の通りに行われた。(1)リステリアを播種された25gのデリミート試料は、230rpmで3分間、ストマッカー(Seaward、UK)により225mLのPBS中で均質化される、(2)食物ホモジネートは、真空濾過により、2gの多孔質球状ミクロビーズ(架橋されたポリメタクリレート、EG50OH、Hitachi Chemical、日本)とともに、GMF150(1μm)フィルター(Whatman、NJ)で濾過される、(2)フィルターは無菌容器に移され、5mLのLESS培地(Neogen、MI)中30℃で17時間インキュベートされる、(3)リステリア用のReveal(Neogen、MI)を使用する免疫クロマトグラフィー検出アッセイのために135μLの上清が使用される。
【0052】
7.5または75cfuを播種された25gのデリミート試料が試験された(図4A)。17時間インキュベーションとともに、対照ウィンドウ65と比べた場合試験ウィンドウ60における非常に強い陽性シグナルが7.5と75cfu試料の両方で得られ、リステリアの存在を示している。
【0053】
参考では、7.5または75cfuを播種された25gのデリミート試料が、(1)食物試料は225mLのLESS培地中30℃で17時間インキュベートされる、および(2)リステリア用のRevealを使用する病原体検出アッセイのために135μLの上清が使用される従来のアッセイプロトコールにおいて試験され、弱い陽性シグナルしか得られなかった(図4B)。24時間インキュベーション後に、図4Aに類似する強い陽性シグナルが得られた。これらのデータは、開示された病原体検出アッセイが、従来のアッセイプロトコールよりも少なくとも7時間早く25gのデリミート試料中におけるわずか7.5cfuのリステリアを検出することができることを示唆している。
【実施例3】
【0054】
様々な用量のリステリアを播種された25gのデリミート試料は、病原体検出アッセイにより試験された。
【0055】
病原体検出アッセイは以下の通りに行われた。(1)リステリアを播種された25gのデリミート試料は、230rpmで3分間、ストマッカー(Seaward、UK)により225mLのPBS中で均質化される、(2)食物ホモジネートは、真空濾過により、2gの多孔質球状ミクロビーズ(架橋されたポリメタクリレート、EG50OH、Hitachi Chemical、日本)とともに、GMF150(1μm)フィルター(Whatman、NJ)で濾過される、(3)フィルターは無菌容器に移され、5mLのLESS培地(Neogen、MI)中30℃で12時間インキュベートされる、(4)2mLの上清中の増殖したリステリアは、10,000rpmで5分間の遠心分離により150μL体積に濃縮される、および(5)リステリア用のReveal(Neogen、MI)を使用する免疫クロマトグラフィー検出アッセイのために135μLの濃縮された試料が使用される。
【0056】
8.9または89cfuを播種された25gのデリミート試料は、上記のプロトコールを用いて試験された(図4C)。合計で13時間以内に、25gのデリミート試料中わずか8.9cfuリステリアが首尾よく検出され、同じ検出法を使用する従来のアッセイよりも少なくとも11時間早くアッセイ結果が得られることになる。
【実施例4】
【0057】
ここで使用される試料は、様々な濃度の食物病原体(L.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157)を播種された10mLの10%デリミートホモジネートである。ガラス繊維で作製されたデプスフィルターは、物理的障壁を有する固形支持体として使用された。病原体固定化は、食物ホモジネートの真空濾過により行われた。固形支持体のインキュベーションは、37℃で最長8時間5mLのユニバーサルプレエンリッチメントブロス(UPB)において行われた。病原体検出は、増殖培地の分画を使用する発色性寒天またはリアルタイムPCRにより行われた。
【0058】
図5A〜5C、発色性寒天データ、に示されるように、病原体は固形支持体の5から8時間インキュベーション後、増殖培地において首尾よく検出された。リアルタイムPCR検出も、6時間および8時間インキュベーションを用いる別々の実験において、増殖培地中でL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157を首尾よく検出した。
【実施例5】
【0059】
L.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157は、5mLのBHIブロスにおいて37℃で一晩培養された。生物濃度はプレート計数法により決定された。L.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157の死んだ生物は、60℃で30分間生物を加熱することにより調製され、その無菌性はBHI寒天プレート上に蒔くことにより確認された。
【0060】
第一に、死んだ生物がそのゲノムDNAをまだ維持していることを確認するために、ゲノムDNAは105cfuの生きたまたは死んだ生物から調製され、以下の通りにリアルタイムPCRにより解析された。生きたおよび死んだ生物の閾値サイクルは類似しており、したがって、熱処理はL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157のゲノムDNAまたは生物構造を変質させないことが結論付けられた。
【0061】
第二に、開示されたアッセイ法が死んだ生物に起因するPCRの偽陽性を排除することが可能であり、過剰な死んだ生物の存在下で少量の生きた生物を区別することができることを確認するために、以下の実験が行われた。10mLのBHIブロス試料は、様々な量の生きたおよび死んだ生物:13(1×)、130(10×)、1,300(100×)および13,000cfu(1000×)のL.モノサイトゲネス、2.7(1×)、27(10×)、270(100×)および2,700cfu(1000×)のサルモネラ菌ならびに8.0(1×)、80(10×)、800(100×)および8,000(1000×)cfuの大腸菌O157を播種された。これらの試料は、真空吸引法により、ガラス繊維デプスフィルター、GMF150(1μm)(Whatman、NJ)で濾過された。フィルターは容器に入れられ、5mLのユニバーサルプレエンリッチメントブロスにおいて37℃で6時間インキュベートされた。2mLの上清が取り除かれ、ゲノムDNAはQuick−gDNA Microprepキット(Zymo Research、CA)により調製され、リアルタイムPCRにより定量化された。それぞれ図6A、6Bおよび6Cに示されるように、生きたL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157病原体は、低閾値サイクルを用いたリアルタイムPCRにより首尾よく検出され、死んだ病原体は検出されないまたは高閾値サイクルを用いた場合のみ検出された。○印は適切な融解曲線を有する閾値サイクルを示し、×印は適切な融解曲線のない閾値サイクルを示す(検出されない試料では50)。陽性および陰性対照は、それぞれ精製されたゲノムDNAおよび水である。
【実施例6】
【0062】
様々な食物試料(100mLの全乳、25mLのオレンジ果汁または25gのデリミート)は、1cfu/mLまたは1cfu/mg未満レベルでL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157病原体を播種された。
【0063】
病原体検出アッセイは、以下の通りに行われた。(1)100mLの全乳および25mLのオレンジ果汁試料は、それぞれ100mLおよび225mLのPBSに希釈され、25gのデリミート試料は200rpmで30秒間ストマッカー(Seaward、UK)により225mLのPBS中で均質化される、(2)各食物ホモジネートは真空濾過により、0.5gから1gの多孔質球状ミクロビーズ(架橋されたポリメタクリレート、EG50OH、Hitachi Chemical、日本)とともに、GMF150(1μm)フィルター(Whatman、NJ)で濾過される、(3)フィルターは5mLのUPBにおいて37℃で6時間インキュベートされる、(4)ゲノムDNAはQuick−gDNA Microprepキット(Zymo Research、CA)により上清から抽出され、リアルタイムPCRにより検出される。
【0064】
図7A、7Bおよび7Cに示されるように、様々な食物試料中1cfu/mLまたは1cfu/mg未満レベルのL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157病原体は、合計で8時間以内に首尾よく検出された。○印は各食物試料の閾値サイクルを示し、−印は閾値サイクルの平均を示す。下の表1はアッセイ精度と一緒にアッセイ結果を要約している。
【表1】
【実施例7】
【0065】
25gの様々な試料(デリミート、牛ひき肉、ホットドッグ、ロメインレタス、牛乳およびオレンジ果汁)は、25gあたり1から10cfuレベルでL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157病原体を播種された。
【0066】
病原体検出アッセイは、以下の(1)25gの食物試料は、225mLのUPB中で均質化されるまたは希釈され、37℃で6時間インキュベートされる、(2)食物ホモジネートは真空濾過により、0.5gから1.0gの多孔質球状ミクロビーズ(架橋されたポリメタクリレート、EG50OH、Hitachi Chemical、日本)とともに、GMF150(1μm)フィルター(Whatman、NJ)で濾過される、(3)フィルター内の固定化された病原体は5mLの溶出緩衝液(10mM Tris−HCl、pH8.0、1mMのEDTAおよび0.5%(v/v)のTween−20)を用いて抽出される、(4)ゲノムDNAは抽出され、iQ check Listeria II、Salmonella IIおよびE.coli O157キット(Biorad、CA)を使用するリアルタイムPCRにより検出される、の通りに行われた。
【0067】
下の表2において要約されるように、25gの様々な食物試料中のL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157は、8時間以内に100%のアッセイ精度でリアルタイムPCRにより首尾よく検出された。
【表2】
【0068】
本明細書において使用される成分、構成物の量、反応条件等を表すいかなる数字も、あらゆる場合に用語「約(about)」に修飾されていると理解されるべきである。記載されている数値の範囲およびパラメータ、本明細書に提示される主題の広い範囲は近似であるが、記載されている数値はできる限り正確に示されている。しかし、いかなる数値も本質的に、それぞれの測定法に見出される標準偏差から明らかなように、ある種の誤差または不正確さを含有している可能性がある。本明細書に列挙される特質はどれも、用語「意味する(means)」が明確に使用されていなければ、35U.S.C.§112,¶6を呼び起こしていると解釈されるべきではない。
【0069】
本発明はその好ましい実施形態と関連して説明されてきたが、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、具体的に記載されていない付加、欠失、改変および置換を行い得ることは当業者であれば認識されるであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生きた病原体および死んだ病原体を含有する試料中における、死んだ病原体を検出することなく、生きた病原体を選択的に検出する方法であって、
生きた病原体および死んだ病原体の少なくとも一部を物理的障壁のある固形支持体上に固定化するステップと、
増殖培地中で前記固形支持体をインキュベートするステップと、このとき、培地中で生きた病原体が増殖することができ、増殖した病原体が前記固形支持体から前記増殖培地の上清に移動し、
前記上清中における増殖した病原体を病原体アッセイにより検出するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記固形支持体が、検出される病原体を引き付けるように構成されているフィルターであって、濾過中の目詰まりを防ぐように構成されている孔を有するフィルターである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィルターが、繊維状物質を含むデプスフィルターであり、繊維状物質が、セルロース繊維およびガラスマイクロファイバーを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フィルターが、静電気的、親水性、疎水性、物理的および生物学的相互作用からなる群から選択される相互作用により病原体を引き付けるように構成されている、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記フィルターが、多孔質球状ミクロビーズの均質な層または段階的な層をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記生きた病原体が少なくとも2つの種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記増殖培地が、少なくとも2つの種の生きた病原体の同時増殖を支持する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記病原体アッセイが、少なくとも2つの種における、増殖した病原体を別々にまたは同時に検出する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記増殖培地が非選択増殖培地である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記病原体アッセイが、寒天プレート、発色性寒天プレート、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫クロマトグラフィー、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、リアルタイムPCR、リアルタイムRT−PCR、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、等温核酸増幅、核酸プローブ、バイオセンサー、マルチプレックスPCR、マルチプレックスリアルタイムPCR、DNAマイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイまたはルミネックスシステムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
約1時間以内から約24時間以内に完了する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記試料が、検出される病原体の1,000cfu未満を含有した、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
試料中における生きた病原体を選択的に検出する方法であって、
病原体を引き付けるように構成されているフィルターであって、濾過中の目詰まりを防ぐように構成されている孔を有するフィルターを通して試料を濾過するステップと、それにより病原体をフィルター中に収集し、
病原体の増殖および増殖した病原体の増殖培地への拡散に十分な期間、前記フィルターを増殖培地中でインキュベートするステップと、
病原体アッセイにより、増殖培地中における、前記増殖した病原体の存在を病原体の指標として検出するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
濾過ステップ後、病原体の検出または増殖を抑制する物質を取り除くのに十分な期間、フィルターを洗浄するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フィルターが、セルロース繊維およびガラスマイクロファイバーを含む繊維状物質を含むデプスフィルターである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記フィルターが、静電気的、親水性、疎水性、物理的および生物学的相互作用からなる群から選択される相互作用により、検出される病原体を引き付けるように構成されている、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記フィルターが、多孔質球状ミクロビーズの均質な層または段階的な層をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記生きた病原体が少なくとも2つの種を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記増殖培地が、少なくとも2つの種の生きた病原体の同時増殖を支持する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
病前記原体アッセイが、少なくとも2つの種における、増殖した病原体を別々にまたは同時に検出する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記増殖培地が非選択増殖培地である、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記病原体アッセイが、寒天プレート、発色性寒天プレート、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫クロマトグラフィー、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、リアルタイムPCR、リアルタイムRT−PCR、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、等温核酸増幅、核酸プローブ、バイオセンサー、マルチプレックスPCR、マルチプレックスリアルタイムPCR、DNAマイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイまたはルミネックスシステムを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
約1時間以内から約24時間以内に完了する、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
試料が、検出される病原体の1,000cfu未満を含有した、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
粒子性試料中における病原体を検出する方法であって、
粒子性試料を高多孔質フィルターで濾過するステップと、ここで、前記フィルターが、病原体を引き付けるように構成されており、濾過中の目詰まりを防ぐように構成されている孔を有し、
前記病原体および/もしくはその細胞成分を抽出する増殖培地、界面活性剤、カオトロピック試薬または有機溶媒を含む小体積の溶出液中で前記高多孔質フィルターをインキュベートするステップと、
病原体の存在を同定するために前記病原体および/またはその細胞成分を検出するステップと、
を含む、方法。
【請求項26】
固形支持体が、検出される病原体を引き付けるように構成されているフィルターであって、濾過中の目詰まりを防ぐように構成されている孔を有するフィルターである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記フィルターが、セルロース繊維およびガラスマイクロファイバーを含む繊維状物質を含むデプスフィルターである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記フィルターが、静電気的、親水性、疎水性、物理的および生物学的相互作用からなる群から選択される相互作用により病原体を引き付けるように構成されている、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記フィルターが、多孔質球状ミクロビーズの均質な層または段階的な層をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記病原体が少なくとも2つの種を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記病原体アッセイが、少なくとも2つの種における、増殖した病原体を別々にまたは同時に検出する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記病原体アッセイが、寒天プレート、発色性寒天プレート、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫クロマトグラフィー、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、リアルタイムPCR、リアルタイムRT−PCR、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、等温核酸増幅、核酸プローブ、バイオセンサー、マルチプレックスPCR、マルチプレックスリアルタイムPCR、DNAマイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイまたはルミネックスシステムを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
約1時間以内から約24時間で完了する、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
前記試料が、検出される病原体の1,000cfu未満を含有した、請求項31に記載の方法。
【請求項1】
生きた病原体および死んだ病原体を含有する試料中における、死んだ病原体を検出することなく、生きた病原体を選択的に検出する方法であって、
生きた病原体および死んだ病原体の少なくとも一部を物理的障壁のある固形支持体上に固定化するステップと、
増殖培地中で前記固形支持体をインキュベートするステップと、このとき、培地中で生きた病原体が増殖することができ、増殖した病原体が前記固形支持体から前記増殖培地の上清に移動し、
前記上清中における増殖した病原体を病原体アッセイにより検出するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記固形支持体が、検出される病原体を引き付けるように構成されているフィルターであって、濾過中の目詰まりを防ぐように構成されている孔を有するフィルターである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィルターが、繊維状物質を含むデプスフィルターであり、繊維状物質が、セルロース繊維およびガラスマイクロファイバーを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フィルターが、静電気的、親水性、疎水性、物理的および生物学的相互作用からなる群から選択される相互作用により病原体を引き付けるように構成されている、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記フィルターが、多孔質球状ミクロビーズの均質な層または段階的な層をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記生きた病原体が少なくとも2つの種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記増殖培地が、少なくとも2つの種の生きた病原体の同時増殖を支持する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記病原体アッセイが、少なくとも2つの種における、増殖した病原体を別々にまたは同時に検出する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記増殖培地が非選択増殖培地である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記病原体アッセイが、寒天プレート、発色性寒天プレート、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫クロマトグラフィー、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、リアルタイムPCR、リアルタイムRT−PCR、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、等温核酸増幅、核酸プローブ、バイオセンサー、マルチプレックスPCR、マルチプレックスリアルタイムPCR、DNAマイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイまたはルミネックスシステムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
約1時間以内から約24時間以内に完了する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記試料が、検出される病原体の1,000cfu未満を含有した、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
試料中における生きた病原体を選択的に検出する方法であって、
病原体を引き付けるように構成されているフィルターであって、濾過中の目詰まりを防ぐように構成されている孔を有するフィルターを通して試料を濾過するステップと、それにより病原体をフィルター中に収集し、
病原体の増殖および増殖した病原体の増殖培地への拡散に十分な期間、前記フィルターを増殖培地中でインキュベートするステップと、
病原体アッセイにより、増殖培地中における、前記増殖した病原体の存在を病原体の指標として検出するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
濾過ステップ後、病原体の検出または増殖を抑制する物質を取り除くのに十分な期間、フィルターを洗浄するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フィルターが、セルロース繊維およびガラスマイクロファイバーを含む繊維状物質を含むデプスフィルターである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記フィルターが、静電気的、親水性、疎水性、物理的および生物学的相互作用からなる群から選択される相互作用により、検出される病原体を引き付けるように構成されている、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記フィルターが、多孔質球状ミクロビーズの均質な層または段階的な層をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記生きた病原体が少なくとも2つの種を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記増殖培地が、少なくとも2つの種の生きた病原体の同時増殖を支持する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
病前記原体アッセイが、少なくとも2つの種における、増殖した病原体を別々にまたは同時に検出する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記増殖培地が非選択増殖培地である、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記病原体アッセイが、寒天プレート、発色性寒天プレート、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫クロマトグラフィー、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、リアルタイムPCR、リアルタイムRT−PCR、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、等温核酸増幅、核酸プローブ、バイオセンサー、マルチプレックスPCR、マルチプレックスリアルタイムPCR、DNAマイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイまたはルミネックスシステムを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
約1時間以内から約24時間以内に完了する、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
試料が、検出される病原体の1,000cfu未満を含有した、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
粒子性試料中における病原体を検出する方法であって、
粒子性試料を高多孔質フィルターで濾過するステップと、ここで、前記フィルターが、病原体を引き付けるように構成されており、濾過中の目詰まりを防ぐように構成されている孔を有し、
前記病原体および/もしくはその細胞成分を抽出する増殖培地、界面活性剤、カオトロピック試薬または有機溶媒を含む小体積の溶出液中で前記高多孔質フィルターをインキュベートするステップと、
病原体の存在を同定するために前記病原体および/またはその細胞成分を検出するステップと、
を含む、方法。
【請求項26】
固形支持体が、検出される病原体を引き付けるように構成されているフィルターであって、濾過中の目詰まりを防ぐように構成されている孔を有するフィルターである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記フィルターが、セルロース繊維およびガラスマイクロファイバーを含む繊維状物質を含むデプスフィルターである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記フィルターが、静電気的、親水性、疎水性、物理的および生物学的相互作用からなる群から選択される相互作用により病原体を引き付けるように構成されている、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記フィルターが、多孔質球状ミクロビーズの均質な層または段階的な層をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記病原体が少なくとも2つの種を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記病原体アッセイが、少なくとも2つの種における、増殖した病原体を別々にまたは同時に検出する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記病原体アッセイが、寒天プレート、発色性寒天プレート、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫クロマトグラフィー、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、リアルタイムPCR、リアルタイムRT−PCR、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、等温核酸増幅、核酸プローブ、バイオセンサー、マルチプレックスPCR、マルチプレックスリアルタイムPCR、DNAマイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイまたはルミネックスシステムを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
約1時間以内から約24時間で完了する、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
前記試料が、検出される病原体の1,000cfu未満を含有した、請求項31に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【公表番号】特表2013−517768(P2013−517768A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550016(P2012−550016)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2011/000123
【国際公開番号】WO2011/090802
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000004455)日立化成株式会社 (4,649)
【出願人】(500294958)ヒタチ ケミカル リサーチ センター インコーポレイテッド (27)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2011/000123
【国際公開番号】WO2011/090802
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000004455)日立化成株式会社 (4,649)
【出願人】(500294958)ヒタチ ケミカル リサーチ センター インコーポレイテッド (27)
【Fターム(参考)】
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