説明

患者データを閲覧するためのシステムおよび方法

デジタルで生成された波形の特徴を測定する方法は、患者データのソースから遠く離れている装置に該患者データを伝達する工程、該装置のタッチスクリーンディスプレイ上に該波形を生成する工程、および該波形の軸に沿って測定する工程を含む。該測定する工程は、該タッチスクリーンディスプレイとの接触に基づいて該波形に対応する第1の点を生成すること、該タッチスクリーンディスプレイとの接触に基づいて該波形に対応する第2の点を生成すること、該第2の点を生成すると、該軸に沿って該第1の点と該第2の点との距離を自動測定すること、および該タッチスクリーンディスプレイ上に該距離に対応する値を表示することを含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は全体として、無線通信およびデータ処理装置を通じてデータおよび/または情報を送信し、受信し、かつ表示するためのシステムおよび方法に関し、より具体的には、医療提供者が操作することができる遠隔装置に、医療患者のデータおよび/または情報を収集し、アップロードし、送信し、受信し、ダウンロードし、操作し、かつ表示するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
医師およびその他の医療提供者は、現在、無線通信技術の進歩の恩恵を受ける多数の製品およびシステムを用いているが、これらの装置を通じて実際的に効率よく送信し、受信し、かつ表示することができる情報には未だに著しい制限がある。モバイル装置に固有の大きな制限、特に速度、性能、メモリ、および表示サイズに関連する制約がある。加えて、医療データの重大な特質のため、潜在的に低速、低帯域幅の、かつ場合によっては断続的な無線接続によって、その技術が確実にかつ効率よく機能することが重要である。
【0003】
過去においては、検討および分析のために医療専門家に様々な遠距離通信手段を介して医療情報を送信しようする尽力がなされてきた。そのような尽力のいくつかは、2005年12月12日出願の本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第11/301,348号(特許文献1)で概説され、その開示はあらゆる目的で全体として参照により本明細書に明白に組み入れられる。そのような例では、無線データ通信技術を用いて、医療提供者に医療情報を送信するか、またはデータをリモートでモニタするのに有用であり得るようにそれを調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第11/301,348号
【発明の概要】
【0005】
概要
一局面において、本発明は、デジタルで生成された波形の特徴を測定する方法を提供し、該方法は、患者データのソースから遠く離れている装置に該患者データを伝達する工程、該装置のタッチスクリーンディスプレイ上に該波形を生成する工程、および該波形の軸に沿って測定する工程を含む。いくつかの局面において、測定する工程は、タッチスクリーンディスプレイとの接触に基づいて波形に対応する第1の点を生成する工程、該タッチスクリーンディスプレイとの接触に基づいて該波形に対応する第2の点を生成する工程、該第2の点を生成すると、軸に沿って該第1の点と該第2の点との距離を自動的に測定する工程、および該タッチスクリーンディスプレイ上に該距離に対応する値を表示する工程を含む。
【0006】
いくつかの局面において、値は時間値を含む。
【0007】
いくつかの局面において、値は電圧値を含む。
【0008】
いくつかの局面において、方法は、タッチスクリーンディスプレイにおいてデジタルキャリパ(digital caliper)を生成する工程をさらに含み、該キャリパは、軸に沿って移動可能な第1および第2のジョー(jaw)を含み、第1の点は該第1のジョーと波形との交点に基づいて生成され、かつ第2の点は該第2のジョーと該波形との交点に基づいて生成される。該キャリパはユーザ要求に基づいて生成される。
【0009】
いくつかの局面において、軸は、時間軸および電圧軸の一方を含む。
【0010】
いくつかの局面において、波形は、心電図(ECG)、血圧、酸素飽和度、および呼気終末CO2のうちの一つに対応する。
【0011】
いくつかの局面において、方法は、軸に沿って第1の点および第2の点の少なくとも一方を移動させる工程、ならびに該軸に沿った該第1の点および該第2の点の少なくとも一方の移動に基づいてリアルタイムで値を更新する工程をさらに含む。
【0012】
いくつかの局面において、方法は、値を装置のメモリに記憶する工程をさらに含む。
【0013】
いくつかの局面において、方法は、値を施設に置かれた患者情報システムに送信する工程をさらに含む。
【0014】
別の局面において、本発明は、装置を使用して患者データを監視する方法を提供する。いくつかの局面において、方法は、患者データのソースから遠く離れている装置に該患者データを伝達する工程、該患者データに基づいて該装置のディスプレイ上に波形を生成する工程、波形特徴の出現を特定する工程、および該波形特徴の出現に基づいて音を発生させる工程を含む。
【0015】
いくつかの局面において、音を発生させる工程は、波形特徴の周期的発生に応答して繰り返し音を発生させることを含む。
【0016】
いくつかの局面において、音を発生させる工程は、持続音を発生させることを含む。
【0017】
いくつかの局面において、方法は、装置のメモリに音声ファイルを記憶する工程、および波形の生成に基づいてメモリから該音声ファイルを取り出し、該音声ファイルに基づいて音を発生させる工程をさらに含む。
【0018】
いくつかの局面において、方法は、装置のメモリに複数の音声ファイルを記憶する工程、および波形の種類に基づいて該複数の音声ファイルの中から音声ファイルを選択し、該音声ファイルに基づいて音を発生させる工程をさらに含む。
【0019】
いくつかの局面において、波形特徴は、スパイク、ピーク、谷および平坦線のうちの一つを含む。
【0020】
いくつかの局面において、波形は、心拍数、血圧、酸素飽和度、および呼気終末CO2のうちの一つに対応する。
【0021】
さらに別の局面において、本発明は、ユーザにアラートを通知する方法を提供する。いくつかの局面において、方法は、患者データに基づいてアラートを生成する工程、該アラートを第三者通知サービスに提供する工程、該アラートを該患者データのソースから遠く離れている装置に転送する工程、該アラートを該装置において受信する工程、および該装置のディスプレイ上に該アラートの表示を提示する工程を含む。
【0022】
いくつかの局面において、アラートは、施設に常駐している情報システムにおいて生成され、患者データが該情報システムに収集される。
【0023】
いくつかの局面において、アラートは、患者データのソースから遠く離れているデータ管理システムにおいて生成される。
【0024】
いくつかの局面において、アラートは、装置上に常駐しているアプリケーション、および機器を用いて実行可能であるアプリケーションに対応する。いくつかの局面において、アプリケーションは、アラートが装置において受信される際に、休止状態である。
【0025】
いくつかの局面において、表示は、アプリケーションアイコンと関連付けられたバッジ、およびアラート要約の少なくとも一方を含む。アラート要約は患者情報を提供する。いくつかの局面において、方法は、アラート要約を選択する工程、および該選択する工程に応答して装置のディスプレイ上に詳細なアラート情報を表示する工程を含む。
【0026】
本発明の別の局面は、実行の際に本明細書において提供される方法のうちの一つまたは複数を一つまたは複数のプロセッサに実施させるように動作させる命令を含むコンピュータプログラムを用いて符号化された、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0027】
本発明のさらに別の局面は、一つまたは複数のプロセッサと、該一つまたは複数のプロセッサによる実行の際に本明細書において提供される方法のうちの一つまたは複数を該一つまたは複数のプロセッサに実施させる命令が記憶されている、該一つまたは複数のプロセッサに連結されたコンピュータ可読媒体とを備える、システムを提供する。
【0028】
本開示による方法は、本明細書において提供される局面および特徴の任意の組み合わせを含み得ることが理解される。すなわち、本開示による方法は、本明細書において具体的に説明される局面および特徴の組み合わせだけに限定されるものではなく、提示される局面および特徴の任意の組み合わせも含むものである。
【0029】
一つまたは複数の態様の詳細を添付の図面および以下の説明に示す。別の特徴、目的、および利点は、以下の説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかになると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本開示による例示的システムアーキテクチャを示す概略図である。
【図2】本開示による別の例示的システムアーキテクチャを示す概略図である。
【図3】本開示を実施するために使用され得る構成要素を示す機能ブロック図である。
【図4】図3の機能ブロック図をより詳細に示す図である。
【図5A】本開示による例示的モバイル装置上の例示的スクリーンショットを示す図である。
【図5B】本開示による例示的モバイル装置上の例示的スクリーンショットを示す図である。
【図5C】本開示による例示的モバイル装置上の例示的スクリーンショットを示す図である。
【図5D】本開示による例示的モバイル装置上の例示的スクリーンショットを示す図である。
【図5E】本開示による例示的モバイル装置上の例示的スクリーンショットを示す図である。
【図5F】本開示による例示的モバイル装置上の例示的スクリーンショットを示す図である。
【図5G】本開示による例示的モバイル装置上の例示的スクリーンショットを示す図である。
【図5H】本開示による例示的モバイル装置上の例示的スクリーンショットを示す図である。
【図6A】本開示による特徴を例示するスクリーンショット例を示す図である。
【図6B】本開示による特徴を例示するスクリーンショット例を示す図である。
【図6C】本開示による特徴を例示するスクリーンショット例を示す図である。
【図7】本開示による波形測定を提供するために実行され得る例示的工程を示すフローチャートである。
【図8】本開示による患者情報の可聴モニタリングを提供するために実行され得る例示的工程を示すフローチャートである。
【図9】本開示によるプッシュ通知機能を例示するスクリーンショット例を示す図である。
【図10】本開示による患者データアラートのプッシュ通知を提供するために実行され得る例示的工程を示すフローチャートである。
【0031】
様々な図面における類似の参照記号は同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
詳細な説明
本開示は、医療提供者に、患者データへの安全な遠隔アクセスを提供する。本開示は、その開示があらゆる目的で全体として参照により本明細書に明白に組み入れられる、2005年12月12日に出願された同一出願人による米国特許出願第11/301,348号を基礎とするものである。米国特許出願第11/301,348号は、その開示がやはりあらゆる目的で全体として参照により本明細書に明白に組み入れられる、2005年1月3日に出願された、米国特許仮出願第60/641,057号の恩典を主張するものである。また本開示は、その開示があらゆる目的で全体として参照により本明細書に明白に組み入れられる、2005年12月12日に出願された同一出願人による米国特許出願第11/301,348号も基礎とするものである。本説明においておよび非限定的な例として、妊婦患者(例えば、産科(OB)患者)に対応する患者データという状況で本開示の実装(implementation)を説明する。本開示の実装は、どんな種類の患者および対応する患者データにも適用できる。
【0033】
ここで図1を参照すると、例示的システムアーキテクチャ10が示されており、システムアーキテクチャ10は、遠隔装置12、接続インターフェース14、ネットワーク16、第1の施設システム18および第2の施設システム20を含む。本明細書においてさらに詳細に論じた通り、データは、遠隔装置12上で提示または表示するために、第1および第2の施設システム18、20のそれぞれからネットワーク16および接続インターフェース14を介して転送される。さらにデータは、遠隔装置12から接続インターフェース14およびネットワーク16を介して第1および第2の施設システム18、20のそれぞれに転送することができる。1台の遠隔装置12だけが示されているが、1台または複数の遠隔装置12が、ネットワーク16および接続インターフェース14を介して第1および第2の施設システム18、20のそれぞれと通信し得ることが企図されている。同様に、2つの施設システムが示されているが、本開示は、一つまたはより多くの施設システムで実施することができる。
【0034】
遠隔装置12には、任意の数の例示的装置が含まれ得る。そのような例示的装置には、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、ラップトップ、タブレットパーソナルコンピュータ(PC)、デスクトップPC、および/またはこれらの組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。遠隔装置12は、ディスプレイ22、プロセッサ24、メモリ26、入力インターフェース28、および通信インターフェース30を含む。プロセッサ24は、本開示の実装を実行するための命令を処理することができる。これらの命令には、ディスプレイ22上にグラフィック情報を表示するためにメモリ26に記憶された命令が含まれ得るが、それに限定されない。例示的ディスプレイには、薄膜トランジスタ(TFT)液晶表示器(LCD)、または有機発光ダイオード(organic light emitting diode)(OLED)ディスプレイなどが含まれ得るがそれらに限定されない。
【0035】
メモリ26は遠隔装置12内で情報を記憶する。いくつかの実装において、メモリ26は、一つの揮発性メモリユニットもしくは複数の揮発性メモリユニットおよび/または一つの不揮発性メモリユニットもしくは複数の不揮発性メモリユニットを含むことができる。他の実装において、取り外し可能メモリを設けることができ、かつこのメモリは、メモリカードを含み得るがそれに限定されない。例示的メモリカードには、セキュアデジタル(SD)メモリカード、miniSDメモリカード、USBスティックなどが含まれ得るがそれらに限定されない。
【0036】
入力インターフェース28には、キーボード、タッチスクリーン、マウス、トラックボール、マイクロホン、タッチパッドおよび/またはこれらの組み合わせが含まれ得るがそれらに限定されない。いくつかの実装において、オーディオコーデック(図示せず)を設けることができ、オーディオコーデックは、マイクロホンを介してユーザまたは他の音源から可聴入力を受け取り、その可聴入力を使用可能なデジタル情報に変換する。オーディオコーデックは、遠隔装置12に備わるスピーカなどを介して、可聴音を生成することができる。そのような音には、音声通話からの音、記録された音(例えば、音声メッセージ、音楽ファイル)、および遠隔装置12上で動作するアプリケーションによって生成された音が含まれ得るがそれらに限定されない。
【0037】
遠隔装置12は、デジタル信号処理回路を含むことができる通信インターフェース14を介して無線で通信してもよい。通信インターフェース14は、GSM音声通話、SMS、EMSもしくはMMSメッセージング、CDMA、TDMA、PDC、WCDMA、CDMA2000、および/またはGPRSを含むがそれらに限定されない様々なモードまたはプロトコルの下で通信を提供し得る。そのような通信は、例えば、無線周波数送受信機(図示せず)などを介して行われ得る。さらに、遠隔装置は、ブルートゥース受信機および/またはWiFi受信機(図示せず)を含むがそれらに限定されない機構を使用した短距離通信が可能であり得る。
【0038】
遠隔装置12は、接続インターフェース14を介してネットワーク16と通信する。接続インターフェース14には、衛星受信機、セルラネットワーク、ブルートゥースシステム、WiFiシステム(802.xなど)、ケーブルモデム、DSL/ダイヤルアップインターフェース、および/または構内交換(PBX)システムが含まれ得るがそれらに限定されない。これらの接続インターフェース14はそれぞれ、ネットワーク16に/ネットワーク16からデータが送信されることを可能にする。ネットワーク16は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、無線LAN(WLAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(metropolitan area network)(MAN)、パーソナル・エリア・ネットワーク(personal area network)(PAN)、インターネット、および/またはこれらの組み合わせとして提供することができる。
【0039】
図1および2の例示的システムにおいて、第1の施設システム18は複数の施設40を含み、第2の施設システム20は一つの施設40を含む。各施設システム18、20は一つまたは複数の施設を含むことができ、かつ本明細書において説明されるアレンジメント例だけに限定されるものではない。複数の施設の場合、各施設は、相互に遠く離れて位置することができ、かつ/または共通の所在地もしくは場所(共通の建物内の別々の部署など)に位置することができる。各施設システム18、20は、例えば、医療システムとして設けることができ、この医療システムは、一つまたは複数の病院、病院システム、クリニック、診療所などを含むことができる。
【0040】
各施設40は、関連付けられた情報システム42、コンピュータインターフェース44、および患者モニタ装置46を含む。例示的情報システムには、臨床情報システム(CIS)および/または病院情報システム(HIS)が含まれ得るがそれらに限定されない。各情報システム42は、サーバとして設けることができ、施設40および/または施設システム18、20全体の、患者データなどの臨床情報の取得、記憶、変更、および配信をサポートする。例示的情報システムには、それぞれGeneral Electric(GE)によって提供されるIntegriti Enterprise Wide CIS、QS Perinatal CIS、および/またはQS Critical Care CIS、Clinical Computer Systems, Inc.によって提供されるOBiX Perinatal Data System、Royal Philips Electronicsによって提供されるIntelliVue Clinical Information Portfolio (ICIP)、Critical Careおよび/またはOB TraceVue Perinatal Data System、CliniComp International, Inc.によって提供されるEssentris Perinatal、Acute Careおよび/またはCritical Care Systems、LMS Medical Systemsによって提供されるCALM Perinatal Data System、McKesson Corporationによって提供されるHorizon Lab, Medical Imaging, Cardiology, Emergency Careおよび/またはPerinatal Care、Hill-Romによって提供されるNaviCare WatchChild Systemが含まれるがそれらに限定されない。各情報システム42は、薬局管理システム、検査室管理システム、および/または放射線管理システムを含み得るがそれらに限定されない一つまたは複数の補助情報システム(図示せず)と通信することができる。例示的システムアーキテクチャ10は施設40ごとに置かれた情報システム42を含むが、各施設40は、どの施設40からも遠く離れて置かれるかまたは施設システム18、20内の施設40のうちの一つに置かれる共通の情報システム42と通信し得ることが企図されている。
【0041】
コンピュータインターフェース44は、情報システム42内に記憶されかつ情報システム42によって管理される情報にアクセスすることを可能にするために、情報システム42と通信することができる。コンピュータインターフェース44には、パーソナルコンピュータ(PC)(デスクトップ、ラップトップ、またはタブレットなど)が含まれ得るがそれに限定されない。本明細書において説明される例示的アーキテクチャには単一のコンピュータインターフェース44が示されているが、一つまたは複数のコンピュータインターフェース44が情報システム42と通信し得ることが企図されている。各コンピュータインターフェース44と情報システム42との通信は、直接接続によって、またはLAN、WAN、WLAN、および/またはインターネットを含み得るがそれらに限定されないネットワーク(図示せず)を介してリモートで、実現することができる。
【0042】
各患者モニタ装置46は、特定の患者50の生理特性をモニタし、それに基づくデータ信号を生成する。例示的患者モニタ装置には、母体/胎児心拍数モニタ、血圧モニタ、呼吸モニタ、生命徴候モニタ、心電図モニタ、酸素飽和度測定および/または麻酔モニタが含まれるがそれらに限定されない。例示的患者モニタ装置には、GE Healthcareによって提供されるCorometric Series Monitors、DINAMAP Series Monitors、DASH Series Monitorsおよび/もしくはSolar Series monitors、ならびに/またはRoyal Philips Electronicsによって提供されるIntelliVue patient monitorsおよび/もしくはSureSigns Series patient monitors、ならびに/またはAvalon Series Fetal Monitors、ならびに/またはDraeger Medicalによって提供されるInfinity Series patient monitorsが含まれるが、それらに限定されない。データ信号は情報システム42に伝達され、情報システム42はデータ信号に基づいて患者データを収集し、そのデータを、特定の患者と関連付けられた患者プロフィールに記憶する。患者50ごとにただ一つの患者モニタ装置46が示されているが、複数の患者モニタ装置46が特定の患者50をモニタし得ることが企図されている。患者モニタ装置46は、直接接続を介して、またはLAN、WAN、WLAN、および/またはインターネットを含み得るがそれらに限定されないネットワーク(図示せず)を介してリモートで、情報システム42と通信することができる。
【0043】
患者データは、コンピュータ装置44上に表示するために提供される。医療提供者(看護師および/または医師など)は、やはり情報システム44に記憶される患者情報を入力することにより患者データを補強することができる。より具体的には、医療提供者は、特定の患者50に対応する患者情報を入力することができ、患者情報は患者プロフィールに記憶することができる。1つの非限定的な例として、看護師は、看護メモを入力することができ、看護メモは情報システム内の患者プロフィールに記憶することができる。本明細書において使用する場合、患者情報という用語は、コンピュータインターフェース44を介して情報システム42に入力および記憶される、ある患者に対応する任意の情報を含む。患者情報については以下でさらに詳細に論じる。
【0044】
上記で論じた通り、各情報システム42は、患者モニタ装置46から収集され得る患者データ、ならびに、医療提供者によって入力される情報を含み得る追加患者情報を記憶する。情報システム46は、患者データおよび/または追加患者データをデータ管理システム(DMS)60に伝達する。DMS60は、サーバソフトウェア構成要素を走らせるサーバまたは仮想サーバとして設けることができ、データベースおよび/またはフラットファイルを含むデータ記憶を含むことができるがそれらに限定されない。図1の例示的システムアーキテクチャにおいて、各施設システム18、20は対応するDMS60を含む。そのようなアレンジメントにおいて、各情報システム42は、患者データおよび/または追加患者データをDMS60に伝達する。さらに、かつ以下でより詳細に論じる通り、DMS60は情報システム42に補助情報も伝達することができる。DMS60と情報システム42との通信は、直接接続によって、またはLAN、WAN、WLAN、および/またはインターネットを含み得るがそれらに限定されないネットワーク(図示せず)を介してリモートで、実現することができる。
【0045】
特定の施設システムに対応するDMS60は、施設システム18、20の施設40のいずれからも遠く離れて置かれることができるか、または施設システム18、20の特定の施設40に置かれることができる。図1の例示的システムアーキテクチャにおいて、DMS60は、各施設システム18、20内のどの施設40からも遠く離れて置かれている。しかし、DMS60は、施設40のうちの一つに置かれることができ、かつ他方の施設40からから遠く離れていることができることが企図されている。
【0046】
図2の例示的システムアーキテクチャにおいては、共通のDMS60'が設けられている。共通のDMS60'は、様々な施設システム18、20に共通し、かつ特定の施設システム18、20と関連付けられたものではない。各情報システム42は、直接接続によって、またはLAN、WAN、WLAN、および/もしくはインターネットを含み得るがそれらに限定されないネットワーク(図示せず)を介してリモートで、DMS60'と通信する。図2のアレンジメント例においては、DMS60'はネットワーク16を介して各情報システム42と通信する。各情報システム42は患者データおよび/または患者情報をDMS60'に伝達し、DMS60'は、以下でさらに詳細に論じる通り、情報システム42に補助情報を伝達することができる。
【0047】
図1の例示的システムアーキテクチャにおいて、施設40または施設システム18、20は、DMS60をローカルDMSとしてインストールし、DMS60は、情報システム42を含み得るがそれに限定されない他のサーバと共に、ローカルサイトにある。いくつかの実装において、DMS60は、切断すること、すなわち論理ネットワークの観点から分離することができるが、それでもなお物理的には、特定の施設40に属するその他のサーバと一緒に存在する。DMS60上にはサーバ構成要素がインストールされ、これらの構成要素には、データベース構成要素、データベース同期構成要素、ウェブサービス構成要素、および/または構造化照会言語(structured query language)(SQL)構成要素が含まれ得るがそれらに限定されない。また、DMS60上には情報システムインターフェースもインストールすることができ、これは情報システム42へのインターフェースとして機能する。非限定的な例として、情報システムインターフェースは、GE Healthcareによって提供されるOBLinkを含むことができる。いくつかの実装において、DMS60は複数サーバ構成として配置することができ、この構成では、1台のサーバがウェブサービス関連の構成要素だけのホストとして働き、論理的に分離され、かつ別のサーバに残りの必要なサーバ構成要素がインストールされる。
【0048】
図2の例示的システムアーキテクチャは、DMS60'におけるデータ収集の遠隔地を提供する。そのような実装においては、DMS60'は、施設40または施設システム18、20のいずれからも遠く離れた、第三者サイトにおいて提供することができる。第三者はDMSホストとして機能し、必要なサーバ構成要素は、リモートでホストとされたDMS60'上にインストールされる。いくつかの実装において、リモートでホストとされたDMS60'と施設40または施設システム18、20のネットワークとの間に企業間(business-to-business)(B2B)仮想私設ネットワーク(virtual private network)(VPN)を作成することができる。このようにすれば、施設40および/または施設システム18、20は、別の物理サーバ、すなわちDMS60を購入および/または保守せずに済む。さらに、DMS60'の使用可能時間および使用状況も、専用の第三者の部分においてより管理しやすい。DMSのネットワークへのアクセスは、施設40、または施設システム18、20に負担を負わせるのではなく、第三者によって処理され得る。さらに第三者は、仮想サーバ技術を実施して単一物理サーバ上の複数のDMSインストールを活用することができる。そのような実装において、複数の仮想サーバが単一物理サーバ内で区分され、各仮想サーバは、独自のオペレーティングシステムおよびサーバ構成要素を走らせる機能を有し、独立に起動させることができる。
【0049】
DMS60、60'は、1台の遠隔装置12または複数の遠隔装置12と、1台の情報システム42または複数の情報システム42との間でデータを同期させかつ転送する。より具体的には、DMS60、60'は、情報システム42から1台の遠隔装置12または複数の遠隔装置12に転送しかつ遠隔装置12上で提示するために、患者データおよび/または患者情報を処理および作成する。DMS60、60'はまた、対応するコンピュータ装置44における提示を可能にするように、1台の遠隔装置12または複数の遠隔装置12から情報システム42に転送および情報システム42に記憶するための補助情報も処理および作成する。例示的DMSには、AirStrip Technologies, LLCによって提供されるAirStrip Serverが含まれていてもよいがそれらに限定されず、AirStrip ServerにはAirStrip Server Componentsがインストールされる。
【0050】
ここで図3および4を参照して、本開示の特徴を実施するための例示的なソフトウェア構成要素、すなわちモジュール構造70を説明する。この例示的構造は、遠隔装置12上で動作するオペレーティングシステム、すなわちプラットフォームにかかわらず、患者データおよび患者情報を、情報システム42と遠隔装置12との間で通信および同期させることを可能にする。例示的プラットフォームには、RIM Blackberry、Apple iPhone、MS Pocket PC 2003、Win Mobile 5.x(ポケットPC、スマートフォン)、Win Mobile 6.x(standard、professional)および/またはこれから開発される任意のプラットフォーム(Google Android、およびPalm PREなど)が含まれるがそれらに限定されない。
【0051】
図3には例示的モジュール構造70の概要が示されており、モジュール構造70は、遠隔装置12のプラットフォーム72、すなわちオペレーティングシステム、中間構成要素74、接続機構76、および情報システム42のオペレーティングシステム78を含む。このアレンジメントにおいて、遠隔装置12はそこでクライアントアプリケーションを実行するクライアントである。中間構成要素74は、DMS60、60'上にあり、クライアント・サービス・モジュール80、統合サービスモジュール82、およびアダプタ・サービス・モジュール84を含む。DMS60、60'は、遠隔装置12上に常駐しているプラットフォーム72と、情報システム42のオペレーティングシステム78との仲介手段として機能する。DMS60、60'が、遠隔装置12上で動作する任意のプラットフォーム72との間でデータを転送することができることを例示するために、複数のプラットフォーム72が示されている。接続機構76はDMS60、60'と特定の情報システム42との間の通信を可能にする。DMS60、60'が、情報システム42上の任意のオペレーティングシステム78との間でデータを転送することができることを例示するために、複数の接続機構76および対応するオペレーティングシステム78が示されている。
【0052】
図4に示す例示的構造において、クライアント・サービス・モジュール80は、アラートおよび通知サービスモジュール90、オブザーバ・クライアント・サービス・モジュール92、およびグローバル・サービス・モジュール94を含む。統合サービスモジュール82は、同期サービスモジュール96、およびアラートエンジン規則98を含む。同期サービスモジュール96は、いわゆるインテリジェント同期を提供するために同期データベース100と通信することができる。アダプタ・サービス・モジュール84は、構成モジュール102、認証モジュール104、入院、退院および転院(admission, discharge and transfer)(ADT)モジュール106、および患者データモジュール108を含む。
【0053】
アラートおよび通知サービスモジュール90は、以下でさらに詳細に論じる通り、遠隔装置12にアラートおよび/または通知を送る。オブザーバ・クライアント・サービス・モジュール92は、遠隔装置12上で走るクライアントアプリケーションと、アプリケーションデータへのアクセスを可能にするバックエンドサーバ構成要素との間の通信を円滑化する。オブザーバ・クライアント・サービス・モジュール92は、フォーマットされた要求によってデータを送信し、固有のデータ形式のデータを受信する。例示的データ形式には、JavaScriptオブジェクト表記(JavaScript Object Notation)(JSON)が含まれるがそれに限定されず、JSONは、単純なデータ構造およびオブジェクトと呼ばれる連想配列を表すためのテキストベースの人間可読形式を提供する軽量のコンピュータデータ交換形式である。グローバル・サービス・モジュール94は、遠隔装置12上で走るクライアントと通信し、登録およびクライアントアプリケーション構成設定を行う。クライアントアプリケーション設定は、遠隔装置12のユーザならびに施設40および/または施設システム18、20のユーザによってカスタマイズされることができ、そのために遠隔装置12がデータを受信するように構成されている。
【0054】
統合サービスモジュール82は、オブザーバ・クライアント・サービス・モジュール92から受け取られる要求を、要求されたデータを検索およびパッケージングするように、かつ対応する応答を送信するように経路指定する役割を果たす。より具体的には、統合サービスモジュール82は、特定のDMS60、60'がどのように構成されているかに応じて、アダプタ・サービス・モジュール84に、または同期データベース100にデータを要求する。DMS60、60'がベンダアダプタ(vendor adapter)を使用するように構成されている場合には、要求は、直接アダプタ・サービス・モジュール84まで進んで、データを検索する。DMS60、60'が同期するように構成されている場合には、データは同期データベース100から検索される。同期サービスモジュール96は、アダプタ・サービス・モジュール84と通信してインテリジェント同期を使用して同期データベース100を最新の状態に維持する。
【0055】
インテリジェント同期は可変構成パラメータに基づいて実行される同期であり、これらの構成パラメータは、すべての利用可能なデータが絶えず同期されるのではなく、患者データおよび/または患者情報の一部だけを同期させることを可能にする。カスタム・ビジネス・ルール論理を使用して、どの患者データおよび/または情報が同期されるべきか、およびどの患者データおよび/または情報が同期されるべきかインテリジェントに判定することにより、DMS60、60'は、より効率よく機能し、より多くのクライアントおよび構成にサービスすることができる。非限定的な例として、ユーザが遠隔装置12を介してDMS60、60'にログオンする前には、どんな特定の患者データおよび/または情報も同期されない。代わりに、患者センサスリストと特定の患者50に対応する具体的データ要素だけがDMS60、60'と情報システム42との間で同期されている。ユーザが、ログオンし、かつ調べるための特定の患者50を選択した後で、同期サービスは、その特定の患者50について利用可能なすべての患者データおよび/または情報の同期を開始する。したがって、その後のその特定の患者50の調査は、その患者のデータおよび/または情報が同期されているため、かなり速くなる。
【0056】
アダプタ・サービス・モジュール84は、接続機構モジュール76を介して情報システム42からデータを検索する機構、およびそのデータをDMS60、60'のために構造化する機構である。データが統合サービスモジュール82を介してクライアントのために直接要求されるか、それとも同期サービスモジュール96を介して検索されるかにかかわらず、データはフォーマットされ、そのためのアダプタが書かれている特定のDMS60、60'についての規則が適用される。構成モジュール102は、情報システム42によって使用される構成設定を取り込む。構成モジュール102は、DMS60、60'において複製されなくて済むように、既存の構成情報を使用することができる。非限定的な例として、情報システム42には、典型的には、特定の施設40のすべての患者ベッド、およびそれらがどのユニットに属するかが、記憶されている。構成モジュール102は、構成情報を入力する際の労力を低減するかまたは不要にする。構成モジュール102はまた、情報システム42において構成変更が加えられたが、システム管理者がDMS60、60'において変更を加えるのを忘れた場合に問題が生じるのを防ぐこともできる。
【0057】
認証モジュール104は、DMS60、60'に必要な認証を処理し、この認証には、アクティブディレクトリ認証、ベンダ認証、装置ID制限、装置電話番号制限、およびこれらの任意の組み合わせが含まれ得るがそれらに限定されない。各施設システム18、20および/または施設40は、そのような認証機構の任意の組み合わせを使用して認証を行うように構成されている。装置ID制限は、認証サービスが、施設システム18、20および/または施設40への接続を許可されている個々の遠隔装置12と関連付けられた装置IDの事前構成リストを調べることができる機能であり、その装置IDを発信元とするソフトウェアクライアントからの(すなわちその特定の遠隔装置12からの)呼出しだけを認証する。装置電話番号制限は、認証システムにおいて事前構成されている電話番号を有する遠隔装置12へのアクセスを制限する。
【0058】
ADTモジュール106は、どの患者がどのベッドおよび/またはユニットと関連付けられているかが常に分かるように、施設システム18、20および/または施設40内の既存のADTインターフェースを使用して患者の入院、退院および転院の情報を獲得することを可能にする。患者データモジュール108は、情報システム42からDMS60、60'に、すべての波形および非波形の患者データおよび/または情報を提供する。患者データモジュール108はまた、AirStrip データコレクタ、またはCapsule Technologies データ獲得システムを含むがこれに限定されない独立のデータ収集システムなどのデータ取得システムから取得されたすべての波形および非波形も提供することができる。これには、すべての看護記録情報、および情報システム42によって使用される任意の自動化データ収集手段が含まれるがそれらに限定されない。
【0059】
図4に示す例示的構造において、各接続機構モジュール76は、データベースモジュール110、ウェブ・サービス・モジュール112、要求モジュール114、およびアプリケーション層プロトコルモジュール116を含む。非限定的な例として、要求モジュール114はHTTP要求を管理することができ、かつ/またはアプリケーション層プロトコルは、ヘルスレベル7(health level seven)(HL7)アプリケーション層プロトコルを含むことができる。接続機構モジュール76は、DMS60、60'が特定の情報システム42に接続し、情報システム42と通信することを可能にする。いくつかの実装において、接続機構モジュール76は、情報システム42を通信するためのアプリケーション・プロトコル・インターフェース(application protocol interface)(API)を含むことができる。他の実装では、接続機構モジュール76は情報システム42に直接アクセスすることができる。
【0060】
最初に論じた通り、本開示は、医療提供者、すなわち遠隔装置12のユーザに、患者データおよび/または患者情報への安全な遠隔アクセスを提供する。本明細書において使用する場合、患者データという用語は、患者モニタ装置から獲得され得る生理学的データ、および/または地域の医療提供者(看護師または医師など)によって情報システム42に入力される生理学的患者データを指す。患者情報という用語は、地域の医療提供者によって情報システム42に入力される特定の患者に対応する情報を指す。例示的患者情報には、患者の名前、患者に割り当てられた医者の名前、患者に割り当てられた看護師、施設識別、患者ベッド識別、重要な患者データの概要、および/またはグラフ注釈が含まれ得るがそれらに限定されない。産科患者の事例においては、重要な患者データには、頸部検査状態、膜状態、妊娠回数、出産回数、硬膜外状態、および/または患者が帝王切開後の普通分娩(VBAC)を試みようとしているかどうかなどの出産経過情報が含まれ得るがそれらに限定されない。
【0061】
遠く離れて位置するユーザに提供される患者データおよび/または患者情報は、リアルタイムデータとして、かつ/または履歴データおよび情報として提供することができる。患者データおよび/または患者情報は、ネットワーク16を介して確立された安全な接続を使用して遠隔装置12とDMS60、60'との間で通信される。好ましくは、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(Health Insurance Portability and Accountability Act)(HIPAA)の規定に従った、安全なログイン、またはサインオンプロセスが提供される。安全なサインオンは、遠隔装置12のユーザの識別情報を、一意のユーザIDとパスワードの組み合わせに基づいて認証する。遠隔装置12とDMS60、60'との間で安全な通信を確立するためには、ユーザIDとパスワードの両方が正しくなければならない。サインオンおよび認証プロセスの実装を以下でさらに詳細に説明する。
【0062】
1名または複数のモニタされた患者50のそれぞれと関連付けられた、本明細書において説明される様々な情報および/またはデータを取り込んだセンサスリスト、または患者リストが遠隔装置12に提供される。患者データおよび/または情報をユーザに図表形式で提示することができるストリップ表示(strip)グラフも提供される。産科患者の事例においては、特定の患者50について胎児のストリップ表示および母体の収縮情報が提供され得る。より具体的には、特定の患者50が患者リストから選択され、続いて患者情報および/またはデータが提示される。提示される情報および/またはデータには、胎児のストリップ表示および母体の収縮波形、患者名、病院名、患者の病室および/またはベッド番号、ならびに日時が含まれ得る。ストリップ表示グラフは、患者データのリアルタイム表示、ならびに患者データの履歴表示を提供することができる。より具体的には、この波形表示は、遠隔装置12のユーザが患者データを、それが発生しかつ/または記録されるのと同時に観測するように、リアルタイムで更新することができる。ユーザは、以下でさらに詳細に説明する通り、波形表示をスクロールさせて患者履歴データを閲覧することができる。
【0063】
ユーザが波形表示のビューを操作することを可能にするいくつかのナビゲーション機構を提供することができる。いくつかの実装において、ユーザは表示される画像をズームイン/アウトすることができる。このようにしてユーザは、例えばズームインすることにより、非常に詳細な波形情報および/もしくは他の波形のミクロ特性を閲覧することができ、かつ/または、例えばズームアウトすることにより、パターンもしくは他の波形のマクロ特性を閲覧することができる。いくつかの実装において、ユーザは波形表示を前後にスクロールさせることができる。このようにして、ユーザは患者履歴データを閲覧することができる。
【0064】
患者データ表示も提供することができる。いくつかの実装において、患者データ表示は、本明細書において説明するストリップ表示グラフに重ね合わせることができる。他の実装では、患者データ表示は、オーバーレイとして、かつ/または別個の表示として提供することができる。患者データ表示には、患者の名前、年齢、妊娠期間、妊娠回数、経産回数、頸部検査情報、および医師名が含まれ得るがそれらに限定されない。
【0065】
本開示の実装は、いくつかのオペレーティングシステム、または特定の遠隔装置12と関連付けられたプラットフォーム72のうちのいずれか1つにおいても実現することができる。図3および4に関して論じた通り、例示的プラットフォームには、RIM Blackberry、Apple iPhone、MS Pocket PC 2003、Win Mobile 5.x(ポケットPC、スマートフォン)、Win Mobile 6.x(standard、professional)、および/またはこれから開発される任意のプラットフォーム(Google AndroidおよびPalm PREなど)が含まれるがそれらに限定されない。ここで図5A〜5Kを参照して、本開示の例示的実装を例示的遠隔装置12のスクリーンショットに関して説明する。この例の遠隔装置12には、例示的プラットフォームを含む携帯電話またはスマートフォン(Apple iPhoneなど)などのモバイル装置が含まれる。しかし、本開示の実装は、任意の種類の遠隔装置12上で、かつ/または遠隔装置12によってサポートされる任意の種類のプラットフォーム72を使用して実行され得ることが理解される。本明細書において例示しかつ説明するスクリーンショットは、例示的な性質のものにすぎず、本開示の実装において提供される機能および特徴を網羅するものではないことが理解される。
【0066】
図5Aは、ユーザがユーザIDとパスワードの組み合わせを入力した後で開始される読込み画面120の例示的スクリーンショットを示す。ユーザIDとパスワードの組み合わせが認証される場合には、遠隔装置12とDMS60、60'の間の安全な通信が確立され、遠隔装置12はDMS60、60'から患者データおよび/または情報を検索する。いくつかの実装において、ユーザは、それぞれが独自のDMS60を含む複数の施設システム18、20と関連付けられていてもよい(例えば図1参照)。そのような場合、各DMS60と遠隔装置12の間の安全な通信は、本明細書においてさらに詳細に説明した通り、ユーザIDとパスワードの組み合わせが確認され次第、確立される。
【0067】
図5Bは、ユーザが関連付けられている施設システムおよび/または特定の一つの施設または複数の施設の概要を提供する施設概要表示122の例示的スクリーンショットを示す。施設概要表示122は複数の選択可能なアイコンを含む。図5Bの例示的説明図には、施設アイコン124(「Community Hospital」など)、ならびに施設システムと関連付けられた2つの施設アイコン126、128(「Northside Hospital」および「Southside Hospital」など)を含む施設システム(「Anyplace Health (WAN)」など)が示されている。施設(「Community Hospital」など)は、施設システム(「Anyplace Health(WAN)」など)と関連付けられていない独立の施設であることができる。この場合、施設は、他の施設および/または施設システムとネットワーク接続されていないため、「非WAN」として記載することができる。施設システムは、それと関連付けられた複数の相互に通信し合う施設を含むため、「WAN」として記載することができる。
【0068】
施設アイコン126、128に特に関して、属性が提供され得る。例示的属性には、患者数が含まれ得るがそれに限定されない。第1の患者数130は、その施設において特定のユーザが担当する合計患者数を示す。例えば、ユーザが医師である場合、第1の患者数130は、その特定の医師にかかっている合計患者数を示す。図5Bの例示的説明図において、「Community Hospital」においてユーザと関連付けられた合計患者数は12名であり、「Northside Hospital」においてユーザと関連付けられた合計患者数は27名であり、「Southside Hospital」においてユーザと関連付けられた合計患者数は15名である。特定の患者数を表示する第2の患者数132を提供することができる。この特定の患者数は、新患とみなされる患者の数を含むことができる。図5Bの例示的説明図においては、2名という特定の患者数が「Community Hospital」と関連付けられている。これは、例えば、「Community Hospital」における12名の患者のうち2名が新患とみなされることを示すことができる。
【0069】
図5Bの例示的な施設概要表示は、例示的機能へのリンクおよび/または他の表示へのリンクを提供するショートカットメニュー134をさらに含む。図示された例示的リンクには、「Search」、「Recently Viewed」、および「All Patients」が含まれるが、ショートカットメニュー134は、ユーザが望む任意の利用可能なリンクを提供するようにユーザによってカスタマイズされ得ることが企図されている。「Search」を選択することにより、ユーザが患者、施設、施設システムなどを探索するための探索語を入力することができる探索画面が提供される。「Recently Viewed」を選択することにより、その患者データが遠隔装置を使用してユーザによって最近表示された何名かの患者がリストされた表示画面が提供される。非限定的な例として、患者のリストは、決められた数(ユーザが表示させた最後のX名の患者など)によって決定することができ、かつ/または時間(過去X日間にわたってユーザによって表示された患者など)によって決定することができる。「All Patients」を選択することにより、施設または施設システムにかかわらず、特定のユーザに割り当てられているすべての患者をリスト表示する表示画面が提供される。「All Patients」リンクはまた合計患者数130および特定の患者数132も含むことができる。この場合、ショートカットメニュー134内の合計患者数130は、施設にかかわらずその特定のユーザにかかっている患者の数を表し、かつ特定の患者数132は、その合計のうちの新患の数を表すことができる。
【0070】
ユーザは、アイコンのうちのいずれか一つを選択することにより、施設概要表示122からナビゲートすることができる。アイコンは、特定のプラットフォームによってサポートされるいくつかのやり方のうちのいずれか一つにおいて選択することができる。非限定的な例として、アイコンは、指(すなわち手の指)、スタイラス、および/または他のポインティングデバイスで画面に接触することによって、ならびにデジタルカーソルおよび/またはキーパッドを用いて、選択することができる。
【0071】
図5Cは、特定の施設(図5Cの例示的説明図における「Memorial Hospital」など)と関連付けられた患者の概要を提供する患者概要表示136の例示的スクリーンショットを示す。この概要は、患者データおよび/または情報を含むことができる。図5Cの例示的説明図において、概要情報は、患者の名前、担当看護師の名前、責任を負う医師の名前、患者のベッド番号、直近のもしくは最後の日時、医療事象、容態(「Unstable Angina(不安定狭心症)」、「Urosepsis(尿路性敗血症)」、および/または「Congestive Heart Failure(CHF)(うっ血性心不全)」など)、ならびに患者に処方された特定の薬剤を含む。特定の種類の概要をメニュー138から選択することができる。図5Cの例示的説明図において、メニュー138は、タッチ・スクリーン・メニューとして提供されており、複数の選択可能なオプションを含む。しかし、メニュー138は、ドロップダウンメニューを含むがそれに限定されないいくつかのやり方のうちのいずれか一つとして提供され得ることが企図されている。図示されたメニュー138の例示的オプションには、「Patients」、「My Patients」、「New Patients」、「Alerts」、および追加のオプションを表示するためのオプション「More」が含まれる。図5Cの例示的説明図において、患者概要表示136は、特定の施設(「Memorial Hospital」など)における特定のユーザ(「Dr. Craig」など)と関連付けられた患者をリスト表示する。「Patients」を選択することにより、特定の施設におけるすべての患者を表示させることができる。「New Patients」を選択することにより、新患とみなされる患者だけが表示される。「Alerts」を選択することにより、本明細書においてさらに詳細に論じる、対応するアラート状態を有する患者が表示される。また、リスト表示される患者ごとに、選択可能なグラフ140アイコンも提供することができる。グラフアイコンを選択することにより、以下でさらに詳細に論じる通り、患者データおよび/または患者情報の一つまたは複数のストリップ表示グラフを表示させることができる。
【0072】
患者概要表示136から特定の患者を選択することにより、特定患者概要表示142が提供される。図5Dは、患者概要表示136から選択された患者「Abraham, Natalie」についての例示的な特定患者概要表示142を示す。特定患者概要表示142は、様々な患者データおよび/または情報144を提供することができる。特定患者概要142は、より詳細な患者情報を掘り下げるための選択可能なアイコンをさらに含む。例えば、ユーザが、以下でさらに詳細に論じる通り、患者データおよび/または患者情報のストリップ表示グラフを表示させることを可能にするモニタアイコン146を提供することができる。妊婦患者という例示的状況において、選択可能なアイコンは、「Fetal Monitor」アイコンとして提供される。特定患者概要表示には他の患者データおよび/または情報も表示させることができる。図5Dの例示的説明図においては、ユーザが特定概要データおよび/または情報を選択して表示させるための選択可能メニューが提供される。図5Dに示す例示的オプションには、薬剤投与量履歴、経過履歴、生命徴候、および検査結果が含まれるがそれらに限定されない。図5Eおよび5Fは、別のモニタアイコン146(「Patient Monitor」および「Ventilator Monitor」など)、ならびに別の利用可能な概要データおよび/または情報(心電図(ECGまたはEKG)、グラフ、PACSなど)を含む別の例示的な特定患者概要表示142を示す。
【0073】
ここで図5Gを参照して、患者生命徴候表示150の例示的スクリーンショットを示す。患者生命徴候表示150は、患者データ値を提供することができ、かつ/またはグラフ形状の(ストリップ表示などとしての)患者データを表示することができる。図5Gの例示的説明図においては、患者生命徴候の値が提供され、患者生命徴候はグラフとして示されている。例示的患者生命徴候には、心拍数、血圧、酸素飽和度、呼気終末CO2、スワントレーシング(Swan tracing)、動脈ライントレーシング(Arterial Line Tracing)、中心静脈圧、EKG/ECG、呼吸器波形、および体温が含まれるがそれらに限定されない。患者生命徴候は、静的表示として提供することができ、リアルタイムで表示する(すなわち、患者モニタ装置によって測定が行われると同時に更新する)ことができ、かつ/または再生する(すなわち、履歴表示を提供するために記憶された患者データを再生する)ことができる。
【0074】
図5Hは、特定の患者データと関連付けられた概要ストリップ表示154を表示する患者表示152の例示的スクリーンショットを示す。妊婦患者の例示的状況においては、概要ストリップ表示154には、胎児のストリップ表示、陣痛曲線、および血圧が含まれるがそれらに限定されない。概要メモ156も提供することができる。概要ストリップ表示154のうちの一つを選択することにより、以下で図5Iおよび5Jに関して説明する通り、対応するストリップ表示をより詳細に表示することができる。概要メモ156を選択することにより、特定の患者に関する看護メモおよび情報を表示して具体的詳細を提供することができる。
【0075】
図5Iおよび5Jの例示的実装は、胎児のストリップ表示158を提供する。しかし、本開示の実装は、胎児のストリップ表示、陣痛曲線、血圧、心拍数、酸素飽和度、呼気終末CO2、スワントレーシング、動脈ライントレーシング、中心静脈圧、EKG/ECG、呼吸器波形および/または体温を含むがそれらに限定されない任意の種類の付随するデータストリップ表示を表示し得ることが理解される。図5Iの例示的説明図には、胎児のストリップ表示が縦長レイアウトで示されており、図5Jの例示的説明図には、胎児のストリップ表示が横長レイアウトで示されている。横長レイアウトは、ユーザが、より長期間にわたるより多くの患者データを閲覧すること、またはその患者データの同じ期間にわたる拡大された詳細を閲覧することを可能にする。
【0076】
表示するための特定のストリップ表示が選択されると、遠隔装置12から対応する情報システム42に、その特定の患者についての患者データおよび/または情報を送信するよう求める要求が出される。患者データおよび/または情報は遠隔装置12に提供され、遠隔装置12は患者データおよび/または情報をバッファに入れてそのリアルタイム表示を提供する。患者データの基本リアルタイム表示が、タイミングマークが表示され、患者情報が示されている背景グリッド上に提供される。本開示の実装において、患者データ記録はディスプレイの右から左へと進む。
【0077】
本開示の実装は、ズームインおよびズームアウトの機能を提供する。どちらの場合にも、ユーザは、傾向(ズームアウトなど)、または特定のデータセグメント(ズームインなど)の表示を利用して、患者の容態に関する判断を容易にすることができる。本開示の実装はまた、データストリップの可変速度スクロール機能も提供する。より具体的には、遠隔装置12のユーザに、双方向の多重レベル選択バー、および/またはデータストリップの方向およびスクロール速度を調整する縦方向のコントロールを提示することができる。このようにして、ユーザは、個人の好みに合わせて、または患者データの検討を決定づける具体的状況に合わせて、患者データの表示をカスタマイズすることができる。例えば、ユーザは、特定の異常が発生した点までデータストリップをすばやくスクロールさせることができ、かつ患者データをさらに詳細に調べるためにその点の周りでデータストリップをゆっくりスクロールさせることができる。
【0078】
次に図6A〜図7を参照して、遠隔装置12上に表示される波形のタッチ測定を説明する。特に図6Aを参照すると、図5Gに示すスクリーンショット例と同様の患者生命徴候表示250のスクリーンショット例が示されている。患者生命徴候表示250は、患者データ値を提供することができ、かつ/または患者データのグラフ形状を(ストリップ表示、または波形などとして)表示することができる。図6Aの例では、患者生命徴候の値が提供され、患者生命徴候がグラフ形状で示されている。患者生命徴候の例には、心拍数、血圧、酸素飽和度、呼気終末CO2、スワントレーシング(Swan tracing)、動脈ライントレース(Arterial Line Tracing)、中心静脈圧、EKG/ECG、呼吸器波形および体温が含まれるがそれらに限定されない。患者生命徴候は、静的表示として提供することもでき、リアルタイムで表示する(すなわち、測定が患者監視装置によって行われるのと同時に更新する)こともでき、かつ/または再生する(すなわち、記憶された患者データを再生して履歴表示を提供する)こともできる。
【0079】
遠隔装置12のユーザは、装置12のディスプレイ上に詳細に提示される特定の波形を選択することができる。例えば、ディスプレイは、装置12の動作を調節するための装置12への入力としてディスプレイとの接触を登録することができるタッチスクリーンディスプレイとして提供することもできる。そのような接触は、(指などを使った)ユーザによる直接接触、および/またはスタイラスを使った接触によって行うことができる。ユーザが図6Aにおける心拍数波形を選択する場合、図6Bおよび図6Cのスクリーンショット例を表示することができる。特に図6Aを参照すると、心拍数波形252は、基礎となる患者データが遠隔装置によって受信されるのと同時にリアルタイムで表示することができる。例えばユーザは、「Real Time」表示ボタンを選択してリアルタイムで波形252を表示させることができる。また、波形252のリアルタイム更新を一時停止しかつ波形252の履歴照会を提供するための、再生ボタン256も含まれている。
【0080】
ユーザが選択波形特徴を測定することを可能にするための測定ボタン258が設けられている。測定ボタンを選択すると、ディスプレイ上に、第1のキャリパライン、すなわちジョー260、および第2のキャリパライン、すなわちジョー262を含むデジタルキャリパが生成される。ユーザが水平方向264に沿って(例えば、時間軸に沿って)波形測定を行いたい場合、キャリパライン260、262は、水平方向264に対して直角に位置合わせされ、水平方向に沿って移動させることができる(図6B参照)。キャリパライン260、262上に、第1および第2のキャリパライン260、262が波形252と交わるところにそれぞれ対応する点266、268を生成することができる。測定値270が、水平方向264に沿ったキャリパライン260、262の位置に基づいて自動的に生成される。キャリパライン260、262のそれぞれの位置は、ディスプレイにタッチし、選択されたキャリパライン260、262を水平方向264に沿ってドラッグすることにより操作することができる。選択されたキャリパライン260、262が移動する際に、移動が生じるに従って、測定値270をリアルタイムで自動的に更新することができる。図6Bのスクリーンショット例では、測定値270は波形252のピーク間の時間測定値に対応する。
【0081】
ユーザが垂直方向272に(すなわち、電圧軸に沿って)波形測定を行いたい場合、キャリパライン260、262は、垂直方向272に対して直角に位置合わせされ、垂直方向に沿って移動させることができる(図6C参照)。キャリパライン260、262上に、第1および第2のキャリパライン260、262が波形252と交わるところにそれぞれ対応する点266、268が生成される。測定値274が、垂直方向272に沿ったキャリパライン260、262の位置に基づいて自動的に生成される。キャリパライン260、262のそれぞれの位置は、ディスプレイにタッチし、選択されたキャリパライン260、262を垂直方向272に沿ってドラッグすることにより操作することができる。選択されたキャリパライン260、262が移動する際に、移動が生じるに従って、測定値274をリアルタイムで自動的に更新することができる。図6Cのスクリーンショット例では、測定値274は、波形252のピークと谷の間の電圧測定値に対応する。
【0082】
次に図7を参照すると、フローチャートにより、装置12のディスプレイ上に波形測定を提供するために実行され得る例示的工程が示されている。工程700で、患者データが、患者データのソースから遠く離れている装置に伝達される。工程702で、波形が装置のタッチスクリーンディスプレイ上に生成される。工程704で、タッチスクリーンディスプレイとの接触に基づいて波形に対応する第1の点が生成され、工程706で、タッチスクリーンディスプレイとの接触に基づいて波形に対応する第2の点が生成される。工程708で、第2の点が生成されると、第1の点と第2の点との距離が軸に沿って自動的に測定される。工程710で、距離に対応する値がタッチスクリーンディスプレイ上に表示される。値は、時間値および電圧値の一方を含むことができる。前述の通り、第1の点および第2の点の少なくとも一方を軸に沿って移動させることができ、かつ値は、軸に沿った第1の点および第2の点の少なくとも一方の移動に基づいてリアルタイムで更新される。値は、装置のメモリに記憶することができ、かつ/または施設に置かれた患者情報システムに伝達することができる。
【0083】
図6A〜図6Cのそれぞれに示す通り、ディスプレイには音声ボタン280を提供することができる。音声ボタン280は、装置12の聴覚的機能をオンまたはオフにするように選択することができる。聴覚的機能は、施設40において患者50を直接監視する患者監視装置46により使用できる聴覚的機能に対応させることができる。より具体的には、装置12の音声機能は患者監視装置46の音声機能をシミュレートする。このように、装置12のユーザは、あたかもユーザが施設40において患者を直接聴覚で監視しているかのように、遠隔地から患者を聴覚で監視することができる。聴覚的機能はスピーカを使用して装置12から発生させることができる。
【0084】
聴覚的機能を、本明細書で説明する波形例のそれぞれについて提供することができる。非限定的な例としては、聴覚的機能を、動脈血酸素飽和度および/または心拍数について提供することができる。特に6Aを参照すると、装置12のユーザには、特定の患者生命徴候についての波形が提示され、この波形は、受信される患者データに基づいてリアルタイムで更新され得る。ある一定の特徴(スパイク、ピーク、谷、平坦線など)が特定の波形について出現する際に、その特徴の出現に対応する音が発せられる。心拍数波形の事例では、患者の心拍に対応する波形スパイク、またはピークに基づいて音を発生させることができる。このように、音は周期的に繰り返され、ユーザにリズミカルな音(audible cadence)が提示され、ユーザが患者の心拍数を聴覚で監視することができる。波形が平坦であるかまたは特徴のない場合など、場合によっては、持続音を発生させることもできる。そのような事例が生じ得るのは、例えば、患者の心臓が鼓動を停止し、かついわゆる「平坦線」状態になった場合である。音は、一つの音声ファイル、または複数の音声ファイルとして装置12のメモリ26に記憶することができ、かつ特定の音声ファイル形式(wav、mp3、m4pなど)に対応させることができる。
【0085】
次に図8を参照すると、フローチャートにより、前述の聴覚的機能を提供するために実行され得る例示的工程が示されている。工程800で、患者データが、患者データのソースから遠く離れている装置に伝達される。工程802で、患者データに基づいて装置のディスプレイ上に波形が生成される。場合によっては、波形は、心拍数、血圧、酸素飽和度、および呼気終末CO2のうちの一つに対応させることができる。場合によっては、波形特徴は、スパイク、ピーク、谷、および平坦線のうちの一つまたは複数を含むことができる。工程804で、波形特徴の出現が特定され、工程806で、波形特徴の出現に基づいて音が発せられる。音は、波形特徴の周期的出現に応答して繰り返し発生させることができる。音は持続音であることができる。場合によっては、音声ファイルを装置のメモリに記憶することができ、かつこれを波形の生成に基づいて取り出し、音声ファイルに基づいて音を発生させることができる。場合によっては、装置のメモリに複数の音声ファイルを記憶することができ、かつ波形の種類に基づいて複数の音声ファイルの中から音声ファイルを選択し、音声ファイルに基づいて音を発生させることができる。
【0086】
次に、図9および図10を参照すると、プッシュ通知機能が提供されている。より具体的には、DMS60、60'において、患者データが情報システム42から受信されると、患者データを解析および評価するためのルーチンを実行することができ、かつこの解析および評価に基づいてアラートを生成することができる。場合によっては、情報システム42が、患者データを解析および評価し、かつこの解析および評価に基づいてアラートを生成することができる。これらのアラートは、プッシュ通知インフラストラクチャを使用して装置12にプッシュすることができる。より具体的には、DMS60、60'に常駐しているアラートは(そのアラートがDMS60、60'で生成されたかそれとも情報システム42で生成されたかにかかわらず)第三者プッシュ通知サービスに転送することができ、第三者プッシュ通知サービスはそのアラートを装置12にプッシュする。このように、基礎をなすアプリケーションは、そのようなアラートを受信するために装置上で走っていなくてもよい。
【0087】
特に図9を参照すると、装置12のディスプレイはアプリケーションアイコン300を含む。図9の例では、アプリケーションは、AirStrip Technologies, LLCによって提供されるAirStrip Critical Care(CC)を含む。しかし、アプリケーションは、装置12上に患者データを表示するために装置12上で実行される任意のアプリケーションを含み得ることが理解される。また、そのようなアプリケーションには、AirStrip OB、AirStrip Cardiology、AirStrip Laboratory、および/またはAirStrip Imagingも含まれ得るがそれらに限定されない。アプリケーションアイコン300は、この例では、2つのアラートが装置にプッシュされていることを表示するバッジ302を含んでいる。アラートを受信すると、装置12は、関連する患者およびアラートの情報を提供するアラート要約304を表示することができる。このように、ユーザは、アラートを直ちに閲覧すべきかどうか判断することができる。バッジ通知および/またはアラート要約は、基礎をなすアプリケーションが休止状態である(すなわち、実行されていない)間に、自動的に生成され、かつ/または更新される。言い換えると、アプリケーションは、装置12がアラートを受信するために装置12上でアクティブでありかつ実行中である必要はない。さらに、アラートが受信される際に、可聴の(すなわち音の)、または物理的な(振動などの)表示を生成し、ユーザに、アラートが受信されていることを通知することもできる。これは、ユーザが、装置12上の別のアプリケーションで作業している間にアラートを受信することができ、かつ装置12を全く使用していない場合にもアラートを受信することができるという点で大いに有益である。
【0088】
次に図10を参照して、プッシュ通知を提供するために実行され得る例示的工程を説明する。工程1000で、アラートが患者データに基づいて生成される。場合によっては、アラートは、施設に常駐している情報システムにおいて生成することができ、患者データが該情報システムに収集される。場合によっては、アラートは、患者データのソースから遠く離れているデータ管理システムにおいて生成することもできる。工程1002で、アラートは第三者通知サービスに提供される。工程1004で、アラートは患者データのソースから遠く離れている装置に伝達され、工程1006で、アラートは装置において受信される。アラートは、装置上に常駐しているアプリケーション、および該装置を用いて実行可能であるアプリケーションに対応することができる。アプリケーションは、アラートが装置において受信される際に、休止状態であることができる。工程1008で、アラートの表示が装置のディスプレイ上に提示される。表示は、アプリケーションアイコンと関連付けられたバッジ、およびアラート要約の少なくとも一方を含むことができる。アラート要約は患者情報を提供することができる。アラート要約を選択することができ、選択に応答して装置のディスプレイ上に詳細なアラート情報を表示することができる。
【0089】
本開示は、デジタル電子回路において、またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアにおいて、またはこれらの組み合わせにおいて実施することができる。本発明は、データ処理装置、例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のコンピュータなどにより実行するための、またはこれらの動作を制御するためのコンピュータプログラム製品、すなわち、情報キャリア、例えば機械可読記憶装置などにおいて有形的に具現化されたコンピュータプログラムとして実施することができる。コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語またはインタプリタ型言語を含む任意の形のプログラミング言語で書くことができ、かつ独立型プログラムなど、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくはコンピュータ環境における使用に適した他のユニットなどを含む、任意の形で配備することができる。コンピュータプログラムは、一つのサイトにあるか、または複数のサイトにまたがって分散されかつ通信ネットワークによって相互接続された、1台のコンピュータまたは複数のコンピュータ上で実行されるように配備することができる。そのようなコンピュータプログラムは、本明細書において提供される特徴、局面、および/または実装の一つまたは複数を実行するためのモジュールおよび/またはコードセグメントを含むことができる。
【0090】
本開示の方法の工程は、入力データに作用することおよび出力を生成することによって本開示の機能を果たすためのコンピュータプログラム製品を実行する一つまたは複数のプログラマブルプロセッサによって実施することができる。1つの非限定的な例として、コンピュータプログラム製品は、本明細書において提供される方法の工程、局面および/または特徴のそれぞれに対応するモジュールおよび/またはコードセグメントを含むことができる。また方法の工程は、FPGA(field programmable gate array)またはASIC(application-specific integrated circuit)などの専用論理回路によって実施することもでき、かつ本開示の装置を専用論理回路として実行することができる。
【0091】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサには、汎用と専用の両方のマイクロプロセッサ、および任意の種類のデジタルコンピュータの任意の一つまたは複数のプロセッサが例として含まれる。一般に、プロセッサは、読取り専用メモリもしくはランダム・アクセス・メモリ、またはその両方から命令およびデータを受け取る。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサ、ならびに命令およびデータを記憶するための一つまたは複数のメモリデバイスである。一般にコンピュータはまた、磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクなどの、データを記憶するための一つもしくは複数の大容量記憶装置を含むか、あるいはデータをそこから受け取るかもしくはそこに転送するか、またはその両方を行うために動作可能に連結される。コンピュータプログラム命令およびデータを実施するのに適した情報キャリアには、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス;内蔵ハードディスクおよび取り外し可能ディスクなどの磁気ディスク;光磁気ディスク;ならびにCD-ROMディスクおよびDVD-ROMディスクを例として含むあらゆる形態の不揮発性メモリが含まれる。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補足することができるか、または専用論理回路に組み入れることができる。
【0092】
本開示は、データサーバなどとしてのバックエンド構成要素を含むか、またはアプリケーションサーバなどのミドルウェア構成要素を含むか、またはユーザが本発明の実装と対話できるグラフィカル・ユーザ・インターフェースもしくはウェブブラウザを有する、遠隔装置12などのクライアント装置などのフロントエンド構成要素を含むか、またはそのようなバックエンド、ミドルウェア、もしくはフロントエンドの各構成要素の任意の組み合わせを含む、本明細書において説明した例示的システムを含むが、それらに限定されないシステムにおいて実施することができる。システムの各構成要素は、通信ネットワークなどの、任意の形式または媒体のデジタルデータ通信によって相互接続することができる。
【0093】
多くの態様を説明した。とはいえ、本開示の趣旨および範囲を逸脱することなく様々な改変が加えられ得ることが理解されると考えられる。例えば、本発明の各工程は、異なる順序で実施され、さらに所望の結果を得ることができる。したがって、他の態様は添付の特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルで生成された波形の特徴を測定する方法であって、以下の工程を含む方法:
患者データのソースから遠く離れている装置に該患者データを伝達する工程;
該装置のタッチスクリーンディスプレイ上に該波形を生成する工程;ならびに
該波形の軸に沿って測定する工程であって、
該タッチスクリーンディスプレイとの接触に基づいて該波形に対応する第1の点を生成すること、
該タッチスクリーンディスプレイとの接触に基づいて該波形に対応する第2の点を生成すること、
該第2の点を生成すると、該軸に沿って該第1の点と該第2の点との距離を自動的に測定すること、および
該タッチスクリーンディスプレイ上の該距離に対応する値を表示すること
を含む工程。
【請求項2】
前記値が時間値を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記値が電圧値を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記タッチスクリーンディスプレイにおいてデジタルキャリパを生成する工程をさらに含む方法であって、該キャリパが、前記軸に沿って移動可能な第1および第2のジョー(jaw)を含み、前記第1の点が、該第1のジョーと前記波形との交点に基づいて生成され、かつ前記第2の点が、該第2のジョーと該波形との交点に基づいて生成される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記キャリパがユーザ要求に基づいて生成される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記軸が時間軸および電圧軸の一方を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記波形が、心電図(ECG)、血圧、酸素飽和度、および呼気終末CO2のうちの一つに対応する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記軸に沿って前記第1の点および前記第2の点の少なくとも一方を移動させる工程;ならびに
該軸に沿った該第1の点および該第2の点の少なくとも一方の移動に基づいてリアルタイムで前記値を更新する工程
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記値を前記装置のメモリに記憶する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
施設に置かれた患者情報システムに前記値を送信する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
装置を使用して患者データを監視する方法であって、以下の工程を含む方法:
患者データのソースから遠く離れている該装置に該患者データを伝達する工程;
該患者データに基づいて該装置のディスプレイ上に波形を生成する工程;
波形特徴の出現を特定する工程;および
該波形特徴の出現に基づいて音を発生させる工程。
【請求項12】
音を発生させる前記工程が、前記波形特徴の周期的出現に応答して該音を繰り返し発生させることを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
音を発生させる前記工程が、持続音を発生させることを含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記装置のメモリに音声ファイルを記憶する工程;および
前記波形の生成に基づいてメモリから該音声ファイルを取り出し、該音声ファイルに基づいて前記音を発生させる工程
をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記装置のメモリに複数の音声ファイルを記憶する工程;および
前記波形の種類に基づいて該複数の音声ファイルの中から音声ファイルを選択し、該音声ファイルに基づいて前記音を発生させる工程
をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記波形特徴が、スパイク、ピーク、谷および平坦線のうちの一つを含む、請求項11記載の方法。
【請求項17】
前記波形が、心拍数、血圧、酸素飽和度、および呼気終末CO2のうちの一つに対応する、請求項11記載の方法。
【請求項18】
ユーザにアラートを通知する方法であって、以下の工程を含む方法:
患者データに基づいてアラートを生成する工程;
該アラートを第三者通知サービスに提供する工程;
該アラートを、該患者データのソースから遠く離れている装置に転送する工程;
該アラートを該装置において受信する工程;および
該装置のディスプレイ上に該アラートの表示を提示する工程。
【請求項19】
前記アラートが、施設に常駐している情報システムにおいて生成され、患者データが該情報システムに収集される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記アラートが、前記患者データのソースから遠く離れているデータ管理システムにおいて生成される、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記アラートが、前記装置上に常駐しているアプリケーション、および該装置を用いて実行可能であるアプリケーションに対応する、請求項18記載の方法。
【請求項22】
前記アラートが前記装置において受信される際に、前記アプリケーションが休止状態である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記表示が、アプリケーションアイコンと関連付けられたバッジ、およびアラート要約の少なくとも一方を含む、請求項18記載の方法。
【請求項24】
前記アラート要約が患者情報を提供する、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記アラート要約を選択する工程;および
該選択する工程に応答して前記装置のディスプレイ上に詳細なアラート情報を表示する工程
をさらに含む、請求項23記載の方法。
【請求項26】
実行の際に請求項1〜25のいずれか一項記載の方法を一つまたは複数のプロセッサに実施させるように動作させる命令を含むコンピュータプログラムで符号化された、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項27】
一つまたは複数のプロセッサと、
該一つまたは複数のプロセッサによる実行の際に請求項1〜25のいずれか一項記載の方法を該一つまたは複数のプロセッサに実施させる命令が記憶されている、該一つまたは複数のプロセッサに連結されたコンピュータ可読記憶媒体と
を備える、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−529351(P2012−529351A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515051(P2012−515051)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/037728
【国際公開番号】WO2010/144413
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.JAVASCRIPT
【出願人】(511220692)エアストリップ アイピー ホールディングス リミテッド ライアビリティ カンパニー (2)
【Fターム(参考)】