説明

情報伝達票を備えた包装体およびその製造方法

【課題】被包装物品積層体の一の表面に貼付した情報伝達票により消費者への購買意欲の促進や双方向的な広告効果を備え、広く頒布されることが可能なうえ、包装資源と作業工数を削減し生産時のリードタイムを損なうことのない包装体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】複数の被包装物品20を積層した被包装物品積層体と、前記被包装物品積層体の表面上に設けられた第1添着部に添着され、表面に外部から視認可能な情報表示部31を有した情報伝達票30と、少なくとも前記情報伝達票30の全面を被覆し、前記被包装物品積層体を構成する全ての被包装物品20を固定する透光性を有した樹脂フィルム40と、を含み、前記情報伝達票30は、前記情報伝達票30の裏面に設けられた第2添着部32において剥離可能な弱粘着手段により前記第1添着部に添着された包装体1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の略直方体形状の被包装物品を重ね合わせて構成した被包装物品積層体の一の表面に、情報伝達媒体となる情報伝達票を外部から視認可能に包装した包装体およびその製造方法に関し、より詳しくは情報伝達票により消費者への購買意欲の促進や双方向的な広告効果を備え、市場等において広く頒布されることが可能なうえ、包装資源と作業工数の増加を抑制して生産時のリードタイムをほとんど損なわずに連続かつ高速に生産される包装体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から被包装物品を雨水や埃などの汚れから保護する目的や、保管や運搬する際の利便性を向上する目的で、被包装物品を透光性の樹脂フィルム等を用いて包装した包装体が広く用いられている。これら包装体において、商品陳列時に消費者の購買意欲を促進する目的で広告や懸賞応募等に関する情報表示を付加することがある。
【0003】
上述の被包装物品がティシュペーパー等の衛生用紙入りカートンである場合には、包装体生産時のリードタイムを削減する目的で、衛生用紙入りカートンの生産の各工程において衛生用紙や衛生用紙入りカートン、衛生用紙入りカートンの包装体等を搬送路上で高速かつ連続的に移動させて処理するシステムが運用されている。衛生用紙入りカートンは従来、図9に示すように被包装物品20として複数のカートンが積み重ねられ、透光性樹脂フィルム40によって一体的に包装された包装体100の状態で市販されている。この包装体100の天面41付近には把持部43が設けられ、その包装体の側面に内部を視認可能な保護シート101に収容または被覆した状態の懸賞応募はがき等の情報伝達票30を接着剤等を用いて貼付することができる。
【0004】
また、上述の包装物品として例えば、カードを添着した包装物として特許文献1に示されるような、箱の外面をフィルムで包んだ包装物の側面に、片面に弱粘着性の接着剤を塗布した弱粘着テープによりカードを添着してなるカードを添着した包装物が開示されている。
【0005】
更に近年、インターネット等の電気通信回線を通じた双方向回線網に見られる通信環境の社会基盤の向上や、バーコードやQRコード等の情報の読み取り機能を備えた携帯電話等、消費者との双方向通信可能な情報通信端末の普及が著しい。また更に上述のバーコードやQRコード等の光学的方法、磁気カード等の磁気的方法、ICカード等の電気的方法や非接触ICカード等、情報伝達手段の多様化によって消費者の購買意欲の促進や、消費動向をいち早く把握することのできる双方向性広告媒体の利用が活発化しており、その利用分野も拡大傾向にある。またこのような情報伝達手段は高速かつ大量に生産され、市場等において広く頒布または浸透してその効果を発揮するものが多い。
【0006】
【特許文献1】実開平6−59258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示すカードを添着した包装物においては、商品の運搬や陳列時において弱粘着性テープが剥がれやすいといった問題や、包装フィルムの他に弱粘着性テープを使う必要が生じ、カードを添着しない場合の包装物に比較して資材が必要で、作業工程も多くなるといった問題が生じていた。
【0008】
また同様に、図9に示すような従来の包装体100において、ティシュペーパー等の衛生用紙入りカートンが被包装物品20として複数積み重ねられ、透光性樹脂フィルム40によって一体的に包装された状態で、更にこの包装体100の側面に保護シート101に収容または被覆された懸賞応募はがき等の情報伝達票30を貼付した場合、透光性樹脂フィルム40とは別に、保護シート101と、保護シート101が充分に固定される分量の接着剤等の資材が必要となり、環境への負荷が増加する。また、保護シートを設けるための工数も増えて包装体生産時のリードタイムを増加させる要因となる。
【0009】
また例えば、被包装物品に貼付する情報伝達手段として、懸賞応募はがきを直接被包装物品に接着して添付する場合には懸賞応募はがきとして使用する際、懸賞応募はがきに接着剤が残って付着するため接着剤部分を切り取らなければならない。このように手間がかかる場合、消費者の傾向として懸賞応募はがきの利用率の低下を招いてしまう。
【0010】
また、被包装物品がティシュペーパー等の衛生用紙入りカートンである場合に、衛生用紙入りカートン自体の表面に懸賞応募はがき等の情報伝達表示を印刷し加えると、その衛生用紙を使い切るまでの間効力を見出さない。またこのとき、期間限定の応募はがきの場合などには不適当である。
【0011】
また、消費者の購買意欲を促進する目的や消費動向をいち早く把握することのできる双方向性広告媒体としての利用目的で、懸賞応募用はがき等の情報伝達票を店舗の精算所や陳列棚等に商品とは別個に設置する場合もある。ところが必ずしも消費者が興味を持って持ち帰るとは限らず、店舗の協力が必要なために、設置することもままならない場合も多く、その目的を果たすことが困難であるといった種々の問題が生じていた。
【0012】
また上述の双方向性広告媒体としての利用目的であっても、包装体内部に貼付される情報伝達手段として、懸賞応募はがき等の紙片を封入した場合、商品として陳列された状態で視認されやすい位置に添付される必要がある。ところが、運搬時や陳列時に包装体内部で懸賞応募はがきが落下したり、位置ずれが生じる場合もある。
【0013】
本発明は、上記した従来の課題に鑑みてなされたものであり、外部から視認可能な情報伝達媒体となる情報伝達票により消費者への購買意欲の促進や双方向的な広告効果を備え、市場等において広く頒布されることが可能なうえ、包装資源と作業工数の増加を抑制し生産時のリードタイムをほとんど損なわずに連続かつ高速に生産される包装体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、以下の構成を採用することにより上記課題を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は下記に示す通りである。
【0015】
[1]天面および底面を有した略直方体形状の複数の被包装物品を積層して構成された天面および底面を有した略直方体形状の被包装物品積層体と、前記被包装物品積層体の1の表面上に設けられた第1添着部に添着され、少なくとも表面に外部から視認可能な情報表示部を有した情報伝達票と、少なくとも前記情報伝達票の全面を被覆し、前記被包装物品積層体を構成する全ての被包装物品を固定する透光性を有した樹脂フィルムと、を含み、前記情報伝達票は、前記情報伝達票の裏面に設けられた第2添着部において剥離可能な弱粘着手段により前記第1添着部に添着された包装体。
【0016】
[2]前記被包装物品積層体は複数の前記被包装物品のそれぞれの前記天面と前記底面とを直列に重ね合わせて構成されており、前記第1添着部は前記被包装物品積層体の天面を構成する1つの前記被包装物品の側面に設けられた前記[1]に記載の包装体。
【0017】
[3]前記被包装物品が衛生用紙入りカートンである前記[1]または[2]に記載の包装体。
【0018】
[4]複数の略直方体形状の被包装物品を積層して構成した被包装物品積層体の一の表面に、情報表示部を有した情報伝達票を外部から視認可能に包装する包装体の製造方法であって、搬送路上に連続して搬送される複数の略直方体形状の前記被包装物品を、一定個数重ね合わせて略直方体形状の被包装物品積層体を構成するように整列する整列工程と、前記被包装物品積層体の一の表面と、前記情報伝達票の添着部とを、剥離可能な弱粘着接着手段を用いて貼付する貼付工程と、少なくとも前記情報伝達票の全面を覆うようにしながら、前記情報伝達票が貼付された前記被包装物品積層体を、透光性を有した樹脂性フィルムで袋状に覆って固定し、包装体を得るフィルム包装工程と、を含む包装体の製造方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明の包装体およびその製造方法によれば、複数の略直方体形状の被包装物品を重ね合わせて構成した被包装物品積層体の一の表面に、情報伝達媒体となる情報伝達票を外部から視認可能に包装した包装体を提供することができる。また、この情報伝達票により消費者への購買意欲の促進や双方向的な広告効果を備えながらも、包装資源と作業工数を抑制して生産時のリードタイムをほとんど損なわずに連続かつ高速に生産される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
【0021】
図1は、本発明の包装体の一実施形態を示す斜視図である。また略直方体形状の被包装物品20として図2に示すような天面21および底面22を有し、天面21に衛生用紙取り出し口となる開口部25が設けられた衛生用紙入りカートンを用いた場合で説明するが、被包装物品20は特にこの衛生用紙入りカートンに限定される物ではないことは言うまでもない。
【0022】
複数個、例えば2〜6個(図3中においては3個)の被包装物品20を高さ方向に直列に積重して図3に示すような天面11および底面12を有した略直方体形状を積層して略直方体形状の被包装物品積層体10が構成される。また図3に示すように被包装物品積層体10は、その一表面に設けられた第1添着部13において、懸賞応募はがき等の図1に示されるような表面33に情報伝達表示部31を備えた情報伝達票30が、図3に示すように裏面34に設けられた第2添着部32とで弱粘着手段により添着されて、情報伝達票30付き被包装物品積層体とされる。また図1に示すように、包装体1は、天面41付近に運搬時の利便性を図る目的で把手43を備えることができる。弱粘着手段は、第1添着部13と第2添着部32の両方、またはどちらか一方にのみ塗付または添着することができる。
【0023】
また、図3に示すように被包装物品積層体10の表面上に設けられた第1添着部13と、情報伝達票30の裏面34に設けられた第2添着部32とが剥離可能な弱粘着手段により添着されている。このため、情報伝達票30を容易に剥がすことができ、破損するのを防ぐことができる。
【0024】
情報伝達票30を添着する第1添着部13の位置は、被包装物品20の側面であることが好ましく、被包装物品積層体10を構成する隣接した複数の被包装物品20のうち、一つの被包装物品20の側面に設けられていることが更に好ましい。これにより、少なくとも透光性樹脂フィルム40で全面を覆うようにして固定されるまでの間は充分な強度で固定される。一つの被包装物品20にのみに設けられるために、粘着剤により添着する工程を簡素化かつ高速化することに寄与し、この工程の装置の小型化も実現でき、生産時のリードタイムをほとんど増加させることがない。このとき、情報伝達票30を被包装物品積層体10に添着する工程の後、高速かつ連続して搬送される搬送路上において、複数の被包装物品20が振動や傾き、搬送スピードの誤差により間隔が離れたり、向きがばらついた場合であっても、情報伝達薄票30が貼付されていない被包装物品20とは接着されていないため、添着部での弱粘着手段が剥がれたり、情報伝達票30が破損することがない。また、図3に示すように、情報伝達票30を添着する第1添着部13の位置が、被包装物品積層体10を構成する隣接した複数の被包装物品20のうち、被包装物品積層体10の天面11を構成する一つの被包装物品20にのみに設けられることが特に好ましい。これにより、天面11を構成する被包装物品20に情報伝達票30が貼付されるため、商品陳列時に消費者の目に留まりやすく、情報伝達表示部31の視認性を高めることができる。
【0025】
本発明の包装体の一実施形態において、図3に示すように第1添着部13は、被包装物品積層体10の天面11と平行に長手方向を有した帯状の領域に設けることが好ましい。第1添着部13が帯状の領域であることで、情報伝達票30が弱粘着手段50によって、少なくとも透光性樹脂フィルム40で全面を覆うようにして固定されるまでの間は充分な強度で固定されながら、情報伝達票30の使用時には双方の接着面を破損する事なく容易に剥離することが可能である。また、第1添着部13は、この帯状の領域の全面に連続的に弱粘着手段50で塗布されていても良く、この帯状の領域の両端の各1点を含む少なくとも2箇所以上の複数の箇所に間隔をおいて塗布されていても良い。
【0026】
また、図3に示すように第1添着部13と弱粘着手段で添着される第2添着部32は、被包装物品積層体10の天面11側を上とした場合の情報伝達票30の上辺に沿って帯状の領域に設けられることが好ましい。情報伝達票30は次の工程で透光性樹脂フィルム40によって保護されるため、弱粘着剤はごくわずかな量で済む。また、図9に示す従来の包装体100に要していた保護シート101等の特殊な部材を必要とせず、資材の低減による生産コストの削減やリサイクル性を高める。また、弱粘着性接着剤を使用するために、接着面が破損するのを防ぐことができる。また、弱粘着剤を使用する位置が、情報伝達票30の一端に限定されるので、剥がしやすく、貼付コストも少ない。商品陳列時に情報伝達票30の上辺で固定されるために、位置ずれが生じにくい。また、第2添着部32は、この帯状の領域の全面に連続的に弱粘着手段50で塗布されていても良く、この帯状の領域の両端の各1点を含む少なくとも2箇所以上の複数の箇所に間隔をおいて塗布されていても良い。
【0027】
図7に示すように、情報伝達票付き被包装物品積層体14は、透光性を有した樹脂フィルム40により一体的に包装されて包装体1とされる。このとき、従来用いられてきた包装装置を流用することが可能なために新たな設備投資が不要であることに加え、生産時のリードタイムを増加させることがほとんどない。透光性樹脂フィルム40は被包装物品積層体10を構成する複数の被包装物品20全てを巻き付けるようにして固定し、情報伝達票30を汚損等から保護するだけでなく、透光性を有しているために内部の情報伝達票30を外部から視認可能な状態で覆っており、商品の陳列時に消費者が情報伝達表示部31に記載された内容を読み取ることが可能である。
【0028】
このようにして、視認性が確保されているために、顧客への購買意欲を刺激することが可能な情報伝達薄票30は、懸賞応募はがきやアンケートカード等の他、磁気カード、ICカード、非接触カード等の多種多様な情報伝達手段に対応が可能である。また情報伝達表示部30の少なくとも一部に、機械読み取り可能な情報としてのバーコード情報、QRコード情報や、スクラッチ印刷を設けたり、少なくともその一部が割引券、引換券、回数券、優待券、会員証、入店証、アンケート用紙、広告チラシ、葉書、または懸賞応募用紙とすることで消費者の購買意欲を促進することもできる。
【0029】
図4は、被包装物品積層体10の第1添着部13と情報伝達票30の第2添着部32とが、弱粘着手段50で添着された状態を示す模式的断面図である。弱粘着手段50とは、一度添着した後に、剥がすと再接着力をほとんど持たず、接着剤を塗布した双方の表面素材を破壊することのない接着手段のことをいう。弱粘着手段50は、被包装物品積層体10が透光性樹脂フィルム40で包装されるとともに情報伝達票30が全面を覆われて固定されるまでの間にのみ単独で情報伝達票30を固定する接着力を備えていれば良く、剥離しても被接着物を破壊しないものを使用する。但し、弱粘着手段50の接着力が比較的強い場合であっても弱粘着手段50内部の凝集力が充分に弱いものであれば、剥離時に弱粘着手段50自身が破壊されて被接着物を破壊することがないため、被包装物品や情報伝達票30に弱粘着手段50の痕跡が残っていても目立たない程度の使用量であれば良い。また、弱粘着手段50は剥離時に接着面に残った場合であっても目立たないような無色透明のもの、または半透明のものが好ましい。
【0030】
弱粘着手段50の具体例としては、固形分濃度35〜45%の酢酸ビニル樹脂接着剤の他、アクリル樹脂系粘着剤等を挙げることができる。
【0031】
本発明の包装体の一実施形態において、図4に示す第1添着部13と第2添着部32とが平滑面を有することで双方の表面を破損することなく剥離できる。またこのとき第1添着部13の平滑面と弱粘着手段50との接着力を、第2添着部32の平滑面と弱粘着手段50との接着力より大きくすることで、図5に示すように情報伝達票30の第2添着部32を有しない一端を掴みながら引張って剥離する際に情報伝達票30から先に弱粘着手段50が剥がれるため情報伝達票30に付着して残るのを防ぐことができる。このとき、弱粘着手段50を取り除く手間が省けるため、情報伝達票30を剥離してすぐに使用可能であり、利便性が高い。また、第1添着部13と第2添着部32との接着力の大小は用途に応じて逆にすることもできる。
【0032】
平滑面の具体例としては、第1添着部13と第2添着部32を構成する素材として塗工紙等を利用することが好ましい。塗工紙は当業者が通常使用しているものであれば良い。また、ポリエチレンラミネート、水系樹脂コート、フィルムタイプその他の剥離紙を使用することも可能である。また更に、情報伝達票30がICカードや磁気カード等、樹脂性である場合には所望の平滑面を得ることが容易に可能である。
【0033】
本発明の包装体の一実施形態において、第1添着部13および第2添着部32が粘着手段50の剥離性を高める平滑面を有していることに加え、図6に示す図4中の領域Aの拡大図に示すように、第1添着部13の平滑面の表面粗さが、前記第2添着部32の平滑面の表面粗さと異なることが各表面での接着力に差異を生じさせるため好ましい。
【0034】
図6に示すように、弱粘着手段50のぬれ性が充分に高い場合、平滑面上の微細な凹凸に弱粘着手段50が入り込み、投錨(アンカー)効果が現われて接着力を高めることができる。また、弱粘着手段50のぬれ性が低い場合には、平滑面上の微細な凹凸と弱粘着手段の間に隙間が生じて投錨効果が現われず、接着面も減少するため接着力を比較的小さくすることができる。このように、弱粘着手段50の種類や、第1添着部13および第2添着部32の表面粗さを選択することにより、弱粘着手段50が剥離時に第1添着部13と第2添着部32のどちら側に残るかをコントロールすることが可能である。
【0035】
本発明の包装体の一実施形態において、第1添着部13と、第2添着部32の可撓性が異なることが好ましい。例えば、弱粘着手段のぬれ性が充分に高くて投錨効果が期待でき、第1添着部13より第2添着部32の可撓性が高い(撓みやすく柔軟性が高い)場合には、図5に示すように情報伝達票30の第2添着部32を有しない一端を掴みながら引張って剥離する際に情報伝達票30から先に弱粘着手段50が剥がれることで情報伝達票30に付着して残るのを防ぐことができる。このとき、弱粘着手段50を取り除く手間が省けるため、情報伝達票30を剥離してすぐに使用可能であり、利便性が高い。
【0036】
また、情報伝達票30がICカード等の樹脂製カードであって、第1添着部13より第2添着部32の可撓性が低い(撓みにくく柔軟性が低い)場合には弱粘着手段50が第2添着部32側に残りやすい。このため、弱粘着手段50のぬれ性が充分に高く投錨効果が期待できるときは第1添着部13の平滑面の表面粗さを第2添着部32の平滑面の表面粗さより大きくし、第1添着部13−弱粘着手段50間の接着力51を第2添着部32−弱粘着手段50間の接着力52より強くして防ぐことが可能である。また、弱粘着手段50のぬれ性が低いときは逆に第1添着部13の平滑面の表面粗さを第2添着部32の平滑面の表面粗さより小さくすることで、同様に第1添着部13−弱粘着手段50間の接着力51を第2添着部32−弱粘着手段50間の接着力52より強くして防ぐことが可能である。
【0037】
図1に示すように、本発明の包装体1の天面41および底面42はキャラメル包装により封止されている。具体的には図7に示すように情報伝達票付き被包装物品積層体14の天面および底面に延出した透光性樹脂フィルム40のうち、図2の被包装物品20で示す被包装物品短側面24側から延出した部分が、情報伝達票付き被包装物品積層体14の天面および底面に向かってそれぞれ折り込まれ、同様に透光性樹脂フィルム40の、図2の被包装物品20で示す被包装物品長側面23側から延出した部分が、その上に折り込まれる。図1に示すように、この対向する2つの被包装物品長側面23側に折り込まれた部分同士が互いに貼り合わされている。
【0038】
尚、キャラメル包装とは、タバコの包装袋のように、本体端面よりも外方に突出させるようにフィルムの余長部分を取り、この余長部分を順に折り畳んで封止する封止形態を言い、包装の分野で常用されているものであり、被包装物品20が、ティシュペーパー等の衛生用紙入りカートンの様な箱状体である場合に、最もその特性が生かされる。つまり、被包装物品20が柔軟性物品である場合には、溶着の際に被包装物品20にかかる圧力により被包装物品20が破損してしまう恐れがある為、この包装形態は適さないが、被包装物品20が所定以上の強度を有する箱状体(略直方体形状のもの)であれば、包装時の破損の懸念が無く、透光性樹脂フィルム40によって被包装物品20をその形状に沿ってぴったりと覆うことができる。
【0039】
本発明の包装体1を構成する透光性樹脂フィルム40の材質については情報伝達票30が判読可能な透光性を有しておれば良い。この透光性樹脂フィルム40の透光性を表す具体的な値としては、透明性の指標としてJISK7105に準拠して測定したヘイズ値が3〜5%の範囲にあることが特に好ましい。透光性樹脂フィルム40の材質についてはこのように情報伝達票30が判読可能な透光性を有している他は特に制限はなく、通常、包装袋に使用されるポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂を用いることができる。中でも、延伸性や強度の面で、ポリエチレンが好ましい。フィルムの厚さは、被包装物品20の種類や重量によっても異なるが、ティシュカートンを被包装物品20とする場合には、フィルムの厚さを20〜40μmとすることが好ましい。
【0040】
尚、本発明の包装体1には、包装体1を開封して被包装物品20の一例であるティシュカートンを取り出すためのカット部及び切り離し用テープを設けてもよい。このようなカット部及び切り離し用テープを設けることにより、比較的簡便に、力を要することなく内容物であるティシュカートンおよび情報伝達票30を取り出すことができる。例えば、包装体1の長面(被包装物品20の短面24方向に対向する面積の広い長面22のある側面)の片方に2本の縦ミシン目を設け、カット部上端部にツマミを形成することができる。このとき、情報伝達票30が取り出しやすい位置にこの切れ目を設けることで、情報伝達票30が懸賞応募はがき等の期限付きのものである場合に製品を使用する前に取り出して懸賞応募はがきとして使用することが可能である。
【0041】
本発明の包装体1は、従来公知の包装体製造の手法に準じて製造することができる。例えば、図1に示す包装体1の製造方法を被包装物品としてティシュペーパー等の衛生用紙入りカートンを例にして以下に説明する。図8に本発明の包装体の製造方法の説明図を示す。図8に示すように、搬送路を有した整列装置61の搬送路上に連続して高速で搬送される複数の被包装物品20を、支持部62により一定個数、図中においては3個重ね合わせて整列し、略直方体形状の被包装物品積層体10を構成する(整列工程)。次いで貼付装置63において被包装物品積層体10の一表面(図3中の第1添着部13)と、情報表示部31を有した情報伝達票30の添着部(図3中の第2添着部32)とを、剥離可能な弱粘着手段を用いて貼付する(貼付工程)。次に図7に示すように包装装置64において、少なくとも情報伝達票30の全面を覆うようにしながら情報伝達票付き被包装物品積層体14を、透光性樹脂フィルム40により胴巻きし、透光性樹脂フィルム40の互いに重畳する縁部を接着して胴接着部を形成し、包装体1本体の天面41および底面42をキャラメル包装により袋状に覆って固定し、包装体1を得る(フィルム包装工程)。
【0042】
また、図1に示すような本発明の包装体1の天面41に運搬時の把手43を形成することもできる。また、本発明の包装体1の製造時における透光性樹脂フィルム40の接着は、例えば、熱シール、超音波溶着、接着剤による接着等の従来公知の方法を用いることができるが、設備が簡便で確実に接着できることから、熱シールにて溶着することが好ましい。熱シールでの溶着条件としては、天面41及び底面42の封止並びに天面41への把手43の形成には、180〜210℃で1秒間、胴接着部の形成には、180〜220℃で3秒程度加熱することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の包装体およびその製造方法によれば、複数の略直方体形状の被包装物品を積層して構成した被包装物品積層体の一の表面に、情報伝達媒体となる情報伝達票を外部から視認可能に包装した包装体を提供することができ、この情報伝達票により消費者への購買意欲の促進や双方向的な広告効果を備え、市場等において広く頒布されることが可能なうえ、包装資源と作業工数の増加を抑制して生産時のリードタイムをほとんど損なわずに連続かつ高速に生産されるため、産業上の利用可能性は著しい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の包装体の一実施形態を示す模式的斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態における被包装物品の一例を示す模式的斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態における被包装物品積層体の一例を説明する模式的説明図である。
【図4】本発明の一実施形態における第1添着部および第2添着部と弱粘着手段との接着面を示す模式的断面図である。
【図5】本発明の一実施形態における第1添着部および第2添着部と弱粘着手段との接着面の剥離性を説明する模式的説明図である。
【図6】図4中の領域Aを示す一部拡大断面図である。
【図7】本発明の一実施形態におけるフィルム包装工程を説明する模式的説明図である。
【図8】本発明の一実施形態における包装体の製造方法を説明する模式的説明図である。
【図9】従来の包装体の一例を示す模式的説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1:包装体、10:被包装物品積層体、11:被包装物品積層体天面、12:被包装物品積層体底面、13:第1添着部、14:情報伝達票付き被包装物品積層体、20:被包装物品、21:被包装物品天面、22:被包装物品底面、23:被包装物品長側面、24:被包装物品短側面、25:開口部、30:情報伝達票、31:情報表示部、32:第2添着部、33:情報伝達票表面、34:情報伝達票裏面、40:透光性樹脂フィルム、41:被包装物品積層体天面、42:被包装物品積層体底面、43:把持部、50:弱粘着手段、51:第1添着部−弱粘着手段間の接着力、52:第2添着部−弱粘着手段間の接着力、61:整列装置、62:支持手段、63:貼付装置、64:フィルム包装装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面および底面を有した略直方体形状の複数の被包装物品を積層して構成された天面および底面を有した略直方体形状の被包装物品積層体と、
前記被包装物品積層体の1の表面上に設けられた第1添着部に添着され、少なくとも表面に外部から視認可能な情報表示部を有した情報伝達票と、
少なくとも前記情報伝達票の全面を被覆し、前記被包装物品積層体を構成する全ての被包装物品を固定する透光性を有した樹脂フィルムと、を含み、
前記情報伝達票は、前記情報伝達票の裏面に設けられた第2添着部において剥離可能な弱粘着手段により前記第1添着部に添着された包装体。
【請求項2】
前記被包装物品積層体は複数の前記被包装物品のそれぞれの前記天面と前記底面とを直列に重ね合わせて構成されており、
前記第1添着部は前記被包装物品の側面に設けられた請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記被包装物品が衛生用紙入りカートンである請求項1または2に記載の包装体。
【請求項4】
複数の略直方体形状の被包装物品を積層して構成した被包装物品積層体の一の表面に、情報表示部を有した情報伝達票を外部から視認可能に包装する包装体の製造方法であって、
搬送路上に連続して搬送される複数の略直方体形状の前記被包装物品を、一定個数重ね合わせて略直方体形状の被包装物品積層体を構成するように整列する整列工程と、
前記被包装物品積層体の一の表面と、前記情報伝達票の添着部とを、剥離可能な弱粘着接着手段を用いて貼付する貼付工程と、
少なくとも前記情報伝達票の全面を覆うようにしながら、前記情報伝達票が貼付された前記被包装物品積層体を、透光性を有した樹脂性フィルムで袋状に覆って固定し、前記包装体を得るフィルム包装工程と、を含む包装体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−107681(P2009−107681A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282947(P2007−282947)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】