説明

情報入出力装置

【課題】ユーザにとって親しみやすい情報入出力装置を提供する。
【解決手段】情報入力のためタッチパネルにタッチした指を通じ人体通信により携帯電話に出力情報を取り出す。タッチ位置に基づく入力情報を記憶し、再タッチした指から記憶情報に基づく出力情報を取り出すこともできる。人体通信周波数を出力情報に応じて変更可能とする。タッチパネルへのタッチに応答して人体通信出力を自動開始する。指が意識的に離されたことを検知して人体通信出力を自動停止する。生体認証のための人体接触を通じ、人体通信で出力を取り出す。生体認証のための人体接触を通じ、認証に必要な関連情報を人体通信で入力する。タッチ継続を確認して人体通信する。これらの特徴により、楽曲データ、イベント入場チケットデータ、画像データ、電子乗車券データ等の購入、画像データの交換、金融機関における自動出納機での電子取引等に有用な装置を提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報入出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報の入出力装置としては、例えばGUI(Graphical User Interface)について種々の提案がなされている。そのための具体的な入力装置はタッチパネルであり、画像情報が視覚的に出力されるとともに出力画像にタッチすることで情報の入力が行われる。一方、情報伝達手段についても種々の提案が行われており、例えば、特開2004−282733(特許文献1)および特開2006−271798(特許文献2)には、人体を通じて通信を行う人体通信が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−282733
【特許文献2】特開2006−271798
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザにとって負荷の少ない情報の入出力装置の提供についてはまだ種々検討すべき課題が多い。
【0005】
本発明の課題は、上記に鑑み、ユーザにとってさらに親しみやすい情報入出力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、入力情報としての表示画面へのタッチ位置を検知する検知部と、検知部の検知に基づき出力情報を提供する出力情報提供部と、出力情報提供部が提供する出力情報を人体通信のために表示画面に印加する情報出力部とを有する入出力装置を提供する。これによって、情報入力のためにタッチした人体を通じ、入力情報に基づく出力情報が出力できる。
【0007】
本発明の具体的な特徴によれば、検知部の検知結果に基づく情報を記憶する記憶部を有する。これによって検知部によるタッチの検知が途絶えても、検知結果を保持できる。本発明のさらに具体的な特徴によれば、出力情報提供部は、記憶部の情報に基づいて出力情報を提供する。これによってタッチが途絶えても再タッチによって入力情報に基づく出力情報を出力できる。
【0008】
本発明の他の具体的な特徴によれば、情報出力部は、情報提供部が提供する出力情報を所定の人体通信周波数に変調して出力する。これによって情報入力のためにタッチした人体を通じ混乱なく出力情報を出力できる。本発明のさらに具体的な特徴によれば、情報出力部は、所定の人体通信周波数を変更可能である。これによって、異なる出力情報を適切に出力できる。
【0009】
本発明の他の特徴によれば、入力情報としての表示画面へのタッチ位置を検知する検知部と、出力情報を提供する出力情報提供部と、検知部によるタッチ位置検出に応答して出力情報提供部が提供する出力情報を人体通信のために前記表示画面に印加する情報出力部とを有する入出力装置が提供される。これによって、情報入力のために表示画面にタッチするだけで、そのタッチした人体を通じて出力情報を出力できる。
【0010】
上記本発明の具体的な特徴によれば、情報出力部は、検知部によるタッチ位置検出が継続しなくなったとき出力情報の印加を停止する。これによって情報出力が不要となって意識的にタッチが中止されたとき無意味な情報出力を継続するのを避けることができる。
【0011】
本発明の他の特徴によれば、人体から認証情報を入力するための生体認証部と、出力情報を提供する出力情報提供部と、出力情報提供部が提供する出力情報を人体通信のために生体認証部に印加する情報出力部とを有する入出力装置が提供される。これによって、生体認証を行っている人体を通じた人体通信によって出力情報を出力することができる。
【0012】
本発明の他の特徴によれば、人体から認証情報を入力するための生体認証部と、生体認証部による認証の際に人体通信部に印加される人体通信情報を受信する受信部と、生体認証部からの認証結果および検知部からの人体通信情報により情報出力を判定する判定部とを有する入出力装置が提供される。これによって生体認証を行っている人体を通じた人体通信によって認証に基づく判定に必要な情報を取得することができる。
【0013】
本発明の他の特徴によれば、入力情報としての表示画面へのタッチを検知する検知部と、出力情報提供部が提供する出力情報を人体通信のために表示画面に印加する情報出力部と、情報出力部による情報出力の間、検知部によるタッチ検知が継続されたかどうかを確認する確認部とを有する入出力装置が提供される。これによって、情報入力のための表示画面へのタッチを通じた情報出力を確実にすることができる。なお、上記本発明の具体的な特徴によれば、確認部による確認が得られないとき、情報出力部は出力情報の前記表示画面への印加を繰り返す。
【0014】
本発明の他の特徴によれば、人体通信のためにタッチ可能なタッチ部と、人体通信を通じタッチ部に印加される入力情報を検知する情報入力部と、入力情報に関連する出力情報を人体通信のためにタッチ部に印加する情報出力部と、情報入力部および情報出力部による人体通信における入力情報の認証および出力情報の出力管理を行う制御部とを有する入出力装置が提供される。これによって人体通信による確実な情報授受が可能となる。
【0015】
上記のような本発明の種々の特徴は、楽曲データ、イベント入場チケットデータ、画像データ、電子乗車券データ等の購入、画像データの交換、金融機関における自動出納機での電子取引等に有用である
【発明の効果】
【0016】
上記のように本発明によれば、人体通信に好適な入出力装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例1におけるブロック図である。(実施例1)
【図2】実施例1におけるタッチパネルの表示を示す表示画面図である。
【図3】実施例1における販売装置制御部の機能を示すフローチャートである。
【図4】図3のステップS12の詳細を示すフローチャートである。
【図5】図3のステップS22の詳細を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例2におけるタッチパネルの表示を示す表示画面図である。(実施例2)
【図7】本発明の実施例3におけるタッチパネルの表示を示す表示画面図である。(実施例3)
【図8】本発明の実施例4におけるタッチパネルの表示を示す表示画面図である。(実施例4)
【図9】本発明の実施例5におけるタッチパネルの表示を示す表示画面図である。(実施例5)
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る情報入出力装置の実施例1におけるブロック図である。実施例1はユーザ2によって保持される携帯電話4、ユーザ2の頭部に装着されるユーザ所有のヘッドフォン6、およびユーザ2の指8がタッチするタッチパネル10を備えた楽曲データ出力装置12を含むシステムを構成している。実施例1は上記のようなシステム構成により、ユーザ2の指8がタッチすることにより指定する楽曲のオーディオ信号をユーザ2の体を利用した人体通信によりヘッドフォン6に導くとともに、ユーザ2の指8がタッチすることにより指定する楽曲データをユーザ2の体を利用した人体通信によりヘッ携帯電話4にダウンロードできるようにしたものである。
【0019】
携帯電話4は、携帯電話全体を制御するコンピュータからなる携帯電話制御部14を有し、携帯電話4の操作に応じて、電話機能部16などを制御する。電話機能部16は通常の電話機能に関する部分であり、音声の処理部や送話器、受話器を含む。携帯電話制御部14の機能は記憶部18に格納されたソフトウエアによって実行される。記憶部18は、また携帯電話4全体の制御に必要な種々のデータを一時的に格納するとともに、住所録データなど携帯電話に蓄積保持すべき情報の記憶装置にもなっている。記憶部18は、さらに楽曲データ販売装置12からダウンロードした楽曲データの記憶装置にもなっている。記憶部18は上記のような機能を実現するため、ハードディスク等からなる不揮発メモリ部と半導体メモリ等からなる揮発メモリ部を有している。
【0020】
携帯電話制御部14は、さらに携帯電話4の表示部15を制御し、携帯電話の操作と連携するGUI表示を行うとともに制御結果の表示を行わせる。表示部15はタッチパネルとして構成し、GUIの操作部を兼ねさせてもよい。携帯電話制御部14は、電話機能部16の受話器とは別に設けられた発音部(不図示)を制御し、表示部とも連動して携帯電話の種々の機能に関する通知音や警告音を発生するとともに携帯電話4のテレビ電話モードなどにおけるスピーカーの役目も果たす。携帯電話4はまた、GPS部(不図示)を有し、GPSシステムに基づいて衛星または最寄の放送局より携帯電話4の絶対位置情報である緯度、経度、および高度の情報を得て携帯電話制御部14に送る。この絶対位置情報は、携帯電話制御部14の制御により地図とともに表示部に表示され、ナビゲーション情報として提供される。
【0021】
携帯電話4は、電話機能部16により通常の通話を含む電話回線を介した無線通信を行うことができる。携帯電話4には、これと別に無線LAN、Bluetooth(商標)、微弱電波などによる近距離通信部20が備えられており、近距離通信圏内に存在する他の携帯電話または駅改札等との無線通信が可能となっている。この携帯近距離通信部20は法規制上問題のない規格に基づくものであって、通信圏は限られるが電話回線などのように料金が発生しないものである。このように、携帯電話4は、通信回線の基地局を介したインフラストラクチャー通信によって、他の携帯電話と通信可能であるとともに、近距離通信部20によって他の携帯電話または駅改札等との直接のアドホック通信が可能である。
【0022】
また、携帯電話4は、カメラ部22を有し、撮影した画像を記憶部18に記憶することが可能であるとともに、電話機能部16によって画像を他の携帯電話に送信することができる。なお、携帯電話4は、充電式の主電源(不図示)によって給電されていると共に、記憶部18はさらにリチウム電池などからなる補助電源(不図示)によりバックアップされている。これによって、主電源の放電や交換の際に記憶部18の揮発メモリ部に記憶されている情報が揮発するのを防ぐ。
【0023】
携帯電話4はさらに、変調/復調部24、およびこれと協働する送受信電極26を有している。送受信電極26は携帯電話4の外壁など、人体表面に近い位置に設けられる。変調/復調部24および送受信電極26は、例えば特開2004−282733や特開2006−271798等に開示されている人体通信システムを構成し、人体を媒体とする通信を行なう。例えば、記憶部18に記憶されている楽曲データなどが携帯電話制御部14の制御によりオーディオ信号出力部28にてオーディオ信号に変換され出力されると、これが変調/復調部24でユーザ固有の周波数の送信信号に変調され、この送信信号が矢印30に示すように送受信電極26から携帯電話4を持つユーザ2の人体に印加される。携帯電話4はユーザ2の手に持たれている場合のほか、衣服のポケットなどユーザ2の人体表面に近接した場所に収納された状態でも良い。
【0024】
上記のようにしてユーザ2の人体に送信信号が印加されると、送信信号に応じた強さの静電磁界または誘導電磁界または準静電界(以下、「人体表面界」と総称する)がユーザ2の人体周りに誘起される。人体表面界によって伝播する送信信号はヘッドフォン6の受信電極32で受信され、これが復調部34でオーディオ信号に復調されることにより発音部36から楽曲となってユーザ2の耳に届けられる。このような人体通信により携帯電話4からのオーディオ信号によりコードレスでヘッドフォン6を鳴らすことができる。なお、この場合、送信信号の周波数はユーザ固有なのでこの周波数に設定していない外部からユーザ2の人体に接触があっても情報が漏洩することはない。
【0025】
次に、携帯電話4にダウンロードするデータやヘッドフォン6を鳴らすオーディオ信号を提供する楽曲データ販売装置12の詳細について説明する。このシステムに参加する場合、ユーザ2のヘッドフォンにおける人体通信の送信信号の周波数は公表されている楽曲データ販売装置の試聴用周波数に設定されている必要がある。楽曲データ販売装置12は、オーディオショップなどに設置され、ユーザ2による選択のために多数の楽曲の一覧表またはリストを表示するための表示面38を有するタッチパネル40が設けられている。表示のためのデータは表示データ記憶部42に記憶されており、このデータに基づき表示ドライバ44が販売装置制御部46の制御で上記の表示を行う。ユーザ2は、その指8によって表示面38に表示された所望の楽曲名またはジャケット画像表示にタッチする。これによって、試聴の場合には、タッチした指8を通じた人体通信により、矢印48に示すように楽曲データ販売装置12からのオーディオ信号が受信電極32に伝えられてヘッドフォン6を鳴らす。また、楽曲購入の場合には、タッチした指8を通じた人体通信により、矢印50に示すように楽曲データ販売装置12からの楽曲データが送受信電極26に伝えられて携帯電話4の記憶部18にダウンロードされる。
【0026】
まず試聴の場合について具体的に説明すると、ユーザ2の指8が表示面38に表示された所望の楽曲名またはジャケット画像表示の一つにタッチすると、その信号がタッチ位置検知部48にて検知され、その結果の処理にもとづき販売装置制御部46が指8のタッチしている楽曲を認識する。なお、認識された楽曲は記憶部55に記憶される。楽曲の認識に応答して表示ドライバ44は表示面38の表示を制御し、タッチした曲名またはジャケット画像表示の周りに選択カーソルを表示して楽曲が認識されたことを表示してユーザ2に伝える。なお、ユーザへの認知は選択カーソルに代えてジャケット画像を点滅させるかその色を変えることによってもよい。
【0027】
選択の表示と同時に、販売装置制御部46は認知した楽曲を楽曲データ記憶部56から呼出し、これをオーディオ信号出力部58にてオーディオ信号に変換、出力させる。オーディオ信号が出力されると、変調/復調部60はこれを公表している試聴用周波数の送信信号に変調し、送受信電極62から表示面38の表面に印加する。印加された送信信号は表示面38にタッチしているユーザ2の指を通じた矢印48に示す人体通信により、ヘッドフォン6の受信電極32に伝えられる。これが復調部34で復調されるとともに発音部から発音されるので、ユーザ2はタッチパネル40上で指8により選択した楽曲を試聴することができる。なお、試聴を続けるには、指8をタッチパネル40の表示面38に接触し続ける必要がある。指8が離されるとこれをタッチ位置検知部54が感知し、販売装置制御部46は試聴をキャンセルしてオーディオ信号出力部58からのオーディオ信号出力を停止する。なお、オーディオ信号出力は停止するが、楽曲の選択結果は記憶部55に記憶されているので、指8が離れても選択表示は選択がキャンセルされない限り継続する。
【0028】
一方、楽曲購入の場合は、携帯電話4の人体通信用送信信号の周波数は、楽曲データ販売装置が公表している購入専用の周波数に設定されている必要がある。この周波数は上記の試聴用の周波数とは異なるものである。そして、このような条件下においてユーザ2の指8が表示面38に表示された選択済みの楽曲の購買を指示するボタンにタッチすると、その信号がタッチ位置検知部48にて検知され、販売装置制御部46は購入が確認された楽曲の楽曲データを楽曲データ記憶部56から呼出す。呼出された楽曲データは変調/復調部60により上記のデータ購入専用の周波数の送信信号に変調し、送受信電極62から表示面38の表面に印加する。印加された送信信号は表示面38にタッチしているユーザ2の指を通じた矢印50に示す人体通信により、携帯電話4の送受信電極26に伝えられる。これが復調部24で復調されるとともに記憶部18に記憶される。なおこれに伴って同じ人体通信経路により購入の決済処理が行われる。全てが完了するとその旨の表示が行われるので、これを確認して指8を離せばよい。なお、楽曲データは圧縮データなので、指8を接触させる時間は試聴の場合よりも格段に短い。また、データ通信用の送信信号の周波数は試聴用の周波数と異なるので、データ通信信号がヘッドフォン6から聞こえて不快な思いをすることはない。
【0029】
楽曲データ販売装置12は、さらに人体通信手段を持たないユーザのための試聴および楽曲販売手段を備えている。具体的には、オーディオ信号出力部58は接続部64にもオーディオ信号を出力しており、この接続部64に通常の有線ヘッドフォンを接続することにより人体通信手段がないユーザでも試聴が可能である。このとき、タッチパネル40の操作等は人体通信の場合と共通である。また、楽曲購入の際には、楽曲データ販売装置12は近距離通信部66からも楽曲データを出力することが可能である。近距離通信部66から出力された楽曲データは携帯電話4の近距離通信部20と通信し、楽曲データの転送および購入決済が可能である。購入の場合、タッチパネル40の操作等は基本的には人体通信の場合と共通であるが、近距離通信を始めるための操作は必要になる。
【0030】
図2は、実施例1における楽曲データ販売装置12のタッチパネルの表示面38の表示を示す表示画面図である。その説明は適宜図1の番号を参照して行う。図2(A)は試聴用の画面であり、楽曲のジャケット画像102、104などが曲名、演奏者などのコメント106とともに表示されている。ユーザ2は指8によりいずれかのジャケット画像をタッチすることにより、楽曲の選択をすることができる。図2(A)は、ジャケット画像104にユーザ2の指8がタッチしている状態を示し、タッチパネル38のタッチ位置検知部54の機能によりそれが検知されて選択カーソル108がジャケット画像104の周囲に表示され、楽曲の選択がタッチパネル40に認識されていることをユーザ2に通知している。
【0031】
一方ヘッドフォンアイコン110は、ヘッドフォン6がユーザ2の指8を通じて人体通信状態にあり、人体通信プロトコルに従ってヘッドフォンから応答があるときに表示される。これによってユーザは人体通信が可能になっていることを知ることができる。また、ヘッドフォンアイコン110が表示されているときは、選択されているジャケット表示104に対応する試聴用の楽曲のオーディオ信号が人体通信によりヘッドフォン6に送られるのでユーザ2はヘッドフォン6によりこれを聞くことができる。
【0032】
なお、楽曲選択が楽曲データ販売装置12によって一度認識されると、指8の表示面38へのタッチが継続している限り、指8がジャケット画像104からずれても同じ楽曲の試聴が継続される。これに対し、ユーザ2が指8を表示面38から離すとタッチパネル40がこれを検知して楽曲の試聴を停止する。同時にヘッドフォンアイコン110の表示も消える。因みに、指8が表示面38から離すと人体通信の経路自体も絶たれることになる。一方、指8が表示面38から離れても、ジャケット表示104に対応する楽曲が選択されたことは楽曲データ販売装置12の記憶部55により記憶保持され、楽曲選択カーソル108の表示も継続される。この状態でユーザ2の指8が購入ボタン112にタッチすると選択した楽曲の購入処理に入り、図2(B)の購入用画面が表示される。一方、ユーザ2の指8が終了ボタン114にタッチすると選択した楽曲を記憶している記憶部55の記憶がクリアされるとともに楽曲選択カーソル108の表示も消える。
【0033】
図2(B)では、選択した楽曲に対応するジャケット画像104が拡大表示されるとともに、歌詞、演奏者プロフィールなどの詳細コメント116が表示される。この状態では、人体通信の送信信号の周波数が購入専用の周波数に設定される。図2(B)の画面において認証/ダウンロード/決済ボタン122をタッチすると、指8を通じ楽曲データ販売装置12と携帯電話4との間に人体通信経路が形成され、人体通信プロトコルに従って携帯電話4から応答があると携帯電話アイコン118および人体通信アイコン120が表示される。同時に、タッチ位置検知部54が認証/ダウンロード/決済ボタン122へのタッチを検知し、携帯電話4の認証を始めとし、楽曲データ販売装置12から携帯電話4への楽曲データの送信を経て楽曲データ販売装置12と携帯電話4との間の料金支払に関する電子決済処理に至る一連の処理を行う。
【0034】
なお、図2(B)の状態においても、認証/ダウンロード/決済ボタン122にタッチせず、終了ボタン114にタッチすると、楽曲購入に入ることなく処理がキャンセルされる。また、既に述べたように、楽曲データ販売装置12は、近距離通信部66によっても携帯電話4との間で楽曲販売取引が可能であるが、このように人体通信によらず近距離通信プロトコルにより携帯電話4から応答があったときは、携帯電話アイコン118のみが表示され、人体通信アイコン120は消される。以上のような楽曲の試聴および購入の機能に関しては、以下のフローチャートによってさらに詳述する。
【0035】
図3は、図1の実施例1における販売装置制御部46の機能を示すフローチャートである。フローは楽曲データ販売装置12に電源が供給されることによりスタートする。フローがスタートするとステップS2で、試聴用画面の表示が指示される。この結果、表示面38に図2(A)のような表示がなされる。なお、この段階では図2(A)の選択カーソル108およびヘッドフォンアイコン110はまだ表示されない。次いでステップS4でタッチパネル40へのタッチの有無がチェックされ、タッチが検知されなければステップS2およびS4を繰り返してタッチを待つ。
【0036】
ステップS4でタッチが検知されるとステップS6に進み、試聴用の人体通信周波数が自動設定される。この試聴用人体通信周波数は、ヘッドフォン6側で常に自動設定されている。次にステップS8でタッチ位置検知処理がおこなわれ、タッチ位置が特定されるとステップS10に進んで試聴楽曲の選択部分にタッチされたかどうかチェックする。これは、具体的には、図2(A)の楽曲のジャケット画像102、104などのいずれかに指8がタッチしたことの検知に該当する。ステップS10において試聴楽曲タッチであることが検知されるとステップS12に進んで選択された楽曲の試聴処理に入り、試聴処理が完了するとステップS14に移行する。ステップS12における試聴処理の詳細は後述する。なお、後述のように、ステップS10において試聴楽曲タッチであることが検知されると、試聴処理12を通じて図2(A)のような選択カーソル108がタッチした楽曲のジャケット画像104の周りに表示されるとともに、楽曲の選択結果が記憶部55に記憶される。一方、ステップS10で試聴楽曲タッチが検知されたかったときは直接ステップS14に移行する。
【0037】
ステップS14では、購入ボタン112にタッチされたのかどうかのチェックがおこなわれ、購入ボタンタッチが検出されるとステップS16に進んで、記憶部55における楽曲選択記憶の有無をチェックする。そして記憶があればステップS18に進んで購入用画面の表示が指示される。この結果、図2(B)のような購入用の画面が表示される。なお、この段階では図2(B)の携帯電話アイコン118および人体通信アイコン120はまだ表示されない。
【0038】
さらに、ステップS20では、購入用人体通信周波数を自動設定する。この試聴用人体通信周波数は、公開されていて携帯電話4において人体通信モードが起動さえていれば携帯電話4側でも自動設定されている。次いでステップS22の購入処理に入り、購入処理が完了するとステップS24に移行する。ステップS22における試聴処理の詳細は後述する。なお、ステップS14で購入ボタンタッチが検知されたかったときは直接ステップS24に移行する。
【0039】
一方ステップS16で楽曲選択記憶が検知されなかったときはステップS23に移行し、楽曲選択操作を促す案内表示を指示してステップS2に戻る。この案内表示は所定時間で自動的に消える。つまり、図2(A)において楽曲のジャケット表示のいずれにもタッチせずに購入ボタン112にタッチしたときは図2(B)の購入画面に移行せず、図2(A)の試聴画面が維持される。
【0040】
ステップS24では、終了ボタン114にタッチされたのかどうかのチェックがおこなわれ、終了ボタンタッチが検出されるとステップS26に進んで、記憶部55における楽曲選択記憶をクリアしてステップS2に戻る。ステップS2では試聴用画面表示が指示されるので、図2(B)の購入用画面が表示されている場合は図2(A)の試聴用画面に戻る。つまり、図2(A)のような試聴用画面表示状態における終了ボタン114は、楽曲選択のキャンセルボタンとして機能するとともに、図2(B)のような購入用画面表示状態における終了ボタン114は、試聴画面への復帰ボタンとして機能する。
【0041】
一方、ステップS24で終了ボタンタッチが検知されなかったときは、ステップS28に移行し、ステップS4でパネルへのタッチが検知されてから所定時間が経過したかどうかチェックする。ステップS28に進む場合は、タッチパネル40の表示面38における所定外の位置に指8がタッチした場合に相当する。このような場合、タッチパネル40は反応しないが、人体通信の送信信号は送受信電極62から表示面38全体に印加されているので、指8が表示面38のどこにタッチしていても人体通信そのものは可能な状態にある。
【0042】
ステップS28で所定時間の経過が検知されなかったときはステップS24に戻り、ステップS24とステップS28を繰り返し、この間に終了ボタンタッチが検知されれば上記のようにステップS26に移行する。一方、終了ボタンタッチが検知されないまま所定時間が経過したときはステップS30に移行し、電源供給が断たれたかどうかチェックする。そして電源供給が継続していればステップS2に戻る。このようにして電源供給が継続している限り、ステップS2からステップS30が繰り返され、種々の状況に対応する。
【0043】
なお、上記のように終了ボタンタッチによりステップS2に戻った時は記憶部55の楽曲選択記憶がクリアされるが、所定時間経過によりステップS2に戻った時は楽曲選択状態が維持される。従って、終了ボタン114にタッチせずに図2(A)の試聴画面に自動復帰したときはサイド購入ボタン112にタッチすることで図2(B)の購入画面に再移行することができる。一方、ステップS30で電源供給が断たれたことが検知されるとフローは終了する。なお、電源供給が立たれた後の所定の終了処理のため、楽曲データ販売装置12には、少なくともステップS28の所定時間以上の動作を保証する電力を蓄えるためのコンデンサが設けられている。
【0044】
図4は、図3のステップS12における試聴処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、まずステップS32で、検出されたタッチ位置に対応する楽曲の認識が行われるととともに、認識した楽曲のジャケット表示104の周りの選択カーソル108の表示が行われる。次いでステップS34で既選択楽曲の記憶が記憶部55に保持されているかどうかチェックし、記憶があればステップS36に進んでこれを消去してステップS38に進む。一方、ステップS34で既選択楽曲記憶が検知されない場合は、直接ステップS38に進む。
【0045】
ステップS38では、今回のタッチにより新たに認識された楽曲を記憶部55に記憶し、ステップS40でこの新規認識楽曲のデータを呼出す。さらに、ステップS42に進み、呼出したデータをオーディオ信号に変換する指示を行う。そしてステップS44で、ヘッドフォン6からの人体通信プロトコルに基づく応答の有無をチェックする。応答があればステップS46でその旨を表示する。これによって、図2(A)のヘッドフォンアイコン110が表示される。
【0046】
このようにして楽曲データ販売装置12とヘッドフォン6との間での人体通信が確立されると、ステップS48でオーディオ信号を人体通信用の送信信号に変調する指示が出され、変調されたオーディオ信号はステップS50の指示により送受信電極62に印加される。以上を経て、ステップS52では、選択した試聴用楽曲が終わりになり、オーディオ信号の出力が終了したかどうかチェックする。そして終了でなければステップS54でタッチパネルへのタッチが継続しているかどうかチェックする。この結果、タッチ継続が検知されるとステップS52に戻り、以下オーディオ信号が終了するかまたは指8が表示面38から離れるかしない限りステップS52およびステップS54が繰り返される。
【0047】
ステップS54でタッチ継続が検知されなくなるとステップS56に進み、終了ボタン114にタッチしたかどうかチェックする。終了ボタン114のタッチがなければステップS58に進み、ヘッドフォンが人体通信による試聴を行っていたのかどうかチェックする。そして人体通信試聴であった場合はステップS60に進み、選択楽曲の試聴終了を指示するとともにその旨の表示を指示してフローを終了する。この表示は、例えば次の操作を示唆するために図2(A)の購入ボタン112の表示を点滅させることなどによって行う。このように人体通信による楽曲試聴の場合は、楽曲途中でオーディオ信号が終了していない場合でも、指8を話すことによってこれがステップS54で検知され、ステップS60に至って楽曲の試聴を終了させる。
【0048】
一方、ステップS58で人体通信による試聴であることが検知されない場合は、接続部64に有線でヘッドフォンを接続して行う試聴であることを意味するので、指6がタッチパネルを離れた場合であってもステップS52に戻り、オーディオ信号が継続する限りタッチによって選択された楽曲の試聴を継続する。なお、人体通信か否かにかかわらず、ステップS52でオーディオ信号の終了が検知されたとき、またはステップS56で終了ボタン114へのタッチが検出されたときは直ちにステップS50に移行する。
【0049】
また、ステップS44でヘッドフォン6からの人体通信応答がないときは、ステップS62に進み、ヘッドフォンアイコン110の表示を行わない。そしてさらにステップS64では接続部64へのオーディオ出力を指示してステップS52に至る。これは、接続部64に有線でヘッドフォンを接続して行う試聴に対応するためである。この場合は、上記で述べたように、指8のタッチによって楽曲が認識されれば、以後指8のタッチを継続しなくても、オーディオ信号が終了するか終了ボタンへのタッチが行われるかしないかぎり、優先のヘッドフォン試聴を継続できる。
【0050】
図5は、図3のステップS22における購入処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、まずステップS70で図2(B)の購入画面が表示されてから所定時間内に認証操作が行われたかどうかチェックする。そして所定時間内の操作が検地されなければ直ちにフローを終了し、図3のステップS24に移行する。これによって、既に説明したように、図2(B)の購入画面が表示されてから所定時間の間に認証/ダウンロード/決済ボタン122にタッチしない場合は、選択記憶を維持またはクリアして、図2(A)の試聴画面に戻ることになる。言うまでもないが、選択記憶が維持されるのは、ステップS28で所定時間がさらに経過したことが検知された場合であり、選択記憶がクリアされるのは、ステップS24で終了ボタンタッチが検知された場合である。
【0051】
これに対し、ステップS70で所定時間内に認証操作が検知されるとステップS72に移行する。認証操作の検知とは、上記でも言及したが、認証/ダウンロード/決済ボタン122へのタッチの検知である。ステップS72では、タッチした指8を通じて携帯電話4から人体通信プロトコルに基づく応答があったかどうかチェックする。ステップS72の段階では、既に図3のステップS20により購入用人体通信周波数が設定済みであり、楽曲データ販売装置12は携帯電話4と人体通信可能な状態となっている。ステップS72で携帯電話4からの応答が検知され楽曲データ販売装置12と携帯電話4との人体通信が確立されるとステップS74に進み、人体通信応答表示を行うとともに、ステップS76では携帯電話応答表示を行う。これらはそれぞれ、図2(B)において、人体通信アイコン120および携帯電話アイコン118を表示することに該当する。
【0052】
次いでステップS78では、人体通信による取引を行ってよいかどうかの認証処理を行う。これは予め楽曲データ販売装置12を管理する業者と携帯電話4を所有するユーザ2との間の契約によって取り決めたIDおよびパスワードの認証作業に該当する。この認証方法は他の方法も可能であり、後述する実施例におけるような生体認証等も可能である。ステップS78における人体通信認証処理が完了するとステップS80に進み、認証がOKであったかどうかチェックする。そしてオーケーであれば、ステップS82で選択された楽曲の購入用データを呼出すとともにこれを人体通信用の送信信号に変調する指示が出され、変調された楽曲データの送信信号はステップS84の指示により送受信電極62に印加される。これによって指8を通じ、携帯電話に楽曲データが送信される。但し、この段階での楽曲データは仮送信状態にあり、後述する有効化信号を受信しない限り再生できないものである。
【0053】
次にステップS86でタッチパネルへの指80タッチが継続しているかどうかチェックする。この結果、タッチ継続が検知されるとステップS88に進み、楽曲データの仮送信が完了したかどうかチェックする。そして仮送信が完了していなければステップS86に戻り、以下、仮送信が完了するか指8が表示面38から離れるかしない限りステップS86およびステップS88を繰り返して楽曲データの仮送信を継続する。そしてステップS88で仮送信完了が検知されるとステップS90の人体通信決済処理に入る。これは予め取り決めた楽曲データ販売装置12を管理する業者の銀行口座と携帯電話4を所有するユーザ2の銀行口座との間で所定の手続きにより電子決済を実行する処理である。
【0054】
ステップS90の人体通信決済処理が完了するとステップS92で決済がOKかどうかのチェックが行われる。口座が実在しなかったり預金額が不足していたりするとステップS92でのチェックはOKとならない。そしてステップS92で決済OKが確認されるとステップS94に進み仮データを有効化し再生可能とするための有効化信号が送信される。以上を経てステップS98では、全ての処理がOKかどうかの再確認が行われ、OKであればフローを終了する。これに対しステップS98で全処理OKが確認されなかった場合はステップS86に進み、ステップS86からステップS98のやり直しを可能とする。これは何らかの予期せぬ通信トラブルがあったときへの対応である。このやり直しはステップS86からステップS98のループから抜けない限り何回でも可能である。
【0055】
これに対し、ステップS86でタッチ継続が検知できなかったときはステップS100に移行する。これは、指8を介した人体通信路が断たれたことを意味するのでし、ステップS100では、図2(B)の人体通信アイコン120を点滅させることにより指8が離れていることを警告し、この警告を維持しながら、次のステップS102において再認証を行う時間的猶予を与えるため、所定時間フローの進行を待機状態とする。この再認証とは、指8を認証/ダウンロード/決済ボタン122に再度タッチさせる動作である。そしてこの待機時間が経過するとステップS104でステップS98でのNG検知が3回目に至っているかどうかチェックし、該当すれば直ちにフローを終了する。一方、ステップS104でNGが3回目に至っていることが検知されない場合はステップS70に戻り、図5のフローを最初からやり直すことを可能とする。ステップS70に戻るのは、ステップS102の待機にかかわらず指が再タッチされなかったときに直ちにフローを終了するためである。これに対し、ステップS70に戻った時に指8が認証/ダウンロード/決済ボタン122に再度タッチされていればステップS72に移行するので、図5のフローを人体通信確立からやり直すことが可能となる。
【0056】
一方、ステップS72で携帯電話4からの人体通信応答が検知されなかったときはステップS106に移行し、楽曲データ販売装置12の近距離通信部66と携帯電話4の近距離通信部20との間の近距離通信プロトコルに基づく携帯電話4からの応答があるかどうかチェックする。そしてこの応答もなければ通信による楽曲データの購入はできないので直ちにフローを終了する。一方、ステップS106で携帯電話4からの近距離通信応答が検知されればステップS108に進み、携帯電話応答表示を行う。これは図2(B)において携帯電話アイコン118のみを表示することに該当する。そしてフローはステップS110の近距離通信処理に移行し、所定の近距離通信手続きにより楽曲データ購入のための認証/ダウンロード/決済処理を実行してフローを終了する。
【0057】
以上のような実施例1において、ヘッドフォン6はユーザ2の個人持ちとして構成しているが、楽曲データ販売装置12の設置されたオーディオショップに備えられた試聴専用ヘッドフォンとして構成することもできる。この場合、試聴のための人体通信の送信信号はオーディオショップ専用のものを設定できるので外部に公表する必要がなく、オーディオショップ備え付けのヘッドフォン以外の手段で盗聴されることもない。
【0058】
また、ユーザ2の個人持ちの試聴手段としては、ヘッドフォン6でなく携帯電話4自身の電話機能部16が有する受話器を用いることもできる。この場合、携帯電話4の人体通信の送信信号の周波数が試聴用の周波数に設定されている必要がある。これによって、ユーザ2の指定した楽曲のオーディオ信号が試聴用周波数の送信信号に変調されて楽曲データ販売装置12から出力されると、楽曲指定のためにタッチしているユーザ2の指8を通じた矢印50に示す人体通信により、これが携帯電話4の送受信電極26に伝えられる。受信された送信信号は、変調/復調部24で復調されるとともに不図示のオーディオ信号として不図示の信号ラインによって電話機能部16に伝えられるので、ユーザ2はタッチパネル40上で指8により選択した楽曲を携帯電話4の受話器で試聴することができる。
【実施例2】
【0059】
図6は、本発明の実施の形態に係る情報入出力装置の実施例2に関するデータ販売装置のタッチパネルの表示面における表示を示す表示画面図である。実施例2はイベント会場に入場するための電子チケットデータを販売する装置として構成されたものである。その構成は、ヘッドフォン6がないことを除くと図1の実施例1と共通のブロック構成となる。但し、実施例2を理解する場合、図1における「楽曲データ」を「電子チケットデータ」と読替えるものとする。また、実施例2の場合、電子チケットデータ販売装置12においてオーディオ信号出力部58は不要である。
【0060】
一方携帯電話4については、受信するデータのコンテンツが異なるだけなので、実施例2におけるハード構成は実施例1と共通である。すなわち、携帯電話4は、楽曲のダウンロードにおいても電子チケットデータのダウンロードにおいても共通の構成を有する。実施例2において実施例1と事情が異なるのは楽曲データに比べて電子チケットデータの情報量が極めて小さいことであり、通信にかかる時間も短いので、実施例1におけるように通信中に指8が離れることについての配慮はさして必要でなく、データの選択のためにタッチパネルにタッチした瞬間、必要なデータが人体通信により携帯電話にダウンロードされるものと考えてよい。
【0061】
図6の実施例2の表示画面図においては、図2の実施例1と対応する部分には200番台の番号を付し、十の位および一の位については同一の番号を付す。そして実施例1と同様にして理解できる部分については、実施例1での説明を援用し、実施例2における説明を簡略化することがある。図6(A)は実施例1と同様の購入データ選択用画面であり、野球アイコン202などで示されるスポーツイベント、小型バスアイコン203などで示される旅行イベント、演目アイコン204等で示される音楽コンサートイベントなどのイベントスケジュールが、日付などのコメント206とともに日付順に表示されている。この表示はイベントカテゴリー順とすることもできる。
【0062】
ユーザ2は指8によりいずれかのアイコンをタッチすることにより、イベントの選択をすることができる。図6(A)は、演目アイコン204にユーザ2の指8がタッチしている状態を示し、タッチパネル38のタッチ位置検知部54の機能によりそれが検知されて選択カーソル208が演目アイコン204の周囲に表示され、イベントの選択がタッチパネル40に認識されていることをユーザ2に通知している。実施例1と異なり、図2(A)の状態はタッチパネル機能によるタッチ位置検知だけが行われ、人体通信は行われない。
【0063】
なお、イベントの選択が電子チケットデータ販売装置12によって一度認識されると、指8が表示面38から離れても、演目アイコン204に対応するイベントが選択されたことは電子チケットデータ販売装置12により記憶保持され、選択カーソル208の表示も継続される。この状態でユーザ2の指8が購入ボタン212にタッチすると選択したイベントの購入処理に入り、図6(B)の購入用画面が表示される。一方、ユーザ2の指8が終了ボタン214にタッチすると選択したイベントの記憶がクリアされるとともに選択カーソル208の表示も消える。
【0064】
図6(B)では、選択したイベントに対応する演目アイコン204が拡大表示されるとともに、コンサートプログラム、イベント日時、会場などの詳細コメント216が表示される。実施例2では、このような図6(B)の状態になって、公開されている購入専用の人体通信送信信号の周波数が設定され人体通信が可能となる。実施例1と同様にして、図6(B)の画面において認証/ダウンロード/決済ボタン222をタッチすると、指8を通じ電子チケットデータ販売装置12と携帯電話4との間に人体通信経路が形成され、人体通信プロトコルに従って携帯電話4から応答があると携帯電話アイコン218および人体通信アイコン220が表示される。同時に、タッチ位置検知部54が認証/ダウンロード/決済ボタン222へのタッチを検知し、携帯電話4の認証を始めとし、電子チケットデータ販売装置12から携帯電話4への電子チケットデータの送信を経て電子チケットデータ販売装置12と携帯電話4との間の料金支払に関する電子決済処理に至る一連の処理を行う。
【0065】
なお、実施例1と同様にして、図6(B)の状態においても、認証/ダウンロード/決済ボタン222にタッチせず、終了ボタン214にタッチすると、電子チケット購入に入ることなく処理がキャンセルされる。また、電子チケットデータ販売装置12は、近距離通信部66によっても携帯電話4との間で電子チケット販売取引が可能であり、人体通信によらず近距離通信によって電子チケットデータの購入決済が可能なことも実施例1と同様である。そして、実施例1と同様、近距離通信プロトコルにより携帯電話4から通信応答があったときは、携帯電話アイコン218のみが表示され、人体通信アイコン220が消されることについても実施例1と同様である。
【0066】
実施例2における販売装置制御部46の機能の詳細は、基本的には実施例1のフローチャートにおいて「楽曲」を「イベント」と読替えて援用することにより理解できる。また、実施例2では、「試聴」がないため、「試聴」単に「選択」と読替えて理解する。また、実施例2では、図3のステップS6、および図4のステップS40以降は不要となる。
【実施例3】
【0067】
図7は、本発明の実施の形態に係る情報入出力装置の実施例3に関するデータ販売装置のタッチパネルの表示面における表示を示す表示画面図である。実施例3は画像データ販売装置として構成されたものである。その構成は、ヘッドフォン6がないことを除くと図1の実施例1と共通のブロック構成となる。但し、実施例3を理解する場合、図1における「楽曲データ」を「画像データ」と読替えるものとする。
【0068】
また、実施例3の場合、画像データ販売装置12における「オーディオ信号出力部58」は、「サンプル画像提供部58」と読替えるものとする。このサンプル画像提供部58は画像データ記憶部56の本画像データからデータ量を落とした小さな情報量のサンプル画像を作成するものである。このようなサンプル画像は、転送にかかる時間は小さいが画質の劣るものであって、必要に応じ無償で配布される。なお、サンプル画像提供部58は、画像データ記憶部56のデータに基づいて新たにサンプル画像を作成する場合に限らず、画像データ記憶部56において同一画像について画像サイズの異なる複数の画像データを予め用意して記憶している場合は、その中からサンプル画像として適当なものを抽出する機能であってもよい。このように予め用意されているサンプル画像の好適な例はいわゆるサムネイル画像である。
【0069】
一方、実施例3の携帯電話4については、受信するデータのコンテンツが異なるだけなので、ハード構成は実施例1と共通である。すなわち、携帯電話4は、楽曲データのダウンロードにおいても画像データのダウンロードにおいても共通の構成を有する。なお、実施例3においてサンプル画像はデータ量が少ないことから通信にかかる時間も短く、データの選択のためにタッチパネルにタッチした瞬間、必要なデータが人体通信により携帯電話4にダウンロードされるものと考えてよい。
【0070】
図7の実施例3の表示画面図においては、図2の実施例1と対応する部分には300番台の番号を付し、十の位および一の位については同一の番号を付す。そして実施例1と同様にして理解できる部分については、実施例1での説明を援用し、実施例3における説明を簡略化することがある。図6(A)は実施例1と同様の購入データ選択用画面であり、サンプル画像302、304などが表示されている。この表示は日付順やカテゴリー順など適宜の順にソートできる。
【0071】
ユーザ2は指8によりいずれかのサンプル画像をタッチすることにより、購入しようとする画像の選択をすることができる。図7(A)は、サンプル画像304にユーザ2の指8がタッチしている状態を示し、タッチパネル38のタッチ位置検知部54の機能によりそれが検知されて選択カーソル308がサンプル画像304の周囲に表示され、画像の選択がタッチパネル40に認識されていることをユーザ2に通知している。
【0072】
一方、図7(A)における携帯電話アイコン311および人体通信アイコン313は、携帯電話4がユーザ2の指8を通じて人体通信状態にあり、人体通信プロトコルに従って携帯電話4から応答があるときに表示される。これによってユーザは人体通信が可能になっていることを知ることができる。また、携帯電話アイコン311および人体通信アイコン313が表示され、かつ携帯電話4がサンプル画像無料取得モード設定されているときは、所望のサンプル画像にタッチすれば、タッチしたサンプル画像(例えばサンプル画像304)に対応してサンプル画像提供部58から提供されるサンプル画像データがタッチした指8を通じた人体通信により携帯電話4に送られ記憶部18に無償で記憶される。このようにして携帯電話4に記憶したサンプル画像データは、あとで本画像データを購入する際のアクセス情報となる。
【0073】
なお、画像の選択が画像データ販売装置12によって一度認識されると、指8が表示面38から離れても、サンプル画像304に対応する画像が選択されたことは画像データ販売装置12により記憶保持され、選択カーソル308の表示も継続される。この状態でユーザ2の指8が購入ボタン312にタッチすると選択したサンプル画像に対応する本画像データの購入処理に入り、図7(B)の購入用画面が表示される。一方、ユーザ2の指8が終了ボタン314にタッチすると選択した画像の記憶がクリアされるとともに選択カーソル308の表示も消える。
【0074】
図7(B)では、選択した画像に対応するサンプル画像304が拡大表示される。ここで、認証/ダウンロード/決済ボタン322をタッチすると、実施例1と同様にして指8を通じ画像データ販売装置12と携帯電話4との間に再び人体通信経路が形成され、人体通信プロトコルに従って携帯電話4から応答があると携帯電話アイコン318および人体通信アイコン320が表示される。同時に、タッチ位置検知部54が認証/ダウンロード/決済ボタン322へのタッチを検知し、携帯電話4の認証を始めとし、画像データ販売装置12から携帯電話4への本画像データの送信を経て画像データ販売装置12と携帯電話4との間の料金支払に関する電子決済処理に至る一連の処理を行う。なお、実施例3では、図7(A)および図7(B)のいずれの状態でも人体通信の送信信号の周波数は公開された共通の周波数が設定される。実施例3において画像データ販売装置12から提供されるのは画像データであり提供先も携帯電話4に限られるので、実施例1のように送信信号の周波数を変える必要がないからである。
【0075】
なお、実施例1と同様にして、図7(B)の状態においても、認証/ダウンロード/決済ボタン322にタッチせず、終了ボタン314にタッチすると、本画像データの購入に入ることなく処理がキャンセルされる。また、画像データ販売装置12は、近距離通信部66によっても携帯電話4との間で画像販売取引が可能であり、人体通信によらず近距離通信によって画像データの購入決済が可能なことも実施例1と同様である。そして、実施例1と同様、近距離通信プロトコルにより携帯電話4から通信応答があったときは、携帯電話アイコン318のみが表示され、人体通信アイコン320が消されることについても実施例1と同様である。
【0076】
実施例3における販売装置制御部46の機能の詳細は、基本的には実施例1のフローチャートにおいて「楽曲」を「画像」に、「オーディオ信号」を「サンプル画像データ」に、「試聴」を「サンプルデータ無料取得」に、「ヘッドフォン」を「携帯電話」に、「楽曲データ」を「本画像データ」に、それぞれ読替えて援用することにより理解できる。また実施例3において図をでは、「試聴」がないため、「試聴」単に「選択」と読替えて理解する。また、図3のステップS6、およびステップ20はいずれも「人体通信用周波数設定」と読替えて理解する。
【0077】
上記実施例3は、画像データ販売装置として構成されているが、上記に説明した画像データ販売装置の構成は、ビジネスとしての画像販売だけでなく、私人間の無償の画像データ交換装置として構成することも可能である。この場合、画像データ交換装置としての構成は、私人の所有する携帯電話、デジタルカメラ、画像表示装置などに組み込んで構成するのが好適である。これらの実施の際は、携帯電話、デジタルカメラ、画像表示装置などの表示部を、図1のような表示機能部、タッチパネル機能部および人体通信用接触部として構成することになる。
【0078】
具体的には、例えば携帯電話としての実施の場合、図1の携帯電話4の表示部15をタッチパネルとして構成するとともに送受信電極26による送信信号をこのようなタッチパネルに印加するようにすればよい。このような構成により、例えば携帯電話同士の場合は、自分の携帯電話を持ちながら相手の携帯電話の表示部に表示されている画像にタッチすればタッチした指を通じた人体通信により相手の携帯電話の画像データが自分の携帯電話に転送される。また相手の携帯電話の画像へのタッチは相手にさせ、自分は相手の体を触ることによって同様の画像データ転送を受けることもできる。
【0079】
一方、自分の携帯電話を右手に持ちながら表示されている画像の一つを自分の右手親指でタッチし、左手で人体通信機能を備えた電子フォトフレームなどの画像表示装置にタッチすれば、選択のために画像にタッチした右手指を通じた人体通信により、自分の携帯電話から画像表示装置に選択した画像を転送して表示させることもできる。この場合、画像表示装置の表示面が実施例3のような表示機能部、タッチパネル機能部および人体通信用接触部として構成されていれば、左手の指でタッチすることにより指定した画面上の所望の位置に、転送した画像を表示させることもできる。
【実施例4】
【0080】
図8は、本発明の実施の形態に係る情報入出力装置の実施例4に関するデータ販売装置のタッチパネルの表示面における表示を示す表示画面図である。実施例4は公共交通機関に乗車するための電子乗車券データ販売装置として構成されたものである。その構成は、ヘッドフォン6がないことを除くと図1の実施例1と共通のブロック構成となる。但し、実施例4を理解する場合、図1における「楽曲データ」を「電子乗車券データ」と読替えるものとする。また、実施例4の場合、電子乗車券データ販売装置12においてオーディオ信号出力部58は不要である。
【0081】
一方携帯電話4については、受信するデータのコンテンツが異なるだけなので、実施例4におけるハード構成は実施例1と共通である。すなわち、携帯電話4は、楽曲のダウンロードにおいても電子乗車券データのダウンロードにおいても共通の構成を有する。実施例4において実施例1と事情が異なるのは、実施例2の場合と同様、楽曲データに比べて電子乗車券データの情報量が極めて小さいことである。
【0082】
図8の実施例4の表示画面図においては、図2の実施例1と対応する部分には400番台の番号を付し、十の位および一の位については同一の番号を付す。図8は実施例1と同様の購入データ選択用画面であり、表示面438には、料金表示402、404などの乗車券アイコン、回数券アイコン403、3ヶ月定期券405表示で示される定期券アイコンなどが、参考表示情報としての乗車料金を付記した路線図406とともに表示される。但し、初期画面では、路線図406および認証ボタン422だけが表示されており、他の表示はなされない。この状態において、表示面438には、公開されている周波数の送信信号が印加されており、人体通信のための待機状態にある。また、携帯電話4側も同じ周波数に設定されていて人体通信待機状態にある。なお、実施例4の電子乗車券データ販売装置12は通常の券売機としても機能可能であり、貨幣/紙幣投入部407に相当額のお金を投入すると、投入された金額で購入可能な乗車券のアイコン等が表示され、その一つにタッチすると、該当する紙の乗車券が通常乗車券排出部409から排出される。
【0083】
図8の表示面438において電子乗車券を購入する場合、ユーザ2は、指8によりまず認証ボタン422にタッチする。これによって指8を通じ電子乗車券データ販売装置12と携帯電話4との間に人体通信経路が形成され、人体通信プロトコルに従って携帯電話4から応答があると携帯電話アイコン418および人体通信アイコン420が表示される。そしてタッチしている認証ボタン422を通じた人体通信により携帯電話4に決済資格があるかどうかの認証がなされ、OKであれば、支払可能な金額までの乗車券アイコン402等、回数券アイコン403、および定期券アイコン405される。このような認証結果は、指8を認証ボタン422から離しても電子乗車券データ販売装置12に記憶される。なおこの記憶は取り消しボタン414へのタッチにより取消し可能であり、取消ボタン414へのタッチがあれば乗車券アイコン402等は消えて初期画面に戻る。
【0084】
認証結果が記憶されている状態で乗車券アイコン402等のいずれかにタッチすることで、購入すべき乗車券データを選択することができる。図8は、乗車券アイコン404にユーザ2の指8がタッチした状態を示し、タッチパネル38のタッチ位置検知部54の機能によりそれが検知されて選択カーソル408が演目アイコン204の周囲に表示されている。同時に、乗車券アイコン404にタッチしているユーザ2の指8を通じた人体通信により、該当する金額の電子乗車券データが携帯電話4に提供されて記憶されるとともに、携帯電話4と電子乗車券データ販売装置12との間で決済が行われる。従って選択アイコン408の表示はこのような電子乗車券データの取得と決済の完了をユーザ2に知らせる表示ともなっている。携帯電話4に記憶された電子乗車券データは、改札通過時、携帯電話の近距離通信部20と改札に設けられた近距離通信部の間の近距離通信により認証され、ユーザ2が改札を通過するのを許可する。この近距離通信機能は既に改札で普及している通常の構成である。なお、改札に人体通信機能が備えられる場合には、送受信電極26を通じた人体通信による改札を行うことも可能である。この場合、ユーザは改札の所定部分にタッチして改札を通過することになる。
【0085】
実施例4における販売装置制御部46の機能における種々の要素の詳細は、対応する要素を実施例1に関するフローチャートに求めることにより理解できる。実施例4では、認証のためのタッチと電子乗車券取得および電子決済のためのタッチが分けて行われることに注意する必要がある。しかしながら、実施例1における「試聴」(但し、試聴が携帯電話4で行われる場合を準用)のための人体通信を実施例4における「認証」のための人体通信に、実施例1における「楽曲データ購入」のための人体通信を実施例4における「電子乗車券データ購入」のための人体通信に、それぞれ当てはめて理解することができる。なお、実施例4では、携帯電話4と電子乗車券データ販売装置12との間の人体通信において用いられる送信信号の周波数は、「認証」においても「電子乗車券データ購入」においても同じであるものと読替えてフローチャートを理解するものとする。
【実施例5】
【0086】
図9は、本発明の実施の形態に係る情報入出力装置の実施例5に関するタッチパネルの表示面における表示を示す表示画面図である。実施例5は銀行の自動出納機として構成されたものである。その構成は、ヘッドフォン6がないことを除くと図1の実施例1と共通のブロック構成となる。但し、実施例5を理解する場合、図1における「楽曲データ販売装置」または「販売装置」を「自動出納機」として理解するとともに「楽曲データ」を「出納データ」と読替えるものとする。また、実施例5の場合、電子乗車券データ販売装置12においてオーディオ信号出力部58は不要である。
【0087】
一方携帯電話4については、受信するデータのコンテンツが異なるだけなので、実施例5におけるハード構成は実施例1と共通である。すなわち、携帯電話4は、楽曲のダウンロードにおいても銀行との間の出納データのやりとりにおいても共通の構成を有する。実施例5において実施例1と事情が異なるのは、実施例2や実施例4の場合と同様、楽曲データに比べて出納データの情報量が極めて小さいことである。
【0088】
図9の実施例5の表示画面図においては、500番台の番号を付し、図2の実施例1と対応する部分には十の位および一の位については同一の番号を付す。図8は自動出納機における操作画面であり、表示面538には、一例として送金画面を図示している。具体的には、取引依頼データ表示部550には送金人および受取人の氏名、銀行名、支店名、口座番号ならびに送金金額などが表示される。受取人の銀行や支店のコード番号および口座蛮行および送金金額等の入力は、適宜テンキー552にタッチすることによって行う。この状態において、表示面538には公開されている周波数の送信信号が印加されており、人体通信のための待機状態にある。また、携帯電話4側も同じ周波数に設定されていて人体通信待機状態にある。
【0089】
図9の表示面538を使って出納を行う場合、ユーザ2は、まず指8または掌で静脈認証部522に触れる。これによって指8または掌を通じ自動出納機12と携帯電話4との間に人体通信経路が形成され、人体通信プロトコルに従って携帯電話4から応答があると携帯電話アイコン518および人体通信アイコン520が表示される。そしてタッチしている静脈認証部522を通じた人体通信により携帯電話4に格納されているユーザ2(送金人)の氏名、銀行名、支店名、ならびに送金金額などが自動出納機12に送信される。
【0090】
自動出納機12は、人体通信によって携帯電話4から送信されるユーザ2の口座などの電子データおよび静脈人勝負522で検出した静脈データによりユーザ2およびその口座を認証する。その際、自動出納機12側から携帯電話4側への人体通信によるデータ送信も行われ、双方向の人体通信によって認証が実行される。そして認証がOKであると、携帯電話4からの情報に基づき、取引依頼データ表示部に送金人の氏名、銀行名、支店名、口座番号を取引依頼データ表示部550に表示する。この表示を見ることによって、ユーザ2は認証がOKとなったのを知ることができる。このような認証結果および取引データは、指8または掌を静脈認証部522から離しても自動出納機12に記憶される。なおこの記憶は取り消しボタン514へのタッチにより取消し可能であり、取消ボタン514へのタッチがあれば取引依頼データ表示部550の表示は消えて初期画面に戻る。
【0091】
取引を実行する場合には、認証結果および取引データが記憶されている状態で取引ボタン554にタッチする。これがタッチパネルによって検出されると、まず、自動出納機12側で実行処理が行われ、取引が成立する。そしてその旨が取引依頼データ表示部550に所定時間表示される。同時に、実効ボタン554にタッチしているユーザ2の指8を通じた人体通信により、該当する取引データおよび取引結果の口座残金データ等が自動出納機12から携帯電話4に提供され、携帯電話4の記憶部18に格納されている電子通帳に記帳される。以上のように、実施例5では、静脈認証などの生体認証等のためにタッチした指や掌等を通じた人体通信により認証の目的である口座データなどの送信や認証情報の送受信が行われるとともに、取引実行のためにタッチした指などを通じた人体通信により取引結果の受信が行われる。なお、実施例5における自動出納機制御部46の機能における種々の要素の詳細は、実施例5と同様にして、実施例1に関するフローチャートに準じて理解することができる。
【0092】
以上に説明した本発明の種々の特徴は、上記の実施例による実施に限るものではなく、広く応用可能である。例えば、ポスターなどの掲示物を人体通信可能なよう構成し、上記に説明したような構成を有する携帯電話を所有する人との間での人体通信が可能となるようにする。このように構成すれば、携帯電話の所有者が指でタッチした掲示物の特定部分からその部分に関する電子情報を人体通信で携帯電話に自動入力することも可能である。この場合、人体通信によって取得するのに好適な電子情報の例は、タッチした特定部分に関する詳細情報を提供するWebサイトのURL(Uniform Resource Locator)などである。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、楽曲データ、イベント入場チケットデータ、画像データ、電子乗車券データ等の購入、画像データの交換、金融機関における自動出納機での電子取引等に有用なタッチパネル方式の入出力装置を提供するものである。
【符号の説明】
【0094】
38、238、338、438、538 表示画面
54 検知部
56、58 出力情報提供部
60、62 情報出力部
55 記憶部
522、538 生体認証部
60、62 受信部
46 判定部
46 確認部
38、238、338、438、538 タッチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面と、入力情報としての前記表示画面へのタッチ位置を検知する検知部と、前記検知部の検知に基づき出力情報を提供する出力情報提供部と、前記出力情報提供部が提供する出力情報を人体通信のために前記表示画面に印加する情報出力部とを有することを特徴とする入出力装置。
【請求項2】
前記検知部の検知結果に基づく情報を記憶する記憶部を有することを特徴とする請求項1記載の入出力装置。
【請求項3】
前記出力情報提供部は、前記記憶部の情報に基づいて出力情報を提供することを特徴とする請求項2記載の入出力装置。
【請求項4】
前記情報出力部は、前記情報提供部が提供する出力情報を所定の人体通信周波数に変調して出力することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の入出力装置。
【請求項5】
前記情報出力部は、前記所定の人体通信周波数を変更可能であることを特徴とする請求項4記載の入出力装置。
【請求項6】
前記情報出力部は、前記検知部によるタッチ位置検出に応答して出力情報を人体通信のために前記表示画面に印加することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の入出力装置。
【請求項7】
表示画面と、入力情報としての前記表示画面へのタッチ位置を検知する検知部と、出力情報を提供する出力情報提供部と、前記検知部によるタッチ位置検出に応答して前記出力情報提供部が提供する出力情報を人体通信のために前記表示画面に印加する情報出力部とを有することを特徴とする入出力装置。
【請求項8】
前記情報出力部は、前記検知部によるタッチ位置検出が継続しなくなったとき出力情報の印加を停止することを特徴とする請求項7記載の入出力装置。
【請求項9】
人体から認証情報を入力するための生体認証部と、出力情報を提供する出力情報提供部と、前記出力情報提供部が提供する出力情報を人体通信のために前記生体認証部に印加する情報出力部とを有することを特徴とする入出力装置。
【請求項10】
人体から認証情報を入力するための生体認証部と、前記生体認証部による認証の際に前記人体通信部に印加される人体通信情報を受信する受信部と、前記生体認証部からの認証結果および前記受信部からの人体通信情報により情報出力を判定する判定部とを有することを特徴とする入出力装置。
【請求項11】
前記判定部の判定に基づき、出力情報を出力する情報出力部を有することを特徴とする請求項10記載の入出力装置。
【請求項12】
表示画面と、入力情報としての前記表示画面へのタッチを検知する検知部と、出力情報提供部と、前記出力情報提供部が提供する出力情報を人体通信のために前記表示画面に印加する情報出力部と、前記情報出力部による情報出力の間前記検知部によるタッチ検知が継続されたかどうかを確認する確認部とを有することを特徴とする入出力装置。
【請求項13】
前記確認部による確認が得られないとき、前記情報出力部は出力情報の前記表示画面への印加を繰り返すことを特徴とする請求項12記載の入出力装置。
【請求項14】
人体通信のためにタッチ可能なタッチ部と、人体通信を通じ前記タッチ部に印加される入力情報を検知する情報入力部と、入力情報に関連する出力情報を人体通信のために前記タッチ部に印加する情報出力部と、前記情報入力部および前記情報出力部による人体通信における入力情報の認証および出力情報の出力管理を行う制御部とを有することを特徴とする入出力装置。
【請求項15】
前記タッチ部は、表示画面および前記表示画面へのタッチ位置を検知する検知部とを有することを特徴とする請求項14記載の入出力装置。
【請求項16】
前記入力情報は楽曲の指定情報であるとともに前記出力情報は楽曲データであることを特徴とする請求項14または15記載の入出力装置。
【請求項17】
前記入力情報はイベントの指定情報であるとともに前記出力情報はイベント入場チケットデータであることを特徴とする請求項14または15記載の入出力装置。
【請求項18】
前記入力情報は画像の指定情報であるとともに前記出力情報は画像データであることを特徴とする請求項14または15記載の入出力装置。
【請求項19】
前記入力情報は乗車券の指定情報であるとともに前記出力情報は乗車券データであることを特徴とする請求項14または15記載の入出力装置。
【請求項20】
前記入力情報は金融機関への取引情報であるとともに前記出力情報は金融機関からの取引正立結果データであることを特徴とする請求項14または15記載の入出力装置。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図2】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−39949(P2011−39949A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188845(P2009−188845)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】