説明

情報共有システム、情報管理装置およびプログラム

【課題】複数の携帯型の端末によって文書を共有する場合に適合した情報共有の仕組みを提供する。
【解決手段】情報表示装置は、記憶された文書ファイルが表す文書を表示するとともに、文書に対して付加的に表示される付加情報を付加する指示を受け付ける。このような指示を受け付けると、情報表示装置は、付加情報を生成して記憶する(S4)。付加情報は、それが付加された文書に関連付けられる。情報管理装置は、複数の情報表示装置から付加情報を取得し、これを記憶する(S6)。そして、情報管理装置は、自装置に記憶されている付加情報と情報表示装置に記憶されている付加情報に差異がある場合に、その差異分に相当する付加情報を情報表示装置に送信する(S11)。情報管理装置がこのような処理を複数の情報表示装置と行うことにより、情報管理装置と複数の情報表示装置との間で同一の付加情報を記憶することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のユーザが共同で文書を取り扱うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
文書の共有を管理する管理装置と、複数のユーザが文書を閲覧するための複数の端末とを有するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなシステムによれば、紙にプリントした文書を閲覧する場合よりも効率的に文書の共有を行うことができる。また、このようなシステムは、膨大なページ数の文書を共有する場合に特に効果的である。
【特許文献1】特開2004−199446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ユーザがいつでも手軽に文書を閲覧するためには、閲覧する端末は可搬性の携帯型端末であることが望ましいといえる。このような端末を用いた場合には、特許文献1に記載された場合とは異なる事情が存在する。例えば、携帯型の端末である場合は、ネットワークに常時接続されるとは限らず、また、通信量や通信速度にも制限があることが多い。そのため、特許文献1に記載の技術のように、ネットワークへの常時接続を前提とし、ある程度の通信量を必要とするシステムでは不都合があった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の携帯型の端末によって文書を共有する場合に適合した情報共有の仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した目的を達成するため、本発明は、情報管理装置と複数の情報表示装置とを備える情報共有システムであって、前記情報管理装置は、記憶手段と、受信手段と、記憶制御手段とを備え、各々の前記情報表示装置は、第2の記憶手段と、表示手段と、指示手段と、送信手段とを備え、前記記憶手段は、1または複数のページを有する文書を表す文書ファイルと、当該文書ファイルを識別する文書識別情報とを記憶し、前記第2の記憶手段は、前記記憶手段に記憶された文書ファイルと当該文書情報の文書識別情報とを記憶し、前記表示手段は、前記第2の記憶手段に記憶された文書ファイルが表す文書を表示し、前記指示手段は、前記表示手段に表示された文書のあるページに付加的に表示される付加情報の付加を指示し、前記送信手段は、前記指示手段により指示された付加情報と、当該付加情報が付加された文書を表す前記文書ファイルの前記文書識別情報とを送信し、前記受信手段は、複数の前記送信手段から送信された付加情報と文書識別情報とを受信し、前記記憶制御手段は、前記受信手段により受信された付加情報を、前記受信手段により受信された文書識別情報により識別される前記文書ファイルに関連付けて前記記憶手段に記憶させることを情報共有システムを提供する。
かかる情報共有システムによれば、文書ファイルを送受信することなく、付加情報と文書識別情報とを送受信するだけで、情報管理装置と情報表示端末との間で共通の情報が記憶される。
【0005】
また、本発明は、1または複数のページを有する文書を表す文書ファイルと、当該文書ファイルを識別する文書識別情報とを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された文書ファイルに付加される付加情報と当該文書ファイルの文書識別情報とを前記複数の情報表示装置から受信する受信手段と、前記受信手段により受信された付加情報を、前記受信手段により受信された文書識別情報により識別される前記文書ファイルに関連付けて前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段とを備える情報管理装置を提供する。
かかる情報管理装置によれば、文書ファイルを送受信することなく、付加情報と文書識別情報とを送受信するだけで、情報管理装置と情報表示端末との間で共通の情報が記憶される。
【0006】
また、本発明において、前記記憶制御手段により前記記憶手段に記憶された付加情報と、当該付加情報に関連付けられた前記文書ファイルの前記文書識別情報とを前記複数の情報表示装置に送信する送信手段を備える構成を採用してもよい。この構成によれば、ある情報表示装置において付加された付加情報がその他の情報表示装置に送信されるので、複数の情報表示装置において付加情報を共有することが可能となる。
【0007】
また、本発明において、前記記憶手段に、ある前記情報表示装置から前記受信手段により受信された付加情報または文書識別情報と異なる付加情報または文書識別情報が記憶されている場合に、当該異なる付加情報、または、当該異なる文書識別情報および当該文書識別情報により識別される文書ファイルを当該情報表示装置に送信する送信手段を備える構成を採用してもよい。この構成によれば、情報表示装置においては、自装置に記憶されていない文書ファイルや付加情報が受信される一方で、自装置に既に記憶されている文書ファイルや付加情報は受信されないので、情報の共有を効率的に行うことが可能となる。
【0008】
また、本発明において、前記受信手段は、前記付加情報を受信する場合に、当該付加情報を送信する前記情報表示装置または当該情報表示装置を操作するユーザを識別する識別情報を受信し、前記記憶制御手段は、前記受信手段により受信された識別情報を、前記受信手段により受信された付加情報に関連付けて前記記憶手段に記憶させる構成を採用してもよい。この構成によれば、複数の付加情報を識別情報によって区別することが可能となる。
また、この構成において、前記記憶制御手段により前記記憶手段に記憶された付加情報と、当該付加情報に関連付けられた前記文書ファイルの前記文書識別情報と、当該付加情報に関連付けられた前記識別情報とを前記複数の情報表示装置に送信する送信手段をさらに備える構成を採用してもよい。この構成によれば、情報表示装置において、複数の付加情報を識別情報によって区別することが可能となる。
さらに、この送信手段は、ある前記情報表示装置に前記付加情報を送信する場合に、当該情報表示装置から前記受信手段により受信された識別情報と異なる識別情報が関連付けられた前記付加情報を送信すると望ましい。このようにすれば、情報表示装置において同一の付加情報(すなわち、当該装置において付加された付加情報)が記憶されぬように付加情報を送信することが可能となる。
【0009】
また、本発明は、上述した情報管理装置が実現する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとしても提供され、また、このプログラムを記録媒体に記憶させたり、あるいはネットワークを介してダウンロードさせたりする態様によっても提供される。すなわち、本発明は、コンピュータを、1または複数のページを有する文書を表す文書ファイルと、当該文書ファイルを識別する文書識別情報とを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された文書ファイルに付加される付加情報と当該文書ファイルの文書識別情報とを前記複数の情報表示装置から受信する受信手段と、前記受信手段により受信された付加情報を、前記受信手段により受信された文書識別情報により識別される前記文書ファイルに関連付けて前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段として機能させるためのプログラムとしても提供され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[実施形態の構成]
図1は、本発明の一実施形態である情報共有システム100の全体構成を概略的に示すブロック図である。同図に示すように、この情報共有システム100は、コンテンツサーバ41と、第1ネットワーク31と、情報管理装置11と、PC12と、第2ネットワーク32と、第3ネットワーク33と、複数のユーザ端末22a、22bと、複数の情報表示装置21a、21bとを備える。なお、ユーザ端末22a、22bおよび情報表示装置21a、21bは、記載を省略するものの、実際には図示したよりも多く存在し得る。
【0011】
第1ネットワーク31は、コンテンツサーバ41と情報管理装置11とを接続するネットワークである。第1ネットワーク31としては、例えば、インターネットや専用線が用いられる。第2ネットワーク32は、情報管理装置11と複数のユーザ端末22aとを接続するネットワークである。第2ネットワーク32としては、例えばインターネットが用いられる。第3ネットワーク33は、情報管理装置11と複数のユーザ端末22bとを接続するネットワークである。第3ネットワーク33としては、例えば移動体通信網等の無線通信ネットワークが用いられる。
【0012】
コンテンツサーバ41は、コンテンツをダウンロードするサービスを提供するためのサーバ装置であり、複数のコンテンツを記憶している。このサービスは、所定の事業者により提供されるものである。コンテンツサーバ41が記憶するコンテンツとは、文書を表す文書ファイルである。各々の文書ファイルには、キーワード等の所定の検索条件が関連付けられており、このサービスを利用する者は、検索条件を適宜指定して所望の文書ファイルをダウンロードすることが可能になっている。なお、コンテンツサーバ41が提供するこのサービスのことを、以下では「文書検索サービス」という。
【0013】
情報管理装置11およびPC(Personal Computer)12は、企業や事務所等の所定の団体により利用されるコンピュータ装置であり、図示せぬルータやその他のコンピュータとともにLAN(Local Area Network)等の内部ネットワークを構成している。情報管理装置11は、この内部ネットワークを管理するとともに、第1ネットワーク31、第2ネットワーク32または第3ネットワーク33を介したデータの送受信を制御するサーバ装置である。また、情報管理装置11は、複数の文書ファイルを記憶する文書データベースDB1を有する。PC12は、コンテンツサーバ41により提供される文書検索サービスを利用する者(以下「サーチャ」という。)が操作するコンピュータ装置である。PC12は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等を備えた制御部に加え、液晶ディスプレイ、キーボードおよびマウス等を備えており、文書ファイルの検索やダウンロードを実行できるように構成されている。
【0014】
ユーザ端末22a、22bおよび情報表示装置21a、21bは、それぞれ、上述した所定の団体に属する者が利用する端末である。ユーザ端末22a、22bおよび情報表示装置21a、21bの利用者のことを、以下では「ユーザ」という。ユーザ端末22aは、いわゆるノートPC等の携帯可能なコンピュータ装置であり、ユーザ端末22bは、いわゆるスマートフォン等の移動体通信端末である。ユーザ端末22a、22bは、それぞれ、情報表示装置21a、21bとデータの送受信を行うためのインタフェースを備える。このインタフェースとしては、例えば、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したシリアルインタフェースに加え、IrDA(Infrared Data Association)、Bluetooth(登録商標)などに準拠した無線インタフェースを用いることができる。情報表示装置21a、21bは、文書ファイルが表す文書を表示する携帯可能な表示装置である。情報表示装置21aは、ユーザ端末22aとデータの送受信が可能であり、情報表示装置21bは、ユーザ端末22bとデータの送受信が可能である。
【0015】
続いて、情報管理装置11および情報表示装置21a、21bの構成をより詳細に説明する。なお、以下において、情報表示装置21a、21bを区別する必要のない場合には、これらを総称して「情報表示装置21」という。また、同様に、ユーザ端末22a、21bを区別する必要のない場合には、これらを総称して「ユーザ端末22」という。
【0016】
図2は、情報管理装置11の構成を示すブロック図である。同図に示すように、情報管理装置11は、CPU111と、ROM112と、RAM113と、HDD(Hard Disk Drive)114と、インタフェース115と、内部時計116とを備える。CPU111は、ROM112やHDD114に記憶されたプログラムを実行することにより、情報管理装置11の各部を制御するとともに、文書ファイルに対して所定の処理を実行する。RAM113は、CPU111がプログラムを実行する際に、CPU111のワークエリアとして機能する。HDD114は、CPU111が実行するプログラムを記憶するとともに、文書ファイルを蓄積する記憶領域を有する。上述した文書データベースDB1は、HDD114の一部の記憶領域によって実現される。インタフェース115は、第1ネットワーク31、第2ネットワーク32および第3ネットワーク33を介してデータの送受信を行うためのインタフェース装置である。内部時計116は、日時を計測し、CPU111からの要求に応じて日時を表す時刻情報を出力する。
【0017】
ここで、HDD114に記憶された文書ファイルについて説明する。文書ファイルは、複数のページの文書を表すデータの集合である。すなわち、文書ファイルは、1ファイルに複数ページのデータが含まれ得る、いわゆるマルチページファイルである。文書ファイルを構成するデータのうち、各ページの文書を表すデータのことを、以下では「文書情報」という。すなわち、文書ファイルは、複数ページ分の文書情報を含むものである。
【0018】
また、文書ファイルは、所定のフォーマットのデータとなっている。文書ファイルは、コンテンツサーバ41からダウンロードされるときには、例えばPDF(Portable Document Format)のような汎用的なフォーマットとなっている。一方、文書ファイルは、情報表示装置21a、21bに送信されるときには、専用のフォーマットに変換される。CPU111は、文書ファイルのフォーマットを変換する機能を有しており、HDD114に記憶された文書ファイルのフォーマットを適当なタイミングで変換する。
【0019】
フォーマット変換後の文書ファイルは、変換前と同数のページの文書情報を含むマルチページファイルである。また、この文書ファイルは、文書を識別するための文書識別情報を含んでいる。この文書識別情報は、文書ファイルのファイル名であってもよいし、文書ファイルにヘッダ情報のようにして埋め込まれてもよい。
また、フォーマット変換後の文書ファイルは、各々の文書情報に関連付けられた付加情報を含み得る。付加情報とは、文書の各ページに付加することのできる情報であり、所定の表示態様で表示される。付加情報には、文書の指定されたページに対して付加される情報と、文書の指定されたページの指定された位置に付加される情報とがあるが、詳細については後述する。
【0020】
なお、文書ファイルは、ネットワークを介して通信されるという観点からいえば、その容量が小さいことが望ましい。この観点からいえば、CPU111は、文書ファイルを、所定の圧縮方式により圧縮されたフォーマットのデータに変換するのが望ましい。また、文書の内容の秘密を確保するためには、CPU111は、文書ファイルを、所定の暗号化方式により暗号化されたフォーマットのデータに変換するのが望ましい。しかし、圧縮処理や暗号化処理を行った場合には、情報表示装置21が伸張(解凍)処理や復号処理を実行する必要を生じる。そのため、情報表示装置21のCPU111の処理能力などが制限される場合には、圧縮処理や暗号化処理を行わないフォーマットの文書ファイルとしてもよい。
【0021】
次に、情報表示装置21の構成を説明する。
図3は、情報表示装置21の構成を示すブロック図である。同図に示すように、情報表示装置21は、電源部210と、CPU211と、ROM212と、RAM213と、フラッシュメモリ214と、インタフェース215と、操作部216と、表示体コントローラ217と、記憶性表示体218と、タッチスクリーン219とを備える。
【0022】
電源部210は、バッテリと電力制御回路とを備え、情報表示装置21の作動に要する電力を供給する。電源部210のバッテリは、二次電池であると望ましい。CPU211は、ROM212やフラッシュメモリ214に記憶されたプログラムを実行することにより、文書ファイルに各種処理を施して記憶性表示体218に文書情報を表示させるための制御を行う。RAM213は、CPU211がプログラムを実行する際に、CPU211のワークエリアとして機能する。フラッシュメモリ214は、書き換え可能な記憶媒体であり、CPU211により実行されるプログラムや文書ファイルを記憶する。フラッシュメモリ214は、情報表示装置21に対して着脱自在な構成としてもよい。インタフェース215は、ユーザ端末22a、22bのインタフェースに対応したインタフェースであり、ユーザ端末22a、22bとデータの送受信を行う。インタフェース215の構成は、情報表示装置21aと情報表示装置21bとで異なっていてもよい。操作部216は、複数の操作キーを備え、それぞれの操作キーに応じた操作信号をCPU211に出力する。
【0023】
表示体コントローラ217は、記憶性表示体218の動作を制御する駆動回路を備える。表示体コントローラ217は、表示すべき文字や画像に応じた表示データを記憶性表示体218に供給するとともに、記憶性表示体218に供給する電力のオン・オフを制御する。記憶性表示体218は、記憶性液晶による液晶層を有する表示体である。ここにおいて、記憶性液晶とは、電圧を印加しなくても表示状態(すなわち階調)を維持することが可能な液晶のことである。この記憶性液晶としては、例えばコレステリック液晶が用いられる。記憶性表示体218は、複数行複数列の画素を有し、それぞれの画素は、供給される表示データに応じた階調となる。記憶性表示体218の各画素の階調数は任意であるが、本実施形態においては、モノクロの16階調とする。タッチスクリーン219は、ユーザから見て記憶性表示体218の前面に設けられた透明のスクリーンであり、所定の微小領域毎に物体の接触の有無を感知する。この微小領域は、記憶性表示体218の画素に対応付けられており、望ましくは、この画素と同一のサイズである。タッチスクリーン219は、物体が接触していることを示す感知信号を微小領域毎に出力し、CPU211に供給する。
なお、以下においては、必要に応じて、記憶性表示体218およびタッチスクリーン219を総称して「表示部21D」という。すなわち、表示部21Dは、いわゆるタッチスクリーン方式の液晶パネルである。
【0024】
続いて、情報表示装置21の構成をその外観を例示して説明する。
図4は、情報表示装置21の外観を示す斜視図である。同図に示すように、情報表示装置21は、表示部21Dと、複数の操作キー216a〜216dとを有する。また、情報表示装置21とともに用いられるものとして、スタイラスペン21Sがある。なお、スタイラスペン21Sは、表示部21Dに対して手書き文字等の入力を行うためのペン状の器具である。
【0025】
表示部21Dは、上述した記憶性表示体218の表示領域を表しており、その表面にタッチスクリーン219を備えている。この表示部21Dの表示領域は所定のサイズを有しており、そのサイズは、例えばレターサイズ(8.5×11インチ)やA4サイズ(210×297mm)である。複数の操作キー216a〜216dは、ページ操作や付加情報の付加を行うための操作子であり、それぞれが所定の操作信号を発生させる。図4に示した操作キーは、移動キー216a、同期キー216b、付箋キー216cおよびラインキー216dである。
【0026】
移動キー216aは、表示部21Dに表示される文書のページを遷移させるための操作キーであり、上下(または左右)に傾けることにより、前後のページや別の文書に遷移する旨の指示を表す操作信号を発生させる。同期キー216bは、情報表示装置21と情報管理装置11との間で文書ファイルの同期を行うための操作キーである。なお、文書ファイルの同期については、後述する。付箋キー216cおよびラインキー216dは、付加情報の付加を指示するための操作キーである。付箋キーは、表示部21Dに表示されたページに対して「付箋」を表す付加情報を付加するための操作キーであり、ラインキー216dは、表示部21Dに表示されたページの所定の文字に対して「ライン」を表す付加情報を付加するための操作キーである。なお、これらの付加情報の詳細については、後述する。
【0027】
[実施形態の動作]
上記構成のもと、情報共有システム100においては、サーチャが、PC12を用いて文書検索サービスにアクセスし、文書ファイルの検索を行う。文書ファイルの検索は、サーチャが適当なキーワードを指定することにより行われる。サーチャは、検索により所望の文書ファイルを知得すると、これをコンテンツサーバ41からダウンロードする。PC12によりダウンロードされた文書ファイルは、情報管理装置11の文書データベースDB1に蓄積される。そして、情報管理装置11は、文書データベースDB1に蓄積された文書ファイルを複数の情報表示装置21に送信する。このようにすることで、情報管理装置11が、文書ファイルを一括して管理し、ユーザが、情報表示装置21により文書を閲覧することが可能となる。
【0028】
情報管理装置11は、所定の文書ファイルを複数の情報表示装置21に送信する。情報管理装置11は、複数の情報表示装置21のそれぞれに異なる内容の文書ファイルを送信することも可能であるし、複数の情報表示装置21に同一の文書ファイルを送信することも可能であるが、以下においては、複数の情報表示装置21に同一の文書ファイルを送信する場合を例示して説明する。
【0029】
図5は、情報管理装置11と情報表示装置21の間におけるデータのやりとりと各装置が実行する処理の概要を示すシーケンスチャートである。なお、同図においては一の情報表示装置21のみを示しているが、情報管理装置11は、複数の情報表示装置21との間で同様の処理を実行する。また、それぞれの情報表示装置21も、文書ファイルに対して同様の処理を実行する。
【0030】
まず、情報管理装置11は、文書ファイルを情報表示装置21に送信する(ステップS1)。この動作は、情報管理装置11が主体的に行ってもよいし、情報表示装置21やユーザ端末22からの要求に応じて行われてもよい。このとき、情報管理装置11のCPU111は、文書データベースDB1から文書ファイルを抽出し、抽出した文書ファイルをインタフェース115を介して出力する。
【0031】
情報表示装置21は、文書ファイルを受信すると、記憶性表示体218における表示に適合した表示データを生成する(ステップS2)。具体的には、情報表示装置21のCPU211が、文書ファイルに含まれる文書情報の表示内容を解釈し、その内容に応じた階調値となる4ビット(すなわち16階調)の表示データを記憶性表示体218の各画素について算出する。CPU211は、このようにして生成された複数ページ分の表示データを、フラッシュメモリ214に記憶させる。
なお、本実施形態においては、階調値が「0」の表示データを無色、すなわち文書の背景に相当する表示データとし、階調値が「15」の表示データを黒に相当する表示データとする。すなわち、本実施形態においては、階調値が大きい表示データを与えられた画素ほど濃度の高い表示となるということである。
【0032】
次に、情報表示装置21は、生成した表示データを表示体コントローラ217に供給し、記憶性表示体218に文書を表示させる(ステップS3)。このとき、情報表示装置21のCPU211は、あらかじめ決められたページ(例えば1ページ目)の表示データをRAM213にロードし、これを表示体コントローラ217に供給する。表示体コントローラ217は、供給された1ページ分の表示データに応じた電圧のデータ信号を発生させ、対応する画素にそれぞれのデータ信号を供給する。記憶性表示体218の各画素は、供給されたデータ信号に応じた階調を呈し、これによりユーザが文書を視認できる状態となる。
【0033】
このようにして表示部21Dに文書が表示されると、ユーザはこれを閲覧する。ユーザは、必要に応じて移動キー216aを操作し、表示部21Dに表示される文書のページを遷移させるよう指示する。移動キー216aに応じた操作信号が供給されると、CPU211は、次に表示させるべきページの表示データをフラッシュメモリ214からRAM213にロードし、表示体コントローラ217に供給する。
また、ユーザは、文書を閲覧しつつ、必要なページに「付箋」を付したり、必要なページの必要な箇所に「ライン」や「手書き文字」を付したりする。このような操作を受け付けると、情報表示装置21のCPU211は、ユーザの操作に応じた付加情報を生成し、これを文書ファイルに関連付けてフラッシュメモリ214に記憶する(ステップS4)。
【0034】
ここで、付加情報が付加されるときにCPU211が実行する処理を、ユーザの動作と併せて説明する。上述したように、付加情報の態様は、「付箋」、「ライン」および「手書き文字」の3通りであるため、以下ではそれぞれについて説明する。なお、それぞれで重複する説明については、適宜省略する。
【0035】
「付箋」は、ここでは、あるページを他のページと区別するために貼付する紙片(いわゆる付箋紙)を模した画像であり、表示部21Dの所定の位置に表示される。「付箋」を表示させるためには、ユーザは、所望のページが表示されているときに付箋キー216cを押下する。CPU211は、付箋キー216cに応じた操作信号を取得すると、「付箋」を表す表示データを供給するとともに、付加情報を生成する。
【0036】
図6は、「付箋」の表示態様の一例を示す図である。同図にハッチングで示したように、「付箋」は、表示部21Dに表示されたページの所定の位置(同図においては、右上)に表示される。なお、表示データは、「付箋」が表示された画素のみがそれ以前と異なり、それ以外の画素については、直前に電圧を印加したときと同様となる。CPU211は、このような表示データを表示体コントローラ217に供給し、表示部21Dの書き換えを行わせる。
【0037】
表示部21Dの書き換えの指示に次いで、CPU211は、「付箋」が付加されたことを表す付加情報を生成し、これを文書ファイルに関連付けてフラッシュメモリ214に記憶させる。CPU211が生成する付加情報には、付加情報を識別する付加識別情報と、付加された情報の種別を表す種別情報と、情報が付加されたページや場所を表す場所情報とが含まれる。例えば、「付箋」が付加された場合、CPU211は、種別が「付箋」であることを表す種別情報と、「付箋」が付加されたページを表す場所情報とを含んだ付加情報を生成する。また、付加識別情報は、各々の付加情報を一意的に特定可能に構成された情報である。
【0038】
また、「ライン」は、1または複数の文字を強調するために付される線状または帯状の画像である。「ライン」は、例えば、アンダーラインのような細線や、ラインマーカ(いわゆる蛍光ペン等)の表示態様を模した網掛けなどの表示態様で表示される。「ライン」を表示させるためには、ユーザは、所望のページが表示されているときにラインキー216dを押下し、スタイラスペン21Sでタッチスクリーン219に接触することにより始点と終点とを指定する。CPU211は、ラインキー216dに応じた操作信号と、始点と終点とを示す感知信号とを取得すると、「ライン」を表す表示データを供給するとともに、付加情報を生成する。
【0039】
図7は、「ライン」の表示態様の一例を示す図であり、P1を始点、P2を終点として指定された場合に付される細線として「ライン」を表している。なお、このときCPU211が供給する表示データは、「付箋」の場合と同様に、この細線を表す画素のみがそれ以前と異なったものとなる。CPU211は、タッチスクリーン219において感知信号が出力された微小領域を特定し、特定した微小領域に対応する画素に所定の階調値(例えば「15(黒)」)を示す表示データを供給する。
【0040】
表示部21Dが「ライン」を含む画像に書き換えられると、CPU211は、「ライン」が付加されたことを表す付加情報を生成し、これをフラッシュメモリ214に記憶させる。「ライン」が付加された場合、CPU211は、これを識別する付加識別情報と、種別が「ライン」であることを表す種別情報と、「ライン」が付加されたページと当該ページ内の位置とを表す場所情報とを含んだ付加情報を生成する。ここにおける「位置」とは、少なくとも上述した始点と終点の位置とを含むものである。
【0041】
また、「手書き文字」は、ユーザが任意に付すことが可能な文字や線により構成される画像である。なお、「手書き文字」は、文字に限定されるわけではない。「手書き文字」を表示させるためには、ユーザは、スタイラスペン21Sでタッチスクリーン219に所望の文字や線を書く(描く)ような動作を行う。CPU211は、このような動作を示す感知信号を取得すると、「手書き文字」を表す表示データを供給するとともに、付加情報を生成する。CPU211は、タッチスクリーン219において感知信号が出力された微小領域を特定し、特定した微小領域に対応する画素に所定の階調値(例えば「15(黒)」)を示す表示データを供給する。なお、表示データは、この場合も、「手書き文字」に相当する画素のみがそれ以前と異なる。
【0042】
表示部21Dが「手書き文字」を含む画像に書き換えられると、CPU211は、「手書き文字」が付加されたことを表す付加情報を生成し、これをフラッシュメモリ214に記憶させる。「手書き文字」が付加された場合、CPU211は、これを識別する付加識別情報と、種別が「手書き文字」であることを表す種別情報と、「手書き文字」が付加されたページと当該ページ内の位置とを表す場所情報とを含んだ付加情報を生成する。ここにおける場所情報とは、タッチスクリーン219の感知信号が出力された微小領域に対応する画素の位置を表すものである。
【0043】
なお、付加情報が付加されたページを表示する指示をユーザが行った場合には、CPU211は、当該ページの文書情報と当該ページに付加された付加情報とに基づいて表示データを生成する。このとき、CPU211は、付加情報の種別情報や場所情報を参照し、文書情報が表す文書と付加情報が表す画像とを含む表示データを生成する。また、複数の異なる付加情報が付加されている場合には、CPU211は、それぞれの付加情報が表す画像を含む表示データを生成する。この表示データは、もとの文書に付加情報が表す画像を重ねたような表示態様となる。
【0044】
ここで、図5のシーケンスチャートの説明に戻る。上述のように付加情報を生成すると、CPU211は、生成した付加情報と当該付加情報が付加された文書ファイルの文書識別情報とを情報管理装置11に送信する(ステップS5)。付加情報と文書識別情報とを受信した情報管理装置11においては、CPU111が、受信した文書識別情報に基づいて文書ファイルを特定し、受信した付加情報を特定した文書ファイルと関連付けてHDD114に記憶する(ステップS6)。また、このときCPU111は、内部時計116から時刻情報を取得してHDD114に書き込むことにより、付加情報を受信した日時を併せて記憶する。なお、ステップS5およびS6の処理は、付加情報が付加される毎に実行される。
【0045】
情報管理装置11は、このような動作を複数の情報表示装置21と行うことにより、複数の付加情報を累積的に記憶する。一方、それぞれの情報表示装置21は、自装置のユーザにより付加された付加情報を記憶するのみであるため、記憶する付加情報の内容が情報管理装置11のそれとは異なるものとなる。また、情報管理装置11においては、サーチャが新たな文書ファイルを検索し、文書データベースDB1に追加することもある。そのため、情報管理装置11が記憶する文書ファイルは、情報表示装置21が記憶する文書ファイルよりも多くなることがある。
このような場合に、情報管理装置11の記憶内容と情報表示装置21の記憶内容とを一致させる必要があるときには、ステップS7〜S11に示す処理によって文書ファイルの同期が行われる。
【0046】
文書ファイルの同期は、ユーザが同期キー216bを押下したことを契機に実行される。情報表示装置21のCPU211は、同期キー216bに応じた操作信号が供給されると、フラッシュメモリ214に記憶された文書ファイルと付加情報とを特定する(ステップS7)。このとき、CPU211は、フラッシュメモリ214に記憶された文書ファイルを特定し、特定した文書ファイルの文書識別情報と、当該文書ファイルに関連付けられた付加情報の付加識別情報とを特定する。そして、CPU211は、特定した付加識別情報と文書識別情報とを情報管理装置11に送信する(ステップS8)。
【0047】
文書識別情報と付加識別情報とを受信した情報管理装置11においては、CPU111が、HDD114に記憶された文書ファイルと付加情報とを特定する(ステップS9)。このとき、CPU111は、HDD114に記憶された文書ファイルを特定し、特定した文書ファイルの文書識別情報と、当該文書ファイルに関連付けられた付加情報の付加識別情報とを特定する。続いて、CPU111は、ステップS9において特定した文書識別情報および付加識別情報と、情報表示装置21から受信した文書識別情報および付加識別情報を比較し、これらの差異を特定する(ステップS10)。そして、CPU111は、情報表示装置21から受信した文書識別情報および付加識別情報に含まれていない文書識別情報または付加識別情報が存在した場合には、これを特定し、当該文書識別情報または付加識別情報により識別される文書ファイルまたは付加情報をHDD114から読み出し、情報表示装置21に送信する(ステップS11)。つまり、ステップS11の処理は、情報管理装置11と情報表示装置21との間の差異分に相当する文書ファイルまたは付加情報を送信する処理であるといえる。
【0048】
以上の動作を行うことにより、本実施形態の情報表示装置21は、文書ファイルに種々の付加情報を付加するとともに、これを表示することが可能となる。情報表示装置21は、文書ファイルに関連付けられる付加情報を生成するので、文書ファイル自体を変更することなく文書に情報の追加を行うことができる。すなわち、本実施形態の情報表示装置21によれば、文書に情報を追加したとしても、文書ファイルの同一性は保持されることとなる。また、情報表示装置21は、付加情報をこのような形式とすることによって、付加情報を送信する際のデータ量を抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態の情報管理装置11は、上述した同期処理によって、自装置に記憶されているものと同様の文書ファイルや付加情報を情報表示装置21に記憶させることが可能となる。すなわち、本実施形態によれば、複数の情報表示装置21と情報管理装置11との間で情報を共有することが可能となり、他のユーザが追加した付加情報も参照することが可能となる。このとき、情報表示装置21は、情報管理装置11が特定した差異分に相当する文書ファイルや付加情報を受信するので、既に記憶されている文書ファイルや付加情報を改めて受信することがなく、比較的少ないデータのやりとりによって同期処理を実行することが可能となる。
【0050】
さらに、本実施形態の情報表示装置21は、ユーザが随時文書の閲覧や付加情報の付加を行える一方、ユーザが所望するタイミングで同期処理を実行することが可能である。すなわち、本実施形態の情報表示装置21によれば、他の装置との情報の共有に際して、ネットワーク接続は必要なときだけで十分であり、常時接続されている必要はない。したがって、本実施形態によれば、ユーザに高い利便性を提供することが可能となる。
【0051】
[変形例]
以上においては、一の実施形態を例示して本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されず、その他の種々の態様にて実施することが可能である。以下では、他の実施形態の一例を示す。
【0052】
(変形例1)
上述した実施形態は、複数のユーザや情報表示装置21のそれぞれを区別しない態様であったが、各ユーザを識別するユーザ識別情報や各情報表示装置21を識別する装置識別情報を用いて、付加情報の管理や表示をより詳細に行う構成としてもよい。かかる構成としては、例えば、以下に示す構成がある。なお、以下において、このユーザ識別情報と装置識別情報とを区別しない場合には、これらを総称して「識別情報」という。
【0053】
識別情報は、情報表示装置21のROM212またはフラッシュメモリ214にあらかじめ記憶されている構成とすればよい。なお、識別情報は、各ユーザまたは各情報表示装置21を一意的に特定できるように定められており、望ましくは、ユーザ名等のユーザが認識可能な情報を含むものである。CPU211は、識別情報を含んだ付加情報を生成するか、あるいは、付加情報を情報管理装置11に送信するときに、識別情報を併せて送信することにより、付加情報と識別情報の関連付けを行う。このようにすることで、情報管理装置11においては、付加情報に関連付けられた識別情報を参照することが可能となる。
【0054】
このような構成とした場合、情報管理装置11においては、付加情報をユーザ毎または情報表示装置21毎に区別して記憶することが可能となる。これにより、情報管理装置11は、例えば、特定のユーザの付加情報を選択的に送信したり、あるいは、付加された付加情報の履歴をユーザ毎に管理したりすることが可能になる。また、情報表示装置21においては、付加情報の表示態様をその付加情報に関連付けられた識別情報に応じて異ならせることが可能になる。
【0055】
図8および図9は、付加情報の表示態様を例示した図である。図8は、2種類の表示態様で「ライン」が表示されている場合を示している。この場合、あるユーザによる付加情報は実線の「ライン」で表示され、別のユーザによる付加情報は破線の「ライン」で表示されている。このような表示は、CPU211が、それぞれの識別情報に所定の表示態様を割り当て、各々の表示態様に応じた表示データを生成することにより実現される。なお、ここでは実線と破線とで識別情報の違いを区別したが、例えば、「ライン」の太さや色を異ならせて識別情報の違いを区別してもよい。なお、図8に示したように、複数のユーザによって同一の位置に「ライン」が付加された場合には、CPU211は、表示上の便宜のため、これらが重ならないような位置制御を行うのが望ましい。
【0056】
また、例えばユーザ名のような、ユーザが認識可能な情報が識別情報に含まれている場合には、これを表示するようにしてもよい。図9は、このような場合の例であり、同図においては、ユーザ名が「A」であるユーザと「B」であるユーザとにより付加された「付箋」が表示されている場合を示している。なお、この場合のように、複数のユーザによって同一のページに「付箋」が付加された場合には、CPU211は、これらが重ならないよう、同一ページ内の異なる位置に「付箋」が表示されるような位置制御を行うのが望ましい。
【0057】
(変形例2)
上述した変形例1のような識別情報を設けた場合、これを用いて、情報表示装置21におけるユーザの操作の履歴を記憶するようにしてもよい。例えば、情報表示装置21を、付加情報に識別情報を関連付けるとともに、同期処理を行うときに識別情報を送信する構成とすれば、情報管理装置11は、情報表示装置21との間でデータがやりとりされる毎に識別情報を受信することが可能となる。このとき、情報管理装置11が、識別情報を受信する毎にその受信日時を記憶すれば、各々の情報表示装置21がどの日時にどのような処理を実行したかを知ることが可能となる。
【0058】
(変形例3)
上述した実施形態においては、付加情報を付加する場合のみを示したが、いちど付加した付加情報を消去する構成を設けてもよい。付加情報を消去するための方法としては、操作キーにより操作する方法や、スタイラスペン21Sにより操作する方法が挙げられる。例えば、「付箋」が付加されたあるページを情報表示装置21が表示しているときに、ユーザが付箋キー216cを押下すると、CPU211が、当該ページに付加されていた「付箋」を消去した表示データを生成するとともに、これに対応する付加情報を消去するようにしてもよい。あるいは、「付箋」が付加されたあるページを情報表示装置21が表示しているときに、ユーザがその「付箋」に相当する位置にスタイラスペン21Sを接触させると、CPU211がこれを検知し、当該ページに付加されていた「付箋」を消去した表示データを生成するとともに、これに対応する付加情報を消去するようにしてもよい。
【0059】
(変形例4)
上述した実施形態においては、ステップS1の処理によって情報管理装置11から情報表示装置21に文書ファイルが送信されたが、情報表示装置21は他の手段を介して文書ファイルを取得してもよい。例えば、情報表示装置21は、着脱自在な記憶媒体(いわゆるメモリカードやUSBメモリ等)から文書ファイルを取得できる構成を設けてもよい。要するに、情報表示装置21は、情報管理装置11に記憶された文書ファイルと同様の文書ファイルを取得可能であれば、その取得の手段を特に問わない。
【0060】
(変形例5)
上述した実施形態においては、ステップS5の処理は、付加情報が付加される毎に実行されるとしたが、所定の条件が満たされたときに実行されてもよい。例えば、ステップS5の処理は、情報表示装置21がユーザ端末22と接続され、かつ、ユーザ端末22が情報管理装置11と通信可能な場合に実行されるようにしてもよい。あるいは、付加情報の送信を指示するための操作キーを情報表示装置21に設けるなどして、ユーザが所望するタイミングでステップS5の処理が実行される構成としてもよい。
【0061】
(変形例6)
また、上述した情報管理装置11に対して、文書ファイルを表示やプリントアウトのために出力する構成を付加してもよい。すなわち、情報管理装置11が、表示装置(液晶ディスプレイ等)における表示やプリンタによる用紙への表示に適合した形式に文書ファイルを変換する変換手段と、変換した文書ファイルを表示装置やプリンタに出力する出力手段とをさらに備える構成としてもよい。また、この場合において、上述した変換手段は、文書ファイルに付加情報が付加されていれば、付加情報の内容も併せて表示されるような変換を行える構成であると望ましい。このようにすれば、複数のユーザによって追加された情報を、表示装置や用紙に表示された態様で視認することが可能となる。
また、上述した情報管理装置11に対して、情報表示装置21と直接に接続することが可能なインタフェース(上述したシリアルインタフェースや無線インタフェース等)を付加してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】情報共有システムの構成を示すブロック図である。
【図2】情報管理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】情報表示装置の構成を示すブロック図である。
【図4】情報表示装置の外観を示す斜視図である。
【図5】情報管理装置と情報表示装置とが実行する処理を示す図である。
【図6】付加情報(付箋)の表示態様の一例を示す図である。
【図7】付加情報(ライン)の表示態様の一例を示す図である。
【図8】付加情報(ライン)の表示態様の一例を示す図である。
【図9】付加情報(付箋)の表示態様の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
100…情報共有システム、11…情報管理装置、111…CPU、112…ROM、113…RAM、114…HDD、115…インタフェース、116…内部時計、12…PC、22、22a、22b…ユーザ端末、21、21a、21b…情報表示装置、210…電源部、211…CPU、212…ROM、213…RAM、214…フラッシュメモリ、215…インタフェース、216…操作部、217…表示体コントローラ、218…記憶性表示体、219…タッチスクリーン、31…第1ネットワーク、32…第2ネットワーク、33…第3ネットワーク、41…コンテンツサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報管理装置と複数の情報表示装置とを備える情報共有システムであって、
前記情報管理装置は、
第1の記憶手段と、
受信手段と、
記憶制御手段とを備え、
各々の前記情報表示装置は、
取得手段と、
第2の記憶手段と、
表示手段と、
指示手段と、
送信手段とを備え、
前記第1の記憶手段は、1または複数のページを有する文書を表す文書ファイルと、当該文書ファイルを識別する文書識別情報とを記憶し、
前記取得手段は、前記第1の記憶手段に記憶された文書ファイルと当該文書情報の文書識別情報とを取得し、
前記第2の記憶手段は、前記取得手段により取得された文書ファイルと当該文書情報の文書識別情報とを記憶し、
前記表示手段は、前記第2の記憶手段に記憶された文書ファイルが表す文書を表示し、
前記指示手段は、前記表示手段に表示された文書のあるページに付加的に表示される付加情報の付加を指示し、
前記送信手段は、前記指示手段により指示された付加情報と、当該付加情報が付加された文書を表す前記文書ファイルの前記文書識別情報とを送信し、
前記受信手段は、複数の前記送信手段から送信された付加情報と文書識別情報とを受信し、
前記記憶制御手段は、前記受信手段により受信された付加情報を、前記受信手段により受信された文書識別情報により識別される前記文書ファイルに関連付けて前記第1の記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする情報共有システム。
【請求項2】
1または複数のページを有する文書を表す文書ファイルと、当該文書ファイルを識別する文書識別情報とを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された文書ファイルが表す文書を表示する表示手段を備える複数の情報表示装置から、当該文書とともに表示される情報を表す付加情報と、当該文書を表す前記文書ファイルの文書識別情報とを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された付加情報を、前記受信手段により受信された文書識別情報により識別される前記文書ファイルに関連付けて前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段と
を備えることを特徴とする情報管理装置。
【請求項3】
前記記憶制御手段により前記記憶手段に記憶された付加情報と、当該付加情報に関連付けられた前記文書ファイルの前記文書識別情報とを前記複数の情報表示装置に送信する送信手段を備える
ことを特徴とする請求項2に記載の情報管理装置。
【請求項4】
前記記憶手段に、ある前記情報表示装置から前記受信手段により受信された付加情報または文書識別情報と異なる付加情報または文書識別情報が記憶されている場合に、当該異なる付加情報、または、当該異なる文書識別情報および当該文書識別情報により識別される文書ファイルを当該情報表示装置に送信する送信手段を備える
ことを特徴とする請求項2に記載の情報管理装置。
【請求項5】
前記受信手段は、前記付加情報を受信する場合に、当該付加情報を送信する前記情報表示装置または当該情報表示装置を操作するユーザを識別する識別情報を受信し、
前記記憶制御手段は、前記受信手段により受信された識別情報を、前記受信手段により受信された付加情報に関連付けて前記記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする請求項2に記載の情報管理装置。
【請求項6】
前記記憶制御手段により前記記憶手段に記憶された付加情報と、当該付加情報に関連付けられた前記文書ファイルの前記文書識別情報と、当該付加情報に関連付けられた前記識別情報とを前記複数の情報表示装置に送信する送信手段を備える
ことを特徴とする請求項5に記載の情報管理装置。
【請求項7】
前記送信手段は、ある前記情報表示装置に前記付加情報を送信する場合に、当該情報表示装置から前記受信手段により受信された識別情報と異なる識別情報が関連付けられた前記付加情報を送信する
ことを特徴とする請求項6に記載の情報管理装置。
【請求項8】
コンピュータを、
1または複数のページを有する文書を表す文書ファイルと、当該文書ファイルを識別する文書識別情報とを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された文書ファイルに付加される付加情報と当該文書ファイルの文書識別情報とを前記複数の情報表示装置から受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された付加情報を、前記受信手段により受信された文書識別情報により識別される前記文書ファイルに関連付けて前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−146245(P2008−146245A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330986(P2006−330986)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】