情報再生装置および情報再生方法
【課題】再生性能を落とすことなく高倍速再生が可能な情報再生装置を提供する。
【解決手段】情報再生装置は、デジタル変換部、等化器、補間器、最尤検出器、PLL部を具備する。デジタル変換部は最小ラン長が1のラン長制限符号により情報が記録されている光ディスク媒体から読み出す読み出し信号をデジタル信号に変換し、チャネル周波数のN/M倍の第1クロックに同期して出力する。Nは2以上の整数、MはN/M>0.5を満たす整数。等化器は第1クロックに同期してデジタル信号をPR特性に等化する。補間器は等化器から出力されるN個の入力データに基づいてM個の出力データに変換し、チャネル周波数の1/M倍の第2クロックに同期して出力データを出力する。最尤検出器は補間器から出力される出力データに基づいてMビットの検出情報に変換し、第2クロックに同期して検出情報を出力する。PLL部は第1クロックと第2クロックとを生成する。
【解決手段】情報再生装置は、デジタル変換部、等化器、補間器、最尤検出器、PLL部を具備する。デジタル変換部は最小ラン長が1のラン長制限符号により情報が記録されている光ディスク媒体から読み出す読み出し信号をデジタル信号に変換し、チャネル周波数のN/M倍の第1クロックに同期して出力する。Nは2以上の整数、MはN/M>0.5を満たす整数。等化器は第1クロックに同期してデジタル信号をPR特性に等化する。補間器は等化器から出力されるN個の入力データに基づいてM個の出力データに変換し、チャネル周波数の1/M倍の第2クロックに同期して出力データを出力する。最尤検出器は補間器から出力される出力データに基づいてMビットの検出情報に変換し、第2クロックに同期して検出情報を出力する。PLL部は第1クロックと第2クロックとを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク等の情報再生装置およびその情報再生方法に関し、特に高記録密度で記録された情報を最尤検出する情報再生装置およびその情報再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のマルチメディア化の進展により、映像情報を含む大量の情報を処理する必要がある。さらに、これらの情報を記録するストレージ装置の大容量化が必要であり、特に高画質の映像情報のストレージ分野では現状のDVD(Digital Versatile Disc)以上の容量が望まれている。しかし、光ディスク装置あるいはハードディスク装置の記憶容量を増加させるためには記録密度を上げる必要があり、これに伴い、エラーレートの低減、信頼性の確保が重要課題となっている。このような課題に対して、光ディスクでは大別して媒体組成アプローチ、光学的アプローチ、信号処理的アプローチの3種類の方向で検討がなされてきた。以下では主に信号処理的アプローチに関して説明する。
【0003】
光ディスクは、光学素子により集光されたレーザビームをディスク媒体上に照射し、反射光の明暗あるいは偏光により情報を検出する。集光されたビームスポットは有限であり、径が小さいほど高密度の記録再生が可能である。そのため、このビームスポットを小さくする光学的なアプローチが進められてきている。スポット径は、対物レンズの開口数NA(Natural Aperture)に逆比例し、レーザビーム波長λに比例する。従って、開口数NAを大きくし、波長λを小さくすることによりスポット径を小さくすることが可能である。しかし、開口数NAを大きくすると焦点深度が浅くなり、ディスク面とレンズとの距離を狭める必要があるため限界がある。また、短波長レーザは、高出力発振の安定性、長寿命化等が課題であるが、CD(Compact Disc)では赤外レーザ(λ=780nm)、DVDでは赤色レーザ(λ=650nm)、次世代DVDでは青色レーザ(λ=405nm)と、短波長化は徐々に進んでいる。
【0004】
ところで、光ヘッド・ディスク媒体間の伝送路周波数特性は、有限なビームスポットのため、高域のゲインが低下するLPF(Low−Pass Filter)の形となる。従って、矩形波を記録しても波形が鈍ってしまう。記録密度を高くすると、特定の時刻で読み出すべき波形が他の時刻の波形と干渉する。これを符号間干渉と呼ぶ。この符号間干渉のため、ある長さ以下の短い記録マークの再生が困難となる。逆に、記録マークが長い場合には、同期クロック抽出用の位相情報出力頻度の低下が同期外れの原因となるため、ある長さ以下に制限する必要がある。
【0005】
以上の理由により、信号処理的なアプローチとして、光ディスクへの記録データは記録符号化されている。特に、符号の反転距離を制限したRLL符号(Run Length Limited Code)が用いられることが多く、ETM(Eight to Twelve Modulation)、EFM(Eight to Fourteen Modulation)、(1,7)RLL、8/16符号などが使われている。このうち、CDで用いられるEFM変調符号及びDVDで採用された8/16変調符号の最小ラン長は、2(d=2)であり、(1,7)RLL、ETM変調符号の最小ラン長は1である。ETMは、非特許文献1にその記述があるように、(1,10)RLL符号である。ETMの符号化率は、(1,7)RLLと同様に2/3であるが、最短マークの連続数の制限とDC成分圧縮性能に特徴がある。
【0006】
また、波形等化と呼ばれる技術がある。これは符号間干渉を取り除くような逆フィルタを挿入することにより誤り率を低下させるものである。この波形等化は、再生信号の高帯域成分を強調するため、符号間干渉を抑えられるが、ノイズの高域成分も強調することになる。したがって、波形等化は、再生信号のSNR(Signal to Nose Ratio)を劣化させる場合がある。特に、記録密度を上げた時には、この波形等化によるSNRの劣化が検出データの誤りの主要因となる。PR(Partial Response)等化は、既知の符号間干渉を故意に起こすような波形等化の1方式である。PR等化は、通常、高域成分を強調することがないため、SNRの悪化を抑えることができる。
【0007】
一方、検出方式として有効なものとして最尤検出方式がある。この方式は、ある状態遷移をすることが分かっているデータ列に対して、考えられる全ての時系列パタンの中から誤差の二乗平均が最小になるものを選択することにより、検出性能を上げる方式である。ただし、実際の回路上で上述の処理を行うことは、回路規模および動作速度の点で困難であるため、通常は、ビタビアルゴリズムと呼ばれるアルゴリズムを用いてパスの選択を漸化的に行うことにより実現している。この検出方式は、ビタビ検出と呼ばれる。
【0008】
前述のPR等化にビタビ検出を組み合わせた検出方式は、PRML(Partial Response Maximum Likelihood)方式と呼ばれ、一種の誤り訂正を行いながらデータを検出できる。PR等化により再生信号は時間方向に相関を持たされている。このため、再生信号をサンプリングしたデータ系列には特定の状態遷移しか現れなくなる。限られた状態遷移と、ノイズを含む実際の再生信号のデータ系列とを比較し、最も確からしい状態遷移を選ぶことにより、検出データの誤りを低減できる。ETM符号とPR(1,2,2,2,1)チャネルとを用いたPRML検出方式は、非特許文献2にその記述があり、高密度記録再生時に広い検出マージンを得ることが可能である。
【0009】
ビタビ検出により検出性能を上げるためには、再生チャネルの周波数特性を特定のPR等化特性に一致させる必要がある。その場合、再生チャネルになるべく近いPR等化特性が選ばれるが、一般には波形等化器によって周波数特性が補正され、できるだけ所定のPR特性に等しくなるようになされている。
【0010】
信号の経時劣化を適応的に補正して検出性能を高める技術として、自動等化あるいは適応等化方式がある。逐次型の適応等化アルゴリズムは、非特許文献3に記載されているが、特に、Zero Forcing法、Mean Square法などが一般的である。適応等化技術は、装置の初期調整が不要となる等その効果は大きい。
【0011】
さて、PRMLでは振幅情報を使うため、チャネルクロックで動作する8ビット幅程度のAD変換器が必要である。また、PRチャネルに等化するための等化器がFIRフィルタで構成される場合、乗算器と加算器とを備える10次程度のFIRフィルタが必要である。さらに、FIRフィルタのタップ係数分の相関器を備えるタップ係数コントローラが必要である。
【0012】
しかし、再生回路系の動作速度は、近年、高倍速再生の要求に呼応して高速化している。AD変換器を高速動作させるためには、その回路規模が大きくなり、同時に消費電力も上昇する。また、FIRフィルタを高速動作させるためには、乗算器回路規模が大きくなり、同時に消費電力も上昇する。さらに、タップ係数コントローラを高速動作させるためには、相関器中の乗算器および積分器の回路規模が大きくなり、同時に消費電力も上昇する。
【0013】
したがって、高倍速再生により回路規模および消費電力が増加し、場合によってはビタビ検出器が動作できない場合も考えられる。これは、バッテリー駆動で使用するノート型パーソナルコンピュータ等に搭載する場合に大きなデメリットとなってしまう。
【0014】
上記の問題を解決するための一手法が特許文献1に開示されている。図1にそのデジタルデータ再生装置の構成図が示される。この方式のデジタルデータ再生装置は、ピックアップ101、プリアンプ102、波形等化器103、AD変換器(Analog−to−Digital Converter)104、ハーフレート処理用オフセット制御部105、ハーフレート処理用位相誤差情報検出部108、ループフィルタ109、クロック生成部110、ハーフレート処理用適応等化部106、ハーフレート処理用最尤復号部107を備える。
【0015】
光記録媒体100には、同じ符号が少なくとも3つ以上連続する制約(d≧2)を有する記録符号により、記録情報がデジタル記録されている。このデジタルデータ再生装置は、まず、光記録媒体100からチャネルビット周波数の半分の周波数をサンプリングクロックとするAD変換器104により標本化して再生信号を得る。ハーフレート処理用オフセット制御部105は、欠落した時間の再生信号を補間しながらオフセット補正制御を行う。ハーフレート処理用位相誤差情報検出部108は、ハーフレート処理用オフセット制御部105により得られた再生信号に対して、欠落した時間の位相誤差情報を補間しながら位相同期制御を行う。同時にハーフレート処理用適応等化部106は、ハーフレート処理用オフセット制御部105により得られた再生信号に対して、パーシャルレスポンス適応等化を行う。そしてハーフレート処理用最尤復号部107は、ハーフレート処理用適応等化部106により得られたパーシャルレスポンス適応等化信号を用いてパーシャルレスポンスの型に応じて復号を行う。
【0016】
これにより、従来の半分の周波数で回路系を動作させることが可能となり、再生性能を落とすことなく消費電力を大幅に下げることが可能となる。しかし、この手法は、記録符号の最小ラン長が2であるCDやDVDにのみ利用できるものである。最小ラン長が1である符号を用いている場合には再生信号の周波数帯域がより高域まで伸びているため、ハーフレートでサンプリングすると必要な帯域が確保できなくなり、エリアシングの影響で再生性能低下を招いてしまう。青色レーザを用いたDVDの次世代光ディスクは、最小ラン長が1である符号を用いている。また、PRML検出を前提としている規格も存在しており、チャネルレートは非常に高い。
【0017】
また、特許文献2には、読み取りヘッドによって記録媒体から読み出されたアナログ再生信号からデジタル記録データの判定を行うデジタル再生信号処理装置が開示されている。このデジタル再生信号処理装置は、AD変換器と、等化回路と、補間器と、判定器とを備える。AD変換器は、少なくとも上記アナログ再生信号をデジタル記録チャネルレートより長い周期でサンプリングし、上記デジタル記録チャネルレートより長い周期の低レートデジタル再生信号に変換する。等化回路は、低レートデジタル再生信号を低レートのままデジタルフィルタリングを行い、デジタル等化信号を生成する。補間器は、デジタル等化信号からデジタル記録チャネルレートの再生データを補間する。判定器は、補間されたデータ列から記録されたデータを導出する。AD変換器でのサンプリングは、記録チャネルレートの半分の周波数であるハーフレートで行い、補間器は、ハーフレートのナイキスト周波数に帯域制限されたハーフレートナイキスト補間を行う。
【0018】
【特許文献1】特許第3688225号公報
【特許文献2】特開2001−101799号公報
【非特許文献1】Kinji Kayanuma, et al.,「Eight to Twelve Modulation Code for High Density Optical Disk」 International Symposium on Optical Memory 2003, Technical Digest pp.160-161, November 3, 2003
【非特許文献2】小川、本間他著 「HD DVD装置化技術の開発(記録技術)」情報メディア学会技術報告 ITE Technical Report Vol.28, No.43, PP.17-20 MMS2004-38, CE2004-39(Jul.2004)
【非特許文献3】斎藤収三他著 「現代情報通信の基礎」 オーム社 平成4年12月20日 pp.212−217
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、再生性能を落とすことなく高倍速再生が可能な情報再生装置および情報再生方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、再生性能を落とすことなく回路規模および消費電力を下げる情報再生装置および情報再生方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、適応等化器の収束を高速化する情報再生装置および情報再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0021】
本発明の観点では、情報再生装置は、デジタル変換部(41)と、等化器(20/30)と、補間器(50)と、最尤検出器(60)と、PLL部(47)とを具備する。光ディスク媒体(10)には、最小ラン長が1のラン長制限符号により情報が記録されている。デジタル変換部(47)は、その光ディスク媒体(10)から読み出す読み出し信号(RF)をデジタル信号(drf)に変換し、読み出し信号(drf)に含まれるチャネル周波数(fch)のN/M倍の周波数の第1クロック(clk1)に同期して出力する。このとき、Nを2以上の整数とし、MをN/M>0.5を満たす整数とする。等化器(20/30)は、第1クロック(clk1)に同期してデジタル信号(drf)を予め指定されたパーシャルレスポンス(PR)特性に等化する。補間器(50)は、等化器(20/30)から出力されるN個の入力データ(x)に基づいてM個の出力データ(y)に変換し、チャネル周波数(fch)の1/M倍の周波数の第2クロック(clk2)に同期して出力データ(y)を出力する。最尤検出器(60)は、補間器(50)から出力される出力データ(y)に基づいてMビットの検出情報(MB)に変換し、第2クロック(clk2)に同期して検出情報(MB)を出力する。PLL部(47)は、読み出し信号(RF)に基づいて第1クロック(clk1)と第2クロック(clk2)とを生成する。
【0022】
本発明の補間器(50)は、入力データをN個並列に入力し(x1〜xN)、出力データをM個並列に出力する(y1〜yM)。また、最尤検出器(60)は、検出情報をMビット並列に出力する。
【0023】
本発明の等化器(20/30)は、FIRフィルタ(20)と、係数コントローラ(30)とを備える。FIRフィルタ(20)は、タップ係数を設定変更することが可能なフィルタであり、第1クロック(clk1)に同期して動作する。係数コントローラ(30)は、検出情報(MB)と、FIRフィルタの出力とに基づいて生成される等化誤差が最小になるようにタップ係数を設定する。係数コントローラ(30)は、そのタップ係数を第2クロック(clk2)に同期して設定する。上記のNは2、Mは3であることが好ましい。
【0024】
本発明の他の観点では、情報再生装置は、デジタル変換部(41)と、PLL部(48)と、等化器(20/30)と、補間器(51)と、最尤検出器(61)と、情報検出器(62)とを具備する。ここで、N1を2以上の整数とし、M1をN1/M1>0.5を満たす整数とし、N2を1以上の整数とし、M2をN2<M2かつN2×M1<M2×Nを満たす整数とする。デジタル変換部(41)は、ラン長制限符号により記録された光ディスク媒体(10)から読み出す読み出し信号(RF)をデジタル信号(drf)に変換し、サンプリングクロック(clk1)に同期してデジタル信号(drf)を出力する。PLL部(48)は、デジタル信号(drf)に基づいて、第1クロック(clk11)と、第2クロック(clk21)と、第3クロック(clk12)と、第4クロック(clk22)とを生成する。第1クロック(clk11)の周波数は、読み出し信号のチャネル周波数のN1/M1倍とする。第2クロック(clk21)の周波数は、チャネル周波数の1/M1倍とする。第3クロックの周波数(clk12)は、チャネル周波数のN2/M2倍とする。第4クロック(clk22)の周波数は、チャネル周波数の1/M2倍とする。サンプリングクロック(clk1)は、最小ラン長が1のラン長制限符号で記録されている光ディスク媒体(10)から読み出し信号を読み出すとき、第1クロック(clk11)であり、最小ラン長が2のラン長制限符号で記録されている光ディスク媒体(10)から読み出し信号を読み出すとき、第3クロック(clk12)である。等化器(20/30)は、デジタル信号(drf)を予め指定されたパーシャルレスポンス特性に等化された等化信号(x)をサンプリングクロック(clk1)に同期して出力する。補間器(51)は、等化信号(x)をN1相並列に入力し、チャネル周波数(fch)の周期毎の補間信号(y)に補間してM1相並列に出力する。補間信号(y)は、第2クロック(clk21)に同期して出力される。最尤検出器(61)は、補間信号に基づいて、最も確からしい状態遷移を選択して第1データ列(M1)を検出し、第1データ列(M1)を第2クロック(clk21)の周期毎に検出情報(MB)としてM1ビット並列に出力する。情報検出器(62)は、等化信号をN2相並列に入力して第2データ列(M2)を検出し、第2データ列(M2)を第4クロック(clk22)の周期毎に検出情報(MB)としてM2ビット並列に出力する。
【0025】
本発明の等化器(20/30)は、サンプリングクロック(clk1)に基づいて動作し、補間器(51)と最尤検出器(61)とは、第2クロック(clk21)に同期して動作し、情報検出器(62)は、第4クロック(clk22)に同期して動作することが好ましい。
【0026】
また、本発明の情報再生装置は、第1データ列(M1)または第2データ列(M2)を選択して検出情報(MB)として出力するセレクタ(83)をさらに具備する。等化器(20/30)は、タップ係数を変更設定可能なFIRフィルタ(20)と、検出情報(MB)とFIRフィルタ(20)の出力とに基づいて生成される等化誤差が最小になるようにタップ係数を設定する係数コントローラ(30)とを備える。光ディスク媒体(10)に記録したときのラン長制限符号の最小ラン長が1のとき、セレクタ(83)は検出情報(MB)として第1データ列(M1)を選択して出力し、FIRフィルタ(20)は第1クロック(clk11)に同期して動作し、係数コントローラ(30)は第2クロック(clk21)に同期して動作する。最小ラン長が2のとき、セレクタ(83)は検出情報(MB)として第2データ列(M2)を選択して出力し、FIRフィルタ(20)は第3クロック(clk12)に同期して動作し、係数コントローラ(30)は第4クロック(clk22)に同期して動作する。上記のN1は2、M1は3、N2は1、M2は2であることが好ましい。
【0027】
また、本発明の他の観点では、情報再生装置は、デジタル変換部(41/20/30)と、補間部(50)と、最尤検出部(60)とを具備する。ここで、Nを2以上の整数とし、MをN/M>0.5を満たす整数とする。光ディスク媒体(10)は、最小ラン長1のラン長制限符号により情報が記録されている。デジタル変換部(41/20/30)は、光ディスク媒体(10)から再生され、限られた状態遷移をするデータ列を含む読み出し信号(RF)をデジタル信号(drf)に変換し、入力データ列(x)を生成する。補間部(50)は、入力データ列(x)のうちのN個の入力データ(x1〜xN)に基づいて補間し、M個の補間データ(y1〜yM)を出力する。最尤検出部(60)は、補間データ(y1〜yM)に基づいて、最も確からしい状態遷移を選択してデータ列(MB)を検出する。
【0028】
本発明の情報再生装置は、さらに、PLL部(47)を具備する。PLL部(47)は、読み出し信号(RF)に含まれるチャネル周波数(fch)のN/M倍の周波数の第1クロック(clk1)と、1/M倍の周波数の第2クロック(clk2)とを生成する。デジタル変換部(41/20/30)は、第1クロック(clk1)に同期して入力データ(x)を補間部(50)に出力する。補間部(50)は、第2クロック(clk2)に同期して最尤検出部(60)に補間データ(y)を出力する。最尤検出部(60)は、第2クロックに同期して、検出されたデータ列(MB)を出力する。
【0029】
本発明のデジタル変換部(41/20/30)は、AD変換部(41)と、等化器(20)とを備える。AD変換部(41)は、読み出し信号(RF)をデジタル信号(drf)に変換する。等化器(20)は、デジタル信号(drf)を予め指定されたパーシャルレスポンス(PR)特性に等化する。
【0030】
さらに、本発明の等化器(20)は、タップ係数が設定可能であるFIRフィルタ(20)を含み、デジタル変換部(41/20/30)は、係数コントローラ(30)をさらに備える。係数コントローラ(30)は、FIRフィルタ(20)のタップ係数を設定する。このFIRフィルタ(20)は、第1クロック(clk1)に同期して動作し、係数コントローラ(30)は、第2クロック(clk2)に同期して動作することが好ましい。また、上記のN=2かつM=3であることが好ましい。
【0031】
さらに、本発明の他の観点では、情報再生方法は、デジタル変換ステップと、等化ステップと、補間ステップと、最尤検出ステップと、クロック生成ステップとを具備する。ここで、Nを2以上の整数とし、MをN/M>0.5を満たす整数とする。デジタル変換ステップは、最小ラン長が1のラン長制限符号により記録された光ディスク媒体から読み出す読み出し信号をデジタル信号に変換し、読み出し信号のチャネル周波数のN/M倍の周波数の第1クロック(clk1)に同期して出力するステップを含む。等化ステップは、第1クロック(clk1)に同期してデジタル信号(drf)を予め指定されたパーシャルレスポンス(PR)特性に等化するステップを含む。補間ステップは、等化ステップにおいて算出されるN個の入力データ(x)に基づいてM個の出力データ(y)に変換し、チャネル周波数の1/M倍の周波数の第2クロック(clk2)に同期して出力データ(y)を出力するステップを含む。最尤検出ステップは、補間ステップにおいて出力される出力データ(y)に基づいてMビットの検出情報(MB)に変換し、第2クロック(clk2)に同期して検出情報(MB)を出力するステップを含む。クロック生成ステップは、読み出し信号に基づいて第1クロック(clk1)と第2クロック(clk2)とを生成するステップを含む。
【0032】
本発明の情報再生方法において、等化ステップは、タップ係数が可変であり、第1クロック(clk1)に同期して動作するFIRフィルタステップと、タップ係数を第2クロックに同期して設定する係数設定ステップとを備える。係数設定ステップは、FIRフィルタステップにより算出されるフィルタ出力と、検出情報とに基づいて等化誤差を算出する等化誤差算出ステップと、その等化誤差が最小になるようにタップ係数を設定するタップ係数設定ステップとを含む。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、記録符号の最小ラン長が1であっても、再生性能を落とすことなく高倍速再生が可能な情報再生装置および情報再生方法を供給することができる。また、本発明によれば、再生性能を落とすことなく回路規模および消費電力を下げる情報再生装置および情報再生方法を提供することができる。さらに、本発明によれば、適応等化器の収束を高速化する情報再生装置および情報再生方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照して、発明を実施するための最良の形態を説明する。まず、本発明の原理を簡単に説明する。サンプリング定理によると、信号をサンプリング周波数fsでサンプリングすると、DCからナイキスト周波数fn(サンプリング周波数fsの半分、fn=fs/2)までの帯域が復元できる。しかし、ナイキスト周波数よりも高い周波数領域は、折り返し雑音(エリアシング:aliasing)として、サンプリング後の情報に重畳されてしまうため、再生性能が低下する。
【0035】
図2は、最小ラン長d=2のRLL符号を用いたDVDの再生信号と、最小ラン長d=1のRLL符号を用いた次世代DVDの再生信号の周波数特性を示す図である。DVDの再生信号は、チャネル周波数fchの1/4以上の帯域においてゲインが0に近いため、チャネル周波数fchの1/2でサンプリングしても信号劣化はほとんどない。しかし、次世代DVDの再生信号ではd=1のRLL符号を用いていることもあり、fch/4近傍では無視できるほどゲインが落ち切っていない。従って、fch/2でサンプリングした場合、本来必要な帯域が再現できないばかりか、エリアシングの影響を受けて信号が劣化し、再生性能が低下してしまうことは明らかである。しかし、サンプリング周波数を少し上げてfch・2/3(ナイキスト周波数をfch/3)にすると性能劣化が無視できることがわかる。
【0036】
ところで、最小ラン長d=1のRLL符号を用いて記録した情報を再生する場合、PR(1,2,2,1)等化を行うと、信号は、図3に示されるように、1T単位(Tはチャネルクロック周期)で7本の基準レベルを中心に分布する。しかし、fch・2/3すなわち1.5T単位でサンプリングすると、図4に示されるように、信号は15本程度の基準レベルに分布し、かつ状態遷移規則は非常に複雑になる。これは、最尤検出器の回路規模が増大することを意味し、本来の目的に相反することとなる。
【0037】
そこで、等化器までの処理は1.5T単位で動作させ、補間器によって1.5T単位の等化器出力から1T単位の情報を生成し直して最尤検出が行われる。1.5Tサンプル情報のスペクトラムは、図5(a)に示されるように、ナイキスト周波数fch/3を中心に対称な特性となる。1Tサンプルのスペクトラムは、本来図5(c)に示されるようにfch/2を中心として対称となるので、図5(a)に示されるスペクトラム上でfch/3以上の周波数帯域のゲインを落とす必要がある。従って、補間器内ではエリアシングの影響を抑えるため、図5(b)に示されるように、fch/3以上の周波数帯域を除去するLPF(Low−Pass Filter)を設けるとよい。このように、性能劣化させることなく、AD変換器及び等化器をチャネル周波数よりも低い速度で動作させることが可能となる。
【0038】
本発明の実施の形態に係る情報再生装置は、図6に示されるように、ピックアップ11、アクチュエータサーボ機構12、プリアンプ(RF AMP)13、再生データ検出部14、フォーマッター(FMT)16、ECC復調器(ECC)17、システムコントローラ(CTRL)19を備える。
【0039】
光ディスク媒体10には、最小ラン長d=1のRLL符号で変調された情報が記録されている。情報再生装置は、この光ディスク媒体10からピックアップ11により情報をアナログ信号として読み出す。変調符号は、最小ラン長d=2のEFMや8/16変調でもよい。ピックアップ11が光ディスク媒体10の記録面に照射する集光ビームは、アクチュエータサーボ機構12によりフォーカス方向およびトラッキング方向に正確に位置決めされる。ピックアップ11が読み出した読み出し信号は、プリアンプ13により増幅され、図示されていないアナログフィルタによって高域ブースト等化および帯域制限処理がなされて再生データ検出部14に供給される。
【0040】
再生データ検出部14は、AD変換器(A/D)41、等化器(EQ)20、遅延器(Z−1)44、補間器(IP)50、最尤検出器(ML)60、PLL部(PLL:Phase−Locked Loop)47を備える。
【0041】
帯域制限された読出し信号は、AD変換器41によってデジタル化される。AD変換器41のサンプリングクロックは、PLL部47によって生成される。AD変換器41の出力は、等化器20に入力される。等化器20は、ビタビ検出器60の入力直前において、例えばPR(1,2,2,1)チャネルになるように等化処理する。等化器20の出力は、補間器50に入力される。
【0042】
補間器50は、N相データ列から補間によりM相データ列を生成する。補間器50が出力するM相データ列は、最尤検出器であるビタビ検出器60に入力される。図6では、M=3すなわち3相データ列が生成され、出力されている。ビタビ検出器60は、周波数fch/Mのクロックに同期して、Mビットの検出データMBを出力する。
【0043】
ビタビ検出器60から出力されるビタビ検出データは、フォーマッター16によりフレームsyncパタンの除去やRLL復調などが行われる。復調されたデータは、ECC復調器17による誤り訂正処理後、システムコントローラ19を介してユーザ情報として利用される。
【0044】
再生データ検出部14の動作クロックについて説明する。PLL部47は、AD変換器41の出力drfに基づいてクロックclk1及びclk2を生成する。クロックclk1は、AD変換器41、等化器20、遅延器44に供給され、クロックclk2は、補間器50、最尤検出器であるビタビ検出器60に供給される。PLL部47は、デジタル回路で構成されてもよい。
【0045】
また、入力信号のデジタル化を含めて完全デジタルPLL構成としてもよい。例えば、上記AD変換器41の代わりに、システムクロックで動作し、AD変換器と補間器とを備えるデジタル化部によりデジタル化を行う。その場合、AD変換器は、fch・N/Mよりも高い固定周波数のシステムクロックでサンプリングし、その後補間器は、N/M倍同期クロックでサンプリングした如く位相を補正する。このデジタル化部は、電圧制御発振器(Voltage Controlled Oscillator:VCO)を含めてもよい。この場合、PLL部47が生成する位相補正用の制御信号を受けて電圧制御発振器を制御することになる。
【0046】
AD変換器41のサンプリングクロックclk1は、チャネル周波数fchのN/M倍(Nは2以上の整数、MはN/M>0.5を満たす整数)の周波数の同期クロックとし、クロックclk2の周波数は、チャネル周波数fchの1/M倍の周波数とする。最小ラン長d=1のRLL符号では前述したとおり、N/M=0.5以下にすると性能劣化が無視できなくなるため、N/M>0.5とする。再生信号の帯域の上限をfmaxとした場合、N、Mは、fmax<fch・N/(2・M)を満たす最小値となるように決定される。ただし、Mが大きくなると後述する補間器50および検出器60の回路規模が増加するため、Mは4以下が適当である。したがって、(N,M)=(2,3)が適する。最小ラン長d=2のRLL符号では、前述のように、N/M=0.5であっても信号劣化は殆んどなく、(N,M)=(1,2)が適する。
【0047】
等化器20は、AD変換器41のサンプリング周波数と同じfch・N/Mで動作する。等化器20の出力は、遅延器44により、xi、xi・Z−1、…、xi・Z−N+1のN相に変換されて、あるいは直接、補間器50に入力される。図6では、N=2すなわち2相の場合が示され、遅延器44は1段挿入されている。
【0048】
補間器50は、周波数fch/Mのクロックに同期してN相データ列から補間によりM相データ列を生成する。補間器50が出力するM相データ列は、最尤検出器であるビタビ検出器60に入力される。図6では、M=3すなわち3相データ列が生成され、出力されている。
【0049】
ビタビ検出器60は、周波数fch/Mのクロックに同期して、Mビットの検出データMBを出力する。最尤検出器には、ビタビ検出以外の最尤検出器を用いても良い。また、周波数fchのクロックを生成しておき、補間器50の出力を周波数fchのクロックで取り出し、ビタビ検出器60をも周波数fchのクロックで動作させても良い。ただし、この場合、ビタビ検出器60は、パスメトリック値の加算、比較、選択を周波数fchのクロックの1サイクルで動作させる必要があり、高速化が難しいという欠点がある。ビタビ検出器60がM相入力を周波数fch/Mに同期して最尤検出動作し、Mビットの情報を出力するため、スループットはfch(ビット/秒)となる。
【0050】
最小ラン長d=1、PR(1,2,2,1)チャネルの1T毎の状態遷移は、図7に示されるように、7値6状態となる。各状態には、最大で2本の遷移パスがあるが、ビタビ検出器60は、1T毎に確からしい入力パスを1本選択する。過去に遡ると、時系列につなげたパスがマージされるため、そのパスに対応した検出情報が出力される。M=3の場合は、図8に示されるように、3T毎の状態遷移を考える必要がある。この遷移図では、1つの状態に入力する遷移パスは最大で5本あるが、この5本の中から確からしい入力パスを3T毎に1本選択する。あとは同様にパスマージされたパスに対応して検出情報が3ビット単位で出力される。
【0051】
図9に、再生データ検出部14の他の構成が示される。この再生データ検出部14は、図6に示される構成に等化器20用の係数コントローラ30が付加されている。係数コントローラ30は、ビタビ検出器60の出力である検出データMBと、等化器20の出力xiとに基づいて等化誤差情報を生成し、等化器20の入力drfとの相関によりタップ係数を修正する。係数コントローラ30の動作クロックは、周波数fch/Mに同期するタイミングとする。これは、周波数fch・N/Mに同期するクロックと、サンプリングした情報のうちの周波数fchに同期するクロックとの位相が合うのはNサイクルに1回であるからである。ただし、タップ係数が予め学習した初期値で十分な再生性能が得られる場合には、必ずしも係数コントローラ30は必要なく、図6に示されるような構成となる。さらに、アナログフィルタだけで十分な特性が得られる場合には、等化器20も不要であり、AD変換器41から出力される信号drfは、補間器50に直結されてもよい。
【0052】
図10に、再生データ検出部14の他の構成が示される。この再生データ検出部14により、CD/DVDメディアと次世代DVDメディアの両方を1台の情報再生装置で再生することが可能になる。再生データ検出部14は、AD変換器41、等化器20、係数コントローラ30、PLL部48を共通に備え、最小ラン長d=1のRLL符号用に補間器51とビタビ検出器61を、最小ラン長d=2のRLL符号用に補間器52とビタビ検出器62を備える。2系統のビタビ検出器出力はセレクタ83で選択出力される。d=1系とd=2系は排他的な動作となるため、システムコントローラが生成するメディア選択信号mselによって、クロックをゲーティングすることにより消費電力を下げる構成としてもよい。
【0053】
PLL部48は、4種類の同期クロック(clk11、clk12、clk21、clk22)を出力する。クロックclk11の周波数はfch・N1/M1、クロックclk21の周波数はfch/M1とし、最小ラン長d=1のRLL符号用のクロックである。クロックclk12の周波数はfch・N2/M2、クロックclk22の周波数はfch/M2とし、最小ラン長d=2のRLL符号用のクロックである。最小ラン長d=2のRLL符号用の再生信号の方が、チャネル周波数fchに対して低い周波数特性になるため、N2/M2は、N1/M1よりも小さくする。特に(N1,M1)=(2,3)、(N2,M2)=(1,2)が適当である。クロックclk11及びclk21のセットと、クロックclk12及びclk22のセットとは、排他的に出力できればよい。
【0054】
AD変換器41と等化器20とは、セレクタ81によって選択出力されたクロックで動作する。セレクタ81は、最小ラン長d=1の場合にクロックclk11、最小ラン長d=2の場合にクロックclk12を選択して出力する。係数コントローラ3は、セレクタ82によって選択されたクロックで動作する。セレクタ82は、最小ラン長d=1の場合にクロックclk21、最小ラン長d=2の場合にクロックclk22を選択して出力する。
【0055】
最小ラン長d=1の場合、補間器51とビタビ検出器61とが動作し、セレクタ83はビタビ検出器61の検出情報を有効にする。最小ラン長d=2の場合、補間器52とビタビ検出器62とが動作し、セレクタ83はビタビ検出器62の検出情報を有効にする。また、補間器52を使わずに、等化器20の出力を直接ビタビ検出器62に入力してもよい。この場合、2Tサイクルの状態遷移から情報を検出するビタビ検出構成とする。また、ビタビ検出器61とビタビ検出器62とをまとめて回路規模を削減することも可能である。また、最小ラン長dの制限の差だけではなく、CDやDVDのメディアの種別によってN、Mを切り替えてもよい。
【0056】
図11に、等化器20の構成が示される。ここでは、等化器20は、遅延器24−1〜4、乗算器25−1〜5、加算器26を備え、一般的な5タップのFIRフィルタとして示される。タップ数は、より多くてもよい。通常のフィルタとの差異は、遅延器24−1〜4の遅延量がチャネル周期Tではなく、より長いT・M/N周期となっていることにある。α1〜α5の5つのタップ係数でインパルス応答をコンボリューション演算したものが出力される。各タップ係数は、係数コントローラ30により生成される。
【0057】
図12には係数コントローラ30の構成例が示される。係数コントローラ30は、レプリカ生成器31、遅延器32、遅延器33、遅延器34−1〜4、乗算器35−0〜5、減算器36、積分器37−1〜5を備える。レプリカ生成器33は、ビタビ検出結果のNRZI信号である信号MBにパーシャルレスポンスの重みを畳み込んでレプリカを生成する。そのレプリカと、遅延器32により位相を合わせた等化器20の出力xとの差、即ち等化誤差が減算器36により求められる。係数コントローラ30は、乗算器35−0により収束ゲインを等化誤差に乗じ、この等化誤差と等化器20の入力drfとの相関を求め、この相関をタップ係数α1〜α5として等化器20にフィードバックする。これによって等化誤差と各タップとの相関ができるだけ小さくなるように自動動作がなされ、所望のパーシャネルレスポンス等化が実現できる。即ち、再生データ検出部14は、等化誤差の2乗平均値が最小となるLMS(Least Mean Square)構成となる。レプリカ生成器31は、PRのクラスを切り替えるために、パーシャルレスポンスの重みを変えられるように構成されてもよい。
【0058】
ところで、集光スポットよりも小さな記録マークを再生する場合、符号間干渉量が増加する。これはタップ間の独立性が小さくなることを意味し、自動等化時にタップ係数の収束性が悪くなることを意味する。本発明では、タップ間隔がチャネルクロック周期よりも長いため、タップ間の独立性が高くなり係数の収束が早まるという効果もある。同時に、タップ数も少なくても同等の性能が得られるという効果もある。
【0059】
図13に、最小ラン長d=1用の補間器51(または50)の構成例が示される。補間器51は、遅延器54−1〜5、乗算器55−1〜8、加算器56−1〜2を備える。補間器51は、1.5T毎のRFデータを3T毎に2並列(x1、x2)で読み込み、2個の補間フィルタで出力y2に対して1T遅れたサンプルデータy3と1T進んだy1とを生成する。第1の補間フィルタは、遅延器54−1〜4と乗算器55−1〜4と加算器56−1とを備え、出力y1を生成する。第2の補間フィルタは、遅延器54−1〜2、54−4〜5と乗算器55−5〜8と加算器56−2とを備え、出力y3を生成する。フィルタ次数を上げるほど急峻な減衰率をもつLPFを構成することが可能であるが回路規模の観点から4乃至6タップが適当である。
【0060】
次に、図14を参照して、本実施の形態に係る情報再生装置の動作を説明する。図14には、(N,M)=(2,3)で4Tマーク4Tスペース連続パタンを再生する場合の動作波形が示される。図14(a)に、チャネル周波数の2/3倍の周波数の同期クロックclk1(周期:1.5T)が示される。図14(b)に、RF信号をチャネル周波数の2/3倍同期クロック(1.5T)でサンプリングするAD変換器41の出力drfが示される。この信号drfを等化器20によって波形等化がなされた信号x1の波形が図14(c)に示される。その信号x1を1周期(1.5T)遅延させた信号x2の波形は、図14(d)に示される。この信号x1及びx2は、1/3同期クロックで動作する補間器50(51)により補間処理がなされ、図14(f)〜(h)に示されるように、3並列の1Tサンプル情報y3、y2、y1が生成される。この3情報列は3並列入力のビタビ検出器60(61)により3bit毎にデータが出力される。したがって、図14(i)に示されるように、3T周期で3bit情報が出力される。
【0061】
このように、チャネルクロックよりも低い周波数で回路系が動作するため、最小ラン長d=1のRLL符号を用いた場合でも再生性能を落とさず回路規模および消費電力を下げることが可能になる。また、高密度に適したPRクラスは、拘束長が長くなることにより隣接タップ間の相関が強くなる。したがって、タップ間隔が1Tより長い方がより収束が早くなるため、適応等化器の収束を高速化することができる。本発明は、最小ラン長d=1の記録符号で高密度記録された光ディスク装置に好適であり、CD/DVDの再生にも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】従来のハーフレート検出方法によるデジタルデータ再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】DVD及び次世代DVDの再生信号の周波数スペクトラムを示す図である。
【図3】ラン長d=1のRLL符号、PR(1,2,2,1)チャネルのアイパタン図である(1Tサンプル)。
【図4】ラン長d=1のRLL符号、PR(1,2,2,1)チャネルのアイパタン図である(1.5Tサンプル)。
【図5】エリアシングと補間器周波数特性を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る情報再生装置の構成を示すブロック図である。
【図7】ラン長d=1符号、PR(1,2,2,1)チャネルの1T毎の状態遷移図である。
【図8】ラン長d=1符号、PR(1,2,2,1)チャネルの3T毎の状態遷移図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る適応等化器を搭載した再生データ検出部の構成を示すブロック図である。
【図10】同(N,M)=(2,3)及び(N,M)=(1,2)の両方を再生可能とする再生データ検出部の構成を示すブロック図である。
【図11】同等化器の構成を示すブロック図である。
【図12】同係数コントローラの構成を示すブロック図である。
【図13】同補間器の構成を示すブロック図である。
【図14】同動作の説明するための波形図である。
【符号の説明】
【0063】
10 光ディスク媒体
11 ピックアップ
12 アクチュエータサーボ機構
13 プリアンプ
14 再生データ検出部
16 フォーマッター
17 ECC復調器
19 システムコントローラ
20 等化器
24−1〜4 遅延器
25−1〜5 乗算器
26 加算器
30 係数コントローラ
31 レプリカ生成器
32、33、34−1〜4 遅延器
35−1〜35−5 乗算器
36 減算器
37−1〜5 積分器
41 AD変換器
44 遅延器
47、48 PLL部
50、51、52 補間器
54−1〜5 遅延器
55−1〜8 乗算器
56−1〜2 加算器
60、61、62 ビタビ検出器(最尤検出器)
81、82、83 セレクタ
100 光記録媒体
101 ピックアップ
102 プリアンプ
103 波形等化器
104 AD変換器
105 ハーフレート処理用オフセット制御部
106 ハーフレート処理用適応等化部
107 ハーフレート処理用最尤復号部
108 ハーフレート処理用位相誤差情報検出部
109 ループフィルタ
110 クロック生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク等の情報再生装置およびその情報再生方法に関し、特に高記録密度で記録された情報を最尤検出する情報再生装置およびその情報再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のマルチメディア化の進展により、映像情報を含む大量の情報を処理する必要がある。さらに、これらの情報を記録するストレージ装置の大容量化が必要であり、特に高画質の映像情報のストレージ分野では現状のDVD(Digital Versatile Disc)以上の容量が望まれている。しかし、光ディスク装置あるいはハードディスク装置の記憶容量を増加させるためには記録密度を上げる必要があり、これに伴い、エラーレートの低減、信頼性の確保が重要課題となっている。このような課題に対して、光ディスクでは大別して媒体組成アプローチ、光学的アプローチ、信号処理的アプローチの3種類の方向で検討がなされてきた。以下では主に信号処理的アプローチに関して説明する。
【0003】
光ディスクは、光学素子により集光されたレーザビームをディスク媒体上に照射し、反射光の明暗あるいは偏光により情報を検出する。集光されたビームスポットは有限であり、径が小さいほど高密度の記録再生が可能である。そのため、このビームスポットを小さくする光学的なアプローチが進められてきている。スポット径は、対物レンズの開口数NA(Natural Aperture)に逆比例し、レーザビーム波長λに比例する。従って、開口数NAを大きくし、波長λを小さくすることによりスポット径を小さくすることが可能である。しかし、開口数NAを大きくすると焦点深度が浅くなり、ディスク面とレンズとの距離を狭める必要があるため限界がある。また、短波長レーザは、高出力発振の安定性、長寿命化等が課題であるが、CD(Compact Disc)では赤外レーザ(λ=780nm)、DVDでは赤色レーザ(λ=650nm)、次世代DVDでは青色レーザ(λ=405nm)と、短波長化は徐々に進んでいる。
【0004】
ところで、光ヘッド・ディスク媒体間の伝送路周波数特性は、有限なビームスポットのため、高域のゲインが低下するLPF(Low−Pass Filter)の形となる。従って、矩形波を記録しても波形が鈍ってしまう。記録密度を高くすると、特定の時刻で読み出すべき波形が他の時刻の波形と干渉する。これを符号間干渉と呼ぶ。この符号間干渉のため、ある長さ以下の短い記録マークの再生が困難となる。逆に、記録マークが長い場合には、同期クロック抽出用の位相情報出力頻度の低下が同期外れの原因となるため、ある長さ以下に制限する必要がある。
【0005】
以上の理由により、信号処理的なアプローチとして、光ディスクへの記録データは記録符号化されている。特に、符号の反転距離を制限したRLL符号(Run Length Limited Code)が用いられることが多く、ETM(Eight to Twelve Modulation)、EFM(Eight to Fourteen Modulation)、(1,7)RLL、8/16符号などが使われている。このうち、CDで用いられるEFM変調符号及びDVDで採用された8/16変調符号の最小ラン長は、2(d=2)であり、(1,7)RLL、ETM変調符号の最小ラン長は1である。ETMは、非特許文献1にその記述があるように、(1,10)RLL符号である。ETMの符号化率は、(1,7)RLLと同様に2/3であるが、最短マークの連続数の制限とDC成分圧縮性能に特徴がある。
【0006】
また、波形等化と呼ばれる技術がある。これは符号間干渉を取り除くような逆フィルタを挿入することにより誤り率を低下させるものである。この波形等化は、再生信号の高帯域成分を強調するため、符号間干渉を抑えられるが、ノイズの高域成分も強調することになる。したがって、波形等化は、再生信号のSNR(Signal to Nose Ratio)を劣化させる場合がある。特に、記録密度を上げた時には、この波形等化によるSNRの劣化が検出データの誤りの主要因となる。PR(Partial Response)等化は、既知の符号間干渉を故意に起こすような波形等化の1方式である。PR等化は、通常、高域成分を強調することがないため、SNRの悪化を抑えることができる。
【0007】
一方、検出方式として有効なものとして最尤検出方式がある。この方式は、ある状態遷移をすることが分かっているデータ列に対して、考えられる全ての時系列パタンの中から誤差の二乗平均が最小になるものを選択することにより、検出性能を上げる方式である。ただし、実際の回路上で上述の処理を行うことは、回路規模および動作速度の点で困難であるため、通常は、ビタビアルゴリズムと呼ばれるアルゴリズムを用いてパスの選択を漸化的に行うことにより実現している。この検出方式は、ビタビ検出と呼ばれる。
【0008】
前述のPR等化にビタビ検出を組み合わせた検出方式は、PRML(Partial Response Maximum Likelihood)方式と呼ばれ、一種の誤り訂正を行いながらデータを検出できる。PR等化により再生信号は時間方向に相関を持たされている。このため、再生信号をサンプリングしたデータ系列には特定の状態遷移しか現れなくなる。限られた状態遷移と、ノイズを含む実際の再生信号のデータ系列とを比較し、最も確からしい状態遷移を選ぶことにより、検出データの誤りを低減できる。ETM符号とPR(1,2,2,2,1)チャネルとを用いたPRML検出方式は、非特許文献2にその記述があり、高密度記録再生時に広い検出マージンを得ることが可能である。
【0009】
ビタビ検出により検出性能を上げるためには、再生チャネルの周波数特性を特定のPR等化特性に一致させる必要がある。その場合、再生チャネルになるべく近いPR等化特性が選ばれるが、一般には波形等化器によって周波数特性が補正され、できるだけ所定のPR特性に等しくなるようになされている。
【0010】
信号の経時劣化を適応的に補正して検出性能を高める技術として、自動等化あるいは適応等化方式がある。逐次型の適応等化アルゴリズムは、非特許文献3に記載されているが、特に、Zero Forcing法、Mean Square法などが一般的である。適応等化技術は、装置の初期調整が不要となる等その効果は大きい。
【0011】
さて、PRMLでは振幅情報を使うため、チャネルクロックで動作する8ビット幅程度のAD変換器が必要である。また、PRチャネルに等化するための等化器がFIRフィルタで構成される場合、乗算器と加算器とを備える10次程度のFIRフィルタが必要である。さらに、FIRフィルタのタップ係数分の相関器を備えるタップ係数コントローラが必要である。
【0012】
しかし、再生回路系の動作速度は、近年、高倍速再生の要求に呼応して高速化している。AD変換器を高速動作させるためには、その回路規模が大きくなり、同時に消費電力も上昇する。また、FIRフィルタを高速動作させるためには、乗算器回路規模が大きくなり、同時に消費電力も上昇する。さらに、タップ係数コントローラを高速動作させるためには、相関器中の乗算器および積分器の回路規模が大きくなり、同時に消費電力も上昇する。
【0013】
したがって、高倍速再生により回路規模および消費電力が増加し、場合によってはビタビ検出器が動作できない場合も考えられる。これは、バッテリー駆動で使用するノート型パーソナルコンピュータ等に搭載する場合に大きなデメリットとなってしまう。
【0014】
上記の問題を解決するための一手法が特許文献1に開示されている。図1にそのデジタルデータ再生装置の構成図が示される。この方式のデジタルデータ再生装置は、ピックアップ101、プリアンプ102、波形等化器103、AD変換器(Analog−to−Digital Converter)104、ハーフレート処理用オフセット制御部105、ハーフレート処理用位相誤差情報検出部108、ループフィルタ109、クロック生成部110、ハーフレート処理用適応等化部106、ハーフレート処理用最尤復号部107を備える。
【0015】
光記録媒体100には、同じ符号が少なくとも3つ以上連続する制約(d≧2)を有する記録符号により、記録情報がデジタル記録されている。このデジタルデータ再生装置は、まず、光記録媒体100からチャネルビット周波数の半分の周波数をサンプリングクロックとするAD変換器104により標本化して再生信号を得る。ハーフレート処理用オフセット制御部105は、欠落した時間の再生信号を補間しながらオフセット補正制御を行う。ハーフレート処理用位相誤差情報検出部108は、ハーフレート処理用オフセット制御部105により得られた再生信号に対して、欠落した時間の位相誤差情報を補間しながら位相同期制御を行う。同時にハーフレート処理用適応等化部106は、ハーフレート処理用オフセット制御部105により得られた再生信号に対して、パーシャルレスポンス適応等化を行う。そしてハーフレート処理用最尤復号部107は、ハーフレート処理用適応等化部106により得られたパーシャルレスポンス適応等化信号を用いてパーシャルレスポンスの型に応じて復号を行う。
【0016】
これにより、従来の半分の周波数で回路系を動作させることが可能となり、再生性能を落とすことなく消費電力を大幅に下げることが可能となる。しかし、この手法は、記録符号の最小ラン長が2であるCDやDVDにのみ利用できるものである。最小ラン長が1である符号を用いている場合には再生信号の周波数帯域がより高域まで伸びているため、ハーフレートでサンプリングすると必要な帯域が確保できなくなり、エリアシングの影響で再生性能低下を招いてしまう。青色レーザを用いたDVDの次世代光ディスクは、最小ラン長が1である符号を用いている。また、PRML検出を前提としている規格も存在しており、チャネルレートは非常に高い。
【0017】
また、特許文献2には、読み取りヘッドによって記録媒体から読み出されたアナログ再生信号からデジタル記録データの判定を行うデジタル再生信号処理装置が開示されている。このデジタル再生信号処理装置は、AD変換器と、等化回路と、補間器と、判定器とを備える。AD変換器は、少なくとも上記アナログ再生信号をデジタル記録チャネルレートより長い周期でサンプリングし、上記デジタル記録チャネルレートより長い周期の低レートデジタル再生信号に変換する。等化回路は、低レートデジタル再生信号を低レートのままデジタルフィルタリングを行い、デジタル等化信号を生成する。補間器は、デジタル等化信号からデジタル記録チャネルレートの再生データを補間する。判定器は、補間されたデータ列から記録されたデータを導出する。AD変換器でのサンプリングは、記録チャネルレートの半分の周波数であるハーフレートで行い、補間器は、ハーフレートのナイキスト周波数に帯域制限されたハーフレートナイキスト補間を行う。
【0018】
【特許文献1】特許第3688225号公報
【特許文献2】特開2001−101799号公報
【非特許文献1】Kinji Kayanuma, et al.,「Eight to Twelve Modulation Code for High Density Optical Disk」 International Symposium on Optical Memory 2003, Technical Digest pp.160-161, November 3, 2003
【非特許文献2】小川、本間他著 「HD DVD装置化技術の開発(記録技術)」情報メディア学会技術報告 ITE Technical Report Vol.28, No.43, PP.17-20 MMS2004-38, CE2004-39(Jul.2004)
【非特許文献3】斎藤収三他著 「現代情報通信の基礎」 オーム社 平成4年12月20日 pp.212−217
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、再生性能を落とすことなく高倍速再生が可能な情報再生装置および情報再生方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、再生性能を落とすことなく回路規模および消費電力を下げる情報再生装置および情報再生方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、適応等化器の収束を高速化する情報再生装置および情報再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0021】
本発明の観点では、情報再生装置は、デジタル変換部(41)と、等化器(20/30)と、補間器(50)と、最尤検出器(60)と、PLL部(47)とを具備する。光ディスク媒体(10)には、最小ラン長が1のラン長制限符号により情報が記録されている。デジタル変換部(47)は、その光ディスク媒体(10)から読み出す読み出し信号(RF)をデジタル信号(drf)に変換し、読み出し信号(drf)に含まれるチャネル周波数(fch)のN/M倍の周波数の第1クロック(clk1)に同期して出力する。このとき、Nを2以上の整数とし、MをN/M>0.5を満たす整数とする。等化器(20/30)は、第1クロック(clk1)に同期してデジタル信号(drf)を予め指定されたパーシャルレスポンス(PR)特性に等化する。補間器(50)は、等化器(20/30)から出力されるN個の入力データ(x)に基づいてM個の出力データ(y)に変換し、チャネル周波数(fch)の1/M倍の周波数の第2クロック(clk2)に同期して出力データ(y)を出力する。最尤検出器(60)は、補間器(50)から出力される出力データ(y)に基づいてMビットの検出情報(MB)に変換し、第2クロック(clk2)に同期して検出情報(MB)を出力する。PLL部(47)は、読み出し信号(RF)に基づいて第1クロック(clk1)と第2クロック(clk2)とを生成する。
【0022】
本発明の補間器(50)は、入力データをN個並列に入力し(x1〜xN)、出力データをM個並列に出力する(y1〜yM)。また、最尤検出器(60)は、検出情報をMビット並列に出力する。
【0023】
本発明の等化器(20/30)は、FIRフィルタ(20)と、係数コントローラ(30)とを備える。FIRフィルタ(20)は、タップ係数を設定変更することが可能なフィルタであり、第1クロック(clk1)に同期して動作する。係数コントローラ(30)は、検出情報(MB)と、FIRフィルタの出力とに基づいて生成される等化誤差が最小になるようにタップ係数を設定する。係数コントローラ(30)は、そのタップ係数を第2クロック(clk2)に同期して設定する。上記のNは2、Mは3であることが好ましい。
【0024】
本発明の他の観点では、情報再生装置は、デジタル変換部(41)と、PLL部(48)と、等化器(20/30)と、補間器(51)と、最尤検出器(61)と、情報検出器(62)とを具備する。ここで、N1を2以上の整数とし、M1をN1/M1>0.5を満たす整数とし、N2を1以上の整数とし、M2をN2<M2かつN2×M1<M2×Nを満たす整数とする。デジタル変換部(41)は、ラン長制限符号により記録された光ディスク媒体(10)から読み出す読み出し信号(RF)をデジタル信号(drf)に変換し、サンプリングクロック(clk1)に同期してデジタル信号(drf)を出力する。PLL部(48)は、デジタル信号(drf)に基づいて、第1クロック(clk11)と、第2クロック(clk21)と、第3クロック(clk12)と、第4クロック(clk22)とを生成する。第1クロック(clk11)の周波数は、読み出し信号のチャネル周波数のN1/M1倍とする。第2クロック(clk21)の周波数は、チャネル周波数の1/M1倍とする。第3クロックの周波数(clk12)は、チャネル周波数のN2/M2倍とする。第4クロック(clk22)の周波数は、チャネル周波数の1/M2倍とする。サンプリングクロック(clk1)は、最小ラン長が1のラン長制限符号で記録されている光ディスク媒体(10)から読み出し信号を読み出すとき、第1クロック(clk11)であり、最小ラン長が2のラン長制限符号で記録されている光ディスク媒体(10)から読み出し信号を読み出すとき、第3クロック(clk12)である。等化器(20/30)は、デジタル信号(drf)を予め指定されたパーシャルレスポンス特性に等化された等化信号(x)をサンプリングクロック(clk1)に同期して出力する。補間器(51)は、等化信号(x)をN1相並列に入力し、チャネル周波数(fch)の周期毎の補間信号(y)に補間してM1相並列に出力する。補間信号(y)は、第2クロック(clk21)に同期して出力される。最尤検出器(61)は、補間信号に基づいて、最も確からしい状態遷移を選択して第1データ列(M1)を検出し、第1データ列(M1)を第2クロック(clk21)の周期毎に検出情報(MB)としてM1ビット並列に出力する。情報検出器(62)は、等化信号をN2相並列に入力して第2データ列(M2)を検出し、第2データ列(M2)を第4クロック(clk22)の周期毎に検出情報(MB)としてM2ビット並列に出力する。
【0025】
本発明の等化器(20/30)は、サンプリングクロック(clk1)に基づいて動作し、補間器(51)と最尤検出器(61)とは、第2クロック(clk21)に同期して動作し、情報検出器(62)は、第4クロック(clk22)に同期して動作することが好ましい。
【0026】
また、本発明の情報再生装置は、第1データ列(M1)または第2データ列(M2)を選択して検出情報(MB)として出力するセレクタ(83)をさらに具備する。等化器(20/30)は、タップ係数を変更設定可能なFIRフィルタ(20)と、検出情報(MB)とFIRフィルタ(20)の出力とに基づいて生成される等化誤差が最小になるようにタップ係数を設定する係数コントローラ(30)とを備える。光ディスク媒体(10)に記録したときのラン長制限符号の最小ラン長が1のとき、セレクタ(83)は検出情報(MB)として第1データ列(M1)を選択して出力し、FIRフィルタ(20)は第1クロック(clk11)に同期して動作し、係数コントローラ(30)は第2クロック(clk21)に同期して動作する。最小ラン長が2のとき、セレクタ(83)は検出情報(MB)として第2データ列(M2)を選択して出力し、FIRフィルタ(20)は第3クロック(clk12)に同期して動作し、係数コントローラ(30)は第4クロック(clk22)に同期して動作する。上記のN1は2、M1は3、N2は1、M2は2であることが好ましい。
【0027】
また、本発明の他の観点では、情報再生装置は、デジタル変換部(41/20/30)と、補間部(50)と、最尤検出部(60)とを具備する。ここで、Nを2以上の整数とし、MをN/M>0.5を満たす整数とする。光ディスク媒体(10)は、最小ラン長1のラン長制限符号により情報が記録されている。デジタル変換部(41/20/30)は、光ディスク媒体(10)から再生され、限られた状態遷移をするデータ列を含む読み出し信号(RF)をデジタル信号(drf)に変換し、入力データ列(x)を生成する。補間部(50)は、入力データ列(x)のうちのN個の入力データ(x1〜xN)に基づいて補間し、M個の補間データ(y1〜yM)を出力する。最尤検出部(60)は、補間データ(y1〜yM)に基づいて、最も確からしい状態遷移を選択してデータ列(MB)を検出する。
【0028】
本発明の情報再生装置は、さらに、PLL部(47)を具備する。PLL部(47)は、読み出し信号(RF)に含まれるチャネル周波数(fch)のN/M倍の周波数の第1クロック(clk1)と、1/M倍の周波数の第2クロック(clk2)とを生成する。デジタル変換部(41/20/30)は、第1クロック(clk1)に同期して入力データ(x)を補間部(50)に出力する。補間部(50)は、第2クロック(clk2)に同期して最尤検出部(60)に補間データ(y)を出力する。最尤検出部(60)は、第2クロックに同期して、検出されたデータ列(MB)を出力する。
【0029】
本発明のデジタル変換部(41/20/30)は、AD変換部(41)と、等化器(20)とを備える。AD変換部(41)は、読み出し信号(RF)をデジタル信号(drf)に変換する。等化器(20)は、デジタル信号(drf)を予め指定されたパーシャルレスポンス(PR)特性に等化する。
【0030】
さらに、本発明の等化器(20)は、タップ係数が設定可能であるFIRフィルタ(20)を含み、デジタル変換部(41/20/30)は、係数コントローラ(30)をさらに備える。係数コントローラ(30)は、FIRフィルタ(20)のタップ係数を設定する。このFIRフィルタ(20)は、第1クロック(clk1)に同期して動作し、係数コントローラ(30)は、第2クロック(clk2)に同期して動作することが好ましい。また、上記のN=2かつM=3であることが好ましい。
【0031】
さらに、本発明の他の観点では、情報再生方法は、デジタル変換ステップと、等化ステップと、補間ステップと、最尤検出ステップと、クロック生成ステップとを具備する。ここで、Nを2以上の整数とし、MをN/M>0.5を満たす整数とする。デジタル変換ステップは、最小ラン長が1のラン長制限符号により記録された光ディスク媒体から読み出す読み出し信号をデジタル信号に変換し、読み出し信号のチャネル周波数のN/M倍の周波数の第1クロック(clk1)に同期して出力するステップを含む。等化ステップは、第1クロック(clk1)に同期してデジタル信号(drf)を予め指定されたパーシャルレスポンス(PR)特性に等化するステップを含む。補間ステップは、等化ステップにおいて算出されるN個の入力データ(x)に基づいてM個の出力データ(y)に変換し、チャネル周波数の1/M倍の周波数の第2クロック(clk2)に同期して出力データ(y)を出力するステップを含む。最尤検出ステップは、補間ステップにおいて出力される出力データ(y)に基づいてMビットの検出情報(MB)に変換し、第2クロック(clk2)に同期して検出情報(MB)を出力するステップを含む。クロック生成ステップは、読み出し信号に基づいて第1クロック(clk1)と第2クロック(clk2)とを生成するステップを含む。
【0032】
本発明の情報再生方法において、等化ステップは、タップ係数が可変であり、第1クロック(clk1)に同期して動作するFIRフィルタステップと、タップ係数を第2クロックに同期して設定する係数設定ステップとを備える。係数設定ステップは、FIRフィルタステップにより算出されるフィルタ出力と、検出情報とに基づいて等化誤差を算出する等化誤差算出ステップと、その等化誤差が最小になるようにタップ係数を設定するタップ係数設定ステップとを含む。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、記録符号の最小ラン長が1であっても、再生性能を落とすことなく高倍速再生が可能な情報再生装置および情報再生方法を供給することができる。また、本発明によれば、再生性能を落とすことなく回路規模および消費電力を下げる情報再生装置および情報再生方法を提供することができる。さらに、本発明によれば、適応等化器の収束を高速化する情報再生装置および情報再生方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照して、発明を実施するための最良の形態を説明する。まず、本発明の原理を簡単に説明する。サンプリング定理によると、信号をサンプリング周波数fsでサンプリングすると、DCからナイキスト周波数fn(サンプリング周波数fsの半分、fn=fs/2)までの帯域が復元できる。しかし、ナイキスト周波数よりも高い周波数領域は、折り返し雑音(エリアシング:aliasing)として、サンプリング後の情報に重畳されてしまうため、再生性能が低下する。
【0035】
図2は、最小ラン長d=2のRLL符号を用いたDVDの再生信号と、最小ラン長d=1のRLL符号を用いた次世代DVDの再生信号の周波数特性を示す図である。DVDの再生信号は、チャネル周波数fchの1/4以上の帯域においてゲインが0に近いため、チャネル周波数fchの1/2でサンプリングしても信号劣化はほとんどない。しかし、次世代DVDの再生信号ではd=1のRLL符号を用いていることもあり、fch/4近傍では無視できるほどゲインが落ち切っていない。従って、fch/2でサンプリングした場合、本来必要な帯域が再現できないばかりか、エリアシングの影響を受けて信号が劣化し、再生性能が低下してしまうことは明らかである。しかし、サンプリング周波数を少し上げてfch・2/3(ナイキスト周波数をfch/3)にすると性能劣化が無視できることがわかる。
【0036】
ところで、最小ラン長d=1のRLL符号を用いて記録した情報を再生する場合、PR(1,2,2,1)等化を行うと、信号は、図3に示されるように、1T単位(Tはチャネルクロック周期)で7本の基準レベルを中心に分布する。しかし、fch・2/3すなわち1.5T単位でサンプリングすると、図4に示されるように、信号は15本程度の基準レベルに分布し、かつ状態遷移規則は非常に複雑になる。これは、最尤検出器の回路規模が増大することを意味し、本来の目的に相反することとなる。
【0037】
そこで、等化器までの処理は1.5T単位で動作させ、補間器によって1.5T単位の等化器出力から1T単位の情報を生成し直して最尤検出が行われる。1.5Tサンプル情報のスペクトラムは、図5(a)に示されるように、ナイキスト周波数fch/3を中心に対称な特性となる。1Tサンプルのスペクトラムは、本来図5(c)に示されるようにfch/2を中心として対称となるので、図5(a)に示されるスペクトラム上でfch/3以上の周波数帯域のゲインを落とす必要がある。従って、補間器内ではエリアシングの影響を抑えるため、図5(b)に示されるように、fch/3以上の周波数帯域を除去するLPF(Low−Pass Filter)を設けるとよい。このように、性能劣化させることなく、AD変換器及び等化器をチャネル周波数よりも低い速度で動作させることが可能となる。
【0038】
本発明の実施の形態に係る情報再生装置は、図6に示されるように、ピックアップ11、アクチュエータサーボ機構12、プリアンプ(RF AMP)13、再生データ検出部14、フォーマッター(FMT)16、ECC復調器(ECC)17、システムコントローラ(CTRL)19を備える。
【0039】
光ディスク媒体10には、最小ラン長d=1のRLL符号で変調された情報が記録されている。情報再生装置は、この光ディスク媒体10からピックアップ11により情報をアナログ信号として読み出す。変調符号は、最小ラン長d=2のEFMや8/16変調でもよい。ピックアップ11が光ディスク媒体10の記録面に照射する集光ビームは、アクチュエータサーボ機構12によりフォーカス方向およびトラッキング方向に正確に位置決めされる。ピックアップ11が読み出した読み出し信号は、プリアンプ13により増幅され、図示されていないアナログフィルタによって高域ブースト等化および帯域制限処理がなされて再生データ検出部14に供給される。
【0040】
再生データ検出部14は、AD変換器(A/D)41、等化器(EQ)20、遅延器(Z−1)44、補間器(IP)50、最尤検出器(ML)60、PLL部(PLL:Phase−Locked Loop)47を備える。
【0041】
帯域制限された読出し信号は、AD変換器41によってデジタル化される。AD変換器41のサンプリングクロックは、PLL部47によって生成される。AD変換器41の出力は、等化器20に入力される。等化器20は、ビタビ検出器60の入力直前において、例えばPR(1,2,2,1)チャネルになるように等化処理する。等化器20の出力は、補間器50に入力される。
【0042】
補間器50は、N相データ列から補間によりM相データ列を生成する。補間器50が出力するM相データ列は、最尤検出器であるビタビ検出器60に入力される。図6では、M=3すなわち3相データ列が生成され、出力されている。ビタビ検出器60は、周波数fch/Mのクロックに同期して、Mビットの検出データMBを出力する。
【0043】
ビタビ検出器60から出力されるビタビ検出データは、フォーマッター16によりフレームsyncパタンの除去やRLL復調などが行われる。復調されたデータは、ECC復調器17による誤り訂正処理後、システムコントローラ19を介してユーザ情報として利用される。
【0044】
再生データ検出部14の動作クロックについて説明する。PLL部47は、AD変換器41の出力drfに基づいてクロックclk1及びclk2を生成する。クロックclk1は、AD変換器41、等化器20、遅延器44に供給され、クロックclk2は、補間器50、最尤検出器であるビタビ検出器60に供給される。PLL部47は、デジタル回路で構成されてもよい。
【0045】
また、入力信号のデジタル化を含めて完全デジタルPLL構成としてもよい。例えば、上記AD変換器41の代わりに、システムクロックで動作し、AD変換器と補間器とを備えるデジタル化部によりデジタル化を行う。その場合、AD変換器は、fch・N/Mよりも高い固定周波数のシステムクロックでサンプリングし、その後補間器は、N/M倍同期クロックでサンプリングした如く位相を補正する。このデジタル化部は、電圧制御発振器(Voltage Controlled Oscillator:VCO)を含めてもよい。この場合、PLL部47が生成する位相補正用の制御信号を受けて電圧制御発振器を制御することになる。
【0046】
AD変換器41のサンプリングクロックclk1は、チャネル周波数fchのN/M倍(Nは2以上の整数、MはN/M>0.5を満たす整数)の周波数の同期クロックとし、クロックclk2の周波数は、チャネル周波数fchの1/M倍の周波数とする。最小ラン長d=1のRLL符号では前述したとおり、N/M=0.5以下にすると性能劣化が無視できなくなるため、N/M>0.5とする。再生信号の帯域の上限をfmaxとした場合、N、Mは、fmax<fch・N/(2・M)を満たす最小値となるように決定される。ただし、Mが大きくなると後述する補間器50および検出器60の回路規模が増加するため、Mは4以下が適当である。したがって、(N,M)=(2,3)が適する。最小ラン長d=2のRLL符号では、前述のように、N/M=0.5であっても信号劣化は殆んどなく、(N,M)=(1,2)が適する。
【0047】
等化器20は、AD変換器41のサンプリング周波数と同じfch・N/Mで動作する。等化器20の出力は、遅延器44により、xi、xi・Z−1、…、xi・Z−N+1のN相に変換されて、あるいは直接、補間器50に入力される。図6では、N=2すなわち2相の場合が示され、遅延器44は1段挿入されている。
【0048】
補間器50は、周波数fch/Mのクロックに同期してN相データ列から補間によりM相データ列を生成する。補間器50が出力するM相データ列は、最尤検出器であるビタビ検出器60に入力される。図6では、M=3すなわち3相データ列が生成され、出力されている。
【0049】
ビタビ検出器60は、周波数fch/Mのクロックに同期して、Mビットの検出データMBを出力する。最尤検出器には、ビタビ検出以外の最尤検出器を用いても良い。また、周波数fchのクロックを生成しておき、補間器50の出力を周波数fchのクロックで取り出し、ビタビ検出器60をも周波数fchのクロックで動作させても良い。ただし、この場合、ビタビ検出器60は、パスメトリック値の加算、比較、選択を周波数fchのクロックの1サイクルで動作させる必要があり、高速化が難しいという欠点がある。ビタビ検出器60がM相入力を周波数fch/Mに同期して最尤検出動作し、Mビットの情報を出力するため、スループットはfch(ビット/秒)となる。
【0050】
最小ラン長d=1、PR(1,2,2,1)チャネルの1T毎の状態遷移は、図7に示されるように、7値6状態となる。各状態には、最大で2本の遷移パスがあるが、ビタビ検出器60は、1T毎に確からしい入力パスを1本選択する。過去に遡ると、時系列につなげたパスがマージされるため、そのパスに対応した検出情報が出力される。M=3の場合は、図8に示されるように、3T毎の状態遷移を考える必要がある。この遷移図では、1つの状態に入力する遷移パスは最大で5本あるが、この5本の中から確からしい入力パスを3T毎に1本選択する。あとは同様にパスマージされたパスに対応して検出情報が3ビット単位で出力される。
【0051】
図9に、再生データ検出部14の他の構成が示される。この再生データ検出部14は、図6に示される構成に等化器20用の係数コントローラ30が付加されている。係数コントローラ30は、ビタビ検出器60の出力である検出データMBと、等化器20の出力xiとに基づいて等化誤差情報を生成し、等化器20の入力drfとの相関によりタップ係数を修正する。係数コントローラ30の動作クロックは、周波数fch/Mに同期するタイミングとする。これは、周波数fch・N/Mに同期するクロックと、サンプリングした情報のうちの周波数fchに同期するクロックとの位相が合うのはNサイクルに1回であるからである。ただし、タップ係数が予め学習した初期値で十分な再生性能が得られる場合には、必ずしも係数コントローラ30は必要なく、図6に示されるような構成となる。さらに、アナログフィルタだけで十分な特性が得られる場合には、等化器20も不要であり、AD変換器41から出力される信号drfは、補間器50に直結されてもよい。
【0052】
図10に、再生データ検出部14の他の構成が示される。この再生データ検出部14により、CD/DVDメディアと次世代DVDメディアの両方を1台の情報再生装置で再生することが可能になる。再生データ検出部14は、AD変換器41、等化器20、係数コントローラ30、PLL部48を共通に備え、最小ラン長d=1のRLL符号用に補間器51とビタビ検出器61を、最小ラン長d=2のRLL符号用に補間器52とビタビ検出器62を備える。2系統のビタビ検出器出力はセレクタ83で選択出力される。d=1系とd=2系は排他的な動作となるため、システムコントローラが生成するメディア選択信号mselによって、クロックをゲーティングすることにより消費電力を下げる構成としてもよい。
【0053】
PLL部48は、4種類の同期クロック(clk11、clk12、clk21、clk22)を出力する。クロックclk11の周波数はfch・N1/M1、クロックclk21の周波数はfch/M1とし、最小ラン長d=1のRLL符号用のクロックである。クロックclk12の周波数はfch・N2/M2、クロックclk22の周波数はfch/M2とし、最小ラン長d=2のRLL符号用のクロックである。最小ラン長d=2のRLL符号用の再生信号の方が、チャネル周波数fchに対して低い周波数特性になるため、N2/M2は、N1/M1よりも小さくする。特に(N1,M1)=(2,3)、(N2,M2)=(1,2)が適当である。クロックclk11及びclk21のセットと、クロックclk12及びclk22のセットとは、排他的に出力できればよい。
【0054】
AD変換器41と等化器20とは、セレクタ81によって選択出力されたクロックで動作する。セレクタ81は、最小ラン長d=1の場合にクロックclk11、最小ラン長d=2の場合にクロックclk12を選択して出力する。係数コントローラ3は、セレクタ82によって選択されたクロックで動作する。セレクタ82は、最小ラン長d=1の場合にクロックclk21、最小ラン長d=2の場合にクロックclk22を選択して出力する。
【0055】
最小ラン長d=1の場合、補間器51とビタビ検出器61とが動作し、セレクタ83はビタビ検出器61の検出情報を有効にする。最小ラン長d=2の場合、補間器52とビタビ検出器62とが動作し、セレクタ83はビタビ検出器62の検出情報を有効にする。また、補間器52を使わずに、等化器20の出力を直接ビタビ検出器62に入力してもよい。この場合、2Tサイクルの状態遷移から情報を検出するビタビ検出構成とする。また、ビタビ検出器61とビタビ検出器62とをまとめて回路規模を削減することも可能である。また、最小ラン長dの制限の差だけではなく、CDやDVDのメディアの種別によってN、Mを切り替えてもよい。
【0056】
図11に、等化器20の構成が示される。ここでは、等化器20は、遅延器24−1〜4、乗算器25−1〜5、加算器26を備え、一般的な5タップのFIRフィルタとして示される。タップ数は、より多くてもよい。通常のフィルタとの差異は、遅延器24−1〜4の遅延量がチャネル周期Tではなく、より長いT・M/N周期となっていることにある。α1〜α5の5つのタップ係数でインパルス応答をコンボリューション演算したものが出力される。各タップ係数は、係数コントローラ30により生成される。
【0057】
図12には係数コントローラ30の構成例が示される。係数コントローラ30は、レプリカ生成器31、遅延器32、遅延器33、遅延器34−1〜4、乗算器35−0〜5、減算器36、積分器37−1〜5を備える。レプリカ生成器33は、ビタビ検出結果のNRZI信号である信号MBにパーシャルレスポンスの重みを畳み込んでレプリカを生成する。そのレプリカと、遅延器32により位相を合わせた等化器20の出力xとの差、即ち等化誤差が減算器36により求められる。係数コントローラ30は、乗算器35−0により収束ゲインを等化誤差に乗じ、この等化誤差と等化器20の入力drfとの相関を求め、この相関をタップ係数α1〜α5として等化器20にフィードバックする。これによって等化誤差と各タップとの相関ができるだけ小さくなるように自動動作がなされ、所望のパーシャネルレスポンス等化が実現できる。即ち、再生データ検出部14は、等化誤差の2乗平均値が最小となるLMS(Least Mean Square)構成となる。レプリカ生成器31は、PRのクラスを切り替えるために、パーシャルレスポンスの重みを変えられるように構成されてもよい。
【0058】
ところで、集光スポットよりも小さな記録マークを再生する場合、符号間干渉量が増加する。これはタップ間の独立性が小さくなることを意味し、自動等化時にタップ係数の収束性が悪くなることを意味する。本発明では、タップ間隔がチャネルクロック周期よりも長いため、タップ間の独立性が高くなり係数の収束が早まるという効果もある。同時に、タップ数も少なくても同等の性能が得られるという効果もある。
【0059】
図13に、最小ラン長d=1用の補間器51(または50)の構成例が示される。補間器51は、遅延器54−1〜5、乗算器55−1〜8、加算器56−1〜2を備える。補間器51は、1.5T毎のRFデータを3T毎に2並列(x1、x2)で読み込み、2個の補間フィルタで出力y2に対して1T遅れたサンプルデータy3と1T進んだy1とを生成する。第1の補間フィルタは、遅延器54−1〜4と乗算器55−1〜4と加算器56−1とを備え、出力y1を生成する。第2の補間フィルタは、遅延器54−1〜2、54−4〜5と乗算器55−5〜8と加算器56−2とを備え、出力y3を生成する。フィルタ次数を上げるほど急峻な減衰率をもつLPFを構成することが可能であるが回路規模の観点から4乃至6タップが適当である。
【0060】
次に、図14を参照して、本実施の形態に係る情報再生装置の動作を説明する。図14には、(N,M)=(2,3)で4Tマーク4Tスペース連続パタンを再生する場合の動作波形が示される。図14(a)に、チャネル周波数の2/3倍の周波数の同期クロックclk1(周期:1.5T)が示される。図14(b)に、RF信号をチャネル周波数の2/3倍同期クロック(1.5T)でサンプリングするAD変換器41の出力drfが示される。この信号drfを等化器20によって波形等化がなされた信号x1の波形が図14(c)に示される。その信号x1を1周期(1.5T)遅延させた信号x2の波形は、図14(d)に示される。この信号x1及びx2は、1/3同期クロックで動作する補間器50(51)により補間処理がなされ、図14(f)〜(h)に示されるように、3並列の1Tサンプル情報y3、y2、y1が生成される。この3情報列は3並列入力のビタビ検出器60(61)により3bit毎にデータが出力される。したがって、図14(i)に示されるように、3T周期で3bit情報が出力される。
【0061】
このように、チャネルクロックよりも低い周波数で回路系が動作するため、最小ラン長d=1のRLL符号を用いた場合でも再生性能を落とさず回路規模および消費電力を下げることが可能になる。また、高密度に適したPRクラスは、拘束長が長くなることにより隣接タップ間の相関が強くなる。したがって、タップ間隔が1Tより長い方がより収束が早くなるため、適応等化器の収束を高速化することができる。本発明は、最小ラン長d=1の記録符号で高密度記録された光ディスク装置に好適であり、CD/DVDの再生にも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】従来のハーフレート検出方法によるデジタルデータ再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】DVD及び次世代DVDの再生信号の周波数スペクトラムを示す図である。
【図3】ラン長d=1のRLL符号、PR(1,2,2,1)チャネルのアイパタン図である(1Tサンプル)。
【図4】ラン長d=1のRLL符号、PR(1,2,2,1)チャネルのアイパタン図である(1.5Tサンプル)。
【図5】エリアシングと補間器周波数特性を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る情報再生装置の構成を示すブロック図である。
【図7】ラン長d=1符号、PR(1,2,2,1)チャネルの1T毎の状態遷移図である。
【図8】ラン長d=1符号、PR(1,2,2,1)チャネルの3T毎の状態遷移図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る適応等化器を搭載した再生データ検出部の構成を示すブロック図である。
【図10】同(N,M)=(2,3)及び(N,M)=(1,2)の両方を再生可能とする再生データ検出部の構成を示すブロック図である。
【図11】同等化器の構成を示すブロック図である。
【図12】同係数コントローラの構成を示すブロック図である。
【図13】同補間器の構成を示すブロック図である。
【図14】同動作の説明するための波形図である。
【符号の説明】
【0063】
10 光ディスク媒体
11 ピックアップ
12 アクチュエータサーボ機構
13 プリアンプ
14 再生データ検出部
16 フォーマッター
17 ECC復調器
19 システムコントローラ
20 等化器
24−1〜4 遅延器
25−1〜5 乗算器
26 加算器
30 係数コントローラ
31 レプリカ生成器
32、33、34−1〜4 遅延器
35−1〜35−5 乗算器
36 減算器
37−1〜5 積分器
41 AD変換器
44 遅延器
47、48 PLL部
50、51、52 補間器
54−1〜5 遅延器
55−1〜8 乗算器
56−1〜2 加算器
60、61、62 ビタビ検出器(最尤検出器)
81、82、83 セレクタ
100 光記録媒体
101 ピックアップ
102 プリアンプ
103 波形等化器
104 AD変換器
105 ハーフレート処理用オフセット制御部
106 ハーフレート処理用適応等化部
107 ハーフレート処理用最尤復号部
108 ハーフレート処理用位相誤差情報検出部
109 ループフィルタ
110 クロック生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Nを2以上の整数とし、MをN/M>0.5を満たす整数とするとき、最小ラン長を1とするラン長制限符号により記録された光ディスク媒体から読み出す読み出し信号をデジタル信号に変換し、前記読み出し信号に含まれるチャネル周波数のN/M倍の周波数の第1クロックに同期して出力するデジタル変換部と、
前記第1クロックに同期して前記デジタル信号を予め指定されたパーシャルレスポンス(PR)特性に等化する等化器と、
前記等化器から出力されるN個の入力データに基づいてM個の出力データに変換し、前記チャネル周波数の1/M倍の周波数の第2クロックに同期して前記出力データを出力する補間器と、
前記補間器から出力される前記出力データに基づいてMビットの検出情報に変換し、前記第2クロックに同期して前記検出情報を出力する最尤検出器と、
前記読み出し信号に基づいて前記第1クロックと前記第2クロックとを生成するPLL部と
を具備する情報再生装置。
【請求項2】
前記補間器は、前記入力データをN個並列に入力し、前記出力データをM個並列に出力し、
前記最尤検出器は、前記検出情報をMビット並列に出力する
請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項3】
前記等化器は、
タップ係数が可変であって前記第1クロックに同期して動作するFIRフィルタと、
前記タップ係数を前記第2クロックに同期して設定する係数コントローラと
を備え、
係数コントローラは、前記検出情報と、前記FIRフィルタの出力とに基づいて生成される等化誤差が最小になるように前記タップ係数を設定する
請求項1または請求項2に記載の情報再生装置。
【請求項4】
N=2、M=3とする
請求項1から請求項3のいずれかに記載の情報再生装置。
【請求項5】
N1を2以上の整数とし、M1をN1/M1>0.5を満たす整数とし、
N2を1以上の整数とし、M2をN2<M2かつN2×M1<M2×Nを満たす整数とするとき、
ラン長制限符号により記録された光ディスク媒体から読み出す読み出し信号をデジタル信号に変換し、サンプリングクロックに同期して前記デジタル信号を出力するデジタル変換部と、
前記デジタル信号に基づいて、前記読み出し信号のチャネル周波数のN1/M1倍の周波数の第1クロックと、前記チャネル周波数の1/M1倍の周波数の第2クロックと、前記チャネル周波数のN2/M2倍の周波数の第3クロックと、前記チャネル周波数の1/M2倍の周波数の第4クロックとを生成するPLL部と、
前記デジタル信号を予め指定されたパーシャルレスポンス特性に等化された等化信号を前記サンプリングクロックに同期して出力する等化器と、
前記等化信号をN1相並列に入力し、前記チャネル周波数の周期毎の補間信号に補間してM1相並列に出力する補間器と、前記補間信号は前記第2クロックに同期して出力され、
前記補間信号に基づいて、最も確からしい状態遷移を選択して第1データ列を検出し、前記第1データ列を前記第2クロックの周期毎に検出情報としてM1ビット並列に出力する最尤検出器と、
前記等化信号をN2相並列に入力して第2データ列を検出し、前記第2データ列を前記第4クロックの周期毎に前記検出情報としてM2ビット並列に出力する情報検出器と
を具備し、
前記サンプリングクロックは、最小ラン長が1のラン長制限符号で記録されている前記光ディスク媒体から読み出し信号を読み出すとき、前記第1クロックであり、最小ラン長が2のラン長制限符号で記録されている前記光ディスク媒体から前記読み出し信号を読み出すとき、前記第3クロックである
情報再生装置。
【請求項6】
前記等化器は、前記サンプリングクロックに基づいて動作し、
前記補間器と前記最尤検出器とは、前記第2クロックに同期して動作し、
前記情報検出器は、前記第4クロックに同期して動作する
請求項5に記載の情報再生装置。
【請求項7】
前記第1データ列または前記第2データ列を選択して前記検出情報として出力するセレクタをさらに具備し、
前記等化器は、
タップ係数を変更設定可能なFIRフィルタと、
前記検出情報と前記FIRフィルタの出力とに基づいて生成される等化誤差が最小になるように前記タップ係数を設定する係数コントローラと
を備え、
前記最小ラン長が1のとき、前記セレクタは前記検出情報として前記第1データ列を選択して出力し、前記FIRフィルタは前記第1クロックに同期して動作し、前記係数コントローラは前記第2クロックに同期して動作し、
前記最小ラン長が2のとき、前記セレクタは前記検出情報として前記第2データ列を選択して出力し、前記FIRフィルタは前記第3クロックに同期して動作し、前記係数コントローラは前記第4クロックに同期して動作する
請求項5または請求項6に記載の情報再生装置。
【請求項8】
N1=2、M1=3、N2=1、M2=2とする
請求項5から請求項7のいずれかに記載の情報再生装置。
【請求項9】
Nを2以上の整数とし、MをN/M>0.5を満たす整数とするとき、
最小ラン長1のラン長制限符号により情報が記録された光ディスク媒体から再生され、限られた状態遷移をするデータ列を含む読み出し信号をデジタル信号に変換し、入力データ列を生成するデジタル変換部と、
前記入力データ列のうちのN個の入力データに基づいて補間し、M個の補間データを出力する補間部と、
前記補間データに基づいて、最も確からしい状態遷移を選択し、前記データ列を検出して出力する最尤検出部と
を具備する情報再生装置。
【請求項10】
前記読み出し信号に含まれるチャネル周波数のN/M倍の周波数の第1クロックと、前記チャネル周波数の1/M倍の周波数の第2クロックとを生成するPLL部をさらに具備し、
前記デジタル変換部は、前記第1クロックに同期して前記入力データを出力し、
前記補間部は、前記第2クロックに同期して前記補間データを出力し、
前記最尤検出部は、前記第2クロックに同期して前記データ列を出力する
請求項9に記載の情報再生装置。
【請求項11】
前記デジタル変換部は、
前記読み出し信号を前記デジタル信号に変換するAD変換部と、
前記デジタル信号を予め指定されたパーシャルレスポンス(PR)特性に等化する等化器と
を備える
請求項9または請求項10に記載の再生装置。
【請求項12】
前記等化器は、タップ係数が設定可能であるFIRフィルタを含み、
前記デジタル変換部は、前記FIRフィルタのタップ係数を設定する係数コントローラをさらに備える
請求項11に記載の情報再生装置。
【請求項13】
前記FIRフィルタは、前記第1クロックに同期して動作し、
前記係数コントローラは、前記第2クロックに同期して動作する
請求項12に記載の情報再生装置。
【請求項14】
N=2、M=3とする
請求項9から請求項13のいずれかに記載の情報再生装置。
【請求項15】
Nを2以上の整数とし、MをN/M>0.5を満たす整数とするとき、
最小ラン長が1のラン長制限符号により記録された光ディスク媒体から読み出す読み出し信号をデジタル信号に変換し、前記読み出し信号のチャネル周波数のN/M倍の周波数の第1クロックに同期して出力するデジタル変換ステップと、
前記第1クロックに同期して前記デジタル信号を予め指定されたパーシャルレスポンス(PR)特性に等化する等化ステップと、
前記等化ステップにおいて算出されるN個の入力データに基づいてM個の出力データに変換し、前記チャネル周波数の1/M倍の周波数の第2クロックに同期して前記出力データを出力する補間ステップと、
前記補間ステップにおいて出力される前記出力データに基づいてMビットの検出情報に変換し、前記第2クロックに同期して前記検出情報を出力する最尤検出ステップと、
前記読み出し信号に基づいて前記第1クロックと前記第2クロックとを生成するクロック生成ステップと
を具備する情報再生方法。
【請求項16】
前記等化ステップは、
タップ係数が可変であり、前記第1クロックに同期して動作するFIRフィルタステップと、
前記第2クロックに同期して前記タップ係数を設定する係数設定ステップと
を備え、
前記係数設定ステップは、前記FIRフィルタステップにより算出されるフィルタ出力と、前記検出情報とに基づいて等化誤差を算出する等化誤差算出ステップと、前記等化誤差が最小になるように前記タップ係数を設定するタップ係数設定ステップとを含む
請求項15に記載の情報再生方法。
【請求項17】
N=2、M=3とする
請求項15または請求項16に記載の情報再生方法。
【請求項1】
Nを2以上の整数とし、MをN/M>0.5を満たす整数とするとき、最小ラン長を1とするラン長制限符号により記録された光ディスク媒体から読み出す読み出し信号をデジタル信号に変換し、前記読み出し信号に含まれるチャネル周波数のN/M倍の周波数の第1クロックに同期して出力するデジタル変換部と、
前記第1クロックに同期して前記デジタル信号を予め指定されたパーシャルレスポンス(PR)特性に等化する等化器と、
前記等化器から出力されるN個の入力データに基づいてM個の出力データに変換し、前記チャネル周波数の1/M倍の周波数の第2クロックに同期して前記出力データを出力する補間器と、
前記補間器から出力される前記出力データに基づいてMビットの検出情報に変換し、前記第2クロックに同期して前記検出情報を出力する最尤検出器と、
前記読み出し信号に基づいて前記第1クロックと前記第2クロックとを生成するPLL部と
を具備する情報再生装置。
【請求項2】
前記補間器は、前記入力データをN個並列に入力し、前記出力データをM個並列に出力し、
前記最尤検出器は、前記検出情報をMビット並列に出力する
請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項3】
前記等化器は、
タップ係数が可変であって前記第1クロックに同期して動作するFIRフィルタと、
前記タップ係数を前記第2クロックに同期して設定する係数コントローラと
を備え、
係数コントローラは、前記検出情報と、前記FIRフィルタの出力とに基づいて生成される等化誤差が最小になるように前記タップ係数を設定する
請求項1または請求項2に記載の情報再生装置。
【請求項4】
N=2、M=3とする
請求項1から請求項3のいずれかに記載の情報再生装置。
【請求項5】
N1を2以上の整数とし、M1をN1/M1>0.5を満たす整数とし、
N2を1以上の整数とし、M2をN2<M2かつN2×M1<M2×Nを満たす整数とするとき、
ラン長制限符号により記録された光ディスク媒体から読み出す読み出し信号をデジタル信号に変換し、サンプリングクロックに同期して前記デジタル信号を出力するデジタル変換部と、
前記デジタル信号に基づいて、前記読み出し信号のチャネル周波数のN1/M1倍の周波数の第1クロックと、前記チャネル周波数の1/M1倍の周波数の第2クロックと、前記チャネル周波数のN2/M2倍の周波数の第3クロックと、前記チャネル周波数の1/M2倍の周波数の第4クロックとを生成するPLL部と、
前記デジタル信号を予め指定されたパーシャルレスポンス特性に等化された等化信号を前記サンプリングクロックに同期して出力する等化器と、
前記等化信号をN1相並列に入力し、前記チャネル周波数の周期毎の補間信号に補間してM1相並列に出力する補間器と、前記補間信号は前記第2クロックに同期して出力され、
前記補間信号に基づいて、最も確からしい状態遷移を選択して第1データ列を検出し、前記第1データ列を前記第2クロックの周期毎に検出情報としてM1ビット並列に出力する最尤検出器と、
前記等化信号をN2相並列に入力して第2データ列を検出し、前記第2データ列を前記第4クロックの周期毎に前記検出情報としてM2ビット並列に出力する情報検出器と
を具備し、
前記サンプリングクロックは、最小ラン長が1のラン長制限符号で記録されている前記光ディスク媒体から読み出し信号を読み出すとき、前記第1クロックであり、最小ラン長が2のラン長制限符号で記録されている前記光ディスク媒体から前記読み出し信号を読み出すとき、前記第3クロックである
情報再生装置。
【請求項6】
前記等化器は、前記サンプリングクロックに基づいて動作し、
前記補間器と前記最尤検出器とは、前記第2クロックに同期して動作し、
前記情報検出器は、前記第4クロックに同期して動作する
請求項5に記載の情報再生装置。
【請求項7】
前記第1データ列または前記第2データ列を選択して前記検出情報として出力するセレクタをさらに具備し、
前記等化器は、
タップ係数を変更設定可能なFIRフィルタと、
前記検出情報と前記FIRフィルタの出力とに基づいて生成される等化誤差が最小になるように前記タップ係数を設定する係数コントローラと
を備え、
前記最小ラン長が1のとき、前記セレクタは前記検出情報として前記第1データ列を選択して出力し、前記FIRフィルタは前記第1クロックに同期して動作し、前記係数コントローラは前記第2クロックに同期して動作し、
前記最小ラン長が2のとき、前記セレクタは前記検出情報として前記第2データ列を選択して出力し、前記FIRフィルタは前記第3クロックに同期して動作し、前記係数コントローラは前記第4クロックに同期して動作する
請求項5または請求項6に記載の情報再生装置。
【請求項8】
N1=2、M1=3、N2=1、M2=2とする
請求項5から請求項7のいずれかに記載の情報再生装置。
【請求項9】
Nを2以上の整数とし、MをN/M>0.5を満たす整数とするとき、
最小ラン長1のラン長制限符号により情報が記録された光ディスク媒体から再生され、限られた状態遷移をするデータ列を含む読み出し信号をデジタル信号に変換し、入力データ列を生成するデジタル変換部と、
前記入力データ列のうちのN個の入力データに基づいて補間し、M個の補間データを出力する補間部と、
前記補間データに基づいて、最も確からしい状態遷移を選択し、前記データ列を検出して出力する最尤検出部と
を具備する情報再生装置。
【請求項10】
前記読み出し信号に含まれるチャネル周波数のN/M倍の周波数の第1クロックと、前記チャネル周波数の1/M倍の周波数の第2クロックとを生成するPLL部をさらに具備し、
前記デジタル変換部は、前記第1クロックに同期して前記入力データを出力し、
前記補間部は、前記第2クロックに同期して前記補間データを出力し、
前記最尤検出部は、前記第2クロックに同期して前記データ列を出力する
請求項9に記載の情報再生装置。
【請求項11】
前記デジタル変換部は、
前記読み出し信号を前記デジタル信号に変換するAD変換部と、
前記デジタル信号を予め指定されたパーシャルレスポンス(PR)特性に等化する等化器と
を備える
請求項9または請求項10に記載の再生装置。
【請求項12】
前記等化器は、タップ係数が設定可能であるFIRフィルタを含み、
前記デジタル変換部は、前記FIRフィルタのタップ係数を設定する係数コントローラをさらに備える
請求項11に記載の情報再生装置。
【請求項13】
前記FIRフィルタは、前記第1クロックに同期して動作し、
前記係数コントローラは、前記第2クロックに同期して動作する
請求項12に記載の情報再生装置。
【請求項14】
N=2、M=3とする
請求項9から請求項13のいずれかに記載の情報再生装置。
【請求項15】
Nを2以上の整数とし、MをN/M>0.5を満たす整数とするとき、
最小ラン長が1のラン長制限符号により記録された光ディスク媒体から読み出す読み出し信号をデジタル信号に変換し、前記読み出し信号のチャネル周波数のN/M倍の周波数の第1クロックに同期して出力するデジタル変換ステップと、
前記第1クロックに同期して前記デジタル信号を予め指定されたパーシャルレスポンス(PR)特性に等化する等化ステップと、
前記等化ステップにおいて算出されるN個の入力データに基づいてM個の出力データに変換し、前記チャネル周波数の1/M倍の周波数の第2クロックに同期して前記出力データを出力する補間ステップと、
前記補間ステップにおいて出力される前記出力データに基づいてMビットの検出情報に変換し、前記第2クロックに同期して前記検出情報を出力する最尤検出ステップと、
前記読み出し信号に基づいて前記第1クロックと前記第2クロックとを生成するクロック生成ステップと
を具備する情報再生方法。
【請求項16】
前記等化ステップは、
タップ係数が可変であり、前記第1クロックに同期して動作するFIRフィルタステップと、
前記第2クロックに同期して前記タップ係数を設定する係数設定ステップと
を備え、
前記係数設定ステップは、前記FIRフィルタステップにより算出されるフィルタ出力と、前記検出情報とに基づいて等化誤差を算出する等化誤差算出ステップと、前記等化誤差が最小になるように前記タップ係数を設定するタップ係数設定ステップとを含む
請求項15に記載の情報再生方法。
【請求項17】
N=2、M=3とする
請求項15または請求項16に記載の情報再生方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−181583(P2008−181583A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13000(P2007−13000)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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