情報処理システム、情報処理装置、およびその制御方法
【課題】ユーザーが所望する設定によるコピーや印刷等の処理結果を得ることができる情報処理システム、情報処理装置、およびその制御方法を提供すること。
【解決手段】情報処理システム1は、情報処理装置である複合機200と、検出装置100と、を含む。複合機200は、コピーや印刷等の処理結果の用紙を排紙トレイ200aに出力する。検出装置100は、排紙トレイ200aに出力された用紙を確認したユーザーの脳波を検出する。複合機200は、検出された脳波のデータに基づき、出力された処理結果の用紙がユーザーに与えた心証を推定する。推定の結果、ユーザーが処理結果に満足しているか否かに応じて、コピーや印刷の処理に関する設定を制御する。
【解決手段】情報処理システム1は、情報処理装置である複合機200と、検出装置100と、を含む。複合機200は、コピーや印刷等の処理結果の用紙を排紙トレイ200aに出力する。検出装置100は、排紙トレイ200aに出力された用紙を確認したユーザーの脳波を検出する。複合機200は、検出された脳波のデータに基づき、出力された処理結果の用紙がユーザーに与えた心証を推定する。推定の結果、ユーザーが処理結果に満足しているか否かに応じて、コピーや印刷の処理に関する設定を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピーや印刷等の処理を行う情報処理システム、情報処理装置、およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンター機能、スキャナー機能、コピー機能等を有した複合機が広く用いられている。複合機では、プリンター機能を利用するジョブ、スキャナー機能を利用するジョブ等を処理することによって、ユーザーに対して複数の機能を提供している。さらに、プリンター機能ひとつを取ってみても、両面印刷、割付印刷等の様々な機能を提供している。
【0003】
また、特許文献1には、脳波計によって作業者の脳波信号を検出し、脳波のパワースペクトルを入力として満足感情報を出力するニューラルネットワークによって、作業者が満足状態であるか不満足状態であるかを判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−262942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複合機では、複数の機能を有しているために操作体系が複雑なものとなってしまい、ユーザーが思った通りに設定することができずに、意図しない処理結果となることがある。また、プリンターであっても、両面印刷、割付印刷等、印刷に関わる様々な設定項目があるので、ユーザーが意図しない印刷結果となってしまうことがある。このように、複合機、プリンター等の情報処理装置では、所望の機能を思い通りに利用することがユーザーのとって困難になってしまうことがあった。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術は、作業者が満足状態であるか不満足状態であるかを判定するものであり、複合機やプリンター等の情報処理装置でユーザーが満足できる処理結果を得られるようにするものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]処理を実行する情報処理装置と、生体信号を検出する検出装置と、を含む情報処理システムであって、前記情報処理装置は、前記処理を実行した結果を出力する出力部と、前記検出装置が検出した生体信号のデータを取得する取得部と、前記取得した生体信号のデータに基づいて、前記出力された処理結果が与えた心証を推定する推定部と、前記推定された心証に応じて、前記情報処理装置が行う処理に関する設定を制御する設定制御部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
【0009】
[適用例2]処理を実行する処理部と、前記処理を実行した結果を出力する出力部と、生体信号のデータを取得する取得部と、前記生体信号のデータに基づいて、前記出力された処理結果が与えた心証を推定する推定部と、前記推定された心証に応じて、前記処理部が行う処理に関する設定を制御する設定制御部と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【0010】
これらの構成によれば、出力された処理結果がユーザーに与えた心証に応じて、処理に関する情報処理装置の設定が制御されるので、ユーザーは、自身が所望する処理結果となる設定を簡単に行い、所望の処理結果を得ることができる。なお、ここでいう処理としては、コピー、印刷、原稿の読取等、情報処理装置が行う様々な処理のことを指す。
【0011】
[適用例3]上記情報処理装置において、前記推定部は、前記出力された処理結果が満足な心証を与えたか否かを判定し、前記設定制御部は、前記出力された処理結果が満足な心証を与えていなかった場合に、前記実行した処理の設定を変更する制御を行うことを特徴とする情報処理装置。
【0012】
この構成によれば、処理結果が満足な心証をユーザーに与えることができなかった場合に、実行した処理の設定が変更されるので、以後、ユーザーが満足できない設定によって処理を行ってしまうことを防ぐことができる。
【0013】
[適用例4]上記情報処理装置において、前記処理部が行う処理に関する設定を変更するための操作を受ける操作部と、画面を表示するための表示部と、をさらに備え、前記推定部は、前記取得した生体信号のデータに基づき、前記操作部への操作により変更された設定に従って実行される処理の出力結果が与えた心証を推定し、前記設定制御部は、前記変更された設定に従って実行された処理結果が満足な心証を与えていなかった場合に、設定を変更する操作を促す画面を前記表示部に表示させることを特徴とする情報処理装置。
【0014】
この構成によれば、処理結果が満足な心証をユーザーに与えることができなかった場合に、設定の変更を促すことにより、以後、ユーザーが満足できない設定で処理を行ってしまうことを防ぐことができる。
【0015】
[適用例5]上記情報処理装置において、前記設定制御部は、前記出力された処理結果が満足な心証を与えていなかった場合に、前記実行した処理についての設定を注意すべき設定として登録し、以後、前記登録した設定に変更する旨の操作があれば、設定を変更する操作を促す画面を前記表示部に表示させることを特徴とする情報処理装置。
【0016】
この構成によれば、ユーザーにとって満足のいかなかった処理結果となる設定が注意すべき設定として登録され、以後、注意すべき設定に変更する操作があったときに設定の変更をユーザーに促すので、以後、ユーザーが満足できない設定で処理を行ってしまうことを防ぐことができる。
【0017】
[適用例6]処理を実行する情報処理装置の制御方法であって、実行した処理の結果を出力するステップと、生体信号を検出するステップと、前記検出された生体信号に基づいて、前記出力された処理結果が与えた心証を推定するステップと、前記推定された心証に応じて、前記情報処理装置が行う処理に関する設定を制御するステップと、を含むことを特徴とする制御方法。
【0018】
このようにすれば、出力された処理結果がユーザーに与えた心証に応じて、処理に関する情報処理装置の設定が制御されるので、ユーザーは、自身が所望する処理結果となる設定を簡単に行い、所望の処理結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施例に係る情報処理システムの概要を示す図。
【図2】情報処理システムの構成を示す図。
【図3】コントローラーの機能ブロック図。
【図4】ユーザーが所望するコピー結果(閉じる位置:上)の一例を示す図。
【図5】コピー結果(閉じる位置:左)の一例を示す図。
【図6】コピー時における複合機の動作手順を示すフローチャート。
【図7】初期画面の一例を示す図。
【図8】設定画面の一例を示す図。
【図9】推定方法を説明するための図。
【図10】警告画面の一例を示す図。
【図11】設定画面の一例を示す図。
【図12】第2実施例に係る情報処理システムの概要を示す図。
【図13】情報処理システムの構成を示す図。
【図14】印刷時における複合機の動作手順を示すフローチャート。
【図15】変形例4の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について実施例に基づいて説明する。
【0021】
(第1実施例)
図1は、第1実施例に係る情報処理システムの概要を示した図である。図2は、情報処理システムの構成を示した図である。図1,2に示すように、情報処理システム1は、ユーザーの頭部に装着されるようにして用いられ、ユーザーの脳波を検出する検出装置100と、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能等の複数の機能を有した複合機(情報処理装置)200と、を含む。なお、本情報処理システム1は、検出装置100によって検出される脳波を用いて、複合機200のコピー機能やプリント機能等についてユーザーが所望する結果を得られるように、複合機200の設定を制御しようとするものである。以下、情報処理システム1の各構成について説明する。
【0022】
検出装置100は、脳波計110と、無線通信部120と、検出制御部130と、を備えている。
【0023】
脳波計110は、検出装置100を装着したユーザーの頭皮に接触する電極、増幅器、A/D変換器等を有しており、電極に流れる信号を増幅器で増幅することにより、脳波信号を検出する。そして、増幅した信号に対してA/D変換器がA/D変換の処理を行うことにより、脳波データを生成する。
【0024】
無線通信部120は、アンテナ120aを介した無線通信により複合機200とのデータ通信を行う部分である。
【0025】
検出制御部130は、脳波計110による脳波の検出を制御する部分である。詳細は後述するが、無線通信部120を介して複合機200から脳波データの送信要求を受けた場合に、検出制御部130は、脳波計110に脳波信号を検出させ、検出した脳波信号の脳波データを複合機200に送信する制御を行う。
【0026】
次に、複合機200の構成について説明する。複合機200は、コントローラー210と、無線通信ユニット220と、操作パネル230と、スキャナー240と、印刷エンジン(出力部)250と、を備えている。
【0027】
無線通信ユニット220は、アンテナ220aを介した無線通信により、検出装置100との無線通信を行う部分であり、特に、無線通信によって脳波データの送信要求を検出装置100に送信する処理、脳波データを無線通信によって検出装置100から受信する処理等を行う。なお、本実施例では、検出装置100、複合機200間のデータ送受信は無線通信によって行うが、通信の形態としてはこれに限られることなく、有線の通信によってデータを送受信する構成としてもよい。
【0028】
操作パネル230は、複合機200に備わる各種機能を利用するため等に、ユーザーからの様々な操作を受ける部分であり、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示パネル(表示部)231、および各種の操作ボタン(操作部)232等を有している。ユーザーは、表示パネル231に表示される画面に従って操作ボタン232を操作することにより、印刷機能、コピー機能、スキャン機能等の処理に関する設定(例えば、割付印刷、両面印刷等について有効または無効とする設定)を任意に指定することができる。
【0029】
スキャナー240は、原稿台にセットされた原稿を読み取り、原稿イメージのスキャンデータを生成するためのハードウェア部である。スキャナー240が原稿を読み取ることによって生成されたスキャンデータはコントローラー210に受け渡されて、RAM213または不揮発性メモリー214に格納される。
【0030】
印刷エンジン250は、例えば、外部のコンピューター(図示なし)から受信した印刷データ、スキャンデータ等の印刷を、印刷用紙等の印刷媒体に実行するハードウェア部である。印刷エンジン250は、印刷した用紙を排紙トレイ200a(図1参照)に排出することにより、コピーや印刷の結果を出力する。また、印刷エンジン250には、排紙トレイ200a上に載置された用紙の有無を検出するセンサー(図示なし)が設けられており、排出された用紙がユーザーによって排紙トレイ200aから取り除かれると、排紙トレイ200a上に用紙がなくなったことを検知できるように構成されている。
【0031】
コントローラー210は、複合機200の各部の動作を制御する部分であり、CPU211と、ROM212と、RAM213と、不揮発性メモリー214と、内部I/F215と、パネルI/F216と、スキャナーI/F217と、印刷I/F218と、通信I/F219と、を有する。これらの構成は内部バスを介して相互に接続されている。
【0032】
内部I/F215は無線通信ユニット220に接続するインターフェイス部分、パネルI/F216は操作パネル230に接続するインターフェイス部分である。スキャナーI/F217はスキャナー240に接続するインターフェイス部分、印刷I/F218は印刷エンジン250に接続するインターフェイス部分である。通信I/F219は、ネットワークに接続するためのインターフェイス部分である。
【0033】
CPU211は、コントローラー210の主制御装置であり、RAM213を作業領域等として用いて、ROM212に格納された各種のプログラムを実行することにより、複合機200における様々な制御を行う。具体的には、CPU211は、スキャナー240に読取指示を出す処理、印刷エンジン250に印刷指示を出すと共に印刷用のデータを受け渡す処理、スキャナー240による原稿の読み取りを制御する処理、無線通信ユニット220による検出装置100との無線通信を制御する処理、操作パネル230を制御する処理等を行う。
【0034】
不揮発性メモリー214は、フラッシュROM、NVRAM等の読み書き可能な記憶部であり、後述する要注意設定情報を記憶するために用いられる。
【0035】
図3に、コントローラー210の機能ブロック図を示す。図3に示すように、コントローラー210は、読取処理部10と、印刷処理部20と、設定制御部30と、脳波データ取得部40と、心証推定処理部50と、を有する。なお、これらの構成は、CPU211がROM212に格納されたプログラムを実行することにより機能するものであり、読取処理部10および印刷処理部20が処理部、脳波データ取得部40が取得部、心証推定処理部50が推定部に相当する。
【0036】
読取処理部10は、スキャナー240による原稿の読み取りを制御する部分である。読取処理部10は、スキャナー240に原稿を読み取らせる処理、原稿のスキャンデータをスキャナー240から取得する処理等を行う。
【0037】
印刷処理部20は、印刷エンジン250による印刷を制御する部分であり、印刷エンジン250に印刷を実行させる印刷処理を行う。コピー時には、印刷処理部20は、原稿のスキャンデータを印刷用の画像データに展開する処理、印刷I/F218を介して画像データを印刷エンジン250に出力することにより、印刷エンジン250に原稿の印刷を実行させる処理を行う。また、印刷処理部20は、割付印刷が有効に設定されていた場合に、複数ページ分の画像を1ページに割り付ける処理、ファイル等に閉じるために余白とする領域を、用紙の上下左右の任意の位置に確保する処理等も行う。
【0038】
設定制御部30は、複合機200が有する印刷機能、コピー機能、スキャン機能等の処理に関する設定を制御する機能部である。設定制御部30は、操作パネル230の操作ボタン232へのユーザー操作に従って、割付印刷の有効/無効、両面印刷の有効/無効、用紙の閉じる位置等の設定を制御する。
【0039】
脳波データ取得部40は、無線通信ユニット220を制御して検出装置100との無線通信を行わせることにより、脳波データを取得する機能部である。
【0040】
心証推定処理部50は、脳波データ取得部40が取得した脳波データを解析することによって、印刷結果がユーザーに与えた心証を推定する機能部である。具体的には、排紙トレイ200aに排出された用紙の印刷結果が、ユーザーが意図するとおりの結果となっていてユーザーに満足を与えることができたか、もしくは、ユーザーが意図した結果になっておらず、ユーザーに不満を与えてしまったかを判定する。
【0041】
例えば、割付印刷を有効、閉じる位置を上に設定したコピーの結果、すなわち、図4に例として示すように、1枚の用紙Sに対して、2ページ分の印刷領域A1,A2を割り当て、閉じる領域Tが用紙Sの上側端部に位置したレイアウトのコピー結果を、ユーザーが所望しているとする。この場合、閉じる領域Tを用紙Sの上側端部に確保するため、印刷領域A1,A2は用紙下側に若干寄せたレイアウトとなる。このようなコピー結果を所望する場合、本来、閉じる位置を上に設定すべきである。
【0042】
しかしながら、ユーザーが複合機の操作体系に習熟しておらず、割付印刷を有効、閉じる位置を左に設定していた場合、ユーザーが所望するコピー結果を得ることができない。すなわち、図5に示すように、1枚の用紙Sに対して、2ページ分の印刷領域A1,A2が割り当てられるとともに、用紙Sの左側端部に閉じる領域Tが設けられたコピー結果となってしまう。これでは、ユーザーが所望するコピー結果のレイアウト(図4参照)と異なることとなり、ユーザーに不満な心証を与えてしまう。また、こうしてユーザーが感じた心証は、脳波信号の波形変化となって現れることになる。
【0043】
そこで、心証推定処理部50は、脳波信号の波形変化より、ユーザーがコピー結果に満足しているかの心証を推定し、設定制御部30は、コピー結果がユーザーに与えた心証の結果に応じて、コピーに関する処理の設定を制御する。具体的には、実行した印刷の結果が、ユーザーの意図する結果になっておらず、排紙トレイ200aに排出された用紙の印刷結果を見たユーザーに不満を与えてしまったと心証推定処理部50が判定した場合に、設定制御部30は、コピー設定の変更をユーザーに促すことにより、ユーザーが満足のいくコピー結果を得られるように設定の制御を行う。
【0044】
また、設定制御部30は、ユーザーに不満を与える結果をもたらした設定の内容を、要注意設定情報として不揮発性メモリー214に記憶する。そして、要注意設定情報に示される設定がなされた場合に、ユーザーが意図しない結果を招く可能性が高い要注意の設定であるとして、設定の変更をユーザーに推奨する制御を行う。これにより、ユーザーにとって満足がいかない結果となる設定で、コピーを再び行ってしまうことを防ぐ。もっとも、要注意設定情報としては、ユーザーが意図しない結果を招く可能性が高いと想定される設定について不揮発性メモリー214に予め記憶された構成としてもよい。
【0045】
図6は、コピー時における複合機200の動作手順を示すフローチャートである。以下、コピー時における複合機200の動作についてフローチャートに従って詳細に説明する。なお、以下に説明する処理は、ROM212に記憶されたプログラムをCPU211が実行することによって行われる。
【0046】
処理を開始して、操作パネル230への操作により、コピー操作が入力されると(ステップS100)、設定制御部30は、コピー設定の変更があったか否かを判断する(ステップS105)。例えば、電源投入時には、図7に示す初期画面が表示パネル231に表示される。初期画面G0には、倍率等の設定欄のほか、割付印刷の設定欄C1、両面印刷の設定欄C2が含まれる。ユーザーは、初期画面G0に従う操作ボタン232を操作することにより、印刷倍率、割付印刷、両面印刷の設定を指定し、割り付け印刷が有効された場合には、さらに閉じる位置の設定等がなされる。その後、実行ボタン(図示なし)を押下することにより、コピーの実行を指示するコピー操作が入力される。このコピー操作により、例えば、図8の設定画面G1に示すように、割付印刷および両面印刷を有効とするように、コピーの設定が変更されていれば(ステップS105:Yes)、ステップS110に進む。設定が変更されていなかった場合は(ステップS105:No)、ステップS120に進む。
【0047】
ステップS110に処理が進むと、設定制御部30は、変更されたコピー設定のチェックを行う。ここでは、不揮発性メモリー214に記憶された要注意設定情報に基づき、変更されたコピー設定が要注意の設定に該当するか否かをチェックする。
【0048】
チェックの結果、変更されたコピー設定が要注意設定でなければ(ステップS115:No)、設定制御部30は、指定のコピー設定に従うコピーを実行させる(ステップS120)。ここでは、原稿台にセットされた原稿をスキャナー240に読み取らせる処理を読取処理部10が実行し、スキャンデータの印刷を印刷エンジン250に行わせる処理を印刷処理部20が実行することによりコピーが行われる。そして、印刷エンジン250が、原稿をコピーした用紙を排紙トレイ200aに排出することにより、コピー結果が出力される。
【0049】
次に、脳波データ取得部40は、検出装置100に脳波信号の検出を開始させる(ステップS125)。ここでは、脳波データ取得部40は、無線通信ユニット220の無線通信により、検出装置100に脳波データの送信要求を出す。検出装置100の無線通信部120が送信要求を受信すると、検出制御部130は、脳波信号の検出を脳波計110に開始させる。そして、脳波計110によって検出された脳波信号のデータは、無線通信部120の無線通信により複合機200に送信される。脳波データ取得部40は、検出装置100から無線通信ユニット220を介して脳波データを取得する。
【0050】
次に、ユーザーによるコピー結果の確認が行われる。ここで、ユーザーは、排紙トレイ200aに排出された用紙を取り出し、当該用紙の印刷面を視認することによって、意図する通りのコピーが行われたかの確認を行う。そして、排紙トレイ200aに設けられたセンサーによって、排出された用紙が排紙トレイ200aから取り除かれたことを検知してから所定時間が経過すると、心証推定処理部50は、ユーザーによるコピー結果の確認が行われたものとみなし(ステップS130)、ステップS135に進む。
【0051】
ステップS135に処理が進むと、心証推定処理部50は、脳波データを解析して、コピー結果がユーザーに与えた心証の推定を行う。
【0052】
コピー結果がユーザーに与えた心証を推定する処理は、コピー結果の用紙Sをユーザーが確認したタイミングの前後における脳波のパワースペクトルの変化に基づいて行われる。一般に、脳波のα波(8〜13Hz)はリラックスした状態、β波(14〜30Hz)は通常の状態、γ波(30〜64Hz)は興奮した状態やイライラした状態で多く出現することが知られている。そこで、排紙トレイ200aに排出された用紙が排紙トレイ200aから取り除かれた後、ユーザーが結果を確認したと想定するタイミングの前後で、β波からγ波に相当する特定の周波数成分のパワースペクトルが所定値より大きく、急激に増加した場合に、満足のいかないコピー結果であったと推定する。
【0053】
図9に、脳波の特定周波数のパワースペクトルが変化する一例を示す。図9において、t0はコピー結果の出力後に脳波の検出を開始した時刻、t1はコピー結果の用紙が排紙トレイ200aから取り除かれた時刻、t2はユーザーがコピー結果を確認した時刻、t3は、時刻t1より所定時間Δtが経過した時刻を示している。検出装置100による脳波の検出が開始された後(時刻t0)、ユーザーがコピー結果の用紙を排紙トレイ200aから取り出して(時刻t1)、コピー結果を確認したとする(時刻t2)。このとき、用紙へのコピー結果が、ユーザーが所望したものとなっていた場合、ユーザーは心理的なストレスを受けないため、脳波に大きな変化が生じない(図9破線参照)。この場合、満足のいくコピー結果であったと推定できる。
【0054】
しかしながら、用紙へのコピー結果が、ユーザーが所望したものと異なっていた場合、ユーザーは心理的なストレスを受けて、β波からγ波に相当する特定周波数の成分が脳波に多く出現し、時刻t2以降において特定周波数のパワースペクトルが大きくなる。この場合、時刻t1,t3間のパワースペクトル変化ΔSが所定の閾値より大きくなると、満足のいかないコピー結果であったと推定できる(図9実線参照)。
【0055】
なお、コピー結果がユーザーに与えた心証を脳波データから推定する方法としては、これに限られない。例えば、ニューラルネットワークを用いて満足状態であるかを判定する特許文献1に記載の技術を用いるようにしてもよい。
【0056】
次に、心証推定処理部50は、推定の結果、ユーザーがコピー結果に満足したか否かを判断する(ステップS140)。コピー結果に満足していた場合(ステップS140:Yes)、実行したコピーの設定は要注意設定として制御する必要がないため、ステップS100に戻り、次の操作入力を待ち続ける。
【0057】
一方、コピー結果に満足できていなかった場合(ステップS140:No)、設定制御部30は、実行したコピーの設定を要注意設定として保存する(ステップS145)。具体的には、実行したコピーの設定内容を注意すべき設定とする要注意設定情報を、不揮発性メモリー214に新たに登録することによって、要注意設定を保存する。例えば、図8の設定に従う割付印刷を有効、閉じる位置を左とする設定に従うコピー結果(図5参照)は、ユーザーが所望する結果(図4参照)と異なり、ユーザーにとって不満な心証をもたらす。このため、設定制御部30は、例えば、図8の設定画面G1に示す割付印刷を有効、閉じる位置を左とする設定を要注意設定として保存することにより、以後、当該設定をステップS115において要注意設定と判断する。
【0058】
要注意設定を保存した後は、所望の設定で再度コピーを行うため、ステップS100に戻って、ユーザーによるコピー操作の入力を受け付ける。その後、コピー設定の変更があって(ステップS105:Yes)、コピー設定をチェックした後(ステップS110)、変更した設定が要注意設定であるかの判断が行われる(ステップS115)。ユーザー操作により変更されたコピー設定が、過去に不満なコピー結果となった要注意設定として保存されていれば(ステップS115:Yes)、要注意設定である旨の表示が行われる(ステップS150)。例えば、割付印刷および両面印刷が有効、閉じる位置が「左」に設定されていた場合、図10に例として示す警告画面G2によって、閉じる位置を「左」から「上」に変更するよう促す。これにより、ユーザーは、設定を変更すべきことを知ることができる。
【0059】
警告画面G2に従って設定を変更する場合(ステップS155:Yes)、ステップS100に戻って、ユーザーは、警告画面G2に従って再度コピー操作の入力を行うことにより、図11の警告画面G3に例として示すように、所望のコピー結果を得ることができる設定に設定が変更される。警告画面G2に従う設定の変更を行わない場合(ステップS155:No)は、ステップS120に進み、設定を変更することなく、指定の設定でコピーを実行する。
【0060】
以上に説明した情報処理システム1では、検出された脳波データから、コピー結果がユーザーに与えた心証、すなわちユーザーがコピー結果に満足できたかを判定している。そして、不満であった場合、コピーした設定を要注意設定として、以後、同じ設定によるコピーをやめるようユーザーに促している。こうして、要注意設定ではない設定に変更させる制御により、以後、ユーザーが意図しないコピー結果となる設定で再びコピーしてしまうことを防ぐことができる。したがって、ユーザーは、自身が所望するコピー結果となる設定を簡単に行うことができる。
【0061】
(第2実施例)
上記第1実施例では、コピー結果に対するユーザーの心証を推定して、ユーザーが本来所望する設定に制御するようにしたが、第2実施例では、印刷の結果に対する心証を推定して、印刷の設定を制御するシステムについて説明する。なお、以下では、第1実施例と同様の構成については同じ符号を付与して、重複する説明を省略することとする。
【0062】
図12は、第2実施例に係る情報処理システムの概要を示した図である。図13は、情報処理システムの構成を示した図である。図12,13に示すように、情報処理システム2は、検出装置100と、複合機200と、複合機200のホスト装置であるコンピューター300と、を含む。
【0063】
コンピューター300は、例えば、汎用のパーソナルコンピューターであり、CPU、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等を備えるとともに、キーボード300a、マウス300b等の入力機器およびディスプレイ300cが接続されている。また、コンピューター300は、LAN(Local Area Network)等のネットワークNを介して複合機200の通信I/F219と接続しており、複合機200と相互にデータ通信が可能である。
【0064】
コンピューター300のCPUが、サーバーからダウンロードしたドライバープログラム、またはCD−ROMから読み出したドライバープログラムを実行することにより、コンピューター300にはプリンタードライバー310がインストールされている。プリンタードライバー310は、印刷対象の画像を所定の言語で記述した印刷データを生成し、割付印刷、両面印刷の有効/無効等を設定した印刷データを複合機200に送信する処理を行う。このプリンタードライバー310により、コンピューター300が複合機200のホスト装置として機能する。
【0065】
図14は、印刷時における複合機200の動作手順を示したフローチャートである。以下、図14のフローチャートに従って、印刷時の動作について説明する。
【0066】
まず、ユーザーが、キーボード300aやマウス300bへの操作により、コンピューター300のプリンタードライバー310に対して割付印刷や両面印刷に関する設定を指定して印刷を指示する印刷設定操作を行うと(ステップS200)、プリンタードライバー310は複合機200に印刷データを送信して、複合機200は印刷データを受信する。次に、設定制御部30は、指定された印刷設定をチェックする(ステップS205)。チェックの結果、要注意設定でなければ(ステップS210:No)、印刷処理部20は、指定の設定に従う印刷を印刷エンジン250に実行させることにより、印刷結果を出力させる(ステップS215)。その後、脳波データ取得部40は、無線通信ユニット220の無線通信により、検出装置100に脳波の検出を開始させる(ステップS220)。そして、排紙トレイ200aに排出された印刷結果の確認がユーザーによって行われると(ステップS225)、心証推定処理部50は、印刷結果が与えた心証の推定を行う(ステップS230)。推定の結果、ユーザーが印刷結果に満足していれば(ステップS235:Yes)ステップS200に戻って、次に入力される印刷設定操作を待つ。印刷結果に満足していなければ(ステップS235:No)、設定制御部30は、印刷した設定を要注意設定としてプリンタードライバー310に通知し(ステップS240)、コピーした設定を要注意設定として保存する(ステップS245)。
【0067】
一方、ステップS210の判断において、印刷設定が要注意設定になっていれば(ステップS210:Yes)、設定制御部30は、要注意設定である旨の表示を行う(ステップS250)。ここでは、複合機200の表示パネル231またはコンピューター300のディスプレイ300cに、要注意の設定であり、ユーザーが意図する結果とならない可能性がある旨の画面が表示される。そして、設定を変更する場合(ステップS255:Yes)、ステップS200に戻り、印刷の設定を変更する操作が行われる。設定変更しない場合は(ステップS255:No)、ステップS215に進み、設定を変更することなく、印刷が実行される。
【0068】
第2実施例の情報処理システム2によれば、検出された脳波信号のデータから、印刷結果がユーザーに与えた心証、すなわちユーザーが印刷結果に満足できたかが判定される。そして、不満であった場合には要注意の設定として扱われる。これにより、以後、ユーザーが意図しない印刷結果となる設定で印刷してしまうことを防ぐことができる。したがって、ユーザーは、自身が所望する印刷結果となる設定を簡単に行うことができる。
【0069】
以上、第1実施例および第2実施例について説明したが、実施の形態としては上記実施例の全ての構成を備えたものに限られない。また、その趣旨に逸脱しない様々な形態とすることができる。以下、変形例について説明する。
【0070】
(変形例1)上記実施例では、コピー結果や印刷結果がユーザーに与えた心証を脳波信号から推定するようにしたが、推定に用いる生体信号としては脳波の信号に限られない。例えば、心拍数、血圧等を検出した信号を用いて、ユーザーが処理結果を確認したタイミングに前後する心拍数や血圧の変化を検知することにより、コピー結果や印刷結果にユーザーが不満を感じているかを判定するようにしてもよい。
【0071】
(変形例2)上記第1実施例および第2実施例では、不満な結果となったときの設定を要注意の設定として保存することにより、以後、要注意の設定によるコピーや印刷を行わないよう警告したが、満足のいく結果が出た設定を推奨設定として保存するようにしてもよい。この場合、ユーザーから指定された設定が、要注意の設定になっていた場合、推奨設定に自動的に変更するようにするとよい。
【0072】
(変形例3)上記第1実施例および第2実施例では、両面印刷、割付印刷、閉じる位置の設定を例にして説明したが、設定項目としてはこれに限られない。例えば、原稿の読取時における原稿の向きの設定、印刷する用紙の向きの設定等に関して、処理結果が与えた心証に応じて設定を制御するようにしてもよい。また、ファクシミリ機能を備えた複合機であれば、ファクシミリ受信の印刷結果に対して同様の処理を適用してもよい。
【0073】
(変形例4)上記第2実施例では、複合機200側の処理によって、印刷した結果がユーザーに与えた心証を推定したが、プリンタードライバーで処理するようにしてもよい。例えば、図15の情報処理システム3に示すように、情報処理装置としてのコンピューター301に無線通信ユニット400が接続されたシステムとして、コンピューター301のプリンタードライバー311が、設定制御部20、脳波データ取得部30、および心証推定処理部40を有した構成としてもよい。
【0074】
(変形例5)上記第1実施例および第2実施例では、情報処理装置の一例としての複合機200について説明したが、情報処理装置としてはこれに限られることなく、複写機、プリンター、ファクシミリ装置等であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…情報処理システム、10…処理部としての読取処理部、20…処理部としての印刷処理部、30…設定制御部、40…取得部としての脳波データ取得部、50…推定部としての心証推定処理部、100…検出装置、110…脳波計、120…無線通信部、130…検出制御部、200…複合機、210…コントローラー、211…CPU、212…ROM、213…RAM、214…不揮発性メモリー、215…内部I/F、216…パネルI/F、217…スキャナーI/F、218…印刷I/F、219…通信I/F、220…無線通信ユニット、230…操作部としての操作パネル、231…表示部としての表示パネル、232…操作ボタン、240…スキャナー、250…出力部としての印刷エンジン、300…コンピューター、310…プリンタードライバー。
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピーや印刷等の処理を行う情報処理システム、情報処理装置、およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンター機能、スキャナー機能、コピー機能等を有した複合機が広く用いられている。複合機では、プリンター機能を利用するジョブ、スキャナー機能を利用するジョブ等を処理することによって、ユーザーに対して複数の機能を提供している。さらに、プリンター機能ひとつを取ってみても、両面印刷、割付印刷等の様々な機能を提供している。
【0003】
また、特許文献1には、脳波計によって作業者の脳波信号を検出し、脳波のパワースペクトルを入力として満足感情報を出力するニューラルネットワークによって、作業者が満足状態であるか不満足状態であるかを判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−262942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複合機では、複数の機能を有しているために操作体系が複雑なものとなってしまい、ユーザーが思った通りに設定することができずに、意図しない処理結果となることがある。また、プリンターであっても、両面印刷、割付印刷等、印刷に関わる様々な設定項目があるので、ユーザーが意図しない印刷結果となってしまうことがある。このように、複合機、プリンター等の情報処理装置では、所望の機能を思い通りに利用することがユーザーのとって困難になってしまうことがあった。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術は、作業者が満足状態であるか不満足状態であるかを判定するものであり、複合機やプリンター等の情報処理装置でユーザーが満足できる処理結果を得られるようにするものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]処理を実行する情報処理装置と、生体信号を検出する検出装置と、を含む情報処理システムであって、前記情報処理装置は、前記処理を実行した結果を出力する出力部と、前記検出装置が検出した生体信号のデータを取得する取得部と、前記取得した生体信号のデータに基づいて、前記出力された処理結果が与えた心証を推定する推定部と、前記推定された心証に応じて、前記情報処理装置が行う処理に関する設定を制御する設定制御部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
【0009】
[適用例2]処理を実行する処理部と、前記処理を実行した結果を出力する出力部と、生体信号のデータを取得する取得部と、前記生体信号のデータに基づいて、前記出力された処理結果が与えた心証を推定する推定部と、前記推定された心証に応じて、前記処理部が行う処理に関する設定を制御する設定制御部と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【0010】
これらの構成によれば、出力された処理結果がユーザーに与えた心証に応じて、処理に関する情報処理装置の設定が制御されるので、ユーザーは、自身が所望する処理結果となる設定を簡単に行い、所望の処理結果を得ることができる。なお、ここでいう処理としては、コピー、印刷、原稿の読取等、情報処理装置が行う様々な処理のことを指す。
【0011】
[適用例3]上記情報処理装置において、前記推定部は、前記出力された処理結果が満足な心証を与えたか否かを判定し、前記設定制御部は、前記出力された処理結果が満足な心証を与えていなかった場合に、前記実行した処理の設定を変更する制御を行うことを特徴とする情報処理装置。
【0012】
この構成によれば、処理結果が満足な心証をユーザーに与えることができなかった場合に、実行した処理の設定が変更されるので、以後、ユーザーが満足できない設定によって処理を行ってしまうことを防ぐことができる。
【0013】
[適用例4]上記情報処理装置において、前記処理部が行う処理に関する設定を変更するための操作を受ける操作部と、画面を表示するための表示部と、をさらに備え、前記推定部は、前記取得した生体信号のデータに基づき、前記操作部への操作により変更された設定に従って実行される処理の出力結果が与えた心証を推定し、前記設定制御部は、前記変更された設定に従って実行された処理結果が満足な心証を与えていなかった場合に、設定を変更する操作を促す画面を前記表示部に表示させることを特徴とする情報処理装置。
【0014】
この構成によれば、処理結果が満足な心証をユーザーに与えることができなかった場合に、設定の変更を促すことにより、以後、ユーザーが満足できない設定で処理を行ってしまうことを防ぐことができる。
【0015】
[適用例5]上記情報処理装置において、前記設定制御部は、前記出力された処理結果が満足な心証を与えていなかった場合に、前記実行した処理についての設定を注意すべき設定として登録し、以後、前記登録した設定に変更する旨の操作があれば、設定を変更する操作を促す画面を前記表示部に表示させることを特徴とする情報処理装置。
【0016】
この構成によれば、ユーザーにとって満足のいかなかった処理結果となる設定が注意すべき設定として登録され、以後、注意すべき設定に変更する操作があったときに設定の変更をユーザーに促すので、以後、ユーザーが満足できない設定で処理を行ってしまうことを防ぐことができる。
【0017】
[適用例6]処理を実行する情報処理装置の制御方法であって、実行した処理の結果を出力するステップと、生体信号を検出するステップと、前記検出された生体信号に基づいて、前記出力された処理結果が与えた心証を推定するステップと、前記推定された心証に応じて、前記情報処理装置が行う処理に関する設定を制御するステップと、を含むことを特徴とする制御方法。
【0018】
このようにすれば、出力された処理結果がユーザーに与えた心証に応じて、処理に関する情報処理装置の設定が制御されるので、ユーザーは、自身が所望する処理結果となる設定を簡単に行い、所望の処理結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施例に係る情報処理システムの概要を示す図。
【図2】情報処理システムの構成を示す図。
【図3】コントローラーの機能ブロック図。
【図4】ユーザーが所望するコピー結果(閉じる位置:上)の一例を示す図。
【図5】コピー結果(閉じる位置:左)の一例を示す図。
【図6】コピー時における複合機の動作手順を示すフローチャート。
【図7】初期画面の一例を示す図。
【図8】設定画面の一例を示す図。
【図9】推定方法を説明するための図。
【図10】警告画面の一例を示す図。
【図11】設定画面の一例を示す図。
【図12】第2実施例に係る情報処理システムの概要を示す図。
【図13】情報処理システムの構成を示す図。
【図14】印刷時における複合機の動作手順を示すフローチャート。
【図15】変形例4の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について実施例に基づいて説明する。
【0021】
(第1実施例)
図1は、第1実施例に係る情報処理システムの概要を示した図である。図2は、情報処理システムの構成を示した図である。図1,2に示すように、情報処理システム1は、ユーザーの頭部に装着されるようにして用いられ、ユーザーの脳波を検出する検出装置100と、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能等の複数の機能を有した複合機(情報処理装置)200と、を含む。なお、本情報処理システム1は、検出装置100によって検出される脳波を用いて、複合機200のコピー機能やプリント機能等についてユーザーが所望する結果を得られるように、複合機200の設定を制御しようとするものである。以下、情報処理システム1の各構成について説明する。
【0022】
検出装置100は、脳波計110と、無線通信部120と、検出制御部130と、を備えている。
【0023】
脳波計110は、検出装置100を装着したユーザーの頭皮に接触する電極、増幅器、A/D変換器等を有しており、電極に流れる信号を増幅器で増幅することにより、脳波信号を検出する。そして、増幅した信号に対してA/D変換器がA/D変換の処理を行うことにより、脳波データを生成する。
【0024】
無線通信部120は、アンテナ120aを介した無線通信により複合機200とのデータ通信を行う部分である。
【0025】
検出制御部130は、脳波計110による脳波の検出を制御する部分である。詳細は後述するが、無線通信部120を介して複合機200から脳波データの送信要求を受けた場合に、検出制御部130は、脳波計110に脳波信号を検出させ、検出した脳波信号の脳波データを複合機200に送信する制御を行う。
【0026】
次に、複合機200の構成について説明する。複合機200は、コントローラー210と、無線通信ユニット220と、操作パネル230と、スキャナー240と、印刷エンジン(出力部)250と、を備えている。
【0027】
無線通信ユニット220は、アンテナ220aを介した無線通信により、検出装置100との無線通信を行う部分であり、特に、無線通信によって脳波データの送信要求を検出装置100に送信する処理、脳波データを無線通信によって検出装置100から受信する処理等を行う。なお、本実施例では、検出装置100、複合機200間のデータ送受信は無線通信によって行うが、通信の形態としてはこれに限られることなく、有線の通信によってデータを送受信する構成としてもよい。
【0028】
操作パネル230は、複合機200に備わる各種機能を利用するため等に、ユーザーからの様々な操作を受ける部分であり、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示パネル(表示部)231、および各種の操作ボタン(操作部)232等を有している。ユーザーは、表示パネル231に表示される画面に従って操作ボタン232を操作することにより、印刷機能、コピー機能、スキャン機能等の処理に関する設定(例えば、割付印刷、両面印刷等について有効または無効とする設定)を任意に指定することができる。
【0029】
スキャナー240は、原稿台にセットされた原稿を読み取り、原稿イメージのスキャンデータを生成するためのハードウェア部である。スキャナー240が原稿を読み取ることによって生成されたスキャンデータはコントローラー210に受け渡されて、RAM213または不揮発性メモリー214に格納される。
【0030】
印刷エンジン250は、例えば、外部のコンピューター(図示なし)から受信した印刷データ、スキャンデータ等の印刷を、印刷用紙等の印刷媒体に実行するハードウェア部である。印刷エンジン250は、印刷した用紙を排紙トレイ200a(図1参照)に排出することにより、コピーや印刷の結果を出力する。また、印刷エンジン250には、排紙トレイ200a上に載置された用紙の有無を検出するセンサー(図示なし)が設けられており、排出された用紙がユーザーによって排紙トレイ200aから取り除かれると、排紙トレイ200a上に用紙がなくなったことを検知できるように構成されている。
【0031】
コントローラー210は、複合機200の各部の動作を制御する部分であり、CPU211と、ROM212と、RAM213と、不揮発性メモリー214と、内部I/F215と、パネルI/F216と、スキャナーI/F217と、印刷I/F218と、通信I/F219と、を有する。これらの構成は内部バスを介して相互に接続されている。
【0032】
内部I/F215は無線通信ユニット220に接続するインターフェイス部分、パネルI/F216は操作パネル230に接続するインターフェイス部分である。スキャナーI/F217はスキャナー240に接続するインターフェイス部分、印刷I/F218は印刷エンジン250に接続するインターフェイス部分である。通信I/F219は、ネットワークに接続するためのインターフェイス部分である。
【0033】
CPU211は、コントローラー210の主制御装置であり、RAM213を作業領域等として用いて、ROM212に格納された各種のプログラムを実行することにより、複合機200における様々な制御を行う。具体的には、CPU211は、スキャナー240に読取指示を出す処理、印刷エンジン250に印刷指示を出すと共に印刷用のデータを受け渡す処理、スキャナー240による原稿の読み取りを制御する処理、無線通信ユニット220による検出装置100との無線通信を制御する処理、操作パネル230を制御する処理等を行う。
【0034】
不揮発性メモリー214は、フラッシュROM、NVRAM等の読み書き可能な記憶部であり、後述する要注意設定情報を記憶するために用いられる。
【0035】
図3に、コントローラー210の機能ブロック図を示す。図3に示すように、コントローラー210は、読取処理部10と、印刷処理部20と、設定制御部30と、脳波データ取得部40と、心証推定処理部50と、を有する。なお、これらの構成は、CPU211がROM212に格納されたプログラムを実行することにより機能するものであり、読取処理部10および印刷処理部20が処理部、脳波データ取得部40が取得部、心証推定処理部50が推定部に相当する。
【0036】
読取処理部10は、スキャナー240による原稿の読み取りを制御する部分である。読取処理部10は、スキャナー240に原稿を読み取らせる処理、原稿のスキャンデータをスキャナー240から取得する処理等を行う。
【0037】
印刷処理部20は、印刷エンジン250による印刷を制御する部分であり、印刷エンジン250に印刷を実行させる印刷処理を行う。コピー時には、印刷処理部20は、原稿のスキャンデータを印刷用の画像データに展開する処理、印刷I/F218を介して画像データを印刷エンジン250に出力することにより、印刷エンジン250に原稿の印刷を実行させる処理を行う。また、印刷処理部20は、割付印刷が有効に設定されていた場合に、複数ページ分の画像を1ページに割り付ける処理、ファイル等に閉じるために余白とする領域を、用紙の上下左右の任意の位置に確保する処理等も行う。
【0038】
設定制御部30は、複合機200が有する印刷機能、コピー機能、スキャン機能等の処理に関する設定を制御する機能部である。設定制御部30は、操作パネル230の操作ボタン232へのユーザー操作に従って、割付印刷の有効/無効、両面印刷の有効/無効、用紙の閉じる位置等の設定を制御する。
【0039】
脳波データ取得部40は、無線通信ユニット220を制御して検出装置100との無線通信を行わせることにより、脳波データを取得する機能部である。
【0040】
心証推定処理部50は、脳波データ取得部40が取得した脳波データを解析することによって、印刷結果がユーザーに与えた心証を推定する機能部である。具体的には、排紙トレイ200aに排出された用紙の印刷結果が、ユーザーが意図するとおりの結果となっていてユーザーに満足を与えることができたか、もしくは、ユーザーが意図した結果になっておらず、ユーザーに不満を与えてしまったかを判定する。
【0041】
例えば、割付印刷を有効、閉じる位置を上に設定したコピーの結果、すなわち、図4に例として示すように、1枚の用紙Sに対して、2ページ分の印刷領域A1,A2を割り当て、閉じる領域Tが用紙Sの上側端部に位置したレイアウトのコピー結果を、ユーザーが所望しているとする。この場合、閉じる領域Tを用紙Sの上側端部に確保するため、印刷領域A1,A2は用紙下側に若干寄せたレイアウトとなる。このようなコピー結果を所望する場合、本来、閉じる位置を上に設定すべきである。
【0042】
しかしながら、ユーザーが複合機の操作体系に習熟しておらず、割付印刷を有効、閉じる位置を左に設定していた場合、ユーザーが所望するコピー結果を得ることができない。すなわち、図5に示すように、1枚の用紙Sに対して、2ページ分の印刷領域A1,A2が割り当てられるとともに、用紙Sの左側端部に閉じる領域Tが設けられたコピー結果となってしまう。これでは、ユーザーが所望するコピー結果のレイアウト(図4参照)と異なることとなり、ユーザーに不満な心証を与えてしまう。また、こうしてユーザーが感じた心証は、脳波信号の波形変化となって現れることになる。
【0043】
そこで、心証推定処理部50は、脳波信号の波形変化より、ユーザーがコピー結果に満足しているかの心証を推定し、設定制御部30は、コピー結果がユーザーに与えた心証の結果に応じて、コピーに関する処理の設定を制御する。具体的には、実行した印刷の結果が、ユーザーの意図する結果になっておらず、排紙トレイ200aに排出された用紙の印刷結果を見たユーザーに不満を与えてしまったと心証推定処理部50が判定した場合に、設定制御部30は、コピー設定の変更をユーザーに促すことにより、ユーザーが満足のいくコピー結果を得られるように設定の制御を行う。
【0044】
また、設定制御部30は、ユーザーに不満を与える結果をもたらした設定の内容を、要注意設定情報として不揮発性メモリー214に記憶する。そして、要注意設定情報に示される設定がなされた場合に、ユーザーが意図しない結果を招く可能性が高い要注意の設定であるとして、設定の変更をユーザーに推奨する制御を行う。これにより、ユーザーにとって満足がいかない結果となる設定で、コピーを再び行ってしまうことを防ぐ。もっとも、要注意設定情報としては、ユーザーが意図しない結果を招く可能性が高いと想定される設定について不揮発性メモリー214に予め記憶された構成としてもよい。
【0045】
図6は、コピー時における複合機200の動作手順を示すフローチャートである。以下、コピー時における複合機200の動作についてフローチャートに従って詳細に説明する。なお、以下に説明する処理は、ROM212に記憶されたプログラムをCPU211が実行することによって行われる。
【0046】
処理を開始して、操作パネル230への操作により、コピー操作が入力されると(ステップS100)、設定制御部30は、コピー設定の変更があったか否かを判断する(ステップS105)。例えば、電源投入時には、図7に示す初期画面が表示パネル231に表示される。初期画面G0には、倍率等の設定欄のほか、割付印刷の設定欄C1、両面印刷の設定欄C2が含まれる。ユーザーは、初期画面G0に従う操作ボタン232を操作することにより、印刷倍率、割付印刷、両面印刷の設定を指定し、割り付け印刷が有効された場合には、さらに閉じる位置の設定等がなされる。その後、実行ボタン(図示なし)を押下することにより、コピーの実行を指示するコピー操作が入力される。このコピー操作により、例えば、図8の設定画面G1に示すように、割付印刷および両面印刷を有効とするように、コピーの設定が変更されていれば(ステップS105:Yes)、ステップS110に進む。設定が変更されていなかった場合は(ステップS105:No)、ステップS120に進む。
【0047】
ステップS110に処理が進むと、設定制御部30は、変更されたコピー設定のチェックを行う。ここでは、不揮発性メモリー214に記憶された要注意設定情報に基づき、変更されたコピー設定が要注意の設定に該当するか否かをチェックする。
【0048】
チェックの結果、変更されたコピー設定が要注意設定でなければ(ステップS115:No)、設定制御部30は、指定のコピー設定に従うコピーを実行させる(ステップS120)。ここでは、原稿台にセットされた原稿をスキャナー240に読み取らせる処理を読取処理部10が実行し、スキャンデータの印刷を印刷エンジン250に行わせる処理を印刷処理部20が実行することによりコピーが行われる。そして、印刷エンジン250が、原稿をコピーした用紙を排紙トレイ200aに排出することにより、コピー結果が出力される。
【0049】
次に、脳波データ取得部40は、検出装置100に脳波信号の検出を開始させる(ステップS125)。ここでは、脳波データ取得部40は、無線通信ユニット220の無線通信により、検出装置100に脳波データの送信要求を出す。検出装置100の無線通信部120が送信要求を受信すると、検出制御部130は、脳波信号の検出を脳波計110に開始させる。そして、脳波計110によって検出された脳波信号のデータは、無線通信部120の無線通信により複合機200に送信される。脳波データ取得部40は、検出装置100から無線通信ユニット220を介して脳波データを取得する。
【0050】
次に、ユーザーによるコピー結果の確認が行われる。ここで、ユーザーは、排紙トレイ200aに排出された用紙を取り出し、当該用紙の印刷面を視認することによって、意図する通りのコピーが行われたかの確認を行う。そして、排紙トレイ200aに設けられたセンサーによって、排出された用紙が排紙トレイ200aから取り除かれたことを検知してから所定時間が経過すると、心証推定処理部50は、ユーザーによるコピー結果の確認が行われたものとみなし(ステップS130)、ステップS135に進む。
【0051】
ステップS135に処理が進むと、心証推定処理部50は、脳波データを解析して、コピー結果がユーザーに与えた心証の推定を行う。
【0052】
コピー結果がユーザーに与えた心証を推定する処理は、コピー結果の用紙Sをユーザーが確認したタイミングの前後における脳波のパワースペクトルの変化に基づいて行われる。一般に、脳波のα波(8〜13Hz)はリラックスした状態、β波(14〜30Hz)は通常の状態、γ波(30〜64Hz)は興奮した状態やイライラした状態で多く出現することが知られている。そこで、排紙トレイ200aに排出された用紙が排紙トレイ200aから取り除かれた後、ユーザーが結果を確認したと想定するタイミングの前後で、β波からγ波に相当する特定の周波数成分のパワースペクトルが所定値より大きく、急激に増加した場合に、満足のいかないコピー結果であったと推定する。
【0053】
図9に、脳波の特定周波数のパワースペクトルが変化する一例を示す。図9において、t0はコピー結果の出力後に脳波の検出を開始した時刻、t1はコピー結果の用紙が排紙トレイ200aから取り除かれた時刻、t2はユーザーがコピー結果を確認した時刻、t3は、時刻t1より所定時間Δtが経過した時刻を示している。検出装置100による脳波の検出が開始された後(時刻t0)、ユーザーがコピー結果の用紙を排紙トレイ200aから取り出して(時刻t1)、コピー結果を確認したとする(時刻t2)。このとき、用紙へのコピー結果が、ユーザーが所望したものとなっていた場合、ユーザーは心理的なストレスを受けないため、脳波に大きな変化が生じない(図9破線参照)。この場合、満足のいくコピー結果であったと推定できる。
【0054】
しかしながら、用紙へのコピー結果が、ユーザーが所望したものと異なっていた場合、ユーザーは心理的なストレスを受けて、β波からγ波に相当する特定周波数の成分が脳波に多く出現し、時刻t2以降において特定周波数のパワースペクトルが大きくなる。この場合、時刻t1,t3間のパワースペクトル変化ΔSが所定の閾値より大きくなると、満足のいかないコピー結果であったと推定できる(図9実線参照)。
【0055】
なお、コピー結果がユーザーに与えた心証を脳波データから推定する方法としては、これに限られない。例えば、ニューラルネットワークを用いて満足状態であるかを判定する特許文献1に記載の技術を用いるようにしてもよい。
【0056】
次に、心証推定処理部50は、推定の結果、ユーザーがコピー結果に満足したか否かを判断する(ステップS140)。コピー結果に満足していた場合(ステップS140:Yes)、実行したコピーの設定は要注意設定として制御する必要がないため、ステップS100に戻り、次の操作入力を待ち続ける。
【0057】
一方、コピー結果に満足できていなかった場合(ステップS140:No)、設定制御部30は、実行したコピーの設定を要注意設定として保存する(ステップS145)。具体的には、実行したコピーの設定内容を注意すべき設定とする要注意設定情報を、不揮発性メモリー214に新たに登録することによって、要注意設定を保存する。例えば、図8の設定に従う割付印刷を有効、閉じる位置を左とする設定に従うコピー結果(図5参照)は、ユーザーが所望する結果(図4参照)と異なり、ユーザーにとって不満な心証をもたらす。このため、設定制御部30は、例えば、図8の設定画面G1に示す割付印刷を有効、閉じる位置を左とする設定を要注意設定として保存することにより、以後、当該設定をステップS115において要注意設定と判断する。
【0058】
要注意設定を保存した後は、所望の設定で再度コピーを行うため、ステップS100に戻って、ユーザーによるコピー操作の入力を受け付ける。その後、コピー設定の変更があって(ステップS105:Yes)、コピー設定をチェックした後(ステップS110)、変更した設定が要注意設定であるかの判断が行われる(ステップS115)。ユーザー操作により変更されたコピー設定が、過去に不満なコピー結果となった要注意設定として保存されていれば(ステップS115:Yes)、要注意設定である旨の表示が行われる(ステップS150)。例えば、割付印刷および両面印刷が有効、閉じる位置が「左」に設定されていた場合、図10に例として示す警告画面G2によって、閉じる位置を「左」から「上」に変更するよう促す。これにより、ユーザーは、設定を変更すべきことを知ることができる。
【0059】
警告画面G2に従って設定を変更する場合(ステップS155:Yes)、ステップS100に戻って、ユーザーは、警告画面G2に従って再度コピー操作の入力を行うことにより、図11の警告画面G3に例として示すように、所望のコピー結果を得ることができる設定に設定が変更される。警告画面G2に従う設定の変更を行わない場合(ステップS155:No)は、ステップS120に進み、設定を変更することなく、指定の設定でコピーを実行する。
【0060】
以上に説明した情報処理システム1では、検出された脳波データから、コピー結果がユーザーに与えた心証、すなわちユーザーがコピー結果に満足できたかを判定している。そして、不満であった場合、コピーした設定を要注意設定として、以後、同じ設定によるコピーをやめるようユーザーに促している。こうして、要注意設定ではない設定に変更させる制御により、以後、ユーザーが意図しないコピー結果となる設定で再びコピーしてしまうことを防ぐことができる。したがって、ユーザーは、自身が所望するコピー結果となる設定を簡単に行うことができる。
【0061】
(第2実施例)
上記第1実施例では、コピー結果に対するユーザーの心証を推定して、ユーザーが本来所望する設定に制御するようにしたが、第2実施例では、印刷の結果に対する心証を推定して、印刷の設定を制御するシステムについて説明する。なお、以下では、第1実施例と同様の構成については同じ符号を付与して、重複する説明を省略することとする。
【0062】
図12は、第2実施例に係る情報処理システムの概要を示した図である。図13は、情報処理システムの構成を示した図である。図12,13に示すように、情報処理システム2は、検出装置100と、複合機200と、複合機200のホスト装置であるコンピューター300と、を含む。
【0063】
コンピューター300は、例えば、汎用のパーソナルコンピューターであり、CPU、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等を備えるとともに、キーボード300a、マウス300b等の入力機器およびディスプレイ300cが接続されている。また、コンピューター300は、LAN(Local Area Network)等のネットワークNを介して複合機200の通信I/F219と接続しており、複合機200と相互にデータ通信が可能である。
【0064】
コンピューター300のCPUが、サーバーからダウンロードしたドライバープログラム、またはCD−ROMから読み出したドライバープログラムを実行することにより、コンピューター300にはプリンタードライバー310がインストールされている。プリンタードライバー310は、印刷対象の画像を所定の言語で記述した印刷データを生成し、割付印刷、両面印刷の有効/無効等を設定した印刷データを複合機200に送信する処理を行う。このプリンタードライバー310により、コンピューター300が複合機200のホスト装置として機能する。
【0065】
図14は、印刷時における複合機200の動作手順を示したフローチャートである。以下、図14のフローチャートに従って、印刷時の動作について説明する。
【0066】
まず、ユーザーが、キーボード300aやマウス300bへの操作により、コンピューター300のプリンタードライバー310に対して割付印刷や両面印刷に関する設定を指定して印刷を指示する印刷設定操作を行うと(ステップS200)、プリンタードライバー310は複合機200に印刷データを送信して、複合機200は印刷データを受信する。次に、設定制御部30は、指定された印刷設定をチェックする(ステップS205)。チェックの結果、要注意設定でなければ(ステップS210:No)、印刷処理部20は、指定の設定に従う印刷を印刷エンジン250に実行させることにより、印刷結果を出力させる(ステップS215)。その後、脳波データ取得部40は、無線通信ユニット220の無線通信により、検出装置100に脳波の検出を開始させる(ステップS220)。そして、排紙トレイ200aに排出された印刷結果の確認がユーザーによって行われると(ステップS225)、心証推定処理部50は、印刷結果が与えた心証の推定を行う(ステップS230)。推定の結果、ユーザーが印刷結果に満足していれば(ステップS235:Yes)ステップS200に戻って、次に入力される印刷設定操作を待つ。印刷結果に満足していなければ(ステップS235:No)、設定制御部30は、印刷した設定を要注意設定としてプリンタードライバー310に通知し(ステップS240)、コピーした設定を要注意設定として保存する(ステップS245)。
【0067】
一方、ステップS210の判断において、印刷設定が要注意設定になっていれば(ステップS210:Yes)、設定制御部30は、要注意設定である旨の表示を行う(ステップS250)。ここでは、複合機200の表示パネル231またはコンピューター300のディスプレイ300cに、要注意の設定であり、ユーザーが意図する結果とならない可能性がある旨の画面が表示される。そして、設定を変更する場合(ステップS255:Yes)、ステップS200に戻り、印刷の設定を変更する操作が行われる。設定変更しない場合は(ステップS255:No)、ステップS215に進み、設定を変更することなく、印刷が実行される。
【0068】
第2実施例の情報処理システム2によれば、検出された脳波信号のデータから、印刷結果がユーザーに与えた心証、すなわちユーザーが印刷結果に満足できたかが判定される。そして、不満であった場合には要注意の設定として扱われる。これにより、以後、ユーザーが意図しない印刷結果となる設定で印刷してしまうことを防ぐことができる。したがって、ユーザーは、自身が所望する印刷結果となる設定を簡単に行うことができる。
【0069】
以上、第1実施例および第2実施例について説明したが、実施の形態としては上記実施例の全ての構成を備えたものに限られない。また、その趣旨に逸脱しない様々な形態とすることができる。以下、変形例について説明する。
【0070】
(変形例1)上記実施例では、コピー結果や印刷結果がユーザーに与えた心証を脳波信号から推定するようにしたが、推定に用いる生体信号としては脳波の信号に限られない。例えば、心拍数、血圧等を検出した信号を用いて、ユーザーが処理結果を確認したタイミングに前後する心拍数や血圧の変化を検知することにより、コピー結果や印刷結果にユーザーが不満を感じているかを判定するようにしてもよい。
【0071】
(変形例2)上記第1実施例および第2実施例では、不満な結果となったときの設定を要注意の設定として保存することにより、以後、要注意の設定によるコピーや印刷を行わないよう警告したが、満足のいく結果が出た設定を推奨設定として保存するようにしてもよい。この場合、ユーザーから指定された設定が、要注意の設定になっていた場合、推奨設定に自動的に変更するようにするとよい。
【0072】
(変形例3)上記第1実施例および第2実施例では、両面印刷、割付印刷、閉じる位置の設定を例にして説明したが、設定項目としてはこれに限られない。例えば、原稿の読取時における原稿の向きの設定、印刷する用紙の向きの設定等に関して、処理結果が与えた心証に応じて設定を制御するようにしてもよい。また、ファクシミリ機能を備えた複合機であれば、ファクシミリ受信の印刷結果に対して同様の処理を適用してもよい。
【0073】
(変形例4)上記第2実施例では、複合機200側の処理によって、印刷した結果がユーザーに与えた心証を推定したが、プリンタードライバーで処理するようにしてもよい。例えば、図15の情報処理システム3に示すように、情報処理装置としてのコンピューター301に無線通信ユニット400が接続されたシステムとして、コンピューター301のプリンタードライバー311が、設定制御部20、脳波データ取得部30、および心証推定処理部40を有した構成としてもよい。
【0074】
(変形例5)上記第1実施例および第2実施例では、情報処理装置の一例としての複合機200について説明したが、情報処理装置としてはこれに限られることなく、複写機、プリンター、ファクシミリ装置等であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…情報処理システム、10…処理部としての読取処理部、20…処理部としての印刷処理部、30…設定制御部、40…取得部としての脳波データ取得部、50…推定部としての心証推定処理部、100…検出装置、110…脳波計、120…無線通信部、130…検出制御部、200…複合機、210…コントローラー、211…CPU、212…ROM、213…RAM、214…不揮発性メモリー、215…内部I/F、216…パネルI/F、217…スキャナーI/F、218…印刷I/F、219…通信I/F、220…無線通信ユニット、230…操作部としての操作パネル、231…表示部としての表示パネル、232…操作ボタン、240…スキャナー、250…出力部としての印刷エンジン、300…コンピューター、310…プリンタードライバー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理を実行する情報処理装置と、生体信号を検出する検出装置と、を含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記処理を実行した結果を出力する出力部と、
前記検出装置が検出した生体信号のデータを取得する取得部と、
前記取得した生体信号のデータに基づいて、前記出力された処理結果が与えた心証を推定する推定部と、
前記推定された心証に応じて、前記情報処理装置が行う処理に関する設定を制御する設定制御部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
処理を実行する処理部と、
前記処理を実行した結果を出力する出力部と、
生体信号のデータを取得する取得部と、
前記生体信号のデータに基づいて、前記出力された処理結果が与えた心証を推定する推定部と、
前記推定された心証に応じて、前記処理部が行う処理に関する設定を制御する設定制御部と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置において、
前記推定部は、前記出力された処理結果が満足な心証を与えたか否かを判定し、
前記設定制御部は、前記出力された処理結果が満足な心証を与えていなかった場合に、前記実行した処理の設定を変更する制御を行うことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の情報処理装置において、
前記処理部が行う処理に関する設定を変更するための操作を受ける操作部と、
画面を表示するための表示部と、をさらに備え、
前記推定部は、前記取得した生体信号のデータに基づき、前記操作部への操作により変更された設定に従って実行される処理の出力結果が与えた心証を推定し、
前記設定制御部は、前記変更された設定に従って実行された処理結果が満足な心証を与えていなかった場合に、設定を変更する操作を促す画面を前記表示部に表示させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置において、
前記設定制御部は、前記出力された処理結果が満足な心証を与えていなかった場合に、前記実行した処理についての設定を注意すべき設定として登録し、以後、前記登録した設定に変更する旨の操作があれば、設定を変更する操作を促す画面を前記表示部に表示させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
処理を実行する情報処理装置の制御方法であって、
実行した処理の結果を出力するステップと、
生体信号を検出するステップと、
前記検出された生体信号に基づいて、前記出力された処理結果が与えた心証を推定するステップと、
前記推定された心証に応じて、前記情報処理装置が行う処理に関する設定を制御するステップと、を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項1】
処理を実行する情報処理装置と、生体信号を検出する検出装置と、を含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記処理を実行した結果を出力する出力部と、
前記検出装置が検出した生体信号のデータを取得する取得部と、
前記取得した生体信号のデータに基づいて、前記出力された処理結果が与えた心証を推定する推定部と、
前記推定された心証に応じて、前記情報処理装置が行う処理に関する設定を制御する設定制御部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
処理を実行する処理部と、
前記処理を実行した結果を出力する出力部と、
生体信号のデータを取得する取得部と、
前記生体信号のデータに基づいて、前記出力された処理結果が与えた心証を推定する推定部と、
前記推定された心証に応じて、前記処理部が行う処理に関する設定を制御する設定制御部と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置において、
前記推定部は、前記出力された処理結果が満足な心証を与えたか否かを判定し、
前記設定制御部は、前記出力された処理結果が満足な心証を与えていなかった場合に、前記実行した処理の設定を変更する制御を行うことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の情報処理装置において、
前記処理部が行う処理に関する設定を変更するための操作を受ける操作部と、
画面を表示するための表示部と、をさらに備え、
前記推定部は、前記取得した生体信号のデータに基づき、前記操作部への操作により変更された設定に従って実行される処理の出力結果が与えた心証を推定し、
前記設定制御部は、前記変更された設定に従って実行された処理結果が満足な心証を与えていなかった場合に、設定を変更する操作を促す画面を前記表示部に表示させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置において、
前記設定制御部は、前記出力された処理結果が満足な心証を与えていなかった場合に、前記実行した処理についての設定を注意すべき設定として登録し、以後、前記登録した設定に変更する旨の操作があれば、設定を変更する操作を促す画面を前記表示部に表示させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
処理を実行する情報処理装置の制御方法であって、
実行した処理の結果を出力するステップと、
生体信号を検出するステップと、
前記検出された生体信号に基づいて、前記出力された処理結果が与えた心証を推定するステップと、
前記推定された心証に応じて、前記情報処理装置が行う処理に関する設定を制御するステップと、を含むことを特徴とする制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−218503(P2010−218503A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67560(P2009−67560)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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