説明

情報処理システム、情報処理装置、プリント装置およびプログラム

【課題】 プリント装置を様々な使用環境において共通使用できることが望まれていた。
【解決手段】 情報処理システムは、互いに接続された情報処理装置100および外部装置160を備える。情報処理装置100はさらに、外部装置160の仕様と情報処理装置100の仕様とが適合しない場合に、情報処理装置100の仕様に適応したコンピュータファイル4b,4cをプリント装置160に対して送信する送信手段1,13を備える。外部装置160は、情報処理装置100から送信されたコンピュータファイル4b,4cを受信する受信手段20,26と、当該コンピュータファイル4b,4cをコンピュータファイル23b,23cとして記憶する記憶手段20,23と、記憶手段23に記憶されたコンピュータファイル23b,23cを使用して外部装置160を制御する制御手段20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、情報処理システム、情報処理装置、プリント装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置に接続されて使用されるプリント装置などの外部装置には様々なコンピュータファイルが内蔵されるが、そのようなコンピュータファイルの一部(例えばファームウェアやフォントファイルなど)は、外部装置の仕向け地や使用者のニーズに適応するものとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−101768号公報
【特許文献2】特開2006−69024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、内蔵するコンピュータファイルを例えば仕向け地などに応じて異ならせることによって仕様を異ならせている外部装置は、その仕様に適応した使用環境でのみ正常に使用可能である。
【0005】
このような事情から、1つの外部装置を様々な使用環境において共通に使用できることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の情報処理システムは、互いに接続された情報処理装置および外部装置を備える。前記情報処理装置はさらに、前記外部装置の仕様と前記情報処理装置の仕様とが適合しない場合に、前記情報処理装置の仕様に適応したコンピュータファイルを前記外部装置に対して送信する送信手段を備える。前記外部装置はさらに、前記送信手段により送信された前記コンピュータファイルを受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記コンピュータファイルを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記コンピュータファイルを使用して前記外部装置を制御する制御手段とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実施形態に係るPOS端末システムの要部構成を示すブロック図。
【図2】プリンタ設定処理における処理手順と更新処理における処理手順とを示した図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。なお本実施形態では、情報処理システムとして、情報処理装置としてのPOS(point-of-sale)端末装置とプリント装置とを含んだPOS端末システムを例に説明する。また本実施形態では、プリント装置は、内蔵するファームウェアおよびフォントファイルを異ならせることによって、複数の仕向け地のそれぞれに対応する複数の仕様が設定されることとする。
【0009】
図1は本実施形態に係るPOS端末システムの要部構成を示すブロック図である。
【0010】
このPOS端末システムは、POS端末装置100に、ドロワ開放ユニット110、スキャナ120、キーボード130、カードリーダ140、カードターミナル150、プリント装置(以下、プリンタと称する)160をそれぞれ接続して構成される。またこのPOS端末システムは、通信ネットワーク200を介してサーバ300に接続される。ただし、POS端末装置100に対するドロワ開放ユニット110、スキャナ120、キーボード130、カードリーダ140、カードターミナル150、プリンタ160およびサーバ300の接続はそれぞれ必須ではなく、それらの一部または全てがPOS端末装置100に接続されない場合もある。すなわち一例としては、ドロワ開放ユニット110、スキャナ120、キーボード130、カードリーダ140、カードターミナル150およびプリンタ160は、いずれもPOS端末装置100にとってのオプション製品として提供され、使用者のニーズに応じてPOS端末装置100に接続されて使用される。
【0011】
POS端末装置100は、CPU(central processing unit)1、ROM(read-only memory)2、RAM(random-access memory)3、補助記憶ユニット4、時計ユニット5、入出力ポート(I/O)6、タッチセンサ7、タッチセンサコントローラ8、オペレータ用表示器9、表示コントローラ10、客面表示器11、表示コントローラ12および通信デバイス13を含む。これらの各部のうちのCPU1、ROM2、RAM3、補助記憶ユニット4、時計ユニット5、入出力ポート6、タッチセンサコントローラ8、表示コントローラ10、表示コントローラ12および通信デバイス13は、システムバス14にそれぞれ接続されている。
【0012】
CPU1は、ROM2およびRAM3に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェアおよびアプリケーションプログラムに基づいて、POS端末装置100としての各種の動作を実現するべく各部を制御する。
【0013】
ROM2は、上記のオペレーティングシステムを記憶する。ROM2は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。またROM2は、CPU1が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合も有る。
【0014】
RAM3は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する。またRAM3は、CPU1が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。さらにRAM3は、CPU1が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておくための領域、いわゆるワークエリアとして利用される。
【0015】
補助記憶ユニット4は、例えばハードディスクドライブやSSD(solid state drive)などであり、CPU1が各種の処理を行う上で使用するデータや、CPU1での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット4に記憶されるデータには、仕向け地コード4a、ファームウェア4bおよびフォントファイル4cを含む。仕向け地コードは、POS端末装置100やプリンタ160の仕向け地となり得る地域のそれぞれに個別の地域コードのうちのPOS端末装置100の仕向け地として定められた地域に関する1つである。ファームウェア4bは、プリンタ160の動作を記述したプログラムであり、POS端末装置100の仕向け地に適応したものである。フォントファイル23cは、POS端末装置100の仕向け地に適応したフォントを表したデータの集合である。これらファームウェア4bおよびフォントファイル23cは、POS端末装置100の仕向け地に適応したコンピュータファイルの一例である。
【0016】
ROM2または補助記憶ユニット4に記憶されるアプリケーションプログラムには、後述するプリンタ設定処理に関して記述したプリンタ設定プログラムを含む。このプリンタ設定プログラムが補助記憶ユニット4に記憶される場合、POS端末装置100の譲渡は、一般的にプリンタ設定プログラムが補助記憶ユニット4に記憶された状態にて行われる。しかし、POS端末装置100をプリンタ設定プログラムが補助記憶ユニット4に記憶されない状態で譲渡されるとともに、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルなプリント媒体に記録して、あるいはネットワークを介して上記のプリンタ設定プログラムが譲渡され、このプリンタ設定プログラムが上記の別途に譲渡されたPOS端末装置100の補助記憶ユニット4に書き込まれても良い。さらにプリンタ設定プログラムは、プリンタ設定処理のみについて記述された独立したプログラムであっても良いし、他のプリンタ駆動処理について記述されたプリンタドライバプログラムに組み込まれていても良い。
【0017】
時計ユニット5は、定常的に経時動作を行い、日付および時刻を表した日時情報を生成する。
【0018】
入出力ポート6は、CPU1からドロワ開放が指示されたことに応じてドロワ開放ユニット110を駆動するための駆動信号をドロワ開放ユニット110に対して出力する。
【0019】
タッチセンサ7は、オペレータ用表示器9および客面表示器11のいずれか一方、またはその双方の表示面に重ねて配置されたタッチセンサを含み、オペレータ用表示器9や客面表示器11に対するタッチがなされた場合に、そのタッチ位置を表した位置情報を出力する。
【0020】
タッチセンサコントローラ8は、CPU1の制御の下にタッチセンサ7の動作を制御するとともに、タッチセンサ7が出力する位置情報をRAM3に書き込む。
【0021】
オペレータ用表示器9は、例えばLCD(liquid crystal display)であり、CPU1の制御の下に任意の画像を表示可能である。オペレータ用表示器9は、オペレータに対して提示するべき各種の情報を表した画像を表示するために利用される。
【0022】
表示コントローラ10は、CPU1の制御の下にオペレータ用表示器9の動作を制御する。
【0023】
客面表示器11は、例えばLCDや蛍光表示装置であり、CPU1の制御の下に任意の画像を表示可能である。客面表示器11は、客に対して提示するべき各種の情報を表した画像を表示するために利用される。
【0024】
表示コントローラ12は、CPU1の制御の下に客面表示器11の動作を制御する。
【0025】
通信デバイス13は、各種の外部装置とのデータ通信のための周知の各種の処理を行う。通信デバイス13は、例えばシリアル通信規格、USB(universal serial bus)、PS/2(登録商標)、あるいはイーサネット(登録商標)などのような周知の各種の通信規格に準拠したデータ通信を行う機能を備える。そして例えば、スキャナ120、カードリーダ140およびカードターミナル150とのデータ通信にはUSBが、キーボード130とのデータ通信にはPS/2が、そしてプリンタ160とのデータ通信にはシリアル通信規格がそれぞれ利用される。また通信デバイス13は、イーサネットを利用し、LAN(local area network)やインターネットなどの通信ネットワーク200を介してサーバ300とデータ通信する。
【0026】
ドロワ開放ユニット110は、入出力ポート6に接続される。ドロワ開放ユニット110は、入出力ポートから出力される駆動信号を受けてドロワを自動的に開放する。
【0027】
スキャナ120は、商品に印刷されたバーコードを読み取り、そのバーコードが示す商品コードを送信する。スキャナ120には、固定タイプおよびハンディタイプのいずれか、またはその双方を含み得る。
【0028】
キーボード130は、数値入力キー、商品指定キー(PLUキー)および機能キーなどの多数のキーと、これら多数のキーの押下をそれぞれ検出するスイッチとを含む。キーボード130は、キーが押下されたことに応じて、そのキーに応じたコマンドを出力する。
【0029】
カードリーダ140は、磁気カードに記録された情報を読み取り、この情報を送信する。
【0030】
カードターミナル150は、磁気カードやICカードに記録された情報を読み取り、この情報を送信する。カードターミナル150は、磁気カードやICカードに情報を書き込む機能を備える場合もある。
【0031】
プリンタ160は、例えばサーマルプリンタやドットインパクトプリンタなどであり、レシートなどを印刷する。プリンタ160は、CPU20、ROM21、RAM22、メモリ23、エンジンユニット24、入出力ポート25および通信デバイス26を含む。そしてCPU20、ROM21、RAM22、メモリ23、入出力ポート25および通信デバイス26は、システムバス27にそれぞれ接続されている。
【0032】
CPU20は、ROM21、RAM22およびメモリ23に記憶されたオペレーティングシステムおよびファームウェアに基づいて、プリンタ160としての各種の動作を実現するべく各部を制御する。
【0033】
ROM21は、上記のオペレーティングシステムを記憶する。ROM21は、上記のファームウェアを記憶する場合もある。またROM21は、CPU20が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合も有る。
【0034】
RAM22は、上記のファームウェアを記憶する。またRAM22は、CPU20が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。さらにRAM22は、CPU20が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておくための領域、いわゆるワークエリアとして利用される。
【0035】
メモリ23は、例えばフラッシュメモリであり、上記のファームウェアや、CPU20が各種の処理を行う上で使用するデータや、CPU20での処理によって生成されたデータを保存する。メモリ23に記憶されるデータには、仕向け地コード23a、ファームウェア23bおよびフォントファイル23cを含む。仕向け地コードは、複数の地域コードのうちのプリンタ160の仕向け地として定められた地域に関する1つである。ファームウェア23bは、プリンタ160の動作のためのCPU20の処理を記述したプログラムである。フォントファイル23cは、フォントを表したデータの集合である。
【0036】
エンジンユニット24は、プリント用紙などのプリント媒体に対して画像をプリントするための動作を行う要素の集合である。エンジンユニット24には、プリントヘッド24a、センサ群24bおよびモータ24cなどを含む。プリントヘッド24aは、例えばプリント媒体(感熱記録用紙)を部分的に加熱して、プリント媒体の小領域に画像を形成する。センサ群24bは、プリント媒体の有無やプリント媒体の先端の位置などを検出するための複数のセンサを含む。モータ24cは、副走査のためにプリント媒体を搬送するための動力を発生する。なお、エンジンユニット24の各部の動作は、入出力ポート25から出力される駆動信号によって駆動される。
【0037】
入出力ポート25は、エンジンユニット24の動作を制御するためにCPU20から与えられる制御コマンドに基づいてエンジンユニット24の各部に与える駆動信号を生成する。
【0038】
通信デバイス26は、POS端末装置100とのデータ通信のための周知の各種の処理を行う。
【0039】
サーバ300は、POS端末装置100が設置されているのと同じ店舗に備えられたいわゆる店舗サーバや、POS端末装置100が設置されているのと同じ店舗を含んだ複数の店舗を総括する本部に備えられたいわゆる本部サーバである。サーバ300は、POS端末装置100およびその他のPOS端末装置(図示せず)でそれぞれ生成された商品販売データを集計したり、各POS端末装置で使用するデータを管理する。サーバ300は、POS端末装置100およびその他のPOS端末装置に配信するためのPLUファイルおよびレート情報を保持している。
【0040】
次に以上のように構成されたPOS端末システムの動作について説明する。
【0041】
図2はプリンタ設定処理におけるCPU1の処理手順と更新処理におけるCPU20の処理手順とを示した図である。
【0042】
POS端末装置100の起動時などのような予め定められたタイミングにおいてCPU1は、図2に示すプリンタ設定処理を開始する。なおこのプリンタ設定処理が、ROM2または補助記憶ユニット4に記憶されたプリンタ設定プログラムに基づいて実行される。
【0043】
ステップSa1においてCPU1は、いずれかのプリンタがPOS端末装置100に接続されているか否かを確認する。前述したようにPOS端末装置100へのプリンタ160の接続は任意である。そしてPOS端末装置100には、プリンタ160の代わりに別のプリンタを接続することも可能である。そして何らかのプリンタが接続されていることを確認したならばCPU1は、ステップSa1からステップSa2へ進む。なお、以下においてPOS端末装置100に接続されたプリンタは、それがプリンタ160であるか否かを特定しない場合には接続プリンタと称することとする。
【0044】
ステップSa2においてCPU1は、仕向け地コードの送信を接続プリンタに対して要求する。具体的にはCPU1は、仕向け地コードの送信を要求する要求コマンドを接続プリンタへと送信するように通信デバイス13に指示する。この指示に応じて通信デバイス13は、上記の要求コマンドを接続プリンタへと送信する。
【0045】
接続プリンタがプリンタ160である場合には、通信デバイス13から接続プリンタへと送信された要求コマンドは、通信デバイス26によって受信される。そして上記のように仕向け地コードの送信を要求する要求コマンドが通信デバイス26によって受信されたことに応じてCPU20は、図2に示す更新処理を開始する。
【0046】
ステップSb1においてCPU20は、メモリ23に記憶されている仕向け地コード23aを送信するように通信デバイス26に指示する。この指示に応じて通信デバイス26は、該当する仕向け地コード23aをPOS端末装置100へと送信する。
【0047】
なお、接続プリンタがプリンタ160ではない場合には、要求コマンドに応答しての仕向け地コードの送信は行われない。
【0048】
そこでCPU1はステップSa2にて仕向け地コードの送信を要求した直後にステップSa3において、仕向け地コードの受信を開始するように通信デバイス13に指示する。かくして、通信デバイス26からPOS端末装置100へと送信された仕向け地コード23aは、通信デバイス13によって受信される。しかしながら、接続プリンタがプリンタ160ではない場合には、通信デバイス13によって仕向け地コード23aを受信することができない。
【0049】
CPU1はステップSa4およびステップSa5において、ステップSa2で仕向け地コードの送信を要求してから予め定められた待機時間が経過してタイムアウトとなるか、あるいは通信デバイス13での仕向け地コード23aの受信が完了するのを待ち受ける。そして仕向け地コード23aの受信が完了したならば、CPU1はステップSa5からステップSa6へ進む。
【0050】
ステップSa6においてCPU1は、通信デバイス13で受信された仕向け地コード23aと、補助記憶ユニット4に記憶されている仕向け地コード4aとに基づいて、プリンタ160の仕向け地がPOS端末装置100の仕向け地と一致するか否かを判断する。そして、両仕向け地が一致しないならば、CPU1はステップSa6からステップSa7へ進む。
【0051】
ステップSa7においてCPU1は、補助記憶ユニット4に記憶されているファームウェア4bおよびフォントファイル4cをプリンタ160へと送信するように通信デバイス13に指示する。この指示に応じて通信デバイス13は、ファームウェア4bおよびフォントファイル4cをプリンタ160へと送信する。
【0052】
上記のようにPOS端末装置100から送信されたファームウェア4bおよびフォントファイル4cは通信デバイス26によって受信される。そこでCPU20はステップSb2において、ファームウェア4bおよびフォントファイル4cの受信が完了するのを待ち受ける。そして受信が完了したならば、CPU20はステップSb2からステップSb3へ進む。
【0053】
ステップSb3においてCPU20は、上記のように受信したファームウェア4bおよびフォントファイル4cをファームウェア23bおよびフォントファイル23cとしてメモリ23に上書き保存することによって、ファームウェア23bおよびフォントファイル23cを更新する。
【0054】
ステップSb4のおいてCPU20は、ファームウェアおよびフォントファイルの更新が完了したことをPOS端末装置100へと通知する。具体的にはCPU20は、ファームウェアおよびフォントファイルの更新が完了したことを示す通知コマンドを通信デバイス26より送信させる。
【0055】
このようにプリンタ160から送信された通知コマンドは通信デバイス13により受信される。そこでCPU1はステップSa8において、ファームウェアおよびフォントファイルの更新が完了するのを待ち受ける。そしてCPU1は、ファームウェアおよびフォントファイルの更新が完了したことを示す通知コマンドが上記のように通信デバイス13により受信されたことに応じて、ステップSa8からステップSa9へ進む。
【0056】
ステップSa9においてCPU1は、仕向け地コードの更新をプリンタ160に対して要求する。具体的には、仕向け地コードの更新の要求を示すとともに、仕向け地コード4aを含んだ要求コマンドをプリンタ160へと送信するように通信デバイス13に対して指示する。この指示に応じて通信デバイス13は、該当する要求コマンドをプリンタ160へと送信する。
【0057】
このようにPOS端末装置100から送信された要求コマンドは通信デバイス26によって受信される。そこでこのように要求コマンドが受信されたことに応じてCPU20はステップSb5において、その受信された要求コマンドに含まれている仕向け地コード4aを仕向け地コード23aとしてメモリ23に上書き保存することによって仕向け地コード23aを更新する。
【0058】
ステップSb6においてCPU20は、仕向け地コードの更新が完了したことをPOS端末装置100へと通知する。具体的にはCPU20は、仕向け地コードの更新が完了したことを示す通知コマンドを通信デバイス26より送信させる。
【0059】
このようにプリンタ160から送信された通知コマンドは通信デバイス13により受信される。そこでCPU1はステップSa9で更新要求を行ったのちにステップSa10において、仕向け地コードの更新が完了するのを待ち受ける。そしてCPU1は、通知コマンドが上記のように通信デバイス13により受信されたことに応じて、図2に示す処理を終了する。
【0060】
なお、いずれのプリンタもPOS端末装置100に接続されていない場合、CPU1はステップSa2乃至ステップSa10のいずれも行うことなしに図2の処理を終了する。ステップSa4およびステップSa5の待ち受け状態にてタイムアウトするまでに仕向け地コードが受信できなかった場合には、接続プリンタがプリンタ160ではない可能性が高いため、CPU1はステップSa6以降の処理を行うことなしに図2の処理を終了する。プリンタ160の仕向け地がPOS端末装置100の仕向け地と一致する場合には、ファームウェアおよびフォントファイルの更新を行う必要がないので、CPU1はステップSa7以降の処理を行うことなしに図2の処理を終了する。
【0061】
以上のように本実施形態によれば、POS端末装置100に、このPOS端末装置100とは仕向け地が異なるプリンタ160が接続された場合であっても、このプリンタ160が有しているファームウェアおよびフォントファイルがPOS端末装置100の仕向け地に適応するものに更新される。従って、プリンタ160の仕向け地をPOS端末装置100の仕向け地に一致させることができ、プリンタ160をPOS端末装置100の周辺機器として正常に動作させることが可能となる。つまり、単一のプリンタ160を、その仕様を接続先の情報処理装置(POS端末装置100など)に適応するように自動的に変更しながら、複数の異なる使用環境において正常に動作させることができる。
【0062】
この結果、単一のプリンタ160を様々な地域で使用することが可能である。つまり、日本国内を仕向け地としたプリンタ160を、米国や欧州などの別の地域で使用することが可能である。このため、POSシステムへのプリンタ160の追加に当たっては、プリンタ160を入手するに当たってその仕向け地を考慮する必要がなく、しかも入手したプリンタ160の使用地域を設定する作業などを行う必要もないので、使用者またはサービスマンの負担が少ない。
【0063】
また、単一のプリンタ160を様々な地域で使用することが可能であるから、様々な地域のそれぞれを仕向け地としたプリンタ160を個別に用意しておく必要がない。このため、プリンタ160の製造者や販売者などは、それぞれ仕向け地が異なるプリンタ160を個別に製造する手間や、そのような多種類のプリンタ160を管理する手間を省くことができる。
【0064】
なお、様々な仕向け地に適応したファームウェアおよびフォントファイルを予めメモリ23に保存しておけば、プリンタ160を様々な仕向け地のPOS端末装置100に接続して使用することが可能となる。しかしながらこの場合には、メモリ23として非常に大きな容量の記憶素子を備えることが必要となる。これに対して本実施形態のプリンタ160では、メモリ23に既に保存されていたファームウェアおよびフォントファイルを新たなファームウェアおよびフォントファイルで上書きするので、メモリ23に必要とされる記憶容量を最小限に抑えることができる。
【0065】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0066】
POS端末装置以外の例えばキャッシュレジスタなどのような商品販売データ処理装置においても上記実施形態と同様に実施が可能である。さらには、商品販売データ以外の如何なる情報を処理する情報処理装置においても上記実施形態と同様に実施が可能である。
【0067】
プリンタ160における仕向け地コードの更新は行わなくても良い。ただしこの場合には、ファームウェア23bおよびフォントファイル23cが一度更新されたプリンタ160においては、仕向け地コードが表す地域とファームウェア23bおよびフォントファイル23cが適応する地域とが異なってしまうため、プリンタ160を別の地域を仕向け地とするPOS端末装置100に接続し直して使用することはできない。しかしながらこのような不具合は、例えば日本で使用を開始したプリンタ160を、他国に持ち出して使用するといった一般的に起き難い状況において生ずるものであり、致命的な不具合であるとは言えない。しかし、上記実施形態のように仕向け地コードの更新を行っておけば、上記のような不具合をも回避することが可能であり、好ましい。なお、仕向け地コードの更新を行う場合、ファームウェアおよびフォントファイルとともに新たな仕向け地コードをPOS端末装置100からプリンタ160へと送信しても良い。
【0068】
ファームウェア23bおよびフォントファイル23cのうちのいずれか一方のみを更新しても良い。また、更新の対象となるコンピュータファイルは、ファームウェア23bおよびフォントファイル23cには限らず、他の様々なコンピュータファイルを更新の対象として良い。
【0069】
プリンタ160は、いずれのPOS端末装置100にも接続されていない初期状態にあっては、ファームウェア23bおよびフォントファイル23cをメモリ23に記憶していなくても良い。この場合に仕向け地コード23aとしては、POS端末装置100の仕向け地となり得る地域のいずれにも該当しないコードをメモリ23に記憶しておく。
【0070】
仕向け地以外の条件によりプリンタ160の仕様が異なる場合にも、上記実施形態と同様に実施可能である。例えば、使用者のニーズに応じてプリンタ160の仕様が異なる場合には、使用者毎に異なるコンピュータファイルの更新を行うようにし、かつ仕向け地コードに代えて使用者の個々を識別可能なコードを使用することにより上記実施形態と同様に実施可能である。
【0071】
プリンタ以外の外部装置に関しても、上記実施形態を同様に適用できる。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1…CPU、2…ROM、3…RAM、4…補助記憶ユニット、4a…仕向け地コード、4b…ファームウェア、4c…フォントファイル、5…時計ユニット、6…入出力ポート、7…タッチセンサ、8…タッチセンサコントローラ、9…オペレータ用表示器、10…表示コントローラ、11…客面表示器、12…表示コントローラ、13…通信デバイス、14…システムバス、20…CPU、21…ROM、22…RAM、23…メモリ、23a…仕向け地コード、23b…ファームウェア、23c…フォントファイル、24…エンジンユニット、24…エンジンユニット、24a…プリントヘッド、24b…センサ群、24c…モータ、25…入出力ポート、26…通信デバイス、27…システムバス、100…POS端末装置、110…ドロワ開放ユニット、120…スキャナ、130…キーボード、140…カードリーダ、150…カードターミナル、160…プリンタ、200…通信ネットワーク、300…サーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接続された情報処理装置および外部装置を具備し、
前記情報処理装置はさらに、前記外部装置の仕様と前記情報処理装置の仕様とが適合しない場合に前記情報処理装置の仕様に適応したコンピュータファイルを前記外部装置に対して送信する送信手段を備え、
かつ前記外部装置はさらに、
前記送信手段により送信された前記コンピュータファイルを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記コンピュータファイルを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記コンピュータファイルを使用して前記外部装置を制御する制御手段とを具備したことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
互いに接続された情報処理装置および外部装置を具備し、
前記外部装置に設けられ、前記外部装置の仕様に関する第1の識別情報を記憶する第1の記憶手段と、
前記外部装置に設けられ、前記情報処理装置とデータ通信するための第1の通信手段と、
前記外部装置に設けられ、前記第1の識別情報を前記商品販売データ処置装置へ送信するように前記第1の通信手段を制御する第1の制御手段と、
前記商品販売データ処置装置に設けられ、前記外部装置とデータ通信するための第2の通信手段と、
前記商品販売データ処置装置に設けられ、前記第1の通信手段により送信された前記第1の識別情報を受信するように前記第2の通信手段を制御する第2の制御手段と、
前記情報処理装置に設けられ、前記情報処理装置の仕様に関する第2の識別情報を記憶する第2の記憶手段と、
前記商品販売データ処置装置に設けられ、前記第2の通信手段により受信された前記第1の識別情報と前記第2の識別情報とに基づいて、前記外部装置の仕様と前記情報処理装置の仕様とが適合するか否かを判断する判断手段と、
前記情報処理装置の仕様に適応したコンピュータファイルを記憶する第3の記憶手段と、
前記情報処理装置に設けられ、前記判断手段により前記外部装置の仕様と前記情報処理装置の仕様とが適合しないと判断された場合に、前記コンピュータファイルを前記外部装置へと送信するように前記第2の通信手段を制御する第3の制御手段と、
前記外部装置に設けられ、前記第2の通信手段により送信された前記コンピュータファイルを受信するように前記第1の通信手段を制御する第4の制御手段と、
前記外部装置に設けられた第3の記憶手段と、
前記外部装置に設けられ、前記第1の通信手段により受信された前記コンピュータファイルを前記第3の記憶手段に書き込む書込手段と、
前記外部装置に設けられ、前記第2の記憶手段に記憶された前記コンピュータファイルを使用して前記外部装置を制御する第5の制御手段とをさらに具備したことを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
前記情報処理装置に設けられ、前記判断手段により前記外部装置の仕様と前記情報処理装置の仕様とが適合しないと判断された場合に、前記第2の記憶手段に記憶された前記第2の識別情報を前記外部装置へ送信するように前記第2の通信手段を制御する第6の制御手段と、
前記外部装置に設けられ、前記第2の通信手段によって送信された前記第2の識別情報を受信するように前記第1の通信手段を制御する第7の制御手段と、
前記外部装置に設けられ、前記第1の通信手段により受信された前記第2の識別情報を、前記第1の記憶手段へと前記第1の識別情報として書き込む手段とをさらに具備することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
予め定められた仕様に関する第1の識別情報を記憶する第1の記憶手段と、
外部装置とデータ通信するための通信手段と、
前記外部装置から送信された第2の識別情報を受信するように前記通信手段を制御する第1の制御手段と、
前記第2の通信手段により受信された前記第2の識別情報と前記第1の識別情報とに基づいて、前記外部装置の仕様と前記予め定められた仕様とが適合するか否かを判断する判断手段と、
前記予め定められた仕様に適応したコンピュータファイルを記憶する第2の記憶手段と、
前記判断手段により前記外部装置の仕様と前記予め定められた仕様とが適合しないと判断された場合に、前記コンピュータファイルを前記外部装置へと送信するように前記通信手段を制御する第2の制御手段とを具備したことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
予め定められた仕様に関する第1の識別情報を記憶する第1の記憶手段と、
情報処理装置とデータ通信するための通信手段と、
前記第1の記憶手段に記憶された前記第1の識別情報を前記商品販売データ処置装置へ送信するように前記第1の通信手段を制御する第1の制御手段と、
前記通信手段により前記第1の識別情報を送信したことに応じて前記情報処理装置から送信されるコンピュータファイルを受信するように前記通信手段を制御する第2の制御手段と、
第2の記憶手段と、
前記通信手段により受信された前記コンピュータファイルを前記第2の記憶手段に書き込む書込手段と、
プリント媒体に対して画像をプリントするエンジンユニットと、
前記第2の記憶手段に記憶された前記コンピュータファイルを使用して前記エンジンユニットを制御する第3の制御手段とを具備したことを特徴とするプリント装置。
【請求項6】
予め定められた仕様に関する第1の識別情報を記憶する第1の記憶手段と、前記予め定められた仕様に適応したコンピュータファイルを記憶する第2の記憶手段とにアクセス可能であるとともに、外部装置とデータ通信するための通信手段が接続されたコンピュータを、
前記外部装置から送信された第2の識別情報を受信するように前記通信手段を制御する第1の制御手段と、
前記第1の識別情報と前記第2の通信手段により受信された前記第2の識別情報とに基づいて、前記外部装置の仕様と前記予め定められた仕様とが適合するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記外部装置の仕様と前記予め定められた仕様とが適合しないと判断された場合に、前記コンピュータファイルを前記外部装置へと送信するように前記通信手段を制御する第2の制御手段としてそれぞれ機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−48574(P2012−48574A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191330(P2010−191330)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】