説明

情報処理システム,ストレージ装置,ストレージ制御プログラム,及びストレージ制御プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体

【課題】 データ処理装置の処理対象データがストレージ装置に保持されていない場合でも、かかる処理対象データへのアクセス要求を確実に実行できるようにする。
【解決手段】 ストレージ装置20が、ライブラリ装置10からデータ処理装置40の処理対象データをストレージ20aに読み出す読出部24と、この読出部24が当該処理対象データを読み出す場合、読出部24による読出処理時間が、予め設定された第1所定時間だけ経過したことを検知する第1タイマ26と、この第1タイマ26による第1所定時間の検知後、読出部24による処理が継続中である場合、正常動作中であることを示す信号をデータ処理装置40に対して送信する第1応答部28とをそなえ、データ処理装置40が、第1応答部28から正常作動中であることを示す信号を受信した場合、当該処理対象データへのアクセス要求を再発行させる対応部42をそなえる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライブラリ装置とストレージ装置とが階層型に構成された大容量の情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、大容量の情報処理システム(情報管理システム)では、大容量外部記憶装置として機能するライブラリ装置が主に用いられている。このライブラリ装置では、例えば磁気テープや光ディスクなどの記録媒体が多数格納されており、各記録媒体におけるデータに対するアクセスが自動で行なわれる。
しかしながら、このようなライブラリ装置と、データ処理装置(例えば、ホストコンピュータ)との間での情報の読み出し処理や書き込み処理には非常に多くの時間を要するため、ライブラリ装置は、バックアップ装置としての利用が主であった。
【0003】
一方、ハードディスク(磁気ディスク)をそなえたハードディスク装置(ストレージ装置)は高速なアクセスが可能であるが、磁気テープや光ディスク等と比較すると圧倒的にコストが高く、ハードディスクのみで大容量の情報処理システムを実現することは困難であった。
そこで、高速アクセス可能なハードディスク装置(ストレージ装置)とライブラリ装置とを階層型に構成することで、低コストと高速アクセスを同時に実現した情報処理システム(以下、階層型ストレージシステムという)が用いられている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、下記特許文献1に開示されたような階層型ストレージシステムは、データに対するアクセス要求を発行するホストコンピュータ上のマネージメントソフトウェアによって、ライブラリ装置とハードディスク装置との間でデータを効率的に管理するものであるため、利用者としてのホストコンピュータは、ライブラリ装置及びハードディスク装置のそれぞれを意識する必要があった。
【0005】
また、ホストコンピュータ上に階層型ストレージ(ライブラリ装置及びハードディスク装置)の管理を行なうためのマネージメントソフトウェアを配置するため、ホストコンピュータの資源を圧迫してしまうとともに、ホストコンピュータとライブラリ装置間、及びホストコンピュータとハードディスク装置間のそれぞれをLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して接続する必要があり、利用者のネットワーク資源を圧迫するという課題がある。
【0006】
そのため、ホストコンピュータ上ではなく、階層型ストレージ上に階層型ストレージの管理を行なうためのマネージメントソフトウェアを配置することにより、利用者としてのホストコンピュータの資源を利用することなく、階層型ストレージ自体で管理を行なう技術も提案されている(例えば、下記特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平5−88975号公報
【特許文献2】特開2000−235457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来からホストコンピュータでは、ホストI/O(Input/Output;入出力要求)の発行後、そのI/Oに対する応答の待ち合わせ時間が所定時間以上となった場合には、タイムアウト(エラー)を検出して当該I/O要求についての処理をキャンセルするようになっており、これにより長時間の無駄なホストI/Oの待ち合わせを回避して、効率の良い処理を行なうことができるようになっている。
【0008】
ここで、上記特許文献2に開示されたような技術においても、ホストコンピュータがタイムアウトの検出を行なうことが望ましいが、上記特許文献2に開示されたような技術では、ホストコンピュータから発行されたアクセス要求(I/O要求)の対象データ(ホストコンピュータの処理対象データ)をハードディスク装置が保持していない場合には、ライブラリ装置から当該処理対象データを読み出さなくてはならず、このようにライブラリ装置へのアクセスが発生した場合、ハードディスク装置が当該処理対象データを保持している場合と比較して、非常に長時間の待ち合わせがホストコンピュータにおいて発生してしまう。
【0009】
したがって、ホストコンピュータがタイムアウトを検出する機構を上記特許文献2に開示された階層型ストレージシステムに適用しても、ライブラリ装置から処理対象データを読み出す場合、ホストコンピュータからのアクセス要求に応じた正常動作中であるにも関わらず、ホストコンピュータでは長時間の待ち合わせが発生し、ホストコンピュータがタイムアウト(エラー)を検出してしまうおそれがある。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、ライブラリ装置とストレージ装置とを階層型に配置した情報処理システムにおいて、データ処理装置の処理対象データがストレージ装置に保持されていない場合でも、かかる処理対象データへのアクセス要求を確実に実行できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の情報処理システムは、データを保持するライブラリ装置と、このライブラリ装置に接続され、このライブラリ装置におけるデータの一部を保持しうるストレージを有するストレージ装置と、このストレージ装置に接続され、このストレージ装置の前記ストレージにおけるデータに対するアクセスを行なうデータ処理装置とをそなえ、前記ストレージ装置が、前記データ処理装置の処理対象データが前記ストレージ装置の前記ストレージに保持されていない場合、前記データ処理装置からの当該処理対象データへのアクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から当該処理対象データを前記ストレージに読み出す読出部と、この読出部が前記データ処理装置からの前記アクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から前記ストレージに当該処理対象データを読み出す場合、前記読出部による読出処理時間が、予め設定された第1所定時間だけ経過したことを検知する第1タイマと、この第1タイマによる前記第1所定時間の検知後、前記読出部による処理が継続中である場合、正常動作中であることを示す信号を前記データ処理装置に対して送信する第1応答部とをそなえて構成され、前記データ処理装置が、前記第1応答部から正常動作中であることを示す信号を受信した場合、当該処理対象データへのアクセス要求を再発行させる対応部をそなえて構成されていることを特徴としている(請求項1)。
【0012】
なお、前記ストレージ装置が、前記アクセス要求を受信した後の時間が、前記第1タイマによって検知される前記第1所定時間よりも長い第2所定時間だけ経過したことを検知する第2タイマと、この第2タイマによる前記第2所定時間の検知後、前記第1応答部から前記信号の送信が行なわれない場合、前記ストレージ装置における処理に異常が発生したことを示すエラー信号を前記データ処理装置に対して送信する第2応答部とをそなえて構成されていることが好ましい(請求項2)。
【0013】
また、上記目的を達成するため、本発明のストレージ装置は、データを保持するライブラリ装置と、前記データを処理対象とするデータ処理装置との間に介装されるストレージ装置であって、前記ライブラリ装置におけるデータの一部を前記データ処理装置からアクセス可能に保持しうるストレージと、前記データ処理装置の処理対象データが前記ストレージに保持されていない場合、前記データ処理装置からの当該処理対象データへのアクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から当該処理対象データを前記ストレージに読み出す読出部と、この読出部が前記データ処理装置からの前記アクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から前記ストレージに当該処理対象データを読み出す場合、前記読出部による読出処理時間が、予め設定された第1所定時間だけ経過したことを検知する第1タイマと、この第1タイマによる前記第1所定時間の検知後、前記読出部による処理が継続中である場合、前記データ処理装置に当該処理対象データへの前記アクセス要求を再発行させるべく、正常動作中であることを示す信号を前記データ処理装置に対して送信する第1応答部とをそなえて構成されていることを特徴としている(請求項3)。
【0014】
また、上記目的を達成するため、本発明のストレージ制御プログラムは、データを保持するライブラリ装置と前記データを処理対象とするデータ処理装置との間に介装され、前記ライブラリ装置におけるデータの一部を前記データ処理装置からアクセス可能に保持しうるストレージを有するストレージ装置を制御する機能をコンピュータに実現させるためのストレージ制御プログラムであって、前記データ処理装置の処理対象データが前記ストレージに保持されていない場合、前記データ処理装置からの当該処理対象データへのアクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から当該処理対象データを前記ストレージに読み出す読出部、この読出部が前記データ処理装置からの前記アクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から前記ストレージに当該処理対象データを読み出す場合、前記読出部による読出処理時間が、予め設定された第1所定時間だけ経過したことを検知する第1タイマ、及び、この第1タイマによる前記第1所定時間の検知後、前記読出部による処理が継続中である場合、前記データ処理装置に当該処理対象データへの前記アクセス要求を再発行させるべく、正常動作中であることを示す信号を前記データ処理装置に対して送信する第1応答部として、前記コンピュータを機能させることを特徴としている(請求項4)。
【0015】
また、上記目的を達成するために、本発明のコンピュータ読取可能な記録媒体は、上記ストレージ制御プログラムを記録したものである(請求項5)。
【発明の効果】
【0016】
このように、本発明によれば、データ処理装置の処理対象データがストレージに保持されておらず、ライブラリ装置から当該処理対象データを読み出さなくてはならない場合であっても、読出部による当該処理対象データの読み出しが正常に作動中であれば、データ処理装置に当該アクセス要求を再発行させて当該処理対象データの読み出しを継続させるべく、第1タイマによる第1所定時間の経過の検知後に第1応答部が読出部による処理が正常作動中であることを示す信号をデータ処理装置に対して送信するため、データ処理装置が当該処理対象データへの当該アクセス要求のタイムアウトを検出することなく、当該アクセス要求を確実に実行することができる。
【0017】
したがって、データ処理装置は、ライブラリ装置を意識することなく、あたかもストレージ装置のみで構成されているようにライブラリ装置に保持された大量のデータにアクセス可能となる。そのため、本発明によれば、データ処理装置がライブラリ装置を意識しない階層型仮想ストレージシステムを実現することで、ストレージ装置のアクセス高速性や高い可用性(Availability)を利用できると同時に、データ処理装置に階層型ストレージ(ライブラリ装置及びストレージ装置)の管理を行なうためのマネージメントソフトウェアを配置することがないためデータ処理装置の資源を圧迫することなく、大幅なコストダウンを実現することが可能になる(請求項1,3〜5)。
【0018】
さらに、本発明によれば、第2タイマによる第2所定時間の検知後に第1応答部から何ら信号が送信されない場合には、第2応答部がストレージ装置における処理に異常が発生したことを示すエラー信号をデータ処理装置に対して送信するため、ストレージ装置における処理が停滞して処理遅延が発生した場合には、当該アクセス要求のタイムアウトを事前に検出して停滞した処理を確実にキャンセルすることができ、長時間の無駄な待ち合わせを回避して効率の良い処理を行なうことができる(請求項2)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
〔1〕本発明の一実施形態について
〔1−1〕本発明の一実施形態としての情報処理システム1の構成について
まず、図1に示すブロック図を参照しながら、本発明の一実施形態としての情報処理システム1の構成について説明する。この図1に示すように、本情報処理システム1は、階層型ストレージシステムであり、ライブラリ装置10,ハードディスク装置(ストレージ装置)20,ホストコンピュータ(データ処理装置)40,及びサーバ50をそなえて構成されている。
【0020】
ライブラリ装置10は、磁気テープや光ディスク等の記録媒体11を複数そなえて構成されており、記録媒体11にはホストコンピュータ40の処理対象となりうるデータが保持されている。
なお、このライブラリ装置10には、例えば、複数の記録媒体11を収納する棚(図示せず)と、記録媒体11に対するアクセスを行なうドライブユニット(図示せず)と、棚に収納された記録媒体11をかかるドライブユニットに移動するアクセッサ(図示せず)とがそなえられており、記録媒体11に保持されたデータにアクセスする場合には、アクセッサを制御して当該データを保持している記録媒体11を棚からドライブユニットへ移動する必要があるため、記録媒体11からデータを読み出すのに長い時間を要する。
【0021】
ハードディスク装置20は、ライブラリ装置10に接続され、ライブラリ装置10の記録媒体11よりも高速にアクセス可能であって、ライブラリ装置10が保持するデータの一部を保持しうる磁気ディスク(ストレージ;以下、ハードディスクという)20aを複数そなえて構成されている。
ホストコンピュータ40は、ハードディスク装置20に接続され、ハードディスク装置20の複数のハードディスク20aにおけるデータに対してアクセス[例えば、リード要求やライト要求などのI/O(Input/Output)要求の発行]を行なうものである。
【0022】
ここで、ハードディスク装置20は、ホストコンピュータ40からのアクセス要求に応じて必要なデータ(つまり、かかるアクセス要求の処理対象データ)を、ライブラリ装置10の記録媒体11から読み出してハードディスク20aに保持するようになっており、ホストコンピュータ40は、ハードディスク装置20に対してのみアクセスを行なう。
さらに、ハードディスク装置20は、階層制御部(VDE:Virtual Disk Engine)21及びチャネルアダプタ29をそなえて構成されている。
【0023】
階層制御部21は、ホストコンピュータ40からのアクセス要求に応じて、サーバ50を介して行なわれるハードディスク装置20とライブラリ装置10との間のデータのやり取りを制御するものであり、マッピングテーブル22,検索部23,読出部24,更新部25,第1タイマ26,データ処理部27,及び第1応答部28をそなえて構成されている。
【0024】
マッピングテーブル22は、ハードディスク装置20のハードディスク20aに保持されたデータと、ライブラリ装置10の記録媒体11に保持されたデータとの対応を示すものであり、例えば、ハードディスク20aに保持されたデータを示す情報(データの内容を示す情報や当該データが保持されているハードディスク20a上のアドレス等)と、当該データの記録媒体11上のアドレスとを対にして保持している。
【0025】
検索部23は、ホストコンピュータ40からのアクセス要求に応じて当該アクセス要求の処理対象データをマッピングテーブル22に基づいて検索することにより、当該処理対象データをハードディスク20aが保持しているか否かを判断するものである。
つまり、検索部23は、ホストコンピュータ40からのアクセス要求の処理対象データがマッピングテーブル22から検索されると、当該処理対象データをハードディスク20aが保持していると判断する。
【0026】
読出部24は、検索部23によってホストコンピュータ40の処理対象データ(つまり、ホストコンピュータ40からのアクセス要求の対象データ)がハードディスク20aに保持されていないと判断された場合、ホストコンピュータ40からの当該処理対象データへのアクセス要求に応じて、ライブラリ装置10の記録媒体11から当該処理対象データをハードディスク20aに読み出す(リコールする)ものである。
【0027】
この読出部24によるライブラリ装置10の記録媒体11からのデータ読み出し処理は、ライブラリ装置10とハードディスク装置20との間に介装されたサーバ50を介して行なわれる。
つまり、サーバ50はライブラリ装置10とハードディスク装置20との間でデータの送受信を行なうためのものであり、例えば、ライブラリ装置10の記録媒体11に保持されたデータをハードディスク装置20のハードディスク20aにコピーすべく、読出部24がライブラリ装置10から当該データの読み出しを行なう際には、読出部24は、当該データの読出要求をサーバ50に発行し、この読出要求を受けたサーバ50が、自身のドライバ51を介してライブラリ装置10の記録媒体11から当該データを読出し、ハードディスク装置20に転送する。
【0028】
更新部25は、マッピングテーブル22の更新を行なうものであり、読出部24による記録媒体11からハードディスク20aへのデータの読み出し(コピー)が完了すると、マッピングテーブル22の更新を行なう。
第1タイマ26は、読出部24がホストコンピュータ40からのアクセス要求に応じてライブラリ装置10の記録媒体11からハードディスク20aに処理対象データを読み出す場合、つまり、検索部23によってホストコンピュータ40の処理対象データがハードディスク20aに保持されていないと判断された場合に、読出部24による読出処理時間が、予め設定された第1所定時間(ここではt1時間とする)だけ経過したことを検知するものである。
【0029】
より具体的には、第1タイマ26は、読出部24が読出処理を開始すると起動されて、読出部24が読出処理を開始してからの経過時間を読出処理時間として計測し、計測された読出処理時間に基づいて第1所定時間t1の検知を行なっている。
データ処理部27は、ホストコンピュータ40からのアクセス要求に応じて処理対象データに対するコマンドを実行するものであり、例えば、ホストコンピュータ40からリード要求があった場合には、データ処理部27は、リード要求の処理対象データをストレージ20aからホストコンピュータ40に送信する一方、ホストコンピュータ40からライト要求があった場合には、データ処理部27は、ライト要求に応じて処理対象データに書き込み処理を実行する。
【0030】
ここで、データ処理部27によって新たにデータが書き込まれた場合は、更新部25によってマッピングテーブル22が更新されるとともに、書き込まれたデータがサーバ50を介して記録媒体11に保存される。また、データ処理部27によってハードディスク20aに保持されたデータが書き換えられた場合には、更新部25によってマッピングテーブル22が更新されるとともに、書き換えられたデータがサーバ50を介して記録媒体11に保存される。
【0031】
なお、ホストコンピュータ40からのアクセス要求の処理対象データをハードディスク20aが保持しておらず、読出部24が当該処理対象データをライブラリ装置10から読み出す場合には、データ処理部27は読出部24による当該処理対象データのハードディスク20aへの読み出しが完了してからコマンド処理の実行を行なう。
第1応答部28は、第1タイマ26による第1所定時間の経過の検知後、読出部24による記録媒体11からハードディスク20aへの処理対象データの読み出し処理が正常に継続中である場合、読出部24による処理(つまり、ハードディスク装置20における処理)が正常作動中であることを示す信号(センス)を、チャネルアダプタ29を介してホストコンピュータ40に送信するものである。
【0032】
また、第1応答部28は、正常動作中であることを示す信号を送信する際に、読出部24による当該処理対象データの読み出しを継続させたまま、ホストコンピュータ40から受信したアクセス要求のコマンドをキャンセルする。
なお、第1応答部28によって送信される正常作動中であることを示す信号(正常応答)は、ホストコンピュータ40に対して一時的な待ち合わせを示すものであり、第1タイマ26によって検知された第1所定時間の経過は、異常ではなくライブラリ装置10からの処理対象データの読み出しに時間が掛かっているだけであることを示すものである。
【0033】
さらに、第1応答部28は、第1タイマ26によって第1所定時間の経過が検知されるまでに、読出部24による処理に異常が発生したことが検出された場合には、読出部24による処理に異常が発生したことを示すエラー信号(エラーセンス)を、チャネルアダプタ29を介してホストコンピュータ40に送信する。
その際、第1応答部28は、ホストコンピュータ40から受信したアクセス要求のコマンドをキャンセルして、読出部24による処理を中止する。
【0034】
また、第1応答部28は、第1タイマ26によって第1所定時間の経過が検知されるまでにホストコンピュータ40からのアクセス要求が正常に完了した場合(例えば、ホストコンピュータ40からリード要求が発行された際、読出部24がホストコンピュータ40からのリード要求の処理対象データをハードディスク20a上にコピーし、データ処理部27がホストコンピュータ40に当該処理対象データすべての転送処理を完了した場合)、かかるアクセス要求が正常に完了したことを示す信号(ステータス)を、チャネルアダプタ29を介してホストコンピュータ40に送信する。
【0035】
つまり、第1応答部28は、(1)第1タイマ26による第1所定時間の検知後、読出部24による処理が依然として正常に動作中である場合には、読出部24による処理が正常動作中であることを示す信号(正常応答;センス)をホストコンピュータ40に対して送信する第1の機能(正常応答機能)と、(2)第1タイマ26によって第1所定時間の検知が行なわれるまでに読出部24による処理に異常が発生したことが検出された場合には、読出部24による処理に異常が発生したことを示すエラー信号(異常応答;エラーセンス)をホストコンピュータ40に対して送信する第2の機能(異常応答機能)と、(3)第1タイマ26によって第1所定時間の検知が行なわれるまでにホストコンピュータ40からのアクセス要求が完了した場合には、かかるアクセス要求が正常に完了したことを示す信号(正常完了応答;ステータス)をホストコンピュータ40に対して送信する第3の機能(正常完了応答機能)とを有している。
【0036】
なお、第1応答部28は、上述した、正常作動中であることを示す信号(センス)や読出部24による処理に異常が発生したことを示すエラー信号(エラーセンス)を送信する際にも、これらセンスとともにステータスを応答する。
チャネルアダプタ29は、ホストコンピュータ40の後述するドライバ41との間で情報の送受信を行なうものであり、ホストコンピュータ40とハードディスク装置20との間の情報の送受信は、チャネルアダプタ29及びドライバ41を介して行なわれる。
【0037】
また、チャネルアダプタ29は、第2タイマ30と第2応答部31とをそなえて構成されている。
第2タイマ30は、ホストコンピュータ40からのアクセス要求をチャネルアダプタ29が受けると起動され、そのアクセス要求を受信した後の時間が、階層制御部21の第1タイマ26によって経過を検知される第1所定時間(t1時間)よりも長い第2所定時間(ここでは、t1+t2時間とする)だけ経過したことを検知するものである。
【0038】
第2応答部31は、第2タイマ30による第2所定時間の検知後、階層制御部21の第1応答部28から(1)読出部24による処理が正常動作中であることを示す信号、あるいは(2)読出部24による処理に異常が発生したことを示すエラー信号、もしくは(3)ホストコンピュータ40からのアクセス要求が完了したことを示す信号の送信が行なわれない場合、ハードディスク装置20における処理に異常が発生したことを示すエラー信号(エラーセンス)をホストコンピュータ40に対して送信するものである。
【0039】
この第2応答部31によって送信されるエラー信号は、ハードディスク装置20おける処理に何らかの異常が発生したことを示すものであって、ここでは特に、階層制御部21における処理に停滞もしくは処理遅延が発生したことを示す。
また、第2応答部31は、かかる信号を送信する際、ホストコンピュータ40から受信した当該アクセス要求のコマンドをキャンセルして、階層制御部21における処理(つまり、読出部24もしくはデータ処理部27による処理)を中止する。
【0040】
ホストコンピュータ40は、上述したように、ハードディスク装置20のハードディスク20aに保持されたライブラリ装置10が保持する処理対象データの一部に対してアクセスを行ない、かかる処理対象データに対するアクセス要求(リード要求やライト要求等)を発行するものであり、ドライバ41をそなえて構成されている。
ドライバ41は、上述したように、ハードディスク装置20のチャネルアダプタ29との間で情報のやり取りを行なうものであり、対応部42をそなえて構成されている。
【0041】
対応部42は、ハードディスク装置20の第1応答部28及び第2応答部31から送信された信号を受信すると、受信した信号に応じた処理を実行するものであり、ホストコンピュータ40によるアクセス要求の処理対象データの読出部24による読み出しが正常動作中であることを示す信号(正常応答)を第1応答部28から受信した場合、かかる正常動作中の処理(つまり、読出部24によるライブラリ装置10からの処理対象データの読み出し処理)を継続(リトライ)させるべく、当該処理対象データへのアクセス要求を再発行させる。なお、対応部42は、第1応答部28から正常応答を受信する限り当該アクセス要求が正常に完了するまではタイムアウトを検出することなく何度でも当該アクセス要求を再発行させる。
【0042】
一方、ホストコンピュータ40がアクセス要求を発行した処理対象データの読出部24による読み出しに異常が発生したことを示す信号(異常応答)を第1応答部28から受信した場合、対応部42は、かかる異常が発生した当該アクセス要求の再発行は行なわず、例えば、当該アクセス要求に異常が発生しキャンセルされたことをホストコンピュータ40の演算部(図示せず)に通知する。
【0043】
また、ホストコンピュータ40が発行したアクセス要求が正常に完了したことを示す信号(正常完了応答)を第1応答部28から受信した場合、対応部42は、例えば、当該アクセス要求が正常に完了したことをホストコンピュータ40の演算部(図示せず)に通知する。
さらに、ホストコンピュータ40がアクセス要求を発行した処理対象データの階層制御部21における処理(例えば、読出部24による読み出し処理やデータ処理装置27による処理)に異常が発生したことを示す信号を第2応答部31から受信した場合、対応部42は、かかる異常が発生した階層制御部21における処理に停滞もしくは遅延が発生したと判断して、当該処理のキャンセルを検出し、対応部42は、かかる異常が発生した当該アクセス要求の再発行は行なわず、例えば、当該アクセス要求に処理停滞(遅延)が発生しキャンセルされたことをホストコンピュータ40の演算部(図示せず)に通知する。
【0044】
〔1−2〕本発明の一実施形態としての情報処理システム1の動作(第1応答部28が信号を送信する場合)について
次に、図2に示すフローチャート(ステップS10〜S25)を参照しながら、第1応答部28が信号を送信する場合の本情報処理システム1の動作について説明する。
まず、ホストコンピュータ40(図中ホストと表記)からアクセス要求(I/O要求)がドライバ41を介して発行され(ステップS10)、ハードディスク装置20のチャネルアダプタ29がかかるアクセス要求(コマンド)を受信すると(ステップS11)、チャネルアダプタ29の第2タイマ30が第2所定時間(t1+t2時間)の経過の検知(タイマ監視)を開始する(ステップS12)。
【0045】
そして、階層制御部21の検索部23が、マッピングテーブル22を検索することによりホストコンピュータ40からのアクセス要求の処理対象データがハードディスク20aに保持(マッピング)されているか否かを判断し(ステップS13)、検索部23によって当該処理対象データがハードディスク20aに保持されている(つまり、マッピング有り)と判断されると(ステップS14のYesルート)、データ処理部27がハードディスク20a上の当該処理対象データに対してコマンド処理を実行する(ステップS15)。
【0046】
そして、データ処理部27によるコマンド処理が完了すると、第1応答部28が正常完了応答をホストコンピュータ40に対して送信するとともに、第2タイマ30による第2所定時間の経過の検知をキャンセルさせて処理を終了する(ステップS16)。
一方、検索部23によって当該処理対象データがハードディスク20aに保持されていない(マッピングなし)と判断されると(ステップS14のNoルート)、読出部24が当該対象データをライブラリ装置10の記録媒体11から読み出す(リコールする)とともに、第1タイマ26が第1所定時間(t1時間)の経過の検知(タイマ監視)を開始する(ステップS17)。
【0047】
そして、読出部24による読み出し処理に異常が発生しておらず(ステップS18のNoルート)、且つ、第1タイマ26によって第1所定時間の経過が検知される前に(ステップS19のNoルート)、読出部24による当該処理対象データの読み出し(リコール)が完了すると(ステップS20のYesルート)、更新部25がマッピングテーブル22を更新し(ステップS21)、データ処理部27が当該処理対象データに対してコマンド処理を実行するとともに(ステップS15)、第1応答部28が正常完了応答をホストコンピュータ40に対して送信するとともに、第2タイマ30による第2所定時間の経過の検知をキャンセルさせて処理を終了する(ステップS16)。
【0048】
また、第1タイマ26によって第1所定時間が検知されるまでに読出部24による読み出し処理に異常が発生したことが検出されると(ステップS18のYesルート)、第1応答部28は異常が発生したアクセス要求(コマンド)をキャンセルして読出部24による読み出し処理を中止するとともに、異常応答をホストコンピュータ40に対して送信し(ステップS22)、ホストコンピュータ40の対応部42が第1応答部28からの異常応答を受信すると、対応部42は当該アクセス要求(I/O要求)の再発行を行なわせることなく処理を終了する(ステップS23)。
【0049】
さらに、読出部24による処理の異常が検出されないまま(ステップS18のNoルート)、第1タイマ26が第1所定時間の経過を検知すると(ステップS19のYesルート)、第1応答部28は、読出部24による処理(リコール処理)を継続したまま、ホストコンピュータ40からのアクセス要求のコマンドをキャンセルし、正常応答をホストコンピュータ40に送信する(ステップS24)。
【0050】
そして、対応部42が第1応答部28からの正常応答を受けると、対応部42は読出部24による処理を継続させるべく、正常応答された処理のアクセス要求(I/O要求)を再発行させて、当該I/O要求のリトライを実施させ(ステップS25)、上記ステップS11に処理が移行される。
【0051】
〔1−3〕本発明の一実施形態としての情報処理システム1の動作(第2応答部31が信号を送信する場合)について
次に、図3に示すフローチャート(ステップS30〜S36)を参照しながら、第2応答部31が信号を送信する場合の本情報処理システム1の動作について説明する。
まず、ホストコンピュータ40(図中ホストと表記)からアクセス要求(I/O要求)がドライバ41を介して発行され(ステップS30)、ハードディスク装置20のチャネルアダプタ29がかかるアクセス要求(コマンド)を受信すると(ステップS31)、チャネルアダプタ29の第2タイマ30が第2所定時間(t1+t2時間)の経過の検知(タイマ監視)を開始する(ステップS32)。
【0052】
そして、階層制御部21における処理が開始し(ステップS33)、階層制御部21に置けるコマンド処理に停滞(遅延)が発生して(ステップS34)、第2タイマ30によって第2所定時間の経過が検知されると(ステップS35)、第2応答部31がかかるコマンド処理をキャンセルするとともに、階層制御部21における処理に異常が発生したことを示すエラー信号(エラーセンス)をホストコンピュータ40に送信して処理を終了する(ステップS36)。
【0053】
このように、階層制御部21における処理が開始され、第2タイマによって第2所定時間の経過が検知されても、階層制御部21の第1応答部28から何ら信号(センス)応答がない場合には、第2対応部31は階層制御部21における処理に異常(ここでは特に停滞や遅延)が発生したと判断して、当該コマンド処理をキャンセルするとともにエラー信号をホストコンピュータ40に対して送信する。
【0054】
〔1−4〕本発明の一実施形態としての情報処理システム1の動作(ホストコンピュータ40における処理)について
次に、図4に示すフローチャート(ステップS40〜S44)を参照しながら、本発明の一実施形態としての情報処理システム1の動作、特にホストコンピュータ40における処理の手順について説明する。
【0055】
まず、ホストコンピュータ40がドライバ41を介してハードディスク装置20にアクセス要求(コマンド)を発行し(ステップS40)、その後、ハードディスク装置20から当該コマンドに対する信号(センス)応答をドライバ41が受信すると、対応部42が受信した信号(センス)内容を確認する(ステップS41)。
ここで、受信した信号が第1応答部28からの正常応答であった場合(ステップS42のYesルート)、対応部42は、即時、無条件に当該コマンドの再発行を実行させる(ステップS43)。
【0056】
一方、受信した信号が第1応答部28からの正常応答でなかった場合(ステップS42のNoルート)、対応部42は、受信した信号(センス)応答に応じた通常の処理を実行する(ステップS44)。つまり、受信した信号(センス)が、当該コマンドの階層制御部21における処理の異常を示すものである場合には、例えば、当該コマンドに異常が発生してキャンセルされたことをホストコンピュータ40の演算部(図示せず)に通知する。
【0057】
〔1−5〕本発明の一実施形態としての情報処理システム1による効果について
このように、本発明の一実施形態としての情報処理システム1によれば、ホストコンピュータ40からのアクセス要求の処理対象データがハードディスク装置20のハードディスク20aに保持されておらず、ライブラリ装置10の記録媒体11から当該処理対象データを読み出さなくてはならない場合であっても、読出部24による当該処理対象データの読み出しが正常に作動中であれば、第1タイマ26による第1所定時間の経過の検知後に第1応答部28が読出部24による処理が正常作動中であることを示す信号(正常応答)をホストコンピュータ40に対して送信し、対応部42が正常応答を受信すると当該アクセス要求を再発行させて当該処理対象データの読み出しを継続させるため、ホストコンピュータ40が当該処理対象データへの当該アクセス要求のタイムアウトを検出することなく、当該アクセス要求を確実に実行することができる。
【0058】
したがって、本情報処理システム1では、ホストコンピュータ40は、ライブラリ装置10を意識することなく、あたかもハードディスク装置20のみで構成されているようにライブラリ装置10の記録媒体11に保持された大量の処理対象データにアクセス可能となる。そのため、本情報処理システム1では、ホストコンピュータ40がライブラリ装置10を意識しない階層型仮想ストレージシステムを実現することで、ハードディスク装置20のアクセス高速性や高い可用性(Availability)を利用できると同時に、ホストコンピュータ40に階層型ストレージ(ライブラリ装置10及びハードディスク装置20)の管理を行なうためのマネージメントソフトウェアを配置することがないためホストコンピュータ40の資源を圧迫することなく大幅なコストダウンを実現することが可能になる。
【0059】
さらに、本情報処理システム1によれば、第2タイマ30による第2所定時間の検知後に第1応答部28から何ら信号応答がされない場合には、第2応答部31が階層制御部21における処理が停滞して処理遅延が発生したと判断して、階層制御部21における処理に異常が発生したことを示す信号をホストコンピュータ40に対して送信するため、ホストコンピュータ40からのアクセス要求に対する階層制御部21における処理が停滞して処理遅延が発生した場合には、当該アクセス要求のタイムアウトを事前に検出して停滞した処理を確実にキャンセルすることができ、長時間の無駄な待ち合わせを回避して効率の良い処理を行なうことができる。
【0060】
また、本情報処理システム1によれば、第1タイマ26による第1所定時間の検知後にホストコンピュータ40からのアクセス要求に基づく階層制御部21における処理(読出部24による処理対象データの読み出し処理及びデータ処理部27による処理)に異常が発生したことが検出された場合には、第1応答部28が階層制御部21における処理に異常が発生したことを示す信号(異常応答)をホストコンピュータ40に対して送信するとともに、当該アクセス要求のコマンドをキャンセルするため、階層制御部21における処理に異常が発生すると直ちに当該処理を中止してホストコンピュータ40にその旨を通知することができ、効率の良い処理を行なうことができる。
【0061】
〔2〕その他
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述した実施形態では、階層制御部21における処理(読出部24による処理対象データの読み出し処理及びデータ処理部27による処理)の異常を第1応答部28が検出する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、階層制御部21における処理の異常は、階層制御部21で検出可能であればよい。
【0062】
また、上述した階層制御部21,マッピングテーブル22,検索部23,読出部24,更新部25,第1タイマ26,データ処理部27,第1応答部28,第2タイマ30,第2応答部31,及び対応部42としての機能は、コンピュータ(CPU,情報処理装置,各種端末を含む)が所定のアプリケーションプログラム(ストレージ制御プログラム)を実行することによって実現されてもよい。
【0063】
そのプログラムは、例えばフレキシブルディスク,CD−ROM,CD−R,CD−RW,DVD等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体から例えばストレージ制御プログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し格納して用いる。また、そのプログラムを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0064】
ここで、コンピュータとは、ハードウェアとOS(オペレーティングシステム)とを含む概念であり、OSの制御の下で動作するハードウェアを意味している。また、OSが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。ハードウェアは、少なくとも、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取るための手段とをそなえている。上記ストレージ制御プログラムとしてのアプリケーションプログラムは、上述のようなコンピュータに、階層制御部21,マッピングテーブル22,検索部23,読出部24,更新部25,第1タイマ26,データ処理部27,第1応答部28,第2タイマ30,及び第2応答部31としての機能を実現させるプログラムコードを含んでいる。また、その機能の一部は、アプリケーションプログラムではなくOSによって実現されてもよい。
【0065】
さらに、本実施形態としての記録媒体としては、上述したフレキシブルディスク,CD−ROM,CD−R,CD−RW,DVD,磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスクのほか、ICカード,ROMカートリッジ,磁気テープ,パンチカード,コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ),外部記憶装置等や、バーコードなどの符号が印刷された印刷物等の、コンピュータ読取可能な種々の媒体を利用することもできる。
【0066】
〔3〕付記
(付記1)
データを保持するライブラリ装置と、
該ライブラリ装置に接続され、該ライブラリ装置におけるデータの一部を保持しうるストレージを有するストレージ装置と、
該ストレージ装置に接続され、該ストレージ装置の前記ストレージにおけるデータに対するアクセスを行なうデータ処理装置とをそなえ、
前記ストレージ装置が、
前記データ処理装置の処理対象データが前記ストレージ装置の前記ストレージに保持されていない場合、前記データ処理装置からの当該処理対象データへのアクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から当該処理対象データを前記ストレージに読み出す読出部と、
該読出部が前記データ処理装置からの前記アクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から前記ストレージに当該処理対象データを読み出す場合、前記読出部による読出処理時間が、予め設定された第1所定時間だけ経過したことを検知する第1タイマと、
該第1タイマによる前記第1所定時間の検知後、前記読出部による処理が継続中である場合、正常動作中であることを示す信号を前記データ処理装置に対して送信する第1応答部とをそなえて構成され、
前記データ処理装置が、
前記第1応答部から正常動作中であることを示す信号を受信した場合、当該処理対象データへのアクセス要求を再発行させる対応部をそなえて構成されていることを特徴とする、情報処理システム。
【0067】
(付記2)
前記ストレージ装置が、
前記アクセス要求を受信した後の時間が、前記第1タイマによって検知される前記第1所定時間よりも長い第2所定時間だけ経過したことを検知する第2タイマと、
該第2タイマによる前記第2所定時間の検知後、前記第1応答部から前記信号の送信が行なわれない場合、前記ストレージ装置における処理に異常が発生したことを示すエラー信号を前記データ処理装置に対して送信する第2応答部とをそなえて構成されていることを特徴とする、付記1記載の情報処理システム。
【0068】
(付記3)
前記ストレージ装置の前記第2タイマは、前記データ処理装置からの前記アクセス要求を前記ストレージ装置が受け取ると起動されて、前記第2所定時間の検知を行なうことを特徴とする、付記2記載の情報処理システム。
(付記4)
前記ストレージ装置が、
前記ストレージに保持されたデータと前記ライブラリ装置に保持されたデータとの対応を示すマッピングテーブルと、
前記データ処理装置からの前記アクセス要求に応じて当該アクセス要求の処理対象データを前記マッピングテーブルに基づいて検索することにより、当該処理対象データを前記ストレージが保持しているか否かを判定する検索部とをそなえて構成されていることを特徴とする、付記1〜付記3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【0069】
(付記5)
前記ストレージ装置の前記第1タイマは、前記読出部が読出処理を開始すると起動されて、前記第1所定時間の検知を行なうことを特徴とする、付記1〜付記4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(付記6)
前記第1タイマによって前記第1所定時間の検知がされるまでに、前記読出部による処理に異常が発生したことが検出された場合には、前記ストレージ装置の前記第1応答部が、前記読出部による処理に異常が発生したことを示す信号を前記データ処理装置に対して送信することを特徴とする、付記1〜付記5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【0070】
(付記7)
データを保持するライブラリ装置と、前記データを処理対象とするデータ処理装置との間に介装されるストレージ装置であって、
前記ライブラリ装置におけるデータの一部を前記データ処理装置からアクセス可能に保持しうるストレージと、
前記データ処理装置の処理対象データが前記ストレージに保持されていない場合、前記データ処理装置からの当該処理対象データへのアクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から当該処理対象データを前記ストレージに読み出す読出部と、
該読出部が前記データ処理装置からの前記アクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から前記ストレージに当該処理対象データを読み出す場合、前記読出部による読出処理時間が、予め設定された第1所定時間だけ経過したことを検知する第1タイマと、
該第1タイマによる前記第1所定時間の検知後、前記読出部による処理が継続中である場合、前記データ処理装置に当該処理対象データへの前記アクセス要求を再発行させるべく、正常動作中であることを示す信号を前記データ処理装置に対して送信する第1応答部とをそなえて構成されていることを特徴とする、ストレージ装置。
【0071】
(付記8)
前記アクセス要求を受信した後の時間が、前記第1タイマによって検知される前記第1所定時間よりも長い第2所定時間だけ経過したことを検知する第2タイマと、
該第2タイマによる前記第2所定時間の検知後、前記第1応答部から前記信号の送信が行なわれない場合、前記読出部における処理に異常が発生したことを示すエラー信号を前記データ処理装置に対して送信する第2応答部とをそなえて構成されていることを特徴とする、付記7記載のストレージ装置。
【0072】
(付記9)
前記第2タイマは、前記データ処理装置からの前記アクセス要求を受け取ると起動されて、前記第2所定時間の検知を行なうことを特徴とする、付記8記載の情報処理システム。
(付記10)
前記ストレージに保持されたデータと前記ライブラリ装置に保持されたデータとの対応を示すマッピングテーブルと、
前記データ処理装置からの前記アクセス要求に応じて当該アクセス要求の処理対象データを前記マッピングテーブルに基づいて検索することにより、当該処理対象データを前記ストレージが保持しているか否かを判定する検索部とをそなえて構成されていることを特徴とする、付記7〜付記9のいずれか1項に記載のストレージ装置。
【0073】
(付記11)
前記第1タイマは、前記読出部が読出処理を開始すると起動されて、前記第1所定時間の検知を行なうことを特徴とする、付記7〜付記10のいずれか1項に記載のストレージ装置。
(付記12)
前記第1タイマによって前記第1所定時間の検知がされるまでに、前記読出部による処理に異常が発生したことが検出された場合には、前記第1応答部が、前記読出部よる処理に異常が発生したことを示す信号を前記データ処理装置に対して送信することを特徴とする、付記7〜付記11のいずれか1項に記載のストレージ装置。
【0074】
(付記13)
データを保持するライブラリ装置と前記データを処理対象とするデータ処理装置との間に介装され、前記ライブラリ装置におけるデータの一部を前記データ処理装置からアクセス可能に保持しうるストレージを有するストレージ装置を制御する機能をコンピュータに実現させるためのストレージ制御プログラムであって、
前記データ処理装置の処理対象データが前記ストレージに保持されていない場合、前記データ処理装置からの当該処理対象データへのアクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から当該処理対象データを前記ストレージに読み出す読出部、
該読出部が前記データ処理装置からの前記アクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から前記ストレージに当該処理対象データを読み出す場合、前記読出部による読出処理時間が、予め設定された第1所定時間だけ経過したことを検知する第1タイマ、及び、
該第1タイマによる前記第1所定時間の検知後、前記読出部による処理が継続中である場合、前記データ処理装置に当該処理対象データへの前記アクセス要求を再発行させるべく、正常動作中であることを示す信号を前記データ処理装置に対して送信する第1応答部として、前記コンピュータを機能させることを特徴とする、ストレージ制御プログラム。
【0075】
(付記14)
前記アクセス要求を受信した後の時間が、前記第1タイマによって検知される前記第1所定時間よりも長い第2所定時間だけ経過したことを検知する第2タイマ、及び、
該第2タイマによる前記第2所定時間の検知後、前記第1応答部から前記信号の送信が行なわれない場合、前記読出部における処理に異常が発生したことを示すエラー信号を前記データ処理装置に対して送信する第2応答部として、前記コンピュータを機能させることを特徴とする、付記13記載のストレージ制御プログラム。
【0076】
(付記15)
データを保持するライブラリ装置と前記データを処理対象とするデータ処理装置との間に介装され、前記ライブラリ装置におけるデータの一部を前記データ処理装置からアクセス可能に保持しうるストレージを有するストレージ装置を制御する機能をコンピュータに実現させるためのストレージ制御プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体であって、
前記ストレージ制御プログラムが、
前記データ処理装置の処理対象データが前記ストレージに保持されていない場合、前記データ処理装置からの当該処理対象データへのアクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から当該処理対象データを前記ストレージに読み出す読出部、
該読出部が前記データ処理装置からの前記アクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から前記ストレージに当該処理対象データを読み出す場合、前記読出部による読出処理時間が、予め設定された第1所定時間だけ経過したことを検知する第1タイマ、及び、
該第1タイマによる前記第1所定時間の検知後、前記読出部による処理が継続中である場合、前記データ処理装置に当該処理対象データへの前記アクセス要求を再発行させるべく、正常動作中であることを示す信号を前記データ処理装置に対して送信する第1応答部として、前記コンピュータを機能させることを特徴とする、ストレージ制御プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【0077】
(付記16)
前記ストレージ制御プログラムが、
前記アクセス要求を受信した後の時間が、前記第1タイマによって検知される前記第1所定時間よりも長い第2所定時間だけ経過したことを検知する第2タイマ、及び、
該第2タイマによる前記第2所定時間の検知後、前記第1応答部から前記信号の送信が行なわれない場合、前記読出部における処理に異常が発生したことを示すエラー信号を前記データ処理装置に対して送信する第2応答部として、前記コンピュータを機能させることを特徴とする、付記15記載のストレージ制御プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施形態としての情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態としての情報処理システムの動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態としての情報処理システムの動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態としての情報処理システムのデータ処理装置における処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
1 情報処理システム
10 ライブラリ装置
11 記録媒体
20 ハードディスク装置(ストレージ装置)
20a ハードディスク(ストレージ)
21 階層制御部
22 マッピングテーブル
23 検索部
24 読出部
25 更新部
26 第1タイマ
27 データ処理部
28 第1応答部
29 チャネルアダプタ
30 第2タイマ
31 第2応答部
40 ホストコンピュータ(データ処理装置)
41,51 ドライバ
42 対応部
50 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを保持するライブラリ装置と、
該ライブラリ装置に接続され、該ライブラリ装置におけるデータの一部を保持しうるストレージを有するストレージ装置と、
該ストレージ装置に接続され、該ストレージ装置の前記ストレージにおけるデータに対するアクセスを行なうデータ処理装置とをそなえ、
前記ストレージ装置が、
前記データ処理装置の処理対象データが前記ストレージ装置の前記ストレージに保持されていない場合、前記データ処理装置からの当該処理対象データへのアクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から当該処理対象データを前記ストレージに読み出す読出部と、
該読出部が前記データ処理装置からの前記アクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から前記ストレージに当該処理対象データを読み出す場合、前記読出部による読出処理時間が、予め設定された第1所定時間だけ経過したことを検知する第1タイマと、
該第1タイマによる前記第1所定時間の検知後、前記読出部による処理が継続中である場合、正常動作中であることを示す信号を前記データ処理装置に対して送信する第1応答部とをそなえて構成され、
前記データ処理装置が、
前記第1応答部から正常動作中であることを示す信号を受信した場合、当該処理対象データへのアクセス要求を再発行させる対応部をそなえて構成されていることを特徴とする、情報処理システム。
【請求項2】
前記ストレージ装置が、
前記アクセス要求を受信した後の時間が、前記第1タイマによって検知される前記第1所定時間よりも長い第2所定時間だけ経過したことを検知する第2タイマと、
該第2タイマによる前記第2所定時間の検知後、前記第1応答部から前記信号の送信が行なわれない場合、前記ストレージ装置における処理に異常が発生したことを示すエラー信号を前記データ処理装置に対して送信する第2応答部とをそなえて構成されていることを特徴とする、請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
データを保持するライブラリ装置と、前記データを処理対象とするデータ処理装置との間に介装されるストレージ装置であって、
前記ライブラリ装置におけるデータの一部を前記データ処理装置からアクセス可能に保持しうるストレージと、
前記データ処理装置の処理対象データが前記ストレージに保持されていない場合、前記データ処理装置からの当該処理対象データへのアクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から当該処理対象データを前記ストレージに読み出す読出部と、
該読出部が前記データ処理装置からの前記アクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から前記ストレージに当該処理対象データを読み出す場合、前記読出部による読出処理時間が、予め設定された第1所定時間だけ経過したことを検知する第1タイマと、
該第1タイマによる前記第1所定時間の検知後、前記読出部による処理が継続中である場合、前記データ処理装置に当該処理対象データへの前記アクセス要求を再発行させるべく、正常動作中であることを示す信号を前記データ処理装置に対して送信する第1応答部とをそなえて構成されていることを特徴とする、ストレージ装置。
【請求項4】
データを保持するライブラリ装置と前記データを処理対象とするデータ処理装置との間に介装され、前記ライブラリ装置におけるデータの一部を前記データ処理装置からアクセス可能に保持しうるストレージを有するストレージ装置を制御する機能をコンピュータに実現させるためのストレージ制御プログラムであって、
前記データ処理装置の処理対象データが前記ストレージに保持されていない場合、前記データ処理装置からの当該処理対象データへのアクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から当該処理対象データを前記ストレージに読み出す読出部、
該読出部が前記データ処理装置からの前記アクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から前記ストレージに当該処理対象データを読み出す場合、前記読出部による読出処理時間が、予め設定された第1所定時間だけ経過したことを検知する第1タイマ、及び、
該第1タイマによる前記第1所定時間の検知後、前記読出部による処理が継続中である場合、前記データ処理装置に当該処理対象データへの前記アクセス要求を再発行させるべく、正常動作中であることを示す信号を前記データ処理装置に対して送信する第1応答部として、前記コンピュータを機能させることを特徴とする、ストレージ制御プログラム。
【請求項5】
データを保持するライブラリ装置と前記データを処理対象とするデータ処理装置との間に介装され、前記ライブラリ装置におけるデータの一部を前記データ処理装置からアクセス可能に保持しうるストレージを有するストレージ装置を制御する機能をコンピュータに実現させるためのストレージ制御プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体であって、
前記ストレージ制御プログラムが、
前記データ処理装置の処理対象データが前記ストレージに保持されていない場合、前記データ処理装置からの当該処理対象データへのアクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から当該処理対象データを前記ストレージに読み出す読出部、
該読出部が前記データ処理装置からの前記アクセス要求に応じて前記ライブラリ装置から前記ストレージに当該処理対象データを読み出す場合、前記読出部による読出処理時間が、予め設定された第1所定時間だけ経過したことを検知する第1タイマ、及び、
該第1タイマによる前記第1所定時間の検知後、前記読出部による処理が継続中である場合、前記データ処理装置に当該処理対象データへの前記アクセス要求を再発行させるべく、正常動作中であることを示す信号を前記データ処理装置に対して送信する第1応答部として、前記コンピュータを機能させることを特徴とする、ストレージ制御プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−146302(P2006−146302A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−331562(P2004−331562)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】