説明

情報処理システム

【課題】記録媒体に記録された異なる価値情報の中から最適なものをユーザの意志に基づき選択可能な操作性のよい情報処理システム、情報処理方法、コンピュータプログラム、および携帯端末を提供する。
【解決手段】異なる価値情報を格納するICチップ110と、ICチップ110の価値情報を利用するためにICチップ110にアクセスするリーダライタ装置200と、を備えた情報処理システム1において、価値情報の利用状況を判断する判断部124と、判断された価値情報の利用状況に従って、異なる価値情報の中から利用可能な価値情報を判別する判別部126と、判別された利用可能な価値情報のいずれを利用するかの選択をICチップ110のユーザから受け付ける受付部142と、リーダライタ装置200を介してICチップ110にアクセスし、選択を受け付ける受付部142が受け付けた価値情報を利用するアクセス部116と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関し、特に、記録媒体に格納された価値情報にアクセス可能な情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気カード、ICチップ付きカード、ICチップ付き携帯端末などは、様々な場面で利用可能になり、利用シーンも多岐にわたってきている。ユーザは複数のカードを所持し、それぞれの利用シーン、たとえば、電子マネー決済、クレジット決済、定期券利用、ポイント利用、クーポン利用などにおいて、その場でユーザによってカードと利用方法を画一的に選択されていた。
【0003】
すなわち、たとえば、自動改札機、電子マネー決済、ETC(Electronic Toll Collection)に代表されるような利用シーンにおいて、カードを1回の動作でカードリーダにアクセスさせて画一的な決済処理しかできないとう問題点があった。
【0004】
このような問題を解決する技術が特許文献に記載されている。特許文献1に記載の携帯電話機を用いた決済システムは、携帯端末とICカード処理装置にて通信を行い、決済処理を行うシステムであって、ユーザの携帯端末ボタンの操作による選択または決済金額によって電子マネー、クレジット、デビットなどの支払い方法を変更できるものである。
【0005】
また、特許文献2に記載された自動改札機による情報提供システムは、改札口に携帯端末またはICカードをかざすことにより、携帯端末のアプリケーションを起動して、状況に応じた情報をユーザに提供するものである。例として、入場と退場別に必要とされる異なる情報、駅や時間に合わせた情報、利用者の性別、年齢、嗜好などに応じた情報を提供することが記載されている。
【特許文献1】特開2002−109427号公報
【特許文献2】特開2007−18151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。
たとえば、1回の動作、たとえば、ICカードをリーダライタ装置に接触させたり、通過させたりすることで、全ての処理を確定的に完結してしまわなければならない点である。その理由は、携帯端末装置を所持しているユーザが、そもそも1回の動作を行ったことで、アクセス、たとえばICカードに記録されている価値情報の読み取り、書き込み、変更、削除の単独または複合処理を行うこと、を完結できる程度に簡略化した仕組みしか想定していないためである。
【0007】
また、たとえば、利用金額に応じて、電子マネーおよびクレジットのいずれで支払うかを選択することは上記文献にも記載されているが、価値情報の割引率や有効期限などを加味した上で、最適な支払い方法を選択することなどは考慮されていなかった。また、支払い方法の選択を、ユーザに択一的または対話的、あるいは対話型択一的に複数の意思表示をさせることは考慮されていなかった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、記録媒体に記録された異なる価値情報の中から最適なものをユーザの意志に基づき選択可能な操作性のよい情報処理システム、情報処理方法、コンピュータプログラム、並びに携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の情報処理システムは、異なる価値情報を格納する記録媒体と、前記記録媒体の前記価値情報を利用するために前記記録媒体にアクセスするアクセス端末と、を備えた情報処理システムにおいて、
前記価値情報の利用状況を判断する手段と、
判断された前記価値情報の前記利用状況に従って、前記異なる価値情報の中から利用可能な価値情報を判別する手段と、
判別された前記利用可能な価値情報のいずれを利用するかの選択を前記記録媒体のユーザから受け付ける手段と、
前記アクセス端末を介して前記記録媒体にアクセスし、前記選択を受け付ける手段が受け付けた前記価値情報を利用する手段と、を備える。
【0010】
本発明の携帯端末は、異なる価値情報を格納する記録媒体と、
前記価値情報の利用状況を判断する手段と、
判断された前記価値情報の前記利用状況に従って、前記異なる価値情報の中から利用可能な価値情報を判別する手段と、
判別された前記利用可能な価値情報のいずれを利用するかの選択をユーザから受け付ける手段と、
アクセス端末からの前記記録媒体へのアクセスを受け付け、前記選択を受け付ける手段が受け付けた前記価値情報を利用させる手段と、を備える。
【0011】
本発明の情報処理方法は、異なる価値情報を格納する記録媒体において前記価値情報を利用する情報処理方法であって、
前記価値情報の利用状況を判断する手順、
判断された前記価値情報の前記利用状況に従って、前記異なる価値情報の中から利用可能な価値情報を判別する手順、
判別された前記利用可能な価値情報のいずれを利用するかの選択を前記記録媒体のユーザから受け付ける手順、
前記記録媒体の前記価値情報を利用するアクセス端末から前記記録媒体にアクセスさせ、前記選択を受け付ける手順で受け付けた前記価値情報を利用させる手順、を含む。
【0012】
本発明のコンピュータプログラムは、異なる価値情報を格納する記録媒体にアクセス可能なコンピュータに、
前記価値情報の利用状況を判断する手順、
判断された前記価値情報の前記利用状況に従って、前記異なる価値情報の中から利用可能な価値情報を判別する手順、
判別された前記利用可能な価値情報のいずれを利用するかの選択を前記記録媒体のユーザから受け付ける手順、
前記記録媒体の前記価値情報を利用するアクセス端末から前記記録媒体にアクセスさせ、前記選択を受け付ける手順で受け付けた前記価値情報を利用させる手順、を実行させるためのものである。
【0013】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0014】
また、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【0015】
また、本発明の情報処理方法およびコンピュータプログラムには複数の手順を順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の手順を実行する順番を限定するものではない。このため、本発明の情報処理方法およびコンピュータプログラムを実施するときには、その複数の手順の順番は内容的に支障しない範囲で変更することができる。
【0016】
さらに、本発明の情報処理方法およびコンピュータプログラムの複数の手順は個々に相違するタイミングで実行されることに限定されない。このため、ある手順の実行中に他の手順が発生すること、ある手順の実行タイミングと他の手順の実行タイミングとの一部ないし全部が重複していること、等でもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、記録媒体に記録された異なる価値情報の中から最適なものをユーザの意志に基づき選択可能な操作性のよい情報処理システム、情報処理方法、コンピュータプログラム、並びに携帯端末が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る情報処理システム1の構成を示す機能ブロック図である。
本発明の実施の形態に係る情報処理システム1は、異なる価値情報を格納する記録媒体(ICチップ110)と、記録媒体(ICチップ110)の価値情報を利用するために記録媒体(ICチップ110)にアクセスするアクセス端末(リーダライタ装置200)と、を備えた情報処理システム1において、価値情報の利用状況を判断する判断部124と、判断された価値情報の利用状況に従って、異なる価値情報の中から利用可能な価値情報を判別する判別部126と、判別された利用可能な価値情報のいずれを利用するかの選択を記録媒体(ICチップ110)のユーザから受け付ける受付部142と、アクセス端末(リーダライタ装置200)を介して記録媒体(ICチップ110)にアクセスし、選択を受け付ける受付部142が受け付けた価値情報を利用するアクセス部116と、を備える。
【0020】
本発明において、記録媒体は、磁気記録媒体(たとえば、磁気カード)、IC記録媒体(たとえば、ICカード)、または、携帯端末に搭載されるIC記録媒体である。また、携帯端末(携帯端末装置100)は、たとえば、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistants)、ゲーム機などである。また、本実施形態では、ICチップ付き携帯電話機を例として以下説明する。
【0021】
本実施形態において、記録媒体(ICチップ110)は、ユーザの携帯端末(携帯端末装置100)に搭載され、携帯端末(携帯端末装置100)は、アクセス端末(リーダライタ装置200)が記録媒体(ICチップ110)にアクセスできるようにアクセス端末(リーダライタ装置200)と無線通信する通信部114と、利用可能な価値情報または当該価値情報に関する情報をユーザに提示する提示部140と、提示部140により提示された利用可能な価値情報の中から利用する価値情報の選択をユーザから受け付ける受付部142と、選択された価値情報を、アクセス端末(リーダライタ装置200)と通信して利用するアクセス部116と、を含む。
【0022】
図2は、図1の携帯端末装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
本実施形態の携帯端末装置100は、たとえば、ICチップ付き携帯電話機であり、CPU(Central Processing Unit)150と、ROM(Read Only Memory)152と、RAM(Random Access Memory)154と、通信部156と、移動通信用アンテナ158と、表示部160と、表示制御部162と、操作部164と、操作受付部166と、ICチップ168と、IC用アンテナ170と、を備えている。
【0023】
CPU150は、携帯端末装置100の各要素とバス172を介して接続され、各要素とともに携帯端末装置100全体を制御する。ROM152は、携帯端末装置100を動作させるためのプログラムや、そのプログラムが動作する際に使用する各種設定データなどを記憶する。RAM154は、プログラムが動作するための作業領域や、送受信メールのバッファなど一時的にデータを記憶する領域を有する。
【0024】
操作部164は、操作キー、操作ボタン、スイッチ、ジョグダイヤル、タッチパッドなどを含む。操作受付部166は、携帯端末装置100のユーザによる操作部164の操作を受け付け、CPU150に通知する。表示部160は、LED(Light Emitting Diode)表示器や、液晶ディスプレイ、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイなどを含む。表示制御部162は、CPU150からの指示に従い、表示部160に各種画面表示を行う。
【0025】
通信部156は、移動通信用アンテナ158を介して、携帯通信網(不図示)に基地局(不図示)を介して接続して通信する。ICチップ168は、IC用アンテナ170を介して図1のリーダライタ装置200と通信する。ICチップ168は、微小な無線チップであり、たとえば、RFID(Radio Frequency IDentification)である。RFIDは、固有の情報が書き込まれたメモリ(不図示)を含み、電磁界や電波などを用いた近距離の無線通信によってIC用アンテナ170を介してリーダライタ装置200(図1)と情報をやりとり、書き込みを行うものである。
【0026】
本実施形態のICチップ168は、図1のICチップ110に相当し、図1の価値情報記憶部112はICチップ168のメモリに含まれる。
【0027】
図1に戻り、本発明において、価値情報記憶部112に記憶される価値情報は、プリペイド型電子マネー情報、クレジット情報、有価証券情報、デビット情報、ポイント情報、定期券情報、回数券情報、またはクーポン情報など、異なる複数の価値情報を含むことができる。
【0028】
本発明において、アクセス端末は、記録媒体(ICチップ110)の価値情報を読み書きするリーダライタ装置200を備えた自動改札機、券売機、レジ端末、自動販売機、POS端末、入出門ゲート、またはコンピュータを含むことができる。
なお、各図において、本発明の本質に関わらない部分の構成については省略してあり、図示されていない。
【0029】
また、情報処理システム1の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウェアとソフトウェアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。以下説明する各図は、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0030】
具体的には、情報処理システム1は、携帯端末装置100およびリーダライタ装置200を備えている。携帯端末装置100は、ICチップ110と、利用状況取得部120と、利用状況記憶部(図中、「利用状況」と示す)122と、判断部124と、判別部126と、優先順位記憶部(図中、「優先順位」と示す)128と、登録部130と、提示部140と、受付部142と、選択部144と、を含む。
【0031】
ICチップ110は、価値情報記憶部(図中、「価値情報」と示す)112と、通信部114と、アクセス部116と、を含み、価値情報記憶部112に記憶された価値情報を、通信部114を介して接続されたリーダライタ装置200と無線通信することで、アクセス部116により読み書きするものである。アクセス部116は、リーダライタ装置200からのアクセスを受け付け、選択部144から選択された価値情報の通知を受け、リーダライタ装置200に利用させる。
【0032】
リーダライタ装置200は、ICチップ110の価値情報記憶部112に記憶された価値情報を利用するためにICチップ110にアクセスする。ここで、アクセスとは、たとえば、携帯端末装置100のICチップ110のメモリに格納されている情報の読み取り、書き込み、変更、削除等のいずれか単独またはこれらの組み合わせの処理を行うことである。
【0033】
携帯端末装置100において、利用状況取得部120は、ICチップ110の価値情報をユーザが利用する際の様々な状況の情報を取得し、利用状況記憶部122に一時的に記憶する。なお、利用状況取得部120が各種情報を価値情報記憶部112やアクセス部116から取得するが、利用状況によって取得先は様々であり、限定されないため、図中、利用状況取得部120への信号ラインは省略してある。
【0034】
たとえば、ユーザが自動改札機を通過して電車に乗車する場合、利用状況取得部120は、通信部114を介してアクセス部116がリーダライタ装置200から取得した情報に基づいて、本動作が、ユーザが自動改札機を通過したことを契機としていることを認識する。これにより、利用状況取得部120は、判断に必要と考えられる各種の情報を取得する。すなわち、利用状況取得部120は、ICチップ110が自動改札機に含まれるリーダライタ装置200と通信を行い、乗車駅や乗車日時、初乗り料金等の情報と、この電車に乗車したときに複数の価値情報の中から利用可能な価値情報が何であるかを判断した上で、価値情報記憶部112に記憶される定期券情報、回数券情報、および電子マネー情報を取得する。そして、利用状況取得部120は、さらに後述する判断部124で使用される定期券情報に含まれる定期券の利用可能区間や有効期限、回数券情報に含まれる回数券の利用可能区間や有効期限、電子マネー情報に含まれる電子マネーの残高金額などの情報などを取得し、価値情報記憶部112に記憶する。
【0035】
判断部124は、価値情報の利用状況を判断する。すなわち、利用状況取得部120によって取得され、利用状況記憶部122に記憶された各種利用状況の情報に基づいて、利用状況を判断する。たとえば、上述のユーザが自動改札機を通過して電車に乗車した場合、判断部124は、利用状況記憶部122に記憶された乗車駅や乗車日時、初乗り料金等の情報と、定期券情報、回数券情報、および電子マネー情報を取得する。そして、判断部124は、定期券情報に含まれる定期券の利用可能区間や有効期限、回数券情報に含まれる回数券の利用可能区間や有効期限、電子マネー情報に含まれる電子マネーの残高金額などの情報から利用状況を判断する。すなわち、乗車駅が、定期券や回数券の利用可能区間であるか否か、乗車日時が定期券や回数券の有効期限内であるか否か、電子マネーの残高金額が初乗り料金以上残っているか否か、などの判断を行う。
【0036】
判別部126は、判断部124によって判断された価値情報の利用状況に従って、異なる価値情報の中から利用可能な価値情報を判別する。たとえば、乗車駅が定期券の利用区間でなければ、定期券は利用可能な価値情報でないと判別する。乗車駅が回数券の利用区間内であれば、回数券は利用可能な価値情報と判別する。電子マネーの残高金額が初乗り料金以上残っていれば、電子マネーが利用可能な価値情報と判別する。すなわち、判別部126によって、回数券および電子マネーが利用可能な価値情報として判別され、定期券は利用不可能な価値情報として判別されることとなる。
【0037】
優先順位記憶部128は、異なる価値情報の利用の優先順位を記憶する。登録部130は、後述する受付部142が受け付けたユーザによって指定した各価値情報の利用の優先順位の設定に従って、異なる価値情報の利用の優先順位を優先順位記憶部128に登録する。また、優先順位記憶部128には、初期値として各価値情報の利用の優先順位を予め記憶しておくこともできる。すなわち、ユーザからの指定がない場合に、初期値の優先順位が使用されることとなる。あるいは、事前にユーザがいずれの価値情報を使用するかの選択を受付部142が受け付け、優先順位記憶部128に規定値として登録することもできる。本実施形態においては、規定値として登録する場合について説明する。
【0038】
そして、上述した判別部126は、さらに、優先順位記憶部128にアクセスし、利用可能と判断された優先順位に従って、利用可能と判別した価値情報の優先順位を決定する。
【0039】
提示部140は、判別部126によって判別された利用可能な価値情報をユーザに提示する。たとえば、提示部140は、図2の表示部160に図7(a)に示すような価値情報選択画面500を表示し、利用可能価値情報選択欄504として、利用可能な価値情報を表示する。また、利用可能な価値情報は、優先順位記憶部128にて指定されている優先順位に従って、ユーザに提示するのがより好ましい。あるいは、ユーザが選択を意図的にしないことも可能であり、その場合、アクセス部116は、優先順位記憶部128にて指定されている優先順位または規定値にしたがって、自動的に利用する価値情報を選択してアクセスすることができる。
【0040】
受付部142は、図2の表示部160に表示された各種設定画面や操作画面上で、ユーザによる図2の操作部164の操作を受け付ける。受付部142は、図2の操作受付部166に相当する。たとえば、図7(a)の価値情報選択画面500の操作指示メッセージ欄502のメッセージに従って、ユーザは、携帯端末装置100の数字ボタンを操作し、利用可能価値情報選択欄504に表示された複数の価値情報の中から使用する価値情報を選択することができる。この選択された価値情報を受付部142は受け付けて選択部144に通知する。選択部144は、受付部142が受け付けたユーザによって選択された価値情報をアクセス部116に通知し、アクセス部116に価値情報記憶部112に記憶されている複数の価値情報の中から使用する価値情報を選択させる。
【0041】
このように構成された本実施形態の情報処理システム1の動作について、以下に説明する。
図3は、本実施形態の情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
本実施の形態の情報処理システム1は、携帯端末装置100に実装されているコンピュータプログラムに対応して各種の処理動作を実行することにより、前述のような各種手段110〜144が各種機能として実現されている。
【0042】
本実施形態のコンピュータプログラムは、異なる価値情報を格納する記録媒体(ICチップ110)にアクセス可能なコンピュータ(携帯端末装置100)に、価値情報の利用状況を判断する手順(S21)、判断された価値情報の利用状況に従って、異なる価値情報の中から利用可能な価値情報を判別する手順(S23)、判別された利用可能な価値情報のいずれを利用するかの選択を記録媒体(ICチップ110)のユーザから受け付ける手順(S29)、記録媒体(ICチップ110)の価値情報を利用するアクセス端末(リーダライタ装置200)から記録媒体(ICチップ110)にアクセスさせ、選択を受け付ける手順(S29)で受け付けた価値情報を利用させる手順(S31およびS33)、を実行させるように記述されている。
【0043】
本実施形態において、コンピュータプログラムは、たとえば、携帯端末装置100がリーダライタ装置200と通信を行うことを契機に起動されるようにしてもよい。
【0044】
上述のような構成において、本実施の形態の情報処理システム1による情報処理方法を以下に説明する。
【0045】
本実施形態の情報処理方法は、異なる価値情報を格納する記録媒体において価値情報を利用する情報処理方法であって、価値情報の利用状況を判断する手順(S21)、判断された価値情報の利用状況に従って、異なる価値情報の中から利用可能な価値情報を判別する手順(S23)、判別された利用可能な価値情報のいずれを利用するかの選択を記録媒体のユーザから受け付ける手順(S29)、記録媒体の価値情報を利用するアクセス端末から記録媒体にアクセスさせ、選択を受け付ける手順(S29)で受け付けた価値情報を利用させる手順(S31およびS33)、を含む。
【0046】
具体的には、図3に示すように、はじめに、携帯端末装置100において、事前にユーザが、いずれの価値情報を使うかの意思表示の決定を行うか否かによって、処理が分かれる。すなわち、事前にユーザが、いずれの価値情報を使うかの意思表示を決定しない場合(S11のNO)、ステップS13〜S15はバイパスし、ステップS17へ進む。一方、事前にユーザが、いずれの価値情報を使うかの意思表示の決定を行う場合(S11のYES)、ステップS13へ進む。
【0047】
そして、ステップS13では、受付部142が、事前にユーザがいずれの価値情報を使用するかの選択を受け付け、登録部130が優先順位記憶部128に規定値として登録する(S15)。そして、ステップS17に進み、携帯端末装置100のICチップ110へのリーダライタ装置200からのアクセスを待機する(S17のNO)。このとき、ユーザは携帯端末装置100を携行し、価値情報の利用を待機している状態である。
【0048】
そして、ユーザがリーダライタ装置200の側を通過、またはリーダライタ装置200に携帯端末装置100を接近させてICチップ110の情報の読み取りを実行させたとき、あるいは、磁気カードやICカードの場合、リーダライタ装置200に読み取らせたときに、リーダライタ装置200からのアクセス要求により(S51)、リーダライタ装置200と通信部114を介して通信が行われ、アクセス部116が通信部114を介してリーダライタ装置200からのアクセスを検知し(S17のYES)、ステップS19へ進む。
【0049】
なお、リーダライタ装置200から携帯端末装置100のICチップ110へのアクセスとは、たとえば、携帯端末装置100のICチップ110のメモリに格納されている情報の読み取り、書き込み、変更、削除等のいずれか単独またはこれらの組み合わせの処理を行うことである。
【0050】
そして、利用状況取得部120が利用状況を取得し、利用状況記憶部122に一時的に記憶する(S19)。そして、判断部124が利用状況記憶部122にアクセスし、利用状況を判断する(S21)。そして、判別部126が、利用状況記憶部122にアクセスし、現在の利用状況に従って、利用可能な価値情報を判別する(S23)。
【0051】
そして、ステップS23で判別された利用可能な価値情報が、たとえば、複数あり、ユーザによって選択可能な場合(S25のYES)、たとえば、図7(a)に示す価値情報選択画面500を携帯端末装置100の表示部160に表示させてユーザに利用可能な価値情報を提示して、選択を促す(S27)。そして、たとえば、ユーザが操作部164を操作して、利用可能価値情報選択欄504に提示された数字の中から利用する価値情報に対応する数字を選択し、受付部142が受け付けると(S29)、利用する価値情報の選択を選択部144がアクセス部116に通知して、アクセス部116が通信部114を介してリーダライタ装置200に通知する(S31)。
【0052】
そして、リーダライタ装置200では、携帯端末装置100から使用する価値情報を受信し(S53)、受信した使用する価値情報を利用するために、リーダライタ装置200が、通信部114を介してアクセス部116に価値情報記憶部112へアクセスさせる(S55)。携帯端末装置100では、リーダライタ装置200からのアクセス要求に応じて、アクセス部116が価値情報記憶部112に記憶されている価値情報の中から使用する価値情報へアクセスさせる(S33)。
【0053】
また、ステップS25において、利用可能な価値情報をユーザが選択する余地がない場合や予め使用する価値情報が事前に登録されているような場合、あるいは、ユーザが未確定のまま処理が進んだ場合など(S25のNO)、ステップS35へ進む。
【0054】
ユーザによる事前登録がなされている場合(S35のYES)、事前に登録された価値情報を利用することに確定され(S37)、ステップS31に進む。一方、事前登録がなされていない場合(S35のNO)、時刻や他のイベントを契機に使用する価値情報を決定し(S39)、ステップS31へ進む。
【0055】
以上説明したように、本発明の実施の形態の情報処理システム1によれば、携帯端末装置100において、ICチップ110の価値情報記憶部112に格納されている複数の価値情報の中からいずれを利用するかを、ユーザに択一的または対話的、または対話型択一的に複数の意思表示をさせることができる。
【0056】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
たとえば、上記実施形態では、情報処理システム1の携帯端末装置100に本発明の実施形態に係るコンピュータプログラムをインストールして実行させる構成としたが、これに限定されるものではなく、たとえば、リーダライタ装置200を介して接続される他のコンピュータ上で本発明の情報処理システム1のコンピュータプログラムを実行させ、リーダライタ装置200を介して携帯端末装置100のICチップ110にアクセスし、相互に必要な情報を送受信しながら、他のコンピュータ上から、携帯端末装置100の表示部160や操作部164を制御して、操作はユーザに携帯端末装置100でさせることで、ユーザの意思表示を選択させるように構成することもできる。
【0057】
他の実施形態の情報処理システムにおいて、アクセス端末(リーダライタ装置200)に接続された管理装置(不図示)をさらに備え、管理装置は、記録媒体(ICチップ110)に記録されている価値情報を、アクセス端末(リーダライタ装置200)を経由して受信する受信部(不図示)と、価値情報を記録媒体(ICチップ110)の識別情報に関連付けてデータベース(不図示)に蓄積する蓄積部(不図示)と、を備えてもよい。
【0058】
また、上記実施形態において、ユーザに利用する価値情報の選択を促す画面を携帯端末装置100の表示部160に表示する場合について、説明したが、これに限定されない。たとえば、リーダライタ装置200に接続された外部端末(不図示)の表示部、たとえば、コンビニエンスストアなどのレジスタの表示部など、に表示させ、ユーザがタッチパネルにタッチ、または店員が操作することで選択を受け付けることもできる。外部端末上で選択された価値情報は、リーダライタ装置200から携帯端末装置100に通信部114を介して送信することができる。
【0059】
また、他の実施形態において、回数券やクーポン、ポイント割引などの使用履歴から最適な価値情報の利用ケースを求め、ユーザに通知する構成とすることができる。
【0060】
他の実施形態の情報処理システムにおいて、利用可能な価値情報のそれぞれの割引率を算出する算出部(不図示)を備えることができる。また、価値情報を利用するアクセス部116は、利用可能な価値情報の割引率の高い順に価値情報を利用してもよい。さらに、他の実施形態の情報処理システムは、価値情報の利用履歴を記録する記録部(不図示)をさらに備えてもよく、判断部124は、価値情報の利用履歴を使用して利用状況を判断することができる。また、他の実施形態の情報処理システムは、価値情報の利用履歴に基づいて、最適な価値情報を判別する判別部(不図示)をさらに備えてもよい。また、アクセス部116は、判別された最適な価値情報を自動的に利用することができる。また、提示部140は、判別された最適な価値情報をユーザに提示することもできる。
【0061】
ここで、回数券を例として、説明する。たとえば、ICチップ付き携帯電話機100aのICチップ110の価値情報記憶部112に格納される回数券は、たとえば、5枚組、10枚組、等、複数種の購入形態があり、それぞれ割引率、あるいは、有効利用期間も異なるものとする。
【0062】
利用状況取得部120および判断部124は、ユーザがICチップ付き携帯電話機100aのICチップ110の価値情報記憶部112に保持していた回数券の有効期限が切れてしまった回数券の残り回数を取得し、さらに、記録部に記録された使用履歴を参照して、ユーザの所定区間の利用頻度などを統計的に集計し、有効期限内では、何回分の回数券の発行が適切かを計測する。
【0063】
たとえば、所定回数以上の回数券が使用されている区間にて、所定の期間内に回数券の有効期限が切れた頻度が閾値を超えたか否かを判別し、閾値を超えた場合に、従来の回数券の枚数から、最も多かった期限切れの残り回数を減じたものを次回以降の回数券の枚数にする、などの処理を行うことができる。
【0064】
なお、上記実施形態を構成する手段は、リーダライタ装置200、またはリーダライタ装置200に接続されたサーバ装置、あるいは、ICチップ付き携帯電話機100aのいずれかに備えることができる。
【0065】
また、回数券を全部使い終わったタイミングで、次回以降の、最適な回数券の購入枚数をユーザに通知する通知部(不図示)を設けてもよい。通知部は、ICチップ付き携帯電話機100aの表示部160への表示、ユーザが予め指定したメールアドレスへのメール送信、本システムを利用する会員向けのウェブサイト上への通知など、様々な形態が考えられる。
【0066】
さらに、回数券の購入手続き画面を表示部160に表示し、画面の指示に従って、操作することで、ICチップ付き携帯電話機100a上で回数券の購入手続きを行うこともできる。
【実施例】
【0067】
(実施例1)
図4は、本発明の第1実施例の構成を示すブロック図である。
本実施例において、携帯端末装置100は、ICチップ付き携帯電話機100aであり、リーダライタ装置200は、自動改札機300に内蔵されている。さらに、リーダライタ装置200は、センターデータベース400にネットワーク(不図示)などを介して接続され、リーダライタ装置200がICチップ付き携帯電話機100aから取得した情報を価値情報データベース(DB)420に蓄積する。センターデータベース400は、価値情報データベース420に蓄積される情報を管理する。
【0068】
ICチップ付き携帯電話機100aは、端末ID記憶部(図中、「端末ID」と示す)180と、価値情報記憶部112を含むICチップ110を備える。端末ID記憶部180には、ICチップ付き携帯電話機100aを識別する端末IDが格納される。本実施例において、端末IDは、1234567890とする。
【0069】
本実施例において、価値情報記憶部112には、価値情報として、定期券情報182、回数券情報184、電子マネー情報186が格納されている。そして、リーダライタ装置200によってICチップ付き携帯電話機100aから読み取られた価値情報と端末IDは、ICチップ付き携帯電話機100aの端末IDと価値情報を関連付けて端末別価値情報430として価値情報データベース420に格納される。端末別価値情報430は、端末ID431ごとに、各種価値情報、たとえば、定期券情報432、回数券情報433、電子マネー情報434、ポイント情報435などを含む。
【0070】
本実施例において、ICチップ付き携帯電話機100aに対応する端末別価値情報430は、図5(a)に示すような情報が保持しているものとする。
【0071】
以下、本実施例の情報処理システム1の動作について説明する。
図6は、本実施例の情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図1、図2、および図4〜図7を用いて説明する。ここでは、池袋駅から田端駅まで回数券を使って電車に乗車する場合の動作について説明する。
【0072】
まず、端末IDが1234567890であるICチップ付き携帯電話機100aを、池袋駅の自動改札機300のIC読取部(不図示)にユーザがタッチして入る(S101)。なお、乗車日は、2007年8月15日とする。このとき、ICチップ付き携帯電話機100aと自動改札機300のリーダライタ装置200との間で通信が行われ、ICチップ付き携帯電話機100aのICチップ110の情報がリーダライタ装置200を介して、センターデータベース400に送信され、センターデータベース400にユーザの池袋駅における入場が受け付けられ、管理される。
【0073】
そして、ICチップ付き携帯電話機100aにおいて、本実施形態のコンピュータプログラムが起動され、利用状況取得部120が、通信部114を介してアクセス部116がリーダライタ装置200から取得した乗車駅の情報とともに、自動改札機300をユーザが通過した動作を契機としてプログラムが起動されていることを認識し、それにより、判断に必要と考えられる各種の情報、すなわち、定期券情報182、回数券情報184、電子マネー情報186を価値情報記憶部112から取得する(S103)。
【0074】
そして、判断部124が、乗車駅である池袋駅は、定期券の区間外であること、回数券は、区間内かつ有効期限内であること、そして、電子マネーは乗車駅からの初乗り料金以上の残高が残っていることを判断する(S105)。そして、判別部126は、定期券は利用できず、回数券と電子マネーのどちらかが利用可能であると判別する(S107)。
【0075】
そして、提示部140は、ICチップ付き携帯電話機100aの表示部160に図7(a)に示す価値情報選択画面500を表示する(S109)。これにより、ユーザに回数券および電子マネーのどちらかが利用可能であることを通知するとともに、いずれを選択するかの選択を促すこととなる。
【0076】
ユーザが価値情報選択画面500の指示に従って、回数券および電子マネーのいずれを使用するかを決定し、操作部164を操作する(S111)。あるいは、この時点は、何も選択しないことも可能である。受付部142が選択の操作を受け付け、選択部144が選択された価値情報をアクセス部116に伝える。
【0077】
たとえば、回数券が選択された場合(S113の回数券)、アクセス部116は、選択部144から回数券が選択された旨の通知を受け、価値情報記憶部112にアクセスし、価値情報の回数券情報184の回数券1枚を使用中と記録し(S115)、ステップS121に進む。また、電子マネーが選択された場合(S113の電子マネー)、アクセス部116は、選択部144から電子マネーが選択された旨と通知を受け、価値情報記憶部112にアクセスし、価値情報の電子マネー情報186の残金から初乗り料金分を減額し(S117)、ステップS121に進む。さらに、この時は、ユーザが何も選択しなかった場合(S113の選択なし)、規定時間が経過時に、規定値で決定されている内容で、使用する価値情報を確定するものとし(S119)、ステップS121に進む。
【0078】
そして、ユーザは、池袋から田端まで電車に乗車したとする(S121)。そして、田端駅で下車し、自動改札機300にタッチして出てくる(S123)。このとき、ICチップ付き携帯電話機100aと自動改札機300のリーダライタ装置200との間で通信が行われ、ICチップ付き携帯電話機100aのICチップ110の情報がリーダライタ装置200を介して、センターデータベース400に送信され、センターデータベース400にユーザの田端駅における退場が受け付けられ、管理される。
【0079】
そして、上記までに選択された、または、事後的にユーザが選択した、あるいは、規定値によって確定した、使用する価値情報によって、処理が分岐する。すなわち、回数券が選択されていた場合(S125の回数券)、価値情報の回数券情報184の回数券1枚使用中の情報を削除し、結果的に回数券の残り枚数が4枚となり(S129)、終了する。電子マネーが選択されていた場合(S125の電子マネー)、価値情報の電子マネー情報186から実際の乗車料金が精算され(S131)、終了する。また、選択なしの場合(S125の選択なし)、規定値で決定されている内容で確定される(S127)。
【0080】
次に、田端駅から田町駅まで定期券使って電車に乗車する場合の動作について説明する。図8および図9は、本実施例の情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図1、図2、図4、図5、および、図7〜図9を用いて説明する。なお、図6と同じステップには同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0081】
まず、受付部142が受け付けたユーザの指示操作に基づいて、登録部130が、事前に、定期券で改札を通ることを規定値として優先順位記憶部128に登録する(S151)。そして、端末IDが1234567890であるICチップ付き携帯電話機100aを、田端駅の自動改札機300にユーザがタッチして入る(S153)。このとき、ICチップ付き携帯電話機100aと自動改札機300のリーダライタ装置200との間で通信が行われ、ICチップ付き携帯電話機100aのICチップ110の情報がリーダライタ装置200を介して、センターデータベース400に送信され、センターデータベース400にユーザの田端駅における入場が受け付けられ、管理される。
【0082】
そして、ステップS103の後、判断部124が、乗車駅である田端駅は、定期券の区間内であること、回数券は、区間内かつ有効期限内であること、そして、電子マネーは乗車駅からの初乗り料金以上の残高が残っていることを判断する(S155)。そして、判別部126は、定期券、回数券、および電子マネーの全てが利用可能であると判別する(S157)。
【0083】
そして、提示部140は、ICチップ付き携帯電話機100aの表示部160に、定期券、回数券、および電子マネーのいずれを使用するかの選択を促す価値情報選択画面を表示する(S159)。これにより、ユーザに定期券、回数券、および電子マネーの全てが利用可能であることを通知するとともに、いずれを選択するかの選択を促すこととなる。
【0084】
ユーザが価値情報選択画面の指示に従って、いずれの価値情報を使用するかを決定し、操作部164を操作する(S161)。あるいは、この時点は、何も選択しないことも可能である。受付部142が選択の操作を受け付け、選択部144が選択された価値情報をアクセス部116に伝える。
【0085】
ここで、いずれかの価値情報が選択された場合(S163のYES)、選択された価値情報で図6のS115やS117と同様な処理が行われ(S167)、ステップS169に進む。一方、何も選択されなかった場合(S163のNO)、ステップS151で事前に優先順位記憶部128に登録されていた規定値の定期券が暫定的に選択され(S165)、ステップS169に進む。
【0086】
そして、ユーザは、田端から田町まで電車に乗車したとする(S169)。そして、田町駅で下車し、自動改札機300にタッチして出てくる(S171)。このとき、ICチップ付き携帯電話機100aと自動改札機300のリーダライタ装置200との間で通信が行われ、ICチップ付き携帯電話機100aのICチップ110の情報がリーダライタ装置200を介して、センターデータベース400に送信され、センターデータベース400にユーザの田町駅における退場が受け付けられ、管理される。
【0087】
そして、再度、利用状況取得部120が、通信部114を介してアクセス部116がリーダライタ装置200から取得した下車駅の情報とともに、自動改札機300をユーザが通過した動作を契機としてプログラムが起動されていることを認識し、それにより、判断に必要と考えられる各種の情報、すなわち、定期券情報、回数券情報、電子マネー情報を価値情報記憶部112から取得する(S173)。
【0088】
そして、判断部124が、下車駅である田町駅は、定期券の区間内であること、回数券は、区間外であること、そして、電子マネーは乗車区間利用料金以上の残高が残っていることを判断する(S175)。そして、判別部126は、回数券は利用できず、定期券と電子マネーのどちらかが利用可能であると判別する(S177)。
【0089】
そして、上記までに選択された、または、事後的にユーザが選択した、あるいは、規定値によって確定した、使用する価値情報によって、処理が分岐する。すなわち、価値情報の選択が既になされている場合(S179のYES)、ステップS183に進む。一方、価値情報の選択が未だになされていない場合(S179のNO)、ステップS181に進む。ステップS181では、規定値である定期券利用を確定し、価値情報記憶部112の価値情報の回数券情報184および電子マネー情報186などは変化しない(S181)。そして、終了する。
【0090】
ステップS183では、使用する価値情報によって、さらに処理を分岐される。すなわち、定期券が選択されている場合、ステップS181に進む。回数券が選択されている場合、回数券は利用できないことをユーザに警告し、定期券および電子マネーのいずれを使用するかの選択を促す警告および選択画面520(図7(b))をICチップ付き携帯電話機100aの表示部160に表示する(S185)。ユーザは、警告および選択画面520の警告メッセージ欄522に表示された警告メッセージにより、回数券が使用できないことを認識することができる。また、警告および選択画面520の操作指示メッセージ欄524により、さらに使用する価値情報を選択することを促される。このとき、利用可能価値情報選択欄526には、定期券と電子マネーが表示されるが、定期券が推奨されることを示す推奨指示欄528が併せて表示され(S185)、ステップS187に進む。一方、ステップS183で、電子マネーが選択された場合、図6と同様のステップS131に進み、その後終了する。
【0091】
ステップS187では、ユーザが警告および選択画面520に従って、いずれの価値情報を使用するかを決定し、操作部164を操作する。そして、使用する価値情報の選択に応じて、さらに処理が分岐する。すなわち、定期券の場合、ステップS181に進む。電子マネーの場合ステップS131に進む。
【0092】
また、選択なしの場合、一定時間経過後に、規定値で精算処理される、または、不確定状態となり、窓口やその他の方法で精算するまで、ICチップ付き携帯電話機100aのICチップ110は、動作せず、ICチップ付き携帯電話機100aを使用できなくする(S189)。
【0093】
(実施例2)
本実施例において、携帯端末装置100は、上記実施例と同様に、ICチップ付き携帯電話機100aであり、リーダライタ装置200は、スーパーやコンビニエンスストアなどのレジスタ(不図示)に内蔵されているものとする。さらに、図4と同様に、ICチップ付き携帯電話機100aは、センターデータベース400にネットワークなどを介して接続され、リーダライタ装置200がICチップ付き携帯電話機100aから取得した情報を価値情報データベース420に蓄積する。センターデータベース400は、価値情報データベース420に蓄積される情報を管理する。
【0094】
以下、本実施例の情報処理システム1の動作について説明する。図10は、本実施例の情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図1、図2、図4、図5、図10を用いて説明する。ここでは、ユーザがスーパーの店舗Aで商品を購入する場合の動作について説明する。このスーパーでは、電子マネーによる買い物が可能であるとともに、ユーザはこのスーパーの会員になっており、会員のポイントを利用しても買い物が可能であるものとする。
【0095】
また、本実施例において、ICチップ付き携帯電話機100aに対応する端末別価値情報430は、図5(b)に示すような情報が保持しているものとする。すなわち、端末別価値情報430のポイント情報435が1000ポイント溜まっている。なお、本実施形態では、ポイント情報にはポイント残高のみが含まれているが、これに限定されず、ポイントの有効期限を含み、有効期限を利用状況の判断に用いることもできる。
【0096】
まず、店舗Aの会計でレジスタに必要な情報を店員が入力する。入力された情報、ここでは、商品およびその金額、すなわち100円の消しゴムを購入したことを示す情報をレジスタが受け付ける(S201)。そして、決済のために、レジスタのIC読取部(不図示)にICチップ付き携帯電話機100aでタッチする(S203)。このとき、ICチップ付き携帯電話機100aとレジスタのリーダライタ装置200との間で通信が行われ、ICチップ付き携帯電話機100aのICチップ110の情報がリーダライタ装置200を介して、センターデータベース400に送信され、センターデータベース400にユーザの店舗Aにおける決済が受け付けられ、管理される。
【0097】
そして、ICチップ付き携帯電話機100aにおいて、本実施形態のコンピュータプログラムが起動される。利用状況取得部120が、通信部114を介してアクセス部116がリーダライタ装置200から取得した店舗情報によりユーザがスーパーで商品購入をしたことを契機としてプログラムが起動されていることを認識し、それにより、判断に必要と考えられる各種の情報、すなわち、店舗Aでは、電子マネーとポイント利用の両方が可能であること、決済金額、電子マネー情報、ポイント情報を価値情報記憶部112から取得する(S205)。
【0098】
そして、判断部124が、電子マネーの残高、およびポイント残高がともに決済金額以上であることを判断する(S207)。そして、判別部126が、電子マネーとポイントのどちらも利用可能であると判別する(S209)。そして、提示部140は、ICチップ付き携帯電話機100aの表示部160に、価値情報選択画面を表示する(S211)。これにより、ユーザに、電子マネーおよびポイントのどちらも利用可能であることを通知するとともに、いずれを選択するかの選択を促すこととなる。
【0099】
ユーザが価値情報選択画面の指示に従って、電子マネーおよびポイントのいずれを使用するかを決定し、操作部164を操作する(S213)。選択された価値情報は受付部142によって受け付けられ、選択部144によってアクセス部116に通知される。ここでは、選択された価値情報によって、処理が分岐する。すなわち、電子マネーが選択された場合(S215の電子マネー)、アクセス部116が、価値情報記憶部112の価値情報から電子マネー情報の残高から決済金額だけ引き去る。すなわち、電子マネーの残高10,000円から100円が減額され、残高が9,900円として、ICチップ110の価値情報記憶部112の電子マネー情報に記録され(S217)、終了する。
【0100】
一方、ポイントが選択された場合(S215のポイント)、アクセス部116が、価値情報記憶部112の価値情報からポイント情報の残高から決済金額に充当する分だけを引き去る。すなわち、ポイントの残高1000ポイントから100円に相当する100ポイントが減額され、残高が900ポイントとして、ICチップ110の価値情報記憶部112のポイント情報に記録され(S219)、終了する。
【0101】
なお、たとえば、代金の一部を、ポイントを利用して決済した後、さらに、残りを電子マネーで決済するなど、複数の価値情報を組み合わせて利用することも可能であり、その場合、上記ステップS213において、利用金額の入力をレジスタを介して受け付け、ICチップ付き携帯電話機100aに通知し、さらにステップS213〜ステップS219を、適宜繰り返せばよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報処理システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1の携帯端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の情報処理システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態の情報処理システムのセンターデータベースの価値情報データベースの構造の一例を示す図である。
【図6】本実施例の情報処理システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の情報処理システムの表示部に表示される画面の例を示す図である。
【図8】本実施例の情報処理システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】本実施例の情報処理システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【図10】本実施例の情報処理システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0103】
1 情報処理システム
100 携帯端末装置
100a ICチップ付き携帯電話機
110 ICチップ
112 価値情報記憶部
114 通信部
116 アクセス部
120 利用状況取得部
122 利用状況記憶部
124 判断部
126 判別部
128 優先順位記憶部
130 登録部
140 提示部
142 受付部
144 選択部
150 CPU
152 ROM
154 RAM
156 通信部
158 移動通信用アンテナ
160 表示部
162 表示制御部
164 操作部
166 操作受付部
168 ICチップ
170 IC用アンテナ
172 バス
180 端末ID記憶部
182 定期券情報
184 回数券情報
186 電子マネー情報
200 リーダライタ装置
300 自動改札機
400 センターデータベース
420 価値情報データベース
430 端末別価値情報
431 端末ID
432 定期券情報
433 回数券情報
434 電子マネー情報
435 ポイント情報
500 価値情報選択画面
502 操作指示メッセージ欄
504 利用可能価値情報選択欄
520 警告および選択画面
522 警告メッセージ欄
524 操作指示メッセージ欄
526 利用可能価値情報選択欄
528 推奨指示欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる価値情報を格納する記録媒体と、前記記録媒体の前記価値情報を利用するために前記記録媒体にアクセスするアクセス端末と、を備えた情報処理システムにおいて、
前記価値情報の利用状況を判断する手段と、
判断された前記価値情報の前記利用状況に従って、前記異なる価値情報の中から利用可能な価値情報を判別する手段と、
判別された前記利用可能な価値情報のいずれを利用するかの選択を前記記録媒体のユーザから受け付ける手段と、
前記アクセス端末を介して前記記録媒体にアクセスし、前記選択を受け付ける手段が受け付けた前記価値情報を利用する手段と、を備える情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記異なる価値情報の利用の優先順位を予め登録する手段と、をさらに備え、
前記利用する手段は、前記登録する手段により登録された前記優先順位に従って、前記価値情報を利用する情報処理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の情報処理システムにおいて、
前記利用可能な価値情報のそれぞれの割引率を算出する手段を備える情報処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理システムにおいて、
前記利用する手段は、前記利用可能な価値情報の前記割引率の高い順に前記価値情報を利用する情報処理システム。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかに記載の情報処理システムにおいて、
前記価値情報の利用履歴を記録する手段をさらに備え、
前記判断する手段は、前記価値情報の前記利用履歴を使用して前記利用状況を判断する情報処理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理システムにおいて、
前記価値情報の前記利用履歴に基づいて、最適な価値情報を判別する手段を備える情報処理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理システムにおいて、
前記利用する手段は、判別された前記最適な価値情報を自動的に利用する情報処理システム。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれかに記載の情報処理システムにおいて、
前記記録媒体は、前記ユーザの携帯端末に搭載され、
前記携帯端末は、
前記アクセス端末が前記記録媒体にアクセスできるように前記アクセス端末と無線通信する手段と、
前記利用可能な価値情報または当該価値情報に関する情報を前記ユーザに提示する手段と、
前記提示する手段により提示された前記利用可能な価値情報の中から利用する価値情報の選択を前記ユーザから受け付ける手段と、
選択された前記価値情報を、前記アクセス端末と通信して利用する手段と、を含む情報処理システム。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれかに記載の情報処理システムにおいて、
前記記録媒体は、磁気記録媒体、IC記録媒体、または、携帯端末に搭載されるIC記録媒体である情報処理システム。
【請求項10】
請求項1乃至9いずれかに記載の情報処理システムにおいて、
前記価値情報は、プリペイド型電子マネー情報、クレジット情報、有価証券情報、デビット情報、ポイント情報、定期券情報、回数券情報、またはクーポン情報を含む情報処理システム。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれかに記載の情報処理システムにおいて、
前記アクセス端末は、前記記録媒体の前記価値情報を読み書きするリーダライタ装置を備えた自動改札機、券売機、レジ端末、自動販売機、POS端末、入出門ゲート、またはコンピュータを含む情報処理システム。
【請求項12】
請求項1乃至11いずれかに記載の情報処理システムにおいて、
前記アクセス端末に接続された管理装置をさらに備え、
前記管理装置は、
前記記録媒体に記録されている前記価値情報を、前記アクセス端末を経由して受信する手段と、
前記価値情報を前記記録媒体の識別情報に関連付けてデータベースに蓄積する手段と、を備える情報処理システム。
【請求項13】
異なる価値情報を格納する記録媒体と、
前記価値情報の利用状況を判断する手段と、
判断された前記価値情報の前記利用状況に従って、前記異なる価値情報の中から利用可能な価値情報を判別する手段と、
判別された前記利用可能な価値情報のいずれを利用するかの選択をユーザから受け付ける手段と、
アクセス端末からの前記記録媒体へのアクセスを受け付け、前記選択を受け付ける手段が受け付けた前記価値情報を利用させる手段と、を備える携帯端末。
【請求項14】
異なる価値情報を格納する記録媒体において前記価値情報を利用する情報処理方法であって、
前記価値情報の利用状況を判断する手順、
判断された前記価値情報の前記利用状況に従って、前記異なる価値情報の中から利用可能な価値情報を判別する手順、
判別された前記利用可能な価値情報のいずれを利用するかの選択を前記記録媒体のユーザから受け付ける手順、
前記記録媒体の前記価値情報を利用するアクセス端末から前記記録媒体にアクセスさせ、前記選択を受け付ける手順で受け付けた前記価値情報を利用させる手順、を含む情報処理方法。
【請求項15】
異なる価値情報を格納する記録媒体にアクセス可能なコンピュータに、
前記価値情報の利用状況を判断する手順、
判断された前記価値情報の前記利用状況に従って、前記異なる価値情報の中から利用可能な価値情報を判別する手順、
判別された前記利用可能な価値情報のいずれを利用するかの選択を前記記録媒体のユーザから受け付ける手順、
前記記録媒体の前記価値情報を利用するアクセス端末から前記記録媒体にアクセスさせ、前記選択を受け付ける手順で受け付けた前記価値情報を利用させる手順、を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−217545(P2009−217545A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60651(P2008−60651)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】